IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ノース フェイス アパレル コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-ゴム・テルペン履物 図1
  • 特許-ゴム・テルペン履物 図2
  • 特許-ゴム・テルペン履物 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ゴム・テルペン履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/04 20060101AFI20220119BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20220119BHJP
   C08L 23/22 20060101ALI20220119BHJP
   C08L 23/28 20060101ALI20220119BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20220119BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20220119BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220119BHJP
   A43B 1/10 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A43B13/04 A
C08L7/00
C08L23/22
C08L23/28
C08L65/00
C08K3/06
C08K3/36
A43B1/10
【請求項の数】 1
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019048380
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2019166317
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2019-06-04
(31)【優先権主張番号】62/644,312
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/265,716
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503204222
【氏名又は名称】ザ ノース フェイス アパレル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】The North Face Apparel Corp.
【住所又は居所原語表記】3411 Silverside Road,Wilmington,Delaware 19810 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ケルシー ノバク
(72)【発明者】
【氏名】エミリー フェスケ アラティ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-506735(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0894516(KR,B1)
【文献】特開昭61-007374(JP,A)
【文献】特開昭62-137002(JP,A)
【文献】特開2016-189969(JP,A)
【文献】米国特許第02631984(US,A)
【文献】特表2013-515817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 13/04
C08L 7/00
C08L 23/22
C08L 23/28
C08L 65/00
C08K 3/06
C08K 3/36
A43B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物のためのゴム組成物であって、前記ゴム組成物が、
3phr~90phrの天然ゴム成分と、
10phr~90phrのブロモブチルゴムと、
2phr~6phrのポリテルペン樹脂と、
0.1phr~5phrの硫黄硬化成分と、
10phr~60phrのシリカと、
1phr~10phrの可塑剤と
を含み、
前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、0.4~0.65の湿潤摩擦係数を有し、
前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、0.76~0.90の乾燥摩擦係数を有し、
前記ゴム組成物が、DIN 53616に従って試験された時に、140を上回るDIN摩耗を有し、そして
前記ゴム組成物が、ASTM D624に従って試験された時に、
3phr~90phrの天然ゴム成分と、
10phr~90phrのブロモブチルゴムと、
0.1phr~5phrの硫黄硬化成分と、
10phr~60phrのシリカと、
1phr~10phrの可塑剤と、
からなり、前記ポリテルペン樹脂が不在である組成物のダイC引裂強度よりも大きいダイC引裂強度を有する、
ゴム組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は履物、具体的にはトラクション(traction)及び耐久性能を改善するための、履物アウトソール、及び履物構造の他の構成部分に用いられるゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
娯楽用及び競技用の履物は通常、最適なバランス、快適性、安定性、耐久性、及びトラクションを着用者に提供するエレメントの精緻な組み合わせを特徴とする。一般に、着用者は履物がある特定のレジリエンス(resilience)を有することを期待し、また変化する表面又は地面の条件に応じてある特定のタイプの履物を使用することを期待する。これらの目的において、トラクション及び耐久性は履物の重要な特徴であり、履物物品のアウトソールの組成に直接に依存し得る。履物の他の望ましい特徴、例えば快適性、安定性、及びバランス、並びに美的な好みを維持しつつ、最適なトラクション及び耐久性を提供するアウトソール組成物がなおも当該技術分野において必要とされている。
【0003】
これらの、そしてその他の欠点が本開示の態様によって対処される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の態様は、履物のためのゴム組成物であって、組成物が、約3phr~100phrの第1ゴム成分と、約5phr~約100phrの第2ゴム成分と、約1phr~約10phrの粘着付与樹脂と、約10phr~約60phrの強化充填剤成分と、約1phr~約10phrの可塑剤成分と、約0.1phr~約15phrの硬化成分とを含む、組成物に関する。ゴム組成物は、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を有し、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.75~約0.90の乾燥摩擦係数を有し、ASTM D2240に従って試験された時に約55~約70の硬度を有し、そしてDIN 53616に従って試験された時に、約140~300のDIN摩耗を有する。
【0005】
開示のある特定の態様は、ゴム組成物を形成する方法に関する。
【0006】
添付の図面とともに本開示の1つの態様に関する以下の説明を参照することにより、本開示の上述の、そしてその他の特徴及び利点、並びにこれらを得る様式が明らかになり、よりよく理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、従来型の組成物と比較したゴム組成物の物理特性を提示する表3を示す。
図2図2は、ポリテルペンに基づくゴム組成物の物理特性を提示する表5を示す。
図3図3は、天然ゴム又はブロモブチルゴムを有する天然ゴムに基づくゴム組成物の物理特性を提示する表6を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、開示の下記詳細な説明及びそれに含まれる例を参照することによって、より容易に理解することができる。種々の態様において、本開示は、履物物品のアウトソールのためのゴム組成物に関する。履物、具体的には娯楽用及び競技用履物にとって、トラクション及び耐久性が重要な性能考察事項である。アウトソールのデザイン及び組成はこのような履物のトラクション及び耐久性能を支配する傾向がある。開示されたゴム組成物は良好なトラクション及び耐久性をもたらし、履物物品のアウトソールを形成するのに役立つことができる。
【0009】
ゴム組成物は、ゴム成分、粘着付与樹脂、強化充填剤成分、及び可塑剤成分を含んでよい。ある特定の態様では、ゴム組成物は、ゴム材料の組み合わせを有するゴム成分を含む。ゴム組成物は、組成物を履物物品のためのアウトソールにおける使用に適したものにするある特定の物理特性を呈することができる。本開示は、履物物品のアウトソール内でのゴム組成物の使用を示してはいるものの、ゴム組成物は履物のアウトソールとしての使用に限定されるものではない。ゴム組成物は、例えば甲革及びミッドソールを含む(ただしこれらに限定されない)履物物品の他の構成部分の構造において有用であり得る。ゴム組成物は、摩擦係数、ヤング率、硬度、ダイC引裂強度、及びDIN摩耗に関する望ましい物理特性を呈する。これらの物理特性は、ゴム組成物を履物のアウトソールとして望ましいものにすることができる。
【0010】
本開示の化合物、組成物、物品、及び/又は方法を開示し説明する前に、これらが特に断りのない限り特定の合成法に限定されることはなく、或いは特に断りのない限り特定の試薬に限定されることはなく、そのようなものとしてもちろん変化し得ることを理解しなければならない。本明細書中に使用される用語は特定の態様を説明するためのものにすぎず、制限的であるようには意図されない。
【0011】
ゴム成分
本開示の種々の態様によれば、ゴム組成物はゴム成分を含んでよい。ゴム成分はジエンゴムエラストマーを意味することができる。ゴム組成物の好適な成分であるジエンゴムエラストマーは、ジエンモノマーから少なくとも部分的に生じるエラストマーであると理解される。これらのエラストマーは、ジエンモノマーから誘導されるホモポリマー又はコポリマーを含んでよい。ジエンモノマーは、炭素-炭素二重結合が共役型であるか非共役型であるかにかかわらず、2つの炭素-炭素二重結合を有するモノマーを意味することができる。
【0012】
ジエンゴムエラストマーは本質的に不飽和のジエンエラストマー及び/又は飽和ジエンエラストマーを含んでよい。本質的に不飽和のジエンエラストマーは、ジエン起源(diene origin)の要素(member)又は単位(共役ジエン)の含有率が15mol%を上回る、共役ジエンモノマーから少なくとも部分的に生じるジエンエラストマーを含む。本質的に不飽和のジエンエラストマーのカテゴリ内には、高不飽和ジエンエラストマーがある。高不飽和ジエンエラストマーは、ジエン起源単位(共役ジエン)の含有率が50mol%を上回るジエンエラストマーを含んでよい。
【0013】
