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特許7010867収束レンズ及び六角柱を備えるクローキングデバイス、並びにこれを備えるビークル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】収束レンズ及び六角柱を備えるクローキングデバイス、並びにこれを備えるビークル
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/08 20060101AFI20220203BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20220203BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20220203BHJP
   B60R 1/04 20060101ALI20220203BHJP
   G02B 7/02 20210101ALN20220203BHJP
【FI】
G02B17/08 Z
G02B5/04 F
G02B3/08
B60R1/04 H
G02B7/02 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019048191
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2019185029
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-07-08
(31)【優先権主張番号】15/945,392
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】イ キュ-テ
(72)【発明者】
【氏名】ミンディ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ウ ソンタオ
(72)【発明者】
【氏名】デバシシュ バナージー
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0025956(US,A1)
【文献】特開2015-195670(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0183375(US,A1)
【文献】特開2010-139997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 - 1/04
B60R 1/08 - 1/31
G02B 3/00 - 3/12
G02B 5/04 - 5/06
G02B 7/02 - 7/16
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローキングデバイスであって、
物体側、画像側、前記物体側から前記画像側に延びる基準光軸、及び、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域と、
前記物体側に位置する物体側収束レンズと、
前記画像側に位置する画像側収束レンズと、
前記物体側収束レンズと前記画像側収束レンズとの間の前記被クローキング領域内に位置する六角柱と、
を備え、
前記被クローキング領域が前記物体と前記画像との間に位置していないように見えるように、前記クローキングデバイスの前記物体側に位置する物体であって前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側収束レンズ、前記六角柱、及び前記画像側収束レンズを通り伝播して、前記物体の画像を前記クローキングデバイスの前記画像側に形成する、
クローキングデバイス。
【請求項2】
前記物体側収束レンズ及び前記画像側収束レンズのそれぞれが、外向き凸面及び内向き平面を有する、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項3】
前記六角柱が、
前記基準光軸の第1の側における、第1の物体側面、第1の画像側面、及び、第1の内部全反射(TIR)面と、
前記第1の側と反対側の前記基準光軸の第2の側における、第2の物体側面、第2の画像側面、及び、第2のTIR面と、
を備える、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項4】
前記第1の物体側面及び前記第2の物体側面が前記基準光軸上に物体側頂点を形成し、前記第1の画像側面及び前記第2の画像側面が前記基準光軸上に画像側頂点を形成する、請求項3に記載のクローキングデバイス。
【請求項5】
前記六角柱が細長い六角柱を備える、請求項3に記載のクローキングデバイス。
【請求項6】
光が、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第1の物体側面-六角柱の第2のTIR面-六角柱の第2の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第1の光路を介し、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第2の物体側面-六角柱の第1のTIR面-六角柱の第1の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第2の光路を介し、
前記クローキングデバイスを通って伝播する、請求項3に記載のクローキングデバイス。
【請求項7】
前記六角柱を通って伝播する光が、前記六角柱内で内部全反射される、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項8】
前記物体からの光が、前記物体側収束レンズにより前記六角柱上に集束され、前記物体側収束レンズにより前記六角柱上に集束された光が、前記六角柱内で内部全反射される、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項9】
前記六角柱内で内部全反射された光が、前記画像側収束レンズに伝播し入射する、請求項8に記載のクローキングデバイス。
【請求項10】
前記画像側収束レンズに入射した光が、前記物体から前記物体側収束レンズに入射する光に対し概ね平行に集束されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成する、請求項9に記載のクローキングデバイス。
【請求項11】
前記物体側収束レンズ及び前記画像側収束レンズは、一対の平凸レンズ、一対のフレネルレンズ、又は、平凸レンズ及びフレネルレンズを備える、請求項1に記載のクローキングデバイス。
【請求項12】
クローキングデバイスアセンブリであって、
物体側、画像側、前記物体側から前記画像側に延びる基準光軸、及び、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域と、
前記被クローキング領域内に位置する被クローキング物品と、
外向き凸面及び内向き平面を備える物体側収束レンズと、
外向き凸面及び内向き平面を備える画像側収束レンズと、
前記物体側収束レンズと前記画像側収束レンズとの間の前記被クローキング物品内に位置する六角柱と、
を備え、
前記被クローキング領域及び前記被クローキング領域内の前記被クローキング物品が前記物体と前記画像との間に位置していないように見えるように、前記クローキングデバイスアセンブリの前記物体側に位置する物体であって前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側収束レンズ、前記六角柱、及び前記画像側収束レンズを通り伝播して、前記物体の画像を前記クローキングデバイスアセンブリの前記画像側に形成する、
クローキングデバイスアセンブリ。
【請求項13】
前記六角柱が細長い六角柱を備える、請求項12に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
【請求項14】
前記六角柱が、
前記基準光軸の第1の側に位置する、第1の物体側面、第1の画像側面、及び、第1の内部全反射(TIR)面であって、前記第1のTIR面が前記第1の物体側面と前記第1の画像側面との間に拡がっている、前記面と、
前記第1の側と反対側の前記基準光軸の第2の側に位置する、第2の物体側面、第2の画像側面、及び、第2のTIR面であって、前記第2のTIR面が前記第2の物体側面と前記第2の画像側面との間に拡がっている、前記面と、
を備える、請求項12に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
【請求項15】
ビークルであって、
ピラーと、
前記ピラーに位置するクローキングデバイスであって、
