(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】AES67互換オーディオ情報信号からオーディオパラメータ値を導出する方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04J 3/06 20060101AFI20220119BHJP
G10L 19/00 20130101ALI20220119BHJP
【FI】
H04J3/06
G10L19/00 330C
(21)【出願番号】P 2019571476
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2018068781
(87)【国際公開番号】W WO2019011981
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】102017000078297
(32)【優先日】2017-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511109386
【氏名又は名称】インスティテュート フューア ランドファンクテクニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バウマン、フランツ
(72)【発明者】
【氏名】レンジュースキー、フェリックス
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-374319(JP,A)
【文献】特開2001-144694(JP,A)
【文献】特開2002-162998(JP,A)
【文献】Florian Schmidt et al.,A Heuristic Header Error Recovery Scheme for RTP,2013 10th Annual Conference on Wireless On-demand Network Systems and Services (WONS),2013年,pp.186-190
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 3/06
G10L 19/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AES67互換のオーディオ情報信号として、相互に連続するIPパケットのシリアルデータストリームから構成されているAES67互換のオーディオ情報信号から、オーディオパラメータ値を導出する方法において、前記IPパケットは、IPヘッダと、UDPヘッダと、RTPヘッダと、データフィールドとを含み、かつ少なくとも二つのIPパケットの少なくとも二つのRTPヘッダ内に格納された情報から値Nを導出し、前記値Nは、一つのパケットのデータフィールド内に含まれているチャンネル毎のサンプル数に等し
く、サンプリング周波数を導出するために、所定の時間間隔T内でどれだけ多くのIPパケットMが受信されたかを測定し、かつ前記サンプリング周波数は、主にN・M/Tに等しい、方法。
【請求項2】
AES67互換のオーディオ情報信号として、相互に連続するIPパケットのシリアルデータストリームから構成されているAES67互換のオーディオ情報信号から、オーディオパラメータ値を導出する方法において、前記IPパケットは、IPヘッダと、UDPヘッダと、RTPヘッダと、データフィールドとを含み、かつ少なくとも二つのIPパケットの少なくとも二つのRTPヘッダ内に格納された情報から値Nを導出し、前記値Nは、一つのパケットのデータフィールド内に含まれているチャンネル毎のサンプル数に等しく、チャンネル数を導出するために、まずUDPヘッダから、前記IPパケットのデータフィールドの、バイトで表される長さLを導出し、前記チャンネル数は、L/N'に等しく、N'は、N・kに等しく、かつkは、バイト数で表されるサンプル値の長さである、方法。
【請求項3】
前記シリアルデータストリーム内の二つのIPパケットの前記RTPヘッダから、それぞれ一つのタイムスタンプを導出し、前記値Nを、式N={TS(j)-TS(i)}/(p+1)を用いて計算し、TS(i)およびTS(j)は、二つの導出されたタイムスタンプの値と等しく、かつpは、前記シリアルデータストリーム内の前記二つのIPパケット(IP(i)、IP(j))の間に存在するIPパケット数に等しく、pは、ゼロ以上の整数である、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記AES67互換のオーディオ情報信号内のUDPヘッダ内に、チェックサムフィールドが存在し、前記チェックサムフィールド内に、