ジエンの一例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、およびこれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。好適なコポリマーは例えば、ブタジエン-イソプレンコポリマー、イソプレン-スチレンコポリマー、イソプレン-ブタジエン-スチレンコポリマーを含む。ジエンエラストマー又はゴムの一例としては、高不飽和ジエンエラストマー、例えばポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及び前記エラストマーの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。これらのコポリマーはイソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、及びイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)を含んでよい。
【0014】
本質的に飽和のジエンエラストマーは、不飽和ジエンエラストマーの定義には含まれないジエンエラストマーである。本質的に飽和のジエンエラストマーの一例としてはブチルゴム、及びジエンと、エチレンプロピレンジエンモノマー(Mクラス)ゴム(EPDM)タイプのゴムのアルファオレフィンとのコポリマーが含まれ得るが、これらに限定されない。これらのジエンエラストマーは、共役ジエンとしても知られるジエン起源単位の含有率が低いか又は極めて低いことを特徴とすることができる。いくつかの例では、ジエン起源単位の含有率は15mol%未満であってよい。
【0015】
共役ジエンの例は、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジ(C1-C5アルキル)-1,3-ブタジエン、例えば2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン、アリール-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン及び2,4-ヘキサジエンを含んでよい。ビニル芳香族化合物の例は、スチレン、オルト-、メタ-、及びパラ-メチルスチレン、商業的混合物「ビニルトルエン(vinyltoluene)」、パラ-tert-ブチルスチレン、メトキシスチレン、クロロ-スチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン及びビニルナフタレンを含んでよい。
【0016】
コポリマーは99wt%~20wt%のジエン単位と、1wt%~80wt%のビニル-芳香族単位とを含有してよい。エラストマーは任意の微細構造を有していてよく、この微細構造は、用いられる重合条件、具体的には改質剤及び/又はランダム化剤の存在又は不在、並びに用いられる改質剤及び/又はランダム化剤の量の、関数である。エラストマーは例えばブロック、ランダム、シーケンシャル、又はマイクロ-シーケンシャルエラストマーであってよく、そして分散体又は溶液で調製されてよく、エラストマーはカップリング剤及び/又は星型化剤(starring agent)又は官能化剤(functionalizing agent )によってカップリング及び/又は星型化される(starred)か、或いは官能化されてよい。
【0017】
ゴム成分は、合成ゴムと記されるものを含んでよい。代表的な合成ゴムポリマーはブタジエン及びその同族体及び誘導体の単独重合生成物、例えばメチルブタジエン、ジメチルブタジエン及びペンタジエン、並びにコポリマー、例えばブタジエン又はその同族体又は誘導体から他の不飽和モノマーと一緒に形成されたコポリマーである。後者の中にはアセチレン、例えばビニルアセチレン、オレフィン、例えばイソプレンと共重合することによりブチルゴムを形成するイソブチレン、ビニル化合物、例えばアクリル酸、アクリロニトリル(ブタジエンと重合することによりNBRを形成する)、メタクリル酸及びスチレン(後者の化合物はブタジエンと重合することによりSBRを形成する)、並びにビニルエステル、及び種々の不飽和アルデヒド、ケトン、及びエーテル、例えばアクロレイン、メチルイソプロペニルケトン、及びビニルエチルエーテルがある。合成ゴムの具体例は、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(シス-1,4-ポリブタジエンを含む)、ポリイソプレン(シス-1,4-ポリイソプレンを含む)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、例えばクロロブチルゴム、又はブロモブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、1,3-ブタジエン又はイソプレンとモノマー、例えばスチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレートとのコポリマー、並びに上記EPDMとしても知られるエチレン/プロピレンターポリマー、及び具体的には、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーを含む。言うまでもなく、ゴムのいずれも末端改質されていてよい。
【0018】
上述のように、ゴム成分は不飽和ジエンエラストマー、例えば天然ゴムを含んでよい。天然ゴムは一般に、植物Hevea brasiliensisから誘導されてよい。天然ゴムはまた、グアユール(guayule)として一般に知られているParthenium argentatum(Gray)からも誘導されている。
【0019】
開示されたゴム組成物中のゴム成分としての天然ゴムは、他の不飽和ジエンエラストマーと比較して、ある特定の望ましい特質を組成物に与えることができる。別の不飽和ジエンエラストマーであるスチレンブタジエンゴムと比較すると、天然ゴムは、35℃(95°F)未満の温度でより大きな耐摩耗性を呈する。アウトソールのためのゴム組成物の成分として、天然ゴムはその物理特性に関して望ましいこともある。天然ゴムは100℃を上回ると低い粘度を有し、ゴムが100℃を上回る温度で加工可能であり又は展性のある(malleable)ものであることを許す。ある特定の態様では、天然ゴムは、例えばペプタイザーを介して予め素練りすることにより、ゴムのさらに高い展性(malleability)を保証することができる。天然ゴムはまた、ゴム組成物がいかなる所要硬化プロセスの前のモールディングに際しても無傷又は安定のままであることを保証し得る粘着レベルを呈する。さらなる例として、天然ゴムはトラクション、具体的には乾燥トラクションに関与することができる。耐久性に関しては、天然ゴムは耐摩耗性を提供することができる。
【0020】
上述のように、ゴム組成物は飽和ジエンエラストマー、例えばハロブチルゴムを含んでよい。ハロゲン化ブチルゴムとも記されるハロブチルゴムはクロロブチルゴム及びブロモブチルゴムを含んでよい。ハロブチルゴムは一般に、ブチルゴムのハロゲン化から誘導された合成ゴムである。ブロモブチル(BIIR)及びクロロブチル(CIIR)の両方は主としてイソブチレンの飽和主鎖を有している。両エラストマーは、低いガス・湿分透過性、良好な振動減衰、低いガラス転移温度、優れた耐老化性及び耐候性、及び幅広い加硫汎用性を含む、ブチルポリマーの特質の多くを有している。具体例では、ゴム成分はブロモブチルゴムを含んでよい。
【0021】
開示されたゴム組成物中のハロブチルゴムは、組成物にある特定の望ましい特質を与えることができる。アウトソールのためのゴム組成物の成分として、ハロブチルゴムがその物理特性に関して望ましい場合もある。ハロブチルゴムは一般に硬化速度が速く、より多くの不飽和ゴム(例えば、天然ゴム、又は、ニトリルゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM)、若しくはブタジエンゴム(BR)などの合成ゴムを含むが、これらに限定されない。)との共硬化性(co-curability)を改善することができる。ハロブチルゴムは天然ゴム又は前記合成ゴムと容易にブレンドすることもできる。ブロモブチルゴムは、改善された湿潤トラクション性能、並びにエネルギー性能をもたらすことができる。これらの特質はブロモブチルゴムを、履物物品のアウトソールに使用するのに特に適したものにすることができる。
【0022】
実際には、ゴム組成物のゴム成分を形成する際には、ゴム組成物に対して望まれる物理的な性質を考慮してゴムを選択することができる。例えば、ゴムの粘度は、履物アウトソールの調製時の標準工程中、及び加硫、又は硬化作業中に容易なハンドリング及び加工を可能にするのに充分であることが望ましい。ゴム組成物は、(モジュラス値によって証明される)グリーン強度としても知られる充分な未硬化時強度と、ブレンド又は混合中にその形状を維持するのに充分な粘度とを有し、そして加硫時の適宜なモールド内での加圧及び昇温中にその形状を実質的に維持するのに充分な強度を有することが望ましい。
【0023】
ゴム組成物は特定量のゴム成分を含んでよい。例えば、開示されたゴム成分は約5~約100phrの量で存在してよい。
【0024】
開示されたゴム成分は、本明細書に記載されたジエンエラストマーの組み合わせ又はいくつかのジエンエラストマーの混合物を含んでよい。一例としては、ゴム組成物は第1ゴム成分と第2ゴム成分とを含んでよい。第1ゴム成分及び/又は第2ゴム成分は単一のジエンエラストマーを含んでよく、或いはある特定の特性を有するジエンエラストマーの組み合わせを含んでもよい。第1ゴム成分の特質及び第2ゴム成分の特質は、開示されたゴム組成物から形成された履物アウトソールの性能特性に影響を与えることができる。
【0025】
1つの例では、ゴム組成物の第1ゴム成分は本明細書中に記載されたようなハロブチルゴムを含んでよい。ハロブチルゴムはブロモブチルゴムを含んでよい。第1ゴム成分は、ゴム組成物の約3phr~約100phr、又は約5phr~約100phrの量で存在していてよい。より具体的には、約10phr~約100phr、約10phr~約90phr、約10phr~約80phr、約10phr~約70phr、約10phr~約60phr、約20phr~約90phr、約20phr~約80phr、約20phr~約70phr、約20phr~約60phr、約30phr~約90phr、約30phr~約80phr、約30phr~約70phr、約30phr~約60phr、約40phr~約90phr、約40phr~約70phr、又は約40phr~約60phrである。ゴム組成物は第1ゴム成分としてブロモブチルゴムを10phr~90phrの量で含んでよい。
【0026】
さらなる例では、ゴム組成物の第2ゴム成分が不飽和ジエンエラストマーを含んでよい。1つの例では、第2ゴム成分は天然ゴムを含んでよい。第2ゴム成分は、ゴム組成物の約10phr~約100phrの量で存在していてよく、より具体的には、約10phr~約100phr、約10phr~約90phr、約10phr~約80phr、約10phr~約70phr、約10phr~約60phr、約20phr~約90phr、約20phr~約80phr、約20phr~約70phr、約20phr~約60phr、約30phr~約90phr、約30phr~約80phr、約30phr~約70phr、約30phr~約60phr、約40phr~約90phr、約40phr~約70phr、又は約40phr~約60phrの量で存在していていてよい。ゴム成分は第2ゴム成分として天然ゴムを10phr~90phrの量で含んでよい。
