IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モンサント テクノロジー エルエルシーの特許一覧

特許7010944クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法
<>
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図1
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図2
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図3
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図4
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図5
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図6
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図7
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図8
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図9
  • 特許-クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】クロロフェノール塩を精製、回収および転換するためならびにそれから調製される生成物を調製および回収するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 37/74 20060101AFI20220203BHJP
   C07C 39/30 20060101ALI20220203BHJP
   C07C 51/48 20060101ALI20220203BHJP
   C07C 65/05 20060101ALI20220203BHJP
   C07C 37/68 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C07C37/74
C07C39/30
C07C51/48
C07C65/05
C07C37/68
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019530431
(86)(22)【出願日】2017-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017064424
(87)【国際公開番号】W WO2018106564
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】62/431,205
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ハワード・シー・バーク
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・デ・コルト
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジョセフ・パーロウ
(72)【発明者】
【氏名】エイミー・イー・ストローマン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ジュンチウ
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-196171(JP,A)
【文献】特開2007-091720(JP,A)
【文献】特開2004-002434(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105859508(CN,A)
【文献】特表2005-526075(JP,A)
【文献】社団法人日本化学会,化学便覧基礎編改訂5版,2004年02月20日,II-158~II-159
【文献】安全データーシート,ペンタクロロフェノールナトリウム,職場のあんぜんサイト,2008年10月15日,URL:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/131-52-2.html,[検索日2021/06/24]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 3
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,5-ジクロロフェノール塩給送混合物を脱水する方法であって、
2,5-ジクロロフェノール塩と、水と、有機溶媒とを含む給送混合物を提供すること;
前記給送混合物を蒸留区域内で蒸留し、それによって、水と前記有機溶媒の一部とを含む塔頂部留分、および前記2,5-ジクロロフェノール塩と前記有機溶媒の一部とを含む塔底部留分を形成することであって、前記塔底部留分が前記塔頂部留分に比べて2,5-ジクロロフェノール塩に富む、前記形成すること;
前記塔頂部留分を凝縮させて、回収有機溶媒と水とを含む再生流を形成すること;
前記再生流から水を除去すること;ならびに
回収有機溶媒を含む前記再生流を前記蒸留区域へ給送すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記塔頂部留分が、前記有機溶媒と水とを含む極小共沸混合物を含み、前記塔頂部留分がその構成成分のいかなる組み合わせの沸点よりも低い沸点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塔底部留分から2,5-ジクロロフェノール塩を回収することをさらに含み、前記2,5-ジクロロフェノール塩が2,5-DCPのカリウム塩であり、前記方法がさらに、前記蒸留区域から除去された前記回収塔底部留分の中の前記2,5-DCPの塩をカルボキシル化して3,6-ジクロロサリチル酸またはその塩を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
3,6-ジクロロサリチル酸またはその塩をメチル化剤でメチル化して3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸もしくはその塩および/または3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸メチルを形成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸メチルを塩基で鹸化して3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸の塩を形成することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記方法が、さらに
有機溶媒を含む有機反応媒体中で2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)および/またはその塩をカルボキシル化し、それによって、前記有機溶媒と、3,6-DCSAおよび/または1つ以上のその塩と、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩と、1つ以上の不純物とを含むカルボキシル化生成物スラリーを形成すること;
前記カルボキシル化生成物スラリーを分配液液抽出(FLLE)区域へ給送すること;
前記FLLE区域に有機溶媒を給送すること;
前記FLLE区域に水性媒体を給送すること;ならびに
前記FLLE区域において前記カルボキシル化生成物スラリーを前記有機溶媒および前記水性媒体と接触させることであって、前記未反応2,5-DCPおよび/またはその塩ならびに前記1つ以上の不純物の少なくとも一部が、前記有機溶媒を含む有機相へ移り、前記3,6-DCSAまたはその塩の少なくとも一部が水相へ移る、前記接触させること;
3,6-DCSAの1つ以上の塩を含む水相抽出物を前記FLLE区域から回収することであって、前記水相抽出物における2,5-DCPに対する3,6-DCSAの塩の重量比率が、前記カルボキシル化給送混合物における2,5-DCPに対する3,6-DCSAの塩の重量比率よりも大きい、前記回収すること;
2,5-DCPと前記有機溶媒と1つ以上の不純物とを含む有機相抽出物を前記FLLE区域から回収すること;ならびに
前記水相抽出物中の3,6-DCSAの塩を中和して、3,6-DCSAを含む生成物混合物を形成すること
を含む、前記方法。
【請求項7】
前記FLLE区域が、前記カルボキシル化生成物スラリーの給送場所と、ストリッピング区画と、精留区画とを有する少なくとも1つの鉛直塔を含み、前記ストリッピング区画が、前記給送場所よりも下に位置している前記塔の一部であり、前記精留区画が、前記給送場所よりも上に位置している前記塔の一部であり、前記水相抽出物が前記FLLE区域の前記ストリッピング区画から回収され、前記有機相抽出物が前記FLLE抽出区域の前記精留区画から回収される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カルボキシル化生成物スラリーが、前記有機カルボキシル化反応媒体と、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩と、3,6-DCSAの1つ以上の塩を含む生成物固形物を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記水性媒体がさらに酸を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記水相抽出物が3,6-DCSAの1つ以上の塩を前記水相抽出物の前記水性媒体の全体にわたって分配された固形物として含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項11】
前記方法がさらに、
前記水相抽出物を混合容器へ給送することであって、前記混合容器内に酸が導入される、前記給送すること;
前記水相抽出物を前記酸と混合し、それによって前記3,6-DCSAの1つ以上の塩と、前記2,5-DCPの1つ以上の塩とを酸性化して、水と3,6-DCSA固形物と前記水相中の2,5-DCPとを含む水性混合物を形成すること;
前記水性混合物を加熱し、それによって、前記酸性化された水相の上に2,5-DCPを含む蒸気相を形成すること;
前記蒸気相を前記混合容器から回収することであって、前記蒸気相が前記水性混合物に比べて2,5-DCPに富む、前記回収すること;
3,6-DCSA固形物を含む前記混合容器から生成物スラリーを回収することであって、前記生成物スラリーが前記水性混合物に比べて3,6-DCSAに富む、回収すること
を含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記方法が、さらに
有機溶媒を含む有機反応媒体中で2,5-DCPおよび/またはその塩をカルボキシル化し、それによって、3,6-ジクロロサリチル酸および1つ以上のその塩と、未反応2,5-DCPと、2,5-DCPの1つ以上の塩と、2,5-DCPの1つ以上の二量体とを含む前記有機溶媒中の生成物混合物を形成すること;
前記生成物混合物を抽出区域へ給送すること;
有機溶媒を前記抽出区域へ給送すること;
水性媒体を前記抽出区域へ給送すること;
前記生成物混合物を前記抽出区域において前記有機溶媒および前記水性媒体と接触させることであって、前記未反応2,5-DCPおよび2,5-DCPの二量体の少なくとも一部が、前記有機溶媒を含む有機相へ移り、2,5-DCPが水相へ移り、前記水相が前記生成物混合物に比べて3,6-ジクロロサリチル酸と2,5-DCPの塩とに富み、前記有機相が前記生成物混合物に比べて未反応2,5-DCPに富む、前記接触させること;
前記有機相を含む有機抽出物を前記抽出区域から除去すること;
前記有機相から2,5-ジクロロフェノールを回収することであって、回収された2,5-DCPが、それから不純物を回収するための抽出区域へ給送される、および/または3,6-ジクロロサリチル酸を製造するためのカルボキシル化反応器へ給送される、前記回収すること
を含む、前記方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記方法が、さらに
2,5-DCPおよび/またはその塩を含む給送混合物を提供すること;
前記2,5-DCP給送混合物を少なくとも約25℃の温度に加熱することであって、前記2,5-DCP給送混合物が、有機溶媒と、2,5-DCPと、2,5-ジクロロ-4-ニトロフェノール(2,5-DCNP)と、複数のクロロフェノール二量体とを含む、前記加熱すること;
前記2,5-DCP給送混合物を第1抽出区域へ給送すること;
前記第1抽出区域内で前記給送混合物を、塩基を含む第1水溶液と接触させ、それによって、前記有機溶媒と2,5-DCPと前記複数のクロロフェノール二量体とを含む第1有機相抽出物を形成し、2,5-DCNPおよび/またはその塩を含む第1水相抽出物を形成することであって、前記第1水相抽出物が前記第1有機相抽出物および前記2,5-DCP給送混合物に比べて2,5-DCNPおよび/またはその塩に富む、前記形成すること;
前記第1有機相抽出物を第2抽出区域へ給送し、前記第1有機相抽出物を、塩基を含む第2水溶液と接触させ、それによって、前記クロロフェノール二量体を含む第2有機相抽出物を形成し、2,5-DCPおよび/またはその塩を含む第2水相抽出物を形成することであって、前記第2有機相抽出物が、前記第1有機相抽出物に比べて前記クロロフェノール二量体に富み、前記第2水相抽出物が、前記第1有機相抽出物に比べて2,5-DCPに富む、前記形成すること
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記第2水溶液が前記塩基を、前記第1有機相抽出物中に存在する2,5-DCPに対して少なくとも約0.5:1のモル比で含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記塩基が前記第1水溶液の約2wt%未満を構成する、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じて、クロロフェノール塩(例えば、2,5-ジクロロフェノールおよびその塩)を精製、回収および転換する方法に関する。様々な態様において、本発明は、クロロフェノール塩含有プロセス流から1つ以上の不純物を除去すること、および/または回収したクロロフェノールを統合プロセス内の他のどこかで使用するためにプロセス流からクロロフェノール塩を回収することに関する。本発明に従って処理され得るプロセス流には、1つ以上のクロロフェノール塩を給送混合物中に組み込んだもの、さらには1つ以上のクロロフェノール塩が統合プロセスの生成物流または副生成物流の中に存在しているものが含まれる。例えば、本発明の転換方法は、3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸(ジカンバ)またはその塩もしくはエステルを製造する統合プロセスの一要素として、あるいは2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)またはその塩もしくはエステルを製造する方法として好適である。本発明はさらに、2,5-ジクロロフェノールからのジカンバの調製中に形成する中間体3,6-ジクロロサリチル酸(3,6-DCSA)を含めて2,5-ジクロロフェノールおよび/またはその塩などのクロロフェノール塩を出発材料として利用する統合プロセスで形成される中間体を調製、精製および回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジクロロフェノールは、特定の除草剤を含めた様々な化学製品の調製において有用な中間体である。例えば、2,4-Dは2,4-ジクロロフェノール(2,4-DCP)から調製することができる。例えば、米国特許第2,480,817号および第2,651,659号を参照されたい。また、ジカンバは2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)から調製することができる。例えば、米国特許第3,013,054号および第5,648,562号を参照されたい。
【0003】
ジカンバを効率的に製造する方法には、高い原材料費、低いプロセス転化率および選択性を含めた難点が残っており、大量の廃棄物は、これらの方法に存在し得る問題点である。2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)出発材料は高い原材料費の大きな原因であると推測される。したがって、プロセス経済性を向上させるために、2,5-DCPおよび/またはその塩、および/または3,6-DCSAおよび/またはその塩を含めたジカンバの重要な出発材料および中間体の製造および分離において改良された方法が必要とされ続けている。
【0004】
また、出発材料および/または中間プロセス流は2,5-DCPおよび/またはその塩をジクロロフェノールとその他の不純物との混合物中に含んでいる場合がある。2,5-DCP給送混合物を精製することによって、ジカンバの生成に適した比較的純粋な流れが得られる。また、ジカンバ中間体3,6-ジクロロサリチル酸(3,6-DCSA)を調製するための中間生成物混合物から未反応2,5-DCPおよび/またはその塩を回収することも、プロセス経済性を向上させるためには重要である。
【発明の概要】
【0005】
ある特定の態様において、本発明は、クロロフェノール塩給送混合物を脱水する方法に関する。ある特定の実施形態では、方法は、クロロフェノール塩と、水と、有機溶媒とを含む給送混合物を提供すること;給送混合物を蒸留区域内で蒸留し、それによって、水と有機溶媒の一部とを含む塔頂部留分、およびクロロフェノール塩と有機溶媒の一部とを含む塔底部留分を形成することであって、塔底部留分が塔頂部留分に比べてクロロフェノール塩に富む、形成すること;塔頂部留分を凝縮させて、回収有機溶媒と水とを含む再生流を形成すること;再生流から水を除去すること;ならびに回収有機溶媒を含む再生流を蒸留区域へ給送することを含む。
【0006】
本発明はまた、3,6-ジクロロサリチル酸(3,6-DCSA)および/またはその塩を調製および回収する方法に関する。ある特定の実施形態では、方法は、有機溶媒を含む有機反応媒体中で2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)および/またはその塩をカルボキシル化し、それによって、有機溶媒と、3,6-DCSAおよび/または1つ以上のその塩と、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩と、1つ以上の不純物とを含むカルボキシル化生成物スラリーを形成すること;カルボキシル化生成物スラリーを分配液液抽出(FLLE)区域へ給送すること;FLLE区域に有機溶媒を給送すること;FLLE区域に水性媒体を給送すること;ならびにFLLE区域においてカルボキシル化生成物スラリーを有機溶媒および水性媒体と接触させることであって、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩ならびに1つ以上の不純物の少なくとも一部が、有機溶媒を含む有機相へ移り、3,6-DCSAまたはその塩の少なくとも一部が水相へ移る、接触させること;3,6-DCSAの1つ以上の塩を含む水相抽出物をFLLE区域から回収することであって、水相抽出物における3,6-DCSAの塩の2,5-DCPに対する重量比率が、カルボキシル化給送混合物における3,6-DCSAの塩の2,5-DCPに対する重量比率よりも大きい、回収すること;2,5-DCPと有機溶媒と1つ以上の不純物とを含む有機相抽出物をFLLE区域から回収すること;ならびに水相抽出物中の3,6-DCSAの塩を中和して、3,6-DCSAを含む生成物混合物を形成することを含む。
