(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】構真柱建込み方法および構真柱建込み装置
(51)【国際特許分類】
E02D 13/04 20060101AFI20220119BHJP
E02D 29/05 20060101ALI20220119BHJP
E02D 5/34 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
E02D13/04
E02D29/05 Z
E02D5/34 Z
(21)【出願番号】P 2018013452
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591137363
【氏名又は名称】大洋基礎株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】中村 範昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 理人
(72)【発明者】
【氏名】田中 龍一
(72)【発明者】
【氏名】長野 卓
(72)【発明者】
【氏名】棚町 健一
(72)【発明者】
【氏名】川久保 祐司
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 浩之
(72)【発明者】
【氏名】柏木 映次
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-000219(JP,A)
【文献】特開平11-061812(JP,A)
【文献】特開平05-125729(JP,A)
【文献】特開2003-166256(JP,A)
【文献】特開平01-244018(JP,A)
【文献】特開平10-008468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22 - 5/70
13/00 -13/10
29/045-29/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
場所打ち杭に鉄骨柱を構真柱として建て込む構真柱建込み方法であって、
回転式掘削機を地盤面上に設置し、当該回転式掘削機によりケーシングを回転させて杭穴を掘削し、当該杭穴にコンクリートを打設して、場所打ち杭を形成する工程と、
前記回転式掘削機の
ケーシングの上に位置決め装置を取り付け、当該位置決め装置の上端を建込み架台の下面に嵌合させることで、前記位置決め装置の上に前記建込み架台を取り付けて、当該建込み架台に支持させて前記回転式掘削機のケーシング内部にガイド管を設置し、当該ガイド管の水平方向の位置および鉛直精度を調整する工程と、
前記構真柱を前記ガイド管の内部に沿って吊り下ろして、前記場所打ち杭に挿入する工程と、
前記ガイド管および前記建込み架台を撤去し、その後、前記杭穴に土砂を埋戻す工程と、を備え
、
前記位置決め装置は、装置本体と、当該装置本体に設けられて互いに略平行な板状の一対の挟持部と、前記各挟持部に螺合されて互いに対向するように配置された挟持ボルトと、装置本体に螺合されて上方に延びる支持ボルトと、を備え、
前記支持ボルトを回転させることで、前記建込み架台の高さを調整するとともに、前記ガイド管の鉛直精度を調整することを特徴とする構真柱建込み方法。
【請求項2】
場所打ち杭に鉄骨柱として構真柱を建て込む構真柱建込み装置であって、
前記場所打ち杭の杭穴を保護するケーシングの上端部に取り付けられた位置決め装置と、当該位置決め装置が下面に嵌合する建込み架台と、当該建込み架台に支持されて前記ケーシングの内部に設けられたガイド管と、を備え
、
前記建込み架台は、枠状の建込み架台本体と、当該建込み架台本体の下面に設けられて前記位置決め装置が嵌合する嵌合部と、前記建込み架台本体の上に前記ガイド管を囲んで井桁状に組み合わされた主桁および副桁と、を備え
、
前記位置決め装置は、装置本体と、当該装置本体に設けられて互いに略平行な板状の一対の挟持部と、前記各挟持部に螺合されて互いに対向するように配置された挟持ボルトと、装置本体に螺合されて上方に延びる支持ボルトと、を備え、
前記位置決め装置の一対の挟持部を、前記ケーシングの上端縁を挟んで配置し、この状態で挟持ボルトを締め付けることで、前記位置決め装置を前記ケーシングの上端縁に固定するとともに、前記支持ボルトを回転させることで、前記建込み架台の高さを調整することを特徴とする構真柱建込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ち杭に構真柱を建て込む構真柱建込み方法および構真柱建込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地下躯体を有する建物を施工する手法として、工期短縮や山留め架構の安全性の確保を目的として、順打ち工法に代えて、逆打ち工法を採用する場合がある。
