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特許7010844外科用ステープラー/カッター及び拡張バットレス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】外科用ステープラー/カッター及び拡張バットレス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018558231
(86)(22)【出願日】2017-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 US2017030383
(87)【国際公開番号】W WO2017192438
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-04-13
(31)【優先権主張番号】15/147,942
(32)【優先日】2016-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 151, U.S. Route 22, Somerville, NJ 08876, United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ネイティブ・ニール・アイ
(72)【発明者】
【氏名】ダーナラジ・スリデビ
(72)【発明者】
【氏名】クリクスノフ・レオ・ビー
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02764827(EP,A2)
【文献】特開2014-094286(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0125792(US,A1)
【文献】特開2014-018666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの組織片をステープル留めし、かつ切除するための外科用ステープラーであって、
本体と、シャフト組立体と、エンドエフェクタと、を備え、前記エンドエフェクタは、ステープルカートリッジを受容するように構成されている下側顎部と、前記下側顎部に向かって、かつそこから離れるように枢動可能なアンビルと、並進可能なナイフ部材と、を備え、
前記カートリッジが前記下側顎部に設置されており、前記カートリッジは、前記ナイフ部材が中を並進可能な組織切除チャネルによって分離されたステープルポケットの配列に複数の配備可能なステープルを収容し、
前記アンビルは、前記配備可能なステープルと整列された複数のステープル成形ポケットを前記アンビルの組織対向面上に有し、
外科用バットレスが、前記カートリッジの組織対向面上又は前記アンビルの組織対向面上に、少なくとも部分的に配置され、
前記バットレスは、前記バットレスが配置される前記組織対向面の幅より大きい幅を有し、
前記バットレスは、第1の部分と、少なくとも1つのフラップ部分と、を含み、
前記バットレスは、前記カートリッジの組織対向面上に部分的に配置された場合には、前記第1の部分は前記ステープルポケット上に位置付けられるとともに、前記少なくとも1つのフラップ部分は前記ステープルポケット上に位置付けられておらず、
前記バットレスは、前記アンビルの組織対向面上に部分的に配置された場合には、前記第1の部分は前記ステープル成形ポケット上に位置付けられるとともに、前記少なくとも1つのフラップ部分は前記ステープル成形ポケット上に位置付けられておらず、
前記フラップ部分は前記バットレスの中央に位置し、折り畳まれて収納されており、折り畳まれた状態から展開し切除された組織に巻き付けることができる幅を有している、外科用ステープラー。
【請求項2】
前記バットレスが、2つのフラップ部分を含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項3】
前記バットレスが矩形である、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項4】
前記フラップ部分が孔部を有する、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項5】
前記バットレスが、少なくとも部分的に生体再吸収性又は少なくとも部分的に可溶性である、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項6】
前記バットレスが、放出可能な医学的に有用な薬剤を含む、請求項2に記載の外科用ステープラー。
【請求項7】
前記フラップ部分が、前記カートリッジの組織対向面又は前記アンビルの組織対向面に形成されている溝内に収納されている、請求項に記載の外科用ステープラー。
【請求項8】
前記バットレスが、少なくとも2つの層を含む、請求項に記載の外科用ステープラー。
【請求項9】
前記第1の部分が2つの層を含み、前記フラップ部分が1つの層を含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項10】
前記第1の部分の厚さに比べて、前記フラップ部分がより低い厚さを有する、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項11】
前記フラップ部分が前記切除された組織上に固着する取り付け手段を含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項12】
前記取り付け手段が、接着剤の層又は少なくとも1つのかかり付きピンを含む、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項13】
前記溝が、前記カートリッジ又は前記アンビル周縁で、かつ前記組織切除チャネルの遠位に位置付けられている、請求項に記載の外科用ステープラー。
【請求項14】
記第1の部分が、前記フラップ部分を囲む2つのパーツを含み、前記フラップ部分それぞれが、前記切除された組織の厚さより大きい、請求項に記載の外科用ステープラー。
【請求項15】
前記溝が、前記組織切除チャネルの近位で、かつ前記組織切除チャネルと、配備可能なステープルの列又はステープル成形ポケットの列との間に位置付けられている、請求項に記載の外科用ステープラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用ステープルにより修復又は接合された組織の特性を高める外科用器具及び方法に関し、より詳細には、標的手術部位にて修復又は隣接された組織の特性を高めるためにバットレス材料を適用するように設計された外科用器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長年を通して、医療分野では、生体組織を接合又は結合しようと様々な技術を利用されている。従来、縫合は、切断された組織を再接合して怪我を閉鎖する、容認された技術であった。縫合は外科用針及び縫合糸を用いて達成され、縫合の所期の機能は、治癒過程中に創傷又は組織の縁部を互いに接して保持することである。ステープルは、例えば、腸など様々な人体構造を接合又は吻合するときに縫合に取り替わって使用されている。ステープルを適用するために採用される外科ステープル留め装置は、一般的に、患者の伸長した組織の分節を同時に切断及び封着するように設計される。
【0003】
線形又は環状の外科ステープル留め装置は、生体組織の分節を共に接合するために、及び/又は、吻合部を作成するために、1つ又は複数の列の外科用締結具、例えば、ステープルを生体組織に順次又は同時に適用するために外科医により採用されている。直線的な外科ステープル留め装置は、一般的に、接合されるべき生体組織が設置される一対の顎部つまり指状構造体を含む。外科ステープル留め装置が作動されると、発射バーが長手方向に移動して顎部の一方のステープル駆動部材と接触し、外科用ステープルが生体組織を通って押され、反対側の顎部のアンビルに入りかつそのアンビルに当接し、その結果、ステープルが閉鎖状態で圧着される。ナイフ刃は、ステープルの列/線間に切り込みが入るように提供され得る。
【0004】
開放手術及び内視鏡手術で使用するための多数の外科用ステープラーが知られている。かかるステープラーのいくつかは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。あくまで例示の外科用ステープラーが以下に開示されている。すなわち、1989年2月21日に発行された「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題する米国特許第4,805,823号、1995年5月16日に発行された「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第5,415,334号、1995年11月14日に発行された「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,465,895号、1997年1月28日に発行された「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,597,107号、1997年5月27日に発行された「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,632,432号、1997年10月7日に発行された「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,673,840号、1998年1月6日に発行された「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,704,534号、1998年9月29日に発行された「Surgical Clamping Mechanism」と題する米国特許第5,814,055号、2005年12月27日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第6,978,921号、2006年2月21日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する米国特許第7,000,818号、2006年12月5日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する米国特許第7,143,923号、2007年12月4日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi-Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する米国特許第7,303,108号、2008年5月6日に発行された「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する米国特許第7,367,485号、2008年6月3日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号、2008年6月3日に発行された「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第7,380,696号、2008年7月29日に発行された「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日に発行された「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日に発行された「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する米国特許第7,721,930号、2013年4月2日に発行された「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」と題する米国特許第8,408,439号、及び2013年6月4日に発行された「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」と題する米国特許第8,453,914号である。上に引用した米国特許のそれぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
上述した外科用ステープラーの多くは、内視鏡手術において使用されるものとして記載されているが、このような外科用ステープラーは、開放手術及び/又は他の非内視鏡手術でも使用することができることを理解されたい。ほんの一例として、トロカールをステープラーの導管として使用しない胸部外科手術では、外科用ステープラーを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることもできる。かかる手術では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラーが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除するのに先立ってステープラーによって切断して閉鎖することができる。外科用ステープラーは、他の様々な状況及び手術で使用することができる。特に開胸術に適し得る、又は開胸術に使用され得る外科用ステープラーの例は、「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号に開示され、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
