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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】補助推進システム、方法およびシャーシ
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20220119BHJP
   B60B 19/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B62B3/00 G
B60B19/00 H
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019087485
(22)【出願日】2019-05-07
(62)【分割の表示】P 2016514395の分割
【原出願日】2014-05-21
(65)【公開番号】P2019163034
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2019-05-07
(31)【優先権主張番号】13168603.2
(32)【優先日】2013-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515045385
【氏名又は名称】アルジョ アイピー ホールディング アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Arjo IP Holding Aktiebolag
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨルゲン ヨンソン
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/087115(WO,A1)
【文献】特開2002-193105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0159861(US,A1)
【文献】米国特許第06000486(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02343428(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00-5/08,
B60B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面(S)に沿って移動可能な患者取り扱い機器の車輪付きシャーシのための補助推進システム(10)であって、前記補助推進システムは、
マウント(30)と、
前記マウント(30)を介して前記シャーシ(60)に連結可能であり、かつ、前記表面(S)に沿って前記シャーシに補助推進力を提供するように配列される駆動部(20)であって、前記マウント(30)は、前記表面(S)に対して実質的に垂直な方向に、前記駆動部の少なくとも駆動部分(21)を前記シャーシ(60)から実質的に切り離し、前記補助推進力を提供する間に、前記駆動部の少なくとも前記駆動部分(21)を前記表面(S)上に方向付けるための弾性ばね力を印加するように配列される、駆動部(20)と、
前記駆動部(20)の動作を制御するように配列されるコントローラ(40)と、
センサ(50)であって、
i)前記駆動部の少なくとも一部の加速度を監視することと、
ii)前記加速度に関するデータを前記コントローラに伝えることと
を行うように配列されるセンサ(50)と
を備え、前記コントローラは、前記シャーシの操作者から制御入力を受信するように配列され、前記コントローラは、前記制御入力に依存して動力補助推進力を提供するように配列され、前記コントローラは、前記動力補助推進力の方向が前記操作者から受信された後続の制御入力を用いて印加される力の方向と反対である場合に、前記駆動部(20)の動力の低減をもたらすか前記駆動部分を切り離すように配列され、
前記コントローラは、前記制御入力からの前記駆動部(20)の速度および/または加速度への変更を決定するように配列され、前記制御入力前記センサから受信された前記データと比較することによって、前記変更の大きさを決定するように配列される、補助推進システム。
【請求項2】
前記マウント(30)を介して前記シャーシ(60)に連結可能である一対の駆動部を備え、前記一対の駆動部(20)のそれぞれの前記駆動部分(21)は、前記表面(S)に実質的に平行な平面内で互いに離間し、かつ前記表面(S)に対して実質的に垂直な方向に前記シャーシ(60)から独立して動作可能でありかつ独立して切り離される、請求項1に記載の補助推進システム。
【請求項3】
前記駆動部分は、前記表面(S)に向かうかまたは前記表面(S)から離れる方向を除く全ての方向に前記駆動部分(21)から前記マウントに力を伝達するために、前記駆動部分が配向を固定されて、前記表面に向かうかまたは前記表面から離れる方に前記シャーシから独立して移動可能であるように、前記マウント(30)に実質的に固定されて接続され、それにより、前記切り離しは、実質的に前記表面(S)に向かうかまたは前記表面(S)から離れる方向の力を実質的に吸収するように前記駆動部分(21)を前記弾性ばね力下で移動させるように構成される、請求項1または請求項2に記載の補助推進システム。
【請求項4】
表面に沿ってペイロードを運搬するための患者取り扱い機器のシャーシであって、
前記表面(S)上で前記シャーシを支持するための、前記シャーシ(60)の周りに配置される複数の車輪(62)と、
請求項1~3のいずれか一項に記載の補助推進システムと
を備えるシャーシ。
【請求項5】
前記マウント(30)は、弾性ばね連結部(4)を有し、前記駆動部の少なくとも前記駆動部分(21)は、固定された配向を有し、前記シャーシ(60)および前記複数の車輪(62)とは独立して前記表面に向かう方向に移動可能であり、前記弾性ばね連結部(4)は、前記補助推進力を提供する間に、前記駆動部の少なくとも前記駆動部分(21)を前記表面(S)上に方向付けるように配列される、請求項4に記載のシャーシ。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のシャーシを組み込む患者取り扱い機器であって、車輪付きベッド、トロリー、可動式スリングリフト、ホイスト、可動性フレーム、起立補助デバイス、受動的患者リフタ、能動的患者リフタ、または衛生椅子のうちの1つから選択される患者取り扱い機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、補助推進システムを有するシャーシおよび補助推進システム、ならびに箱、人、動物、および同等物等のペイロードの移動等の手動輸送動作において補助推進力を提供することにおける使用に特に適用可能な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ペイロード輸送システムは、サイズ、ペイロード容量および複雑性において大きく変動する。手動で操作されるペイロード輸送システムは、一般に、使用が簡単、制御可能、かつ応答性であるように設計される。しかしながら、特定の環境において意図されるペイロードを運搬し得るシステムにおいてこれらの要望のバランスをとることは、多くの場合、困難である。
【0003】
例えば、ヘルスケア環境における患者の取り扱いおよび輸送を考える。手動による患者の取り扱いは、介護者の特に腰に危険なほど高い負担を与え、負傷の可能性をもたらす。このため、1つの場所から別の場所への患者の移送のための患者取り扱い機器が開発されている。これらは、例えば、車輪付きベッドおよびトロリーから、可動式スリングおよびホイスト、可動性フレーム、ならびに同様のデバイスまで様々である。このような機器は、現在、病院、ケアホーム、および個人の住居を含む多くの状況において、毎日の作業で使用されている。そのような機器の正しい使用は、介護者に対する負傷のリスク、ならびに患者に対するスリップ、転倒、捻挫および打撲のリスクもまた大きく低減し得る。
【0004】
しかしながら、そのような機器の導入は、問題がないわけではない。手動の病院ベッド等は重く、操作者が所望の方向に可能な限り押す努力をしても、移動し始める、または停止させるのが困難であり、方向付けるのが困難で「思い通りにならない」ことは、周知である。さらに、病院環境において有用となり得る機器は、住居環境における使用に好適ではない可能性があり、これは、例えば、同じまたは同様の目的で使用されるにもかかわらず、異なる環境においては異なる機器が必要となり得ることを意味する。
【0005】
動力式または動力補助推進システムが開発されており、両方とも、例えば、ベッドフレーム、担架、ホイスト、または同等物の機器のシャーシに内蔵されたシステム、または既存のシャーシに追加されるデバイスとしての形態である。一般的に有用ではあるが、そのようなシステムは、シャーシが移動し得る全ての方向に推進力を提供しないことが多い。その結果、推進システムは、推進システムにより網羅されていない方向(例えば、横方向)にシャーシが移動される場合、無効化されなければならない。
【0006】
この問題に対応するために、いくつかの動力補助推進システムが導入されている。しかしながら、多くの場合、操作者(シャーシを駆動させる介護者または他の人物)は、依然として、動力補助推進システムを操作するためのユーザインターフェースの固定された位置に起因して、シャーシをある特定の位置から駆動させる必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明の一側面によれば、駆動部を介して表面に沿って車輪付きシャーシに推進力を提供する方法であって、
駆動部の動作を監視するステップと、
駆動部の動作から、表面の1つ以上の特性を決定するステップと、
該決定された1つ以上の特性に依存して、駆動部の動作を制御するステップと、
を含む、方法が提供される。
【0008】
動作を監視するステップは、表面上を通過するときの駆動部の少なくとも一部の加速度を監視するステップを含んでもよい。
【0009】
本方法は、
複数の表面型特徴をコードするデータレポジトリにアクセスするステップであって、各表面型特徴は、該表面型上での動作時の駆動部の加速度に関するデータを含む、ステップと、
該表面型特徴に依存して、加速度を分類するステップと、
動作を制御するステップのために、表面型特徴分類に関連した該1つ以上の動作パラメータを特定するステップと、
をさらに含んでもよい。
【0010】
駆動部は、シャーシが表面に沿って推進するにつれて、表面を横切って移動する要素を含んでもよく、要素は、表面の硬度特性に依存して駆動部の少なくとも一部の該加速度の変化をもたらし、本方法は、要素によりもたらされた加速度を決定し、要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するステップをさらに含む。
【0011】
本方法は、サンプリング頻度において加速度計をサンプリングし、該加速度を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0012】