【0007】
本発明はまた、2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)および/またはその塩を回収する方法に関する。ある特定の実施形態では、方法は、有機溶媒を含む有機反応媒体中で2,5-DCPおよび/またはその塩をカルボキシル化し、それによって、3,6-ジクロロサリチル酸および1つ以上のその塩と、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩と、2,5-DCPの1つ以上の塩と、2,5-DCPの1つ以上の二量体とを含む有機溶媒中の生成物混合物を形成すること;生成物混合物を抽出区域へ給送すること;有機溶媒を抽出区域へ給送すること;水性媒体を抽出区域へ給送すること;生成物混合物を抽出区域において有機溶媒および水性媒体と接触させることであって、未反応2,5-DCPおよび2,5-DCPの二量体の少なくとも一部が、有機溶媒を含む有機相へ移り、2,5-DCPの1つ以上の塩が水相へ移り、水相が生成物混合物に比べて3,6-ジクロロサリチル酸と2,5-DCPの塩とに富み、有機相が生成物混合物に比べて未反応2,5-DCPに富む、接触させること;有機相を含む有機抽出物を前記抽出区域から除去すること;有機相から2,5-ジクロロフェノールを回収することを含み、回収された2,5-DCPが、それから不純物を回収するための抽出区域へ給送される、および/または3,6-ジクロロサリチル酸を製造するためのカルボキシル化反応器へ給送される。
【0008】
本発明はさらに、クロロフェノール塩含有給送混合物を精製する方法に関する。ある特定の実施形態では、本発明は、2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)および/またはその塩を含む給送混合物から不純物を除去する方法に関し、当該方法は、2,5-DCP給送混合物を少なくとも約25℃の温度に加熱することであって、2,5-DCP給送混合物が、有機溶媒と、2,5-DCPと、2,5-ジクロロ-4-ニトロフェノール(2,5-DCNP)と、複数のクロロフェノール二量体とを含む、加熱すること;2,5-DCP給送混合物を第1抽出区域へ給送すること;第1抽出区域内で給送混合物を、塩基を含む第1水溶液と接触させ、それによって、溶媒と2,5-DCPと複数のクロロフェノール二量体とを含む第1有機相抽出物を形成し、2,5-DCNPおよび/またはその塩を含む第1水相抽出物を形成することであって、第1水相抽出物が第1有機相抽出物および2,5-DCP給送混合物に比べて2,5-DCNPおよび/またはその塩に富む、形成すること;第1有機相抽出物を第2抽出区域へ給送し、第1有機相抽出物を、塩基を含む第2水溶液と接触させ、それによって、クロロフェノール二量体を含む第2有機相抽出物を形成し、2,5-DCPおよび/またはその塩を含む第2水相抽出物を形成することであって、第2有機相抽出物が、第1有機相抽出物に比べてクロロフェノール二量体に富み、第2水相抽出物が、第1有機相抽出物に比べて2,5-DCPに富む、形成することを含む。
【0009】
本発明はさらに、上に記載され本明細書中で詳述される1つ以上のプロセスを組み込んだ、ジカンバおよび/またはその塩を調製する方法に関する。
【0010】
他の目的および特徴は以下本明細書において部分的に明らかとなり部分的に示されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って2,5-DCP給送混合物を精製する方法の模式図を示す。
図2】本発明の方法に従って給送混合物を脱水する方法の模式図を示す。
図3】本発明の方法に従って3,6-DCSAを抽出する方法の模式図を示す。
図4】実施例8~10に記載の方法で使用されるシステムの詳細を示す。
図5】実施例11~15に記載の方法で使用されるシステムの詳細を示す。
図6】実施例16~18に記載の方法で使用されるシステムの詳細を示す。
図7】実施例19に記載の方法に使用するのに適した脱水塔および関連設備を描写する。
図8】実施例2に記載し、実施例6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、16、17および18に記載の方法で使用されるKARR塔を描写する。
図9】実施例3に記載し、実施例7に記載の方法で使用されるSCHEIBEL塔を描写する。
図10】実施例20に記載の方法に使用する脱水塔および関連設備を描写する。
【0012】
図面の全体を通して、対応する参照文字は、対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、2,5-DCPからのジカンバの調製に有用な方法およびユニット運転を伴う。本発明は、クロロフェノール塩(例えば、2,5-ジクロロフェノール(そのカリウム塩を含む))を精製、回収および転換する方法を含む。クロロフェノール塩の転換は、2,5-DCP出発材料からのジカンバの調製を含む。本発明はさらに、2,5-DCPからのジカンバの調製中に形成する中間体3,6-ジクロロサリチル酸(3,6-DCSA)を含めて2,5-ジクロロフェノールなどのクロロフェノール塩を出発材料として利用する統合プロセスで形成される中間体を調製、精製および回収する方法に関する。
【0014】
2,5-DCP給送混合物
本発明は、2,5-DCPおよび/またはその塩を含む様々な給送混合物を処理するための方法およびユニット運転を伴う。
【0015】
ある特定の2,5-DCP給送混合物は、出発材料として2,5-DCP、例えば2,5-DCNPを使用するプロセスを妨害し得るまたはその収率を下げ得る1つ以上の不純物または成分、および1つ以上のクロロフェノール二量体を含む。そのような給送混合物は、「粗製品」と呼ばれることがあるが、本明細書中で詳述するある特定の方法(例えば、本明細書に記載の精製および脱水方法)によって処理され得る。
【0016】
例示的な給送混合物組成は、(i)約15wt%~約40wt%、約15wt%~約35wt%、または約15wt%~約25wt%の割合の2,5-DCP、(ii)約1wt%以下の割合の2,5-ジクロロニトロフェノール(2,5-DCNP)、(iii)約2wt%以下の割合の3-クロロフェノール(3-CP)、(iv)約1wt%以下の割合の1,4-ジクロロベンゼン(1,4-DCB)、および/または(v)約1wt%以下の割合の1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-TCB)を含む。
【0017】
2,5-DCP給送混合物は、提供されたとおりのものであっても、他のユニット運転(例えば、本明細書中の他の部分で記述されている3,6-DCSAに対するカルボキシル化)から回収されたものであっても、2,5-DCPの1つ以上の二量体を含み得る。これらの二量体は、メタ-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(メタ-CDPP)およびオルト-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(オルト-CDPP)を含み得る。
【0018】
統合プロセス内の他のどこかから回収されるDCP給送流のさらなる例示的組成は、約5~約20wt%の割合の2,5-DCPおよび、様々な濃度ながら通常約1wt%以下または約0.5wt%以下の濃度である1つ以上の以下の不純物を含み得る:3-CP、1,4-DCB、1,2,4-TCB、メタ-CDPPおよび/またはオルト-CDPP。
【0019】
さらに、またはあるいは、給送混合物またはその一部を、2,4-ジクロロフェノールを2,5-ジクロロフェノールに異性化する異性化プロセスから得ることができる。そのような場合、給送混合物またはその一部は、ジクロロフェノールを分離する方法について記載している米国仮出願第62/170,300号(代理人整理番号MTC60939.PRO;40-21(60939)0000.US)および国際出願第PCT/US2016/034954号(代理人整理番号MTC60939.WO;40-21(60939)0000.WO)(これをもって参照により、関連するあらゆる目的のためにこれらを援用する)に記載されているいずれかの方法に従って処理された、2,5-DCPおよび/またはその塩含有流であり得る。
【0020】
2,5-DCP混合物の精製
以下の記述は2,5-DCP含有プロセス流の精製に関するものであり、少なくとも1つの実施形態の詳細が図1に描写されている。本明細書中で使用する「2,5-DCP」または「2,5-DCP含有流」に言及する場合、これが2,5-DCPおよび/または1つ以上のその塩を企図していることは理解されるべきである。さらに、以下の記述は2,5-DCPおよび/またはその塩に注目したものであるが、本発明の方法が他のクロロフェノール塩(例えば、2,4-DCPおよび/またはその塩)に関連した利用に同様に適していることは理解されるべきである。
【0021】
以下の記載に従って処理される2,5-DCP含有プロセス流は通常、DCP出発材料(例えば、3,6-DCSAを生成するカルボキシル化反応に使用するために調製または提供される、あるいは3,6-DCSAを生成するために2,5-DCPおよび/またはその塩のカルボキシル化を含みさらにはジカンバの調製を含んでいてもよい統合プロセスの中の1つ以上の点から回収される、2,5-DCPまたはその塩)を含む。例えば、本明細書中の他の部分で詳述される図3と関連付けて説明されるプロセスから回収されたクロロフェノール塩含有給送流は、図1を参照して説明される以下の方法によって1つ以上の不純物を除去すべく処理され得る。本明細書中で詳述される精製方法は、供給されたとおりの2,5-DCP給送流の精製にも適する。
【0022】
全体的に図1を参照して、2,5-DCP給送混合物1はまず、二酸化炭素(CO)ストリッパー2内で、窒素含有ガス流3との接触によって処理されて、抽出区域7内に導入される2,5-DCP給送混合物5を提供する。通常、給送混合物の目標CO含有量は約1000ppm未満または約100ppm未満である。提供または回収される給送流がこの限界を満たす場合には二酸化炭素ストリッパーの使用は必要とされず、2,5-DCP給送混合物5は抽出区域7内に直接導入される。
【0023】
給送混合物5は大抵、2,5-DCP、2,5-DCNPおよび3-CPを含めたある特定のフェノール化合物を含んでいる。粗給送混合物中に存在する除去されるべきその他の不純物には、以下のクロロフェノール二量体が含まれる:メタ-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(メタ-CDPP)およびオルト-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(オルト-CDPP)。
【0024】
図1中に示されているように、2,5-DCP給送混合物5は抽出区域7内に導入され、そこで塩基性水溶液9と接触する。この第1の抽出の目的はフェノール性不純物の除去である。概略を述べると、フェノール化合物は、抽出区域から廃流として除去される水相11へと分画され、2,5-DCP(およびその二量体)は、抽出区域から取り出される有機抽出物13へと分画される。
【0025】
通常、塩基性水溶液はアルカリまたはアルカリ土類の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む。例えば、塩基は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0026】
抽出区域7は典型的に、例えばKARR塔およびSCHEIBEL塔を含めた向流液液抽出に適した装置の形状をとる。抽出区域は典型的には、少なくとも10段、少なくとも15段、少なくとも20段または少なくとも25段を含む。
【0027】
理論に拘泥するものではないが、この第1の塩基性抽出方法において塩基(例えばKOH)と2,5-DCPとのモル比が1.0:1を超える場合、あらゆるフェノール化合物(例えば、2,5-DCP、2,5-DCNPおよび3-CP)が十分に、典型的には完全に、水層へと抽出される一方、非フェノール化合物(例えば、1,4-DCBおよび1,2,4-TCB)が有機層中に残る、ということが発見された。典型的には、塩基と2,5-DCPとのモル比は少なくとも約0.5:1、少なくとも約0.6:1、少なくとも約0.7:1、少なくとも約0.8:1、または少なくとも約0.9:1である。さらに、またはあるいは、ある特定の実施形態において、塩基と給送混合物中に存在する2,5-DCNPとのモル比は約0.5:1~約5:1、約0.5:1~約3:1、約0.5:1~約2:1、または約0.5:1~約1.5:1である。
【0028】
この抽出ステップに適する塩基濃度には、約0.01wt%~約2wt%、約0.05wt%~約1wt%、約0.1wt%~約1wt%、または約0.2wt%~約1wt%が含まれる。
【0029】
有機相抽出物は通常、給送混合物中に存在する2,5-DCPのうちの少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約99wt%を含有する。
【0030】
典型的に、給送混合物中に存在するフェノール化合物のうちの少なくとも約50wt%、少なくとも約75wt%、または少なくとも約95wt%は、抽出区域から除去される水相への分画によって除去される。
【0031】
再び図1を参照して、第1抽出区域から回収された有機相抽出物13は第2抽出区域15内に導入される。この抽出物は、給送混合物中に存在する除去されるべき以下の不純物、詳しくは以下のクロロフェノール二量体を含む:メタ-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(メタ-CDPP)およびオルト-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(オルト-CDPP)。これらの不純物の除去は、2,5-DCPを転換する下流プロセスの効率および収率を向上させる。
【0032】
第2抽出区域内に導入される第2塩基性溶液17を使用する抽出は、同様に向流液液抽出に適した塔および上に列挙される塩基のうちの1つを利用して、上に記載されるフェノール化合物の抽出に従って進行する。しかしながら、塩基性溶液が濃ければ濃いほど有機相への二量体の分画および水相抽出物中の2,5-DCPの回収の効果が高くなることが認められた。したがって、第2の抽出のための水溶液における塩基の濃度は通常、約1wt%~約45wt%、約5wt%~約40wt%、または約5wt%~約30wt%である。ある特定の実施形態では、この第2抽出ステップのための水溶液における塩基の濃度は約5wt%~約20wt%、約7wt%~約15wt%、約7wt%~約12wt%、または約10wt%~約12wt%である。
【0033】
第2水相抽出物のpHは通常、少なくとも約7.1、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11である。典型的には、第2水相抽出物のpHは約7.1~約13、約8~約12、約10~約12(例えば約11)である。
【0034】
この第2抽出ステップにおいて塩基と、2,5-DCPおよび/またはその塩とのモル比は通常、少なくとも約0.5:1、少なくとも約0.6:1、少なくとも約0.7:1、少なくとも約0.8:1、少なくとも約0.9:1、少なくとも約1.0:1、または少なくとも約1.1:1である。典型的には、この第2抽出ステップにおいて塩基と、2,5-DCPおよび/またはその塩とのモル比は、約0.5:1~約1.5:1、約0.7:1~約1.1:1、約0.7:1~約1.0:1、または約0.7:1~約0.9:1である。ある特定の実施形態では、モル比は1:1の近傍(例えば、約0.8:1、約0.9:1、または約1.0:1)である。
【0035】
この第2の抽出の結果として、第2抽出区域内に導入された有機抽出物からの二量体のうちの少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%またはそれよりも多くを含む有機抽出物19が得られる。この有機抽出物19は蒸留区域21内に導入され得、当該蒸留区域21は、塔底部留分23と、キシレンを含む、より沸点が高い2,5-DCP二量体の除去がなされる塔頂部留分25とを生成する。
【0036】
また、2,5-DCP二量体の除去がなされる、および第2抽出区域内に導入された2,5-DCPのうちの少なくとも約90wt%を含有する、水性抽出物27も生成する。全般的に水相抽出物は、少なくとも約95wt%の2,5-DCPと、少ない分量(例えば、約0.5wt%以下または約0.1wt%以下)のフェノール性および/または二量体不純物とを含有する。
【0037】
図1は、第1抽出ステップの目的をフェノール性不純物の除去とした、2つの抽出ステップを示している。ある特定の実施形態において、2,5-DCP給送混合物は、除去を必要とするフェノール性不純物の画分を含有していない場合がある。そのような場合、第1抽出ステップは任意であり、給送混合物5は唯一の抽出ステップのための第2抽出ステップ17へ直接給送されることになろう。
【0038】
図1に描写される抽出プロセスは全体として、望ましくないフェノール性不純物の除去がなされた、および1つ以上の2,5-DCP二量体の除去もなされた、2,5-DCP給送混合物を提供する。2,5-DCPと塩基性溶液との接触は、向流液液抽出において2,5-DCPを塩基で中和することによって形成された2,5-DCPの塩を含む水性抽出物を形成する。かくして、液液抽出からの水相抽出物は典型的には、2,5-DCPおよび/またはその塩の少なくとも約20wt%、少なくとも約25wt%または少なくとも約30wt%を含有する。水性抽出物のその他の主成分は水である。
【0039】
2,5-DCP給送混合物の脱水
本明細書中の他の部分で詳述しているように、2,5-DCPのカリウム塩はカルボキシル化されて3,6-DCSAを形成するが、これはジカンバを調製する際の中間体である。概略を述べると、2,5-DCP給送混合物(そのまま提供されたものか、図1の方法に供されたものかのどちらか)を塩基性溶液と接触させて残存2,5-DCPを中和し、2,5-DCP塩給送混合物を形成する。
【0040】
2,5-DCPカルボキシル化給送物の水含有量の増加と3,6-DCSA中間体収率の向上との間には負の相関が認められた。それゆえ、2,5-DCPカルボキシル化給送物の水含有量は重要な特徴である。これらの2,5-DCP塩給送流の水含有量を減らす方策を本明細書中で詳述する。
【0041】
図2を参照して、概略を述べると、2,5-DCP塩給送流51は有機溶媒53と合わせられて、蒸留区域57内に導入される流れ55を形成する。
【0042】
ある特定の実施形態では、余分な水を2,5-DCP給送混合物51から除去した後に、それと有機溶媒とを合わせ、蒸留区域内に導入する。例えば、図5に示すようにフラッシュエバポレーター60(図2では任意選択として示されている)で水を2,5-DCP給送混合物から除去してもよい。
【0043】
概略を述べると、蒸留すべき給送混合物55を蒸留区域の区画内に導入し、蒸留区域の区画内に同様に導入された有機溶媒59と接触させる。
【0044】
ある特定の実施形態では、蒸留区域57は、複数の実段または理論段を含み、精留区画およびストリッピング区画をこれら2つの区画の間の中間区画と共に含む。例えば、蒸留区域は、中間段と呼ばれることもある複数の実段または理論段を含み得、この場合、精留区域は1つ以上の段を蒸留区域の中間段の上に含み、ストリッピング区画は1つ以上の段を蒸留区域の下に含む。そのような実施形態では、給送混合物は蒸留区域の中間区画内に導入され得る。
【0045】
