(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】朝顔装置
(51)【国際特許分類】
E04G 5/00 20060101AFI20220119BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
E04G5/00 301C
E04G21/32 A
(21)【出願番号】P 2018201921
(22)【出願日】2018-10-26
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】306035122
【氏名又は名称】信和株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】311001772
【氏名又は名称】株式会社フクザワ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】臼木 大介
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119945(JP,A)
【文献】特開平03-093949(JP,A)
【文献】実開平06-056366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00、21/24、21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場に対して外方へ張り出すように取り付けられた複数の落下防止パネルが、相互に並設された朝顔装置であって、
前記複数の落下防止パネルのうち、少なくとも1つの落下防止パネルが、物の上下方向の移動が可能な空間領域を閉鎖して前記物の上下方向の通過を許容しない禁止位置と、前記空間領域における物の上下方向の通過を許容する許容位置との両位置間を移動可能にされている可動パネルとしてい
て、
前記可動パネルを横方向へ移動させる牽引機構が設けられ、
前記可動パネルは、一対設けられ、両者は許容位置と禁止位置に移動する際は、前記横方向において相互に反対方向に移動自在に配置されていて、
前記一対の可動パネルがそれぞれの禁止位置に位置する際は、相互に隣接して配置されるとともに、それぞれ許容位置に位置する際は、相互に離間して配置され、
前記牽引機構は、横方向において作動時に相互に反対方向に移動する部位を有する可撓性の索状部材を複数含む索状部を備えており、前記一対の可動パネルは、前記作動時に相互に反対方向に移動する索状部材の部位にそれぞれ連結されている朝顔装置。
【請求項2】
前記可動パネルが、前記足場に支持されたガイド部材により前記横方向に移動自在にガイドされている請求項1に記載の朝顔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、朝顔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の高層の建築工事等では、組まれた足場から、足場の外周に平板状や網状等の落下防止部材(以下、落下防止パネルという)を取付けて、足場から工具、足場用部材、建築資材、等が地上に落下するのを防止する朝顔装置が設けられている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1の朝顔装置では、複数の支持枠材が上側ブラケットを介して足場の支柱(足場支柱)に取り付けられ、該支持枠材の先端部側は、前記支柱に対して下側ブラケットを介して取り付けられた棒状の斜材の先端が連結されることにより支持されている。そして、前記支持枠材間には、平板状の落下防止パネルが掛け渡されている。これにより、足場から落下した工具等を、落下防止パネルによって受け止め、地上に落下することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-203184号公報
【文献】特開2015-34399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、落下防止パネルは、足場から外方へ張り出しされて配置される。このことから、建築資材、工具、足場等の構成資材等の吊上げ作業、及び足場解体時の前記構成資材の吊り降ろし作業を行う場合、前記構成資材が落下防止パネルに干渉しないように、従来は、落下防止パネルを設けていない領域を予め設けておき、その領域で前記作業を行うようにしている。
【0006】
なお、朝顔装置の落下防止パネルを斜め上方へ傾いた状態から、落下防止パネルに連結したロープを引張ることにより、落下防止パネルを斜め上方に張り出した状態から垂直にした折り畳み状態にして、足場の構成部材の通過可能な領域を形成し、その領域において、足場の構成部材の吊上げ作業、または吊り降ろし作業を行うことも考えられる。
【0007】
しかし、朝顔装置の落下防止パネルは、かなり大きく、数十キロ程度の重量があるため、その折り畳み作業を人力で行うことは難しい。また、落下防止パネルの折り畳み作業中に、誤ってロープを手放すと、落下防止パネルの自重により、斜め上方へ傾いた状態に遷移することになるが、このとき前記傾いた状態を保持する部材に衝撃的な荷重がかかるため、これらの部材の破損等の障害が生じる虞があり好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決して、落下防止パネルの高さ位置を通過して建築資材、工具、足場の構成部材等の物の吊上げ、吊り降ろし作業を行う際、その作業の邪魔にならないように落下防止パネルの移動を容易に行うことができ、前記作業が終了後は、容易に戻すことができる朝顔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、本発明の朝顔装置は、足場に対して外方へ張り出すように取り付けられた複数の落下防止パネルが、相互に並設された朝顔装置であって、前記複数の落下防止パネルのうち、少なくとも1つの落下防止パネルが、物の上下方向の移動が可能な空間領域を閉鎖して前記物の上下方向の通過を許容しない禁止位置と、前記空間領域における物の上下方向の通過を許容する許容位置との両位置間を移動可能にされている可動パネルとしているものである。