前記AES67互換のオーディオ情報信号の内容に関するデータを格納し、かつ前記データを、前記AES67互換のオーディオ情報信号から導出する、請求項1から
3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記AES67互換のオーディオ情報信号の内容に関するデータは、送信タイプおよび/または情報信号内の送信されるべきデータの種類および/または圧縮タイプおよび/またはコーディングタイプを示す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2ビット
、第一の2ビットは、次の送信タイプ、つまりAES67、Tr01、Tr03およびSMPTE2110を示す、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2ビット、
第二の2ビットは、送信されるべき情報信号内の次のデータタイプ、つまりオーディオ、ビデオおよびメタデータを示す、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1ビット、
第五のビットは、次の圧縮タイプ、つまり圧縮ありまたは圧縮なしを示す、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2ビット、
第六および第七のビットは、次のコーディングタイプ、つまりJPEG2000およびTICOを示す、請求項
5に記載の方法。
【請求項10】
AES67互換のオーディオ情報信号を受信する入力を備え、AES67互換のオーディオ情報信号として、IPヘッダと、UDPヘッダと、RTPヘッダと、データフィールドとを含む相互に連続するIPパケットのシリアルデータストリームから構成されているAES67互換の情報信号から、オーディオパラメータ値を導出する装置において、前記装置は、前記シリアルデータストリーム内の少なくとも二つのIPパケットの少なくとも二つのRTPヘッダから情報を導出する導出
ユニットと、前記情報から値Nを導出する計算ユニットとを備え、前記値Nは、一つのIPパケットのデータフィールド内に含まれているチャンネル毎のサンプル数に等し
く、
前記装置にはさらに、所定の時間間隔T内で受信されるIPパケット数Mを決定するユニットが設けられていて、かつ前記計算ユニットは、結果がサンプリング周波数に等しい計算N・M/Tを実行するために取り付けられている、装置。
【請求項11】
AES67互換のオーディオ情報信号を受信する入力を備え、AES67互換のオーディオ情報信号として、IPヘッダと、UDPヘッダと、RTPヘッダと、データフィールドとを含む相互に連続するIPパケットのシリアルデータストリームから構成されているAES67互換の情報信号から、オーディオパラメータ値を導出する装置において、前記装置は、前記シリアルデータストリーム内の少なくとも二つのIPパケットの少なくとも二つのRTPヘッダから情報を導出する導出ユニットと、前記情報から値Nを導出する計算ユニットとを備え、前記値Nは、一つのIPパケットのデータフィールド内に含まれているチャンネル毎のサンプル数に等しく、
前記導出ユニットはさらに、前記UDPヘッダから、前記IPパケットのデータフィールドの、バイトで表される長さLを導出するために取り付けられていて、かつさらに、計算L/N'を実行する計算ユニットを備えていて、N'は、N・kに等しく、かつkは、結果がチャンネル数に等しいサンプル値のバイト数である、装置。
【請求項12】
前記導出
ユニットはさらに、前記シリアルデータストリーム内の二つのIPパケットの前記RTPヘッダからタイムスタンプを導出するために取り付けられていて、かつ前記計算ユニットは、次の式
N={TS(j)-TS(i)}/(p+1)
に従ってNを計算するために取り付けられていて、
TS(i)およびTS(j)は、導出された前記二つのタイムスタンプの値に等しく、かつpは、シリアルデータストリーム内の前記二つのIPパケット(IP(i)、IP(j))との間に存在するIPパケット数に等しく、pは、ゼロ以上の整数である、請求項
10または11に記載の装置。
【請求項13】
前記AES67互換のオーディオ情報信号内の前記UDPヘッダ内にチェックサムフィールドが存在し、前記チェックサムフィールド内には、前記オーディオ情報信号の内容に関するデータが格納されていて、かつ前記装置はさらに、前記チェックサムフィールド内に格納されたデータを導出する導出ユニットを備えている、請求項