組織に配置される及び組織にステープル留めされる多数のバットレス及び組織の厚さの補償板は、当該技術分野において既知である。以下が参照される。すなわち、米国特許第8,657,176号Tissue thickness compensator for a surgical stapler、米国特許第8,746,535号Tissue thickness compensator comprising detachable portions、米国特許第8,864,009号Tissue thickness compensator for a surgical stapler comprising an adjustable anvil、米国特許第9,113,865号Staple cartidge comprising a layer、米国特許第9,168,038号Staple cartrige comprising a tissue thickness compensator、米国特許第9,198,662号Tissue thickness compensator having improved visibility、米国特許第9,220,501号Tissue thickness compensators、米国特許第9,241,714号Tissue thickness compensator and method for making the same、米国特許第8,308,042号Structure for attachment of buttress material to anvils and cartridges of surgical stapler、米国特許第9,113,873号Detachable buttress material retention systems for use with a surgical stapling deviceである。
【0007】
米国特許公開第2014/0239047号ADHERENCE CONCEPTS FOR NON-WOVEN ABSORBABLE FELT BUTTRESSESは、外科用ステープル留め装置であって、ハウジングと、ハウジングによって支持されたハンドルと、ハウジングから遠位に延在する細長い本体と、細長い本体の遠位端にある工具組立体であって、組織対向面を有するステープルカートリッジと、複数のステープル保持ポケットと、その組織対向面に形成されているナイフスロットと、を含むカートリッジ組立体と、ステープル保持ポケット内に1つずつ装填される複数の外科用締結具と、カートリッジ組立体に対して並置されたアンビル組立体であって、複数のステープル成形ポケットと、その中にナイフスロットと、を画定する組織対向面を有するアンビルプレートを含むアンビル組立体と、を含み、カートリッジ組立体又はアンビル組立体のうちの少なくとも1つは、カートリッジ組立体及びアンビル組立体のうちの他方に対して移動可能である、工具組立体と、カートリッジ組立体又はアンビル組立体のうちの少なくとも1つの組織対向面に取り付けられた外科用バットレスであって、外科用バットレスは、外科用バットレスが取り付けられている、カートリッジ組立体のステープル保持ポケット及びナイフスロット又はアンビル組立体のステープル成形ポケット及びナイフスロットの中へ局所的に変形され、それによって外科用バットレスと組織対向面との間の接触領域を増やす、外科用バットレス、とを備える、外科用ステープル留め装置を開示する。
【0008】
米国特許公開第2013/0062391号SURGICAL INSTRUMENT WITH FLUID FILLABLE BUTTRESSは、装置であって、
(a)遠位端及び近位端を含む外科用カッターであって、近位端がハンドルを備え、遠位端がアンビル及び下側顎部を備え、アンビル及び下側顎部が組織をクランプするように構成され、外科用カッターがアンビル及び下側顎部によってクランプされた組織を切断するように構成されている、外科用カッターと、
(b)液体で充填されたバットレスであって、バットレスが、アンビルと下側顎部との間に定置されるように構成され、バットレスは圧縮性部分及び圧力部分を備え、圧縮性部分がアンビル及び下側顎部が圧縮性部分をクランプすることによって外科用カッターの遠位端によって圧迫されるように構成され、圧力部分が、圧縮部分に対するクランプに反応して液体で加圧されるように構成され、バットレスが、外科用カッターが組織を切断するのとほぼ同時に、外科用カッターによって切断されてステープル留めされるように構成され、圧力部分が、一旦バットレスが切断されると、圧縮性部分を通じて液体を押し出すように構成されている、バットレスと、を備える、装置を開示する。
【0009】
米国特許第6,325,810号FOAM BUTTRESS FOR STAPLING APPARATUSは、開口部を備える上面を有する2つの離間したラインに提供される、複数の外科用ステープルを収容したステープルカートリッジを含む、組織の止血用又は肺炎防止用装置であって、この開口部を介してステープルを排出することができ、上面には、適合した生体吸収性の連続気泡発泡体が解除自在に取り付けられており、連続気泡発泡体は、カートリッジの上面に接触する、実質的に封着されている少なくとも1つの表面を有する、装置を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ステープル留めされた組織の封着部、特に切除されてステープル留めされた組織の縁部の術後の漏れ及び治癒の遅延は、罹患率及び死亡率につながり得る。既存のステープラーでは、バットレスにあらかじめ装填されている場合でも、切除された組織の縁部は露出したままとなり、その結果、血液及び/又は体液の漏れ、感染、並びに癒着が生じる。ステープルによって接合された組織の生存性を改善することによって、切除されてステープル留めされた組織の治癒を改善する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、外科用ステープルにより修復又は接合された組織の特性を高める外科用器具及び方法に関し、より詳細には、標的手術部位にて修復又は隣接された組織の特性を高めるために治療材料を適用するように設計された外科用器具及び方法に関する。
【0012】
本発明は、一実施形態では、組織を接合及び切除するための外科用ステープラーであって、本体、シャフト組立体、及びエンドエフェクタを備え、エンドエフェクタは、ステープルカートリッジを受容するように構成された下側顎部と、下側顎部に向かって及びそこから離れるように枢動可能なアンビルと、並進可能なナイフ部材と、を備え、使い捨てのカートリッジが下側顎部に設置され、カートリッジは、ナイフ部材が中を並進可能な組織切除チャネルによって分離された配列に複数の配備可能なステープルを収容し、アンビルは、配備可能なステープルと整列された複数のステープル成形ポケットを有し、外科用バットレスが、カートリッジ又はアンビルのうちの少なくとも1つの組織対向面に少なくとも部分的に配置され、バットレスは、組織対向面の幅より実質的に大きい幅を有し、バットレスは、配備可能なステープル上又はステープル成形ポケット上に位置付けられた第1の部分と、配備可能なステープル上又はステープル成形ポケット上に位置付けられていない少なくとも1つのフラップ部分と、を含み、フラップ部分は、折り畳まれるか又はそれ自体の上で巻かれ、展開して切除された組織に巻き付けることができるように構成さている、外科用ステープラーに関する。
【0013】
本発明は、別の実施形態では、外科用ステープラーを使用して組織を接合する方法であって、ステープルカートリッジを下側顎部に挿入する工程と、アンビルとステープルカートリッジとの間の組織を捕捉する工程と、近位位置から遠位位置へナイフ部材を遠位に並進させる工程と、捕捉した組織を切断して切除された組織の縁部を形成することと、ステープルカートリッジの複数のステープルを駆動して捕捉した組織に通すことと、を実質的に同時に行う工程と、バットレスの第1の部分をステープルによって第1の組織表面に取り付けることと、フラップ部分をステープルによって組織に取り付けずに、バットレスを2等分することと、を実質的に同時に行う工程と、バットレスを第1の組織表面に取り付けたまま、組織との接触から外科用ステープラーを外す工程と、フラップ部分の少なくとも1つを展開し、少なくとも1つのフラップ部分を切除された組織の縁部に巻き付け、任意追加的に、少なくとも1つのフラップ部分を、第1の組織表面の反対側にある第2の組織表面に接触させる工程と、を含む、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書に組み込まれると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】例示的な関節運動外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
図2図1の器具の側面図を示す。
図3】エンドエフェクタが閉鎖構成にある、図1の器具のエンドエフェクタの斜視図を示す。
図4】エンドエフェクタが開放構成にある、図3のエンドエフェクタの斜視図を示す。
図5図3のエンドエフェクタの分解斜視図を示す。
図6図4の線6-6に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの端面断面図を示す。
図7図3のエンドエフェクタに組み込んでもよい例示的なカートリッジの斜視図を示す。
図8】代替の例示的な外科用ステープル留め器具の分解斜視図を示す。
図9】カートリッジの組織対向面の上に定置した平坦な展開構成のバットレスを備えた、例示的なカートリッジの斜視図を示す。
図10】アンビルの組織対向面の上に定置した平坦な展開構成のバットレスを備えた、例示的なアンビルの斜視図を示す。
図11】カートリッジの組織対向面の上に定置した平坦な展開構成のバットレスを備えた、例示的なカートリッジの概略平面図を示す。
図12】フラップが折り畳まれるか又は巻かれている、組織対向面上に配置されたバットレスを備えた、カートリッジの略示断面図を示す。
図13】フラップが折り畳まれるか又は巻かれている、組織対向面上に配置されたバットレスを備えた、カートリッジの略示断面図を示す。
図14】フラップが折り畳まれるか又は巻かれている、組織対向面上に配置されたバットレスを備えた、カートリッジの略示断面図を示す。
図15】フラップが折り畳まれるか又は巻かれている、組織対向面上に配置されたバットレスを備えた、カートリッジの略示断面図を示す。
図16】フラップが折り畳まれるか又は巻かれている、組織対向面上に配置されたバットレスを備えた、カートリッジの略示断面図を示す。
図17】フラップが折り畳まれるか又は巻かれている、組織対向面上に配置されたバットレスを備えた、カートリッジの略示断面図を示す。
図18】バットレスフラップを収納するための組織対向面内の溝を有する、例示的なカートリッジの概略平面図を示す。
図19】フラップが溝に収納されている組織対向面上に配置されたバットレスを備えた、カートリッジの略示断面図を示す。
図20】フラップが折り畳まれている、カートリッジに設置されたバットレスを模式的に示した、エンドエフェクタ内の例示的なカートリッジの断面図を示す。
図21】フラップが折り畳まれている、カートリッジに設置されたバットレスを模式的に示した、エンドエフェクタ内の例示的なカートリッジの断面図を示す。
図22】フラップが折り畳まれている、カートリッジに設置されたバットレスを模式的に示した、エンドエフェクタ内の例示的なカートリッジの断面図を示す。
図23】ステープル留め及び切除の前に、エンドエフェクタに設置されたアンビルとカートリッジとの間に位置付けられた組織の略示断面図を示す。
図24】切除及びステープル留めの後の図23の図を示す。
図25】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及びバットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図26A】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及びバットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図26B】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及びバットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図27】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及びバットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図28】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及びバットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図29A】カートリッジ上の単一層及び多層バットレスの実施形態の概略平面図を示す。
図29B】カートリッジ上の単一層及び多層バットレスの実施形態の概略平面図を示す。
図29C】カートリッジ上の単一層及び多層バットレスの実施形態の概略平面図を示す。
