(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A63F5/04 605C
A63F5/04 699
(21)【出願番号】P 2017196038
(22)【出願日】2017-10-06
【審査請求日】2020-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 恭佑
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-161351(JP,A)
【文献】特開2001-346951(JP,A)
【文献】特開2006-130213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回動部材を備えた遊技機において、
前記回動部材は、所定の支持部材により支持された回動軸を中心に回動可能であり、
前記回動軸には、当該回動軸を前記支持部材から取り外すことを困難にする
爪部を有し、かつ、所定領域を覆うことが可能な
結合部材が取付けられ
、
所定の検出手段をアクセス困難に覆うカバー部材が、所定の固定手段により固定され、
前記結合部材は、
前記回動軸に取付けられた状態において、前記固定手段にアクセスするための領域をアクセス困難に覆う
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記結合部材は、前記回動軸に取付けられた状態において、前記回動軸の端部からはみ出た部分を有し、
前記はみ出た部分の所定位置において、溝状に厚みを細くした薄肉溝部を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記支持部材は、前記回動軸の端部の外周を覆う外周部材を一体に備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
所定の検出手段を覆うカバー部材を備え、
前記結合部材は、前記回動軸に取付けられた状態において、前記回動軸に通じる開放部を有し、
前記カバー部材は、前記結合部材が前記回動軸に取付けられた状態において、前記開放部を遮蔽する遮蔽部を有する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
投入された遊技媒体が流路を通過する際の前記回動部材の変位に基づいて前記遊技媒体を検出する検出手段を備え、
前記回動部材は、
前記流路を通過する前記遊技媒体が当接する当接部と、
遊技媒体の前記当接部への当接に伴う当該回動部材の回動に応じて変位し、前記検出手段によって当該変位が検出される被検出部と、
を備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記回動部材は、
前記遊技媒体が前記当接部に当接していない非当接状態において、外部からの衝撃を受けて前記回動部材が回動し、前記被検出部が前記変位することを抑制する抑制手段を備え、
前記抑制手段は、前記回動部材の前記非当接状態における慣性モーメント増大のために所定位置に重りの付加された重み付加部を含んで構成される
ことを特徴とする請求項
5に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体を用いて遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置された遊技機として、例えば、スロットマシンがある。
スロットマシンは、通常、投入されたメダルが所定の規格に適合するか否かの選別を行うためのメダルセレクタを備えている。
この種のメダルセレクタには、メダルの通過を、回動部材の変位によって検出可能な検知手段を設けているものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような回動部材を備える従来の遊技機は改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、所定の回動部材を備えた遊技機において、前記回動部材は、所定の支持部材により支持された回動軸を中心に回動可能であり、前記回動軸には、当該回動軸を前記支持部材から取り外すことを困難にする爪部を有し、かつ、所定領域を覆うことが可能な結合部材が取付けられ、所定の検出手段をアクセス困難に覆うカバー部材が、所定の固定手段により固定され、前記結合部材は、前記回動軸に取付けられた状態において、前記固定手段にアクセスするための領域をアクセス困難に覆う構成としてある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】メダルセレクタの外観を示す図であり、(a)はカバー部材を閉じたときの全体斜視図、(b)はカバー部材を開放したときの全体斜視図、(c)は背面図である。
【
図5】カバー部材を外したメダルセレクタ本体の斜視図であり、(a)は左斜めから見た斜視図、(b)は右斜めから見た斜視図である。
【
図6】ブロッカーが変位する様子を示すメダルセレクタ本体の正面図であり、(a)はブロッカーがメダルの通過を禁止する禁止形態に変位したときの図、(b)はブロッカーがメダルの通過を許容する許容形態に変位したときの図、(c)は段差の拡大図である。
【
図7】ストッパーが変位する様子を示す斜視図であり、(a)はメダルの通過を許容する許容形態に変位したときの図、(b)はメダルの通過を阻止する阻止形態に変位したときの図である。
【
図8】ストッパーが変位する様子を示す図であり、(a)は許容形態を示すストッパーの左側面図、(b)は阻止形態を示すストッパーの左側面図、(c)は(a)のA-A断面図、(d)は(b)のA-A断面図である。
【
図9】ストッパーがメダルを挟んだときの左側面図であり、(a)改良後のストッパーの図、(b)は改良前のストッパーの図である。
【
図10】レバースイッチが変位する様子を示す斜視図であり、(a)はメダル未通過時の形態を示す図、(b)はメダル通過時の形態を示す図、(c)はメダルの通過によって押し下げられたときの図である。
【
図11】レバースイッチの外観を示す斜視図であり、(a)は改良後の図、(b)は改良前の図である。
【
図12】レバースイッチと検出手段との位置関係を示す図であり、(a)は検出手段が被検出部の変位を検出していない状態を示す図、(b)は検出手段が被検出部の変位を検出した状態を示す図である。
【
図13】レバースイッチと規制部との位置関係を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【
図14】レバースイッチが変位する様子を示す図であり、(a)はメダル通過前の図、(b)はメダル通過中の図である。
【
図15】
結合部材としてのかしめ部材を備えるメダルセレクタの背面図である。
【
図18】かしめ部材の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)は(c)のA-A断面図であり、(g)は斜視図である。
【
