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特許7010946健康状態の計算解析を容易化するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】健康状態の計算解析を容易化するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20220119BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20220119BHJP
【FI】
G16H50/30
G16H50/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019531077
(86)(22)【出願日】2017-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2017082492
(87)【国際公開番号】W WO2018108953
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】62/432,721
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】セブンスター メルライン
(72)【発明者】
【氏名】フォースバーグ トーマス アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ダークス ウィルヘルムス ヨハネス アレゴンダ フランシスクス
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/145555(WO,A1)
【文献】特表2016-505997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0259901(US,A1)
【文献】特開2015-153306(JP,A)
【文献】国際公開第2015/050174(WO,A1)
【文献】特開2008-059234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフの生成を介して健康状態の計算解析を容易化するシステムであって、該システムがマシン読取可能な命令により:
ノードと、辺の各々が前記ノードのうちの2つを連結する当該を有し、前記辺によって連結される2つの前記ノード間の依存関係を示す、グラフを取得し、前記ノードはリスクパラメータに各々対応する第1型ノード及びリスクモデルに各々対応する第2型ノードを有し、前記リスクモデルは個人が1以上の健康状態を有する又は有する危険状態にあることの尤度を推定するために前記リスクパラメータの1以上の値を入力として取り込む、取得することと、
取得された前記グラフを処理することであって、低減した依存関係を有する第1の個人のための結果的グラフを生成し、前記取得されたグラフを処理することは、
前記第1型ノードの1つを評価されるべきノードとして決定することであって、決定される当該第1型ノードが該第1型ノードを前記取得されたグラフにおける第2型ノードに連結する辺を有する、決定することと、
前記第1の個人に関して前記第1型ノードのリスクパラメータの値を決定することと、
前記取得されたグラフから、前記第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺であって、前記第1型ノード及び前記第2型ノードを連結する辺を含む当該1以上の辺を、前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて除去することと、
を有する、処理することと、
低減した依存関係を有する前記結果的グラフに基づいて、前記第1の個人の少なくとも1つの健康状態の解析を行うために使用されるべき1以上のリスクモデルを、該1以上のリスクモデルが前記結果的グラフにおける当該第2型ノードを前記結果的グラフにおける少なくとも1つの第1型ノードに連結する少なくとも1つの辺を各々有する1以上の第2型ノードに対応するリスクモデルの集合から選択されるように選択することとを、
行う1以上のハードウェアプロセッサを有する、システム。
【請求項2】
前記取得されたグラフは、辺が該取得されたグラフにおける所与の第1型ノードを該取得されたグラフにおける所与の第2型ノードに、該所与の第2型ノードのリスクモデルが該所与の第1型ノードのリスクパラメータの値を、個人が1以上の健康状態を有する又は有する危険状態がある尤度を推定するための入力として取り込むことに基づいて、連結するようなものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1以上のハードウェアプロセッサは、
前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて、前記第2型ノードのリスクモデルが関連性閾値を満足するかを判定し、
前記1以上のハードウェアプロセッサが、前記第2型ノードを前記1以上の第1型ノードに連結する前記1以上の辺を、前記第2型ノードのリスクモデルが前記関連性閾値を満足しないとの判定に応答して、前記取得されたグラフから前記1以上の辺を除去することにより、除去する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1以上のハードウェアプロセッサが、前記取得されたグラフを、該取得されたグラフから前記第2型ノードを前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて除去することにより処理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記取得されたグラフからの辺又はノードの除去が、該取得されたグラフから前記辺又はノードを削除することを有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記取得されたグラフからの辺又はノードの除去が、該辺又はノードに、前記第1の個人に関して解析を行うために使用されるべきリスクモデルを選択する際に該辺又はノードが考慮されるべきでないことを示す値でラベルを付すことを有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記1以上のハードウェアプロセッサが、前記取得されたグラフを、該取得されたグラフから1以上の他の第1型ノードを該1以上の他の第1型ノードを所与の第2型ノードに連結する該1以上の他の第1型ノードの辺の各数に基づいて除去することにより処理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1以上のハードウェアプロセッサが、複数の前記第1型ノードから第1型ノードを、当該第1型ノードを所与の第2型ノードに連結する辺の数に基づいて、選択することにより、該第1型ノードを評価されるべきノードとして決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1以上のハードウェアプロセッサが前記取得されたグラフを、
前記第1型ノードを第2型ノードに連結する辺の前記取得されたグラフからの除去に続いて、該取得されたグラフにおける他の第1型ノードであって、該他の第1型ノードを該取得されたグラフにおける他の第2型ノードに連結する辺を有する他の第1型ノードを決定し;
前記第1の個人に関する前記他の第1型ノードのリスクパラメータの値を決定し;及び
前記他の第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺であって、前記他の第1型ノードを前記他の第2型ノードに連結する辺を含む当該1以上の辺を、当該取得されたグラフから前記他の第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて、除去する、
ことにより処理する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1以上のハードウェアプロセッサが、前記選択された1以上のリスクモデルに基づいて、前記第1の個人の少なくとも1つの健康状態の予測を発生する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
グラフの生成を介して健康状態の計算解析を容易化する方法であって、該方法はマシン読取可能な命令により構成される1以上のハードウェアプロセッサにより実施され、該方法が、
ノードと、辺の各々が前記ノードのうちの2つを連結する当該を有し、前記辺によって連結される2つの前記ノード間の依存関係を示す、グラフを取得するステップであって、前記ノードはリスクパラメータに各々対応する第1型ノード及びリスクモデルに各々対応する第2型ノードを有し、前記リスクモデルは個人が1以上の健康状態を有する又は有する危険状態があることの尤度を推定するために前記リスクパラメータの1以上の値を入力として取り込む、取得するステップと、
取得された前記グラフを、低減した依存関係を有する第1の個人のための結果的グラフを生成するように処理するステップであって、前記取得されたグラフを処理するステップが、
前記第1型ノードの1つを評価されるべきノードとして決定するステップであって、決定された当該第1型ノードが該第1型ノードを前記取得されたグラフにおける第2型ノードに連結する辺を有する、決定するステップと、
前記第1の個人に関して前記第1型ノードのリスクパラメータの値を決定するステップと、
前記取得されたグラフから、前記第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺であって、前記第1型ノード及び前記第2型ノードを連結する辺を含む当該1以上の辺を、前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて、除去するステップと、
を有する、処理するステップと、
低減した依存関係を有する前記結果的グラフに基づいて、前記第1の個人の少なくとも1つの健康状態の解析を行うために使用されるべき1以上のリスクモデルを、該1以上のリスクモデルが前記結果的グラフにおける当該第2型ノードを前記結果的グラフにおける少なくとも1つの第1型ノードに連結する少なくとも1つの辺を各々有する1以上の第2型ノードに対応するリスクモデルの集合から選択されるように、選択するステップと、
を有する、方法。
【請求項12】
前記取得されたグラフは、辺が該取得されたグラフにおける所与の第1型ノードを該取得されたグラフにおける所与の第2型ノードに、該所与の第2型ノードのリスクモデルが該所与の第1型ノードのリスクパラメータの値を、個人が1以上の健康状態を有する又は有する危険状態がある尤度を推定するための入力として取り込むことに基づいて、連結するようなものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて、前記第2型ノードのリスクモデルが関連性閾値を満足するかを判定するステップ、
を更に有し、
