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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】発泡組成物及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/46 20060101AFI20220119BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20220119BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220119BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220119BHJP
   B01J 2/28 20060101ALI20220119BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A61K9/46
A23L29/00
A61K8/36
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/12
B01J2/28
C09K3/00 111B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019124482
(22)【出願日】2019-07-03
(62)【分割の表示】P 2018061956の分割
【原出願日】2015-03-26
(65)【公開番号】P2019163335
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2019-08-02
(31)【優先権主張番号】4527/CHE/2014
(32)【優先日】2014-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517093474
【氏名又は名称】ステアライフ・インディア・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バブ・パドマナバン
(72)【発明者】
【氏名】ラクシット・シェティ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジェイ・クルカルニ
(72)【発明者】
【氏名】ヒマドリ・セン
(72)【発明者】
【氏名】インドゥー・ブシャーン
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-534477(JP,A)
【文献】特開平07-010744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/46
A23L 29/00
A61K 8/36
A61K 9/14
A61K 9/16
A61K 9/20
A61K 47/12
B01J 2/28
C09K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸及び塩基を含む投入ブレンドの造粒から形成された顆粒を含む多孔性発泡組成物であって、前記顆粒が、溶融していない酸と、in situ造粒剤を形成するように溶融している酸との組合せである酸から成る酸成分と、塩基成分とを含み、in situ造粒剤以外の追加の造粒剤を含まない、多孔性発泡組成物。
【請求項2】
酸が、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、リンゴ酸、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の多孔性発泡組成物。
【請求項3】
投入ブレンドが、医薬、食品、獣医学、栄養補助、園芸、家庭、料理、殺虫、農業、化粧、除草、工業、洗浄、製菓及び着香用の作用物質、又はそれらの組合せからなる群から選択される1種又は複数の成分を更に含む、請求項1に記載の多孔性発泡組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の多孔性発泡組成物と、1種又は複数の任意選択の加工添加剤とを含む、経口固体剤形。
【請求項5】
多孔性発泡組成物が、投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有する、請求項4に記載の経口固体剤形。
【請求項6】
多孔性発泡組成物が、投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する、請求項4又は5に記載の経口固体剤形。
【請求項7】
発泡錠、経口投与用散剤、速崩錠、口腔内崩壊錠、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の経口固体剤形。
【請求項8】
発泡錠が、約25℃±5℃の室温で、水中で20から90秒の崩壊時間を有する、請求項7に記載の経口固体剤形。
【請求項9】
発泡錠が、少なくとも3Kpの硬度を有する、請求項7又は8に記載の経口固体剤形。
【請求項10】
多孔性発泡顆粒を調製するための方法であって、
酸及び塩基を含む投入ブレンドを二軸スクリュー加工機に供給する工程と、
in situ造粒剤として機能するように、酸の一部のみを溶融させる工程と、
投入ブレンドを造粒して顆粒を形成する工程と、
任意選択で、二軸スクリュー加工機から顆粒を回収する工程と
を含み、前記顆粒はin situ造粒剤以外の追加の造粒剤を含まない、方法。
【請求項11】
酸の一部のみの溶融が、二軸スクリュー加工機の造粒開始ゾーンにおいて、材料の停滞なしに達成され、造粒開始ゾーンが、搬送エレメントから本質的になる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
二軸スクリュー加工機が、共回転二軸スクリュー押出機である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
二軸スクリュー加工機から回収された顆粒が、投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発泡組成物並びにその製造方法及び使用方法の実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
水に添加したときに発泡を生じる発泡組成物は、医薬、食品、獣医学、栄養補助、園芸、家庭、料理、殺虫、農業、化粧、除草、工業、洗浄、製菓及び着香用途において使用される。特に医薬用途における発泡組成物は、いくつかの特有の利点、例えば医薬活性成分(API)の溶液形態での投与及びAPIの矯味を提供する興味深い剤形である。発泡錠の使用によって利益を受ける患者は、高齢者集団、小児集団、並びに嘔吐反射及び/又は嚥下困難を有する大規模な成人集団である。加えて、APIが溶液として投与されることから、溶解、即ち、吸収速度及びバイオアベイラビリティの程度に関連する問題が最小化され、作用の急速な発現を実現することができる。
【0003】
発泡組成物の製造は複雑であり、発泡組成物は水分の存在下で反応性となる傾向があるために、慎重な環境制御を必要とする。この反応は、自触媒反応であり、制御することが困難である。また、発泡組成物は、急速な崩壊時間を必要とし、これは、組成物の多孔度に依存する。例えば、発泡錠は、一般に60秒未満の急速な崩壊時間を必要とする。同時に、発泡組成物はまた、包装及び輸送に適している必要がある。例えば、発泡錠は、満足のいく包装及び輸送ができるように、適正な硬度を有する必要がある。最後に、発泡組成物は、水中で有効となるのに十分な量の二酸化炭素を発生させるべきである。発泡組成物の製造のための様々な方法が検討されており、例えば湿式造粒、乾式造粒、直接圧縮及び加熱溶融加工である。しかしながら、これらの従来技法から得られる発泡組成物は、例えば、外部結合剤を使用したときの低い二酸化炭素(CO2)含有量、低い多孔度及び長い崩壊時間、自由流動性でない又は圧縮し錠剤を形成することが困難である顆粒、低い機械的強度、製造の困難性等といった欠点の1つ又は複数を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,071,539号
