(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】抵抗の温度係数が低い抵抗器
(51)【国際特許分類】
H01C 13/00 20060101AFI20220119BHJP
H01C 17/245 20060101ALI20220119BHJP
H01C 17/242 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H01C13/00 J
H01C17/245
H01C17/242
(21)【出願番号】P 2019230142
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2019-12-20
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501231543
【氏名又は名称】乾坤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】洪 梓豪
(72)【発明者】
【氏名】羅 盈達
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-504213(JP,A)
【文献】特開2015-204315(JP,A)
【文献】特開昭59-054204(JP,A)
【文献】特開2007-329421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 13/00
H01C 17/245
H01C 17/242
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電流方向を定める抵抗器であって、
抵抗部と、
前記主電流方向において前記抵抗部の側部に接続される第1導電部であり、第1検知部分及び第1貫通スロットを備え、前記第1検知部分が、前記第1貫通スロットと前記抵抗部との間に位置し、前記第1貫通スロットが、第1スロットセクション及び第2スロットセクションを有し、前記第1スロットセクション及び前記第2スロットセクションが、前記主電流方向に対して前記第1検知部分の2つの相対する側に位置して互いに接続され、前記第1スロットセクションが、第1起点から第1経路に沿って前記抵抗部の方へ延在して閉塞端で終わり、前記第2スロットセクションが、前記第1起点から第2経路に沿って前記抵抗部の方へ延在して閉塞端で終わり、それにより、前記第1スロットセクション及び前記第2スロットセクションにより第1障害エリアが形成され、該第1障害エリア内に前記第1検知部分が位置し、前記第1経路が、前記主電流方向と平行な第1平行コンポーネントと、前記主電流方向と垂直な第1垂直コンポーネントとを備え、前記第2経路が、前記主電流方向と平行な第2平行コンポーネントと、前記主電流方向と垂直な第2垂直コンポーネントとを備える、前記第1導電部と、
前記主電流方向において前記抵抗部の他の側部に接続され、第2検知部分を備える第2導電部と
を有
し、
前記第1導電部は、連通穴及び拡張貫通スロットを備え、前記拡張貫通スロットは、前記第1貫通スロット及び前記連通穴を接続する、
抵抗器。
【請求項2】
前記第1スロットセクション及び前記第2スロットセクションは、前記主電流方向又は前記第1検知部分に対して対称である、
請求項1に記載の抵抗器。
【請求項3】
前記第1貫通スロットは、前記主電流方向と垂直な方向において投影長さを有し
前記第1導電部は、前記主電流方向と垂直な前記方向において幅を有し、
前記投影長さは、前記幅の半分よりも短い、
請求項1に記載の抵抗器。
【請求項4】
前記第1貫通スロットは、C字、正方形ブラケット、長方形ブラケット、又は角ブラケットの形で設けられる、
請求項1に記載の抵抗器。
【請求項5】
前記第1スロットセクションは、円弧、L字、又は直線の形で設けられる、
請求項1に記載の抵抗器。
【請求項6】
前記
連通穴は、
PCB又は他の付属部品を当該抵抗器に取り付ける第1接続部分を備え、
前記第1貫通スロットは、前記主電流方向に沿って前記第1接続部分と前記第1検知部分との間に位置する、
請求項1に記載の抵抗器。
【請求項7】
前記第1導電部は、第2貫通スロットを備え、
前記第2検知部分は、前記第2貫通スロットと前記抵抗部との間に位置する、