10から12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AES67互換オーディオ情報信号からオーディオパラメータ値を導出する方法および装置に関する。AES67オーディオ規格で詳述されている情報信号は、相互に連続するIPパケットから構成されていて、かつ単なるビットストリームとして送信される(audio over IPまたはaudio over ethernet(登録商標))。
【0002】
AES67で規格化されているようなIPを介したオーディオ情報の送信により、ライブ-IP制作において、回線交換網からパケット交換網に置き換えも行われる。エラーのない機能を保障するために、ストリームがネットワーク内で正しく送信されることが特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明には、ネットワーク内でのデータ送信を本質的に改善するという課題が課せられる。このため、請求項1の上位概念による本発明の方法は、請求項1の特徴的措置により特徴付けられている。同様に、本発明による装置は、請求項11の特徴部により特徴付けられている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の知見に基づく。
ネットワーク内でのストリームの上述の正しい切替が実現されない場合、ネットワーク管理者は、ネットワーク経由で受信した情報信号のプロパティを知っていればエラーを見つけることができる。
【0005】
しかしながら、これまでは、ネットワークからネットワーク管理者に提供されたデータからストリームに関する情報を得ることは、ネットワーク管理者には不可能であった。これは、IPパケットがペイロードだけを含み、かつ全ての設定データは、他のチャンネルを介して送信されるためである。
【0006】
それにもかかわらず、本発明による措置は、ネットワーク管理者に、受信したIPパケットから、サンプリング周波数やオーディオチャンネル数のようなオーディオパラメータ値を導出することを可能にする。まず、このために請求項1および2により、RTPパケット内に含まれているチャンネル毎のサンプル数を導出する。
【0007】
それにより、請求項3により、サンプリング周波数を導出することができる。あるいは、請求項4により、チャンネル数が導出される。
【0008】
他の方法は、上述の措置に代えてまたは上述の措置と組み合わせて、請求項5の特徴とされる特徴部により、オーディオ情報信号内のUDPヘッダのチェックサムフィールド内にオーディオ情報信号の内容に関するデータを記録し、次いでこのデータをUDPヘッダから導出することである。これは、請求項6から10で定義されているデータであってよい。これは、有用ビット数を低減することをせずにも、ストリームのタイプに関する付加的情報をストリームと一緒に送信するという利点を有する。
【0009】
本発明を図面の説明で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ライブ制作のオーディオ収録をAES67互換オーディオ情報信号に変換しかつインターネット経由で離れた処理スタジオに送信し、かつインターネット経由で送信されたデータの監視のためにネットワーク管理ユニットが設けられている設備を示す。
【
図2】「マルチキャストセッション記述」データの構造を示す。
【
図3】AES67互換オーディオ情報信号の構造を示す。
【
図4】AES67互換オーディオ情報信号からオーディオパラメータ値を導出する装置の第一の実施例を示す。
【
図6】AES67互換オーディオ情報信号からオーディオパラメータ値を導出する装置の第二の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面の詳細な説明
図1は、ライブ制作のオーディオ収録を行い、収録されたオーディオ情報信号をAES67互換オーディオ情報信号に変換し、その後でインターネット経由で離れた処理スタジオまたは離れたサウンドコントロールルームに送信する設備の実施例を示す。
【0012】
図1は、概略的に参照符号100により示した、ライブ制作のオーディオ収録を行う収録スタジオを示す。通常では、収録スタジオから離れたところに処理スタジオがある。収録スタジオ100内では、この例の場合に、例えば収録スタジオ内で左前、右前、左後および右後に位置する四本のマイクロフォンを用いて収録を実施する。収録された(ここでは4チャンネルの)オーディオ情報信号は、変換ユニット124内でAES67互換オーディオ情報信号に変換される。この場合に、変換が行われ、しかもAES67規格仕様(例えばAES67-2015:ネットワークのオーディオアプリケーション用のAES規格-高性能ストリーミングaudio-over-IP相互運用性(AES standard for audio applications of networks-High performance streaming audio-over-IP interoperability))において定められた条件に従って、インターネット経由で送信することができる送信信号への変換が行われる。インターネットと接続されている出力104では、AES互換オーディオ情報信号が提供される。