逆打ち工法では、まず、掘削外周部に沿って山留壁を構築する。次に、本設杭である場所打ち杭を打設し、このとき、場所打ち杭に構真柱を建て込む。次に、例えば1階の床および梁を先行床として構築し、この先行床を構真柱に支持させる。次に、先行床の下側を掘削しながら地下躯体を上階から下階に向かって構築するとともに、先行床の上側の躯体を下階から上階に向かって構築する。地下躯体の施工では、地下を掘削して、地下各階毎に床および梁を構築する作業を繰り返す。
ここで、場所打ち杭に構真柱を建て込む際、杭穴の上に架台を設置し、この架台で構真柱を支持することで、構真柱の位置や建入れを調整する(特許文献1~3参照)。
【0003】
ところで、地下躯体や杭を構築する地盤内に、コンクリート造の既存構造物があったり、岩石が多く含まれたりする場合がある。この場合、筒状のケーシングを回転させながら地盤に打ち込む回転式掘削機を用いる。具体的には、回転式掘削機により地盤内の既存構造物や岩石を破壊しながらケーシングを打ち込み、このケーシング内部の土砂を除去することで、杭穴を形成する。
この回転式掘削機により杭穴を形成する場合には、杭穴を形成した後にこの回転式掘削機を撤去し、その後、この杭穴の周囲に上述の架台を設置して構真柱を建て込むことになる。したがって、構真柱の建て込み作業に時間がかかる、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-3825号公報
【文献】特開平10-299019号公報
【文献】特許第6067171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、逆打ち工法により建物を構築する際、地盤内に既存構造物があったり岩石が多く含まれたりしても、短時間で精度よく構真柱を場所打ち杭に建て込むことができる、構真柱建込み方法および構真柱建込み装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、場所打ち杭に構真柱を埋設して一体化させる構真柱の建込み方法として、回転式掘削機で杭穴を掘削し、その杭穴にコンクリートを打設して場所打ち杭を形成した後、その回転式掘削機を移動させることなく、回転式掘削機の上にガイド管を備えた構真柱建込み装置(建込み架台を含む)を設置し、そのガイド管を誘導管として、構真柱を杭穴に吊り下ろすことで、短時間で、場所打ち杭に柱芯位置および鉛直精度が確保された構真柱を建込むことが可能である点に着眼し、本発明に至った。
第1の発明の構真柱建込み方法は、場所打ち杭(例えば、後述の場所打ち杭20)に鉄骨柱を構真柱(例えば、後述の構真柱10)として建て込む構真柱建込み方法であって、回転式掘削機(例えば、後述の回転式掘削機30)を地盤面(例えば、後述の地盤面2)上に設置し、当該回転式掘削機によりケーシング(例えば、後述のケーシング31)を回転させて杭穴(例えば、後述の杭穴3)を掘削し、当該杭穴にコンクリートを打設して、場所打ち杭を形成する工程(例えば、後述のステップS1)と、前記回転式掘削機の上に建込み架台(例えば、後述の建込み架台50)を取り付けて、当該建込み架台に支持させて前記回転式掘削機のケーシング内部にガイド管(例えば、後述のガイド管60)を設置し、当該ガイド管の水平方向の位置および鉛直精度を調整する工程(例えば、後述のステップS2、S3)と、前記構真柱を前記ガイド管の内部に沿って吊り下ろして、前記場所打ち杭に挿入する工程(例えば、後述のステップS4)と、前記ガイド管および前記建込み架台を撤去し、その後、前記杭穴に土砂(例えば、後述の土砂4)を埋戻す工程(例えば、後述のステップS5)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、回転式掘削機の上に建込み架台を取り付けて、この建込み架台に支持させて回転式掘削機のケーシングの内部にガイド管を設置し、このガイド管の内部に沿って構真柱を吊り下ろして場所打ち杭に挿入した。これにより、場所打ち杭のコンクリートを打設した後、杭穴上から回転式掘削機を撤去することなく、構真柱を場所打ち杭に建て込むことができる。よって、逆打ち工法により建物を構築する際、地盤内に既存構造物があったり岩石が多く含まれたりしても、短時間で精度よく構真柱を場所打ち杭に建て込むことができる。
また、構真柱を杭穴に吊り降ろす際に、この構真柱をガイド管に案内させることで、構真柱を速やかに場所打ち杭に建て込むことができるうえに、ガイド管の水平方向の位置や鉛直精度(建入れ)を調整することで、ガイド管内の構真柱の水平方向の位置や鉛直精度(建入れ)を容易に調整できる。
【0008】