請求項1に記載の抵抗器。
【請求項8】
前記第2貫通スロットは、第3スロットセクション及び第4スロットセクションを有し、前記第3スロットセクション及び前記第4スロットセクションは、前記主電流方向に対して前記第2検知部分の2つの相対する側に位置して互いに接続され、前記第3スロットセクションは、第2起点から第3経路に沿って前記抵抗部の方へ延在して閉塞端で終わり、前記第4スロットセクションは、前記第2起点から第4経路に沿って前記抵抗部の方へ延在して閉塞端で終わり、それにより、前記第3スロットセクション及び前記第4スロットセクションにより第2障害エリアが形成され、該第2障害エリア内に前記第2検知部分が位置し、前記第3経路は、前記主電流方向と平行な第3平行コンポーネントと、前記主電流方向と垂直な第3垂直コンポーネントとを備え、前記第4経路は、前記主電流方向と平行な第4平行コンポーネントと、前記主電流方向と垂直な第4垂直コンポーネントとを備える、
請求項
7に記載の抵抗器。
【請求項9】
前記第3スロットセクション及び前記第4スロットセクションは、前記主電流方向又は前記第2検知部分に対して対称である、
請求項
8に記載の抵抗器。
【請求項10】
前記第1貫通スロット及び前記第2貫通スロットは、前記抵抗部に対して対称である、
請求項
7に記載の抵抗器。
【請求項11】
前記
連通穴は、
PCB又は他の付属部品を当該抵抗器に取り付ける第1接続部分を備え、
前記第2導電部は、第2接続部分を備え、
前記第1接続部分、前記第1貫通スロット、前記第1検知部分、前記抵抗部、前記第2検知部分、前記第2貫通スロット、及び第2接続部分は、前記主電流方向において順に配置される、
請求項
7に記載の抵抗器。
【請求項12】
前記抵抗部は、欠刻を備え、該欠刻は、当該抵抗器の抵抗を調整するように選択された深さを有する、
請求項1に記載の抵抗器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗の温度係数が低い4端子電流検知抵抗器に関係がある。
【背景技術】
【0002】
現在の検知抵抗器は、長年にわたり電子市場で利用可能であった。それらの構造は、通常、抵抗器の主端子を形成している高伝導金属端子間に結合される抵抗材料の平坦なストリップを含む。一対の検知端子を主端子において形成することで、4端子デバイスが作られ得る。主端子は、抵抗器を流れる電流の大部分を運ぶ。検知端子は、抵抗器を流れる電流に比例する検知電圧を生成する。そのような抵抗器は、従来の電圧検知技術により電流をモニタするメカニズムを提供する。抵抗器を流れる実際の電流は、オームの法則によって示されているように、抵抗器の抵抗値と検知された電圧とに基づき決定され得る。理想的なデバイスは、ゼロに近い抵抗の温度係数(Temperature Coefficient of Resistance)(TCR)を有する。しかし、ほとんどのデバイスは、TCRがゼロではなく、これは、特に、デバイスの温度が変化する場合に、検知端子での不正確な検知電圧の読み出しを引き起こす可能性がある。更に、主端子は、通常、銅から作られる。銅は、3900ppm/℃のTCRを有し、一方、抵抗材料は、通常は100ppm/℃よりも小さく、検知端子は、望まれるよりも高いTCRを示すこととなり、結果として、デバイスを流れる電流をモニタする際に生じる偏差は大きくなる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、抵抗器を流れる電流の検知電圧偏差を小さくするために閉塞構造を用いて。抵抗の温度係数が低い抵抗器を提供する。
【0004】
本発明に従う実施形態の、抵抗の温度係数が低い抵抗器は、抵抗部、第1導電部、及び第2導電部を含む。当該抵抗器は、その上に主電流方向を定める。前記第1導電部は、前記主電流方向において前記抵抗部の側部に接続される。前記第1導電部は、第1検知部分及び第1貫通スロットを備える。前記第1検知部分は、前記第1貫通スロットと前記抵抗部との間に位置する。前記第1貫通スロットは、第1スロットセクション及び第2スロットセクションを有し、前記第1スロットセクション及び前記第2スロットセクションが、前記主電流方向に対して前記第1検知部分の2つ相対する側に位置して互いに接続される。