(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステム及びそのイメージング方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20220203BHJP
G01N 23/10 20180101ALI20220203BHJP
【FI】
G01N23/046
G01N23/10
(21)【出願番号】P 2020517345
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2018088427
(87)【国際公開番号】W WO2019062171
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】201710882633.3
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515221794
【氏名又は名称】ヌクテック カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】511031733
【氏名又は名称】チンファ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】No. 1, Qinghua Yuan, Haidian District, Beijing 100084, China
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100209060
【氏名又は名称】冨所 剛
(72)【発明者】
【氏名】チャン,リー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジーチアン
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ラ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チンピン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ユンダ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ユーシャン
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0223473(US,A1)
【文献】特表平11-500229(JP,A)
【文献】特開2017-142217(JP,A)
【文献】特表2016-536616(JP,A)
【文献】特表2015-537223(JP,A)
【文献】特開2002-162370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムであって、
前記物品を搬送ユニットの搬送方向に沿って移動させる搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの一側に位置し、前記搬送ユニットが位置する平面に垂直な方向に沿って順次に配置され、交互に放射線ビームを出射してスキャン領域を形成する複数の放射線源と、
前記搬送ユニットの他側に位置し、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源から出射される放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出する線形検出器アレイと、
前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するイメージングユニットと、
を含み、
前記線形検出器アレイは、前記搬送ユニットの搬送方向に沿って順次に設けられる複数の線形アレイ検出器を含み、前記複数の線形アレイ検出器は、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源から出射される放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像をそれぞれ検出し、
前記複数の放射線源の放射線ビーム面は、それぞれに異なる高さの異なるスキャン平面に位置する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記複数の放射線源は、前記線形検出器アレイが位置する平面上の、前記複数の放射線源が位置する垂直線の投影が、前記線形検出器アレイの中間に位置するように設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の線形アレイ検出器は、前記複数の放射線源が位置する垂直線の周りに当該垂直線に向けて配列されるように設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記スキャンによるイメージングシステムは、前記搬送ユニットの一端又は両端に位置する回転ユニットをさらに含み、前記回転ユニットは、前記物品が前記スキャン領域を通過して前記搬送ユニットの端側に移動した時に、前記物品にプリセットの角度を回転させることに用いられ、
前記搬送ユニットは、さらに回転後の物品に再度前記スキャン領域を通過させることに用いられ、
前記線形検出器アレイは、さらに前記物品が再度前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源から出射される放射線ビームが前記回転後の物品を透過した後に形成される第2の投影画像を検出することに用いられ、
前記イメージングユニットは、前記複数の放射線源の第1の投影画像及び第2の投影画像に基づいて、前記物品の第2の再構成画像を取得することに用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記スキャンによるイメージングシステムは、前記複数の放射線源が放射線ビームを交互に出射するように制御するトリガパルスシーケンスを生成するパルス発生器をさらに含んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一対一で対応するトリガパルス信号を含み、前記トリガパルス信号は、対応する放射線源が同じエネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一
対一で対応するトリガパルス信号群を含み、前記トリガパルス信号群は、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号を含み、前記第1のトリガパルス信号及び前記第2のトリガパルス信号は、対応する放射線源が順次に第1のエネルギーを有する第1のサブ放射線ビーム及び第2のエネルギーを有する第2のサブ放射線ビームを出射するように制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記スキャンによるイメージングシステムは、分離ユニットをさらに含み、前記分離ユニットは、前記第1の投影画像から、前記第1のサブ放射線ビーム及び前記第2のサブ放射線ビームにそれぞれ対応する第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像を分離することに用いられ、