本方法は、駆動部に印加される動力の移動平均により加速度を平均するステップと、それぞれが表面型特徴に対応する所定の振幅範囲を有するデータレポジトリに対して、検出された振幅を関連付けるステップとをさらに含んでもよい。
【0013】
本方法は、駆動部の角速度、測定の瞬間の駆動部のモータへの印加電力、シャーシの負荷、シャーシの上り傾斜角度、シャーシの下り傾斜角度、および周囲温度を含むセットから選択される1つ以上の特性を監視するステップと、
該監視された特性から、表面の1つ以上の特性を決定するステップと、をさらに含む。
【0014】
本発明の別の側面によれば、表面に沿ってペイロードを運搬するためのシャーシであって、
表面上のシャーシを支持するための、シャーシの周りに配置される複数の車輪と、
表面に沿ってシャーシに少なくとも補助推進力を提供するように配列される駆動部と、
駆動部の動作を監視するように配列されるセンサと、
駆動部の動作に関するセンサからのデータから、表面の1つ以上の特性を決定し、該決定された1つ以上の特性に依存して、駆動部の動作を制御するように配列されるコントローラと、を備える、シャーシが提供される。
【0015】
駆動部は、駆動部分を含んでもよく、駆動部の少なくとも駆動部分は、弾性ばね連結部を有するマウントを介してシャーシに接続され、駆動部の少なくとも駆動部分は、固定された配向を有し、シャーシおよび複数の車輪とは独立して表面に向かう方向に移動可能であり、弾性ばね連結部は、該補助推進力を提供する間に、駆動部の少なくとも駆動部分を表面上に方向付けるように配列される。
【0016】
駆動部は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面にわたり移動し、表面の硬度特性に依存して駆動部の該加速度の変化をもたらす要素を含んでもよく、センサは、要素の動作を監視するように配列され、プロセッサは、要素によりもたらされた加速度を決定するため、および要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される。
【0017】
駆動部は、駆動部分とは別個である、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面を横切って移動する要素を含んでもよく、要素は、表面の硬度特性に依存して加速度の変化を受け、センサは、要素の動作を監視するように配列され、プロセッサは、要素によりもたらされた加速度を決定するため、および要素の決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される。
【0018】
コントローラは、該加速度に関するデータに依存して、表面の1つ以上の特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成されるプロセッサを含んでもよく、コントローラは、表面の特性に依存して、駆動部の動作を制御するように構成される。
【0019】
シャーシは、複数の表面型特徴をコードするデータレポジトリをさらに備えてもよく、各表面型特徴は、該表面型に対する加速度に関するデータを含む。
【0020】
各表面型特徴は、データレポジトリにおいて、コントローラの1つ以上の動作パラメータと関連してもよく、プロセッサは、データレポジトリにアクセスし、該表面型特徴に依存して、該センサから受信した該加速度に関するデータを分類し、表面型特徴分類に関連したコントローラの該1つ以上の動作パラメータを特定するようにコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、プロセッサは、該1つ以上の動作パラメータをコントローラに伝えて駆動部の動作を制御するための、コンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される。
【0021】
要素は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、要素が表面上を通過する際、加速度の変化をもたらす不均一部を備えてもよい。
【0022】
駆動部分は、複数の該要素を備えてもよい。
【0023】
センサは、加速度計、MEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、電気センサ、多方向駆動部に動力供給するモータを監視するシステム、および変位検出器の1つ以上を含んでもよい。
【0024】
コントローラは、シャーシの操作者から制御入力を受信するように構成されてもよく、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、駆動部の動作を制御するように配列される。
【0025】
コントローラは、制御入力からの駆動部の速度および/または加速度への変更を決定するように構成されてもよく、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、該変更の大きさを決定するように配列される。
【0026】
シャーシは、一対の駆動部を備えてもよく、一対の駆動部は、表面に実質的に平行な平面内で互いに離間し、互いに独立している。
【0027】
マウントは、駆動部分からシャーシに、実質的に表面に向かう、またはそこから離れる方向を除く全ての方向に力を伝達するように配列されてもよく、弾性ばね連結部は、実質的に表面に向かうか、またはそこから離れる該方向における駆動部分からの力に対する減衰効果を付与するように構成される。
【0028】
弾性ばね連結部は、ガスばね、圧縮ばね、引張ばね、能動的制御圧力圧縮空気シリンダの1つ以上を備えてもよい。
【0029】
本発明の別の側面によれば、上述のようなシャーシを組み込んだ患者取り扱い機器が、提供される。
【0030】
患者取り扱い機器は、車輪付きベッド、トロリー、可動式スリングリフト、ホイスト、可動性フレーム、起立補助デバイス、受動的患者リフタ、能動的患者リフタ、または衛生椅子から選択される1つを備えてもよい。
【0031】
本発明の別の側面によれば、表面に沿って移動可能な車輪付きシャーシのための補助推進システムであって、マウントを通じてシャーシに連結可能であり、表面に沿ってシャーシに補助推進力を提供するように配列される駆動部であって、マウントは、表面に対して実質的に垂直な方向に、駆動部の少なくとも駆動部分をシャーシから実質的に切り離し、該補助推進力を提供する間に、駆動部の少なくとも駆動部分を表面上に方向付けるための弾性ばね力を印加するように配列される、駆動部と、
駆動部の動作を制御するように配列されるコントローラと、
駆動部の少なくとも一部の加速度を監視し、該加速度に関するデータをコントローラに伝えるように配列されるセンサと、
を備え、コントローラは、センサから受信したデータに依存して、駆動部の動作を制御するように配列される、補助推進システムが、提供される。
【0032】
コントローラは、該加速度に関するデータに依存して、表面の1つ以上の特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成されるプロセッサを含んでもよく、コントローラは、表面の特性に依存して、駆動部の動作を制御するように配列される。
【0033】
補助推進システムは、複数の表面型特徴をコードするデータレポジトリをさらに備えてもよく、各表面型特徴は、該表面型上での動作時の駆動部の加速度に関するデータを含む。
【0034】
各表面型特徴は、データレポジトリにおいて、コントローラの1つ以上の動作パラメータと関連してもよく、プロセッサは、データレポジトリにアクセスし、該表面型特徴に依存して、該センサから受信した該加速度に関するデータを分類し、表面型特徴分類に関連したコントローラの該1つ以上の動作パラメータを特定するようにコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、プロセッサは、該1つ以上の動作パラメータをコントローラに伝えて駆動部の動作を制御するための、コンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される。
【0035】
駆動部分は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面を横切って移動し、表面の硬度特性に依存して駆動部の該加速度の変化をもたらす要素を含んでもよく、プロセッサは、要素によりもたらされた加速度を決定するため、および要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される。
【0036】
駆動部は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面にわたり移動する、駆動部分とは別個である要素を含んでもよく、要素は、表面の硬度特性に依存して加速度の変化を受け、センサは、要素の動作を監視するように配列され、プロセッサは、要素によりもたらされた加速度を決定するため、要素の決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される。
【0037】
要素は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面上を通過する不均一部を備えてもよい。
【0038】
補助推進システムは、複数の該要素を備えてもよい。
【0039】
センサは、加速度計、MEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、電気センサ、多方向駆動部に動力供給するモータを監視するシステム、および変位検出器の1つ以上を含んでもよい。
【0040】
コントローラは、シャーシの操作者から制御入力を受信するように配列されてもよく、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、多方向駆動部の動作を制御するように配列される。
【0041】
コントローラは、制御入力からの多方向駆動部の速度および/または加速度への変更を決定するように配列されてもよく、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、該変更の大きさを決定するように配列される。
【0042】
補助推進システムは、マウントを通じてシャーシに連結可能である一対の駆動部を備えてもよく、一対の駆動部のそれぞれの駆動部分は、表面に実質的に平行な平面内で互いに離間し、独立して動作可能であり、表面に対して実質的に垂直な方向にシャーシから独立して切り離される。
【0043】
駆動部分は、駆動部分からマウントに、表面に向かうか、またはそこから離れる方向を除く全ての方向に力を伝達するために、実質的に固定されて接続されてもよく、それにより、該切り離しは、駆動部分を、弾性ばね力下で、実質的に表面に向かう、またはそこから離れる力の方向を実質的に吸収するように移動させるように構成される。
【0044】
