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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】誘導電力伝送制御
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20220119BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220119BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
H04B5/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018548773
(86)(22)【出願日】2017-03-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2017055669
(87)【国際公開番号】W WO2017157790
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2019-12-17
(31)【優先権主張番号】16160595.1
(32)【優先日】2016-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518307145
【氏名又は名称】ヴィフェリオン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベンリアー・ゲルディ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・トリッチュラー
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-225962(JP,A)
【文献】特開2014-217120(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0321169(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0061578(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/00
H02J 7/00
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力伝送システム(10;34)の二次側の動作状態を検出する方法であって、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における前記動作状態に動的に結合された前記誘導電力伝送システム(10;34)の一次側における少なくとも1つの電気的変数を測定するステップ(S10)と、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側において測定可能な測定データを使用することなく前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における前記動作状態を検出するために、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側における経時的な前記少なくとも1つの電気的変数の第1の分析を実行するステップと
を有し、
前記第1の分析を実行するステップが、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側における前記少なくとも1つの電気的変数の変化率を決定するステップと、
少なくとも1つの閾値を使用して、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側における前記少なくとも1つの電気的変数の前記変化率を分析することによって、前記第1の分析を実行するステップと
を含み、
前記少なくとも1つの閾値が固定閾値であり、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における前記動作状態が、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における通常動作状態から開回路状態または短絡状態への変化に関連し、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側におけるサンプリングされた電気的変数の第1の閾値(58)の立ち上がりエッジ交差が、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における開回路状態の検出のために用いられる、方法。
【請求項2】
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側におけるサンプリングされた電気的変数の第2の閾値(60)の立ち下がりエッジ交差が、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における短絡状態の検出のために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側における前記サンプリングされた電気的変数が、高周波一次側電流(I1,hf)である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側における前記少なくとも1つの電気的変数の前記変化率が、
一次側電流の変化率および/または前記一次側電流の前記変化率に基づく少なくとも1つの値と、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側に供給される電力の変化率および/または前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側に供給される前記電力の前記変化率に基づく少なくとも1つの値と、
前記一次側電流と一次側電圧との間の位相差の変化率および/または前記一次側電流と前記一次側電圧との間の前記位相差の前記変化率に基づく少なくとも1つの値と
のうちの単一の値またはこれらの組み合わせとして選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における前記動作状態に関する測定データの生成のために、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における少なくとも1つの電気的変数を測定するステップ(S14)と、
生成された前記測定データを、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側から前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側に通信するステップ(S16)と、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における前記動作状態の検出のための前記第1の分析と組み合わせて、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側における経時的な通信された前記測定データの第2の分析を実行するステップ(S18)と
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
誘導電力伝送システム(10;34)を制御する方法であって、前記誘導電力伝送システム(10;34)の一次側が、直流電流入力信号(I 1,dc 、U 1,dc )を高周波一次側電流(I 1,hf )と高周波一次側電圧(U 1,hf )とに変換するためのインバータ(14)を備え、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により、前記誘導電力伝送システム(10;34)の二次側における動作状態を検出するステップ(S24、S26)であって、前記二次側における前記動作状態を検出するための前記少なくとも1つの電気的変数が前記高周波一次側電流(I 1,hf )である、ステップと、
前記誘導電力伝送システム(10;34)の検出された動作状態に応答して前記誘導電力伝送システム(10;34)の動作を制御するステップ(S28~S40)と
