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特許7011250給水配管の故障による通水不能時における応急給水方法とこれに用いる切換弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】給水配管の故障による通水不能時における応急給水方法とこれに用いる切換弁
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/09 20060101AFI20220119BHJP
   F16K 11/087 20060101ALI20220119BHJP
   F16K 11/14 20060101ALI20220119BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20220119BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20220119BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
E03B7/09
F16K11/087 Z
F16K11/14 Z
F16K31/44 H
F16K31/44 B
F16K37/00 C
F16K5/06 E
F16K5/06 F
F16K5/06 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017160042
(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公開番号】P2019039163
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】316007137
【氏名又は名称】中島 弘幸
(73)【特許権者】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073623
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 幸吉
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】金子 晃
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-124569(JP,A)
【文献】特開2012-057323(JP,A)
【文献】実開昭58-045480(JP,U)
【文献】特開2000-352083(JP,A)
【文献】特開2013-151789(JP,A)
【文献】特開平11-082769(JP,A)
【文献】特開2004-353846(JP,A)
【文献】米国特許第08020575(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 7/09
F16K 11/087
F16K 11/14
F16K 31/44
F16K 37/00
F16K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道メータ2次側に接続し、継手部材を着脱可能に構成した開口部を有する第3水路を備え、ボール弁体の回動によって、1次側から2次側に通水する通常水路、1次側から第3水路に通水する応急水路,若しくは、第3水路から2次側に通水する応急水路に切換えるボール弁体を設けた切換弁を、水道用給水配管に設定し、給水配管の故障による通水不能時に、前記切換弁により前記応急水路に切換えて応急給水を行うようにしたことを特徴とする給水配管の故障時における応急給水方法。
【請求項2】
水道メータ2次側に接続し、継手部材を着脱可能に構成した開口部を有する第3水路を備え、ボール弁体の回動によって、1次側から2次側に通水する通常水路を、2次側への通水路を遮断して1次側から第3水路に通水する応急水路、若しくは、1次側からの通水路を遮断して第3水路から2次側に通水する応急水路に切換えるボール弁体を設けると共に、ボール弁体の1次側流路に逆止弁を設定して成る給水配管故障時における応急給水用水路切換弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道メータ2次側に設定し、震災等によって2次側の給水配管が破損した場合または住居の倒壊等により給水ができなくなった場合などに、これを通じて応急給水することができるようにした応急給水方法とこれに用いる切換弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
震災時に給水配管が破損するなどした場合、現場は混乱し、工事業者も忙しく、各家庭などの端末に対応する水道修理を行うことが難しい。こういう状況の場合、水道事業体等は各家庭に1栓のみ仮設給水栓を設置し応急の給水対応処置をしてきたが、実際は人手も不足し、資材も物流等の混乱から手に入らず対応が後手に回ってしまうのが実情であった。