図19】回動軸の図であり、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は(a)のB-B断面図であり、(e)は斜視図である。
【
図20】回動軸とかしめ部材の結合態様を示す図であり、(a)は結合前の図、(b)は結合後の図である。
【
図21】回動軸とかしめ部材による結合構造の説明図であり、(a)は結合前、(b)は結合中、(c)は結合後の状態を示す図である。
【
図22】
図17に示すメダルセレクタにおいてレバースイッチを配置した状態を示す図である。
【
図23】
図22に示すメダルセレクタにおいてカバーを取り付けた状態を示す図である。
【
図24】
図23に示すメダルセレクタにおいてかしめ部材を配置するとともに、回動軸を挿入する状態を示す図である。
【
図25】かしめ部材及び関連部材の取付けが完了した状態における所定断面(
図18のA-Aを含む断面)の模式図である。
【
図26】
図15に示すメダルセレクタを左下方向から見た斜視図である。
【
図27】
図15に示すメダルセレクタを右下方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
【0008】
遊技機には、スロットマシン、パチンコ機など様々な種類があるが、本発明をスロットマシンに適用した場合について、
図1~
図14を参照しながら説明する。
【0009】
[スロットマシン本体]
図1~3に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、回動可能に軸支された複数のリール41a,41b,41cが内蔵され、正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成され、内部には、マイクロコンピュータ等で構成された主制御部7、主制御部7からの指令により、表示器9a,スピーカ9b,ランプ9cなどの報知手段を制御する副制御部8、及び必要な機械,装置等が収納されている。
【0010】
前扉1aは、
図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る複数の操作部が設けられて、スロットマシン1の正面部を構成している。
【0011】
操作部として、例えば、円板形状の遊技媒体であるメダルが投入されるメダル投入口2と、機内にクレジットとして貯留されたメダルをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
【0012】
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓2bが、各操作部の上側に設けられている。
また、前扉1a上部には、液晶TVなどの表示器9a,スピーカ9b,LEDなどのランプ9cが設けられている。
【0013】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置6が設けられる。メダル払出装置6には、メダルを貯留する貯留部として機能するホッパー61が設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルは、メダルセレクタ10により検出されるとともに、ホッパー61に誘導されるようになっている。
【0014】
[主制御部]
主制御部7は、メインCPU、メインROM、メインRAMなどが一体化された制御用チップの搭載された主基板、これを収容する基板ケース等から構成され、上記の各操作部からの信号やメダルセレクタ10からの信号に基づき、ドラムユニット4、メダル払出装置6などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技を進行させる。
【0015】
具体的には、遊技者によりメダル投入口2からメダルが投入されると、メダルがメダルセレクタ10により検出され、検出信号が主制御部7に入力される。また、ベットボタン2aが操作された場合は、その操作信号が主制御部7に入力される。主制御部7は、これらの信号の入力の有無からゲーム可能なメダル数を監視するとともに、スタートレバー3の操作を監視する。
ゲーム開始可能なメダル数となったときに、スタートレバー3が操作されると、主制御部7は、ドラムユニット4を駆動して、各リール41a,41b,41cを回転させる制御を行う。
【0016】
さらに、主制御部7は、スタートレバー3が操作されたときに、ボーナス遊技に移行する開始役であるボーナス役、小役、再遊技役などの複数の当選役(ハズレも含む)の中から今回ゲームの抽選結果をリール41の停止前に事前に決定する内部抽選を行い、各停止ボタン5a,5b,5cが押下操作されたタイミングに基づき、抽選結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール41a,41b,41cの停止制御を行う。
【0017】
また、主制御部7は、各リール41a,41b,41cに停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置6に対して所定数のメダルを払い出す制御を行い、メダルをメダル払出口6aから払い出す。
【0018】
また、スロットマシン1では、上述したようなスロットマシン遊技において、主制御部7が所定の遊技タイミング(例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始、ボーナス役当選など)において所定の制御信号を副制御部8に出力することで、副制御部8が、この制御信号に従い、予め記憶した演出プログラムに基づき、表示器9a,スピーカ9b,ランプ9cなどの報知手段を制御して、所定の遊技演出を行うようになっている。
【0019】
主制御部7から副制御部8に出力される制御信号には、例えば、スタートレバー操作、停止ボタン操作、ボーナスゲーム開始などの遊技の進行を示す制御信号の他に、内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号(例えば、当選したボーナス役の種類[ビッグボーナス、レギュラーボーナス]、当選した小役の種類、再遊技役、ハズレなどを示す信号)などがある。
【0020】
[副制御部]
副制御部8は、主制御部7と同様にコンピュータとして構成され、表示器9a,スピーカ9b,ランプ9cなどを制御することで、所定の表示演出及び音響演出を行う。
副制御部8は、サブCPU、サブROM、サブRAMなどの演出用チップの搭載された副基板、これを収容する基板ケース等から構成され、サブCPUがサブROMに記憶されたプログラムを実行処理することで、表示器9aに所定の表示態様で表示演出を行わせるとともに、スピーカ9bから所定の音データを出力させ、さらに、ランプ9cの点灯制御を行う。
【0021】
副制御部8は、主制御部7からの制御信号に基づいて以下のように動作する。
