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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】折り畳み可能なRF膜アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 19/12 20060101AFI20220203BHJP
   H01Q 1/08 20060101ALI20220203BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20220203BHJP
   H01Q 19/19 20060101ALN20220203BHJP
   H01Q 1/28 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
H01Q19/12
H01Q1/08
B64G1/66 C
H01Q19/19
H01Q1/28
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018546003
(86)(22)【出願日】2017-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 US2017020056
(87)【国際公開番号】W WO2017151689
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-07
(31)【優先権主張番号】62/301,486
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518307237
【氏名又は名称】ルギャルド,インク.
【氏名又は名称原語表記】L’GARDE, INC.
【住所又は居所原語表記】15181 Woodlawn Avenue Tustin, CA 92780 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パリソック,アーサー,リボルニオ
(72)【発明者】
【氏名】リンデン,ボリセイ
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-226931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/270301(US,A1)
【文献】特開2003-306199(JP,A)
【文献】特開平04-137803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/207880(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/213031(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 19/12
H01Q 1/08
B64G 1/66
H01Q 19/19
H01Q 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集器と、
外力が付加された時に部材の長さ方向に屈曲可能または変形可能であり、かつ、前記外力が除去されると記憶形態に戻る形状記憶複合材を含む支持構造と、
受信した無線周波数電波を収集器に指向させるよう構成された反射鏡とを含む展開式アンテナであって、
前記外力が付加された状態で前記支持構造が折り畳まれた収納形態と、前記外力が除去されて前記支持構造が前記記憶形態に戻った展開形態とを有する、展開式アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載の展開式アンテナにおいて、
前記収納形態において折り畳まれた前記支持構造の前記展開形態への展開は、蓄積したひずみの解放のみによって行われる、展開式アンテナ。
【請求項3】
請求項1に記載の展開式アンテナにおいて、
前記支持構造が、環状の外側フレームと、前記外側フレームに連結される少なくとも3つの支柱とを含み、前記展開式アンテナが、前記環状外側フレームに接合されるとともに、複数の結節点を画定する網メッシュを含む、展開式アンテナ。
【請求項4】
請求項に記載の展開式アンテナにおいて、