マウントは、弾性ばね力を提供するための弾性ばね連結部を含んでもよく、弾性ばね連結部は、ガスばね、圧縮ばね、引張ばね、能動的制御圧力圧縮空気シリンダの1つ以上を備える。
【0045】
患者取り扱い機器は、ますます、非常に柔らかい床から非常に硬い床までの多種多様な床で使用されることが予測される。患者取り扱い機器が、機器に患者が吊るされた状態で非常に柔らかい床で使用される場合、操作者(例えば介護者)は、床の上で機器を移動させるためには、非常に硬い床の上での移動と比較してはるかに大きい動力が必要であると感知する。
【0046】
本発明の実施形態において、補助推進システムは、非常に柔らかい床と非常に硬い床との間等の異なる環境において一貫して作業するために、床の特性を感知してそれを考慮するように配列される。有利なことに、操作者への一貫した体感を提供することは、操作者により優しいだけではなく、機器が運搬するのにより安全であり、制御するのにより予測可能であることも意味する(例えば、押すのがどれほど困難であるのかを決定する際に、操作者は、床の種類を考慮する必要がない)。
【0047】
シャーシに全方向駆動部を提供する1つの手法は、第US4,598,782号において開示されているように、Mecanum車輪と呼ばれる車輪の種類を使用することである。Mecanum車輪は、その外周に一連のローラが取り付けられた従来の車輪である。これらのローラは、典型的には、車輪の回転軸に平行な面において、車輪の面に対して45°の回転軸を有する。ローラの回転軸は、(車輪の)回転軸に平行な面において、車輪の回転「面」に対して上り傾斜している。Mecanum車輪付き車両の全方向の動きは、各車輪の角速度、および回転の方向を適切に制御することにより達成される。
【0048】
4つのMecanum車輪が特定のパターンで配列された場合、それらは、面の全ての方向に移動し、同じ面内で回転することができる、3自由度でプラットフォームを形成する。第WO2006/062905号は、そのようなプラットフォームを説明している。全ての車輪が等しい角速度で同じ方向に回転すると、車両の前方/後方の動きが達成される。同じ側の車輪が互いに対抗するように回転させることにより、車両の側方の動きが達成される。例えば、車両の回転、対角線上の移動等のみをもたらす速度/回転の組み合わせが存在する。
【0049】
プラットフォームに全方向特性を提供するためにMecanum車輪を使用する場合、シャーシの4つのコーナーに分配された4つの車輪のセットを使用することが通例である。対照的に、本発明の好ましい実施形態は、2つのMecanum車輪のみを含み、したがって動力補助推進システムのコストおよび複雑性を有利に低減する。典型的な4つから2つへの使用されるMecanum車輪の数の低減は、そのようなシステムのコストおよび複雑性を低減する直接的な影響を有し、そして動力補助推進システムが、より多くの用途/機器の種類において経済的に実現可能となることを意味する。
【0050】
Mecanum車輪の1つの問題は、それらが完全な円形ではないこと、および機器により取り扱われるペイロード(患者)が、車輪外周におけるこれらの不規則性を、Mecanum車輪付き機器により移動された際の「揺れが大きい乗り心地」として体感することである。
【0051】
本発明の一実施形態において、キャスタ等のシャーシの車輪により支持されたシャーシ上またはシャーシ内でペイロードが輸送されるシステムが提供される。好ましくは車輪から独立した駆動部が、例えば1つ以上の動力供給されたMecanum車輪を使用して、任意の1つの時点でシャーシを1つまたはそれを上回る以上の複数の方向へ推進させるために提供される。駆動部は、シャーシのペイロードから切り離される。有利には、そのようなシステムは、Mecanum車輪の多方向駆動能力からの利益を得る一方で、ペイロードを、Mecanum車輪を使用するシステムに内在する「揺れの大きい」乗り心地に曝すことを回避する。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
駆動部を通じて表面に沿って車輪付きシャーシに推進力を提供する方法であって、
前記駆動部の動作を監視するステップと、
前記駆動部の動作から、前記表面の1つ以上の特性を決定するステップと、
前記決定された1つ以上の特性に依存して、前記駆動部の動作を制御するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記動作を監視するステップは、前記表面上を通過するときの前記駆動部の少なくとも一部の加速度を監視するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
複数の表面型の特徴をコードするデータレポジトリにアクセスするステップであって、各表面型の特徴は、前記表面型上で動作するときの駆動部の加速度に関するデータを含む、ステップと、
前記表面型の特徴に依存して、前記加速度を分類するステップと、
前記動作を制御するステップのために、前記表面型の特徴の分類に関連した1つ以上の前記動作のパラメータを識別するステップと、
をさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記駆動部は、前記シャーシが前記表面に沿って推進するとき、前記表面を横切って移動する要素を含み、前記要素は、前記表面の硬度特性に依存して前記駆動部の少なくとも一部の前記加速度の変化をもたらし、前記方法はさらに、前記要素によりもたらされた前記加速度を決定し、前記要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、前記表面の硬度特性を決定するステップを含む、項目1、2、または3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
サンプリング頻度において加速度計をサンプリングし、前記加速度を決定するステップをさらに含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記駆動部に印加される動力の移動平均により前記加速度を平均するステップと、それぞれが表面型の特徴に対応する所定の振幅範囲を有するデータレポジトリに対して、検出された振幅を関連付けるステップとをさらに含む、項目4または5に記載の方法。
(項目7)
前記駆動部の角速度、測定の瞬間の前記駆動部のモータへの印加電力、前記シャーシの負荷、前記シャーシの上り傾斜角度、前記シャーシの下り傾斜角度、および周囲温度を含むセットから選択される1つ以上の特性を監視するステップと、
前記監視された特性から、前記表面の1つ以上の特性を決定するステップと、
をさらに含む、項目4、5、または6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
表面に沿ってペイロードを運搬するためのシャーシであって、
前記表面上の前記シャーシを支持するための、前記シャーシの周りに配置される複数の車輪と、
前記表面に沿って前記シャーシに少なくとも補助推進力を提供するように配列される駆動部と、
前記駆動部の動作を監視するように配列されるセンサと、
前記駆動部の動作に関する前記センサからのデータから、前記表面の1つ以上の特性を決定し、前記決定された1つ以上の特性に依存して、前記駆動部の動作を制御するように配列されるコントローラと、
を備える、シャーシ。
(項目9)
前記駆動部は、駆動部分を含み、前記駆動部の少なくとも前記駆動部分は、弾性ばね連結部を有するマウントを通じて前記シャーシに接続され、前記駆動部の少なくとも前記駆動部分は、固定された配向を有し、そして前記シャーシおよび前記複数の車輪とは独立して前記表面に向かう方向に移動可能であり、前記弾性ばね連結部は、前記補助推進力を提供する間に、前記駆動部の少なくとも前記駆動部分を前記表面上に方向付けるように配列される、項目8に記載のシャーシ。
(項目10)
前記駆動部は、前記駆動部分が前記表面に沿って前記シャーシを推進するとき、前記表面を横切って移動し、そして前記表面の硬度特性に依存して前記駆動部の前記加速度における変化をもたらす要素を含み、前記センサは、前記要素の動作を監視するように配列され、前記プロセッサはさらに、前記要素によりもたらされた前記加速度を決定するため、および前記要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、前記表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成される、項目9に記載のシャーシ。
(項目11)
前記駆動部は、前記駆動部分とは別個であって、前記駆動部分が前記表面に沿って前記シャーシを推進するとき、前記表面を横切って移動する要素を含み、前記要素は、前記表面の硬度特性に依存して加速度の変化を受け、前記センサは、前記要素の動作を監視するように配列され、前記プロセッサはさらに、前記要素によりもたらされた前記加速度を決定するため、および前記要素の決定された加速度に依存して、前記表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成される、項目9に記載のシャーシ。
(項目12)
前記コントローラは、前記加速度に関するデータに依存して、前記表面の1つ以上の特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成されるプロセッサを含み、前記コントローラは、前記表面の前記特性に依存して、前記駆動部の動作を制御するように配列される、項目10または11に記載のシャーシ。
(項目13)
複数の表面型の特徴をコードするデータレポジトリをさらに備え、各表面型の特徴は、前記表面型に対する加速度に関するデータを含む、項目12に記載のシャーシ。
(項目14)
各表面型の特徴は、前記データレポジトリにおいて、前記コントローラの1つ以上の動作パラメータと関連し、前記プロセッサは、前記データレポジトリにアクセスし、前記表面型の特徴に依存して、前記センサから受信した前記加速度に関するデータを分類し、表面型の特徴分類に関連した前記コントローラの前記1つ以上の動作パラメータを識別するようにコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、前記プロセッサはさらに、前記1つ以上の動作パラメータを前記コントローラに伝えて前記駆動部の動作を制御するための、コンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される、項目13に記載のシャーシ。
(項目15)
前記要素は、前記駆動部分が前記表面に沿って前記シャーシを推進するとき、前記要素が前記表面上を通過する際、加速度における変化をもたらす不均一部を備える、項目10から14のいずれか1項に記載のシャーシ。
(項目16)
前記駆動部分は、複数の前記要素を備える、項目10または15に記載のシャーシ。
(項目17)
