(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】加工機および圧力調整方法
(51)【国際特許分類】
H02P 29/00 20160101AFI20220119BHJP
F16C 32/06 20060101ALI20220119BHJP
B23Q 1/38 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H02P29/00
F16C32/06 C
B23Q1/38 A
(21)【出願番号】P 2019167085
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2019053256
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】見波 弘志
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-099157(JP,A)
【文献】特開2012-031789(JP,A)
【文献】特開2001-132748(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106984836(CN,A)
【文献】特開平09-210063(JP,A)
【文献】特開2008-057611(JP,A)
【文献】特開昭62-225495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
F16C 32/06
F16N 7/38
F16N 29/00
B23Q 1/38
B23B 19/02
B23Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物を加工する加工機であって、
駆動軸を支持する静圧軸受と、
前記静圧軸受に供給するための流体を、サーボモータの回転に応じて出力する流体出力部と、
前記流体出力部から出力された前記流体の物理量を検出するセンサと、
前記加工機の周辺の大気の物理量を検出する大気センサと、
前記大気の物理量と前記流体の物理量
とに
基づいて、前記サーボモータの回転数を制御する制御部と、
を備える加工機。
【請求項2】
請求項1に記載の加工機であって、
前記物理量は、圧力、流量、および、温度の少なくとも1つを含む、加工機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加工機であって、
前記駆動軸を駆動するためのモータを備え、
前記制御部は、前記モータに供給される電流値と前記流体の物理量とに基づいて、前記サーボモータの回転数を制御する、加工機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の加工機であって、
前記制御部は、前記流体の物理量に応じて前記サーボモータの回転数を求め、求めた回転数を、前記大気の物理量に応じて補正し、補正した回転数が目標値となるように前記サーボモータを制御する、加工機。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の加工機であって、
前記制御部は、前記流体の物理量に応じて前記サーボモータの回転数を求め、前記大気の物理量に応じて目標値を補正し、求めた回転数が補正した目標値となるように前記サーボモータを制御する、加工機。
【請求項6】
駆動軸を支持する静圧軸受に供給するための流体を、サーボモータの回転に応じて出力する流体出力部を有する加工機の圧力調整方法であって、
前記加工機の周辺の大気の物理量と、前記流体出力部から出力された前記流体の物理量
とを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された
前記大気の物理量および前記流体の物理量に
基づいて、前記サーボモータの回転数を制御する制御ステップと、
を含む圧力調整方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の圧力調整方法であって、
前記物理量は、圧力、流量、および、温度の少なくとも1つを含む、圧力調整方法。
【請求項8】
請求項
6または
7に記載の圧力調整方法であって、
前記取得ステップは、前記駆動軸を駆動するためのモータに供給される電流値と前記流体の物理量とを取得し、
前記制御ステップは、前記電流値および前記流体の物理量に基づいて、前記サーボモータの回転数を制御する、圧力調整方法。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の圧力調整方法であって、
前記制御ステップは、前記流体の物理量に応じて前記サーボモータの回転数を求め、求めた回転数を、前記大気の物理量に応じて補正し、補正した回転数が目標値となるように前記サーボモータを制御する、圧力調整方法。
【請求項10】
請求項6~8のいずれか1項に記載の圧力調整方法であって、
前記制御ステップは、前記流体の物理量に応じて前記サーボモータの回転数を求め、前記大気の物理量に応じて目標値を補正し、求めた回転数が補正した目標値となるように前記サーボモータを制御する、圧力調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動軸を支持する静圧軸受に供給するための流体の圧力を調整する加工機および圧力調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工機では、流体により駆動軸を浮上させて支持する場合がある。この場合、駆動軸は静圧軸受により支持される。下記の特許文献1では、静圧軸受に供給される流体の圧力が一定に維持されるように、静圧軸受に対して流体を供給する流体制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駆動軸を駆動するためのモータの発熱や駆動軸周辺の環境変化などに応じて、駆動軸を浮上させている流体の状態が変化する場合がある。流体の状態が僅かにでも変化すると、軸と静圧軸受との間の距離が変わるため、加工精度が不安定になる傾向がある。この傾向は、特に、加工プログラムで指定される100nm以下の指令にしたがって加工対象物が加工される場合、顕在化し易い。