複数の引張部が前記複数の結節点に接合され、前記引張部は張力がかかった状態において前記展開形態における前記網メッシュの展開形状を画定する、展開式アンテナ。
【請求項5】
請求項に記載の展開式アンテナにおいて、
前記反射鏡が前記引張部に接合されている、展開式アンテナ。
【請求項6】
請求項に記載の展開式アンテナにおいて、
前記反射鏡が、隣接する前記引張部にそれぞれ連結された複数の反射鏡膜を含む、展開式アンテナ。
【請求項7】
請求項4に記載の展開式アンテナにおいて、
前記引張部は、二つの筐体に梱包されており、
前記二つの筐体の一方は、前記引張部の前記網メッシュ側の端部に接続されるとともに、他方は、前記引張部の反対側の端部に接続されており、
前記支柱が、前記収納状態から前記展開状態へと展開されると、前記引張部が前記二つの筐体から引っ張り出される、展開式アンテナ。
【請求項8】
請求項に記載の展開式アンテナにおいて、
前記形状記憶複合材が基材と母材とを含む、展開式アンテナ。
【請求項9】
請求項8に記載の展開式アンテナにおいて、
前記基材が炭素繊維、糸、ベクトラン、ケブラーまたはこれらの組み合わせを含む、展開式アンテナ。
【請求項10】
請求項9に記載の展開式アンテナにおいて、
前記母材がシリコーン、ウレタン、エポキシまたはこれらの組み合わせを含む、展開式アンテナ。
【請求項11】
請求項10に記載の展開式アンテナにおいて、
前記基材がより糸を含み、前記母材がより糸間の空間を埋める、展開式アンテナ。
【請求項12】
請求項11に記載の展開式アンテナにおいて、
前記より糸が前記支持構造の全長に沿って略整列された、展開式アンテナ。
【請求項13】
請求項12に記載の展開式アンテナにおいて、
前記支持構造が外側フレームと、前記外側フレームに連結された複数のリブと、前記外側フレームに連結された複数の支柱とを含む、展開式アンテナ。
【請求項14】
請求項13に記載の展開式アンテナにおいて、
前記外側フレームが環状体を含み、前記支柱が前記外側フレームの面外に延伸するとともに互いに略収束している、展開式アンテナ。
【請求項15】
請求項14に記載の展開式アンテナにおいて、
前記外側フレームと前記支柱とが反射鏡を支持する、展開式アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
大型パラボラアンテナは、近接する惑星や星から無線周波数(RF)電波を、そして宇宙の遠方から銀河間の電波を収集することにより天文学において非常に大きな役割を果たしてきた。大型パラボラアンテナは、ビッグバン初期から宇宙誕生の神秘を解明するデータの構築に貢献してきた。最近では、大型パラボラアンテナは、我々の銀河系において恒星の周りを回る太陽系外惑星の発見と特性解析を促進している。
【0002】
同時に、小型化技術の発展により、より大型な従来の衛星や宇宙機の能力に匹敵する能力を維持しながら宇宙機を小型化および軽量化できるようになった。しかし、レーダーアンテナによる検出の感度および解像度はアンテナ受信機または皿の面積に直接左右される。したがって、今日の小型衛星や超小型衛星において高速プロセッサー、高エネルギー密度電池、太陽電池、慣性測定装置、軌道および姿勢制御システムなどその他の宇宙機構成部品が小型化および軽量化される中、アンテナは必要な性能を提供するのに大きな面積を維持する必要がある。
【0003】
このような大面積の必要性により、宇宙への打ち上げの際に小さく折り畳んでの収納を可能にしながらも大面積を維持するRFアンテナの新しい概念の設計が生まれた。アンテナは、何光年も離れた歪のない電波情報の収集を可能にする正確なパラボラ反射面の品質および形状を維持しつつも、ロケットペイロードでは小型に折りたため、宇宙への打ち上げ後は最大限に展開できなくてはならない。
【0004】
従来の収納式アンテナは、分割された複数の箇所を含んで予め形成された剛性構造を含んでおり、それによって、各部分を折り畳んだ形態とすることができる。この接合点構造を展開しロックしてこの剛性構造を広げることにより、この剛性構造が所望の展開形態となる。例えば、剛性シートにおいて、アンテナが収納形態から展開形態へ展開できるようシート間にヒンジを含むことができる。同様に、アンテナ構造の支持フレームにおいて、折りたたみ可能なリンク機構を形成する分割された剛性のロッドを含むことができる。支持フレームは、個別の場所において折りたたみ収納形態にすることができるとともに、広げてロックし展開形態にすることができる。
【0005】