【文献】米国特許第6,488,961号
【文献】米国特許第6,649,186号
【文献】米国特許第6,426,111号
【非特許文献】
【0005】
【文献】Hausner, H.H.、Int. J. Powd. Metall、第3巻、7頁、1967年
【文献】Carr, R.L.、Chem. Eng.、第72巻、第1号、163頁及び第2号、69頁、1965年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、高い二酸化炭素保持率、高い多孔度及び高い機械的強度を有し、且つ造粒剤及び/又は結合剤を積極的に添加することを必要としない発泡組成物が必要である。また、急速であり、且つ容易に制御できる、そのような発泡組成物を製造するための方法が必要である。そのような方法は、連続法であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、溶融している酸の一部及び溶融していない酸の一部の組合せを含む無水酸成分と、カーボネート官能基を含み、酸成分と反応して二酸化炭素を形成することが可能である無水塩基成分とを含む顆粒状組成物であって、無水酸成分及び無水塩基成分が、1:9から9:1の範囲の質量比で存在し、組成物が、積極的に添加される造粒剤を含まない、組成物に関する。
【0008】
本開示はまた、酸及び塩基を含む投入ブレンドから、投入ブレンドを二軸スクリュー加工機において造粒することによって形成された多孔性発泡組成物であって、in situ造粒剤によって形成された顆粒を含み、in situ造粒剤が酸の一部であり、前記酸の一部が、造粒中に溶融する酸の一部である、多孔性発泡組成物に関する。
【0009】
本開示はまた、酸及び塩基を含む投入ブレンドから、投入ブレンドを二軸スクリュー加工機において造粒することによって形成された多孔性発泡組成物であって、造粒中に溶融する酸の一部であるin situ造粒剤によって形成された顆粒を含む、多孔性発泡組成物と、1種又は複数の任意選択の加工添加剤とを含む、経口固体剤形、例えば発泡錠若しくは経口投与用散剤、又はそれらの組合せに関する。
【0010】
本開示は更に、酸及び塩基を含む投入ブレンドを受け入れるための取入れゾーンと、in situ造粒剤として機能するように、酸の一部のみを溶融させるための造粒開始ゾーンと、投入ブレンドを造粒するための造粒完了ゾーンと、顆粒を吐出するための出口とを含む、多孔性発泡顆粒を調製するための二軸スクリュー加工機に関する。
【0011】
本開示は更に、酸及び塩基を含む投入ブレンドを二軸スクリュー加工機に供給する工程と、in situ造粒剤として機能するように、酸の一部のみを溶融させる工程と、投入ブレンドを造粒して顆粒を形成する工程と、任意選択で、二軸スクリュー加工機から顆粒を回収する工程とを含む、多孔性発泡顆粒を調製するための方法に関する。
【0012】
本開示は更に、酸及び塩基を含む多孔性発泡顆粒であって、顆粒を調製するために使用される投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有し、投入ブレンドの二酸化炭素の少なくとも90%を保持する、多孔性発泡顆粒に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態による共回転二軸スクリュー押出機のスクリュー構成を示す図である。
図2】本開示の一実施形態による多孔性発泡顆粒を製造するための加工機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I.用語の説明
以下の用語説明は、本開示をよりよく説明し、本開示の実施において当業者を導くために提供される。本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」は、「含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味し、単数形「1つ(種)の(a)」若しくは「1つ(種)の(an」又は「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指定がない限り、複数の指示対象を含む。「又は」という用語は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、記述された択一的要素のうちの単一の要素又は2つ以上の要素の組合せを指す。
【0015】
本明細書に記載された装置、組成物、及び方法は、決して限定するものと解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、様々な開示された実施形態の全ての新規且つ非自明な特徴及び態様を、単独で並びに相互の様々な組合せ及び部分組合せで対象とする。開示された装置、組成物、及び方法は、いずれかの特定の態様若しくは特徴、又はそれらの組合せに限定されず、また開示された装置、組成物、及び方法は、いずれか1つ又は複数の特定の利点が存在する又は問題が解決されることを必要としない。いずれの操作理論も、説明を容易にするものであるが、開示された装置、組成物、及び方法は、そのような操作理論に限定されない。
【0016】
開示された方法の一部の操作は、簡便な提示のために特定の逐次的順序で説明されるが、この説明様式は、下記の特別な文言によって特定の順序が必要とされない限り、並べ替えを包含すると理解すべきである。例えば、逐次的に説明された操作は、並べ替える又は一斉に実施することができる場合もある。更に、単純化のために、添付の図面は、開示された装置、組成物、及び方法を他の装置、組成物、及び方法とともに使用できる様々な方式を示していない場合がある。加えて、本明細書は時に、「生産する」及び「提供する」のような用語を使用して、開示された方法を説明する。これらの用語は、実施される実際の操作を高度に抽象化したものである。これらの用語に対応する実際の操作は、特定の実装に応じて変動し、当業者によって容易に認識されうる。
【0017】
一部の例では、値、手順、又は装置は、「最低の」、「最良の」、「最小の」等と称される。そのような説明は、多くの使用される機能的代替物の中から選択できることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも良好であり、小さく、又はその他の形で好ましい必要はないと認識されよう。
【0018】
例は、「上に」、「下に」、「上の」、「下の」等として指示される向きを参照して説明される。これらの用語は、簡便な説明のために使用されるが、いかなる特定の空間的方向も示唆しない。
【0019】
別段の説明がない限り、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。別段の指示がない限り、本明細書又は特許請求の範囲において使用される成分の分量、分子量、百分率、温度、時間等を表す全ての数字は、「約」という用語によって修飾されていると理解すべきである。よって、黙示的又は明示的に別段の指示がない限り、記載された数値パラメータは、求められる所望の特性及び/又は標準的な試験条件/方法下での検出限界に依存しうる近似値である。論じられた先行技術から実施形態を直接的且つ明示的に区別するとき、実施形態の数字は、「約」という単語の記載がない限り、近似値ではない。更に、本明細書に記載された全ての代替物が、均等物であるとは限らない。
【0020】
II.概説
本開示は、多孔性発泡組成物、より詳細には顆粒に関する。組成物は、1つ又は複数の重要な属性、例えば自由流動能力、圧縮性、多孔度、相当量の二酸化炭素保持及び機械的強度を有する。顆粒の形態の発泡組成物は、それ自体を使用することができ、使用する前に他の添加剤と混合することができ、又は例えば、所望の機械的強度、有効性及び急速な崩壊時間を有する発泡錠を形成するのに好適である。一部の実施形態では、本開示の顆粒の形態の多孔性発泡組成物は、投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有し、投入ブレンドの二酸化炭素(CO2)含有量の全て又は実質的に全てを保持する。本明細書において、投入ブレンドに対する発泡組成物の多孔度は、相対多孔度と称される。相対多孔度は、相対かさ多孔度又は相対タップ多孔度のいずれかとして測定されうる。「投入ブレンドのCO2含有量の全て又は実質的に全て」という用語は、投入ブレンドのCO2含有量の少なくとも90%を意味し、組成物、詳細には顆粒のパーセント相対保持CO2含有率としても表される。