図29D】カートリッジ上の単一層及び多層バットレスの実施形態の概略平面図を示す。
図29E】カートリッジ上の単一層及び多層バットレスの実施形態の概略平面図を示す。
図29F】カートリッジ上の単一層及び多層バットレスの実施形態の概略平面図を示す。
図30A】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及び2層バットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図30B】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及び2層バットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図30C】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及び2層バットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図30D】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及び2層バットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図30E】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の組織及び2層バットレスの概略断面図であり、フラップを展開し、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図31】フラップが折り畳まれている、組織対向面上に配置された2層バットレスを備えたカートリッジの略示断面図を示す。
図32】フラップが折り畳まれている、組織対向面上に配置された2層バットレスを備えたカートリッジの略示断面図を示す。
図33】アンビルに位置付けられたバットレスのいくつかの構成を示す。
図34】アンビルに位置付けられたバットレスのいくつかの構成を示す。
図35】アンビルに位置付けられたバットレスのいくつかの構成を示す。
図36A】周縁フラップを備えたバットレス及び中央フラップを備えたバットレスの概略平面図であり、フラップを平坦な平面図と、更に折り畳まれた図と、で示す。
図36B】周縁フラップを備えたバットレス及び中央フラップを備えたバットレスの概略平面図であり、フラップを平坦な平面図と、更に折り畳まれた図と、で示す。
図36C】周縁フラップを備えたバットレス及び中央フラップを備えたバットレスの概略平面図であり、フラップを平坦な平面図と、更に折り畳まれた図と、で示す。
図36D】周縁フラップを備えたバットレス及び中央フラップを備えたバットレスの概略平面図であり、フラップを平坦な平面図と、更に折り畳まれた図と、で示す。
図37】中央フラップを有するバットレスを備えたカートリッジの概略断面図を示す。
図38】中央フラップを有するバットレスを備えたカートリッジの概略断面図を示す。
図39】中央フラップを有するバットレスを備えたカートリッジの概略断面図を示す。
図40】中央フラップを有するバットレスを備えたアンビルの概略断面図を示す。
図41】中央フラップを有するバットレスを備えたアンビルの概略断面図を示す。
図42】エンドエフェクタに設置された、切除及びステープル留め後の、中央フラップを有するバットレスを備えた、アンビルとカートリッジとの間に位置付けられた組織の略示断面図を示す。
図43A】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の、組織及び中央フラップを有するバットレスの概略断面図であり、フラップを展開して、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図43B】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の、組織及び中央フラップを有するバットレスの概略断面図であり、フラップを展開して、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図43C】外科用ステープラーのステープル留め及び除去後の、組織及び中央フラップを有するバットレスの概略断面図であり、フラップを展開して、切除された表面及び反対側の組織表面に巻き付けている状態を示す。
図44A】フラップが折り畳まれている、組織対向面上に配置された2層バットレスを備えた、カートリッジの省略断面図を示す。
図44B】フラップが折り畳まれている、組織対向面上に配置された2層バットレスを備えた、カートリッジの省略断面図を示す。
図44C】フラップが折り畳まれている、組織対向面上に配置された2層バットレスを備えた、カートリッジの省略断面図を示す。
図45A】周縁フラップを備えたバットレス及び中央フラップを備えたバットレスの概略平面図であり、孔部又は開口部を有するフラップを、平坦な平面図で示す。
図45B】周縁フラップを備えたバットレス及び中央フラップを備えたバットレスの概略平面図であり、孔部又は開口部を有するフラップを、平坦な平面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明には、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なる、かつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0016】
手術は、多くの場合、ステープル線に沿って組織の部分を任意選択で同時に切断しながら、2つ以上の組織層を共に接合することを伴う。外科用線形ステープル留め器具などの典型的な外科ステープル留め装置は、ステープル収容構成要素、及び対向するアンビル構成要素を有し、その間で、接合される少なくとも2つの組織層が、ステープル収容構成要素からステープルが送り出される前に圧縮され、それによって、ステープルが両方の組織層を穿孔し、対向するアンビル構成要素に接して曲げられ、変形され、又は閉じられる。線形外科用ステープラーでは、使い捨て式のステープル留めカートリッジがステープル収容構成要素であり、カートリッジは、カートリッジを保持するように適合された下側顎部などの装置の顎部に典型的に設置され、対向する、つまり上側顎部がアンビル構成要素である。カートリッジは、隣接する平行な列のステープルの間に配置され、ステープルの列の全長を実質的に延在するスロットを有する。ステープラーは、ステープルの発射手段、及びスロットに沿って可動である切断手段を含む。
【0017】
図1図6をここで参照すると、外科用ステープル留め器具又はステープラーが示されており、これらの図は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許公開第2015/0374373A1「METHOD OF USING LOCKOUT FEATURES FOR SURGICAL STAPLER CARTRIDGE」から引用されたものである。
【0018】
図1は、ハンドル組立体(20)と、シャフト組立体(30)と、エンドエフェクタ(40)と、を備える例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示す。エンドエフェクタ(40)及びシャフト組立体(30)の遠位部分は、外科的処置を行うために、図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている。ほんの一例として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又はその他の部位に、かかるトロカールを挿入してもよい。一部の状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、エンドエフェクタ(40)及びシャフト組立体の遠位部分(30)を、開胸術又は他の種類の切開によって直接挿入することができる。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル組立体(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(40)は、より近位にあるハンドル組立体(20)に対して遠位にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、外科器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0019】
図1~2に示すように、本例のハンドル組立体(20)は、ピストルグリップ(22)、閉鎖トリガー(24)、及び発射トリガー(26)を含む。それぞれのトリガー(24、26)は、ピストル把持部(22)に向かって、かつそれから離れるように選択的に枢動可能である。ハンドル組立体(20)は、アンビル解放ボタン(25)と、発射ビーム反転スイッチ(27)と、取り外し可能な電池パック(28)と、を更に備えている。ハンドル組立体(20)は、上記したもののいずれかに加えて又はその代わりに様々な他の構成要素、特徴、及び動作性を有することができる。
【0020】
図1図3に示すように、本例のシャフト組立体(30)は、外側閉鎖管(32)、関節運動区分(34)、及び閉鎖用リング(36)を備え、それは、更にエンドエフェクタ(40)に連結する。閉鎖チューブ(32)はシャフト組立体(30)の長さに沿って延在する。閉鎖リング(36)は、関節運動部(34)の遠位に位置付けられている。閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)は、ハンドル組立体(20)に対して長手方向に並進するように構成されている。閉鎖チューブ(32)の長手方向並進運動は、関節運動部(34)を介して閉鎖リング(36)に伝達される。
【0021】
関節運動部(34)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)から所望の角度(a)で横方向へ離れるように、閉鎖リング(36)とエンドエフェクタ(40)を横方向に偏向させるよう動作可能である。エンドエフェクタ(40)は、そのようにして、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達するか又は組織に近付くことができる。一部の形態においては、関節運動区分(34)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(40)を偏向させることができる。その他の一部の形態では、関節運動区分(34)により、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを偏向させることができる。本例では、関節運動は、シャフト組立体(30)の近位端に位置する関節運動制御ノブ(35)によって制御される。ノブ(35)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)に対して垂直な軸線を中心として回転可能である。閉鎖用リング(36)及びエンドエフェクタ(40)は、ノブ(35)の回転に反応してシャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)に垂直な軸の周りを枢動する。ほんの一例として、ノブ(35)が時計回りに回転すると、関節運動区分(34)において閉鎖用リング(36)及びエンドエフェクタ(40)が対応して時計回りに枢動する。関節運動部(34)は、関節運動部(34)が真っ直ぐな構成であるか、又は関節運動構成であるかにかかわらず、閉鎖管(32)が閉鎖用リング(36)まで長手方向に並進するのを伝達するように構成されている。
【0022】
図1~2に示すように、本例のシャフト組立体(30)は更に、回転ノブ(31)を含む。回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して、全シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)を回転するように動作可能である。一部の形態では、回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)の角度位置を選択的に係止するように動作可能である。例えば、回転ノブ(31)は、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)がシャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りをハンドル組立体(20)に対して回転可能である第1の長手方向位置と、シャフト組立体(30)及びエンドエフェクタ(40)がシャフト組立体(30)の長手方向軸線(LA)の周りを、ハンドル組立体(20)に対して回転できない第2の長手方向位置との間で並進可能である。当然のことながら、シャフト組立体(30)は、上記のもののいずれかに加えて又はその代わりに、種々のその他の構成要素、特徴、及び動作性を有してよい。
【0023】
