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<図1>
  • 特許-混合度判定方法および混合度判定装置 図1
  • 特許-混合度判定方法および混合度判定装置 図2
  • 特許-混合度判定方法および混合度判定装置 図3
  • 特許-混合度判定方法および混合度判定装置 図4
  • 特許-混合度判定方法および混合度判定装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】混合度判定方法および混合度判定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20220119BHJP
   B29B 7/80 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G01N21/27 A
B29B7/80
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017187366
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019060805
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】張 春暁
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真一
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-019813(JP,A)
【文献】特開2004-045110(JP,A)
【文献】特開2009-229431(JP,A)
【文献】特開2007-139561(JP,A)
【文献】特開平06-194307(JP,A)
【文献】特開2004-325358(JP,A)
【文献】特開平07-286961(JP,A)
【文献】中国特許第101957313(CN,B)
【文献】特開2015-075420(JP,A)
【文献】特開平06-300682(JP,A)
【文献】特開2015-014462(JP,A)
【文献】特開平10-015496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
B29B 7/80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形品の製造に用いられ、互いに色の異なる複数種類の粉粒体から構成される混合材料における、局所的な均一性である混合度を判定する混合度判定方法であって、
a)前記混合材料を、内部を撮影可能な観測窓を少なくとも一部に有する搬送部を介して後続の装置である樹脂成形機へ供給する工程と、
b)前記工程a)の途中で、前記搬送部の内部を、固定された光軸に対して垂直な方向に通過する前記混合材料を、前記光軸の方向から所定の時間間隔で前記観測窓を介して撮影することにより、1または複数の撮影画像を取得する工程と、
c)前記複数種類の粉粒体から少なくとも1種類の粉粒体を選定し、前記選定された粉粒体の色を有する画素数の合計値を算出する工程と、
d)前記1または複数の撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する、前記工程c)の算出結果が占める割合を、実測面積比率として算出する工程と、
e)前記工程d)において算出された前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定し、または前記工程d)における前記実測面積比率の算出結果に基づいて前記粉粒体の混合度を判定する工程と、
を有する、混合度判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の混合度判定方法であって、
前記工程e)において、前記実測面積比率を前記選定された粉粒体の混合度を示す数値として判定する、混合度判定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の混合度判定方法であって、
前記工程e)よりも前に、前記1または複数の撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する、前記選定された粉粒体の色を有する画素数の合計値が占める割合を予測した結果を予測面積比率として記録し、
前記工程e)において、前記予測面積比率と前記実測面積比率とを比較した結果に基づいて、前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定する、混合度判定方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の混合度判定方法であって、
前記工程e)において、前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定し、前記所定の範囲内でないと判定した場合に、さらに
f)前記実測面積比率の値の異常を示す異常判定情報を出力する工程
