(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】労務管理システム、データ処理方法、および、労務管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220119BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20220119BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2016154333
(22)【出願日】2016-08-05
【審査請求日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2015194368
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396026569
【氏名又は名称】勤次郎株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加村 稔
(72)【発明者】
【氏名】加村 建史
(72)【発明者】
【氏名】石谷 慎悟
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/111548(WO,A1)
【文献】特開2002-024407(JP,A)
【文献】特開2011-150395(JP,A)
【文献】特開2006-293766(JP,A)
【文献】特開2007-188365(JP,A)
【文献】鳥羽 美奈子、外2名,PC操作ログの特徴量とオフィスワーカーのストレス量の相関分析,電子情報通信学会論文誌,一般社団法人電子情報通信学会,2012年04月01日,Vol.J95-D N0o.4,pp.747-757,ISSN 1880-4535
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
従業員ごとに人事項目群を構成する各人事項目の結果を示す人事データが格納される人事データ記憶部と、
従業員ごとに勤怠項目群を構成する各勤怠項目の結果を示す勤怠データが格納される勤怠データ記憶部と、
従業員ごとに健診項目群を構成する各健診項目の結果を示す健診データが格納される健診データ記憶部と、
従業員ごとにストレスチェック項目群を構成する各ストレスチェック項目の結果を示すストレスチェックデータが格納されたストレスチェックデータ記憶部と、
前記人事項目群の中から指定された人事項目と、前記勤怠項目群の中から指定された勤怠項目と、前記健診項目群の中から指定された健診項目と、前記ストレスチェック項目群の中から指定されたストレスチェック項目とが指定項目として入力される入力部と、
前記人事データ、前記勤怠データ、前記健診データ、および、前記ストレスチェックデータを用い、前記各指定項目の結果の時間軸上における位置を前記指定項目の間で整合させ、前記勤怠項目および前記健診項目については結果をグラフで出力部に出力させ、前記人事項目については前記時間軸上におけるイベント日時にアイコンで前記出力部に出力させ、前記ストレスチェック項目については判定結果を前記出力部に出力させる出力制御部とを備える
労務管理システム。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記各指定項目
である前記勤怠項目および前記健診項目に対し1つずつグラフを出力させ、かつ、各グラフが有する時間軸の範囲を一致させる
請求項1に記載の労務管理システム。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記時間軸と直交する方向に前記各グラフを整列させる
請求項2に記載の労務管理システム。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記各指定項目
である前記勤怠項目および前記健診項目の結果
のグラフを重ねる
請求項1に記載の労務管理システム。
【請求項5】
前記
健診項目は、結果に対する適正範囲を有し、
前記出力制御部は、前記
健診項目の結果を出力するグラフに、当該
健診項目の結果が適正範囲内か否かを示す指標をさらに出力させる
請求項1から4のいずれか一項に記載の労務管理システム。
【請求項6】
前記出力制御部は、前記時間軸における単位を切り替えて前記各指定項目の結果を表示する
請求項1から5の何れか一項に記載の労務管理システム。
【請求項7】
複数のクライアント端末がネットワークを介して接続される管理サーバのデータ処理方法であって、
前記管理サーバが人事データ記憶部と勤怠データ記憶部と健診データ記憶部とストレスチェックデータ記憶部と入力部と出力制御部とを備え、
前記人事データ記憶部が、従業員ごとに人事項目群を構成する各人事項目の結果を示す人事データを格納し、
前記勤怠データ記憶部が、従業員ごとに勤怠項目群を構成する各勤怠項目の結果を示す勤怠データを格納し、
前記健診データ記憶部が、従業員ごとに健診項目群を構成する各健診項目の結果を示す健診データを格納し、
前記ストレスチェックデータ記憶部が、従業員ごとにストレスチェック項目群を構成する各ストレスチェック項目の結果を示すストレスチェックデータを格納し、
前記入力部が、前記人事項目群の中から指定された人事項目と、前記勤怠項目群の中から指定された勤怠項目と、前記健診項目群の中から指定された健診項目と、前記ストレスチェック項目群の中から指定されたストレスチェック項目とを指定項目として入力し、
前記出力制御部が、前記人事データ、前記勤怠データ、前記健診データ、および、前記ストレスチェックデータを用い、前記各指定項目の結果の時間軸上における位置を前記指定項目の間で整合し、前記勤怠項目および前記健診項目については結果をグラフで出力部に出力し、前記人事項目については前記時間軸上におけるイベント日時にアイコンで前記出力部に出力し、前記ストレスチェック項目については判定結果を前記出力部に出力する
データ処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
従業員ごとに人事項目群を構成する各人事項目の結果を示す人事データが格納される人事データ記憶部と、
従業員ごとに勤怠項目群を構成する各勤怠項目の結果を示す勤怠データが格納される勤怠データ記憶部と、
従業員ごとに健診項目群を構成する各健診項目の結果を示す健診データが格納される健診データ記憶部と、
従業員ごとにストレスチェック項目群を構成する各ストレスチェック項目の結果を示すストレスチェックデータが格納されたストレスチェックデータ記憶部と、
前記人事項目群の中から指定された人事項目と、前記勤怠項目群の中から指定された勤怠項目と、前記健診項目群の中から指定された健診項目と、前記ストレスチェック項目群の中から指定されたストレスチェック項目とが指定項目として入力される入力部と、
前記人事データ、前記勤怠データ、前記健診データ、および、前記ストレスチェックデータを用い、前記各指定項目の結果の時間軸上における位置を前記指定項目の間で整合させ、前記勤怠項目および前記健診項目については結果をグラフで出力部に出力させ、前記人事項目については前記時間軸上におけるイベント日時にアイコンで前記出力部に出力させ、前記ストレスチェック項目については判定結果を前記出力部に出力させる出力制御部
として機能させることを特徴とする労務管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勤怠状況、健康診断の結果、ストレスチェックの結果などのデータから従業員の健康を管理する労務管理システム、データ処理方法、および、労務管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各企業において、従業員の勤怠管理が行なわれている。勤怠管理では、コンピュータシステムを用いて、総労働時間、残業時間、休日出勤回数、遅刻回数、早退回数などを管理している。また、企業では、従業員の健康管理のため、定期的に健康診断が行われている。さらに、業務上多くのストレスを抱えているおそれのある従業員に対しては、ストレスチェックを行い、必要と認められる場合には、産業医などによる面接指導などが行われている。このように現在は、企業として、勤怠管理の他に、健康診断、ストレスチェックなどを従業員に対して行って、従業員の労務管理を行うことが求められている。
【0003】
この点、特許文献1には、企業などで用いられる従業員の健康管理システムが記載されている。特許文献1の健康管理システムでは、従業員の健康診断結果と従業員の勤怠状況とを管理し、これらのデータから従業員の疲労状態を評価し、対策が必要な場合にはその従業員本人のほかに、上司に対して対策を促すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、健康診断結果と勤怠状況とから疲労状態を評価する特許文献1の健康管理システムでは、健康診断結果やストレスチェック結果と、勤怠状況や人事との関連性をシステムの利用者は容易に把握できない。これらが示す関連性は、従業員の健康状態や勤務状況などを今後良好なものとするうえで重要な要素であるから、上述した労務管理システムには、この関連性の把握を支援することが切望されている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、健診結果またはストレスチェック結果と、勤怠状況または人事との関連性の把握を支援することを可能とした労務管理システム、データ処理方法、および、労務管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する労務管理システムは、勤怠項目群および人事項目群の少なくとも一方が第1項目群であり、健康診断項目群およびストレスチェック項目群の少なくとも一方が第2項目群であり、前記第1項目群を構成する各第1項目の結果を示すデータであって、従業員における前記各第1項目の結果を履歴として示すデータが第1データであり、前記第2項目群を構成する各第2項目の結果を示す第2データであって、前記従業員における前記各第2項目の結果を履歴として示すデータが第2データであり、前記第1データと前記第2データとを記憶する記憶部と、少なくとも1つの前記第1項目と少なくとも1つの前記第2項目とがそれぞれ指定項目として入力される入力部と、前記記憶部が記憶するデータを用い、前記各指定項目の結果の時間軸上における位置を前記指定項目間で整合させたグラフとして、前記各指定項目の結果を出力部に出力させる出力制御部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、記憶部が記憶するデータを用い、各指定項目の結果の時間軸上における位置を指定項目間で整合させたグラフとして出力することから、これらのデータの相関関係を容易に把握することができる。
【0009】
上記労務管理システムにおいて、前記出力制御部は、前記各指定項目に対し1つずつグラフを出力させ、かつ、各グラフが有する時間軸の範囲を一致させることが好ましい。
上記構成によれば、複数の指定項目のデータの相関関係を容易に把握することができる。
上記労務管理システムにおいて、前記出力制御部は、前記時間軸と直交する方向に前記各グラフを整列させるようにするとよい。
また、上記労務管理システムにおいて、前記出力制御部は、1つのグラフに前記各指定項目の結果を重ねるようにするとよい。
【0010】