図1~3にも示されているように、本例のエンドエフェクタ(40)は、下側ジョー(50)及び枢動可能なアンビル(60)を含む。アンビル(60)は、下側ジョー(50)の対応する湾曲スロット(54)に配置されている一対の一体的な、外側に延在するピン(66)を含む。ピン(66)及びスロット(54)を図5に示す。アンビル(60)は、開放位置(図2及び図4に示す)と閉鎖位置(図1図3に示す)との間で、下側顎部(50)に向かって、かつそれから離れるように、枢動可能である。図5に示されるように、本例の下側顎部(50)は、ステープルカートリッジ(70)を受容するように構成されたチャネル(52)を画定する。ステープルカートリッジ(70)はチャネル(52)に挿入することができ、エンドエフェクタ(40)を作動し、その後、ステープルカートリッジ(70)を取り外し、別のステープルカートリッジ(70)と交換することができる。したがって、下側ジョー(50)は、エンドエフェクタ(40)を作動するためのアンビル(60)と位置合わせされてステープルカートリッジ(70)を解放可能に保持する。
【0024】
図4図7に示されるように、本例のステープルカートリッジ(70)はカートリッジ本体(71)と、カートリッジ本体(71)の下面に固定されたトレー(76)を備える。カートリッジ本体(71)の上面は、アンビル(60)が閉鎖位置にあるとき、組織を圧縮できるデッキ(73)を提示する。カートリッジ本体(71)は、長手方向に延在するチャネル(72)及び複数のステープルポケット(74)を更に画定する。ステープル(77)は、それぞれのステープルポケット(74)内に位置付けられる。またステープルドライバ(75)は、それぞれのステープルポケット(74)内で、対応するステープル(77)の下に、かつトレー(76)の上に位置付けられる。ステープルドライバ(75)は、ステープルポケット(74)内で上方に並進運動するよう動作可能であり、それによってステープル(77)を、ステープルポケット(74)を通って上方に駆動し、アンビル(60)と係合させる。ステープルドライバ(75)は、楔形スレッド(78)により上向きに駆動され、この楔形スレッドはカートリッジ本体(71)とトレー(76)との間に捕捉されており、これがカートリッジ本体(71)を通って長手方向に並進運動する。楔形スレッド(78)は、一対の傾斜した角度のカム表面(79)を含み、それらは、ステープルドライバ(75)と係合し、それによって、楔形スレッド(78)がカートリッジ(70)を通って長手方向に並進するにつれてステープルドライバ(75)を上方に駆動するように構成されている。
【0025】
ステープルカートリッジ(70)を多様な方法で変更できることを理解されたい。例えば、本例のステープルカートリッジ(70)は、チャネル(72)の一方の側に、長手方向に延在する2列のステープルポケット(74)を含み、チャネル(72)の他方の側に別の組の長手方向に延在する2列のステープルポケット(74)を含む。しかし、他の一部の形態では、ステープルカートリッジ(70)は、チャネル(72)の両側において3つ、1つ、又は他の数のステープルポケット(74)を含む。
【0026】
図4に示されるように、本例のアンビル(60)は、長手方向に延在するチャネル(62)と、複数のステープル成形ポケット(64)と、を備える。チャネル(62)は、アンビル(60)が閉鎖位置にあるとき、ステープルカートリッジ(70)のチャネル(72)と整列するように構成されている。ステープル成形ポケット(64)はそれぞれ、アンビル(60)が閉鎖位置にあるとき、ステープルカートリッジ(70)の対応するステープルポケット(74)の上に置かれるように位置付けられている。ステープル成形ポケット(64)は、ステープル(77)が組織を通してアンビル(60)の中に駆動されるとき、ステープル(77)の脚部を変形させるように構成されている。特に、ステープル成形ポケット(64)は、成形されたステープル(77)を組織内で固定するためにステープル(77)の脚部を曲げるように構成されている。
【0027】
本例では、ナイフ部材(80)は、エンドエフェクタ(40)を通って並進するように構成されている。図5に示されるように、ナイフ部材(80)は、発射ビーム(82)の遠位端に固定されている。図4及び図6に示されるように、ナイフ部材(80)は、アンビル(60)及びステープルカートリッジ(70)のチャネル(62、72)内に位置付けられている。ナイフ部材(80)は、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位に並進するにつれて、アンビル(60)とステープルカートリッジ(70)のデッキ(73)との間で圧縮されている組織を切断するように構成されている遠位に提示される切断縁部(84)を備える。
【0028】
一部の形態では、エンドエフェクタ(40)は、ステープルカートリッジ(70)が下側ジョー(50)に挿入されていないときに、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位側に前進するのを防止するように構成されているロックアウト機構を含む。追加的にあるいは代替的に、エンドエフェクタ(40)は、1回作動された後のステープルカートリッジ(70)(例えば、全てのステープル(77)がそこから展開された)が下側ジョー(50)に挿入されているときに、ナイフ部材(80)がエンドエフェクタ(40)を通して遠位側に前進するのを防止するように構成されているロックアウト機構を含み得る。あるいは、エンドエフェクタ(40)は単に、そのようなロックアウト機構を省略してもよい。
【0029】
本例において、アンビル(60)は、閉鎖用リング(36)をエンドエフェクタ(40)に対して遠位側に前進させることによって、下側ジョー(50)に向かって駆動される。閉鎖用リング(36)は、カム作用を介してアンビル(60)と協働し、エンドエフェクタ(40)に対する閉鎖用リング(36)の遠位への並進に反応してアンビル(60)を下側ジョー(50)に向かって駆動する。同様に、閉鎖用リング(36)は、アンビル(60)と協働し、エンドエフェクタ(40)に対する閉鎖用リング(36)の近位側への並進に反応してアンビル(60)を下側ジョー(50)から離れて開放することができる。
【0030】
上記したように、ハンドル組立体(20)は、ピストル把持部(22)と、閉鎖トリガー(24)とを含む。また、上記したように、アンビル(60)は、閉鎖用リング(36)の遠位前進に反応して下側ジョー(50)に向かって閉鎖される。本例において、閉鎖トリガー(24)は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)を遠位側に駆動させるように、ピストル把持部(22)に向かって枢動可能である。本明細書の教示を考慮することで、ピストル把持部(22)に向かう閉鎖トリガー(24)の枢軸運動を、ハンドル組立体(20)に対する閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(36)の遠位への並進に変換するのに使用され得る様々な好適な構成要素が、当業者には明らかであろう。閉鎖トリガー(24)は、アンビル(60)が、下側ジョー(50)に対して完全な閉鎖位置になるような完全な枢動状態に達するとき、ハンドル組立体(20)のロック機構は、トリガー(24)及び閉鎖管(32)の位置を係止し、それによってアンビル(60)を下側ジョー(50)に対して完全な閉鎖位置に係止する。これらの係止機構は、アンビル解放ボタン(25)の作動によって解放される。アンビル解放ボタン(25)は、ピストル把持部(22)をつかむオペレータの手の親指で作動されるように構成され、位置付けられている。言い換えると、オペレータは、ピストル把持部(22)を片手でつかみ、閉鎖トリガー(24)を同じ手の1本又は2本以上の指で作動し、その後、同じ手によるピストル把持部(22)のつかみを解放する必要なく、アンビル解放ボタン(25)を同じ手の親指で作動することができる。他の好適な特徴を使用して、アンビル(60)を作動することもできる。
【0031】
図8をここで参照すると、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,275,323号「Surgical stapler」から得た図と共に、代替の例示的な外科用ステープル留め器具又は線形ステープラー装置が示されている。図8に見られるように、外科用ステープラー11は、上片300、発射手段400、下片500、及びステープルカートリッジ600を備える。
【0032】
ステープルカートリッジ600は、下片500内に嵌合する。具体的には、ステープルカートリッジ600の前部は、下側顎部溝540に嵌合する。より具体的には、ステープルカートリッジ600の平行な側壁610は、下側顎部溝540内に嵌合する。ステープルカートリッジ600の後部は、破壊可能な横方向部材660を有する。この破壊可能な横方向部材660は、発射手段400のカートリッジロック手段470の上に定置される。同時に、後方に延在する表面620内の2つの脚部650は、ステープルカートリッジ600を下片500に固定する。
【0033】
図8では、上片300は、後方上ハンドル部310及び前方上側顎部又はアンビル320を有する。同様に、下片500は、後方可動下ハンドル部510及び前方下側顎部530を含む。図8に例示される外科用ステープラーの実施形態は、発射手段400、板ばね570、及びステープルカートリッジ600を下片500に組み込む。しかしながら、これらの要素は、下片500の代わりに上片300に配置されてもよい。
【0034】
図8に例示される下ハンドル部510は可動であり、より具体的には、2つのロック位置の間で枢動可能である。第1のロック位置において、可動下ハンドル部510は、斜角で下側顎部530に位置付けられる。第1のロック位置にある間、下ハンドル510のC字型部材520は、静止ロックピン330から係合解除される。上片300及び下片500はそれぞれ、ステープラー11の操作の前又は後に第1のロック位置において分離されてもよい。その一方で、第2のロック位置において、可動下ハンドル510のC字型部材520は、上片300及び下片500を共にロックする。第2のロック位置において、可動下ハンドル部510は下側顎部520と平行である。この第2のロック位置は、静止ロックピン330をC字型部材520と係合することにより起こる。この可動ハンドル部の設計は、上ハンドル部310及び下ハンドル部510それぞれの上にあってもよい。
【0035】
発射ノブ590は発射手段400を作動させる。また、発射手段400は、ルーフ組立体700も含み、同様に、ナイフ刃組立体440のような切断手段も有する。切断面450は、ナイフ刃組立体440に含まれている。ナイフ刃組立体が図8に例示されているが、組織は、ナイフ刃又はカミソリ刃の切断以外の多くの方法で切断されてもよい。
【0036】
ナイフ刃組立体440がスロット640と整列しているとき、発射ノブ590は、ステープルカートリッジ600に向かって手動で押される。発射ノブ590を押すことで、ナイフ刃組立体440がステープルカートリッジ600に向かって前方へ動かされる。次に、ナイフ切断面450がステープルカートリッジ600のスロット640を通って動かされ、ステープルをステープルカートリッジ600から長手方向スロット630を通って同時に前進させる。ステープルカートリッジ600のいくつかの実施形態では、ナイフ刃組立体は、ステープルカートリッジ600に組み込まれる。
【0037】
外科用ステープラー10、11の他のバージョン及び修正は当業者に既知であり、全て、ステープル77(ステープルは図8に示されていない)を収容する複数のステープルポケット74又は長手方向スロット630を有するステープルカートリッジ70又は600を含み、ステープルポケット74又は長手方向スロット630は典型的に、長手方向に延在するチャネル72又はスロット640の両側で1つ又はいくつかの列に配置される。典型的には、ステープルポケット74又は長手方向スロット630の少なくとも2つ及びしばしば少なくとも3つの列が、長手方向に延在するチャネル72又はスロット640のそれぞれの側に存在し、それぞれの列のステープルポケット74又は長手方向スロット630は、ステープル留め線に沿って封着を向上させ、漏れを防ぐために、隣接する列のポケット又はスロットに対して典型的には互い違い又はオフセットに配置される。
【0038】
以下の説明では、図1図7に関連付けられた記述子及び参照番号が、図8に示されるような代替構造も使用され得るという理解の下で、一貫性を保つために使用される。このように、ステープルカートリッジを参照するとき、図1図7の参照番号70は、本開示が図8のステープルカートリッジ600にも適用可能であるという理解の下で使用される。
【0039】
図9及び図10をここで参照すると、本発明により、織物、布、編物、フェルト、不織布、発泡体、メッシュなど、吸収性又は非吸収性の実質的に平坦な可撓性材料を含む、バットレス100又は100aが提供されており、バットレス100又は100aは、ステープル留めの前に、カートリッジ70の組織対向面170上又はアンビル60の組織対向面160上に少なくとも部分的に配置される。バットレス100又は100aは、明確にするために半透明で示されているが、不透明にすることもできる。いくつかの実施形態では、バットレス100又は100aは、カートリッジ70の組織対向面170又はアンビル60の組織対向面160の幅より実質的に広く、バットレス100又は100aの余剰幅は、周縁フラップ110又は110aを備える。バットレス100又は100aは、ステープルポケット74を少なくとも部分的に覆い、好ましくはステープルポケット74を完全に覆っている。
【0040】