例えば、主制御部7から内部抽選の結果当選した抽選対象を示す当選対象信号としてボーナス役の当選を示す制御信号を受信したときには、表示器9aを制御してボーナス当選に係る表示演出を行わせる。また、ボーナス遊技に移行後は、ランプ9cを所定のタイミングで点滅させるとともに、ファンファーレ音などの所定の効果音をスピーカ9bから出力させる。
【0022】
本実施形態のスロットマシン1は、このような通常のスロットマシンが有する構成に加え、メダル投入口2から投入されたメダルを検出するメダルセレクタ10において、以下に示す特徴的な構成を備えている。
【0023】
[メダルセレクタ]
メダルセレクタ10は、
図4(a),(b)に示すように、本体10aと、本体10aに対して開閉可能に取り付けられるカバー部材10bとで構成され、全体視において略直方体形状を有している。
メダルセレクタ10の上部には、メダル投入口2と連通するメダル入口19aが設けられており、メダル投入口2から投入されたメダルは、このメダル入口19aからメダルセレクタ10内に取り込まれる。
また、メダルセレクタ10の右側面には、メダルセレクタ10内に取り込まれたメダルの出口となるメダル出口19bが設けられている。メダル出口19bは、メダルセレクタ10内において、メダル入口19aと連通しており、メダル入口19aから流入したメダルがメダルセレクタ10内を通ってメダル出口19bから流出する。また、メダル出口19bから流出したメダルは、所定の誘導路によって誘導されながらホッパー61に導かれる。
また、カバー部材10bは、軸21を支点に閉状態(
図4(a))と、開状態(
図4(b))とに相互に変位可能であり、閉状態では、本体10aとの間にメダル入口19aからメダル出口19bに亘ってメダルが通過可能な流路を形成し、開状態では、メダルセレクタ10内に詰まったメダルを下方(
図6(a)のY方向)から排出するための開口を形成する。
【0024】
ここで、メダルセレクタ10内におけるメダルの通過ルートについて、
図5、6を参照しながら説明する。
メダル入口19aから流入したメダルは、流路111、流路112、ブロッカー13、流路113をこの順に通ってメダル出口19bに辿り着くようになっている。
流路111はメダルがほぼ鉛直方向に沿って流下するルートとして形成され、流路112,113及びブロッカー13はメダルが斜面に沿って流下するルートとして形成されている。
ブロッカー13は、流路112と流路113との間に架け渡される橋として機能し、ここを通過するメダルを下方から支持する。
【0025】
ところが、このブロッカー13は、本体10aの背面に備えるソレノイド12により制御され(
図4(c)参照)、メダルの下部周縁面を下支え可能に流路から突出する形態と、メダルの下部周縁面を下支え不能に流路内に後退する形態とにそれぞれ変位可能に構成されている。
図5及び
図6(b)は、メダルの下部周縁面を下支え可能に流路から突出したときのブロッカー13の形態を示し、
図6(a)は、メダルの下部周縁面を下支え不能に流路内に後退したときのブロッカー13の形態を示している。
このような形態の変位により、
図5及び
図6(b)に示す状態では、ブロッカー13が流路112と流路113との間に架け渡される橋として機能することにより、メダル入口19aから流入したメダルはメダル出口19bに辿り着くことができ、
図6(a)に示す状態では、メダルはブロッカー13による下支えがなくなり、すなわち、傾斜面(転動面)が消失した状態となることから、Y方向へ向けて落下し、メダルセレクタ10から外部に放出される。この放出されたメダルは、メダル払出口6aから機外に排出される。
なお、以下の説明において、メダルの下部周縁面を下支え可能に流路から突出したブロッカー13の形態をメダルの通過を許容する「許容形態」、メダルの下部周縁面を下支え不能に流路内に後退したブロッカー13の形態をメダルの通過を禁止する「禁止形態」という。
【0026】
このようなメダルの通過ルート上において、メダル入口19aから流入したメダルを検出するための検出手段や、メダルの真偽をその大きさの違いに基づいて選別する選別手段などが設けられている。
検出手段としては、上流側及び下流側それぞれに設けられた踏み板スイッチ14,15と、光学センサ16と、レバースイッチ17とが設けられている。
踏み板スイッチ14,15及びレバースイッチ17は、メダルがこれらに直接接触することにより、メダルの通過を検出する接触タイプの検出手段であり、光学センサ16(フォトインタラプタ)は、例えば、通光状態から遮光状態への変化により、メダルの通過を検出する非接触タイプの検出手段である。
これらの検出手段は、例えば、踏み板スイッチ14、踏み板スイッチ15、光学センサ16、レバースイッチ17の順に、メダルの通過が検出されたときに、主制御部7により一のメダルの投入と判定され、この順番に従わずに、メダルの通過が検出されたときには、メダルの投入とは判定されずに、異常と判定されるようになっている。
【0027】
選別手段としては、ブロッカー13、ガイドプレート20、及び凹部20aが設けられている。
ガイドプレート20は、許容形態にあるブロッカー13により下支えされた状態にあるメダルの上部周縁側面を支持可能に構成されている。ただし、支持可能なメダルは、
図6(b)に示す径d1よりも大きい径のメダルであり、これより径が小さく規定の大きさに満たないメダルは支持されないことになる。
また、ガイドプレート20の下部には、窪みとして形成された凹部20aが設けられている。さらに、カバー部材10bにおいて、この凹部20aに対向する面に、凹部20a側にメダルを付勢する付勢部材(踏み板)が設けられている(不図示)。
このような構成により、ガイドプレート20によって支持されないメダルは、本体10a側、すなわち、凹部20aに向けて傾倒することになり、これによりブロッカー13による下支えも失うことになり、Y方向へ向けて落下し、ブロッカー13よりも下流側に位置する踏み板スイッチ15などの検出手段に至るまでに、メダルセレクタ10から外部に放出される。
このように、選別手段により、径d1よりも小さい径のメダルがメダルセレクタ10から排出され、径d1よりも大きな径のメダルのみが通過ルートを通過することができる。ただし、径d1よりも大きな径のメダルにも上限があり、メダル投入口2の開口幅よりも径の大きなメダルは、メダル投入口2に投入することができない。
【0028】
さらに、メダルの通過ルート上には、検出手段及び選別手段に加えて、以下のような特徴的な構成を備えている。
【0029】
[段差]
選別手段の上流側には、流路112を通過するメダルを自由落下させるための段差d2を備えている。
段差d2は、
図6(b),(c)に示すように、流路112の下流側端部112aと、許容形態にあるブロッカー13との間に形成されるもので、例えば、距離にして約1mm設けられている。
メダルの円滑な流下を望むのであれば、段差は無い方が好ましいが、以下の理由からあえて設けてある。
【0030】
段差が無い状態であれば、ガイドプレート20付近を流下するメダルは、そのメダル下部周縁面が流路112と許容形態にあるブロッカー13とにそれぞれ接触しながら流下することになる。
