(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】探査システム、磁気検出装置、および探査方法
(51)【国際特許分類】
G01V 3/08 20060101AFI20220119BHJP
G01R 33/035 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G01V3/08 C
G01R33/035
(21)【出願番号】P 2020562924
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2019045258
(87)【国際公開番号】W WO2020137264
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2018243465
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
(73)【特許権者】
【識別番号】520258389
【氏名又は名称】超電導センサテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000174910
【氏名又は名称】三井金属資源開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】千葉 洋
(72)【発明者】
【氏名】伴 英明
(72)【発明者】
【氏名】国司 洋介
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-079932(JP,A)
【文献】国際公開第2012/005017(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029893(WO,A1)
【文献】特開平07-110382(JP,A)
【文献】国際公開第2009/154096(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 3/08
G01R 33/02-33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象構造を電磁的に探査する探査システムであって、
前記対象構造に向けて磁場を発生する磁場発生装置と、
前記磁場発生装置が
磁場を発生した後に磁場を停止することにより発生した
2次磁場であって、前記対象構造から伝播した
2次磁場を検出する磁場検出装置と
を備え、
前記磁場検出装置は、前記磁場発生装置が磁場を発生するタイミングおよび磁場の発生を停止するタイミングに同期して、
前記対象構造の探査中において、
前記磁場発生装置が磁場の発生を停止している期間に当該磁場検出装置の外部への通信動作を停止させ、
前記磁場発生装置が磁場を発生している期間に、検出した磁場の情報を
当該磁場検出装置の外部に送信する通信部を有する、
探査システム。
【請求項2】
前記通信部は、前記磁場発生装置が磁場の発生を停止するタイミングよりも前のタイミングにおいて、検出した磁場の情報の送信を停止する、請求項1
に記載の探査システム。
【請求項3】
前記通信部は、前記磁場発生装置が磁場の発生を停止するタイミングから予め定められた時間が経過するまでは、検出した磁場の情報の送信を停止する、請求項1
または2に記載の探査システム。
【請求項4】
前記通信部は、前記磁場発生装置が磁場の発生を開始するタイミングの後に、検出した磁場の情報の送信を開始する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の探査システム。
【請求項5】
前記磁場発生装置は、予め定められた周期で磁場の発生と磁場の発生の停止とを繰り返し、
前記通信部は、予め定められた前記周期と同一の周期で、検出した磁場の情報の送信を繰り返す、請求項1から
4のいずれか一項に記載の探査システム。
【請求項6】
前記磁場発生装置は、
第1時刻情報を取得する第1取得部と、
電流を生成する電流生成部と、
前記電流生成部が生成した電流に基づき、磁場を発生する磁場発生部と、
前記電流生成部が生成した電流を前記磁場発生部に供給するか否かを切り換える切換部と、
前記第1取得部が取得した前記第1時刻情報に基づき、前記切換部の切り換えタイミングを制御する第1制御部と
を有し、
前記磁場検出装置は、前記第1時刻情報と同期した第2時刻情報を取得する第2取得部をさらに有し、
前記通信部は、前記第2時刻情報に基づくタイミングで、検出した磁場の情報を外部に送信する、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の探査システム。
【請求項7】
前記第1制御部は、
予め定められた時刻において、前記切換部が前記電流生成部から前記磁場発生部への電流の供給を停止するように制御する、請求項
6に記載の探査システム。
【請求項8】
前記切換部は、前記磁場発生部に供給する電流の向きを更に切り換え、
前記第1制御部は、前記切換部が、第1向きに電流が供給される第1期間、前記第1向きの電流供給が停止される第2期間、前記第1向きとは逆向きの第2向きに電流が供給される第3期間、および、前記第2向きの電流供給が停止される第4期間の4つの状態を一定の時間間隔で順次切り換えるように制御し、
前記通信部は、前記第1期間及び前記第3期間に含まれる期間において、検出した磁場の情報を外部に送信する、請求項
7に記載の探査システム。
【請求項9】
前記磁場検出装置は、前記対象構造の探査中に磁場の検出を継続して実行し、探査期間における連続した磁場の検出結果を解析することにより、長周期のノイズを更に検出する、請求項1から8のいずれか一項に記載の探査システム。
【請求項10】
対象構造を電磁的に探査する探査方法であって、
前記対象構造に向けて磁場発生装置が磁場を発生するステップと、
前記磁場発生装置
が磁場を発生した後に磁場を停止することにより発生した
2次磁場であって、前記対象構造により伝播した
2次磁場を検出するステップと、
前記磁場発生装置が磁場を発生するタイミングおよび磁場の発生を停止するタイミングと同期して、
前記対象構造の探査中において、
前記磁場発生装置が磁場の発生を停止している期間に外部への通信動作を停止させるステップと、
前記磁場発生装置が磁場を発生している期間に、検出した磁場の情報を外部に送信するステップと
を備える、
探査方法。
【請求項11】
時刻情報を取得する取得部と、
前記時刻情報に同期して対象構造に
磁場を供給
した後に磁場の供給を停止することにより発生した
2次磁場であって、前記対象構造から伝播した
2次磁場を検出する磁気センサ部と、
前記取得部が取得した前記時刻情報に同期して、
前記対象構造の探査中において、
磁場の発生を停止している期間に外部への通信動作を停止させ、
磁場を発生している期間に、前記磁気センサ部が検出した磁場の情報を外部に送信する通信部と
を有する磁気検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探査システム、磁気検出装置、および探査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地質調査、地下資源探査などの目的で、電磁的に地質の電気的物性を測定する電磁探査技術が知られている。このような電磁探査技術では、地表面から地下の探査対象に向けて、周期的に変化する1次磁場を発生させ、当該1次磁場によって発生する2次磁場を検出する方法が知られている(例えば、特許文献1および2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-79932号公報