【0013】
AES67互換オーディオ情報信号は、(この例では四つ)チャンネルでのオーディオ情報信号のサンプルを含む互いに連続するIPパケットから構成されている。しかしながら、出力104で提供されるようなAES67互換オーディオ情報信号は、オーディオ情報信号の、例えば送信されるべきオーディオ情報信号内に含まれているサンプリング周波数や送信されたオーディオチャンネル数のようなオーディオ固有のパラメータ値に関する情報を含まない。このAES67仕様は、いわゆる「マルチキャストセッション記述」データ118を予定し、このデータ内にこのオーディオ固有のパラメータに関する情報が含まれている。このデータは、出力106で提供され、インターネット経由でサーバー108に供給されかつそこに保存される。
【0014】
データ118は、とりわけ収録スタジオ100のソースアドレスも含み、それによりインターネット経由で出力104を確認することができる。
【0015】
オーディオ情報信号の更なる加工のために、音響技師がサウンドコントロールルーム102内でライブプログラムのオーディオ収録を受信して、これを放送送信信号として一つまたは複数の発信機に提供する場合、音響技師はインターネット経由でサーバー108から「マルチキャストセッション記述」データ118を受け取る(
図1内ではサウンドコントロールルーム102とサーバー108との間の接続110を介した情報送信を参照)。
【0016】
図2は、AES67-2015規格仕様の8.5.1章にも記載されているような「マルチキャストセッション記述」データ118の一例を示す。
【0017】
このデータ内のパラメータcは、ソースアドレス(この例ではIP4 239.0.0.1/32)を表し、パラメータiは、オーディオチャンネル数(この例では8)を表し、その下にはサンプリング周波数(この例では48kHz)を確認することができる。
【0018】
この情報により、音響技師は、AES67互換オーディオ情報信号を受信することができる。AES67互換オーディオ情報信号を、インターネット経由で収録スタジオ100の出力104からサウンドコントロールルーム102の入力112へ送信することは、
図1では、スイッチ114と116を介して行われる。
【0019】
図3は、インターネット、スイッチ114および116を介して、サウンドコントロールルーム102の入力112に提供されるAES67互換オーディオ情報信号の構造を示す。AES67互換オーディオ情報信号は、相互に連続する複数のIPパケット...IP(i)、IP(i+1)、IP(i+2)、...から構成されている。一つのIPパケットは、IPヘッダIP-HDRと、UDPヘッダUDP HDRと、RTPヘッダRTP HDRと、データフィールドDATAを含む。そこで、AES67互換オーディオ情報信号を、サウンドコントロールルーム102に送信し、かつ、そこでさらに処理することができる。
【0020】
それにもかかわらず場合により、収録スタジオ100の出力104と処理スタジオ/サウンドコントロールルーム102の入力112との間でエラーを含むデータの送信が起こることがある。
【0021】
一方で、音響技師は、誤った「マルチキャストセッション記述」データ118をサーバー108からダウンロードすることがある。あるいは、「マルチキャストセッション記述」データが存在しないことがある。
【0022】
この種の送信の問題を排除するために、インターネット経由で送信されたデータを監視するためのネットワーク管理ユニット120が設けられている。
【0023】
このために、このネットワーク管理ユニット120は、この場合に、スイッチ114を介してネットワークに連結され、かつ全てのAES67互換情報信号を収録スタジオ100から受信するために設置されている。
【0024】
先にすでに述べたように、AES67互換オーディオ情報信号は、例えば送信されるべきオーディオ情報信号内に含まれているサンプリング周波数や送信されたオーディオチャンネル数のような、オーディオ情報信号のオーディオ固有のパラメータ値に関する情報を含んでいないことにより、ネットワーク管理ユニット120用に、このオーディオ固有のパラメータ値をAES67互換オーディオ情報信号から直接導出することは不可能である。