このメダルは、前述した図示しない付勢部材によって凹部20a側に付勢されつつも、メダル下部周縁面がブロッカー13に下支えされた状態にあることから、比較的に安定した姿勢で流下することになる。
このようなメダルは、凹部20a側に傾倒するまでバランスを崩す前に、流路113まで辿り着くことになり、そうすると、径d1よりも径が小さいにもかかわらず、選別手段により選別されないメダルが出現するという不都合が生じることになる。
このような不都合が生じないように、付勢部材によって凹部20a側に付勢することに加え、流下中のメダルの姿勢をさらに不安定にさせ、メダルの姿勢を崩す必要がある。
そこで、本実施形態では、選別手段の上流側に段差d2を設けることとした。このような段差d2により、流下中のメダルが流路112の下流側端部112aから許容形態にあるブロッカー13に自由落下することになる。
この自由落下中、すなわち、宙に浮いている状態では、メダルはそのメダル下部周縁面がブロッカー13により下支えされない状態にあることから、重力以外では付勢部材による凹部20a側への付勢力だけがメダルに作用することになり、凹部20a側へのメダルの倒れ込みを強制的に発生させることができる。
これにより、選別手段によるメダルを選別する機能が効果的に発揮され、規定の大きさ(径d1)に満たないメダルがメダルセレクタ10から排除されることになる。
【0031】
また、このような自由落下により、ブロッカー13に着地したメダルは、その衝撃によりバウンドして姿勢を崩すことになる。
これによっても、メダルを選別する機能が効果的に発揮され、規定の大きさ(径d1)に満たないメダルがメダルセレクタ10から排除されることになる。
【0032】
[S字流路]
段差d2の上流側に位置する流路111には、
図6に示すように、流路を狭めるように流路側に突出する突出部111aと、これより下流側において流路を広げるように後退した逃がし部111bとが設けられている。このような突出部111aと、これより下流側に位置する逃がし部111bとの組合せにより、流路111を流下するメダルは略S字を描く軌跡に沿って流下することになる。
これにより、段差d2に至るまでにおいて、流路111を流下するメダルの勢いを減退させることができ、メダルの姿勢の安定性がさらに損なわれることから、選別手段の機能が発揮されやすくなる。
【0033】
[ストッパー]
ブロッカー13と流路113との間に、ストッパー18が設けられている。
このストッパー18は、流路111,112及び許容形態にあるブロッカー13を通過するメダルのホッパー61への流下を阻止可能な阻止手段として動作する。
具体的には、ストッパー18は、
図7,8に示すように、メダルのホッパー61への流下を許容可能な許容形態(
図7(a),
図8(a))と、メダルのホッパー61への流下を阻止可能な阻止形態(
図7(b),
図8(b))と、に変位可能である。
【0034】
このようなストッパー18の変位は、ブロッカー13の動作と連動しており、ブロッカー13が許容形態、すなわち、ブロッカー13がメダルの下部周縁面を下支え可能に流路から突出した形態のときには、
図7(a),
図8(a)に示すように、ストッパー18はメダルのホッパー61への流下を許容可能な許容形態に変位し、ブロッカー13が禁止形態、すなわち、ブロッカー13がメダルの下部周縁面を下支え不能に流路内に後退した形態のときには、
図7(b),
図8(b)に示すように、ストッパー18はメダルのホッパー61への流下を阻止可能な阻止形態に変位する。
【0035】
このようなストッパー18の許容形態であれば、ブロッカー13も許容形態であることから、メダル入口19aから流入したメダルは、流路111、流路112、ブロッカー13、ストッパー18、流路113をこの順に通ってメダル出口19bに辿り着くことができる。
また、このときには、踏み板スイッチ14、踏み板スイッチ15、光学センサ16、レバースイッチ17の順に、メダルの通過が順次検出されることになる。
一方、ストッパー18が阻止形態であれば、ブロッカー13は禁止形態であることから、メダル入口19aから流入したメダルは、ブロッカー13を通過することができず、Y方向に向けて落下し、ストッパー18に至るまでにメダルセレクタ10から外部に放出される。このときには、Y方向に向けて落下したメダルは、少なくともレバースイッチ17に到達することはできないことから、メダルの投入は判定されないことになる。
【0036】
ところが、ブロッカー13が許容形態から禁止形態に変位する途中において、ブロッカー13上にメダルが存在する場合があり、このようなメダルは、ブロッカー13による下支えがなくなっても流下中の慣性により、そのまま流路113に向けて移動しようとする。
このようなタイミングは、メダル投入口2からメダルを連続投入したときに発生する。
【0037】
例えば、クレジットメダルの上限はメダル50枚であることから、50枚目と51枚目を連続して投入し、50枚目のメダルの通過が例えばレバースイッチ17により検出されたときに(
図14(b)参照)、ブロッカー13は許容形態から禁止形態に変位するよう制御されるが、このタイミングにおいて、51枚目のメダルがブロッカー13上に存在することもある。
このように、ブロッカー13が許容形態から禁止形態に変位する途中において、ブロッカー13上にメダルが存在する場合があり、このようなメダルは、ブロッカー13による下支えがなくなっても流下中の慣性により、そのまま流路113に向けて移動しようとする。
【0038】
さらに、ブロッカー13が許容形態から禁止形態に変位する途中では、主制御部7は、ブロッカー13が既に禁止形態に変位しているものと判定し、踏み板スイッチ15、光学センサ16、レバースイッチ17によるメダルの検出を無視する制御を行う。
そうすると、上記の51枚目のメダルは、メダルの投入を判定されることなく、メダル出口19bに辿り着き、ホッパー61に貯留されることになり、その結果、遊技者が損失を被ることになる。
【0039】
このような事象の発生を避けるために、ブロッカー13の下流側であって、レバースイッチ17の上流側に、ストッパー18を設けてある。
ストッパー18をこの位置に設けることにより、ブロッカー13が許容形態から禁止形態に変位する途中において、ブロッカー13上に存在するメダルは、そのまま流路113に向けて移動しようとするものの、その移動中にストッパー18が阻止形態に変位することにより、流路113への移動が阻まれ、メダル出口19bに到達することができなくなる。その結果、メダルは、Y方向へ向けて落下し、少なくともレバースイッチ17に至るまでに、メダルセレクタ10から外部に放出され、メダル払出口6bから遊技者に返却されることから、遊技者が損失を被ることもなくなる。
【0040】
このようにストッパー18を設けることにより、ブロッカー13が許容形態から禁止形態に変位する途中において(例えば、レバースイッチ17が50枚目のメダルを検出後変位)、ブロッカー13上に存在するメダル(51枚目のメダル)をメダルセレクタ10から外部に放出することができる。しかしながら、流下速度の遅い一部のメダル(50枚目のメダル)がストッパー18を通り抜けきれないことがある(