【0021】
発泡組成物における発泡は、水の存在下で急速に反応し、CO2を放出して、炭酸又は発泡性液体飲料をもたらす酸及び塩基物質、例えば炭酸塩又は炭酸水素塩の存在により得られる。CO2の遊離により、APIの水への溶解及びAPIの矯味が達成される。
【0022】
満足のいく発泡組成物の製造には、組成物の多孔度、組成物中に保持された二酸化炭素の量及び組成物の機械的強度のバランスが必要である。
【0023】
発泡組成物を生産するための1つの従来技法は、湿式造粒である。湿式造粒は、造粒剤(本明細書に開示されたin situ造粒剤以外)の添加又は生成を必要とする。積極的に添加される造粒剤は、湿潤剤として作用する水、蒸気、若しくは溶媒、例えばアルコール、プロピレングリコール若しくはグリセリン、又は結合剤、例えばポリビニルピロリドンでありうる。発泡製剤を製造するのに好ましい湿式造粒の1種は、プロセス中に少量の水を添加する、TOPO真空造粒である。クエン酸と炭酸水素塩又は炭酸塩との反応によって開始される連鎖反応中に、追加の水が生成される。この連鎖反応を制御及び管理するために、造粒プロセス中にある特定の期間にわたり真空を繰り返し適用することによって、水を排除する。そのような組成物の多孔度は、反応中の二酸化炭素生成の結果である。このプロセスの制御は、非常に重要である。組成物の多孔度及び二酸化炭素含有量は、反応の程度に応じて変動しうる。
【0024】
流動床噴霧造粒機もまた、湿式造粒に使用することができ、この場合、造粒及び乾燥が同時に行われる。プロセスを通じて低い水分レベルが得られるが、大量の造粒液が必要であり、それによりプロセスの実施が長期且つ高価となり、発泡品質が損なわれる潜在的リスクがある。
【0025】
湿式造粒はまた、融解法によって行うことができる。この方法では、アルカリを、少なくとも部分的に水和した酸である酸と混合する。混合物を結晶水が放出されるまで加熱する。次いで、放出された結晶水が、造粒剤として作用する。この方法は、造粒剤としての外部水の使用を回避するが、この方法もまた、終了させることが困難である連鎖反応を誘発する可能性があり、除去する必要がある追加の水分を生じる。組成物の多孔度は、やはり、反応における二酸化炭素生成の結果である。この方法によって生産された発泡組成物は、可変であり、より低い場合もあるCO2含有量を有する。また、これらの組成物から生産された錠剤は、製品の取扱及び包装操作に十分な機械的強度を有さない。
【0026】
湿式造粒はまた、酸及び塩基成分について2つの別個の造粒工程を実行し、その後乾式ブレンド工程を実行することによって行うことができる。この従来技法における課題は、錠剤の均質性を達成することであり、その理由は、材料を均質にブレンドして均一な組成物とすることが困難であるからである。
【0027】
これらの従来の湿式造粒技法の別の欠点は、湿式造粒のためのアルコール等の溶媒の使用により、上記の設備の防炎型等の複雑な設備及び造粒液を取り扱うための高い安全要件が必要となることである。
【0028】
発泡組成物を形成するための別の従来方法は、乾式造粒である。この方法は、一般に、いかなる液体も結合剤も必要としないスラッギング又はローラーコンパクションを含む。しかしながら、この方法によって得られた組成物は、低い多孔度を有する。直接圧縮技法もまた、低い多孔度を有し、その結果、崩壊時間が長く、機械的強度が低い発泡組成物を調製するのに使用されている。
【0029】
加熱溶融加工もまた、発泡組成物の製造に用いられており、概して結合剤の溶融を伴う。1つのそのような方法は、Robinsonの米国特許第6,071,539号、第6,488,961号及び第6,649,186号に開示されており、これらは、結合剤の溶融を伴う加熱溶融押出について論じている。結合剤の使用により、水又は溶媒の使用の欠点が回避される可能性があるが、使用することができる結合剤の種類に制限があり、得られた組成物は、低い多孔度及びCO2含有量を有する。米国特許第6,426,111号は、酸を溶融させ、アルカリ及び他の成分と混合する、別の加熱溶融方法を記載している。この方法は、保護層を形成するために、溶融した酸による塩基及び他の成分の完全な捕捉を確保する。この方法によって形成されたタフィー状の塊(taffy mass)を直接押し出して、所望の形状を形成することができる。この方法は、そのようにして形成された組成物に多孔性を付与するために使用する必要がある添加剤によって限定される。この方法はまた、そこに開示された結果を達成するために、組成物中に存在する全ての酸を溶融させることを必要とする。更に、これは、本開示の組成物によって示される改善された特性及び性能を有する発泡錠をもたらさない。本発明者等は、米国特許第6,426,111号に開示された方法を再現して、それを確かめた。この特許に開示されているように、所要分量の無水クエン酸をステンレス鋼容器に入れ、125℃に維持した加熱板に載せた。しかしながら、125℃に45分間曝露した後でも、無水クエン酸の溶融の兆候はなかった。したがって、温度を145から150℃に上昇させた。この特許に開示された方法に従って形成された発泡組成物は、およそ71.55%のパーセント相対保持CO2含有率及びわずか14.10%の相対比かさ多孔度を有していた。
【0030】
これらの従来方法とは対照的に、本開示は、酸及び塩基を含む投入ブレンドから、投入ブレンドを二軸スクリュー加工機において造粒することによって形成された多孔性発泡組成物であって、in situ造粒剤によって形成された顆粒を含み、in situ造粒剤が酸の一部であり、前記酸の一部が、造粒中に溶融する酸の一部である、多孔性発泡組成物に関する。本開示のin situ造粒剤は、塩基と反応して発泡を生じる酸成分以外の(又はそれとは別個の)造粒剤である、積極的に添加される造粒剤とは異なる。
【0031】
上記の従来方法に対する本開示の寄与は、投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有する多孔性発泡組成物を得ることにある。
【0032】
上記の従来方法に対する本開示の寄与は、投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する多孔性発泡組成物を得ることにある。
【0033】
酸の一部のみの溶融は、他の粒子の分子との固体架橋を形成させる。これにより、近接した粒子が結合して、改善された圧縮性を有する変形可能な不規則な形状の多孔性顆粒が形成される。酸の一部のみの溶融は、打錠に好適な顆粒をもたらすことができる。米国特許第6,426,111号の方法に記載されているような酸の完全溶融は、過造粒を生じ、結果として、発泡効率が損なわれた低品質の発泡錠を生じる。
【0034】
造粒中に酸と塩基との反応がほとんど又は全く起こらないことから、造粒中の二酸化炭素の損失はごくわずかであるか又は全くない。一部の実施形態では、顆粒は、投入ブレンドのCO2含有量の全て又は実質的に全てを保持する。これはまた、水に曝露したときの発泡を改善させる。一部の実施形態では、本開示の顆粒から製造された発泡錠は、60秒未満の崩壊時間を有する。
【0035】
更に、酸及び塩基分子が近接していることから、本開示に従って形成された顆粒は、改善された機械的強度を示す。例えば、本顆粒から形成された錠剤は、改善された硬度及び水に曝露したときの崩壊時間を示す。
【0036】
このように、in situ造粒剤を使用する、投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度又は投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する多孔性発泡組成物の形成により、従来方法(例えば、積極的に添加される造粒剤、例えば水若しくは結合剤を使用する、又は酸成分を完全に溶融させる)に関連する問題が回避される。これは更に、追加の工程、例えば乾燥及び他の加工工程の必要性を排除して、製造の容易性を実現する。