を実行する、混合度判定方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の混合度判定方法であって、
前記撮影画像の面積は、平面上に100粒以上の前記粉粒体を隣接して並べた場合の、前記粉粒体が占める平面積を有する、混合度判定方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の混合度判定方法であって、
前記工程b)において、複数の前記撮影画像を取得し、
前記工程c)において、前記撮影画像毎に前記選定された粉粒体の色を有する画素数の合計値を算出し、
前記工程d)において、前記撮影画像毎に前記撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する、前記工程c)の算出結果が占める割合を算出し、さらに算出した前記割合の前記複数の撮影画像に渡る平均値を前記実測面積比率として算出する、混合度判定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の混合度判定方法であって、さらに
g)前記工程d)において算出された、固定された前記光軸の方向から所定の時間間隔で撮影することにより取得した前記複数の撮影画像における、前記撮影画像毎の前記撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する前記工程c)の算出結果が占める割合の、前記複数の撮影画像に渡る変化量を算出する工程
を有し、
前記工程g)において算出した変化量が所定の範囲内でないと判定した場合に、さらに
h)前記実測面積比率の変化量の異常を示す異常判定情報を出力する工程
を実行する、混合度判定方法。
【請求項8】
樹脂成形品の製造に用いられ、互いに色の異なる複数種類の粉粒体から構成される混合材料における、局所的な均一性である混合度を判定する混合度判定装置であって、
前記混合材料を、内部を撮影可能な観測窓を少なくとも一部に有する搬送部を介して後続の装置である樹脂成形機へ供給する供給部と
記搬送部の内部を、固定された光軸に対して垂直な方向に通過する前記混合材料を、前記光軸の方向から所定の時間間隔で前記観測窓を介して撮影することにより、1または複数の撮影画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部によって取得された前記1または複数の撮影画像を解析する画像解析部と、
を有し、
前記画像解析部は、
前記複数種類の粉粒体から予め選定された特定の種類の前記粉粒体の色を有する画素数の合計値を第1合計値として算出し、
前記1または複数の撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値である第2合計値に対する、前記第1合計値が占める割合を、実測面積比率として算出し、
前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定し、または前記実測面積比率の算出結果に基づいて前記粉粒体の混合度を判定する、混合度判定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の混合度判定装置であって、
前記観測窓は、前記搬送部の少なくとも一部に設けられた前記搬送部の内部と外部とを連通する貫通孔に嵌合された、または前記貫通孔を覆う、透明または半透明の板である、混合度判定装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の混合度判定装置であって、
前記画像取得部は、レンズおよび撮像素子を有するカメラであって、
前記観測窓は、前記画像取得部の光軸に対して垂直かつ平面状に拡がる、混合度判定装置。
【請求項11】
請求項8または請求項9に記載の混合度判定装置であって、
前記画像取得部は、レンズおよび撮像素子を有するカメラであって、
前記観測窓は、前記画像取得部の光軸に垂直な面に対して曲面状に拡がる、混合度判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の粉体または粒体からなる材料(以下「粉粒体」と称する)から構成される混合材料の混合度を判定する混合度判定方法および混合度判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、樹脂成形品を製造する前段階では、樹脂ペレット、マスターバッチ、粉砕材、および添加剤等の複数種類の粉粒体を混合する処理が施されることがある。従来の混合処理については、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1の装置では、複数の粉粒体原料がそれぞれ計量され、所定の配合比率で配合される。
【0003】