【文献】特開2014-238275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような探査技術では、探査対象が地上から数百m以上離れてしまうと、探査対象から伝播する2次磁場が微弱になってしまうので、平均化処理等を行うことによって2次磁場を検出していた。この場合、探査時間が数時間程度に長くなってしまうことがあるので、2次磁場の検出状況および検出結果等をモニタしつつ、探査を継続していた。しかしながら、2次磁場の検出中に検出装置から検出結果を他の装置に送信すると、送信動作に起因するノイズが2次磁場を検出中のセンサ出力に重畳してしまい、検出精度が低下することがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、磁場の検出精度の低下を防止しつつ、対象構造の探査中に磁場の検出結果の少なくとも一部を外部に送信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、対象構造を電磁的に探査する探査システムであって、前記対象構造に向けて磁場を発生する磁場発生装置と、前記磁場発生装置が発生した磁場に基づき、前記対象構造から伝播された磁場を検出する磁場検出装置とを備え、前記磁場検出装置は、前記磁場発生装置が磁場を発生するタイミングおよび磁場の発生を停止するタイミングに同期して、検出した磁場の情報を外部に送信する通信部を有する、探査システムを提供する。
【0007】
前記通信部は、前記磁場発生装置が磁場を発生している期間に、検出した磁場の情報を外部に送信してもよい。前記通信部は、前記磁場発生装置が磁場の発生を停止するタイミングよりも前のタイミングにおいて、検出した磁場の情報の送信を停止してもよい。前記通信部は、前記磁場発生装置が磁場の発生を停止するタイミングから予め定められた時間が経過するまでは、検出した磁場の情報の送信を停止してもよい。
【0008】
前記通信部は、前記磁場発生装置が磁場の発生を開始するタイミングの後に、検出した磁場の情報の送信を開始してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、対象構造を電磁的に探査する探査方法であって、前記対象構造に向けて磁場発生装置が磁場を発生するステップと、発生された磁場に基づき、前記対象構造により伝播された磁場を検出するステップと、前記磁場発生装置が磁場を発生するタイミングおよび磁場の発生を停止するタイミングと同期して、検出した磁場の情報を外部に送信するステップとを備える、探査方法を提供する。
【0010】
本発明の第3の態様においては、時刻情報を取得する取得部と、前記時刻情報に同期して対象構造に供給された磁場に基づき、前記対象構造から伝播された磁場を検出する磁気センサ部と、前記取得部が取得した前記時刻情報に同期して、前記磁気センサ部が検出した磁場の情報を外部に送信する通信部とを有する磁気検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁場の検出精度の低下を防止しつつ、対象構造の探査中に磁場の検出結果の少なくとも一部を外部に送信できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る探査システム10の構成例を示す。
【
図2】本実施形態に係る磁場発生装置100の構成例を示す。
【
図3】本実施形態に係る切換部160の構成例を示す。
【
図4】本実施形態に係る第1制御部140が切換部160の状態を切り換える制御信号の一例を示す。
【
図5】本実施形態に係る磁場検出装置200の構成例を示す。
【
図6】本実施形態に係る磁場発生装置100および磁場検出装置200のタイミングチャートの一例を示す。
【
図7】本実施形態に係る第2制御部250の構成例を示す。
【
図8】本実施形態に係る磁場発生装置100および磁場検出装置200のタイミングチャートの変形例を示す。
【
図9】本実施形態に係る第2制御部250の第2例を示す。
【
図10】本実施形態に係る第2制御部250の第3例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<探査システム10の構成例>
電磁探査技術は、地質調査および地下資源の探査に実用化されている。電磁探査技術を用いる探査システムは、例えば、時間的に変化する1次磁場を発生させて、地表面から地下の探査すべき対象構造に向けて供給する。1次磁場が時間的に変動すると、当該変動を妨げる方向に誘導電流が発生する。このように発生した誘導電流は、伝播経路に存在する地質の比抵抗の大きさに応じて減衰する。そして、減衰に伴う誘電電流の時間的変化を妨げる方向に新たな誘導電流が発生する。
【0014】
このような過程で発生した誘導電流は、伝播経路の比抵抗に応じて減衰する。また、誘導電流は、時間の経過とともに、深部方向に向けて三次元的に拡散する。ここで、例えば、1次磁場を発生させるための一定電流を瞬間的に遮断した場合、深部方向に拡散する誘導電流の深度である拡散深度δは、電流を遮断してからの経過時間tを用いてδ=(2t/σμ)/2(σ:地下の導電率、μ:地下の透磁率)と表すことができる。したがって、探査システムは、1次磁場の減衰に伴って発生する2次磁場を時間の関数として検出することにより、地下地質の比抵抗分布を取得することができる。また、探査システムは、検出時間をより長くすることによって、より深部までの比抵抗分布を取得することができる。探査システムは、例えば、地下の探査すべき対象構造に至る比抵抗分布の断面図を算出することができる。
【0015】
従来、このような微小な2次磁場を検出する検出装置として、誘導コイル型磁力計、超電導量子干渉素子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device)等を用いることが知られている。特に、SQUIDは、より微小な磁場を検出できるので、地熱、石油、天然ガス探査等の地下深部や、遠方に存在する水中の金属構造物探知などの対象構造の比抵抗分布を取得することができる。そこで、本実施形態において、このようなSQUIDを検出装置に用いた例を説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る探査システム10の構成例を示す。探査システム10は、上記のように、対象構造12を電磁的に探査するシステムの一例である。対象構造12は、例えば、地下の探査すべき地層、鉱物、石油、地下水等を含む、または、含まれる可能性がある領域である。探査システム10は、磁場発生装置100と、磁場検出装置200と、モニタ装置300とを備える。
【0017】
磁場発生装置100は、対象構造12に向けて磁場を発生する。磁場発生装置100は、磁場の発生と、発生した磁場の停止とを制御可能であり、時間的に変動する磁場を発生する。磁場発生装置100は、外部から受け取るタイミング信号に基づき、磁場の発生のタイミング、および発生した磁場を停止するタイミングを調整する。
図1は、磁場発生装置100がGPS(Global Positioning System)等の衛星14から時刻信号を受信し、受信した時刻信号に基づいて、磁場を発生する例を示す。
【0018】
磁場検出装置200は、磁場発生装置100が発生した磁場に基づき、対象構造12から伝播された磁場を検出する。磁場検出装置200は、磁場発生装置100から、数十mないし数千m離れて配置され、対象構造12からの2次磁場の検出結果をモニタ装置300に送信する。磁場検出装置200は、外部から受け取るタイミング信号に基づき、対象構造12からの2次磁場を検出するタイミング、および検出結果を送信するタイミングを調整する。
図1は、磁場検出装置200がGPS等の衛星14から時刻信号を受信し、受信した時刻信号に基づいて、2次磁場を検出するとともに検出結果を送信することで、磁場発生装置100と磁場検出装置200が同期して動作する例を示す。なお、
図1では説明を簡便にするため、1台の磁場検出装置200が2次磁場を検出する例を表示したが、これに限定されることはなく、複数の磁場検出装置200が同期して2次磁場をそれぞれ検出してもよい。