前記センサは、加速度計、MEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、電気センサ、多方向駆動部に動力供給するモータを監視するシステム、および変位検出器の1つ以上を含む、項目5から16のいずれか1項に記載のシャーシ。
(項目18)
前記コントローラは、前記シャーシの操作者から制御入力を受信するように配列され、前記制御入力および前記センサから受信したデータに依存して、前記駆動部の動作を制御するように配列される、項目5から17のいずれか1項に記載のシャーシ。
(項目19)
前記コントローラは、前記制御入力からの前記駆動部の速度および/または加速度への変更を決定するように配列され、前記制御入力および前記センサから受信した前記データに依存して、前記変更の大きさを決定するように配列される、項目18に記載のシャーシ。(項目20)
一対の駆動部を備え、前記一対の駆動部は、前記表面に実質的に平行な平面内で互いに離間し、かつ互いに独立している、項目5から19のいずれか1項に記載のシャーシ。
(項目21)
前記マウントは、前記駆動部分から前記シャーシに、実質的に前記表面に向かうか、またはそこから離れる方向を除く全ての方向に力を伝達するように配列され、前記弾性ばね連結部は、実質的に前記表面に向かうか、またはそこから離れる前記方向における前記駆動部分からの力に対する減衰効果を付与するように構成される、項目5から20のいずれか1項に記載のシャーシ。
(項目22)
前記弾性ばね連結部は、ガスばね、圧縮ばね、引張ばね、能動的制御圧力圧縮空気シリンダの1つ以上を備える、項目21に記載のシャーシ。
(項目23)
項目5から22のいずれか1項に記載のシャーシを組み込んだ、患者取り扱い機器。
(項目24)
車輪付きベッド、トロリー、可動式スリングリフト、ホイスト、可動性フレーム、起立補助デバイス、受動的患者リフタ、能動的患者リフタ、または衛生椅子から選択される1つを備える、項目23に記載の患者取り扱い機器。
(項目25)
表面に沿って移動可能な車輪付きシャーシのための補助推進システムであって、
マウントを通じて前記シャーシに連結可能であり、そして前記表面に沿って前記シャーシに補助推進力を提供するように配列される駆動部であって、前記マウントは、前記表面に対して実質的に垂直な方向に、前記駆動部の少なくとも駆動部分を前記シャーシから実質的に切り離し、前記補助推進力を提供する間に、前記駆動部の少なくとも前記駆動部分を前記表面上に方向付けるための弾性ばね力を印加するように配列される、駆動部と、
前記駆動部の動作を制御するように配列されるコントローラと、
前記駆動部の少なくとも一部の加速度を監視し、前記加速度に関するデータを前記コントローラに伝えるように配列されるセンサと、
を備え、前記コントローラは、前記センサから受信した前記データに依存して、前記駆動部の動作を制御するように配列される、補助推進システム。
(項目26)
前記コントローラは、前記加速度に関するデータに依存して、前記表面の1つ以上の特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成されるプロセッサを含み、前記コントローラは、前記表面の前記特性に依存して、前記駆動部の動作を制御するように配列される、項目25に記載の補助推進システム。
(項目27)
複数の表面型の特徴をコードするデータレポジトリをさらに備え、各表面型の特徴は、前記表面型上で動作するときの駆動部の加速度に関するデータを含む、項目26に記載の補助推進システム。
(項目28)
各表面型の特徴は、前記データレポジトリにおいて、前記コントローラの1つ以上の動作パラメータと関連し、前記プロセッサは、前記データレポジトリにアクセスし、前記表面型の特徴に依存して、前記センサから受信した前記加速度に関するデータを分類し、表面型の特徴の分類に関連した前記コントローラの前記1つ以上の動作パラメータを識別するようにコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、前記プロセッサはさらに、前記1つ以上の動作パラメータを前記コントローラに伝えて前記駆動部の動作を制御するための、コンピュータプログラムコードを実行するように構成される、項目27に記載の補助推進システム。
(項目29)
前記駆動部分は、前記駆動部分が前記表面に沿って前記シャーシを推進させるにつれて、前記表面にわたり移動し、前記表面の硬度特性に依存して前記駆動部の前記加速度の変化をもたらす要素を含み、前記プロセッサはさらに、前記要素によりもたらされた前記加速度を決定するため、および前記要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、前記表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成される、項目25、26、27、または28に記載の補助推進システム。
(項目30)
前記駆動部は、前記駆動部分が前記表面に沿って前記シャーシを推進するとき、前記表面を横切って移動する、前記駆動部分とは別個である要素を含み、前記要素は、前記表面の硬度特性に依存して加速度の変化を受け、前記センサは、前記要素の動作を監視するように配列され、前記プロセッサはさらに、前記要素によりもたらされた前記加速度を決定するため、および前記要素の決定された加速度に依存して、前記表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成される、項目25、26、27、または28に記載の補助推進システム。
(項目31)
前記要素は、前記駆動部分が前記表面に沿って前記シャーシを推進するとき、前記表面上を通過する不均一部を備える、項目29または30に記載の補助推進システム。
(項目32)
複数の前記要素をさらに備える、項目29、30、または31に記載の補助推進システム。
(項目33)
前記センサは、加速度計、MEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、電気センサ、多方向駆動部に動力供給するモータを監視するシステム、および変位検出器の1つ以上を含む、項目25から32のいずれか1項に記載の補助推進システム。
(項目34)
前記コントローラは、前記シャーシの操作者から制御入力を受信するように配列され、前記制御入力および前記センサから受信したデータに依存して、前記多方向駆動部の動作を制御するように配列される、項目25から33のいずれか1項に記載の補助推進システム。
(項目35)
前記コントローラは、前記制御入力からの前記多方向駆動部の速度および/または加速度への変更を決定するように配列され、前記制御入力および前記センサから受信した前記データに依存して、前記変更の大きさを決定するように配列される、項目34に記載の補助推進システム。
(項目36)
マウントを通じて前記シャーシに連結可能である一対の駆動部を備え、前記一対の駆動部のそれぞれの前記駆動部分は、前記表面に実質的に平行な平面内で互いに離間し、かつ独立して動作可能であり、そして前記表面に対して実質的に垂直な方向に前記シャーシから独立して切り離される、項目25から35のいずれか1項に記載の補助推進システム。
(項目37)
前記駆動部分は、前記駆動部分から前記マウントに、前記表面に向かうか、またはそこから離れる方向を除く全ての方向に力を伝達するために、前記マウントに実質的に固定されて接続され、それにより、前記切り離しは、前記駆動部分を、前記弾性ばね力下で、実質的に前記表面に向かうか、またはそこから離れる力の方向を実質的に吸収するように移動させるように構成される、項目28から36のいずれか1項に記載の補助推進システム。(項目38)
前記マウントは、前記弾性ばね力を提供するための弾性ばね連結部を含み、前記弾性ばね連結部は、ガスばね、圧縮ばね、引張ばね、能動的制御圧力圧縮空気シリンダの1つ以上を備える、項目37に記載の補助推進システム。
【図面の簡単な説明】
【0052】
ここで、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を単なる例として説明する。
図1図1は、本発明の実施形態によるシャーシ用の補助推進システムの概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態による補助推進システムを含むシャーシの概略図である。
図3図3a-cは、推進されているときの図2のシャーシの選択された側面を図示する側面図である。
図4図4は、操作者の制御下にあるときの図2のシャーシの選択された側面を図示する平面図である。
図5a図5aは、図1の補助推進システムまたは図2のシャーシにおける使用のためのMecanum車輪の好ましい構成を示す図である。
図5b図5bは、本発明の実施形態における使用に好適なMecanum車輪の代替の構成を図示する平面図である。
図6図6は、操作者の制御下にあるときの図2のシャーシの選択された側面を示す平面図である。
図7図7は、本発明の実施形態による方法の動作の側面を示す図である。
図8図8-10は、本発明の代替の実施形態の選択された特徴を示す図である。
図9図8-10は、本発明の代替の実施形態の選択された特徴を示す図である。
図10図8-10は、本発明の代替の実施形態の選択された特徴を示す図である。
図11図11は、本発明の代替の実施形態の選択された特徴を図示する平面図である。
図12図12a-cは、本発明の代替の実施形態の選択された特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
(詳細な説明)
図1は、本発明の実施形態による車輪付きシャーシ用の補助推進システムの概略図である。補助推進システム10は、図2および3a-3cに示されるように、マウント30を介してシャーシに連結可能である駆動部20を含む。補助推進システム10は、表面Sに沿ってシャーシに補助推進力を提供するように配列される。
【0054】
マウント30は、表面Sに対して実質的に垂直な方向Aに、駆動部の少なくとも駆動部分21をシャーシから実質的に切り離し、そして該補助推進力を提供する間に、駆動部の少なくとも駆動部分21を表面S上に方向付けるための弾性ばね力を印加するように配列される。
【0055】
補助推進システムは、駆動部の動作を制御するように配列されるコントローラ40を含み、駆動部は、好ましくは、コントローラの制御下にない場合、外力下で自由に移動する(したがって、例えば、手動で押すことができ、実質的に抵抗しない)。補助推進システムはまた、駆動部の加速度を監視し、該加速度に関するデータをコントローラ40に伝えるように配列されるセンサ50を含む。駆動部20は、駆動部分を表面Sに沿って推進させるための1つ以上のモータ22を含んでもよく、または、駆動連結部によりモータに接続されてもよい。
【0056】
好ましくは、コントローラは、センサから受信したデータに依存して、駆動部のモータの動作を制御するように配列される。一実施形態において、コントローラは、フィードバックループの形式で動作する。
【0057】