前記第2型ノードを前記1以上の第1型ノードに連結する前記1以上の辺を除去するステップは、前記第2型ノードのリスクモデルが前記関連性閾値を満足しないとの判定に応答して、前記取得されたグラフから前記1以上の辺を除去するステップを有する、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記取得されたグラフを処理するステップが、該取得されたグラフから前記第2型ノードを、前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて、除去するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記取得されたグラフを処理するステップが、該取得されたグラフから1以上の他の第1型ノードを、該1以上の他の第1型ノードを所与の第2型ノードに連結する該1以上の他の第1型ノードの辺の各数に基づいて、除去するステップを有する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、健康状態の計算解析を容易化するように構成されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ支援健康評価システムは、医師、他の医療関係者又は他のユーザが個人の健康リスクを一層迅速且つ正確に評価すると共に該個人に関する他の情報を決定することを可能にする。これらの健康評価システムは、典型的に、斯様な評価を容易化するためにリスクモデルに依存している。しかしながら、健康評価システムによりサポートされるリスクモデルの数は増加し続けるので、基となるリスクパラメータ(例えば、前記リスクモデルが入力パラメータとして取り込む)の数も、斯かる健康評価システムが多数のリスクモデル及びリスクパラメータを管理するための要件と共に増加し続ける。一例として、多数のリスクモデル及びリスクパラメータは、リスク要因、リスクマーカ又は他のリスクパラメータを確認するためにユーザに掛かる負担を増加させ得るのみならず、1以上の無関係なリスクモデルを実行する際に計算資源も浪費し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本開示の1以上の態様は、健康状態の計算解析を容易化するシステムに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本システムは、1以上のハードウェアプロセッサ及び/又は他の構成要素を有する。幾つかの実施態様において、該1以上のハードウェアプロセッサは、マシン読取可能な命令により:ノード及び辺を有するグラフを取得し、ここで、前記辺の各々は前記ノードのうちの2つを連結し、前記ノードはリスクパラメータに各々対応する第1型ノード及びリスクモデルに各々対応する第2型ノードを有し、前記リスクモデルは個人が1以上の健康状態を有する又は有する危険状態にあることの尤度を推定するために前記リスクパラメータの1以上の値を入力として取り込むように構成され;前記取得されたグラフを処理して、第1の個人のための結果的グラフを生成し、ここで、前記取得されたグラフを処理することは、前記第1型ノードの1つを評価されるべきノードとして決定することであって、当該第1型ノードが該第1型ノードを前記取得されたグラフにおける第2型ノードに連結する辺を有する、決定することと、前記第1の個人に関して前記第1型ノードのリスクパラメータの値を決定することと、前記取得されたグラフから、前記第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺であって、前記第1型ノード及び前記第2型ノードを連結する辺を含む当該1以上の辺を、前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて除去することと、を有し;及び、前記結果的グラフに基づいて、前記第1の個人の少なくとも1つの健康状態の解析を行うために使用されるべき1以上のリスクモデルを、該1以上のリスクモデルが前記結果的グラフにおける当該第2型ノードを前記結果的グラフにおける少なくとも1つの第1型ノードに連結する少なくとも1つの辺を各々有する1以上の第2型ノードに対応するリスクモデルの集合から選択されるように選択する;ように構成される。
【0005】
本開示の更に他の態様は、健康状態の計算解析を容易化する方法に関するものである。該方法は、マシン読取可能な命令により構成される1以上のハードウェアプロセッサ及び/又は他の構成要素により実施される。幾つかの実施態様において、該方法は:ノード及び辺を有するグラフを取得するステップであって、前記辺の各々は前記ノードのうちの2つを連結し、前記ノードはリスクパラメータに各々対応する第1型ノード及びリスクモデルに各々対応する第2型ノードを有し、前記リスクモデルが、個人が1以上の健康状態を有する又は有する危険状態があることの尤度を推定するために前記リスクパラメータの1以上の値を入力として取り込むように構成されるステップ;前記取得されたグラフを、第1の個人のための結果的グラフを生成するように処理するステップであって、前記取得されたグラフを処理するステップが、前記第1型ノードの1つを評価されるべきノードとして決定するステップであって、当該第1型ノードが該第1型ノードを前記取得されたグラフにおける第2型ノードに連結する辺を有するステップと、前記第1の個人に関して前記第1型ノードのリスクパラメータの値を決定するステップと、前記取得されたグラフから、前記第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺であって、前記第1型ノード及び前記第2型ノードを連結する辺を含む当該1以上の辺を、前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて除去するステップと、を有するステップ;及び前記結果的グラフに基づいて、前記第1の個人の少なくとも1つの健康状態の解析を行うために使用されるべき1以上のリスクモデルを、該1以上のリスクモデルが前記結果的グラフにおける当該第2型ノードを前記結果的グラフにおける少なくとも1つの第1型ノードに連結する少なくとも1つの辺を各々有する1以上の第2型ノードに対応するリスクモデルの集合から選択されるように選択するステップ;を有する。
【0006】
本開示の更に他の態様は、健康状態の計算解析を容易化するシステムに関するものである。幾つかの実施態様において、該システムは:ノード及び辺を有するグラフを取得する手段であって、前記辺の各々は前記ノードのうちの2つを連結し、前記ノードはリスクパラメータに各々対応する第1型ノード及びリスクモデルに各々対応する第2型ノードを有し、前記リスクモデルは個人が1以上の健康状態を有する又は有する危険状態があることの尤度を推定するために前記リスクパラメータの1以上の値を入力として取り込む手段;前記取得されたグラフを、第1の個人のための結果的グラフを生成するように処理する手段であって、前記取得されたグラフを処理するステップが、前記第1型ノードの1つを評価されるべきノードとして決定するステップであって、当該第1型ノードが該第1型ノードを前記取得されたグラフにおける第2型ノードに連結する辺を有するステップと、前記第1の個人に関して前記第1型ノードのリスクパラメータの値を決定するステップと、前記取得されたグラフから、前記第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺であって、前記第1型ノード及び前記第2型ノードを連結する辺を含む当該1以上の辺を、前記第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて除去するステップと、を有する手段;及び前記結果的グラフに基づいて、前記第1の個人の少なくとも1つの健康状態の解析を行うために使用されるべき1以上のリスクモデルを、該1以上のリスクモデルが前記結果的グラフにおける当該第2型ノードを前記結果的グラフにおける少なくとも1つの第1型ノードに連結する少なくとも1つの辺を各々有する1以上の第2型ノードに対応するリスクモデルの集合から選択されるように選択する手段;を有する。
【0007】
本開示の上記及び他の目的、フィーチャ及び特徴、並びに関連する構成の要素の動作の方法及び機能並びに部品の組み合わせ及び製造の経済性は、全てが本明細書の一部を形成する添付図面を参照した下記の記載及び添付請求項の考察から一層明らかとなるものであり、添付図面において同様の符号は種々の図において対応する部分を示している。しかしながら、図面は図示及び説明のみの目的のためのもので、本開示の範囲を定めることを意図するものではないと明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、1以上の実施態様による、健康状態の計算解析を容易化するように構成されたシステムの概略図である。
図2A-2C】図2Aから図2Cは、一実施態様による関係のある及び無関係なパラメータの例を、特定の個人に関係付ける対応するステータス値と共に表で示す。
図3A-3E】図3Aから図3Eは、一実施態様によるリスクモデルノードの例を、リスクパラメータノードに辺を介して接続されたグラフで示す。
図4図4は、1以上の実施態様によるグラフ生成を介して健康状態の計算解析を容易化する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される場合、単数形は、前後関係がそうでないと明確に示さない限り、複数の参照を含む。本明細書で使用される場合、“又は”は、前後関係がそうでないと明確に示さない限り、“及び/又は”を意味する。本明細書で使用される場合、2以上の部品又は要素が“結合される”なる記述は、斯かる部品が直接的又は間接的に(即ち、リンクが生じる限りにおいて1以上の中間部品又は要素を介して)一緒に連結され又は動作することを意味する。本明細書で使用される場合、“直接結合される”とは、2つの要素が互いに直接接触することを意味する。本明細書で使用される場合、“固定的に結合される”又は“固定される”とは、2つの要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら、1つとして移動するように結合されることを意味する。
【0010】
本明細書で使用される場合、“一体の”なる用語は要素が単一の部品又はユニットとして形成されることを意味する。即ち、別個に作製され、次いでユニットとして一緒に結合された複数の部品を含む要素は“一体の”要素又は主体ではない。本明細書で使用される場合、2以上の部分又は要素が互いに“係合する”なる記述は、これら部分が互いに対して直接に又は1以上の中間部品若しくは要素を介して力を及ぼすことを意味する。本明細書で使用される場合、“数”なる用語は1又は2以上の整数(即ち、複数)を意味する。
【0011】
例えば、限定するものではないが、上部、底部、左、右、上、下、前、後及びこれらの派生語等の本明細書で使用される方向的語句は、図面に示される要素の向きに関するもので、請求項に明示的に記載されない限り該請求項を限定するものではない。
【0012】
図1は、1以上の実施態様による、健康状態の計算解析を容易化するように構成されたシステム10を示す。システム10は、該システムのユーザが、特定の抽出された健康(保健)データに関連付けられた個人(例えば、患者又は他の個人)がリスクパラメータ(例えば、リスク因数、リスクマーカ又は他のリスクパラメータ等)を有するか又は有しそうであるかを確認することを補助するように構成することができる。リスク因数は疾病又は感染のリスクの増加に関連する変数とすることができ、リスクマーカは疾病又は他の結果に定量的に関連する変数とすることができる。システム10は、その関連性をユーザが確認する及び/又は自動的に確認するための潜在的に関係のあるリスクパラメータを識別することができる。
【0013】
リスクパラメータは、1以上の健康状態(例えば、疾病、臨床症状又は他の悪い健康関係状態等)を有する又は有する危険状態がある尤度を予測するために実行することが可能なリスクモデルの入力として機能することができる。リスクパラメータの数が増加するにつれて、予測を行う又は確率を決定するために実行され得るリスクモデルの数も増加する。各リスクモデルの実行は計算的に大変であると共に時間の掛かるものであり得、このことは即座の予測された/確率的結果を必要とするユーザにとっては許容され得るものではないであろう。幾つかの実施態様においては、他の利点のなかでも、システム10は斯かる必要性を、確認された関連性を有し得るリスクパラメータを識別して、実行されるべきリスクモデルの数を制限することにより解決することができる。