図11を参照すると、組織対向面170上に配置されたチャネル72及びバットレス100(明確にするために半透明で表示)のそれぞれの側に2列のステープルポケット74を備えた、カートリッジ70の略示平面図が提示されており、チャネル72の上部及びその周囲のバットレス100は、本質的に対称の構成であり、周縁フラップ110は、カートリッジ70の両側に対称的に延在している。周縁フラップ110は、周縁フラップ110の幅を示す矢印によって概略的に指示され、ステープルの配備後に折り畳み可能なバットレス100の一部を示している。
【0041】
図12を参照すると、組織対向面170に配置されたチャネル72及びバットレス100のそれぞれの側に2列のステープルポケット74を備えた、カートリッジ70の略示正面断面図が提示されており、周縁フラップ110は、バットレス100の上で少なくとも1回折り返して収納され、いずれのステープルポケット74の上にも周縁フラップ110はなく、ステープルポケット74からステープル(簡略化のため、ステープルは図示せず)の配備の際に周縁フラップ110がステープル留めされることを防止している。バットレス100の上及びそれ自体の上で2回折り返して収納された、周縁フラップ110が示されている。図13を参照すると、バットレス100の上及びそれ自体の上で4回折り返して収納された、又は蛇腹状に折り畳まれた、周縁フラップ110が示されている。任意の数の折り目を使用して、バットレスの周縁フラップの必要な幅を得ることができる。図14図15図16を参照すると、組織対向面170の下方若しくは上方に、又は組織対向面170とほぼ水平に位置付けられたロール状に巻かれて収納された、周縁フラップ110が示されている。図17を参照すると、カートリッジ本体71に沿って曲げられ収納された、周縁フラップ110が示されている。
【0042】
図18及び図19を参照すると、カートリッジ70の組織対向面170内に形成され、組織対向面170の周縁のチャネル72の両側でチャネル72に平行して走る、長手方向の空洞又は溝又は凹部172を備えた、カートリッジ70の一実施形態が示されており、ステープルポケット74の列は、長手方向の空洞又は溝172とチャネル72との間に存在している。図18には、簡略化のためにバットレス100は示されていないが、図19に見られ得るように、バットレス100の周縁フラップ110は、空洞又は溝172の中に充填されている。
【0043】
図20図22をここで参照すると、図6と同様に、図4の線6-6に沿って取られた、図3のエンドエフェクタの端面断面図が示されており、簡略化のためにナイフ部材80組立体は示されておらず、周縁フラップ110を備えたバットレス100が概略的に示されている。図20は、図15又は図17の実施形態に類似する一実施形態を示している。図21は、図12又は図13の実施形態に類似する一実施形態を示している。図22は、図19の実施形態に類似する一実施形態を示している。
【0044】
全ての実施形態では、ステープルの配備中に周縁フラップ110がステープル留めされることを防止するため、周縁フラップ110は、ステープルポケット74の外側に収納される。周縁フラップ110は、カートリッジ70の周縁で、チャネル72及び反対側のチャネル72の遠位に収納され、ステープルポケット74は、周縁フラップ110とチャネル72との間に存在している。
【0045】
周縁フラップ110は、組織が切除された縁部の上に配備される/折り畳まれる前に、1回若しくは2回以上それ自体の上で巻かれることによって収納されるか、1つ若しくは2つ以上の層で蛇腹形状に折り畳まれるか、カートリッジ70上で1つ若しくは2つ以上の層に折り畳まれるか、又は後で展開しやすいように同様に充填される。
【0046】
図23を参照すると、カートリッジ70を備えた下側顎部50とアンビル60との間で圧縮された、切除及びステープル留めされる組織層T1及びT2の略示断面図が提示されている。カートリッジ70上に配置され、組織T2に接触しているバットレス100を備えた、カートリッジ70が示されており、周縁フラップ110は、図19の実施形態に示されているように、溝172に充填されている。明確に言えば、ステープルポケット74の外側にある周縁フラップ110の任意の他の構成を使用することができる。図23の構成は、ステープル77(図23には図示せず)を配備し、ステープル77を組織T1及びT2を介してアンビル60へ駆動する直前、なおかつナイフ部材80(図23には図示せず)がチャネル72を介して並進し、ステープル留めされた組織T1及びT2を切除する直前の位置に対応している。
【0047】
図24を参照すると、ステープル77を配備し、組織層T1及びT2を切除した後の位置の、略示断面図が提示されている。バットレス100は、ステープル77により組織T1及びT2にステープル留めされ、ナイフ部材80(図23には図示せず)が組織を切除/切断するときのナイフ部材80の作用によって2等分される。
【0048】
図25を参照すると、ステープラー10の開放後、すなわち、ステープル留めしてステープラー10を取り外した後の下側顎部50とアンビル60との分離後の位置の、略示断面図が提示されている。バットレス100は、ステープル77によって、ステープル留め及び切除された組織T1及びT2に取り付けられたままである。周縁フラップ110を備えたバットレス100は、カートリッジ70から分離されており、周縁フラップ110は、溝172内のその収納位置から移動している。簡略化のため、切除された組織層T1及びT2の一方の側のみが示されている。組織層T1及びT2は、露出された切除縁部120を形成している。
【0049】
周縁フラップ110は、次いで、図25に矢印で概略的に指示されているように、その折り畳まれた格納位置から展開され、ひっくり返されて又は折り返されて、切除された縁部120に巻き付けられ、結果的に、図26Aに示された周縁フラップ110の位置となる。見て分かるように、周縁フラップ110は、バットレス100のステープル留め領域から、すなわち、縁部120から最も離れたステープル77の列から、折り畳みが始まる。
【0050】
周縁フラップ110は、組織T2、縁部120、及び組織T1の少なくとも一部にあるバットレスのステープル留め領域を覆っている。有利には、バットレス100の周縁フラップ110は、切除された縁部120を覆い、それによって止血及び組織の封着を補助し、治癒を改善し、癒着を防止する。バットレス100は、組織T2とバットレスの一方の面で接触し、縁部120及び組織T1とバットレス100の反対側の面で接触している。いくつかの実施形態では、図26に示すように、周縁フラップ110は、組織T1のステープル留め領域の向こうまでを覆っている。いくつかの実施形態では、図27に示すように、周縁フラップ110は、組織T1の小部分のみを覆い、組織T1のステープル留め領域を覆っていない。
【0051】
周縁フラップ110は、組織縁部120及び反対側の組織T1と、組織T1とは接触していないバットレス100の側で、すなわち、組織T1と接触しているバットレスの側の反対側となるバットレス100の側で接触している。
【0052】
周縁フラップ110は、外科医により、外科用把持器具などの任意の利用可能なツールを使用して、又は手動で操作される。
【0053】
上の操作説明は、図19図22の実施形態に関して提供されているが、同様の動作順序及び位置により、本発明の他の実施形態、すなわち、アンビル60上又はカートリッジ70上の周縁フラップ110の収納の他の構成に関しても結果をもたらすことを理解されたい。
【0054】
上の説明は、組織T1及びT2の2つの層の接合及び切除を主に参照しながら提供されている。ただし、3つ以上の組織層を接合するため、又は1つの組織層を切除して閉鎖するために、同じ動作及び構造的アプローチを適用することができる。図26Bを参照すると、図26Aと同様の位置が提示されているが、図26BではTとして指定され、表面S1及びS2を有する1つの組織層のみが切除され、ステープル留めされているという点で異なり、表面S2は組織T2に対応し、表面S1は組織T1に対応している。
【0055】
いくつかの実施形態では、任意の固定手段が、縁部120上及び/又は組織T1上に固着する周縁フラップ110用に提供される。より好ましい実施形態では、周縁フラップ110は、少なくとも組織T1上に固着するための手段を有する。
【0056】
図27を参照すると、一実施形態では、組織T2の外方を向くバットレス100の側に、接着剤コーティング又は接着層130が提供され、少なくとも周縁フラップ110の周縁にある接着層130aは、組織T1と接触している。任意追加的に、縁部120と接触する周縁フラップ110の領域に、接着層130bが存在してもよい。また、任意追加的に、バットレス100のステープル留め領域に接触する周縁フラップ110の領域に、接着層130cが存在してもよい。任意追加的に、組織T2の外方を向くバットレス100の側全体が、接着層(図示せず)に覆われてもよい。
【0057】
周縁フラップ110が、切除された縁部の上で折り畳まれ、組織T1と接触すると、周縁フラップ110は、接着層130の作用により、組織縁部120及び/又は組織T1に固定される。水分、血液、及び/又は湿った組織との接触により活性化される、多数の生体適合性組織接着剤及び封止剤が既知であり、使用することができる。このような生体適合性接着剤としては、フィブリン糊など、様々な架橋剤単体か又はタンパク質などの付加剤との組み合わせが挙げられ、これらは当事者に既知である。
【0058】
米国特許第6,458,147号「Compositions,systems,and methods for arresting or controlling bleeding or fluid leakage in body tissue」は、体内組織からの血液又は流体の流れを阻止するために適用される、生体適合性及び生分解性ヒドロゲル化合物を開示する。この化合物は、好ましくは、アルブミンを含むタンパク質を含み、このタンパク質は、ポリ(エチレン)グリコール(PEG)を含むポリマー、最も好ましくは、多アームPEGポリマーと混合される。
【0059】
米国特許公開第2006/0062768号「Biocompatible hydrogel compositions」は、求核成分を混合した生体適合性合成求電子成分を開示する。この求電子成分は、官能化求電子性ポリ(無水物エステル)材料を含み得る。求核材料は、タンパク質を含み得る。この成分は、水分に曝されると、架橋することで反応し得る。
【0060】
米国特許公開第2011/0104280号「Wound treatment systems,devices,and methods using biocompatible synthetic hydrogel compositions」は、例えば、マルチアームポリ(エチレングリコール)(PEG)アミンとも混合され得る、5000M/W当たり少なくとも20の多数の活性表面リシンを有するポリペプチド部分を含む、本質的にアルブミン及び他の生体分子を含まない生体適合性、合成、求核性ポリマーと混合される、マルチアームポリ(エチレングリコール)(PEG)スクシンイミジルグルタレートを開示する。
【0061】
米国特許公開第2014/0369991A1号「Formulations for Wound Therapy」は、創傷又は怪我の治療に使用するため、特に局所止血組成物として若しくは外科的介入に使用するためのフィブリノーゲン及び/又はトロンビンの混合物からなる乾燥粉末フィブリンシーラントを含む製剤を開示する。
【0062】
上記の特許及び特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
一実施形態では、接着剤は、アルブミン及び架橋剤などの乾燥タンパク質から形成される。架橋剤は、4アームポリエチレングリコールスクシンイミジルグルタレート(PEG-SG4、スクシンイミジルPEG NHS、テトラ官能性ポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルグルタレートとも称される)によって例示される。タンパク質及び架橋剤は、水分又は血液に曝されたときに、接着層130a、130b、130c又は組織T2の外方を向くバットレス100の側全体の接着層を形成する、周縁フラップ110上に配置されるか又はその中に含浸される。接着剤は、水分又は血液に曝されると活性化し、その結果、周縁フラップ110が縁部120及び/又は組織T1に接着剤で付着される。
【0064】
一実施形態では、接着剤は、乾燥前駆物質からフィブリノーゲン及びトロンビンなどのフィブリン糊へ形成され、水分若しくは血液に曝されたときに、接着層130a、130b、130c又は組織T2の外方を向くバットレス100の側全体の接着層を形成する、周縁フラップ110上に配置されるか又はその中に含浸される。水分と接触すると、フィブリンが形成され、その結果、周縁フラップ110が縁部120及び/又は組織T1に接着剤で付着される。
【0065】
図28に示す一実施形態によると、かかり付きピン135などの1つ又は2つ以上のミニチュアアンカーが、組織T1に接触し、図27の領域130aに対応する、周縁フラップ110の周縁の領域内の周縁フラップ110上に提供される。
【0066】
一実施形態によると、周縁フラップ110は、乾燥コラーゲン発泡体、ORCシート、PEG-SGコーティングの生体吸収性シート、フィブリノーゲン及び/又はトロンビンコーティングのシート、ゼラチン、キトサンなどの天然又は天然合成複合材料、並びにそれらの組み合わせなど、湿った組織表面に自己接着する材料から作製される。他の材料が使用されてもよい。