を有し、
前記高周波一次側電流(I 1,hf )は、前記高周波一次側電圧(U 1,hf )に対して位相シフトしてサンプリングされる、方法。
【請求項7】
前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記二次側における開回路状態または短絡状態を検出したときに、前記誘導電力伝送システム(10;34)におけるハードウェア回路の保護のために、前記誘導電力伝送システム(10;34)の前記一次側における電力供給を制限または低減するステップ(S30)
をさらに有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
誘導電力伝送システム(10;34)を制御するためのコントローラ装置(70)であって、入力出力機能を確立するための少なくとも1つのインターフェース(72)と、少なくとも1つのプロセッサ(74)と、前記少なくとも1つのプロセッサ(74)によって実行されるべき命令を記憶するメモリ(76)とを備え、それによって、前記コントローラ装置(70)が、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により、前記誘導電力伝送システム(10;34)において動作状態を検出し、
請求項6または7に記載の方法により、前記誘導電力伝送システム(10;34)において検出された動作状態に応答して前記誘導電力伝送システム(10;34)の動作を制御するように適合される、コントローラ装置(70)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電力伝送制御に関し、詳細には、誘導電力伝送制御の二次側における動作状態を検出する方法、本発明による検出方法を使用する制御方法、および本発明による制御方法を使用するコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、誘導電力伝送システムは、導電電力伝送システムに勝るいくつかの利点を有する。たとえば、電動車両に関して、ケーブルのプラグインがもはや必要とされないことを意味する。
【0003】
図1は、当技術分野で知られている誘導電力伝送システム100の概略図を示す。
【0004】
図1に示すように、誘導電力伝送システム100は、送電側において、DC/ACコンバータ102と、送電側コントローラ104と、送電側補償キャパシタ106と、送電側補償キャパシタ106に直列に接続された送電コイル108とを備える。送電側補償キャパシタ106および送電コイル108の直列接続は、DC/ACコンバータ102の出力側に接続されている。
【0005】
図1に示すように、誘導電力伝送システム100は、受電側において、受電側補償キャパシタ112に直列に接続された受電コイル110を備える。受電コイル110および受電側補償キャパシタ112の直列接続は、受電側コントローラ116の制御下で動作するAC/DCコンバータ114の入力側に接続されている。受電コイル110および受電側補償キャパシタ112の直列接続と並列に、短絡保護スイッチ118が接続されている。AC/DCコンバータ114の出力において、負荷120が接続されている。負荷120の接続に関して、負荷120に供給される電力レベルを制御するためのDC/DCコンバータが設けられてもよい(図1には図示せず)。
【0006】
図1に示すように、受電側と送電側の間の制御データおよび/または測定データの交換のために、受電側から送電側にワイヤレス通信リンク122が確立され得る。
【0007】
動作可能に、DC/ACコンバータ102は、DC入力信号を受信するように適合され、それを送電側AC信号に変換するように適合される。送電側AC信号は、振動磁界の生成のために送信側補償キャパシタ106および送電コイル108の直列接続に出力される。送電側コントローラ104は、DC/ACコンバータ102の制御のために、送電側AC信号の特性と、オプションでDC入力信号の特性とを測定するように適合される。より詳細には、送電側コントローラ104は、生成された磁界が、送電側補償キャパシタ106および送電コイル108の直列接続の共振周波数において振動するように、DC/ACコンバータ102を制御するように適合される。
【0008】
動作可能に、受電コイル110は、送電コイル108によって生成された磁界内に置かれたとき、誘導結合を介して送電コイル108によって送電されたエネルギーを受電する。誘導結合は、受電側AC信号の生成を導く。送電側コントローラ104の制御下で、AC/DCコンバータ114は、受電側AC信号を、次いで負荷120に転送される負荷側DC信号に変換するように適合される。
【0009】
動作可能に、受電側コントローラ116は、負荷120に供給される電力の制御のために、受電側AC信号と、オプションで負荷側DC信号とを測定するように適合される。さらに、受電側コントローラ116は、短絡保護スイッチ118の作動のために受電側におけるエラー状態を検出するように適合される。動作可能に、測定データおよび制御データは、制御を改善し、受電側における障害状態を送電側に通知するために、ワイヤレス通信リンク122を介して送信され得る。
【0010】
一般に、誘導電力伝送システムでは、送信側と受信側との間の直接的なハードウェア接続は存在しない。しかしながら、受信側におけるエラーの場合、送信側からの電力伝送を低減または停止するために、エラー状態への応答ができるだけ早く達成されることが必要である。
【0011】
さらに、受信側において開回路エラーが発生した場合、受信側AC信号は、誘導電力伝送システムにおける構成要素を破壊する可能性があるレベル、または危険でさえあり得るレベルまで増加する。現在、この問題は、受信側における過電圧を検出し、短絡保護スイッチ118を使用して、受電コイル110と受電側補償キャパシタ112とによって構成された二次共振回路を短絡することによって解決される。オプションでは、エラーは、電力伝送を停止するために、ワイヤレス通信リンク122を介して送信側に通信されなければならない。この短絡保護スイッチ118は、専用スイッチを使用するか、または利用可能であれば、AC/DCコンバータ114における2つのハイサイドアクティブスイッチもしくは2つのローサイドアクティブスイッチを使用して実装され得る。
【0012】
しかしながら、受信側から送信側にエラーを通信することは、遅すぎる可能性がある。アナログからデジタルへの変換、信号の処理、およびワイヤレス通信リンク122によって引き起こされる送信遅延のために追加された複数の遅延が存在する。
【0013】
さらに、受信側における短絡保護スイッチ118による能動的な短絡は、あるレベルの安全性を追加するが、それにもかかわらず、短絡電流がハードウェア構成要素の定格を超えて増加する可能性がある。また、短絡保護スイッチ118を使用することは、増加したコストおよび複雑性につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記を考慮して、本発明の目的は、誘導電力伝送システムの改善された制御のための、誘導電力伝送システムにおける動作状態の検出のための、より効率的な解決策を提供することである。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態を検出する方法によって達成される。
【0016】
本発明の第1の態様による方法は、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態に動的に結合された誘導電力伝送システムの一次側における少なくとも1つの電気的変数を測定するステップを有する。
【0017】
本発明の第1の態様による方法は、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態の変化を検出するために誘導電力伝送システムの一次側における経時的な少なくとも1つの電気的変数の第1の分析を実行するステップをさらに有する。
【0018】
本発明によれば、第1の分析は、誘導電力伝送システムの二次側において測定可能な測定データを使用することなく二次側における動作状態を検出するために実行可能である。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、上記で概説した目的は、誘導電力伝送システムを制御する方法によって達成される。