上記労務管理システムにおいて、前記出力制御部は、前記各第2項目の結果に対する適正範囲を有し、前記第2項目の結果を出力するグラフに、当該第2項目の結果が適正範囲内か否かを示す指標をさらに出力させるようにするとよい。
上記構成によれば、第2項目の中で、異常のある項目を容易に判別することができる。
【0011】
上記労務管理システムにおいて、前記第1項目群を構成する第1項目と第2項目群を構成する第2項目のうち、何れか一方の項目に対する他方の項目の相関が、相関の高さを示す条件を満たすときに、前記他方の項目を、前記一方の項目に対する関連項目として抽出する分析部をさらに備えるようにするとよい。
上記構成によれば、一方の項目に対する相関の高い他方の項目のデータを容易に把握することができる。例えば、第1項目と第1項目に対して相関の高い第2項目とを、各指定項目の結果の時間軸上における位置を指定項目間で整合させたグラフとして出力することができる。
【0012】
また、本発明は、上記労務管理システムの管理サーバにより実行されるデータ処理方法である。
更に、本発明は、上記労務管理システムに用いる上記労務管理プログラムであり、ネットワークや光ディスクなどのリムーバル記録媒体を介して拡布され、サーバなどのコンピュータにインストールされ、実行される。
【発明の効果】
【0013】
以上のような構成によれば、勤怠状況と、健診結果またはストレスチェック結果のデータの相互の関連性を把握して従業員の健康を管理することを可能とした労務管理システム、労務管理方法、および、労務管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態のシステムの概略を示すブロック図。
【
図2】本実施形態のシステムで用いるデータの説明図であって、(a)は、人事データ記憶部の構成を示し、(b)は、勤怠データ記憶部の構成を示し、(c)は、給与データ記憶部の構成を示す。
【
図3】本実施形態のシステムで用いるデータの説明図であって、(a)は、健診データ記憶部の構成を示し、(b)は、ストレスチェックデータ記憶部の構成を示し、(c)は、業績データ記憶部の構成を示し、(d)は、日常データ記憶部の構成を示し、(e)は、医療データ記憶部の構成を示す。
【
図4】
図2および
図3に示す各記憶部にデータを保存する処理を示すフローチャート。
【
図5】従業員本人が利用する場合であって、健康診断で異常のある場合の処理を示すフローチャート。
【
図6】選択された項目データのグラフを縦並びに整列させる第1出力形態のレポートをモニタに表示した状態を示す図。
【
図7】選択された項目データのグラフを重畳させる第2出力形態のレポートをモニタに表示した状態を示す図。
【
図8】従業員本人が利用する場合であって、ストレスチェックで異常のある場合の処理を示すフローチャート。
【
図9】従業員本人が利用する場合であって、定期的に健康状態を確認する場合の処理を示すフローチャート。
【
図10】従業員本人が利用する場合であって、体調不良など自覚症状があった場合の処理を示すフローチャート。
【
図11】人事担当者が利用する場合であって、過重労働や勤務不良が検出された場合の処理を示すフローチャート。
【
図12】人事担当者が利用する場合であって、休職者が復職する場合の処理を示すフローチャート。
【
図13】人事担当者が利用する場合であって、業務改善施策を検討する場合の処理を示すフローチャート。
【
図14】産業医が利用する場合であって、体調不良などの相談があった場合の処理を示すフローチャート。
【
図15】異常を示した項目に対して強調処理を施した第1出力形態のレポートをモニタに表示した状態を示す図。
【
図16】選択された項目データのグラフを縦並びに整列させるとともにアイコンを用いた第1出力形態(
図6参照)の変形例を示す図。
【
図17】選択された項目データのグラフを重畳させるとともにアイコンを用いた第2出力形態(
図7参照)の変形例を示す図。
【
図18】大項目ごとに、項目のグラフを重畳させた出力形態の変形例を示す図。
【
図19】「総残業時間」を年単位から1か月単位に切り替えた出力形態を示す図。
【
図20】(a)は、選択された項目データのグラフを重畳させるとともにアイコンを用いた出力形態の変形例、(b)は、(a)において使用されるアイコンの一覧を示す図。
【
図21】統計分析処理1の手順を示すフローチャート。
【
図22】健診結果を従業員が見る場合の手順を示すフローチャート。
【
図24】統計分析処理2の手順を示すフローチャート。
【
図26】従業員個人の将来予測をする処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1~
図26を用いて、労務管理システム、労務管理方法及び労務管理プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、従業員の人事に関する情報や、勤怠に関する情報や、健康診断結果に関する情報や、ストレスチェック結果に関する情報を用いて、従業員の健康を、総合的に、すなわち心身両面からの健康を管理する労務管理システムを説明する。
【0016】
図1に示すように、労務管理システムに用いる管理サーバ10は、ネットワーク1を介して、人事担当者などが使用するクライアント端末2、従業員などが使用するクライアント端末3a,3b(以下、まとめてクライアント端末3ともいう。)、および、産業医などが使用するクライアント端末4と接続されている。これらのクライアント端末2,3,4は、出力部や入力部を備えている。出力部は各種情報を出力するための手段であり、ディスプレイ、プリンタなどにより構成される。また、入力部は各種情報を入力するための手段であり、キーボードやポインティングデバイス、通信インターフェースなどにより構成される。また、管理サーバ10に対して、各種のデータを入力するクライアント端末3やサーバ5~8などが入力部となる。
【0017】
人事担当者のクライアント端末2や産業医のクライアント端末4や従業員のクライアント端末3aは、従業員の健診結果などのレポートをモニタに表示し、または、プリンタで印刷して確認できる例えばデスクトップ型またはノート型のコンピュータ端末である。
【0018】
また、従業員のクライアント端末3bは、従業員が携帯するスマートフォン、携帯型電話、ノート型のコンピュータ、メガネ型や腕時計型のウェアラブル端末などの小型情報処理端末である。クライアント端末3bは、歩数、運動量、血圧、脈拍などの身体データを計測するセンサを備えて、検出した値を内蔵メモリなどに保存する。また、クライアント端末3bは、睡眠時間、就寝時間、起床時間などの活動データ、食事摂取回数、食事摂取時刻、食事摂取カロリーなどの食事データなどを保存する。さらに、飲酒量や喫煙量などの習慣データを保存する。また、健診や検査の実施時期や内服の開始時期や病気の発症時期や治癒した時期や医師面談の時期などの医療データを保存する。クライアント端末3bは、このような従業員の日常データや医療データを保存し、日常データや医療データを、定期的に、または、従業員の操作に従って、従業員のクライアント端末3aを介して、または、直接、管理サーバ10に送信する。
【0019】
また、管理サーバ10は、ネットワーク1を介して、人事勤怠管理サーバ5、健診管理サーバ6、ストレスチェック管理サーバ7、および、企業全体や従業員の業績などを管理する業績管理サーバ8が接続されている。各従業員には、一意に従業員コードが付与されており、各サーバ5~8は、従業員コードに関連付けて管理する。
【0020】
人事勤怠管理サーバ5は、従業員の人事や勤怠に関するデータを蓄積し管理する。具体的に、従業員ごとに、入社年月日、部門移動年月日、昇格の年月日などの企業イベントに関する項目データを管理し、また、結婚の年月日、離婚の年月日、出産年月日、介護開始の年月日、介護終了の年月日などの私的イベントに関する項目データを管理している。また、従業員ごとの勤怠データとして、総労働時間、総残業時間などの時間データ、出勤日数、出張回数などの日数回数データ、出勤時刻、退勤時刻などの時刻データを管理している。さらに、従業員ごとの給与データを管理している。そして、人事勤怠管理サーバ5は、企業イベントに関するデータ、私的イベントに関するデータなどの人事データや、日数回数データ、出勤時刻、退勤時刻などの勤怠データや、給与データを、定期的に、または、操作者の操作に従って、管理サーバ10に送信する。
【0021】
健診管理サーバ6は、従業員ごとに、従業員に対して定期的に行われる健康診断の結果である健診データを管理している。具体的に、健診管理サーバ6は、健診データを構成する、体重、身長、BMI、尿酸値などの項目の結果である項目データを管理している。健診管理サーバ6は、このような健診データを、定期的に、または、操作者の操作に従って、管理サーバ10に送信する。
【0022】
ストレスチェック管理サーバ7は、従業員ごとに、従業員のストレスチェック結果であるストレスチェックデータを管理している。具体的に、ストレスチェック管理サーバ7は、ストレスチェックデータを構成する、仕事の負荷判定の結果、仕事の資源(作業レベル)判定の結果、仕事の資源(部署)判定の結果、仕事の資源(事業所)判定の結果、総合判定の結果などの項目の結果である項目データを管理している。なお、仕事の資源とは、仕事の負担を減らす、仕事の負担の悪影響を緩和する、モチベーションを高める、といった組織内の要因を示し、具体的には、「上司からのサポートがあるか」、「同僚からのサポートがあるか」、「個人が尊重されているか」などの質問項目に対する評価を評点(例えば1点から4点)で表したものである。ストレスチェック管理サーバ7は、全従業員に対して定期的に、または、例えば規程の残業時間を超えた従業員に対して、ストレスチェックの診断を行い、従業員のクライアント端末3から送信されたストレスチェックの回答データを蓄積し管理している。そして、ストレスチェック管理サーバ7は、このようなストレスチェックデータを、定期的に、または、操作者の操作に従って、管理サーバ10に送信する。
【0023】
業績管理サーバ8は、企業全体、事業所単位、部署単位、従業員単位の業績データとして、売上額、売上数量、受注額などの項目データを管理している。そして、業績管理サーバ8は、このような業績データを、定期的に、または、操作者の操作に従って、管理サーバ10に送信する。
【0024】
以上のような装置がネットワーク1を介して接続された管理サーバ10は、通常のサーバであり、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどのハードウェアにより構成されたコンピュータシステムであり、企業の人材情報の管理を行なうためのコンピュータシステムである。この管理サーバ10は、制御部11と、人事データ記憶部21と、勤怠データ記憶部22と、給与データ記憶部23と、健診データ記憶部24と、ストレスチェックデータ記憶部25と、業績データ記憶部26と、日常データ記憶部27と、医療データ記憶部28を備えている。
【0025】
制御部11は、管理部12と、抽出部13と、出力制御部14とを備えている。
管理部12は、人事勤怠管理サーバ5、健診管理サーバ6、ストレスチェック管理サーバ7、および、業績管理サーバ8に対して、定期的に、データの送信要求を送信し、各サーバから送信されたデータを、各記憶部21~26に保存し管理する。また、管理部12は、従業員のクライアント端末3aやクライアント端末3bから送信された日常データを日常データ記憶部27に保存する。
【0026】