【0014】
開示された実施態様は、ユーザがリスクパラメータを確認、確定又は評価すると共に、リスクモデルを実行することの結果としての成果(例えば、リスクスコア又は他の成果)を決定することを容易にする。加えて、幾つかの実施態様はリスクパラメータとリスクモデルとの間の依存関係を勘案すると共に、ユーザによる確認を要するリスクパラメータの数及び実行されることを要するリスクモデルの数を最小にする。医療従事者の予定事項から無関係な作業を除去する結果、例えば医療従事者を役に立たない又は無関係であることが分かるリスクパラメータ及びリスクモデルにより気を散らせないことにより、時間の一層効率的な使用及び結果の改善された品質が可能となる。
【0015】
幾つかの実施態様において、システム10は、リスクパラメータとの関係を伴うリスクモデルのグラフィック表現(例えば、リスクパラメータ、リスクモデル及びこれらの依存関係のグラフィック表現)を用いることができる。該グラフは、増加する数のリスクパラメータ及びリスクモデルの間の関係を学習又は活用することができる。例えば、数百、数千又は数百万のリスクパラメータ及び数百、数千又は数百万のリスクモデルが存在し得る。各リスクモデルは1以上のリスクパラメータの値を入力としてとることができ、これらリスクパラメータ自体はシステム10により決定(例えば、合成又は発生)することができる。システム10は、リスクパラメータを医療情報の1以上の情報源(ソース)から関連する健康データを抽出することにより決定することができる。
【0016】
幾つかの実施態様において、システム10は一群の関連するリスクパラメータを予測することができる。該予測される一群のリスクパラメータは、関連性確認のためにシステム10のユーザに提示することができる。ユーザ(例えば、看護師、医師、医療従事者又は他の者)は、ユーザインターフェース上の所与のリスクパラメータの存在又はリスクを確認することができる。例えば、ユーザは当該リスクパラメータが関連するかを確認することができ、又はユーザは当該リスクパラメータの他の特徴を確定することができる。従って、本開示の1つの態様は、システム10のユーザがリスクパラメータを決定及び確認することを補助することである。
【0017】
図1に示されるように、システム10は、外部資源24、電子記憶部22及び他のデータベースへの/からのインターフェースを設けることができる。システム10は、病院情報システム(HIS)、臨床データ貯蔵部(CDR)、電子医療記録部(EMR)及び他のソースから等の、医療情報にアクセスすることができる。収集される医療情報は、個人の人口統計又は背景情報等の有用な健康データ及び患者情報を含むことができる。システム10は、該医療情報を解析し、それに応じてリスクパラメータを予測することができる。
【0018】
医療情報にアクセスし処理することは、しばしば、非効率的である。幾つかの実施態様は、過去のシステムにおいて医療情報を前後関係によって(例えば、特定の医師のために)適合することにより改善している。例えば、腹部に関するコンピュータトモグラフィ(CT)調査を判断する放射線医師は、リスクパラメータA、B及びCの各々は存在するが、リスクパラメータX、Y及びZは存在しないかを判定しようとし得る。システム10は、ユーザに対する表示において、リスクパラメータX、Y及びZをフィルタ除去することができるか、又はこれらパラメータの重要度を低下させる(例えば、リスクパラメータの順序付けにおいて)ことができる。システム10は、リスクパラメータの該フィルタ処理を、当該医療情報から抽出される健康データ(例えば、当該個人の)に基づいて実行することができる。
【0019】
リスクパラメータは、幾つかの事例では複数の健康データ点を含む健康データに関して定義される潜在的に混成の構造である。幾つかの実施態様において、健康データはリスクパラメータの間で共有される。健康データは、オントロジ的に埋め込まれる場合、階層関係を有し得る。疾病状態又は疾病プロファイルは、1以上のリスクパラメータの組み合わせであり得る。例示的リスクパラメータは、個人の年齢、該個人の性別、当該医師への訪問が救急によるものであるか、又は他の健康関係パラメータに関係し得る。他の例示的リスクパラメータは、当該個人の疾病状態(例えば、臨床症状を有する尤度又は臨床症状を有することに関するリスク)に関するものである。
【0020】
図2Aは、ユーザに対しシステム10のユーザインターフェース上に提示して、該ユーザが1以上を確認することができる幾つかの例示的リスクパラメータを表で示す。該表は、パラメータリスクの列40及び対応するステータス(状態)の列42を有することができる。ユーザは、ユーザインターフェース上において、例えば“確認するにはクリック”ハイパーリンク又は釦44をクリックすることにより確認を行うことができる。多数の潜在的に関係のあるリスクパラメータが存在し得るので、図2Aに示されるリスクパラメータは、幾つかの実施態様では、順序付け状態にすることができる。もっとも、幾つかの実施態様において、ユーザはリスクパラメータをリスクパラメータの順序付けなしで又はユーザに対する他の形態のガイダンスで確認することもできる。
【0021】
幾つかの実施態様において、システム10が関係のあるリスクパラメータを予測する場合、ユーザが確認を要する全てのリスクパラメータを確認しなければならないのとは反して、関係があるものとして偶然に又は誤って確認される無関係なリスクパラメータの数は大幅に低下する。従って、システム10は、ユーザを無関係なリスクパラメータを確認することから除外する助けとなる或る種のフェイルセーフを構成する。また、システム10は、リスクパラメータを関係のあるものとして一層効率的な態様で確認する(例えば、経験から又は以前の確認から無関係であることが分かるリスクパラメータによりユーザが殺到されないようにすることにより)ための方法を実施化することができる。
【0022】
システム10は、限られた医療情報により患者のためのリスクパラメータを予測することができる。例えば、幾つかの実施態様において、システム10は、リスクパラメータを予測するための判断基準を、前記医療情報のみならずユーザ/システム相互作用(例えば、以前の確認)にも基づいて自己学習する。システム10は、ユーザを伴って又はユーザなしで、リスクパラメータの関連性を医療情報及び以前のユーザ/システム相互作用に基づいて評価することができる。
【0023】
個人に関係があり得るリスクパラメータは、リスクモデルに対し既知の依存関係を有し得る。依存関係は、当該リスクパラメータの値が、実行される場合にリスクモデルに対する入力となることを意味し得る。幾つかの実施態様においては、関係のあるリスクモデルだけが実行される。システム10は、最早潜在的に関係が無い依存関係、リスクパラメータ又はリスクモデルを除去することにより、ユーザが何のリスクモデルが実行されるべきか(例えば、何のリスクモデルが関係あるか)を決定することを補助する。
【0024】
伝統的システムは、時には、関係のあるリスクモデルを実行しないことがあり得る。何故なら、リスクパラメータと当該リスクモデルとの間の関係が分からない場合があり得るからである。代わりに、伝統的システムは、時には、無関係なリスクモデルを含む過度に多くのリスクモデルを実行し得る。リスクモデルが一層多く関係するほど、該モデルの結果は一層信頼性があり得る。システム10は、計算的負担(過度に多くのリスクモデルが使用される場合)を簡素化し、リスクモデルの結果の信頼性を改善し(例えば、関係のあるリスクモデルだけを実行することにより)、かくして、伝統的システムによるよりも高速且つ一層高い信頼度で所望の結果(例えば、予測される有害事象)を提供する。従って、本開示の他の態様は、システム10のユーザが複数の潜在的に相互に関係するリスクパラメータ及びリスクモデルの結果を統括することを補助することである。
【0025】
例えば、個人(例えば、患者)が男性であるというリスクパラメータを有する場合、妊娠結果又は早産を推定するリスクモデルは無関係であり、該リスクモデルは判断過程における不効率さを生じるであろう(例えば、当該判断が無関係であることが明確に分かるパラメータを考慮しなければならなかった場合)。むしろ、当該医療従事者は他のリスクモデル(例えば、前立腺癌を有する方向に向かって増加するリスクを決定するための)を用いることに一層関心があり得る。一層多くのパラメータが確認され、且つ、一層多くの無関係なリスクモデルが除去されるほど、治療中又は医療解析中の個人に係るユーザに対し、より小さな集合のリスクモデルが関係するものと見なされるようになる。
【0026】
幾つかの事例において、リスクモデルは、例えば公開された医療文献から取得することができる。リスクモデルは、特定の有害事象(例えば、特定の健康状態、外傷又は他の事象)に関する個人のリスクを、当該個人に関係するリスクパラメータに基づいて推定、計算及び/又は予測するために用いることができる。リスクモデルは、有害事象に寄与する(又は回避する助けとなる)リスクパラメータを識別することができる。リスクモデルは、有害事象に関するリスクの量(例えば、パーセンテージ又は確率)を生成することができる。
【0027】
リスクパラメータ又はリスクモデル情報は、臨床作業環境において提供される。リスクモデルは、医療現場において医療手順を計画又は実施するために用いることができる。リスクモデルは、幾つかの実施態様においては、1以上のリスクパラメータを入力として取り込むと共にリスク評価を返す数学的関数であり得る。
【0028】
特定のリスクパラメータは、ユーザにより或る値で(例えば、“イエス”又は“ノー”で)確認された場合、リスクモデルを無関係にさせる。幾つかの実施態様において、リスクモデルが無関係と見なされた場合、これらリスクモデルは結果を計算するために必要とされない。リスクパラメータは、関係があると判断されることとは無関係に、異なるリスクモデルの間で共有され得る。幾つかの実施態様においては、2以上のリスクモデルが、医療手続を計画又は実施するための結果を計算するために相互に関係付けられて使用され得る。幾つかの実施態様において、リスクモデルは適格性基準(例えば、医療手順の臨床試験に対する適格性)及び適合された推奨を考慮する。
【0029】
医療従事者は、例えば当該医療従事者により実行される行為のタイプに基づいて、又は医療専門性(例えば、放射線医学、心臓学又は他の専門性)若しくは罹患身体部分(例えば、腹部、心臓又は他の部分若しくは臓器)に基づいて特定の情報を必要とし得る。システム10は、当該医療従事者にとり関係のない又は価値のないリスクパラメータ及びリスクモデルをフィルタ除去することができる。幾つかのリスクパラメータが確認された場合又は幾つかのリスクモデルが実行された場合、他のリスクモデルの結果は無関係であり得る。例えば、個人が透析対象である又はリスクモデルの結果が当該個人を透析対象にする場合において、該患者が経皮的冠動脈形成術を受ける場合、造影剤誘発性腎症(CIN)は関係ないであろう。従って、当該患者が末期腎疾患を持つというリスクパラメータを確認するような確認された状態(ステータス)値を有する場合、この患者に対しては、CINリスクを推定する急性腎障害(AKI)リスクモデルに基づいて有害事象予測を行う又は無関係なリスクモデルを専ら起動する如何なるリスクパラメータを確認することにも価値がないであろう。
【0030】