【0020】
誘導電力伝送システムを制御する方法は、本発明の第1の態様による誘導電力伝送システムの二次側における動作状態を検出する方法を使用して、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態を検出するステップを有する。
【0021】
誘導電力伝送システムの動作を制御する方法は、誘導電力伝送システムの二次側における検出された動作状態に応答して、誘導電力伝送システムの動作を制御するステップをさらに有する。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、上記で概説した目的は、本発明の第2の態様による誘導電力伝送システムを制御する方法を使用するコントローラによって達成される。
【0023】
以下では、本発明の種々の態様および例が図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来技術で知られているような誘導電力伝送システムの概略回路図である。
図2】本発明の第1の例示的な実施形態による誘導電力伝送システムの概略回路図である。
図3図2に示す誘導電力伝送システムの変圧器の等価回路図である。
図4】本発明の第2の例示的な実施形態による誘導電力伝送システムの概略回路図である。
図5】本発明の第3の例示的な実施形態による誘導電力伝送システムの二次側における動作状態を検出するための検出装置の概略図である。
図6】本発明の第4の例示的な実施形態による図5に示す検出装置の動作のフローチャートである。
図7】本発明の第5の例示的な実施形態による図5に示す検出装置の動作のさらに詳細なフローチャートである。
図7a】電気的変数の変動と、閾値によって反映されるその最大許容振幅とに関連する異なる動作状態を示す図である。
図7b】検出された電気的変数の変化率が、検出された変数の振幅とは無関係であり、したがって、振幅とは独立して検出され得ることを示す図である。
図8】本発明による誘導電力伝送システムの一次側における少なくとも1つの電気的変数をサンプリングし測定するさらなる態様を示す図である。
図9】送電コイルと受電コイルとの間の垂直分離の関数としての自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの変動を示す図である。
図10】一定の二次側電圧における送電コイルと受電コイルとの間の垂直分離の関数としての誘導された一次電流の変動を示す図である。
図11】本発明による誘導電力伝送システムの第1の動作状態による概略図および関連する等価回路図である。
図12】本発明による誘導電力伝送システムの第2の動作状態による概略図および関連する等価回路図である。
図13図13(a)は、図11に示す誘導電力伝送システムの第1の動作状態によるか、または図12に示す誘導電力伝送システムの第2の動作状態による、一次側高周波電流と一次側高周波電圧とを示す図であり、図13(b)は、図11に示す誘導電力伝送システムの第1の動作状態によるか、または図12に示す誘導電力伝送システムの第2の動作状態による、二次側高周波電流と二次側高周波電圧とを示す図である。
図14】本発明による誘導電力伝送システムの第3の動作状態による概略図および関連する等価回路図である。
図15図15(a)は、図14に示す誘導電力伝送システムの第3の動作状態による、一次側高周波電流と一次側高周波電圧とを示す図であり、図15(b)は、図14に示す誘導電力伝送システムの第3の動作状態による、二次側高周波電流と二次側高周波電圧とを示す図である。
図16】本発明による誘導電力伝送システムの第4の動作状態による概略図および関連する等価回路図である。
図17図17(a)は、図16に示す誘導電力伝送システムの第4の動作状態による、一次側高周波電流と、一次側高周波電圧と、一次側電力とを示す図であり、図17(b)は、図16に示す誘導電力伝送システムの第4の動作状態による、二次側高周波電流と二次側高周波電圧とを示す図である。
図18】本発明の第6の例示的な実施形態による誘導電力伝送システムのためのコントローラの概略回路図である。
図19図18に示す本発明の第6の例示的な実施形態によるコントローラに関する動作のフローチャートである。
図20図18に示す本発明の第6の例示的な実施形態によるコントローラに関する動作のより詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明について図面を参照して詳細に説明する。ここで、そのような説明は、本発明の例にのみ関連し、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲に対する束縛ではないことを理解すべきである。特定の回路構成要素に言及がなされる限り、これは、同じ機能性が達成される限り、回路構成要素が明らかに交換可能であるような基礎をなす機能性に関する例としてみなされるべきである。
【0026】
本明細書で説明する本発明は、以下では二次側とも呼ばれる誘導電力伝送システムの受電側における動作状態、たとえば、高インピーダンス状態および低インピーダンス状態を検出するために、以下では一次側とも呼ばれる誘導電力伝送システムの送電側において利用可能な測定信号を使用する。
【0027】
本発明によれば、誘導電力伝送システムは、二次側において測定可能な測定データの必須な使用なしに、動作状態、たとえば、二次側におけるエラーに応答することができる。ワイヤレス通信リンクまたは専用短絡保護スイッチの必要はない。一次側において利用可能な電気信号を使用することによって、効率的な方法で、低コストで全体的な動作状態が内在的に(intrinsically)検出され得る。
【0028】
図2は、本発明の第1の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム10の概略図を示す。
【0029】
図2に示すように、誘導電力伝送システム10は、一次側において送電ユニット12を有する。送電ユニット12は、一次側DC/ACコンバータ14と、一次側コントローラ16と、一次側補償キャパシタ18と、一次側補償キャパシタ18に直列に接続された送電コイル20とを備える。一次側補償キャパシタ18および送電コイル20の直列接続は、一次側DC/ACコンバータ14の出力側に接続されている。
【0030】
動作可能に、一次側DC/ACコンバータ14は、一次側dc電圧U1,dcおよび一次側直流電流I1,dcを入力として受電し、それを一次側高周波電圧U1,hfおよび一次側高周波電流I1,hfに変換するように適合される。一次側高周波電圧U1,hfおよび一次側高周波電流I1,hfは、次いで、振動磁界の生成のために、一次側補償キャパシタ18および送電コイル20の直列接続に供給される。
【0031】
動作可能に、一次側コントローラ16は、一次側高周波電流I1,hfと、オプションで一次側高周波電圧U1,hf、一次側直流電流I1,dc、および/または一次側dc電圧U1,dcとを測定するように適合される。一次側コントローラ16は、一次側DC/ACコンバータ14の制御のための測定結果を処理するように適合される。一次側DC/ACコンバータは、一次側高周波電圧U1,hfおよび一次側高周波電流I1,hfを、一次側補償キャパシタ18および送電コイル20の直列接続に供給するように適合される。一次側コントローラ16の制御は、送電コイル20によって生成された磁界が、一次側補償キャパシタ18および送電コイル20の直列接続の共振周波数において振動するようなものである。
【0032】
図2に示すように、誘導電力伝送システム10は、送電ユニット12から分離された少なくとも1つの受電ユニット22も有する。
【0033】
図2に示すように、受電ユニット22は、二次側補償キャパシタ26に直列に接続された受電コイル24を備える。受電ユニット22は、二次側AC/DCコンバータ28をさらに備える。二次側AC/DCコンバータ28の入力側において、受電コイル24および二次側補償キャパシタ26の直列接続が接続されている。二次側コンバータ28の出力側において、負荷30が接続されている。受電ユニット22は、二次側AC/DCコンバータ28を制御するように適合された二次側コントローラ32を備える。
【0034】
