(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20220119BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220119BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2021531133
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2020031177
【審査請求日】2021-05-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514015019
【氏名又は名称】エレファンテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】312003595
【氏名又は名称】タカハタプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅明
(72)【発明者】
【氏名】横山 英明
(72)【発明者】
【氏名】老田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 清
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/001812(WO,A1)
【文献】特開2011-210937(JP,A)
【文献】特開2007-317914(JP,A)
【文献】特開2007-134473(JP,A)
【文献】特開平09-260156(JP,A)
【文献】特開2006-228806(JP,A)
【文献】特開2012-213270(JP,A)
【文献】特開2010-028969(JP,A)
【文献】特開2012-199370(JP,A)
【文献】特開2010-016985(JP,A)
【文献】特許第6738077(JP,B1)
【文献】特開2012-110135(JP,A)
【文献】特開2019-155916(JP,A)
【文献】特開2011-216621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料からなり変形可能な基材と、
前記基材上に配置された金属配線パターンと、
前記金属配線パターンと接合手段で電気的に接合され磁界共鳴方式または電磁誘導方式により非接触で電力を送電する線材からなるコイル
であって、前記線材を平面視同一サイズでスパイラル状に巻き付けた環状形状のコイルと、
前記基材の前記金属配線パターンが配置された一面側で前記接合手段を含む前記コイルの全体を覆う樹脂層と、
端子表面が露出するように前記端子を囲むハウジングが前記基材を貫通して前記金属配線パターンが配置された一面側とは反対面側に突出して前記樹脂層と一体に形成され、前記金属配線パターンと前記基材の外部に設けられた外部素子とを電気的に接続するための第1の外部接続端子と、
前記樹脂層の端部から
前記ハウジングと同一方向に突出するように前記金属配線パターンが配置された前記基材が折り曲げられて
前記金属配線パターンの一部が接点として形成され
た前記基材の裏面側に板材が配置され、前記金属配線パターンと前記基材の外部に設けられた外部素子とを電気的に接続するための
第2の外部接続端子と、を備えた、
ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記コイルは、絶縁体で被覆された前記線材を
前記樹脂層の厚み方向に幾重にも巻回し
、前記樹脂層の厚み方向において前記基材の一面とは離れる側に偏って配置された本体部と、
前記本体部に比べて前記線材の線径が太く、前記本体部から前記本体部の中心軸に沿った方向に前記基材を貫通して外部に突出するように延びて
前記基材の前記金属配線パターンが配置された一面側で前記金属配線パターンと電気的に接続される端子部と、からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記樹脂層の外側となる一面に前記コイルと相対して電力を受電する受電コイルを含む機器を定位置に位置決めする位置決め部が一体に形成されている、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記樹脂層に前記コイルと相対して電力を受電する受電コイルを含む機器を定位置に固定するマグネットが一体に埋め込まれている、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記コイルと相対して電力を受電する受電コイルに電力が供給されている旨を、光、音、振動、及び表示のうちの少なくとも1つを用いて報知する報知部をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記樹脂層の外側となる一面に不透光処理がなされている、
ことを特徴とする請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記樹脂層の外側となる一面に加飾層をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予め定められた処理を行う電子回路と、電子回路が配置された基体と、一方端部が折り曲げられて基体に設けられたパッドと接合されると共にパッドを介して電子回路と電気的に接続され、また他方端部がコネクタ端子となって二次モールドの際の位置決めに使用されるピンヘッダと、コネクタ端子が露出するように、電子回路、基体及びピンヘッダの一方端部を樹脂封止して得られた一次モールド体と、を備えたモジュールが知られている(特許文献1)。