【0019】
モニタ装置300は、磁場検出装置200と有線または無線で接続され、2次磁場の検出結果を受け取る。モニタ装置300は、磁場検出装置200から受け取った2次磁場の検出結果を記憶する。また、モニタ装置300は、2次磁場の検出結果を表示部等に表示する。これにより、モニタ装置300のオペレータ等は、磁場検出装置200の動作が正常であるか否かを確認できる。モニタ装置300は、2次磁場の検出結果を解析して、対象構造12の比抵抗分布等を算出してもよい。なお、磁場検出装置200がこのような解析を実行して、解析結果をモニタ装置300に送信してもよい。
【0020】
また、モニタ装置300は、磁場発生装置100と有線または無線で接続されていてもよい。この場合、モニタ装置300は、磁場発生装置100に対して動作の確認および動作の実行等を指示することができる。
図1は、磁場発生装置100、磁場検出装置200、およびモニタ装置300が、ネットワーク16を介して接続されている例を示す。ネットワーク16は、インターネットまたはローカルエリアネットワーク等である。また、モニタ装置300は、ネットワーク16を介して、2次磁場の検出結果等を他のサーバ等の装置等に通知してもよい。
【0021】
なお、
図1において、探査システム10が磁場発生装置100、磁場検出装置200、およびモニタ装置300を備える例を示したが、これに限定されることはない。探査システム10は、磁場発生装置100および磁場検出装置200を備える構成でもよい。この場合、探査システム10は、外部の装置等に2次磁場の検出結果または2次磁場の解析結果を送信してもよく、これに代えて、2次磁場の検出結果または2次磁場の解析結果を蓄積してもよい。
【0022】
以上のように、探査システム10は、対象構造12からの2次磁場を検出し、検出結果をモニタ装置300に送信して表示する。ここで、対象構造12が地上から数百m以上離れてしまうと、検出すべき2次磁場は、pT(ピコテスラ)程度の微弱な磁場になってしまう。そこで、磁場検出装置200においては、複数回の検出結果を平均化処理すること等により、検出結果に重畳するノイズを低減させていた。しかしながら、このような処理は、探査時間を長期化させてしまい、対象構造12の探査結果が終了するまでに数時間程度が経過してしまうことがあった。このように探査時間が長期化すると、探査システム10の動作状態を探査中に確認しないと、不具合が発生しても、判明するのは数時間後になってしまうことがある。
【0023】
そこで、対象構造12の探査中に、2次磁場の検出済みのデータを磁場検出装置200からモニタ装置300に送信して磁場の検出状況をモニタすることが考えられる。しかしながら、SQUID等を用いて微弱な磁場を検出する磁場検出装置200は、データの送信動作で発生する電波の影響を受けて検出精度が低下することがある。例えば、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信によるデータ送信中には、電磁波がノイズとなって磁場検出信号に重畳することがある。また、光ファイバ等によるデータ送信を用いても、光源の電気的なスイッチングによって発生する電磁ノイズが電源線を介して磁場検出信号に重畳することがある。
【0024】
そこで、本実施形態に係る探査システム10は、磁場の検出精度の低下を防止しつつ、対象構造12の探査中に磁場検出装置200が磁場の検出結果の少なくとも一部および/または、動作状況等をモニタ装置300に送信する。このような磁場発生装置100および磁場検出装置200について、次に説明する。
【0025】
<磁場発生装置100の構成例>
図2は、本実施形態に係る磁場発生装置100の構成例を示す。磁場発生装置100は、電流生成部110と、第1取得部120と、第1信号生成部130と、第1制御部140と、第1記憶部150と、切換部160と、磁場発生部170と、インターフェイス部180とを備える。
【0026】
電流生成部110は、直流の電流を生成する。電流生成部110は、例えば、数十アンペアから百アンペア以上の直流電流を生成する。電流生成部110は、発電機112および変換部114を有する。発電機112は、例えば、ディーゼル発動機等によって駆動される三相交流発電機である。変換部114は、発電機112が出力する交流電流を略一定の直流電流に変換する。変換部114は、例えば、マトリクスコンバータ、スイッチングレギュレータ等を含む。
【0027】
第1取得部120は、第1時刻情報を取得する。第1取得部120は、例えば、GPSといったGNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星14から第1時刻情報を取得する。第1取得部120は、例えば、アンテナを有し、外部からの時刻情報を有する信号を受信する。また、第1取得部120は、受信した信号からノイズ成分を除去するとともに、信号成分を増幅する受信回路を有してもよい。また、受信回路は、局部発振器、ミキサ等を用いて周波数変換する変換回路を含んでもよい。第1取得部120は、取得した第1時刻情報を第1信号生成部130に供給する。
【0028】
第1信号生成部130は、第1時刻情報に基づくタイミング信号を生成する。タイミング信号は、一例として、第1時刻情報に同期したクロック信号である。第1信号生成部130は、生成したタイミング信号を第1制御部140に供給する。
【0029】
第1制御部140は、タイミング信号に基づき、電流生成部110が発生させた電流を磁場発生部170に供給するか否かを切り換えるように制御する。第1制御部140は、タイミング信号に同期し、切換部160の切り換え動作を制御する制御信号を切換部160に供給する。即ち、第1制御部140は、第1取得部120が取得した第1時刻情報に基づき、切換部160の切り換えタイミングを制御する。
【0030】
また、第1制御部140は、電流生成部110が発生させた電流の流れる方向を切り換えるように制御してもよい。また、第1制御部140は、切換部160を初期化するように制御してもよい。また、第1制御部140は、切換部160の切り換え状況等を切り換えた時刻と対応付けて第1記憶部150に記憶してもよい。また、第1制御部140は、電流生成部110、第1取得部120、第1信号生成部130等と接続され、各部の動作の開始、停止、リセット等を実行するように制御してもよい。
【0031】
第1記憶部150は、切換部160の切り換え状況等を記憶する。また、第1記憶部150は、切換部160の切り換えパターン、初期値等を記憶してもよい。この場合、例えば、第1制御部140は、第1記憶部150に記憶された切換パターン等を読み出して、切換部160に供給する制御信号を生成する。また、第1記憶部150は、第1制御部140が制御した各部の動作状況等を記憶してもよい。また、第1記憶部150は、磁場発生装置100の動作の過程で生成する(または利用する)中間データ、算出結果、閾値、およびパラメータ等をそれぞれ格納してもよい。また、第1記憶部150は、探査システム10内の各部の要求に応じて、格納したデータを要求元に供給してもよい。
【0032】
切換部160は、第1制御部140から受け取った制御信号に応じて、電流生成部110が生成した電流を磁場発生部170に供給するか否かを切り換える。また、切換部160は、制御信号に応じて、磁場発生部170に供給する電流の向きを更に切り換えてもよい。切換部160による切り換え動作については、後述する。
【0033】
磁場発生部170は、電流生成部110が生成した電流に基づき、磁場を発生する。磁場発生部170は、例えば、ラインソース、ループコイル、インダクションコイル等を有し、電流生成部110から供給される電流に応じた磁場を発生する。
図2は、磁場発生部170がラインソースを有する例を示す。ラインソースは、ケーブル172、第1電極174、第2電極176、および給電端子178を含む。