【0027】
第1ゴム成分はブロモブチルゴムを含んでよく、そして第2成分は天然ゴムを含んでよい。ある特定の例では、第1ゴム成分は、スチレンブタジエンゴムを含まないか,又は実質的に含まなくてよい。第2ゴム成分は、スチレンブタジエンゴムを含まないか、又は実質的に含まなくてよい。しかしながら、ある特定のゴム、例えば天然ゴムがスチレンブタジエンゴムの一部を加工助剤として含んでよい。このようなものとして、ゴム組成物がスチレンブタジエンゴムを含まないか、又は実質的に含まない場合には、スチレンブタジエンゴムは、ゴム組成物の明確な成分として添加されていない。
【0028】
粘着付与樹脂
ゴム組成物は粘着付与樹脂を含んでよい。粘着付与樹脂は天然ゴム又は非極性ジエンエラストマーのための粘着付与剤として作用することができる。粘着付与樹脂は、モールディング及び/又は硬化までの未硬化状態においてゴム組成物を一緒に保持するように作用することができる。粘着付与樹脂はこのように、加工中のゴム組成物の安定性及び均質性を保証することができる。
【0029】
粘着付与樹脂はテルペン樹脂を含んでよい。すなわち、粘着付与樹脂はテルペンポリマーを含んでよい。テルペンポリマーはポリテルペンと記すこともできる。テルペンホモポリマー及びコポリマー樹脂に有用なテルペンモノマーは、アルファ-ピネン(α-ピネン)、ベータ-ピネン(β-ピネン)、及びリモネンを含む。具体例としては、アルファ-及びベータ-ピネンモノマーのポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0030】
さらに別の例では、テルペン樹脂は非極性テルペン樹脂であってよい。非極性テルペン樹脂は、本明細書中に記載されたポリテルペン樹脂を含んでよい。一例として、非極性テルペン樹脂はα-ピネンを含んでよい。
【0031】
本開示における使用に適したテルペン樹脂を含む、商業的に入手可能な粘着付与樹脂としては、Pinova, DelによるPiccolyte S115(商標)の名称で市販されているβ-ピネン誘導型ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。Piccolyte S115(商標)は、低分子量ポリテルペンであり、そして約112~118℃の軟化点と約91℃のガラス転移温度とを有している。Pinovaから入手可能な第2ポリテルペン樹脂はPiccolyte S125(商標)である。Piccolyte S125(商標)はβ-ピネン誘導型ポリマー樹脂である。Piccolyte S125(商標)は122℃~128℃の軟化点(環球測定による)を有する低分子量ポリテルペン樹脂である。別の商業的に入手可能な製品がPinovaによるPiccolyte(商標)A125である。Piccolyte(商標)A125は、約725g/molの分子量と約122℃~128℃の軟化点(環球測定による)とを有するα-ピネン誘導型ポリテルペンである。
【0032】
天然ゴム(cis-ポリイソプレン)は、天然発生型の高分子量エラストマーポリマーを意味することができる。その分子形態は線状であり、内部の二重結合と外部の水素原子を有している。いかなる特定の理論にも縛られたくはないが、これらの二重結合及び水素原子の配置及び位置は、ベータ-ピネン樹脂、具体的にはPiccolyte(商標)S125の対応構造と良好に整合する。空間的整合及び分子間力は樹脂及びポリマーを引きつけ、これらの相互の相容性及び親和性を高める。
【0033】
いかなる特定の理論にも縛られたくはないが、Piccolyte(商標)S125は、天然ゴムポリマーの構造的な絡み合い及び硬度を低減し、ポリマー強度の乱れを最小限に保ちながらポリマーが流動してより弾性的になるのを可能にする。樹脂/ポリマーブレンドの流動性は、広範な表面/支持体に対するトラクション及び付着力を高める。流動して走行面と密接に接触する樹脂/ポリマーの能力はトラクションを形成する。
【0034】
粘着付与樹脂はある特定の特性を提供するために特定の量でゴム組成物中に存在していてよい。粘着付与樹脂は、約1~約10phrの量で存在していてよい。ポリテルペン樹脂が粘着付与樹脂として約1phr~約10phr、又はより具体的には、約2phr~約6phr、又は2phr~6phr、又は約3phr~約10phr、又は約3phr~約6phrの量でゴム組成物中に存在していてよい。具体例において、ポリテルペン樹脂は約4phrの量で存在する。ある特定の例において、6phrを上回る粘着付与樹脂値では、ゴム組成物は余りにも軟質になり,耐久性が低下し始めることがある。
【0035】
なお、開示されたテルペン樹脂は粘着付与樹脂として有用である一方、テルペン樹脂は可塑剤として機能することもできる。可塑剤としては、テルペン樹脂は、混合中にゴム組成物の粘度を低下させ、ゴム組成物の成分がより均一に分布するのを助ける。
【0036】
可塑剤
ゴム組成物の特定の実施態様は、少なくとも1種の可塑剤、例えば可塑化油を含んでいてよい。一般に、可塑化油はゴム組成物を未硬化状態及び硬化済状態の両方で軟化させることができる。可塑化油は混合中にゴム組成物の粘度を低下させることができる。可塑剤は、成形中にゴム組成物の成分のより均質な混合及びより良好な分布を容易にすることもできる。
【0037】
本開示の任意の例において有用な可塑化油の量は、特定の環境及び所望の結果に依存することができる。大まかに言えば、例えば可塑剤は約1phr~約20phr、又は約1phr~約15phr、又は1~10phrの量で組成物中に存在していてよい。一例として、可塑剤は約1phr~約10phr、例えば約5phrの量でゴム組成物中に存在していてよい。
【0038】
可塑剤成分は、石油、例えばパラフィン系、芳香族系、又はナフテン系油から抽出された可塑剤油を含んでよい。具体例としては、ゴム組成物は、ナフテン系パラフィン系油から誘導された可塑化油を含んでよい。他の可塑化油は、アジピン酸ジオクチル(DOA)、モノマーエステル可塑剤を含む。可塑剤油のさらなる例は、天然由来のパラフィン系油を含んでよい。これらの天然パラフィン系油としては、大豆、ココナツ、又は菜種油が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0039】
強化充填剤成分
本開示の種々の態様によれば、ゴム組成物は強化充填剤成分を含んでよい。一般に、強化充填剤は、特に耐摩耗性及び引張り強度を改善するために、ゴム組成物に添加されてよい。本開示においては数多くの無機強化充填剤が適している。無機強化充填剤は、任意の無機又は鉱物充填剤を含む。無機強化充填剤は、例えば粉末、マイクロビーズ、顆粒、球体及び/又は任意のその他の適宜な形状、並びにこれらの混合物を含む、数多くの有用な形状を成すことができる。無機強化充填剤の例は、珪質タイプ、例えばシリカ(二酸化ケイ素、SiO)、又はアルミニウムタイプ、例えばアルミナ(AlO)又はこれらの組み合わせの鉱物充填剤を含む。しかしながら、種々の例において、強化充填剤はシリカを含んでよい。シリカにはカップリング剤が典型的には連携する。
【0040】
当業者に知られている有用なシリカ強化充填剤は、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、及び/又は高分散性シリカ(「HD」シリカとして知られる)を含む。本開示のシリカ強化充填剤は、ゴム組成物におけるグリップに関して望ましい性能を提供する充填剤を含んでよい。グリップは、履物構成部分の構造、例えばアウトソール内に使用されるゴム組成物の重要な特性である。ある特定のシリカ強化充填剤は、他のゴム用途よりも履物用途により適していることがある。例えばゴムタイヤ業界基準は、グリップ及び転がり抵抗の両方を評価する。しかしながら履物用途の場合、グリップ性能はより関連性が高く、又はより支配的であり得る。グリップに関与する有用なシリカ強化充填剤の例は、より高い表面積及びより小さな粒度を有するシリカ充填剤を含む。これらの充填剤はまた、より良好な耐摩耗性を提供する。有用なシリカの1つの例は、約15nmの粒径及び約40nmの凝集体平均直径を有するZeosil(商標)HRS 1200 MPを含む。大きい表面積及びより小さなサイズを提供する他の有用なシリカ強化剤としては、SolvayのZeosil(商標)175GR、SolvayのZeosil(商標)175MP、PPGのSilene(商標)732D、PPGのHi-Sil(商標)532EP、PPGのHi-Sil(商標)233、PPGのHi-Sil(商標)210、PPGのHi-Sil(商標)243LD、PPGのHi-Sil(商標)233-D、及びPPGのHi-Sil(商標)255Gが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
シリカ強化充填剤は、約10phr~約60phrの量で存在していてよい。より具体的な態様では、シリカは約10phr~約55phr、又は約10phr~約50phr、又は約10phr~約45phrの量で存在していてよい。
【0042】
無機強化充填剤をジエンエラストマーにカップリングするのを容易にするために、カップリング成分はさらにカップリング剤を含んでよい。カップリング剤は少なくとも二官能性であってよく、また無機強化充填剤とジエンエラストマーとの間に充分な化学的且つ/又は物理的な相互作用を提供することができる。カップリング剤の例は、オルガノシラン又はポリオルガノシロキサン、例えば二官能性オルガノシラン又はポリオルガノシロキサンを含む。このようなカップリング剤及びこれらの使用は当業者によく知られている。カップリング剤は任意追加的に、周知のようにジエンエラストマー上に、又は無機強化充填剤上に予めグラフトすることができる。或いは、カップリング剤をゴム組成物中に、その遊離状態又は非グラフト状態で混入することができる。有用なカップリング剤はEvonikから入手可能なSi69(商標)(ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ポリスルフィド)である。
【0043】
本開示によるゴム組成物中に、カップリング剤は1~5phr(例えば1~3phr)の量で存在していてよい。例えばシランカップリング剤は、約1.5phrの量で存在していてよい。
【0044】
ある特定の態様では、ゴム組成物はカーボンブラックを含まないか、又は実質的に含まない。従来型の強化充填剤であり得るカーボンブラックは、明確な黒色を与えるためにもタイヤ内にしばしば含まれる。本開示のゴム組成物は、表面に跡をつけることのある組成物から形成されるアウトソールを回避するために、カーボンブラックを排除することができる。
【0045】
硬化成分
本発明のゴム組成物は上記成分に加えて、硬化成分又は加硫促進剤を含んでよい。本開示の方法によれば、未硬化又は未加硫ゴム組成物を提供するためのある特定の条件下で本明細書中に記載された成分を混合することにより、ゴム組成物を形成することができる。硬化成分を導入し、次いで未硬化又は未加硫ゴム組成物に適宜な硬化又は加硫プロセスを施すことにより、硬化又は加硫された状態のゴム組成物を形成することができる。
【0046】
