(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】断熱吸引システムを備える電気外科用医療装置ハンドピース
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2019547571
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(86)【国際出願番号】 US2017048114
(87)【国際公開番号】W WO2018093433
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2019-08-30
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519177530
【氏名又は名称】アースレックス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ランドール エル.ハッカー
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミア ディー.コールドウェル
(72)【発明者】
【氏名】リアンダー リベラ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジェイ.タフト
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0179157(US,A1)
【文献】特開2014-133168(JP,A)
【文献】米国特許第05843019(US,A)
【文献】特開2000-060868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するための電気外科用器具であって、
シャフトと、
電極アセンブリであって、
少なくとも1つの活性電極と、
少なくとも1つの絶縁体を介して前記活性電極から分離される少なくとも1つの対極板とを具備し、
前記少なくとも1つの絶縁体は、手術部位から吸引された物質を受け取り、前記吸引された物質を前記電気外科用器具内で通過させるように構成された内部吸引収集チャンバを形成し、
前記内部吸引収集チャンバは少なくとも1つの吸引入口と流体連通する、電極アセンブリと、
手術部位から物質を除去する吸引システムであって、前記吸引システムは、前記シャフトを通って延びるチャネルと、前記内部吸引収集チャンバと、前記少なくとも1つの吸引入口とによって形成された少なくとも1つの導管を備える、吸引システムと、を具備し、
前記少なくとも1つの活性電極は、前記少なくとも1つの活性電極の外面から前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸に向かって内方に延びる支持アームを備え、それによって、前記支持アームは、前記吸引システムの前記チャネルの遠位端にてネジ山に螺着されるように構成されるネジ山付き支持オリフィスを備える、電気外科用器具。
【請求項2】
前記少なくとも1つの絶縁体は、前記吸引システムの前記チャネルの遠位先端に結合され、かつ、前記少なくとも1つの活性電極の前記外面を用いて前記少なくとも1つの活性電極を支持し、前記少なくとも1つの活性電極の前記外面は、前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸と直交しない、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項3】
前記少なくとも1つの活性電極の前記外面は、前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸と概ね平行に位置決めされる、請求項2に記載の電気外科用器具。
【請求項4】
前記少なくとも1つの絶縁体によって前記少なくとも1つの活性電極の前記外面を前記電気外科用器具の前記シャフトから分離する、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項5】
前記ネジ山付き支持オリフィスは、前記吸引システムの前記内部吸引収集チャンバを前記吸引システムの前記少なくとも1つのチャネルに結合する、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項6】
前記内部吸引収集チャンバの長手方向軸を、前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸と非平行に位置決めする、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項7】