ここで、前記イメージングユニットは、前記第1のサブ投影画像及び前記第2のサブ投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得することに用いられる
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記放射線源は、加速器の放射線源である
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムに適用される物品安全検査のためのスキャンによるイメージング方法であって、
前記複数の放射線源に放射線ビームを交互に出射させて、スキャン領域を形成するステップと、
前記搬送ユニットにより前記物品を搬送方向に沿って移動させ、前記物品に前記スキャン領域を通過させるステップと、
前記線形検出器アレイによって、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源の放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出するステップと、
前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップと、
を含み、
前記線形検出器アレイは、前記搬送ユニットの搬送方向に沿って順次に設けられる複数の線形アレイ検出器を含み、
前記スキャンイメージング方法は、
前記複数の線形アレイ検出器によって、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源の放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像をそれぞれ検出するステップ
をさらに含み、
前記複数の放射線源の放射線ビーム面は、それぞれに異なる高さの異なるスキャン平面に位置する
ことを特徴とするイメージング方法。
【請求項11】
上記の前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップは、
CT再構成アルゴリズムを利用して、前記複数の放射線源の第1の投影画像に対して画像の再構成を行って、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップ
を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スキャンによるイメージングシステムは、前記搬送ユニットの一端又は両端に位置する回転ユニットをさらに含み、前記方法は、
前記物品が前記スキャン領域を通過して前記搬送ユニットの端側に移動した時に、前記回転ユニットによって前記物品にプリセットの角度を回転させるステップと、
前記搬送ユニットによって、回転後の物品に再度前記スキャン領域を通過させるステップと、
前記線形検出器アレイによって、前記回転後の物品が再度前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源の放射線ビームが前記回転後の物品を透過した後に形成される第2の投影画像を検出するステップと、
前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像及び第2の投影画像に基づいて、前記物品の第2の再構成画像を取得するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記スキャンによるイメージングシステムは、パルス発生器をさらに含み、前記複数の放射線源に交互に放射線ビームを出射させてスキャン領域を形成するステップの前に、前記方法は、
前記パルス発生器によって、前記複数の放射線源が交互に放射線ビームを出射するように制御するトリガパルスシーケンスを生成するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一対一で対応するトリガパルス信号を含み、前記トリガパルス信号は、対応する放射線源が同じエネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一対一で対応するトリガパルス信号群を含み、前記トリガパルス信号群は、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号を含み、前記第1のトリガパルス信号及び前記第2のトリガパルス信号は、対応する放射線源が順次に第1のエネルギーを有する第1のサブ放射線ビーム及び第2のエネルギーを有する第2のサブ放射線ビームを出射するように制御することに用いられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記スキャンによるイメージングシステムは、分離ユニットをさらに含み、上記の前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップは、
前記イメージングユニットによって、前記第1の投影画像から、前記第1のサブ放射線ビーム及び前記第2のサブ放射線ビームにそれぞれ対応する第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像を分離するステップと、
前記イメージングユニットによって、前記第1のサブ投影画像及び前記第2のサブ投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年09月26日で中国国家知識産権局へ提出した、出願番号が2017108826333で、出願名称が「物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステム及びそのイメージング方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用によって本願に含まれている。
本願は、放射線イメージングの分野に関し、特に物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステム及びそのイメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、安全性の課題がますます注目され、各公共の場所には様々な安全検査施設が配置されている。セキュリティ担当者は、検査対象物の透過画像から危険な物品を識別できる。検査対象物の透過画像は、二次元画像及び三次元画像が含まれる。三次元画像の視認性が比較的高く、二次元画像の厚さ方向に画像が重なる問題を解消できる。
【0003】