前記第1スロットセクションは、第1起点から第1経路に沿って前記抵抗部の方へ延在して閉塞端で終わる。前記第2スロットセクションは、前記第1起点から第2経路に沿って前記抵抗部の方へ延在して閉塞端で終わる。前記第1経路は、前記主電流方向と平行な第1平行コンポーネントと、前記主電流方向と垂直な第1垂直コンポーネントとを備える。前記第2経路は、前記主電流方向と平行な第2平行コンポーネントと、前記主電流方向と垂直な第2垂直コンポーネントとを備える。前記第2導電部は、前記主電流方向において前記抵抗部の他の側部に接続される。前記第2導電部は、第2検知部分を備える。それによって、前記貫通スロットは、前記第1検知部分及び前記第2検知部分を流れる電流の検知電圧偏差を有効に小さくするように、当該抵抗器を流れる電流を阻止することができる。
【0005】
本発明に従う実施形態の、抵抗の温度係数が低い抵抗器は、抵抗部と、第1導電部、及び第2導電部を含む。当該抵抗器は、その上に主電流方向を定める。前記第1導電部は、前記主電流方向において前記抵抗部の側部に接続される。前記第1導電部は、前記主電流方向と垂直に外側に広がって、前記主電流方向と垂直な端部で終わる第1突起ブロックを備える。前記第1導電部は、前記第1突起ブロックで第1検知部分を備える。前記第2導電部は、前記主電流方向において前記抵抗部の他の側部に接続される。前記第2導電部は、第2検知部分を備える。前記第1検知部分及び前記第2検知部分は夫々、前記抵抗部の2つの側部に配置される。それによって、前記第1突起ブロックは、前記第1検知部分及び前記第2検知部分を通って当該抵抗器を流れる電流の検知電圧偏差を小さくする閉塞構造を形成する。
【0006】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面で説明される好適な実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後で、当業者にきっと明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に従う実施形態の抵抗器の上面図である。
【
図2】他の実施形態の、C字形貫通スロットを備えた抵抗器の上面図である。
【
図3】他の実施形態の、角ブラケット貫通スロットを備えた抵抗器の上面図である。
【
図4】他の実施形態の、円弧及び直線(arc-and-line)貫通スロットを備えた抵抗器の上面図である。
【
図5】他の実施形態の、アタッチメントスロットを備えた抵抗器の上面図である。
【
図6】本発明に従う他の実施形態の抵抗器の上面図である。
【
図7】本発明に従う他の実施形態の抵抗器の上面図である。
【
図8】第1接続部分の縁部に欠刻を備えた抵抗器の上面図である。
【
図9】他の実施形態の、傾斜縁を備えた抵抗器の上面図である。
【
図10】他の実施形態の、傾斜縁を備えた抵抗器の上面図である。
【
図11】応用においてパッド上に表面実装された
図7の抵抗器の上面図である。
【
図12】本発明に従う他の実施形態の抵抗器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照されたい。実施形態に従う、抵抗の温度係数が低い抵抗器1は、抵抗部12、第1導電部14、及び第2導電部16を含む。抵抗器1は、その上に主電流方向D1(
図1中、矢印で示されている。)を定める。第1導電部14は、主電流方向において抵抗部12の側部12aに接続される。第1導電部は、第1検知部分142(
図1中、円で示されている。)、第1貫通スロット144、及び第1接続部分146(
図1中、破線円で示されている。)を備える。第1検知部分142は、第1貫通スロット144と抵抗部12との間に位置する。第1貫通スロット144は、主電流方向D1に沿って第1接続部分146と第1検知部分142との間に位置する。第1導電部14は、主電流方向D1において抵抗部12の他の側部12bに接続される。第2導電部16は、第2検知部分162(
図1中、円で示されている。)及び第2接続部分166(