予め形成された固定的形状を有さない従来の収納式アンテナは、膨張式構造を含む場合がある。この構造は、所望の最終形状が気球状となる。しかし、このシステムは、膨張ガスまたは構造を展開するための物質を保管および導入するための追加の構成部品を必要とする。したがって、この構造は、予め形成された固定的構造によって要請される、特定の、また固定的な形態を維持するための固定的収納形態が不要であるという利点がある。しかしこの構造は、構造を展開するための追加的な空間および重量を必要とする。
【発明の概要】
【0006】
折り畳み可能なアンテナの実施形態が本出願に記載されている。実施形態による折り畳み可能なアンテナは、支持構造および反射鏡を有する。支持構造は反射鏡形状を直接的または間接的に画定することができる。実施形態は、折り畳み可能なアンテナに小体積収納形態と大体積展開形態を有することを可能にする展開式支持構造を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付した図面および以下の関連する記述は本発明の実施形態を説明することを目的としており、添付の請求の範囲を限定するものではない。対応する数字は対応する部品を示す。
【0008】
図1図1は、対称アンテナ形態の一例を示す。
図2図2は、対称アンテナ形態の一例を示す。
図3図3(a)-図3(b)は、対称アンテナ形態の一例を示す。は、対称アンテナ形態の一例を示す。
【0009】
図4図4は、非対称反射鏡の一例を示す。
【0010】
図5図5は、反射鏡の支持構造の一例を示す。
【0011】
図6図6(a)は、展開式アンテナ形態の一例を示す。図6(b)-図6(d)は、図6(a)の構成部品の拡大図を示す。
【0012】
図7図7は、展開形態の展開式アンテナの一例を示す。
【0013】
図8図8(a)-図8(b)は、図6(a)の収納された状態を示す構成要素図の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して、装置、構成部品、組立方法および製造方法を以下に記す。この場合、全図面を通して同じ番号は同じまたは類似の要素を指す。以下にいくつかの実施形態、実施例および説明が記されているが、本出願に記載の発明は、本出願において明確に開示された実施形態、実施例および説明に限定されず、本発明のその他の使用、自明な改変およびその等価物を含むものであると当業者に理解される。本出願の記述に使用される用語は、ある特定の実施形態の詳細記述に関連して使用されているからというだけの理由を基に限定的に解釈されるものではない。さらに、本発明の実施形態にはいくつかの新しい特徴が含まれてもよく、単一の特徴のみが、所望の特性について全責任を担うものではなく、本出願に記載の発明の実施に不可欠であるということもない。
【0015】
本出願には特定の態様、利点ならびに特徴が記載されているが、特定の実施形態がその態様、利点ならびに特徴の一部または全部を含んだり実現されたりする必要はない。本出願に記載の利点を実現する実施形態ではないものもあるかもしれないが、その他の利点を実現する可能性がある。いずれの実施形態における構造、特徴または工程においても、別の実施形態における構造、特徴または工程を代わりにまたは追加して使用することもできるし、省略することもできる。本出願の記載は様々な開示された実施形態における特徴の組み合わせすべてを企図するものである。あらゆる特徴、構造あるいは工程は不可欠ではない。統合、分離、削除、追加、複製または再統合にかかわらず、あらゆる特徴の組み合わせが本出願の開示の範囲内にあるように、特徴は必要に応じて統合または分割することもできる。
【0016】
本出願に記載の実施形態は、支持骨組みや支持構造を画定したり、組み立て前の折りたたみ式アンテナの一部または全部に組み込まれたりして統合される、形状記憶複合材を含むことができる。本出願に記載の実施形態は形状記憶複合材を扱っているが、アンテナ形態の例自体が新しいものでありうる。したがって、記載された構造は従来の展開式アンテナ材料を使用して作成することができる。実施形態は、膜反射鏡を含む折りたたみ可能なRFアンテナに関する2つの発明的設計を含む。この設計は、単に例示的なものであり、特徴は特定の機能を実現するためにこの2つの設計間で必要に応じて再統合することができる。実施形態は無線周波数(RF)反射鏡について記載しているが、光線用反射鏡またはそれ以外の信号の伝送/受信など別の用途に使用することもできる。展開式構造の実施形態も別の用途に使用することができる。