随意に、表面特性の感知に加えて、センサは、外部の手動による力(例えば、シャーシに印加されるもの)による駆動部の加速度を検出し、駆動部からの対応する補助推進を提供してもよい。例えば、シャーシが静止位置から押されている場合、コントローラは、同じ方向に補助推進力(または、その方向における推進力に等しくなるために駆動部が提供し得るいずれかの方向における推進力の成分)を提供するであろう。シャーシがすでに移動しており、外力がシャーシを減速させようとしている場合、推進力を抑制することにより、および/または反対方向に推進力を印加することにより、制動力が提供されてもよい。回転および進行方向の変更に対しても、同様の配列が適用される。
【0058】
好ましくは、コントローラは、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる第WO2010/127985A1号に記載の原理を使用して動作する。開示された動力補助推進システムは、シャーシの周りの任意の点から、操作者からの制御入力を受信することができ、シャーシを推進させるために対応する駆動を生成することができる。制御入力は、シャーシを所望の方向に押すか、または引くことにより印加される。
【0059】
単一の駆動部20が図示されているが、本発明の好ましい実施形態は、シャーシから独立して切り離される(および別個または共通のマウントを有し得る)駆動部の対を利用する。そのような配列は、表面に沿って補助推進力下で操作される能力を提供する、患者取り扱い機器との使用等の用途のための補助推進システムを提供しようとするものである。第WO2010/127985A1号に記載の制御システムおよびユーザインターフェースと組み合わせて使用される場合、本発明の実施形態は、コスト削減、使用可能性、制御可能性、および患者に提供される乗り心地の点で、今日利用可能である患者取り扱いシステムに勝る実質的な利点を提供する。
【0060】
本発明の好ましい実施形態は、以下で詳細に説明されるように、その上で機器が推進されている床等の表面特性を考慮することを可能にする。これは、特に、第WO2010/127985A1号に記載のような推進動力制御が駆動輪の回転速度に依存する種類において、患者取り扱い機器用の既存の動力補助推進システムに勝る実質的な利点を提供する。
【0061】
駆動は、固定された配向の動力供給された車輪(単一車輪もしくは共通軸に結合された車輪の対)、ローラまたは同等物により提供されてもよく、または多方向もしくは全方向駆動部により提供されてもよい。一実施形態において、駆動部は、モータにより動力供給されることが可能な複数のMecanum車輪を含むが、シャーシに作用する外力に応じて自由に移動することもできる。
【0062】
図2は、本発明の実施形態による補助推進システムを含むシャーシの概略図である。
【0063】
図2において、補助推進システム10は、シャーシに連結可能というよりもむしろ、それに統合されている。
【0064】
シャーシ60は、表面Sに沿ってペイロードPを運搬するためのプラットローム61を含む。シャーシ60は、表面S上でシャーシ60を支持するための、シャーシ60の周りに配置された複数の車輪62を含む。例えば、これらの車輪は、シャーシが異なる方向に移動され得るように回転するように配列されるキャスタであってもよい。
【0065】
駆動部20は、表面に沿ってシャーシ60に少なくとも補助推進力を提供するように配列される。駆動部20の少なくとも駆動部分は、弾性ばね連結部を有するマウント30を介してシャーシ50に接続される。駆動部20の少なくとも駆動部分は、固定された配向を有し(それ自体が配向において転回しないように)、そしてシャーシおよび複数の車輪とは独立して、表面Sに実質的に向かうか、またはそれから離れる方向(すなわち、図2におけるシートに実質的に向かうまたはそれから離れる方向)に移動可能である。弾性ばね連結部は、補助推進力を提供する間に(および場合によっては常に)、少なくとも駆動部分を表面S上に方向付けるように配列される。
【0066】
シャーシ60は、多方向駆動部20、および多方向駆動部20の加速度を監視し、加速度に関するデータをコントローラ40に伝えるように配列されるセンサ50の動作を制御するように配列されるコントローラ40を含むか、またはそれに結合され、コントローラは、センサ50から受信したデータに依存して多方向駆動部20の動作を制御する。
【0067】
図3a-3cは、推進されているときの図2のシャーシの選択された側面を示す側面図である。Mecanum車輪の形態の1つの駆動部20が図示されているが、1つを上回る駆動部が使用されてもよいことが理解されるであろう(Mecanum車輪型または他の型または型の混合のもの)。
【0068】
図3aを参照すると、システムのペイロードPは、Mecanum車輪20から切り離されるように示されており、ペイロードは、好ましくは剛性のシャーシ60により、キャスタ等の荷重支持車輪62に分配されている。Mecanum車輪20は、好ましくは、主に垂直に(すなわち表面に対して実質的に直角に)移動可能な弾性ばね連結部31を含むマウント30により、シャーシ60に結合される。連結部31は、Mecanum車輪20に、実質的にほぼ垂直な方向を除く全ての方向に実質的に剛性の支持を提供するスイングもしくはヒンジ式アーム32(または垂直摺動ガイドもしくはチャネル)を含んでもよく、表面は水平の基準面である。
【0069】
補助推進を提供することができるための十分な牽引力をMecanum車輪20に提供するために、弾性ばね連結部4は、好ましくは、Mecanum車輪20が表面に向かう主に垂直の力に曝されるように付勢されている。弾性ばね連結部31は、好ましくは、付勢を提供するか、またはそれに寄与する弾性ばねを含んでもよい。弾性ばねは、ガスばね、圧縮ばね、引張ばね、能動的制御圧力圧縮空気シリンダ、または他の弾性ばね手段を含んでもよい。
【0070】
好ましくは、付勢は、Mecanum車輪20およびシャーシ60の構成に依存して決定または選択されるべきである。例えば、付勢は、それぞれが生じ得る異なる可能な使用例を表す、力FA、FB、またはFCを補償することができるように選択される力を提供するように選択され得る。例えば、FAは、傾斜を上る荷重支持車輪62の1つまたはいくつかに起因するシャーシ60までの距離ZAを有する場合の、Mecanum車輪20が牽引力を有するために必要な力を表し、FBは、敷居を乗り越えるMecanum車輪20に起因するシャーシ60までの距離ZBを有する、Mecanum車輪20がシャーシに力を伝達せずに牽引力を維持するために必要な力を表し、FCは、シャーシ60までの距離ZCを有し、床上の任意の不規則性により中断されない場合の、Mecanum車輪20が牽引力を有するために必要な力を表す。
【0071】
付勢は、固定されていてもよく、または、手動もしくは制御システムの制御下のいずれかで調節可能であってもよい。図示されたMecanum車輪の代わりに、単一または対の車輪等の非多方向駆動部が使用されてもよいことが理解されるであろう。そのような実施形態において、各駆動部は、2つの推進方向(各装着配向に関して前方/後方)を有する車輪を含むであろう。駆動部の対が使用されてもよく、各駆動部は、単一または対の車輪を有する。
【0072】
図4は、操作者の制御下における図2のシャーシの選択された側面を図示する平面図である。
【0073】
図4を参照すると、可動式スリングリフタの形態の患者取り扱い機器が図示されている。しかしながら、本発明の原理、システム、および方法は、起立補助デバイス、衛生椅子、車輪付きベッド、シャワートロリーもしくは担架等のトロリー、車輪付き食品カート、車輪付き洗面器、車輪付きリネンカート、車輪付きx線機器、車輪付き輸送椅子、もしくは大きな重量を有するいずれかのもの等のトロリー、可動式スリング、ホイスト、可動性フレーム、または表面に沿った患者等のペイロードの第1のポイントから第2のポイントへの輸送を含む機能のために使用される他の形態のペイロード移動デバイスを含む、多くの種類の患者取り扱い機器に適用可能であることが理解される。機器により取り扱われる患者は、機器により支持および輸送されるペイロードとして説明され得、介護者は、システムの操作者として説明され得る。
【0074】
図示された患者取り扱いデバイスは、ここではシャーシと呼ばれる荷重支持部材60、ならびに全て安定性を与えるためにペイロードPから離れて広がる前輪62aの対および後輪62bの対を含む。ここで、前方とは、ペイロードPに対する車輪62aの前の対の位置により定義される。操作者1は、単にそれを所望の方向に方向付けることにより、例えば、シャーシ1またはペイロードPを押すことにより、任意の点から患者取り扱い機器を操作することができる。固定配向車輪またはMecanum車輪20、20’等の駆動部の対は、例えば図1、2、および3a-3cを参照して以前に説明されたように、マウントを介してシャーシに結合される。この実施形態において、車輪20、20’およびシャーシの車輪62a、62bは、操作者の誘導下で自由に動く。しかしながら、患者取り扱い機器の偶発的な移動を防止するために、制動器または同等物が提供されてもよいことが理解されるであろう。
【0075】
各車輪は、好ましくは、制御可能な動力供給された駆動部を有する。例えば、駆動部は、ブラシレスモータ、速度変更ギアボックスを有するブラシレスモータ、ブラシ付DCモータ、または任意の他の好適な電気もしくは電気機械式駆動部を含み得る。
【0076】
患者取り扱い機器を方向付けるために操作者により印加された力は、車輪20、20’の一方または両方の回転を開始させる。モータの回転速度変化は、制御システムにより感知され、これが車輪20、20’の一方または両方の駆動を制御し、補助推進力を提供する。好ましくは、制御システムは、例えば、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる第WO2010/127985A1号に記載のように、操作者により印加される力に依存して動力補助推進力を提供するように配列される。固定配向車輪または非全方向車輪の場合、制御システムは、補助推進の方向が操作者により印加される力の方向と競合する場合に、1つの駆動部の動力の低減、駆動部の対の反対方向への駆動(そのスポットでの転回をもたらすため)、または、面からの駆動部の車輪の切り離し等の他の駆動配列をもたらすように配列されてもよい。
【0077】
シャーシ上のMecanum車輪20、20’の好ましい設置を図4に示され、ここでMecanum車輪20、20’は、長手方向に、ペイロードPから距離Adだけ、また後輪62bから距離Bdだけ離間して設置される。この好ましい配列は、2つの前輪62aおよび2つの後輪62bの両方を円周上に含む半径Eを有する円により図示される、2つのMecanum車輪の間に位置する中心点の周りに転回する際の、患者取り扱い機器により占有される達成可能な最小の全体的面積をもたらす。
【0078】
Mecanum車輪の好ましい設置は、半径Fがその可能な最小値に達する場合に達成されるが、Ad>BdまたはBd≧Adの場合等の他の設置および組み合わせもまた良好な性能をもたらし、単に、患者取り扱い機器により占有される面積がより大きくなり、転回が最適設置と比較してより大きくなるだけである。