複数種類の粉粒体の混合処理において、全体として所定の比率で混合した場合でも、混合材料における局所的な均一性(以下「混合度」と称する)に偏りが生じる場合がある。例えば、樹脂成形品を製造する前段階の混合処理において、無色の樹脂ペレットに着色料としてのマスターバッチを所定の比率で混合した場合でも、マスターバッチの混合度に局所的な偏りが生じ、後工程の樹脂成形時に色ムラが生じる虞がある。そこで、後工程にある樹脂成形機に混合材料を投入する前に、混合材料における粉粒体の局所的な混合度の偏りを察知し、対処することによって、後工程の樹脂成形時に不具合が生じることを抑制することが求められている。粉体の混合状態の測定装置については、例えば、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-075420号公報
【文献】特開平6-300682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の測定装置は、カラービデオカメラで粉体を写して取得した画像の各ドットにおけるRGBの色信号を数字に変換し、ドット毎に測定された数字を比較することによって、粉体の混合度を測定する。しかし、樹脂成形品の製造に用いられる樹脂ペレット、マスターバッチ、粉砕材、および添加剤等の粉粒体は、それぞれ一定以上の粒径を有し、またこれらの粉粒体の種類間の粒径の差が大きいため、混合材料の画像が複雑になる。このため、ドット毎の分析から混合度を判定することは難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、それぞれ一定以上の粒径を有し、種類間の粒径の差が大きい複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度および混合度の異常を判定できる方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、樹脂成形品の製造に用いられ、互いに色の異なる複数種類の粉粒体から構成される混合材料における、局所的な均一性である混合度を判定する混合度判定方法であって、a)前記混合材料を、内部を撮影可能な観測窓を少なくとも一部に有する搬送部を介して後続の装置である樹脂成形機へ供給する工程と、b)前記工程a)の途中で、前記搬送部の内部を、固定された光軸に対して垂直な方向に通過する前記混合材料を、前記光軸の方向から所定の時間間隔で前記観測窓を介して撮影することにより、1または複数の撮影画像を取得する工程と、c)前記複数種類の粉粒体から少なくとも1種類の粉粒体を選定し、前記選定された粉粒体の色を有する画素数の合計値を算出する工程と、d)前記1または複数の撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する、前記工程c)の算出結果が占める割合を、実測面積比率として算出する工程と、e)前記工程d)において算出された前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定し、または前記工程d)における前記実測面積比率の算出結果に基づいて前記粉粒体の混合度を判定する工程と、を有する。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の混合度判定方法であって、前記工程e)において、前記実測面積比率を前記選定された粉粒体の混合度を示す数値として判定する。
【0009】
本願の第3発明は、第1発明の混合度判定方法であって、前記工程e)よりも前に、前記1または複数の撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する、前記選定された粉粒体の色を有する画素数の合計値が占める割合を予測した結果を予測面積比率として記録し、前記工程e)において、前記予測面積比率と前記実測面積比率とを比較した結果に基づいて、前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定する。
【0010】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明の混合度判定方法であって、前記工程e)において、前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定し、前記所定の範囲内でないと判定した場合に、さらにf)前記実測面積比率の値の異常を示す異常判定情報を出力する工程を実行する。
【0011】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の混合度判定方法であって、前記撮影画像の面積は、平面上に100粒以上の前記粉粒体を隣接して並べた場合の、前記粉粒体が占める平面積を有する。
【0012】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の混合度判定方法であって、前記工程b)において、複数の前記撮影画像を取得し、前記工程c)において、前記撮影画像毎に前記選定された粉粒体の色を有する画素数の合計値を算出し、前記工程d)において、前記撮影画像毎に前記撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する、前記工程c)の算出結果が占める割合を算出し、さらに算出した前記割合の前記複数の撮影画像に渡る平均値を前記実測面積比率として算出する。