【0017】
図1は、折り畳み可能な膜アンテナ一例を示す。アンテナ10は、RF信号(点線)を受信し、信号または電波を収集器12に指向させる反射鏡20を含む。反射鏡20の形状には、受信信号が収集器に正確に位置するよう反射面を収集器に対して適切な位置に配置するために重要である。図1に示すように、一つの反射鏡が一つの収集器とともに使用されている。しかし、いかなる反射鏡の結合体を使用することもできる。例えば、図2は類似の反射鏡を示すが、収集器が延伸した形態となっており、収集器の一部が反射鏡の背面に配置され、受信部が反射鏡の前面に配置されている。図3A~図3Bに示されるような双反射鏡の形態も使用できる。この場合、第1反射鏡は図1の反射鏡に類似し、第2反射鏡は第1反射鏡の受信点に配置される。さらに第2反射鏡は、第1反射鏡から受信したRF信号を収集器へ指向するよう構成される。収集器は第1反射鏡の背面に配置され、第1反射鏡はRF信号が第2反射鏡から収集器へ伝送されるよう通路または穴を有する。また、例えば図4に記載された、反射鏡が非対称形態を有するもののような別の反射鏡形態を用いることもできる。この形状は収集器が反射鏡の軸から外れた位置に配置される場合に使用できる。図4に示すように、リブ18は反射鏡の一方の側から他の側までの概ね幅全体に渡って延在することができる。図示されるように、一つ以上の反射鏡および収集器のいずれの形態も、本出願に記載の実施形態にしたがって用いることができる。図示した反射鏡形態は単に例示的なものであり、これに限定されるものではない。
【0018】
反射鏡の例は、外側フレーム14、リブ18およびその組み合わせなどの支持構造を含む。支持構造は反射鏡20を支持する。反射鏡および/または支持構造は、支柱16により収集器や別の反射鏡などの物体に連結させることができる。
【0019】
実施形態において、支持構造は外側フレーム14を含む。支持構造は、楕円形、円形、多角形、貝殻形などのいずれの外囲形状を含むことができる。支持構造は、曲線構造、または隣接する直線部に対して傾斜させ、曲面に近い形状とした複数の直線部を含むことができる。実施形態は環状の外側フレームを含む。
【0020】
実施形態において、支持構造はリブ18を含む。任意の数のリブは外側フレームの外周に囲まれた空間を横断するものとすることができる。リブ18は反射鏡20の反射面を支持する。リブ18は反射鏡20の反射面の形状を画定するのに使用するものとすることができる。リブは、対称または非対称な形態を画定するものとすることができる。図1図3に示すように、リブは一方の端部が外側フレームに接続され、相互に近づくように延伸し、反対側の端部にて直接的または間接的に相互に接続することができる。リブは、対称の支持構造を画定するよう外側フレーム14の中心軸に近接することができる。リブは、アンテナの所望の反射面を画定するよう湾曲させることができる。図3Bに示すように、リブは外側フレーム14の面外に延伸することができる。
【0021】
略放物形状などの反射鏡の形状を画定するリブは、I型梁やT型梁など、剛性を向上させるために、断面慣性モーメントを高める断面形状で構成することができる。さらに、またはこの代わりに、剛性は、近接するリブ間に連結されたクロスリブを組み込むことにより向上させることもできる。図5はクロスリブのオフセット配置の実施形態を示す。ただし、このような形態は、周知あるいは開示されたいかなる実施形態にも使用することができる。
【0022】
実施形態において、支柱16は構成部品を連結するのに使用できる。例えば、支柱は反射鏡間、反射鏡と収集器の間、またはそれらの組み合わせや別の構成部品との組み合わせにおいて、間に延在させることができる。支柱は、支持構造に直接的または間接的に連結することができる。
【0023】