図1中、破線円で示されている。)を備える。抵抗器1が動作中であるとき、電流は、例えば、第1接続部分146から第2接続部分166へ、実質的に主電流方向D1において抵抗器1を流れる。第1貫通スロット144は、第1接続部分146と比較して第1検知部分142に近く、第1接続部分146と第1検知部分142との間に位置し、それにより、第1貫通スロット144は、電流を阻止することができ、従って、第1検知部分142及び第2検知部分162を流れる電流の検知電圧偏差を有効に小さくすることができる。
【0009】
実施形態において、抵抗器1は全体として板形状を示す。実際に、抵抗部12は、例えば、制限なしに、Cu、Ni、及びMnの合金から作られ得る。第1導電部14及び第2導電部16は、例えば、制限なしに、Cuの合金から作られ得る。原理上、抵抗部12は、第1導電部14及び第2導電部16よりも高い抵抗性及び10分の1の伝導性を備える。更に、実際に、第1検知部分142及び第2検知部分162は、はんだパッドであるか、あるいは、その上にピン又はねじを固定するか、あるいは、第1検知部分142及び第2検知部分162を通る検知電圧を測定するために使用されるPCB上の外部検知回路と接続するのに都合がよいねじ穴を形成することができる。同様に、第1接続部分146及び第2接続部分166は、はんだパッドであるか、あるいは、その上にピン又はねじを固定するか、あるいは、外部電力ユニット、例えば、バッテリ、モータ、モータ駆動ユニット、充電器ユニット又は制御ユニットなどへ抵抗器1を通って電流(電力)を供給する外部電力ユニットと接続するのに都合がよいねじ穴を形成することができる。その上、いくつかの実施形態では、第2導電部16は、反対側12bではなく抵抗部12の別の側部へ接続される。この接続構成によれば、電流は、側部12aからその別の側部へ流れることになる。この接続構成は、湾曲した設置空間に適している。実際に、この接続構成は、一様でない電流密度部分を引き起こす場合があり、抵抗部12、第1導電部14及び第2導電部16のサイズは、然るべく大きくされる必要があり得る。
【0010】
更に、実施形態において、第1貫通スロット144は、第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション1444を含む。第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション1444は、主電流方向D1に対して第1検知部分142の2つ相対する側に位置して互いに接続される。すなわち、
図1の図では、第1スロットセクション1442は上方に伸び、第2スロットセクション1444は下方に伸びている。第1スロットセクション1442は、第1起点S1(
図1中、×印で示されている。)から第1経路P1(
図1中、破線矢印で示されている。)に沿って抵抗部12の方へ延在して閉塞端1442aで終わる。第2スロットセクション1444は、第1起点S1から第2経路P2(
図1中、破線矢印で示されている。)に沿って抵抗部12の方へ延在して閉塞端1444aで終わる。第1経路P1は、主電流方向D1と平行な第1平行コンポーネントP11と、主電流方向D1と垂直な第1垂直コンポーネントP12とを備える。第2経路P2は、主電流方向D1と平行な第2平行コンポーネントP21と、主電流方向D1と垂直な第2垂直コンポーネントP22とを備える。第1平行コンポーネントP11、第1垂直コンポーネントP12、第2平行コンポーネントP21、及び第2垂直コンポーネントP22は非ゼロである。実施形態において、第1起点S1(すなわち、第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション1444が接続される場所)は、実質的に、主電流方向D1と平行に第1検知部分142及び第1接続部分146を通る線上に位置する。
【0011】
第1貫通スロット144の存在と、抵抗部12の方への第1貫通スロット144の2つの端部の延伸とにより、
第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション144は第1障害エリア144a(図1でハッチング線で示される)を形成し、第1検知部分142は第1障害エリア144a内に位置し、(第1検知部分142