【0003】
このような事態に対応する提案として、水道メータの上流側に三方弁を設け、通常の使用時においては三方弁の第1ポートと第2ポートとを連通して水道メータ以下の下流側に給水する流路を形成し、第3ポートには町野式カップリングを取付け、災害時等には三方弁を切換えて第2ポートと第3ポートを連通させ、第3ポートの町野式カップリングを通じて給水ホースに給水する特許文献1記載の発明がなされている。
【0004】
また、三方弁により連通流路を切換える構成については、例えば、本願出願人による特許文献2記載の発明として、目的は異なるが、受水槽等の給水経路に至る前の配管部に発生する赤水に対する対策として、水道メータの2次側に継手部材を挿脱可能に構成した開口部を有する立上管を設定し、1次側から2次側に通水する通常水路と、2次側への通水を遮断し、1次側から立上管に通水する排水管に切換えるボールバルブを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-178750号公報
【文献】特開2004-124569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、1次側の配水本管から水道メータ1次側の三方弁までの間の配管で破損した場合に水道メータ1次側の三方弁より給水車等で2次側に給水できるようにしたものであるが、水道メータまでの1次側配管が生きており、2次側配管の破損または住居の倒壊等により宅内等への給水ができない状態の場合には対応できないものとなっている。
【0007】
更に、同発明はワンタッチ式の町野式カップリングを用いており、接続する側とされる側が同種のオスメス(雄雌)接続構造のものでなければならず、応急の場合に提供される給水車等の接続構造部も町野式カップリングの接続構造を備えたものを用意しなければならないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2記載の発明は、全体構成として類似する点があるものの、もともと赤水に対する対策として提案されたものであり、継手部材を挿脱可能に構成した開口部が水道配管の側腹部に設定されており、流路変換を行う前に、開口部に立上管等を接続して置かなければならない等、前記問題にそのまま対応することはできない。
【0009】
更なる問題として、水道メータについては定期的に交換やメンテナンスが必要であるが、交換やメンテナンスの作業により、配管へのエア混入及び泥・砂・小石等の異物の侵入を免れない。また、配水本管の敷設替え等においても同様である。そのため、作業直後に通水点検をしてエア抜き、泥吐き等を行うことが必要であるが、居住者が不在の場合、配管端末が存在する居宅内に入れないため、居住者が不在の間、この作業が延引されることになる。
【0010】
作業後に通水点検等が行われないまま、その後に給水が開始された場合、配管へのエア混入や異物混入が発生し、それが原因で通水不良や居宅内の給水器具等端末の故障を誘発する等トラブル発生の原因となって、更なる問題を発生させるものである。
【0011】
更に、ボールタイプの切換弁では、一般人によっても回動が可能なため、いたずらでハンドル操作されたり、盗水が行われたりする危険がある。これに対する対応として専用の開閉ハンドルを設けることが考えられるが、今度はハンドル操作者が通水遮断状態でハンドルを抜取り、失念して断水状態で放置してしまうという大問題の発生を招きかねない。
【0012】
本願発明は、前記各問題点に対応すると共に、応急給水のための給水経路接続の構造を単純且つ多様化して、緊急時に対応でき、給水経路接続作業を簡易化して応急給水の機能を多様に活用できて故障の少ない応急給水用水路切換弁の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記した課題に対応しようとするものであり、第3水路を備え、ボール弁体の回動によって、1次側から2次側に通水する通常水路と、2次側への通水を遮断し、1次側から第3水路に通水する応急水路に切換える応急給水用水路切換弁を、水道メータの2次側に設定するように構成した。
【0014】
この構成により、水道メータまでの1次側配管が生きており、2次側配管の破損で宅内への給水ができない状態または住居の倒壊等により給水ができない場合に、第3水路に給水ホース等をジョイントすることにより、1次側配管から応急給水が可能となるものである。また、1次側水路が破損した場合には給水車及び簡易貯水タンク等の水源に第3水路をジョイントすることにより予備水源から2次側宅内等に応急給水することができる。
【0015】
更に、水道メータの交換やメンテナンスの作業後または配水本管の敷設替え等後、第3水路を開放して1次側給水管から通水することにより、作業時に配管内に混入したエアおよび侵入した泥・砂・小石等の異物が通水と共に第3水路から吐き出され、2次側宅内等に立入ることなくエア抜き、泥吐き等を行うことができる。
【0016】