【0003】
対向するコイルとの間でワイヤレスにて電力伝送が行われる電力伝送用コイルと、電力伝送用コイルを封止するモールド樹脂と、を備え、モールド樹脂は、当該モールド樹脂の電力伝送用コイルにより電力伝送が行われる側の表面と電力伝送用コイルとの間に内部空間を有し、内部空間は、電力伝送用コイルとコイルとの対向方向から見て、電力伝送用コイルと重なる部分を有するコイルユニットも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-207318号公報
【文献】特開2017-183476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、部品点数を削減しつつ金属配線パターンが形成された変形可能な基材上にコイル及び外部接続端子を位置精度よく配置するとともに全体を薄型化することができる電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の電子装置は、
合成樹脂材料からなり変形可能な基材と、
前記基材上に配置された金属配線パターンと、
前記金属配線パターンと接合手段で電気的に接合され磁界共鳴方式または電磁誘導方式により非接触で電力を送電する線材からなるコイルであって、前記線材を平面視同一サイズでスパイラル状に巻き付けた環状形状のコイルと、
前記基材の前記金属配線パターンが配置された一面側で前記接合手段を含む前記コイルの全体を覆う樹脂層と、
端子表面が露出するように前記端子を囲むハウジングが前記基材を貫通して前記金属配線パターンが配置された一面側とは反対面側に突出して前記樹脂層と一体に形成され、前記金属配線パターンと前記基材の外部に設けられた外部素子とを電気的に接続するための第1の外部接続端子と、
前記樹脂層の端部から前記ハウジングと同一方向に突出するように前記金属配線パターンが配置された前記基材が折り曲げられて前記金属配線パターンの一部が接点として形成された前記基材の裏面側に板材が配置され、前記金属配線パターンと前記基材の外部に設けられた外部素子とを電気的に接続するための第2の外部接続端子と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子装置において、
前記コイルは、絶縁体で被覆された前記線材を前記樹脂層の厚み方向に幾重にも巻回し、前記樹脂層の厚み方向において前記基材の一面とは離れる側に偏って配置された本体部と、前記本体部に比べて前記線材の線径が太く、前記本体部から前記本体部の中心軸に沿った方向に前記基材を貫通して外部に突出するように延びて前記基材の前記金属配線パターンが配置された一面側で前記金属配線パターンと電気的に接続される端子部と、からなる、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子装置において、
前記樹脂層の外側となる一面に前記コイルと相対して電力を受電する受電コイルを含む機器を定位置に位置決めする位置決め部が一体に形成されている、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子装置において、
前記樹脂層に前記コイルと相対して電力を受電する受電コイルを含む機器を定位置に固定するマグネットが一体に埋め込まれている、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子装置において、
前記コイルと相対して電力を受電する受電コイルに電力が供給されている旨を、光、音、振動、及び表示のうちの少なくとも1つを用いて報知する報知部をさらに備えた、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子装置において、
前記樹脂層の外側となる一面に不透光処理がなされている、
ことを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子装置において、
前記樹脂層の外側となる一面に加飾層をさらに備えた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、部品点数を削減しつつ金属配線パターンが形成された変形可能な基材上に外部接続端子及びコイルを位置精度よく配置するとともにコイルに生じる電力を増大させ全体を薄型化することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、電力の伝達効率の低下を抑制するとともに、樹脂層を充填する際のコイルの位置ずれを少なくしてコイルを位置精度よく配置できる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、給電する相手機器をコイルに合わせて固定することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、給電する相手機器を樹脂層の外側面に密着させた状態コイルに合わせて固定することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、給電が行われていることを示すことができる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、コイルを外部から不可視にすることができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、コイルを外部から不可視にするとともに樹脂層の外側面に加飾を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1Aは電子装置の一例を示す平面模式図、