物体側、画像側、及び、被クローキング領域であって、前記ピラーが前記被クローキング領域内に位置し、前記物体側が前記ビークルの外部に位置し、前記画像側が前記ビークルの内部に位置する、物体側、画像側、及び、被クローキング領域と、
外向き凸面及び内向き平面を備える物体側収束レンズと、
外向き凸面及び内向き平面を備える画像側収束レンズと、
前記物体側収束レンズと前記画像側収束レンズとの間の前記ピラー内に位置する六角柱と、
を備え、
前記被クローキング領域が前記物体と前記画像との間に位置していないように見えるように、前記クローキングデバイスの前記物体側に位置する物体であって前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側収束レンズによって前記六角柱上に集束され、前記六角柱内で内部全反射され、前記画像側収束レンズに伝播し入射し、前記画像側収束レンズによって集束されて、前記物体の画像を前記クローキングデバイスの前記画像側に形成する、
ビークル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本明細書は、概して、物体を透明に見えるようにするための装置及び方法に関し、より具体的には、ビークル(車両、乗り物、輸送体)のピラーのためのクローキングデバイス、及び、ビークルのピラーを透明に見えるようにするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ビークルのピラーを透明にするように見えるクローキングデバイスについての研究が公表されている。このような研究は、メタマテリアルを使用して、又は、表示スクリーンと組み合わせてビデオカメラを使用して、ビークルの乗員がビークルピラーを通して見掛け上「見る」ことができるようにし、これによってビークルの死角を減少させることを開示している。しかしながら、メタマテリアル及びビデオ技術は、複雑な材料設計及び設備を使用する。
【発明の概要】
【0003】
したがって、ビークルのピラーを透明にするように見える代替的なデバイスに対するニーズが存在する。
【0004】
概要
一実施形態では、クローキングデバイスは、物体側、画像側、物体側から画像側に延びる基準光軸、及び、物体側と画像側との間に位置する被クローキング領域を備える。物体側収束レンズは物体側に位置し、画像側収束レンズは画像側に位置し、六角柱は物体側収束レンズと画像側収束レンズとの間の被クローキング領域内に位置する。被クローキング領域が物体と画像との間に位置していないように見えるように、クローキングデバイスの物体側に位置する物体であって被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、物体側収束レンズ、六角柱、及び画像側収束レンズを通り伝播して、物体の画像をクローキングデバイスの画像側に形成する。
【0005】
いくつかの実施形態では、物体側収束レンズ及び画像側収束レンズのそれぞれが、外向き凸面及び内向き平面を有する。六角柱は、基準光軸の第1の側における、第1の物体側面、第1の画像側面、及び、第1の内部全反射(TIR)面と、第1の側と反対側の基準光軸の第2の側における、第2の物体側面、第2の画像側面、及び、第2のTIR面と、を備えてもよい。第1の物体側面及び第2の物体側面は基準光軸上に物体側頂点を形成してもよく、第1の画像側面及び第2の画像側面は基準光軸上に画像側頂点を形成してもよい。いくつかの実施形態では、六角柱は細長い六角柱を備える。
【0006】
クローキングデバイスの物体側にある物体からの光の一部分は、物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第1の物体側面-六角柱の第2のTIR面-六角柱の第2の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第1の光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。クローキングデバイスの物体側にある物体からの光の別の部分は、物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第2の物体側面-六角柱の第1のTIR面-六角柱の第1の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第2の光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。
【0007】
六角柱を通って伝播する光は、六角柱内で内部全反射されてもよい。また、物体からの光は、物体側収束レンズにより六角柱上に集束されてもよく、物体側収束レンズにより六角柱上に集束された光は、六角柱内で内部全反射される。六角柱内で内部全反射された光が、画像側収束レンズに伝播し入射し、画像側収束レンズに入射した光が、物体から物体側収束レンズに入射する光に対し概ね平行に集束されて、クローキングデバイスの画像側に物体の画像を形成する。物体側収束レンズ及び画像側収束レンズは、一対の平凸レンズ、一対のフレネルレンズ、又は、平凸レンズ及びフレネルレンズであってよい。
【0008】
別の実施形態では、クローキングデバイスアセンブリは、物体側、画像側、物体側から画像側に延びる基準光軸、物体側と画像側との間に位置する被クローキング領域、及び、被クローキング領域内に位置する被クローキング物品を備える。外向き凸面及び内向き平面を備える物体側収束レンズは物体側に位置し、外向き凸面及び内向き平面を備える画像側収束レンズは画像側に位置する。六角柱は、物体側収束レンズと画像側収束レンズとの間の被クローキング物品内に含まれ位置する。被クローキング領域及び被クローキング領域内の被クローキング物品が物体と画像との間に位置していないように見えるように、クローキングデバイスの物体側に位置する物体であって被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、物体側収束レンズ、六角柱、及び画像側収束レンズを通り伝播して、物体の画像をクローキングデバイスの画像側に形成する。すなわち、被クローキング領域内に位置する被クローキング物品は、透明のように見える。
【0009】
六角柱は、基準光軸の第1の側に位置する、第1の物体側面、第1の画像側面、及び、第1の内部全反射(TIR)面と、第1の側と反対側の基準光軸の第2の側に位置する、第2の物体側面、第2の画像側面、及び、第2のTIR面と、を備えてもよい。第1のTIR面は第1の物体側面と第1の画像側面との間に拡がっており、第2のTIR面は第2の物体側面と第2の画像側面との間に拡がっている。いくつかの実施形態では、六角柱は細長い六角柱を備える。
【0010】
物体側にある物体からの光の一部分は、物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第1の物体側面-六角柱の第2のTIR面-六角柱の第2の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第1の光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。物体側にある物体からの光の別の部分は、物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第2の物体側面-六角柱の第1のTIR面-六角柱の第1の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第2の光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。したがって、物体から物体側収束レンズに入射した光は、物体側収束レンズによって六角柱上に集束され、六角柱内で内部全反射され、画像側収束レンズにより、物体から物体側収束レンズに入射する光に対し概ね平行に集束されて、クローキングデバイスの画像側に物体の画像を形成してもよい。
【0011】
更に別の実施形態では、ビークルは、ピラーと、ピラー上に位置するクローキングデバイスと、を備える。クローキングデバイスは、物体側、画像側、及び、被クローキング領域を備える。物体側はビークルの外部に位置し、画像側はビークルの内部に位置し、ピラーは被クローキング領域内に位置する。物体側収束レンズ及び画像側収束レンズが含まれ、各集束レンズは外向き凸面及び内向き平面を備える。物体側収束レンズと画像側収束レンズとの間のピラー内に六角柱が位置する。被クローキング領域が物体と画像との間に位置していないように見えるように、クローキングデバイスの物体側に位置する物体であって被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、物体側収束レンズによって六角柱上に集束され、六角柱内で内部全反射され、画像側収束レンズに伝播し入射する。画像側収束レンズは、六角柱からの入射光を集束して、物体の画像をクローキングデバイスの画像側に形成する。