第2の発明の構真柱建込み方法は、前記建込み架台を前記回転式掘削機のケーシングに取り付ける際、前記ケーシングの上端部に、高さ位置を調整可能な位置決め装置(例えば、後述の位置決め装置40)を取り付け、当該位置決め装置の上端を前記建込み架台の下面に嵌合させることで、前記建込み架台を前記回転式掘削機のケーシングに取り付けることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、位置決め装置を介してケーシングの上に建込み架台を取り付ける際、位置決め装置の高さ位置を適宜調整することで、ケーシングパイプが水平面に対して傾斜している場合であっても、建込み架台の水平度を確保できる。また、建込み架台に支持されたガイド管の鉛直度を確保し、その後、このガイド管内部に構真柱を吊り下ろすことで、構真柱の鉛直度を確保できる。なお、ここでいう位置決め装置の高さ位置とは、位置決め装置の上端面の高さ位置である。
【0010】
第3の発明の構真柱建込み装置は、場所打ち杭に鉄骨柱として構真柱を建て込む構真柱建込み装置(例えば、後述の構真柱建込み装置1)であって、前記場所打ち杭の杭穴を保護するケーシングの上端部に取り付けられた位置決め装置と、当該位置決め装置が下面に嵌合する建込み架台と、当該建込み架台に支持されて前記ケーシングの内部に設けられたガイド管と、を備え、前記位置決め装置は、当該位置決め装置の高さ位置を調整可能であり、前記建込み架台は、枠状の建込み架台本体(例えば、後述の建込み架台本体51)と、当該建込み架台本体の下面に設けられて前記位置決め装置が嵌合する嵌合部(例えば、後述の嵌合部52)と、前記建込み架台本体の上に前記ガイド管を囲んで井桁状に組み合わされた主桁(例えば、後述の主桁53)および副桁(例えば、後述の副桁54)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、ケーシングの上端部に、高さ調整が可能な位置決め装置を介して、ガイド管およびこのガイド管を支持する建込み架台を設置することで、ケーシングが水平面に対して傾斜している場合であっても、容易に建込み架台を水平に補正することが可能であり、場所打ち杭に埋設する構真柱の柱芯位置および鉛直精度を確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、逆打ち工法により建物を構築する際、地盤内に既存構造物があったり岩石が多く含まれたりしても、短時間で精度よく構真柱を場所打ち杭に建て込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る構真柱建込み方法により構真柱が建て込まれた場所打ち杭の断面図である。
【
図2】本発明の構真柱建込み方法に用いられる構真柱建込み装置の側面図である。
【
図3】
図2の構真柱建込み装置のA-A断面図である。
【
図4】
図2の構真柱建込み装置のB-B断面図である。
【
図5】
図3および
図4の構真柱建込み装置のC-C断面図である。
【
図6】
図2の構真柱建込み装置を構成する位置決め装置の正面図、縦断面図、および見上げ図である。
【
図7】構真柱建て込み方法の施工フローチャートである。
【
図8】構真柱建て込み方法の手順説明
図1(建込み架台の据え付け状況)である。
【
図9】構真柱建て込み方法の手順説明
図2(ガイド管の設置状況)である。
【
図10】構真柱建て込み方法の手順説明
図3(構真柱の建て込み状況)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、場所打ち杭に短時間で精度よく構真柱を建て込む構真柱建込み装置と、その構真柱建込み装置を用いた構真柱の建込み方法である。本発明は、回転式掘削機で杭穴を掘削し、その杭穴にコンクリートを打設して場所打ち杭を形成した後、その回転式掘削機を移動させることなく、回転式掘削機のケーシングの上に、ガイド管を備えた構真柱芯決め装置(建込み架台を含む)を設置し、そのガイド管に沿って、短時間で精度良く構真柱を場所打ち杭に建込むことを特徴とする。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る構真柱建込み方法により構真柱10が建て込まれた場所打ち杭20の断面図である。
地盤面2には、杭穴3が形成されており、この杭穴3にコンクリートが打設されて、場所打ち杭20が形成されている。場所打ち杭20には、クロスH形鋼からなる鉄骨柱である構真柱10が建込まれている。具体的には、構真柱10の下端側は、場所打ち杭20のコンクリートに埋設されている。また、杭穴3のうち場所打ち杭20の上方の空間つまり構真柱10の周囲の空間は、土砂4で埋め戻されている。
ここで、場所打ち杭20に構真柱10を建て込む際、
図2~
図6に示す構真柱建込み装置1を用いて構真柱10を建て込むとともに、構真柱10の水平方向の位置および鉛直度を調整する。
【0015】
図2は、構真柱建込み装置1の側面図である。
図3は、
図2の構真柱建込み装置1のA-A断面図である。
図4は、