現在で、三次元画像のイメージング方法は主に直線状のスキャンモードによることであり、構造が簡単であるという利点を有する。当該直線状のスキャンモードによるイメージング方法とは、放射線源をスキャン経路の一側に固定し、検査対象物を放射線源に対して折線状で移動させ、受信された検査対象物の異なる折線角度の透過データを利用して、検査対象物の内部構造に対する画像の再構成を行うことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本願の発明者は、従来技術における直線状のスキャンモードに基づく再構成画像には放射線源の円錐角の方向に沿ったデータが不完全である問題があるため、検査対象物の再構成画像にはアーティファクトを存在することを発見した。
【0005】
本発明の実施例は、物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステム及びそのイメージング方法を提供して、放射線源の円錐角の方向に沿ったデータが不完全である問題を解決し、検査対象物の再構成画像のアーティファクトを解消できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によると、本発明の実施例は、物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムであって、
前記物品を搬送ユニットの搬送方向に沿って移動させる搬送ユニットと、
前記搬送ユニットの一側に位置し、前記搬送ユニットが位置する平面に垂直な方向に沿って順次に配置され、交互に放射線ビームを出射してスキャン領域を形成する複数の放射線源と、
前記搬送ユニットの他側に位置し、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源から出射される放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出する線形検出器アレイと、
前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するイメージングユニットと、
を含むことを特徴とするシステム。
【0007】
第1の態様の可能な実施形態において、前記複数の放射線源は、前記線形検出器アレイが位置する平面上の、前記複数の放射線源が位置する垂直線の投影が、前記線形検出器アレイの中間に位置するように設けられている。
【0008】
第1の態様の可能な実施形態において、前記線形検出器アレイは、前記搬送ユニットの搬送方向に沿って順次に設けられる複数の線形アレイ検出器を含み、前記複数の線形アレイ検出器は、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源から出射される放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像をそれぞれ検出する。
【0009】
第1の態様の可能な実施形態において、前記複数の線形アレイ検出器は、前記複数の放射線源が位置する垂直線の周りに当該垂直線に向けて配列されるように設けられる。
【0010】
第1の態様の可能な実施形態において、前記スキャンによるイメージングシステムは、前記搬送ユニットの一端又は両端に位置する回転ユニットをさらに含み、前記回転ユニットは、前記物品が前記スキャン領域を通過して前記搬送ユニットの端側に移動した時に、前記物品にプリセットの角度を回転させることに用いられ、
前記搬送ユニットは、さらに回転後の物品に再度スキャン領域を通過させることに用いられ、
前記線形検出器アレイは、さらに前記物品が再度前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源から出射される放射線ビームが前記回転後の物品を透過した後に形成される第2の投影画像を検出することに用いられ、
前記イメージングユニットは、前記複数の放射線源の第1の投影画像及び第2の投影画像に基づいて、前記物品の第2の再構成画像を取得することに用いられる。
【0011】
第1の態様の可能な実施形態において、前記スキャンによるイメージングシステムは、前記複数の放射線源が放射線ビームを交互に出射するように制御するトリガパルスシーケンスを生成するパルス発生器をさらに含んでいる。
【0012】
第1の態様の可能な実施形態において、前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一対一で対応するトリガパルス信号を含み、前記トリガパルス信号は、対応する放射線源が同じエネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
【0013】
第1の態様の可能な実施形態において、前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一々対応するトリガパルス信号群を含み、前記トリガパルス信号群は、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号を含み、前記第1のトリガパルス信号及び前記第2のトリガパルス信号は、対応する放射線源が順次に第1のエネルギーを有する第1のサブ放射線ビーム及び第2のエネルギーを有する第2のサブ放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
【0014】
第1の態様の可能な実施形態において、前記スキャンによるイメージングシステムは、分離ユニットをさらに含み、前記分離ユニットは、前記第1の投影画像から、前記第1のサブ放射線ビーム及び前記第2のサブ放射線ビームにそれぞれ対応する第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像を分離することに用いられ、
ここで、前記イメージングユニットは、前記第1のサブ投影画像及び前記第2のサブ投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得することに用いられる。
【0015】
第1の態様の可能な実施形態において、前記放射線源は、加速器の放射線源である。
【0016】
第2の態様において、本発明の実施例は、上記に記載の物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムに適用される物品安全検査のためのスキャンによるイメージング方法であって、
前記複数の放射線源に放射線ビームを交互に出射させて、スキャン領域を形成するステップと、
前記搬送ユニットにより前記物品を搬送方向に沿って移動させ、前記物品に前記スキャン領域を通過させるステップと、
前記線形検出器アレイによって、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源の放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出するステップと、
前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップと、を含む。