図2は、鉛直塔を描写する。このような事例では、精留区域は通常、給送場所よりも上に存在することになる一方、ストリッピング区域は通常、給送場所よりも下に存在することになるであろう。しかしながら、精留区域またはストリッピング区域に対する言及が必ずしも塔内またはその他の装置内での物理的場所を指すのではなく、より総合的に、塔またはその他の装置の特定の部分または領域の中で起こっている物質輸送現象について記載している、ということは理解されるべきである。
【0046】
概して本発明の方法によれば、クロロフェノール塩と水と有機溶媒とを含む混合物は蒸留区域内に存在する。これは、概して図2に描写されているようにこれら3つの成分を含む混合物を蒸留区域に給送または提供することによって実現され得る。あるいは、蒸留区域の給送混合物は、まず有機溶媒を蒸留区域に導入すること、およびその後にクロロフェノール塩と水との混合物(すなわち中間給送混合物)を蒸留区域内で有機溶媒と合わせることによってもたらされ得る。そのような実施形態によると、蒸留区域内で有機溶媒は典型的には、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃または少なくとも約90℃の温度に加熱される。そのようなプロセスは概略的に図10に描写され実施例20に記載されている。したがって、蒸留区域のための給送混合物を提供することは、通常、蒸留区域外および/または蒸留区域内で有機溶媒と水/DCP塩含有混合物とを合わせることを伴う。
【0047】
ある特定の実施形態では、有機溶媒と合わせられる中間給送混合物の温度は少なくとも約30℃、少なくとも約60℃、少なくとも約90℃、少なくとも約120℃または少なくとも約150℃である。中間給送混合物の温度はまた、約30℃~約200℃、約60℃~約200℃、約90℃~約200℃、約120℃~約200℃、または約150℃~約200℃とすることができる。
【0048】
典型的には、給送混合物中の有機溶媒とクロロフェノール塩との質量比は約0.2:1~約3:1、約0.5:1~約2.5:1、または約1:1~約2:1である。
【0049】
典型的には、給送混合物中の水とクロロフェノール塩との質量比は約0.2:1~約2:1、約0.2:1~約1:1、または約0.5:1である。
【0050】
本明細書に記載の方法に関連して使用されるのに適する有機溶媒の非限定的な例としては、C-C10アルカン溶媒、C-C10ハロゲン化アルカン溶媒、C-C10アルキルベンゼン、ハロゲン化芳香族溶媒、一般式R-O-R’のジアルキルエーテル溶媒(式中、RおよびR’は各々独立してC-Cアルキルから選択される)、および式R-C(O)O-R’のエステル溶媒(式中、RおよびR’は各々独立してC-Cアルキルから選択される)が挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態では、有機溶媒はC-C10アルカン化合物を含む。当該化合物は、直鎖、分岐または環式C-C10アルキル基を1つ以上含み得る。非限定的な例として、有機溶媒はヘキサン、2-メチルヘキサン、またはシクロヘキサンを含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、有機溶媒はC-C10ハロゲン化アルカン溶媒を含む。当該化合物は、直鎖、分岐または環式C-C10アルキル基を1つ以上含み得る。いくつかの実施形態では、化合物は、独立してF、ClおよびBrから選択される1つ以上のハロゲン置換基を含み得る。例えば、化合物は1~6個のハロゲン置換基を含み得る。非限定的な例として、有機溶媒はジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムまたは四塩化炭素を含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、有機溶媒はC-C10アルキルベンゼン化合物を含む。当該化合物は、直鎖、分岐または環式C-C10アルキル基を1つ以上含み得、その各々は独立して任意選択的に、独立してF、ClおよびBrから選択される1つ以上のハロゲン置換基で置換されていてもよい。例えば、化合物は1~6個のハロゲン置換基を含み得る。いくつかの実施形態では、アルキル基は飽和アルキル基である。非限定的な例として、有機溶媒はトルエン、o-キシレン、p-キシレン、m-キシレン、キシレン類、トリメチルベンゼンまたはトリフルオロトルエンを含み得る。ある特定の実施形態では、溶媒は、キシレン、トルエン、ベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0054】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、独立してF、ClおよびBrから選択される1つ以上のハロゲン置換基を含むハロゲン化芳香族化合物を含む。例えば、当該化合物は、1~6個のハロゲン置換基を含み得る。非限定的な例として、有機溶媒はクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンまたはヘキサフルオロベンゼンを含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は式R-O-R’の化合物を含み、式中、RはC-Cシクロアルキルから選択され、R’はメチルである。例えば、有機溶媒はシクロペンチルメチルエーテルを含み得る。
【0056】
他の実施形態では、有機溶媒は式R-O-R’の化合物を含み、式中、RおよびR’は各々C-Cアルキルである。例えば、有機溶媒はジブチルエーテルを含み得る。そのような実施形態では、ジブチルエーテルは他のエーテル溶媒よりもはるかに遅い速度で過酸化物を形成する。
【0057】
さらなる実施形態では、有機溶媒は式R-C(O)O-R’のエステル化合物を含み得、式中、RおよびR’は各々独立してC-Cアルキルから選択される。例えば、有機溶媒は酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルまたは酢酸イソブチルを含み得る。
【0058】
ある特定の実施形態では、給送混合物の有機溶媒と水とが共沸給送混合物を形成し、有機溶媒と水とを含んでいる極小共沸混合物を含む塔頂部留分61を生成する。それゆえ、このような場合には塔頂部留分は塔頂部留分のいかなる比率の構成要素よりも低い温度で沸騰する。
【0059】
ある特定の実施形態では、蒸留区域は、低温での沸騰および、有機溶媒を含みかつ後に蒸留区域へ戻される塔頂部留分の回収を促すために、減圧下(例えば、大気圧未満)で運転され得る。減圧下での運転は、蒸留区域が加熱されない、または大して加熱されない場合に有益となり得る
【0060】
蒸留区域から除去される塔頂部留分(例えば、有機溶媒と水との極小共沸混合物)の他に、2,5-DCP塩塔底部流63も蒸留区域から除去される。
【0061】
記されているように、脱水プロセスの目的は、3,6-DCSAを形成するためのカルボキシル化反応に有用な2,5-DCP含有流を提供することである。蒸留から回収される塔底部生成物としての脱水の産物は典型的には、約0.1wt%未満の水、約0.05wt%未満の水、約0.02wt%未満の水、約0.01wt%未満の水、約0.005wt%未満の水、または約0.001wt%未満の水を含有する。
【0062】
通常、塔底部留分はクロロフェノール塩-有機溶媒混合物を含有する。クロロフェノール塩は典型的には塔底部留分の少なくとも約10wt%、少なくとも約20wt%または少なくとも約30wt%に等しく、残りは有機溶媒で構成される。
【0063】
蒸留区域の運転および/または蒸留区域内での流れの組成の様々な特徴が、2,5-DCP塩給送混合物からの大部分の水の除去をもたらし、結果として、脱水された所望の給送混合物が形成される。
【0064】
例えば、図2に示すように、塔頂部留分61を凝縮させて水性再生流65を形成し、凝縮した塔頂部留分から水67を除去して好適な容器に入れ、回収有機溶媒66を有機溶媒59と合わせて精留区画内に導入する。水は典型的には、傾斜法、抽出法、混合/沈降法、および遠心分離法からなる群から選択される液液分離法によって再生流から除去される。段階的導入期間の後に蒸留区域(すなわち塔)は好ましくは、塔頂部留分が蒸留区域から除去されると同時に再生流が精留区域へ給送されるように運転され、こうして塔は環流条件下で運転される。
【0065】
3,6-DCSAの調製
記されているように、2,5-DCPおよび/またはその塩は、ジカンバの調製に使用されるために供給され得るかまたは、既知の方法によって調製され得、それゆえ、ジカンバを調製するための出発材料としてみなされ得る。別の態様では、2,5-DCPおよび/またはその塩は、ジカンバを調製するための統合プロセスにおいて(例えば、上に記したようなプロセスによって)調製され、それゆえ、中間体とみなされ得る。どの事例においても、2,5-DCPおよび/またはその塩は総じてジカンバ中間体3,6-ジクロロサリチル酸(3,6-DCSA)および/またはその塩を調製するために使用される。
【0066】
カルボキシル化生成物混合物は、3,6-DCSA生成物の他に、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩と、1つ以上の不純物とを含有することが典型的である。この生成物混合物の精製は、所望の純度の3,6-DCSA生成物をもたらす観点からだけでなく、プロセス経済性を向上させるべく再生されることができる未反応2,5-DCPおよび/またはその塩を回収する観点からも望まれる。したがって、本明細書に記載の方法は、3,6-DCSAを調製および回収する方法、および/または2,5-DCPを回収する方法と呼ばれるのが妥当である。本発明のそのような方法の一実施形態を図3に示す。
【0067】
カルボキシル化生成物スラリー100は典型的には、3,6-DCSA生成物と、未反応2,5-DCPと、2,5-DCPの塩(例えば、DCPのカリウム塩)および2,5-DCPの様々な二量体を含めたその他の不純物とを含む。通常、カルボキシル化生成物スラリーの水含有量は約1wt%未満、約0.7wt%未満、約0.5wt%未満、約0.2wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.02wt%未満または約0.01wt%未満である。ある特定の実施形態では、下流での処理に役立てるために生成物スラリーに少しの分量の水を添加してスラリーの水含有量を例えば約10wt%以下(例えば、5~約10wt%)とすることがある。しかしながら、図3に描写されるプロセスなどのプロセスを含む本発明によれば生成物スラリーに水を添加する必要がないことは理解されるべきである。
【0068】
通常、2,5-DCP含有給送流は、中和されて炭酸カリウム(KCO)および/または重炭酸カリウム(KHCO)を形成する少ない分量の二酸化炭素(CO)を含む。
【0069】
図3に示すように、生成物スラリーは分配液液抽出(FLLE)区域へ給送される。FLLE区域は、塔、ミキサーまたは沈降槽の形をとり得る。図3に示すように、FLLE区域は、給送場所にて生成物スラリーが導入される塔を備える。FLLE区域内にはさらに、有機溶媒110および水相115が導入される。
【0070】
図3は全体として鉛直塔を描写しているが、鉛直塔が必要であるというわけではないことは理解されるべきである。例えば、1つ以上のミキサーまたは沈降槽を所望の有機および水相の回収のために利用してもよい。そのような場合、所望の有機相抽出物および水相抽出物をもたらすために複数のミキサー/沈降槽を直列配置で並べてもよい。特に、FLLE区域のための塔を伴わないそのような方法と、本明細書中で詳述するその他の方法(例えば、本明細書に記載の精製および脱水方法)とを組み合わせてもよいことは理解されるべきである。
【0071】
ある特定の実施形態では、FLLE区域はストリッピング区域または区画および精留区域または区画を含む。通常、精留区域は(塔の長さに沿って鉛直方向に)生成物スラリーの給送場所よりも上にあるであろう一方、ストリッピング区画は通常は(同じく塔の長さに沿って鉛直方向に)生成物スラリーの給送場所よりも下にあるであろう。しかしながら、精留区画またはストリッピング区画への言及が必ずしもFLLE区域内での特定の場所(例えば給送場所よりも上または下)を要求するものではないことは理解されるべきである。そのような区画または区域への言及はむしろ、抽出のために利用されている装置のその部分の中で起こっている物質輸送現象を指している場合が最も多い。
【0072】
図3に描写される実施形態を含めて様々な実施形態では、FLLE区域は、カルボキシル化生成物スラリーのための給送場所を有する少なくとも1つの鉛直塔を備え、給送場所よりも下に位置する当該塔の一部にはストリッピング区画が存在し、給送場所よりも上に位置する当該塔の一部には精留区画が存在する。
【0073】
ストリッピング区画および精留区画は各々、存在する場合には大抵において複数の段を備える。有機溶媒および水相の給送場所は塔効率に影響を与える可能性があることが認められた。通常は(図3に示すように)塔の底部にて有機溶媒110を導入するが、塔の底部付近かつ給送場所よりも下の地点にてこの流れを導入してもよい。図3に示すように水相は塔の頂部にて導入されるが、塔の頂部付近でありながら給送場所よりも上である地点にて導入されることもできる。
【0074】
ある特定の実施形態では、有機溶媒は、中間ストリッピング段と給送場所との間に少なくとも1つの段がありなおかつ中間ストリッピング段と塔の底部との間にストリッピング区画の少なくとも1つの段があるような、ストリッピング区画の中間段内に導入される。同様に、水性溶媒は、中間精留段と給送場所との間に少なくとも1つの段がありなおかつ中間精留段と塔の頂部との間に少なくとも1つの段があるような、精留区画の中間段内に導入され得る。
【0075】
これらおよび他の実施形態によれば、塔の底部と有機溶媒の給送場所との間にはストリッピング区画の少なくとも1つの段がある、および/または塔の頂部と水性媒体の給送場所との間には精留区画の少なくとも1つの段がある。
【0076】
抽出区域105は最初、水相で満たすことによって運転され、よって、有機相とスラリー給送混合物とが抽出区域内に導入されたときに有機相と水相との間の一次界面は少なくとも給送場所よりも上、典型的には塔の頂部付近にあることになる。
【0077】
ある特定の実施形態では、有機溶媒と水性媒体とがFLLE区域内に導入され、接触して、水性媒体の全体にわたる有機溶媒の分散がなされるFLLE区域を形成し、カルボキシル化生成物スラリーは、水性媒体の全体にわたる有機溶媒の分散がなされるFLLE区域の中に導入される。
【0078】
全体としては、給送混合物と有機溶媒との接触は、精留区画から除去される有機相抽出物120と、FLLE区域から回収される水相抽出物125とを生成する。
【0079】
有機相が未反応2,5-DCPおよび1つ以上の不純物に富む一方、3,6-DCSAの塩は水相へ優先的に分画される。水相中の3,6-DCSA塩の回収は、水相抽出物中の2,5-DCPに対する3,6-DCSAの塩の重量比率がカルボキシル化給送混合物中の2,5-DCPに対する3,6-DCSAの塩の重量比率よりも高いという点で定義され得る。
【0080】
2,5-DCPを含む有機相抽出物は、本明細書中で詳述する他の方法(例えば、図1に描写される2,5-DCP生成プロセス)に従って処理され得る。
【0081】
有機および水相の全体にわたる分散を伴わずに塔内で沈降することがない生成物スラリー(すなわち、抽出区域への給送混合物)を提供するために、カルボキシル化生成物スラリーはFLLE区域内への導入の前および/または間に撹拌され得る。この撹拌は、当技術分野で一般的に知られている任意の方法で行われ得る。さらに、またはあるいは、ある特定の実施形態では、FLLE区域を撹拌してスラリーと有機溶媒と水相との接触を促してもよい。ある特定の条件下では3,6-DCSA塩の水相への抽出はFLLE区域の内容物の撹拌によって増進することがあり、より詳しくは、撹拌の度合いが増大するにつれて増進することがある。
【0082】
通常、生成物スラリー、有機溶媒および水相の流速は、十分な相同士の界面接触と、抽出区域から回収される水性抽出物125中に固形物として存在する3,6-DCSAの分離および回収とをもたらす抽出区域を提供するように選択される。
【0083】
流速、詳しくは抽出区域内に導入されるプロセス流の相対流速もまた、抽出区域内での成分の水および有機相への分画に影響を与え得る。
【0084】
通常、水性媒体と、FLLE抽出へ給送されるカルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比は、少なくとも約1:1、少なくとも約3:1、少なくとも約5:1、少なくとも約7:1、少なくとも約9:1、または少なくとも約11:1である。典型的には、水性媒体と、FLLE抽出区域へ給送されるカルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比は約1:1~約15:1、約3:1~約12:1、または約5:1~約12:1である。
【0085】
通常、有機溶媒と、FLLE抽出へ給送されるカルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比は約1:1未満、約0.9:1未満、約0.8:1未満、約0.7:1未満、約0.6:1未満、約0.5:1未満、約0.4:1未満、約0.3:1未満、約0.2:1未満、約0.1:1未満、または約0.05:1未満である。典型的には、有機溶媒と、FLLE抽出区域へ給送されるカルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比は約0.05:1~約1:1、約0.1:1~約0.8:1、または約0.2:1~約0.5:1である。
【0086】
記されているように、FLLE区域内で有機溶媒と水相とが接触する結果として有機溶媒は有機溶媒の全体にわたって分散する。典型的には、ある特定の実施形態に従ってカルボキシル化生成物は、「分散FLLE区域」を形成するのに十分な方法で有機溶媒と水相とを既に接触させてあるFLLE区域の中に、導入される。
【0087】
ある特定の実施形態では、抽出区域内での温度と、抽出区域内に導入される水相の割合との組み合わせは、生成物スラリーの3,6-DCSA固形物を水相の全体にわたって分散させかつその後に塔の底部に収集して水相抽出物中に回収することを確実にするために重要であり得る。通常、抽出区域内に導入されるカルボキシル化生成物混合物の温度は、周囲条件または室温からおよそ100℃にまで及び得る。したがって、全般的にカルボキシル化生成物スラリーの温度は約25℃~約100℃、約35℃~約100℃、約45℃~約100℃、または約55℃~約100℃の範囲であり得る。
【0088】
通常、抽出区域内に導入される有機溶媒は、上に列挙した選択肢から選択される。ある特定の実施形態では、有機溶媒はキシレン、トルエン、ベンゼンまたはそれらの組み合わせを含む。ある特定の好ましい実施形態では、溶媒はキシレンを含む。
【0089】
有機溶媒が100℃未満の沸点を有する場合、抽出区域は、有機相において2,5-DCPおよび/またはその塩の回収を伴わずに沸騰することを抑制するために、加圧条件下で運転され得る。
【0090】
図4は、有機溶媒が塔の底部にて導入される一方で水相が塔の頂部にて導入される1つの装置の詳細を提供する。
【0091】
図5は、追加の装置と一緒に概して図3についての上記説明に倣って運転される好適な抽出区域の模式図を提供する。
【0092】
図5に示すように、システムは、プロセス流を抽出区域内への導入の前に加熱するための熱交換器501、502および503を含む。ある特定の実施形態では、生成物スラリー、有機溶媒および水相は各々、そのような手段によって提供および制御され得る上昇温度で抽出区域内に導入される。抽出区域内での所望の温度を実現するためには、抽出区域内に導入されるいずれかもしくは全ての流れを加熱してもよく、および/または抽出区域自体の内容物を加熱してもよい。