第3水路開口部は、1次側から2次側に通水する通常水路開口時にはボール弁体の背部が当接し閉塞された状態となり、そこに敷設されたボールシートによって水流は完全に遮断されるようにした。この構成により、第3水路から盗水が行われたりする危険を回避することができた。
【0017】
また、第3水路開口部の外周部には雄ねじが刻設され、応急給水用水路切換弁の通常通水時には内周に雌ねじを刻設した閉栓キャップにより締着閉栓される。
【0018】
2次側配管が破損または住居の倒壊等により給水ができない状態などの場合には、閉栓キャップを外して継手等を介して給水ホース等を取付け、ボール弁体を操作し応急給水する。或いは、開放状態として1次側から給水してエア抜き、泥吐き等を行うことができるように構成した。
【0019】
また、第3水路開口部は給水ホース部材の標準的な継手部と継手する継手構造に構成しておくことにより応急時に一般的に使用されている身近な部材、例えば、日本電気工業会規格「JEM1206:電気洗濯機の部品」に基づいた洗濯機用ホース継手等、身近な給水ホース部材を取付け可能な構造としておくことにより、応急時に一般的に使用されている身近な部材を活用できるようにした。
【0020】
更に、ボール弁体の回動操作杆の端部を、ハンドル基部に構成したキー突起を嵌着するキー溝を備えたキーケースに構成し、キー溝の嵌着部位をハンドルの通常水路開口位置と一致させるように構成した。
【0021】
この構成により、ハンドル操作者はボール弁体の位置を通常水路開口位置に戻さなければハンドルをキーケースから抜き取ることができないので、通水遮断状態でハンドルを抜取り、失念して断水状態で放置してしまう事態を完全に防止することができた。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上のように構成したことにより、震災等によって2次側の給水配管が破損した場合または住居の倒壊等により給水ができない場合などに対応して、速やかな応急給水路を簡易迅速に確保できると共に、水道メータの交換やメンテナンスの作業後の通水点検、配管内のエア抜き、泥吐き等を行うことができる効果があるものである。
【0023】
また、通常水路開口時には第3水路開口部にボール弁体の背部が当接し閉塞された状態となり、そこに敷設されたボールシートによって水流は完全に遮断されるようにし、いたずらに第3水路開口部が開放されたり、盗水が行われたりする危険を防止した。
【0024】
更に、ボール弁体の回動操作杆の端部を、ハンドル基部に構成したキー突起を嵌着するキー溝を備えたキーケースに構成し、キー溝の嵌着部位をハンドルの通常水路開口位置と一致させるように構成して、ボールタイプの切換弁が通水遮断状態でハンドルが抜取られ、そのまま断水状態で放置されてしまう事態を防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例を示すもので、メータボックスに収納された応急給水方法に用いる水路切換弁の状態を示し、メータボックスを断面とした全体正面図。
図2】同じく、本発明による応急給水方法に用いる応急給水用水路切換弁の構造を示す縦断面正面図。
図3】同じく、応急給水用水路切換弁に内蔵するボール弁体と操作杆との関係を示す図2の縦断面右側面図。
図4】同じく、2次側への通水を遮断し、1次側から第3水路に通水する応急水路に切換えた状態におけるハンドルの外観を示す応急給水用水路切換弁の正面図。
図5】同じく、図2の状態における外観を示す応急給水用水路切換弁の平面図。
図6】同じく、図2の切換弁について、水道メータ、閉栓キャップの関係及び1次側への水路と第3水路開口部との関係を示すもので、1次側への水路と第3水路開口部を開口し、2次側への水路を閉鎖した状態における水流の状況を示す分解縦断面正面図。
図7】同じく、図2の切換弁について、閉栓キャップを外し、1次側からの水路を閉鎖し、第3水路開口部を開口して給水し、2次側の水路を開口して通水した状態における水流の状況を示す分解縦断面正面図。
図8】同じく、図7の状態に第3水路に継手等を介して給水ホース等を取り付けた状態におけるハンドルの外観を示す応急給水用水路切換弁の正面図。
図9】同じく、図2応急給水用水路切換弁についてボール弁体の回動操作杆の端部を、ハンドル基部に構成したキー突起を嵌着するキー溝を備えたキーケースに構成した状況、要部を切欠して示す平面図。
図10】同じく、図9のキーケースのキー溝設定状態を示すキーケースの正面図。
図11】同じく、ハンドル基部に構成したキー突起の要部を切欠した状態を示すハンドルユニットの平面図。
図12】同じく、実施例として第3水路開口部に洗濯機用ホース継手接続用吐水継手を着装する状況を示す説明図。
図13】同じく、図12の洗濯機用ホース継手接続用吐水継手の着装端の構造を示す同着装端の底面図。
図14】同じく、第3水路開口部に洗濯機用ホース継手接続用吐水継手等身近な給水ホース部材を取付け可能な着装機構を形成した場合に対応する専用閉栓キャップの構造を示す同専用閉栓キャップの縦断面図。