【0079】
好ましい実施形態において、Mecanum車輪は、シャーシ1の中心面Cに対して対称的に距離Ddだけ離間している。距離Ddは、好ましくは、Mecanum車輪20、20’の幅Gdより大きく、好ましくは、Ddは、シャーシ60の幅とほぼ等しいが、シャーシ60の幅より小さくても、または大きくてもよい。
【0080】
図5aは、図1の補助推進システムまたは図2のシャーシにおける使用のためのMecanum車輪の好ましい構成の図である。図5bは、本発明の実施形態における使用に好適なMecanum車輪の代替の構成を図示する平面図である。
【0081】
図5aは、進行方向に対するMecanum車輪20、20’の対を図示する。Mecanum車輪の相対位置は、縮尺通りではなく、以下で説明されるような2つの車輪の配向を示すためだけに選択されている。
【0082】
Mecanum車輪20、20’は、表面の接触点(床)から見た場合の進行方向が示された状態で図示されている。Mecanum車輪の性質により、車輪は、2つを除いて、平面内の全方向の運動を、車輪軸A1の周りの回転運動に変換することができるが、除外される方向は、Mecanum車輪に対する個々のローラ角に垂直な方向B1、C1である。図4の実施形態において、第1のMecanum車輪20の配向は、第2のMecanum車輪20’に対し鏡像反転配向にある(すなわち、第1のMecanum車輪20のローラ20a1、20a2は、Mecanum車輪中間面に対して45度の角度を有し、第2のMecanum車輪20’のローラ20’a1、20’a2は、Mecanum車輪中間面に対して135度の角度を有する)。この構成において、Mecanum車輪20、20’の少なくとも1つは、運動を車輪軸A1の周りの回転に変換する。1つのMecanum車輪が他のMecanum車輪に対して鏡像位置に配向しているローラを有する鏡像反転Mecanum車輪の対が使用される限り、45度および135度以外の角度でも同じ効果を達成することができる。
【0083】
図5bは、対のうち、Mecanum車輪7Aの1つがシャーシ60に対して代替の配向で装着されているように示されている、図5aの構成の代替配列の一部を示す。上述のように、角度Eは、対(図示せず)のうちの第2のMecanum車輪が、シャーシ60の中心軸Cに対して主に対称的に設置されている限り、0度~360度の任意の値であってもよい。好ましくは、この配列が最適に動作するために、角度Eは、図5aにより図示されるように0度、または、図5bにより示されるように90度であるべきである。
【0084】
図6は、操作者の制御下における図2のシャーシの選択された側面を図示する平面図である。図6は、従来の4つのMecanum車輪の代わりに2つのMecanum車輪を使用した回転および駆動の側面を図示する。
【0085】
シャーシ60が方向F5に側方移動される場合、意図される方向への手動の力が、操作者1により印加される。この手動の力の結果、Mecanum車輪は、回転させられ、それにより、一方のMecanum車輪は時計回り(R1)に回転し、他方のMecanum車輪は反時計回り(R2)に回転する。以前に説明されたように、各Mecanum車輪は駆動部を有する。各駆動部のモータの回転速度変化の変化が感知されて制御システムに報告され、制御システムが、各Mecanum車輪20、20’の対応する電動回転を始動させて、補助推進力を提供する。一実施形態において、制御システムは、本質的に第WO2010/127985A1号に記載の通りである。
【0086】
好ましくは、各Mecanum車輪20、20’のそれぞれは、実質的に表面に向かうか、またはそれから離れる方向を除く全ての方向において、シャーシに連結される。その結果、表面に沿ったMecanum車輪のこの電動回転により、駆動力がシャーシ60に伝達される。これらの力は、ともに操作者1により意図されるようにシステムを側方に移動させるのを補助するF1およびF3として、システムを所望の方向に移動させるのを補助する力に分割され得、残りは、ともにシステムを回転させようとするトルク力F6をもたらす力F2およびF4であるが、このトルク力F6は、シャーシ60の剛性部材上の任意の場所における力F7により作用する操作者1によってバランスされることが理解される。F7の方向および大きさは、操作者1により選択される接触点により変動する。操作者は、複数の接触点を使用することができ、したがって、図示された力F7を、それぞれF7より小さいいくつかの分力に分割することができる。上述の反作用力F7により、その幾何学的配列に起因する所望されない力をバランスし得る、一般的に使用される4つのMecanum車輪の代わりに、2つのMecanum車輪のみを利用することが可能である。
【0087】
図7は、本発明の実施形態による方法の動作を示す図である。
【0088】
図7において、その上でシャーシが駆動されている表面の特性(床の種類、硬度等)が決定または導出および使用され得るようにする方法の側面が図示されている。
【0089】
表面の硬度は、駆動部に曝露されるような転がり抵抗に直接連結している。非常に硬い床Cxは、非常に柔らかい床Axよりも低い転がり抵抗を与える。その上をシャーシ60が進行する表面の硬度特性を決定または導出することにより、表面により提供される転がり抵抗の変化(例えば、床の敷物または床が1つの種類から別の種類に変わる場合)は、補助推進システムにより補償され得、操作者1により感知されるような一致した駆動特性をもたらす。
【0090】
シャーシが、非常に柔らかいAxから、中間的Bx、非常に硬いCxまでの範囲のいくつかの異なる床の種類の上を通過する場合であっても、操作者に対する力は実質的に不変であり、これは、捻挫または負傷の機会の低減を意味する(限定された抵抗を有する表面上での押しから、高い抵抗のものへの遷移は驚きとなり得、操作者は、従来、手動で補償しようとして負傷する可能性がある)。さらに、表面特性の変化に適合するように補助推進を修正することにより、操作者による過度の補償または補償の不足が回避される。
【0091】
以前に議論されたように、Mecanum車輪20は、「通常の」車輪に類似した円形パターンを形成するように配列された複数の円錐状ローラ20aを有する。しかしながら、Mecanum車輪は、どんなに良好な設計を有しても、円錐状ローラ20aが隙間20cを形成し、それらがハブに取り付けられ、それらがMecanum車輪回転側から見た場合に20d上で互いに重複するため、完全な円形からは常に逸脱する。これらの不規則性(要素)は、Mecanum車輪が平坦床等の別様には水平の表面上を進行する際にそれらを垂直面内で移動させ、実際には、それは本質的に「揺れる」。Mecanumホールが「揺れる」たびに、それは垂直方向に加速/減速する。
【0092】
本発明の好ましい実施形態において、不規則要素によりもたらされるMecanum車輪20の加速度は、例えばMEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、変位検出器または同様のものの形態の、Mecanum車輪に直接的または間接的に連結されたセンサ50により監視される。
【0093】
加速度測定値(または加速度測定値に関するデータ)は、Mecanum車輪20の「揺れ易さ」によりもたらされる加速度の効果を可視化し、表面の硬度特性を決定または導出するための、コンピュータプログラムコードからの動作を実行するプロセッサを有する、コントローラまたは中間ユニットに伝えられる。異なる表面型Ax、Bx、Cxの特性は、加速度の異なる測定値/可視化された効果X、Y、Zに反映される。非常に柔らかい床Axは、非常に硬い床Cxの特徴Zとは異なる特徴Xを有する。加速度を監視し、それからの信号をコントローラ40に供給するために、Mecanum車輪20、20’に直接的または間接的に連結されたセンサ50を設置することにより、コントローラ40は、表面特性を決定し、特定の方向における駆動の大きさ(表面抵抗の増加または減少に応じるために推進力を増加または減少させる)、転回時の回転力の大きさ(同様に表面抵抗の変化に対応するため)等の、補助推進の側面を調節することができる。
【0094】
好ましくは、データレポジトリ55は、複数の表面型特徴に関するデータをコードし、各表面型特徴は、該表面型上での動作時の多方向駆動部の加速度に関するデータを含む。各表面型特徴は、データレポジトリにおいて、コントローラの1つ以上の動作パラメータと関連してもよい。コントローラ40(または演算を実行してコントローラに報告するいくつかの中間ユニット)は、コンピュータプログラムコードを実行し、データレポジトリにアクセスし、表面型特徴に依存して、センサ50から受信した加速度に関するデータを分類し、表面型特徴分類に関連したコントローラの該1つ以上の動作パラメータを識別するように構成されるプロセッサを含む。多方向駆動部の動作を制御するためにコントローラにより使用される1つ以上の動作パラメータ(例えば、Mecanum車輪20、但し、他の駆動部の種類が使用されてもよく、また、表面特性を決定するために、異なる車輪からのセンサ読み取り値が組み合わされる、または相互参照されてもよいことが理解されるであろう)。
【0095】
好ましくは、プロセッサは、表面上を通過するにつれて、Mecanum車輪20(または他の駆動部の種類)における不均一部によりもたらされる実質的に垂直の加速度成分を決定するため、および決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成される。
【0096】
コントローラは、センサから受信したデータに依存して、操作者から受信した入力(力)の効果を修正し得る。例えば、力は、ある特定の加速度または回転として解釈されてもよいが、これは、センサから受信したデータに基づいて、増加、減少、またはさらに無視されてもよい。
【0097】
加速度計は、好適な間隔(サンプリング頻度)をもって読み込まれる。この信号は、所定の床の堅さの独特の特徴を見つけ出すために、いくつかの様式で処理され得る。この最も単純な形態において、信号は、好適な動力の「移動平均」で平均され得る。次いで、得られた振幅は、表面の堅さの指標としてそのまま使用され得る。この場合、検出された振幅がある特定の間隔に含まれる場合、異なる振幅間隔を有する表が、コントローラに渡される対応するパラメータとともに保存される。
【0098】
必要に応じて、駆動輪の角速度もまた監視され得る。そのような実施形態において、以前に言及された表は、コントローラに渡されるパラメータのセットを決定するために相互参照される、さらなる寸法、角速度間隔を有してもよい。
【0099】
測定の瞬間のモータへの印加電力、システムの負荷(患者の体重)、(例えば、斜面を上る)システム全体の上り傾斜もしくは下り傾斜角度、および/または周囲温度等の他のパラメータもまた考慮されてもよい。
【0100】