前記内部吸引収集チャンバの長手方向軸を前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸と直交するように位置決めする、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項8】
前記内部吸引収集チャンバは、遠位線形表面、第1の近位線形表面及び第2の近位線形表面によって少なくとも部分的に画定された細長いチャンバである、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項9】
前記遠位線形表面は、前記第1及び第2の近位線形表面と位置合わせされ、それぞれが前記内部吸引収集チャンバの長手方向軸と位置合わせされ、前記内部吸引収集チャンバの長手方向軸は、前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸と直交して位置決めされる、請求項8に記載の電気外科用器具。
【請求項10】
前記内部吸引収集チャンバは、第1の区画及び第2の区画から形成され、それによって、 前記第1の区画は、前記第2の区画よりも大きな断面積を有し、前記第1の区画は、前記第2の区画よりも前記少なくとも1つの活性電極に近接して位置決めされる、請求項8に記載の電気外科用器具。
【請求項11】
組織を処置するための電気外科用器具であって、
シャフトと、
電極アセンブリであって、
少なくとも1つの活性電極と、
少なくとも1つの絶縁体を介して前記活性電極から分離される少なくとも1つの対極板とを具備し、
前記少なくとも1つの絶縁体は、手術部位から吸引された物質を受け取り、前記吸引された物質を前記電気外科用器具内で通過させるように構成された内部吸引収集チャンバを形成し、
前記内部吸引収集チャンバは少なくとも1つの吸引入口と流体連通する、電極アセンブリと、
手術部位から物質を除去する吸引システムであって、前記吸引システムは、前記シャフトを通って延びるチャネルと、前記内部吸引収集チャンバと、前記少なくとも1つの吸引入口とによって形成された少なくとも1つの導管を備える、吸引システムと、を具備し、
前記少なくとも1つの絶縁体は、ポケットであって、その中に前記活性電極の支持アームの一部が延びるポケットを備え、前記活性電極の近位方向対向面が、前記少なくとも1つの絶縁体の遠位方向対向面に接触し、前記少なくとも1つの絶縁体の近位方向対向面を前記電気外科用器具の遠位方向対向面に接触させ、それによって、前記活性電極の前記支持アームが前記吸引システムの前記チャネルに螺合するときに前記活性電極の前記支持アームが前記少なくとも1つの絶縁体を前記吸引システムの前記チャネルに固定できるようにすることによって、前記活性電極及び前記少なくとも1つの絶縁体を前記吸引システムの前記チャネルに固定する、電気外科用器具。
【請求項12】
前記活性電極の外面がサンドブラスト仕上げ粗面である、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項13】
前記少なくとも1つの絶縁体はセラミックから形成される、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項14】
前記吸引システムの前記導管の一部を形成する前記チャネルの位置を、前記チャネルと前記シャフトとの間の空洞に注入された膨張物質を介して維持する、請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項15】
組織を処置するための電気外科用器具であって、
シャフトと、
電極アセンブリであって、
少なくとも1つの活性電極と、
少なくとも1つの絶縁体を介して前記活性電極から分離される少なくとも1つの対極板とを具備し、
前記少なくとも1つの絶縁体は、手術部位から吸引された物質を受け取り、前記吸引された物質を前記電気外科用器具内で通過させるように構成された内部吸引収集チャンバを形成し、
前記内部吸引収集チャンバは少なくとも1つの吸引入口と流体連通する、電極アセンブリと、
手術部位から物質を除去する吸引システムであって、前記吸引システムは、前記シャフトを通って延びるチャネルと、前記内部吸引収集チャンバと、前記少なくとも1つの吸引入口とによって形成された少なくとも1つの導管を備える、吸引システムと、を具備する、電気外科用器具において、
前記少なくとも1つの絶縁体は、前記吸引システムの前記チャネルの遠位先端に結合され、前記電気外科用器具の前記シャフトの長手方向軸と直交しない外面によって前記少なくとも1つの活性電極を支持し、
前記少なくとも1つの活性電極は、前記外面から前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸に向かって内方に延びる支持アームを備え、それによって、前記支持アームは、前記吸引システムの前記チャネルの遠位端にてネジ山に螺着されるように構成されるネジ山付き支持オリフィスを備える、電気外科用器具。