【0010】
上記構成により、落下防止パネルが禁止位置に位置する場合は、物の上下方向の移動が可能な空間領域を閉鎖して該物の上下方向の通過を落下防止パネルが阻止し、この場合は、朝顔装置よりも高いところから落下してきた落下物を落下防止パネルで受け止めて落下を防止する。落下防止パネルが許容位置に位置する場合は、落下防止パネルが禁止位置に位置していた空間領域が開放される。このため、足場構築時や建築時において、足場等の構成資材等の物の吊上げ作業、及び足場解体時の構成資材の吊り降ろし作業を行う場合、物を開放した空間領域を通すことができるため、吊り上げ、または吊り降ろし作業を円滑に行うことが可能となる。
【0011】
また、前記可動パネルを横方向へ移動させる牽引機構が設けられていてもよい。
上記構成により、落下防止パネルを禁止位置と許容位置間を、牽引機構により容易に移動させる。
【0012】
また、前記可動パネルは、一対設けられ、両者は許容位置と禁止位置に移動する際は、前記横方向において相互に反対方向に移動自在に配置されていてもよい。上記構成により、一対の可動パネルが許容位置または禁止位置に位置するときには、各可動パネルはその位置に位置するときの機能を発揮する。すなわち、禁止位置に位置するときは、物の落下防止を行い、許容位置に位置するときは、空間領域を開放して、物の上下方向の通過を許容する。
【0013】
また、一対の可動パネルがそれぞれの禁止位置に位置する際は、相互に隣接して配置されるとともに、それぞれ許容位置に位置する際は、相互に離間して配置されていてもよい。
【0014】
上記構成により、一対の可動パネルが許容位置に位置するときには、両可動パネルが禁止位置に位置していた相互に隣接した空間領域が開放される。このため、足場構築時において、足場等の構成資材等の物の吊上げ作業、及び足場解体時の構成資材等の物の吊り降ろし作業を行う場合、開放した空間領域が広いため、物の吊り上げ作業、または吊り降ろし作業をより円滑に行うことが可能となる。
【0015】
また、前記牽引機構は、横方向において作動時に相互に反対方向に移動する部位を有する可撓性の索状部材を複数含む索状部を備えており、前記一対の可動パネルは、前記作動時に相互に反対方向に移動する索状部材の部位にそれぞれ連結されていてもよい。
【0016】
上記構成により、牽引機構を作動させることにより、一対の可動パネルは、それぞれ同時に、禁止位置または許容位置に移動させる。
また、前記可動パネルは、一対設けられ、両者は許容位置と禁止位置との間を移動する際は、前記横方向において相互に同一方向に移動自在に配置されていてもよい。
【0017】
上記構成により、両可動パネルは、許容位置と禁止位置との間を移動する際は、横方向において相互に同一方向に移動することにより、それぞれ許容位置或いは禁止位置へ位置させることが可能となる。
【0018】
また、前記一対の可動パネルがそれぞれの禁止位置に位置する際は、横方向において相互に隣接して配置されるとともに、それぞれ許容位置に位置する際は、上下方向において相互に重なり合って配置されるものとしてもよい。
【0019】
上記構成により、一対の可動パネルがそれぞれの禁止位置に位置する際は、横方向において相互に隣接して配置される状態となり、それぞれ許容位置に位置する際は、上下方向において相互に重なり合って配置される状態となる。
【0020】
前記牽引機構は、前記両可動パネルのうち、一方の可動パネル(以下、第1可動パネルという)には両端がそれぞれ連結された索状部材を備えていて、前記索状部材の操作により禁止位置(以下、第1禁止位置という)と許容位置(以下、第1許容位置という)との間を該第1可動パネルが往復移動可能に配置されており、また、前記第1可動パネルは、該第1可動パネルが第1禁止位置から第1許容位置へ移動する途中で、禁止位置(以下、第2禁止位置という)に位置する他方のパネル(以下、第2可動パネルという)に対して作動連結し、この作動連結後は、前記第1可動パネルが第1許容位置まで移動したときの該第2可動パネルの許容位置(以下、第2許容位置という)まで共に移動可能に配置され、また、前記第1可動パネルは、該第1可動パネルが第1許容位置から第1禁止位置へ移動する途中で、第2許容位置に位置する第2可動パネルに対して作動連結し、この作動連結後は、前記第1可動パネルが第1禁止位置まで移動するときまで、該第2可動パネルの第2禁止位置まで共に移動可能に配置されているものとしてもよい。
【0021】
上記構成により、索状部材を操作して、第1禁止位置に位置する該第1可動パネルを第1許容位置側へ移動させると、その移動途中で、第2禁止位置に位置する第2可動パネルに対して第1可動パネルが作動連結し、この作動連結後は、第1可動パネルが第1許容位置まで移動すると第2可動パネルは第2許容位置まで共に移動する。また、索状部材を操作して、第1許容位置に位置する該第1可動パネルを第1禁止位置側へ移動させると、その移動途中で、第2許容位置に位置する第2可動パネルに対して第1可動パネルが作動連結し、この作動連結後は、第1可動パネルが第1禁止位置まで移動すると第2可動パネルは第2禁止位置まで共に移動する。また、前記可動パネルが、前記足場に支持されたガイド部材により前記横方向に移動自在にガイドされていることが好ましい。上記構成により、可動パネルは、横方向への移動時にガイド部材によりガイドされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、落下防止部材の高さ位置を通過して建築資材、工具、足場の構成部材等の物の吊上げ、吊り降ろし作業を行う際、その作業の邪魔にならないように落下防止部材の移動を容易に行うことができ、前記作業が終了後は、容易に落下防止部材を禁止位置に戻すことができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図4】(a)は一方の下レールの正面図、(b)は一方の下レールの平面図。