【0005】
そこで、本発明は、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化を抑制し得る加工機および圧力調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、加工対象物を加工する加工機であって、駆動軸を支持する静圧軸受と、前記静圧軸受に供給するための流体を、サーボモータの回転に応じて出力する流体出力部と、前記流体出力部から出力された前記流体の物理量を検出するセンサと、前記流体の物理量に応じて、前記サーボモータの回転数を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、駆動軸を支持する静圧軸受に供給するための流体を、サーボモータの回転に応じて出力する流体出力部を有する加工機の圧力調整方法であって、前記流体出力部から出力された前記流体の物理量を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得された前記流体の物理量に応じて、前記サーボモータの回転数を制御する制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流体出力部から出力された流体の物理量が変化しても、その物理量に応じた出力量の流体が流体出力部から静圧軸受に供給されるため、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】流体の圧力とサーボモータの回転数との関係を示す図である。
【
図4】制御部による圧力調整処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0011】
〔実施の形態〕
(第1の実施の形態)
図1は、加工機10の構成を示す模式図である。加工機10は、工具を用いて加工対象物を加工するものである。なお、加工機10は、加工プログラムで指定される100nm以下の指令にしたがって加工対象物を加工する精密加工機であってもよい。また、加工機10は、加工プログラムで指定される10nm以下の指令にしたがって加工対象物を加工する精密加工機であってもよい。加工機10は、駆動軸12、静圧軸受14、モータ16、流体出力部18、センサ20および制御部22を有する。
【0012】
静圧軸受14は、駆動軸12を移動可能に支持するものである。この静圧軸受14は、供給される流体を駆動軸12に導いて駆動軸12を浮上させることで、駆動軸12を移動可能に支持する。
【0013】
モータ16は、駆動軸12を駆動するためのものである。このモータ16は、駆動軸12を回転駆動するためのスピンドルモータであってもよく、駆動軸12を直動駆動するためのサーボモータまたはリニアモータであってもよい。モータ16がスピンドルモータである場合には駆動軸12は主軸であり、モータ16がサーボモータまたはリニアモータである場合には駆動軸12は送り軸である。
【0014】
流体出力部18は、静圧軸受14に供給するための流体を、サーボモータ18Aの回転に応じて出力するものであり、サーボモータ18Aおよび流体ポンプ18Bを有する。流体としては、例えば、空気や窒素などの気体、あるいは、油などの液体が挙げられる。
【0015】
流体ポンプ18Bは、サーボモータ18Aの回転数に応じたエネルギーを流体に与えることで、外部に流体を出力する。なお、サーボモータ18Aの回転数が大きいほど、流体ポンプ18Bから外部に出力される流体の出力量(流量または流圧)が大きくなる。流体ポンプ18Bから出力された流体は、流体ポンプ18Bと静圧軸受14とを連通する流路を通じて、静圧軸受14に供給される。
【0016】
センサ20は、流体出力部18から出力された流体の物理量を検出するものである。このセンサ20は、本実施の形態では、流体の温度を検出する温度センサである。センサ20は、流体の温度を検出すると、検出した流体の温度を制御部22に出力する。
【0017】
制御部22は、モータ16および流体出力部18のサーボモータ18Aを制御するものである。この制御部22は、不図示の電流センサから出力される出力電流値が目標値となるように、モータ16をフィードバック制御する。
【0018】
ここで、モータ16により駆動される駆動軸12の移動や、流体出力部18での発熱、もしくは、周辺環境の変化などに応じて、駆動軸12を浮上させている流体の圧力が変化する場合がある。具体的には、
図2に示すように、流体の温度が高くなると、流体の圧力が低下する。一方、
図3に示すように、流体出力部18のサーボモータ18Aの回転数を上げると、流体の圧力が上昇する。
【0019】
そこで、制御部22は、センサ20から出力される流体の温度に応じて、流体出力部18のサーボモータ18Aの回転数を制御する。具体的には、制御部22は、流体の温度が高いほどサーボモータ18Aの回転数が大きくなるように、サーボモータ18Aを駆動させる。
【0020】