図1Bは電子装置の他の一例を示す平面模式図である。
【
図2】本実施形態に係る電子装置の一例を示す部分断面模式図である。
【
図3】報知部を備えた電子装置の一例を示す部分断面模式図である。
【
図4】変形例1に係る電子装置の一例を示す部分断面模式図である。
【
図5】変形例2に係る電子装置の一例を示す部分断面模式図である。
【
図6】変形例3に係る電子装置の一例を示す部分断面模式図である。
【
図7】変形例4に係る電子装置の一例を示す部分断面模式図である。
【
図8】変形例5に係る電子装置の一例を示す部分断面模式図である。
【
図9】本実施形態に係る電子装置の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図である。
【
図10】金属配線パターンとコイル及び外部接続端子を樹脂層を充填する金型にセットした状態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0038】
(1)電子装置の全体構成
図1Aは電子装置1の一例を示す平面模式図、
図1Bは電子装置1の他の一例を示す平面模式図、
図2は電子装置1の一例を示す部分断面模式図、
図3は報知部8を備えた電子装置1の一例を示す部分断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る電子装置1の構成について説明する。
【0039】
電子装置1は、
図1A、
図1B、
図2に示すように、合成樹脂材料からなり変形可能な絶縁性の基材2と、この基材2上に配置された金属配線パターン3と、金属配線パターン3と接合手段としての接合材6で電気的に接合されたコイル4と、金属配線パターン3と接合材6で電気的に接合された外部接続端子5と、コイル4を覆う樹脂層7と、を備えて構成されている。
【0040】
(基材)
本実施形態において使用する絶縁性の変形可能な基材2は特にフィルム状の基材に限らないが、以下、フィルム状の基材として説明する。ここで、「変形可能な基材」は、金属配線パターン3を配置後に変形できる、すなわち、熱成形、真空成形または圧空成形等によって実質的に平坦な二次元形状から実質的に三次元形状に形成されることができる基材を意味する。
基材2の素材は、絶縁性の変形可能な熱可塑性樹脂であって、融点Tmが存在する場合は150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。
また、基材2のガラス転移点Tgの範囲は20℃~250℃が好ましく、50℃~200℃がより好ましく、70℃~150℃が最も好ましい。ガラス転移点Tgが低すぎる場合、金属配線パターン3の形成時に基材2の歪みが大きくなる虞がある。
【0041】
基材2の材質は、上記のような融点Tmおよびガラス転移点Tgの条件に該当すれば特に限定されないが、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ナイロン6-10、ナイロン46などのポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ABS、PMMA、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
特にポリエステルがより好ましく、さらにその中でもポリエチレンテレフタレート(PET)が経済性、電気絶縁性、耐薬品性等のバランスが良く最も好ましい。
【0042】
基材2の厚みは、5μm~3mmが好ましく、12μm~1mmがより好ましく、50μm~200μmが最も好ましい。基材2の厚みが薄すぎる場合、強度が不十分になるとともに、金属配線パターン3のめっき工程時に基材2の歪みが大きくなる虞がある。尚、この厚みは基材2がフィルム状の基材である場合の条件であり、本発明が適用される絶縁性の基材2はフィルム状の基材に限定されない。
【0043】
基材2の表面には、金属ナノ粒子等の触媒インクを均一に塗布するために、表面処理を施すことが好ましい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理を用いることができる。
【0044】
このような変形可能な熱可塑性樹脂からなるフィルム状の基材2は、電子装置1の要求される使用態様によって、実質的に平坦な二次元形状から実質的に三次元形状に賦形される。
【0045】
(金属配線パターン)
基材2の表面に金属配線パターン3を配置する場合、さきに、金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒からなる下地層(不図示)を所定のパターン状に形成する。
下地層は、基材2上に金属ナノ粒子等の触媒インクを塗布したあと、乾燥および焼成を行うことにより形成する。