【
図5】(a)は他方の下レールの正面図、(b)は他方の下レールの平面図。
【
図6】(a)は一方の上レールの正面図、(b)は一方の上レールの平面図。
【
図7】(a)は他方の上レールの正面図、(b)は他方の上レールの平面図。
【
図8】(a)は落下防止パネル(可動パネル)の平面図、(b)は落下防止パネル(可動パネル)の側面図。
【
図9】落下防止パネルと下レール及び上レールとの関係を示す略体断面図。
【
図13】可動パネルが許容位置に位置したときの状態を示す朝顔装置の平面図。
【
図14】(a)は、他の実施形態の朝顔装置に設けられた牽引機構の略体図、(b)は、牽引機構により、一方の可動パネルが他方の可動パネルに当接して重なった状態を示す略体図、(c)は両可動パネルが許容位置まで移動した状態を示す略体図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明を足場に取り付けられた朝顔装置の第1実施形態を
図1~
図13を参照して説明する。なお、各図では、足場10を基準として建築物側と反対方向をX方向とし、上方をZ方向とし、足場に向かって右側をY方向としている。ここで、Y方向及び反Y方向は横方向に相当する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の足場10は、ビル等の高層建築物の建築現場において組まれたものであるが、足場は、ビル等の高層建築物に限定するものではなく、他の建築物であってもよい。なお、
図1では、説明の便宜上、建築物側とは反対側に配置された支柱12のみが図示されている。また、建築物側にも同様の支柱が配置されるとともに、支柱の所定高さ毎の各階において、建築物側の支柱及び図示されている支柱12を連結する梁材間には、図示しない踏み板が掛けられている。
【0026】
図1に示すように足場10の支柱12には朝顔装置20が取り付けられている。朝顔装置20は、足場10に対して水平面から所定の傾斜角度(設置角度)で斜め上方に突出するように設置されて落下物を受け止める落下防止パネル30、40L、40Rと、落下防止パネル40L、40Rの横移動をガイドするレール部50、複数の落下防止パネル30、40を支持する複数の支持棒22及び複数の斜材23とを備えている。すなわち、落下防止パネル30、40L、40Rは、足場10から外方(反建築物側に向かう方向)へ張り出されている。この落下防止パネル30、40R、40Lが張り出されている方向は張り出し方向に相当する。また、落下防止パネル40L、40Rの横移動は、前記張り出し方向とは交差する方向である。また、本実施形態では、落下防止パネル40には牽引機構70(
図3,
図12参照)が付設されている。
【0027】
図1に示すように朝顔装置20において、落下防止パネル30が配置される各支柱12の同じ高さの部位には、支持棒22の基端が着脱自在に取り付けられており、支持棒22はX方向及びZ方向へ斜状に延出されている。
【0028】
支持棒22の支柱12に対する取付けは、クランプ部材等のように公知の取付手段でよいため、詳細の説明は省略する。複数の斜材23は各支持棒22よりも下方において、基端が支柱12に対して着脱自在に取り付けられており、先端が支持棒22の先端側に対して揺動自在に連結されていて、支持棒22の斜状配置を保持している。
【0029】
なお、複数の落下防止パネル30が並設された領域のうち、
図1、
図2、
図3及び
図13に示すように、一つの支柱12(以下、この支柱には12Aを付す)には支持棒22及び斜材23が取り付けられていない。また、支柱12Aに対して反Y方向側に隣接する一対の支柱には反Y方向に向かって順に符号12B、12Cを付し、支柱12Aに対してY方向側に隣接する一対の支柱にはY方向に向かって順に符号12D、12Eを付す。また、支柱12B、12C、12D、12Eに取り付けられた支持棒22には、それぞれ符号22B、22C、22D、22Eを付す。なお、本実施形態では支柱12A、12B、12C、12D、12Eは、相互に隣接する他の支柱との離間距離は同じとしているが限定するものではない。
【0030】
図1、
図2に示すように、落下防止パネル30は、相互に隣接する支持棒22にそれぞれ着脱自在に掛け渡された複数の長い板状のプレート32により構成されていて、全体が四角板状となっている。これにより、落下物を確実に受け止めることができるとともに、個々のプレート32を取り外すことにより、容易に解体が可能となっている。
【0031】
図1、
図2、
図13に示すように、レール部50は、下レール部材51L、51Rを有する下レール部51と、上レール部材56L、56Rを有する上レール部56とから構成されている。下レール部材51L、51R及び上レール部材56L、56Rは、ガイド部材に相当する。
【0032】
図1に示すように下レール部材51Lは支柱12Aを基点にして反Y方向に延出されて、支持棒22B、22Cの基端に取り付けられている。
図4(a)、
図4(b)、
図9に示すように下レール部材51Lは、底壁52a及び底壁52aの縁部から立ち上がった側壁52bとにより断面L状をなす本体部52と、底壁52aにおいて、反側壁52b側の縁部から立ち上がった離脱防止壁52cと、側壁52bの上端から底壁52aと平行にX方向側に突出した離脱防止壁52dとを有している。
【0033】
図4(b)に示すように、また、底壁52aの下面には、一対のクランプ60、61が設けられていて、該クランプ60、61により、支持棒22B、22Cの基端にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。また、