【0034】
ケーブル172は、数百mから数kmの長さを有し、一方向に延伸して地上に配設されている。ケーブル172は、例えば、800mから2000m程度の長さを有する。ケーブル172の両端には、第1電極174および第2電極176が接続されている。また、ケーブル172は、例えば、略中間の位置で切断され、切断によって形成された2つの端部に給電端子178がそれぞれ設けられている。2つの給電端子178は、切換部160にそれぞれ接続されている。ケーブル172は、一例として、電流容量が150Aの撚線ケーブルである。
【0035】
第1電極174および第2電極176は、800mから2000m程度の距離を離間して地中に埋設されている。第1電極174および第2電極176は、より広い面積の電極板であることが好ましく、例えば、それぞれ複数の電極板を有している。第1電極174および第2電極176のそれぞれは、一例として、600×1800mmの亜鉛メッキ鋼板等のトタン板を10枚有する。この場合、第1電極174および第2電極176のそれぞれは、複数の電極板を略5mの間隔で、深さ2mの地中に地表と略平行に埋設されて構成されている。なお、埋設地点が淡水域の場合、複数の電極板は、硫酸アンモニウム肥料等を導電材として散布してから埋設されていることが望ましい。
【0036】
インターフェイス部180は、磁場発生装置100の外部と通信する。インターフェイス部180は、例えば、無線LAN、光ファイバ等でモニタ装置300と通信する。この場合、モニタ装置300は、磁場発生装置100の各部の動作状況を第1制御部140に問い合わせてよく、第1制御部140は、問い合わせに応じて、各部の動作状況の情報を送信する。また、モニタ装置300は、インターフェイス部180を介して、第1制御部140に各部の動作開始、動作停止、リセット等を指示してもよい。この場合、第1制御部140は、受け取った指示に応じて、各部を制御する。
【0037】
以上の本実施形態に係る磁場発生装置100は、一例として、地下2000m程度に存在する対象構造12に向けて1次磁場を供給することができる。このような磁場発生装置100の磁場の発生および発生の停止を切り換える切換部160について、次に説明する。
【0038】
<切換部160の構成例>
図3は、本実施形態に係る切換部160の構成例を示す。
図3は、切換部160が、電流生成部110が生成した電流を磁場発生部170に供給するか否か、即ち通電状態にするか遮断状態にするかを切り換える例を示す。また、切換部160は、当該電流を磁場発生部170に供給する場合に、電流の向きが順方向(第1方向)か逆方向(第2方向)かを、それぞれ切り換える。即ち、切換部160が切り換える状態は、第1方向通電、第2方向通電、遮断の3つの状態とする。
図3は、切換部160が第1方向通電の状態としている例を示す。
【0039】
図3は、切換部160がスイッチSW11、スイッチSW12、スイッチSW21、およびスイッチSW22の4つのスイッチを有する例を示す。スイッチSW11およびスイッチSW21は、例えば、2入力1出力または1入力2出力といったC接点スイッチである。
図3において、スイッチSW11およびスイッチSW21のそれぞれは、端子Aおよび端子Bのいずれかの一方の端子と、共通端子Cとの間を電気的に接続または切断する例を示す。
【0040】
また、スイッチSW12およびスイッチSW22は、例えば、1入力1出力といった、A接点スイッチまたはB接点スイッチである。各スイッチは、例えば、メカニカルリレー、フォトMOSFET、SiC MOSFET、およびIGBTのうち少なくとも一つを用いて構成される。
【0041】
図3において、切換部160の正側の入力端子をIn+、負側の入力端子をIn-とした。入力端子In+および入力端子In-は、電流生成部110に接続される。
図3において、電流生成部110から供給される電流の向きを矢印で示す。また、切換部160の正側の出力端子をOut+、負側の出力端子をOut-とした。出力端子Out+および出力端子Out-は、磁場発生部170の2つの給電端子178にそれぞれ接続される。なお、出力端子Out+から電流が出力し、出力端子Out-から電流が入力する電流の方向を第1方向とし、逆向きの方向を第2方向とする。
図3において、第1方向の電流の向きを矢印で示す。なお、出力端子Out+および出力端子Out-の間には、サージを吸収するためのバリスタまたはツェナーダイオード等が設けられてよい。
【0042】
第1制御部140は、このような切換部160の各スイッチに制御信号を供給して、第1方向通電、第2方向通電、および遮断の切換部160の3つの状態を切り換えるように制御する。例えば、第1制御部140は、スイッチSW12およびスイッチSW22をオフにする制御信号を供給して、切換部160を遮断状態にする。この場合、スイッチSW11およびスイッチSW21は、端子Aおよび端子Bのいずれに切り換えられてよく、初期状態の接続でもよい。
図3は、スイッチSW11およびスイッチSW21の初期状態において、端子Aおよび端子Cが接続されるようにスイッチSW11およびスイッチSW21が設定されている例を示す。
【0043】
また、第1制御部140は、スイッチSW12およびスイッチSW22をオンにする制御信号を供給して、切換部160を通電状態にする。ここで、第1制御部140は、スイッチSW11およびスイッチSW21を端子Aにそれぞれ接続する制御信号を供給して、切換部160を第1方向通電の状態にする(
図3)。これに代えて、第1制御部140は、スイッチSW11およびスイッチSW21を端子Bにそれぞれ接続する制御信号を供給して、切換部160を第2方向通電の状態にする。
【0044】
なお、第1制御部140は、スイッチSW12およびスイッチSW22をオンまたはオフにする場合、予め定められた時間差で当該2つのスイッチをオンに切り換えるように制御することが望ましい。一例として、第1制御部140は、スイッチSW22をオンにする略10m秒前に、スイッチSW12をオンにする。また、第1制御部140は、スイッチSW22をオフにしてから略10m秒後に、スイッチSW12をオフにする。これにより、電流を流し始める時刻がスイッチSW12をオンにする時刻となり、電流の流れを停止する時刻がスイッチSW22をオフにする時刻となり、各タイミングを明確に設定することができる。
【0045】
同様に、第1制御部140は、SW12をオフにしてから、スイッチSW11およびスイッチSW21の切り換え動作を制御することが望ましい。一例として、第1制御部140は、SW12をオフにしてから20m秒後に、スイッチSW11およびスイッチSW21を切り換える。以上のようにして、第1制御部140が切換部160の状態を切り換えるパターンの具体例を次に示す。
【0046】
<切換部160の切り換えパターンの一例>
図4は、本実施形態に係る第1制御部140が切換部160の状態を切り換える制御信号の一例を示す。
図4において、横方向は時間を示し、縦方向は電圧等の信号強度を示す。
図4の第1波形は、第1制御部140が切換部160を通電状態および遮断状態のいずれかに切り換える制御信号を示す。一例として、第1波形がハイ状態の間に切換部160が通電状態になり、第1波形がロー状態の間に切換部160が遮断状態になる。第1制御部140は、スイッチSW12およびスイッチSW22に、第1波形に対応する制御信号を供給する。
【0047】
また、
図4の第2波形は、第1制御部140が切換部160を第1方向通電状態、第2方向通電状態および遮断状態のいずれかに切り換える制御信号を示す。一例として、第2波形がハイ状態の間に切換部160が第1方向通電状態になり、第2波形がミドル状態の間に切換部160が遮断状態になり、第2波形がロー状態の間に切換部160が第2方向通電状態になる。第1制御部140は、スイッチSW11およびスイッチSW21に、第2波形に対応する制御信号を供給する。
【0048】
第1制御部140は、