本明細書中に開示されたゴム組成物はこうして硫黄硬化系で硬化することができる。すなわち、硬化成分は硫黄含有剤を含んでよい。いくつかの例では、ゴム組成物は、遊離硫黄を含み且つさらに例えば促進剤、ステアリン酸及び酸化亜鉛のうちの1種又は2種以上を含んでよい硫黄硬化系で硬化することができる。好適な遊離硫黄は例えば、粉砕硫黄、ゴム製造業者の硫黄、商業的硫黄、及び不溶性硫黄を含む。ゴム組成物中に含まれる遊離硫黄の量は限定されるものではなく、例えば、0.5phr~10phr又は0.5phr~5phr又は0.5phr~3phrであってよい。さらなる例において、硬化成分は硬化系中に添加された遊離硫黄を含まず、その代わりに硫黄供与体を含んでよい。
【0047】
硬化成分は硬化又は加硫促進剤を含んでよい。これらの促進剤は、加硫のために必要な時間及び/又は温度を制御することができ、そして硬化済ゴム組成物の特性を改善することができる。促進剤の例は硫黄含有化合物、例えばスルフェンアミドを含む。好適なスルフェンアミド促進剤の例は、n-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシジエチル-2-ベンズチアゾールスルフェンアミド(MBS)及びN′-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)を含む。さらなる促進剤はステアリン酸及び酸化亜鉛を含んでよい。別の有用な促進剤はジイソプロピルキサントゲンポリスルフィド(DIXP)である。DIXPは、使用する場合にはゴム組成物中のMBT及びMBTSの両方に取って代わることができる。
【0048】
促進剤の組み合わせは、硬化済ゴム組成物の特性を改善するためにしばしば有用である。一例として、硬化成分は、促進剤であるジベンゾチアゾールジスルフィド(MBTS又はDM)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT又はM)、及びテトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)のうちの1種又は2種以上を含んでよい。
【0049】
活性剤も硬化成分中の有用な化合物である。ゴム組成物中には例えば酸化亜鉛及びステアリン酸が存在していてよく、これらは促進剤というよりもむしろ活性剤であると考えられる。具体的には、ZnOはゴム中の架橋効率を改善するのを助け、ゴム組成物中で可溶性になるために脂肪酸(例えばステアリン酸)の存在を必要とする。
【0050】
硬化剤及び促進剤、例えばMBTS、MB、TBzTD及び硫黄は、ポリマー結合前分散(polymer bound pre-dispersed(PBPD))ペレットであってよい。硬化剤及び促進剤は、適正な硬化を保証するために75%を上回る活性化学濃度を有していてよい。ある特定の例では、硬化剤の活性濃度は80%である。
【0051】
本明細書中に記載されているように、前述の成分のうちのいくつかは硬化又は加硫プロセスを容易にする。開示されたゴム組成物成分は、未硬化組成物が、組成物の混合中及び成形(building)中にその形状を維持するのに充分な未硬化時強度、又はモジュラス(modulus)、及び充分な粘度を有し、また加硫中適宜なモールド内で圧力及び温度を高めている間にその形状を実質的に維持するのに充分な成形時粘着力(building tack)及び充分な強度を有することを保証することができる。例えば、そして上記のように、ブロモブチルゴムが硬化性を改善する。
【0052】
ゴム組成物はさらに硬化助剤を含んでよい。例えば、ゴム組成物はポリエチレングリコール(PEG)を硬化助剤として含んでよい。シリカ充填ゴム組成物の場合、ポリエチレングリコールは硬化の加速を可能にする。PEGは、シリカ中に存在するヒドロキシル基と反応して、これによりシリカが硬化剤又は促進剤と結合し得る部位の数を低減することができる。PEGは約1phr~約8phr、又は最大約5phrの量で存在していてよい。いくつかの例では、PEGは約4phrの量で存在する。
【0053】
方法
ゴム組成物の形成は、例えば1つ又は2つ以上の中間冷却段階によって分離される単一又はいくつかの熱機械的な加工段階を含んでよい。ゴム成分、粘着付与樹脂、強化充填剤、及び可塑剤を含む組成物の種々の成分を組み合わせることにより、第1混合物を提供することができる。本発明のゴム組成物は、周知の方法によって、例えばゴム混練装置(例えばオープンロールミル又はバンバリー(Banbury)ミキサーを使用して成分を混合・混練し、続いて混合物を加硫することによって調製することができる。
【0054】
1つの例では、ゴム組成物は、複数の段階で混合することを介して形成されてよい。ゴム成分、例えば第1ゴム成分及び第2ゴム成分は所定の時間にわたって、通常は130℃を超えない特定の温度で混合することができる。例えば、天然ゴムは約110℃~約130℃の温度で最大約10分間にわたって混合することができる。可塑剤、粘着付与樹脂、及び硬化促進剤/助剤を含む第2混合物を調製し、そしてこれをカップリング剤と組み合わせることができる。天然ゴムは強化充填剤と組み合わせることができ、その結果生じる混合物を第2混合物と組み合わせることができる。所定の時間にわたる混合の後に、硬化剤を導入することができる。第1混合物中に硬化剤を含むことにより、ゴム成分の時期尚早の架橋がもたらされることがある。
【0055】
混合中に極めて重要なのは、ゴム成分マトリックス中で成分が所望の通りに相互作用し得るように、種々の成分の良分散を確立することである。種々の成分の分散は、未硬化状態にある組成物の良好な加工を促進することができ、硬化後に充分な強化レベルを保証することができる。
【0056】
ゴムは、ある特定の性能特性の発生を支援するために所定の継続時間にわたって静止させておいてよい。静止時間は4時間~約24時間であってよい。
【0057】
本発明の特定の実施態様は、「未硬化(uncured)」状態及び「硬化済(cured)」状態の両方におけるゴム組成物及びこれから形成された物品を含む。未硬化状態は硬化前の組成物を意味し、そして硬化済状態は、架橋又は加硫が発生した加硫済状態を意味する。
【0058】
開示されたゴム組成物の調製は、それぞれの成分間の均質性を必要とすることがある。すなわち、ゴム組成物を形成する成分の均質性は、ゴム組成物、及び最終的にはこれから形成された履物アウトソールのトラクション及び耐久性に影響を与え得る。例えば、組成物中の強化充填剤、例えばシリカ、又は天然ゴムの一貫性のない分布は、ゴム組成物の構造的完全性を弱めることがある。ゴム組成物は一貫性のない個所で弱点を呈することがある。
【0059】
ゴム組成物は、履物物品のためのアウトソールを形成するために使用することができる。アウトソールを形成するために、ゴム組成物は所与の厚さを有するシートとして形成することができる。シートを切断して重量に従って複数のピースにすることができる。これらのピースは加熱されたアウトソールモールド内に配置することができる。アウトソールモールドは所定の時間にわたって加熱することができる。例えば、アウトソールモールドは最大約10分間にわたって、又は約5~約10分間にわたって加熱することができる。形成されたアウトソールはモールドから取り出して、アウトソールを提供するように完全に冷ましておくことができる。
【0060】
特性
本開示のゴム組成物はある特定の物理特性を呈することができる。これらの物理特性は、ゴム組成物を、履物物品のためのアウトソール内に又はアウトソールとして使用するのに特に適したものにすることができる。例えば、ゴム組成物は、トラクション及び耐久性に関連する特性に関して、望ましい性能を呈することができる。具体的には、ゴム組成物は、履物用途における耐久性を維持しながら所定のレベルのトラクション性能をもたらすことができる。
【0061】
トラクション性能に関連して、ゴム組成物は、SATRA TM144に従って試験された時には摩擦係数性能に対して、ASTM D412に従って試験された時にはヤング率に対して、ASTM D412に従って試験された時には伸びに対して、ASTM D2240に従って試験された時には硬度に対して、そしてDIN 53512-2000に従って試験された時にはレジリエンスに対して、望ましい性能を呈することができる。
【0062】
履物の場合、摩擦係数は、ゴム組成物を含む表面を横切って物体をスライドさせるために必要とされる力の尺度であるので重要である。摩擦係数値が高ければ高いほど、ゴム組成物から形成されたアウトソールのより良好なトラクションを示すことができる。ヤング率は、ゴム組成物の可撓性の尺度である。可撓性が高ければ高いほど、ゴム組成物は物体の周り及び物体内部に合致する(conform)ことができる。これらの特性は、舗道から大地(terrain)及びそれを超えるものに至るまでの範囲の、アウトソールが接触する種々の表面を考えれば、ゴム組成物から形成されたゴムアウトソールにとって有益である。これらの特性の値は、アウトソールが凹凸のある、不均一な、又はゴツゴツした物体、例えば岩石及びクレバスと接触することのある競技用及び/又は娯楽用の履物においてさらにより顕著である。アウトソールはより大きい面接触によって掴むことができる。
【0063】
伸び(elongation)は、ゴム組成物を破断前にどれだけ大きく延伸させ得るのか、その尺度となる。望ましい伸び値は、アウトソールとしてのゴム組成物が物体又は凹凸のある表面又は歩行中の着用者の足に合致する能力を有することを保証する。硬度は、アウトソールが表面に合致しクレバス内に流動するのを可能にするゴム組成物の表面張力の尺度となる。レジリエンシー(resiliency)は、エネルギー吸収の尺度を意味することができる。ゴム組成物のエネルギー吸収値が高ければ高いほど、(歩行中のような)打撃力が着用者の脚部内へ戻る代わりにアウトソール表面内へ分配されることが保証される。レジリエンシー値が低ければ低いほど、このことは、ゴム組成物から形成された履物構成部分によってより大きいエネルギーが吸収されることに相当する。
【0064】
耐久性に関連して、ゴム組成物は、DIN 53616に従って試験された時にはDIN摩耗に対して、ASTM D624に従って試験された時にはダイCに対して、ASTM D1052に従って試験された時にはロス・フレックス(Ross Flex)に対して、そしてASTM D412に従って試験された時には引張強度に対して、望ましい性能を呈することができる。
【0065】
履物の場合、DIN摩耗は、コンパウンドからすり減らされた材料量の尺度を提供する。ゴム組成物のDIN摩耗の値は、ゴム組成物から形成されたアウトソールの摩耗を示す。ダイCは、特にアウトソール・ラグに関連し得るような、ゴム組成物の引裂強度の尺度となる。アウトソール・ラグは所与のアウトソールのデザイン属性である。アウトソール・ラグは安定性及びトラクションのために形成された、アウトソール内の深い刻み目である。ロス・フレックスは、所定の屈曲時間にわたるゴム組成物内の亀裂伝搬の尺度となり、経時的なアウトソール摩耗に相当する。
【0066】