図4(a)、
図4(b)に示すようにクランプ61が設けられた反Y方向の位置と同一となるように、底壁52aの上面及び側壁52bの内面には、後述する落下防止パネル40Lの枠体42の下枠材42bに当接して落下防止パネル40Lの反Y方向への移動を止めるストッパ52eが固定されている。底壁52aにおいて、Y方向側端部の下面には、連結部材52fが一体に固定されている。また、
図4(a)、
図4(b)に示すように側壁52bにおいて、反Y方向側端部にはガイドローラ52gが取り付けられている。
【0034】
図1に示すように下レール部材51Rは支柱12Aを基点にしてY方向に延出されて、支持棒22D、22Eの基端に取り付けられている。
図5(a)、
図5(b)、
図9に示すように下レール部材51Rは、底壁54a及び底壁54aの縁部から立ち上がった側壁54bとにより断面L状をなす本体部54と、底壁54aにおいて、反側壁54b側の縁部から立ち上がった離脱防止壁54cと、側壁54bの上端から底壁54aと平行にX方向側に突出した離脱防止壁54dとを有している。
【0035】
図5(b)に示すように、また、底壁54aの下面には、一対のクランプ62、63が設けられていて、該クランプ62、63により、支持棒22D、22Eの基端にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。また、
図5(a)、
図5(b)に示すようにクランプ63が設けられたY方向の位置と同一となるように、底壁54aの上面及び側壁54bの内面には、後述する落下防止パネル40Rの枠体42の下枠材42bに当接して落下防止パネル40RのY方向への移動を止めるストッパ54eが固定されている。底壁54aにおいて、反Y方向側端部の下面には、連結部材54fが、側壁54bの外面には連結部材54hが一体に固定されている。
【0036】
連結部材54fは、下レール部材51Lの連結部材52fに対してボルト等により取り外し可能に連結されている。連結部材54hは、下レール部材51Lの側壁52bの外面に対してボルト等により取り外し可能に連結されている。
【0037】
また、
図5(a)、
図5(b)に示すように側壁54bにおいて、Y方向側端部にはガイドローラ54gが取り付けられている。離脱防止壁54dの上面には、長手方向に沿って複数の通し環54iが固定されている。通し環54iは後述する索状部材72(
図3、
図12参照)を通すためのものである。なお、
図3では、説明の便宜上、通し環54iは図示されていない。
【0038】
図1に示すように上レール部材56Lは支柱12Aを基点にして反Y方向に延出されて、支持棒22B、22Cの先端に取り付けられている。
図6(a)、
図6(b)、
図9に示すように上レール部材56Lは、底壁57a及び底壁57aの縁部から立ち上がった側壁57bとにより断面L状をなす本体部57と、底壁57aにおいて、反側壁57b側の縁部から立ち上がった離脱防止壁57cと、側壁57bの上端から底壁57aと平行に反X方向側に突出した離脱防止壁57dとを有している。
【0039】
図6(b)に示すように、また、底壁57aの下面には、一対のクランプ64、65が設けられていて、該クランプ64、65により、支持棒22B、22Cの先端にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。また、
図6(a)、
図6(b)に示すようにクランプ65が設けられた反Y方向の位置と同一となるように、底壁57aの上面及び側壁57bの内面には後述する落下防止パネル40Lの枠体42の上枠材42aに当接して落下防止パネル40Lの反Y方向への移動を止めるストッパ57eが固定されている。底壁57aにおいて、Y方向側端部の下面には、連結部材57fが、側壁57bには連結部材57hが一体に固定されている。
【0040】
図1に示すように上レール部材56Rは支柱12Aを基点にしてY方向に延出されて、支持棒22D、22Eの先端に取り付けられている。
図7(a)、
図7(b)、
図9に示すように上レール部材56Rは、底壁59a及び底壁59aの縁部から立ち上がった側壁59bとにより断面L状をなす本体部59と、底壁59aにおいて、反側壁59b側の縁部から立ち上がった離脱防止壁59cと、側壁59bの上端から底壁59aと平行に反X方向側に突出した離脱防止壁59dとを有している。
【0041】
図7(b)に示すように、また、底壁59aの下面には、一対のクランプ66、67が設けられていて、該クランプ66、67により、支持棒22D、22Eの先端にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。また、
図7(a)、
図7(b)に示すようにクランプ67が設けられたY方向の位置と同一となるように、底壁59aの上面及び側壁59bの内面には後述する落下防止パネル40Rの枠体42の上枠材42aに当接して落下防止パネル40RのY方向への移動を止めるストッパ59eが固定されている。底壁59aにおいて、反Y方向側端部の下面には、連結部材59fが一体に固定されている。連結部材59fは、上レール部材56Lの連結部材57fに対してボルト等により取り外し可能に連結されている。
【0042】
図1、
図2、
図8(a)、
図8(b)に示すように、可動パネル40L、40R(以下、可動パネルという)は、相互に同じ構造を有している。以下では、可動パネル40Lについて説明し、可動パネル40Rを構成する各種の部材については、可動パネル40Lを構成する部材と同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0043】