一例において、振幅(A)、動力(B)、負荷(C)および温度(D)のパラメータが保存される。A、B、C、およびDの所定の解像度において、保存される床特性に対応するパラメータ集合の得られる数は、A*B*C*Dである。パラメータ集合は、単一のパラメータから複数のパラメータまで様々であり得る。パラメータは、コントローラに渡され、推進システムを制御するアルゴリズムに影響する(例えば、第WO2010/127985A1号に記載のように)。例えば、パラメータは、より高い開始トルク補助または減速に対するより大きな感度をもたらし得る。
【0101】
Mecanum車輪の機能は、それら自体が床の特性の決定に役立つが、図7の方法は、他の非Mecanum駆動部が使用される他の配列により実施され得ることが理解され得る。そのような例は、図8から10を参照して以下で説明される。
【0102】
図8から10は、本発明の代替の実施形態の選択された特徴を示す図である。
【0103】
図8を参照すると、以前に説明されたMecanum車輪に代わる代替の駆動部が示されている。この駆動部は、図1から7の実施形態に関連して説明されたMecanum車輪のいずれかまたは全てを置換してもよいことが理解され得る。駆動部は、それら独自の軸Aの周りに自由に回転する複数のローラ102でそれぞれ構成された複数の車輪103、104、105により支持された実質的に球状の車輪100を含み、各支持車輪103、104、105は、それらの独自の軸B2、C2、D2の周りに回転可能である。好ましくは、少なくとも3つの支持車輪103、104、105が存在する。複数の支持車輪103、104、105は、好ましくは、球体の上半球の周りに、好ましくは、均一に長手方向に分布している。球体100が表面に沿って任意の所定の方向に進行する場合、運動は、支持車輪103、104、105の少なくとも2つの、それらそれぞれの軸B2、C2、またはD2の周りの回転運動に変換される。
【0104】
支持車輪の少なくとも1つは、回転速度変化について監視される。好ましくは、支持車輪の少なくとも1つは、例えば、ブラシレスモータ、速度変更ギアボックスを有するブラシレスモータ、ブラシ付きDCモータ、または任意の他の好適な電気もしくは電気機械式駆動手段の形態の駆動部を含むか、またはそれに連結される。駆動部の回転速度変化は、好ましくは、手動の作用による車輪の運動を伝え、(支持車輪に動力供給し、それにより球状車輪100に動力供給することにより)補助推進力を開始するために、増幅され、そしてコントローラに伝えられる。その結果、上述のMecanum車輪を使用したシステムと比較して、同様の制御および性能を達成することができる。
【0105】
添付の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱せずに、多方向駆動部の他の変形例が想定され得る。原則的に、任意の数および位置の単一方向、多方向、または全方向駆動部が使用され得ることが理解され得る。好ましい実施形態において、駆動部は、配向が固定され(すなわち、配向または方向が変化しない)、1つ以上の方向に補助推進力を提供することにより、表面上のシャーシの回転、並進、移動または制動をもたらすことができる。
【0106】
図9は、垂直加速度を決定するための代替の実施形態を図示する。Mecanum車輪の「揺れ易さ」に依存する代わりに、表面S上をMecanum車輪(または他の駆動部)とともに進行するために、車輪または球または不規則外側形状を有する他の要素の形態の要素120が位置付けられてもよい。センサ50は、要素120などに直接的もしくは間接的に連結され、要素120を直接的もしくは間接的に監視するように配列される。センサは、MEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、変位検出器、および同等物を含んでもよい。センサ50は、上述の実施形態と同様の様式で動作し、要素120が表面S上を進行するときのその加速度を監視し、出力信号をコントローラに供給する(これは、補助推進力を制御するためのコンピュータプログラムコードを実行する形態またはプロセッサまたはマイクロプロセッサであってもよい)。
【0107】
図10に示されるように、要素120の不規則外側形状は、同じ硬度発見特性および上述のような利点をもたらす、タイヤ121の形態、またはフリーホイール車輪もしくは駆動輪のいずれかのタイヤパターンであってもよい。
【0108】
要素が、それが追従しているMecanumまたは他の駆動部により提供される駆動と同じ方向に回転し得るために、要素は、自由に回転可能なキャスタの形態であってもよい。
【0109】
図11は、本発明の代替の実施形態の選択された特徴を図示する平面図である。
【0110】
駆動部は、上記のある特定の実施形態においてMecanum車輪として図示されているが、全方向特性なくして推進される通常の車輪の対のような他の配列により、同じシャーシが推進されることができる。2つの推進される通常の車輪は、以前に説明された多方向駆動部と比較して、シャーシを推進するための自由度がより低いが、それにもかかわらず、操作者に有用な補助を提供し得る。
【0111】
2つの推進車輪20bは、ほぼ同じ速度および方向で駆動されている場合、経路D1により図示されるように、主に前方/後方への方向にシャーシ60を推進させることができ(前方は、シャーシ60の前輪62aに向かう方向として言及される)、またはほぼ同じ速度および互いに反対の方向で駆動されている場合、経路D2により図示されるように、シャーシを2つの推進車輪20bの間の想像上の点の周りに回転させることができ、または異なる速度であるが同じ方向で駆動されている場合、経路D3により図示されるように、円弧に似た経路でシャーシを推進させることができる。
【0112】
図12a-cは、本発明の代替の実施形態の選択された機能を示す図である。
【0113】
図12aに示されるように、推進車輪20bは、経路D1により示されるように、主に前方/後方への方向にシャーシ60を推進させることができる(前方は、シャーシ60の前輪62aに向かう方向として言及される)。
【0114】
単一の通常の車輪20bが、シャーシ60を回転させるためにそれに推進力を加えることができない場合であっても、使用者1は、推進車輪20aの表面との接触点Cから利益を得るが、これは、使用者1がシャーシの進行方向を変更させたい場合に、接触点Cがシャーシのアンカー点として機能するためである。旋回する荷重支持キャスタ62a、62bのそれぞれからの4つの漠然と定められた接触点の代わりに、使用者1には、1つの明確な接触点が提供される。
【0115】
駆動部は、上記のある特定の実施形態において、手動入力下で自由回転し、手動入力の力の検出に依存して選択的な補助推進力を提供してフリーホイーリングをもたらし得る、Mecanum車輪として図示されているが、これは、使用され得る複数の異なる制御配列の1つであることが理解され得る。例えば、より伝統的な制御配列が使用されてもよい(例えば、コンソール、ユーザインターフェース、コントローラ、または別様に静的であり得る駆動部を介して駆動力を印加する同様のものにおいて、制御入力が印加されてもよい)。明確な接触点Cは、シャーシ60の操作性を高め、通常の車輪20bの多方向特性の欠如を補償する。
【0116】
図12bを参照すると、システムのペイロードPは、推進車輪20bから切り離されて示されている。ペイロードは、好ましくは、剛性のシャーシ60により、キャスタ等の荷重支持車輪62に分配される。推進車輪20bは、好ましくは、主に垂直に(すなわち、表面に対して実質的に直交して)移動可能な弾性ばね連結部31を含むマウント30により、シャーシ60に連結される。連結部31は、推進車輪20bに、実質的にほぼ垂直な方向を除く全ての方向に実質的に剛性の支持を提供するスイングもしくはヒンジ式アーム32(または垂直摺動ガイドもしくはチャネル)を含んでもよく、表面は水平基準面である。
【0117】
弾性ばね連結部31は、推進車輪がシャーシ60を推進させるために、推進車輪20bの力F1を表面に向けて印加する。
【0118】
図12cを参照すると、シャーシ60が表面に沿って全ての可能な方向に操縦可能となるために、推進車輪20bは、力F1よりも大きな大きさの第2の力F2を印加することにより、表面から切り離されてもよい。
【0119】
また、ばね連結部または同様の構成要素を介して駆動部分に印加された力は、検出された表面特性に依存して制御可能であってもよいことが理解され得る。例えば、滑りの検出は、ばね連結部により印加される力の増加により補償されてもよく、所定の閾値を超える駆動部の変位の検出は、潜在的な揺れの大きい乗り心地として解釈されてもよく、ばね連結部を介して印加された速度および/または力は、ペイロードへの快適性を増加させるために低減されてもよい。
【0120】
上で議論された本発明のある特定の実施形態は、コンピュータプロセッサを有するコンピュータシステム上での実行を可能にする制御ロジックを有する、ファームウェアおよび/またはコンピュータ可読媒体に存在するコード(例えば、ソフトウェアアルゴリズムまたはプログラム)として組み込まれてもよいことが理解されるべきである。そのようなコンピュータシステムは、典型的には、実行に従ってプロセッサを構成するコードの実行からの出力を提供するように構成されたメモリ記憶装置を含む。コードは、ファームウェアまたはソフトウェアとして構成されてもよく、別個のコードモジュール、関数呼び出し、手続き呼び出し、またはオブジェクト指向プログラミング環境内のオブジェクト等のモジュールのセットとして構造化されることができる。モジュールを使用して実装された場合、コードは、単一のモジュール、または互いに連携して動作する複数のモジュールを含むことができる。
【0121】
本発明の随意の実施形態は、本明細書において参照および示された部分、要素、および機能を、個々にまたは集合的に、部分、要素、または機能の2つ以上のものの任意のまたは全ての組み合わせとして含むものとして理解され得、本発明が関連する技術分野において既知の均等物を有する具体的な整数が本明細書において言及され、そのような既知の均等物は、個々に記載されるのと同等に本明細書に組み込まれるものとみなされる。
【0122】
本発明の図解付きの実施形態が説明されたが、以下の特許請求の範囲における列挙により定義される本発明およびその均等物から逸脱せずに、様々な変更、置換、および改変が当業者により行われてもよいことが理解されるべきである。
【0123】
付記:
付記1.表面に沿ってペイロードを運搬するためのシャーシであって、
表面上のシャーシを支持するための、シャーシの周りに配置される複数の車輪と、
多方向駆動部であって、該多方向の1つ以上のいずれかにおいて、表面に沿ってシャーシに少なくとも補助推進力を提供するように構成される、多方向駆動部と、
を備え、多方向駆動部の少なくとも駆動部分は、弾性ばね連結部を有するマウントを介してシャーシに接続され、多方向駆動部の少なくとも駆動部分は、固定された配向を有し、シャーシおよび複数の車輪とは独立して表面に向かう方向に移動可能であり、弾性ばね連結部は、該補助推進力を提供する間に、多方向駆動部の少なくとも駆動部分を表面上に方向付けるように構成される、シャーシ。
【0124】
付記2.