図15】同じく、図14の専用閉栓キャップを第3水路開口部に形成した洗濯機用ホース継手接続用吐水継手の着装機構に覆着した状況を示す応急給水用水路切換弁の縦断面正面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1に示される1はメータボックスで、上枡1aと下枡1bから成り、それぞれ上下枡の嵌合によって形成される1次側配管貫通孔部13a、2次側配管貫通孔部13bが設けられている。
【0027】
水道メータ11は、1次側に1次側配管1Aから止水栓12を介して水道メータ端部を着脱可能に着合する着合機構と接合され、2次側に水道メータ端部着合受部と、これに接合された応急給水用水路切換弁2を介して2次側配管1Bに接合されている。
また、応急給水用水路切換弁2には1次側から2次側に通水する通常水路開口時にはボール弁体の背部39が当接し閉塞された状態となる第3水路23が設けられている。
【0028】
応急給水用水路切換弁2は、回動によって、1次側流路21から2次側流路22に通水する通常水路と、2次側流路22への通水を遮断し、1次側から第3水路23に通水する応急水路に切換えるボール弁体3が1次側流路21と2次側流路22及び第3水路23の間にボールシート26を介して弁箱24内に設定されている。
【0029】
弁箱24は、支持プラグ27により支持されるボール弁体3を回動可能に収納し、1次側流路21、2次側流路22、第3水路23の各通水開口部に、ボール弁体の周面を包着シールするボールシート26が設定され、水洩れが防止されるようになっている。
【0030】
ボール弁体3には、1次側流路21から2次側流路22に抜ける通孔31と、これとT字状に交差して開口する通孔32が穿設されており、通孔32の軸線に対して90度の方向に位置するボール弁体側部に回動操作杆33が取付け固定されて操作杆33に取り付けるハンドル34の回動によってボール弁体3が回動するようになっている。
【0031】
すなわち、通常時は図2に示すように通孔31が1次側流路21から2次側流路22に沿って開口し、1次側流路21から2次側流路22に通水するが、2次側の給水配管が破損するなどの応急の場合、または水道メータ交換作業後のエア抜き、泥吐き等の場合には、ハンドル34の回動によって図6に示すように通孔31が右90度回動して2次側への通水を遮断し、1次側から第3水路23に通水する応急水路に切換えられる。
また、水道メータの1次側配管が破損し給水できない場合には、通常時の状態からハンドル34の回動によって図7に示すように通孔31が左90度回動して1次側への通水を遮断し、第3水路23から2次側に通水する応急水路に切換えられる。
【0032】
ボール弁体を操作する回動操作杆33の端部37は、ハンドル34の基部に構成したキー突起36aを嵌着するキー溝36bを備えたキーケース36に構成されており、ボール弁体がいたずらでハンドル操作されたり、盗水が行われたりする危険を回避するため、通常時にはハンドル34は抜き取られており、操作者のみが所持するようになっている。
【0033】
すなわち、図3に示されるように回動操作杆33の端部は、ギア加工を施した嵌入部37aとなっており、図11に図示するようにハンドル34の取付け基部に構成した嵌合筒37bと着脱可能に嵌合するようになっている。
【0034】
嵌合筒37bの内壁は、嵌入部37aの外周に施されたギア加工の凹凸と噛み合うギア加工が施され、ギアが噛合って嵌合し嵌入部37aが嵌合筒37b内での空回りを防止すると共に、嵌合筒37bの周壁に突設されるキー突起36aがキーケース36内のキー溝36bと特定の部位でのみ嵌合するように構成されている。
【0035】
この構成により、ハンドル操作者はボール弁体の位置を通常水路開口位置に戻さなければハンドルをキーケースから抜き取ることができないので、通水遮断状態でハンドルを抜取り、失念して断水状態で放置してしまう事態を完全に防止することができた。
【0036】
第3水路23の開口部外周面には雄ねじ35が刻設され、閉栓キャップ4の内周面に刻設された雌ねじ41と螺合して第3水路開口部25に覆着し、閉栓キャップ蓋底に敷設されたシートパッキン42に螺締して水密に開口部を閉栓する。
【0037】
図2、6、7は、応急給水用水路切換弁2のボール弁体3の1次側に逆止弁5を設定した実施例を示しているが、この逆止弁5の設定は必ずしも必要ではない。これにより、通常の2次側からの逆流を防止すると共に、第3水路が開口されて1次側から第3水路に通水する応急水路が開設された場合でも逆流を防止するものである。
【0038】
2次側配管の損傷により応急水路を開設する場合について説明すると、第3水路開口部25の閉栓キャップ4の螺合を解いて外し、閉栓キャップが捻じ込まれていたところに継手68等を介して給水ホース66を接続する。
【0039】
次に、ハンドル34を右90度回動してボール弁体によって2次側への通水を停止し、1次側から第3水路23に通水する応急水路に切換え給水を行う。