図4に示す制御信号により、例えば、時刻t1までの期間において、切換部160を遮断状態とする。ここで、第1制御部140は、時刻t1までの期間を、待機状態または初期状態の第0期間P0とし、この間に切換部160のSW11とSW21を第1方向通電の状態に切り換えておく。次に、第1制御部140はSW12、SW22を操作し、時刻t1から時刻t2までの期間、切換部160から第1方向の電流を磁場発生部170に供給する。ここで、時刻t1から時刻t2までの期間を、第1期間P1とする。次に、第1制御部140は、SW12、SW22を操作し、時刻t2で切換部160を遮断状態にしたのち、時刻t2から時刻t3までの期間において、切換部160のSW11とSW21を第2方向通電の状態に切り換える。ここで、時刻t2から時刻t3までの期間を、第2期間P2とする。
【0049】
以下同様に、第1制御部140は、切換部160のSW12とSW22を操作し、時刻t3から時刻t4までの期間において、切換部160から第2方向の電流を磁場発生部170に供給する。ここで、時刻t3から時刻t4までの期間を、第3期間P3とする。次に、第1制御部140は、時刻t4から時刻t5までの期間において、切換部160を遮断の状態に切り換える。ここで、時刻t4から時刻t5までの期間を、第4期間P4とする。以上の操作を繰り返すことで、切換部160は期間P1、P3で極性が反転する矩形電流を、休止期間P2、P4を挟んで交互に磁場発生部170に供給し、これに応じて、磁場発生部170は期間P1、P3で極性が反転する静磁場を、休止期間P2、P4を挟んで交互に発生させる。
【0050】
なお、第1期間P1、第2期間P2、第3期間P3、および第4期間P4は、それぞれ、予め定められた時間間隔Tdcよりも大きい期間であることが望ましい。ここで、時間間隔Tdcは、例えば、1次磁場の発生および停止に基づいて生じる2次磁場が、地下を伝播して検出限界程度以下に十分に減衰し、次の2次磁場の検出に影響がなくなる程度の時間間隔である。
【0051】
時間間隔Tdcは、一例として、対象構造12が地下100m未満の場合、1秒から3秒程度である。また、例えば、対象構造12を地下2000mの石油貯留層とする水攻法での油水の接触界面の検知を目的とする場合、時間間隔Tdcは、10秒程度となる。第1期間P1、第2期間P2、第3期間P3、および第4期間P4は、略同一の時間間隔でよく、これに代えて、それぞれ異なる時間間隔であってもよい。
図4は、各期間が略同一の時間間隔Tmaである例を示す。
【0052】
また、第1制御部140は、第1期間P1から第4期間P4までの期間を1周期として、当該周期を予め定められた回数繰り返す。即ち、第1制御部140は、磁場発生部170に対して、第1方向に電流が供給される第1期間P1、第1方向の電流供給が停止される第2期間P2、第1方向とは逆向きの第2方向の電流が供給される第3期間P3、および、第2方向の電流供給が停止される第4期間P4の4つの切換部160の状態を、略一定の時間間隔で順次切り換えるように制御する。
【0053】
磁場発生部170において、例えば、一方向に電流が流れた場合、第1電極174および第2電極176には、流れる電流の極性に応じた分極が発生することがある。磁場発生部170が磁場を発生する毎に、同一の方向に電流が流れると、このような分極が蓄積してしまい、発生する磁場の大きさが不安定になることがある。
【0054】
そこで、本実施形態に係る磁場発生装置100は、
図4の第2波形で示すように、一定のインターバルで極性が切り換わる電流を磁場発生部170に供給する。これにより、磁場発生部170における分極の発生を低減できる。また、例えば、略一定の磁場のオフセット誤差が生じている場合でも、磁場の発生方向を逆転させるので、両方向の磁場に対する検出結果を平均化することで、当該オフセット誤差をキャンセルして低減させることができる。なお、SW12およびSW22を省略しても電流の供給は可能である。本実施形態の磁場発生装置100の形態では、磁場発生部170に電流が供給されないP2およびP4の期間、SW12およびSW22を用いて、ラインソースの第1電極174および第2電極176の間を磁場発生部170の経由で遮断する。これにより、通電期間中の分極で発生した電荷が、磁場発生部170のラインソース経由で逆流することで、意図しない磁場が発生することを防止することができる。また、このような遮断状態において、磁場発生部170が電流生成部110と絶縁されるため、非通電期間中の感電等を防止することが可能となる。
【0055】
以上の本実施形態に係る磁場発生装置100は、第1時刻情報に同期しつつ、予め定められた周期で磁場の発生と磁場の発生の停止とを繰り返す。このような磁場発生装置100が発生する1次磁場に基づいて対象構造12から伝播される2次磁場を、磁場検出装置200が検出する。このような磁場検出装置200について、次に説明する。
【0056】
<磁場検出装置200の構成例>
図5は、本実施形態に係る磁場検出装置200の構成例を示す。磁場検出装置200は、磁気センサ部210と、変換回路部220と、第2取得部230と、第2信号生成部240と、第2制御部250と、第2記憶部260と、通信部270とを備える。
【0057】
磁気センサ部210は、対象構造12から伝播された磁場を検出する。磁気センサ部210は、磁場発生装置100が発生した1次磁場に基づいて対象構造12から伝播された2次磁場を検出する。磁気センサ部210は、例えば、SQUIDを有し、入力する磁束に応じた電圧値を検出信号として出力する。この場合、磁気センサ部210は、SQUIDを収容する冷却容器と、温度センサとを更に有する。冷却容器は、例えば、デュワー瓶であり、SQUIDおよび温度センサを収容して、液体窒素等の冷却材が充填される。温度センサは、一例として、白金抵抗センサである。なお、磁気センサ部210は、複数のSQUIDを有してもよい。
【0058】
変換回路部220は、磁気センサ部210の検出信号をデジタル信号に変換する。変換回路部220は、例えば、FLL(Flux Locked Loop)回路と、A/Dコンバータを有する。FLL回路は、SQUIDに入力する磁束とSQUIDの出力とを一意に対応付けた電圧信号に変換して出力する。A/Dコンバータは、FLL回路から出力される電圧信号をデジタル信号に変換する。FLL回路およびA/Dコンバータについては、既知であり、ここでは詳細な説明を省略する。また、変換回路部220は、温度センサの検出信号をデジタル信号に変換してもよい。変換回路部220は、変換したデジタル信号を第2制御部250に供給する。
【0059】
第2取得部230は、磁場発生装置100の第1取得部120が取得した第1時刻情報と同期した第2時刻情報を取得する。第2取得部230は、第1取得部120が取得した第1時刻情報の取得元から第2時刻情報を取得することが望ましい。第2取得部230は、例えば、GPS等の衛星14から第2時刻情報を取得して、磁場検出装置200内部のタイミングを制御するために利用する。これにより、磁場発生装置100および磁場検出装置200の内部は、同期したタイミングで動作できる。第2取得部230は、例えば、アンテナおよび受信回路を有し、外部からの時刻情報を有する信号を受信する。第2取得部230は、取得した第2時刻情報を第2信号生成部240に供給する。
【0060】
第2信号生成部240は、第2時刻情報に基づくタイミング信号を生成する。タイミング信号は、一例として、第2時刻情報に同期したクロック信号である。第2信号生成部240は、生成したタイミング信号を第2制御部250に供給する。
【0061】