図8(a)に示すように可動パネル40Lは、金属板、FRP板或いはアルミニウム複合材等よりなるパネル41と、パネル41の下面に一体に固定された枠体42を備えている。なお、パネル41は、前述した材質に限定するものではなく、また、その形状は平板状、或いは、網状等であってもよく、落下防止ができる形状であればよい。可動パネル40L(すなわち、パネル41)は、Y方向よりもX方向に若干長い長方形状に形成されていて、Y方向長さが、支柱12間(すなわち、支柱12A、12D間、及び支柱12A、12B間)距離と同じ長さに設定されている。また、パネル41のX方向長さは、落下防止パネル30のX方向長さと同じに設定されている。
【0044】
枠体42は、Y方向に向かって相互に平行に配置された上枠材42a及び下枠材42bを有している。また、枠体42は、上枠材42a、下枠材42bの長手方向の両端部間に連結された一対の縦枠材42c、42dと、上枠材42a、下枠材42bの中間の部位間を連結する一対の中間枠材42eと、中間枠材42eと縦枠材42c、42d間を連結する複数の横枠材42fを有している。これらの枠材は断面L状をなす金属製のアングル材からなっている。
【0045】
図3、
図8(a)に示すように、可動パネル40Lのパネル41において、下部(下枠材42bと相対する部位)の横方向の両端には、一対の掛止輪43a、43bが固定されている。掛止輪43aは、可動パネル40Lにおいて、支柱12E側に配置されている。また、掛止輪43bは、可動パネル40Lにおいて、支柱12C側に配置されている。なお、
図12では、説明の便宜上、掛止輪43a、43bは図示されていない。
【0046】
図8(a)、
図9に示すように、上枠材42aには、その長手方向(Y方向)において、複数箇所(本実施形態では、
図8(a)において、A、B、Cで図示されている箇所)に走行ローラ44がそれぞれ回動自在に軸支されている。すなわち、可動パネル40Lの各走行ローラ44は、上レール部材56Lの底壁57a内面(上面)を走行可能に配置されている。
【0047】
図8(a)、
図9に示すように、下枠材42bには、その長手方向(Y方向)において、複数箇所(本実施形態では、
図8(a)において、D、E、Fで図示されている箇所)に走行ローラ45、46がそれぞれ回動自在に軸支されている。すなわち、可動パネル40Lの各走行ローラ45、46は、下レール部材51Lの底壁52a内面(上面)及び側壁52b内面をそれぞれ走行可能に配置されている。
【0048】
すなわち、落下防止パネル40Lは、走行ローラ44、45、46により、落下防止パネル40Rと相互に当接する位置(禁止位置)と、上枠材42a及び下枠材42bがストッパ57e(
図6(b)参照)、52e(
図4(b)参照)にそれぞれ当接する位置間を移動可能となっている。本実施形態では、この位置を許容位置の一例としている。
【0049】
なお、可動パネル40Rの、上枠材42aにその長手方向(Y方向)に複数箇所に設けられた走行ローラ44は、上レール部材56Rの底壁59a内面(上面)を走行可能である。また、可動パネル40Rの下枠材42bにその長手方向(Y方向)において、複数箇所に設けられた走行ローラ45、46は、下レール部材51Rの底壁54a内面(上面)及び側壁54b内面をそれぞれ走行可能である。
【0050】
すなわち、落下防止パネル40Rは、走行ローラ44、45、46により、落下防止パネル40Lと相互に当接する位置(禁止位置)と、上枠材42a及び下枠材42bがストッパ59e(
図7(b)参照)、54e(
図5(b)参照)にそれぞれ当接する位置(許容位置)間を移動可能となっている。
【0051】
そして、可動パネル40R、40Lがともに禁止位置に位置する場合は、支柱12B、12Cに支持された落下防止パネル30と、支柱12D、12Eに支持された落下防止パネル30間にある空間領域S(
図13参照)を閉鎖して空間領域Sを介しての上下方向の物の通過を禁止するようにしている。また、可動パネル40R、40Lがともに許容位置に位置する場合は、前記空間領域Sを開放し、該開放された空間領域Sを介して上下方向の物の通過を許容するようにしている。
図1、
図2、
図12及び
図13において、符号Saは、可動パネル40R、40Lが開放する空間領域Sの横方向の範囲を示している。
【0052】
図3に示すように、牽引機構70は、一対の索状部材71、72と、索状部材71、72を案内する第1案内部材73及び第2案内部材74とを備えている。索状部材71、72は索状部に相当する。
【0053】
図3、
図11に示すように第1案内部材73は、ガイドローラであって、下レール部材51Lよりも下方に位置するように支柱12Cに対してクランプ75により着脱自在に取り付けられたブラケット76の先端に対して回動自在に軸支されている。
【0054】
図3、
図10に示すように第2案内部材74は、ガイドローラであって、第1案内部材73よりも下方に位置するように支柱12Cに対してクランプ77により着脱自在に取り付けられたブラケット78の先端に対して回動自在に軸支されている。なお、クランプ75、77は公知の構成であるので、詳細な説明は省略する。
【0055】
索状部材71は、可撓性を有していて、例えばロープ等からなる。
図3に示すように索状部材71の両端は可動パネル40R、40Lの掛止輪43bにそれぞれ連結されているとともに、その中間部は、掛止輪43bに連結された端部側から順に第1案内部材73、第2案内部材74、ガイドローラ52gに掛け渡されて、全体が張られた状態とされている。
【0056】
図3に示すように、索状部材72は、可撓性を有していて、例えばロープ等からなる。
図3に示すように索状部材72の両端は可動パネル40R、40Lの掛止輪43aにそれぞれ連結されている。そして、その中間部は、ガイドローラ54gに掛け渡されるとともに、下レール部材51Rの通し環54iに通されていて、全体が張られた状態とされている。なお、
図3では、説明の便宜上、通し環54iは図示されていないが、索状部材72が通し環54iに通されているものとして理解されたい。