動作可能に、受電コイル24は、送電コイル20によって生成された磁界内に置かれたとき、誘導結合を介して送電コイル20によって送電されたエネルギーを受電する。誘導結合は、二次側高周波電圧U2,hfおよび二次側高周波電流I2,hfの生成を導く。
【0035】
動作可能に、二次側AC/DCコンバータ28は、二次側コントローラ32の制御の下で、二次側高周波電圧U2,hfおよび二次側高周波電流I2,hfを、二次側dc電圧U2,dcおよび二次側直流電流I2,dcに変換するように適合される。
【0036】
動作可能に、二次側コントローラ32は、二次側高周波電流I2,hfをオプションで測定し、二次側高周波電圧U2,hf、二次側直流電流I2,dc、および/または二次側dc電圧U2,dcをオプションで測定するように適合される。二次側コントローラ32は、二次側AC/DCコンバータ28を制御するための測定結果を処理するように適合される。二次側AC/DCコンバータ28は、二次側dc電圧U2,dcおよび二次側直流電流I2,dcを、たとえば、直接またはDC/DCコンバータ(図2には図示せず)を介して、負荷30に供給するように適合される。
【0037】
図2に示すように、本発明によれば、一次側と二次側との間にワイヤレス通信リンクを設けること、または専用短絡保護スイッチを設けることは、必須ではない。
【0038】
一般に、本発明の第1の例示的な実施形態によれば、一次側コントローラ16は、二次側における動作状態に動的に結合された一次側において利用可能な経時的な電気信号の内在的分析によって、二次側における動作状態を検出するように適合される。
【0039】
たとえば、誘導結合により、二次側における動作状態の変化の発生は、一次側高周波電圧U1,hfおよび/または一次側高周波電流I1,hfの過渡特性につながる。
【0040】
さらに、第1の例示的な実施形態によれば、一次側コントローラ16は、検出された動作状態に応答して誘導電力伝送システム10を制御するように適合される。より詳細には、一次側コントローラは、誘導電力伝送システムの二次側が誘導電力伝送システムの二次側における所定の動作状態の発生時に安全状態になるように、たとえば、一次側dc電圧U1,dc、一次側直流電流I1,dc、一次側高周波電圧U1,hf、および/または一次側高周波電流I1,hfを制御するように適合される。
【0041】
最も一般的な意味では、本発明によれば、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態は、通常動作状態から非通常動作状態への変化に関連する。さらに、最も一般的な意味では、第2の非通常動作状態は、誘導電力伝送システムの二次側における開回路状態または短絡状態である。さらに、非通常動作状態の例は、たとえば、二次側における過電流、過温度、高インピーダンス状態、および/または低インピーダンス状態である。
【0042】
図3は、直列-直列補償を使用して誘導電力伝送システム10における送電コイル20および受電コイル24によって構成された変圧器の等価回路図を示す。
【0043】
図3に示すように、L1sおよびL2s'は、変圧器の漏れインダクタンスを表し、Lmは、変圧器の相互インダクタンスである。送電コイル20のインダクタンスは、L1=L1s+Lmであり、受電コイル24のインダクタンスは、L2=L2s'+Lmである。一次側補償キャパシタ18および二次側補償キャパシタ26が、送電コイル20の自己インダクタンスおよび受電コイル24の自己インダクタンスをそれぞれ保証するように寸法決めされている場合、誘導電力伝送システム10は、共振周波数
【数1】
において動作し、二次側は、大きさ
【数2】
を有する電流源として現れる。
【0044】
開回路エラーが発生した場合、二次側高周波電圧U2,hfは、構成要素に対して破壊的で、危険でさえある可能性があるレベルまで上昇する。
【0045】
より一般的には、送電コイル20および受電コイル24の補償ストラテジーと、それらがそれらの共振周波数に対して駆動される周波数とに応じて、二次側に供給される電力は、電圧源、電流源、またはそれら2つの混合物として現れる。等価電圧源の場合、二次側における安全状態は、開回路である。電流源の場合、安全状態は、短絡回路である。
【0046】
一般に、本発明の第1の例示的な実施形態による一次側コントローラ16は、一次側と二次側との間の制御データおよび/または測定データの交換なしに、二次側におけるエラー状態の発生時に二次側が安全状態になるように、誘導電力伝送システム10の一次側における動作を制御するように適合される。
【0047】
図4は、本発明の第2の例示的な実施形態による、誘導電力伝送システム34の概略回路図を示す。
【0048】
本発明の第2の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム34が本発明の第1の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム10と同じ回路構成要素を使用する限り、それらは、同じ参照番号を使用して参照され、関連する構造および機能の説明は、ここでは繰り返されない。
【0049】
図4に示すように、本発明の第2の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム34は、一次側と二次側との間またはその逆での測定データおよび/または制御データの交換のためのワイヤレス送信リンク36を備える。
【0050】
図4に示すように、本発明の第2の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム34は、二次側における短絡保護スイッチ38をさらに備える。短絡保護スイッチ38は、受電コイル24および二次側補償キャパシタ26によって構成された直列共振回路と並列に二次側AC/DCコンバータ28の入力に接続されている。
【0051】
以下では、本発明の第1および第2の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム10、34の二次側における動作状態の分析のさらなる態様について、図6図17を参照して説明する。
【0052】
ここで、動作状態の分析に関して以下に与える説明は、本発明の第1および第2の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム10および34に等しく適用可能であることに留意すべきである。
【0053】
図5は、本発明の第3の例示的な実施形態による誘導電力伝送システム10、34の二次側における動作状態を検出するための検出装置40の概略図を示す。
【0054】
図5に示すように、検出装置40は、少なくとも1つのインターフェース42、たとえば、無線インターフェースを備える。インターフェース42は、たとえば、誘導電力伝送システム10、34の二次側コントローラとの、または誘導電力伝送システム10、34の外部制御局とのワイヤレス情報交換に適している。いくつかのシナリオでは、インターフェース42は、外部システム、たとえば、物流センターにおいて動作する監視システムとの情報の交換にも使用され得る。
【0055】
図5に示すように、検出装置40は、インターフェース42に結合された少なくとも1つのプロセッサ44と、少なくとも1つのプロセッサ44に結合されたメモリ46とを備える。メモリ46は、読み出し専用メモリROM、たとえば、フラッシュROM、ランダムアクセスメモリRAM、たとえば、ダイナミックRAM DRAMまたはスタティックRAM SRAM、大容量ストレージ、たとえば、ハードディスクまたは固体ディスク、などを含むことができる。メモリ46は、命令、たとえば、検出装置40の後述する機能を実現するために少なくとも1つのプロセッサ44によって実行されるべき適切に構成されたプログラムコードも含む。この機能は、以下ではモジュールと呼ばれる。これらのモジュールは、検出装置40の個々のハードウェア要素を表すのではなく、少なくとも1つのプロセッサ44が適切に構成されたプログラムコードを実行するときに生成される機能を表すことに留意されたい。
【0056】
図5に示すように、メモリ46は、検出モジュール48と、分析モジュール50と、オプションの閾値モジュール52とを実装するために、適切に構成されたプログラムコードを含むことができる。さらに、メモリ46内の適切に構成されたプログラムコードは、たとえば、関連する機能性および外部への接続性の確立および/または維持などを行うために検出装置40を制御するための様々な制御機能性を実装するための制御モジュールを実装することもできる。