【0012】
いくつかの実施形態では、六角柱は、第1の物体側面、第1の画像側面、及び、第1の物体側面と第1の画像側面との間に拡がる第1の内部全反射(TIR)面と、第2の物体側面、第2の画像側面、及び、第2の物体側面と第2の画像側面との間に拡がる第2のTIR面と、を備える。また、六角柱は細長い六角柱であってもよい。
【0013】
物体側にある物体からの光の一部分は、物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第1の物体側面-六角柱の第2のTIR面-六角柱の第2の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第1の光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。また、物体からの光の別の部分は、物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第2の物体側面-六角柱の第1のTIR面-六角柱の第1の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第2の光路を介し、クローキングデバイスを通って伝播してもよい。
【0014】
本開示中に記載の実施形態により提供されるこれらの及び付加的な特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解される。
【0015】
図面の簡単な説明
図面中に記されている実施形態は、事実上説明的かつ例示的なものであり、特許請求の範囲によって定義されている主題を限定するように意図されたものではない。例示的実施形態についての以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと、理解可能であり、これらの図面中、類似の構造には、類似の参照番号が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上(1つ又は複数)の実施形態に係るクローキングデバイスの頂面図を概略的に描く図である。
【0017】
図1A図1の区域1Aの拡大図を概略的に描く図である。
【0018】
図2】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上の実施形態に係るクローキングデバイスの頂面図を概略的に描く図である。
【0019】
図3】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上の実施形態に係る被クローキング物品に取り付けられた図1のクローキングデバイスの頂面図を概略的に描く図である。
【0020】
図4】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上の実施形態に係るクローキングデバイスの一側に第1の物体があり、クローキングデバイスの被クローキング領域内に第2の物体がある、図1のクローキングデバイスの頂面斜視図を概略的に描く図である。
【0021】
図5】第1の物体がクローキングデバイスの一側にあり、第2の物体がクローキングデバイスの被クローキング領域内にある、図4のクローキングデバイスの側面図を概略的に描く図である。
【0022】
図6】本開示中に開示されかつ説明されている1つ以上の実施形態に係るビークルのビークルAピラーをクローキング(遮蔽)するクローキングデバイスを概略的に描く図である。
【0023】
図7A】基準光軸とクローキングアセンブリの視角との間の不整合が0°である、図1に係るクローキングアセンブリのためのコンピュータシミュレーションされたクローキング画像を描く図である。
【0024】
図7B】基準光軸とクローキングアセンブリの視角との間の不整合が1°である、図1に係るクローキングアセンブリのためのコンピュータシミュレーションされたクローキング画像を描く図である。
【0025】
図7C】基準光軸とクローキングアセンブリの視角との間の不整合が2°である、図1に係るクローキングアセンブリのためのコンピュータシミュレーションされたクローキング画像を描く図である。
【0026】
図7D】基準光軸とクローキングアセンブリの視角との間の不整合が3°である、図1に係るクローキングアセンブリのためのコンピュータシミュレーションされたクローキング画像を描く図である。
【0027】
図7E】基準光軸とクローキングアセンブリの視角との間の不整合が4°である、図1に係るクローキングアセンブリのためのコンピュータシミュレーションされたクローキング画像を描く図である。
【0028】
図7F】基準光軸とクローキングアセンブリの視角との間の不整合が5°である、図1に係るクローキングアセンブリのためのコンピュータシミュレーションされたクローキング画像を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本開示中に記載される1つ以上の実施形態によれば、クローキングデバイスは、概して、被クローキング(クローキングされた)領域と、一対の収束レンズと、一対の収束レンズ間の被クローキング領域内に位置するプリズムないし角柱と、を備えてもよい。本開示中に記載されるクローキングデバイスは、六角柱、平凸レンズ、及び/又は、フレネルレンズを利用して、物体からの光を集束させ、反射させ、発散させ、再度集束させるようにしてもよい。ビークルAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーなどのビークル部材をクローキングしてビークル部材により生ずる「死角」を除去するのに、クローキングデバイスを使用してもよい。死角とは、乗員の視界が妨害され得るビークルの領域を意味する。収束レンズ及びコヒーレント画像ガイドを使用することにより、ドライバは、クローキングデバイスがなければビークルのピラーによって妨害されると思われる画像を知覚することが可能になる。本開示では、クローキングデバイスのさまざまな実施形態及びそれらを使用する方法が、添付図面を具体的に参照しながら、さらに詳細に説明される。
【0030】
図1は概して、クローキングデバイスの一実施形態を描いている。クローキングデバイスは、一対の収束レンズによって少なくとも部分的に境界付けられた被クローキング領域を含む。一対の収束レンズ間の被クローキング領域内に六角柱が位置する。クローキングデバイスの物体側に位置する物体からクローキングデバイスの物体側に位置する収束レンズに入射する光は、図1に描かれるように、六角柱に集束される。六角柱に集束された光は、六角柱内で全反射され、発散し、クローキングデバイスの画像側に位置する収束レンズまで伝播し入射する。六角柱から伝播してクローキングデバイスの画像側に位置する収束レンズに入射した光は、物体からクローキングデバイス側に入射する光に概して平行に集束されて、クローキングデバイスの画像側に画像を提供する。
【0031】
本開示では、「収束レンズ」(1つ及び複数)というフレーズは、入射平行光を焦点又は焦線に集束し又は入射発散光を平行光に集束するレンズ(1つ及び複数)を意味する。本開示では、「平行」という用語並びに「平行光」及び「~に対し平行な光」というフレーズは、コリメート光、すなわち互いに平行に伝播する光線を意味する。本開示では、「発散する」及び「発散している」という用語並びに「発散光」というフレーズは、互いに離間しつつ伝播する光線を意味する。したがって、平行光のビームの断面積は、平行光のビームが進行する距離が増えるにつれて、概して一定であり、発散光のビームの断面積は、発散光のビームが源から進行する距離が増えるにつれて、増加する。
【0032】
更に図1を参照すると、クローキングデバイスの実施形態は、物体側12と、画像側14と、一対の平凸レンズ100,140と、六角柱120と、を備えるクローキングデバイスアセンブリ10を含む。被クローキング領域CRは、一対の平凸レンズ100,140によって少なくとも部分的に境界付けられ、一対の平凸レンズ100,140の間に位置する。物体側12は二等分軸15の上方(+Y方向)に位置し、画像側14は二等分軸15の下方(-Y方向)に位置する。すなわち、二等分軸15は、物体側12と画像側14との間を延びて、物体側12と画像側14とを線引する。平凸レンズ100,140はそれぞれ、図面に示された座標軸のX軸に沿う長さ、Y軸に沿う厚さ、Z軸に沿う高さを有する。すなわち、図面に示されるX軸は、平凸レンズ100,140の長さに沿って延び、図面に示されるY軸は、平凸レンズ100,140の厚さに沿って延び、図面に示されるZ軸は、平凸レンズ100,140の高さに沿って延びる。平凸レンズ100は、物体「O」に面するようにクローキングデバイスアセンブリ10の物体側12に位置してもよく、本開示では、物体側平凸レンズ100と称されることもある。平凸レンズ140は、クローキングデバイスアセンブリ10により形成される画像「I」を提供するように、クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14に位置してもよく、本開示では、画像側平凸レンズ140と称されることもある。