【0046】
下地層の厚みは、100nm~20μmが好ましく、200nm~5μmがさらに好ましく、500nm~2μmが最も好ましい。下地層が薄すぎると、下地層の強度が低下するおそれがある。また、下地層が厚すぎると、金属ナノ粒子は通常の金属よりも高価であるため、製造コストが増大する虞がある。
【0047】
触媒の材料としては、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルなどが用いられ、導電性の観点から金、銀、銅が好ましく、金、銀に比べて安価な銅が最も好ましい。
【0048】
触媒の粒子径は1nm~500nmが好ましく、10nm~100nmがより好ましい。粒子径が小さすぎる場合、粒子の反応性が高くなりインクの保存性・安定性に悪影響を与える虞がある。粒子径が大きすぎる場合、薄膜の均一形成が困難になるとともに、インクの粒子の沈殿が起こりやすくなる虞がある。
【0049】
金属配線パターン3は、下地層の上に電解めっきまたは無電解めっきにより形成される。めっき金属としては、銅、ニッケル、錫、銀、金などを用いることができるが、伸長性、導電性および価格の観点から銅を用いることが最も好ましい。
【0050】
めっき層の厚さは、0.03μm~100μmが好ましく、1μm~35μmがより好ましく、3μm~18μmが最も好ましい。めっき層が薄すぎると、機械的強度が不足するとともに、導電性が実用上十分に得られない虞がある。めっき層が厚すぎると、めっきに必要な時間が長くなり、製造コストが増大する虞もある。
【0051】
金属配線パターン3は、
図2においては、コイル4と外部接続端子5とを電気的に接続する例を示しているが、金属配線パターン3には、コイル4以外に複数の電子部品が取り付けられてもよい。電子部品としては、制御回路、歪み、抵抗、静電容量、TIRなどの接触感知、および光検出部品、圧電アクチュエータなどの触知部品、マイクおよびスピーカーなどの受音または発音、メモリチップ、プログラマブルロジックチップおよびCPUなどのデバイス操作部品、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ALSデバイス、PSデバイス、処理デバイス、MEMS等が挙げられる。特に、後述する報知部8を構成する発光素子81、スピーカ83(不図示)、振動素子84(不図示)等が挙げられる。
【0052】
(コイル)
コイル4は、絶縁体で被覆された線材を幾重にも巻回した本体部4Aと、本体部4Aから本体部4Aの中心軸に沿った方向に基材2を貫通して外部に突出するように延びて一端が金属配線パターン3と電気的に接続される端子部4Bと、からなり、磁界共鳴方式または電磁誘導方式により例えば受電コイル41を備えた携帯情報機器40に非接触で電力を送電する。
【0053】
本体部4Aは、線材をスパイラル状に巻きつけた環状形状に構成されており、平面視で同一サイズで樹脂層7の厚み方向(
図2中 Z方向)に幾重にも巻回して形成されている。これによりコイル4に生じる電力を増大させることができる。線材は導電性材料であれば任意であり、例えばリッツ線、銅単線を用いることができる。本体部4Aの環状形状は円形に限らず、正方形、長方形、菱形、半円、楕円、多角形、などの形状であってもよい。
コイル4から受電コイル41への電力搬送の効率は、コイル4と受電コイル41の間隔を狭くして向上できる。そのために、本体部4Aは、樹脂層7の厚み方向(
図2中 Z方向)において基材2の一面2aとは離れる側に偏って配設されている。
【0054】
本体部4Aは、
図1Bに模式的に示すように、平面視で中心部から外側へ広がるうずまき状に巻回して樹脂層7の厚み方向に幾重にも巻回して形成されてもよい。これにより、コイル4に対向する受電コイル41の位置合わせ精度を緩和することができるとともに、コイル4に生じる電力をより増大させることができる。
【0055】
端子部4Bは、本体部4Aの中心軸に沿った方向に延びるように形成され、後述する樹脂層7を二次モールドにより成形する際に、端子部4Bの一端側4Baが金型に固定されるようになっている。これにより、コイル4を位置精度よく配置でき、溶融樹脂の流動によるコイルの位置ずれも少なくすることができる。
端子部4Bは、本体部4Aに比べて線径が太い線材で構成されていることが好ましい。これにより、例えば、樹脂層7を射出成形で樹脂を充填して成形した際に、溶融樹脂の流動によるコイル4の端子部4Bの変形を少なくすることができる。端子部4Bの一端側4Baは、金属配線パターン3に接合材6で電気的に接合される。
【0056】
(外部接続端子)
金属配線パターン3上には、
図2に示すように、電子装置1の外部に設けられた外部素子と電気的に接続するための外部接続端子5が電気的に接合されている。
外部接続端子5は、例えば、銅の合金などを用いて四角柱形状に形成されている。尚、外部接続端子5は、一例として、表面にニッケルメッキを施し、そのニッケルメッキの上に、金、錫などの金属やそれら金属を含む合金などのメッキが施されても良い。外部接続端子5のピッチは、接続先のコネクタの規格に応じている。外部接続端子5は、例えば、コネクタ端子となる端子部5aと、金属配線パターン3と接合材6で接合されるアンカー部5bとからなり、アンカー部5bが接合材6で金属配線パターン3に電気的に接合される。
【0057】