【0067】
別の実施形態によると、周縁フラップ110は、粘膜付着性組成物など、湿った組織に対する高い付着力を有する、水分活性化組成物によってコーティングされる。
【0068】
図29Aをここで参照すると、カートリッジ70上に展開された真っ直ぐな構成で配置されている、バットレス100の概略断面図が提示されている。ステープルポケット74内のステープル(図示せず)によってステープル留めされる、バットレス100の中央のステープル留め部分又は領域の幅は、矢印「CSP」によって指定されており、これは、バットレス100の中央のステープル留め部分を示している。周縁フラップ110がステープル留めされていない、バットレス100の周縁に位置するバットレス100の周縁フラップ110の幅は、矢印「PF」によって指定されており、これは、周縁フラップの幅を示している。ステープル留めされて切除されるときに、バットレス100は、チャネル72に沿って半分に切断され、周縁フラップ110の幅PF全体が後方に折り返されて、切除された組織(図示せず)に巻き付けられ得る。周縁フラップ110の幅PFは、ステープル留めされていない、チャネル72の遠位のバットレス100の領域として画定され、バットレスのステープル留め部分の上に折り畳まれ得る。
【0069】
バットレス100、100aの中央のステープル留め部分の幅は、この部分がステープル留め領域を覆うように、又はステープルポケット74又はステープル成形ポケット64を覆うように構成される。いくつかの実施形態では、バットレス100、100aの中央のステープル留め部分の幅は、組織対向面170又は160の幅の約0.5~約1.0倍、例えば、組織対向面170又は160の幅の0.7倍、0.8倍、0.9倍、1.0倍である。
【0070】
周縁フラップ110、110aの幅は、周縁フラップが後方に折り返され、切除された組織縁部120に巻き付けられ得るように構成される。いくつかの実施形態では、それぞれの周縁フラップの幅は、組織対向面170又は160の幅の少なくとも2分の1以上、例えば、組織対向面170又は160の幅の0.6倍、0.7倍、0.8倍、0.9倍、1倍、1.2倍、1.5倍、2倍である。
【0071】
図29Aを更に参照すると、一実施形態では、バットレス100は、均一な厚さの材料の単一層からなる。代替の実施形態では、図29B図29Fをここで参照すると、バットレス100は、非均一な厚さの多層材料又は単一層材料からなる。
【0072】
図29Bを参照すると、一実施形態では、バットレス100は、2層構造物を含み、周縁フラップ110は、カートリッジ70に面し、組織縁部に巻き付けられるように適合されている一方、バットレス100の第2の層111は、任意追加的に可撓性の低い、かつ任意追加的により厚い材料であり、組織の支持及び/又はステープル線の補強用に最適化され、反対側の組織T2を保持するように適合されている。図30Aは、ステープル留め及び切除後の図29Bの実施形態を示し、周縁フラップ110は、組織に巻き付けられて、組織T1上に位置付けられ、第2の層111は、ステープル留め後に組織T2と接触したままとなる。有利には、層111による組織の支持及び/又はステープル線の補強と同時に、周縁フラップ110による切除された縁部120の被覆が提供される。このように、カートリッジ70に直接面して配置された可撓性周縁フラップ110のみが、切除された縁部の上で折り返され、第2の層111は、ステープル留めされた組織を補強するために用いられる。
【0073】
図29Cを参照すると、一実施形態では、バットレス100は、2層構造物を含み、周縁フラップ110は、カートリッジ70に面し、組織縁部に巻き付けられるように適合されている一方、バットレス100の第2の層112は、任意追加的に可撓性の低い、かつ任意追加的により厚い材料であり、ステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償用に最適化され、ステープル留めされて反対側の組織T2を保持するように適合されている。図30Bは、ステープル留め及び切除後の図29Cの実施形態を示し、周縁フラップ110は、組織に巻き付けられて、組織T1上に位置付けられ、第2の層112は、ステープル留め後に組織T2と接触したままとなる。有利には、層112によるステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償と同時に、周縁フラップ110による切除された縁部120の被覆が提供される。このように、カートリッジ70に直接面して配置された可撓性周縁フラップ110のみが、切除された縁部の上で折り返され、第2の層112は、ステープル留めされた組織を補強するために用いられる。第2の層112の幅は、示されているように、少なくとも、ステープル留め領域、すなわちステープルポケット74の最も外側の列の間の領域を覆うのに十分な広さである。あるいは(図示せず)、第2の層112の幅は、カートリッジ70の幅と同等か僅かに広い。
【0074】
図29Dを参照すると、一実施形態では、バットレス100は、2層構造物を含み、バットレス100の第2の層113は、カートリッジ70に面し、ステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償用に最適化され、ステープル留めされて反対側の組織T2を保持するように適合されている。第2の層113は、カートリッジ70と、組織の縁部に巻き付けられるように適合されている、周縁フラップ110と、の間に位置付けられる。図30Cは、ステープル留め及び切除後の図29Dの実施形態を示し、周縁フラップ110は、組織に巻き付けられて、組織T1上に位置付けられ、第2の層112は、ステープル留め後に組織T2と接触したままとなる。有利には、層112によるステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償と同時に、周縁フラップ110による切除された縁部120の被覆が提供される。このように、可撓性周縁フラップ110のみが、切除された縁部の上で折り返され、第2の層112は、ステープル留めされた組織を補強するために用いられる。第2の層113の幅は、示されているように、カートリッジ70の幅と実質的に同等である。あるいは(図示せず)、第2の層113の幅は、少なくとも、ステープル留め領域、すなわちステープルポケット74の最も外側の列の間の領域を覆うのに十分な広さである。
【0075】
図29Eを参照すると、一実施形態では、バットレス100は、同一材料から作製され、ステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償用に最適化された中央のより厚い領域114を有する構造物を含み、ステープル留めされて反対側の組織T2を保持するように適合されている。中央のより厚い領域114の両側に位置付けられた周縁フラップ110は、組織縁部に巻き付けられるように適合されている。図30Dは、ステープル留め及び切除後の図29Eの実施形態を示し、周縁フラップ110は、組織に巻き付けられて、組織T1上に位置付けられ、中央のより厚い領域114は、ステープル留め後に組織T2と接触したままとなる。有利には、領域114によるステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償と同時に、周縁フラップ110による切除された縁部120の被覆が提供される。中央のより厚い領域114の幅は、示されているように、カートリッジ70の幅と実質的に同等である。あるいは(図示せず)、中央のより厚い領域114の幅は、少なくとも、ステープル留め領域、すなわちステープルポケット74の最も外側の列の間の領域を覆うのに十分な広さである。
【0076】
図29Fを参照すると、一実施形態では、バットレス100は、第1の材料から作製された中央のより厚い領域115を有する構造物を含み、ステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償用に最適化され、ステープル留めされて反対側の組織T2を保持するように適合されている。中央のより厚い領域115の両側に位置付けられた周縁フラップ110は、第1の材料に接合された第2の材料から作製され、組織の縁部に巻き付けられるように適合されている。図30Eは、ステープル留め及び切除後の図30Eの実施形態を示し、周縁フラップ110は、組織に巻き付けられて、組織T1上に位置付けられ、中央のより厚い領域115は、ステープル留め後に組織T2と接触したままとなる。有利には、領域115によるステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償と同時に、周縁フラップ110による切除された縁部120の被覆が提供される。中央のより厚い領域115の幅は、示されているように、カートリッジ70の幅と実質的に同等である。あるいは(図示せず)、中央のより厚い領域115の幅は、少なくとも、ステープル留め領域、すなわちステープルポケット74の最も外側の列の間の領域を覆うのに十分な広さである。
【0077】
図31を参照すると、組織対向面170に配置された、図29Cに示されている実施形態のチャネル72及びバットレス100のそれぞれの側に2列のステープルポケット74を備えた、カートリッジ70の一実施形態の略示前面断面図が提示されており、周縁フラップ110は、バットレス100の上に及びそれ自体の上に折り畳んで収納されている。バットレス100は、2層構造物を含み、周縁フラップ110は、カートリッジ70に面し、組織の縁部に巻き付けられるように適合されている一方、バットレス100の第2の層112は、任意追加的に可撓性の低い材料であり、ステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償用に最適化されている。
【0078】
図32を参照すると、長手方向の溝172を備えたカートリッジ70の一実施形態の略示前面断面図が示されている。図29Cに示されている実施形態のバットレス100は、組織対向面170に配置され、周縁フラップ110は溝172に充填されている。バットレス100は、2層構造物を含み、周縁フラップ110は、組織の縁部に巻き付けられるように適合されている一方、バットレス100の第2の層112は、任意追加的に可撓性の低い材料であり、ステープル線の補強及び/又は組織の厚さの補償用に最適化されている。
【0079】
特定の実施形態では、アンビル60上に支持されたバットレス100aが提供される。
【0080】
図33を参照すると、アンビル60の略示断面図が示されており、一実施形態では、上述のカートリッジ70上に支持されたバットレス100に加え、バットレス100dが、アンビル60上に支持されている。この実施形態では、バットレス100dは、フラップがなく、アンビル60の幅と実質的に同じ幅を有する。バットレス100dは、アンビル60及びステープル成形ポケット64に面するバットレス100dの側に配置された接着剤140を有する。バットレス100d及びバットレス100の両方がステープル留めされた組織T1及びT2上に配備されるとき、接着剤140を使用して、バットレス100d上にバットレス100の周縁フラップ110を接着固定することができる。
【0081】
図34を参照すると、アンビル60の略示断面図が示されており、バットレス100aは、一実施形態では、上述のカートリッジ70上に支持されたバットレス100の任意の代替として又はその補足として、アンビル60上に支持される。この実施形態では、バットレス100aは、配備前にアンビル60に巻き付けられる周縁フラップ110aを有する。
【0082】
図35を参照すると、アンビル60の略示断面図が示されており、バットレス100aは、一実施形態では、上述のカートリッジ70上に支持されたバットレス100の任意の代替として又はその補足として、アンビル60上に支持される。この実施形態では、バットレス100aは、アンビル60内に形成され、示されているようにアンビル60の周縁にあるチャネル62の両側でチャネル62に平行して走る、長手方向の空洞又は溝172a内に充填された周縁フラップ110aを有し、ステープル成形ポケット64の列は、長手方向の空洞又は溝172aとチャネル62との間にある。
【0083】
動作中に、バットレス100aは、組織T1及びT2にステープル留めされ、ナイフ部材80が組織を切除/切断するときのナイフ部材80の作用により、2等分される。ステープラー10のステープル留め及び除去後、バットレス100aは、ステープル留め及び切除された組織T1及びT2に取り付けられたままであり、周縁フラップ110aは、アンビル60から分離する。周縁フラップ110aは次いで、その折り畳まれた収納位置から展開され、ひっくり返されるか又は折り返されて、切除された縁部に巻き付けられる。
【0084】
上の説明は、バットレス100及び100aの周縁に位置付けられ、バットレスの中央のステープル留め部分CSPを囲む、バットレス100及び100aの周縁フラップ110、110aに主に集中しており、周縁フラップは、カートリッジ70若しくは160又はアンビル60の組織対向面170の周縁にある、長手方向に延在するチャネル72又は62の遠位に収納される。
【0085】
以下に説明する本発明の代替の実施形態では、バットレス100又は100aの中央フラップ(CF)105又は105aの部分は、チャネル72の近位に、すなわち、チャネル72とステープルポケット74の列との間又はチャネル62とステープル成形ポケット62の列との間に位置付けられる。