【0025】
本発明によると、それでもなおこれらのオーディオ固有のパラメータ値をAES67互換オーディオ情報信号から導出することを可能にするいくつかの提案が説明される。
【0026】
このためにまず、AES67互換オーディオ情報信号から、IPパケットのデータフィールドDATA内に含まれているチャンネル毎のサンプル数Nを導出する。これは、次のように実現される。
図3では、IPパケットIP(i)のRTPヘッダ内に、タイムスタンプフィールドTS(i)が、IPパケットIP(i+1)のRTPヘッダ内に、タイムスタンプフィールドTS(i+1)が存在していることが明らかである。ネットワーク管理ユニット120は、これらの相互に連続するIPパケットのタイムスタンプ値TS(i)とTS(i+1)とを、これらのパケットのRTPヘッダから導出する。次いで、減算、つまりTS(i+1)-TS(i)=NによりによりNを導出する。例として、TS(i)=nおよびTS(i+1)=n+2とする。これは、IPパケットのデータフィールドDATA内に、チャンネル毎の二つのサンプル(n+2-n=)が含まれていることを意味する。
【0027】
IPパケットのデータフィールド内に含まれているチャンネル毎のサンプル数Nを導出するための他の方法は、次の通りである。ここでは、IPパケットのIP(i)とIP(j)とのRTPヘッダから、TS(i)とTS(j)とを導出する。ここで、Nは、次のように計算される:
N={TS(j)-TS(i)}/(p+1)
ここで、pは、シリアルデータストリーム内の二つのIPパケット(IP(i)、IP(j))の間にあるIPパケット数に等しく、ここで、pはゼロ以上の整数である。
【0028】
図3は、IPパケットIP(i)のデータフィールドの内容の例を示す。その中には、第一のチャンネルの二つのサンプルs(1,1)、s(1,2)が含まれ、その後に、第二のチャンネルの二つのサンプルs(2,1)、s(2,2)が含まれ、その後に、第三のチャンネルの二つのサンプルs(3,1)、s(3,2)が含まれ、その後に、第四のチャンネルの二つのサンプルs(4,1)、s(4,2)が含まれている。IPパケットIP(i+1)のデータフィールドDATA内には、さらにまた八つのサンプルが含まれている、つまり第一のチャンネルの二つのサンプルs(1,3)、s(1,4)が含まれ、その後に、第二のチャンネルの二つのサンプルs(2,3)、s(2,4)が含まれ、その後に、第三のチャンネルの二つのサンプルs(3,3)、s(3,4)が含まれ、その後に第四のチャンネルの二つのサンプルs(4,3)、s(4,4)が含まれている。
【0029】
AES67互換オーディオ情報信号内で送信されるチャンネル数を導出するために、UDPヘッダUDP HDRから、値L'を導出する(
図5参照)。この値L´は、バイトで表されるRTPパケットの長さ(これはRTPヘッダとデータフィールドDATAとの長さに等しい)を提供する。RTPヘッダRTP HDRの長さは、規格により定められているため、それによりデータフィイールドDATAの長さLはL'から導出することもできる。ここで、チャンネル数は、L/N'により計算することができ、ここで、N'=N
・pであり、かつpは、バイト数で表されるサンプル値の長さである。pはまた、規格により定められていて、例えば3バイトに等しい。
【0030】
サンプリング周波数の導出のために、所定の時間間隔T内でどれだけ多くのIPパケットMが受信されるかが決定される。このサンプリング周波数は、この場合、N・M/Tに等しいと見なすことができる。Mは、この場合、多様な手法で導出することができる。第一に、Mは、所定の時間間隔内で受信されるIPパケット数をカウントすることにより導出することができる。第二に、時間間隔内で受信された最初のIPパケットと最後のIPパケットとのシーケンス番号(sequence number)も導出することができ、この場合、両方の値Mの減算により計算することができる。このシーケンス番号は、RTPヘッダ内に格納されている。
【0031】
ネットワーク管理者は、この場合、送信されたAES67互換オーディオ情報信号を受信しかつデコードすることができるために、この所望の情報を音響技師に転送することができる。ネットワーク管理者は、先にすでに述べたように、全ての情報信号を収録スタジオから受信するため、ネットワーク管理者は、AES互換オーディオ情報信号のIPヘッダから、ソースアドレスも導出できかつ音響技師に転送することができる。
【0032】