抽出部13は、健康診断やストレスチェックで異常が検出された従業員を抽出する。抽出部13は、例えば定期的に、または、操作者の操作に応じて、この抽出処理を行う。また、該当する従業員のデータを、人事データ記憶部21、勤怠データ記憶部22、給与データ記憶部23、健診データ記憶部24、ストレスチェックデータ記憶部25、業績データ記憶部26、および、日常データ記憶部27、および、医療データ記憶部28から抽出する。
【0027】
出力制御部14は、従業員ごとの、人事に関する情報や、勤怠に関する情報や、健康診断結果に関する情報や、ストレスチェック結果に関する情報に基づいて、出力データとしてのレポートを生成する。このレポートは、テキストデータや画像データ、動画データなどの視認可能データで構成されており、クライアント端末2,3,4のモニタに表示され、または、クライアント端末2,3,4に接続され、または、ネットワーク1に接続されたプリンタより印刷用紙に出力される。また、出力データは、光ディスク、USBメモリ、メモリカードといった可搬性の記録媒体に出力される。
【0028】
管理サーバ10は、さらに、データウェアハウス30とネットワークを介して接続されている。データウェアハウス30は、管理サーバ10から各記憶部21~26に保存されたデータが定期的に又は操作者の操作に従って送信される。データウェアハウス30では、受信した各記憶部21~26に保存されたデータを整理して蓄積する。
【0029】
データウェアハウス30は、通常のサーバであり、CPU、ROM、RAM、大容量ハードディスクなどのハードウェアにより構成されたコンピュータシステムであり、管理サーバ10から送信されたデータを体系づけて蓄積し、分析を行う。データウェアハウス30は、管理サーバ10から送信されたデータを大容量ハードディスクなどの蓄積部31に保存する。データウェアハウス30は、蓄積部31に蓄積されたデータの統計分析を行う分析部32を備えている。具体的に、分析部32は、健康診断の各健診項目やストレスチェックの各ストレスチェック項目に対する人事データの各項目や勤怠データの各項目などとの相関を算出する。そして、健康診断の各健診項目やストレスチェックの各チェック項目に対して、相関の高い人事データの各項目や勤怠データの各項目を関連項目として抽出する。データウェアハウス30は、相関の高い項目の組み合わせを登録する登録部33を備えている。
【0030】
図2(a)に示すように、人事データ記憶部21は、各従業員の属性である人事データが格納される人事レコード21aが記録されている。この人事レコード21aは、従業員の個人情報が登録された場合に記録される。人事レコード21aは、従業員コードに関連付けられて、人事の履歴である各種の人事項目データが記録されている。具体的に、氏名、所属、役職、勤務形態、連絡先などが格納されるほかに、各従業員に企業内で生じる企業イベント、各従業員の私的部分で生じる私的イベントなどが格納される。企業イベントは、例えば、入社年月日、部門移動年月日、昇格の年月日などの日時データである。私的イベントは、例えば、結婚の年月日、離婚の年月日、出産年月日などの日時データである。そして、人事データ記憶部21に記憶される各項目が第1項目であり、第1項目の集まりが第1項目群であり、第1項目の結果を履歴として示す項目データが第1データとなる。
【0031】
図2(b)に示すように、勤怠データ記憶部22は、各従業員の勤怠についての勤怠データが格納される勤怠レコード22aが記録されている。この勤怠レコード22aは、従業員コードに関連付けられており、勤怠の履歴としての項目データが記録されている。具体的に、時間データとして、総労働時間、総残業時間、深夜残業時間、休日出勤時間などの項目データが記録され、また、日数・回数データとして、出勤日数、外勤日数、出張日数、休出回数、夜勤回数などの項目データが記録される。さらに、時刻データとして、出勤時刻、退勤時刻、有給消化率などの項目データが記録される。そして、勤怠データ記憶部22に記憶される各項目が第1項目であり、第1項目の集まりが第1項目群であり、第1項目の結果を履歴として示す項目データが第1データとなる。
【0032】
図2(c)に示すように、給与データ記憶部23は、各従業員の給与データが格納される給与レコード23aが記録されている。給与レコード23aは、従業員コードに関連付けられて、給与の履歴としてのデータが記録されている。具体的に、各従業員の月次給与、賞与、年俸などの給与データの項目データが記録されている。そして、勤怠データ記憶部22に記憶される各項目が第1項目であり、第1項目の集まりが第1項目群であり、第1項目の結果を履歴として示す項目データが第1データとなる。
【0033】
図3(a)に示すように、健診データ記憶部24は、各従業員の健診結果である健診データが格納された健診レコード24aが記録されている。健診レコード24aは、従業員コードに関連付けられて、健康診断の結果の履歴を示すデータが記録されている。具体的に、体重、身長、腹囲、BMIといった項目別の健診項目データを記録している。また、胸部レントゲン、胃部レントゲンなどのX線検査の画像データ、脳、脊椎、四肢、また子宮、卵巣、前立腺などの骨盤腔などのMRI検査の画像データ、肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣などのエコー検査の動画データなどを記録している。その他、CT検査の画像データを記録していてもよい。健診レコード24aには、このような画像や動画を有する検査結果を記録することもできる。そして、健診データ記憶部24に記憶される各項目が第2項目であり、第2項目の集まりが第2項目群であり、第2項目の結果を履歴として示す項目データが第2データとなる。
【0034】
図3(b)に示すように、ストレスチェックデータ記憶部25は、各従業員のストレスチェック結果であるストレスチェックデータが格納されたストレスチェックレコード25aが記録されている。ストレスチェックレコード25aは、従業員コードに関連付けられて、ストレスチェックの履歴のデータが記録されている。具体的に、総合判定、仕事の負荷判定、仕事の資源判定(作業レベル、部署、事業所)といった項目別のチェック項目データを記録している。そして、ストレスチェックデータ記憶部25に記憶される各項目が第2項目であり、第2項目の集まりが第2項目群であり、第2項目の結果を履歴として示す項目データが第2データとなる。
【0035】
図3(c)に示すように、業績データ記憶部26は、企業全体、事業所単位、部署単位、従業員単位の業績データとして、売上額、売上数量、受注額などの項目データが格納された業績レコード26aが記録されている。業績レコード26aは、従業員の業績の場合、従業員コードに関連付けて、業績の履歴のデータが記録されている。具体的に、売上額、売上数量、受注額、受注数量、生産性などの項目データを記録している。そして、業績データ記憶部26に記憶される各項目が第1項目であり、第1項目の集まりが第1項目群であり、第1項目の結果を履歴として示す項目データが第1データとなる。
【0036】
図3(d)に示すように、日常データ記憶部27は、各従業員の日常データが格納された日常レコード27aが記録されている。日常レコード27aは、従業員コードに関連付けて、活動データ、身体データ、食事データ、習慣データといった項目データを記録している。活動データは、例えば、歩数、運動量、消費カロリーなどであり、身体データは、例えば、体重、体脂肪率、血圧などであり、食事データは、食事摂取時刻、食事摂取回数、摂取カロリーなどであり、習慣データは、飲酒量、喫煙量などである。これにより、例えば、血圧や体重に関し、健康診断時の血圧や体重だけでなく、日々の血圧や体重を管理することができる。そして、日常データ記憶部27に記憶される各項目が第2項目であり、第2項目の集まりが第2項目群であり、第2項目の結果を履歴として示す項目データが第2データとなる。
【0037】
図3(e)に示すように、医療データ記憶部28は、各従業員の医療データが格納された医療レコード28aが記録されている。医療レコード28aは、従業員コードに関連付けて、医療イベントとしての健診や検査の実施時期や内服の開始時期や病気の発症時期や治癒した時期や医師面談の時期などの項目データを記録している。そして、医療データ記憶部28に記憶される各項目が第2項目であり、第2項目の集まりが第2項目群であり、第2項目の結果を履歴として示す項目データが第2データとなる。
【0038】
以上のように、人事データ、勤怠データ、業績データといった人事勤怠業績関連データの項目データが第1データに分類され、健診データ、ストレスチェックデータ、日常データ、医療データといった健康関連データの各項目データが第2データに分類される。なお、日常データ、医療データは、第1データとして扱ってもよい。
【0039】
次に、上述したシステム労務管理を行なう際の作用を説明する。
(データ管理処理)
図4を参照して、労務管理システムの各記憶部21~27に各種のデータを保存する方法を説明する。
ステップS1において、管理サーバ10の管理部12は、人事勤怠管理サーバ5から送信された人事データの項目データを受信し、人事データ記憶部21に従業員コードに関連付けて保存する。ステップS2において、管理部12は、人事勤怠管理サーバ5から送信された勤怠データの項目データを受信し、勤怠データ記憶部22に従業員コードに関連付けて保存する。ステップS3において、管理部12は、人事勤怠管理サーバ5から送信された給与データの項目データを受信し、給与データ記憶部23に保存する。
【0040】
ステップS4において、管理サーバ10の管理部12は、健診管理サーバ6から送信された健診データの健診項目データを受信し、健診データ記憶部24に従業員コードに関連付けて保存する。ステップS5において、管理部12は、ストレスチェック管理サーバ7から送信されたストレスチェックデータのチェック項目データを受信し、ストレスチェックデータ記憶部25に従業員コードに関連付けて保存する。ステップS6において、管理部12は、従業員のクライアント端末3から送信された日常データの項目データを受信し、日常データ記憶部27に従業員コードに関連付けて保存する。ステップS7において、管理部12は、従業員のクライアント端末3から送信された医療データの項目データを受信し、医療データ記憶部28に従業員コードに関連付けて保存する。なお、健診や検査の実施時期や内服の開始時期や病気の発症時期や治癒した時期や医師面談の時期などのデータは従業員のクライアント端末3のほか、健診管理サーバ6から取得するようにしてもよい。ステップS8において、管理部12は、業績管理サーバ8から送信された業績データの項目データを受信し、従業員の業績の場合、例えば業績データ記憶部26に従業員コードに関連付けて保存する。ステップS9において、管理部12は、各記憶部21~27に保存された各種のデータを定期的に又は操作者の操作に従ってデータウェアハウス30に送信する。データウェアハウス30は、受信したデータを、蓄積部31に保存する。分析部32は、蓄積部31に蓄積されたデータの分析を行う。なお、データの分析についての詳細は後述する。
【0041】
(従業員本人が利用する場合)
(健康診断で異常のある場合)
図5を参照して、従業員本人が利用する場合であって、健康診断で異常のある場合を説明する。