【0017】
第2の態様の可能な実施形態において、前記線形検出器アレイは、前記搬送ユニットの搬送方向に沿って順次に設けられる複数の線形アレイ検出器を含み、
前記スキャンイメージング方法は、
前記複数の線形アレイ検出器によって、前記物品が前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源の放射線ビームが前記物品を透過した後に形成される第1の投影画像をそれぞれ検出するステップをさらに含む。
【0018】
第2の態様の可能な実施形態において、上記の前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップは、CT再構成アルゴリズムを利用して、前記複数の放射線源の第1の投影画像に対して画像の再構成を行って、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップを含む。
【0019】
第2の態様の可能な実施形態において、前記スキャンによるイメージングシステムは、前記搬送ユニットの一端又は両端に位置する回転ユニットをさらに含み、前記方法は、
前記物品が前記スキャン領域を通過して前記搬送ユニットの端側に移動した時に、前記回転ユニットによって前記物品にプリセットの角度を回転させるステップと、
前記搬送ユニットによって、回転後の物品に再度前記スキャン領域を通過させるステップと、
前記線形検出器アレイによって、前記回転後の物品が再度前記スキャン領域を通過する過程で、前記複数の放射線源の放射線ビームが前記回転後の物品を透過した後に形成される第2の投影画像を検出するステップと、
前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像及び第2の投影画像に基づいて、前記物品の第2の再構成画像を取得するステップと、
をさらに含む。
【0020】
第2の態様の可能な実施形態において、前記スキャンによるイメージングシステムは、パルス発生器をさらに含み、前記複数の放射線源に交互に放射線ビームを出射させてスキャン領域を形成するステップの前に、前記方法は、前記パルス発生器によって、前記複数の放射線源が交互に放射線ビームを出射するように制御するトリガパルスシーケンスを生成するステップをさらに含む。
【0021】
第2の態様の可能な実施形態において、前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一対一で対応するトリガパルス信号を含み、前記トリガパルス信号は、対応する放射線源が同じエネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
【0022】
第2の態様の可能な実施形態において、前記トリガパルスシーケンスの1周期では、前記複数の放射線源に一対一で対応するトリガパルス信号群を含み、前記トリガパルス信号群は、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号を含み、前記第1のトリガパルス信号及び前記第2のトリガパルス信号は、対応する放射線源が順次に第1のエネルギーを有する第1のサブ放射線ビーム及び第2のエネルギーを有する第2のサブ放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
【0023】
第2の態様の可能な実施形態において、前記スキャンによるイメージングシステムは、分離ユニットをさらに含み、上記の前記イメージングユニットによって、前記複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップは、
前記イメージングユニットによって、前記第1の投影画像から、前記第1のサブ放射線ビーム及び前記第2のサブ放射線ビームにそれぞれ対応する第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像を分離するステップと、
前記イメージングユニットによって、前記第1のサブ投影画像及び前記第2のサブ投影画像に基づいて、前記物品の第1の再構成画像を取得するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施例の物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムによれば、物品に対して安全検査を行う時に、搬送ユニットによって物品を搬送ユニットの搬送方向に沿って移動させて、搬送ユニットが位置する平面に垂直な方向に沿って順次に設置された複数の放射線源が交互に放射線ビームを出射して形成するスキャン領域を通過させる。次に、線形検出器アレイによって、物品がスキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源から出射される放射線ビームが物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出する。その後、イメージングユニットによって、複数の放射線源の第1の投影画像に基づいて、物品の第1の再構成画像を取得する。複数の放射線源が異なる高さの位置に分布されているため、イメージングユニットによって一回のスキャン過程で、異なる高さに対応する位置での、複数の放射線源の円錐角の方向に沿った複数組のデータを取得でき、従来技術における放射線源の円錐角の方向に沿ったデータが不完全である問題を解決でき、検査対象物の再構成画像中のアーティファクトを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムの三次元構造の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムの上面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムの、
図2中のO-O面に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の一実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムの、
図2中のO-O面に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例で提供する複数の線形アレイ検出器の配置模式図である。
【
図6】
図6は、従来技術における放射線源から出射される放射線ビームが結晶体へ斜め入射する模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例で提供する放射線源から出射される放射線ビームが結晶体へ斜め入射する模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムの動作フロー模式図の一つ目である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムの動作フロー模式図の二つ目である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムの動作フロー模式図の三つ目である。