を含む)第1障害エリア144aでの電流密度は低減し、第1検知部分142及び第2検知部分162を通って抵抗器1を流れる電流の検知電圧偏差は小さくなる。すなわち、第1貫通スロット144を備える抵抗器1は全体として、第1貫通スロット144なしの抵抗器1全体よりもTCRが低い。その上、実施形態において、抵抗器1は、例えば、レーザトリミング、フライス削り、打ち抜き、又は抵抗器1から材料を取り除くことができる他の方法によって、抵抗部12の縁部で形成された欠刻122を備える。欠刻122は、抵抗器1の抵抗を調整するように選択された深さ122aを有する。
【0012】
実施形態において、第1貫通スロット144は、図示されるように、正方形又は長方形のブラケットの形で設けられる。第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション1444は、主電流方向D1又は第1検知部分142に対して対称であり、L字の形で設けられる。なお、実際には、それらに限られない。例えば、
図2によって示されるように、抵抗器1aの第1貫通スロット144はC字の形で設けられ得る。その場合に、第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション1444は、円弧の形で設けられる。実際に、C字は、半円又は、30°超(望ましくは、30°から330の範囲内)の中心角度に対応する円の円弧であることができる。他の例として、
図3によって示されるように、抵抗器1bの第1貫通スロット144は、角ブラケットの形で形成され得る。その場合に、第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション1444は、直線(又は斜辺)の形で設けられる。他の例として、
図4によって示されるように、抵抗器1cの第1貫通スロット144の第1スロットセクション1442及び第2スロットセクション1444は、主電流方向D1又は第1検知部分142に対して非対称である。その場合に、第1スロットセクション1442は、円弧の形で設けられ、一方、第2スロットセクション1444は、直線の形で設けられる。
【0013】
図1から
図4を参照されたい。実際に、抵抗器1、1a、1b及び1cのTCRは、主電流方向D1における第1貫通スロット144の投影長さL1、L2、L3及びL4が長くなるにつれて、小さくなる。また、抵抗器1、1a、1b及び1cのTCRは、主電流方向D1と垂直な方向における第1貫通スロット144の投影長さW1、W2、W3及びW4が長くなるにつれても、小さくなる。また、抵抗器1、1a、1b及び1cのTCRは、第1検知部分142と第1貫通スロット144との間のギャップG1、G2、G3及びG4(例えば、第1検知部分142と第1起点S1との間の距離)が狭まるにつれても、小さくなる。抵抗器1、1a、1b及び1cの検知電圧は、主電流方向D1における第1貫通スロット144の投影長さL1、L2、L3及びL4が長くなるにつれて、低くなる。また、抵抗器1、1a、1b及び1cの検知電圧は、主電流方向D1と垂直な方向における第1貫通スロット144の投影長さW1、W2、W3及びW4が長くなるにつれても、低くなる。同じ温度の下で、同じ検知電圧を保つために(すなわち、測定誤差を変化させることなしに)、幅W0を広げる必要がある。それにより、抵抗器1、1a、1b及び1cのサイズ及びコストは増大する。実際に、第1導電部14の構造強度、精度及び適切なサイズを考慮すると、第1貫通スロット144の投影長さW1、W2、W3及びW4は、主電流方向D1と垂直な方向における第1導電部14の幅W0の半分よりも狭いように設計され得る。
【0014】
実際に、第1接続部分146は、例えば、PCB又は他の付属部品をそれに取り付けるために、外部構造と連携した構造により形成されてよい。
図5によって示されるように、第1接続部分146は、連通穴(例えば、単純な穴又はねじ穴)である。第1導電部14は、第1貫通スロット144と連通穴(すなわち、接続部分146)とを接続する拡張貫通スロット148を備える。拡張貫通スロット148は、抵抗器1a、1b及び1cにも適用可能であるが、これらはこれ以上記載されない。
【0015】