図4は、AES67互換オーディオ情報信号からオーディオパラメータ値を導出する装置の第一の実施例を示す。この装置は、AES67互換オーディオ情報信号を受信する入力122を含む。この装置には、AES67互換オーディオ情報信号のシリアルデータストリーム内の少なくとも二つのIPパケットの少なくとも二つのRTPヘッダから情報を導出する、この例の場合にはタイムスタンプTS(i)とTS(j)とを導出する導出ユニット400が設けられていて、これらのタイムスタンプは、二つの出力で引き渡されかつ計算ユニット402の複数の入力に供給される。
【0033】
計算ユニット402内では、次の式に従ってチャンネル数Nを計算する
N={TS(j)-TS(i)}/(p+1)
ここで、TS(i)およびTS(j)は、二つの導出されたタイムスタンプの値に等しく、かつpは、シリアルデータストリーム内の二つのIPパケット(IP(i)、IP(j))の間に存在するIPパケット数に等しく、ここで、pはゼロ以上の整数である。
【0034】
これは、計算ユニットが、二つのタイムスタンプ値を相互に減算する減算ユニット406と、この減算ユニット406の結果をp+1で除算する除算ユニット408を含むことを意味する。
【0035】
値Nは、この場合、除算ユニット408の出力404で提供される。
【0036】
サンプリング周波数Fsの導出のために、この装置は、カウントユニット410とタイマーユニット412とを含む。タイマーユニット412は、時間間隔Tを決定し、カウントユニットは、この時間間隔T内で、この時間間隔Tで入力122で受信されるIPパケット数Mをカウントする。値Mは、カウントユニット410の出力414で提供され、かつ計算ユニット402に供給される。時間間隔Tの値も、計算ユニット402に供給される。計算ユニット402は、値Nと、Mと、Tとを受信し、そこからサンプリング周波数Fsを、式Fs=NM/Tに従って導出するサンプリング周波数計算ユニット416を含む。
【0037】
すでに先に述べたように、ユニット410は、その代わりに、この時間間隔T内で受信される最初のIPパケットと最後のIPパケットとのシーケンス番号を読み出すカウントユニットとして取り付けられてよい。このユニットは、この場合、次いで、値Mの導出のために、二つのシーケンス番号を相互に減算してよい。
【0038】
導出ユニット400は、さらに、UDPヘッダから、IPパケットのデータフィールドの、バイトで表される長さLを導出するために取り付けられている。UDPヘッダの長さフィールド500内には、
図5で示されているように、値L'が格納されている。この値L'は、RTPパケットの長さ(つまり、RTPヘッダRTP HDRとデータフィールドDATAの長さ、
図3)と一致する。RTPヘッダの長さは既知であるため、したがって、データフィールドDATAの長さLを導出することができる。この値Lは、同様に、計算ユニット402にも供給される。計算ユニット402内では、ブロック418中の計算が実行され、ここで、チャンネル数NCHが次の式に従って計算される
NCH=L/N
・k
ここで、kは、バイト数で表されるサンプル値の長さである。AES67規格仕様では、kは3に等しいと述べられている。
【0039】
先にすでに述べたように、音響技師が送信されたAES互換オーディオ情報信号を受信しかつデコードすることができるために、この情報を音響技師に転送することができる。
【0040】
図5は、IPパケット内に含まれているようなUDPヘッダを示す。UDPヘッダは、四つのフィールド、つまり16ビットソースアドレス(SRCE PORT)と、16ビット受信アドレス(DEST PORT)と、先にすでに説明された16ビット長さフィールドL'500と、16ビットCHECKSUMフィールドとからなる。このCHECKSUMフィールドは、UDPヘッダ内の、RTPヘッダ内の、データフィールドDATA内のビットエラーを検出し、場合により修正することを想定している。他のプロトコルの場合には、これは、誤って送信されたパケットを改めて要求するために利用される。しかしながら、これはUDPでは予定されていないので、このCHECKSUMフィールドは、頻繁に「null」が設定され、これは、利用されないことを意味する。
【0041】
本発明によれば、ここで、UDPヘッダのCHECKSUMフィールドを、情報データをメディアストリームに送信するために利用することが提案される。この場合、CHECKSUMフィールド内に、送信されるべき情報信号をさらに特徴付けるデータを格納することができる。これは、例えば、AES67互換情報信号の場合に利用することができるが、ネットワーク経由で他の情報信号を送信する場合でも利用することができる。