【0033】
物体側平凸レンズ100及び画像側平凸レンズ140はそれぞれ、外向き凸面102,142と、内向き平面104,144と、第1の端106,146と、第2の端108,148と、を有する。物体側平凸レンズ100及び画像側平凸レンズ140の外向き凸面102,142及び内向き平面104,144はそれぞれ、第1の端106,146と第2の端108,148との間に拡がる。本開示では、「内向き(の)面」というフレーズは、クローキングデバイスの被クローキング領域に向かう又はこれに近位の表面を意味し、「外向き(の)面」というフレーズは、被クローキング領域から離れる又はこれから遠位の表面を意味する。
【0034】
さて、図1,1Aを参照すると、六角柱120は、物体側12に位置する一対の物体側面122,124と、画像側14に位置する一対の画像側面126,128と、を有する。一対の面122,126の間に内部全反射(TIR)面123が拡がり、一対の面124,128の間にTIR面125が拡がる。物体側面122、TIR面123、及び画像側面126は、物体側12から画像側14に延びる基準光軸16の第1の側(+X方向)に位置してもよく、本開示では、第1の物体側面122、第1のTIR面123、及び第1の画像側面126とそれぞれ称されることもある。物体側面124、TIR面125、及び画像側面128は、第1の側とは反対側の基準光軸16の第2の側(-X方向)に位置してもよく、本開示では、第2の物体側面124、第2のTIR面125、及び第2の画像側面128とそれぞれ称されることもある。
【0035】
六角柱の面122,124,126,128はそれぞれ、頂端122a,124a,126a,128a及び側端122b,124b,126b,128bを有してもよい。側端122b,124b,126b,128bはそれぞれ、頂端122a,124a,126a,128aから離間され、面122,124,126,128はそれぞれ、頂端122a,124a,126a,128aと側端122b,124b,126b,128bとの間に拡がる。物体側面122,124の頂端122a,124aはそれぞれ、物体側頂点190において一致し又は交差する。代替的に又は追加的に、2つの画像側面126,128の頂端126a,128aはそれぞれ、画像側頂点192において一致し又は交差する。このような実施形態において、基準光軸16は、物体側頂点190及び画像側頂点192を二等分し、クローキングデバイスアセンブリ10の第1の側(+X方向)及び第2の側(-X方向)の間の中心線であってよい。TIR面123,125はそれぞれ、物体側端123a,125a及び画像側端123b,125bを有してもよい。画像側端123b,125bはそれぞれ、物体側端123a,125aから離間され、TIR面123,125は物体側端123a,125aと画像側端123b,125bとの間に拡がる。図面に描かれたX-Y平面内で測定された、面122,124,126,128の頂端122a,124a,126a,128aと側端122b,124b,126b,128bとの間の距離はそれぞれ、本開示において、面122,124,126,128の長さと称される。また、図面に描かれたX-Y平面内で測定された、物体側端123a,125aと画像側端123b,125bとの間の距離はそれぞれ、本開示において、第1のTIR面123及び第2のTIR面125の長さと称される。
【0036】
いくつかの実施形態では、六角柱120は、細長い六角柱であってよい。本開示では、「細長い六角柱」は、長さが六角柱の残りの面の長さよりも長い一対の平行面を備える六角柱を意味する。例えば、図面に描かれた六角柱120は、第1のTIR面123及び第2のTIR面125の長さが物体側面122,124及び画像側面126,128のそれぞれの長さよりも長い、細長いプリズムである。第1のTIR面123の長さ及び第2のTIR面125の長さが互いに等しくてもよいことが理解されるべきである。また、面122,124,126,128のそれぞれの長さが互いに等しくてもよい。
【0037】
第1の物体側面122及び第1の画像側面126はそれぞれ、第2の物体側面124及び第2の画像側面128に対し、角度「θ」をなすよう指向され、第1の物体側面122及び第1の画像側面126はそれぞれ、第1のTIR面123に対し、角度「β」をなすよう指向され、第2の物体側面124及び第2の画像側面128はそれぞれ、第2のTIR面125に対し、角度「β」をなすよう指向される。
【0038】
いくつかの実施形態では、平凸レンズ100,140は、図面に描かれたX-Z平面内の断面が四角形状であるシリンドリカル平凸レンズであってよい。このような実施形態では、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12にある物体「O」からの光であって外向き凸面102に入射する光が六角柱120の物体側面122,124上に集束されるように、第1の物体側平凸レンズ100は、Z軸に沿って延びかつ物体側平凸レンズ100から内向き(-Y方向)に位置する物体側焦線(図示しない)を備えてもよい。また、六角柱120から伝播して内向き平面144に入射する光が、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12にある物体「O」からの光であって物体側平凸レンズ100の外向き凸面102上に入射する光に概ね平行に集束されるように、画像側平凸レンズ140は、Z軸に沿って延びかつ画像側平凸レンズ140から内向き(+Y方向)に位置する第2の物体側焦線(図示しない)を備えてもよい。
【0039】
別の実施形態では、平凸レンズ100,140は、図面に描かれたX-Z平面内の断面が円状である球面平凸レンズであってよい。このような実施形態では、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12にある物体「O」からの光であって外向き凸面102に入射する光が六角柱120の物体側面122,124上に集束されるように、物体側平凸レンズ100は、物体側平凸レンズ100から内向き(-Y方向)に位置する第1の物体側焦点(図示しない)を備えてもよい。また、六角柱120から伝播して内向き平面144に入射する光が、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12にある物体「O」からの光であって物体側平凸レンズ100の外向き凸面102上に入射する光に概ね平行に集束されるように、画像側平凸レンズ140は、画像側平凸レンズ140から内向き(+Y方向)に位置する第2の物体側焦点(図示しない)を備えてもよい。
【0040】
平凸レンズ100,140、本開示に含まれる他の収束レンズ、六角柱120、及び、他の本開示に含まれる他の六角柱を、光線を収束しかつ/又は反射するのに適した、任意のレンズ又はプリズム材料から形成してもよい。平凸レンズ及び六角柱の材料の非限定的な例には、ガラス、アクリルポリマ、ポリカーボネートポリマ、及び硬質ビニルポリマが含まれる。
【0041】
図1及び図1Aを更に参照すると、基準光軸16の第1の側(+X方向)及び第2の側(-X方向)にある物体Oからの光は、物体側12から進行し、互いに異なる2つの光路を介して、画像側14に画像「I」を形成する。特に、基準光軸16の第1の側(+X方向)にあるクローキングデバイスアセンブリ10よりも上方(+Y方向)に位置する物体からの光であって物体側平凸レンズ100に入射する光(図1に矢印「1」として示される)は、物体側12から進行し、第1の光路「A」を介して画像「I」の一部を形成する。第1の側と反対側の基準光軸16の第2の側(-X方向)にあるクローキングデバイスアセンブリ10よりも上方(+Y方向)に位置する物体からの光であって物体側平凸レンズ100に入射する光(図1に矢印「1’」として示される)は、物体側12から進行し、第2の光路「A’」を介して画像Iの一部を形成する。
【0042】