【0057】
図6は、誘導電力伝送システム10、34の二次側における動作状態を観測するための、本発明の第4の例示的な実施形態による図5に示す検出装置の動作のフローチャートを示す。
【0058】
図6に示すように、動作可能に、検出モジュール48は、プロセッサ44と協働して、誘導電力伝送システム10、34の二次側における動作状態に動的に結合された誘導電力伝送システム10、34の一次側における少なくとも1つの電気的変数を測定するためのステップS10を実行するように適合される。
【0059】
図6に示すように、動作可能に、分析モジュール50は、プロセッサ44と協働して、誘導電力伝送システム10、34の二次側において測定可能な測定データを使用せずに誘導電力伝送システム10、34の二次側における動作状態を検出するための、誘導電力伝送システム10、34の一次側における経時的な少なくとも1つの電気的変数の第1の分析を実施するためのステップS12を実行するように適合される。
【0060】
図7は、図5に示す検出装置40の動作のさらに詳細なフローチャートを示す。
【0061】
図7に示すように、動作可能に、図5に示す検出装置は、誘導電力伝送システムの一次側における少なくとも1つの電気的変数の検出のため、および関連する第1の分析の実行のためのステップS10およびS12を実行するように適合される。
【0062】
図7に示すように、動作可能に、二次側コントローラ32は、誘導電力伝送システム34の二次側における動作状態に関連する二次側測定データの生成のための、誘導電力伝送システム34の二次側における経時的な少なくとも1つの電気的変数の測定のためのステップS14を実行するように適合される。
【0063】
図7に示すように、動作可能に、二次側コントローラ32は、ワイヤレス送信リンク36を介して誘導電力伝送システム34の二次側から誘導電力伝送システム34の一次側に生成された二次側測定データを通信するためのステップS16を実行するように適合される。
【0064】
図7に示すように、動作可能に、一次側コントローラ16は、誘導電力伝送システム34の二次側における動作状態のより正確なおよび/または加速された検出のための、第1の分析と組み合わせた誘導電力伝送システム34の一次側における経時的な通信された二次側測定データの第2の分析を実現するために、ステップS18を実行するように適合される。
【0065】
本発明によれば、第1の分析の実行および第2の分析の実行は、並列化された分析プロセスを実現するために、一次側コントローラ16および二次側コントローラ32に並列に割り当てられる場合もあることに留意すべきである。さらに、さらなる変形例は、二次側コントローラ32によって、二次側における切り離された制御、たとえば、二次側におけるエラー状態の発生時の短絡保護スイッチ38の作動によって、一次側からの誘導電力伝送システム34の制御を補うことである。
【0066】
さらに、図7に示すステップS10~S18の具体的な順序は、単なる例としてみなされるべきであり、この順序の任意の修正も本発明の範囲によってカバーされることを理解すべきである。
【0067】
以下では、電力伝送システムの改善された制御のための誘導電力伝送システムにおける動作状態の検出のより詳細な態様について説明する。
【0068】
図7aは、電気的変数の変動と、閾値によって反映されるその最大許容振幅とに関連する異なる動作状態を示す。
【0069】
図7aに示すように、本発明によれば、少なくとも1つの電気的変数の実際の値の代わりに少なくとも1つの電気的変数の変化率が考慮され得る。
【0070】
図7aは、非拘束の例示的なシナリオによるこの特徴の意味を示す。図7aの上部に示すように、電気的変数の変化する振幅と、閾値Th1によって反映されるその最大許容振幅とに関連する3つの動作シナリオ(I)~(III)、
(I)振幅は、一定のままであり、閾値Th1未満である、
(II)振幅は、経時的に変化するが、閾値Th1未満のままである、および
(III)振幅は、経時的に変化し、閾値Th1を超える、
が存在する。
【0071】
ここで、図7aは、シナリオ(I)および(II)について、閾値Th1を超えず、シナリオ(III)について、時間期間T1の経過後に最終的にTh1の閾値を超えることを示している。
【0072】
図7aの下部は、異なるシナリオに関する変化率を示している。シナリオ(I)について、振幅の変化はないが、シナリオ(II)について、変化率は、上限Th2および下限Th3範囲内に留まる。さらに、シナリオ(III)について、振幅の増加は、高すぎ、振幅の変化率は、上限Th2を超える。
【0073】
図7aの下部に示すように、変化率がその関連する閾値を超えたという情報は、考慮される電気的値の実際の振幅が閾値Th1を超えるまで、時間期間T1の遅延なしにすぐに利用可能である。この理由は、変化率が、考慮される電気的値の振幅差に関連し、電気的値の振幅には関連しないということである。
【0074】
したがって、電気的値の変化率を考慮すると、本発明は、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態の加速された検出の技術的効果を達成する。
【0075】
電気的値の変化率の考慮のさらなる含意が、図7bによって示されている。
【0076】
図7bは、検出された電気的変数の変化率が、考慮される電気的変数の振幅から独立しており、したがって、振幅から独立して検出され得ることを示している。図7bに示すように、シナリオ(III)では、振幅は、シナリオ(IV)よりも高いが、それにもかかわらず、シナリオ(III)における実際の変化率は、シナリオ(IV)における実際の変化率よりも低い。
【0077】
図7bから、本発明によれば、固定閾値方式が使用され得ることは明らかである。したがって、実際の振幅にかかわりなく、ケース(III)または(IV)に関する変化率を、誘導電力伝送システムの二次側における特定の動作状態を示すために一度設定され、動作中に変更する必要がない同じ閾値Th2と比較することが可能である。これは、電力伝送システムの二次側における動作状態の検出のプロセスの促進につながる。
【0078】
結論として、図7aおよび図7bに関して説明したように、本発明は、システム実装形態のコストを低減しながら、同時に、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態の改善された検出によって安全のレベルを増加させることができる。
【0079】
図8は、誘導電力伝送システムの一次側における少なくとも1つの電気的変数をサンプリングして観測するさらなる態様を示す。
【0080】
図8に示すように、本発明によれば、検出モジュール48は、プロセッサと協働して、少なくとも1つの電気的変数および/または少なくとも1つの電気的変数に基づく値のサンプル値56を決定することによって、誘導電力伝送システムの一次側における経時的な少なくとも1つの電気的変数54を測定するように適合される。
【0081】
さらに、図8に示しように、分析モジュール50は、プロセッサ44と協働して、サンプル値56と所定の閾値方式とを使用して、少なくとも1つの電気的変数および/または少なくとも1つの電気的変数に基づく値の第1の分析を実行するように適合される。
【0082】
図8(a)に示すように、本発明によれば、少なくとも1つの電気的変数は、任意の特定の電気的特性に限定されず、
・ 一次側電流および/または一次側電流に基づく少なくとも1つの第1の値と、
・ 一次側電流の変化率および/または一次側電流の変化率に基づく少なくとも1つの第2の値と、
・ 誘導電力伝送システムの一次側に供給される電力および/または誘導電力伝送システムの一次側に供給される電力に基づく少なくとも1つの第3の値、たとえば、一次側コイルに供給される電力(I1,hf*U1,hf)または一次側DC/ACコンバータに供給される電力(I1,dc*U1,dc)に基づく信号と、
・ 誘導電力伝送システムの一次側に供給される電力の変化率および/または誘導電力伝送システムの一次側に供給される電力の変化率に基づく少なくとも1つの第4の値と、
・ 一次側電圧と一次側電流のとの間の位相差および/または一次側電圧と一次側電流との間の位相差に基づく少なくとも1つの第5の値と、