幾つかの実施態様において、システム10は1以上の計算装置18、1以上のプロセッサ20、電子記憶部22、外部資源24及び/又は他の要素を有する。計算装置18は、ユーザとシステム10との間のインターフェースを提供するように構成される。計算装置18は、1以上のユーザへ情報を供給し及び/又は1以上のユーザから情報を受信するように構成される。計算装置18は、ユーザインターフェース及び/又は他の要素を含む。該ユーザインターフェースは、リスクパラメータ(又は他の値)、リスクモデル若しくは他の項目に関する入力及び/又は選択を受信し、及び/又は他の情報を供給及び/又は受信するように構成されたビュー及び/又はフィールドを提示するように構成されたグラフィックユーザインターフェースとすることができ、及び/又は斯かるグラフィックユーザインターフェースを含むことができる。幾つかの実施態様において、該ユーザインターフェースは、複数の計算装置18、プロセッサ20及び/又はシステム10の他の要素に関連付けられた複数の別個のインターフェースを含む。
【0031】
幾つかの実施態様において、1以上の計算装置18は、システム10に対してユーザインターフェース、処理能力、データベース及び/又はシステム電子記憶部を提供するように構成される。かくして、計算装置18は、プロセッサ20、電子記憶部22、外部資源24及び/又はシステム10の他の要素を含むことができる。幾つかの実施態様において、計算装置18は、ネットワーク(例えば、インターネット)に接続される。幾つかの実施態様において、計算装置18は、プロセッサ20、電子記憶部22、外部資源24及び/又はシステム10の他の要素は含まず、代わりに、これらの要素とネットワークを介して通信する。ネットワークに対する接続は、無線又は有線とすることができる。幾つかの実施態様において、計算装置18は、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ及び/又は他の計算装置である。
【0032】
当該ユーザインターフェースに含めるのに適したインターフェース装置の例は、タッチスクリーン、キーパッド、接触感知性及び/又は物理的釦、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、インジケータライト、可聴アラーム、プリンタ、及び/又は他のインターフェース装置を含む。本開示は、計算装置18が取外し可能な記憶インターフェースを含むことも想定する。本例において、情報は、取外し可能な記憶部(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、取外し可能型ディスク等)から計算装置18にロードすることができ、該記憶部はユーザが計算装置18の構成をカスタマイズすることを可能にする。計算装置18及び/又は前記ユーザインターフェースと共に使用するように適合される他の例示的入力装置及び技術は、これらに限定されるものではないが、RS-232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル等)及び/又は他の装置を含む。
【0033】
プロセッサ20は、システム10に情報処理能力を設けるよう構成される。かくして、プロセッサ20は、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズムの1以上を有することができる。図1にはプロセッサ20が単一の実体として示されているが、これは解説の目的だけものである。幾つかの実施態様において、プロセッサ20は複数の処理ユニットを有することができる。これらの処理ユニットは同一の装置(例えば、サーバ)内に物理的に配置することができ、又はプロセッサ20は協調して動作する複数の装置(例えば、1以上のサーバ、計算装置18、外部資源24の一部である装置、電子記憶部22及び/又は他の装置)の処理機能を表すこともできる。
【0034】
幾つかの実施態様において、プロセッサ20、外部資源24、計算装置18、電子記憶部22及び/又は他の要素は、1以上の電子通信リンクを介して動作的にリンクすることができる。例えば、このような電子通信リンクは、少なくとも部分的に、インターネット等のネットワーク及び/又は他のネットワークを介して確立することができる。このことは限定しようとするものではなく、本開示の範囲は、これらの要素が何らかの他の通信媒体を介して動作的にリンクされ得るような実施態様を含むことが理解されよう。幾つかの実施態様において、プロセッサ20は、外部資源24、計算装置18、電子記憶部22及び/又は他の要素と、クライアント/サーバアーキテクチャ、ピアツーピアアーキテクチャ及び/又は他のアーキテクチャに従って通信するよう構成される。
【0035】
図1に示されるように、プロセッサ20は、マシン読取可能な命令を介して、1以上のコンピュータプログラム要素を実行するように構成される。これらコンピュータプログラム要素は、リスクモデル管理部(要素)30、リスク依存関係部(要素)32、保健記録管理部(要素)34、ユーザインターフェース部(要素)36、健康予測部(要素)38及び/又は他の要素の1以上を有することができる。プロセッサ20は、要素30、32、34、36及び/又は38を、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウエア;ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウエアの何らかの組み合わせ;及び/又はプロセッサ20上に処理能力を構成するための他のメカニズムにより実行するよう構成することができる。
【0036】
要素30、32、34、36及び38は図1においては単一の処理ユニット内に共同配置されているように図示されているが、プロセッサ20が複数の処理ユニットを有する実施態様では、要素30、32、34、36及び/又は38の1以上は他の要素から離れて配置することもできると理解されるべきである。以下に記載される種々の要素30、32、34、36及び/又は38によりもたらされる機能の説明は解説目的のためのものであり、これら要素30、32、34、36及び/又は38の何れも記載されるもの以上又は以下の機能を提供することができるものであるから、限定することを意図するものではない。例えば、要素30、32、34、36及び/又は38の1以上は削除することができ、その機能の幾らか又は全ては他の要素30、32、34、36及び/又は38により提供することができる。他の例として、プロセッサ20は、以下において要素30、32、34、36及び/又は38の1つに帰属される機能の幾らか又は全てを実行することができる1以上の追加の要素を実行するように構成することができる。
【0037】
幾つかの実施態様において、保健記録管理部34はリスクパラメータを予測するために医療情報から保健データを(例えば、該情報を掘り出すことにより)抽出することができる。一例として、保健記録管理部34は、当該医療情報を症状固有の保健データに関して検索することができる。幾つかの実施態様において、保健記録管理部34は、保健データを、背景オントロジを用いて導出することができる。例えば、個人に関する他のタイプの保健データの間でグループ化及び順序付けられた異なるタイプの保健データが存在し得る。
【0038】
保健記録管理部34は、医療情報の複数の異なるタイプの情報品目(例えば、文書、レポート、チャート、グラフ又は他の情報品目)から情報を抽出することによりリスクパラメータを決定することができる。例えば、保健記録管理部34は、保健データを、(i)臨床症状(当該リスクパラメータが決定されている)をエンコードする医療コード/識別子の問題リスト、(ii)幾つかの事例では所定の閾に対するものである(例えば、収縮期気道陽圧(PAP)は60mmHG(ミリメートル水銀)より大きい)ものを含む臨床検査値(laboratory values)、(iii)臨床症状を治療するために使用される処方薬又は栄養補助食品の投薬リスト(又は複数のリスト)、(iv)臨床症状の否定されない発生を検出するパターン認識又は一層進んだ自然言語処理を用いた説話的レポート及びそれらの通常の語彙変形(例えば、“糖尿病”及び“糖尿病の”)、特に説話的文書の断片、又は(v)他の方法から抽出することができる。従って、保健データは、説話的レポートにおけるテキストの断片又は背景オントロジからのコード等の幾つかの異なる形をとり得る。幾つかの実施態様において、保健記録管理部34は、異なるタイプの医療情報を解析する抽出モジュールを含むことができる。例えば、1つの抽出モジュールは薬物治療を解析する一方、第2のものは検査結果を解析することができる。保健記録管理部34から抽出された保健データは、健康予測部38に対する入力として機能し得る。
【0039】
保健記録管理部34は、健康予測部38が閾値を適用することができる(例えば、医療知識、ユーザ設定又は他の要因に基づいて)保健データを出力することができる。保健記録管理部34は、保健データの抽出を実行すると共に、該抽出されたデータからリスクパラメータを決定することができる。幾つかの実施態様において、保健記録管理部34は、リスクパラメータを、該パラメータの確認可能なステータス値が、例えば“イエス”又は“ノー”として正規化されるように発生する。例えば、ユーザは収縮期PAPが60mmHGより大きいことを(例えば、ユーザが“イエス”、“ノー”又は他の値を確認するためにクリックすることにより)確認することができる。
【0040】
保健記録管理部34は、リスクパラメータを既知のリスクパラメータから当該分野における標準的定義及び背景知識を用いて発生することができる。例えば、ユーザは、高血圧リスクパラメータが“イエス”のステータス値と確認された場合、低血圧リスクパラメータは“ノー”又は“無関係”なるステータス値と確認されるであろうという規則に従うことができる。図2A図2Cは、このようなリスクパラメータ、即ち、例示的個人に関する対応するステータス値を伴うリスクパラメータを示している。該対応するステータスは、“イエス”及び“ノー”以外の一群の値の1つと確認することができる。例えば、選択されるステータス値は、数値範囲内のもの、英数字格付け尺度におけるもの、又は“正常”、“中程度”及び“厳しい”等の他の一群の値からのものとすることができる。
【0041】
幾つかの実施態様において、保健記録管理部34は、抽出された保健データから新たな保健データを導出するために背景オントロジにおける階層的又は網状関係を活用することができる。例えば、保健記録管理部34は、SNOMED臨床用語、放射線医学語彙(RadLex)、論理的観察識別子名称及びコード(LOINC)、現行医療行為用語(CPT)、又は国際疾病分類(IDC)等の、オントロジに組み込まれた保健データを活用することができる。一実施態様において、保健記録管理部34は、保健データのオントロジへの変換に追加のマッピング処理を含めることができる。オントロジは、典型的に、“である(is-a)”及び“の一部(part-of)”等の所定の意味を有する相互関係を有する。従って、本実施態様において、保健記録管理部34により保健データが抽出される場合、該抽出される保健データに対して一層一般的である他の保健データは“である”関係を反復的にスキャンすることにより導出することができる。保健記録管理部34は、同様に、次いで他の一層一般的なコードを導出するために、コード(例えば、ICDにおける)を抽出することができる。健康予測部38は、リスクパラメータを予測する場合に、このようにして収集された保健データを活用することができる。
【0042】
幾つかの実施態様において、健康予測部38は個人のリスクパラメータを取得された医療情報(例えば、EMR)に基づいて予測することができる。幾つかの実施態様は、関連するリスクパラメータの予測に関係するユーザ/システム相互作用をサポートする。例えば、医療は保健データA、B、C及びDが糖尿病リスクパラメータを示すことが分かるかも知れないが、それでも、個人は保険データC及びDが該個人に関係していなくても糖尿病であり得る故に医療従事者が必要とされ得る。
【0043】