外部接続端子5は、端子部5aが露出するように後述する樹脂層7と一体に形成されたハウジング部72で囲まれ、外部接続端子5及びハウジング部72が、電子装置1と電子装置1の外部に設けられた外部素子とを電気的に接続するコネクタを構成している。
【0058】
(接合材)
図2に示すように、コイル4の端子部4B及び外部接続端子5のアンカー部5bは金属配線パターン3と接合手段の一例としての接合材6で電気的に接合されている。接合材6としては、はんだが挙げられる。はんだは、基材2の軟化点より低温の溶融温度を有する低温はんだが望ましく、例えば、錫(Sn)とビスマス(Bi)との合金(SnBi)、錫(Sn)とビスマス(Bi)とニッケル(Ni)と銅(Cu)との合金(SnBiNiCu)、錫(Sn)とビスマス(Bi)と銅(Cu)とアンチモン(Sb)との合金(SnBiCuSb)、錫(Sn)と銀(Ag)とビスマス(Bi)との合金(SnAgBi)、錫(Sn)とインジウム(In)との合金(SnIn)、錫(Sn)とインジウム(In)とビスマス(Bi)との合金(SnInBi)、又は、基材2の軟化点と比較して相対的に低い融点を持つその他の合金とビスマス(Bi)及び/又はインジウム(In)とのその他の組み合わせとすることができ、例えば基材2としてのポリエチレンテレフタレート(PET)の軟化点より低い120~140℃の融点を有することが望ましい。
【0059】
基材2の軟化点よりも低い融点を持つはんだペーストを用いることにより、基材2は溶融又はその他の変形をしない一方で、はんだペーストは溶融して金属配線パターン3と化学的かつ物理的に接合し得る状態になる。そして、はんだが固化して、はんだを介して金属配線パターン3にコイル4及び外部接続端子5が電気的に接合される。
【0060】
また、コイル4及び外部接続端子5と金属配線パターン3との接合には、レーザーはんだ付けや光焼成はんだ付けを用いてもよい。この場合は、こてはんだ付けに比べて、非接触で基材2に負荷を与えないことから、はんだは特に低温はんだに限らず、通常のはんだでもよい。
【0061】
(樹脂層)
樹脂層7は、コイル4を覆うように接着層ADを介して形成され、
図2に示すように、金属配線パターン3が配置された基材2の他面2bとは反対側の一面2aでコイル4を覆う本体部71と、基材2の他面2b側に突出した筒形状を有し、筒の内部に外部接続端子5の端子部5aが露出するように囲むハウジング部72と、を備えて構成されている。尚、接着層ADは、金属配線パターン3を覆い隠すように調色されていることが好ましい。
【0062】
樹脂層7は、二次モールド成形可能な透光性の熱可塑性樹脂材料からなる熱可塑性樹脂である。具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド(PA)、アクリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、変性ポリフェニレンオキサイト(m-PPO)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)が挙げられるが、これらに限定されることはなく、射出成形で一般的に使用される材料で形成することができる。尚、樹脂層7に後述する報知部8としての導光体82を一体に形成する場合には、透光性の熱可塑性樹脂材料からなる熱可塑性樹脂が用いられる。
【0063】
樹脂層7は、流動性の中間体樹脂を型に流し込み、加熱して硬化を行う注型成形によって形成してもよい。注型成形用の材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0064】
樹脂層7には、
図1A、
図1B、
図2に示すように、樹脂層7の外側となる一面7aに位置決め部73が一体に形成されていることが好ましい。位置決め部73は、コイル4と相対して電力を受電する受電コイル41を含む携帯情報機器40を定位置に位置決めし、給電する相手機器である携帯情報機器40をコイル4に合わせて固定することができる。
【0065】
樹脂層7にコイル4と相対して電力を受電する受電コイル41を含む機器を定位置に固定するマグネット(不図示)を一体に埋め込んで位置決め部としてもよい。マグネットで固定することで、携帯情報機器40を樹脂層7の外側となる一面7aに密着させて受電コイル41への給電を安定化させることができる。
【0066】
樹脂層7の外側となる一面7aには、樹脂層7を射出成形または注型成形で形成する際に、金型にシボ加工を施してシボ面を形成することで不透光処理がなされていることが好ましい。不透光処理を施すことにより、樹脂層7が透光性の材料で形成された場合であっても、コイル4を外部から不可視にすることができる。
【0067】
樹脂層7の外側となる一面7aには、加飾層の一例としてフィルム7Aを貼付してもよい。フィルム7Aは、不透光に着色されることで、樹脂層7が透光性の材料で形成された場合であっても、コイル4を外部から不可視にすることができる。
また、フィルム7Aには細孔が形成された加飾部(不図示)を設け、報知部8から発し本体部71へ伝播した光の一部を透過させることで、加飾部の視認性を向上させることができる。
【0068】
(絶縁層)
基材2の金属配線パターン3が配置された他面2bは絶縁層9で覆われている。具体的には、他面2bにはソルダーレジストが塗布されて金属配線パターン3を保護している。特に、ソルダーレジストは、コイル4及び外部接続端子5をはんだ付けで実装する際に、電気的接続をとる接合部以外にはんだが付着して回路ショートを起こすのを防止している。また、金属配線パターン3間の絶縁性を維持するとともに、ほこり、熱、湿気などの外部環境から金属配線パターン3を保護している。