【0037】
III.組成物並びにそれを製造及び使用する方法
多様な用途における組成物の使用に寄与する改善された特性を示す多孔性発泡組成物の実施形態が、本明細書に開示される。一部の実施形態では、多孔性発泡組成物は、酸及び塩基を含む投入ブレンドを使用して形成することができる。一部の実施形態では、多孔性発泡組成物は、投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有する。一部の実施形態では、多孔性発泡組成物は、投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する。顆粒の多孔度の増加を、顆粒の他の特性を損なうことなく達成できることが観察された。
【0038】
例示的な実施形態によれば、組成物は、積極的に添加される造粒剤を含有しない、又は含まない。組成物は、酸及び塩基成分の機能に悪影響を及ぼす、及び/又は積極的に添加される造粒剤(例えば、水、結合剤、又は上記の従来の造粒剤のいずれか)である、積極的に添加される成分(酸又は塩基以外)を含まないと理解される。
【0039】
一実施形態によれば、酸は、遊離酸、酸無水物及び酸塩形態の任意の有機酸でありうる。詳細には、酸は、クエン酸及び他の酸、例えば酒石酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、アルファヒドロキシ酸、アスコルビン酸、アミノ酸、及びそのアルカリ水素酸塩から選択することができる。1種又は複数の酸の混合物もまた使用することができる。一実施形態によれば、酸は、APIである。そのような酸の例は、アスピリン、N-アセチルシステイン、イバンドロン酸、イブプロフェン、ケトプロフェン、メフェナム酸、アスコルビン酸及び他の酸性アミノ酸を含む。
【0040】
一実施形態によれば、塩基は、二酸化炭素前駆体であり、カーボネート含有化合物、例えば炭酸塩;セスキ炭酸塩;カリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、アンモニウムの炭酸水素塩; L-リシン炭酸塩;アルギニン炭酸塩;グリシン炭酸ナトリウム;又はアミノ酸炭酸ナトリウムから選択することができる。1種又は複数の塩基の混合物もまた使用することができる。例えば、一部の実施形態では、塩基は、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの混合物である。
【0041】
一部の実施形態では、組成物は、酸及び塩基から本質的になる。酸及び塩基は、水を添加した際に発泡を引き起こすのに十分な分量で存在する。組成物中の酸及び塩基の量は、使用される酸及び塩基に応じて変動しうる。一部の実施形態では、使用される酸の量は、組成物中10w/w%から90w/w%、例えば20w/w%から70w/w%、又は40から50w/w%の範囲でありうる。例示的な実施形態では、使用される酸の量は、組成物中40w/w%から50w/w%から選択することができる。塩基の量は、組成物中10w/w%から90w/w%、例えば20w/w%から70w/w%、又は45w/w%から55w/w%の範囲でありうる。例示的な実施形態では、使用される塩基の量は、組成物中45w/w%から55w/w%から選択することができる。一部の実施形態では、酸と塩基とのモル比は、発泡中の溶液の所望のpH維持に応じて変動しうる。例示的な実施形態では、酸と塩基とのモル比は、3:1から1:5から選択することができる。例示的な実施形態では、酸と塩基との質量比は、1:9から9:1から選択することができる。
【0042】
一実施形態では、投入ブレンドの成分は、無水である。例示的な実施形態によれば、無水形態の酸を使用して、酸を二軸スクリュー加工機の造粒開始ゾーンにおいて加熱したときに結晶水が放出されないことを確保する。例示的な実施形態によれば、無水形態の塩基が使用される。更に別の実施形態では、無水形態の酸及び無水形態の塩基の両方を使用することができる。別の実施形態によれば、投入ブレンドは、0.5%未満の水分含有率を有する。投入ブレンドの成分の1種又は複数を、加工機に供給する前に、水分除去工程に供することができる。一部の実施形態では、酸及び塩基の水分含有率を0.25w/w%未満に維持することが有益でありうる。酸及び塩基の水分は、当業者に公知の任意の乾燥方法によって除去することができる。例えば、水分は、成分を45から60℃でトレイ乾燥することによって除去することができる。次いで、均質な加工のために、成分を篩過して、微粒子を得ることができる。一部の実施形態では、成分をASTM40番及び/又は60番メッシュ篩での篩過に供して、それぞれ420ミクロン及び250ミクロン未満の粒径を有する粒子を得る。
【0043】
一部の実施形態では、投入ブレンドはまた、医薬、食品、獣医学、栄養補助、園芸、家庭、料理、殺虫、農業、化粧、除草、工業、洗浄、製菓及び着香用の作用物質、又はそれらの組合せから選択される1種又は複数の活性成分を含むことができる。
【0044】
医薬作用物質は、治療適応の全範囲を網羅する任意のAPI、例えば抗感染症薬、抗細菌薬、抗ヒスタミン薬及び鬱血除去薬、抗炎症剤、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、殺アメーバ薬、又は殺トリコモナス剤(trichomonocidal agent)、鎮痛薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗凝固薬、抗けいれん薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、抗新生物薬、抗精神病薬、降圧薬、去痰薬、電解質、緩下薬、植物性医薬品(phytopharmaceutical)、筋弛緩薬、利尿薬等を含む。APIの量は、所望の用途に応じて変動してよく、例えば、臨床的に確立された効能に基づく単位用量でありうる。例えば、APIの量は、選択されたAPIに基づいて、0.01mgから約1000mgの範囲でありうる。
【0045】
一部の実施形態では、1種又は複数のAPIは、発泡組成物の形成中に添加される。代替的な実施形態では、APIは、発泡組成物の形成後に添加される。
【0046】
投入ブレンドは、可溶性及び不溶性滑沢剤、着香物質、着色剤、又はそれらの組合せから選択される1種又は複数の加工添加剤を更に含むことができる。
【0047】
可溶性滑沢剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG4000、PEG6000及びPEG8000、ステアリン酸ポリオキシエチレン及びラウリル硫酸ナトリウム又はマグネシウム、安息香酸ナトリウム、L-ロイシン等、並びにそれらの組合せを含みうるがこれらに限定されない。不溶性滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミトステアリン酸グリセリル等、及びそれらの組合せを含みうるがこれらに限定されない。滑沢剤の量は、所望の滑沢作用に依存し、当業者に周知である。
【0048】
着香物質は、合成フレーバー油及び着香芳香剤及び/又は天然油、植物、葉、花、果実等からの抽出物、並びにそれらの組合せを含みうるがこれらに限定されない。これらは、ケイ皮油、冬緑油、ハッカ油、チョウジ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、タイム油、シダーリーフ油、ニクズク油、セージ油、ビターアーモンド油、カシア油等を含みうる。バニラ、レモン、オレンジ、ブドウ、ライム及びグレープフルーツを含む柑橘油、並びにナシ、モモ、イチゴ、キイチゴ、サクランボ、スモモ、パイナップル、アンズ等を含む果実エッセンスもまた、フレーバーとして有用である。特に有用であることが見出されているフレーバーは、市販のオレンジ、ブドウ、サクランボ及びバブルガムフレーバー、並びにそれらの混合物を含む。着香料の量は、所望の官能作用を含むいくつかの因子に依存しうる。
【0049】