【0057】
図3、
図12に示すように、索状部材71は、第1案内部材73と第2案内部材74との間で、一対の操作部位71a、71bが上下方向(Z方向)に沿うように張られた状態となっていて、この一対の操作部位71a、71bが朝顔装置20が配置された足場10の階よりも下段の階にいる作業員が操作可能に配置されている。
【0058】
すなわち、操作部位71aを、下方向に引っ張って牽引操作することにより、禁止位置に位置する可動パネル40R、40Lを相互に反対方向に移動させて許容位置側へ移動可能とされている。また、操作部位71bを、下方向に引っ張って牽引操作することにより、許容位置に位置する可動パネル40R、40Lを禁止位置側へ移動可能とされている。
【0059】
(本実施形態の作用)
上記のように構成された朝顔装置20の作用を説明する。説明の便宜上、可動パネル40R、40Lは、両者が当接している禁止位置に位置しているものとする(
図1、
図2、
図3、
図12参照)。
【0060】
朝顔装置20が配置された足場10の階よりも下段の階にいる作業員が、牽引機構70の操作部位71aを下方向に引っ張って牽引操作し、可動パネル40R、40Lを、禁止位置から、ストッパ57e、52e、及びストッパ59e、54eに当接する許容位置まで移動させる。この結果、
図13に示すように空間領域Sが開放される。
【0061】
この状態で、開放された空間領域Sに対して、物を上下方向へ通過させることができ、すなわち、建築資材、工具、足場の構成部材等の物の吊上げ、吊り降ろしの作業を円滑に行うことができる。
【0062】
物の空間領域Sの通過が終了した後は、作業員は、牽引機構70の操作部位71bを下方向に引っ張って牽引操作し、可動パネル40R、40Lを、許容位置から、両者が相互に当接する禁止位置まで移動させる。この結果、
図2に示すように空間領域Sが閉鎖される。この結果、この状態では、落下防止パネル40R、40Lの上方から物が落下した場合、可動パネル40R、40Lがその物を受け止めて朝顔装置20の高さ位置から下方への物の落下を防止できる。
【0063】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1)本実施形態の朝顔装置20は、複数の落下防止パネルのうち、一対の落下防止パネル40R、40Lを、物の上下方向の移動が可能な空間領域Sを閉鎖して物の上下方向の通過を許容しない禁止位置と、空間領域Sにおける物の上下方向通過を許容する許容位置との両位置間を移動可能にされている可動パネルとしている。
【0064】
この結果、本実施形態によれば、落下防止パネルの高さ位置を通過して建築資材、工具、足場の構成部材等の物の吊上げ、吊り降ろし作業を行う際、その作業の邪魔にならないように落下防止パネルの移動を容易に行うことができ、前記作業が終了後は、落下防止部材を容易に禁止位置に戻すことができる。
【0065】
(2)本実施形態の朝顔装置20は、可動パネル40L、40Rを横方向へ移動させる牽引機構70が設けられている。この結果、本実施形態によれば、落下防止パネルを禁止位置と許容位置間の移動を、牽引機構により容易に移動させることができる。
【0066】
(3)本実施形態の朝顔装置20では、一対の可動パネル40L、40Rは、横方向において相互に反対方向に移動自在に配置されている。
この結果、本実施形態によれば、一対の可動パネルが許容位置または禁止位置に位置するときには、各可動パネルはその位置に位置するときの機能を発揮する。すなわち、両可動パネルが禁止位置に位置するときは、物の落下防止を行い、許容位置に位置するときは、空間領域を開放して、物の上下方向の通過を許容できる。
【0067】
(4)本実施形態の朝顔装置20では、一対の可動パネル40L、40Rはそれぞれの禁止位置に位置する際は、相互に隣接して配置されるとともに、それぞれ許容位置に位置する際は、相互に離間して配置されている。
【0068】
この結果、本実施形態によれば、一対の可動パネルが許容位置に位置するときには、両可動パネルが禁止位置に位置していた相互に隣接した空間領域Sが開放される。このため、足場構築等において、足場等の構成資材等の吊上げ作業、及び足場解体時の構成資材の吊り降ろし作業を行う場合、構成資材を開放した空間領域が広いため、吊り上げ作業、または吊り降ろし作業をより円滑に行うことが可能となる。
【0069】
(5)本実施形態の朝顔装置20では、牽引機構70は、横方向において作動時に相互に反対方向に移動する部位を有する可撓性の索状部材71、72を有する索状部を備えている。そして、一対の可動パネル40L、40Rは、作動時に相互に反対方向に移動する索状部材71、72の部位にそれぞれ連結されている。
【0070】
この結果、本実施形態によれば、牽引機構70を作動させることにより、一対の可動パネル40L、40Rは、それぞれ同時に、禁止位置または許容位置に移動させることができる。
【0071】
(6)本実施形態の朝顔装置20では、可動パネル40L、40Rが、足場10に支持された下レール部材51L、51R及び上レール部材56L、56R(ガイド部材)により横方向に移動自在にガイドされている。この結果、本実施形態によれば、可動パネル40L、40Rを、横方向への移動させる時にガイド部材により円滑にガイドすることができる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を
図14(a)~
図14(c)を参照して説明する。
本実施形態では
図14(a)~
図14(c)に示すように可動パネル40R及び可動パネル40L、並びに牽引機構70の構成が一部異なっている。なお、前記実施形態と同一構成または相当する構成には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。本実施形態では、可動パネル40R及び可動パネル40Lは、第1可動パネル及び第2可動パネルにそれぞれ相当する。