【0069】
(報知部)
電子装置1は、
図3に示すように、コイル4と相対して電力を受電する受電コイル41に電力が供給されている旨を、光、音、振動、及び表示のうちの少なくとも1つを用いて報知する報知部8を備えてもよい。
図3に示す報知部8は、LED等の発光素子81と、発光素子81が発する光を受けて外部へ出射する導光体82からなり、携帯情報機器40のコイル41に給電が行われていることを示すようになっている。
【0070】
発光素子81は、基材2上に形成された金属配線パターン3上に接合材6により電気的に接合され、金属配線パターン3に電気的に接合された外部接続端子5を介して外部から給電されて発光する。
【0071】
導光体82は、発光素子81と相対して発光素子81から発する光を内部に入射させる入射部82Aと、光を外部に出射させる出射部82Bと、入射部82Aと出射部82Bとの間に配置され、反射面82Cを有し光を出射部82Bに反射して伝播させる導光部82Dと、が樹脂層7に一体に形成されている。
【0072】
このように、発光素子81と導光体82からなる報知部8において、樹脂層7の外側となる一面7aに貼付されたフィルム7Aに細孔7Aaを設け、発光素子81から発し導光体82へ伝播した光の一部を透過させることで、報知内容を表示してもよい。
【0073】
報知部8は、スピーカ83(不図示)を金属配線パターン3上に電気的に接合して配置することで、音による報知を行ってもよい。また、スピーカ83に代えて振動素子84(不図示)を金属配線パターン3上に電気的に接合して配置することで、振動による報知を行ってもよい。
【0074】
(2)
電子装置の製造方法
図9は電子装置1の製造方法の概略の手順の一例を示すフローチャート図、
図10は金属配線パターン3とコイル4及び外部接続端子5を樹脂層7を充填する金型にセットした状態を示す断面模式図である。
電子装置1は、熱可塑性樹脂により構成された熱成形可能な基材2上に、金属ナノ粒子等の触媒インクを塗布する下地層塗布工程S1と、めっき処理により下地層の上に金属配線パターン3を形成するめっき工程S2と、金属配線パターン3が配置された基材2とコイル4及び外部接続端子5を金型に載置して基材2の少なくとも一面を覆うように樹脂を二次モールドする樹脂充填工程S3と、金属配線パターン3とコイル4及び外部接続端子5とを接合材6で電気的に接合する電気的接合工程S4と、を経て製造される。
【0075】
(下地層塗布工程)
所定の形状及び大きさに形成された実質的に平坦なフィルム状の基材2上に金属配線パターン3を配置するために、基材2上に金属めっき成長のきっかけとなる金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる下地層を所定のパターン状に形成する。尚、基材2は、金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを均一に塗布するために、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、溶剤処理、プライマー処理等の表面処理を施すことが好ましい。
【0076】
基材2上に金属ナノ粒子等の触媒粒子からなる触媒インクを塗布する方法としては、インクジェット印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式、パッド印刷方式、グラビアオフセット印刷方式、ダイコーター方式、バーコーター方式、スピンコーター方式、コンマコーター方式、含浸コーター方式、ディスペンサー方式、メタルマスク方式が挙げられるが、本実施形態においてはインクジェット印刷方式を用いている。
【0077】
具体的には、1000cps以下、例えば、2cpsから30cpsの低粘度の触媒インクをインクジェット印刷方式で塗布した後、溶媒を揮発させ金属ナノ粒子のみを残す。その後、溶媒を除去し(乾燥)、金属ナノ粒子を焼結させる(焼成)。
焼成温度は、100°C~300°Cが好ましく、150°C~200°Cがより好ましい。焼成温度が低すぎると、金属ナノ粒子同士の焼結が不十分となるとともに、金属ナノ粒子以外の成分が残ることで、密着性が得られない虞がある。また、焼成温度が高すぎると、基材2の劣化や歪みが発生する虞がある。
【0078】
触媒インク中の金属ナノ粒子の含有割合については、質量比で5%~60%が好ましく、10%~30%がさらに好ましい。含有割合が低すぎる場合、金属ナノ粒子による下地層を形成するのに必要なナノ粒子が足らずピンホールが発生する虞があり、含有割合が高過ぎるとインクの中で粒子同士が凝集しやすくなるなど安定性が損なわれる虞がある。
【0079】
(めっき工程)
下地層塗布工程S1を経て基材2上に形成された下地層に対し、めっき工程S2において電解めっきまたは無電解めっきを行うことにより、下地層の表面および内部にめっき金属を析出させる。めっき方法は公知のめっき液およびめっき処理と同様であり、具体的に無電解銅めっき、電解銅めっきが挙げられる。
【0080】
(樹脂充填工程)