図6を参照されたい。他の実施形態に従う、抵抗の温度係数が低い抵抗器2は、構造的に抵抗器1に類似しており、従って、抵抗器1の参照番号を使用する。抵抗器2に関する他の記載については、抵抗器1及びその変形例の関連記載を参照されたく、これ以上は繰り返さないこととする。抵抗器2では、第2導電部16が第2貫通スロット164を更に備える。第2検知部分162は、第2貫通スロット164と抵抗部12との間に位置し、第2貫通スロット164は、主電流方向D1に沿って第2接続部分166と第2検知部分162との間に位置する。第2貫通スロット164は、第3スロットセクション1642及び第4スロットセクション1644を含む。第3スロットセクション1642及び第4スロットセクション1644は、主電流方向D1に対して第2検知部分162の2つの相対する側に位置して互いに接続される。すなわち、
図6の図では、第3スロットセクション1642は上方に伸び、第4スロットセクション1644は下方に伸びている。第3スロットセクション1642は、第2起点S2(
図6中、×印で示されている。)から第3経路P3(
図6中、破線矢印で示されている。)に沿って抵抗部12の方へ延在して閉塞端1642aで終わる。第4スロットセクション1644は、第2起点S2から第4経路P4(
図6中、破線矢印で示されている。)に沿って抵抗部12の方へ延在して閉塞端1644aで終わる。第3経路P3は、主電流方向D1と平行な第3平行コンポーネントP31と、主電流方向D1と垂直な第3垂直コンポーネントP32とを備える。第4経路P4は、主電流方向D1と平行な第4平行コンポーネントP41と、主電流方向D1と垂直な第4垂直コンポーネントP42とを備える。第3平行コンポーネントP31、第3垂直コンポーネントP32、第4平行コンポーネントP41、及び第4垂直コンポーネントP42は非ゼロである。実施形態において、第2起点S2(すなわち、第3スロットセクション1642及び第4スロットセクション1644が接続される場所)は、実質的に、主電流方向D1と平行に第2検知部分162及び第2接続部分166を通る線上に位置する。
第3スロットセクション1642及び第4スロットセクション1644は第2障害エリア164a(図6でハッチング線によって示される)を形成する。第2検知部分162は第2障害エリア164a内に位置する。更に、実施形態において、第1接続部分146、第1貫通スロット144、第1検知部分142、抵抗部12、第2検知部分162、第2貫通スロット164、及び第2接続部分166は、主電流方向D1において順に配置される。
【0016】
第1貫通スロット144及び第2貫通スロット164の存在と、抵抗部12の方への第1貫通スロット144の2つの端部及び第2貫通スロット164の2つの端部の延伸とにより、
第1障害エリア144a(図6でハッチング線によって示される)及び第2障害エリア164a(又は第1検知部分142及び第2検知部分162
)での電流密度は低減し、第1検知部分142及び第2検知部分162を通って抵抗器1を流れる電流の検知電圧偏差は小さくなる。すなわち、第1貫通スロット144及び第2貫通スロット164を備える抵抗器2は全体として、第1貫通スロット144及び第2貫通スロット164なしの抵抗器2全体よりもTCRが低い。その上、抵抗器2と比較して、抵抗器1はただ1つの貫通スロット(すなわち、第1貫通スロット144)しか備えないので、比較的高い熱放散効率を有する。すなわち。抵抗器1及び2が動作中であるとき、抵抗器1は、より低い動作温度を有する。
【0017】
更に、実施形態において、第3スロットセクション1642及び第4スロットセクション1644は、主電流方向D1又は第2検知部分162に対して対称である。第1貫通スロット144及び第2貫通スロット164は、抵抗部12に対して対称である。なお、実際には、それらに限られない。従って、第1貫通スロット144及びその変形例は、抵抗器2にも適用可能である。第2貫通スロット164及びその変形例に関する他の記載については、第1貫通スロット144及びその変形例の関連記載を参照されたく、これ以上は繰り返さないこととする。
【0018】
図7を参照されたい。実施形態に従う、抵抗の温度係数が低い抵抗器3は、抵抗部32、第1導電部34、及び第2導電部36を含む。抵抗器3は、その上に主電流方向D2を定める。第1導電部34は、主電流方向D2において抵抗部32の側部32aに接続される。第1導電部34は、主電流方向D2と垂直に外側に広がって、主電流方向と垂直な端部342aで終わる第1突起ブロック342を備える。第1導電部34はまた、第1突起ブロック342にある(又は端部342aにある)第1検知部分344(