【
図11】
図11は、従来技術における直線状のスキャン軌跡によるイメージングシステムで生成される検査対象物の画像である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例で提供するスキャンによるイメージングシステムを用いて生成される検査対象物の画像である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施例で提供するトリガパルスシーケンスの模式図である。
【
図14】
図14は、本発明の別の一実施例で提供するトリガパルスシーケンスの模式図である。
【
図15】
図15は、本発明の別の一実施例で提供するトリガパルスシーケンスの模式図である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムのイメージング方法のフローチャートである。
【
図17】
図17は、本発明の別の一実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムのイメージング方法のフローチャートである。
【
図18】
図18は、本発明の別の一実施例で提供する物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムのイメージング方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例の各様態の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が提示される。
【0027】
本発明の実施例は、物品安全検査ためのスキャンによるイメージングシステム及びそのイメージング方法を提供し、各公共の場所での物品の安全検査に適用し、物体内部の減衰係数の分布図を取得して危険品を自動的に識別でき、大型物品(例えば、コンテナ)のセキュリティ検査の方でも利点を有する。
【0028】
図1は、本発明の実施例で提供する物品安全検査ためのスキャンによるイメージングシステムの三次元構造の模式図である。
図1におけるスキャンによるイメージングシステムは、搬送ユニット101、複数の放射線源102、線形検出器アレイ103、及びイメージングユニット(未図示)を備える。
【0029】
搬送ユニット101は、物品を搬送ユニット101の搬送方向(
図1の矢印で示す方向)に沿って移動させることに用いられる。例示的に、搬送ユニット101を実現する形態は、ベルト搬送であってもよく、チェーン搬送であってもよく、歯車搬送又は他の伝動方式であってもよく、これらは限定されない。一般的に、検査対象物は、搬送ユニット101の上方に置かれている。なお、搬送ユニット101の動力機構は、単方向搬送と双方向搬送との両方に用いられる可能である。
【0030】
複数の放射線源102は、搬送ユニット101の一側に位置し、搬送ユニット101が位置する平面に垂直な方向に沿って順次に設けられ、即ち複数の放射線源102は、垂直線に沿った異なる高さの位置に配置される。複数の放射線源102は交互に放射線ビームを出射してスキャン領域を形成する。例示的に、放射線源102は、エネルギーを調節でき且つ透過性が強い加速器の放射線源102であってもよい。
【0031】
線形検出器アレイ103は、搬送ユニット101の他側に位置し、複数の放射線源102に対向して設けられる。線形検出器アレイ103は、物品がスキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102から出射される放射線ビームが物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出することに用いられる。複数の放射線源102から出射される放射線ビームは、物品を透過した後に減衰し、即ち一部が物品に吸収されて、減衰後の第1の投影画像を形成する。
【0032】
各放射線源102から出射される放射線ビームは、一組の第1の投影画像に対応し、複数の放射線源102から出射される放射線ビームは、複数組の第1の投影画像に対応できる。
【0033】
イメージングユニットは、複数の放射線源102の第1の投影画像、即ち複数組の第1の投影画像に基づいて、物品の第1の再構成画像を取得することに用いられる。例示的に、CT再構成アルゴリズムを利用して複数の放射線源102の第1の投影画像に対して画像の再構成を行って、物品の第1の再構成画像を取得する。ここで、第1の再構成画像は、減衰係数分布図、原子番号図及び/又は電子密度図などの画像であってもよい。CT再構成アルゴリズムは、例えば代数的再構成技術及び統計的反復再構成アルゴリズムなどのような反復再構成アルゴリズムを利用できる。
【0034】
上記から分かるように、本発明の実施例の物品安全検査ためのスキャンによるイメージングシステムにより、物品に対して安全検査を行う時に、搬送ユニット101によって物品を搬送ユニット101の搬送方向に沿って移動させて、搬送ユニット101が位置する平面に垂直な方向に順次に設けられる複数の放射線源102から交互に放射線ビームを出射して形成されるスキャン領域を通過させる。次に、線形検出器アレイ103によって、物品がスキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102から出射される放射線ビームが物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出する。その後、イメージングユニットによって、複数の放射線源102の第1の投影画像に基づいて物品の第1の再構成画像を取得する。複数の放射線源102が異なる高さの位置に配置されているため、イメージングユニットによって一回のスキャン過程で、異なる高さに対応する位置での、複数の放射線源102の円錐角の方向に沿った複数組のデータを取得でき、従来技術における放射線源102の円錐角の方向に沿ったデータが不完全である問題を解決でき、検査対象物104の再構成画像中のアーティファクトを解消できる。
【0035】
好ましい例において、
図2を参照すると、複数の放射線源102は、線形検出器アレイ103上の、複数の放射線源102が位置する垂直線の投影が、線形検出器アレイ103の中間に位置するように設けられる。
図2に示す方法で複数の光線源102を配置し、ここで、ACとABの距離は同じであり、放射線量の減衰は距離の2乗に反比例するため、このように、複数の放射線源102に対応する複数組の第1の投影画像(即ち、投影データ)の間に明らかなノイズの違いを存在しないようにし、イメージング用の投影データの整合性及び精度を向上できる。
【0036】
検出対象物を高さ方向で完全にカバーするために、放射線源102と線形検出器アレイ103との距離に基づいて放射線源102の数を決定できる。例えば、線形検出器アレイ103に比較的近い位置に比較的多い数の放射線源102を配置でき、線形検出器アレイ103から比較的遠い位置に比較的少ない数の放射線源102を配置できる。