【請求項16】
前記少なくとも1つの活性電極の前記外面は、前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸に概ね平行に位置決めされ、前記少なくとも1つの活性電極の前記外面は、前記少なくとも1つの絶縁体によって前記電気外科用器具の前記シャフトから分離され、前記ネジ山付き支持オリフィスは、前記吸引システムの前記内部吸引収集チャンバを前記吸引システムの前記少なくとも1つの導管に結合する、請求項15に記載の電気外科用器具。
【請求項17】
前記内部吸引収集チャンバは、遠位線形表面、第1の近位線形表面及び第2の近位線形表面によって少なくとも部分的に画定された細長いチャンバであり、前記遠位線形表面は、前記第1及び第2の近位線形表面と位置合わせされ、それぞれが前記内部吸引収集チャンバの長手方向軸と位置合わせされ、前記内部吸引収集チャンバの長手方向軸は、前記吸引システムの前記チャネルの長手方向軸と直交して位置決めされ、前記内部吸引収集チャンバは、第1の区画及び第2の区画から形成され、それによって、前記第1の区画は前記第2の区画よりも大きい断面積を有し、前記第1の区画は前記少なくとも1つの活性電極に近接して位置決めされる、請求項15に記載の電気外科用器具。
【請求項18】
前記少なくとも1つの絶縁体は、ポケットであって、その中に前記活性電極の前記支持アームの一部が延びるポケットを備え、前記活性電極の近位方向対向面が、前記少なくとも1つの絶縁体の遠位方向対向面に接触し、前記少なくとも1つの絶縁体の近位方向対向面を前記電気外科用器具の遠位方向対向面に接触させ、それによって、前記活性電極の前記支持アームが前記電気外科用器具の前記シャフトに螺合するときに前記活性電極の前記支持アームが前記少なくとも1つの絶縁体を前記電気外科用器具の前記シャフトに固定できるようにすることによって、前記活性電極及び前記少なくとも1つの絶縁体を前記電気外科用器具の前記シャフトに固定する、請求項15に記載の電気外科用器具。
【請求項19】
前記活性電極の外面がサンドブラスト仕上げ粗面であり、前記少なくとも1つの絶縁体はセラミックから形成される、請求項15に記載の電気外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気外科用医療装置に概ね関し、さらに詳細には、医療処置にて患者の組織を切除するように構成された電気外科用医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切除装置は、さまざまな医療処置にて患者の組織を除去するために使用されてきた。多くの切除装置は、手術部位から切除された組織および体液を除去する吸引システムを備える。いくつかの装置は、切除ハンドピース内に吸引システムを備え、切除ハンドピースの遠位先端に吸引入口を備える。切除物質は、遠位先端の吸引入口を通って吸引システム内に吸引される。吸引システムでは、物質が収集され、後で除去される。このような従来の吸引システムの多くは、外科手術中に詰まって使用できなくなる。多くの場合、吸引システムの側面では、吸引システムのこのような側面は、吸引システム内の吸引された物質が吸引システムの壁に溶着する程度に活性電極によって加熱されるため、切除ハンドピースの遠位先端にて詰まりが発生する。溶融した吸引物質は、切除装置にとって非常に問題があることが明らかである。このため、手持ち式切除装置用のいっそう頑強な吸引システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
電極アセンブリを介して組織を治療する電気外科用器具が開示される。この電気外科用器具は、少なくとも1つの活性電極と、吸引された物質を収集し、そのような吸引された物質を手術部位から除去して、物質が溶融して吸引システムが詰まりを起こすのを防止するように構成された吸引システムと、を有する。少なくとも1つの実施形態では、吸引システムは、吸引された物質が吸引システム内で溶融して吸引システムを詰まらせるのを防止するために吸引物質を収集し、吸引物質を断熱するために器具の遠位端に配置された内部吸引収集チャンバを備えてもよい。内部吸引収集チャンバはこのほか、内部吸引収集チャンバの露出を、活性電極から電気外科用器具のシャフト内に位置決めされた吸引システムのチャネルまで延びる最小サイズの支持アームに制限することによって、活性電極からの加熱を低減してもよい。吸引システムは、吸引された物質の溶融を排除しないにしても減少させるために、1つ又は複数の断熱物質から形成されてもよい。吸引システムは、吸引システムとシャフトとの間の空洞に注入された膨張物質を介して電気外科用器具のシャフト内の所定位置に維持されてもよい。電気外科用器具はこのほか、ウォームアップ期間を必要とせずに始動時から一貫した性能を提供するためにサンドブラスト仕上げ粗面を有する活性電極を介して従来のシステムよりも効率的に動作するように構成されてもよい。