リスクパラメータの予測は、リスクパラメータを合成する処理の一部を形成することができ、これは予測されるリスクパラメータのステータス値を確認する処理を含む。健康予測部38は、医療情報から抽出される保健データを用いることができ、該データと可能性のあるリスクパラメータとの間の関係を判定する。一例において、真性糖尿病のリスクパラメータは、真性糖尿病を示す疾病識別子(例えば、ICDコード)、真性糖尿病を示す薬物治療リスト(例えば、積極的インシュリン使用)、又は血液検査からの検査結果を持つ(例えば、200ミリグラム(mg)/デシリットル(dL)より高いブドウ糖レベルを持つ)個人に基づいて予測することができる。健康予測部38は、当該医療情報から(例えば、保健記録管理部34により)導出された斯かる保健データ点の1以上を取得し、特定のリスクパラメータを予測することができる。幾つかの実施態様において、システム10のユーザは、合成されるとも考えられるので当該予測を確認することを必要とし得るが、他の実施態様において、特定の予測はユーザが確認を行うことを必要としないほど十分に確かなものであり得る。
【0044】
一実施態様において、健康予測部38は臨床的な前後関係情報を使用することができる。幾つかの実施態様において、健康予測部38は、予測を行うために候補リスクパラメータの間から選択する際に、斯かる候補リスクパラメータに重み係数を付すことができる。このような重み係数は人口統計情報に(例えば、アルツハイマ病のリスクパラメータに対する特定の年齢グループに属する個人に)、他の例では、人種、ジップコード、経済的状態又は他の人口統計情報に対して付与することができ、このことは、特に他のリスクパラメータよりも重く加重された場合、特定のリスクパラメータを示すことができる。重み付けられたリスクパラメータは、健康予測部38がリスクパラメータを一層高信頼度で予測することを可能にし、かくして、ユーザが予測されたリスクパラメータを確認し、個人に対してリスクパラメータを合成することを一層確かに又はありそうにする。
【0045】
幾つかの実施態様において、健康予測部38は閾レベルを含むことができる。一実施態様において、閾は、健康予測部38により予測された確実値が該閾を超えるリスクパラメータを自動的に確認するために適用することができる。即ち、システム10のユーザインターフェースは、ユーザに対し所与の閾より高い確率を有する確認可能なリスクパラメータのリストを表示することができる。当該閾レベルが交差された場合、健康予測部38は該リスクパラメータのステータス値を自動的に確認することができる。これらの実施態様において、次に最も関連がありそうなリスクパラメータは、一層効率的な態様で(例えば、1以上の明らかに関係のある又は無関係なリスクパラメータを自動的に確認することにより)、従って、幾つかの事例においては(例えば、当該医療情報から抽出された保健データが、所与のリスクパラメータに対して十分な根拠がある場合)ユーザ/システム対話を要せずに、確認するためにユーザに提示することができる。他の事例において、抽出された保健データはリスクパラメータの自動的確認のためには不十分であろう。他の実施態様においては、所定の閾により、当該リスクパラメータを提案されるステータス値に設定することができ、かくして、ユーザによる一層迅速な確認を可能にする。
【0046】
健康予測部38は、幾つかの実施態様では、各リスクパラメータに関して0~1の範囲内のステータス値を出力することができ、その際に、カラーコーティングを使用することができる。例えば、確認のためにユーザに提示される1以上の予測されたリスクパラメータは、当該リスクパラメータが確認される高い尤度を有することを強調するために赤に着色することができ、他の理由(例えば、該リスクパラメータは多数のリスクモデル依存関係を有する)で着色することができ、又は該予測されたリスクパラメータの他の特徴を意味するために着色することができる。
【0047】
健康予測部38は、当該医療情報が不完全である又は矛盾を伴う事例における場合を含み、複数の情報源からの医療情報を用いる判断ロジックを含むことができる。従って、該医療情報に含まれる保健データは一貫性が無くてもよい(例えば、或る医療文書で言及される特定のパラメータが他のものに存在しなくてもよい)。例えば、個人は該個人が現在治療を受けている場所と同一の機関で診断血液を採取していなかったとしもよく、又はインシュリンを処方した医師が当該個人の障害リストに糖尿病コードを追加していなかったとしてもよい。結果として、リスクパラメータを抽出された保健データから合成するためには(例えば、これらリスクパラメータが医療従事者により確認されることを要する場合には)簡単な判断規則は適切でないであろう。
【0048】
幾つかの実施態様において、予測されたリスクパラメータの集合は、ユーザによる検討(見直し)を容易にするために、これらパラメータの予測された関連性に基づいて等級付け、番号付け又は順序付けすることができる(例えば、最も関連がありそうだと予測されたリスクパラメータを、システム10のユーザインターフェース上のビューの目立つ位置に伴う)。従って、幾つかの事例において、当該予測は可能性として関係のあるリスクパラメータのフィルタ処理及び優先付けを含む。幾つかの実施態様において、健康予測部38は、ユーザに対して候補リスクパラメータを、これらリスクパラメータが関係することを確認するために提示することができる。幾つかの実施態様において、候補リスクパラメータの1以上は、例えば当該リスクパラメータがユーザにより関係があると確認される確率により、等級付けすることができる。幾つかの実施態様において、リスクパラメータのリストは、ユーザに対して等級付けされた順序で、及び更に又は代わりに等級付けされていない順序で表示することができる。
【0049】
幾つかのリスクパラメータは時間依存的なものであり得、ユーザがリスクパラメータを特定の時間フレーム内で確認することを必要とする。例えば、幾つかの検査結果は特定の期間(例えば、30日)だけ有効であり得、結果として、該期間外において当該検査値に基づいて確認されたリスクパラメータは実際には確認されないものと見なされ得る。他の前後状況において、リスクパラメータは関連するリスクパラメータを確認することにより確認することができる。即ち、幾つかの実施態様において、健康予測部38は、システム10における以前のユーザ対話(例えば、ユーザインターフェース部36による)に基づいて予測を行うことができる。例えば、健康予測部38は、所定の期間内に2回140mg/dLより高い一貫したブドウ糖レベルを有するというリスクパラメータを確認する結果として、糖尿病リスクパラメータを提案(例えば、強調若しくは同級付け)又は確認することができる。従って、一実施態様において、保健記録管理部34はリスクパラメータを以前に確認されたリスクパラメータに基づいて合成することができる。幾つかの実施態様において、健康予測部38は、複数のリスクパラメータを集め、集合として、他の包括的リスクパラメータを予測することができる。
【0050】
医療従事者は、リスクパラメータを異なる時間に確認することができると共に、リスクパラメータを確認する場合の異なる資格証明を有し得る。即ち、幾つかの実施態様において、確認の日付及びユーザの資格証明の両方を、予測されたリスクパラメータのステータス値を確認するために使用することができる。例えば、特定のリスクパラメータに関し、看護師は該リスクパラメータを確認することができるが、他のリスクパラメータはMDによってしか確認することができない。
【0051】
幾つかの実施態様において、健康予測部38は、各リスクパラメータに関し、保健記録管理部34から出力される抽出情報(又は複数の抽出情報)を入力として取り込む予測モデルを学習することができる。幾つかの事例において、当該出力には、より信頼可能な及び余り信頼できないデータソースを区別するために、その情報ソースのラベルが付される。これらの事例において、ソース文書抽出者又は編集者のプロファイルを、例えば上級医師(MD)により入力されたデータ、対、下位技術者により入力されたデータを区別するのを助けるために含めることができる。
【0052】
リスクパラメータを合成するための伝統的技術は時間の掛かるものであり得る(例えば、当該作業は容易ではない)一方、伝統的構成においてはリスクパラメータを編集するための制御フィールドが存在しない場合がある。リスクパラメータを合成すると共に合成されたリスクパラメータを関連性の順序で等級付けすることに加えて又は代えて、ユーザは、以前のユーザ/システム対話からの情報(例えば、以前の確認)に基づいて、当該リスクパラメータを合成し、又は合成されたリスクパラメータを等級付けすることができる。
【0053】
従って、ここでは当業技術において既知の機械学習技術を考えることができ、これら技術はロジスティック回帰、ニューラルネットワーク及びルール学習方法を含むことができる。幾つかの実施態様において、健康予測部38はリスクパラメータを予測する際に機械学習技術を適用する(例えば、周期的に)ことができる。幾つかの実施態様において、健康予測部38は、リスクパラメータを、予め定められた、アルゴリズム的に決定された、発見的に決定された、又はユーザが構成可能な規則に基づいて関係があると見なすことができる。例えば、健康予測部38は、幾つかの実施態様において、当該リスクパラメータに対して提案されるステータスを抽出された出力(例えば、保健記録管理部34からの)に基づいて発生するためにブール論理を適用することができる。例えば、健康予測部38は糖尿病リスクパラメータに関するステータス値を、“10”なるICDコードが抽出されたなら、“イエス”として合成することができる。
【0054】
幾つかの実施態様において、ユーザインターフェース部36は、ユーザがリスクパラメータのステータス値を健康予測部38により予測されたステータス値から選択することを可能にするシステム10のユーザインターフェース(例えば、計算装置18に関係する)を提供することができる。この場合、ユーザインターフェース部36は、このユーザ/システム対話(例えば、確認)を記憶する(例えば、電子記憶部22に、又は外部資源24により)ことができる。
【0055】
データベースは、保健記録管理部34により抽出された全ての値、予測されたリスクパラメータ、及びユーザインターフェースにおいて確認されたリスクパラメータのステータス値を記憶することができる。例えば、データベースは、個人の障害リストに糖尿病コードが存在し得るとしても、個人が糖尿病を有することをユーザが確認する又はしないことを記憶することができる。電子記憶部22又は外部資源24のデータベースは、幾つかの実施態様では、タイムスタンプ又はユーザの資格証明情報を更に記憶することができる。該データベースは、更に又は代わりに、前後関係情報(例えば、個人の臨床的前後関係)を記憶することができる。該データベースは、更に又は代わりに、例えば、MD、同僚、看護師、技師、請求書作成者等のユーザプロファイル情報(例えば、役割及び地位)を記憶することができる。
【0056】
ユーザインターフェース部36は、幾つかの実施態様においては、リスクパラメータを検討及び確認するための対話ユーザインターフェースを表示することができる。幾つかの実施態様において、ユーザインターフェース部36は、抽出された保健データ及び以前のユーザ/システム対話が予測されたリスクパラメータが確認されるべきであることを示す場合にユーザに通知することができる。当該ユーザは、自身がリスクパラメータのステータス値を決定したいことを独立に示すこともできる。従って、ユーザインターフェース部36はユーザインターフェース上に予測されたリスクパラメータを図2A図2Cに示されるように表示することができ、該ユーザインターフェースは、クリックされた場合に、当該予測されたリスクパラメータに関する利用可能なステータス値を表示することができる。
【0057】
一実施態様において、ユーザインターフェース部36は、ユーザに例えばキーワードを使用する候補リスクパラメータの検索フィールドを提供することができる。例えば、ユーザは、個人の医療情報(特に、アクティブ診断の障害リストにおける)を、糖尿病関係コード又はインシュリンの薬物治療リストに関して検索することができる。何れかが見付かった場合、ユーザインターフェース部36は、このことをユーザに注目させ、かくして、該ユーザが特定のリスクパラメータを効率的に確認することを補助することができる。