多方向駆動部の動作を制御するように配列されるコントローラと、
多方向駆動部の加速度を監視し、該加速度に関するデータをコントローラに伝えるように配列されるセンサをさらに備え、
コントローラは、センサから受信したデータに依存して、多方向駆動部の動作を制御するように配列される、付記1に記載のシャーシ。
【0125】
付記3.コントローラは、該加速度に関するデータに依存して、表面の1つ以上の特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成されるプロセッサを含み、コントローラは、表面の特性に依存して、多方向駆動部の動作を制御するように構成される、付記2に記載のシャーシ。
【0126】
付記4.複数の表面型特徴をコードするデータレポジトリをさらに備え、各表面型特徴は、該表面型上での動作時の多方向駆動部の加速度に関するデータを含む、付記3に記載のシャーシ。
【0127】
付記5.各表面型特徴は、データレポジトリにおいて、コントローラの1つ以上の動作パラメータと関連し、プロセッサは、データレポジトリにアクセスし、該表面型特徴に依存して、該センサから受信した該加速度に関するデータを分類し、表面型特徴分類に関連したコントローラの該1つ以上の動作パラメータを特定するようにコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、プロセッサは、該1つ以上の動作パラメータをコントローラに伝えて多方向駆動部の動作を制御するための、コンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される、付記4に記載のシャーシ。
【0128】
付記6.駆動部分は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面にわたり移動し、表面の硬度特性に依存して多方向駆動部の該加速度の変化をもたらす要素を含み、プロセッサは、要素によりもたらされた加速度を決定するため、および要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される、付記3、4、または5に記載のシャーシ。
【0129】
付記7.要素は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面上を通過する駆動部分における不均一部を備える、付記6に記載のシャーシ。
【0130】
付記8.駆動部分は、複数の該要素を備える、付記6または7に記載のシャーシ。
【0131】
付記9.センサは、加速度計、MEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、電気センサ、多方向駆動部に動力供給するモータを監視するシステム、および変位検出器の1つ以上のものを含む、付記2から8のいずれか1項に記載のシャーシ。
【0132】
付記10.コントローラは、シャーシの操作者から制御入力を受信するように構成され、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、多方向駆動部の動作を制御するように構成される、付記2から8のいずれか1項に記載のシャーシ。
【0133】
付記11.コントローラは、制御入力からの多方向駆動部の駆動方向への変更を決定するように構成され、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、該変更の大きさを決定するように構成される、付記10に記載のシャーシ。
【0134】
付記12.コントローラは、制御入力からの多方向駆動部の速度および/または加速度への変更を決定するように構成され、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、該変更の大きさを決定するように構成される、付記10または11に記載のシャーシ。
【0135】
付記13.多方向駆動部の対を備え、多方向駆動部の対は、表面に実質的に平行な平面内で互いに離間し、互いに独立している、上記付記のいずれか1項に記載のシャーシ。
【0136】
付記14.多方向駆動部の対は、シャーシの縦軸から実質的に等間隔で離間している、付記13に記載のシャーシ。
【0137】
付記15.多方向駆動部の対のそれぞれは、シャーシの実質的に周縁部に位置付けられている、付記14に記載のシャーシ。
【0138】
付記16.多方向駆動部の対は、シャーシの中心点から実質的に等間隔で離間している、付記13、14、または15に記載のシャーシ。
【0139】
付記17.多方向駆動部の対は、ペイロードの予測される重心から実質的に等間隔で離間している、付記13、14、15、または16に記載のシャーシ。
【0140】
付記18.多方向駆動部の対は、シャーシの縦軸に対して実質的に対称に位置付けられている、付記13から17のいずれか1項に記載のシャーシ。
【0141】
付記19.多方向駆動部またはそれぞれの多方向駆動部は、全方向駆動部を含む、上記付記のいずれか1項に記載のシャーシ。
【0142】
付記20.多方向駆動部またはそれぞれの多方向駆動部は、Mecanum車輪を含む、付記19に記載のシャーシ。
【0143】
付記21.それぞれの多方向駆動部は、シャーシの縦軸と平行ではない回転の中央平面を有するMecanum車輪を含む、付記13から18のいずれか1項に記載のシャーシ。
【0144】
付記22.該多方向駆動部の1つは、シャーシの縦軸に対して45°の回転の中央平面を有するMecanum車輪を含み、該多方向駆動部の他方は、シャーシの縦軸に対して135°の回転の中央平面を有するMecanum車輪を含む、付記21に記載のシャーシ。
【0145】
付記23.全方向駆動部またはそれぞれの全方向駆動部は、
実質的に第1の半球内の点で表面に接触するように構成される、実質的に球状の車輪と、第1の半球とは反対の第2の半球の周りに配置され、球状車輪に接触して球状車輪とともに回転するように構成される、3つ以上の回転可能な要素とを備える、付記19に記載のシャーシ。
【0146】
付記24.マウントは、駆動部分からシャーシに、実質的に表面に向かう、またはそこから離れる方向を除く全ての方向に力を伝達するように構成され、弾性ばね連結部は、実質的に表面に向かう、またはそこから離れる該方向における駆動部分からの力に対する減衰効果を印加するように構成される、上記付記のいずれか1項に記載のシャーシ。
【0147】
付記25.弾性ばね連結部は、ガスばね、圧縮ばね、引張ばね、能動的制御圧力圧縮空気シリンダの1つ以上のものを備える、付記24に記載のシャーシ。
【0148】
付記26.上記付記のいずれか1項に記載のシャーシを組み込んだ、患者取り扱い機器。
【0149】
付記27.車輪付きベッド、トロリー、可動式スリング、ホイスト、可動性フレーム、起立補助デバイス、または衛生椅子から選択される1つを備える、付記26に記載の患者取り扱い機器。
【0150】
付記28.表面に沿って移動可能な車輪付きシャーシのための補助推進システムであって、
多方向駆動部であって、マウントを介してシャーシに結合可能であり、該多方向の1つ以上のもののいずれかにおいて、表面に沿ってシャーシに補助推進力を提供するように構成される、多方向駆動部を備え、
マウントは、表面に対して実質的に垂直な方向に、多方向駆動部の少なくとも駆動部分をシャーシから実質的に切り離し、該補助推進力を提供する間に、多方向駆動部の少なくとも駆動部分を表面上に方向付けるための弾性ばね力を印加するように構成される、補助推進システム。
【0151】
付記29.
多方向駆動部の動作を制御するように構成されるコントローラと、
多方向駆動部の加速度を監視し、該加速度に関するデータをコントローラに伝えるように構成されるセンサをさらに備え、
コントローラは、センサから受信したデータに依存して、多方向駆動部の動作を制御するように構成される、付記28に記載の補助推進システム。
【0152】
付記30.コントローラは、該加速度に関するデータに依存して、表面の1つ以上の特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するように構成されるプロセッサを含み、コントローラは、表面の特性に依存して、多方向駆動部の動作を制御するように構成される、付記29に記載の補助推進システム。
【0153】
付記31.複数の表面型特徴をコードするデータレポジトリをさらに備え、各表面型特徴は、該表面型上での動作時の多方向駆動部の加速度に関するデータを含む、付記30に記載の補助推進システム。
【0154】
付記32.各表面型特徴は、データレポジトリにおいて、コントローラの1つ以上の動作パラメータと関連し、プロセッサは、データレポジトリにアクセスし、該表面型特徴に依存して、該センサから受信した該加速度に関するデータを分類し、表面型特徴分類に関連したコントローラの該1つ以上の動作パラメータを特定するようにコンピュータプログラムコードを実行するように構成され、プロセッサは、該1つ以上の動作パラメータをコントローラに伝えて多方向駆動部の動作を制御するための、コンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される、付記32に記載の補助推進システム。
【0155】
付記33.駆動部分は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面にわたり移動し、表面の硬度特性に依存して多方向駆動部の該加速度の変化をもたらす要素を含み、プロセッサは、要素によりもたらされた加速度を決定するため、および要素によりもたらされた決定された加速度に依存して、表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される、付記30、31、または32に記載の補助推進システム。
【0156】
付記34.要素は、駆動部分が表面に沿ってシャーシを推進させるにつれて、表面上を通過する駆動部分における不均一部を備える、付記33に記載の補助推進システム。
【0157】
付記35.駆動部分は、複数の該要素を備える、付記33または34に記載の補助推進システム。
【0158】
付記36.センサは、加速度計、MEMS加速度計、歪みゲージ素子、光学センサ、電気センサ、多方向駆動部に動力供給するモータを監視するシステム、および変位検出器の1つ以上のものを含む、付記29から35のいずれか1項に記載の補助推進システム。
【0159】
付記37.コントローラは、シャーシの操作者から制御入力を受信するように構成され、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、多方向駆動部の動作を制御するように構成される、付記29から36のいずれか1項に記載の補助推進システム。
【0160】
付記38.コントローラは、制御入力からの多方向駆動部の駆動方向への変更を決定するように構成され、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、該変更の大きさを決定するように構成される、付記37に記載の補助推進システム。
【0161】
付記39.コントローラは、制御入力からの多方向駆動部の速度および/または加速度への変更を決定するように構成され、制御入力およびセンサから受信したデータに依存して、該変更の大きさを決定するように構成される、付記37または38に記載の補助推進システム。
【0162】
付記40.マウントを介してシャーシに結合可能である多方向駆動部の対を備え、多方向駆動部の対のそれぞれの駆動部分は、表面に実質的に平行な面内で互いに離間し、独立して動作可能であり、表面に対して実質的に垂直な方向にシャーシから独立して切り離される、付記28から39のいずれか1項に記載の補助推進システム。
【0163】
付記41.多方向駆動部の対は、補助推進システムの中心軸に対して実質的に対称に位置付けられている、付記40に記載の補助推進システム。
【0164】
付記42.多方向駆動部またはそれぞれの多方向駆動部は、全方向駆動部を含む、付記28から41のいずれか1項に記載の補助推進システム。
【0165】
付記43.多方向駆動部またはそれぞれの多方向駆動部は、Mecanum車輪を含む、付記42に記載の補助推進システム。
【0166】
付記44.それぞれの多方向駆動部は、補助推進システムの中心軸と平行ではない回転の中央平面を有するMecanum車輪を含む、付記40または41に記載の補助推進システム。
【0167】
付記45.該多方向駆動部の1つは、中心軸に対して45°の回転の中央平面を有するMecanum車輪を含み、該多方向駆動部の他方は、中心軸に対して135°の回転の中央平面を有するMecanum車輪を含む、付記44に記載の補助推進システム。
【0168】
付記46.全方向駆動部またはそれぞれの全方向駆動部は、
実質的に第1の半球内の点で表面に接触するように構成される、実質的に球状の車輪と、第1の半球とは反対の第2の半球の周りに配置され、球状車輪に接触して球状車輪とともに回転するように構成される、3つ以上の回転可能な要素とを備える、付記42に記載の補助推進システム。
【0169】
付記47.駆動部分は、駆動部分からマウントに、表面に向かう、またはそこから離れる方向を除く全ての方向に力を伝達するために、マウントに実質的に固定されて接続され、それにより、該切り離しは、駆動部分を、弾性ばね力下で、実質的に表面に向かう、またはそこから離れる力の方向を実質的に吸収するように移動させるように構成される、付記28から46のいずれか1項に記載の補助推進システム。
【0170】
付記48.マウントは、弾性ばね力を提供するための弾性ばね連結部を含み、弾性ばね連結部は、ガスばね、圧縮ばね、引張ばね、能動的制御圧力圧縮空気シリンダの1つ以上のものを備える、付記47に記載の補助推進システム。
【0171】
付記49.駆動部分により表面にわたり移動するように構成される要素をさらに備え、プロセッサは、要素の加速特性を決定するため、および決定された加速度に依存して表面の硬度特性を決定するためのコンピュータプログラムコードを実行するようにさらに構成される、付記29から32のいずれか1項に記載の補助推進システム。
【0172】
付記50.要素は、要素が表面にわたり移動するにつれて、表面上を通過する不均一部を含む、付記49に記載の補助推進システム。
【0173】
本明細書における教示および以下の特許請求の範囲を考慮して、他の実施形態が当業者に明らかとなるであろう。
図1
図2
図3
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図5a
図5b
図6
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図12