・ 一次側電流と一次側電圧との間の位相差の変化率および/または一次側電流と一次側電圧との間の位相差の変化率に基づく少なくとも1つの第6の値と、
・ 誘導電力伝送システムの一次側における共振周波数および/または誘導電力伝送システムの一次側における共振周波数に基づく少なくとも第7の値と
を含むグループからの単一の電気的変数として、または電気的変数の組み合わせとして選択され得る。
【0083】
ここで、本発明による上記で例示した電気的変数に基づく値は、どのような形態にも限定されず、電気的変数のピーク値、電気的変数の実効値、または電気的変数の関数演算によって導出される任意の他の適切な値であり得ることに留意すべきである。
【0084】
図8(b)~図8(d)に示すように、本発明によれば、以下に説明する異なる閾値方式を使用して第1の分析を実行するための複数の方法論が提供される。
【0085】
一般に、本発明によれば、閾値方式は、固定閾値、適応閾値、または固定閾値および適応閾値との組み合わせである閾値のうちの少なくとも1つを含む。
【0086】
図8(b)に示すように、少なくとも1つの電気的変数の第1の分析を実行するための第1のオプションは、経時的に変化しない固定閾値の使用である。
【0087】
図8(b)に示すように、第1の分析の第1のオプションによれば、誘導電力伝送システム10、34の二次側における第1の動作状態、たとえば、誘導電力伝送システム10、34の二次側における開回路状態を検出するために役立つ、少なくとも1つの電気的変数または関連する値の複数のサンプル値のうちの1つのサンプル値によって、第1の閾値58と、第1の閾値58の立ち上がりエッジ交差とが設定される。
【0088】
図8(b)に示すように、第1の分析の第2のオプションによれば、誘導電力伝送システム10、34の二次側における第2の動作状態、たとえば、誘導電力伝送システム10、34の二次側における短絡状態を検出するために役立つ、少なくとも1つの電気的変数のサンプル値のピーク値または関連する値のサンプル値のピーク値によって、第2の閾値60と、第2の閾値の立ち下がりエッジ交差とが設定される。
【0089】
図8(c)に示すように、第1の分析の第3のオプションによれば、少なくとも1つの電気的変数は、一次側電流である。第1の分析の第3のオプションは、一次側電流をサンプリングするステップと、
I1low(k)<I1hf_abs(k)<I1high(k)
I1low(k)=gmU2,hf(k)-a(k)
I1high(k)=gmU2,hf(k)+b(k)
に従って、第1の下側閾値I1low(k)および第2の上側閾値I1high(k)に分割する閾値方式を使用して、一次側電流のサンプル値の絶対値I1hf_abs(k)を分析するステップとを有し、ここで、
【数3】
は、トランスコンダクタンスであり、f0は、誘導電力伝送システム10、34の一次側における共振周波数であり、L12は、相互インダクタンス、またはトランスコンダクタンスの代表値であり、
【0090】
U2,hf(k)は、誘導電力伝送システムの二次側高周波電圧であり、
【0091】
a(k)は、gmU2,hf(k)に関連する誘導電力伝送システムの二次側における通常動作を観測するための下限であり、
【0092】
b(k)は、gmU2,hf(k)に関連する誘導電力伝送システムの二次側における通常動作を観測するための上限である。
【0093】
図8(c)に示すように、第1の分析の第3のオプションによれば、a(k)およびb(k)の値は、経時的に一定である。これは、誘導電力伝送システム10、34の二次側における動作状態の検出のプロセスを容易にする。
【0094】
図8(d)に示すように、第1の分析の第4のオプションによれば、a(k)およびb(k)の値は、経時的に適応的である。
【0095】
本発明によれば、a(k)およびb(k)の値は、たとえば、測定されるべき信号、たとえば、振幅、周波数、信号の符号などの現在の状態に従って適応的であり得る。
【0096】
一般に、a(k)およびb(k)の値は、誘導電力伝送システム10、34の二次側における動作状態の変化の高速な検出のための小さい値と、十分なエラー耐性を提供することによって誤った検出を回避するために十分に大きい値との間のバランスを反映すべきである。
【0097】
さらに、a(k)およびb(k)の適応的設定は、測定されるべき信号の振幅の変化、または検出のためにそこから導出された関連する値の振幅の変化にかかわらず、動作状態の検出のための相対許容誤差を維持することを可能にする。
【0098】
図8(c)および図8(d)に示すように、第3および第4のオプションによれば、第1の分析では、一次側電流のサンプル値の絶対値I1hf_abs(k)が、第1の所定の時間期間T1にわたって第1の下側閾値I1low(k)よりも低いとき、誘導電力伝送システム10、34の二次側における短絡状態が検出される。
【0099】
図8(c)および図8(d)に示すように、第3および第4のオプションによれば、第1の分析では、一次側電流のサンプル値の絶対値I1hf_abs(k)が、第2の所定の時間期間T2にわたって第2の上側閾値I1high(k)よりも高いとき、誘導電力伝送システム10、34の二次側における開回路状態が検出される。
【0100】
図9は、送電コイル20と受電コイル24との間の垂直分離の関数としての自己インダクタンスおよび相互インダクタンスの変動を示す。
【0101】
図9に示すように、相互インダクタンスL12は、送電コイル20と受電コイル24との間の垂直分離の増加と共に減少する。さらに、トランスコンダクタンスgmは、相互インダクタンスL12に反比例する。これは、a(k)およびb(k)の値を適応的に設定するための基礎である。
【0102】
上記で概説したように、下側閾値I1low(k)、および、したがってa(k)の値は、誘導電力伝送システム10、34の二次側における短絡動作状態の検出をトリガする。
【0103】
また、上側閾値I1high(k)、および、したがってb(k)の値は、誘導電力伝送システム10、34の二次側における開回路動作状態の検出をトリガする。
【0104】
一次側電流特性の変動特性、ならびにa(k)およびb(k)の値の適応性を決定するのは、相互インダクタンスL12の変動、または同等にトランスコンダクタンスの変動である。
【0105】
図10は、一定の二次側電圧における送電コイル20と受電コイル24との間の垂直分離の関数としての誘導された一次電流の変動を示す。
【0106】
図10に示すように、相互インダクタンスL12は、垂直分離の増加と共に減少し、トランスコンダクタンスgmは、相互インダクタンスL12に反比例するので、誘導された一次側電流は、垂直分離の増加と共に増加する。
【0107】
上記で概説したように、エラー検出のための許容誤差帯域は、適応性であり得る。したがって、本発明によれば、一次側電流の振幅の減少は、送電コイル20と受電コイル24との間の垂直分離の減少と一致したa(k)およびb(k)の値の減少を意味する。さらに、一次側電流の振幅の増加は、送電コイル20と受電コイル24との間の垂直分離の増加と一致したa(k)およびb(k)の値の増加を意味する。
【0108】
図11は、本発明による誘導電力伝送システムの第1の動作状態による概略図と、関連する等価回路図とを示す。
【0109】
図11(a)に示すように、第1の動作状態は、二次側AC/DCコンバータ28および受電コイル24の断線に関係する。
【0110】
図11(a)に示すように、第1の動作状態は、二次側AC/DCコンバータ28および受電コイル24の可能性のある断線の位置に挿入された第1のモデルスイッチ62の開によって表され得る。
【0111】
図11(a)に示すように、第1の動作状態が実現した場合、短絡保護スイッチ38は、もはや受電コイル24を過電圧から保護しない可能性がある。
【0112】
図11(b)に示すように、第1の動作状態をモデル化した等価回路によれば、二次側AC/DCコンバータ28および受電コイル24の切断は、一次側から見たとき単なる誘導性負荷につながり、したがって、位相シフトにつながる。また、I2,hf=0となり、一次側から見たインピーダンスが上昇するように、並列ブランチは、電流を流さない。
【0113】
図12は、本発明による誘導電力伝送システムの第2の動作状態による概略図と、関連する等価回路図とを示す。
【0114】