第2制御部250は、変換回路部220から受け取ったデジタル信号を第2記憶部260に記憶する。第2制御部250は、例えば、クロック信号で駆動されるタイマ回路を有し、当該タイマ回路によって生成される時刻情報に対応付けて、当該デジタル信号を第2記憶部260に記憶する。また、第2制御部250は、時刻情報に基づき、変換回路部220から受け取ったデジタル信号を通信部270に供給して、当該デジタル信号を外部に送信させる。第2制御部250は、例えば、磁場発生装置100における予め定められた動作タイミングを基準とし、当該基準タイミングに基づいたタイミングで、当該デジタル信号を外部に送信させる。
【0062】
第2記憶部260は、磁気センサ部210が検出した磁場の情報を、時刻情報に対応付けて記憶する。第2記憶部260は、温度センサが検出した温度の情報を更に記憶してもよい。第2記憶部260は、磁場検出装置200の動作の過程で生成する(または利用する)中間データ、算出結果、閾値、およびパラメータ等をそれぞれ格納してもよい。また、第2記憶部260は、探査システム10内の各部の要求に応じて、格納したデータを要求元に供給してもよい。
【0063】
通信部270は、磁場検出装置200の外部と通信する。通信部270は、例えば、無線LAN、光ファイバ等でモニタ装置300と通信する。通信部270は、第2時刻情報に基づくタイミングで、検出した磁場の情報を外部に送信する。これにより、通信部270は、磁場発生装置100が磁場を発生するタイミングおよび磁場の発生を停止するタイミングに同期して、検出した磁場の情報を外部に送信する。通信部270は、第2制御部250から受け取った制御信号に応じて、当該磁場の情報を送信する。また、通信部270は、当該制御信号に応じて、当該磁場の情報の送信を停止する。通信部270の送信動作等については、後述する。
【0064】
また、通信部270は、外部からの要求に応じて、検出した磁場の情報および各部の動作状況等を送信してもよい。この場合、モニタ装置300は、磁場の情報および磁場検出装置200の各部の動作状況等を、通信部270を介して第2制御部250に問い合わせてよい。第2制御部250は、問い合わせに応じて、要求された情報を送信する。また、モニタ装置300は、通信部270を介して、第2制御部250に各部の動作開始、動作停止、リセット等を指示してもよい。この場合、第2制御部250は、受け取った指示に応じて、各部を制御する。このように、通信部270は、外部とのインターフェイスとして機能してもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る探査システム10は、磁場発生装置100の1次磁場の発生動作のタイミングと、磁場検出装置200の2次磁場の検出結果を送信するタイミングとを、時刻情報に基づいて同期させる。このような磁場発生装置100および磁場検出装置200のタイミング動作について、次に説明する。
【0066】
<タイミングチャートの第1例>
図6は、本実施形態に係る磁場発生装置100および磁場検出装置200のタイミングチャートの一例を示す。
図6の横軸は時間を示し、縦軸は信号の振幅強度を示す。第1波形および第2波形は、磁場発生装置100において、第1制御部140が切換部160に供給する制御信号の一例を示す。第1波形および第2波形は、
図4で説明した第1波形および第2波形の一例と略同一の信号波形なので、ここでは説明を省略する。
【0067】
第3波形は、磁場検出装置200において、第2制御部250が通信部270に供給する制御信号の一例を示す。
図6において、第3波形がハイ状態となる期間は、通信部270に2次磁場の検出結果を送信させる期間とする。また、信号S3がロー状態となる期間は、通信部270の2次磁場の検出結果の送信を停止させる期間とする。
【0068】
ここで、対象構造12から伝播する2次磁場は、1次磁場の時間的な変動に応じて発生する。したがって、磁場発生装置100の対象構造12に対する1次磁場の供給を遮断したことに応じて、当該2次磁場が発生する。例えば、
図6において、対象構造12の探査に用いられる2次磁場は、第1期間P1から第2期間P2に切り換わってから磁場検出装置200に向けて伝播することになる。同様に、2次磁場は、第3期間P3から第4期間P4に切り換わってから磁場検出装置200に向けて伝播することになる。
【0069】
したがって、磁場検出装置200は、第2期間P2および第4期間P4において、伝播された2次磁場を検出する。そこで、磁場検出装置200は、第2期間P2および第4期間P4といった、少なくとも2次磁場が伝播している期間において、磁場の検出動作とは独立に動作し、かつ、ノイズを発生し得る動作の少なくとも一部を停止する。これにより、磁場検出装置200内部で発生するノイズが、2次磁場の検出結果に与える影響を低減できる。
【0070】
第2制御部250は、例えば、磁場発生装置100が磁場の発生を停止している期間において、通信部270から外部への通信動作を停止させる。この場合、第2制御部250は、第2期間P2および第4期間P4において、ロー状態となる第3波形を通信部270に供給する。また、例えば、第2制御部250は、第1期間P1および第3期間P3において、ハイ状態となる第3波形を通信部270に供給する。
【0071】
このように、通信部270は、磁場発生装置100が磁場を発生している期間に、検出した磁場の情報を外部に送信する。また、通信部270は、磁場発生装置100が磁場の発生を停止する基準タイミングから予め定められた時間が経過するまでは、検出した磁場の情報の送信を停止する。
図6は、磁場発生装置100が次に1次磁場を発生するまで、即ち、基準タイミングから時間間隔Tma(>Tdc)が経過するまで、通信部270の通信動作を停止する例を示す。
【0072】
以上のように、通信部270は、探査システム10の対象構造12の探査中において、磁気センサ部210が2次磁場を検出する期間の通信動作を停止させる。したがって、本実施形態の探査システム10は、通信部270の通信動作による磁場の検出精度の低下を防止しつつ、対象構造12の探査中に磁場の検出結果の少なくとも一部を外部に送信できる。また、通信部270の通信動作による磁場の検出精度の低下を防止できるので、当該通信部270を変換回路部220の近傍に設けて、磁場検出装置200全体の大きさをコンパクトにすることができる。
【0073】
また、探査システム10は、磁場発生装置100が1次磁場の発生を停止している期間において発生する2次磁場を検出する。したがって、例えば、変換部114が交流電流から直流電流に変換する動作によって発生するリップル等、磁場発生装置100が1次磁場を発生することに伴って生じさせてしまうノイズ成分を、磁気センサ部210の検出結果に重畳することを防止できる。
【0074】
なお、
図6に示すように、第1期間P1、第2期間P2、第3期間P3、および第4期間P4を略同一の時間間隔Tmaとし、時間間隔Tmaを商用交流電源周波数の周期の整数倍とすることが望ましい。これにより、第2期間P2および第4期間P4の2次磁場の検出結果間での差を算出することにより、商用電源周波数に基づくノイズ成分をキャンセルして低減させることができる。
【0075】
また、第2制御部250は、磁場発生装置100が磁場の発生を停止する基準タイミングよりも前のタイミングで、通信部270から外部への通信動作を停止させることが望ましい。即ち、通信部270は、磁場発生装置100が磁場の発生を停止するタイミングよりも前のタイミングにおいて、検出した磁場の情報の送信を停止する。
図6は、通信部270が基準タイミングよりも予め定められた時間Tprだけ前の時刻において、通信動作を停止する例を示す。
【0076】
ここで、時間Tprは、通信部270のデータ送信に伴うノイズの発生が収束し、磁気センサ部210の検出結果への影響が低減できる程度の時間である。時間Tprは、例えば、0.02秒から3秒程度であり、好ましくは、0.06秒から1秒程度であり、より好ましくは、0.1秒から1秒程度である。通信部270がデータ送信を継続する時間間隔は、Tma-Tprとなり、当該時間間隔Tma-Tprは、時間間隔Tdcよりも長い間隔であることが望ましい。これにより、時間間隔Tma-Tprにおいて、遮断状態から通電状態への遷移に伴って発生する2次磁場を検出限界程度以下に十分に減衰させて、次に発生する2次磁場の検出への影響を低減させることができる。