【0004】
少なくとも1つの実施形態では、組織を治療するための電気外科用器具は、シャフトと、電極アセンブリと、1つ又は複数の活性電極と、少なくとも1つの絶縁体を介して活性電極から分離されている1つ又は複数の対極板と、を備えてもよい。電気外科用器具は、手術部位から吸引された物質を受け取り、吸引された物質を電気外科用器具内に通過させるように構成された内部吸引収集チャンバを形成する1つ又は複数の絶縁体を備えてもよい。内部吸引収集チャンバは、1つ又は複数の吸引入口と流体連通してもよい。電気外科用器具は、手術部位から物質を除去する吸引システムを備えてもよい。吸引システムは、シャフトを通って延びるチャネルと、内部吸引収集チャンバと、吸引入口とによって形成された1つ又は複数の導管を備える。
【0005】
絶縁体は、非限定的にセラミックなどの非導電性物質から形成されて、吸引された物質内の任意の物質の最低融点未満の温度を維持してもよい。絶縁体は、吸引システムのチャネルの遠位先端に結合され、吸引システムのチャネルの長手方向軸に直交しないほぼ平坦な外面を有する活性電極を支持してもよい。少なくとも1つの活性電極のほぼ平坦な外面は、吸引システムのチャネルの長手方向軸と実質的に平行に位置決めされてもよい。活性電極の外面は、絶縁体によって電気外科用器具のシャフトから分離されてもよい。
【0006】
活性電極は、活性電極のほぼ平坦な外面から吸引システムのチャネルの長手方向軸に向かって内方に延びる支持アームを備えてもよい。それによって支持アームは、吸引システムのチャンネルの遠位端にてネジ山に螺着するように構成されたネジ山付き支持オリフィスを備える。ネジ山付き支持オリフィスは、吸引システムの内部吸引収集チャンバを吸引システムの導管に結合してもよい。
【0007】
絶縁体内の内部吸引収集チャンバの長手方向軸を、吸引システムのチャネルの長手方向軸と非平行に位置決めしてもよい。少なくとも1つの絶縁体内の内部吸引収集チャンバの長手方向軸を、吸引システムのチャネルの長手方向軸と直交するように位置決めしてもよい。内部吸引収集チャンバは、遠位線形表面、第1の近位線形表面および第2の近位線形表面によって少なくとも部分的に画定される細長いチャンバであってもよい。遠位線形表面は、第1および第2の近位線形表面と位置合わせされてもよく、それぞれが内部吸引収集チャンバの長手方向軸と位置合わせされる。内部吸引収集チャンバの長手方向軸は、吸引システムのチャネルの長手方向軸と直交して位置決めされてもよい。内部吸引収集チャンバは、第1の区画と第2の区画とから形成されてもよく、それによって、第1の区画は第2の区画よりも大きい断面積を有し、第1の区画は第2の区画よりも活性電極に近接して位置決めされる。絶縁体は、ポケットであって、その中に活性電極の支持アームの一部が延在するポケットを備える。このポケットでは、活性電極の近位方向対向面が絶縁体の遠位方向対向面と接触し、絶縁体の近位方向対向面を電気外科用器具の遠位方向対向面と接触させ、それによって、活性電極の支持アームが電気外科用器具のシャフトに螺合されるときに、活性電極の支持アームが電気外科用器具のシャフトに絶縁体を固定することを可能にすることによって、活性電極および絶縁体を電気外科用器具のシャフトに固定する。
【0008】
電気外科用器具はこのほか、サンドブラスト仕上げ外面に限定されないがサンドブラスト仕上げ外面のような粗面を有する活性電極を介して従来のシステムよりも効率的に作動し、ウォームアップ期間を必要とせずに始動時から一貫した性能を提供するように構成されてもよい。粗面によって、活性電極は、始動期間及び定常状態操作を通して一貫して作動する。
【0009】
電気外科用器具は、吸引システムの導管の一部を形成するチャネルの位置が、チャネルとシャフトとの間の空洞に注入された膨張物質を介して維持されるように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、吸引システムは、注入オーバーモールドによってシャフト内の所定位置に維持されてもよい。
【0010】
電気外科用器具の利点には、電気外科用器具が、吸引された物質を収集し、そのような吸引された物質を手術部位から除去して、吸引された物質が溶融して吸引システムが詰まりを起こすのを防止するように構成された非導電性内部吸引収集チャンバを備えることが挙げられる。
【0011】
電気外科用器具の別の利点には、内部吸引収集チャンバを形成する絶縁体が活性電極と最小限接触し、それによって絶縁体および内部吸引収集チャンバの加熱が軽減することが挙げられる。
【0012】