【0093】
図5にはさらに、抽出区域内に導入される給送混合物509を形成すべく合わせられる有機スラリー給送混合物505および水性スラリー給送混合物507が示されている。これら2つの流れの相対流速は、所望の一貫性を有する抽出区域の中に導入される給送混合物を提供するように制御され得る。
【0094】
図5にはさらに、水相のための給送場所511および513、ならびに給送混合物のための給送場所515および517が示されている。本発明によれば、様々な給送場所から抽出区域内へのこれらの流れの進入を制御して所望の流速をもたらすおよび/または有機相と水相との間の界面を抽出区域内での所望の場所に来るよう促すために、多岐管システムを使用することができる。
【0095】
抽出区域内での酸性条件は、3,6-DCSAの酸性相へのより多くの分画、さらには2,5-DCPの有機相中への分画を促進することが認められた。したがって通常、本発明によれば、別個の酸性成分を抽出区域内に導入する。この酸添加は、抽出区域内に導入される図3に示す水性流115の中への酸の組込みによって起こり得る。大抵において、好適な酸には有機酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸および酢酸)が含まれる。
【0096】
他のある特定の実施形態では、別個の酸流(図3中に示さず)をFLLE区域内に導入する。概略を述べると、酸は水性媒体のための入口と有機溶媒との間の場所にてFLLE区域内に導入される。このように、酸は、スラリー給送場所と水性媒体のための入口との間の地点、またはスラリー給送場所と有機溶媒のための入口との間の地点にて導入され得る。ある特定の実施形態では、酸はカルボキシル化生成物スラリーの給送場所に近く塔の反対側にある入口にて導入される。抽出区域内で所望のpH条件を提供するために添加する別個の酸の量は、例えば水性媒体、有機溶媒および/またはカルボキシル化生成物スラリーの実際のおよび/または相対的な流速に基づいて当業者によって選択され得る。
【0097】
図6は、本発明に係る用途に適した別の装置の模式図を提供する。第一に、装置は加熱手段601(図6中に熱交換器として示されている)を含む。これらおよび他のある特定の実施形態では、抽出区域内での目標温度は70℃より高い(例えば約75℃である)。
【0098】
全体としての抽出区域の目的は、水相中の3,6-DCSAの回収および有機相中の2,5-DCPの回収である。通常、本発明の方法によれば水相は、少なくとも約2wt%の3,6-DCSA、少なくとも約3wt%の3,6-DCSA、または少なくとも約4wt%の3,6-DCSAを含有する。典型的には、水相は約1wt%以下の2,5-DCPを含有する。水性抽出物中には3,6-DCSA固形物も存在する。全体として水性抽出物の組成は、抽出区域内に最初に導入された3,6-DCSAのうちの少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約99wt%が水性抽出物へと分画されることを指し示す。同様に、本発明の方法は、抽出区域内に導入された2,5-DCPのうちの10wt%未満が水相中へと分画されることによって特徴付けられる。
【0099】
通常、水相抽出物のpHは約4~約9、約5~約9、または約7~約9である。
【0100】
再び図3を参照して、流れ125は、中間体3,6-DCSA生成物混合物と呼ばれることもあるが、3,6-DCSAを2,5-DCPの塩(例えば、2,5-DCPのカリウム塩)およびDCSAの塩(例えば、3,6-DCSAのカリウム塩)と一緒に含む。この流れは典型的には、FLLE区域内に導入されたカルボキシル化生成物スラリー中に存在する3,6-DCSAのうちの少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%または少なくとも約99wt%を含有し、水相抽出物中に存在する。水相抽出物中の3,6-DCSAの塩は、回収され、中和され、そしてジカンバの調製のための方法に使用され得る。
【0101】
水相125は、FLLE区域から回収され、混合容器130へ給送される。混合容器の厳密な配置はさほど重要ではなく、当業者によって選択され得る。
【0102】
この混合容器内に酸性液体媒体135(例えば濃塩酸)を導入する。酸と水相抽出物との接触は3,6-DCSAの1つ以上の塩および2,5-DCPの1つ以上の塩を中和する。この結果として、水相中に溶解した水と3,6-DCSA固形物と2,5-DCPとを含む水性混合物が得られる。所望の3,6-DCSA生成物の分離を促進するために混合容器の内容物を加熱して、2,5-DCPに富む蒸気相を水性混合物の上に形成させるが、そうしてこの水性混合物は加熱前と比較して3,6-DCSAに富む。
【0103】
水性混合物と比較して2,5-DCPに富む蒸気相は、混合容器から回収される。全体としてこの蒸気相は、少ない分量の2,5-DCPを多い分量の構成水と共に含有する。よって、この蒸気相を凝縮させて、3,6-DCSAの回収に使用するためにFLLE区域内に導入され得る再生水相140を形成することができる。さらに、またはあるいは、回収された水相を図3中の流れ120と合わせることができ、そして1つ以上の追加ユニット運転(例えば、図1に示すような2,5-DCP精製)に供することができる。
【0104】
混合容器からは、3,6-DCSA固形物と水とを含有する生成物スラリー145が回収される。3,6-DCSA固形物は生成物150として回収されるが、母液155も生成する。
【0105】
生成物
本発明のプロセス流または給送混合物の中に存在するおよび/またはそれから得られる2,5-ジクロロフェノールおよび/またはその塩は、3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸(ジカンバ)またはその塩もしくはエステルへとさらに転換されることができる。詳しくは、本発明のある特定の方法は、2,5-ジクロロフェノールまたはその塩もしくはエステルをカルボキシル化して3,6-ジクロロサリチル酸またはその塩もしくはエステルを形成することをさらに含む。続いて、3,6-ジクロロサリチル酸またはその塩をメチル化剤でメチル化して3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸もしくはその塩および/または3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸メチルを形成する。メチル化剤の一例としては硫酸ジメチルが挙げられる。例えば、参照により本明細書に援用されるU.S.3,013,054を参照されたい。さらに、3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸メチルを塩基で鹸化して3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸の塩を形成することができる。3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸の塩の(例えばHClによる)酸性化によって3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸(すなわちジカンバ酸)が得られる。
【0106】
本発明によるプロセス流の中に存在するかまたはそれから回収される2,4-DCPは、2,4-Dを生成するためのプロセスに給送されることができる。2,4-Dを2,4-ジクロロフェノールから調製する方法としては、例えば、米国特許第2,480,817号および第2,651,659号に記載されているものが挙げられる。
【0107】
本発明を詳細に説明してきたが、別記の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく改変および変更が可能であることは明らかであろう。
【実施例
【0108】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに例説するために提供される。
【0109】
実施例1:塩素化フェノールを測定するための逆相高速液体クロマトグラフィー(「RP-HPLC」)分析法
RP-HPLC分析を用いて抽出物の有機相および水相の両方における塩素化フェノールまたは3,6-ジクロロサリチル酸の組成を監視する。分析は、ダイオードアレイUV検出器を装備したAgilent 1260 Infinity Analytical HPLC Systemで行い、220nmで監視した。
【0110】
実施例2:KARR塔
典型的なKARR塔の図を図8に示す。
【0111】
KARR塔BTU(Bench Top Unit)は、24インチの平板積層高さを有する直径5/8インチのガラス製塔からなるものであった。2つの平板集成体(316SSおよびテフロン(登録商標)の有孔板およびスペーサー)を1/2インチの平板間隔で含んでいた。重い相(例えば水性溶液)の入口は頂板のすぐ上の塔頂部に位置しており、軽い相(例えば有機溶媒)の入口は底板のすぐ下の塔底部に位置していた。給送混合物入口は塔の中心点に位置していた。塔内に入る有機および水性給送物を計量するためにFMIポンプを使用した。塔内の撹拌を調節するためにエアーモーターを設けた。
【0112】
KARR塔は、10フィートの平板積層高さ(316SSおよびテフロン(登録商標)の有孔板およびスペーサー)を有する直径1インチのガラス製塔からなるものであった。可変の平板間隔を抽出実験のために塔において用いた。ガラス製塔の多岐管システムは、入口の場所を選択することを可能としていた。全般的に、重い相(例えば水性溶液)の入口は頂板のすぐ上の塔頂部に位置しており、軽い相(例えば有機溶媒)の入口は底板のすぐ下の塔底部に位置していた。給送混合物入口の場所は塔の底部よりも4フィート上か、5フィート上か、または6フィート上かのいずれかに変更された。塔内の撹拌を調節するためにエアーモーターを設けた。
【0113】
抽出による2,5-ジクロロフェノールの精製では、界面を塔の底部に定めた。3,6-ジクロロサリチル酸の単離では界面を塔の頂部に定めた。
【0114】
実施例3:SCHEIBEL塔
典型的なSCHEIBEL塔の図を図9に示す。抽出による2,5-ジクロロフェノールの精製では、界面を塔の底部に定めた。
【0115】
実施例4:KOH抽出による2,5-ジクロロフェノールの精製(第1段階の精製)
2,5-ジクロロフェノールをキシレン中に含む給送混合物を以下のとおりに調製した:a)2,5-ジクロロアニリンのジアゾ化および加水分解によって生成する生成物混合物を得る;b)ロータリーエバポレーションに供してキシレン中の2,5-ジクロロフェノールの濃度をおよそ20~25wt%に高める;そしてc)2,5-ジクロロ-4-ニトロフェノール(DCNP)と1,2,4-トリクロロベンゼン(124-TCB)との2つの追加不純物をスパイクする。給送混合物組成を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
水酸化カリウム溶液抽出による給送混合物からの2,5-ジクロロフェノールの精製のプロセス証明を例証するために、分液漏斗に基づく抽出システムを使用した。上記のとおりに調製した給送混合物(10g)を1Nか3NかのどちらかのKOH水溶液と混合し、KOHと2,5-ジクロロフェノールとのモル比を0.006:1から1.144:1まで変化させた。有機層(例えばキシレン)と水層との両方における各化合物の濃度をRP-HPLC分析法によって測定した。キシレン中および水層中の各化合物の分配は、KOHと2,5-ジクロロフェノールとのモル比によって影響を受け、表2a~2fに示される。
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
【表7】
【0124】
区域1では、KOHの用量を増やすにつれて不純物2,5-DCNPは有機層の外に抽出された。KOHと2,5-DCPとのモル比が0.030:1に達したときには2,5-DCNPが完全に水層中に抽出されると同時に2,5-DCPが有機層中に残ることが認められた。区域2では、2,5-DCPは水層中に分画され始めた。KOHが豊富に存在しKOHの2,5-DCPに対するモル比が1.0:1以上であった区域3では、フェノール化合物2,5-DCP、2,5-DCNPおよび3-CPが全て完全に水層へと抽出された一方、非フェノール化合物(すなわち1,4-DCBおよび1,2,4-TCB)は有機層中に残った。したがって、分液漏斗に基づく抽出システムは、系中のKOHの量に関する上記化合物の抽出選択性を実証した。
【0125】
実施例5:KOH抽出による2,5-ジクロロフェノールの精製(第2段階の精製)
メタ-およびオルト-CDPP(クロロ-(2,5-ジクロロフェノキシ)フェノール)は、2,5-ジクロロフェノールのカルボキシル化反応中に形成され得る二量体化合物である。それらは、未反応2,5-DCPの回収のための精製プロセスに戻され再生され得る。どちらの二量体もフェノール化合物であることを考慮すれば、それらは主要中間体2,5-DCPと一緒に分画されている可能性がある。2,5-DCPに勝るこれら2つの不純物の除去に関して、合成給送混合物を使用して抽出選択性を試験した。代表的な合成混合物の組成を表3に示す。
【0126】
【表8】
【0127】
最初に分液漏斗抽出システムを使用して二量体不純物の除去の選択性を試験した。合成混合物のアリコート(10g)を、KOHの2,5-DCPに対する様々なモル比で様々な濃度のKOH水溶液と混合した。2つの不純物二量体を除去することの実現可能性に関して、KOHと2,5-DCPとのモル比に対する抽出選択性を試験した。さらに、様々な濃度のKOH水溶液を用いた選択性の試験も行った。2,5-DCP、メタ-およびオルト-CDPPの分画の結果を表4aに示す。
【0128】
【表9】
【0129】
水相へと抽出された2,5-DCPの水性回収百分率と、KOHの2,5-DCPに対するモル比との間には同じ相関が認められた。KOHの2,5-DCPに対するモル比が1.0:1以上であった場合、2,5-DCPは完全に水相中に分画された。2,5-DCPの分画はKOH水溶液の濃度による影響をあまり受けなかった。しかしながら、メタ-およびオルト-CDPPの除去はKOH水溶液の濃度に対する感受性が大きかった。表4bは、KOHの2,5-DCPに対するモル比を0.9:1としてKOH水溶液の濃度が2,5-DCPの水性回収ならびにメタ-およびオルト-CDPPの除去に及ぼす影響を示す。
【0130】
【表10】
【0131】
希釈されたKOH溶液は、2,5-DCPの水性回収を優秀なまま(すなわち約90%)としながらメタ-およびオルト-CDPPのどちらについてもより多く除去することを実現するのに役立つことが認められた。より多くの水を使用することは資本費および運転費を増大させることがあり、このため、さらなる試験ではKOH水溶液について11.25wt%の濃度を選択した。
【0132】
選択性についてのさらなる試験ではKARR塔BTUを使用した。表4cに列挙される対照としての給送混合物を抽出に使用した。KOH濃度は11.25wt%であり、KOHと2,5-DCPとのモル比は1:1から0.6:1まで変化させた。水相における2,5-DCP回収、およびオルト-CDPPの除去の結果を表5に示す。
【0133】
【表11】
【0134】
2,5-DCP回収は、分液漏斗を使用することによる回収と比較して、KOHと2,5-DCPとを同じ比率にしてKARR BTU抽出塔を使用することによって増加したことが認められた。例えば、KOHと2,5-DCPとのモル比0.9:1では2,5-DCP回収がそれぞれ約91%から約99%に向上し、KOHと2,5-DCPとのモル比0.8:1では2,5-DCP回収がそれぞれ約83%から約97%に向上した。オルト-CDPP除去は、KOHと2,5-DCPとのモル比0.9:1では減少したが、KOHと2,5-DCPとのモル比0.8:1ではそれは大幅に除去された。結果は、KARR塔BTUで11.25wt%のKOH溶液を使用する場合の最適な運転条件にKOHと2,5-DCPとのモル比が約0.8:1であることが含まれるということを示唆していた。
【0135】
実施例6:KOH抽出による2,5-ジクロロフェノールの精製(KARR塔BTU)
キシレン中の2,5-ジクロロフェノールの給送混合物を以下のとおりに調製した:a)1,4-ジクロロベンゼンをニトロ化に供して1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼンを得た;b)酢酸中で白金触媒の存在下、1,4-ジクロロ-2-ニトロベンゼンの還元によって2,5-ジクロロアニリンを得た;c)硫酸および酢酸を含む反応媒体中でニトロシル硫酸をジアゾ化剤としてWO2015/095284に記載の手順を用いて2,5-ジクロロフェノールを生成し、その後、加水分解および蒸留を行った;d)2,5-ジクロロフェノールを含む留出液をキシレンに抽出し、得られた抽出物を水で(3回)洗浄した;そしてe)上記のとおりに調製した2,5-ジクロロフェノール/キシレン混合物を2,5-ジクロロフェノール/キシレン混合物の再生材料(つまりカルボキシル化反応から再生されたもの)と合わせて給送混合物を得た。
【0136】
KARR塔BTUで用いるKOH装填量を算出するために、上記のとおりに調製した給送混合物の中の2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)、2,5-ジクロロ-4-ニトロフェノール(2,5-DCNP)および酢酸(AcOH)の含有量を分析した。2,5-ジクロロフェノールの精製は以下のとおりに行った:a)ある流速のKOH水溶液(0.4wt%)に対して向流で給送混合物をKARR塔BTUに給送し、KOHの2,5-DCNPとAcOHとの総量に対するモル比は2:1とした;b)2,5-ジクロロフェノールを含む有機相を収集する;c)収集した有機相を、ある流速のKOH水溶液(11.25wt%)に対して向流でKARR BTU抽出塔へ給送し、KOHと2,5-DCPとのモル比は0.8:1とした。結果を表6に示す。
【0137】
【表12】
【0138】
第1抽出(すなわち第1段階の精製)の後、2,5-DCPを含む有機抽出物から2,5-DCNPの90%超が好結果に除去された。第2抽出(すなわち、第2段階の精製)の後、2,5-DCPおよび/またはその塩は約83%が水相中に回収された。3-モノクロロフェノール(3-CP)および/またはその塩は部分的に約59%が、2,5-DCPおよび/またはその塩を含む水相から除去された。他の種、例えば1,4-ジクロロベンゼン(1,4-DCB)およびメタ-CDPPは、2,5-DCPおよび/またはその塩を含む水相から大幅に除去された。KARR塔BTUによる、KOHによって媒介される精製プロセスは、2段階抽出プロセスの間に不要なクロロフェノール種を除去することによって豊富な2,5-DCPを得る高い選択性を実証した。
【0139】
実施例7:KOH抽出による2,5-ジクロロフェノールの精製(SCHEIBEL塔)
A:COを含有するキシレン中の2,5-クロロフェノールの給送混合物(第1段階および第2段階の精製)
キシレン中の2,5-クロロフェノールの給送混合物を実施例4に記載されているように調製した。試験の前および間に給送混合物の一部(約70%)にCOガスを一晩注入した。COが注入された給送混合物と、未注入分の給送混合物とを給送ライン内でおよそ7:3の比で混合した。給送混合物の組成を表7に示す。
【0140】
【表13】
【0141】
2,5-DCNPを除去するための2,5-ジクロロフェノールの第1段階の精製は以下のとおりに行った:a)混合された給送混合物を、抽出のための塔へ送る前に40℃に加熱する;a)給送混合物をKOH水溶液(1wt%)に対して向流でSCHEIBEL抽出塔へ給送する。有機相での2,5-DCP回収および2,5-DCNP除去のための最良の条件を実現するためにパラメータ、例えば、KOH溶液の給送速度、KOH溶液濃度および段数を試験した。表8は各実験のパラメータならびに対応する有機相での2,5-DCP回収および2,5-DCNP除去の結果を列挙する。