有用な着色剤は、食品、薬物及び化粧品(FD&C)色素、例えば染料、顔料、レーキ、天然着色料及び誘導着色料及び天然着色料を含みうるがこれらに限定されない。有用なレーキは、水酸化アルミニウム及び他の好適な担体に吸着された染料を含む。好適な色素の例は、FD&C Red No. 3、FD&C Red No. 40、FD&C Blue No. 1、FD&C Blue No. 2、FD&C Yellow No. 5、FD&C Yellow No. 6、FD&C Green No. 3、及びそれらの組合せを含む。着色剤の量は、所望の美的外観に依存し、当業者に周知である。
【0050】
本開示はまた、上記の多孔性発泡組成物を含む、経口固体剤形に関する。経口固体剤形の例は、発泡錠、経口投与用散剤、又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。発泡錠という用語はまた、発泡を利用して所望の結果を達成する、その変形物、例えば口腔内崩壊錠及び速崩錠を含む。
【0051】
経口固体剤形は、酸及び塩基を含む投入ブレンドから、投入ブレンドを二軸スクリュー加工機において造粒することによって形成された多孔性発泡組成物であって、in situ造粒剤によって形成された顆粒を含み、in situ造粒剤が酸の一部であり、前記酸の一部が、造粒中に溶融する酸の一部である、多孔性発泡組成物と、任意選択で、加工添加剤とを含む。
【0052】
加工添加剤は、非発泡性崩壊剤、可溶性及び不溶性滑沢剤、着香物質、着色剤、又はそれらの組合せから選択されうる。
【0053】
非発泡性崩壊剤の非限定的な例は、微結晶性セルロース、クロスポビドン、デンプン、加工デンプン、クレイ、例えばベントナイト、ガム、例えばペクチン、トラガカント、アルギネート、デンプングリコール酸ナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムを含む。非発泡性崩壊剤の量は、最大で約20質量パーセントであってよく、好ましくは経口固体剤形の約2から10質量パーセントの間である。
【0054】
一実施形態によれば、錠剤は、室温、約25℃±5℃で、水中で20から90秒の崩壊時間を有する。例示的な実施形態によれば、錠剤は、室温、約25℃±5℃で、水中で30から60秒の崩壊時間を有する。一実施形態によれば、錠剤は、少なくとも3Kp(キロポンド)の硬度を有する。例示的な実施形態によれば、錠剤は、3から20Kpの硬度を有する。
【0055】
当業者に周知の任意の従来の圧縮技法を使用して、本開示の経口固体剤形を形成することができる。
【0056】
本開示はまた、多孔性発泡顆粒を調製するための二軸スクリュー加工機に関する。加工機は、酸及び塩基を含む投入ブレンドを受け入れるための取入れゾーンと、in situ造粒剤として機能するように、酸の一部のみを溶融させるための造粒開始ゾーンと、投入ブレンドを造粒するための造粒完了ゾーンと、顆粒を吐出するための出口とを含む。
【0057】
図2は、本開示の一実施形態による発泡組成物を調製するための加工機(200)を示す。加工機(200)は、酸及び塩基を含む投入ブレンドを受け入れるための取入れゾーン(202)と、in situ造粒剤として機能するように、酸の一部のみを溶融させるための造粒開始ゾーン(204)と、投入ブレンドを造粒するための造粒完了ゾーン(206)と、顆粒を吐出するための出口(208)とを含む。
【0058】
加工機の造粒開始ゾーンには、加工機バレルを酸の一部のみの溶融を引き起こすのに十分な温度に加熱する加熱エレメントが設けられる。一部の実施形態では、造粒開始ゾーンは、酸の溶融温度よりも10から40℃低い温度に維持される。例示的な実施形態では、造粒開始ゾーンは、酸の溶融温度よりも約20℃低い温度に維持される。一実施形態によれば、酸の一部のみの溶融は、造粒開始ゾーンにおける短い滞留時間によって確保される。一実施形態によれば、加工機における滞留時間は、10秒未満である。特定の実施形態によれば、60のL/Dを有する加工機における滞留時間は、8から10秒である。特定の実施形態によれば、造粒開始ゾーンにおける滞留時間は、3から5秒である。一部の実施形態では、造粒開始ゾーンは、搬送エレメントのみからなる。一部の実施形態では、造粒開始ゾーンは、搬送エレメントから本質的になる。搬送エレメントは、加工機において、材料に有意なせん断を与えることなく、材料を下流に輸送するのに使用されるエレメントである。搬送エレメントは、材料の停滞を防止し、短い滞留時間を実現するのに役立つ。
【0059】
一部の実施形態では、造粒完了ゾーンは、およそ25から35℃に維持される。一部の実施形態では、加工機の造粒完了ゾーンにもまた、搬送エレメントが設けられる。一実施形態によれば、加工機の造粒完了ゾーンは、搬送エレメントのみからなる。一部の実施形態では、造粒完了ゾーンは、搬送エレメントから本質的になる。
【0060】
一部の実施形態では、加工機は、造粒開始ゾーン及び造粒完了ゾーンの間に遷移ゾーンを更に含むことができる。遷移ゾーンもまた、加熱エレメントを含むことができる。遷移ゾーンの温度は、造粒開始ゾーンの温度未満である。一部の実施形態では、遷移ゾーンは、造粒開始ゾーンの温度よりも低く、且つ造粒完了ゾーンの温度よりも高い温度に維持される。例示的な実施形態では、遷移ゾーンは、50から70℃に維持される。一実施形態によれば、加工機の遷移ゾーンは、搬送エレメント又は搬送及び混練エレメントの混合体からなる。混練エレメントは、材料にせん断エネルギーを導入するために使用され、それにより混合にも役立つエレメントである。混練エレメントの角度を増加させると、エレメントの搬送能力が低下する。例示的な実施形態では、前方搬送角度45°が使用される。
【0061】
一部の実施形態では、二軸スクリュー加工機は、共回転二軸スクリュー加工機である。一実施形態によれば、共回転二軸スクリュー加工機は、共回転二軸スクリュー押出機である。例示的な共回転二軸スクリュー押出機のスクリュー構成を図1に示す。
【0062】
本開示はまた、多孔性発泡組成物を調製するための方法に関する。一部の実施形態では、本方法は、ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有し、投入ブレンドの少なくとも90%のCO2含有量を保持する多孔性発泡組成物を製造するために使用される。
【0063】
一部の実施形態では、本方法は、酸及び塩基を含む投入ブレンドを二軸スクリュー加工機に供給する工程と、in situ造粒剤として機能するように、酸の一部のみを溶融させる工程と、投入ブレンドを造粒して顆粒を形成する工程と、任意選択で、2軸加工機から顆粒を回収する工程とを含む。
【0064】
一部の実施形態では、酸の一部のみの溶融は、造粒開始ゾーンを酸の溶融温度よりも10から40℃低い温度に維持することによって達成することができる。一部の実施形態では、酸の一部のみの溶融は、加工機内、例えば加工機の造粒開始ゾーン内における短い滞留時間を維持することによって達成することができる。一部の実施形態では、酸の一部のみの溶融は、造粒開始ゾーンの長さを減少させることによって達成することができる。一部の実施形態では、酸の一部のみの溶融は、低いL/D比を使用して達成することができる。一部の実施形態では、L/D比は、60である。酸の一部のみの溶融はまた、造粒開始ゾーン内における材料の停滞を防止することによって達成することができる。一部の実施形態では、酸の一部のみの溶融は、造粒開始ゾーン内で搬送エレメントのみを使用することによって達成される。一部の実施形態では、酸の一部のみの溶融は、造粒開始ゾーン内で搬送エレメントを本質的に使用することによって達成される。実施形態の組合せを使用して、酸の一部のみの所望の溶融を達成することもできる。酸の一部のみの溶融はまた、酸と塩基との潜在的な反応を最小化して、発泡顆粒における多量(90から100%)の二酸化炭素保持を実現する。
【0065】
一実施形態によれば、酸の一部の溶融は、酸の表面溶融を含む。表面溶融は、造粒開始ゾーンの内側表面と物理的に接触している酸の部分の溶融と定義される。
【0066】
溶融する酸の一部は、加工機において観測されるトルクを使用し、それを使用して出力(P)及び比エネルギー投入量(SEI)を計算して推定することができる。SEIは、顆粒を生産するために二軸スクリュー加工機によって投入されるエネルギーの尺度であり、熱的エネルギー、機械的エネルギー等、及びそれらの組合せの形態でありうる。一実施形態によれば、SEIは、熱的及び機械的エネルギーの組合せでありうる。即ち、