図12(a)に示すように、第2の動作状態は、短絡保護スイッチ38からの二次側AC/DCコンバータ28の切断に関する。
【0115】
図12(a)に示すように、第2の動作状態は、短絡保護スイッチ38からの二次側AC/DCコンバータ28の可能性のある切断の位置において挿入された第2のモデルスイッチ64の開によって表され得る。第2の動作状態が実現した場合、短絡保護スイッチ38は、依然として受電コイル24を過電圧から保護することができる。
【0116】
図12(b)に示すように、第2の動作状態をモデル化した等価回路は、第1の動作状態をモデル化した等価回路と同様であり、したがって、上記で与えたものと同様の説明が適用される。
【0117】
図12に示すように、第2のモデルスイッチ64の開によって表される開回路が生じた場合、この第2の動作状態は、二次側コントローラ32によって検出され得、短絡保護スイッチ38は、閉じられ得る。一次側コントローラ16は、次いで、第2の開回路状態か、または短絡保護スイッチを閉じることによってトリガされる次の短絡状態のいずれか、またはその両方を検出することができる。
【0118】
図13(a)は、図11に示す誘導電力伝送システムの第1の動作状態による、または図12に示す誘導電力伝送システムの第2の動作状態による、一次側高周波電流I1,hfと一次側高周波電圧U1,hfとを示す。
【0119】
図13(a)に示すように、時間t=0において、二次側における第1の動作状態または第2の動作状態になったときに、一次側高周波電流I1,hfは、増加し、位相を変化させる。一次側高周波電圧U1,hfは、一次側DC/ACコンバータ14から供給され、したがって、変更されない。
【0120】
図13(b)は、図11に示す誘導電力伝送システムの第1の動作状態による、または図12に示す誘導電力伝送システムの第2の動作状態による、二次側高周波電流I2,hfと二次側高周波電圧U2,hfとを示す。
【0121】
図13(b)に示すように、二次側高周波電圧U2,hfは、一次側高周波電流I1,hfの変動に従って上昇する。二次側高周波電流I2,hfは、ゼロまで低下する。
【0122】
図14は、本発明による誘導電力伝送システムの第3の動作状態による概略図と、関連する等価回路図とを示す。
【0123】
図14(a)に示すように、第3の動作状態は、負荷30からの二次側AC/DCコンバータ28の切断に関する。
【0124】
図14(a)に示すように、第3の動作状態は、負荷30からの二次側AC/DCコンバータ28の可能性のある切断の位置において挿入された第3のモデルスイッチ66の開によって表され得る。第3の動作状態が実現した場合、短絡保護スイッチ38は、依然として受電コイル24を過電圧から保護することができる。図14(a)に示すように、二次側AC/DCコンバータ28の出力において、キャパシタ68によってモデル化され得る容量性の挙動が残る。
【0125】
図14(b)に示すように、第3の動作状態をモデル化した等価回路は、第1の動作状態または第2の動作状態をモデル化した等価回路と同等である。しかしながら、断線は、二次側AC/DCコンバータ28の出力側にあるので、図14(b)に示すように等価回路に加えられなければならない二次側AC/DCコンバータ28の入力側から見た入力抵抗Ziが残っている。ここで、入力抵抗Ziの値は、二次側AC/DCコンバータ28の変換特性と、キャパシタ68のキャパシタンスとによって決定される。
【0126】
図15(a)は、図14に示す誘導電力伝送システムの第3の動作状態による、一次側高周波電流I1,hfと一次側高周波電圧U1,hfとを示す。
【0127】
図15(a)に示すように、一次側において、一次側高周波電流I1,hfは、増加し、位相を変化させる。第1の動作状態と比較して、一次側高周波電流I1,hfの増加は、インピーダンスZiを有する追加の並列ブランチのために減少する。一次側高周波電圧U1,hfは、一次側DC/ACコンバータ14から供給され、したがって、変更されない。
【0128】
図15(b)は、図14に示す誘導電力伝送システムの第3の動作状態による、二次側高周波電流I2,hfと二次側高周波電圧U2,hfとを示す。
【0129】
図15(b)に示すように、二次側において、二次側高周波電流I2,hfの振幅は、有意には変化せず、二次側高周波電圧U2,hfは、上昇する。ここで、二次側高周波電圧U2,hfの上昇は、二次側のdcリンクを充電することによって潜在的に遅くなる。これは、誘導電力伝送システムの一次側における一次側高周波電流I1,hfの増加を引き起こす。
【0130】
図16は、本発明による誘導電力伝送システムの第4の動作状態による概略図と、関連する等価回路図とを示す。
【0131】
図16(a)に示すように、第4の動作状態は、二次側AC/DCコンバータ28の入力における可能性のある短絡の位置において挿入された第4のモデルスイッチ68の閉によって表され得る。
【0132】
図16(b)に示すように、第4の動作状態をモデル化した等価回路は、無効分のみを含む。二次側高周波電圧U2,hfの値は、ゼロである。二次側高周波電流I2,hfと一次側高周波電圧U1,hfの間の位相シフトは、90°の値に近づく。さらに、誘導電力伝送システムに供給される有効電力は、ゼロの値を有する。
【0133】
図17(a)は、時間t=0における、図16に示す誘導電力伝送システムの第4の動作状態による、一次側高周波電流I1,hfと、一次側高周波電圧U1,hfと、一次側電力P1_filとを示す。
【0134】
図17(a)に示すように、一次側高周波電圧U1,hfは、一次側DC/ACコンバータ14によって絶えず供給される。一次側高周波電流I1,hfは、一次側高周波電圧U1,hfに対して位相を変化させ、減少した振幅を有する。したがって、一次側において供給される電力P1_filも低減される。
【0135】
図17(b)は、図16に示す誘導電力伝送システムの第4の動作状態による、二次側高周波電流I2,hfと二次側高周波電圧U2,hfとを示す。
【0136】
図17(b)に示すように、二次側高周波電圧U2,hfは、短絡動作状態によりゼロとなる。二次側高周波電流I2,hfは、図16(b)に示す等価回路における二次ブランチの直列共振特性により発振する。
【0137】
図18は、本発明の第6の例示的な実施形態による、誘導電力伝送システム10、34のためのコントローラ装置70の概略回路図を示す。
【0138】
図18に示すように、コントローラ装置70は、少なくとも1つのインターフェース、たとえば、無線インターフェースを備える。インターフェース72は、たとえば、誘導電力伝送システム10、34におけるリモートコントローラとの、または誘導電力伝送システム10、34の外部制御局とのワイヤレス情報交換に適している。いくつかのシナリオでは、インターフェース72は、外部システム、たとえば、メンテナンスシステムとの情報の交換のためにも使用され得る。
【0139】
図18に示すように、コントローラ装置70は、インターフェース72に結合された少なくとも1つのプロセッサ74と、少なくとも1つのプロセッサ74に結合されたメモリ76とを備える。メモリ76は、読み出し専用メモリROM、たとえば、フラッシュROM、ランダムアクセスメモリRAM、たとえば、ダイナミックRAM DRAMまたはスタティックRAM SRAM、大容量ストレージ、たとえば、ハードディスクまたは固体ディスク、などを含むことができる。メモリ76は、命令、たとえば、コントローラ装置70の後述する機能を実現するために少なくとも1つのプロセッサ74によって実行されるべき適切に構成されたプログラムコードも含む。この機能は、以下ではモジュールと呼ばれる。これらのモジュールは、コントローラ装置70の個々のハードウェア要素を表すのではなく、少なくとも1つのプロセッサ74が適切に構成されたプログラムコードを実行するときに生成される機能を表すことに留意されたい。
【0140】
図18に示すように、メモリ76は、検出モジュール78と制御モジュール80とを実装するために適切に構成されたプログラムコードを含むことができる。
【0141】
図19は、図18に示す本発明の第6の例示的な実施形態によるコントローラ装置70に関する動作のフローチャートを示す。
【0142】
図19に示すように、動作可能に、検出モジュール78は、プロセッサ74と協働して、上記で概説したように、本発明による誘導電力伝送システム10、34の一次側における動作状態の検出のためのステップS20を実行するように適合される。