基準光軸16の第1の側(+X方向)にある第1の光路Aに関し、物体Oからの光1が物体側平凸レンズ100を通って伝播し(図1に矢印「2」として示される)、そこで屈折し、出て、六角柱120まで伝播する(図1に矢印「3」として示される)ように、物体側平凸レンズ100は六角柱120に対して位置する。光3が六角柱120を通って伝播し(矢印「4」及び「5」として示される)、そこで屈折し、反射され、発散し、画像側平凸レンズ140まで伝播する(矢印「6」として示される)ように、六角柱120は画像側平凸レンズ140に対して位置する。六角柱120から伝播して画像側平凸レンズ140に入射する光が、画像側平凸レンズ140を通って伝播し(矢印「7」として示される)、光1に概ね平行に集束されて(矢印「8」として示される)、基準光軸16の第1の側(+X方向)に画像の一部を形成するように、画像側平凸レンズ140は六角柱120に対して位置する。実施形態では、物体側平凸レンズ100の外向き凸面102に入射する光1は、屈折し、光2(図1)として内向き平面104まで伝播する。光2は、内向き平面104において屈折し、光3として、第1の物体側面122(図1A)上に集束される。光3は、屈折し、光4として、第1の物体側面122から第2のTIR面125(図1A)まで伝播し、そこで光5として内部全反射され、発散する。光5は、第1の画像側面126まで伝播し、そこで屈折し、光6として、画像側平凸レンズ140の内向き平面144まで伝播する。光6は、内向き平面144において屈折し、光7として、画像側平凸レンズ140外向き凸面142まで伝播する。光7は、外向き凸面142において屈折し、光1に対し概ね平行に集束されて、基準光軸16の第1の側(+X方向)に物体Oの画像Iの部分を形成する。
【0043】
したがって、物体Oからの光は、物体O-物体側平凸レンズ100の外向き凸面102-物体側平凸レンズ100の内向き平面104-六角柱120の第1の物体側面122-六角柱120の第2のTIR面125-六角柱120の第1の画像側面126-画像側平凸レンズ140の内向き平面144-画像側平凸レンズ140の外向き凸面142-画像I、という第1の光路Aを介して、物体側12から画像側14まで進行してもよい。すなわち、物体Oからの光は、物体O-物体側平凸レンズ100の外向き凸面102における屈折-物体側平凸レンズ100の内向き平面104における屈折-六角柱120の第1の物体側面122における屈折-六角柱120の第2のTIR面125における内部全反射-六角柱120の第1の画像側面126における屈折-画像側平凸レンズ140の内向き平面144における屈折-画像側平凸レンズ140の外向き凸面142における屈折-画像I、という第1の光路Aを介して、物体側12から画像側14まで進行してもよい。
【0044】
基準光軸16の第2の側(-X方向)にある第2の光路A’に関し、物体Oからの光1’が物体側平凸レンズ100を通って伝播し(図1に矢印「2’」として示される)、そこで屈折し、出て、六角柱120まで伝播する(図1に矢印「3’」として示される)ように、物体側平凸レンズ100は六角柱120に対して位置する。光3’が六角柱120を通って伝播し(矢印「4’」及び「5’」として示される)、そこで屈折し、反射され、発散し、画像側平凸レンズ140まで伝播する(矢印「6’」として示される)ように、六角柱120は画像側平凸レンズ140に対して位置する。六角柱120から伝播して画像側平凸レンズ140に入射する光が、画像側平凸レンズ140を通って伝播し(矢印「7’」として示される)、光1’に概ね平行に集束されて(矢印「8’」として示される)、基準光軸16の第2の側(-X方向)に画像の一部を形成するように、画像側平凸レンズ140は六角柱120に対して位置する。実施形態では、物体側平凸レンズ100の外向き凸面102に入射する光1’は、屈折し、光2’(図1)として内向き平面104まで伝播する。光2’は、内向き平面104において屈折し、光3’として、第2の物体側面124(図1A)上に集束される。光3’は、屈折し、光4’として、第2の物体側面124から第1のTIR面123(図1A)まで伝播し、そこで光5’として内部全反射され、発散する。光5’は、第2の画像側面128まで伝播し、そこで屈折し、光6’として、画像側平凸レンズ140の内向き平面144まで伝播する。光6’は、内向き平面144において屈折し、光7’として、画像側平凸レンズ140外向き凸面142まで伝播する。光7’は、外向き凸面142において屈折し、光1’に対し概ね平行に集束されて、基準光軸16の第2の側(-X方向)に物体Oの画像Iの部分を形成する。
【0045】
したがって、物体Oからの光は、物体O-物体側平凸レンズ100の外向き凸面102-物体側平凸レンズ100の内向き平面104-六角柱120の第2の物体側面124-六角柱120の第1のTIR面123-六角柱120の第2の画像側面128-画像側平凸レンズ140の内向き平面144-画像側平凸レンズ140の外向き凸面142-画像I、という第1の光路A’を介して、物体側12から画像側14まで進行してもよい。すなわち、物体Oからの光は、物体O-物体側平凸レンズ100の外向き凸面102における屈折-物体側平凸レンズ100の内向き平面104における屈折-六角柱120の第2の物体側面124における屈折-六角柱120の第1のTIR面123における内部全反射-六角柱120の第2の画像側面128における屈折-画像側平凸レンズ140の内向き平面144における屈折-画像側平凸レンズ140の外向き凸面142における屈折-画像I、という第1の光路A’を介して、物体側12から画像側14まで進行してもよい。
【0046】
図1には収束レンズ100,140が平凸レンズであるとして描かれているけれども、いくつかの実施形態では、収束レンズ100,140は、平凸レンズでない。例えば、図2には、フレネルレンズを備える収束レンズ200,240を有するクローキングデバイスアセンブリ20が描かれている。特に、クローキングデバイスアセンブリ20は、物体側22と、画像側24と、一対のフレネルレンズ200,240と、六角柱120と、を含む。被クローキング領域CRは、一対のフレネルレンズ200,240の間に位置する。物体側22は、二等分軸25よりも上方(+Y方向)に位置し、画像側24は二等分軸25よりも下方(-Y方向)に位置する。すなわち、二等分軸25は、物体側22と画像側24との間を延び、物体側22及び画像側24を境界付ける。各フレネルレンズ200,240は、図面に示された座標軸のX軸に沿う長さ、Y軸に沿う厚さ、Z軸に沿う高さを有する。すなわち、図面に示されるX軸は、フレネルレンズ200,240の長さに沿って延び、図面に示されるY軸は、フレネルレンズ200,240の厚さに沿って延び、図面に示されるZ軸は、フレネルレンズ200,240の高さに沿って延びる。フレネルレンズ200は、物体「O」に面するようにクローキングデバイスアセンブリ20の物体側22に位置してもよく、本開示では、物体側フレネルレンズ200と称されることもある。フレネルレンズ240は、クローキングデバイスアセンブリ20により形成される画像「I」を提供するように、クローキングデバイスアセンブリ20の画像側24に位置してもよく、本開示では、画像側フレネルレンズ240と称されることもある。
【0047】
物体側フレネルレンズ200及び画像側フレネルレンズ240はそれぞれ、外向きフレネル面202,242(本開示では、外向き凸面とも称される)と、内向き平面204,244と、第1の端206,246と、第2の端208,248と、を有する。物体側フレネルレンズ200及び画像側フレネルレンズ240の外向き凸面202,242及び内向き平面204,244はそれぞれ、第1の端206,246と第2の端208,248との間に拡がる。
【0048】
いくつかの実施形態では、フレネルレンズ200,240は、図面に描かれたX-Z平面内の断面が四角形状であるシリンドリカルフレネルレンズであってよい。このような実施形態では、クローキングデバイスアセンブリ20の物体側22にある物体「O」からの光であって外向き凸面202に入射する光が六角柱120の物体側面122,124上に集束されるように、第1の物体側フレネルレンズ200は、Z軸に沿って延びかつ物体側フレネルレンズ200から内向き(-Y方向)に位置する物体側焦線(図示しない)を備えてもよい。また、六角柱120から伝播して内向き平面244に入射する光がクローキングデバイスアセンブリ20の物体側22にある物体「O」からの光であって物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202に入射する光に概ね平行に集束されるように、第1の画像側フレネルレンズ240は、Z軸に沿って延びかつ画像側フレネルレンズ240から内向き(+Y方向)に位置する第2の物体側焦線(図示しない)を備えてもよい。
【0049】