【0013】
本願の第7発明は、第6発明の混合度判定方法であって、さらにg)前記工程d)において算出された、固定された前記光軸の方向から所定の時間間隔で撮影することにより取得した前記複数の撮影画像における、前記撮影画像毎の前記撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値に対する前記工程c)の算出結果が占める割合の、前記複数の撮影画像に渡る変化量を算出する工程を有し、前記工程g)において算出した変化量が所定の範囲内でないと判定した場合に、さらにh)前記実測面積比率の変化量の異常を示す異常判定情報を出力する工程を実行する。
【0014】
本願の第8発明は、樹脂成形品の製造に用いられ、互いに色の異なる複数種類の粉粒体から構成される混合材料における、局所的な均一性である混合度を判定する混合度判定装置であって、前記混合材料を、内部を撮影可能な観測窓を少なくとも一部に有する搬送部を介して後続の装置である樹脂成形機へ供給する供給部と、前記搬送部の内部を、固定された光軸に対して垂直な方向に通過する前記混合材料を、前記光軸の方向から所定の時間間隔で前記観測窓を介して撮影することにより、1または複数の撮影画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された前記1または複数の撮影画像を解析する画像解析部と、を有し、前記画像解析部は、前記複数種類の粉粒体から予め選定された特定の種類の前記粉粒体の色を有する画素数の合計値を第1合計値として算出し、前記1または複数の撮影画像の全体に含まれる画素数の合計値である第2合計値に対する、前記第1合計値が占める割合を、実測面積比率として算出し、前記実測面積比率が所定の範囲内かどうか判定し、または前記実測面積比率の算出結果に基づいて前記粉粒体の混合度を判定する。
【0015】
本願の第9発明は、第8発明の混合度判定装置であって、前記観測窓は、前記搬送部の少なくとも一部に設けられた前記搬送部の内部と外部とを連通する貫通孔に嵌合された、または前記貫通孔を覆う、透明または半透明の板である。
【0016】
本願の第10発明は、第8発明または第9発明の混合度判定装置であって、前記画像取得部は、レンズおよび撮像素子を有するカメラであって、前記観測窓は、前記画像取得部の光軸に対して垂直かつ平面状に拡がる。
【0017】
本願の第11発明は、第8発明または第9発明の混合度判定装置であって、前記画像取得部は、レンズおよび撮像素子を有するカメラであって、前記観測窓は、前記画像取得部の光軸に垂直な面に対して曲面状に拡がる。
【発明の効果】
【0018】
本願の第1発明~第11発明によれば、後続の装置へ供給される複数種類の粉粒体の混合度を判定し、または混合度が所定の範囲内かどうかをインラインかつリアルタイムで判定することができる。これにより、後続の装置(射出成形機等)における不具合を抑制することができる。
【0019】
特に、本願の第4発明によれば、混合度の値の異常を直ぐに認識することができる。
【0020】
特に、本願の第6発明によれば、混合度および混合度の異常の判定結果のぶれを抑制することができる。
【0021】
特に、本願の第7発明によれば、混合度の変化の異常を直ぐに認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度を判定する様子を模式的に示す断面図である。
図2】複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度を判定する様子を模式的に示す断面図である。
図3】撮影画像を解析する様子を模式的に示す概要図である。
図4図4は、粉粒体の投入比率と予測面積比率との関係を示すグラフである。
図5図5は、複数種類の粉粒体から構成される混合材料の混合度および混合度の異常を判定する工程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<1.本発明の好適な実施形態>
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、複数種類の粉粒体から構成される混合材料50の混合度を判定する様子を模式的に示す断面図である。図2は、図1とは異なる方向から見た、複数種類の粉粒体から構成される混合材料50の混合度を判定する様子を模式的に示す断面図である。図1および図2に示す混合度判定装置1は、複数種類の粉粒体が混合された混合材料50における、少なくとも2種類の粉粒体の混合度および混合度の異常を判定する装置である。混合度判定装置1は、供給部2、搬送部3、画像取得部4、および画像解析部5を有する。供給部2、搬送部3、画像取得部4、および画像解析部5は、共通のフレームに対して固定されている。
【0024】