【0142】
【表14】
【0143】
給送混合物の初期合計給送速度と有機および水相の両方に回収された材料(表8に示さず)とを比較すれば、全ての実験は優れた物質収支を実現した。実験7.1.6は、表8に列挙する運転条件が2,5-DCNPの大部分(例えば88.3%)の除去を可能とした一方で2,5-DCP損失を約0.5%未満に維持したことを示した。加えて、有機相での2,5-DCNP除去はKOHのAcOHと2,5-DCNPとCOとの合計に対するモル比に関して線形応答を呈し、モル比が増加するほど2,5-DCNPの除去が良好になった。
【0144】
第1段階の精製実験の1つによる有機相抽出物を第2段階の精製のための給送混合物として使用してメタ-およびオルト-CDPPを除去した。この給送混合物の組成を表9に示す。
【0145】
【表15】
【0146】
抽出のためのKOH濃度は11.25wt%であり、KOHと2,5-DCPとのモル比は約1:1から約0.6:1まで変化させた。水相における2,5-DCPの(すなわち2,5-DCPおよび/またはそのK塩としての)回収ならびにメタ-およびオルト-CDPPの両方の除去の結果を表10に示す。
【0147】
【表16】
【0148】
給送混合物の初期合計給送速度と有機および水相の両方に回収された材料(表10に示さず)とを比較すれば、上記実験は2,5-DCPの(すなわち2,5-DCPおよび/またはそのK塩としての)優れた物質収支を実現した。実験5.2.2は、表10に列挙する運転条件が二量体不純物の大部分の除去を可能とした(例えば、メタ-CDPPを73.3%除去し、オルト-CDPPを85.8%除去した)一方で、2,5-DCP損失を約2%未満に維持したことを示した。これらの実験結果に基づくと、第2段階の精製におけるKOHの2,5-DCPに対する最適モル比率は約1.01であった。
【0149】
B:COなしでのキシレン中の2,5-ジクロロフェノールの給送混合物(第2段階の精製)
キシレン中の2,5-ジクロロフェノールの給送混合物を新しく調製した。給送混合物の組成を表11に示す。
【0150】
【表17】
【0151】
抽出のためのKOH濃度は11.25wt%であり、KOHと2,5-DCPとのモル比は約1:1から約0.7:1まで変化させた。水相における2,5-DCPの(すなわち2,5-DCPおよび/またはそのK塩としての)回収ならびにメタ-およびオルト-CDPPの両方の除去の結果を表12に示す。
【0152】
【表18】
【0153】
同様に、給送混合物の初期合計給送速度と有機および水相の両方に回収された材料(表12に示さず)とを比較すれば、上記実験も2,5-DCPの(すなわち2,5-DCPおよび/またはそのK塩としての)優れた物質収支を実現した。実験7.3.4は、二量体不純物の最良の除去を実現した(例えば、メタ-CDPPを40.7%除去し、オルト-CDPPを82.7%除去した)一方で、2,5-DCP損失を約0.5%未満に維持した。これらの実験結果に基づくと、第2段階の精製におけるKOHの2,5-DCPに対する最適モル比率は約0.83であったが、これは先の実験(すなわち実験7.2.2)よりも約0.2低かった。第1段階の精製からの有機抽残液の中に残存するCOは、KOHの2,5-DCPに対する最適モル比をより高くする一因となり得、この場合、残存するCOを中和するために追加のKOHを必要とした。
【0154】
加えて、500RPMでの撹拌も評価したところ、これらの条件の下では初期の溢れをきたすことが分かった。
【0155】
実施例8:3,6-ジクロロサリチル酸を抽出によって単離するための一般手順(KARR塔BTU)
キシレン中のスラリー給送混合物(例えば、キシレン中に懸濁した固形物)の添加のためにKARR塔BTUのガラス製外皮を改造してノズルを塔の中心点に付け足した。
【0156】
予備試験のためにスラリー給送混合物を塔の中央に給送し、新しいキシレンを塔の底部に給送し、そして脱イオン(DI)水を塔の頂部に給送した。概してスラリー給送混合物は3,6-ジクロロサリチル酸、2,5-ジクロロフェノールおよび/またはそのK塩を含んでいた。抽出後、塔の頂部から出てくるキシレンに含まれて2,5-ジクロロフェノールが回収され、3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩(例えば固形物)はスラリーとして塔の底部の水の中に留まった。
【0157】
設備構成を図4に示す。設備構成にはいくつかの態様があった。DI水入口は塔の頂部の頂板のすぐ上に位置し、キシレン入口は塔の底部の底板のすぐ下に位置していた。塔内に入るキシレンおよびDI水の給送量を計量するためにFMIポンプを使用した。流速は周期的時間容積測定によって決定した。滴下漏斗からDI水およびキシレンをFMIポンプによって頂部/底部入口を介して向流でカラム内に給送した。スラリー給送混合物を分液漏斗に入れ、漏斗を介して、塔の中心点ノズルと漏斗とを連結した管(内径3/4インチ)に通して塔の中央へと給送した。各添加の前に分液漏斗を撹拌した。添加は、漏斗の底部にある弁を開けて少量のスラリーを塔に進入させることで行った。どの実験運転においても、重い水相は塔の底部にあるボール弁を介して水性受け器の中に排出した。軽い有機相は塔から溢れさせて有機受け器内に受けた。
【0158】
抽出実験は以下の手順で行った:a)塔を最初にDI水で満たして界面を塔の頂部に定め;b)塔が満杯になったときに両方のFMIポンプを作動させ、所望の流速に定めた。最初は塔撹拌速度を毎分100ストローク(SPM)に設定して相挙動を観察し;c)界面を上部解離用チャンバ内に定まらせ、その後、塔の底部での排出速度によって制御した(つまり、排出弁を設置することを要した);d)水相中へのキシレンの分散が許容可能なものとなるまで塔撹拌速度を増加させた;e)上に記載したようにスラリー給送混合物を断続的に塔へ給送した;f)所与の条件でおよそ30分経過した後に、分析のために軽い有機相および重い水相から試料採取を行った。
【0159】
キシレンおよび/または水の流入速度を変化させることによって種々の実験運転を行った。実験は全て周囲温度で実施した。
【0160】
実施例9:抽出による3,6-ジクロロサリチル酸の単離(KARR塔BTUでの試験-1)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはその(例えば固形物としての)K塩の抽出/単離の実現可能性のために、スラリー給送混合物を使用して実施例8を再度行った。スラリー給送混合物は以下によって前日に調製した:a)キシレン(1775g)と2,5-ジクロロフェノール(106g)と、3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩を含む固形物(379g)とを混合し;b)混合物をよく撹拌し;c)一晩静置する。スラリー給送混合物を再び撹拌し、その後、試料採取を行い、塔への添加のために分液漏斗に移した。初期水流量を40mL/分に定め、初期キシレン流量を20mL/分に定めた。塔撹拌速度を100SPMから225SPMにまで上げてキシレンの良好な分散体を得た。スラリー給送混合物を塔に添加した時点で撹拌を所望の速度に下げた。実験運転ごとに水およびキシレンの両方の流速を変えた。4つの実験運転の運転条件を表13-Aに示す。
【0161】
【表19】
【0162】
実験9.1ではスラリー給送混合物は塔に進入して2つの相を呈した。重い水相は固形小薄片を含むことが観察され、軽い有機相はエマルジョンの外観を有していた。撹拌区域において固形小薄片は大部分が割れて微細な固形物になっていたかまたは部分的に水相中に溶解していた一方、有機相ではエマルジョン様の液滴も壊れていた。3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩に富む固形物は低頻度で塔の底部に到達することが観察された。しかしながら、塔の頂部では、分散した相が塔の内側に顕著に凝集していた。キシレンの水相中への不適切な分散は、キシレン流速が大きすぎることが原因であると考えられた。
【0163】
実験9.2ではキシレン流速を10mL/分に下げた。キシレンの水相中への分散が改善することで、分散した相の塔の頂部における凝集が対処された。3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩に富む固形物はより頻繁に塔の底部に到達することが観察された。
【0164】
実験9.3では、キシレン流速をさらに5mL/分に下げた。キシレンの水相中への分散は許容可能なものであり続けた一方、より多くの固形物が塔の底部に蓄積することが観察された。運転の終盤近くでスラリー給送管にはスラリーと連続水相との界面に起こった詰まりの問題がいくらかあることが認められた。
【0165】
実験9.4では、キシレンおよび水の流速をともに30mL/分に定めた。撹拌速度を160SPMに下げて、底部解離チャンバ内に起こるエマルジョンの問題に対処した。スラリーを有する塔にキシレンがよりはるかに大きい流速で進入することによって、キシレンと水との界面は制御し難くなることが分かった。
【0166】
各運転の終盤に有機および水相の両方から2つの試料を分析のために採取した。表13-Bは、各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらの塩の抽出有効性を示す。
【0167】
【表20】
【0168】
KARR塔BTUシステムでの第1試験は、3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩を単離し2,5-ジクロロフェノールおよび/またはそのK塩を回収するために抽出プロセスを実施することの水力学的実現可能性を実証した。固形物が塔の底部に存在する場合に連続運転を行うことに問題はなかった。
【0169】
各運転から塔の頂部にある有機相は、3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩を実質的に含んでいなかった(例えば320ppm未満)。実験9.2は例外であるが、水相における3,5-DCSAの2,5-DCPに対する比は、キシレンの水に対する比が上昇するにつれて上昇した。
【0170】
実施例10:抽出による3,6-ジクロロサリチル酸の単離(KARR塔BTUでの試験-2)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩(例えば固形物)の抽出/単離の確認のために、スラリー給送混合物に関する実施例8を再度行った。第2試験は、キシレン共沸プロセス(すなわち水の除去)によってさらに処理される固形物を使用してスラリー給送混合物を調製する場合に必要となる何らかの調整を確認するおよび/または行うことであった。以下によってスラリー給送混合物を前日に調製した:a)キシレン(2300g)と、2,5-ジクロロフェノール(100g)と、3,6-ジクロロサリチル酸、2,5-ジクロロフェノール、および/またはそれらのK塩を含む固形物(610g)とを混合する;b)混合物をよく撹拌する;c)一晩静置する;d)混合物の濃さゆえに追加のキシレン(2300g)を添加する。スラリー給送混合物を再び撹拌し、その後、試料採取を行い、塔に添加した。添加は、スラリーを金属製スパチュラで掬ってそれを給送管内に入れることによって行った。
【0171】
初期水流量を40mL/分に定め、初期キシレン流量を20mL/分に定めた。塔撹拌速度を100SPMから160SPMにまで上げてキシレンの良好な分散体を得た。水流量を55mL/分に上げ、キシレン流量を5mL/分に下げた。分散体が安定した時点でスラリー給送混合物を塔へと進入させ始めた。実験運転ごとに水およびキシレンの両方の流速および撹拌速度を変えた。6つの実験運転の運転条件を表14-Aに示す。
【0172】
【表21】
【0173】
実験10.1では、水流量を55mL/分に定め、キシレン流量を5mL/分に定め、塔撹拌速度を160SPMに設定した。スラリー給送混合物はエマルジョン液滴として塔に進入した。塔内で固形物は、分散したキシレン相によって持ち上げられた。塔板が液滴を壊すにつれて固形物は有機または水相のどちらかの中に溶解した。
【0174】
実験10.2では、塔撹拌速度を180SPMに上げた一方、水およびキシレンの流速をそれぞれ55mL/分および5mL/分で一定に保った。撹拌速度を上げたことで塔の上側半分におけるスラリー給送混合物の分散が改善された。
【0175】
実験10.3では、水流速を50mL/分に下げ、キシレン流速を10mL/分に上げ、塔撹拌速度を180SPMで一定に保った。有機相は先の2つの運転と比較してより濁った外観を有していた。
【0176】
実験10.4では、水流速を40mL/分に下げ、キシレン流速を20mL/分に上げ、最初は塔撹拌速度を180SPMで一定に保った。塔の底部が溢れ始めたため、続いて撹拌を160SPMに下げ、さらに140SPMに下げた。
【0177】
実験10.5では、水およびキシレンの流速をどちらも30mL/分に定めた一方、塔撹拌速度は140SPMで一定に保った。
【0178】
実験10.6では、水流速を20mL/分に下げ、キシレン流速を40mL/分に上げ、塔撹拌速度を140SPMで一定に保った。スラリー給送混合物の大部分は塔内を上へと移動し、固形物は有機および水相の両方に溶解した。
【0179】
各運転の終盤に有機および水相の両方から2つの試料を分析のために採取した。表14-Bは各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらのK塩の抽出有効性を示す。
【0180】
【表22】
【0181】
KARR塔BTUシステムでの第2試験によって、3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩を単離し2,5-ジクロロフェノールおよび/またはそのK塩を回収するために抽出プロセスを実施することの水力学的実現可能性が保証された。連続運転を妨げる塔の底部での固形物の蓄積はなかった。
【0182】
各運転から塔の頂部にある有機相は、3,6-ジクロロサリチル酸および/またはそのK塩を実質的に含んでいなかった(例えば50ppm以下)。実験10.2~実験10.3(180SPMで撹拌)および実験10.4~10.6(140SPMで撹拌)に代表されるように、塔撹拌を一定に保った場合、水相における3,5-DCSAの2,5-DCPに対する比は、キシレンの水に対する比が上昇するにつれて上昇した。実験10.2および10.3に代表されるように、塔撹拌を一定(例えば180SPM)に保った場合、水相における3,5-DCSAの2,5-DCPに対する比は、キシレンの水に対する比が1:11から1:5に上昇するにつれて上昇した。同様の傾向は、撹拌が140SPMであった実験10.4~10.6(つまりキシレンの水に対する比が1:2、1:1~2:1)においても認められた。実験10.1および10.2に代表されるように、キシレンと水との比を一定(例えば1:11)に保った場合、水相における3,5-DCSAの2,5-DCPに対する比は塔撹拌が160から180に上昇するにつれて上昇した。
【0183】
実施例11:3,6-ジクロロサリチル酸を抽出によって単離するための一般手順-1(KARR塔)
パイロットプラント試験のために、実施例2に記載のKARR塔を使用した。可変の平板間隔を塔に用いた。塔の底部からの平板積層順序は、標準的な2インチ間隔で2.5フィートの高さ、3インチ間隔で1フィートの高さ、4インチ間隔で1フィートの高さ、3インチ間隔で1フィートの高さ、および標準的な2インチ間隔で4.5フィートの高さとするものであった。ガラス製塔の多岐管システムは、スラリー給送入口、水入口およびキシレン入口の場所を選択するために利用できる5個の入口を有していた。5個の入口は、塔の底部から順に、底部撹拌段の下の底部入口(0フィート入口)、2フィート、4フィートおよび8フィート入口、ならびに頂部撹拌段の上の頂部入口(10フィート入口)であった。
【0184】
有機スラリー給送混合物と水性スラリー給送混合物との2つの別個の流れを適宜作った。これらの2つの流れを別個に圧送および計量し、そして合わせた後、塔に進入させスラリー給送混合物を形成させた。有機および水性スラリー給送混合物は試験の前日にステンレス鋼製ドラム内に調製した。これらの2つの給送混合物の組成をそれぞれ表15-Aおよび15-Bに列挙する。
【0185】
【表23】
【0186】
【表24】
【0187】
設備構成を図5に示す。設備構成にはいくつかの態様があった。水は5ガロンのガラス製カーボイから直接給送した。キシレンはそのドラムから直接給送した。均質な給送供給物を確保するために、運転中は水性スラリー給送混合物を連続的にドラムミキサーで混合した。全ての試験実験は、撹拌区域でおよそ70℃となることを目標として温度を上げて実施した。有機および水性スラリー給送混合物は、ドラムをドラム炉内に一晩置くことによって加熱した。運転中、電気バンドヒーターを水性給送ドラム上に置いて温度を維持した。熱交換器を使用してスラリー給送混合物、キシレンおよび水を予熱してから塔内に進入させた。電気加熱テープを塔の周りに巻き付けて撹拌区域内での目標温度を維持した。対応する温度、例えばT1~T8を記録した。質量流量計を通って塔内に入るスラリー給送混合物、キシレンおよび水を計量するためにFMIポンプを使用した。塔の底部から4フィートの入口をスラリー給送混合物の塔内への進入のために選択し、頂部撹拌段の上の頂部入口(10フィート入口)を水入口として選択し、底部撹拌段の下の底部入口(0フィート入口)をキシレン入口として選択した。重い水相を塔の底部から排出するためおよび上部解離チャンバ内の界面を手動で制御するためにFMIポンプを使用した。軽い有機相は塔から溢れさせて受け器内に受けた。水性および有機流出液の流速は周期的時間容積測定によって決定した。
【0188】
抽出実験は以下の手順で行った:a)塔を最初にDI水で満たして界面を塔の頂部に定めた;b)塔が満杯になったときに50SPMの初期撹拌でキシレン流を指定速度で開始して相挙動を観察した;c)界面を上部解離用チャンバ内に定まらせ、その後、塔の底部での排出速度によって制御した(つまり、排出弁を設置することを要した);d)水性および有機給送ポンプを作動させ、所望の流速に定めた;e)1回の塔ターンオーバー(水性および有機給送速度の合計で塔容積を割ったもの)の後、所望の試験速度に定まるまで撹拌を増した;f)第1運転では合計5回の塔ターンオーバーを実施し、その後、有機および水性流出液相の試料採取を行った。試料採取の前に、有機および水性流出液速度を手動で測定し、記録した;g)次の運転では、各実験のパラメータを変更した後に、3回のターンオーバーを実施し、その後、試料採取を行った。
【0189】
水性および有機スラリー、水およびキシレンの流入速度ならびに塔撹拌速度を変更することによって様々な実験運転を行った。
【0190】
実施例12:3,6-ジクロロサリチル酸の抽出による単離(KARR塔での第1試験/第1日目)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはその(例えば固形物としての)K塩の抽出/単離の実現可能性のために、スラリー給送混合物を使用して実施例11をKARR塔で再度行った。水相を使用して連続的に800gph/ft(流速/塔直径面積)のスケールアップ容量で塔を始動させ、処理量の85体積%は有機および水性スラリー給送混合物の合計であった。実施例11で調製した水性および有機スラリー給送混合物を2.32対1の重量比で塔へ給送した。新しい水およびキシレンを1:2の体積比で塔へ給送した。結果として生じた給送速度は、水性スラリーが156g/分、有機スラリーが67g/分、水が14g/分、そしてキシレンが24g/分であった。
【0191】
水、水性スラリー、キシレン、有機スラリーの給送速度、または撹拌速度は実験運転ごとに変えた。4つの実験運転の運転条件を表16-Aに示す。
【0192】