前記特性は、例えばタイヤ性能とは対照的に、履物性能に関連して特に望ましい。タイヤ及びアウトソールの構成部分間の類似性を考慮に入れればアウトソール性能に対して僅かにのみ(tangentially)関連しているかもしれないタイヤ性能は、異なる標準に焦点を当てている。タイヤ性能標準は、所与の組成物がタイヤゴムとしての使用に最適であるか否かを情報提供している。タイヤ及び履物は異なる環境において使用されるので、タイヤ業界はトラクション及び耐久性を評価するための独自の指標を有している。これらの指標は、履物に関連する指標には相当しないことがある。タイヤは広範囲の温度、例えば80℃~200℃で使用されることがあり、これに対して履物の温度範囲は著しく小さい。タイヤは主として舗装面で使用され、主として舗装面上での性能に対して評価され、これに対して、履物は着用者が動くのに伴って変化する種々様々な表面にわたって使用することができる。これらの差異は、履物とタイヤとの間の異なる性能指標を特徴付ける。一例としては、タイヤ標準はDMA(動的機械分析(Dynamic Mechanical Analysis))に依存することにより、湿潤トラクション、乾燥トラクション、及び冬期トラクションを割り出すことができる(Akron Rubber Development Labによる)。
【0067】
タイヤと履物との性能及び環境の差異がさらに、調製されるゴム組成物の成分の選択を特徴付けることも注目される。上記のように、タイヤはより広い温度範囲内で採用することができる。このような温度範囲は可塑剤又は可塑化油の選択を特徴付ける。タイヤゴム組成物は芳香族系可塑化油を含み得るのに対して、履物アウトソールゴム組成物は、ナフテン系又はパラフィン系可塑剤から利益を得る。さらなる例では、タイヤのためのゴム組成物は、特定の硬化プロセス又は加硫プロセスを必要とする。いくつかの例では、硫黄含有硬化成分はタイヤ調製には望ましくないのに対して、これは履物物品の構成部分、例えばアウトソールの構成又は調製に用いられている。
【0068】
ゴム組成物は、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を呈し、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.75~約0.90の乾燥摩擦係数を呈し、ASTM D2240に従って試験された時に約55~約70の硬度を呈し、そしてDIN 53616に従って試験された時に、約140~300のDIN摩耗を呈することができる。
【0069】
履物のタイプは、ゴム組成物を使用して観察される性能特性を変化させることもある。例えば、ランニング用及びハイキング用のようなトレイル(trail)用途のために形成された履物の場合、ゴム組成物は、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.56~約0.62の湿潤摩擦係数を呈し、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.78~約0.88の乾燥摩擦係数を呈し、ASTM D412に従って試験された時に、約400%~約600%の伸びを呈し、ASTM D412に従って試験された時に、約11kg/cm~約15kg/cmのヤング率を呈し、ASTM D2240に従って試験された時に、約60~約70のショアA硬度を呈し、DIN 53512(2000)に従って試験された時に、約13~約17のレジリエンスを呈し、そしてそしてDIN 53616に従って試験された時に、約200~約300のDIN摩耗を呈する履物物品の構成部分を提供することができる。
【0070】
スケートボード又はスケートボーディングに関連して形成された履物の場合、ゴム組成物は、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.55の湿潤摩擦係数を呈し、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.78~約0.88の乾燥摩擦係数を呈し、ASTM D412に従って試験された時に、約500%~約650%の伸びを呈し、ASTM D412に従って試験された時に、約18kg/cm~約22kg/cmのヤング率を呈し、ASTM D2240に従って試験された時に、約55~約65のショアA硬度を呈し、DIN 53512(2000)に従って試験された時に、約25~約45のレジリエンスを呈し、そしてDIN 53616に従って試験された時に、約140~約200のDIN摩耗を呈する履物物品の構成部分を提供することができる。いくつかの例では、ゴム組成物は、ASTM D624に従って試験された時に、粘着付与樹脂が不在である実質的に同様の組成物のダイC引裂強度よりも高いダイC引裂強度を呈することができる。
【0071】
種々の態様において、ゴム組成物は、ブロモブチルゴムが不在である実質的に同様の組成物の伸びパーセントよりも大きい伸びパーセントを呈する。
【0072】
本開示のエレメントの種々の組み合わせ、例えば同じ独立クレームに依存する従属クレームからのエレメントの組み合わせが本開示によって包含される。
【0073】
開示の態様
種々の態様において、本開示は下記態様に関連し、そして少なくとも下記態様を含む。
【0074】
態様1: 履物のためのゴム組成物であって、前記ゴム組成物が、約3phr~100phrの第1ゴム成分と、約1phr~約10phrの粘着付与樹脂と、約10phr~約60phrの強化充填剤成分と、約1phr~約10phrの可塑剤成分と、約0.1phr~約5phrの硬化成分とを含み、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.75~約0.90の乾燥摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、ASTM D2240に従って試験された時に約55~約70の硬度を有し、前記ゴム組成物が、DIN 53616に従って試験された時に、約140~300のDIN摩耗を有する、ゴム組成物。
【0075】
態様2: 履物のためのゴム組成物であって、前記ゴム組成物が、約3phr~100phrの第1ゴム成分と、約10phr~約100phrの第2ゴム成分と、約1phr~約10phrの粘着付与樹脂と、約10phr~約60phrの強化充填剤成分と、約1phr~約10phrの可塑剤成分と、約0.1phr~約5phrの硬化成分とを含み、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.75~約0.90の乾燥摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、ASTM D2240に従って試験された時に約55~約70の硬度を有し、そして前記ゴム組成物が、DIN 53616に従って試験された時に、約140~300のDIN摩耗を有する、ゴム組成物。
【0076】
態様3: 硬化成分が遊離硫黄又は硫黄供与体を含む、態様1~2のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0077】
態様4: 前記硬化成分が、75%を上回る活性化学濃度を有する硬化剤を含む、態様1~3のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0078】
態様5: 前記硬化成分が、80%以上の活性化学濃度を有する硬化剤を含む、態様1~3のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0079】
態様6: 前記硬化成分がさらに硬化助剤を含む、態様1~5のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0080】
態様7: 前記硬化助剤がポリエチレングリコールを含む、態様6に記載のゴム組成物。
【0081】
態様8: 前記硬化助剤が約1phr~約8phrの量で存在する、態様6~7のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0082】
態様9: 前記硬化助剤が約1phr~約5phrの量で存在する、態様6~7のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0083】
態様10: 前記第1ゴム成分がハロブチルゴムを含む、態様1~9のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0084】
態様11: 前記第1ゴム成分がブロモブチルゴムを含む、態様1~9のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0085】
態様12: 前記第1ゴム成分が約20phr~70phrの量で存在する、態様1~11のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0086】
態様13: 前記第1ゴム成分が約20phr~50phrの量で存在する、態様1~11のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0087】
態様14: 前記第1ゴム成分が約30phr~60phrの量で存在する、態様1~11のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0088】
態様15: 前記第2ゴム成分が天然ゴムを含む、態様2~14のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0089】
態様16: 前記第2ゴム成分が約20phr~70phrの量で存在する、態様2~15のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0090】
態様17: 前記第2ゴム成分が約30phr~60phrの量で存在する、態様2~15のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0091】
態様18: 前記第2ゴム成分が約20phr~50phrの量で存在する、態様2~15のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0092】
態様19: 前記第1ゴム成分がスチレンブタジエンゴムを含まないか、又は実質的に含まない、態様1~18のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0093】
態様20: 前記第2ゴム成分がスチレンブタジエンゴムを含まないか、又は実質的に含まない、態様2~19のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0094】
態様21: 前記粘着付与樹脂がポリテルペンを含む、態様1~20のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0095】
態様21A: 前記粘着付与樹脂が非極性テルペン樹脂を含む、態様1~20のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0096】
態様22: 前記粘着付与樹脂がアルファ-ピネン誘導型ポリテルペンポリマーを含む、態様1~20のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0097】
態様23: 前記粘着付与樹脂がベータ-ピネン誘導型ポリテルペンポリマーを含む、態様1~20のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0098】