別の実施形態では、フレネルレンズ200,240は、図面に描かれたX-Z平面内の断面が円状である球面フレネルレンズであってよい。このような実施形態では、クローキングデバイスアセンブリ20の物体側22にある物体「O」からの光であって外向き凸面202に入射する光が六角柱120の物体側面122,124上に集束されるように、物体側フレネルレンズ200は、物体側フレネルレンズ200から内向き(-Y方向)に位置する第1の物体側焦点(図示しない)を備えてもよい。また、六角柱120から伝播して内向き平面244に入射する光が、クローキングデバイスアセンブリ20の物体側22にある物体「O」からの光であって物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202上に入射する光に概ね平行に集束されるように、画像側フレネルレンズ240は、画像側フレネルレンズ240から内向き(+Y方向)に位置する第2の物体側焦点(図示しない)を備えてもよい。
【0050】
図2を更に参照すると、基準光軸26の第1の側(+X方向)及び第2の側(-X方向)にある物体Oからの光は、物体側22から進行し、互いに異なる2つの光路を介して、画像側24に画像「I」を形成する。特に、基準光軸26の第1の側(+X方向)にあるクローキングデバイスアセンブリ20よりも上方(+Y方向)に位置する物体からの光であって物体側フレネルレンズ200に入射する光(図2に矢印「1」として示される)は、物体側22から進行し、第1の光路「A」を介して画像「I」の一部を形成する。第1の側と反対側の基準光軸26の第2の側(-X方向)にあるクローキングデバイスアセンブリ20よりも上方(+Y方向)に位置する物体からの光であって物体側フレネルレンズ200に入射する光(図2に矢印「1’」として示される)は、物体側22から進行し、第2の光路「A’」を介して画像Iの一部を形成する。
【0051】
基準光軸26の第1の側(+X方向)にある第1の光路Aに関し、物体Oからの光1が物体側フレネルレンズ200を通って伝播し(図2に矢印「2」として示される)、そこで屈折し、出て、六角柱120まで伝播する(図2に矢印「3」として示される)ように、物体側フレネルレンズ200は六角柱120に対して位置する。光3が六角柱120を通って伝播し(矢印「4」及び「5」として示される)、そこで屈折し、反射され、発散し、画像側フレネルレンズ240まで伝播する(矢印「6」として示される)ように、六角柱120は画像側フレネルレンズ240に対して位置する。六角柱120から伝播して画像側フレネルレンズ240に入射する光が、画像側フレネルレンズ240を通って伝播し(矢印「7」として示される)、光1に概ね平行に集束されて(矢印「8」として示される)、基準光軸26の第1の側(+X方向)に画像の一部を形成するように、画像側フレネルレンズ240は六角柱120に対して位置する。実施形態では、物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202に入射する光1は、屈折し、光2(図2)として内向き平面204まで伝播する。光2は、内向き平面204において屈折し、光3として、第1の物体側面122(図1A)上に集束される。光3は、屈折し、光4として、第1の物体側面122から第2のTIR面125(図1A)まで伝播し、そこで光5として内部全反射され、発散する。光5は、第1の画像側面126まで伝播し、そこで屈折し、光6として、画像側フレネルレンズ240の内向き平面244まで伝播する。光6は、内向き平面244において屈折し、光7として、画像側フレネルレンズ240外向き凸面242まで伝播する。光7は、外向き凸面242において屈折し、光1に対し概ね平行に集束されて、基準光軸26の第1の側(+X方向)に物体Oの画像Iの部分を形成する。
【0052】
したがって、物体Oからの光は、物体O-物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202-物体側フレネルレンズ200の内向き平面204-六角柱120の第1の物体側面122-六角柱120の第2のTIR面125-六角柱120の第1の画像側面126-画像側フレネルレンズ240の内向き平面244-画像側フレネルレンズ240の外向き凸面242-画像I、という第1の光路Aを介して、物体側22から画像側24まで進行してもよい。すなわち、物体Oからの光は、物体O-物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202における屈折-物体側フレネルレンズ200の内向き平面204における屈折-六角柱120の第1の物体側面122における屈折-六角柱120の第2のTIR面125における内部全反射-六角柱120の第1の画像側面126における屈折-画像側フレネルレンズ240の内向き平面244における屈折-画像側フレネルレンズ240の外向き凸面242における屈折-画像I、という第1の光路Aを介して、物体側22から画像側24まで進行してもよい。
【0053】
基準光軸26の第2の側(-X方向)にある第2の光路A’に関し、物体Oからの光1’が物体側フレネルレンズ200を通って伝播し(図1に矢印「2’」として示される)、そこで屈折し、出て、六角柱120まで伝播する(図1に矢印「3’」として示される)ように、物体側フレネルレンズ200は六角柱120に対して位置する。光3’が六角柱120を通って伝播し(矢印「4’」及び「5’」として示される)、そこで屈折し、反射され、発散し、画像側フレネルレンズ240まで伝播する(矢印「6’」として示される)ように、六角柱120は画像側フレネルレンズ240に対して位置する。六角柱120から伝播して画像側フレネルレンズ240に入射する光が、画像側フレネルレンズ240を通って伝播し(矢印「7’」として示される)、光1’に概ね平行に集束されて(矢印「8’」として示される)、基準光軸26の第2の側(-X方向)に画像の一部を形成するように、画像側フレネルレンズ240は六角柱120に対して位置する。実施形態では、物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202に入射する光1’は、屈折し、光2’(図1)として内向き平面204まで伝播する。光2’は、内向き平面204において屈折し、光3’として、第2の物体側面124(図1A)上に集束される。光3’は、屈折し、光4’として、第2の物体側面124から第1のTIR面123(図1A)まで伝播し、そこで光5’として内部全反射され、発散する。光5’は、第2の画像側面128まで伝播し、そこで屈折し、光6’として、画像側フレネルレンズ240の内向き平面244まで伝播する。光6’は、内向き平面244において屈折し、光7’として、画像側フレネルレンズ240外向き凸面242まで伝播する。光7’は、外向き凸面242において屈折し、光1’に対し概ね平行に集束されて、基準光軸26の第2の側(-X方向)に物体Oの画像Iの部分を形成する。
【0054】
したがって、物体Oからの光は、物体O-物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202-物体側フレネルレンズ200の内向き平面204-六角柱120の第2の物体側面124-六角柱120の第1のTIR面123-六角柱120の第2の画像側面128-画像側フレネルレンズ240の内向き平面244-画像側フレネルレンズ240の外向き凸面242-画像I、という第1の光路A’を介して、物体側22から画像側24まで進行してもよい。すなわち、物体Oからの光は、物体O-物体側フレネルレンズ200の外向き凸面202における屈折-物体側フレネルレンズ200の内向き平面204における屈折-六角柱120の第2の物体側面124における屈折-六角柱120の第1のTIR面123における内部全反射-六角柱120の第2の画像側面128における屈折-画像側フレネルレンズ240の内向き平面244における屈折-画像側フレネルレンズ240の外向き凸面242における屈折-画像I、という第2の光路A’を介して、物体側22から画像側24まで進行してもよい。
【0055】
図1及び図2には平凸レンズ及びフレネルレンズの形の収束レンズが描かれているけれども、他の形式の収束レンズを本開示に記載されるクローキングデバイスアセンブリに用いてもよいことが理解されるべきである。収束レンズの非限定的な例には、上述した平凸レンズ及びフレネルレンズに加えて、両凸レンズ、色消しレンズ、などが含まれる。図面には、被クローキング領域が2つの平凸レンズ又は2つのフレネルレンズによって境界付けられるクローキングデバイスアセンブリが概略的に描かれているけれども、被クローキング領域が1つの平凸レンズ及び1つのフレネルレンズによって境界付けられるクローキングアセンブリも考えられるということが理解されるべきである。例えば、非限定的に、クローキングデバイスアセンブリは、物体側平凸レンズ及び画像側フレネルレンズ、又は、代替的に、物体側フレネルレンズ及び画像側平凸レンズを備えてもよい。
【0056】