【0143】
図19に示すように、動作可能に、制御モジュール80は、プロセッサ74と協働して、誘導電力伝送システム10、34の一次側における検出された動作状態に応答して、誘導電力伝送システムの動作の制御のためのステップS22を実行するように適合される。
【0144】
さらに、動作可能に、制御モジュール80は、プロセッサ74と協働して、誘導電力伝送システム10、34の二次側において検出された動作状態に応答して、誘導電力伝送システム10、34の制御を実行するように適合され得る。
【0145】
図20は、図18に示す本発明の第6の例示的な実施形態によるコントローラ装置70に関する動作のさらに詳細なフローチャートを示す。
【0146】
本発明の第6の例示的な実施形態によれば、誘導電力伝送システム10、34は、直流電流入力信号を高周波一次側電流Ihf,1と高周波一次側電圧Uhf,1とに変換するための一次側DC/ACコンバータ14を備え、二次側における動作状態を検出するための少なくとも1つの電気的変数は、高周波一次側電流Ihf,1である。
【0147】
図20に示すように、動作可能に、検出モジュール78は、プロセッサ74と協働して、一次側高周波電圧Uhf,1に対して位相シフトして一次側高周波電流Ihf,1のサンプリングプロセスを制御するためにステップS24を実行するように適合される。
【0148】
図20に示すように、動作可能に、検出モジュール78は、プロセッサ74と協働して、
I1low(k)<I1hf_abs(k)<I1high(k)<I1max
I1low(k)=gmU2,hf(k)-c(k)
I1high(k)=gmU2,hf(k)+d(k)
に従って、第1の下側閾値I1low(k)と、第2の上側閾値I1high(k)と、第3の最大閾値I1maxとによって設定される閾値方式を使用することによって、高周波一次側電流I1,hfのサンプル値の絶対値I1hf_abs(k)を分析するためにステップS26を実行するように適合され、ここで、
【数4】
は、トランスコンダクタンスであり、f0は、誘導電力伝送システムの一次側における共振周波数であり、L12は、相互インダクタンス、またはトランスコンダクタンスの代表値であり、
【0149】
c(k)は、gmU2,hf(k)に関連する誘導電力伝送システム10、34の二次側における通常動作を観測するための下限であり、
【0150】
d(k)は、gmU2,hf(k)に関連する誘導電力伝送システム10、34の二次側における通常動作を観測するための上限である。
【0151】
図20に示すように、動作可能に、検出モジュール78は、プロセッサ74と協働して、高周波一次側電流I1,hfのサンプル値の絶対値I1hf_abs(k)が第1の所定の時間期間にわたって第1の下側閾値I1low(k)よりも低いときに誘導電力伝送システム10、34の二次側における短絡状態を検出するために、ステップS28を実行するように適合される。次いで、動作可能に、制御モジュール80は、プロセッサ74と協働して、誘導電力伝送システム10、34におけるハードウェア回路の保護のために、誘導電力伝送システム10、34の一次側における電力供給を低減するために、ステップS30を実行するように適合される。
【0152】
図20に示すように、動作可能に、検出モジュール78は、プロセッサ74と協働して、高周波一次側電流のサンプル値の絶対値I1hf_abs(k)が第2の所定の時間期間にわたって第2の上側閾値I1high(k)よりも高いときに誘導電力伝送システム10、34の二次側における開回路状態を検出するために、ステップS32を実行するように適合される。次いで、動作可能に、制御モジュール80は、プロセッサ74と協働して、誘導電力伝送システム10、34におけるハードウェア回路の保護のために、一次側電流のピーク値を制限するために、ステップS34を実行するように適合される。オプションで、制御モジュール80は、プロセッサ74と協働して、誘導電力伝送システム34に供給される電力を低減するように適合もされ得る。
【0153】
図20に示すように、動作可能に、制御モジュール80は、プロセッサ74と協働して、誘導電力伝送システム10、34におけるハードウェア回路の保護のために、高周波一次側電流I1,hfのサンプル値の絶対値I1hf_abs(k)が第3の所定の時間期間にわたって第3の最大閾値I1maxを超えるときに誘導電力伝送システム10、34の動作を中断するために、ステップS38を実行するように適合される。
【0154】
図20に示すように、動作可能に、制御モジュール80は、プロセッサ74と協働して、誘導電力伝送システム10、34の時変トランスコンダクタンスに従って第1の下側閾値I1low(k)と第2の上側閾値I1high(k)とを適応的に制御するために、ステップS40を実行するように適合される。
【0155】
図20に示すように、コントローラ装置70は、誘導電力伝送システムの連続制御のためのステップS24~S40を反復するように適合される。
【0156】
結論として、本発明は、誘導電力伝送システムに余分なレベルの安全性を追加し、誘導電力伝送システムの二次側における動作状態、たとえば、エラー状態の瞬時検出をサポートする。本発明によれば、二次側におけるそのような動作状態は、非常に高速に検出され得る。
【0157】
この余分なレベルの安全性は、システムの実装形態のコスト、たとえば、二次側における余分な短絡保護スイッチのコストを低減するために使用され得る。加えて、本発明は、スイッチング時のEMI問題、ならびに通信チャネルおよび制御チャネルの関連する妨害のため、スイッチングの瞬間に非常に高い電流および/または電圧をもたらす可能性がある誘導電力伝送システムの二次側における短絡動作状態の発生を回避する。
【0158】
以上、本発明について図面および図を参照して説明したが、当然ながら、本発明は、本発明の範囲および要旨から逸脱することなく当業者に明らかな、当業者によって容易になされ得るその変形および修正を使用しても実施され得ることに留意すべきである。たとえば、上記で説明した機能は、ソフトウェアにおいて、ハードウェアにおいて、またはそれらの組み合わせにおいて実現され得る。
【0159】
したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲は、本明細書に記載の説明に限定されるものではなく、特許請求の範囲は、本発明が属する当業者によってその同等物として扱われるすべての特徴を含む、本発明において中心的な位置を占める提供可能な新規性のすべての特徴を含むように解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0160】
10 誘導電力伝送システム
12 送電ユニット
14 一次側DC/ACコンバータ
16 一次側コントローラ
18 一次側補償キャパシタ
20 送電コイル
22 受電ユニット
24 受電コイル
26 二次側補償キャパシタ
28 二次側AC/DCコンバータ、二次側コンバータ
30 負荷
32 二次側コントローラ
34 誘導電力伝送システム
36 ワイヤレス送信リンク
38 短絡保護スイッチ
40 検出装置
42 インターフェース
44 プロセッサ
46 メモリ
48 検出モジュール
50 分析モジュール
52 閾値モジュール
54 電気的変数
56 サンプル値
58 第1の閾値
60 第2の閾値
62 第1のモデルスイッチ
64 第2のモデルスイッチ
66 第3のモデルスイッチ
68 キャパシタ、第4のモデルスイッチ
70 コントローラ装置
72 インターフェース
74 プロセッサ
76 メモリ
78 検出モジュール
80 制御モジュール
100 誘導電力伝送システム
102 DC/ACコンバータ
104 送電側コントローラ
106 送電側補償キャパシタ
108 送電コイル
110 受電コイル
112 受電側補償キャパシタ
114 AC/DCコンバータ
116 受電側コントローラ
118 短絡保護スイッチ
120 負荷
122 ワイヤレス通信リンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15(a)】
図15(b)】
図16(a)】
図16(b)】
図17(a)】
図17(b)】
図18
図19
図20