例示的に、
図3及び
図4を参照すると、点Dは検出対象物の高さを示すことに用いられ、
図3における放射線源102が位置する垂直線と線形検出器アレイ103との距離は、
図4における対応する距離より小さく、高さ方向で検査対象物104を完全にカバーする、即ち点Dをカバーするために、
図3において少なくとも三つの放射線源102が設けられているが、
図4において少なくとも二つの放射線源102が設けられていればよい。
【0037】
本発明の実施例に基づくと、線形検出器アレイ103は、搬送ユニット101の搬送方向に沿って順次に設けられる複数の線形アレイ検出器1031(
図1を参照)を含んでもよく、複数の線形アレイ検出器1031は、物品がスキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102から出射される放射線ビームが物品を透過した後に形成される第1の投影画像をそれぞれ検出することに用いられる。エリアアレイ検出器と比較して、複数の線形アレイ検出器1031の設置はより柔軟になり、コストもより低い。
【0038】
例示的に、放射線源102の数はMであり、線形検出器アレイ103中の線形アレイ検出器1031の数はNであり、MとNはいずれも2以上の正の整数である。各線形アレイ検出器1031によって、各放射線源102から出射される放射線ビームのある角度下での透過画像を採集でき、即ち一枚の投影データを採集できるため、一回のスキャン過程でM×N枚の投影データを取得できる。
【0039】
好ましい一例において、複数の線形アレイ検出器1031は、複数の放射線源102が位置する垂直線の周りに当該垂直線に向けて配列するように配置される。
図5は、複数の線形アレイ検出器1031の上面図である。
図5で示す各線形アレイ検出器1031はいずれも放射線源102が位置する垂直線に向けて偏回するように配置される。
【0040】
各線形アレイ検出器1031は、複数のサブ検出器が高さ方向で積み重ねられて構成されるように設けられてもよく、各サブ検出器の間に隙間があってもよく、シームレスに接続されてもよい。例示的に、各サブ検出器は、長方形の結晶体であってもよい。ここで、各長方形の結晶体の、放射線源102に向ける面を受光面と呼ぶ、又は、各線形アレイ検出器1031全体の放射線源102に向ける面を受光面と呼ぶ。放射線源102から出射される放射線ビームは、受光面を透して各長方形の結晶体の内部に入射し、長方形の結晶体の部分によって吸収された後に減衰後の投影画像を生成する。さらに、上記「複数の線形アレイ検出器1031は、複数の放射線源102が位置する垂直線の周りに当該垂直線に向けて配列するように配置される」ことはさらに、複数の線形アレイ検出器1031は、各線形アレイ検出器1031の受光面の垂直線に、複数の放射線源102が位置する垂直線を通過させる又は複数の放射線源102が位置する垂直線と交差させるように配置されると描かれる。
【0041】
図6は、従来技術における放射線源102から出射される放射線ビームが結晶体へ斜め入射する模式図である。
図6から分かるように、放射線ビームが結晶体へ斜め入射する時に、結晶体を透過する厚さ(破線601)は実際の結晶体の厚さよりはるかに小さく、結晶体の等価面積(破線セグメント602)は、結晶体の受光面の実際面積よりもはるかに大きい。
【0042】
図7は、本発明の実施例の放射線源102から出射される放射線ビームが結晶体へ斜め入射する模式図である。
図7から分かるように、放射線ビームが結晶体へ垂直に入射する時に、結晶体を通過する厚さ(破線701)は結晶体の厚さと同じであり、結晶の等価面積は、結晶の受光面の実際の面積と同じである。
【0043】
よって、従来技術における結晶体へ斜めに入射する態様と比べて、本発明の実施例における結晶体へ垂直に入射する態様は、一方で、結晶体を効果的に通過する厚さを増加させて、放射線ビームの透過力を向上させ、検出された投影画像における投影データはより完全であり、他方で、等価結晶面積は受光面の実際の面積と同じであって、放射線ビームの空間分解能を向上させ、検出された投影画像における投影データの分解能をより向上させる。
【0044】
本発明の実施例によれば、スキャンによるイメージングシステムは、搬送ユニット101の一端又は両端に位置する回転ユニット901(
図9を参照)をさらに含み、回転ユニット901は、物品がスキャン領域を通過して搬送ユニット101の端側に移動した時に、物品にプリセットの角度を回転させることに用いられる。
【0045】
搬送ユニット101は、さらに回転後の物品に再度スキャン領域を通過させることに用いられ、線形検出器アレイ103は、さらに物品が再度スキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102から出射される放射線ビームが前記回転後の物品を透過した後に形成される第2の投影画像を検出することに用いられ、イメージングユニットは、さらに複数の放射線源102の第1の投影画像及び第2の投影画像に基づいて、物品の第2の再構成画像を取得することに用いられる。
【0046】
なお、検査対象物104がプリセットの角度を回転してスキャン領域を通過するステップは、複数回であってもよい。一般的に、一回の検査中で物品がスキャン領域を通過する回数が多いほど、物品が照射される角度はより全面的になるため、取得される再構成画像の品質がより高くなる。
【0047】
一例において、一回の検査で物品がスキャン領域を通過する回数が2回である場合、検査対象物を全面的に照射するために、物品を回転させるプリセットの角度の範囲を90°±10°に設置することができる。
【0048】
別の一例において、一回の検査で物品がスキャン領域を通過する回数がN回である場合、検査対象物を全面的に照射するために、物品を回転させるプリセットの角度の範囲を(180/N)±10°に設置することができる。ここで、Nは、正の整数である。
【0049】
本発明の実施例によれば、スキャンによるイメージングシステムは、経路をさらに含み、経路は主に放射線保護シールド機能を提供し、経路の出口及び入口にはいずれにもシールドドアが設けられ、且つ搬送ユニット101は経路から通過するように設けられる。
以下、本発明の実施例のスキャンによるイメージングシステムの動作過程を詳細に説明する。具体的に
図8~
図10を参照すると、スキャンによるイメージングシステムの動作ステップは、
検査対象物104を搬送ユニット101に固定して、物品を搬送ユニット101の搬送方向に沿って移動させるステップ(
図8を参照)と、
上下方向に沿って分布される複数の放射線源102から交互に出射してスキャン領域を形成するステップと、
線形検出器アレイ103によって、物品がスキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102から出射される放射線ビームが物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検査するステップと、