【表25】
【0193】
実験12.1では塔撹拌を120SPMに設定した。5回の塔ターンオーバー
の後、有機および水性流出液流の試料採取を行った。これは5回のターンオーバーが本当に定常状態を表すか否かを判定するためであった、というのも、流れの大部分は塔の中央部に進入するスラリー給送混合物に由来し、ごく少量の流れのみが、塔の頂部または底部に進入する水またはキシレンに由来していたからである。塔の運転をさらにもう3回のターンオーバーにわたって継続し、流出液流の試料採取を再度行った。
【0194】
実験12.2では塔撹拌を140SPMに上げた。3回のターンオーバーの後、流出液流の試料採取を行った。
【0195】
撹拌を増しても、塔が完全に充填されることはなかった。実験12.3ではスケールアップ容量を1000gph/ftに増やし、対応して上昇した給送混合物、水およびキシレンの流速を表16-Aに列挙した。撹拌は140SPMのままであった。これらの速度は、平板間隔が3インチから2インチの間隔へと移り変わる上部遷移領域において分散相充填率を上昇させた。3回のターンオーバーの後、流出液流の試料採取を行った。
【0196】
実験12.4では、塔の頂部への新しい給送水を2倍の34g/分にした一方、他の全ての流量は変更せず維持した。3回のターンオーバーの後、流出液流の試料採取を行った。
【0197】
表16-Bは、各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらのK塩の抽出有効性を示す。他の不純物、例えば、4-クロロサリチル酸(4-CSA)、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(トリクロサン)、および3-クロロフェノール(3-CP)についても有機および水性流出液流の両方において測定した。
【0198】
【表26】
【0199】
総合的にみて、第1日目の試験運転の全てから得られた結果に大きな差異はなかった。本試験は、直径1インチのKARR塔において連続処理によって抽出を実施することの実現可能性を実証した。水性流出液における3,6-DCSAおよび/またはそのK塩の分画は99.5%より高く成し遂げられ、水性流出液における2,5-DCPおよび/またはそのK塩の分画は10%以下に低減された。
【0200】
実施例13:抽出による3,6-ジクロロサリチル酸の単離(KARR塔での第1試験/第2日目)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはその(例えば固形物としての)K塩の抽出/単離の実現可能性のために、スラリー給送混合物を使用して実施例11をKARR塔で再度行った。水相を使用して連続的に1000gph/ft(流速/塔直径面積)のスケールアップ容量で塔を始動させ、処理量の85体積%は有機および水性スラリー給送混合物の合計であった。実施例11で調製した水性および有機スラリー給送混合物を2.32対1の重量比で塔へ給送した。新しい水およびキシレンを1:2の体積比で塔へ給送した。結果として生じた給送速度は、水性スラリーが195g/分、有機スラリーが84g/分、水が17g/分、そしてキシレンが30g/分であった。塔撹拌は140SPMに設定した。
【0201】
水、水性スラリー、キシレン、有機スラリーの給送速度、または撹拌速度は実験運転ごとに変えた。実験13.4では、塔の頂部に進入する給送水にHClを添加した。4つの実験運転の運転条件を表17-Aに示す。
【0202】
【表27】
【0203】
実験13.1では、運転条件は実験12.3でのそれと同じであった。
【0204】
実験13.2では、スケールアップ容量を1200gph/ftに増やし、対応して上昇した給送混合物、水およびキシレンの流速を表17-Aに列挙した。撹拌は140SPMのままであった。
【0205】
実験13.3では、塔撹拌を180SPMに上げた一方、その他の条件は同一に維持した。
【0206】
実験13.4では、37%のHClを水と混合してHCl含有量が0.76%である酸性給送水を生成した。スケールアップ容量は1000gph/ftに下げ戻した。目的は、5回のターンオーバーの後に、そして同条件でさらなる3回のターンオーバーの後にも、塔の試料採取を行うことであった。酸添加は、界面制御に不安定性を生じさせるいくらかのガス形成を塔内で招き、このため、塔を安定させるために時間を余分に使った。最初の5回のターンオーバーよりも長い運転時間で流出液流の試料採取を行い、さらなる3回のターンオーバーの後にも試料採取を行った。水性流出液のpHは8.9と測定された。
【0207】
酸添加を伴う運転の間、塔は先の運転とは非常に異なって見えた。酸を伴わない先の運転の間には、塔は頂部に少し黄みがかった色のような薄い色を有していた。黄色はスラリー給送点の周辺でより目立っており、徐々に塔の底部分ではより暗くなっていた。水性流出液の色は琥珀色であった。酸添加を伴う運転の間には、塔の頂部3フィート分では薄い色のままであったが、その次の2フィート分では色が徐々に暗紫色になり、次いでそれはスラリー入口のすぐ上で暗黄色に変わった。
【0208】
各運転の終盤に流出液流の試料採取を行った。表17-Bは、各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらのK塩の抽出有効性を示す。他の不純物、例えば、4-クロロサリチル酸(4-CSA)、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(トリクロサン)、および3-クロロフェノール(3-CP)についても有機および水性流出液流の両方において測定した。
【0209】
【表28】
【0210】
試験によって、直径1インチのKARR塔において連続処理によって抽出を実施することの実現可能性が裏付けられた。酸給送物を伴わない場合、水性流出液における3,6-DCSAおよび/またはそのK塩の分画は99.0%より高く成し遂げられ、水性流出液における2,5-DCPおよび/またはそのK塩の分画は10%未満に低減された。塔の頂部から進入する給送水として水中0.76%のHClを使用することによって、3,6-DCSAのおよそ4~5%が有機流出液中に分画された。
【0211】
実施例14:抽出による3,6-ジクロロサリチル酸の単離(KARR塔での第1試験/第3日目)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはその(例えば固形物としての)K塩の抽出/単離の実現可能性のために、スラリー給送混合物を使用して実施例11を、酸添加のための場所が改変されたKARR塔で再度行った。酸添加は、塔の底部から高さ4フィートのところにあるスラリー給送場所に直接対向する場所に移した。その結果、T6が除去されて酸給送場所が提供された。残存する入口は以下と同じままであった:塔の底部から4フィートの入口をスラリー給送混合物の塔内への進入のために選択し、頂部撹拌段の上の頂部入口(10フィート入口)を水入口として選択し、底部撹拌段の下の底部入口(0フィート入口)をキシレン入口として選択した。
【0212】
水相を使用して連続的に1000gph/ft(流速/塔直径面積)のスケールアップ容量で塔を始動させ、処理量の85体積%は有機および水性スラリー給送混合物の合計であった。実施例11で調製した水性および有機スラリー給送混合物を2.32対1の重量比で塔へ給送した。新しい水およびキシレンを1:2の体積比で塔へ給送した。結果として生じる給送速度は、水性スラリーが195g/分、有機スラリーが84g/分、水が17g/分、そしてキシレンが30g/分であった。塔撹拌は140SPMに設定した。酸性水給送を開始する前に塔を2回のターンオーバーにわたって運転した。
【0213】
酸性給送水のHCl濃度、酸性水、水、水性スラリー、キシレン、有機スラリーの給送速度、水性スラリーと有機スラリーとの比、または撹拌速度は実験運転ごとに変えた。T6は除去したのでT7での温度を列挙した。4つの実験運転の運転条件を表18-Aに示す。
【0214】
【表29】
【0215】
実験14.1では、0.76%のHClを含有する酸性給送水を塔の4フィート入口に17g/分で給送した。酸給送を開始した後に塔を5回のターンオーバーにわたって運転し、その後、試料採取を行った。水性流出液のpHは8.7であった。
【0216】
実験14.2では酸性給送水のHCl濃度を1.52%に上げ、表18-Aに列挙されるように、全ての給送速度は変更せず維持した。撹拌は140SPMのままであった。水性流出液のpHは8.5であった。
【0217】
実験14.3では水性スラリーと有機スラリーとの重量比を1.16対1に下げた。対応するHCl水溶液、給送混合物、水およびキシレンの流速を表18-Aに列挙する。撹拌は140SPMのままであった。水性流出液のpHは8.6であった。
【0218】
実験14.4では、スケールアップ容量を1200gph/ft2に増やした一方、水性スラリーと有機スラリーとの比(重量比で1.16対1)は同一に保った。対応するHCl水溶液、給送混合物、水およびキシレンの流速を表18-Aに列挙する。撹拌は120SPMに減らした。水性流出液のpHは8.6であった。
【0219】
酸の添加を伴うこの試験の間、塔内の界面に屑層が形成され、先の試験よりもはるかに大きく成長した。その原因は酸添加による塩形成であり得ることが示唆された。
【0220】
各運転の終盤に流出液流の試料採取を行った。表18-Bは、各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらのK塩の抽出有効性を示す。他の不純物、例えば、4-クロロサリチル酸(4-CSA)、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(トリクロサン)、および3-クロロフェノール(3-CP)についても有機および水性流出液流の両方において測定した。
【0221】
【表30】
【0222】
本試験はまたも、直径1インチのKARR塔において追加の酸性給送水による連続処理によって抽出を実施することの実現可能性を実証した。水中0.76%のHClが、塔の底部から4フィートの高さのスラリー給送場所に直接対向する場所から進入している場合、水性流出液における3,6-DCSAおよび/またはそのK塩の分画は99.5%より高く成し遂げられ、水性流出液における2,5-DCPおよび/またはそのK塩の分画は8%以下に低減された。
【0223】
実施例15:抽出による3,6-ジクロロサリチル酸の単離(KARR塔での第1試験/第4日目)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはその(例えば固形物としての)K塩の抽出/単離の実現可能性のために、スラリー給送混合物を使用して実施例11を、実施例14に記載の酸添加のための場所が改変されたKARR塔で再度行った。この試験は、塔へ給送される酸の様々な量の影響を決定することであった。
【0224】
水相を使用して連続的に1000gph/ft(流速/塔直径面積)のスケールアップ容量で塔を始動させ、処理量の85体積%は有機および水性スラリー給送混合物の合計であった。実施例11で調製した水性および有機スラリー給送混合物を2.32対1の重量比で塔へ給送した。新しい水およびキシレンを1:2の体積比で塔へ給送した。結果として生じる給送速度は、水性スラリーが195g/分、有機スラリーが84g/分、水が17g/分、そしてキシレンが30g/分であった。塔撹拌は140SPMに設定した。酸性水給送を開始する前に塔を2回のターンオーバーにわたって運転した。酸性水中のHCl含有量は4.57%で一定に維持した。
【0225】
酸性給送水のHCl濃度、酸性水、水、水性スラリー、キシレン、有機スラリーの給送速度、水性スラリーと有機スラリーとの比、または撹拌速度は実験運転ごとに変えた。T6は除去したのでT7での温度を列挙した。4つの実験運転の運転条件を表19-Aに示す。
【0226】
【表31】
【0227】
実験15.1では、4.57%のHClを含有する酸性給送水を塔の4フィート入口に17g/分で給送した。酸給送の開始後に塔を5回のターンオーバーにわたって運転し、その後、試料採取を行った。水性流出液のpHは8.1であった。分散相の混合は先の運転(例えば、実施例12、13および14)とは異なっていることが認められた。スラリー給送入口の上の分散相は液滴径がよりはるかに大きく、分散がより不十分であり;スラリー給送入口の下の分散相は液滴がより細かく、非常に良好に混合されていた。
【0228】
実験15.2では、酸性水給送速度を34g/分に上げ、その他の全てのパラメータは、表19-Aに列挙するように、変更せず維持した。3回のターンオーバーの後、水性流出液のpHは4.1であった。試料採取後、塔をさらに3回のターンオーバーにわたって運転させ、水性流出液のpHは4.0であった。
【0229】
実験15.3では、酸性水給送速度を26g/分に下げ、その他の全てのパラメータは、表19-Aに列挙するように、変更せず維持した。水性流出液のpHは7.7であった。
【0230】
実験15.4では、酸性水給送速度をさらに11g/分に下げ、その他の全てのパラメータは、表19-Aに列挙するように、変更せず維持した。水性流出液のpHは8.4であった。
【0231】
より多くの酸の添加を伴うこの試験の間、塔内の界面の屑層は、先の試験(実施例14)よりも少ないことが認められた。
【0232】
各運転の終盤に流出液流の試料採取を行った。表19-Bは、各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらのK塩の抽出有効性を示す。他の不純物、例えば、4-クロロサリチル酸(4-CSA)、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(トリクロサン)、および3-クロロフェノール(3-CP)についても有機および水性流出液流の両方において測定した。
【0233】
【表32】
【0234】
本試験は、酸添加が多ければ多いほど水性流出液のpHは低くなり、水性流出液における3,6-DCSAおよび/またはそのK塩の分画が少なくなり、水性流出液における2,5-DCPおよび/またはそのK塩の損失が少なくなる、ということを実証した。水中の含有量がより高いHClが酸性給送水として塔に進入していた場合、有機流出液中には顕著な量の3,6-DCSAおよび/またはそのK塩が存在している。
【0235】
実施例16:3,6-ジクロロサリチル酸を抽出によって単離する一般手順-2(KARR塔)
パイロットプラント試験のために、実施例2に記載のKARR塔を使用した。可変の平板間隔を塔に用いた。中央に6インチの間隔を配した塔の中心点にスラリー入口を配置した。スラリー給送入口の下の平板積層順序は、2枚の平板を3インチ間隔とし、残りを標準的な2インチ間隔とするものであった。スラリー給送入口の上の平板積層順序は、2枚の平板を4インチ間隔とし、2枚の平板を3インチ間隔とし、残りを標準的な2インチ間隔とするものであった。
【0236】
スラリー給送混合物は試験の前日にステンレス鋼製反応容器内に調製した。代表的な給送混合物の組成を表20に列挙する。
【0237】
【表33】
【0238】
設備構成を図6に示す。設備構成にはいくつかの態様があった。スラリー混合給送物は中心点を通って塔に進入し、水は頂部入口(10フィート入口)から進入し、キシレンは底部入口(0フィート入口)から進入した。全ての試験実験は、撹拌区域でおよそ75℃となることを目標として温度を上げて実施した。スラリー給送混合物は、当該混合物を調製した反応容器を囲むホットオイルジャケットによって加熱した。熱交換器を使用してキシレンおよび水を予熱してから塔内に進入させた。電気加熱テープを塔の周りに巻き付けて撹拌区域内での目標温度を維持し、塔のいくつかの区画は遮熱した。対応する温度、例えばT1~T10を記録した。質量流量計を通って塔内に入るキシレンおよび水を計量するためにFMIポンプを使用した。スラリー給送物はギアポンプかFMIポンプかのどちらかによって塔へ給送し、流速は計量しなかった。重い水相を塔の底部から排出するためおよび上部解離チャンバ内の界面を手動で制御するためにFMIポンプを使用した。軽い有機相は塔から溢れさせて受け器内に受けた。水性および有機流出液の流速は周期的時間容積測定によって決定した。
【0239】
抽出実験は以下の手順で行った:a)塔を最初にDI水で満たして界面を塔の頂部に定めた;b)塔が満杯になったときに60SPMの初期撹拌でキシレン流を指定速度で開始して相挙動を観察した;c)界面を上部解離用チャンバ内に定まらせ、その後、塔の底部での排出速度によって制御した(つまり、排出弁を設置することを要した);d)スラリー給送ポンプを作動させ、所望の流速に定めた;e)スラリー給送速度を決定するために計時流出量測定を行った;f)測定したスラリー給送速度に基づいてキシレンおよび水の給送流速を調節した;g)1回の塔ターンオーバー(水性および有機給送速度の合計で塔容積を割ったもの)の後、所望の試験速度に定まるまで撹拌を増した;h)第1運転では合計5回の塔ターンオーバーを実施し、その後、有機および水性流出液相の試料採取を行った。試料採取の前に、有機および水性流出液速度を手動で測定し、記録した;i)次の運転では、各実験のパラメータを変更した後に、合計3回のターンオーバーを実施し、その後、試料採取を行った。
【0240】
スラリー、水およびキシレンの流入速度ならびに塔撹拌速度を変更することによって様々な実験運転を行った。
【0241】
実施例17:3,6-ジクロロサリチル酸の抽出による単離(KARR塔での第2試験/第1日目)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはその(例えば固形物としての)K塩の抽出/単離の実現可能性のために、スラリー給送混合物を使用して実施例16をKARR塔で再度行った。この試験は、最小限の水含有量でスラリー給送混合物を取り扱うためのパラメータを決定することであった。
【0242】
実施例16で調製した反応用器内のスラリー給送混合物を、80℃の温度で連続的に撹拌し、ギアポンプで連続的に反応容器へと再循環しながら給送した。ギアポンプを可変速度制御器で制御して給送速度を定めた。スラリーの給送速度を最初に測定した。塔の上側半分の初期スケールアップ容量(流速/塔直径面積)を740gph/ftにして塔を始動させた。対応する給送速度は、スラリーが(つまり測定されたものが)135g/分、水が160g/分、キシレンが14.5g/分であった。水性および有機流出液の流出速度を測定したところ、スラリー給送速度は測定値よりもはるかに小さいと算出され、このため、スラリー給送速度は水性および有機流出液の測定流出速度に基づく算出結果によって報告した。塔撹拌は最初は100SPMに設定した。
【0243】
スラリー、水、キシレンの給送速度、上側半分の塔容量、または撹拌速度を実験運転ごとに変えた。T4(塔の中間)での温度を列挙した。5つの実験運転の運転条件を表21-Aに示す。
【0244】
【表34】
【0245】
実験17.1では、スラリー給送速度を上げ、最初に測定した。次の水およびキシレンの流速をそれに応じて調節した。しかしながら、算出されたスラリー混合物給送速度はたったの35g/分であり、結果として水のスラリー給送物に対する比率およびキシレンのスラリー給送物に対する比率がよりはるかに高くなった。
【0246】
以下の実験では、各運転を開始する前に、スラリー給送ポンプを調節し、水性および有機流出液の流出速度を用いてスラリー給送速度を決定した。算出されたスラリー給送速度を用いて水およびキシレン給送速度を正しい比率に定めた。
【0247】
実験17.2では、スラリー給送速度は運転開始時に115g/分と測定された。次の水およびキシレン給送速度の流速をそれに応じて調節した。しかしながら、運転中に流出物によって算出されたスラリー給送速度は101g/分であった。結果として水およびキシレンの給送速度は、このスラリー給送速度で意図していたよりわずかに高くなったが、実験17.1での場合よりははるかに近くなった。塔の上側半分におけるこの運転のスケールアップ容量は653gph/ftとなり、意図していた初期条件より低かった。