【0086】
図36A及び図36Bを参照すると、比較のための、周縁フラップ110、110aを備えたバットレス100又は100aの概略平面図。図36Aは、ステープル留め及び切除の前のバットレス100、100aを、充填していない/巻き付けていない平坦な図で示しており、周縁フラップ110又は110aは、バットレス100又は100aの周縁部分を形成しており、また、切除の線720及びステープル留め線740を概略的に示している。
【0087】
図36Bは、ステープル留め及び切除の前の、充填した/巻き付けた構成で提示されたバットレス100又は100aの概略平面図を示しており、バットレスの周縁フラップ110又は110aは、ステープル留め線740の外側かつ切除の線720の遠位である周縁領域に折り畳まれて充填されている。周縁フラップ110、110aの折り目106が概略的に示されている。
【0088】
図36C図36Dを参照すると、中央フラップ(CF)105又は105aがバットレス100又は100aの中央部分を形成しており、バットレス100又は100aの周縁のステープル留め部分(PSP)が、バットレス100又は100aの周縁に位置している、本発明の実施形態が示されている。図36C図36Dはまた、切除の線720及びステープル留め線740を概略的に提示している。
【0089】
図36Cは、バットレス100又は100aの概略平面図を、充填していない/巻き付けていない図で示している。図37Dは、ステープル留め及び切除の前の、充填した/巻き付けた構成のバットレス100又は100aの概略平面図を示しており、バットレスの中央フラップ105又は105aは、切除の線720とステープル留め線740との間の領域に折り畳まれて充填されている。中央フラップ105又は105aの折り目106が、概略的に示されている。
【0090】
図37は、バットレス100を備えたカートリッジ70の概略断面図を示しており、中央フラップ105は、チャネル72の両側にあるチャネル72の近位に、すなわち、チャネル72とステープルポケット74の列との間にある、溝172の中に折り畳まれて充填されている。
【0091】
図38は、溝172がチャネル72の一方の側に開放されている、代替の実施形態を示している。
【0092】
図39は、バットレス100が、あらかじめ2等分され、チャネル72の両側に位置付けられた、代替の実施形態を示している。
【0093】
同様に、アンビル60及びバットレス100aに適用可能なものとして、図40図41に示されている実施形態は、バットレス100aを備えたアンビル60の概略断面図を提示しており、バットレス100aの中央フラップ105aは、チャネル62の近位に、すなわち、チャネル62とステープル成形ポケット64の列との間に位置付けられている。これらの実施形態の中央フラップ105aは、バットレス100aの中央部に形成される。
【0094】
図40は、チャネル62の両側にあるチャネル62の近位に、すなわち、チャネル62とステープル成形ポケット64の列との間にある、溝172aの中に折り畳まれて充填された中央フラップ105aを示している。
【0095】
図41は、溝172aがアンビル60を完全に横断しており、組織対向面160から始まり、組織対向面160の反対側になるアンビル60の側で終端する、長手方向の開口チャネルとなっている、代替の実施形態を示しており、中央フラップ105aは、アンビル60の組織対向側と反対側のアンビル60の側で部分的に露出している。バットレス100aが、あらかじめ2等分され、チャネル62の両側に位置付けられている、図39の実施形態に類似した代替の実施形態は示されていない。
【0096】
動作中、図36C図36D、及び図37図41の中央フラップ105、105aを備えた実施形態は、周縁フラップ110、110aを備えた実施形態と同様の方式で動作し、ステープルの配備並びに組織T又は組織層T1及びT2の切除の際に、バットレス100、110aは、組織にステープル留めされ、ナイフ部材の作用によって2等分される。バットレス100、100aは、ステープル留め及び切除された組織に取り付けられたまま、カートリッジ70又はアンビル60から分離され、中央フラップ105及び/又は105aは、溝172、172a内の収納位置から移動する。中央フラップ105及び/又は105aは次いで、折り畳まれた収納位置から展開され、切除された組織縁部に巻き付けられる。周縁フラップ110又は110aがバットレス100又は100aの周縁に位置付けられている実施形態との違いは、中央フラップ105及び105aが、ひっくり返される又は折り返される必要がなく、組織縁部120に直接巻き付けられ得る点である。
【0097】
図42をここで参照すると、ステープル77の配備及び組織Tの切除後の位置の、略示断面図が提示されている。示されているのは組織Tの一層であるが、上に提示されているように組織T1及びT2といった複数の層をステープル留めすることができる。ステープル77により組織Tにステープル留めされ、ナイフ部材80(図42には図示せず)が組織を切除/切断するときのナイフ部材80の作用によって2等分された、バットレス100が示されている。
【0098】
図43Aを参照すると、ステープラー10の開放、すなわち、ステープル留めしてステープラー10を取り外した後の下側顎部50とアンビル60との分離後の位置の、略示断面図が提示されている。バットレス100は、ステープル77によってステープル留め及び切除された組織Tに取り付けられたままである。中央フラップ105を備えたバットレス100は、カートリッジ70から分離されており、中央フラップ105は、溝172内のその収納位置から移動している。簡略化のため、切除された組織Tの一方の側のみが示されている。組織Tは、露出した切除縁部120を形成している。
【0099】
中央フラップ105は、次いで、図43Bに矢印で概略的に指示されているように、その折り畳まれた収納位置から展開され、切除された縁部120に巻き付けられて、結果的に、図43Cに示されている中央フラップ105の位置となる。見て分かるように、中央フラップ105は、組織縁部120と、組織表面S2の反対側になる組織表面S1の少なくとも一部と、を覆っている。バットレス100の周縁のステープル留め部分PSPは、組織表面S2にステープル留めされ、中央フラップ105は、表面S2を起点として組織Tに巻き付き、組織縁部120を越え、組織表面S1の少なくとも一部を覆い、それによって止血及び組織の封着を助け、治癒を改善し、癒着を防止する。
【0100】
上の動作説明は、バットレス100aが装着されたアンビル60に中央フラップ105、105aを採用する、本発明の他の実施形態にも適用可能であり、バットレス100aは、組織T1及びT2又は単一層組織Tにステープル留めされ、ナイフ部材80が組織を切除/切断するときのナイフ部材80の作用によって2等分される。ステープラー10のステープル留め及び除去後、バットレス100aは、ステープル留め及び切除された組織T1及びT2に取り付けられたままであり、中央フラップ105aは、アンビル60から分離する。中央フラップ105aは次いで、折り畳まれた収納位置から展開され、切除された縁部120に巻き付けられる。
【0101】
周縁フラップ110、110aを有する実施形態とは異なり、中央フラップ105、105aは、組織Tと接触しているバットレス100の同じ側で、換言すれば、組織Tの表面S2と接触しているバットレス100の側で、組織縁部120及び反対の組織側S1と接触している。
【0102】
周縁フラップ110、110aを備えた実施形態と同様に、中央フラップ105、105aを備えた実施形態は、縁部120に及び/又は組織表面S1に固着するために提供される、任意の固定手段を有してもよい。いくつかの実施形態では、組織Tの表面S2に向いているバットレス側には、接着剤コーティング又は接着層が提供され、少なくとも接着層は、中央フラップ105、105a上に配置される。
【0103】
中央フラップ105、105aが、切除された組織縁部120に巻き付けられ、組織表面S1と接触させられると、フラップは、かかり付きピン、湿った組織に対して高い付着力を有する水分活性化組成物などの粘着性のミニチュアアンカーの作用により、組織縁部120及び/又は表面S1に固定され得る。
【0104】
バットレス100の周縁のステープル留め部分PSPの幅は、2つの中央フラップ105、105aによって分離されたバットレス100、100aの2つの周縁部分を含む。PSPの幅は、ステープル留め領域を覆う、又はステープル留め線740を覆う、又はステープルポケット74若しくはステープル成形ポケット64を覆う、バットレス100、100aの一部が存在することを保証するように構成される。
【0105】
いくつかの実施形態では、バットレス100の周縁のステープル留め部分PSPの幅は、組織対向面170又は160の幅の約2分の1から、組織対向面170又は160の幅の約0.9倍まで、例えば、組織対向面の幅の0.6倍、0.7倍、0.8倍である。
【0106】
中央フラップ105、105aの幅は、中央フラップが切除された組織縁部120に巻き付けられ得るように構成される。いくつかの実施形態では、それぞれの中央フラップ105、105aの幅は、組織Tの厚さ又は組織T1とT2とを合わせた厚さと少なくとも同等又はそれより大きく、例えば、組織の厚さの1倍、1.25倍、1.5倍、1.75倍、2倍、2.5倍、3倍、4.5倍、4倍、4.5倍、5倍、8倍、10倍、15倍、最も好ましくは組織の厚さの2~5倍である。
【0107】
周縁フラップ110、110aを備えた実施形態と同様に、中央フラップ105、105aを備えた実施形態は、均一な厚さの材料の単一層又は不均一な厚さの多層材料若しくは単一層材料を含む、バットレス100、100aを有してもよい。
【0108】
図44Aを参照すると、中央フラップ105を有するバットレス100を備えたカートリッジ70の概略断面図を示しており、追加の層112が、バットレス100の上部で、表面170の遠位に配置されており、層112は、任意追加的に中央フラップ105の材料より可撓性の低い、かつ/又は厚いものであり得る。層112は、組織の支持及び/又はステープル線の補強用に構成され得、反対側の組織Tの表面S2を保持するように構成される。層112は、バットレス100に一体化され得る。
【0109】
図44Bを参照すると、中央フラップ105を有するバットレス100を備えたカートリッジ70の概略断面図を示しており、追加の層113が、バットレス100とカートリッジ70の表面170との間に配置されている。層113は、中央フラップ105の材料より、任意追加的に可撓性の低い、かつ/又は厚いものであり得る。層113は、組織の支持及び/又はステープルラインの補強用に構成され得、バットレス100に一体化され得る。
【0110】
中央フラップ105を有するバットレス100を備えたカートリッジ70の概略断面図を示す図44Cを参照すると、より厚い周縁のステープル留め部分114、すなわちPSPと、より薄い中央フラップ105と、を有するバットレス100が示されている。部分114は、中央フラップ105の材料より、任意追加的に可撓性の低い、かつ/又は厚いものであり得る。部分114は、組織の支持及び/又はステープルラインの補強用に構成され得、バットレス100に一体化される。
【0111】
層112、113、114は、バットレス100と同じ材料、又は異なる材料から作製され得る。
【0112】
動作中、ステープル留め/切除後は可撓性中央フラップのみが収納位置から展開され、切除された縁部120に巻き付けられ、層112、113、114は、ステープル留めされた組織を補強するために使用され、折り畳まれることも、組織縁部120に巻き付けられることもない。
【0113】
層112、113、114の幅は、カートリッジ70の幅と実質的に同等であり得る。あるいは、層112、113、114の幅は、少なくとも、ステープル留め領域、すなわち、ステープルポケット74の最も外側の列の間の領域を覆うのに十分な広さである。
【0114】
一実施形態では、バットレス100は、カートリッジ70の上に配備され、バットレス100aは、アンビル60の上に配備され、周縁フラップ110及び110a並びに/又は中央フラップ105及び105aは、重なり合う構成で、組織のある面から、更に組織の反対側の面から、切除された縁部に巻き付けられ/その上で折り畳まれ、Velcro様の面ファスナー、接着剤、又は任意の他の固定機構によって互いに固定される。
【0115】
一実施形態では、バットレス100又は100aは、中央フラップ105、105aと周縁フラップ110、110aの両方を含む。ステープル留め及び切除後、周縁フラップ110又は110a及び中央フラップ105又は105aは、重なり合う構成で、組織の同じ表面から、切除された縁部に巻き付けられる/その上に折り畳まれる。
【0116】
特定の実施形態では、周縁フラップ110及び110a並びに/又は中央フラップ105及び105aは、形状記憶材料であり、水分に曝されると、縁部120及び反対側の組織表面を覆うように展開する。展開の機構は、例えば、組織T2の反対側に面したフラップの層が水分に曝されたときの高収縮係数、及び/又は組織T2に面する周縁フラップ110の層が水分に曝されたときの高膨張係数を有する、2層フラップ(図示せず)である。水分を吸収したときの収縮及び/又は膨張は、フラップの自動展開と、縁部120及び反対側の組織T1への巻き付けをもたらす。