図14(b)参照)。
このようなタイミングにおいて、ストッパー18は、
図8(a)に示す許容形態から
図8(b)に示す阻止形態に変位する途中であり、流路幅を狭めつつ許容形態から阻止形態に変位することから、そのときに、
図9に示すように、ストッパー18がメダルM(50枚目のメダル)を踏み板15との間で挟み込んでしまうことがある。
このような挟み込みが生じると、メダルMがその場で停止し、「メダル詰まり」が発生することになり、スロットマシン遊技の進行が妨げられるおそれがある。
そこで、このような挟み込みが生じても、メダルMがその流下中の慣性や自重によって挟み込みから解放されるように、以下に示す特徴的な構成を備えている。
【0041】
ストッパー18において、挟み込んだメダルに対向する対向面181がメダルに当接する部分になるが、この対向面181の形状に特徴を有している。
図9(b)は、対向面181の形状を改良する前のストッパー18を示しており、このストッパー18では、対向面181の上端部181aがメダルに当接する部分となっている。
一方、
図9(a)は、対向面181の形状を改良した後のストッパー18を示しており、このストッパー18では、対向面181の下端部181bがメダルに当接する部分となっている。
つまり、ストッパー18は、改良前と改良後では、メダル内における当接する位置が異なっており、改良前ではメダルの中心寄りに当接する形状となっているものの、改良後ではメダルの周縁部に当接するような形状に改良されている。
このような改良を行ったのは、以下に説明するように、ストッパー18に挟まれつつも流下しようとするメダルの慣性を完全に制止させることなく、惰性や自重によってメダルを流下させ、少なくともストッパー18の挟み込みによる「メダル詰まり」を発生させないようにするためである。
【0042】
これは、ストッパー18がメダルを挟み込む力を、メダルを制止させるための制動力とすると、この制動力が同じであれば、メダルの中心部に作用させるよりも、メダルの周縁部に作用させる方が、制動力としての作用効果が低いからである。
つまり、制動力の作用点をメダルの重心付近に設定すると、その力がメダル全体に作用することになり、メダルを制止させる力として効果的に作用することになるが、メダルの周縁部を作用点として設定した場合には、その力がメダル全体に作用しないことから、重心に作用させるよりも、制動力としての効果が薄れるからである。
すなわち、ストッパー18によるメダルの挟み込みは、ブロッカー13が許容形態から禁止形態に変位する途中であって、流下速度の遅い一部のメダルがあるときなどのごく稀に発生する事象であることから、改良後のストッパー18では、阻止手段としての本来の機能を低下させることなく、メダルに必要最小限の制動力を作用させ、この挟み込みを「メダル詰まり」に発展させないようにしたのである。
【0043】
さらに、ストッパー18による挟み込みを防止するために、上述したように、対向面181の形状を改良するだけでなく、メダルの流下する傾斜面(転動面)において以下の特徴を有している。
図8(c)は、許容形態にあるストッパー18のA-A断面図であるが、これを見て分かるように、許容形態にあるブロッカー13(第1流路)と流路113との間において、流路の傾斜(勾配)が変わっている。
特に、ストッパー18の頂面180は、メダルの転動面、すなわち、メダルが通過する遊技媒体(メダル)通過部(第2流路の一部)として機能するが、この頂面180において上流側端部180aを基点として、転動面の傾斜が角度α分、急勾配(急傾斜)となっている。
さらに、ストッパー18の下流側であって、ストッパー18とレバースイッチ17との間にある固定部材24の頂面240も、メダルの転動面、すなわち、メダルが通過する遊技媒体(メダル)通過部として機能するが、この頂面240も頂面180の延長線上に位置し、頂面180と同様な勾配を有している(
図10(a),(b)参照)。
つまり、許容形態にあるブロッカー13よりも、頂面180と頂面240とで構成される転動面の方が急勾配となっている。すなわち、ブロッカー13(第1流路)よりも頂面180及び頂面240(第2流路)の方が急勾配となっているとともに、ストッパー18は勾配のきつい側の流路(第2流路)に対応して設けられるとともに、勾配の変化点に位置している。
【0044】
このような構成により、勾配の変化点からメダルの加速度が増し、通過メダルに勢いがつくことから、ストッパー18がメダルを挟み込み難くなり、挟み込みを効果的に防止することができる。
また、仮にストッパー18に挟み込まれたとしても、ストッパー18の頂面180が勾配の変化点上に位置することになるから、挟み込まれたメダルは座りが悪く安定性を欠くことになり、挟み込み状態からの解放が促進されることになる。
なお、本実施形態では、ストッパー18を勾配の変化点に配置したが、ストッパー18を変化点よりも下流側の流路(第2流路)に設けてもよい。これにより、ストッパー18を通過する時点では、通過メダルの加速度が増し、通過メダルに勢いがつくことから、挟み込みを防止することができる。
なお、挟み込みの防止は、上述の対向面181の形状の改良や勾配の変化に加え、ストッパー18を阻止形態側に付勢させるためのバネの定数を小さくするなどの調整を行うことが好ましい。
【0045】
[レバースイッチ]
踏み板スイッチ14、踏み板スイッチ15、光学センサ16、レバースイッチ17のうち最下流側に設けられている検出手段が、レバースイッチ17である。
このレバースイッチ17は、
図10に示すような形態に変位する。
図10(a)は、無負荷状態におけるレバースイッチ17の形態を示し、このときには流路113から上方に突出してメダルの通過を遮るような形態となる。
図10(b)は、
図10(c)に示すように、メダルMの周縁面によって押し下げられ、そのメダルMの重みを受けているときの形態を示し、このときには流路113から下方に退出してメダルの通過を許容するような形態となる。
そして、
図10(a)に示す形態から
図10(b)に示す形態へのレバースイッチ17の変位によりメダルの通過が検出されることになる。ここで、レバースイッチ17によるメダルの通過検出の仕組みについて説明する。
【0046】
図11は、レバースイッチ17の斜視図、
図12はレバースイッチ17と検出手段との位置関係を示す斜視図である。
レバースイッチ17は、回動部材の一例であり、回動軸22により軸支される軸受け170と、通過メダルに当接して通過メダルにより押し下げられる当接部171と、レバースイッチ17の回動に応じて変位し、光センサ23によりその変位が検出される被検出部172とを備えている。
図11は、無負荷状態にあるレバースイッチ17を示し、当接部171が通過メダルにより押し下げられることにより、A方向に回動する。また、レバースイッチ17は、特に図示しないが、バネなどの付勢手段により付勢され、通過メダルによる重みから解放されると、無負荷状態の姿勢に復元する。