【0248】
実験17.3では、スラリー混合物、水およびキシレンの全ての給送速度を変えないままとした。塔撹拌は120SPMに増やした。運転中に流出物によって算出されたスラリー給送速度は87g/分であり、実験17.2での値よりも低かった。
【0249】
実験17.4では、全ての固形物が流出物中で溶解することを確保するために、スラリー給送速度を上げる前に水の流速を約250g/分に上げた。その後、初期流出物測定に基づいてスラリー給送速度を200g/分に上げた。これら2つの速度に基づいてキシレン給送速度を21g/分に定めた。塔撹拌は最初は100SPMに設定した。溶解していない固形物がいくらかあったため、撹拌を80SPMに下げ、水の流速を354g/分に上げた。運転中に流出物によって算出されたスラリー給送速度は174g/分であった。水をかなり余分に使用しているため、塔の頂部におけるスケールアップ容量は1404gph/ftと算出された。
【0250】
実験17.5では、水のスラリー給送物に対する比率およびキシレンのスラリー給送物に対する比率を意図されたものに近づくように、水およびキシレンの流速を下げた。運転中に流出物によって算出されたスラリー給送速度は193g/分であった。対応する塔の頂部におけるスケールアップ容量は1053gph/ftと算出された。
【0251】
各運転の終盤に流出液流の試料採取および分析を行った。表21-Bは、各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらのK塩の抽出有効性を示す。
【0252】
【表35】
【0253】
本試験の全体を通してスラリー給送速度は一貫性がなく制御し難かった。結果としてそれは、水およびキシレンとスラリー給送物との所望の比を維持することを難しくした。しかしながら、水性流出液における3,6-DCSAおよび/またはそのK塩の分画はなおも99.9%より高く成し遂げられた。有機流出液中の3,6-DCSAおよび/またはそのK塩は10ppm未満であった。
【0254】
これら5つの実験の条件の下では、スラリー中の固形物がカラム内に進入してすぐに沈み込むことが認められた。固形物が撹拌によって破壊されて溶解するにつれてキシレンが塔内の上方に向かって遊離した。
【0255】
実施例18:抽出による3,6-ジクロロサリチル酸の単離(KARR塔での第2試験/第2日目)
3,6-ジクロロサリチル酸および/またはその(例えば固形物としての)K塩の抽出/単離の実現可能性のために、スラリー給送混合物を使用して実施例16をKARR塔で再度行った。この試験は、最小限の水含有量でスラリー給送混合物を取り扱うためのパラメータを決定することであった。
【0256】
反応用器内のスラリー給送混合物を塔へ送るために先に(実施例17で)使用したギアポンプの排出のところに追加の(較正ポンプとしての)FMIポンプを設置した。ギアポンプは、継続的にFMIポンプからのスラリー給送物を反応容器へと再循環させるように据え付けた。170g/分の初期算出スラリー給送速度で塔を始動させ、それを使用して水およびキシレン給送速度を正しい比率に定めた。塔撹拌は最初は100SPMに設定した。
【0257】
スラリー、水、キシレンの給送速度、上側半分の塔容量、または撹拌速度を実験運転ごとに変えた。T4(塔の中間)での温度を列挙した。5つの実験運転の運転条件を表22-Aに示す。
【0258】
【表36】
【0259】
実験18.1では、運転中に算出されたスラリー給送速度は158g/分であった。
【0260】
実験18.2では、算出されたスラリー給送速度は230g/分に上がり、次の水およびキシレン給送速度の流速をそれに応じて調節した。塔はすぐに、相が逆転した状態でスラリー入口より上で溢れ始めたため、塔撹拌を80SPMに減らした。運転中に算出されたスラリー給送速度は235g/分であった。
【0261】
実験18.3では、算出されたスラリー給送速度は197g/分に下がり、次の水およびキシレン給送速度の流速をそれに応じて調節した。塔撹拌は100SPMに戻した。
【0262】
実験18.4では、スラリー給送入口を塔内のさらに1フィート高いところに移した。結果として、スラリー給送入口は今度は平板間隔4インチの区画内にあり、給送物の下にはより広い間隔が空いている。全ての流速を実験18.3でのそれとほぼ同一に維持し、塔撹拌を100SPMに保った。給送物の下により広い間隔が空いていることにより、固形物は、溶解する前に少し異なる実在を塔内でさらにわずかに下へと移動させたようであった。給送点より上の塔では差異は認められなかった。
【0263】
各運転の終盤に流出液流の試料採取および分析を行った。表22-Bは、各運転における2,5-ジクロロフェノール、3,6-ジクロロサリチル酸、および/またはそれらのK塩の抽出有効性を示す。
【0264】
【表37】
【0265】
スラリー給送配置を変更したことによって、スラリー給送速度は一貫して制御された。したがって、水とスラリー給送物との比、およびキシレンとスラリー給送物との比を、所望の比に大いに近くなるよう維持することができた。水性流出液における3,6-DCSAおよび/またはそのK塩の分画は99.9%より多く成し遂げられ、水性流出液における2,5-DCPおよび/またはそのK塩の分画は25%以下に低減された。有機流出液中に3,6-DCSAおよび/またはそのK塩はほとんど検出できなかった。
【0266】
本試験は、KARR塔での連続処理による抽出を実施するための実現可能性を明瞭に実証した。十分な量の水を使用し温度を75℃より高く維持する限り、固形物は塔の底部へ移動する前に水相中に十分に溶解することができることが認められた。3,6-DCSAおよび/またはそのK塩の99.5%超の回収が実現可能であった。
【0267】
実施例19:2,5-ジクロロフェノール塩給送混合物の脱水
以下は、図7に示される2,5-DCP塩含有給送混合物の脱水のための方法である。給送混合物は水、キシレン、および2,5-DCPのカリウム塩を含有する。混合物を頂部付近の段にて塔に給送する。溶液を加熱して沸騰させ、塔の頂部から出る蒸気相を生成し、凝縮器へ送る。凝縮液が2つの液体層:水に富む重い方の層とキシレンに富む軽い方の層とを形成するデカンターに、凝縮器からの凝縮液を収集する。キシレンに富む層を回収し、給送混合物の給送場所と塔の頂部との間の地点にて塔に戻す。キシレンおよび2,5-DCPカリウムに富む塔の底部留分を回収する。
【0268】
実施例20:2,5-ジクロロフェノール塩給送混合物の脱水
図10に示されるような蒸留システムを設置して2,5-DCPカリウム塩の水溶液を脱水して2,5-DCPのカリウム塩のキシレン溶液を生成した。図10に示すように、蒸留システムは、凝縮器、デカンター、10枚より多い有孔トレイを含有する蒸留塔、および外側加熱マントルを有する蒸留釜を備えていた。蒸留を開始するために500グラムのキシレンを蒸留釜に装填し、加熱して沸騰させた。キシレン蒸気は有孔トレイを通り抜けて蒸留塔内を上昇し、凝縮器内で液化され、環流によってデカンターから蒸留塔へと戻された。システムが定常状態に達した後、2,5-DCPのカリウム塩の水溶液を1mL/分の流速で蒸留塔内に圧送した。水をデカンターに収集し、定期的に除去した。水中の2,5-DCPのカリウム塩の給送を2時間後に停止した。蒸留釜内の溶液を分析し、およそ200ppmの水と、キシレン中およそ19重量%の2,5-DCPのカリウム塩とを含有することが見出された。
【0269】
実施例21:2,5-ジクロロフェノール塩給送混合物の脱水
実施例20に記載の蒸留システムを使用して別の2,5-DCPカリウム塩の水溶液を脱水した。この追加の実験では水中の2,5-DCP塩のカリウム塩の給送を5時間後に停止したこと以外は実施例20に記載の全ての条件に従った。
【0270】
蒸留釜内の溶液を分析し、およそ350ppmの水と、キシレン中およそ49重量%の2,5-DCPのカリウム塩とを含有することが見出された。
【0271】
実施形態
さらなる例示のために、本発明の追加の非限定的実施形態を以下に示す。
【0272】
実施形態Aは、クロロフェノール塩給送混合物を脱水する方法であって、
クロロフェノール塩と、水と、有機溶媒とを含む給送混合物を提供すること;
前記給送混合物を蒸留区域内で蒸留し、それによって、水と前記有機溶媒の一部とを含む塔頂部留分、および前記クロロフェノール塩と前記有機溶媒の一部とを含む塔底部留分を形成することであって、前記塔底部留分が前記塔頂部留分に比べてクロロフェノール塩に富む、前記形成すること;
前記塔頂部留分を凝縮させて、回収有機溶媒と水とを含む再生流を形成すること;
前記再生流から水を除去すること;ならびに
回収有機溶媒を含む前記再生流を前記蒸留区域へ給送すること
を含む、前記方法である。
【0273】
実施形態A1は、前記蒸留区域が、前記給送混合物が給送される1つ以上の中間段を含む塔を含み、前記蒸留区域がさらに、1つ以上の精留段を1つ以上の中間段の上に含む精留区域と、1つ以上のストリッピング段を前記1つ以上の中間段の下に含むストリッピング区域とを含む、実施形態Aの方法である。
【0274】
実施形態A2は、前記有機溶媒を含む再生流が精留区域へ給送される、実施形態A1の方法である。
【0275】
実施形態A3は、前記再生流が前記精留区域へ給送されるときに前記塔頂部留分が前記蒸留区域から除去される、実施形態A~A2のいずれかの方法である。
【0276】
実施形態A4は、前記クロロフェノール塩が2,5-DCPのカリウム塩、2,5-DCPのナトリウム塩またはそれらの組み合わせを含む、実施形態A~A3のいずれかの方法である。
【0277】
実施形態A5は、前記有機溶媒が100℃より高い標準沸点を有する、実施形態A~A4のいずれかの方法である。
【0278】
実施形態A6は、前記有機溶媒がキシレン、トルエン、ベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A~A5のいずれかの方法である。
【0279】
実施形態A7は、前記有機溶媒がキシレンを含む、実施形態A6の方法である。
【0280】
実施形態A8は、前記給送混合物における有機溶媒とクロロフェノール塩との質量比が約0.2:1~約3:1、約0.5:1~約2.5:1、または約1:1~約2:1である、実施形態A~A7のいずれかの方法である。
【0281】
実施形態A9は、前記給送混合物における水とクロロフェノール塩との質量比が約0.2:1~約2:1、約0.2:1~約1:1、または約0.5:1である、実施形態A~A8のいずれかの方法である。
【0282】
実施形態A10は、前記クロロフェノール塩と水とを含む中間給送混合物が前記有機溶媒と合わせられて給送混合物を形成する、実施形態A~A9のいずれかの方法である。
【0283】
実施形態A11は、前記有機溶媒が、前記中間給送混合物と合わせられる時に前記蒸留区域内に存在する、実施形態A10の方法である。
【0284】
実施形態A12は、前記蒸留区域内で前記有機溶媒の温度が少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃または少なくとも約90℃である、実施形態A11の方法である。
【0285】
実施形態A13は、前記中間給送混合物から水が除去された後に前記有機溶媒と合わせられる、実施形態A10~A12のいずれかの方法である。
【0286】
実施形態A14は、フラッシュエバポレーションによって前記中間給送物から水が除去される、実施形態A13の方法である。
【0287】
実施形態A15は、前記有機溶媒と合わせられる前記中間給送混合物の温度が少なくとも約30℃、少なくとも約60℃、少なくとも約90℃、少なくとも約120℃または少なくとも約150℃である、実施形態A10~A14のいずれかの方法である。
【0288】
実施形態A16は、前記有機溶媒と合わせられる前記中間給送混合物の温度が約30℃~約200℃、約60℃~約200℃、約90℃~約200℃、約120℃~約200℃、または約150℃~約200℃である、実施形態A10~A15のいずれかの方法である。
【0289】
実施形態A17は、前記蒸留区域内での温度が約70℃~約150℃、約80℃~約150℃、約90℃~約150℃、約100℃~約200℃、約110℃~約200℃、または約120℃~約200℃の範囲である、実施形態A~A16のいずれかの方法である。
【0290】
実施形態A18は、前記塔頂部留分が、前記有機溶媒と水とを含む極小共沸混合物を含み、前記塔頂部留分がその構成成分のいかなる組み合わせの沸点よりも低い沸点を有する、実施形態A~A17のいずれかの方法である。
【0291】
実施形態A19は、前記再生流から水が、傾斜法、抽出法、混合/沈降法、遠心分離法およびそれらの組み合わせからなる群から選択される液液分離法によって除去される、実施形態A~A18のいずれかの方法である。
【0292】
実施形態A20は、塔底部留分を回収することをさらに含み、前記塔底部留分が約0.1wt%未満の水、約0.05wt%未満の水、約0.02wt%未満の水、約0.01wt%未満の水、約0.005wt%未満の水、または約0.001wt%未満の水を含有する、実施形態A~A19のいずれかの方法である。
【0293】
実施形態A21は、前記塔底部留分が少なくとも約10wt%、少なくとも約15wt%、少なくとも約20wt%、少なくとも約25wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約35wt%または少なくとも約40wt%のクロロフェノール塩を含有する、実施形態A~A20のいずれかの方法である。
【0294】
実施形態A22は、前記塔底部留分が前記有機溶媒の少なくとも約45wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約55wt%または少なくとも約60wt%を含有する、実施形態A~A21のいずれかの方法である。
【0295】
実施形態A23は、クロロフェノール塩を前記塔底部留分から回収することをさらに含み、前記クロロフェノール塩が2,5-DCPのカリウム塩である、実施形態A~A22のいずれかの方法である。
【0296】
実施形態A24は、前記2,5-DCPのカリウム塩がジカンバに転換される、実施形態A23の方法である。
【0297】
実施形態A25は、前記蒸留区域から除去された前記回収塔底部留分の中の前記2,5-DCPの塩をカルボキシル化して3,6-ジクロロサリチル酸またはその塩を形成することをさらに含む、実施形態A23の方法である。
【0298】
実施形態A26は、3,6-ジクロロサリチル酸またはその塩をメチル化剤でメチル化して3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸もしくはその塩および/または3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸メチルを形成することをさらに含む、実施形態A25の方法である。
【0299】
実施形態A27は、3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸メチルを塩基で鹸化して3,6-ジクロロ-2-メトキシ安息香酸の塩を形成することをさらに含む、実施形態A26の方法である。
【0300】
実施形態A28は、2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)と、フェノール性不純物を含む有機不純物とを含む粗生成物流を、中和/抽出区域内の水性塩基と接触させて、2,5-DCPおよびフェノール性不純物を少なくとも部分的に脱プロトン化し、2,5-DCPとフェノール性不純物と水とを含む中間給送混合物、および前記粗生成物流から移ってきた有機不純物を含む有機画分を形成することをさらに含む、実施形態A~A27のいずれかの方法である。
【0301】
実施形態A29は、前記粗生成物流中に存在する前記フェノール性不純物が、2-クロロフェノール(2-CP)、2,4-ジクロロフェノール(2,4-DCP)、3-クロロフェノール(3-CP)、4-クロロフェノール(4-CP)およびそれらの組み合わせから選択される、実施形態A28の方法である。
【0302】
実施形態A30は、前記有機不純物が、3,4-ジクロロフェノール(3,4-DCP)、2,5-ジクロロニトロベンゼン(2,5-DCNB)、3,6-ジクロロ-1,5-ジニトロベンゼン(3,6-DC-1,5-DNB)、2,5-ジクロロ-4-ニトロフェノール(2,5-DC-4-NP)、1,4-ジクロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)ベンゼン(2,5-2,4-TCDPE)、2-クロロ-5-(2,5-ジクロロフェノキシ)フェノール(CDPP)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の不純物を含み、それらが、前記水性塩基と接触する前に前記粗生成物流から蒸留および/または液液抽出によって除去されるものである、実施形態A28またはA29の方法である。
【0303】
実施形態A31は、前記水性塩基がアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である、実施形態A28~A30のいずれかの方法である。
【0304】
実施形態A32は、前記中間給送混合物が前記給送混合物の少なくとも一部を構成する、実施形態A28~A31のいずれかの方法である。
【0305】
実施形態Bは、3,6-ジクロロサリチル酸(3,6-DCSA)および/またはその塩を調製および回収する方法であって、
有機溶媒を含む有機反応媒体中で2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)および/またはその塩をカルボキシル化し、それによって、前記有機溶媒と、3,6-DCSAおよび/または1つ以上のその塩と、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩と、1つ以上の不純物とを含むカルボキシル化生成物スラリーを形成すること;
前記カルボキシル化生成物スラリーを分配液液抽出(FLLE)区域へ給送すること;
前記FLLE区域に有機溶媒を給送すること;
前記FLLE区域に水性媒体を給送すること;ならびに
前記FLLE区域において前記カルボキシル化生成物スラリーを前記有機溶媒および前記水性媒体と接触させることであって、前記未反応2,5-DCPおよび/またはその塩ならびに前記1つ以上の不純物の少なくとも一部が、前記有機溶媒を含む有機相へ移り、前記3,6-DCSAまたはその塩の少なくとも一部が水相へ移る、前記接触させること;
3,6-DCSAの1つ以上の塩を含む水相抽出物をFLLE区域から回収すること
であって、前記水相抽出物における2,5-DCPに対する3,6-DCSAの塩の重量比率が、前記カルボキシル化給送混合物における2,5-DCPに対する3,6-DCSAの塩の重量比率よりも大きい、前記回収すること;
2,5-DCPと前記有機溶媒と1つ以上の不純物とを含む有機相抽出物を前記FLLE区域から回収すること;ならびに
前記水相抽出物中の3,6-DCSAの塩を中和して、3,6-DCSAを含む生成物混合物を形成すること
を含む、前記方法である。
【0306】
実施形態B1は、前記FLLE区域が、前記カルボキシル化生成物スラリーの給送場所と、ストリッピング区画と、精留区画とを有する少なくとも1つの鉛直塔を含み、前記ストリッピング区画が、前記給送場所よりも下に位置している前記塔の一部であり、前記精留区画が、前記給送場所よりも上に位置している前記塔の一部である、実施形態Bの方法である。
【0307】
実施形態B2は、前記水相抽出物が前記FLLE区域の前記ストリッピング区画から回収され、前記有機相抽出物が前記FLLE抽出区域の前記精留区画から回収される、実施形態B1の方法である。
【0308】