電気外科用器具のさらに別の利点には、活性電極が、サンドブラスト仕上げ外面に限定されないがサンドブラスト仕上げ外面のような粗面を備え、ウォームアップ期間を必要とせずに始動時から一貫した性能を提供し、それによって従来のシステムより効率的に動作することが挙げられる。
【0013】
電気外科用器具の別の利点には、吸引システムの一部を形成するチャネルの位置が、チャネルとシャフトとの間の空洞に注入された膨張物質を介して維持され得るように電気外科用器具が構成され、それによって、完全ではないにしても、電気外科用器具の外側シャフト内の構成要素のいかなる移動もほぼ排除し得ることが挙げられる。
【0014】
このような実施形態をはじめとする実施形態を以下にてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】電極アセンブリを介して組織を治療するための電気外科用器具の斜視図。
【
図3】
図2の細線3‐3で切断した電気外科用器具の遠位端の詳細図。
【
図4】
図3の切断線4‐4で切断した電気外科用器具の遠位端の断面斜視図。
【
図6】
図3の切断線4‐4で切断した電気外科用器具の遠位端の断面側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図6に示すように、電極アセンブリ12を介して組織を治療するための電気外科用器具10が開示される。この電気外科用器具は、吸引された物質を収集し、手術部位20からこのような吸引された物質18を除去するように構成された少なくとも1つの活性電極14および吸引システム16を有し、物質18が溶融し、それによって吸引システム16を詰まらせることを防止する。少なくとも1つの実施形態では、吸引システム16は、吸引された物質18を収集し、吸引された物質18を断熱して吸引された物質18が吸引システム16内で溶融し、それによって吸引システム16を詰まらせるのを防止するために器具10の遠位端24に位置決めされた内部吸引収集チャンバ22を備えてもよい。内部吸引収集チャンバ22はこのほか、内部吸引収集チャンバ22の露出を、活性電極14から電気外科用器具10のシャフト30内に位置決めされた吸引システム16のチャネル28まで延びる最小サイズの支持アーム26に限定することによって、活性電極14からの熱を軽減させてもよい。吸引システム16は、吸引された物質の溶融を排除しないまでも軽減するために、1つ又は複数の断熱物質から形成されてもよい。吸引システム16は、吸引システム16とシャフト30との間の空洞32内に注入された膨張物質を介して電気外科用器具10のシャフト30内の所定の位置に維持されてもよい。電気外科用器具10はこのほか、ウォームアップ期間を必要とせずに起動時から一貫した性能を提供するためにサンドブラスト仕上げ粗面42を有する活性電極14を介して従来のシステムよりも効率的に動作するように構成されてもよい。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、電気外科用器具10は、
図1および
図2に示すように、ハンドル36から遠位方向に延びるシャフト30を備えてもよい。シャフト30は、電極アセンブリ12を支持し、手術中の電極アセンブリ12の使用を容易にするための任意の適切なサイズおよび構成を有してもよい。ハンドル36も同じように、電極アセンブリ12を支持し、手術中の電極アセンブリ12の使用を容易にするための任意の適切なサイズおよび構成を有してもよい。シャフト30およびハンドル36は、任意の適切な物質から形成されてもよい。
【0018】
電気外科用器具10は、
図1~
図6に示すように、1つ又は複数の活性電極14および1つ又は複数の対極板38によって形成された電極アセンブリ12を備えてもよい。対極板38は、少なくとも1つの絶縁体40を介して活性電極14から分離されてもよい。活性電極14は、少なくとも1つの外面42が露出した状態で、内部吸引収集チャンバ22の遠位端42上に位置決めされてもよい。対極板38は、内部吸引収集チャンバ22の遠位端42の近傍に位置決めされるが、絶縁体40を介して活性電極14から分離されてもよい。対極板38は、露出した少なくとも1つの外面44を備えてもよい。少なくとも1つの実施形態では、絶縁体40は、手術部位20から吸引された物質18を受け取り、吸引された物質18を電気外科用器具10内に通過させるように構成された内部吸引収集チャンバ22を形成してもよい。内部吸引収集チャンバ22は、少なくとも1つの吸引入口46と流体連通してもよい。電気外科用器具10は、手術部位20から物質18を除去する吸引システム16を備えてもよい。それによって、吸引システム16は、シャフト30を通って延びるチャネル28、内部吸引収集チャンバ22および吸引入口46によって形成された1つ又は複数の導管48を備える。
【0019】