図3を参照すると、被クローキング物品に取り付けられたクローキングデバイスアセンブリが概略的に描かれている。特に、クローキングデバイスアセンブリ10(図1,1A)は、被クローキング物品350に取り付けられて描かれている。六角柱120は一対の平凸レンズ100,140同士間の被クローキング物品350内に位置する。実施形態では、被クローキング物品350の第1の部分354が基準光軸16の第1の側(+X方向)に位置しかつ被クローキング物品350の第2の部分356が基準光軸16の第2の側(-X方向)に位置するように、被クローキング物品350は、六角柱120が位置する穴又は開口352を含んでもよい。いくつかの実施形態では、被クローキング物品350は、ビークルのピラー350、例えばAピラー350、Bピラー350、Cピラー350、Dピラー350、などを含んでもよい。このような実施形態では、被クローキング物品350及び/又はクローキングデバイスアセンブリ10にトリム360を取り付けてもよい。クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14に画像Iを形成する、物体側12にある物体Oからの光の伝播は、クローキングデバイスアセンブリ10について説明されたものと等価であり、ここで繰り返されない。また、図3には、平凸レンズ100,140を備えたクローキングデバイスアセンブリ10が描かれているけれども、フレネルレンズ200,240を備えたクローキングデバイスアセンブリ20(図2)、又は、収束レンズ及び六角柱を備えた他のクローキングデバイスを、物品をクローキングするために、用いてもよい。
【0057】
ここで図1,4,及び5を参照すると、図1に関連して説明された実施形態に係るクローキングデバイスの頂面斜視図及び側面図が、それぞれ図3及び4に示される。具体的には、図4は、クローキングデバイスアセンブリ10の被クローキング領域CR内の支柱「C」の形の物品、及び、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12の支柱Cの+Y方向後ろに位置する自動車「A」、の頂面斜視図である。六角柱120(図示しない)が物体側平凸レンズ100と画像側平凸レンズ140との間の支柱C内に位置することが理解されるべきである。支柱CのZ方向の高さ(高さは+Z方向に増大する)は、クローキングデバイスの高さhよりも大きい(図5)。図5は、図1に示されたクローキングデバイスアセンブリ10の+Y方向から見た側面図であり、クローキングデバイスアセンブリ10を+Y方向に見る観察者が、被クローキング領域内にある支柱Cの部分を視認不能であり、支柱Cの+Y方向後ろに位置する自動車Aを視認可能である、ということを示している。したがって、クローキングデバイスアセンブリ10の画像側14を見ている観察者は、被クローキング領域内に位置する支柱Cを視認できず、画像側14を見ている観察者は自動車Aを視認できる。
【0058】
図6を参照すると、クローキングデバイスによりクローキングされているビークルのピラーの実施形態が示される。特に、図6は、ビークルVのピラーPの一部分をクローキングしている、本開示で説明されるクローキングデバイス19を示す。いくつかの実施形態では、ピラーPはAピラーである。別の実施形態では、ピラーはBビラーである。更に別の実施形態では、ピラーはCビラーである。ピラーPには、クローキングデバイス19の被クローキング領域(図示せず)内に位置する部分もあれば、クローキングデバイスを越え延びてトリムTによりカバーされる部分もある。クローキングデバイス19の物体側にあるビークルVの外側には、歩行者の形のターゲット物体「O」が図示される。歩行者Oには、ビークルVのサイドウィンドウを通して視認可能な部分もあれば、クローキングデバイス19によりクローキングされたピラーPを「通して」視認可能な部分もある。クローキングデバイス19は、歩行者Oから反射された光を、クローキングデバイス19のクローキング領域内に位置するピラーPの周りに方向変換し、歩行者Oの方を見ているビークルVの乗員が視認可能な歩行者Oの画像Iをクローキングデバイス19の画像側にあるビークルの内部に形成する。したがって、歩行者Oからの光は、ピラーPを通過したように見え、典型的にピラーPが作り出す死角は、ピラーPがクローキングデバイス19の被クローキング領域内に位置していない場合ほど存在しない。実施形態において、ピラーP自体が被クローキング領域として役立つ。すなわちピラーPは、歩行者からの光をピラーPの周りに方向変換するのを補助する1つ以上の内向き面を備える外面を有する。クローキングデバイス19を用いてピラーPをクローキングすること、及び、ピラーPが生成する死角を迂回することが、メタマテリアル、ビデオ画像、カメラ、複雑な電子工学、などを用いることなく実施される、ということが理解されるべきである。
【0059】
実施例
ここで図7Aから図7Fを参照すると、クローキングアセンブリ10の物体側12に位置する物体の、市販ソフトウェアプログラム(Zemax OpticStudio)を用いてシミュレートされた、画像側14から見た画像が描かれている。収束レンズ100,140は、市販のアシリンドリカルレンズ(AYL5040-A,Thorlabs)であり、六角柱120は、高屈折率ガラス(LAS35;n=2)から形成され、角度θは75度に等しかった。図7Aは、基準光軸16と、+Y方向からのクローキングアセンブリ10の視角、すなわち画像Iを基準光軸16に沿って+Y方向に見る個人と、の間の不整合が全くない状態(0°)の物体の画像を描いている。すなわち、本開示では、「不整合」という用語は、クローキングアセンブリの基準光軸と、図中に+Y方向でもって描かれる、画像側からクローキングアセンブリを見る観察者の視線と、により画定される角度(本開示では「視角」とも称される)を意味する。図7Bは、基準光軸16とクローキングアセンブリ10の視角との間に1°の不整合を有する物体の画像を描いている。図7Cは、基準光軸16とクローキングアセンブリ10の視角との間に2°の不整合を有する物体の画像を描いている。図7Dは、基準光軸16とクローキングアセンブリ10の視角との間に3°の不整合を有する物体の画像を描いている。図7Eは、基準光軸16とクローキングアセンブリ10の視角との間に4°の不整合を有する物体の画像を描いている。図7Fは、基準光軸16とクローキングアセンブリ10の視角との間に5°の不整合を有する物体の画像を描いている。図7Aから図7Eの画像により示されるように、クローキングデバイスアセンブリ10の物体側12にある物体の画像を、4°までの不整合で明瞭に見ることができ、5°までの不整合で依然として見ることができ。
【0060】
ビークルの内部から見た場合のビークル物品、例えばビークルAピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラーなどをクローキングし、ビークル物品により生ずる死角を迂回するのに、本開示に記載のクローキングデバイスを用いてもよい。「物体」及び「物品」という用語は、互換的に、光を反射し又は光を透過する視覚的物体又は画像(2D又は3D)を意味してもよく、「~からの光」という用語は、「~から反射された光」又は「~から透過された光」を意味してもよい。「概して」及び「約」という用語を、本開示では、いずれかの定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因するおそれのある固有の不確実性の程度を表わすのに使用してもよい。また、これらの用語を、本開示において、問題となっている主題の基本的機能の変化を結果としてもたらすことなく、定量的表現が定められた基準から変動し得る程度を表わすのに使用してもよい。
【0061】
本開示で使用されている方向用語、例えば頂部及び底部は、描画された通りの図面を参照するにすぎず、別段の規定のない限り、絶対的向きを暗示するように意図するものではない。
【0062】
本開示では特定の実施形態が例示され説明されてきたけれども、請求対象の主題の真意及び範囲から逸脱することなく、種々の他の変更及び修正を行ってもよい、ということが理解されるべきである。その上、本開示では、請求対象の主題の種々の態様が説明されてきたけれども、このような態様を組み合わせて使用する必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は請求対象の主題の範囲内に包含されるこのような変更及び修正のすべてを網羅する、ということが意図されている。
【0063】
[例1]
クローキングデバイスであって、
物体側、画像側、前記物体側から前記画像側に延びる基準光軸、及び、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域と、
前記物体側に位置する物体側収束レンズと、