実施形態において、外側フレーム14および/またはリブ18および/または支柱16を含む支持構造は、形状記憶複合材料を含むことができる。形状記憶複合材料は、外力が付加された状態で組み立てを伴わない方法でアンテナが折りたたまれることを可能にする。したがって、折りたたみ形態は収納部または付加された外力に基づき動的に決定される。例えば、形状記憶複合材は、外力が付加された時に長さ方向に屈曲可能または変形可能とすることができる。しかし、形状記憶複合材は外力が除去されると記憶形態に戻る。したがって、実施形態は、外力が付加された状態では小体積である収納形態において、支持構造が当該収納形態に維持され、外力が除去された状態では大体積である展開形態において、支持構造が完全に展開されるものとすることができる。つまり、形状記憶した形態または付勢した形態を、支持構造がRF反射鏡として使用される展開形態とすることができる。実施形態において、形状記憶複合材は、外力が付加された状態ではいかなる方向に湾曲することができる。実施形態において、形状記憶複合材は、部材の長さ方向に沿って、または部材の全長に沿って、複数の位置において湾曲することができる。実施形態において、形状記憶複合材は、外力が除去されると、直線状、円形状、卵形状、曲線状、放物線状あるいはその他所定の形状を含む形状に記憶した形態に戻ることができる。
【0024】
形状記憶複合材料の例は、炭素繊維または糸、ベクトランあるいはケブラーの1つまたはそれ以上の基材を含む。基材はより糸から成る。より糸は、構造の長さ方向に沿って概ね整列され、一つまたはそれ以上の配列を含んでもよく、巻きつけられても螺旋状に配置されてもよく、織られてもよく、これらの組み合わせとすることもできる。形状記憶複合材料は、基材の周りおよび/または間に母材を含むことができる。母材は、シリコーン、ウレタンまたはエポキシとすることができる。形状記憶複合材料の例は、発明の名称が「複合材料」である共同特許出願の米国出願公開特許番号2016/0288453に記載されている。
【0025】
実施形態において、反射鏡は高反射性の面を有する柔軟膜を含むことができる。反射面は、膜面に材料を被覆、ラミネート、蒸着または接着することにより形成することができるし、膜面自体で形成することもできる。実施形態において、膜は、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)、テドラー、テフロン、その他ポリイミドまたはプラスティック材料、およびこれらの組み合わせを含む。反射被覆は、アルミニウム、銀、銀-インコネルおよびこれらの組み合わせなどの高導電性金属の層とすることができる。さらに膜は、アルミニウムまたはステンレス鋼の箔や、炭素繊維などの導電性材料または導電性メッシュで生成することができる。さらにまた膜は、上記材料の一部または全部の組み合わせから成るラミネートから構成することができる。表面には、アルミニウム、銀または銀-インコネルなどの高導電性金属の層を被覆することができる。金属膜の厚さは100~2,000オングストロームとすることができる。
【0026】
実施形態において、反射鏡は、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)、テドラー、テフロン、その他ポリイミドまたはプラスティック材料など金属膜の単一または複数の層でラミネートされた形状記憶複合材料から成る一体型膜表面とすることができる。形状記憶複合材は、本出願に記載されるように、アルミニウム、銀または銀-インコネルなどの高導電性金属の層で被覆することができる。反射被覆は、形状記憶複合材料または形状記憶複合材料を被覆する膜に直接施すことができる。実施形態において、形状記憶複合材料の一体型膜表面は、支持構造の支柱および/または外側フレームの役割をすることができる。基本的には、一体型形状記憶複合材料は自立型構造とすることになる。
【0027】
実施形態において、反射鏡部品は高導電性金属の層で被覆された折り畳み可能な膜である。膜は、マイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)、テドラー、テフロン、その他ポリイミドまたはプラスティック材料とすることができる。膜の二重曲面は、正確に切断された平らな布状の膜を、継ぎ目を接着剤または材料溶融により接合するか、または型で成形されるか熱成形されることにより得られる。支持構造は、環状リング、放射状構造、リブおよび支柱である。これらは、炭素繊維または糸、ベクトランあるいはケブラーの一つまたはそれらの組み合わせから成る複合材料で生成される。複合材の母材は、シリコーン、ウレタンまたはエポキシである。支持構造は、折りたたんで収納できるよう折りたたみ可能に設計および製作される。また、支持構造は形状記憶複合材を使用して製作することができる。複合材リブは、高いアンテナの利得と効率を得るために必要な曲率を有するよう製作される。例えば放物面形状の反射鏡の場合、リブはすべて放物面の表面に配列される。折り畳む際は、環状リング、リブおよび支柱は折りたたみ傘のように折り畳まれ、反射鏡膜はリブ、支柱および環状リングの間または上に収納される。展開は、折り畳み(または収納)形態において蓄積したひずみエネルギーを解放することにより折り畳まれたアンテナを最終的なアンテナの形態に展開可能にすることで達成される。支持構造の材料の性質上、弾力性は製作時に剛さの程度に基づき上下調節可能である。