クライアント端末3を操作して従業員が従業員コードなどを管理サーバ10に送信すると、抽出部13は、健診データ記憶部24にアクセスし、受信した従業員コードの健診レコード24aを検索する。そして、ステップS11において、抽出部13は、健診レコード24aに記録された個別の健診項目データの中に異常値があるかどうかを判断する。具体的に、健診項目の中には、体脂肪率、尿酸値、LDLコレステロール、HLDコレステロールなどのように適正な数値範囲があるものがあり、この適正範囲を外れると、本人に対して注意を促すものがある。健診データ記憶部24では、健診項目データにつき、適正範囲を定義レコードに格納しており、抽出部13は、定義レコードを参照して、健診項目データが異常であるかどうかを判断する。
【0042】
ステップS12において、抽出部13は、異常のあった健診項目データを抽出し、ステップS13において、異常のあった健診項目データと関連する健診項目データを抽出する。例えば、体脂肪率が異常であるときには、これと関連する健診項目データであるLDLコレステロール、HLDコレステロール、総コレステロールなどを抽出する。健診データ記憶部24では、所定の健診項目データについて、関連する健診項目が関連付けられている。抽出部13は、この関連付けを参照して、異常のあった健診項目と関連する健診項目データを抽出する。なお、健診項目データに異常がないときには、ステップS14において、一般的なあらかじめ定義された所定の健診項目を抽出する。
【0043】
ステップS15において、抽出部13は、人事データ記憶部21にアクセスし、受信した従業員コードの人事レコード21aを検索し、当該人事レコード21aの人事項目データを抽出する。ステップS16において、抽出部13は、勤怠データ記憶部22にアクセスし、受信した従業員コードの勤怠レコード22aを検索し、当該勤怠レコード22aの勤怠項目データを抽出する。ステップS17において、抽出部13は、日常データ記憶部27にアクセスし、受信した従業員コードの日常レコード27aを検索し、当該日常レコード27aの各項目データを抽出する。ステップS15~ステップS17では、抽出部13が各レコードから予め定められた所定項目データを抽出し、さらにユーザによって選択された項目を抽出する。なお、ユーザによって抽出する項目の全てを自由に選択できるものであってもよい。また、予め定められる所定項目データは、例えば後述する統計分析処理で抽出された項目であってもよい。
【0044】
ステップS18において、管理サーバ10の出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末3に送信する出力データとしてのレポートを生成する。具体的に、出力制御部14は、選択された項目データのグラフを縦並びに整列させる第1出力形態と、選択された項目データのグラフを重畳させる第2出力形態のうちのいずれかの出力形態を選択してレポートを生成する。そして、出力制御部14は、要求のあった出力形態でクライアント端末3にレポートを送信する。クライアント端末3では、レポートをモニタに表示して、または、プリンタで印刷して、従業員がレポートを閲覧することができる。
【0045】
なお、健康診断で異常が認められる場合には、医師などの所見が記載されることがある。このような所見も、健診データ記憶部24に従業員コードと関連付けて保存される。抽出部13は、ステップS11において、異常のあった健診項目と当該健診項目に関連する健診項目を抽出するのではなく、所見がある健診項目と当該健診項目に関連する健診項目を抽出することもできる。また、胸部レントゲン、胃部レントゲンや脳などのMRI検査や肝臓などのエコー検査に異常が認められるときには、当該項目と当該項目に関連する健診項目を抽出することもできる。
【0046】
(第1出力形態)
図6は、選択された項目データのグラフを縦並びに整列させる第1出力形態のレポートをモニタに表示した状態を示す図である。このレポート41では、ラジオボタン42が設けられており、ラジオボタン42では、縦並び表示の第1出力形態か重畳表示の第2出力形態の何れかの出力形態を選択でき、ここでは、縦並び表示を行う第1出力形態が選択されている。また、レポート41では、組み合わせパターンがプルダウンメニューによって選択することができる。この第1プルダウンメニュー43では、「健診結果の確認」の他、「ストレスチェック結果の確認」などを選択することができ、ここでは、「健診結果の確認」が選択されている。また、表示する対象データを選択する第2プルダウンメニュー44が設けられている。第2プルダウンメニュー44では、大項目の指定項目として、「勤怠」、「人事」、「ストレスチェック結果」、「健診」、「日常」の中から選択することができる。そして、選択された大項目は、さらに、指定項目の小項目として、項目データを選択することができる。
図6の例では、「勤怠」と「人事」と「健診」とが選択されており、出力制御部14は、抽出部13で、勤怠データ記憶部22と人事データ記憶部21と健診データ記憶部24とにアクセスし、選択された小項目のデータを抽出し、レポート41に加える。具体的に、「健診」では、「体重」、「総コレステロール」、「LDLコレステロール」が選択されており、出力制御部14は、抽出部13で「体重」、「総コレステロール」、「LDLコレステロール」の項目データを抽出し、レポート41に加える。また、「勤怠」では、小項目として、「総残業時間」が選択されており、出力制御部14は、抽出部13で「総残業時間」の項目データを抽出し、レポート41に加える。
なお、「健診」と関連した項目として表示される「総残業時間」などの関連項目は、従業員などが選択した項目であってもよいし、後述する統計分析処理で抽出された項目とすることもできる。
【0047】
そして、縦並び表示の第1出力形態では、上から順に、「体重」のグラフ、「総コレステロール」のグラフ、「LDLコレステロール」のグラフ、「総残業時間」のグラフを1つずつ生成し、「部門移動」、「昇格」、「転居」の項目についても縦並びに整列している。そして、時間軸の範囲を一致させるべく、更に、2009年から2014年の期間のデータを抽出し、この期間において、横軸の時間軸上の位置が整合され揃えられている。このようなレポート41では、横軸が時間軸であり、各項目データの時間軸上の位置が整合され揃えられた状態で、時間軸に直交する方向に複数のグラフが整列されていることから、例えば、健診結果に変化が見られたときの他の状況を容易に把握することができる。
図6の例では、2012年に体重が減少しているが、その年度は、課長に昇格し、更に総残業時間が増えた年度であることを直ちに把握することができる。
また、「総コレステロール」のグラフ、および、「LDLコレステロール」のグラフには、適正範囲の上限線45が指標として加入されている。これにより、「総コレステロール」のグラフ、「LDLコレステロール」の上限値を容易に把握することができる。健診項目に対して関連性が高い「総残業時間」などの小項目が統計分析によって自動的に表示されるときには、健診結果が悪化したことに関連する「勤怠」などの「健診」とは別の大項目の中の小項目を見逃してしまうことを抑制できる。
【0048】
(第2出力形態)
図7は、選択された項目データのグラフを重畳させる第2出力形態のレポートをモニタに表示した状態を示す図である。このレポート51では、ラジオボタン42によって、重畳表示を行う第2出力形態が選択されている。なお、
図7でも、
図6と同様な項目が選択されている。このレポート51では、縦軸目盛りのスケールを選択するラジオボタン52が設けられている。ここでは、「総コレステロール」が選択されており、縦軸が「総コレステロール」に合わせた目盛りとなっている。
図7の例では、各項目のグラフが時間軸上の位置を整合させて揃え、更に重畳されることで、2012年に体重が減少しているが、その年度は、課長に昇格し、更に総残業時間が増えた年度であることを直ちに把握することができる。
【0049】
なお、
図6に示す第1出力形態と
図7に示す第2出力形態において、大項目として、「ストレスチェック結果」や「日常項目」をさらに選択してもよい。また、「ストレスチェック結果」を選択したときには、小項目として、「仕事の負荷判定」などの項目を選択してもよい。さらに、「日常項目」を選択したときには、小項目として、「歩数」、「運動量」などの項目を選択してもよい。これにより、一層、健診結果と他の項目との関連性をレポート41,51で把握することができる。また、
図6に示す第1出力形態と
図7に示す第2出力形態が、いずれかの出力形態がクライアント端末3のモニタに表示されている状態において、ラジオボタン42で表示されていない他方の出力形態がマウスなどの操作部を用いて選択されると、出力制御部14が新たに選択された出力形態の出力データを生成する。そして、クライアント端末3のモニタに表示する。
【0050】
(ストレスチェックで異常のある場合)
図8を参照して、従業員本人が利用する場合であって、ストレスチェックで異常のある場合を説明する。
クライアント端末3を操作して従業員が従業員コードなどを管理サーバ10に送信すると、抽出部13は、ストレスチェックデータ記憶部25にアクセスし、受信した従業員コードのストレスチェックレコード25aを検索する。そして、ステップS21において、抽出部13は、ストレスチェックレコード25a記録された個別のチェック項目データの中に異常値があるかどうかを判断する。具体的に、チェック項目データの中には、適正な数値範囲があるものがあり、この適正範囲を外れると、本人に対して注意を促すものがある。ストレスチェックデータ記憶部25では、チェック項目データにつき、定義レコードに適正範囲を定義しており、抽出部13は、これを参照して、チェック項目データが異常であるかどうかを判断する。
【0051】
ステップS22において、抽出部13は、異常のあったチェック項目データを抽出する。チェック項目データに異常がないときには、ステップS23において、一般的なあらかじめ定義された所定のチェック項目データを抽出する。ステップS24において、抽出部13は、主要な健診項目データを抽出する。ストレスチェックデータ記憶部25では、所定のチェック項目データについて、関連する健診項目が関連付けられている。抽出部13は、この関連付けを参照して、異常のあったチェック項目データと関連する健診項目データを抽出する。この関連する健診項目は、例えば後述する統計分析処理で抽出された項目とすることができる。
【0052】
ステップS25において、抽出部13は、人事データ記憶部21にアクセスし、受信した従業員コードの人事レコード21aを検索し、当該人事レコード21aの人事項目データを抽出する。人事異動や役職などがストレスに影響することがあるからである。ステップS26において、抽出部13は、勤怠データ記憶部22にアクセスし、受信した従業員コードの勤怠レコード22aを検索し、勤怠レコード22aの勤怠項目データを抽出する。例えば、1か月の総残業時間が既定の所定時間を超えた勤務が続く場合などがあるからである。ステップS27において、抽出部13は、給与データ記憶部23にアクセスし、受信した従業員コードの給与レコード23aを検索し、給与レコード23aの項目データを抽出する。ステップS28において、抽出部13は、業績データ記憶部26にアクセスし、従業員の業績レコード26aに記録された業績項目データを抽出する。例えば、従業員の各月、または、各年の売上額、売上数量、受注額、受注数量などを抽出する。ステップS29において、抽出部13は、日常データ記憶部27にアクセスし、受信した従業員コードの日常レコード27aを検索し、当該日常レコード27aの項目データを抽出する。ステップS25~ステップS29では、抽出部13が各レコードから予め定められた所定項目データを抽出し、さらにユーザによって選択された項目を抽出する。なお、ユーザによって項目の全てを自由に選択できるようにしてもよい。また、予め定められる所定項目データは、例えば後述する統計分析処理で抽出された項目であってもよい。