供給部2は、混合材料50を内部に貯留するとともに、下部の開閉構造(図示省略)によって、混合材料50を下方へ排出する装置である。供給部2は、貯留槽20と排出部21とを有する。貯留槽20は、混合材料50を内部に貯留する容器である。貯留槽20の下部は、下方へ向かうにつれて徐々に収束する漏斗状の形状を有する。貯留槽20は、例えば、SUS(ステンレス)等の金属により形成される。排出部21については、詳細を後述する。
【0025】
貯留槽20の中には、2種類の粉粒体である第1粉粒体51および第2粉粒体52が混合された混合材料50が貯留されている。第1粉粒体51は、樹脂成形品の主な原料である無色透明の樹脂ペレットである。第2粉粒体52は、樹脂成形品を着色する着色料として用いられるマスターバッチである。第1粉粒体51および第2粉粒体52は、互いに色および粒径が異なる。なお、第2粉粒体52は、樹脂成形品を製造する前段階で投入される粉砕材または添加剤等の粉粒体であってもよい。また、混合材料50は、3種類以上の粉粒体から構成されていてもよい。以下では、例として、2種類の粉粒体のうち、マスターバッチである第2粉粒体52を予め選定し、混合材料50における第2粉粒体52の混合度および混合度の異常を判定することとする。
【0026】
なお、第1粉粒体51および第2粉粒体52は、混合度判定装置1の外部の供給源(図示省略)において、それぞれ予め所定の重量または体積量に計量され、所定の重量比率または体積比率で混合され、混合材料50として準備される。以下、混合材料50における予め選定された第2粉粒体52の重量比率または体積比率を「投入比率R」と呼ぶこととする。供給源で準備された混合材料50は、例えば、作業者の手作業により、貯留槽20の内部へ投入される。ただし、供給源と貯留槽20とを機械的に接続し、輸送することにより、貯留槽20の内部へ混合材料50を投入してもよい。また、貯留槽20の内部において、予め所定の重量または体積量に計量された第1粉粒体51および第2粉粒体52を、所定の重量比率または体積比率で混合することによって、混合材料50を準備してもよい。
【0027】
排出部21は、貯留槽20の下端部に設けられた開口および開口の開閉を行う排出弁(図示省略)から構成される。排出弁は、手動または自動制御によって駆動する。開口の下方には、後述する搬送部3が連続して設けられている。開口が開かれた際、貯留槽20の内部に貯留された混合材料50は、搬送部3の内部を介して後続の装置である樹脂成形機6へ供給される。
【0028】
搬送部3は、上下方向に延びる中空の部材である。上述の開口が開いている場合において、搬送部3の内部空間は、貯留槽20の内部空間と連通する。また、搬送部3の内部空間は、樹脂成形機6の内部空間と連通する。図1および図2に示すとおり、搬送部3の上部は、上向きに漸次小径となる。搬送部3の下部は、下向きに漸次小径となる。さらに、搬送部3の中央部は、断面が矩形である直方体型の立体形状を有する。搬送部3の中央部の外周面は、互いに対向する1対の第1面31と、互いに対向する1対の第2面32とによって構成される。第1面31の面積は、第2面32の面積よりも大きい。ただし、搬送部3の形状は、これに限定されない。例えば、搬送部3の断面の形状は、一部が円形であってもよい。
【0029】
1対の第1面31のうちの一方において、第1面31に対して垂直な方向に搬送部3を貫通する貫通孔30が設けられている。貫通孔30は、搬送部3の内部空間と外部空間とを連通する。貫通孔30には、無色透明の樹脂製の板が嵌合される。これにより、観測窓35が形成される。この結果、搬送部3の内部を通過する混合材料50を、観測窓35を介して外部から視認し、および撮影することができる。なお、観測窓35は、貫通孔30が無色透明の板で覆われることにより形成されてもよい。また、観測窓35に用いられる板は半透明であってもよい。また、観測窓35に用いられる板は、樹脂製以外の部材(例えばガラス製の部材)であってもよい。さらに、観測窓35は、第1面31の少なくとも一部に設けられればよく、位置、大きさ、および数は限定されない。
【0030】
なお、観測窓35は、後述する画像取得部4の光軸40に対して垂直かつ平面状に拡がる。これにより、後述のとおり、搬送部3の内部を通過する混合材料50の画像を平面的に撮影することができる。この結果、画像解析時の誤差を抑制することができる。ただし、観測窓35は、画像取得部4の光軸40に垂直な面に対して曲面状に拡がってもよい。
【0031】
画像取得部4は、搬送部3の内部を通過する混合材料50を、観測窓35を介して外部から撮影する装置である。画像取得部4は、レンズおよび撮像素子を有するカメラである。画像取得部4は、フレーム74を介して搬送部3に固定されている。画像取得部4の光軸40は、画像取得部4が搬送部3に固定された状態で、観測窓35に対して垂直に交わる。フレーム74は、底部741と遮光部742とを有する。底部741には、画像取得部4が固定される。遮光部742は、底部741から光軸40方向に延び、観測窓35の周縁部において搬送部3に接続される。また、遮光部742は、黒色の紙、または黒色の樹脂等により形成され、画像取得部4のレンズの周囲を覆う。これにより、画像取得部4への外部からの光の進入が遮断される。ただし、遮光部742は、外部からの光の進入を遮断できるものであればよく、色は黒色には限定されない。