【0058】
幾つかの実施態様において、ユーザインターフェース部36は、例えばリスクモデルを実行した後にリスク点数情報を表示するようなユーザインターフェースをサポートすることができる。リスクモデル管理部30は、健康予測部38と協動して、何のリスクモデルを実行すべきかを知ることができる。従って、1以上のリスクパラメータを、ディスプレイにおいてユーザに対し、例えば図2A図2B及び図2Cに示されるような例示的リスクパラメータ(対応するステータス値を伴う)の表形式ビューにおいて強調させることができる。予測されたリスクパラメータの斯かる強調は、ユーザが確認することを促す。1つのリスクパラメータが確認された場合、他のものは自動的に確認され得る。従って、斯かる強調は、リスク依存関係部32により前後関係的に関係があると見なされるようなリスクモデルを駆動する全リスクパラメータの確認を促進させる助けとなり得る。例えば、リスク依存関係部32がAKIモデルは実行されるべきと見なす場合、このリスクモデルを駆動する未だ確認されていない全てのリスクパラメータは強調(例えば、強調表示)されるであろう。同様に、他の実施態様において、1以上のリスクパラメータは、これらが無関係とされたリスクモデルのみを駆動するものであるなら、強調解除され得る。
【0059】
図2Bは、視覚的に強調されたリスクパラメータ46(末期腎疾患)を、“確認するにはクリック”釦48と共に示す。もっとも、如何なる強調技術も考えられる(例えば、或るリスクパラメータが強調される場合、該リスクパラメータを当該表におけるリストの最上位とすることができるか、又は該リスクパラメータを、太字、イタリック、下線、全大文字、若しくは他の強調技術で強調することもできる)。図2Cは、リスクパラメータ46のステータスを“イエス”なるステータス値で確認されたものとして示している。結果として、高血圧症、貧血症、慢性心不全、糖尿病、年齢>75才及びクレアチニンなるリスクパラメータは無関係として確認される(例えば、自動的に)。ユーザは、次いで、リスクパラメータ50(低血圧症)に対するステータスを確認するよう促される。幾つかの実施態様において、ユーザインターフェース部36は、無関係とされるリスクモデルへの入力である全リスクパラメータをユーザインターフェースにおいて自動的に強調解除することができる。
【0060】
幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30は、リスクパラメータ、リスクモデル、これらの互いの関係、及びリスクパラメータ又はリスクモデルに関する他の側面を管理するように構成される。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、他の処理のなかでも、個人に対して関係のあるリスクパラメータ若しくはモデルの識別、又は該個人に対して無関係であるリスクパラメータ若しくはモデルの識別を容易にするように構成することができる。
【0061】
リスクモデルは、1以上のリスクパラメータの値を入力として取り込むと共に、出力として評価(例えば、有害事象の予測、個人に関する健康リスク評価、該個人に対する1以上の治療の適性評価、該個人に対する推奨度評価又は他の評価)を供給する関数を有することができる。リスクモデル管理部30は、確認されたリスクパラメータ情報及び、幾つかの実施態様では、実行された場合の他のリスクモデルの結果(例えば、点数)を用いることができる。
【0062】
リスクモデル管理部30は、確認されたリスクパラメータに基づいてリスクモデルを無関係とフラグ付けすることができる。一構成例においては、何のリスクモデルが無関係であるかを決定するために一群の規則が使用される。該規則は、リスクパラメータのブール結合に基づくものとすることができ、適切な場合、これらに対する他のリスクモデルの結果が1以上のリスクモデルが無関係であるかを示す。例えば、末期腎疾患が関係のあるリスクパラメータとして確認された場合、AKIリスクモデルは無関係にすることができる。
【0063】
幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30はリスクパラメータに基づいてリスク点数を計算することができる。リスクモデル管理部30は、リスクモデルデータベース(例えば、電子記憶部22又は外部資源24の)にアクセスすることができる。該データベースは、全てのリスク点数、これらの入力リスクパラメータ、関連性ステータス、及び他の側面を含むことができる。幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30は、臨床的前後関係(例えば、ユーザからの入力としての又は医療を受けている個人に関する医療情報から導出された)を1以上の関係のあるリスクモデルの集合に変換することができる。
【0064】
リスクモデル管理部30は、前後関係設定(例えば、PCI患者又は末期腎疾患患者のエコー解釈ワークフロー)と関係のあるリスクモデルとのマッピングを維持することができる。一実施態様において、上記前後関係設定には、当該ユーザの(例えば、介入治療心臓専門医又はエコー心臓専門医の)プロファイルに関係しない前後関係をフィルタ除去することにより到達することができる。他の実施態様において、ユーザは当該前後関係をユーザインターフェースのドロップダウンメニュから選択することもできる。幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30は、リスクモデルデータベースから、前後関係が分かる又は選択若しくは変更された場合における関係のあるリスクモデルを識別することができる。
【0065】
幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30はリスク点数の間の相互作用を管理することができる。幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30は、個人/特定のリスクパラメータ及びユーザ/システム対話データを持続させるリスクパラメータ持続記憶部(例えば、電子記憶部22又は外部資源24の)にアクセスすることができる。リスクモデル管理部30は、該リスクパラメータ持続記憶部から以前に確認されたリスクパラメータを取り出すことができる。このデータベースは、患者に関して以前に確立されたリスクパラメータを維持することができる。例えば、該データベースは、全ての確認されたリスクパラメータに関して、例えば該リスクパラメータを誰が確認したか(及び、何の個人に対して)、前後関係及び確認の日付等の特定の状況を維持することができる。該データベースには、以前に記憶されたリスクパラメータ情報に関して問い合わせることができる。一実施態様において、該データベースには個人の前後関係に基づいて問い合わせることができる。
【0066】
幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30は、1以上のグラフを発生すると共に、該発生されたグラフを記憶する(例えば、電子記憶部22の1以上のデータベース、外部資源24の1以上のデータベース又は他の宛先に)ように構成することができる。幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30はノード及び辺を有するグラフを発生するように構成され、その場合において、各辺は上記ノードのうちの2つを連結し、上記ノードは、リスクパラメータに各々対応する第1型ノード、リスクモデルに各々対応する第2型ノード、又は他のノード型の他のノードを有する。一使用事例において、第1型ノードの各々はリスク要因、リスクマーカ、臨床症状又は他のリスクパラメータを表すことができ、第2型ノードの各々はリスクモデルを表すことができる。他の使用事例において、第2型ノードの1つを表すリスクモデルの各々は、個人が1以上の健康状態を有する尤度を推定し、個人が1以上の健康状態を有する危険状態にある尤度を推定し、又は他の出力を供給するために、当該リスクパラメータの1以上の値を入力として取り込むように構成することができる。幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30は、前記グラフを1つの辺が該グラフにおける所与の第1型ノードを該グラフにおける所与の第2型ノードに、該所与の第2型ノードのリスクモデルが該所与の第1型ノードのリスクパラメータの値を入力として取り込む(例えば、個人が1以上の健康状態を有する又はその様な危険状態にある尤度を推定するために)ように構成されていることに基づいて連結するようにして発生するよう構成される。
【0067】
幾つかの実施態様において、リスクモデル管理部30は前記グラフを1以上のデータベース又は他のソースから取得するように構成される。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、取得されたグラフを処理して第1の個人に対する結果的グラフを発生するように構成される。一例として、リスク依存関係部32は該結果的グラフを、前記取得されたグラフの1以上のノード又は辺を評価し、及び/又は該取得されたグラフを上記ノード又は辺の評価に基づいて修正することにより発生することができる。他の例として、リスク依存関係部32は、前記取得されたグラフを、該取得されたグラフに1以上のノード若しくは辺を追加し、該取得されたグラフから1以上のノード若しくは辺を除去し、該取得されたグラフのノード若しくは辺の1以上の側面を修正し、又は他の修正を実行することにより修正することができる。
【0068】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、前記結果的グラフを発生したら、第1の個人の少なくとも1つの健康状態の分析を実行するために使用されるべき1以上のリスクモデルを該結果的グラフに基づいて選択するように構成される。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、リスクモデルを、前記結果的グラフにおける、当該第2型ノードを該結果的グラフの少なくとも1つの第1型ノードに連結するような少なくとも1つの辺を各々有する1以上の第2型ノードに対応する一群のリスクモデルから選択するように構成される。
【0069】
リスク依存関係部32は、リスクパラメータとリスクモデルとの間の依存関係を、例えばリスクモデルの表へのリンクを持つリスクパラメータの表を用いて決定することができる。即ち、幾つかの実施態様において、システム10のユーザは、リスク依存関係部23により、特定のリスクパラメータが特定のリスクモデルを無関係にさせるような(例えば、表の)規則を構成することができる。
【0070】
図3A図3B図3C及び図3Eは、1以上の実施態様による、無関係なリスクモデルを除去するために確認されねばならないリスクパラメータノード(第1型ノード)に辺を介して接続されたリスクモデルノード(第2型ノード)の例を有向グラフで示す。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は一群の規則を有向グラフとして準備することができ、その場合において、各有向辺は1つのリスクパラメータのステータス値又は1つのリスクモデルの結果が他のリスクモデルを無関係にするかを示すことができる。例えば、或る辺は当該リスクパラメータが確認されたなら当該リスクモデルは関係のあるものであることを示すことができる一方、他の辺は当該リスクパラメータが確認されたなら当該リスクモデルは無関係であることを示すことができる。
【0071】