少なくとも1つの実施形態では、活性電極14の外面42は、活性電極14と対極板38との間のエネルギー伝達を促進するように構成されてもよい。絶縁体40は、吸引システム16のチャネル28の遠位先端50に結合されてもよく、活性電極14を支持してもよい。活性電極14は、吸引システム16のチャネル28の長手方向軸52に直交せず、実質的に平面であり得る外面42を備えてもよい。活性電極14のほぼ平坦な外面42は、吸引システム16のチャネル28の長手方向軸52と概ね平行に位置決めされてもよい。外面42は、絶縁体40によって電気外科用器具10のシャフト30から分離されてもよい。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、活性電極14は、
図4および
図6に示すように、活性電極14のほぼ平坦な外面42から吸引システム16のチャネル28の長手方向軸52に向かって内方に延びる支持アーム26を備えてもよい。支持アーム26は、吸引システム20のチャネル28の遠位端50にてネジ山56に螺着されるように構成されたネジ山付き支持オリフィス54を備えてもよい。ネジ山付き支持オリフィス54は、吸引システム16の内部吸引収集チャンバ22を吸引システム16のチャネル28に結合してもよい。少なくとも1つの実施形態では、支持アーム26は、内部吸引収集チャンバ22の1つ又は複数の出口58と位置合わせされてもよい。少なくとも1つの実施形態では、内部吸引収集チャンバ22はチャネル28に結合された単一の出口58を備えてもよい。出口58は、管状構成を有してもよいが、これに限定されない。単一の管状出口58は、内部吸引収集チャンバ22を形成する側壁から直交して延びてもよい。単一の管状出口58は、活性電極14との接触を最小限にして、活性電極14から内部吸引システム16の一部を形成する近位シャフト30に伝達される切除熱の量を制限して組織が内部吸引システム16内で溶融する可能性を低下させるように構成されてもよい。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、内部吸引収集チャンバ22は、
図4および
図6に示すように、絶縁体40によって形成されてもよい。絶縁体40は、セラミックに限定されないがセラミックのような1つ又は複数の非導電性物質から形成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、内部吸引収集チャンバ22は絶縁体40として機能してもよい。内部吸引収集チャンバ22は活性対極板14、38を分離してもよく、吸引された流体および組織に限定されないが吸引された流体および組織のような吸引された物質18を手術部位20から電気外科用器具10のシャフト30内の吸引チャネル28内に導くように構成されてもよい。内部吸引収集チャンバ22がセラミックから形成される実施形態では、セラミック製内部吸引収集チャンバ22は、構成要素が金属から形成された場合よりも切除過程から多くの熱を吸収しない。結果として、電気外科用器具10は、金属から形成された従来のシステムよりもはるかに良好に機能する。内部吸引収集チャンバ22は、吸引システム16内で吸引された組織が吸引システム16の壁に溶着するのを防止する。従来のシステムでは、吸引システム内で吸引された組織が吸引システムの壁に溶着し、それによってシステムが詰まる。対照的に、内部吸引収集チャンバ22は、吸引システム16内で吸引された組織が吸引システム16の壁に溶着するのを防止することによって、吸引システム16の詰まりを防止する。
【0022】
内部吸引収集チャンバ22は、内部吸引収集チャンバ22の長手方向軸60が吸引システム16のチャネル28の長手方向軸52と非平行に位置決めされ得るように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、内部吸引収集チャンバ22の長手方向軸60は、吸引システム16のチャネル28の長手方向軸52に直交して位置決めされてもよい。内部吸引収集チャンバ22は、遠位線形表面62、第1の近位線形表面64および第2の近位線形表面66によって少なくとも部分的に画定される細長いチャンバであってもよい。遠位線形表面62は、第1および第2の近位線形表面64、66と位置合わせされてもよく、それぞれが内部吸引収集チャンバ22の長手方向軸60と位置合わせされ、それによって内部吸引収集チャンバ22の長手方向軸60は、吸引システム16のチャネル28の長手方向軸52に直交して位置決めされてもよい。