樹脂充填工程S3では、まず、めっき工程S2で基材2の金属配線パターン3が配置された他面2bの反対側の一面2aに接着層ADを形成するバインダーインクを塗布する。バインダーインクは、接着性樹脂を含み、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スプレーコート、筆塗り等で塗布され、基材2と二次モールドされる樹脂層7との接着性を向上させる。尚、透光性の熱可塑性樹脂材料からなる樹脂層7が形成される場合は、不透光となるように黒色に着色されることが好ましい。
【0081】
次に、接着層ADを形成した後、
図10に示すように、コイル4及び外部接続端子5を、二次モールド成形用金型に位置決めしてセットした状態で固定側型KA、可動側型KBを閉じて樹脂をキャビティCAに充填する。コイル4は、端子部4Bが基材2を貫通して外側に突出して固定側型KAの固定孔KAaに固定される。外部接続端子5も端子部5aが固定孔KAbに固定される。これにより、コイル4及び外部接続端子5を位置精度よく配置でき、溶融樹脂の流動によるコイル4の位置ずれも少なくすることができる。そして、基材2の一面2aとコイル4を覆う本体部71と、基材2の他面2b側に突出した筒形状を有し、筒の内部に外部接続端子5の端子部5aが露出するように囲むハウジング部72と、発光素子81が発する光を受けて光を外部へ出射する導光体82と、が一体となった樹脂層7が形成される。
【0082】
このように、コイル4及び外部接続端子5と金属配線パターン3が配置された基材2を金型に位置決めして載置した状態で樹脂層7を二次モールドすることで、部品点数を削減しつつ金属配線パターン3が形成された変形可能な基材2上にコイル4、外部接続端子5及び導光体82を位置精度よく配置するとともに全体を薄型化することができる。
【0083】
(電気的接合工程)
基材2上に形成された金属配線パターン3上にコイル4、外部接続端子5及び発光素子81を接合材6としてのはんだで接合するために、まず、基材2の金属配線パターン3が配置された他面2b側にソルダーレジストを例えばスクリーン印刷によって塗布する。
次に、金属配線パターン3、コイル4の端子部4B、外部接続端子5のアンカー部5b、発光素子81のリード部にはんだペーストを塗布する。はんだペーストの塗布は、ステンシル印刷装置、スクリーン印刷装置、ディスペンサー装置等の公知の装置を用いて行うことができる。本実施形態においては、ディスペンサー装置を用いてはんだペーストを塗布する。
【0084】
そして、はんだペーストを塗布後、はんだを溶融、固化させて、金属配線パターン3上にはんだを介してコイル4の端子部4B、外部接続端子5のアンカー部5b及び発光素子81を電気的に接合する。熱成形等で変形可能な熱可塑性樹脂からなる基材2は、その軟化点が低いが、例えば、はんだに低温はんだを用いてこてはんだ付けすることで、基材2は電気的接合工程S4の熱によって溶融又はその他の変形をすることはない。
また、はんだ付けは、レーザーはんだ付けや光焼成はんだ付けを用いてもよい。この場合は、非接触で基材2に負荷を与えないことから、はんだは特に低温はんだに限らず、通常のはんだでもよい。
【0085】
このように、本実施形態に係る電子装置1によれば、コイル4及び外部接続端子5が配置された基材2を樹脂層7の本体部71と貼り合わせて構成する場合に比べて、部品点数を削減しつつ金属配線パターン3が形成された変形可能な基材2上にコイル4、外部接続端子5及び発光素子81を位置精度よく配置するとともに電子装置1の全体を薄型化することができる。
【0086】
「変形例1」
図4は変形例1に係る電子装置1Aの一例を示す部分断面模式図である。
電子装置1Aは、
図4に示すように、樹脂層7は、コイル4及び外部接続端子5が電気的に接合された金属配線パターン3側を覆うように形成されている。
【0087】
変形例1に係る電子装置1Aにおいては、
図4に示すように、コイル4の端子部4Bの一端側4Baが基材2を貫通して基材2から突出し金型に固定され、先に基材2の一面2aに配置された金属配線パターン3にコイル4の端子部4B及び外部接続端子5のアンカー部5bが接合材6で電気的に接合される。そしてコイル4の端子部4B及び外部接続端子5の端子部5aが金型に固定された状態で樹脂を充填して、コイル4を覆う樹脂層7の本体部71が基材の一面2a側に形成されている。これにより、樹脂層7を形成する際に、溶融樹脂の流動によるコイル4の位置ずれを少なくし、端子部4Bの変形も抑制することができる。
【0088】
「変形例2」
図5は変形例2に係る電子装置1Bの一例を示す部分断面模式図である。
電子装置1Bは、
図5に示すように、樹脂層7は、コイル4及び外部接続端子5が電気的に接合された金属配線パターン3側を覆うように形成されている。
【0089】
変形例2に係る電子装置1Bにおいては、先に基材2の一面2aに配置された金属配線パターン3にコイル4の端子部4B及び外部接続端子5のアンカー部5bを接合材6で電気的に接合する。そして、基材2の一面2a側に樹脂を充填して、コイル4を覆う樹脂層7の本体部71及び外部接続端子5を囲むハウジング部72が形成される。これにより、樹脂層7を形成する際に、先にコイル4の端子部4Bが接合材6で接合されているために、溶融樹脂の流動によるコイル4の位置ずれを抑制することができる。また、受電コイル41を備えた携帯情報機器40と対向する側は樹脂層7が形成されていないために、コイル4と受電コイル41との間隔が狭く、コイル4から受電コイル41への電力搬送の効率を向上させることができる。