検査対象物104が搬送ユニット101の端側に移動した時に、端側に設けられる回転ユニット901によって検査対象物104にプリセットの角度を回転させるステップ(
図9を参照)と、
搬送ユニット101により回転後の検査対象物104を搬送して再度スキャン領域を通過するステップと(
図10を参照)と、
線形検出器アレイ103によって、検査対象物104が再度スキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102から出射される放射線ビームが物品を透過した後に形成される第2の投影画像を検出するステップと、
イメージングユニットによって、複数の放射線源102の第1の投影画像及び第2の投影画像に基づいて物品の第2の再構成画像を取得するステップと、を含む。
【0050】
本発明の実施例のスキャンによるイメージングシステムの効果をより直感的に見せるために、
図11及び
図12を参照する。
図11は、従来技術における直線状のラインスキャン軌跡によるイメージングシステムで生成される検査対象物104の画像であり、矢印で示された位置を注目すると、画像の上方及び下方にはいずれにも明らかな円錐角のアーティファクトがあることが分かる。
図12は、本発明の実施例のスキャンによるイメージングシステムを用いて生成される検査対象物104の画像であり、円錐角のアーティファクトが効果的に制限され、且つ生成された画像がより明確になりバランスが取れていることが分かる。
【0051】
本発明の実施例によれば、スキャンによるイメージングシステムは、複数の放射線源102が放射線ビームを交互に出射するように制御するトリガパルスシーケンスを生成するパルス発生器(未図示)をさらに含む。ここで、トリガパルスシーケンスは、具体的に以下の幾つの場合を含む。
【0052】
第1の場合、トリガパルスシーケンスの1周期では、複数の放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号を含み、トリガパルス信号は、対応する放射線源が、同じエネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
例示的に、
図13は、三つの放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号を示す。ここで、横軸は時間を示し、時間軸の方向に沿って三つの放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号が交互に配列されている。縦軸はエネルギーを示し、全てのトリガパルス信号が示すエネルギーはいずれもE1である。この態様で得られた投影画像データは、単一エネルギーのCT再構成に用いられる完全なデータである。
【0053】
第2の場合、トリガパルスシーケンスの1周期では、複数の放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号群を含み、トリガパルス信号群は、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号を含み、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号は、対応する放射線源102が順次に第1のエネルギーを有する第1のサブ放射線ビーム及び第2のエネルギーを有する第2のサブ放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。ここで、放射線源102は、エネルギーを調整可能な二重エネルギー加速器であってもよい。
例示的に、
図14は、三つの放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号群を示し、即ち各放射線源102は二回に出射する。ここで、横軸は時間を示し、時間軸の方向に沿って三つの放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号群が交互に配列されている。縦軸はエネルギーを示し、各トリガパルス信号群における第1のトリガパルス信号が示すエネルギーはいずれもE2であり、各トリガパルス信号群における第2のトリガパルス信号が示すエネルギーはいずれもE3である。この態様で得られた投影画像データは、二重エネルギーCT再構成に用いられる完全なデータである。
【0054】
以下、二重エネルギーCT再構成画像の原理について詳細に説明する。
先ず、二重エネルギー放射線により検査対象物をスキャンして、二重エネルギー投影データを取得する。
次に、事前に作成されたルックアップテーブル、又は連立方程式を解く方法に従って、二重エネルギー投影データに対応する基材係数の投影値を計算する。ここで、ルックアップテーブルを作成する方法は、二種類の基材を選択し、二重エネルギー放射線がこれら二種類の基材の異なる厚さを通過する時の投影値を計算し、高エネルギー及び低エネルギーの投影値と異なる厚さとの組み合わせの関係に従ってルックアップテーブルを取得することである。連立方程式を解く方法は、実際に得られた高エネルギーの投影値及び低エネルギーの投影値を使用し、基材を分離する高エネルギー投影連立方程式と低エネルギー投影連立方程式を解くことにより、対応する厚さの組み合わせを取得できる。
その後、基材の投影値によって、基材係数の分布画像を取得できる。基材係数の分布から検査対象物の原子番号、特徴密度画像及び任意エネルギー下での検査対象物の減衰係数画像を取得して、検査対象物に対して物質の分類と自動識別を行うことができる。
【0055】
なお、第2の場合に取得された投影画像データに対して二重エネルギーCT再構成を行うために、スキャンによるイメージングシステムは分離ユニットをさらに含み、分離ユニットは、第1の投影画像から、第1のサブ放射線ビーム及び第2のサブ放射線ビームにそれぞれ対応する第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像を分離することに用いられる。ここで、イメージングユニットは、さらに、第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像に基づいて、検査対象物104の第1の再構成画像を取得することに用いられる。
【0056】
第3の場合、放射線源102は、エネルギーを調整可能である単一エネルギー加速器であってもよい。トリガパルスシーケンスの1周期では、複数の放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号を含み、検査対象物104に対する1回目のスキャン過程で、トリガパルス信号は、対応する放射線源102が同じ第1のエネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられ、検査対象物104に対する2回目のスキャン過程で、トリガパルス信号は、対応する放射線源102が同じ第2の相同エネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