実施形態B3は、前記カルボキシル化生成物スラリーが前記有機カルボキシル化反応媒体と、未反応2,5-DCPおよび/またはその塩と、3,6-DCSAの1つ以上の塩を含む生成物固形物とを含む、実施形態B~B2のいずれかの方法である。
【0309】
実施形態B4は、前記カルボキシル化生成物スラリーの水含有量が約1wt%未満、約0.7wt%未満、約0.5wt%未満、約0.2wt%未満、約0.1wt%未満、約0.05wt%未満、約0.02wt%未満または約0.01wt%未満である、実施形態B~B3のいずれかの方法である。
【0310】
実施形態B5は、前記カルボキシル化生成物スラリーの固形物含有量が少なくとも約20wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%または少なくとも約80wt%である、実施形態B~B4のいずれかの方法である。
【0311】
実施形態B6は、前記有機溶媒が前記カルボキシル化生成物スラリーのうちの少なくとも約20wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約40wt%または少なくとも約50wt%を構成する、実施形態B~B5のいずれかの方法である。
【0312】
実施形態B7は、前記カルボキシル化生成物混合物が、前記FLLE区域内の前記有機溶媒および水性媒体と接触する前および/または間に撹拌される、実施形態B~B6のいずれかの方法である。
【0313】
実施形態B8は、前記FLLE抽出区域がその中の前記カルボキシル化生成物スラリー、有機溶媒および水性媒体の接触の間に撹拌される、実施形態B~B7のいずれかの方法である。
【0314】
実施形態B9は、前記水性媒体と、前記FLLE抽出区域へ前記給送されるカルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比が、少なくとも約1:1、少なくとも約3:1、少なくとも約5:1、少なくとも約7:1、少なくとも約9:1、または少なくとも約11:1である、実施形態B~B8のいずれかの方法である。
【0315】
実施形態B10は、前記水性媒体と、前記FLLE抽出区域へ給送される前記カルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比が、約1:1~約15:1、約3:1~約12:1、約5:1~約12:1である、実施形態B~B9のいずれかの方法である。
【0316】
実施形態B11は、前記有機溶媒と、前記FLLE抽出へ給送される前記カルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比が、約1:1未満、約0.9:1未満、約0.8:1未満、約0.7:1未満、約0.6:1未満、約0.5:1未満、約0.4:1未満、約0.3:1未満、約0.2:1未満、約0.1:1未満、または約0.05:1未満である、実施形態B~B10のいずれかの方法である。
【0317】
実施形態B12は、前記有機溶媒と、前記FLLE抽出区域へ給送される前記カルボキシル化生成物スラリーとの質量流速の比が、約0.05:1~約1:1、約0.1:1~約0.8:1、または約0.2:1~約0.5:1である、実施形態B~B11のいずれかの方法である。
【0318】
実施形態B13は、前記有機溶媒と前記水性媒体とが前記FLLE区域内に導入され、その中で接触して、前記水性媒体の全体にわたる前記有機溶媒の分散がなされるFLLE区域を形成し、前記カルボキシル化生成物スラリーが、前記水性媒体の全体にわたる前記有機溶媒の分散がなされる前記FLLE区域の中に導入される、実施形態B~B12のいずれかの方法である。
【0319】
実施形態B14は、前記ストリッピング区画および前記精留区画の各々が複数の段を含む、実施形態B1~B13のいずれかの方法である。
【0320】
実施形態B15は、前記中間ストリッピング段と前記給送場所との間に少なくとも1つの段がありなおかつ前記中間ストリッピング段と前記塔の底部との間にストリッピング区画の少なくとも1つの段があるような、前記ストリッピング区画の中間段内に、前記有機溶媒が導入される、実施形態B14の方法である。
【0321】
実施形態B16は、前記中間精留段と前記給送場所との間に少なくとも1つの段がありなおかつ前記中間精留段と前記塔の頂部との間に前記精留区画の少なくとも1つの段があるような、精留区画の中間段内に、前記水性溶媒が導入される、実施形態B14またはB15の方法である。
【0322】
実施形態B17は、前記塔の底部と前記有機溶媒の前記給送場所との間に前記ストリッピング区画の少なくとも1つの段がある、実施形態B14~B16のいずれかの特許請求の方法である。
【0323】
実施形態B18は、前記塔の頂部と前記水性媒体の給送場所との間に前記精留区画の少なくとも1つの段がある、実施形態B14~B17の方法である。
【0324】
実施形態B19は、前記FLLE区域内での前記カルボキシル化生成物混合物の温度が少なくとも約25℃である、または約25℃~約100℃である、実施形態B~B18のいずれかの方法である。
【0325】
実施形態B20は、前記FLLE区域内に導入される前記カルボキシル化生成物スラリーの中に存在する前記3,6-DCSAおよび/またはその塩のうちの少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%または少なくとも約99wt%が前記水相抽出物中に存在する、実施形態B~B19のいずれかの方法である。
【0326】
実施形態B21は、前記FLLE区域内に導入される前記カルボキシル化生成物スラリーの中に存在する前記2,5-DCPのうちの少なくとも約30wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%または少なくとも約90wt%が前記有機相抽出物中に存在する、実施形態B~B20のいずれかの方法である。
【0327】
実施形態B22は、前記水性媒体がさらに酸を含む、実施形態B~B21のいずれかの方法である。
【0328】
実施形態B23は、前記酸が、塩酸、硫酸、酢酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態B22の方法である。
【0329】
実施形態B24は、酸性流が前記水性媒体のための入口と前記有機溶媒との間の場所にて前記FLLE区域内に導入される、実施形態B~B23のいずれかの方法である。
【0330】
実施形態B25は、前記酸性流が前記給送場所と前記水性媒体のための入口との間の地点にて導入される、実施形態B24の方法である。
【0331】
実施形態B26は、前記酸性媒体が前記給送場所と前記有機溶媒のための入口との間の地点にて導入される、実施形態B24の方法である。
【0332】
実施形態B27は、前記水相抽出物が、前記水相抽出物の前記水性媒体の全体にわたって分散した固形物として3,6-DCSAの1つ以上の塩を含む、実施形態B~B26のいずれかの方法である。
【0333】
実施形態B28は、前記水相抽出物のpHが約4~約9、約5~約9、または約7~約9である、実施形態B27の方法である。
【0334】
実施形態B29は、前記方法がさらに、前記水相抽出物を混合容器へ給送することであって、前記混合容器内に酸が導入される、前記給送すること;
前記水相抽出物を前記酸と混合し、それによって前記3,6-DCSAの1つ以上の塩と、前記2,5-DCPの1つ以上の塩とを酸性化して、水性混合物であって、水と3,6-DCSA固形物と前記水相中の2,5-DCPとを含む、前記水性混合物を形成すること;
前記水性混合物を加熱し、それによって、前記酸性化された水相の上に2,5-DCPを含む蒸気相を形成すること;
前記気相を前記混合容器から回収することであって、前記蒸気相が前記水性混合物に比べて2,5-DCPに富む、前記回収すること;および
3,6-DCSA固形物を含む前記混合容器から生成物スラリーを回収することであって、前記生成物スラリーが前記水性混合物に比べて3,6-DCSAに富む、前記回収することを含む、実施形態B~B28のいずれかの方法である。
【0335】
実施形態B30は、前記方法がさらに、水を前記生成物スラリーから除去し、それによって3,6-DCSA固形生成物を形成することを含み、前記3,6-DCSA固形生成物が約0.9wt%以下、約0.8wt%以下、約0.7wt%以下、約0.6wt%以下、約0.5wt%以下、約0.4wt%以下、約0.3wt%以下、約0.2wt%以下または約0.1wt%以下の2,5-DCPおよび/またはその塩を含有する、実施形態B29の方法である。
【0336】
実施形態B31は、前記方法がさらに、
2,5-DCPを含む前記蒸気相を回収し凝縮させて、2,5-DCPおよび/またはその塩を含む液体流を形成すること
を含む、実施形態B29またはB30の方法である。
【0337】
実施形態B32は、前記2,5-DCPおよび/またはその塩を含む液体流が、前記FLLE区域内に導入される前記水性媒体と合わせられる、実施形態B31の方法である。
【0338】
実施形態B33は、前記液体流から2,5-DCPおよび/またはその塩を回収すること、ならびに前記回収した2,5-DCPおよび/またはその塩を、有機溶媒を含む有機反応媒体中でカルボキシル化し、それによって、3,6-DCSAおよび/またはその塩を含む前記有機溶媒中の生成物混合物を形成することをさらに含む、実施形態B31の方法である。
【0339】
実施形態B34は、前記2,5-DCPを含む液体流を蒸留して、水含有量が前記液体流よりも低減された2,5-DCP給送流をもたらすことをさらに含む、実施形態B31の方法である。
【0340】
実施形態B35は、前記2,5-DCPを含む液体流が、前記FLLE区域から回収された有機相抽出物と合わせられる、実施形態B31の方法である。
【0341】
実施形態B36は、前記有機相抽出物がさらに1つ以上の2,5-DCPの二量体を含み、前記方法がさらに、前記1つ以上の不純物および前記1つ以上の2,5-DCPの二量体からの2,5-DCPの分離を含む、実施形態B29~B35のいずれかの方法である。
【0342】
実施形態Cは、2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)および/またはその塩を回収する方法であって、
有機溶媒を含む有機反応媒体中で2,5-DCPおよび/またはその塩をカルボキシル化し、それによって、3,6-ジクロロサリチル酸および1つ以上のその塩と、未反応2,5-DCPと、2,5-DCPの1つ以上の塩と、2,5-DCPの1つ以上の二量体とを含む前記有機溶媒中の生成物混合物を形成すること;
前記生成物混合物を抽出区域へ給送すること;
有機溶媒を前記抽出区域へ給送すること;
水性媒体を前記抽出区域へ給送すること;
前記生成物混合物を前記抽出区域において前記有機溶媒および前記水性媒体と接触させることであって、前記未反応2,5-DCPおよび2,5-DCPの二量体の少なくとも一部が、前記有機溶媒を含む有機相へ移り、2,5-DCPの1つ以上の塩が水相へ移り、前記水相が前記生成物混合物に比べて3,6-ジクロロサリチル酸と2,5-DCPの塩とに富み、前記有機相が前記生成物混合物に比べて未反応2,5-DCPに富む、前記接触させること;
前記有機相を含む有機抽出物を前記抽出区域から除去すること;
前記有機相から2,5-ジクロロフェノールを回収することであって、回収された2,5-DCPが、それから不純物を回収するための抽出区域へ給送される、および/または3,6-ジクロロサリチル酸を製造するためのカルボキシル化反応器へ給送される、前記回収することを含む、前記方法である。
【0343】
実施形態C1は、前記有機反応媒体の前記有機溶媒と、前記抽出区域へ給送された前記有機溶媒とが同一である、実施形態Cの方法である。
【0344】
実施形態C2は、前記抽出区域が塔、遠心分離機、ミキサー/沈降槽またはデカンターを備える、実施形態CまたはC1の方法である。
【0345】
実施形態C3は、前記抽出区域が、精留区画およびストリッピング区画を有する塔を備え;
前記有機溶媒が前記抽出区域の前記ストリッピング区画へ給送され;
前記水性媒体が前記抽出区域の前記精留区画へ給送され;さらに
前記生成物混合物が前記抽出区域内の前記有機溶媒および前記水性媒体と接触させられ、それによって前記水相および前記有機相が形成される、実施形態C~C2のいずれかの方法である。
【0346】
実施形態C4は、前記生成物混合物を前記抽出区域へ給送する前に、前記生成物混合物中に酸を導入することをさらに含み、前記酸の導入が前記有機相における未反応2,5-DCPの回収を増進させる、実施形態C1~C3のいずれかの方法である。
【0347】
実施形態C5は、カルボキシル化の前に1つ以上の不純物を前記2,5-DCPから除去することをさらに含み、前記1つ以上の不純物が2,4-DCPを含み、前記1つ以上の不純物が、精留区画とストリッピング区画とを含む分配液液抽出(FLLE)区域内へ前記2,5-DCPを給送することを含む方法によって除去される、実施形態C1~C4のいずれかの方法である。
【0348】
実施形態C6は、前記回収された2,5-DCPが、水性液体媒体との接触およびアルカリ金属水酸化物との接触を含む方法によって精製される、実施形態A~C5のいずれかの方法である。
【0349】
実施形態Dは、2,5-ジクロロフェノール(2,5-DCP)および/またはその塩を含む給送混合物から不純物を除去する方法であって、
前記2,5-DCP給送混合物を少なくとも約25℃の温度に加熱することであって、前記2,5-DCP給送混合物が、有機溶媒と、2,5-DCPと、2,5-ジクロロ-4-ニトロフェノール(2,5-DCNP)と、複数のクロロフェノール二量体とを含む、前記加熱すること;
前記2,5-DCP給送混合物を第1抽出区域へ給送すること;
前記第1抽出区域内で前記給送混合物を、塩基を含む第1水溶液と接触させ、それによって、前記有機溶媒と2,5-DCPと前記複数のクロロフェノール二量体とを含む第1有機相抽出物を形成し、2,5-DCNPおよび/またはその塩を含む第1水相抽出物を形成することであって、前記第1水相抽出物が前記第1有機相抽出物および前記2,5-DCP給送混合物に比べて2,5-DCNPおよび/またはその塩に富む、前記形成すること;
前記第1有機相抽出物を第2抽出区域へ給送し、前記第1有機相抽出物を、塩基を含む第2水溶液と接触させ、それによって、前記クロロフェノール二量体を含む第2有機相抽出物を形成し、2,5-DCPおよび/またはその塩を含む第2水相抽出物を形成することであって、前記第2有機相抽出物が、前記第1有機相抽出物に比べて前記クロロフェノール二量体に富み、前記第2水相抽出物が、前記第1有機相抽出物に比べて2,5-DCPに富む、前記形成することを含む、前記方法である。
【0350】
実施形態D1は、前記複数のクロロフェノール二量体がメタ-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(メタ-CDPP)およびオルト-(クロロ-(2,5ジクロロフェノキシ)フェノール)(オルト-CDPP)を含み、前記第2有機相抽出物が、前記第1有機相抽出物中に存在する二量体のうちの少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%または少なくとも約70wt%を含有する、実施形態Dの方法である。
【0351】
実施形態D2は、前記第2水相抽出物が、前記第1有機相抽出物中に存在する2,5-DCPのうちの少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%または少なくとも約99wt%を含有する、実施形態DまたはD1の方法である。
【0352】
実施形態D3は、前記第2水相抽出物のpHが少なくとも約7.1、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、または約7.1~約13、約8~約12、約10~約12、または約11である、実施形態D~D2のいずれかの方法である。
【0353】
実施形態D4は、前記第2水溶液が塩基を、前記第1有機相抽出物中に存在する2,5-DCPに対して少なくとも約0.5:1、少なくとも約0.6:1、少なくとも約0.7:1、少なくとも約0.8:1、少なくとも約0.9:1、少なくとも約1.0:1、または少なくとも約1.1:1、約0.5:1~約1.5:1、約0.7:1~約0.1.1:1、約0.7:1~約1.0:1、または約0.7:1~約0.9:1のモル比で含む、実施形態D~D3のいずれかの方法である。
【0354】
実施形態D5は、前記第2水溶液中の前記塩基の濃度が約1wt%~約45wt%、約5wt%~約40wt%、約5wt%~約30wt%、約5wt%~約20wt%、約7wt%~約15wt%、約7wt%~約12wt%、または約10wt%~約12wt%である、実施形態請求項D~D4のいずれかの方法である。
【0355】
実施形態D6は、前記第1抽出区域が少なくとも10段、少なくとも15段、少なくとも20段または少なくとも25段を含む、実施形態D~D5のいずれかの方法である。
【0356】
実施形態D7は、前記第1水溶液の塩基がアルカリまたはアルカリ土類の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む、実施形態D~D6のいずれかの方法である。
【0357】
実施形態D8は、前記塩基が前記第1水溶液の約2wt%未満、約1wt%未満、約0.5wt%未満、約0.2wt%未満または約0.1wt%未満を構成する、実施形態D~D7のいずれかの方法である。
【0358】
実施形態D9は、前記塩基が前記第1水溶液の約0.01wt%~約2wt%、約0.05~約1wt%、または約0.1~約1wt%を構成する、実施形態D~D8のいずれかの方法である。
【0359】
実施形態D10は、前記塩基と、前記給送混合物中に存在する2,5-DCNPとのモル比が約0.5:1~約5:1、約0.5:1~約3:1、約0.5:1~約2:1、または約0.5:1~約1.5:1である、実施形態D~D9のいずれかの方法である。
【0360】
実施形態D11は、前記第1有機相抽出物が、前記給送混合物中に存在する2,5-DCPのうちの少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%を含有する、実施形態D~D10のいずれかの方法である。
【0361】
実施形態D12は、前記第1水相抽出物が、前記給送混合物中に存在する2,5-DCNPのうちの少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%を含有する、実施形態D~D11のいずれかの方法である。
【0362】
実施形態D13は、前記第1水相抽出物のpHが約8未満、約7未満または約6未満である、実施形態D~D12のいずれかの方法である。
【0363】
本発明またはその好ましい実施形態(複数可)の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「当該」および「前記」は、1つ以上の要素があることを意味することを意図する。「含んでいる(comprising)」、「含んでいる(including)」および「有している(having)」という用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外の追加要素が存在していてもよいことを意味する。
【0364】
上記に鑑みれば、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有益な結果が得られることが分かるであろう。
【0365】
本発明の範囲から逸脱することなく上記に様々な変更を加えることができ得るので、上記の記載の中に含まれており添付図面の中で示されている全ての事物は限定の意味ではなく例示的なものとして解釈されるものとすることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10