【0042】
CHECKSUMフィールド内でこのように利用される16ビット内でのコーディングは、次のように見なされる
ビット0、1(
図5ではビット48および49)は、例えばAES67、TR01、TR03およびSMPTE2110のような送信タイプであり、ここでTrは、技術勧告を表す。
ビット2、3(
図5ではビット50および51)は、例えばオーディオ、ビデオおよびメタデータのようなデータの種類である。
ビット4(
図5ではビット52)は圧縮あり/なしである。
ビット5、6(
図5ではビット53および54)は、例えばJPEG2000およびTICO(tiny codec)のようなコーディングタイプである。
図6は、入力122に提供されるAES67互換情報信号を受信する装置の一つの実施例を示す。この装置は、UDPヘッダの16ビットCHECKSUMフィールドの内容を格納するための16ビット長のシフトレジスタ600を含む。ビット0および1(
図5ではビット48および49)の格納位置の出力は、第一のデータ検出ユニット602に供給される。この検出ユニット602は、ビット0および1のビット値から、送信タイプTRM TYPEを導出する。ビット2および3の格納位置の出力は、第二の検出ユニット604に供給される。この検出ユニット604は、ビット2および3(
図5でハビット50および51)のビット値から、送信するデータDATA TYPEのタイプを導出する。ビット4の格納位置の出力は、第三の検出ユニット606に供給される。この検出ユニット606は、ビット4(
図5ではビット52)のビット値から、情報信号が圧縮されているかまたは圧縮されていないかCOMP Y/Nを導出する。ビット5および6の格納位置の出力は、第四の検出ユニット608に供給される。この検出ユニット608は、ビット5および6(
図5ではビット53および54)のビット値から、コーディングタイプCOD TYPEを導出する。
【0043】
相互に連続するIPパケットから構成されているシリアルデータストリームから信号固有の識別子を導出するための装置であって、IPパケットは、IPヘッダと、UDPヘッダと、RTPヘッダと、データフィールドとを含み、この装置は、シリアルデータストリームを受信するために入力を含み、シリアルデータストリームのIPパケット内のUDPヘッダ内にチェックサムフィールドが存在し、このチェックサムフィールド内に、送信されるべきシリアルデータストリームの内容に関する識別子が格納されていて、この装置には、IPパケットのチェックサムフィールドからこの識別子を導出する導出ユニットが設けられている。
【0044】
この識別子は、データ送信信号の内容、送信タイプおよび/またはデータ送信信号の種類および/または圧縮の種類および/またはコーディングタイプを示すことができる。このように、チェックサムフィールドの少なくとも2ビット、好ましくは第一の2ビット(ビット0、1)は、次の送信タイプ、つまりAES67、Tr01、Tr03およびSMPTE2110を示すことができる。
【0045】
あるいは、チェックサムフィールドの少なくとも2ビット、好ましくは第二の2ビット(ビット2,3)は、データ送信信号内のデータの次の種類、つまりオーディオ、ビデオおよびメタデータを示すことができる。
【0046】
あるいは、チェックサムフィールドの少なくとも1ビット、好ましくは第五のビット(ビット4)は、次の圧縮タイプ、つまり圧縮ありおよび圧縮なしを示すことができる。あるいは、チェックサムフィールドの少なくとも2ビット、好ましくは第六および第七のビット(ビット5,6)は、次のコーディングタイプ、つまりJPEG2000およびTICOを示すことができる。この装置は、
図6の装置と全く同じであってよい。
[項目1]
AES67互換のオーディオ情報信号として、相互に連続するIPパケットのシリアルデータストリームから構成されているAES67互換のオーディオ情報信号から、オーディオパラメータ値を導出する方法において、上記IPパケットは、IPヘッダと、UDPヘッダと、RTPヘッダと、データフィールドとを含み、かつ少なくとも二つのIPパケットの少なくとも二つのRTPヘッダ内に格納された情報から値Nを導出し、上記値Nは、一つのパケットのデータフィールド内に含まれているチャンネル毎のサンプル数に等しい、方法。
[項目2]
上記シリアルデータストリーム内の二つのIPパケットの上記RTPヘッダから、それぞれ一つのタイムスタンプを導出し、上記値Nを、式N={TS(j)-TS(i)}/(p+1)を用いて計算し、TS(i)およびTS(j)は、二つの導出されたタイムスタンプの値と等しく、かつpは、上記シリアルデータストリーム内の上記二つのIPパケット(IP(i)、IP(j))の間に存在するIPパケット数に等しく、pは、ゼロ以上の整数である、項目1に記載の方法。