例示的に、1回目のスキャン過程で全てのトリガパルス信号が示すエネルギーはいずれもE1であり(
図13を参照)、2回目のスキャン過程で全てのトリガパルス信号が示すエネルギーはいずれもE4である(
図15を参照)。この態様で得られた投影画像データは、二重エネルギーCT再構成に用いられ、得られた検査対象物104の画像情報は高エネルギー減衰係数、低エネルギー減衰係数、原子番号、電子密度などの情報を含むため、検査対象物に対して物質の分類と自動識別を行うことができる。
【0057】
図16は、本発明の実施例の物品安全検査のためのスキャンによるイメージング方法のフローチャートであって、上記の物品安全検査のためのスキャンによるイメージングシステムに適用できる。
図16のスキャンによるイメージング方法は、ステップ161~ステップ164を含む。
【0058】
ステップ161において、複数の放射線源102に交互に放射線ビームを出射させてスキャン領域を形成する。
ステップ162において、搬送ユニット101により物品を搬送方向に沿って移動させ、物品にスキャン領域を通過させる。
ステップ163において、線形検出器アレイ103によって、物品がスキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102の放射線ビームが物品を透過した後に形成される第1の投影画像を検出する。
ステップ164において、イメージングユニットによって、複数の放射線源102の第1の投影画像に基づいて、物品の第1の再構成画像を取得する。
【0059】
好ましい一例において、線形検出器アレイ103は、搬送ユニット101の搬送方向に沿って順次に設けられる複数の線形アレイ検出器1031を含み、スキャンによるイメージング方法は、複数の線形アレイ検出器1031によって、物品がスキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102の放射線ビームが物品を透過した後に形成される第1の投影画像をそれぞれ検出することを含む。
【0060】
具体的に、イメージングユニットによって、複数の放射線源102の第1の投影画像に基づいて、物品の第1の再構成画像を取得するステップは、CT再構成アルゴリズムを利用して、複数の放射線源102の第1の投影画像に対して画像の再構成を行って、物品の第1の再構成画像を取得するステップを含む。
【0061】
図17は、本発明の別の一実施例の物品安全検査のためのスキャンによるイメージング方法のフローチャートである。
図17と
図16との相違とは、ステップ103の後に、
図17がステップ165~ステップ168をさらに含むことである。
【0062】
ステップ165において、物品がスキャン領域を通過して搬送ユニット101の端側に移動した時に、回転ユニット901によって物品にプリセットの角度を回転させ、ここで、回転ユニット901は、搬送ユニット101の一端又は両端に位置する回転ユニット901である(
図9を参照)。
ステップ166において、搬送ユニット101によって、回転後の物品に再度スキャン領域を通過させる。
ステップ167において、線形検出器アレイ103によって、回転後の物品が再度スキャン領域を通過する過程で、複数の放射線源102の放射線ビームが回転後の物品を透過した後に形成される第2の投影画像を検出する。
ステップ168において、イメージングユニットによって、複数の放射線源102の第1の投影画像及び第2の投影画像に基づいて、物品の第2の再構成画像を取得する。
【0063】
本発明の実施例によれば、スキャンによるイメージングシステムは、パルス発生器をさらに備え、複数の放射線源102に交互に放射線ビームを出射させてスキャン領域を形成するステップの前に、スキャンイメージング方法は、パルス発生器によって、複数の放射線源102が交互に放射線ビームを出射するように制御するトリガパルスシーケンスを生成するステップをさらに含む。
【0064】
ここで、トリガパルスシーケンスの1周期では、複数の放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号を含んでもよく、トリガパルス信号は、対応する放射線源102が同じエネルギーを有する放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
【0065】
トリガパルスシーケンスの1周期では、複数の放射線源102に一対一で対応するトリガパルス信号群を含んでもよく、トリガパルス信号群は、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号を含み、第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号は、対応する放射線源102が順次に第1のエネルギーを有する第1のサブ放射線ビーム及び第2のエネルギーを有する第2のサブ放射線ビームを出射するように制御することに用いられる。
【0066】
トリガパルス信号群が包括第1のトリガパルス信号及び第2のトリガパルス信号を含む状況に対して、スキャンによるイメージングシステムは分離ユニットをさらに含む。
図18は、本発明の別の一実施例の物品安全検査のためのスキャンによるイメージング方法のフローチャートである。
図18と
図16との相違は、
図16におけるステップ164を
図18におけるステップ1641及びステップ1642に分けることである。
【0067】
ステップ1641において、イメージングユニットによって、第1の投影画像から、第1のアブ放射線ビーム及び第2のサブ放射線ビームにそれぞれ対応する第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像を分離する。
ステップ1642において、イメージングユニットによって、第1のサブ投影画像及び第2のサブ投影画像に基づいて、物品の第1の再構成画像を取得する。
【0068】
なお、本明細書の各実施例は、漸進的に説明され、各実施例の間の同じ又は類似の部分を互いに参照できる。各実施例に対しては、他の実施例と異なる点を中心として説明する。装置の実施例は、方法の実施例の説明部分を参照できる。本発明の実施例は、上記で説明され図面に図示された特定のステップ及び構造に限定されない。当業者は、本発明の実施例の精神を理解した後、様々な変更、修正、及び追加を行うことができ、又はステップ間の順序を変更することができる。また、簡単にするために、既知の方法の技術の詳細な説明はここで省略している。当業者であれば、本発明に開示の技術範囲を基に、変更又は置換を容易に想到でき、これはいずれも本発明の保護範囲に属する。よって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に規定されるべきである。