これにより、流体ポンプ18Bから外部に出力される流体の出力量(流量または流圧)が可変する。すなわち、センサ20で検出される温度が相対的に高くなった場合には流体ポンプ18Bからの流体の出力量(流量または流圧)が大きくなり、当該温度が相対的に低くなった場合には流体ポンプ18Bからの流体の出力量(流量または流圧)が小さくなる。したがって、流体出力部18から出力された流体の温度が変化しても、その温度に応じた出力量の流体が静圧軸受14に供給されることになる。
【0021】
次に、流体の圧力を調整する圧力調整方法について説明する。
図4は、制御部22による圧力調整処理の流れを示すフローチャートである。
【0022】
ステップS1において、制御部22は、センサ20から流体の物理量として温度を取得し、ステップS2に進んで、取得した温度に応じたサーボモータ18Aの回転数を求める。
【0023】
なお、制御部22は、流体の温度とサーボモータ18Aの回転数とを対応付けたテーブルを参照することで、サーボモータ18Aの回転数を求めてもよい。また、制御部22は、流体の温度とサーボモータ18Aの回転数とを対応付けた関係式を用いて演算することで、サーボモータ18Aの回転数を求めてもよい。
【0024】
制御部22は、ステップS1で取得した温度に応じたサーボモータ18Aの回転数を求めると、ステップS3に進む。ステップS3において、制御部22は、ステップS2で求めたサーボモータ18Aの回転数となるように、流体出力部18のサーボモータ18Aを制御し、ステップS1に戻る。
【0025】
このように制御部22は、流体出力部18から出力された流体の温度に応じて流体出力部18のサーボモータ18Aを制御することで、流体の温度が変化してもその温度に応じた出力量の流体を流体出力部18から静圧軸受14に供給することができる。したがって、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化を抑制することができる。
【0026】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、センサ20の種類が第1の実施の形態と異なる。具体的には、センサ20は、第1の実施の形態では流体の温度を検出する温度センサであったのに対し、本実施の形態では流体の圧力を検出する圧力センサである。
【0027】
また本実施の形態では、制御部22の制御内容の一部が第1の実施の形態と異なる。具体的には、制御部22は、第1の実施の形態では流体の温度に応じて流体出力部18のサーボモータ18Aの回転数を制御していたのに対し、本実施の形態では流体の圧力に応じて流体出力部18のサーボモータ18Aの回転数を制御する。
【0028】
すなわち、制御部22は、センサ20から流体の圧力を取得し(ステップS1)、取得した圧力が高いほどサーボモータ18Aの回転数が小さくなるようにサーボモータ18Aの回転数を求める(ステップS2)。なお、制御部22は、流体の圧力とサーボモータ18Aの回転数とを対応付けたテーブルを参照し、あるいは、流体の圧力とサーボモータ18Aの回転数とを対応付けた関係式を用いて演算することで、サーボモータ18Aの回転数を求めてもよい。
【0029】
制御部22は、サーボモータ18Aの回転数を求めると、求めた回転数が目標値となるように、流体出力部18のサーボモータ18Aをフィードバック制御する(ステップS3)。
【0030】
これにより、センサ20で検出される圧力が相対的に高くなった場合には流体ポンプ18Bからの流体の出力量(流量または流圧)が小さくなり、当該圧力が相対的に低くなった場合には流体ポンプ18Bからの流体の出力量(流量または流圧)が大きくなる。したがって、流体出力部18から出力された流体の圧力が変化しても、その圧力に応じた出力量の流体が静圧軸受14に供給されることになる。
【0031】
このように、制御部22は、流体出力部18から出力された流体の圧力に応じて流体出力部18のサーボモータ18Aを制御することで、上記の第1の実施の形態と同様に、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化を抑制することができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、センサ20が圧力センサであったが、流量センサであってもよい。センサ20が流量センサである場合、制御部22は、流体の流量に応じて流体出力部18のサーボモータ18Aの回転数を制御する。
【0033】
すなわち、制御部22は、センサ20から流体の流量を取得し(ステップS1)、取得した流量が高いほどサーボモータ18Aの回転数が小さくなるようにサーボモータ18Aの回転数を求め(ステップS2)、求めた回転数が目標値となるようにサーボモータ18Aをフィードバック制御する(ステップS3)。
【0034】
したがってセンサ20が流量センサであっても、本実施の形態と同様に、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化を抑制することができる。
【0035】
〔変形例〕
以上、本発明の一例として上記の実施の形態が説明されたが、本発明の技術的範囲は上記の実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることはもちろんである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0036】
(変形例1)