態様24: 前記粘着付与樹脂が約3phr~約10phrの量で存在する、態様1~23のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0099】
態様25: 前記粘着付与樹脂が約3phr~約6phrの量で存在する、態様1~23のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0100】
態様26: 前記粘着付与樹脂が約4phrの量で存在する、態様1~23のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0101】
態様27: 前記強化充填剤成分がシリカを含む、態様1に記載のゴム組成物。
【0102】
態様28: 前記強化充填剤成分がさらに、シランカップリング剤を含む、態様1~27のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0103】
態様29: 前記可塑剤成分がパラフィン系油を含む、態様1~29のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0104】
態様30: 前記可塑化成分がナフテン系鉱油を含む、態様1~29のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0105】
態様31: 前記可塑化成分が約1phr~約15phrの量で存在する、態様1~30のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0106】
態様32: 前記可塑化成分が約1phr~約10phrの量で存在する、態様1~30のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0107】
態様33: 前記強化充填剤成分がカーボンブラックを含まないか、又は実質的に含まない、態様1~32のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0108】
態様34: 履物のためのゴム組成物であって、前記ゴム組成物が、約10phr~約90phrの第1ゴム成分と、約10phr~約90phrの第2ゴム成分と、約3phr~約6phrのポリテルペン樹脂と、約0.1phr~約5phrの硫黄硬化成分と、約10phr~約60phrのシリカと、約1phr~約10phrの可塑剤とを含み、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.75~約0.90の乾燥摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、ASTM D2240に従って試験された時に、約55~約70の硬度を有し、そして前記ゴム組成物が、DIN 53616に従って試験された時に、約140~300のDIN摩耗を有する、ゴム組成物。
【0109】
態様35: 前記第1ゴム成分が約20phr~70phrの量で存在する、態様34に記載のゴム組成物。
【0110】
態様36: 前記第1ゴム成分が約20phr~50phrの量で存在する、態様34に記載のゴム組成物。
【0111】
態様37: 前記第1ゴム成分が約30phr~60phrの量で存在する、態様34に記載のゴム組成物。
【0112】
態様38: 前記第2ゴム成分が約20phr~70phrの量で存在する、態様34~37のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0113】
態様39: 前記第2ゴム成分が約30phr~60phrの量で存在する、態様34~37のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0114】
態様40: 前記第2ゴム成分が約20phr~50phrの量で存在する、態様34~37のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0115】
態様41: 前記硬化成分が、75%を上回る活性化学濃度を有する硬化剤を含む、態様34~40のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0116】
態様42: 前記硬化成分が、80%以上の活性化学濃度を有する硬化剤を含む、態様34~40のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0117】
態様43: 前記硬化成分がさらに硬化助剤を含む、態様34~42のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0118】
態様44: 前記硬化助剤がポリエチレングリコールを含む、態様43に記載のゴム組成物。
【0119】
態様45:前記硬化助剤が約1phr~約8phrの量で存在する、態様43~44のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0120】
態様46: 前記硬化助剤が約1phr~約5phrの量で存在する、態様43~44のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0121】
態様47: 前記ポリテルペン樹脂がベータ-ピネン誘導型ポリテルペンを含む、態様34~46のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0122】
態様48: 前記ポリテルペン樹脂が約3phr~約10phrの量で存在する、態様34~47のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0123】
態様49: 前記ポリテルペン樹脂が約3phr~約6phrの量で存在する、態様34~47のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0124】
態様50: 前記ポリテルペン樹脂が約4phrの量で存在する、態様34~47のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0125】
態様51: さらにシランカップリング剤を含む、態様34~50のいずれか1つに記載のゴム組成物。
【0126】
態様52: 履物のためのゴム組成物を形成する方法であって、前記方法が、約10phr~90phrの第1ゴム成分と、約10phr~約90phrの第2ゴム成分と、約3phr~約6phrのポリテルペン樹脂と、約10phr~約60phrのシリカと、約0.1phr~約15phrの硬化成分と、約1phr~約10phrの可塑剤とをっ組み合わせることにより第1ゴム混合物を形成し、前記第1ゴム混合物を硬化剤と組み合わせることにより第2ゴム混合物を提供し、そして前記第2ゴム混合物に硬化プロセスを施すことにより前記ゴム組成物を提供することを含む、履物のためのゴム組成物を形成する方法。
【0127】
態様53: ゴム組成物であって、約10phr~100phrの天然ゴムと、約10phr~約100phrのブロモブチルゴムと、約1phr~約10phrの粘着付与樹脂と、約10phr~約60phrの強化充填剤成分と、約1phr~約10phrの可塑剤成分と、約0.1phr~約5phrの硬化成分と、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.75~約0.90の乾燥摩擦係数を有し、前記ゴム組成物が、ASTM D2240に従って試験された時に約55~約70の硬度を有し、前記ゴム組成物が、DIN 53616に従って試験された時に、約140~300のDIN摩耗を有する、ゴム組成物。
【0128】
定義
本明細書中に使用される用語が、特定の態様を記述することを目的としたものにすぎず、制限的なものにするつもりはないことも理解されるべきである。本明細書及びクレームにおいて使用された「含む(comprising)」という用語は、実施態様の「から成る(consisting of)」及び「から本質的に成る(consisting essentially of)」を含むことができる。特に断りのない限り、本明細書中に使用される全ての技術的且つ科学的な用語は、この開示が属する技術分野における当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有している。本明細書及び下記クレームにおいて、ここで定義しようとする数多くの用語が言及される。
【0129】
本明細書及び添付のクレームに使用されているように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のことを明示しない限り複数の指示内容を含む。従って、例えば「化学添加剤(a chemical additive)」に言及したときには、これは2種又は3種以上の添加剤の混合物を含む。
【0130】
本明細書中に使用される、「組み合わせ(combination)」という用語はブレンド、混合物、合金、反応生成物、及びこれに類するものを含む。
【0131】
範囲は1つの値(第1値)から別の値(第2値)までと表現することができる。このような範囲が表されると、その範囲はいくつかの態様において、第1値及び第2値のうちの一方又は両方を含む。同様に、値が先行詞「約(about)」の使用によって近似値として表される場合、言うまでもなく、その特定の値が別の態様を形成することになる。さらに言うまでもなく、各範囲の端点は他方の端点に関連して、且つ他方の端点から独立して有意である。さらに言うまでもなく、本明細書中に開示された数多くの値があり、そして各値はその値自体に加えて「「約(about)」その特定値」としても開示される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。また、2つの特定の単位間のそれぞれの単位も開示される。例えば10及び15が開示される場合、11,12,13及び14も開示される。
【0132】
本明細書中に使用される「約(about)」及び「~で又は約~で(at or about)」という用語は、当該量又は値が、指定値であってよく、ほぼ指定値であってよく、又は指定値とほぼ同じであってよいことを意味する。本明細書中に使用されるように、特に指示又は暗示のない限り公称値は±10%の変動で示されるものと概ね理解される。この用語は、同様の値が請求項に記載された同等の結果又効果を促進することを伝えようとするものである。すなわち、量、サイズ、処方、パラメータ、及びその他の量及び特性が厳密でなく且つ厳密であることを必要とすることもなく、所望の場合にはこれは近似の且つ/又はより大きい又はより小さい反映許容誤差、換算因子、ラウンドオフ、測定誤差、及びこれに類するものであってよい。一般に、量、サイズ、処方、パラメータ、又はその他の量又は特性は、このようなものであることが明示されているか否かにかかわらず「約(about)」であり「近似(approximate)」である。言うまでもなく、定量値の前に「約(about)」が使用される場合、特に断りのない限り、そのパラメータもまたその特定の定量値自体を含む。
【0133】