【0032】
画像取得部4は、搬送部3の内部を通過する混合材料50を所定の時間間隔で撮影し、複数枚の撮影画像53を取得する。なお、撮影する時間間隔は、例えば、0.1秒毎、または5分毎等として、予め設定され、画像取得部4に記憶される。また、撮影画像53の取得枚数は、例えば、3枚、または1000枚等として、予め設定され、画像取得部4に記憶される。ただし、撮影画像の取得枚数は、1枚のみであってもよい。
【0033】
画像解析部5は、画像取得部4によって取得された複数枚の撮影画像53を解析する装置である。画像解析部5は、例えば、プログラムに従って動作可能なコンピュータにより構成される。画像解析部5には、解析対象として予め選定された第2粉粒体52の色(本実施形態では黒色)のデータが予め記憶されている。図3は、取得された撮影画像53を解析する様子を模式的に示す概要図である。図3に示すとおり、画像解析部5は、まず、取得された複数枚の撮影画像53に含まれる複数の画素54の輝度値をそれぞれ算出して互いに比較することにより、各画素54の色を割り出す。そして、画像解析部5は、各画素54の色を割り出した結果に基づき、複数の撮影画像53の全体における、第2粉粒体52の色(黒色)を有する画素数の合計値を第1合計値D1として算出する。次に、画像解析部5は、複数の撮影画像53の全体に含まれる画素数の合計値を第2合計値D2として算出する。そして、画像解析部5は、第2合計値D2の算出結果に対する、第1合計値D1の算出結果が占める割合を、実測面積比率Cとして算出する。なお、第2合計値D2について、画像解析部5により算出される前から既知である場合は、予め画像解析部5に記憶されてもよい。
【0034】
さらに、画像解析部5は、実測面積比率Cの算出結果に基づいて、第2粉粒体52の混合度を示す数値を判定し、または出力する。この時、画像解析部5は、実測面積比率Cの算出結果自体を第2粉粒体52の混合度を示す数値として判定し、または出力してもよい。
【0035】
ここで、上述の混合材料50に対する第2粉粒体52の投入量の割合を示す「投入比率R」と、混合材料50の撮影画像53における第2粉粒体52の色(黒色)が占める「面積比率」との関係について、説明する。図4は、粉粒体の投入比率Rと撮影画像における面積比率との関係を示すグラフである。図4に示すとおり、複数種類の粉粒体が所定の重量比率または体積比率で混合された混合材料50において、各種の粉粒体がそれぞれ均一に分布している場合、うち特定の種類の粉粒体の投入比率Rと、混合材料50の撮影画像53における当該特定の種類の粉粒体の色が占める面積比率との関係は、一次式で近似される。図4の例では、混合材料50における第2粉粒体52の投入比率が8%の場合、混合材料50を撮影した撮影画像53の全体の画素数に対する、第2粉粒体52の色(黒色)を有する画素数の比率は、約9%となる。
【0036】
図4に示すグラフは、例えば、実際に製品を製造する際の粉粒体の混合度および混合度の異常を判定する前段階において、複数回の実測値に基づいて作成される。そして、解析対象である特定の種類の粉粒体の投入比率Rと、図4に示す近似式(一次式)に基づき、撮影画像53における特定の種類の粉粒体の面積比率が予測され、「予測面積比率P」として算出される。例えば、第2粉粒体52の投入比率Rが8%である場合、予測面積比率Pは9%であるとして算出される。さらに、算出した予測面積比率Pに相当する予測撮影画像53Pが、過去の実測時に得られたデータをもとにサンプル画像として用意される。
【0037】
図3に戻る。画像解析部5は、さらに、算出した実測面積比率Cを、予め算出した予測面積比率Pと比較した結果に基づいて、実測面積比率Cが所定の範囲内かどうか判定する。例えば、第2粉粒体52の投入比率Rが8%である混合材料50の撮影画像53における第2粉粒体52の実測面積比率Cが10%である場合、予測面積比率9%に比べて1割を超えるずれが生じている。仮に、「予測面積比率Pに対する実測面積比率Cのずれが1割以下である場合、所定の範囲内であると判定する」と予め設定されている場合、実測面積比率Cが10%である本例では、所定の範囲を超えるずれが生じていると判定される。
【0038】
なお、予測面積比率Pに対する実測面積比率Cのずれが所定の範囲内かどうか判定する際には、作業者が、撮影画像53と予測撮影画像53Pとを目視で比較することにより、行ってもよい。撮影画像53と予測撮影画像53Pとの間に大きな違いが生じている場合には、一目で異常を発見することができる。
【0039】
さらに、画像解析部5は、実測面積比率Cの算出結果が所定の範囲内でないと判定した場合に、実測面積比率Cの値の異常を示す異常判定情報を出力する。これにより、作業者が、粉粒体の混合度の異常を直ぐに認識することができる。
【0040】