制御部22は、上記の第1の実施の形態では、流体の温度に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御し、上記の第2の実施の形態では、流体の圧力または流量に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御した。しかし、制御部22は、温度、圧力、および流量以外の他の物理量に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御してもよい。
【0037】
(変形例2)
制御部22は、上記の第1の実施の形態では、流体の温度に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御し、上記の第2の実施の形態では、流体の圧力または流量に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御した。しかし、制御部22は、流体の温度および圧力に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御してもよく、流体の温度および流量に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御してもよい。
【0038】
例えば、制御部22は、温度センサから流体の温度を取得するとともに、圧力センサ(または流量センサ)から圧力(または流量)を取得する(ステップS1)。制御部22は、取得した圧力(または流量)が高いほどサーボモータ18Aの回転数が小さくなるようにサーボモータ18Aの回転数を求め、求めた回転数を、取得した温度が高いほどサーボモータ18Aの回転数が大きくなるように補正する(ステップS2)。制御部22は、補正した回転数が目標値となるようにサーボモータ18Aをフィードバック制御する(ステップS3)。
【0039】
なお、制御部22は、圧力センサ(または流量センサ)から取得した圧力(または流量)に応じてサーボモータ18Aの回転数を求め、温度センサから取得した温度が高いほどサーボモータ18Aの回転数が大きくなるように目標値を補正してもよい(ステップS2)。この場合、制御部22は、求めた回転数が補正した目標値となるようにサーボモータ18Aをフィードバック制御する(ステップS3)。
【0040】
このように、流体の温度と圧力(または流量)とに応じてサーボモータ18Aの回転数を制御すれば、1つの流体の物理量に応じて回転数を制御する場合に比べて、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化をより一段と抑制することができる。
【0041】
なお、制御部22は、流体の圧力および流量に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御してもよく、流体の温度、圧力および流量に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御してもよい。このようにしても、1つの流体の物理量に応じてサーボモータ18Aの回転数を制御する場合に比べて、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化をより一段と抑制することができる。
【0042】
(変形例3)
図5は、変形例3の加工機10を示す図である。なお、上記の実施の形態と同等の構成については同一の符号を付し、上記の第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0043】
変形例3の加工機10では、電流センサ24が新たに設けられている点で、上記の実施の形態とは相違する。電流センサ24は、モータ16の駆動用として制御部22からモータ16に供給される電流値を検出し、検出した電流値を制御部22に出力する。
【0044】
ここで、例えば、加工対象物が載置されるテーブルに加わる荷重の増加などに起因して駆動軸12と静圧軸受14との間の隙間が狭くなる場合がある。この場合、駆動軸12と静圧軸受14との間の抵抗が増加し、その増加に起因してモータ16の駆動に必要な電流値が上昇する。
【0045】
そこで、本変形例では、モータ16に供給される電流値(電流センサ24で検出された電流値)と、流体出力部18から出力された流体の物理量(センサ20で検出された流体の物理量)とに基づいて、サーボモータ18Aの回転数を制御する。流体の物理量としては、上記のように、温度、圧力、流量などが挙げられる。なお、本変形例では、流体の物理量は温度とする。
【0046】
例えば、制御部22は、センサ20から流体の温度を取得するとともに、電流センサ24から電流値を取得する(ステップS1)。制御部22は、取得した電流値が高いほどサーボモータ18Aの回転数が大きくなるようにサーボモータ18Aの回転数を求め、求めた回転数を、取得した温度が高いほどサーボモータ18Aの回転数が大きくなるように補正する(ステップS2)。制御部22は、補正した回転数となるようにサーボモータ18Aを制御する(ステップS3)。
【0047】
このように、モータ16に供給される電流値と、流体出力部18から出力された流体の物理量とに基づいてサーボモータ18Aの回転数を制御すれば、流体の物理量だけで回転数を制御する場合に比べて、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化をより一段と抑制することができる。
【0048】
(変形例4)
図6は、変形例4の加工機10を示す図である。なお、上記の実施の形態と同等の構成については同一の符号を付し、上記の第1の実施の形態と重複する説明は省略する。
【0049】