本明細書中に使用される「任意追加的な(optional)」又は「任意追加的に(optionally)」という用語は、続いて記された事象又は環境が発生し得るか又は発生し得ないこと、そしてこの記述が、前記事象又は環境が発生する事例と、これが発生しない事例とを含むことを意味する。例えば、「任意追加的な硬化処理(optional curing treatment)」という表現は、硬化処理が施されても施されなくてもよいこと、そしてこの記述が硬化処理が施されているファブリックと、硬化処理を施されていないファブリックとを含むことを意味する。
【0134】
本明細書中に使用される「有効量(effective amount)」という用語は、組成物又は材料の物理特性の所望の改質を達成するのに充分な量を意味する。例えば硬化添加剤の「有効量(effective amount)」は、製剤成分によって調節された特性における所望の改善を達成する、例えば所望の硬化レベルを達成するのに充分な量を意味する。有効量として必要とされる具体的な組成物レベル(wt%)は、例えば選択されるファブリック及び化学的添加剤、並びにファブリック又は衣料品の最終用途を含む(ただしこれらに限定されない。)種々のファクターに依存することになる。
【0135】
開示されているのは、本開示の組成物を調製するのに使用されるべき成分、並びに本明細書に開示された方法において使用されるべき組成物自体である。これらの、そしてその他の材料が本明細書中に開示され、そして言うまでもなく、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されたときに、これらの化合物のそれぞれの種々の個別の及び集合的な組み合わせ、並びに並べ替えに関する具体的な言及を明示的に開示することはできないものの、それぞれの組み合わせ及び並べ替えが具体的に考察され本明細書中に記載される。例えば、具体的な化合物が開示され論議され、その化合物を含む数多くの分子に施すことができる数多くの変更が論議される場合には、特に反対のことが指示されない限り、その化合物のありとあらゆる組み合わせ及び並べ替え、及び可能な変更が具合的に考察される。従ってあるクラスの分子A,B及びC、並びにあるクラスの分子D,E及びFが開示され、そして組み合わせ分子の一例A-Dが開示される場合には、それぞれが個々には述べられていなくてもそれぞれの分子は個々に且つ集合的に考察される。すなわち組み合わせA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、及びC-Fが考慮されて開示される。同様に、これらの任意のサブセット又は組み合わせも開示される。従って、例えばサブグループA-E、B-F、及びC-Eが考慮されて開示されることになる。このようなコンセプトは、例えば開示の組成物を形成し使用する方法における工程を含む(ただしこれらに限定されない。)本出願の全ての態様に当てはまる。このように、実施し得る種々の付加的な工程がある場合、言うまでもなく、これらの付加的な工程のそれぞれは開示の方法の任意の特定の態様又は態様の組み合わせによって実施することができる。
【0136】
明細書及び結びの特許請求の範囲における、組成物又は物品中の特定の元素又は成分の重量部への言及は、重量部が表される組成物又は物品中の元素又は成分と任意の他の元素又は成分との重量関係性を意味する。従って、2重量部の成分Xと5重量部の成分Yを含有する化合物中では、X及びYは重量比2:5で存在し、付加的な成分が化合物中に含有されているか否かとは無関係にこのような比で存在する。
【0137】
特に反対のことが述べられない限り、成分の重量パーセントは、その成分が含まれる製剤又は組成物の総重量を基準とする。
【0138】
本明細書中、相互交換可能に使用することができる「重量パーセント」、「wt%」及び「wt.%」という用語は、特に断りのない限り、組成物の総重量を基準とする所与の化合物の重量パーセントを示す。すなわち、特に断りのない限り、全てのwt%値は組成物の総重量に基づく。言うまでもなく、開示された組成物又は製剤中の全てのwt%値の和は100に等しい。
【0139】
「履物(フットウェア(footwear))」又は「履物物品(article of footwear)」は、足に着用される一種のアパレルを意味することができる。履物は例えば、シューズ、ブーツ、サンダルなどを含んでよい。本明細書中に記載された競技用及び娯楽用履物は、ある特定の活動において着用される例えばスニーカーのようなシューズを意味することができる。履物物品の本明細書中に記載された構成部分は種々異なるシューズ部分を意味することがある。これらの構成部分は、例えば甲革、ヒールカウンター、ミッドソール、つま革、ミッドソール、及びアウトソールを含んでよい。ゴム組成物は、フォクシング(foxing)、ミッドソール、及び/又はアウトソールの構造のための具体例に適していてよい。
【0140】
「phr」という用語は、特に断りのない限り、(ゴム)エラストマー100部当たりの成分の重量部を意味するために使用される。
【0141】
「エラストマー(elastomer)」及び「ゴム(rubber)」は特に断りのない限り、相互交換可能に使用される。
【0142】
「硬化(cure)」及び「加硫(vulcanize)」という用語は特に断りのない限り、相互交換可能に使用される。
【0143】
本明細書中に使用される、所与の成分を「含まない(free of)」又は「実質的に含まない(substantially free of)」という用語は、スチレンブタジエンゴム又はカーボンブラックのような成分が構成部分に添加されていないことを意味することができる。或いは、「実質的に含まない」は、ゴム組成物中に存在する量が閾値を下回ることを意味することもできる。例えば、「実質的に含まない」は、例えば0.1phr未満、0.05phr未満、又は0.01phr未満を意味してよい。「実質的に含まない」は、仮に存在するとしても、検出可能なレベルを下回る量を意味することができる。
【0144】
反対のことを述べるのではない限り、全ての試験基準は、本出願時点で有効な最新の基準である。
【0145】
本明細書中に開示された材料のそれぞれは商業的に利用可能であり、且つ/又はその製造方法が当業者に知られている。
【0146】
言うまでもなく、本明細書中に開示された組成物はある特定の機能を有している。本明細書中には、開示された機能を発揮するためのある特定の構造要件が開示されており、また言うまでもなく、同じ機能を発揮することができ且つ開示された構造に関連している種々の構造が存在し、そしてこれらの構造は典型的には同じ結果に達する。
【0147】

本開示において請求される化合物、組成物、物品、装置、及び/又は方法がどのように形成され評価されるか、その完全な開示及び説明を当業者に提供するために、下記例を示す。これらの例は、純粋に例示を目的としてものであって、開示内容を制限しようとするものではない。数値(例えば量、温度など)に関して正確さを保証しようと努力はしているが、しかし何らかの誤差や偏差は考慮に入れられるべきである。特に断りのない限り、部は重量部であり、温度は℃であるか又は周囲温度であり、そして圧力は大気圧又は大気圧近くである。特に断りのない限り、組成物に関するパーセンテージはwt%である。
【0148】
反応条件、例えば成分濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、及び、記載のプロセスから得られる生成物の純度及び収率を最適化するために用い得る他の反応範囲及び条件の数多くの変更形及び組み合わせがある。このようなプロセス条件を最適化するためには、妥当なルーティン的な試験が必要となるにすぎない。
【0149】
例1
本明細書中に開示された方法に従ってゴム組成物を調製した。天然ゴムとブロモブチルゴムとを予混合し、静止させておいた。非ポリマー成分を組み合わせた。パラフィン系油と、ポリテルペン樹脂と、酸化亜鉛と、ジベンゾチアゾールジスルフィド(DM)とから第2混合物を調製した。ポリエチレングリコールと、2-メルカプトベンゾチアゾール(M)と、シランカップリング剤とを組み合わせた。予混合された天然ゴム及びブロモブチルゴムを添加し、混合した。シリカの半分を添加した。シリカの後の半分をパラフィン系油、ポリテルペン樹脂、ZnO、ジベンゾチアゾールジスルフィドDMに添加し、結果として生じた混合物を、ポリエチレングリコールと、2-メルカプトベンゾチアゾール(M)と、シランカップリング剤との組み合わせに添加し、混合した。
【0150】
結果として生じた混合物を均質化するまでオープンミル処理した。粉砕済ゴムをシートとして形成し、冷却した。これらのシートを複数の部分に分割し、硬化剤が導入される前に貯蔵した。次いでゴムをオープンミル処理し、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)及び遊離硫黄を添加することにより、加硫済ゴムを形成した。
【0151】
表1は、ゴム組成物を形成するための成分及びこれらのそれぞれの量を含む。
【0152】
【表1】
【0153】
比較試料の処方(CS1及びCS2)は(従来型のゴム履物アウトソールのための)従来型のトラクションゴム組成物であり、表2に示されている。
【0154】
【表2】
【0155】
比較試料CS1,CS2及び発明試料に対応するある特定の物理特性の結果が表3に示される。発明試料E1は6つのバッチ(E1a~E1f)で調製された。それぞれの発明試料を、図1に示された表3に記載された特性に対して評価した。
【0156】
硬度値がASTM D2240に基づいて得られてショアA硬度として示され、DIN摩耗値がDIN 53616に基づいて、失われた立方ミリメートル(mm)単位で示され、摩擦係数値がSATRA TM144に基づいて乾燥及び湿潤の状態で示され、ロス・フレックス(Ross flex)値がASTM D1052に基づいて15℃及び室温(RT)で示され、引張強度値がASTM D412に基づいて1立方センチメートル当たりのキログラム(kg/cm)の単位で示され、引張伸び値がASTM D412に基づいて示され、ヤング率値がTM-R-047に基づいてkg/cmで示され、トラウザー引裂値がASTM 624に基づいて1センチメートル当たりのキログラム(kg/cm)の単位で示され、ダイC引裂値がASTM D624に基づいてkg/cmで示され、レジリエンシー値がRTH 458に基づいて示される。比重SGが1立方センチメートル当たりのグラム(g/cc)で示される。縫い目引裂が1センチメートル当たりのキログラム力(kgf/cm)で示される。
【0157】
図示のように、開示されたゴム組成物は、CS1及びCS2よりも概ね低いDIN摩耗値を呈する。さらに、開示されたゴム組成物は、CS1及びCS2よりも高いダイC引裂値を呈する。具体的には、開示された組成物はCS1及びCS2の約2倍の高さのダイC引裂強度値を呈した。
【0158】
例2
100phrの天然ゴムを有する一連のゴム組成物試料を調製した。例2は天然ゴムを有するポリテルペン樹脂の影響を探し出す。ベータ-ピネン誘導型ポリテルペンは天然ゴムの鎖と相互作用する。試料は、ポリテルペンゴムの存在、量、及びタイプに従って変化させた。処方を表4に示す。
【0159】
【表3】
【0160】
結果として得られた試料を種々の物理特性に関して試験し、これらの結果を図2の表5に示す。比較例CS3はポリテルペンの不在以外はE2と同じである。発明試料E2は6つのバッチ(E2a~E2c)で調製した。それぞれの発明試料を表3に示された特性に関して評価した。