【0047】
光センサ23は、発光部とこの発光部からの光を受光する受光部とを有するフォトインタラプタであり、被検出部172によって発光部からの光が遮断されたときには、レバースイッチ17が無負荷状態にあることを検出し(
図12(a))、受光部が発光部からの光を検出可能な位置に被検出部172が変位したときには、当接部171が通過メダルによりA方向に押し下げられたことを検出する(
図12(b))。
つまり、光センサ23は、遮光から通光への変化からメダルの通過を検出する。
【0048】
このような構成により通過メダルを検出するレバースイッチ17は、その構成上の特性から以下のような弊害があった。
具体的には、メダルセレクタ10に対して直接又は間接的に外部から衝撃や振動を与えると、レバースイッチ17がA方向に変位し、実際にはメダルが通過していないにもかかわらず、メダルの通過を検出するという誤作動が発生することがあった。
このような衝撃や振動を与える行為の一例としては、例えば、遊技者がスロットマシン1を叩き、衝撃を加える行為や、不正行為者が前扉1aと筐体1bとの隙間から異物を侵入させてメダルセレクタ10を直接振動させる行為などがある。
このような誤作動の対策として、レバースイッチ17を無負荷状態に付勢するためのバネの定数を変えることにより改善が見込まれるものの、バネ定数をあまり大きくすると、無負荷状態のレバースイッチ17はメダルの通過を遮るような形態となることから、メダル詰まりなどの新たな弊害が生じるおそれがあった。
そこで、外部から衝撃や振動が与えられても、レバースイッチ17がA方向に回動しないように、以下に示す特徴的な構成を備えている。
【0049】
レバースイッチ17は、無負荷状態の形態から、通過メダルの重みを受けて押し下げられる形態へと変位、すなわち、A方向に変位することから、いわゆるシーソーのような動作を行う。
そこで、無負荷状態の形態において慣性モーメントを増大させるように、レバースイッチ17の重心の位置を調節する改良を行った。
【0050】
図11(b)は、改良前のレバースイッチ17を示しており、
図11(a)は、改良後のレバースイッチ17を示している。
これらを比較すると、改良後のレバースイッチ17では、改良前は存在しない、重り付加部173を備えていることが分かる。
この重り付加部173は、抑制手段の一例として動作し、レバースイッチ17の重力方向に沿った最下端部であって、当接部171との重量バランスを保つように、軸受け170を挟んで当接部171の反対側に設けられている。
つまり、改良後のレバースイッチ17では、レバースイッチ17の重心の位置を、改良前よりも、軸受け170側に寄せるとともに、重力の作用方向に沿った軸受け170の下方側に寄せている。
【0051】
このような改良を行ったのは、レバースイッチ17は鉛直方向に沿って回動するといういわゆる振り子と同様な動作を行うため、重心が軸受け170から鉛直方向に沿ってより下方に位置する方が、無負荷状態の慣性モーメントが増大し、外部から衝撃を受けても回動し難くなり、静止状態を保とうとするからである。
これにより、外部から衝撃や振動を受けて、レバースイッチ17がA方向に変位することがなくなり、実際にはメダルが通過していない(当接部171が非当接状態)にもかかわらず、メダルの通過を検出するという誤作動が防止される。
【0052】
また、外部から衝撃が与えられてもレバースイッチ17がA方向に回動しないように、重心の位置を調節するだけでなく、これに代えて又はこれに加えて、衝撃によるレバースイッチ17の押し下げを規制する規制部を設けることが好ましい。
【0053】
図13は、レバースイッチ17周辺を示す図であるが、これを見て分かるように、レバースイッチ17の右側方に位置する流路113側の壁部に凸部113aが設けられている。
この凸部113aは、抑制手段の一例である規制部として動作し、レバースイッチ17のA方向への回動を邪魔するように、流路113側の壁部からレバースイッチ17に向けて突出(凸設されている)している。
本実施形態のメダルセレクタ10の場合、外部から衝撃を受けると、レバースイッチ17が
図13(b)中に示すX方向に移動する傾向があることから、X方向側に位置する流路113側の壁部に凸部113aを設けることとした。
【0054】
このような凸部113aを設けることにより、メダルセレクタ10が外部から衝撃を受けて、レバースイッチ17がA方向に回動しようとしても、この衝撃によりX方向にも移動することから、凸部113aによりA方向への回動が規制されることになる。
これにより、外部から衝撃や振動を受けて、レバースイッチ17がA方向に変位することがなくなり、実際にはメダルが通過していない(当接部171が非当接状態)にもかかわらず、メダルの通過を検出するという誤作動が防止されることになる。
また、メダル投入口2から流路113に向けて針金などの異物を侵入させる不正行為が行われたときでも、このような異物によってレバースイッチ17はX方向に押し込まれることから、さらに異物によってレバースイッチ17をA方向に回動させようとしても、凸部113aによりA方向への回動が規制されることになる。
【0055】
なお、実際のメダルの通過による押し下げ、つまり、
図14(a)に示す無負荷状態から
図14(b)の押し下げ状態への変位では、レバースイッチ17のX方向側への移動は最小限に抑えられ、A方向への回動が凸部113aによって規制されることはない。
また、本実施形態のメダルセレクタ10の場合、外部から衝撃を受けると、レバースイッチ17がX方向に移動する傾向があることから、レバースイッチ17の右側方に位置する流路113側の壁部に凸部113aを設けたが、レバースイッチ17がX方向とは反対の方向に移動する傾向があるときには、レバースイッチ17の左側方に位置するブロッカー13側の壁部に凸部113aを設けることが好ましい。
【0056】
このようなメダルセレクタ10を備えたスロットマシン1においては、以下のような効果を発揮する。
例えば、ブロッカー13と、これよりも勾配が急な流路(頂面180及び240)とが設けられるとともに、ストッパー18が流路(頂面180及び240)に設けられていることから、流路(頂面180及び240)から通過メダルの加速度が増し、勢いがつくので、ストッパー18によるメダルの挟み込みが防止される。
また、ストッパー18をブロッカー13と流路(頂面180及び240)の境界に設けることにより、ストッパー18上に位置するメダルの安定性を損なわせることができるので、ストッパー18によるメダルの挟み込みが抑制される。
【0057】
また、メダルセレクタ10に対して直接又は間接的に外部から衝撃や振動が与えられたとしても、レバースイッチ17の慣性モーメントにより回動が阻害されることから、実際にはメダルが通過していないにもかかわらず、メダルの通過を検出するという誤作動が防止される。