【0053】
ステップS30において、管理サーバ10の出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末3に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末3にレポートを送信する。クライアント端末3では、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、従業員がレポートを閲覧することができる。これにより、従業員は、何がストレスに影響し、また、ストレスがどのように身体面に影響を与えているかを確認することができる。
【0054】
(定期的に健康状態を確認する場合)
図9を参照して、従業員本人が利用する場合であって、定期的に健康状態を確認する場合を説明する。
ステップS31において、抽出部13は、各従業員が希望する健康診断結果の確認日時かどうかを判断する。例えば、確認日時のデータは、健診レコード24aに記録されており、確認日時になると、抽出部13は、ステップS32において、健診データ記憶部24にアクセスし、受信した従業員コードの健診レコード24aに記録された主要な健診項目を抽出する。ステップS33において、抽出部13は、ストレスチェックデータ記憶部25にアクセスし、受信した従業員コードのストレスチェックレコード25aに記録された主要なチェック項目データを抽出する。ステップS34において、抽出部13は、日常データ記憶部27にアクセスし、受信した従業員コードの日常レコード27aの項目データを抽出する。ステップS32~ステップS34では、抽出部13が各レコードから予め定められた所定項目データを抽出し、さらにユーザによって選択された項目を抽出する。なお、ユーザによって全ての項目を自由に選択できるものであってもよい。また、予め定められる所定項目データは、例えば後述する統計分析処理で抽出された項目であってもよい。
【0055】
ステップS35において、管理サーバ10の出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末3に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末3にレポートを送信する。クライアント端末3では、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、従業員がレポートを閲覧することができる。これにより、従業員は、定期的に、身体面やストレスの面で変化はないかを確認することができる。
【0056】
(体調不良など自覚症状があった場合)
図10を参照して、従業員本人が利用する場合であって、体調不良など自覚症状があった場合を説明する。
クライアント端末3を操作して従業員が従業員コードなどを管理サーバ10に送信すると、ステップS41において、抽出部13は、健診データ記憶部24にアクセスし、受信した従業員コードの健診レコード24aに記録された主要な健診項目を抽出する。ステップS42において、抽出部13は、人事データ記憶部21にアクセスし、受信した従業員コードの人事レコード21aの人事項目データを抽出する。ステップS43において、抽出部13は、勤怠データ記憶部22にアクセスし、受信した従業員コードの勤怠レコード22aの勤怠項目データを抽出する。ステップS44において、抽出部13は、日常データ記憶部27にアクセスし、受信した従業員コードの日常レコード27aの項目データを抽出する。ステップS41~ステップS44では、抽出部13が各レコードから予め定められた所定項目データを抽出し、さらにユーザによって選択された項目を抽出する。なお、ユーザによって全ての項目を自由に選択できるものであってもよい。また、予め定められる所定項目データは、例えば後述する統計分析処理で抽出された項目であってもよい。
【0057】
ステップS45において、管理サーバ10の出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末3に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末3にレポートを送信する。クライアント端末3では、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、従業員がレポートを閲覧することができる。これにより、従業員は、体調不良のときに、体調不良によって健診項目の中でどの項目の数値が悪化していることを確認することができ、悪化の原因を、人事項目や勤怠項目との関係でも確認することができる。また、健診項目の数値を見て、受診する必要があるのかを判断することいができる。また、体調不良の原因を勤怠状況を見て探ることができる。
【0058】
(人事担当者が利用する場合)
(過重労働や勤務不良が検出された場合)
図11を参照して、人事担当者が利用する場合であって、過重労働や勤務不良が検出された場合を説明する。
ステップS51において、抽出部13は、ストレスチェックデータ記憶部25にアクセスし、従業員ごとに、ストレスチェックレコード25aに記録された個別のチェック項目データの中に異常値があるかどうかを判断する。また、勤怠データ記憶部22にアクセスし、従業員ごとに、勤怠レコード22aに記録された個別の勤怠項目データの中に異常値があるかどうかを判断する。そして、抽出部13は、異常を検出したとき、ステップS52に進み、異常を検出しなかったとき処理を終了する。
【0059】
ステップS52において、異常を検出したチェック項目データを含むチェック項目データを抽出する。また、ステップS53において、抽出部13は、異常を検出した勤怠項目データを含む勤怠項目データを抽出する。ステップS54において、抽出部13は、健診データ記憶部24にアクセスし、健診レコード24aに記録された主要な健診項目を抽出する。ステップS55において、抽出部13は、人事データ記憶部21にアクセスし、人事レコード21aの各人事項目データを抽出する。
なお、抽出部13は、日常データ記憶部27にアクセスし、日常レコード27aに記録された日常データを抽出してもよい。
【0060】
ステップS56において、出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末2に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末2にレポートを送信する。クライアント端末2は、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、人事担当者がレポートを閲覧することができる。これにより、人事担当者は、勤怠項目データやチェック項目データの中に異常が認められた従業員を直ちに発見でき、また、この異常が健診結果や人事と関連性があるのかを容易に確認することができる。
【0061】
(休職者が復職する場合)
図12を参照して、人事担当者が利用する場合であって、休職者が復職する場合を説明する。
クライアント端末2を操作して人事担当者が復職する従業員の従業員コードなどを管理サーバ10に送信すると、ステップS61において、抽出部13は、ストレスチェックデータ記憶部25にアクセスし、ストレスチェックレコード25aに記録されたチェック項目データを抽出する。ステップS62において、抽出部13は、健診データ記憶部24にアクセスし、健診レコード24aに記録された主要な健診項目を抽出する。ステップS63において、抽出部13は、勤怠データ記憶部22にアクセスし、勤怠レコード22aに記録された勤怠項目データを抽出する。ステップS64において、抽出部13は、人事データ記憶部21にアクセスし、人事レコード21aの人事項目データを抽出する。
【0062】
ステップS65において、出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末2に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末2にレポートを送信する。クライアント端末2は、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、人事担当者がレポートを閲覧することができる。これにより、人事担当者は、復職する従業員の休職前のストレス状態、健康状態、人事、勤怠状況などを把握することができる。また、ストレスの状態や健康状態を見て、復職者が復職する職場は適切であるか、復職者の支援体制は整っているかなどを判断する参考資料とすることができる。
【0063】
(業務改善施策を検討する場合)
図13を参照して、人事担当者が利用する場合であって、業務改善施策を検討する場合を説明する。
クライアント端末2を操作して業務改善施策を施す対象となる従業員の従業員コードなどを管理サーバ10に送信すると、ステップS71において、抽出部13は、業績データ記憶部26にアクセスし、従業員の業績レコード26aに記録された業績項目データを抽出する。例えば、従業員の各月、または、各年の売上額、売上数量、受注額、受注数量などを抽出する。ステップS72において、抽出部13は、健診データ記憶部24にアクセスし、健診レコード24aに記録された主要な健診項目を抽出する。ステップS73において、抽出部13は、ストレスチェックデータ記憶部25にアクセスし、ストレスチェックレコード25aに記録されたチェック項目データを抽出する。ステップS74において、抽出部13は、勤怠データ記憶部22にアクセスし、勤怠レコード22aに記録された勤怠項目データを抽出する。ステップS75において、抽出部13は、人事データ記憶部21にアクセスし、人事レコード21aの人事項目データを抽出する。ステップS76において、抽出部13は、給与データ記憶部23にアクセスし、給与レコード23aの給与項目データを抽出する。
【0064】
ステップS77において、出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末2に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末2にレポートを送信する。クライアント端末2は、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、人事担当者がレポートを閲覧することができる。これにより、人事担当者は、例えば従業員の業績不振の原因がストレスの状態にあるのか、健康状態にあるのか、人事にあるのか、勤怠状況にあるのか、給与にあるのかなどを容易に確認することができる。また、業績が良好な従業員の健康状態、ストレス状態、勤怠状況などを把握することができる。
【0065】
(産業医が利用する場合)
(体調不良などの相談があった場合)
図14を参照して、産業医が利用する場合であって、体調不良などの相談があった場合を説明する。
クライアント端末4を操作して産業医が相談に来た従業員の従業員コードなどを管理サーバ10に送信すると、ステップS81において、抽出部13は、健診データ記憶部24にアクセスし、健診レコード24aに記録された主要な健診項目を抽出する。ステップS82において、抽出部13は、ストレスチェックデータ記憶部25にアクセスし、ストレスチェックレコード25aに記録されたチェック項目データを抽出する。ステップS83において、抽出部13は、勤怠データ記憶部22にアクセスし、勤怠レコード22aに記録された勤怠項目データを抽出する。ステップS84において、抽出部13は、人事データ記憶部21にアクセスし、人事レコード21aの人事項目データを抽出する。ステップS85において、抽出部13は、日常データ記憶部27にアクセスし、日常レコード27aの各項目データを抽出する。