【0161】
これらの結果から、ポリテルペンが耐久性及びトラクション特性の両方に影響を与えることが明らかであった。トラクションに関しては、伸び、モジュラス、及びレジリエンスが、ポリテルペンの存在及びタイプに応じて変化するように見えた。伸びはポリテルペンの添加に基づいて増大するように見えたのに対して、観察されたヤング率値は減少した。ヤング率の減少は可撓性の増大に相当する。レジリエンシー値も、ポリテルペンの添加に伴って減少した。耐久性に関しては、ポリテルペンの導入の結果、ダイC引裂が高くなった。これはゴム組成物の引裂強度が高くなったことを示す。
【0162】
例3
100phrの天然ゴムを有する一連のゴム組成物試料を調製した。試料は、ポリテルペンゴムの存在、量、及びタイプに従って変化させた。単独の天然ゴム成分を有する比較製剤(CS4)、及び第1ゴム成分(天然ゴム)と第2ゴム成分(ブロモブチルゴム)とを有する発明試料を表5に示す。
【0163】
【表4】
【0164】
試料を種々の物理特性に関して試験し、これらの結果を図3の表6に示す。試料CS4は、ポリテルペン樹脂の量、及び第2ゴム成分としてのブロモブチルゴムの不在以外は、E3と同様である。
【0165】
これらの結果から、ポリテルペンは耐久性及びトラクション特性の両方に影響を与えることが明らかであった。DIN摩耗、伸び、モジュラス、及びダイC引裂強度は、天然ゴムだけの試料(CS4)と比較して、ゴム成分(E3)としてブロモブチルゴムが存在していることに基づき著しく変化するように見えた。
【0166】
本開示のエレメントの種々の組み合わせ、例えば同じ独立クレームに依存する従属クレームからのエレメントの組み合わせは、本開示により包含される。
【0167】
さらに、理解しなければならないのは、特に明示されていない限り、本明細書に記載された方法が、その工程が特定の順序で実施されることを必要とするものとして解釈されるものでは決してないことである。従って、方法クレームが、ある順序がその工程によって追随されることを実際に述べていない場合、或いは、これらの工程が特定の順序に限定されるべきであることをクレーム又は説明の中で具体的に述べられていない場合には、いかなる関連においてもある順序が暗示されるものでは決してない。このことは、工程の配列又は作業フローに関する論理事項、文法構成又はパンクチュエーションから導き出された平易な意味、及び明細書中に記載された実施態様の数又はタイプを含む、解釈のためのあらゆる可能な非明示的根拠に対しても有効である。
【0168】
本明細書中で述べられた全ての刊行物は、刊行物がそれと関連して引用されている方法及び/又は材料を開示し説明するために参照することにより、本明細書中に援用される。
【0169】
本明細書中に記載された方法例は、少なくとも部分的に機械又はコンピュータによって実行することができる。いくつかの例は、コンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。このような媒体は、上記例において記載された方法を実施するために電子デバイスを設定するように動作可能な指令によってコード化されている。このような方法の実施はコード、例えばマイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コード、又はそれに類するものを含むことができる。このようなコードは、種々の方法を実施するためのコンピュータ可読指令を含むことができる。コードはコンピュータプログラムプロダクトの部分を形成してよい。さらに一例において、コードは、例えば実行中に又は他の時点で1つ又は2つ以上の揮発性、非一時的、又は非揮発性の有形的なコンピュータ可読媒体上に有形的に記憶することができる。これらの有形的なコンピュータ可読媒体の一例としては、ハードディスク、取り外し可能な磁気ディスク、取り外し可能な光学ディスク(例えばコンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリーカード又はスティック、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み出し専用メモリー(ROM)、及びこれに類するものが挙げられる。
【0170】
上記説明は、例示的なものであり、そして非限定的なものとする。例えば上記例(又はこれらのうちの1つ又は2つ以上の態様)を相互の組み合わせで用いることができる。例えば、上記説明を検討して当業者によって他の実施態様を用いることができる。「要約書」は技術開示内容の性質を読者が素早く確認するのを可能にするために、37 C.F.R. §1.72(b)に遵守するように提供される。これは、クレームの範囲又は意味を解釈又は制限するために使用されるのではないという理解を持って提出される。また、上記「詳細な説明」において、種々の特徴をグループ化して開示内容を簡素化することができる。これは、クレームに記載されていない開示特徴が任意のクレームにとっても必須であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は具体的な開示実施態様の全ての特徴よりも少ない特徴の中にあってよい。従って下記クレームは例又は実施態様として「詳細な説明」に組み込まれ、この場合、それぞれのクレームは、別個の実施態様として独立しており、そしてこのような実施態様は種々の組み合わせ又は並べ替えで互いに組み合わせることができると考えられる。開示の範囲は、添付のクレームを参照して、これらの請求項が権利付与されるのと同等のものの全範囲と併せて見極められるべきである。
本開示には、以下に例示される実施形態も開示される。
[実施形態1]
履物のためのゴム組成物であって、前記ゴム組成物が、
約3phr~90phrの天然ゴム成分と、
約10phr~約90phrのブロモブチルゴムと、
約2phr~約6phrのポリテルペン樹脂と、
約0.1phr~約5phrの硫黄硬化成分と、
約10phr~約60phrのシリカと、
約1phr~約10phrの可塑剤と
を含み、
前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を有し、
前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.76~約0.90の乾燥摩擦係数を有し、
前記ゴム組成物が、DIN 53616に従って試験された時に、140を上回るDIN摩耗を有し、そして
前記ゴム組成物が、ASTM D624に従って試験された時に、前記ポリテルペン樹脂が不在である実質的に同様の組成物のダイC引裂強度よりも大きいダイC引裂強度を有する、
ゴム組成物。
[実施形態2]
履物のためのゴム組成物であって、前記ゴム組成物が、
約3phr~100phrの第1ゴム成分と、
約5phr~約100phrの第2ゴム成分と、
約1phr~約10phrの粘着付与樹脂と、
約10phr~約60phrの強化充填剤成分と、
約1phr~約10phrの可塑剤成分と、
約0.1phr~約5phrの硬化成分と
を含み、
前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.4~約0.65の湿潤摩擦係数を有し、
前記ゴム組成物が、SATRA TM144に従って試験された時に、約0.76~約0.90の乾燥摩擦係数を有し、
前記ゴム組成物が、DIN 53616に従って試験された時に、140を上回るDIN摩耗を有し、そして
前記ゴム組成物が、ASTM D624に従って試験された時に、前記粘着付与樹脂が不在である実質的に同様の組成物のダイC引裂強度よりも大きいダイC引裂強度を呈する、
ゴム組成物。
[実施形態3]
前記第1ゴム成分がハロブチルゴムを含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態4]
前記第1ゴム成分がブロモブチルゴムを含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態5]
前記第2ゴム成分が天然ゴムを含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態6]
前記第1ゴム成分がスチレンブタジエンゴムを含まないか、又は実質的に含まない、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態7]
前記第2ゴム成分がスチレンブタジエンゴムを含まないか、又は実質的に含まない、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態8]
前記粘着付与樹脂がポリテルペンを含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態9]
前記粘着付与樹脂がアルファ-ピネン誘導型ポリテルペンポリマーを含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態10]
前記粘着付与樹脂がベータ-ピネン誘導型ポリテルペンポリマーを含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態11]
前記粘着付与樹脂が約2phr~約6phrの量で存在する、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態12]
前記ゴム組成物がカーボンブラックを含まないか、又は実質的に含まない、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態13]
前記強化充填剤成分がシリカを含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態14]
前記強化充填剤成分がさらに、シランカップリング剤を含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態15]
前記可塑剤成分がパラフィン系油を含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態16]
前記可塑化成分がナフテン系鉱油を含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態17]
前記硬化成分が遊離硫黄又は硫黄供与体を含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態18]
前記硬化成分がさらに硬化助剤を含む、実施形態2に記載のゴム組成物。
[実施形態19]
前記ゴム組成物が、ブロモブチルゴムが不在である実質的に同様の組成物の伸びパーセントよりも大きい伸びパーセントを呈する、実施形態1に記載のゴム組成物。
[実施形態20]
履物のためのゴム組成物を形成する方法であって、前記方法が、
約3phr~90phrの第1ゴム成分と、
約10phr~約90phrの第2ゴム成分と、
約3phr~約6phrのポリテルペン樹脂と、
約10phr~約60phrのシリカと、
約0.1phr~約15phrの硬化成分と、
約1phr~約10phrの可塑剤と
を組み合わせることにより第1ゴム混合物を形成し、
前記第1ゴム混合物を硬化剤と組み合わせることにより第2ゴム混合物を提供し、そして、
前記第2ゴム混合物に硬化プロセスを施すことにより前記ゴム組成物を提供する
ことを含む、履物のためのゴム組成物を形成する方法。
図1
図2
図3