【0077】
また、時間Tprは、商用電源周波数の周期の整数倍であることが望ましい。この場合においても、第2期間P2を含む期間および第4期間P4を含む期間の2次磁場の検出結果の差分を算出することで、商用電源周波数に基づくノイズ成分をキャンセルして低減できる。
【0078】
なお、
図6において、通信部270は、磁場発生装置100が磁場の発生を開始するタイミングと略同一のタイミングで、検出した磁場の情報の送信を開始する例を示すが、これに限定されることはない。これに代えて、通信部270は、磁場発生装置100が磁場の発生を開始するタイミングの後に、検出した磁場の情報の送信を開始してもよい。このように、通信部270は、第1期間P1および第3期間P3に含まれる期間において、検出した磁場の情報を外部に送信することで、1次磁場の発生に伴って発生するノイズ成分の影響を低減できる。
【0079】
以上の磁場検出装置200において、磁気センサ部210は、対象構造12の探査中に2次磁場の検出を継続して実行してもよい。この場合、磁場検出装置200は、探査期間における連続した2次磁場の検出結果を第2記憶部260に記憶する。この場合、記憶された検出結果には、通信部270の通信機関にはノイズが重畳することになるが、探査期間中の長周期のノイズも重畳されることがある。当該長周期のノイズは、例えば、地磁気変動、鉄道電流に起因する磁場の変動、スリップ等の磁場測定におけるエラー現象等である。
【0080】
例えば、磁場検出装置200またはモニタ装置300は、探査期間における連続した2次磁場の検出結果を解析することにより、このような長周期のノイズを検出できる。したがって、磁場検出装置200またはモニタ装置300は、通信部270が送信した検出結果から長周期のデータを除去することができ、より精度の高い検出結果を取得することができる。また、第2期間P2および第4期間P4といった、1次磁場の遮断期間においては、高周波ノイズのレベルが低いので、磁気センサ部210は、スリップ現象の発生を抑制することができ、より精度の高い検出結果が得られる。
【0081】
以上の説明では、磁場発生装置100および磁場検出装置200が時刻情報を用いることで同期し、1次磁場の発生と1次磁場に基づく2次磁場の検出と検出結果の送信とを実行する探査システム10の例を説明した。これに加えて、探査システム10は、予め定められた時刻に、予め定められた動作を実行してもよい。例えば、第1制御部140は、毎正時において、切換部160が電流生成部110から磁場発生部170への電流の供給を停止するように制御する。このように、探査システム10が、電流の供給を制御するタイミングを毎正時とすることで、簡便にタイミング設計等を実行できる。
【0082】
また、この場合、第1期間P1から第4期間P4までの検出の周期4・Tmaを、例えば、秒の単位において、3600の約数となるように設定することが好ましい。これにより、基準タイミング等が秒単位で自然数となり、磁場発生装置100および磁場検出装置200の内部の時間計算において、剰余時間の処理を低減させることができる。一例として、P1=P2=P3=P4=Tma=10秒、Tpr=0.1秒等に設定することが考えられる。通信部270の通信動作が
図6に示すようなタイミングとなるように制御する第2制御部250のより具体的な構成について、次に説明する。
【0083】
<第2制御部250の第1例>
図7は、本実施形態に係る第2制御部250の構成例を示す。第2制御部250は、第1タイマ410と、第2タイマ420と、第3タイマ430と、第4タイマ440と、CPU450と、バス460とを有する。第1タイマ410から第4タイマ440は、予め定められた時間が経過したことを通知する信号を出力する。第1タイマ410から第4タイマ440、およびCPU450は、バス460を介して互いに通信する。また、第2制御部250は、バス460を介して、変換回路部220、第2記憶部260、および通信部270と通信してもよい。
【0084】
第1タイマ410は、第2信号生成部240が出力するタイミング信号に同期した第1タイマ信号を、変換回路部220に供給する。第1タイマ信号は、例えば、変換回路部220のA/Dコンバータ等を駆動する。なお、第2制御部250は、当該第1タイマ信号で駆動されるDMAコントローラ等を更に有し、A/Dコンバータからデータを読み出して第2記憶部260等に転送してよい。
【0085】
第2タイマ420は、磁場検出装置200が発生した1次磁場を停止する基準タイミング、即ち、第1期間P1から第2期間P2への遷移、および、第3期間P3から第4期間P4への遷移のタイミングに同期した第2タイマ信号を生成する。第2タイマ420は、例えば、第2信号生成部240が出力する毎正時のタイミング信号と、予め設定された第1期間P1から第4期間P4までの検出周期4・Tmaとに基づき、第2タイマ信号を生成する。第2タイマ420は、生成した第2タイマ信号を、タイマスタート信号として第3タイマ430および第4タイマ440に供給する。
【0086】
第3タイマ430は、第2タイマ信号を受け取ったタイミングよりも時刻が2Tma-Tprだけ後のタイミングに同期した第3タイマ信号を生成する。第3タイマ430は、生成した第3タイマ信号を、データ送信終了を通知する信号として通信部270に供給する。
【0087】
第4タイマ440は、第2タイマ信号を受け取ったタイミングよりも時刻がTmaだけ後のタイミングに同期した第4タイマ信号を生成する。第4タイマ440は、生成した第4タイマ信号を、データ送信開始を通知する信号として通信部270に供給する。
【0088】
以上のように、第3タイマ430および第4タイマ440は、第2タイマ420からの基準タイミングを受け取る毎に、データ送信開始およびデータ送信終了を通知する信号を通信部270に供給する。これにより、通信部270は、
図6に示すようなタイミングチャートと略同一のタイミングで、検出した磁場の情報を外部に送信することができる。ここで、第3タイマ430および第4タイマ440は、第2タイマ420の基準タイミングに基づいて駆動されるので、第2タイマ420の精度よりも低い精度のタイマでもよい。
【0089】
例えば、第3タイマ430および第4タイマ440は、システムクロックで駆動され、OS上で動作するアプリケーションソフトウェアとして実装されるタイマでもよい。また、第1タイマ410および第2タイマ420は、高精度クロック回路等で構成されてもよい。なお、
図6に示す磁場発生装置100および磁場検出装置200のタイミングチャートは、一例であり、これに限定されることはない。そこで、
図6とは異なるタイミングチャートについて、次に説明する。
【0090】
<タイミングチャートの第2例>
図8は、本実施形態に係る磁場発生装置100および磁場検出装置200のタイミングチャートの変形例を示す。
図8の横軸は時間を示し、縦軸は信号の振幅強度を示す。第1波形および第2波形は、磁場発生装置100において、第1制御部140が切換部160に供給する制御信号の一例を示す。第1波形および第2波形は、
図4で説明した第1波形および第2波形の一例と略同一の信号波形なので、ここでは説明を省略する。
【0091】
第4波形は、磁場検出装置200において、第2制御部250が通信部270に供給する制御信号の一例を示す。
図8において、第1波形がハイ状態となる期間は、通信部270に2次磁場の検出結果を送信させる期間とする。また、第3波形がロー状態となる期間は、通信部270の2次磁場の検出結果の送信を停止させる期間とする。
【0092】
第4波形は、第1波形の立ち上がりタイミングおよび立ち下りタイミングが予め定められた時間Tprだけ早くなるように、第1波形の信号位相をシフトした信号である。即ち、通信部270は、磁場発生装置100が予め定められた周期で1次磁場の発生と1次磁場の発生の停止とを繰り返す場合に、当該周期と同一の周期で、検出した磁場の情報の送信を繰り返す。