図7中、円で示されている。)と、第1接続部分346(
図7中、破線円で示されている。)とを備える。第1突起ブロック342は、主電流方向D2において第1接続部分346と抵抗部12との間に位置する。第2導電部36は、主電流方向D2において第1導電部34に対して抵抗部32の他の側部32bに接続される。その上、いくつかの実施形態で、第2導電部36は、反対側32bではなく、抵抗部32の別の側部へ接続される。この接続構成によれば、電流は、側部32aからその別の側部へ流れることになる。この接続構成は、湾曲した設置空間に適している。実際に、この接続構成は、一様でない電流密度部分を引き起こす場合があり、抵抗部32、第1導電部34及び第2導電部36のサイズは、然るべく大きくされる必要があり得る。
【0019】
実施形態において、第2導電部32は、主電流方向D2と垂直に外側に広がって、主電流方向D2と垂直な端部362aで終わる第2突起ブロック362を備える。第2導電部36はまた、第2突起ブロック362にある(又は端部362aにある)第2検知部分364(
図7中、円で示されている。)と、第2接続部分366(
図7中、破線円で示されている。)とを備える。第2突起ブロック362は、主電流方向D2において第2接続部分366と抵抗部12との間に位置する。第1突起ブロック342及び第2突起ブロック362は、抵抗部12に対して反対の位置に配置される。
【0020】
抵抗器3が動作中であるとき、電流は、例えば、第1接続部分346から第2接続部分366へ、実質的に主電流方向D2において抵抗器3を流れる。第1突起ブロック342の縁部342bは、第1導電部34の縁部34aと隣接して、実質的に主電流方向D2において第1検知部分344と第1接続部分346との間に位置する閉塞構造を形成し、閉塞構造は、第1突起ブロック342を通る電流のフローを少なくとも部分的に阻止することができる。同様に、第2突起ブロック362の縁部362bは、第2導電部36の縁部36aと隣接して、実質的に主電流方向D2において第2検知部分364と第2接続部分366との間に位置する閉塞構造を形成し、閉塞構造は、第2突起ブロック362を通る電流のフローを少なくとも部分的に阻止することができる。従って、閉塞構造は、第1検知部分344及び第2検知部分364を通る電流の検知電圧偏差を有効に小さくすることができる。すなわち、閉塞構造は、抵抗器3のTCRを低減する効果がある。
【0021】
実施形態において、抵抗器3は、例えば、レーザトリミング、フライス削り、打ち抜き、又は抵抗器3から材料を取り除くことができる他の方法によって、抵抗部32の縁部(主電流方向D2に対して第1突起ブロック342及び第2突起ブロック362とは反対の側)で形成された欠刻322を備える。欠刻322は、抵抗器3の抵抗を調整するように選択された深さ322aを有する。抵抗部32は、主電流方向D2において第1検知部分と第2検知部分364との間(又は第1突起ブロック342と第2突起ブロック362との間)に部分324を備え、更に、抵抗部32、第1突起ブロック342、及び第2突起ブロック362の端は、揃えられる。望ましくは、部分324は、第1検知部分344から第2検知部分364への基準線セグメント上に位置し、抵抗部32は、その線セグメントに沿って穴構造を有さない。故に、電流は、線セグメントに沿って部分324を通って流れることができる。なお、実際には、それらに限られない。
その点で、第1検知部分344及び第2検知部分364は、主電流方向D2において抵抗部32に関して等距離で対置されており、つまり、図7の観点から、第1検知部分344及び第2検知部分364は、同じ高さに位置し、抵抗部32から同じ距離で間隔をあけられている。
【0022】
更に、実施形態において、(第1導電部34の)縁部34a又は(第2導電部36の)縁部36aは、主電流方向D2と平行に伸びる直線縁(又は
図7の図では、水平な線)である。実際に、縁部34a又は縁部36aは、
図8によって示されるように、欠刻の底縁によって形成され得る。なお、実際には、それらに限られない。例えば、縁部34aは、
図9によって示されるように、主電流方向D2に対して斜めに伸びる傾斜縁であることができる。他の例として、縁部34aは、