[項目3]
サンプリング周波数を導出するために、所定の時間間隔T内でどれだけ多くのIPパケットMが受信されたかを測定し、かつ上記サンプリング周波数は、主にN・M/Tに等しい、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
チャンネル数を導出するために、まずUDPヘッダから、上記IPパケットのデータフィールドの、バイトで表される長さLを導出し、上記チャンネル数は、L/N'に等しく、N'は、N・kに等しく、かつkは、バイト数で表されるサンプル値の長さである、項目1または2に記載の方法。
[項目5]
上記AES67互換のオーディオ情報信号内のUDPヘッダ内に、チェックサムフィールドが存在し、上記チェックサムフィールド内に、送信されるべき情報信号の内容に関するデータを格納し、かつ上記データを、上記AES67互換のオーディオ情報信号から導出する、項目1から4までのいずれか1項に記載の方法。
[項目6]
上記オーディオ情報信号の内容に関するデータは、送信タイプおよび/または情報信号内の送信されるべきデータの種類および/または圧縮タイプおよび/またはコーディングタイプを示す、項目5に記載の方法。
[項目7]
少なくとも2ビット、好ましくは第一の2ビット(ビット0、1)は、次の送信タイプ、つまりAES67、Tr01、Tr03およびSMPTE2110を示す、項目6に記載の方法。
[項目8]
少なくとも2ビット、好ましくは第二の2ビット(ビット2,3)は、送信されるべき情報信号内の次のデータタイプ、つまりオーディオ、ビデオおよびメタデータを示す、項目6に記載の方法。
[項目9]
少なくとも1ビット、好ましくは第五のビット(ビット4)は、次の圧縮タイプ、つまり圧縮ありまたは圧縮なしを示す、項目6に記載の方法。
[項目10]
少なくとも2ビット、好ましくは第六および第七のビット(ビット5、6)は、次のコーディングタイプ、つまりJPEG2000およびTICOを示す、項目6に記載の方法。
[項目11]
AES67互換のオーディオ情報信号を受信する入力を備え、AES67互換のオーディオ情報信号として、IPヘッダと、UDPヘッダと、RTPヘッダと、データフィールドとを含む相互に連続するIPパケットのシリアルデータストリームから構成されているAES67互換の情報信号から、オーディオパラメータ値を導出する装置において、上記装置は、上記シリアルデータストリーム内の少なくとも二つのIPパケットの少なくとも二つのRTPヘッダから情報を導出する導出ユニット(400)と、上記情報から値Nを導出する計算ユニットとを備え、上記値Nは、一つのIPパケットのデータフィールド内に含まれているチャンネル毎のサンプル数に等しい、装置。
[項目12]
上記導出ユニット(400)はさらに、上記シリアルデータストリーム内の二つのIPパケットの上記RTPヘッダからタイムスタンプを導出するために取り付けられていて、かつ上記計算ユニットは、次の式
N={TS(j)-TS(i)}/(p+1)
に従ってNを計算するために取り付けられていて、
TS(i)およびTS(j)は、導出された上記二つのタイムスタンプの値に等しく、かつpは、シリアルデータストリーム内の上記二つのIPパケット(IP(i)、IP(j))との間に存在するIPパケット数に等しく、pは、ゼロ以上の整数である、項目11に記載の装置。
[項目13]
上記装置にはさらに、所定の時間間隔T内で受信されるIPパケット数Mを決定するユニット(410、412)が設けられていて、かつ上記計算ユニットは、結果がサンプリング周波数に等しい計算N・M/Tを実行するために取り付けられている、項目11または12に記載の装置。
[項目14]
上記導出ユニット(400)はさらに、上記UDPヘッダから、上記IPパケットのデータフィールドの、バイトで表される長さLを導出するために取り付けられていて、かつさらに、計算L/N'を実行する計算ユニットを備えていて、N'は、N・kに等しく、かつkは、結果がチャンネル数に等しいサンプル値のバイト数である、項目11または12に記載の装置。
[項目15]
上記AES67互換のオーディオ情報信号内の上記UDPヘッダ内にチェックサムフィールドが存在し、上記チェックサムフィールド内には、上記オーディオ情報信号の内容に関するデータが格納されていて、かつ上記装置はさらに、上記チェックサムフィールド内に格納されたデータを導出する導出ユニットを備えている、項目11に記載の装置。