図2の構真柱建込み装置1のB-B断面図である。
図5は、
図3および
図4の構真柱建込み装置1のC-C断面図である。
初期状態として、回転式掘削機30によりケーシング31を回転させて地盤面2に杭穴3を掘削し、この杭穴3に場所打ち杭20のコンクリートを打設してあるものとする。
構真柱建込み装置1は、場所打ち杭20の杭穴3を保護するケーシング31の上端部に取り付けられた位置決め装置40と、位置決め装置40が下面に嵌合する建込み架台50と、建込み架台50に支持されてケーシング31の内部に設けられたガイド管60と、を備える。ガイド管60には、吊り治具11が取り付けられた構真柱10が挿通される。
【0016】
図6(a)は、位置決め装置40の正面図である。
図6(b)は、位置決め装置40の縦断面図である。
図6(b)は、位置決め装置40の見上げ図である。
位置決め装置40は、装置本体41と、この装置本体41に設けられて互いに略平行な板状の一対の挟持部42A、42Bと、各挟持部42A、42Bに螺合されて互いに対向するように配置された挟持ボルト43A、43Bと、装置本体41に螺合されて上方に延びる支持ボルト44と、を備える。
位置決め装置40をケーシング31に固定する場合、一対の挟持部42A、42Bでケーシング31の上端縁を挟むように位置決め装置40を配置する。この状態で、挟持ボルト43A、43Bを適宜回転させることで、挟持ボルト43A、43Bでケーシング31の上端縁を挟み込む。
また、位置決め装置40では、支持ボルト44を適宜回転させることにより、この支持ボルト44の上端面の高さ位置hを調整可能である。
【0017】
図2~
図4に戻って、建込み架台50は、枠状の建込み架台本体51と、建込み架台本体51の下面に設けられて位置決め装置40の支持ボルト44が嵌合する嵌合部52と、建込み架台本体51の上にガイド管60を囲んで井桁状に組み合わされた一対の主桁53および一対の副桁54と、を備える。
嵌合部52は、所定間隔dだけ離れて略平行に配置された一対の円筒状のガイド部材55で構成されている(
図6(a)参照)。この所定間隔dは、支持ボルト44の首部の外径よりも僅かに大きくなっている。
【0018】
一対の主桁53は、建込み架台本体51の上にガイド管60を挟んで架設された一対の長尺状の部材であり、建込み架台本体51に図示しない挟締金具で固定されている。また、一対の副桁54は、主桁53同士の間にガイド管60を挟んで架設されて主桁53に略直交して延びる一対の長尺状の部材であり、主桁53に図示しない挟締金具で固定されている。
【0019】
ガイド管60は、上下方向に延びる角筒状の部材である。このガイド管60の上端側には、一対の副桁54の上面に係止する一対の係止部61が設けられている。また、このガイド管60の上端側には、鉛直度を測定するための傾斜計62が取り付けられている。また、ガイド管60の下端側の四側面には、側方に向かって伸縮可能に水中ジャッキ63が取り付けられている。
【0020】
吊り治具11は、
図2に示すように、構真柱10の上端部に取り付けられている。この吊り治具11の側面には、係止部12が突出して設けられている。
ガイド管60の上端の開口には、一対の支持部材13が架け渡されており、これら支持部材13と吊り治具11の係止部12との間には、高さ調整ジャッキ14が介装されている。
【0021】
以下、場所打ち杭20に構真柱10を建て込む手順について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0022】
ステップS1では、
図8に示すように、円筒状のケーシング31を回転させる回転式掘削機30を地盤面2上に設置し、この回転式掘削機30によりケーシング31を回転させて地盤面2に杭穴3を掘削し、この杭穴3にコンクリートを打設して、場所打ち杭20を形成する。このとき、打設したコンクリートの上端面の高さ位置を確認し、この打設したコンクリートの上端面の高さ位置よりもケーシング31の下端の高さ位置が高くなるように、ケーシング31を引き上げる。
【0023】
ステップS2では、
図8に示すように、回転式掘削機30の上に建込み架台50を取り付ける。
具体的には、
図5および
図6に示すように、ケーシング31の上端縁に位置決め装置40を取り付け、位置決め装置40の支持ボルト44を回転させて、支持ボルト44の上端面の高さ位置を調整する。次に、
図8中白抜き矢印で示すように、建て込み架台50を揚重機で吊り上げて、支持ボルト44を建込み架台50の嵌合部52に嵌合させることで、建込み架台50を回転式掘削機30のケーシング31に取り付ける。
具体的には、
図5および
図6中白抜き矢印で示すように、建込み架台50を吊り下ろすと、支持ボルト44の上端側が一対のガイド部材55同士の間に挿入されて、その後、この支持ボルト44の上端面が建込み架台本体51の下面51Aに当接する。このようにして、支持ボルト44を建込み架台50の嵌合部52に嵌合させる。