図10によって示されるように、主電流方向D2に対して斜めに伸びる曲線縁であることができる。縁部34aの変形例に関する上記の説明は、第2導電部36の縁部36aにも適用可能である。その上、実際には、(縁部34a、342b、36a、及び362bによって形成される)閉塞構造は、金属板を打ち抜きすることによって容易に設けられ得るが、これに限られない。
【0023】
更に、実際に、抵抗器3は、外部検知回路に表面実装され得る。例えば、
図11によって示されるように、抵抗器3は、PCB上の外部検知回路のパッド42a及び42b(
図11中、破線で示されている。)に表面実装される。第1突起ブロック342及び第2突起ブロック362は、夫々パッド42a及び42bに直接実装される。パッド42a及び42bは、外部検知回路へ電気的に接続される検知部分として夫々リード422a及び422bを形成するよう延在する。
【0024】
上記の実施形態では、閉塞構造(すなわち、例えば、抵抗器1の第1貫通スロット144並びに抵抗器3の縁部34a及び342bの構造)は、抵抗器1及び3を通る電流のフローを少なくとも部分的に阻止する同じ又は類似した構造的な効果を奏する。抵抗器3及びその変形例に関する他の記載については、抵抗器1の同じ名称を持った構成要素の関連記載を参照されたく、これ以上は繰り返さないこととする。
【0025】
更に、上記の実施形態では、抵抗器1、1a、1b、1c、及び3は、対称構造で示されている。しかし、実際には、それらに限られない。例えば、
図12で示されるように、抵抗器3aは、抵抗器3と構造的に類似している。抵抗器3aの第1導電部34のみが、検知部分(すなわち、第1検知部分344)が配置されている突起ブロック(すなわち、第1突起ブロック342a)を備えている。第2導電部36の第2検知部分364及び第1検知部分344は夫々、抵抗部32の2つの側で配置される。第1突起ブロック342の縁部342bが第1導電部34の縁部34aと隣接することによって形成される閉塞構造は、ある程度第1検知部分344及び第2検知部分364を流れる電流の検知電圧偏差を小さくすることを依然として促す。すなわち、閉塞構造は、抵抗器3aのTCRを低減する効果を依然として奏する。抵抗器3aはまた、第1導電部34及び第2導電部36において夫々他の検知部分344a及び364a(
図12中、破線円で示されている。)を設けられ得る。突起ブロック363の縁部363a及び第2導電部36の縁部36bは隣接して、実質的に主電流方向D2において検知部分344a及び364aの間に位置する閉塞構造を形成する。従って、検知部分344a及び364aも、検知部分344及び364のように電圧を検知するために使用可能であり、これは、抵抗器3aの配置及び設計の柔軟性の助けとなる。
【0026】
当業者であれば、本発明の教示を保ちながら、デバイス及び方法の多数の変更及び代替が行われ得ると容易に気付くであろう。従って、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によって制限されると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
1,2,3 抵抗器
12,32 抵抗部
122,322 欠刻
14,34 第1導電部
142,344 第1検知部分
144 第1貫通スロット
1442 第1スロットセクション
1442a 閉塞端
1444 第2スロットセクション
1444a 閉塞端
146,346 第1接続部分
148 拡張貫通スロット
16,36 第2導電部
162,364 第2検知部分
166,366 第2接続部分
164 第2貫通スロット
1642 第3スロットセクション
1642a 閉塞端
1644 第4スロットセクション
1644a 閉塞端
342 第1突起ブロック
362 第2突起ブロック
D1,D2 主電流方向
P1 第1経路
P11 第1平行コンポーネント
P12 第1垂直コンポーネント
P2 第2経路
P21 第2平行コンポーネント
P22 第2垂直コンポーネント
P3 第3経路
P31 第3平行コンポーネント
P32 第3垂直コンポーネント
P4 第4経路
P41 第4平行コンポーネント
P42 第4垂直コンポーネント
S1 第1起点
S2 第2起点