【0117】
バットレス100、100a及び/又はフラップ110、110a、105、105aは、治癒を促進し、炎症及び感染を防止する薬剤など、生物医学的に有用な薬剤によって任意追加的にコーティング又は含浸され得る。生物医学的に有用な薬剤は次いで、時間の経過と共に四方に広がり、かかる時間は、12時間、24時間、48時間、1週間、2週間、4週間、12週間など、数時間から数日、数週間の範囲にわたり、かかる薬剤の放出は、生物医学的に有用な薬剤の持続放出と称される。
【0118】
生物医学的に有用な薬剤又は治療材料は、任意の医学的に有用な物質、又は、物質の組み合わせを指し、該物質は、薬、酵素、成長因子、ペプチド、タンパク質、栄養素、賦形剤、抗菌剤、及び任意の他の注射可能の医薬品を含め、組織生存性を向上させることができる。特に興味深いのは、トロンビン及び/又はフィブリノーゲンのような止血剤である。治療薬の他の例は、自家細胞である。
【0119】
バットレス100、100a及び/又はフラップ110、110a、105、105aは、好ましくは、不織布、フェルト、ニット、織物、成形シートなどの形態の任意の好適な生体適合性材料又は複合体から作製される。本発明のバットレス100、100a及び/又はフラップ110、110a、105、105aは、外科手術で使用することができる、ポリマーを含む任意の生分解性及び/又は非生分解性材料から製造することができる。用語「生分解性」は、生体吸収性及び生体再吸収性材料の両方を含むように定義される。材料は、天然、合成、生体吸収性及び/又は非吸収性材料、並びにそれらの組み合わせを含む。バットレス100、100a及び/又はフラップ110、110a、105、105aを形成するために使用され得る天然生分解性ポリマーは、キトサン、セルロース、コラーゲン、ゼラチンなどのポリサッカライド単体又は生物学的材料及び/若しくは合成ポリマーとの組み合わせの誘導体を含む。セルロース誘導体の例としては、カルボキシメチルセルロース、酸化セルロース、酸化再生セルロースなど、及びそれらの組み合わせが挙げられる。医療用装置を形成するために使用され得る合成生分解性ポリマーとしては、ポリ(ラクチドco-グリコリドラクチド)、より一般的には、グリコリド、ラクチド、εカプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノンなど、及びそれらの組み合わせから作製されるポリマー並びにコポリマーといった、様々な既知の生分解性/生体再吸収性ポリマーが挙げられる。非分解性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン;ナイロン、及び類似のものが挙げられ得る。
【0120】
バットレス100の厚さは、約0.05mm~約3mm、より好ましくは0.1mm~2mm、例えば、0.2mm、0.5mm、0.8mm、1.0mm、1.5mmである。
【0121】
フラップを含むバットレス100の幅は、カートリッジ70の組織対向面170の幅の少なくとも1.3、より好ましくは、カートリッジ70の組織対向面170の幅の少なくとも1.5倍、2倍、3倍である。いくつかの実施形態では、フラップ110を含むバットレス100の幅は15m~60mm、例えば、20mm、25mm、30mm、35mm、40mmである。
【0122】
いくつかの実施形態では、それぞれのフラップは、組織対向面160、170の幅の0.5倍以上、例えば、組織対向面160、170の幅の0.75倍、1倍、1.5倍、2倍の幅を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、それぞれのフラップは、チャネル72とステープルポケット74の最も遠い列との間の距離と、ステープル留めされている組織T1及びT2の厚さと、の合計より大きい、例えば、5mm、10mm、15mm、20mm、30mm大きい幅を有する。
【0124】
バットレス100、100aの長さは、組織対向面170又は160の長さの約0.5~約1.3倍、例えば、組織対向面170又は160の長さの0.75倍、1.0倍、1.2倍である。いくつかの実施形態では、バットレス100、100aの長さは、ステープル留めされた領域の長さ又はステープル線740の長さと同等か又は5~20%大きい。
【0125】
上の説明は、組織T1及びT2の2つ以上の層又は組織Tの単一層の接合及び切除に適用することができる。ただし、同じ動作及び構造アプローチを、2つ以上の組織層の接合に、又は1つの組織層、例えば、胸膜若しくは肺組織、肝臓組織、腎臓組織の切除及び閉鎖に適用することができる。図26B、42、43の参照と共に開示されているように、Tとして指定され、表面S1及びS2を有する1つの組織層のみを切除し、ステープル留めすることができ、表面S2は、図23~28、30の組織T2に対応し、表面S1は、これらの図の組織T1に対応する。
【0126】
図45をここで参照すると、いくつかの実施形態では、フラップ部分は、複数の孔部又は開口部118を有する。有利には、孔部又は開口部は、より良好な組織の治癒をもたらし得る。
【0127】
図45Aに示すように、周縁フラップ110又は110aは、開口部118又は孔部118を有する。図45Bに示すように、中央フラップ105又は105aは、開口部118を有する。
【0128】
以上、本発明についてその具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本明細書に開示される本発明の概念から逸脱することなく、多くの変更、修正、及び変形が可能であることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広義の範囲内にある、全てのかかる変更、修正、及び変形を全て包含するものとする。
【0129】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも1つの組織片をステープル留めし、かつ切除するための外科用ステープラーであって、
本体と、シャフト組立体と、エンドエフェクタと、を備え、前記エンドエフェクタは、ステープルカートリッジを受容するように構成されている下側顎部と、前記下側顎部に向かって、かつそこから離れるように枢動可能なアンビルと、並進可能なナイフ部材と、を備え、
使い捨てカートリッジが前記下側顎部に設置されており、前記カートリッジは、前記ナイフ部材が中を並進可能な組織切除チャネルによって分離された配列に複数の配備可能なステープルを収容し、
前記アンビルは、前記配備可能なステープルと整列された複数のステープル成形ポケットを有し、
外科用バットレスが、前記カートリッジ又は前記アンビルのうちの少なくとも1つの組織対向面上に、少なくとも部分的に配置され、
前記バットレスは、前記組織対向面の幅より実質的に大きい幅を有し、
前記バットレスは、前記配備可能なステープル上又は前記ステープル成形ポケット上に位置付けられた第1の部分と、前記配備可能なステープル上又は前記ステープル成形ポケット上に位置付けられていない少なくとも1つのフラップ部分と、を含み、
前記フラップ部分は、それ自体の上に折り畳まれるか又は巻かれて、かつ展開して前記切除された組織に巻き付けることができる、外科用ステープラー。
(2) 前記バットレスが、2つのフラップ部分を含む、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(3) 前記フラップ部分が、前記切除された組織に巻き付くのに十分な幅を有するように構成されている、実施態様2に記載の外科用ステープラー。
(4) 前記バットレスが、実質的に矩形である、実施態様2に記載の外科用ステープラー。
(5) 前記フラップ部分が孔部を有する、実施態様2に記載の外科用ステープラー。
【0130】
(6) 前記バットレスが、少なくとも部分的に生体再吸収性又は少なくとも部分的に可溶性である、実施態様2に記載の外科用ステープラー。
(7) 前記バットレスが、放出可能な医学的に有用な薬剤を含む、実施態様2に記載の外科用ステープラー。
(8) 前記フラップ部分が、前記カートリッジ又は前記アンビルのうちの少なくとも1つの前記組織対向面に形成されている溝内に収納されている、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(9) 前記フラップ部分が、前記カートリッジ又は前記アンビルのうちの少なくとも1つの前記組織対向面上で折り畳まれて収納されている、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(10) 前記フラップ部分が、前記カートリッジ又は前記アンビルのうちの少なくとも1つの前記組織対向面の外側に巻かれて収納されている、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
【0131】
(11) 前記バットレスが、少なくとも2つの層を含む、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(12) 前記第1の部分が2つの層を含み、前記フラップ部分が1つの層を含む、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(13) 前記第1の部分がより高い厚さを有し、前記フラップ部分がより低い厚さを有する、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(14) 前記フラップ部分が取り付け手段を含む、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(15) 前記取り付け手段が、接着剤の層又は少なくとも1つのかかり付きピンを含む、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
【0132】
(16) 前記フラップ部分が、前記バットレスの周縁に位置し、前記第1の部分を囲んでおり、前記フラップ部分それぞれが、前記組織対向面の前記幅の2分の1より大きい幅を有する、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(17) 前記フラップ部分それぞれが、前記組織対向面の前記幅より大きい前記幅を有する、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(18) 前記溝が、前記カートリッジ又は前記アンビルの前記周縁で、かつ前記組織切除チャネルの遠位に位置付けられている、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(19) 前記フラップ部分が、前記バットレスの中央に位置し、前記第1の部分が、前記フラップ部分を囲む2つのパーツを含み、前記フラップ部分それぞれが、前記組織の厚さより大きい、又は前記組織対向面の前記幅の2分の1より大きい幅を有する、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(20) 前記溝が、前記組織切除チャネルの近位で、かつ前記組織切除チャネルと、配備可能なステープルの列又はステープル成形ポケットの列との間に位置付けられている、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
【0133】
(21) 実施態様3に記載の外科用ステープラーを使用する方法であって、
前記ステープルカートリッジを前記下側顎部に挿入する工程と、
前記アンビルと前記ステープルカートリッジとの間の組織を捕捉する工程と、
近位位置から遠位位置へ前記ナイフ部材を遠位に並進させる工程と、
前記捕捉した組織を切断して切除された組織の縁部を形成することと、前記ステープルカートリッジの前記複数のステープルを駆動して前記捕捉した組織に通すことと、を実質的に同時に行う工程と、
前記バットレスの前記第1の部分をステープルによって第1の組織表面に取り付けることと、前記フラップ部分を前記ステープルによって前記組織に取り付けずに、前記バットレスを2等分することと、を実質的に同時に行う工程と、
前記バットレスを前記第1の組織表面に取り付けたまま、組織との接触から前記外科用ステープラーを外す工程と、前記フラップ部分の少なくとも1つを展開し、前記少なくとも1つのフラップ部分を前記切除された組織の縁部に巻き付け、任意追加的に、前記少なくとも1つのフラップ部分を、前記第1の組織表面の反対側にある第2の組織表面に接触させる工程と、を含む、方法。
(22) 前記フラップ部分の少なくとも1つを展開し、前記少なくとも1つのフラップ部分を前記切除された組織の縁部に巻き付ける前記工程が、前記フラップ部分をそれ自体の上で折り返すことを更に含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記バットレスを前記アンビル、前記カートリッジ、又は前記アンビルと前記カートリッジとの両方に取り付けることを含む、準備工程を更に含む、実施態様21に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図29D
図29E
図29F
図30A
図30B
図30C
図30D
図30E
図31
図32
図33
図34
図35
図36A
図36B
図36C
図36D
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43A
図43B
図43C
図44A
図44B
図44C
図45A
図45B