前記画像側に位置する画像側収束レンズと、
前記物体側収束レンズと前記画像側収束レンズとの間の前記被クローキング領域内に位置する六角柱と、
を備え、
前記被クローキング領域が前記物体と前記画像との間に位置していないように見えるように、前記クローキングデバイスの前記物体側に位置する物体であって前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側収束レンズ、前記六角柱、及び前記画像側収束レンズを通り伝播して、前記物体の画像を前記クローキングデバイスの前記画像側に形成する、
クローキングデバイス。
[例2]
前記物体側収束レンズ及び前記画像側収束レンズのそれぞれが、外向き凸面及び内向き平面を有する、例1に記載のクローキングデバイス。
[例3]
前記六角柱が、
前記基準光軸の第1の側における、第1の物体側面、第1の画像側面、及び、第1の内部全反射(TIR)面と、
前記第1の側と反対側の前記基準光軸の第2の側における、第2の物体側面、第2の画像側面、及び、第2のTIR面と、
を備える、例1に記載のクローキングデバイス。
[例4]
前記第1の物体側面及び前記第2の物体側面が前記基準光軸上に物体側頂点を形成し、前記第1の画像側面及び前記第2の画像側面が前記基準光軸上に画像側頂点を形成する、例3に記載のクローキングデバイス。
[例5]
前記六角柱が細長い六角柱を備える、例3に記載のクローキングデバイス。
[例6]
光が、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第1の物体側面-六角柱の第2のTIR面-六角柱の第2の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第1の光路を介し、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第2の物体側面-六角柱の第1のTIR面-六角柱の第1の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第2の光路を介し、
前記クローキングデバイスを通って伝播する、例3に記載のクローキングデバイス。
[例7]
前記六角柱を通って伝播する光が、前記六角柱内で内部全反射される、例1に記載のクローキングデバイス。
[例8]
前記物体からの光が、前記物体側収束レンズにより前記六角柱上に集束され、前記物体側収束レンズにより前記六角柱上に集束された光が、前記六角柱内で内部全反射される、例1に記載のクローキングデバイス。
[例9]
前記六角柱内で内部全反射された光が、前記画像側収束レンズに伝播し入射する、例8に記載のクローキングデバイス。
[例10]
前記画像側収束レンズに入射した光が、前記物体から前記物体側収束レンズに入射する光に対し概ね平行に集束されて、前記クローキングデバイスの前記画像側に前記物体の画像を形成する、例9に記載のクローキングデバイス。
[例11]
前記物体側収束レンズ及び前記画像側収束レンズは、一対の平凸レンズ、一対のフレネルレンズ、又は、平凸レンズ及びフレネルレンズを備える、例1に記載のクローキングデバイス。
[例12]
クローキングデバイスアセンブリであって、
物体側、画像側、前記物体側から前記画像側に延びる基準光軸、及び、前記物体側と前記画像側との間に位置する被クローキング領域と、
前記被クローキング領域内に位置する被クローキング物品と、
外向き凸面及び内向き平面を備える物体側収束レンズと、
外向き凸面及び内向き平面を備える画像側収束レンズと、
前記物体側収束レンズと前記画像側収束レンズとの間の前記被クローキング物品内に位置する六角柱と、
を備え、
前記被クローキング領域及び前記被クローキング領域内の前記被クローキング物品が前記物体と前記画像との間に位置していないように見えるように、前記クローキングデバイスアセンブリの前記物体側に位置する物体であって前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側収束レンズ、前記六角柱、及び前記画像側収束レンズを通り伝播して、前記物体の画像を前記クローキングデバイスアセンブリの前記画像側に形成する、
クローキングデバイスアセンブリ。
[例13]
前記六角柱が細長い六角柱を備える、例12に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例14]
前記六角柱が、
前記基準光軸の第1の側に位置する、第1の物体側面、第1の画像側面、及び、第1の内部全反射(TIR)面であって、前記第1のTIR面が前記第1の物体側面と前記第1の画像側面との間に拡がっている、前記面と、
前記第1の側と反対側の前記基準光軸の第2の側に位置する、第2の物体側面、第2の画像側面、及び、第2のTIR面であって、前記第2のTIR面が前記第2の物体側面と前記第2の画像側面との間に拡がっている、前記面と、
を備える、例12に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例15]
光が、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第1の物体側面-六角柱の第2のTIR面-六角柱の第2の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第1の光路を介し、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第2の物体側面-六角柱の第1のTIR面-六角柱の第1の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第2の光路を介し、
前記クローキングデバイスアセンブリを通って伝播する、例14に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例16]
前記物体から前記物体側収束レンズに入射した光が、前記物体側収束レンズにより前記六角柱上に集束され、
前記物体側収束レンズにより前記六角柱上に集束された光が、前記六角柱内で内部全反射され
前記六角柱内で内部全反射された光が、前記画像側収束レンズに伝播し入射し、
前記六角柱から伝播して前記画像側収束レンズに入射した光が、前記物体から前記物体側収束レンズに入射する光に対し概ね平行に集束されて、前記クローキングデバイスアセンブリの前記画像側に前記物体の画像を形成する、
例12に記載のクローキングデバイスアセンブリ。
[例17]
ビークルであって、
ピラーと、
前記ピラーに位置するクローキングデバイスであって、
物体側、画像側、及び、被クローキング領域であって、前記ピラーが前記被クローキング領域内に位置し、前記物体側が前記ビークルの外部に位置し、前記画像側が前記ビークルの内部に位置する、物体側、画像側、及び、被クローキング領域と、
外向き凸面及び内向き平面を備える物体側収束レンズと、
外向き凸面及び内向き平面を備える画像側収束レンズと、
前記物体側収束レンズと前記画像側収束レンズとの間の前記ピラー内に位置する六角柱と、
を備え、
前記被クローキング領域が前記物体と前記画像との間に位置していないように見えるように、前記クローキングデバイスの前記物体側に位置する物体であって前記被クローキング領域により視認不能化された物体からの光が、前記物体側収束レンズによって前記六角柱上に集束され、前記六角柱内で内部全反射され、前記画像側収束レンズに伝播し入射し、前記画像側収束レンズによって集束されて、前記物体の画像を前記クローキングデバイスの前記画像側に形成する、
ビークル。
[例18]
前記六角柱が、
第1の物体側面、第1の画像側面、及び、前記第1の物体側面と前記第1の画像側面との間に拡がる第1の内部全反射(TIR)面と、
第2の物体側面、第2の画像側面、及び、前記第2の物体側面と前記第2の画像側面との間に拡がる第2のTIR面と、
を備える、例17に記載のビークル。
[例19]
前記六角柱が細長い六角柱を備える、例17に記載のビークル。
[例20]
光が、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第1の物体側面-六角柱の第2のTIR面-六角柱の第2の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第1の光路を介し、
物体-物体側収束レンズの外向き凸面-物体側収束レンズの内向き平面-六角柱の第2の物体側面-六角柱の第1のTIR面-六角柱の第1の画像側面-画像側収束レンズの内向き平面-画像側収束レンズの外向き凸面-画像、という第2の光路を介し、
前記クローキングデバイスを通って伝播する、例17に記載のビークル。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F