【0090】
「変形例3」
図6は変形例3に係る電子装置1Cの一例を示す部分断面模式図である。
電子装置1Cは、
図6に示すように、外部接続端子5Aは、コネクタ接点が金属配線パターン3の一部として変形可能な基材2上に形成され、外部接続端子5Aが形成された基材2は一端2cが樹脂層7の端部から外部に向かって突出するように折り曲げられている。
外部接続端子5Aが形成された基材2の裏面側には板材5Aaが配置され、電子装置1Cの外部に設けられた外部素子と電気的に接続するためのコネクタを形成している。これにより、コネクタ構造を簡素化して外部に設けられた外部素子と電気的に接続することができる。
【0091】
「変形例4」
図7は変形例4に係る電子装置1Dの一例を示す部分断面模式図である。
電子装置1Dは、
図7に示すように、樹脂層7は、コイル4が電気的に接合された金属配線パターン3側を覆うように形成されている。また、外部接続端子5Aは、コネクタ接点が金属配線パターン3の一部として変形可能な基材2上に形成され、外部接続端子5Aが形成された基材2は一端2cが樹脂層7の端部から外部に向かって突出するように折り曲げられている。
【0092】
変形例4に係る電子装置1Dにおいては、先に基材2の一面2aに配置された金属配線パターン3にコイル4の端子部4Bを接合材6で電気的に接合する。そして、基材2の一面2a側に樹脂を充填して、コイル4を覆う樹脂層7の本体部71が形成される。これにより、樹脂層7を形成する際に、先にコイル4の端子部4Bが接合材6で接合されているために、溶融樹脂の流動によるコイル4の位置ずれを抑制することができる。また、受電コイル41を備えた携帯情報機器40と対向する側は樹脂層7が形成されていないために、コイル4と受電コイル41との間隔が狭く、コイル4から受電コイル41への電力搬送の効率を向上させることができる。
【0093】
また、外部接続端子5Aは、
図7に示すように、コネクタ接点が金属配線パターン3の一部として変形可能な基材2上に形成され、外部接続端子5Aが形成された基材2は一端2cが樹脂層7の端部から外部に向かって突出するように折り曲げられている。
外部接続端子5Aが形成された基材2の裏面側には板材5Aaが配置され、電子装置1Dの外部に設けられた外部素子と電気的に接続するためのコネクタを形成している。これにより、コネクタ構造を簡素化して外部に設けられた外部素子と電気的に接続することができる
【0094】
「変形例5」
図8は変形例5に係る電子装置1Eの一例を示す部分断面模式図である。
電子装置1Eは、
図8に示すように、樹脂層7は、コイル4及び外部接続端子5が電気的に接合された金属配線パターン3側を覆うように形成され、外部接続端子5及び外部接続端子5Aを備えている。
【0095】
外部接続端子5は、端子部5aが露出するように樹脂層7と一体に形成されたハウジング部72で囲まれ、電子装置1Eと外部に設けられた外部素子とを電気的に接続するコネクタを構成している。
外部接続端子5Aは、コネクタ接点が金属配線パターン3の一部として変形可能な基材2上に形成され、外部接続端子5Aが形成された基材2は一端2cが樹脂層7の端部から外部に向かって突出するように折り曲げられている。外部接続端子5Aが形成された基材2の裏面側には板材5Aaが配置され、電子装置1Eと外部素子とを電気的に接続する簡素化されたコネクタを形成している。
【0096】
電子装置1Eによれば、予め形成された外部接続端子5または外部接続端子5Aのいずれかを介して外部素子と電気的に接続されコイル4へ給電することができる。
【0097】
本実施形態に係る電子装置1によれば、部品点数を削減しつつ金属配線パターン3が形成された変形可能な基材2上にコイル4及び外部接続端子5を位置精度よく配置するとともに全体を薄型化することができる。位置精度よく配置されたコイル4は、樹脂層7の厚み方向に幾重にも巻回して形成され、単位当たりの巻数を増加させることができる。これにより、コイル4に生じる電力を増大させることができる。また、コイル4を樹脂層7の表面側に片寄って配置することで、受電コイル41との間隔を狭くして、コイル4から受電コイル41への電力搬送の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0098】
1、1A、1B、1C、1D、1E・・・電子装置
2・・・基材
3・・・金属配線パターン
4・・・コイル
4A・・・本体部
4B・・・端子部
5、5A・・・外部接続端子
5a・・・端子部
5b・・・アンカー部
6・・・接合材
7・・・樹脂層
71・・・本体部
72・・・ハウジング部
7A・・・フィルム
8・・・報知部
81・・・発光素子
82・・・導光体
9・・・絶縁層
AD・・・接着層
【要約】
部品点数を削減しつつ金属配線パターンが形成された変形可能な基材上にコイル及び外部接続端子を位置精度よく配置するとともに全体を薄型化することができる電子装置を提供する。
合成樹脂材料からなり変形可能な基材と、基材上に配置された金属配線パターンと、金属配線パターンと接合手段で電気的に接合され磁界共鳴方式または電磁誘導方式により非接触で電力を送電する線材からなるコイルと、金属配線パターンと電気的に接合され基材の外部に設けられた外部素子とを電気的に接続するための外部接続端子と、コイルを覆う樹脂層と、を備えた。