【0066】
ステップS86において、出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末4に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末2にレポートを送信する。クライアント端末4は、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、産業医がレポートを閲覧することができる。これにより、産業医は、相談に来た従業員の健康状態、ストレス状態、勤怠、人事、日常のデータを参照して問診を行って診察を行うことができる。例えば、産業医は、体調不良の原因が残業によるものなのか、深夜残業によるものなのかなど原因を探ることができる。
【0067】
(高ストレスや過重労働や勤務不良が検出された場合)
次に、産業医が利用する場合であって、高ストレスや過重労働や勤務不良が検出された場合を説明する。この場合、管理サーバ10では、
図11と同様な処理が行われたのち、出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末4に送信する出力データとしての第1出力形態のレポートまたは第2出力形態のレポートを生成し、レポートの要求のあったクライアント端末4にレポートを送信する。クライアント端末4は、レポートを、モニタに表示して、または、プリンタで印刷して、産業医がレポートを閲覧することができる。これにより、産業医は、勤怠項目データやチェック項目データの中に異常が認められた従業員を直ちに発見でき、また、この異常が健診結果や人事データとどのような関連性があるのかを容易に確認することができる。例えば、健診結果を見ることによって、ストレスによって、身体的影響が出ていないかなどを確認することができる。また、問診などによって、セルフケアを適切に行っているかどうかを確認することができる。
【0068】
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)
図6および
図7に示すように、出力データであるレポートは、健診項目データやチェック項目データが勤怠項目データなどの他の項目データと時間軸を合わせて表示されることから、これらのデータの相関関係を容易に把握することができる。すなわち、
図6では、各項目データのグラフが時間軸を揃えて縦並びで整列されることから、これらのデータの相関関係を容易に把握することができる。また、
図7では、各項目データのグラフが時間軸を揃えて重畳されることから、これらのデータの相関関係を容易に把握することができる。そして、従業員の健康を健診結果やストレス結果だけでなく、勤怠状況や人事状況など様々な側面を考慮して管理することができる。
(2)さらに、健診項目データやチェック項目データを人事データと関連付けて表示または印刷することもできる。
(3)
図6に示すように、適正範囲を有する項目でデータのグラフには、上限や下限を示す指標となる線が追加されることで、項目データが正常であるか異常であるかを容易に判断することができる。
【0069】
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・適正範囲を有する項目データの上限値と下限値を示す指標となる線は、上限値、下限値の何れか一方であってもよい。また、
図15に示すように、異常を示した項目データは、マーカなどによって強調処理46を施すようにしてもよい。なお、強調処理としては、太字、斜字、傍線、色文字などであってもよく、他の項目データに対して目立つ処理であれば特に限定されるものではない。強調処理は、
図7に示す第2出力形態で行ってもよい。
・
図7の例でも、縦軸に、「総コレステロール」のグラフ、「LDLコレステロール」を選択したときには、適正範囲の上限値や下限を示す線を加えるようにしてもよい。
・
図6および
図15の各グラフには、適正範囲の下限値を示す下限値線を加入してもよい。
・出力データの形式としては、他に、横並びのグラフであってもよい。すなわち、縦並び出力、横並び出力、重畳出力の何れかを操作者が選択できるようにしてもよいし、横並び出力、および、重畳出力の組み合わせで出力できるようにしてもよいし、縦並び出力、および、横並び出力の組み合わせで出力できるようにしてもよい。出力形態としては、ここに例示した3つに限定されるものではない。
・時間軸を縦軸としたときには、複数のグラフは時間軸と直交するように横並びにするとよい。
・
図6、
図7、及び、
図15に示すレポートには、従業員の氏名や生年月日や家族構成などの個人データを加えるようにしてもよい。
・管理サーバ10で管理するデータは、
図2(a)~(c)および
図3(a)~(e)のデータに限定されるものではない。さらに、
図2(a)~(c)および
図3(a)~(e)のデータを構成する項目データも、図示されたデータに限定されるものではない。
・レポートには、健診データとストレスチェックデータの少なくとも1つが加えられ、その他の項目として、勤怠データが選択されば、その他の追加されるデータは特に限定されるものではない。
・管理サーバ10は、データウェアハウス30にデータを蓄積する構成としなくてもよい。
【0070】
(出力形態の変形例1)
図16は、選択された項目データのグラフを縦並びに整列させる第1出力形態(
図6参照)の変形例である。
図16では、「体重」、「総コレステロール」、「LDLコレステロール」が選択されており、出力制御部14は、抽出部13で「体重」、「総コレステロール」、「LDLコレステロール」の折線グラフの下に、「総残業時間」の棒グラフが設けられている。この例では、「部門異動」、「昇格」、「転勤」については、アイコン47で表示される。すなわち、「部門異動」については、2009年と2011年の箇所にアイコン47が表示され、「転勤」については、2011年の箇所にアイコン47が表示され、「昇格」については、2013年の箇所にアイコン47が表示される。また、「内服開始」については、2013年の箇所にアイコン47が表示される。このような出力形態によれば、アイコン47による表示を利用することによって、折線グラフや棒グラフを
図6の例より大きく表示することができ、また、より多くの項目をグラフで表示することができる。アイコン47は、項目ごとに色を定義し、項目ごとに色を異ならせ、見やすくすることができる。例えば、勤怠に関する項目のアイコンは、黄色、医療データに関するアイコンは赤色といったように色を異ならせるとよい。
【0071】
(出力形態の変形例2)
図17は、選択された項目データのグラフを重畳させる第2出力形態(
図7参照)の変形例である。
図17の例においても、「部門異動」、「昇格」、「転勤」、「内服開始」について、アイコン47が表示される。
【0072】
(出力形態の変形例3)
図18は、大項目ごとに、項目データのグラフを重畳させた出力形態の変形例である。
図18に示すように、2009年から2013年の期間について、「健診結果」、「勤怠」、「日常」の大項目ごとに、大項目内の小項目のデータを重畳して表示する。具体的には、「健診結果」では、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、血糖、HDLコレステロールの各折れ線グラフが時間軸を揃えて重畳表示されている。また、「勤怠」では、残業時間と休日出勤の各棒グラフが時間軸を揃えて表示されている。「日常」では、運動量と睡眠時間の各棒グラフが時間軸を揃えて表示されている。
この出力形態では、各大項目におけるグラフの重畳表示において、各小項目の下限値または最小値を0とし、上限値または最大値を10として、各小項目データの値を換算して、各小項目データを表示する。
また、この出力形態においても、「部門異動」、「昇格」、「転移」、「内服開始」について、アイコン47が表示される。
【0073】
(出力形態の変形例4)
図6、
図7、
図15~
図18の出力形態では、例えば「総残業時間」の表示単位を年単位としている。この表示単位は、1か月、3か月、6か月、1年などの単位で切り替えることができるようにしてもよい。
図19の例では、「総残業時間」を年単位から1か月単位に切り替えた例を示している。
【0074】
(出力形態の変形例5)
図20(a)は、選択された項目データのグラフを重畳させるとともにアイコンを用いた出力形態の変形例である。
図20(a)では、2013年~2017年までの期間のデータが抽出されている。上段には、残業時間が棒グラフによって表示され、その下段には、ストレスチェックの結果が5段階で表示されている。なお、ストレスチェックの結果は、ラジオボタン61によって5段階評価か2段階評価で選択可能である。評価の細かさは、特に限定されるものではなく、3段階評価や10段階評価などであってもよい。そして、評価の細かさを複数の候補の中から選択できる構成であってもよい。ストレスチェックの結果の下段には、備考欄が設けられ、有給休暇の取得状況や健康診断の受診日や保健師面談の日付などが記入される。備考欄の下段には、健診結果が折れ線グラフで重畳表示されている。健診結果は、ここでは、中性脂肪と血糖値と尿酸値が表示されている。折れ線グラフの縦軸は、各項目の下限値または最小値を0とし、上限値または最大値を10として、各項目データの値を換算している。そして、縦軸には、健診結果の評価基準が設けられている。この評価基準は、A~Eまでの5段階であって、Aが正常で、Bが軽度異常、Cが経過観察であり、Dが要治療であり、Eが治療中であり、グラフにおいて、各ランクの範囲が横軸と平行に帯状に表示されている。健診結果の評価基準は、ラジオボタン62によって、人間ドック学会による基準、社内基準の何れかを選択可能となっており、ここでは、人間ドック学会による基準が選択されている。さらに、健診で、胸部レントゲン、胃部レントゲンや脳などのMRI検査や肝臓などのエコー検査などの画像や動画を用いた検査を行っているときには、当該検査を行った年度に、レントゲンボタン64,MRIボタン65、および、エコーボタン66が表示される。レントゲンボタン64が押されたときには、レントゲンの画像データが表示され、MRIボタン65が押されたときには、MRIの画像データが表示され、エコーボタン66が押されたときには、エコー検査の動画データが再生表示される。レントゲンボタン64、MRIボタン65、および、エコーボタン66は、異常のあった年度だけ表示されるようにしてもよいし、一度異常があったときには、それ以降の年度では、異常のあった検査のボタン64,65,66が表示されるようにしてもよい。
【0075】
さらに、健診結果の下段には、日常データとして歩数の推移が表示されている。
さらに、問診データとして、喫煙本数や飲酒量がアイコン63で表示されている。
なお、
図20(b)には、
図20(a)の出力形態において使用されるアイコン63の一覧を示す。
【0076】
(統計分析処理1)
ところで、データウェアハウス30では、
図6、
図7、
図15~
図20に示す出力画面に表示するデータを選択するための統計分析処理を行い、健診結果やストレスチェックの結果を表示するにあたって、これらと関連性の高い勤怠データなどを表示できるようにしている。