【0024】
ステップS3では、
図9に示すように、建込み架台50に支持させて回転式掘削機30のケーシング31の内部にガイド管60を設置し、このガイド管60の水平方向の位置および建入れ(鉛直精度)を調整する。
具体的には、ガイド管60の水平方向の取り付け位置に基づいて、このガイド管60を囲む主桁53および副桁54の水平方向の位置を決定する。
次に、予めガイド管60に傾斜計62および水中ジャッキ63を取り付けておき、
図9中白抜き矢印で示すように、ガイド管60を揚重機で吊り上げて、建込み架台50を貫通してケーシング31の内部に配置する。
次に、主桁53および副桁54を所定位置に配置することで、主桁53および副桁54でガイド管60を挟み込んで、ガイド管60の水平方向の位置を位置決めし、図示しない挟締金具で主桁53および副桁54を建込み架台50の建込み架台本体51に固定する。
次に、傾斜計62でガイド管60の鉛直度を測定しながら、水中ジャッキ63を駆動して、ガイド管60の建入れを調整する。
【0025】
ステップS4では、
図10に示すように、構真柱10をガイド管60の内部に沿って吊り下ろして、場所打ち杭20に挿入する。
具体的には、予め、構真柱10に吊り治具11およびスペーサ15を取り付けておく。
まず、
図10中白抜き矢印で示すように、吊り治具11を介して構真柱10を揚重機で吊り上げて、ガイド管60の内部に吊り下ろす。このとき、スペーサ15により、構真柱10の側面とガイド管60の内壁面との距離を確保する。
次に、
図2に示すように、ガイド管60の上端の開口に支持部材13を架け渡し、この支持部材13と吊り治具11の係止部12との間に高さ調整ジャッキ14を設置し、この高さ調整ジャッキ14を駆動して、構真柱10の高さを調整する。また、傾斜計62を確認して、ガイド管60の建入れの再調整が必要であれば、水中ジャッキ63を駆動してガイド管60の建入れを再調整する。
【0026】
ステップS5では、場所打ち杭20のコンクリートが硬化した後、ガイド管60および建込み架台50を撤去し、その後、杭穴3に土砂4を埋戻す。
【0027】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)回転式掘削機30の上に建込み架台50を取り付けて、この建込み架台50に支持させて回転式掘削機30のケーシング31の内部にガイド管60を設置し、このガイド管60の内部に沿って構真柱10を吊り下ろして場所打ち杭20に挿入した。これにより、場所打ち杭20のコンクリートを打設した後、杭穴3上から回転式掘削機30を撤去することなく、構真柱10を場所打ち杭20に建て込むことができる。よって、逆打ち工法により建物を構築する際、地盤内に既存構造物があったり岩石が多く含まれたりしても、短時間で精度よく構真柱10を場所打ち杭20に建て込むことができる。
また、構真柱10を杭穴3に吊り降ろす際に、この構真柱10をガイド管60に案内させることで、構真柱10を速やかに場所打ち杭20に建て込むことができるうえに、ガイド管60の水平方向の位置や鉛直精度(建入れ)を調整することで、ガイド管60内の構真柱10の水平方向の位置や鉛直精度(建入れ)を容易に調整できる。
【0028】
(2)位置決め装置40を介してケーシング31の上に建込み架台50を取り付ける際、位置決め装置40の支持ボルト44上端面の高さ位置を適宜調整することで、ケーシング31が水平面に対して傾斜している場合であっても、建込み架台50の水平度を確保して、建込み架台50に支持されたガイド管60の鉛直精度を確保できる。また、建て込み架台50の上端側に高さ調整ジャッキ14を設置し、この高さ調整ジャッキ14を伸縮させることで、構真柱10の高さや建入れを調整することができる。
【0029】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態の位置決め装置40では、装置本体41に支持ボルト44を螺合し、この支持ボルト44を適宜回転させることにより、この支持ボルト44の上端面の高さ位置hを調整可能としたが、これに限らない。例えば、支持ピンを装置本体41に溶接固定し、支持ピンの上端面の高さ位置hを一定としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…構真柱建込み装置 2…地盤面 3…杭穴 4…土砂
10…構真柱 11…吊り治具 12…係止部 13…支持部材
14…高さ調整ジャッキ 15…スペーサ 20…場所打ち杭
30…回転式掘削機 31…ケーシング
40…位置決め装置 41…装置本体 42A、42B…挟持部
43A、43B…挟持ボルト 44…支持ボルト
50…建込み架台 51…建込み架台本体 52…嵌合部
53…主桁 54…副桁 55…ガイド部材
60…ガイド管 61…係止部 62…傾斜計 63…水中ジャッキ