また、衝撃や振動、異物の侵入等によるレバースイッチ17の挙動に対応させた位置に回動を規制する規制部を設けることにより、効果的に誤作動が防止される。
【0058】
[回動軸に取り付けるかしめ部材について]
次に、レバースイッチ(回動部材)17の回動軸22を固定可能でありながら、カバー類を取り外し困難にかしめることが可能なかしめ部材30を備えた、メダルセレクタ(メダルセレクタ10Aという)について、
図15~
図27を参照して説明する。
図15は、メダルセレクタ10Aの背面図、
図16は、メダルセレクタ10Aの背面斜視図、
図17は、メダルセレクタ10Aの要部分解図である。
図15~
図17に示すように、このメダルセレクタ10Aは、特徴的な形状のかしめ部材30を回動軸22Aの端部に取り付けるようにしている。
【0059】
かしめ部材30は、プラスチックなどの透明な樹脂部材からなり、
図18に示すように、回動軸22Aを挿入可能な筒状部分(第1筒部31という)と、第1筒部31に対し筒軸方向に延設された筒状部分(第2筒部32という)と、第2筒部32の長手側部に設けられた四角皿状の部分(皿状部33という)とが一体に形成されている。
第1筒部31と第2筒部32とは内部空間において通じており、例えば、第2筒部31の端部の開放部(第2開放部37という)から第1筒部31の端部の開放部(第1開放部36という)に亘って空洞を形成している。
第1筒部31と第2筒部32の境界には、外周面に沿ってV字状の溝が施され、これにより、他の部位よりも厚みを薄くした(0.3mm程度の厚さ)部位(薄肉溝部34という)を形成している。
第1筒部31の内部には、三角形状の2つの爪部35が内壁部から突出した態様で、対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0060】
回動軸22Aは、レバースイッチ17を軸支するための金属製の丸棒部材であり、
図19に示すように、軸本体221と軸前部222と軸後部223とに分かれて構成され、全体的には、第1筒部31に挿通可能な太さ(外径)を有している。
ただし、軸前部222は、軸本体221と先端部225との間において外径を小さくすることで凹ませた凹部224を形成し、先端部225の前側は先細り状にしている。
【0061】
このようなかしめ部材30と回動軸22Aによれば、
図20(a)→(b)に示すように、回動軸22Aをかしめ部材30に挿入するだけで、回動軸22Aとかしめ部材30とを分離困難に結合することができる。
この結合構造について、
図21を参照して説明する。
図21(a)は、結合前の回動軸22A及びかしめ部材30の断面図である。
ここで、
図21(b)に示すように、回動軸22Aを、第1筒部31の内部に挿入すると、回動軸22Aは、先端部225が爪部35に当接することで、その通過が一旦阻まれる。
ただし、さらに回動軸22Aを押し込むことで、先端部225が爪部35を押圧し、これにより爪部35を、その弾性(樹脂部材による弾性)によって一時的に縮小させることができる。
これにより、
図21(c)に示すように、先端部225は、爪部35を乗り越えて通過することができる。
また、これにより、爪部35は、先端部225による押圧から開放され、元の形状(内壁部から突出した形状)に戻るとともに凹部224の凹みに収まる(
図21(c)参照)。
この結果、回動軸22Aの凹部224とかしめ部材30の爪部35とが係合した結合状態とすることができる。
このような「結合状態」においては、回動軸22Aをかしめ部材30から引き抜こうとしても、爪部35が先端部222の移動を阻むため、引き抜くことができない。
また、例えば棒状の部材を第2開放部37から挿入して第1筒部31に収められている回動軸22Aを押し抜こうとしても、同様に、爪部35が先端部222の移動を阻むため押し抜くことはできない。
このため、従来から回動軸の留め具として用いられる、Eリング(止め輪)と呼ばれる専用部材を用いることなく、回動軸22Aを固定することができる。
なお、
図21(c)に示すように、かしめ部材30が回動軸22Aに取付けられた状態において、かしめ部材30は、回動軸22Aの先端部225からはみ出た部分bを有しており、このはみ出た部分bの所定位置(先端部225に近い位置)に薄肉溝部34が配置する位置関係を有している。
【0062】
かしめ部材30の取付方法について、
図16,
図17、
図22~
図27を参照して説明する。
図17に示すように、メダルセレクタ10Aには、予め、本体10aの背面側に、レバースイッチ17の回動に伴う被検出部172の変位を検知可能な光センサ23が設けられ、レバースイッチ17を軸支する回動軸22Aを支持するための支持部材(本発明の所定の支持部材)102が所定の位置(光センサ23の下方)に設けられているものとする。
このうち、支持部材102は、本体10aにおいて並行に立設された2つの支持部材(メダルセレクタ10Aの外側に配置された方を外側支持部材102a、メダルセレクタ10Aの内側に配置された方を内側支持部材102bという)からなり、この2つの支持部材102に架け渡される態様で回動軸22Aが支持される。
具体的には、外側支持部材102aと内側支持部材102bには、それぞれ、対応する位置に開口103が設けられており、回動軸22Aは各開口103にそれぞれ挿入された状態で支持される。
また、外側支持部材102aの開口103の外側には筒状の部材(以下、筒状カバー104という)が一体に形成されている。
【0063】
かしめ部材30は、回動軸22A、レバースイッチ17、カバー50などの関連部品とともに取り付けられる。
このため、これらの関連部品がすべて取り付けられていない
図17に示す状態を初期状態とし、以後、
図22、
図23、
図24、
図16といった順序に従って、かしめ部材30の取付方法を説明する。
なお、カバー50(本発明のカバー部材)は、透明樹脂製のL字状の保護部材であり、下方には、矩形板状の固定部51(本発明の固定手段)が一体に形成され、固定部51の側部には矩形板状の壁部52(本発明の遮蔽部)が形成されている。
このカバー50は、光センサ23(発光部及び受光部)、レバースイッチ17の一部(被検出部172等)を覆うほか、これらの反対側に取り付けられる光学センサ16などの各種検出手段(検出手段aと総称する)も覆うように取り付けられる。
【0064】
まず、
図22に示すように、レバースイッチ17を所定位置に配置する(
図17,
図22参照)。
具体的には、軸受け170が、外側支持部材102aと内側支持部材102bの間で、かつ、被検出部172が、光センサ23の投光部と受光部の間に位置するように、レバースイッチ17を配置する。
【0065】
次に、
図23に示すように、カバー50を所定位置に配置し、固定部51をネジ53で固定する(
図22,
図23参照)。
これにより、カバー50は、光センサ23、レバースイッチ17の一部、光学センサ16及び光学センサ16などの検出手段aを覆うように取り付けられる。
このようなカバー50によれば、検出手段aに対する外部からのアクセスを困難にすることができるため、検出手段aを保護することができる。