【0077】
具体的には、データウェアハウス30の分析部32では、次のように蓄積部31に蓄積されたデータの統計分析を行う。
図21は、統計分析処理1の手順を示すフローチャートである。具体的に、蓄積部31に蓄積された人事データの項目群、勤怠データの項目群、給与データの項目群、健診データの項目群、ストレスチェックデータの項目群、業績データの項目群、日常データの項目群、医療データの項目群の何れかの第1対象項目群に含まれる第1対象項目と、第1対象項目群以外の項目群の中の1つである第2対象項目群に含まれる第2対象項目との相関を算出する。
【0078】
ステップS101において、データウェアハウス30の分析部32は、統計分析を行う分析単位を設定する。例えば、分析部32は、1か月、3か月、6か月、1年、…などの分析を行う期間を設定する。
【0079】
ステップS102において、分析部32は、第1対象項目を設定し、第1対象項目に対する第2対象項目の相関係数を算出する。相関係数は、蓄積部31に蓄積されている第1対象項目の第1対象データと第2対象項目の第2対象データに基づいて算出される。相関係数は、-1からの間の実数値をとり、1に近いときは2つの確率変数に正の相関があり、-1に近ければ負の相関がある。また、0に近いときは、無相関である。
【0080】
分析部32は、第1対象項目を設定し、第1対象項目に対する第2対象項目を設定し、蓄積部31に蓄積されている第1対象項目の第1対象データと第2対象項目の第2対象データとに基づいて、分析単位ごとに相関係数を算出する。また、分析部32は、1対1の関係にある、すなわち、1つの第1対象項目と1つの第2対象項目との相関係数を算出する。分析部32は、第1対象項目と第2対象項目の全ての組み合わせについての相関係数を算出する。
【0081】
例えば、第1対象項目と第2対象項目の関係として以下のようなものがある。
(i)第1対象項目として、健診データの項目群の中の各項目を選択し、第2対象項目として、勤怠データの項目群の中の各項目、人事データの項目群の中の各項目、ストレスチェックデータの項目群の中の各項目、給与データの項目群の中の各項目、日常データの項目群の中の各項目、医療データの項目群の中の各項目を選択し、それぞれの組み合わせについての相関係数を算出する。
(ii)第1対象項目として、ストレスチェックデータの項目群の中の各項目を選択し、第2対象項目として、健診データの項目群の中の各項目、勤怠データの項目群の中の各項目、人事データの項目群の中の各項目、給与データの項目群の中の各項目、日常データの項目群の中の各項目、医療データの項目群の中の各項目を選択し、それぞれの組み合わせについての相関係数を算出する。
(iii)第1対象項目として、業績データの項目群の中の各項目を選択し、第2対象項目として、健診データの項目群の中の各項目、勤怠データの項目群の中の各項目、人事データの項目群の中の各項目、ストレスチェックデータの項目群の中の各項目、給与データの項目群の中の各項目、日常データの項目群の中の各項目、医療データの項目群の中の各項目を選択し、それぞれの組み合わせについての相関係数を算出する。
なお、人事データの項目群の中の昇進、降格、出向、出向解除、単身赴任、単身赴任解除、休職、復職、結婚、離婚、出産などの項目については、イベントが発生した/しないをデータとする。
【0082】
ステップS103において、分析部32は、第1対象項目に対して相関の高い第2対象項目を第1対象項目に対する関連項目として抽出する。分析部32は、正の相関の閾値として第1閾値をメモリなどの記憶部に格納し、負の相関の閾値として第2の閾値をメモリなどの記憶部に格納している。分析部32は、第1対象項目に対する第2対象項目の相関係数を算出したとき、相関係数が第1閾値より大きい第2対象項目と、第2閾値より小さい第2対象項目を、相関が高い関連項目として抽出する。
また、他の例として、分析部32は、算出された相関係数の絶対値がメモリなどの記憶部に格納された閾値より大きいかどうかを判断し、相関係数の絶対値が閾値より大きい第2対象項目を、相関が高い関連項目として抽出する。
【0083】
例えば、上記(i)~(iii)の例では、第1対象項目に対して以下のような第2対象項目が相関が高く関連項目として抽出される。
(i)第1対象項目が健診データの項目群のBMIであるとき、関連項目として、勤怠データの項目群の中の残業時間、人事データの項目群の中の結婚や単身赴任、ストレスチェックデータの項目群の中の仕事の負荷、日常データの項目具の中の運動量や消費カロリーや摂取カロリーが抽出される。
(ii)第1対象項目がストレスチェックデータの項目群の中の総合判定であるとき、関連項目として、勤怠データの項目群の中の残業時間や休出日数、人事データの項目群の中の部門異動、健診データの項目群の中の体重や血圧、日常データの項目群の中の血圧や歩数や睡眠時間が抽出される。
(iii)第1対象項目が業績データの項目群の中の売上額であるとき、関連項目として、勤怠データの項目群の中の残業時間や休暇日数、健診データの項目群の中の総コレステロール、ストレスチェックデータの項目群の中の総合判定、日常データの項目群の中の睡眠時間が抽出される。
【0084】
分析部32で第1対象項目に対する関連項目となる第2対象項目が抽出されると、ステップS104において、登録部33は、第1対象項目と第2対象項目の組み合わせを、識別データを付与してメモリに登録する。例えば、生活習慣病の判定に用いる各健診項目に対する関連項目を、生活習慣病に対する関連項目として登録する。例えば、メタボリックシンドロームは、腹囲、BMI、収縮時血圧、拡張時血圧、血糖、HDLコレステロールなどから決定される。そこで、登録部33は、腹囲、BMI、収縮時血圧、拡張時血圧、血糖、HDLコレステロールなどのそれぞれを第1対象項目に設定する。そして、腹囲、BMI、収縮時血圧、拡張時血圧、血糖、HDLコレステロールなどのそれぞれに対する関連項目である第2対象項目を関連付ける。登録部33は、メタボリックシンドロームに関連する第1対象項目のそれぞれと、第1対象項目のそれぞれに関連付いた関連項目である第2対象項目の組み合わせを、メタボリックシンドロームの定義として登録する。管理サーバ10は、登録部33の定義を取得し、従業員の操作に応じて選択された定義の第1対象項目の項目データと第2対象項目の項目データを各記憶部21~28から取得し、例えば、
図6、
図7、
図15~
図20に類似する形式の個人レポートを出力する。
【0085】
(健診結果を従業員が見る場合)
図22は、健診結果を従業員が見る場合の手順を示すフローチャートである。
ステップS111において、クライアント端末3を操作して従業員がクライアント端末3から従業員コードなどを管理サーバ10に送信する。このとき、従業員は、メタボリックシンドロームに関連する情報を知りたいとき、登録部33が登録したメタボリックシンドロームの定義を選択し、管理サーバ10に送信する。
【0086】
ステップS112において、管理サーバ10の抽出部13は、受信した定義に従った第1対象項目のデータを抽出する。例えば、メタボリックシンドロームが選択されているとき、メタボリックシンドロームに関連するBMIの項目データを第1対象項目として抽出する。同様に、抽出部13は、第1対象項目として、腹囲、収縮時血圧、拡張時血圧、血糖、HDLコレステロールの項目データを抽出する。
【0087】
ステップS113において、抽出部13は、各第1対象項目に対する関連項目となっている第2対象項目を抽出する。例えば、第1対象項目としてのBMIの関連情報である勤怠データの対象項目群の中の残業時間、人事データの対象項目群の中の結婚や単身赴任、ストレスチェックデータの対象項目群の中の仕事の負荷、日常データの対象項目群の中の運動量や消費カロリーや摂取カロリーの項目データを抽出する。
なお、さらにユーザによって選択された項目を抽出するようにしてもよい。
【0088】
ステップS114において、管理サーバ10の出力制御部14は、レポートの要求のあったクライアント端末3に送信する出力データとしてのレポートを生成する。出力制御部14は、要求のあった出力形態でクライアント端末3にレポートを送信する。クライアント端末3では、
図6、
図7、
図15~
図20に類似する形式のレポートをモニタに表示して、または、プリンタで印刷して、従業員がレポートを閲覧することができる。
【0089】
図23は、レポートの出力形態を示す図である。
図23のレポート41では、選択された項目データのグラフを重畳させて表示する。レポート41では、組み合わせパターンがプルダウンメニューによって選択することができる。この第1プルダウンメニュー43では、「健診結果の確認」などの項目の他に、「ストレスチェック結果の確認」などを選択することができ、さらに、ここでは、ユーザの選択した定義である「メタボリックシンドローム」が選択されている。また、表示する対象データを選択する第2プルダウンメニュー44が設けられている。第2プルダウンメニュー44では、大項目の指定項目として、「勤怠」、「人事」、「ストレスチェック結果」、「健診」、「日常」の中から選択することができる。そして、選択された大項目は、さらに、指定項目の小項目として、項目データを選択することができる。
図23の例では、選択されている「メタボリックシンドローム」に合わせて、「勤怠」と「人事」と「ストレスチェック」と「健診」と「日常」が選択されている。出力制御部14は、抽出部13で、人事データ記憶部21と勤怠データ記憶部22と健診データ記憶部24とストレスチェックデータ記憶部25と日常データ記憶部27とにアクセスし、選択された小項目のデータを抽出し、レポート41に加える。レポート41は、各項目のグラフが時間軸上の位置を整合させて揃え、更に重畳されることで、メタボリックシンドロームに関する各データを、健診結果だけでなく、人事や勤怠などの項目と合わせて確認することができる。
【0090】
なお、
図23に示す出力形態は、クライアント端末3のモニタに表示されている状態において、ラジオボタン42で縦並び表示がマウスなどの操作部を用いて選択されると、出力制御部14が新たに選択された出力形態の出力データを生成する。そして、クライアント端末3のモニタに表示する。
【0091】
(統計分析処理2)
データウェアハウス30の分析部32では、次のように蓄積部31に蓄積されたデータの統計分析を行う。具体的に、蓄積部31に蓄積された人事データの中の項目群、勤怠データの中の項目群、給与データの中の項目群、健診データの中の項目群、ストレスチェックデータの中の項目群、業績データの中の項目群、日常データの中の項目群、医療データの中の第1対象項目群の何れかの第1対象項目と第2対象項目群の第2対象項目との相関を、重回帰分析によって算出するとともに、第1対象項目と第2対象項目の関係を示す関係式を生成する。
【0092】
図24は、統計分析処理2の手順を示すフローチャートである。
ステップS121において、データウェアハウス30の分析部32は、統計分析を行う分析単位を設定する。例えば、分析部32は、1か月、3か月、6か月、1年、…などの分析を行う期間を設定する。
【0093】
ステップS122において、分析部32は、第1対象項目(目的変数)を設定し、第1対象項目に対する第2対象項目(説明変数)を設定し、蓄積部31に蓄積されている第1対象項目の第1対象データと第2対象項目の第2対象データとに基づいて、分析単位ごとに重回帰分析を行い、第1対象項目(目的変数)と第2対象項目(説明変数)とのt値を算出する。分析部32は、1つの第1対象項目(目的変数)に対する複数の第2対象項目(説明変数)のt値を算出する。t値は、絶対値が大きいほど影響が大きいことを示す値である。