変形例4の加工機10では、大気センサ26が新たに設けられている点で、上記の実施の形態とは相違する。大気センサ26は、大気の物理量を検出し、検出した物理量を制御部22に出力する。大気の物理量として、例えば、温度や圧力などが挙げられる。
【0050】
ここで、上記のように、環境変化に応じて、駆動軸12を浮上させている流体の圧力が変化する場合がある。具体的には、例えば、大気の温度が高くなると流体の圧力が低下し、大気の温度が低くなると流体の圧力が上昇する。
【0051】
そこで、本変形例では、大気センサ26で検出された大気の物理量と、センサ20で検出された流体の物理量とに基づいて、サーボモータ18Aの回転数を制御する。例えば、大気の物理量が温度であり、流体の物理量が圧力である場合、上記の変形例2で上述した場合と同様にして、サーボモータ18Aの回転数を制御することができる。
【0052】
(変形例5)
上記の実施の形態および変形例は、矛盾の生じない範囲で任意に組み合わされてもよい。
【0053】
〔上記から把握し得る発明〕
上記の実施の形態および変形例から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0054】
<第1の発明>
第1の発明は、加工対象物を加工する加工機(10)である。この加工機(10)は、駆動軸(12)を支持する静圧軸受(14)と、静圧軸受(14)に供給するための流体を、サーボモータ(18A)の回転に応じて出力する流体出力部(18)と、流体出力部(18)から出力された流体の物理量を検出するセンサ(20)と、流体の物理量に応じて、サーボモータ(18A)の回転数を制御する制御部(22)と、を備える。
【0055】
これにより、流体出力部(18)から出力された流体の物理量が変化しても、その物理量に応じた出力量の流体が流体出力部(18)から静圧軸受(14)に供給されるため、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化を抑制することができる。
【0056】
物理量は、圧力、流量、および、温度の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、圧力、流量、および、温度の少なくとも1つの変化に応じた出力量の流体を、流体出力部(18)から静圧軸受(14)に供給することができる。
【0057】
加工機(10)は、駆動軸(12)を駆動するためのモータ(16)を備え、制御部(22)は、モータ(16)に供給される電流値と流体の物理量とに基づいて、サーボモータ(18A)の回転数を制御してもよい。これにより、流体の物理量だけでサーボモータ(18A)の回転数を制御する場合に比べて、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化をより一段と抑制することができる。
【0058】
加工機(10)は、加工機(10)の周辺の大気の物理量を検出する大気センサ(26)を備え、制御部(22)は、大気の物理量と流体の物理量とに基づいて、サーボモータ(18A)の回転数を制御してもよい。これにより、流体の物理量だけでサーボモータ(18A)の回転数を制御する場合に比べて、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化をより一段と抑制することができる。
【0059】
<第2の発明>
第2の発明は、駆動軸(12)を支持する静圧軸受(14)に供給するための流体を、サーボモータ(18A)の回転に応じて出力する流体出力部(18)を有する加工機(10)の圧力調整方法であって、流体出力部(18)から出力された流体の物理量を取得する取得ステップ(S1)と、取得ステップ(S1)で取得された流体の物理量に応じて、サーボモータ(18A)の回転数を制御する制御ステップ(S3)と、を含む。
【0060】
これにより、流体出力部(18)から出力された流体の物理量が変化しても、その物理量に応じた出力量の流体が流体出力部(18)から静圧軸受(14)に供給されるため、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化を抑制することができる。
【0061】
物理量は、圧力、流量、および、温度の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、圧力、流量、および、温度の少なくとも1つの変化に応じた出力量の流体を、流体出力部(18)から静圧軸受(14)に供給させることができる。
【0062】
取得ステップ(S1)は、駆動軸(12)を駆動するためのモータ(16)に供給される電流値と流体の物理量とを取得し、制御ステップ(S3)は、電流値および流体の物理量に基づいて、サーボモータ(18A)の回転数を制御してもよい。これにより、流体の物理量だけでサーボモータ(18A)の回転数を制御する場合に比べて、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化をより一段と抑制することができる。
【0063】
取得ステップ(S1)は、加工機(10)の周辺の大気の物理量と流体の物理量とを取得し、制御ステップ(S3)は、大気の物理量および流体の物理量に基づいて、サーボモータ(18A)の回転数を制御してもよい。これにより、流体の物理量だけでサーボモータ(18A)の回転数を制御する場合に比べて、流体の状態変化に起因する加工精度の不安定化をより一段と抑制することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…加工機 12…駆動軸
14…静圧軸受 16…モータ
18…流体出力部 18A…サーボモータ
20…センサ 22…制御部
24…電流センサ 26…大気センサ