図8に示す変形例のタイミングチャートは、
図6に示すタイミングチャートと比較して、通信部270の通信開始のタイミングがTprだけ早くなる。したがって、通信部270がデータ送信を継続する時間間隔がTma-2Tprとなるので、当該時間間隔Tma-2Tprは、時間間隔Tdcよりも長い間隔であることが望ましい。
【0093】
一例として、P1=P2=P3=P4=Tma=15秒、Tpr=0.1秒等に設定することが考えられる。
図7に示す第2制御部250は、通信部270の通信動作を
図8に示すようなタイミングとなるように制御することもできるが、これに限定されることはない。第2制御部250のより簡易な構成について、次に説明する。
【0094】
<第2制御部250の第2例>
図9は、本実施形態に係る第2制御部250の第2例を示す。
図9に示す第2例の第2制御部250において、
図7に示された第2制御部250の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2例の第2制御部250は、第3タイマ430および第4タイマ440を省略した構成である。
【0095】
第2タイマ420は、磁場検出装置200が発生した1次磁場を停止する基準タイミングよりもTprだけ前のタイミングに同期した第2タイマ信号を生成する。第2タイマ420は、第2信号生成部240が出力する毎正時のタイミング信号と、予め設定された第1期間P1から第4期間P4までの検出周期4・Tmaとに基づき、このような第2タイマ信号を生成できる。そして、第2タイマ420は、生成した第2タイマ信号を、データ送信開始およびデータ送信終了を通知する信号として通信部270に供給する。これにより、通信部270は、
図8に示すようなタイミングチャートと略同一のタイミングで、検出した磁場の情報を外部に送信することができる。
【0096】
以上の本実施形態に係る第2制御部250は、タイマを用いて通信部270の通信開始および通信終了を指示するタイミング信号を生成する例を説明したが、これに限定されることはない。第2制御部250は、カウンタ等を用いて、このようなタイミング信号を生成してもよい。このような第2制御部250について、次に説明する。
【0097】
<第2制御部250の第3例>
図10は、本実施形態に係る第2制御部250の第3例を示す。
図10に示す第3例の第2制御部250において、
図7に示された第2制御部250の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第3例の第2制御部250は、第2タイマ420から第4タイマ440の3つのタイマの代わりに、カウンタ470を有する。
【0098】
カウンタ470は、第2信号生成部240からのタイミング信号をカウントして、基準タイミングからの経過時間を取得する。カウンタ470は、例えば、正時から1秒経過するタイミング毎にカウントして、秒単位の経過時間telpを取得する。ここで、telpは、0から3599までの整数でよい。
【0099】
例えば、
図6に示すタイミングチャートでは、正時を基準タイミングとすると、通信部270は、当該正時から(2k-1)・Tmaが経過したタイミングで送信を開始し、2・(2k-1)・Tma-Tprが経過したタイミングで送信を終了している。ここで、kは1以上の自然数である。即ち、第2制御部250は、カウンタ470のカウントが、(2k-1)・Tmaから2・(2k-1)・Tma-Tprの間の期間に相当した場合に、通信部270のデータ送信期間とするように制御する。
【0100】
例えば、カウンタ470は、通信部270のデータの送信と停止の周期である2・Tmaで経過時間telpを除し、剰余telp(mod2・Tma)がTmaとなった場合に、通信部270に通信開始を通知するタイミング信号を供給する。また、カウンタ470は、当該剰余telp(mod2・Tma)が2・Tma-Tprとなった場合に、通信部270に通信終了を通知するタイミング信号を供給する。これにより、通信部270は、
図6に示すタイミングチャートの通信部270と同様に動作する。以上のように、第2制御部250は、カウンタ等を用いて、通信部270の通信開始および通信終了を指示するタイミング信号を生成してもよい。
【0101】
以上の本実施形態に係る探査システム10によれば、探査すべき対象構造12が地上から数百m以上離間した地下に存在し、数時間程度の探査時間がかかる場合であっても、当該探査システム10の探査状況等を検出精度の低下を防止しつつモニタできる。なお、本実施形態において、通信部270の通信開始および通信終了を制御して、磁気センサ部210の検出結果に重畳するノイズを低減させる例を説明したが、これに限定されることはない。
【0102】
例えば、探査システム10内部において、充電電池を用いる場合、当該充電電池に充電する充電用電源がスイッチングノイズ等を発生することがある。この場合においても、充電用電源の動作を、磁場発生装置100が磁場を発生するタイミングおよび磁場の発生を停止するタイミングと同期するように制御してもよい。これにより、対象構造12の探査中に充電池に充電しても、磁気センサ部210の検出結果に重畳するノイズを低減できる。
【0103】
同様に、探査システム10が磁気センサ部210の冷却に用いる冷媒を生産する冷凍機のモータを備える場合でも、当該冷凍機のモータの動作を、磁場発生装置100が磁場を発生するタイミングおよび磁場の発生を停止するタイミングと同期するように制御してもよい。これにより、対象構造12の探査中に冷凍機を動作させても、磁気センサ部210の検出結果に重畳するノイズを低減できる。
【0104】
以上の本実施形態に係る探査システム10の少なくとも一部は、一例として、コンピュータ等である。コンピュータは、例えば、プログラム等を実行することにより、本実施形態に係る第1制御部140、第1記憶部150、インターフェイス部180、第2制御部250、第2記憶部260、通信部270、およびモニタ装置300のうちの少なくとも一部として機能する。
【0105】
コンピュータは、CPU等のプロセッサを備え、第1記憶部150および/または第2記憶部260に記憶されたプログラムを実行することによって、第1制御部140、第1記憶部150、インターフェイス部180、第2制御部250、第2記憶部260、および通信部270の少なくとも一部として機能する。コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。
【0106】
本発明によれば、Wi-Fi等の既存規格の無線LANを高感度の磁場センサを使用した測定に適用することが可能であり、資源探査など屋外で、磁場センサ装置の移動と設置を繰り返しながら、磁場の測定を行う場合、磁場センサの近傍に無線LAN装置を設置することが可能となるため、測定の作業効率が向上する。以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0107】
10 探査システム
12 対象構造
14 衛星
16 ネットワーク
100 磁場発生装置
110 電流生成部
112 発電機
114 変換部
120 第1取得部
130 第1信号生成部
140 第1制御部
150 第1記憶部
160 切換部
170 磁場発生部
172 ケーブル
174 第1電極
176 第2電極
178 給電端子
180 インターフェイス部
200 磁場検出装置
210 磁気センサ部
220 変換回路部
230 第2取得部
240 第2信号生成部
250 第2制御部
260 第2記憶部
270 通信部
300 モニタ装置
410 第1タイマ
420 第2タイマ
430 第3タイマ
440 第4タイマ
450 CPU
460 バス
470 カウンタ