SEI=SEI機械的+SEI熱的
【0067】
別の実施形態によれば、SEIは、実質的に機械的エネルギーでありうる。一実施形態によれば、加工機のSEIは、酸の完全溶融に必要とされるエネルギー(Em)未満である。例示的な実施形態によれば、加工機のSEIは、Emの約50%でありうる。酸溶融のパーセントの推定値は、次のような式(1)を使用して得ることができる:
酸溶融パーセント=SEI/Em×100……(1)
(式中、酸の完全溶融に必要とされるエネルギー(Em)は、投入ブレンド及びその成分の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムから得ることができる)。
【0068】
SEIが実質的に機械的エネルギーである実施形態によれば、出力(P)及び比エネルギー投入量(SEI機械的)は、式(2)及び(3)を使用して計算することができる:
P=2πNτ/60,000……(2)
(式中、P=出力(kW)
N=スクリュー速度(rpm)
τ=トルク(Nm))
SEI機械的=出力(kW)/スループット又は供給速度(kg/h)……(3)
(式中、SEI機械的は、二軸スクリュー加工機の機械的比エネルギー投入量(kWh/kg)である)。
【0069】
投入ブレンドは加工され、造粒開始ゾーンから造粒完了ゾーンを通って加工機の出口へと搬送される。加工及び搬送により、溶融した酸の一部が固化され、それにより加工機内における造粒が達成される。一部の実施形態では、加工機の造粒完了ゾーンにおいて、搬送エレメントのみ又は実質的に搬送エレメントが使用される。造粒工程は、高い多孔度及び圧縮性を有する個別の自由流動性顆粒の形成を助長する。一部の実施形態では、二軸スクリュー加工機を使用して多孔性発泡組成物を形成する方法は、バッチ法でありうる。一部の実施形態では、二軸スクリュー加工機を使用して発泡組成物を形成する方法は、連続法でありうる。「バッチ法」という用語は、全ての材料が加工の開始前に装入され、加工の最後に吐出される方法を指す。「連続法」という用語は、材料が加工中に同時に装入及び吐出される方法を指す。
【0070】
一実施形態によれば、加工機に供給される投入ブレンドは、0.5%未満の水分含有率を有する。
【0071】
IV.いくつかの実施形態の概説
本明細書に開示された組成物、方法及び加工機の実施形態は、重要な属性、例えば従来の類似の発泡組成物と比較してより高い多孔度及びより高い二酸化炭素含有量を有する発泡組成物の生産を実現する。これらの多孔性発泡組成物は、加工添加剤を使用して更に加工して、例えば、改善された機械的強度を示し、且つ一般に60秒未満の急速な崩壊時間も示す発泡錠を形成することができる。
【0072】
開示された方法の実施形態は、添加物、例えば水、溶媒、又は積極的に添加される結合剤を一切必要としない。本明細書に開示された方法及び加工機の実施形態はまた、コスト効率の高い連続システムを実現する。本明細書に開示された方法の実施形態は、大規模化可能であり、大量の発泡組成物の急速な生産に好適である。
【0073】
酸の一部のみの溶融は、少なくとも50%の相対多孔度及び投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する発泡顆粒の達成に寄与すると考えられる。一部の実施形態では、組成物は、粒子の少なくとも90%が1000ミクロン以下である正規粒径分布を有する。そのような粒径分布は、顆粒の自由流動性を助長する。酸の一部のみの溶融はまた、顆粒の相対多孔度の増加に寄与すると考えられる。顆粒の高い多孔度は、錠剤の急速な崩壊を助長する。酸の一部のみの溶融はまた、顆粒の圧縮性を増加させる不規則な顆粒の形成に寄与し、それにより顆粒が打錠に好適となり、製品の取扱及び包装作業に十分な硬度を有する錠剤が得られると考えられる。本開示の顆粒から得られた錠剤は、60秒未満の崩壊時間及び少なくとも3kpの硬度を有する。
【実施例
【0074】
V.実施例
特許請求された方法の実施形態を使用して形成された多孔性発泡組成物、詳細には顆粒の水分含有率、保持CO2含有率、崩壊時間、多孔度、かさ密度及びタップ密度、並びに他の特性を決定するための例が、本明細書に記載される。いくつかの例は、従来方法と比較して、本開示の組成物及び方法を使用することの利益を強調する。
【0075】
これらの特性を測定するのに使用される例示的な方法を下記に記載する。
【0076】
水分含有率の決定:投入ブレンド及び顆粒を、75℃で5分間、赤外線水分天秤分析器によって分析した。質量損失を、その初期質量に対する水分含有率パーセント(%)として記録した。
【0077】
保持CO2含有量の決定:投入ブレンド5.0g及び顆粒5.0gを、2つの別個の10v/v%硫酸溶液100mlに添加した。ブレンド又は顆粒中に存在する硫酸と炭酸水素塩又は炭酸塩との反応の結果としてのCO2の遊離による投入ブレンド及び顆粒の質量損失を、二酸化炭素の観測質量として記録した。反応後の投入ブレンド及び顆粒の質量と、投入ブレンド及び顆粒それぞれの初期質量との差を計算して、ブレンド又は顆粒中の保持CO2含有量(g)を測定した。次いで、顆粒中のパーセント相対保持CO2含有率(%)を、下記の式を使用して計算した:
相対保持CO2含有率(%)=(顆粒中のCO2の観測質量(g)×100)/投入ブレンド中のCO2の観測質量(g)
【0078】
発泡錠の崩壊時間の決定:崩壊時間は、室温、約25℃±5℃で、精製水200ml中、3つの発泡錠(試験ユニット数(n)=3)のそれぞれが崩壊し、透明な溶液を形成するのに必要とされる平均時間として計算した。
【0079】
発泡錠の硬度及び厚さの決定:硬度は、5つの発泡錠(試験ユニット数(n)=5)のそれぞれについて、Inweka TBH 125硬度試験機(ドイツ)を使用して測定した硬度の平均として計算した。厚さは、5つの発泡錠(試験ユニット数(n)=5)のそれぞれについて、ノギスを使用して測定した厚さの平均として計算した。
【0080】
かさ密度及びタップ密度の測定:既知量(m)の投入ブレンド及び顆粒を、2つの別個の乾燥した100mlメスシリンダーに添加した。2つのシリンダーの内容物を圧密せずにならし、ゆるみ見掛けかさ体積(V0)を最も近い目盛単位まで読み取った。
【0081】
かさ密度(g/ml)は、次式を使用して計算した:
かさ密度=質量(m)/かさ体積(V0)
【0082】
タップ密度を計算するために、2つのシリンダーの内容物を最大1250回まで機械的にタップし、見掛けタップ体積(Vt)を最も近い目盛単位まで読み取った。タップ密度は、次式を使用して計算した:
タップ密度=質量(m)/タップ体積(Vt)
【0083】
多孔度の測定:多孔度は、相対かさ多孔度百分率及び相対タップ多孔度百分率の観点から測定した。
【0084】
相対かさ多孔度百分率は、1gの比(Sp)体積を考慮して、次式を使用して計算した:
相対かさ多孔度%=((顆粒1gのかさ比体積-投入ブレンド1gのかさ比体積)×100)/投入ブレンド1gのかさ比体積
(式中、顆粒1gのかさ比体積=1/顆粒のかさ密度、及び
投入ブレンド1gのかさ比体積=1/投入ブレンドのかさ密度)
【0085】
相対タップ多孔度百分率は、1gの比(Sp)体積を考慮して、次式を使用して計算した:
相対タップ多孔度%=((顆粒1gのタップ比体積-投入ブレンド1gのタップ比体積)×100)/投入ブレンド1gのタップ比体積
(式中、顆粒1gのタップ比体積=1/顆粒のタップ密度
投入ブレンド1gのタップ比体積=1/投入ブレンドのタップ密度)
【0086】
圧縮性の測定:圧縮性は、Hausner, H.H.、Int. J. Powd. Metall、第3巻、7頁、1967年並びにCarr, R.L.、Chem. Eng.、第72巻、第1号、163頁及び第2号、69頁、1965年にそれぞれ示されている、Hausner比及び圧縮性指数の観点から測定した。いずれの引用文献も、参照により本明細書に組み込まれる。
【0087】
(実施例1)
本開示による多孔性発泡組成物の調製:
4つの実験を実施して、異なる酸を含む例示的な顆粒を形成した。例示的な顆粒を形成するために使用した成分を下記に挙げる。
【0088】