【0073】
可動パネル40R、40Lは、
図1に示す支持棒22B、22D、22Eに固定された図示しないレール部材により横方向(すなわち、Y方向及び反Y方向)へ往復移動可能に案内されている。可動パネル40R、40Lの往復移動可能な範囲については、後述する。
【0074】
また、
図14(a)~
図14(c)に示すように、可動パネル40LのY方向側端部及び反Y方向側端部には、枠体42に固定されて上方へ突出した一対の当接部材81、82が設けられている。また、可動パネル40RのY方向側端部及び反Y方向側端部には、枠体42に固定されて下方へ突出した一対の当接部材83、84が設けられている。
【0075】
図14(a)~
図14(c)に示すように、可動パネル40Rは、可動パネル40Lよりも若干高い位置に位置するように配置されているとともに、当接部材84が可動パネル40Lの当接部材81、82間に位置するように配置されている。
【0076】
当接部材84は、可動パネル40Rが反Y方向へ移動時に、可動パネル40Lの当接部材82に当接可能に配置されるとともに、可動パネル40RがY方向へ移動時に、可動パネル40Lの当接部材81に当接可能に配置されている。
【0077】
また、当接部材83は、可動パネル40Rが反Y方向へ移動時に、当接部材84が当接部材82に当接した時と同時に可動パネル40Lの当接部材81に当接可能に配置されている。
【0078】
図14(a)~
図14(c)に示すように、可動パネル40Lを往復案内する前記図示しないレール部材には、空間領域S(
図13参照)の横方向の範囲Sa内においてその略1/2の位置にストッパ85が固定されているとともに前記範囲Saから可動パネル40LのY方向長さに相当する距離の離間位置にはストッパ86が固定されている。
【0079】
ストッパ85は、Y方向へ可動パネル40Lが移動した際に、可動パネル40Lの当接部材81に当接することにより、可動パネル40Lの同方向への移動を停止させる。この位置は、可動パネル40Lの第2禁止位置であるとともに、可動パネル40Lが、空間領域S(
図13参照)の略半分の横方向の範囲を覆う位置となっている。第2禁止位置は禁止位置に相当する。
【0080】
ストッパ86は、可動パネル40Lが反Y方向へ移動した際に、可動パネル40Lの当接部材82が当接することにより、可動パネル40Lの同方向への移動を停止させる。この位置は、可動パネル40Lの第2許容位置であるとともに、可動パネル40Lが、空間領域S(
図13参照)の前記略半分の横方向の範囲を開放する位置となっている。第2許容位置は許容位置に相当する。
【0081】
図14(a)~
図14(c)に示すように、可動パネル40Rを往復案内する前記図示しないレール部材には、空間領域S(
図13参照)の横方向の範囲Saにおいて、Y方向側縁部に位置するようにストッパ87が固定されている。
【0082】
ストッパ87は、Y方向へ可動パネル40Rが移動した際に、可動パネル40Rの当接部材83に当接することにより、可動パネル40Rの同方向への移動を停止させる。この位置は、可動パネル40Rの第1禁止位置であるとともに、第2禁止位置に位置した可動パネル40Lが覆っていない空間領域S(
図13参照)の残りの略半分を可動パネル40Rが覆う位置となっている。第1禁止位置は禁止位置に相当する。
【0083】
また、可動パネル40Rが第1禁止位置から反Y方向へ移動して、当接部材83、84が可動パネル40Lの当接部材81、82にそれぞれ当接した状態で可動パネル40Lが第2禁止位置に位置しているときの可動パネル40Rの位置を第1許容位置としている。第1許容位置は許容位置に相当する。可動パネル40R、40Lがそれぞれ第1許容位置及び第2許容位置に位置しているときは、空間領域S(
図13参照)は両可動パネルにて覆われていない開放状態となっている。
【0084】
牽引機構70は、第1実施形態の牽引機構70の構成中、索状部材72が省略されていて、索状部材71の両端が、可動パネル40RのY方向及び反Y方向の両端部にそれぞれ連結されている。すなわち、
図14(a)に示すように、索状部材71は、一端側は第1実施形態と同様にガイドローラ52g、第2案内部材74、及び第1案内部材73にガイドされるとともに、他端側はガイドローラ54gにガイドされて可動パネル40RのY方向の端部に連結されている。
【0085】
そして、
図14(a)に示すように、索状部材71は、第1案内部材73と第2案内部材74との間で、一対の操作部位71a、71bが上下方向(Z方向)に沿うように張られた状態となっていて、この一対の操作部位71a、71bが朝顔装置20が配置された足場10の階よりも下段の階にいる作業員が操作可能に配置されている。
【0086】
そして、索状部材71の操作部位71aを作業員が下方向へ引っ張って牽引操作することにより、
図14(a)に示す第1禁止位置に位置する可動パネル40Rを、第1許容位置まで移動可能とされている。また、索状部材71の操作部位71bを作業員が下方向へ引っ張って牽引操作することにより、
図14(c)に示す第1許容位置に位置する可動パネル40Rを、第1禁止位置へ移動可能とされている。
【0087】
(第2実施形態の作用)
説明の便宜上、可動パネル40R、40Lは第1禁止位置及び第2禁止位置にそれぞれ位置している状態から説明する。
【0088】
図14(a)に示す状態で、索状部材71の操作部位71aを作業員が下方向へ引っ張って牽引操作すると第1禁止位置に位置する可動パネル40Rが反Y方向側へ移動する。また、
図14(b)に示すように、可動パネル40Rが第2禁止位置に位置する可動パネル40Lに重なり合った状態になるとともに可動パネル40Lの当接部材81、82に当接部材83、84がそれぞれ当接する。
【0089】