【0094】
第1対象項目と第2対象項目の関係の具体例としては以下のようなものがある。
(i)第1対象項目(目的変数)が健診データの項目群の中の各項目のとき、第2対象項目(説明変数)が勤怠データの項目群の中の各項目、人事データの項目群の中の各項目、ストレスチェックデータの項目群の中の各項目、給与データの項目群の中の各項目、日常データの項目群の中の各項目、医療データの項目群の中の各項目。
(ii)第1対象項目(目的変数)がストレスチェックデータの項目群の中の各ストレスチェック項目のとき、第2対象項目(説明変数)が健診データの項目群の中の各項目、勤怠データの項目群の中の各項目、人事データの項目群の中の各項目、給与データの項目群の中の各項目、および、日常データの項目群の中の各項目、医療データの項目群の中の各項目。
(iii)第1対象項目(目的変数)が業績データの項目群の中の各項目のとき、第2対象項目(説明変数)が健診データの項目群の中の各項目、勤怠データの項目群の中の各項目、人事データの項目群の中の各項目、ストレスチェックデータの項目群の中の各項目、給与データの項目群の中の各項目、日常データの項目群の中の各項目、医療データの項目群の中の各項目。
【0095】
ステップS123において、分析部32は、重回帰分析で求めたt値がメモリなどの記憶部に格納している条件を満たさない第2対象項目(説明変数)を対象から外す。そして、分析部32は、再度重回帰分析を行う。具体的には、分析部32は、説明変数のt値がt2<2のものを外し、再度重回帰分析を行い、全ての説明変数のt値がt2≧2になるまで重回帰分析を繰り返す。これにより、第1対象項目と相関が低い第2対象項目を除外することができ、残った第2対象項目が関連項目となる。
【0096】
ステップS124において、分析部32は、全ての説明変数のt値がt
2≧2になったとき、重回帰分析の結果から、傾きと切片を得て目的変数と説明変数の関係式を生成する。
図25は、重回帰分析を示す図である。
X1~X8が説明変数であり、Yが目的変数である。1回目の重回帰分析では、説明変数X1、X5、X6のt値がt
2<2であったため、説明変数X1、X5、X6を除外する。2回目の重回帰分析では、説明変数X7のt値がt
2<2であったため、説明変数X7を除外する。3回目の重回帰分析では、全ての説明変数X2、X3、X4、X8のt値がt
2≧2となり、関連項目として抽出される。
また、関係式として、以下の式が生成される。
Y=aX2+bX3+cX4+dX8+e
※a,b,c,dが傾き、eが切片
【0097】
分析部32で第1対象項目に対する関連項目としての第2対象項目が抽出されると、ステップS124において、登録部33は、第1対象項目と第2対象項目の組み合わせと関係式を、メモリなどの記憶部に登録する。分析部32は、データウェアハウス30に蓄積されているデータを用いて、様々な第1対象項目(目的変数)に対する第2対象項目(説明変数)の関係式を生成し、記憶部に登録する。
【0098】
(個人の将来予測)
図26は、従業員個人の将来予測をする処理のフローチャートである。
分析部32は、
図23および
図24で生成した関係式に従って各従業員の第1対象項目(目的変数)の将来の値を予測する。ステップS131において、分析部32は、将来予測を行う従業員の第1対象項目(目的変数Y)を、例えば一覧の中から選択する。例えば、分析部32は、健診データの項目群の中の項目、ストレスチェックデータの項目群の中の項目、業績データの項目群の中の項目の何れかを選択する。そして、分析部32は、選択した第1対象項目(目的変数)の関係式を設定する。
【0099】
ステップS132において、分析部32は、設定した関係式で使用する第2対象項目(説明変数X)を抽出する。
ステップS133において、分析部32は、将来予測を行う特定日(年月日)を指定する。分析部32は、将来の特定日における第2対象項目(説明変数X)の値を最小二乗法によって算出する。
【0100】
ステップS133において、分析部32は、ステップS124で算出した第2対象項目(説明変数X)の値を算出式に適用して、第1対象項目(目的変数Y)を算出する。
管理サーバ10の抽出部13は、分析部32の算出した第2対象項目(説明変数X)や第1対象項目(目的変数Y)を取得し、
図23に示すような形式のレポートの中で、将来の第1対象項目(目的変数Y)の値、または、この値に基づいた専門家などのコメントを従業員に報告する。
【0101】
上記統計分析処理1,2によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)
図21に示すように、分析部32は、第1対象項目に対する第2対象項目の相関を算出し、相関の高い第2対象項目を関連項目として登録するので、第1対象項目に対する関連項目に関するデータをレポート41に含めることができる。したがって、従業員などは、例えば、特定の健診項目と、これに関連の高い関連項目とを関連付けて知ることができる。
(2)関連項目を抽出するにあたっては、分析単位となる期間を指定することで、関連項目の抽出に自由度を持たせることができる。無用に長い期間を設定して、関連項目の抽出処理を行う必要が無くなる。
(3)健診データの項目群、ストレスチェックデータの項目群、および、勤怠データの項目群だけでなく、人事データの項目群や業績データの項目群など多くの対象項目群を含めて、第1対象項目に対する関連項目を抽出することができる。すなわち、第1対象項目に対する関連項目の抽出する範囲を広くすることができる。これにより、第1対象項目に対して相関の高い第2対象項目を広い範囲の項目から選択することができる。
(4)
図23および
図24に示すように、重回帰分析によって、相関の高い説明変数を抽出することができる。
(5)関係式を生成することで、従業員ごとに、第1対象項目(目的変数)の将来を予測することができ、予測結果を、従業員に知らせることができる。
(6)従業員に報告するレポートには、第1対象項目と、第1対象項目に相関が高い関連項目が含まれるので、これを見る従業員も、第1対象項目と関連項目の関連性を容易に把握することができる。
(7)レポートは、時間軸を揃えて第1対象項目と関連項目が表示されるので、これらの項目の相関を容易に把握することができる。
【0102】
なお、上記統計分析処理1,2は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・レポートは、従業員だけではなく、人事担当者や産業医などが各端末を操作して取得できるようにしてもよい。
・レポートは、グラフとして表示するのではなく、一覧表で表示してもよい。
・分析単位の設定は、省略してもよい。
・分析部32や登録部33は、管理サーバ10に設けるようにしてもよい。また、データウェアハウス30の蓄積部31の機能も管理サーバ10に備えるようにしてもよい。
【0103】
上記実施形態、及び、その変形例によれば、更に、以下の技術的思想が導き出される。
(付記1)
勤怠データの項目群、健康診断データの項目群およびストレスチェックデータの項目群を構成する各項目の結果を履歴と示すデータを蓄積する蓄積部と、
前記勤怠データの項目群、前記健康診断データの項目群および前記ストレスチェックデータの項目群のうちの1つが第1対象項目群であり、前記第1対象項目群以外の少なくとも1つが第2対象項目群であり、
前記第1対象項目群を構成する各第1対象項目の結果を履歴として示すデータが第1対象データであり、前記第2対象項目群を構成する各第2対象項目の結果を履歴として示すデータが第2対象データであり、
前記第1対象項目に対する前記第2対象項目の相関が、相関の高さを示す条件を満たすときに、前記第2対象項目を関連項目として抽出する分析部と
を備える労務管理システム。
上記構成によれば、相関が高い第2対象項目を関連項目として抽出する。これにより、特定の第1対象項目の第1対象データと、第1対象項目に対して関連性の高い関連項目の第2対象データを容易に把握することができる。
(付記2)
前記分析部は、分析単位となる期間を設定し、設定された期間における前記関連項目としての前記第2対象項目を抽出する
付記1に記載の労務管理システム。
上記構成によれば、分析単位となる期間を指定することで、関連項目の抽出に自由度を持たせることができる。無用に長い期間を設定して、関連項目の抽出処理を行う必要が無くなる。
(付記3)
前記蓄積部は、人事データの項目群および業績データの項目群のうちの少なくとも1つの項目群に関し、当該項目群を構成する各項目の結果を履歴として示すデータをさらに蓄積する
付記1または2に記載の労務管理システム。
上記構成によれば、健康診断データの項目群、ストレスチェックデータの項目群、および、勤怠データの項目群だけでなく、人事データの項目群や業績データの項目群も含めて、第1対象項目に対する関連項目を抽出することができる。すなわち、第1対象項目に対する関連項目の抽出する範囲を大きくすることができる。
(付記4)
前記分析部は、重回帰分析によって、上記条件を満たさない前記第2対象項目を前記関連項目から除外する
付記1ないし3のうち何れか1項に記載の労務管理システム。
上記構成によれば、重回帰分析によって、第1対象項目に対して相関の高い第2対象項目を抽出することができる。
(付記5)
前記分析部は、前記関連項目として抽出された前記第2対象項目に関し、将来の特定日における前記第2対象データを算出し、算出した前記第2対象データに基づいて前記特定日の前記第1対象データを算出する
付記4に記載の労務管理システム。
上記構成によれば、従業員ごとに、将来の特定日における第1対象項目を予測することができる。
(付記6)
前記第1対象項目の第1対象データと前記関連項目として抽出された第2対象項目の第2対象データとを出力部に出力させる出力制御部をさらに備える
付記1ないし5のうち何れか1項に記載の労務管理システム。
上記構成によれば、出力されたレポートに、第1対象項目と、第1対象項目に相関が高い関連項目が含まれるので、これを見る従業員も、第1対象項目と関連項目として抽出された第2対象項目の関連性を容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0104】
1…ネットワーク、2…クライアント端末、3(3a,3b)…クライアント端末、4…クライアント端末、5…人事勤怠管理サーバ、6…健診管理サーバ、7…ストレスチェック管理サーバ、8…業績管理サーバ、10…管理サーバ、11…制御部、12…管理部、13…抽出部、14…出力制御部、21…人事データ記憶部、21a…人事レコード、22…勤怠データ記憶部、22a…勤怠レコード、23…給与データ記憶部、23a…給与レコード、24…健診データ記憶部、24a…健診レコード、25…ストレスチェックデータ記憶部、25a…ストレスチェックレコード、26…業績データ記憶部、26a…業績レコード、27…日常データ記憶部、27a…日常レコード、28…医療データ記憶部、28a…医療レコード、30…データウェアハウス、31…蓄積部、32…分析部、33…登録部、41…レポート、42…ラジオボタン、43…第1プルダウンメニュー、44…第2プルダウンメニュー、45…線、46…強調処理、47…アイコン、51…レポート、52…ラジオボタン、61…ラジオボタン、62…ラジオボタン、63…アイコン、64…レントゲンボタン、65…MRIボタン、66…エコーボタン。