上述のとおり、混合度判定装置1は、混合材料50における、特定の種類の粉粒体の混合度および混合度の異常をインラインかつリアルタイムで判定する。また、異常が判定された場合に、異常判定情報を出力する。これにより、後工程にある装置に混合材料50を投入する前に、混合材料50における粉粒体の局所的な混合度の偏りを察知し、対処することができる。この結果、後工程で不具合が発生することを抑制できる。また、撮影画像53の全体に含まれる画素数の合計値(第2合計値D2)に対する、特定の種類の粉粒体の色を有する画素数の合計値(第1合計値D1)の比率に基づき、特定の種類の粉粒体の混合度および混合度の異常を判定する。これにより、混合材料50が、それぞれ一定以上の粒径を有し種類間の粒径の差が大きい複数種類の粉粒体から構成されことによって、撮影画像が複雑になる場合でも、混合度および混合度の異常を判定できる。
【0041】
図5は、複数種類の粉粒体から構成される混合材料50の混合度および混合度の異常を判定する工程を示したフローチャートである。上述のとおり、および図5に示すとおり、本実施形態の混合度判定方法では、まず、混合材料50の撮影の時間間隔、撮影画像53の取得枚数、および撮影範囲(面積)等の諸条件の設定を行う(ステップS1)。次に、観測窓35を介して搬送部3の内部を通過する混合材料50を撮影することにより、1または複数の撮影画像53を取得する(ステップS2)。その際、撮影画像53として、予め設定された枚数分が得られるまで、撮影を繰り返す(ステップS3)。さらに、撮影画像53の全体に含まれる画素数の合計値(第2合計値D2)に対する、特定の種類の粉粒体の色を有する画素数の合計値(第1合計値D1)の比率を、実測面積比率Cとして算出する(ステップS4)。そして、実測面積比率Cの算出結果が所定の範囲内かどうか判定し(ステップS5)、所定の範囲内でないと判定された場合は、異常を示す異常判定情報を出力する(ステップS6)。ただし、実測面積比率Cの算出結果自体を、特定の種類の粉粒体の混合度を示す数値として判定し、または出力してもよい。
【0042】
なお、ステップS1において設定される、撮影画像53の1枚あたりの面積は、平面上に100粒以上の粉粒体を隣接して並べた場合の、粉粒体が占める平面積を有することが望ましい。樹脂成形に用いられる混合材料50の多くは、主原料の樹脂ペレットに対して、1%以上の重量または体積量を有するマスターバッチ等の粉粒体が混合されることによって形成されている。撮影画像53が1枚あたり100粒分以上の粉粒体の面積を有することによって、1枚の撮影画像53の中に少なくとも1つの、他とは異なる種類の粉粒体が含まれる可能性が高くなる。これにより、より精度良く実測面積比率Cを算出することができる。
【0043】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0044】
上述の実施形態では、画像解析部5は、複数の撮影画像53の全体における、予め選定された第2粉粒体52の色(黒色)を有する画素数の合計値(第1合計値D1)を算出した。そして、画像解析部5は、複数の撮影画像53の全体に含まれる画素数の合計値(第2合計値D2)に対する、第1合計値の算出結果が占める割合を、実測面積比率Cとして算出した。しかし、画像解析部5は、撮影画像53毎に、予め選定された第2粉粒体52の色(黒色)を有する画素数の合計値(第1合計値D1b)を算出してもよい。そして、画像解析部5は、撮影画像53毎に、撮影画像53の全体に含まれる画素数の合計値(第2合計値D2b)に対する、第1合計値D1bの算出結果が占める割合を、撮影画像53毎の実測面積比率Cbとして算出してもよい。さらに、画像解析部5は、算出した撮影画像53毎の実測面積比率Cbの、複数の撮影画像53に渡る平均値を、平均実測面積比率Caとして算出してもよい。これにより、混合材料50の混合度および混合度の異常の判定結果のぶれを抑制することができる。
【0045】
また、画像解析部5は、撮影画像53毎の実測面積比率Cbの、複数の撮影画像53に渡る変化量を算出してもよい。さらに、算出された実測面積比率Cbの変化量が所定の範囲内でないと判定した場合に、実測面積比率Cbの変化量の異常を示す異常判定情報を出力してもよい。これにより、粉粒体の混合度の変化の異常を直ぐに認識することができる。例えば、粉粒体の混合度の偏りが変化した状況を直ぐに把握することができ、原因の究明に役立てることができる。
【0046】
また、混合度および混合度の異常を判定する対象として、2種類以上の粉粒体が予め選定されてもよい。
【0047】
また、混合度判定装置の細部の構成については、本願の各図に示された構成と、相違していてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 混合度判定装置
2 供給部
3 搬送部
4 画像取得部
5 画像解析部
6 樹脂成形機
20 貯留槽
21 排出部
30 貫通孔
31 第1面
32 第2面
35 観測窓
40 光軸
50 混合材料
51 第1粉粒体
52 第2粉粒体
53 撮影画像
53P 予測撮影画像
54 画素
74 フレーム
741 底部
742 遮光部
C 実測面積比率
Ca 平均実測面積比率
Cb 撮影画像毎の実測面積比率
D1,D1b 第1合計値
D2,D2b 第2合計値
P 予測面積比率
R 投入比率
図1
図2
図3
図4
図5