【表1】
【0089】
顆粒を形成するために、投入ブレンドの各成分を45℃でトレイ乾燥して、その水分含有率を0.5w/w%未満に減少させ、続いて各成分をASTM60番メッシュ篩で別個に篩にかけた。篩にかけた成分をコーンブレンダーにおいて混合して、投入ブレンドを形成した。投入ブレンドを共回転二軸スクリュー押出機において直ちに加工した。機械仕様及びプロセスパラメータを、下記のTable 2(表2)に記載する:
【0090】
【表2A】
【0091】
【表2B】
【0092】
【表2C】
【0093】
【表2D】
【0094】
【表3】
【0095】
前述のパラメータは、4つの実験について一定に保ったが、供給速度及びバレル温度プロファイルは、下記に記述するように変動させた。
【0096】
供給速度:供給速度は、クエン酸については186グラム/分、リンゴ酸については205グラム/分、アジピン酸については225グラム/分、酒石酸については215グラム/分に維持した。
【0097】
異なる酸を使用して形成された例示的な顆粒のバレル温度プロファイル:下記に示すTable 3(表4)を参照されたい。
【0098】
【表4】
【0099】
共回転二軸スクリュー押出機の出口から得られた顆粒を、乾燥減量が0.5w/w%未満になるまで45℃でトレイ乾燥し、防湿包装中で保存した。次いで、顆粒を評価して、その特性を決定した。4つの実験において得られた顆粒の特性を、下記のTable 4(表5)に要約した。
【0100】
【表5】
【0101】
例として、クエン酸を含有する例示的な顆粒1の相対保持CO2含有率%の計算を下記に示す:
相対保持CO2含有率%=(顆粒中のCO2の観測質量(g)×100)/投入ブレンド中のCO2の観測質量(g)
【0102】
Table 4(表5)中の値を上記の式に代入すると、以下の値が得られる:
相対保持CO2含有率%=(1.36×100)/1.43=95.10
【0103】
例として、クエン酸を含有する例示的な顆粒1の相対比かさ多孔度%の計算を下記に示す:
顆粒1gのかさ比体積=1/顆粒のかさ密度
投入ブレンド1gのかさ比体積=1/投入ブレンドのかさ密度
相対かさ多孔度%=((顆粒1gのかさ比体積-投入ブレンド1gのかさ比体積)×100)/投入ブレンド1gのかさ比体積
【0104】
Table 4(表5)中の値を上記の式に代入すると、以下の値が得られる:
顆粒1gのかさ比体積=1/0.389=2.570
投入ブレンド1gのかさ比体積=1/0.680=1.470
相対かさ多孔度%=(2.57-1.47×100)/1.47=74.81
【0105】
例として、クエン酸を含有する例示的な顆粒1の相対比タップ多孔度%の計算を下記に示す:
顆粒1gのタップ比体積=1/顆粒のタップ密度
投入ブレンド1gのタップ比体積=1/投入ブレンドのタップ密度
相対タップ多孔度%=((顆粒1gのタップ比体積-投入ブレンド1gのタップ比体積)×100)/投入ブレンド1gのタップ比体積
【0106】
Table 4(表5)中の値を上記の式に代入すると、以下の値が得られる:
顆粒1gのタップ比体積=1/0.555=1.801
投入ブレンド1gのタップ比体積=1/1.137=0.879
相対タップ多孔度%=(1.801-0.879×100)/0.879=104.86
【0107】
観察:相対保持CO2含有率%は、90%超であることが見出され、顆粒の相対比かさ多孔度及び相対比タップ多孔度は、50%超であることが見出された。
【0108】
(実施例2)
例示的な発泡錠の調製
実施例1に記載した4つの実験において得られた例示的な顆粒1~4を、乾燥減量が0.5w/w%になるまで45℃に維持した。乾燥した顆粒を、ASTMメッシュ20番篩に通した。上記の工程からの顆粒を、20mm丸平面はす縁ツーリングを備えた単一ステーションの卓上Inweka打錠機(Ahmedabad、インド)を使用して、2.5グラムの質量の錠剤に圧縮した。次いで、錠剤を評価して、その特性を決定した。4つの実験において得られた錠剤の特性を、下記のTable 5(表6)に要約した。
【0109】
【表6】
【0110】
観察:錠剤は、少なくとも3Kpの硬度及び20から90秒の間の崩壊時間を有することが観察された。
【0111】
(実施例3)
APIを含む発泡錠の調製
3つの実験を実施して、API-アスピリン、N-アセチル-L-システイン(NAC)及びセフィキシムを含む発泡錠を形成した。発泡錠を形成するために使用した成分を下記に示す。
【0112】
【表7】
【0113】
上記のTable 6(表7)に記述した組成を有する発泡錠1、2及び3を形成するために、実施例1に従って調製した例示的な顆粒1を、ASTM30番メッシュ篩に通した。APIをASTM30番メッシュ篩で別個に篩過した。こうして得られた例示的な顆粒1及びAPIを手動で混合した。他の成分(スクラロース及びイチゴフレーバー)を、ASTM60番メッシュ篩に通し、次いで、上記で得られた混合物と混合した。最終混合物を、ASTM60番メッシュ篩に通した安息香酸ナトリウムで滑沢化した。滑沢化された混合物を、20mm丸平面はす縁ツーリングを備えた単一ステーションの卓上Inweka打錠機(Ahmedabad、インド)を使用して、錠剤に圧縮した。
【0114】
次いで、こうして得られた発泡錠を評価して、その特性を決定した。3つの実験において得られた錠剤の特性を、下記のTable 7(表8)に要約した。
【0115】
【表8】
【0116】
観察:錠剤は、少なくとも5Kpの硬度及び25秒という短い崩壊時間を有することが観察された。
【0117】
(実施例4)
積極的に添加される造粒剤として溶融性結合剤を使用することによる発泡顆粒の調製
1つの例では、積極的に添加される結合剤を使用して顆粒を形成する方法を使用して、錠剤を製造した。この例における錠剤を形成するために使用した成分を下記に示す。
【0118】
【表9】
【0119】
各成分を45℃でトレイ乾燥して、水分含有率を0.5w/w%未満に減少させ、ASTM60番メッシュ篩で別個に篩にかけた。調合した成分を手動で混合し、共回転二軸スクリュー押出機を使用して、下記に記述する加工条件に従って直ちに加工した。機械仕様及びプロセスパラメータを、下記のTable 9(表10)に記載する:
【0120】
【表10】
【0121】
このプロセスは、開示された方法において使用される新規なスクリュー構成及びエレメントを有する二軸スクリュー押出機において行った。
【0122】
【表11】
【0123】
こうして得られた顆粒を、水分含有率が0.5w/w%未満になるまで45℃でトレイ乾燥し、防湿包装中で保存した。次いで、顆粒を評価して、その特性を決定した。顆粒の特性を、下記のTable 11(表12)に要約した。
【0124】
【表12】
【0125】
観察:上記の方法を使用して製造された顆粒のCO2含有量の効率は、本開示の教示を使用して得られた効率よりもはるかに低いことが見出された。CO2の含有量の低下は、恐らく、酸と塩基との反応によるCO2の損失に起因する。混練エレメント等の追加のエレメントは、造粒開始ゾーンに追加されても、満足のいく顆粒を生じないことが想定される。
【0126】
本開示の原理が適用されうる多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は、本開示の好ましい例にすぎず、本開示の主題の範囲を限定するものと捉えられるべきではないと認識すべきである。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
【0127】
特定の実施形態
溶融している酸の一部及び溶融していない酸の一部の組合せを含む無水酸成分と、カーボネート官能基を含み、酸成分と反応して二酸化炭素を形成することが可能である無水塩基成分とを含む顆粒状組成物であって、無水酸成分及び無水塩基成分が、1:9から9:1の範囲の質量比で存在する、積極的に添加される造粒剤を含まない、組成物。
【0128】