【0066】
続いて、
図24に示すように、かしめ部材30と回動軸22Aを取り付ける(
図23,
図24参照)。
具体的には、かしめ部材30は、皿状部33を固定部51(ネジ53)の上方を覆うように配置しつつ、第1開放部36を内側支持部材102bの開口103に合うように配置した状態で、回動軸22Aを外側支持部材102aの開口103から挿入する。
【0067】
そして、回動軸22Aの挿入を全長に亘って行うことで、
図16に示すように、回動軸22A及び関連部材の取付けが完了する(
図24,
図16参照)。
図25は、かしめ部材30及び関連部材の取付けが完了した状態における所定断面(
図18のA-Aを含む断面)の模式図である。
図26は、メダルセレクタを左下方向から見た斜視図、
図27は、メダルセレクタを右下方向から見た斜視図である。
【0068】
図25~
図27に示すように、かしめ部材30及び関連部材の取付けが完了した状態において、回動軸22Aは、外側支持部材102aと内側支持部材102bとにより支持され、この回動軸22Aによってレバースイッチ17が軸支される。
この状態において、回動軸22Aは、かしめ部材30により固定され(
図21の説明参照)、これにより、支持部材102からも取り外し困難にすることができる。
また、このとき、かしめ部材30の皿状部33が、カバー50の固定部51の領域の上部を覆う位置に配置される(
図23と
図16を比較して参照)。
これにより、固定部51やネジ53に対する外部からのアクセスを困難にすることができるため、カバー50に覆われている検出手段aをより強固に保護することができる。
例えば、不正の目的で、検出手段aにアクセスしようとした場合、まず、カバー50によって物理的に邪魔されるため、このような不正アクセスから検出手段aを護ることができる。
これに対し、カバー50を取り外した上で、検出手段aにアクセスしようとする不正行為も考えられる。
しかしながら、この場合でも、かしめ部材30(皿状部33)は、カバー50の固定部51やネジ53はアクセス困難に覆う状態で固定されているため、カバー50を容易に取り外すことはできない。
【0069】
以上のように、本実施形態の遊技機においては、レバースイッチ17の回動軸22Aを取り外し困難に固定しつつ、センサ類を保護するカバー50を取り外し困難に覆うかしめ構造を備えた特徴的な形状のかしめ部材30を回動軸22Aに取り付けるようにしている。
このため、レバースイッチ17や他のセンサを含む重要な部品に対する外部からの不正アクセスを、かしめ部材30だけで効率よく防ぐことができる。
【0070】
また、回動軸22Aの軸後部223の外周は、筒状カバー104(本発明の外周部材)の内部にほぼ隙間なく収容される(
図25,
図26参照)。
これにより、例えば、不正の目的で、回動軸22Aを取り外すことを防止することができる。
例えば、
図25の矢印aaに示すように、回動軸22Aと筒状カバー104の隙間にドライバー等の道具を入れようとしても隙間がないため入れることができない。
また、このとき、筒状カバー104の周囲は、道具によって傷付けられ易いため、これを痕跡(証拠)として、不正行為を発見し易くすることができる。
また、
図25の矢印bbに示すように、レバースイッチ17と外側支持部材102aの隙間に道具を差し込み、いわゆるテコの原理を用いて回動軸22Aを同図及び
図26の矢印ccの方向に抜き出そうとすることも考えられる。
しかしながら、この場合、外側支持部材102aや筒状カバー104そのものが破壊されるため、これを不正アクセスの痕跡として残すことができる。
【0071】
また、
図25及び
図27の矢印ddに示すように、例えば、かしめ部材30の第2開放部37から道具を挿入して回動軸22Aを押し抜こうとする不正行為も考えられる。
これに対し、カバー50の壁部52は、かしめ部材30が回動軸22Aに取付られた状態において、回動軸22Aに通じる開放部(第2開放部37)を遮蔽するように配置される。
このため、道具を第2開放部37から挿入して回動軸22Aを押し抜こうとする不正行為も防ぐことができる。
【0072】
また、不正目的で、
図25及び
図27の矢印eeに示すように、かしめ部材30を取り外すために第2筒部32側を持ち上げようとすることも考えられる。
しかしながら、かしめ部材30は、回動軸22Aに取付られた状態において、回動軸22Aの先端部225からはみ出た部分bを有し、このはみ出た部分bの所定位置(先端部225に近い位置)において、溝状に厚みを細くした薄肉溝部34を形成している。
このため、矢印eeの方向に沿って一定以上の力が加わることで、薄肉溝部34に沿って部材が剪断される結果、この損傷によって不正の痕跡を残すことができる。
【0073】
これに対し、従来の遊技機では、メダルの通過を回動部材の変位によって検出可能な検知手段を設け、この検知手段をカバーで覆うことで検知手段へのアクセスを困難にするものがあるが(例えば、特許文献1参照)、前記回動部材を軸支する回動軸やカバーをともに取り外し困難にする部材を備えた遊技機はなかった。
また、回動軸の留め具としての専用部材があるが、仮にこのような専用部材を採用しようとしても、メダルセレクタのように多くの部品が集約された装置においては、このような単一用途の専用部材を設けるだけの十分なスペースがないことが問題であった。
本実施形態の遊技機によれば、従来の遊技機が改善すべきこのような課題の全部又は一部などを解決することができる。
【0074】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0075】
例えば、本実施形態では、かしめ部材30を、メダルセレクタのセンサに用いられる回動部材(レバースイッチ17)を軸支する回動軸22Aに取り付けられる構成について説明したが、メダルセレクタやセンサに限らず、様々な用途や装置に用いられる回動軸に取り付けることができる。
また、かしめ部材30は、皿状部33の部分が、カバー50の固定部51の領域を覆う構成について説明したが、これに限らず、センサやカバーを覆う構成であってもよい。
また、本実施形態では、スロットマシンに適用したが、回動部材がパチンコ機の構成部品として用いられる場合には、パチンコ機に適用することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1 スロットマシン(遊技機)
10,10A メダルセレクタ
102 支持部材(102a 外側支持部材、102b 内側支持部材)
16 光学センサ
17 レバースイッチ(回動部材)
170 軸受け
171 当接部
172 被検出部
22,22A 回動軸
221 軸本体
222 軸前部
223 軸後部
224 凹部
225 先端部
23 光センサ
30 かしめ部材
31 第1筒部
32 第2筒部
33 皿状部
34 薄肉溝部
35 爪部
36 第1開放部
37 第2開放部
50 カバー
51 固定部
52 壁部
53 ネジ
a 検出手段