【0028】
しかし、CoSMeRA反射鏡設計の好ましい実施形態は、1,500オングストロームの銀-インコネルで被覆された低熱膨張率のポリイミド膜の布状の膜から成り、支持構造は折り畳み可能な形状記憶炭素複合材料から成る。
【0029】
場合によっては、支持構造は折り畳み式支柱の代わりに中空管から成ることが好ましい。支持構造の展開は、搭載ポンプや、窒素、二酸化炭素またはヘリウムあるいはアルゴンのような他の不活性物質などの膨張ガスの使用により開始することができる。目的の概念に応じて、その他のガスも使用可能である。
【0030】
実施形態において、形状記憶材料は支持構造の全部または一部のみに使用することができる。例えば、リブが従来の分割型剛性材料を含む一方、反射鏡外側フレームは形状記憶材料を含むこともできる。従来の構造を有する形状記憶構造の別の組み合わせも、本出願において企図される。したがって、あらゆる構成部品の組み合わせにおいて、形状記憶複合材料、膨張材料、硬化性材料または剛性材料のあらゆる組み合わせが、本出願において企図される。
【0031】
図6は折り畳み可能な展開式アンテナの形態の例を示す。図示するように、支持構造は外側フレーム14および複数の支柱16により構成することができる。支柱は、外側フレームから宇宙機または収集器(一般的にハブと称する)に向かって延伸する。外側フレーム14および複数の支柱16は反射鏡20の支持構造を画定する。支持構造は、上述の形状記憶複合材または膨張型、硬化型あるいは固定的な折り畳み式構造などのその他の周知の材料とすることができる。図示するように、支持構造は環状外側フレームおよび3つの支柱を含む。しかし、使用する支柱の数は、好ましくは2から6であるが、いくつでもよい。支持構造は反射鏡が完全に包含される外郭または外面を画定する。支持構造は展開したアンテナの形状を画定する展開式構造である。
【0032】
折り畳み可能な展開式アンテナは、外側フレーム14に包囲および支持される網メッシュ22を含む。図6Bは網メッシュの立面図であり、図6Cおよび図6Dは網メッシュの結節点の拡大図である。網メッシュは、本出願に記載の接合点に対し複数の結節点26を備えるいかなる柔軟材料とすることができる。外側フレームを展開すると、網メッシュは拡張する。網メッシュの複数の結節点は、網メッシュからハブに延伸する引張部24に連結される。支持構造が展開すると、引張部には張力がかかり、網メッシュの面形状を画定する。網メッシュは、展開状態において、外側フレームから面外の略曲面構造を画定することができる。引張部は、網メッシュをハブ方向に保持することができる。
【0033】
引張部は、反射膜の支持構造となることができる。したがって、反射鏡20は網メッシュ、外側フレームおよび支柱により画定される体積内で画定されることができる。反射鏡20は、引張部に結合される複数のパネルを含むことができる。パネルの位置により反射鏡の形状を画定することができる。反射面は、概平面パネルを段階的に配置することにより曲面に近い形状とすることができる。反射面20は、アルミニウム、銀または銀-インコネルなどの厚さ100~1500オングストロームの高導電性金属の層で被覆されたマイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)またはテドラーのパネルとすることができる。本出願に記載の、または当業者に周知の別の反射面も使用可能である。
【0034】
実施形態の例において、小さく折り畳む展開式アンテナは、外周が環状のリングサポートを有する網メッシュ、3つ以上の支柱、複数の紐(張力紐)、導電性放物面状膜およびこれらの組み合わせ(または本出願に記載の別の実施形態からの組み合わせ)を含む。軽量高剛性引張部や紐は、網メッシュ構造の各結節点に結合される。各紐の他端部はその反対側の端部にてハブに結合される。支持構造の展開により紐が引っ張られると、図示されるように網メッシュは所望の曲面に変形し、例えば網メッシュの反転ドームを画定する。曲面形状は、いかなる回転面でもよく、放物面、球体面または双曲面を含むがこれに限定されない。曲面について記載する実施形態は、区分平面または区分直線により曲面に近い形状としたものを含む。