抗感染症薬、抗細菌薬、抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬、抗炎症薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、殺アメーバ薬、殺トリコモナス剤、鎮痛薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗凝固薬、抗けいれん薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、抗新生物薬、抗精神病薬、降圧薬、去痰薬、電解質、緩下薬、植物性医薬品、筋弛緩薬、利尿薬、又はそれらの組合せからなる群から選択される医薬活性作用物質を更に含む、該組成物。
【0129】
アスピリン、N-アセチル-L-システイン、セフィキシム、又はそれらの組合せを更に含む、該組成物。
【0130】
酸及び塩基を含む投入ブレンドから、投入ブレンドを二軸スクリュー加工機において造粒することによって形成された多孔性発泡組成物であって、in situ造粒剤によって形成された顆粒を含み、in situ造粒剤が酸の一部であり、前記酸の一部が、造粒中に溶融する酸の一部である、多孔性発泡組成物。
【0131】
投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有する、該多孔性発泡組成物。
【0132】
投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する、該多孔性発泡組成物。
【0133】
積極的に添加される造粒剤を含有しない、又は含まない、該多孔性発泡組成物。
【0134】
投入ブレンドの酸及び塩基の一方又は両方が、無水である、該多孔性発泡組成物。
【0135】
投入ブレンドが、組成物の0.5w/w%未満の水分含有率を有する、該多孔性発泡組成物。
【0136】
酸が、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、リンゴ酸、又はそれらの組合せからなる群から選択される、該多孔性発泡組成物。
【0137】
投入ブレンドが、医薬、食品、獣医学、栄養補助、園芸、家庭、料理、殺虫、農業、化粧、除草、工業、洗浄、製菓及び着香用の作用物質、又はそれらの組合せからなる群から選択される1種又は複数の成分を更に含む、該多孔性発泡組成物。
【0138】
投入ブレンドが、可溶性及び不溶性滑沢剤、着香物質、着色剤、又はそれらの組合せからなる群から選択される1種又は複数の加工添加剤を更に含む、該多孔性発泡組成物。
【0139】
酸及び塩基を含む投入ブレンドから、投入ブレンドを二軸スクリュー加工機において造粒することによって形成された多孔性発泡組成物であって、in situ造粒剤によって形成された顆粒を含み、in situ造粒剤が酸の一部であり、前記酸の一部が、造粒中に溶融する酸の一部である、多孔性発泡組成物と、1種又は複数の任意選択の加工添加剤とを含む、経口固体剤形。
【0140】
投入ブレンドの酸及び塩基の一方又は両方が、無水である、該経口固体剤形。
【0141】
多孔性発泡組成物が、投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有する、該経口固体剤形。
【0142】
多孔性発泡組成物が、投入ブレンドの少なくとも90%のパーセント保持二酸化炭素含有率パーセントを有する、該経口固体剤形。
【0143】
酸が、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、リンゴ酸、又はそれらの組合せからなる群から選択される、該経口固体剤形。
【0144】
医薬、食品、獣医学、栄養補助、園芸、家庭、料理、殺虫、農業、化粧、除草、工業、洗浄、製菓及び着香用の作用物質、又はそれらの組合せからなる群から選択される1種又は複数の成分を更に含む、該経口固体剤形。
【0145】
加工添加剤が、非発泡性崩壊剤、可溶性及び不溶性滑沢剤、着香物質、着色剤、又はそれらの組合せからなる群から選択される、該経口固体剤形。
【0146】
発泡錠、経口投与用散剤、又はそれらの組合せからなる群から選択される、該経口固体剤形。
【0147】
発泡錠が、速崩錠又は口腔内崩壊錠である、該経口固体剤形。
【0148】
発泡錠が、約25℃±5℃の室温で、水中で20から90秒の崩壊時間を有する、該経口固体剤形。
【0149】
発泡錠が、少なくとも3Kpの硬度を有する、該経口固体剤形。
【0150】
酸及び塩基を含む投入ブレンドを二軸スクリュー加工機に供給する工程と、in situ造粒剤として機能するように、酸の一部のみを溶融させる工程と、投入ブレンドを造粒して顆粒を形成する工程と、任意選択で、投入ブレンドを造粒して顆粒を形成する二軸スクリュー加工機から顆粒を回収する工程とを含む、多孔性発泡顆粒を調製するための方法。
【0151】
酸の一部のみの溶融が、二軸スクリュー加工機の造粒開始ゾーンにおいて、材料の停滞なしに達成され、造粒開始ゾーンが、搬送エレメントから本質的になる、該方法。
【0152】
酸の一部のみの溶融が、二軸スクリュー加工機内における短い滞留時間を保つことによって達成される、該方法。
【0153】
酸の一部のみの溶融が、二軸スクリュー加工機の造粒開始ゾーン内における短い滞留時間を保つことによって達成される、該方法。
【0154】
造粒開始ゾーンが、酸の一部のみの溶融を引き起こすのに十分な温度に維持される、該方法。
【0155】
二軸スクリュー加工機の比投入エネルギーが、酸を完全に溶融させるのに必要とされるエネルギー未満である、該方法。
【0156】
二軸スクリュー加工機が、共回転二軸スクリュー押出機である、該方法。
【0157】
二軸スクリュー加工機から回収された顆粒が、投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有する、該方法。
【0158】
二軸スクリュー加工機から回収された顆粒が、投入ブレンドの少なくとも90%の保持二酸化炭素含有率を有する、該方法。
【0159】
連続法又はバッチ法である、該方法。
【0160】
酸及び塩基を含む投入ブレンドを受け入れるための取入れゾーンと、in situ造粒剤として機能するように、酸の一部を溶融させるための造粒開始ゾーンと、投入ブレンドを造粒するための造粒完了ゾーンと、顆粒を吐出するための出口とを含む、多孔性発泡顆粒を調製するための二軸スクリュー加工機。
【0161】
造粒開始ゾーンが、搬送エレメントから本質的になる、該二軸スクリュー加工機。
【0162】
造粒開始ゾーンが、造粒開始ゾーンを酸の一部のみを溶融させるのに十分な温度に維持する加熱エレメントを含む、該二軸スクリュー加工機。
【0163】
造粒完了ゾーンが、搬送エレメントから本質的になる、該二軸スクリュー加工機。
【0164】
造粒完了ゾーンが、造粒開始ゾーンの温度よりも低い温度に維持される、該二軸スクリュー加工機。
【0165】
造粒開始ゾーン及び造粒完了ゾーンの間に遷移ゾーンを更に含み、遷移ゾーンが、造粒開始ゾーンの温度よりも低く、且つ造粒完了ゾーンの温度よりも高い温度に維持される、該二軸スクリュー加工機。
【0166】
共回転二軸スクリュー押出機である、該二軸スクリュー加工機。
【0167】
酸及び塩基を含む多孔性発泡顆粒であって、顆粒を調製するために使用される投入ブレンドの多孔度よりも少なくとも50%大きい多孔度を有し、投入ブレンドの二酸化炭素の少なくとも90%を保持する、多孔性発泡顆粒。
【0168】
カーボネート含有塩基と、溶融した酸及び未溶融の酸の組合せとを含む組成物であって、組合せが、組成物の多孔度を少なくとも50%増加させるように構成されている、組成物。
【0169】
カーボネート含有塩基と、溶融した酸及び未溶融の酸の組合せとを含む組成物であって、組合せが、二酸化炭素の少なくとも90%を保持するように構成されている、組成物。
【0170】
酸及び塩基を含む投入ブレンドから、投入ブレンドを二軸スクリュー加工機において造粒することによって形成された多孔性発泡組成物であって、in situ造粒剤によって形成された顆粒を含み、in situ造粒剤が酸の一部であり、前記酸の一部が、造粒中に溶融する酸の一部であり、二軸スクリュー加工機の比投入エネルギーが、酸を完全に溶融させるのに必要とされるエネルギーの50%を超えない、多孔性発泡組成物。
【符号の説明】
【0171】
200 加工機
202 取入れゾーン
204 造粒開始ゾーン
206 造粒完了ゾーン
208 出口
図1
図2