【0040】
水道メータの交換やメンテナンス作業後の第3水路開口部を開口してエア抜き、泥吐き等を行う場合も、前記同様の手順で行うことができる。
【0041】
図12は第3水路開口部25に洗濯機用ホース継手接続用吐水継手の着装機構を形成する場合の実施例を示す。例えば、日本電気工業会規格「JEM1206:電気洗濯機の部品」に基づいた洗濯機用ホース継手は、一般家庭で使用する電気洗濯機のホースの接続に広く使用されているワンタッチ式の挿脱機構であり、広く知られているものである。
【0042】
この挿脱機構は、継手構造として公知の、基部に係掛突条62と係掛溝63を形成した挿入筒61を受け継手6bとし、この挿入筒61に覆着する内周面に出没回動する複数の球面係止体67を設定し、給水ホース66を接続した覆着筒64の外周面に、球面係止体によって押締支圧する押締環65を前進方向に付勢して設定した挿し込み継手6aから成る。
【0043】
継手の挿脱は、押締環65を付勢に抗して後退させることにより球面係止体の支圧を解きながら、その内径を挿入筒61に挿入する。ストッパーとなる挿入筒61の係掛突条62に覆着筒64の球面係止体の出没部が通過して係掛溝63に嵌り込み、突出する球面係止体67が係掛突条62に係止されたところで、押締環65を前進付勢させて球面係止体67を外側から押締支圧してホースの装着が終了する。
【0044】
ホースを外す時は、付勢に抗して押締環65を後退させれば、挿入筒61を係止していた球面係止体67は押締環65による外側からの支圧を失い、係掛突条62による係止を脱して挿入筒61から覆着筒64を引き抜くことができる。
【0045】
洗濯機用ホース継手は、概略、以上のように構成されているので第3水路開口部25に洗濯機用ホース継手接続用吐水継手等の着装機構を形成する場合、図12に示すように受け継手6bに対応する構造を設定することになるが、特異な構造を保護し漏水を防止するため、専用の閉栓キャップが必要となる。
【0046】
図14は第3水路開口部25に形成した洗濯機用ホース継手接続用の吐水継手の着装機構専用の閉栓キャップの実施例を示すもので、キャップの縦断面正面図であり、受け継手6bの外形に覆着する専用の閉栓キャップ本体筒7は、覆着継手機構6bの係掛突条62上部に当接するゴムパッキン72が、係掛突条62に当接する部位にストッパーリング71が埋設されている。
【0047】
以上のように構成された洗濯機用ホース継手等の標準継手機構に対応できる専用閉栓キャップは、第3水路開口部25に設定された受け継手6bの上部から覆着され、ゴムパッキン72が係掛突条62の上部に密着すると共に、ストッパーリング71が係掛突条62に嵌合して固定し第3水路開口部25を水密に閉栓するものである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る応急給水用水路切換弁は、上記のように水道メータ2次側及び1次側の配管が破損するなどの応急の場合に、簡易迅速に応急給水路の開設を可能とするほか、これまで多大な時間と労力を要した水道メータの交換やメンテナンスの作業後の通水点検や泥吐きを極めて容易に行えるようにしたもので水道機器産業において災害危機対策や水道メータの保全、交換等のメンテナンス、及び居宅内の給水器具等端末の保全に利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 メータボックス
1a メータボックスの上枡
1b メータボックスの下枡
11 水道メータ
1A 1次側配管
1B 2次側配管
12 止水栓
13a 1次側配管貫通孔部
13b 2次側配管貫通孔部
応急給水用水路切換弁
21 1次側流路
22 2次側流路
23 第3水路
24 ボール弁体の弁箱
25 第3水路開口部
26 ボールシート
27 ボール弁体の支持プラグ
3 ボール弁体
31 ボール弁体の通孔
32 ボール弁体の通孔
33 ボール弁体回動操作杆
34 ボール弁体操作杆のハンドル
35 第3水路開口部外周面の雄ねじ
36 ハンドル基部に構成されるキーケース
36a ハンドル基部のキー突起
36b ハンドル基部キーケース内のキー溝
37 回動操作杆端部
37a 回動操作杆端部にギア加工を施した嵌入部
37b ハンドル取付け基部に構成した嵌合筒
38 嵌合筒のハンドル基部への挿入端部
39 ボール弁体の背部
4 閉栓キャップ
41 閉栓キャップ内周面の雌ねじ
42 閉栓キャップ蓋底のシートパッキン
5 逆止弁
6a 挿し込み継手
6b 受け継手
61 挿入筒
62 係掛突条
63 係掛溝
64 覆着筒
65 押締環
66 給水ホース
67 球面係止体
68 給水ホースを接合する継手
7 閉栓キャップ本体筒
71 ストッパーリング
72 ゴムパッキン
図1
図2
図3
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図5
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