図6に示すように、内部吸引収集チャンバ22は、第1の区画68と第2の区画70とから形成されてもよく、それによって第1の区画68は第2の区画70よりも大きな断面積を有し、第2の区画70よりも少なくとも1つの活性電極14の近傍に位置決めされる。断面は、内部吸引収集チャンバ22の長手方向軸60に直交する平面内に延びる。第1の区画68は、活性電極14を通って吸引システム16内を流れる物質が第2の区画70に流入する前にまず第1の区画68に流入するように、活性電極14と第2の区画70との間に位置決めされてもよい。第1および第2の区画68、70は、部分的には、活性電極14から内部吸引収集チャンバ22の底面72まで延びる遠位線形表面62によって形成されてもよい。遠位線形表面62と第2の区画70の一部を形成する第2の近位線形表面66との間の最短距離は、遠位線形表面62と第1の区画68の一部を形成する第1の近位線形表面64との間の最短距離よりも小さい。このように、第2の近位線形表面66は、第1の近位線形表面64よりも内部吸引収集チャンバ22の長手方向軸60の近傍に位置決めされてもよい。
【0023】
絶縁体40は、絶縁体40および支持アーム26がチャネル28の遠位端50に螺合されると、干渉によって保持されている絶縁体40の一部を介して絶縁体40がシャフト30に堅固に取り付けられるように構成されてもよい。特に、
図6に示すように、絶縁体40は、ポケット74であって、その中に活性電極14の支持アーム26の一部76が延びるポケット74を備えてもよい。活性電極14の近位方向対向面80が、絶縁体40の遠位方向対向面82に接触してもよく、絶縁体40の近位方向対向面84を電気外科用器具10の遠位方向対向面86に接触させ、それにより、活性電極14の支持アーム26が電気外科用器具10のシャフト30に螺合されるときに活性電極14の支持アーム26が絶縁体40を電気外科用器具10のシャフト30に固定するのを可能にすることによって、活性電極14および絶縁体40を電気外科用器具10のシャフト30に固定する。
【0024】
電気外科用器具10は、吸引システム16の導管48の一部を形成するチャネル28の位置が、チャネル28とシャフト30との間の空洞32内に注入された膨張物質を介して維持されるように構成されてもよい。特に、吸引システム16は、注入オーバーモールドを介してシャフト30内の所定位置に維持されてもよい。例えば、電気外科用器具10が、外側管状シャフト30内に設置された流体吸引システム16のチャネル28と、絶縁体40から形成された遠位先端88であって、活性電極14と、流体吸引チャネル28および外側管状ハウジングに取り付けられた対極板38と、を備える遠位先端88と、を備えて組み立てられたのちに、1つ又は複数の内部空洞32は、内部空洞32内で全体的に膨張する液体物質を注入され、電気外科用器具10の外側シャフト30内の構成要素に電気絶縁および構造的支持を提供してもよい。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、活性電極14の外面42は、サンドブラスト仕上げ粗面に限定されないがサンドブラスト仕上げ粗面のような粗面であってもよい。活性電極14の粗面化された外面42は、表面積を増加させ、始動時に電気外科用器具10のさらに一貫した性能を提供し得る。活性電極のサンドブラスト仕上げ外面のない従来の設計では、約1分間使用した後でなければ一貫した動作が得られない。活性電極14の外面がサンドブラスト仕上げされた場合、電気外科用器具10は始動時から一貫した性能を提供し、ウォームアップ期間を必要としなかった。
【0026】
使用中、電気外科用器具10は、外科手術部位20から組織を切除するために使用されてもよい。活性電極14は、任意の適切な電気外科用制御ユニットによって電力が供給され、制御されてもよい。活性電極14の粗面化された外面42は、始動状態から定常状態での動作まで一貫して動作する。活性電極14が組織を切除している間に、吸引システム16を作動させて、手術部位20から組織、体液をはじめとする物質を除去してもよい。吸引システム16は(図示しない)吸引発生器に取り付けられてもよい。吸引システム16は、活性電極14内に位置決めされていてもよいが必須ではない1つ又は複数の吸引入口46を通して物質を吸引してもよい。物質は吸引入口46を通って流れ、内部吸引収集チャンバ22内に収集される。内部吸引収集チャンバ22は、セラミックに限定されないがセラミックのような1つ又は複数の非導電性物質から形成されているため、内面、具体的には遠位線形表面62、第1の近位線形表面64、第2の線形表面66および底面72は、吸引された物質の融点より低い温度に留まる。このため、吸引された物質は、内部吸引収集チャンバ22内で溶融しないため、吸引システム16を詰まらせない。そのような構成は、電気外科用器具10の動作効率を大幅に向上させる。
【0027】
上記は、本発明の実施形態を例示し、説明し、記載する目的で提供される。このような実施形態に対する修正および適応が、当業者には明らかであり、本発明の範囲又は主旨から逸脱することなく実施されてもよい。