図3Aは、3つのリスクパラメータ(RP)ノード及び4つのリスクモデル(RM)ノードを図示したグラフである。このグラフに示されるように、ノードRP1、RP2及びRP3は第1型のものであり、ノードRM1、RM2、RM3及びRM4は第2型のものであり、辺60、61、62、63、64及び65は2つのノードを連結している。1つの辺は、或るノードの、他のノードを無関係にし得る結果が存在することを示している。例えば、ノードRP2のノードRM2を無関係にさせるような状態が存在し得る一方、ノードRP2のノードRM3を無関係にさせるような状態が存在し得る。
【0072】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、取得されたグラフにおける第1型ノードの1つを、評価されるべきノードとして決定するように構成される。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、該決定される第1型ノード(評価されるべきノードとして)を、該第1型ノードを所与の第2型ノードに連結する辺の数に基づいて選択するように構成される。一例として、当該第1型ノードは、該第1型ノードが当該取得されたグラフにおける他の第1型ノードより多くの斯様な辺を有するとの判定に基づいて選択することができる(例えば、該選択される第1型ノードは、第1型ノードの群における全ての他の第1型ノードと比較して、所与の第2型ノードに連結する最も多い辺を有する)。他の例として、当該第1型ノードは、該第1型ノードが当該第1の取得されたグラフにおける他の第1型ノードよりも少ない斯様な辺を有するという判定に基づいて選択することができる。
【0073】
それらの相互依存関係を含み全ての潜在的に関係のあるリスクパラメータ及びリスクモデルを伴うグラフを取得した後、リスク依存関係部32は、幾つかの実施態様では、無関係にさせ得るリスクモデルへの最多の辺を有するリスクパラメータを先ず識別することにより、実行されるであろうリスクモデルを選択し始める。図3Bの例においては、このようにノードRP2が識別されるが、幾つかの事例では、リスク依存関係部32はノードRP1を代わりに識別する(又は、何れかの順序で識別する)ことができる。これは、ノードRP1及びRP2の両方が、リスクモデルを無関係にさせ得る最多の(2つの)辺を有するからである。即ち、この例において、ノードRP1及びRP2は、RM1、RM2、RM3及びRM4を無関係にすることができる。
【0074】
このようにして、リスク依存関係部32は健康予測部38と作用し合うことができる。健康予測部38は、ノードRP2の内容を強調し又は候補リストの最上部(図2Aに示されたように、表の最初の行)に配置するよう促され得るからである。ノードRP2のステータス値を確認すると(例えば、“ノー”なるステータス値で確認される)、リスク依存関係部32はノードRM3を、図3C図3Eに示されるように、該ノードを当該グラフから除去することにより無関係にすることができる。この例において、ノードRP2を確認することはノードRM2を関係あるものとさせ、このことが、リスク依存関係部32が該ノードを当該グラフから除去しない理由である。
【0075】
図3B及び図3Cにより図示された例においては、辺64及び62の両方が除去されているが、これは単なる構成固有の細部であり、異なるアプローチも考えられる。例えば、リスクパラメータが確認された後、リスク依存関係部32はリスクモデルを無関係にさせる辺及びノードのみを除去することもできる。同様に、幾つかの実施態様において、確認されたリスクパラメータ(例えば、ノードRP2)は除去され得る(図3C図3Eに示されるように)が、他の構成例において、ノードRP2は当該グラフに残存することができる。他の実施態様において、1以上のリスクパラメータ又は辺は、隠蔽することができ、又は、それ以外として、これらの関係性に従って(例えば、カラー又は断続線により)表示することができ。
【0076】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、第1個人に関して第1型ノード(評価されるべく選択された)のリスクパラメータの値を確認するように構成することができる。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、ユーザにより関係があると確認されたリスクパラメータに基づいて、1以上の他のリスクパラメータ(例えば、ユーザにより確認されていないパラメータ)を無関係とフラグ付けすることができる。また、リスク依存関係部32は、決定されたリスクパラメータと既知のリスクモデルとの間の依存関係を利用することもできる。
【0077】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、得られたグラフから、当該第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて、第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺(例えば、第1型ノードを第2型ノードに連結する辺を含む)の除去を行うように構成される。幾つかの実施態様において、得られたグラフからの辺又はノードの除去は、該辺又はノードの得られたグラフからの削除を含む。幾つかの実施態様において、得られたグラフからの辺又はノードの除去は、該辺又はノードの、第1の個人に関する解析を行うために使用されるべきリスクモデルを選択する際に該辺又はノードが考慮されないことを示すような値によるラベル付けを有する。
【0078】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、リスクパラメータが確認され又は他のリスクモデルの結果が計算された場合に、ノード及び辺の有向グラフを更新することができる。該グラフは、他のリスクモデルを無関係にさせない辺又はノードを除去することにより更新することができる。例えば、末期腎疾患リスクパラメータが設定(例えば、“ノー”、“偽”又は他の設定に)された場合、このリスクパラメータは、異なって(例えば、“イエス”、“真”又は他の設定)設定された場合に当該辺が無関係にさせたであろうリスクモデルへの自身の辺の全てと共に当該グラフから除去することができる。
【0079】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、第2型リスクノードのリスクモデルが関連性閾値を満足するかを第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて判定するように構成される。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺(例えば、第1型ノード及び第2型ノードを連結する辺を含む)を、該第2型ノードのリスクモデルが関連性閾値を満足しないとの判定に応答して除去するように構成される。
【0080】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、第2型ノードを当該得られたグラフから第1型ノード(除去前に、当該第2型ノードと辺を共有する)のリスクパラメータの値に基づいて除去するように構成することができる。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、第2型ノードを当該得られたグラフから、該第2型ノードのリスクモデルが関連性閾値を満足しないとの判定に応答して除去するように構成される。一例として、第2型ノードのリスクモデルが関連性閾値を満足しないかの判定は、第1型ノードのリスクパラメータの値に基づくものとすることができる。
【0081】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、得られたグラフから1以上の他のノードを、斯かる他のノードの各辺の数に基づいて除去するように構成される。幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、得られたグラフから1以上の他の第1型ノードを、斯かる他の第1型ノードを所与の第2型ノードに(例えば、当該グラフ内に残存する何れかの第2型ノードに)連結する当該他の第1型ノードの各辺の数に基づいて除去するように構成される。一例として、得られたグラフの当該処理(その間に1以上の辺又はノードが除去される)は、該グラフの1以上のノードが、自身を特定の型のノードに連結する辺を有さないようにさせることができる。例えば、一使用事例において、所与の第1型ノード(リスクパラメータを表す)が、該所与の第1型ノードを何れかの第2型ノード(リスクモデルを表す)に連結する辺を、1以上の第2型ノード(当該所与の第1型ノードが連結されていた)の除去の後に最早有さない場合、該所与の第1型ノード(及び/又は該ノードのリスクパラメータ)は、無関係と見なされ得ると共に、当該得られたグラフから除去され得る。このようにして、結果としてのグラフに表される如何なるリスクモデルにも最早関係が無いリスクパラメータは、例えば、個人の健康状態の解析を行う場合に斯様なリスクパラメータを考慮する必要性を該結果的グラフに基づいて回避するために除去することができる。
【0082】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、未だ無関係とされていない何れかのリスクモデルを無関係にさせ得る如何なるリスクパラメータも候補リストに追加することができる。複数の候補リスクパラメータが存在する場合、最高に順位付けされるリスクパラメータは、最大の出次数(即ち、最大数(out-degree)のリスクモデルを無関係にさせる辺)を有するリスクパラメータである。
【0083】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、他の候補リストに如何なる他のリスクパラメータの確認又は如何なる他のリスクモデル(例えば、当該グラフにおける確認されていないリスクパラメータからの入力辺を有さない何れかのリスクモデル)の結果によっても無関係にすることができない如何なるリスクモデルも追加するために、全ての確認されたリスクパラメータを考慮することができる。図3DにおけるノードRM2は、このような例である。この技術により、有害事象を予測するために使用されるリスクモデルの数が低減される。この数は、幾つかの実施態様においては、確認されていないリスクパラメータからの最小数の辺を有するリスクモデル(又は複数のリスクモデル)の選択に基づいて更に低減することができる。
【0084】
幾つかの実施態様において、リスク依存関係部32は、自身が無関係にさせることができるリスクモデルノードへの辺を有する他のリスクパラメータノードを識別することができる。このように、リスク依存関係部32は、反復的にリスクパラメータノードを識別し、オプションとして当該リスクパラメータをユーザに対して確認のために強調し(例えば、ユーザインターフェース上で)、次いで、該リスクパラメータが特定のステータス値で確認された場合に無関係にされるリスクモデルノードへの辺を除去することができる。例えば、図3C図3Eに図示されるように、リスク依存関係部32はノードRM1又はノードRM2の何れも無関係にすることができない。この場合、リスク依存関係部32は、3つのリスクモデル(ノードRM1、RM2及びRM4の)が所望の情報(例えば、当該個人が1以上の健康状態を有する若しくは有する危険状態がある又は有害事象を生じさせる若しくは生じさせる危険状態がある尤度に関する情報)を予測するために実行することに関連すると判定することができる。他の例(図示略)において、ノードRP1の異なるステータス値での確認は、ノードRM1及びRM4の両方を無関係にし得、ユーザに対し実行すべき1つのみの関連するリスクモデル(即ち、ノードRM2のリスクモデル)を残存させる。この他の例において、ユーザは、前よりも更に少ない数の実行すべきリスクモデルを有することになり、このことは、所望の情報を決定するためにリスクモデルを実行するための実行時間を改善する。