さらに、この状態で索状部材71の操作部位71aを作業員が下方向へ引っ張って当接部材82がストッパ86により停止するまで牽引操作すると、可動パネル40Lは可動パネル40Rに押圧されて、可動パネル40Rとともに反Y方向に移動されて第2許容位置まで移動する(
図14(c)参照)。このとき、可動パネル40Rも第1許容位置に移動する。
【0090】
可動パネル40R及び可動パネル40Lが第1許容位置及び第2許容位置までそれぞれ移動すると、空間領域S(
図13参照)は両可動パネルにて覆われていない開放状態となる。従って、この状態で、開放された空間領域Sに対して、物を上下方向へ通過させることができ、すなわち、建築資材、工具、足場の構成部材等の物の吊上げ、吊り降ろしの作業を円滑に行うことができる。
【0091】
一方、
図14(c)の状態、すなわち、可動パネル40R、40Lが第1許容位置及び第2許容位置に位置している状態で、索状部材71の操作部位71bを作業員が下方向へ引っ張って牽引操作すると第2禁止位置に位置する可動パネル40RがY方向側へ移動し、可動パネル40Lの当接部材81に当接部材84がそれぞれ当接する。
【0092】
さらに、この状態で索状部材71の操作部位71bを作業員が下方向へ引っ張って当接部材83がストッパ87により停止する第1禁止位置まで牽引操作すると、可動パネル40Lは可動パネル40Rに押圧されて、可動パネル40RとともにY方向に移動されて当接部材81がストッパ85に当接する第2禁止位置まで移動する(
図14(a)参照)。このように可動パネル40R、40Lが共に第1禁止位置及び第2禁止位置に位置すると、空間領域Sが閉鎖される。この結果、この状態では、落下防止パネル40R、40Lの上方から物が落下した場合、可動パネル40R、40Lがその物を受け止めて朝顔装置20の高さ位置から下方への物の落下を防止できる。
【0093】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・前記実施形態では、許容位置は、可動パネル40R、40Lがストッパ52e、54e、57e、59eに当接する位置としたが、必ずしもこの位置に限定するものではない。すなわち、ストッパの一部または全部を省略してもよい。また、ストッパは、可動パネル40R、40Lが相互に離間した場合の最大離間距離を規定するものとなるが、空間領域Sを通過させる物の大きさが小さい場合は、可動パネル40R、40Lを最大離間距離まで離間する必要がない。このため、ストッパの有無に関係なく、許容位置は、可動パネルが相互に開いて、空間領域Sを物が通過可能な位置である。
【0094】
・前記実施形態では、可動パネル40R、40Lを一対としたが、いずれか一方を省略してもよい。或いは、可動パネルを3つ以上設けてもよい。
・前記実施形態では、牽引機構70により、同時に可動パネル40R、40Lを牽引移動するようにした。これに代えて、可動パネル40Lと落下防止パネル40Rをそれぞれ独立して牽引する牽引機構をそれぞれ連結し、可動パネル40R、40Lを個別に禁止位置と許容位置との間を移動させてもよい。
【0095】
・前記実施形態では、可動パネル40R、40Lの大きさは、落下防止パネル30の大きさ(すなわち、平面視した場合の面積)と略同じ大きさとしている。しかし、可動パネル40R、40Lの大きさは、落下防止パネル30の大きさよりも大きくしたり、或いは、小さくしてもよい。
【0096】
・前記実施形態では、牽引機構70を設けたが、牽引機構70を省略してもよい。
・前記実施形態では、牽引機構70を手動により操作するようにしたが、索状部材71を、電動モータ等の駆動源に作動連結して、駆動源の正逆回転により可動パネル40R、40Lを許容位置及び禁止位置間を移動させてもよい。
【0097】
・前記実施形態では、一対の可動パネルは、隣接して設けられていたが、一対の可動パネルの配置は隣接配置に限定するものではなく、離間して配置されていてもよい。
・第2実施形態の構成中、ストッパ86、87を省略してもよい。或いは、ストッパ86、87を省略し、その代わりに可動パネル40Rの第1禁止位置と第1許容位置との間(すなわち、可動パネル40Lの第2禁止位置と第2許容位置との間)における索状部材71の操作を可能とし、両位置間を超える操作を不能とするストッパ機構を第2案内部材74等のガイドローラに組み込んでもよい。
【符号の説明】
【0098】
10…足場、12、12A、12B、12C、12D、12E…支柱、
20…朝顔装置、22、22B、22C、22D、22E…支持棒、
23…斜材、30…落下防止パネル、32…プレート、
40R…落下防止パネル(可動パネル、第1可動パネル)、
40L…落下防止パネル(可動パネル、第2可動パネル)、
41…パネル、42…枠体、42a…上枠材、42b…下枠材、
42c、42d…縦枠材、42e…中間枠材、42f…横枠材、
43a、43b…掛止輪、44、45、46…走行ローラ、
50…レール部、51…下レール部、
51L、51R…下レール部材(ガイド部材)、
52…本体部、52a…底壁、52b…側壁、
52c、52d…離脱防止壁、52e…ストッパ、52f…連結部材、
52g…ガイドローラ、
54…本体部、54a…底壁、54b…側壁、
54c、54d…離脱防止壁、54e…ストッパ、54f…連結部材、
54g…ガイドローラ、54i…ロープ通し、
56…上レール部、56L、56R…上レール部材(ガイド部材)、
57…本体部、57a…底壁、57b…側壁、
57c、57d…離脱防止壁、57e…ストッパ、57f…連結部材、
59…本体部、59a…底壁、59b…側壁、
59c、59d…離脱防止壁、59e…ストッパ、59f…連結部材、
60~67…クランプ、70…牽引機構、71、72…索状部材(索状部)、
71a、71b…操作部位、73…第1案内部材、74…第2案内部材、
75…クランプ、76…ブラケット、77…クランプ、78…ブラケット、
81~84…当接部材、S…空間領域。