【0035】
約十数メートルから100メートルまでの開口径を有する小収納体積アンテナは、この設計を使用して製作することができる。
【0036】
図6Bは網メッシュ反転ドームの平面図を示す。反射面は、アルミニウム、銀または銀-インコネルなどの厚さ100~1500オングストロームの高導電性金属の層で被覆されたマイラー、カプトン、ポリウレタンコーティングナイロン(PCN)またはテドラーの三角導電金属面で構成することができる。三角導電金属面は図6Cに示すものとよく似ている。三角導電金属面の各頂点は、例えば放物面など所望の回転面を形成するよう適切な位置において張力のかかった紐に接続されることができる。三角導電金属面は高い膜応力を示すところまで伸ばす必要がないため、支持構造(環状リングおよび支柱)にかかる負荷は小さくてよい。これにより、システム全体の質量が小さくなる。
【0037】
当該反射鏡もまた、継ぎ目を接着剤または材料溶着により接合した、または直接鋳造あるいは熱成形された金属化膜の正しく切断されたフラットゴアで生成することができる。
【0038】
支持構造は環状リングおよび支柱を含むことができる。支持構造は、炭素繊維または糸、ベクトランあるいはケブラーの一つまたはそれらの組み合わせから成る複合材料で生成することができる。複合材料の母材は、シリコーン、ウレタンまたはエポキシとすることができる。支持構造は、折り畳み梱包され収納できるよう折り畳み可能に設計および製作される。また、支持構造は形状記憶複合材を使用して製作することができる。反射鏡ドームの網メッシュは、高いアンテナの利得と効率を得るために必要な曲率を有するよう製作される。梱包の際は、環状リングおよび支柱は折りたたまれ、反射鏡膜は支柱と環状リングとの間またはその上に収納される。(a)伸縮支柱一式あるいは(b)形状記憶複合材料で構成された支柱と環状リングの一式のいずれかが利用されて展開され、折り畳み(または収納)形態において蓄積したひずみエネルギーが解放され折り畳まれたアンテナを最終的なアンテナの形態に展開させることができる。支持構造の材料の性質上、弾力性は製作時に剛さの程度に基づき上下調節可能である。
【0039】
実施形態において、支持構造または支持構造の一部は、中空管から成る。管状支持構造の展開は、窒素、二酸化炭素またはヘリウムあるいはアルゴンのような他不活性物質などの膨張ガスの使用により行われることができる。その他のガスも使用可能である。
【0040】
張力要素の絡みを防ぐために、各紐は、図8A図8Bに示すように、一方が網メッシュ端部30に接続されるとともに他方がハブに近接する反対側端部32に接続される二つの筐体28に梱包されることができる。支柱が展開すると、紐が筐体から引っ張り出される。筐体は、管などいかなる外周を囲む筐体とすることができる。筐体は、所定の形状を維持する必要がなく、単に一つ一つの紐が独立するよう、柔軟で変形可能とすることができる。
【0041】
本出願に記載の実施形態に多くの変形および修正を加えてもよく、実施形態の要素はその他の許容可能な実施例の一つであると理解されることが強調されるべきである。このようなすべての改変および変形は、本出願の開示範囲に含まれ、後述の請求の範囲により保護されることを意図する。さらに、本出願に記載の工程のすべては、同時にあるいは本出願にて順に記載されたのとは異なる順序で実施することができる。さらに、明らかなように、本出願に開示される特定の実施形態の特徴および特性は、本出願の開示範囲内で追加の実施形態を構成するよう様々な様式で組み合わせることができる。
【0042】
参照のみを目的として明細書中で使用されている用語は、限定を意図するものではない。例えば、「上」および「下」は、参照する図面中の方向に言及する。「前」「後」「左」「右」「後部」および「側面」などの用語は、対象としている構成部品または要素を説明する本文および関連図面から明らかな、一貫しているが任意の座標において構成部品または要素の一部の方向および/または位置を示す。また、「第1」「第2」「第3」などの用語は別々の構成部品を説明するのに使用できる。このような用語は、特に上述した単語、その派生語および同様な趣旨の単語を含むことができる。