【0085】
図1に戻ると、電子記憶部22は情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を有する。電子記憶部22の該電子記憶媒体は、システム10と一体的に設けられるシステム記憶部、及び/又は例えばポート(例えば、USBポート、ファイヤーワイヤポート等)若しくはドライブ(例えば、ディスクドライブ等)を介してシステム10に取外し可能に接続することができる取外し可能な記憶部の一方又は両方を有することができる。電子記憶部22は、(全体として又は部分的に)システム10内の別個の部品とすることができ、又は、電子記憶部22は(全体として又は部分的に)システム10の1以上の他の要素(例えば、計算装置18、プロセッサ20等)と一体的に設けることができる。幾つかの実施態様において、電子記憶部22は、プロセッサ20と一緒にサーバ内に、外部資源24の一部であるサーバ内に、計算装置18内に、及び/又は他の場所に配置することができる。電子記憶部22は、光学的に読取可能な記憶媒体(例えば、光ディスク等)、磁気的に読取可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EPROM、RAM等)、固体記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ等)及び/又は他の電子的に読取可能な記憶媒体の1以上を有することができる。電子記憶部22は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ20により取得された及び/又は決定された情報、計算装置18及び/又は他の外部計算システムを介して受信された情報、外部資源24から受信される情報、及び/又はシステム10が本明細書に記載されるように機能することを可能にする他の情報を記憶することができる。
【0086】
外部資源24は、情報のソース(例えば、データベース、ウエブサイト等)、システム10に参加する外部主体(例えば、患者の人口調査情報を記憶する医療施設の医療記録システム)、システム10の外部の1以上のサーバ、ネットワーク(例えば、インターネット)、電子記憶部、Wi-Fi(登録商標)技術に関係する装置、ブルートゥース(登録商標)に関係する装置、データ入力装置、及び/又は他のソースを含む。幾つかの構成例において、本発明において外部資源24に帰属する機能の幾つか又は全ては、システム10に含まれる資源により提供され得る。外部資源24は、プロセッサ20、計算装置18、電子記憶部22及び/又はシステム10の他の構成要素と、有線及び/又は無線接続を介して、ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク及び/又はインターネット等)を介して、セルラ技術を介して、Wi-Fi(登録商標)技術を介して、及び/又は他の資源を介して通信するように構成することができる。
【0087】
図4は、1以上の実施態様による、グラフの生成により健康状態の計算解析を容易化する方法100を示す。方法100は、1以上のハードウェアプロセッサ及び/又は他の構成要素を有するコンピュータシステムにより実行することができる。これらハードウェアプロセッサは、コンピュータプログラム要素を実行するマシン読取可能な命令により構成される。以下に示される方法100の動作は、解説的であることを意図するものである。幾つかの実施態様において、方法100は、記載されない1以上の追加の処理により、及び/又は説明される処理の1以上を伴わないで実現することができる。更に、方法100の処理が図4に示されると共に以下に説明される順序は、限定することを意図するものではない。
【0088】
幾つかの実施態様において、方法100は、1以上の処理装置(例えば、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズム)において実施することができる。これら処理装置は、方法100の処理の幾つか又は全てを、電子記憶媒体上に電子的に記憶された命令に応答して実行する1以上の装置を含むことができる。これら処理装置は、ハードウェア、ファームウエア及び/又はソフトウェアにより、方法100の処理の1以上を実行するように特別に設計されるよう構成された1以上の装置を含むことができる。
【0089】
処理102においては、ノード及び辺を有するグラフが取得され、これらノードはリスクパラメータに対応する第1型ノード及びリスクモデルに対応する第2型ノードを有する。一例として、リスクパラメータは、リスク要因、リスクマーカ、又は他のリスクパラメータを有することができる。上記リスクモデルは、個人が1以上の健康状態を有する尤度を推定し、個人が1以上の健康状態を有する危険状態にある尤度を推定し、又は他の出力を供給するために、前記リスクパラメータの1以上の値を入力として取り込むように構成することができる。幾つかの実施態様において、処理102は、リスクモデル管理部30(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0090】
処理104においては、第1型ノードのうちの評価されるべきものが、そのように決定される。一例として、当該第1型ノードは、第1型ノードから(評価されるべきノードとして)、該第1型ノードを所与の第2型ノードに連結する辺の数に基づいて(例えば、他の第1型ノードより多くの斯様な辺を有する選択された第1型ノード、他の第1型ノードより少ない斯様な辺を有する選択された第1型ノード、又は斯様な辺の数に関する他の基準に基づいて)選択することができる。幾つかの実施態様において、処理104は、リスク依存関係部32(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0091】
処理106においては、第1型ノードのリスクパラメータの値が第1の個人に関して決定され得る。幾つかの実施態様において、処理106は、リスク依存関係部32(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0092】
処理108においては、第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺(第1型ノード及び第2型ノードを連結する辺を含む)を、前記取得されたグラフから第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて除去することができる。一例として、該除去は、当該取得されたグラフから辺を削除することにより実行することができる。他の例として、該除去は、当該辺に該辺がリスクモデル(第1の個人に関して解析を行うために使用されるべき)を選択する際に考慮されるべきでないことを示す値によりラベル付けすることにより実行することができる。幾つかの実施態様において、処理108は、リスク依存関係部32(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0093】
処理110においては、結果的グラフに基づいて、1以上のリスクモデルを、第1の個人の少なくとも1つの健康状態の解析を行うために使用されるべきものとして選択することができる。一例として、当該リスクモデルは、結果的グラフにおける当該第2型ノードを該結果的グラフにおける少なくとも1つの第1型ノードに連結する少なくとも1つの辺を各々有する1以上の第2型ノードに対応するリスクモデルの集合から選択することができる。幾つかの実施態様において、処理110は、リスクモデル管理部30(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0094】
幾つかの実施態様において、方法100は、選択されたリスクモデルに基づいて、第1の個人の少なくとも1つの健康状態に関する1以上の予測を発生するステップを更に有する。幾つかの実施態様において、上記処理は、リスクモデル管理部30(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0095】
幾つかの実施態様において、方法100は、第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて、第2型ノードのリスクモデルが関連性閾値を満足するかを判定するステップを更に有する。幾つかの実施態様において、上記処理は、リスク依存関係部32(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。幾つかの実施態様において、処理108に関し、第2型ノードを第1型ノードに連結する辺は、第2型ノードのリスクモデルが関連性閾値を満足しないとの判定に応答して除去することができる。
【0096】
幾つかの実施態様において、方法100は、前記取得されたグラフから1以上の他の第1型ノードを、当該他の第1型ノードを所与の第2型ノードに連結する該他の第1型ノードの辺の各数に基づいて除去するステップを更に有する。幾つかの実施態様において、上記処理はリスク依存関係部32(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0097】
幾つかの実施態様において、方法100は、前記第1型ノードを第2型ノードに連結する辺の前記取得されたグラフからの除去に続いて、当該取得されたグラフにおける他の第1型ノードであって、該他の第1型ノードを該取得されたグラフにおける他の第2型ノードに連結する辺を有する他の第1型ノードを決定するステップ;第1の個人に関する該他の第1型ノードのリスクパラメータの値を決定するステップ;及び前記他の第2型ノードを1以上の第1型ノードに連結する1以上の辺(他の第1型ノードを他の第2型ノードに連結する辺を含む)を、当該取得されたグラフから、前記他の第1型ノードのリスクパラメータの値に基づいて除去するステップを更に有する。幾つかの実施態様において、上記処理は、リスク依存関係部32(図1に図示され、本明細書に記載された)と同一の又は同様のプロセッサ要素により実行される。
【0098】
上述した説明は、現在のところ最も実際的且つ好ましい実施態様と考えられるものに基づいた解説のための詳細を提供するものであるが、このような詳細は解説目的だけのものであり、当該開示は明示的に開示された実施態様に限定されるものではなく、それとは逆に、添付請求項の趣旨及び範囲内に入る変更例及び等価な構成をカバーすることを意図するものであると理解されるべきである。例えば、本開示は、可能な範囲において、如何なる実施態様の1以上のフィーチャも何れかの他の実施態様の1以上のフィーチャと組み合わせることができることを想定していると理解されるべきである。
【0099】
尚、請求項において、括弧内の如何なる符号も当該請求項を限定するものとみなしてはならない。また、“有する”又は“含む”なる文言は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。また、幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これら手段の幾つかは1つの同一のハードウェア品目により具現化することができる。また、単数形の要素は、複数の斯様な要素の存在を排除するものではない。また、幾つかの手段を列挙する如何なる装置の請求項においても、これら手段の幾つかは1つの同一のハードウェア品目により具現化することができる。また、特定の要素が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら要素を組み合わせて使用することができないということを示すものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4