【0043】
とりわけ「できる」「してもよい」「かもしれない」といった本出願に記載の状態を示す文言は、特に別の意味であることを明記しない限り、または使用される文脈から別の意味に理解されないかぎり、ある実施形態が特定の特徴、要素および/または状態を含むと述べていると通常意図される。しかし、このような文言は、当該特徴、要素または状態が含まれない実施形態も含む。したがって、このような条件文言は、特徴、要素および/または状態が一つまたはそれ以上の実施形態の要件であること、あるいは一つまたはそれ以上の実施形態が別の実施形態に記載されない構成部品を必ず除外することを示唆することを通常意図しない。
【0044】
さらに、以下の用語が本出願において使用されていた可能性がある。単数形を表す「一つの」および「その」は、文脈において明記されない限り複数形も含む。したがって、例えば一つのものに関する言及は一つまたはそれ以上のものに関する言及を含む。「Ones(それら)」という用語は、一つ、二つまたはそれ以上に言及し、分量の一部または全部に通常当てはまる。「複数の」という用語は二つまたはそれ以上のものに言及する。「約」または「概ね」という用語は、分量、寸法、大きさ、配合、パラメーター、形状およびその他特徴が正確でなくてもよく、必要に応じて、許容可能な公差、換算係数、四捨五入、測定誤差等や当業者に周知のその他要因を反映するように近似および/または増減してもよいことを意味する。「概ね」という用語は、記載された特徴、パラメーターまたは値が必ずしも正確に実現される必要はないが、例えば公差、測定誤差、測定精度限界や当業者に周知のその他要因を含む偏差または変動が、特徴が奏するはずの効果を損なわない範囲で生じる可能性があることを意味する。例えば、「おおよそ」「約」および「概ね」という用語は、明記された分量または特徴の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満および0.01%未満の範囲に言及することができる。「約」または「おおよそ」などの用語が前に付いた数字は、記述された数字も含む。例えば、「約3.5mm」は「3.5mm」を含む。例えば、本出願中の「約」または「おおよそ」などの用語が前に付いた数値または範囲は、当該用語があってもなくても、本出願においては有効であることを明示的に企図する。
【0045】
数値データは本出願において範囲形式で表示あるいは提示されることができる。このような範囲形式は、便宜上および簡略化のためのみに使用されており、したがって、境界値として明示的に記載された数値のみでなく、当該範囲に含まれる個々の数値および部分範囲すべてをそれらが明示的に記載されているかのように含むものであると柔軟に解釈されるべきであると理解されるである。明細書において、「約1~5」の数値範囲は、明示的に記載された数値である約1~約5だけではなく、示された範囲内の個々の数値および部分範囲も含むものと解釈されるべきである。したがって、2、3および4などの個々の数値、ならびに「約1~約3」、「約2~約4」、「約3~約5」、「1~3」、「2~4」、「3~5」などの部分範囲も、この数値範囲に含まれる。別の記述において、「約1~約5」の数値範囲は、「1~5」の範囲の実施形態も含む。これと同じ原則が、記述される範囲の大きさまたは特徴に関わらず、一つの数値のみを記載する範囲(例えば、「約1より大きい」)に当てはまる。便宜上、複数の項目が共通リストに表示されることができる。しかし、このリストは、リストの各項目が個別の固有の部材として個々に特定されていると解釈されるべきである。したがって、このリストの個々の項目は、別段の記述なしに共通グループ内に表示されていることだけを根拠に、同リストのその他項目と事実上の同等物であると解釈されるべきではない。さらに、「および」と「または」という用語が項目リストに関連して使用されている場合、一つまたはそれ以上の項目が単体でまたはその他のリスト項目と組み合わせて使用できるという点において、広範に解釈されるものとする。「代わりに」という用語は、二つまたはそれ以上の代替物のうち一つの選択物に言及するものであり、文脈上明確に別段の記述がない限り、この選択物をリストされた代替物のみに限定、またはリストされた代替物の一つだけにそれぞれ限定することを意図しない。
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