(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】物品移載装置及び物品移載方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20220119BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B25J15/06 G
B65G47/91 Z
(21)【出願番号】P 2017217443
(22)【出願日】2017-11-10
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】大林 勇次郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-043173(JP,A)
【文献】特開2004-167939(JP,A)
【文献】特開2001-198872(JP,A)
【文献】実開昭52-099666(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/06
B65G 47/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部及び第2開口部を有し、収納空間が形成されたノズルと、
前記第2開口部を塞ぐフィルタと、
前記ノズル及び前記フィルタが着脱可能に取り付けられ、前記第1開口部から前記収納空間を介して前記第2開口部に至る第1空気流を発生させるための第1流路が形成されたヘッドと、を備え
、
前記第1流路は、本流路及び第1分岐流路によって構成され、
前記本流路は、鉛直方向に延在し、前記第2開口部に接続され、
前記第1分岐流路は、前記本流路から分岐し、前記ヘッドの側方に開口し、
前記第1空気流は、前記分岐流路から前記本流路における前記第2開口とは反対側に向かう空気流によって、発生させられる、物品移載装置。
【請求項2】
前記第1
分岐流路に接続され、前記第1空気流の流量を調整する第1流量調整部を更に備える、請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記ヘッドの移動に連動して前記第1空気流の流量が変化するように、前記ヘッド及び前記第1流量調整部の動作を制御する制御部を更に備える、請求項2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1空気流の流量が所定範囲に維持されつつ前記第1開口部が物品群に接触し、前記物品群によって前記収納空間が満たされた状態で、前記第1空気流の流量が前記所定範囲に維持されつつ前記第1開口部が前記物品群から離間するように、前記ヘッド及び前記第1流量調整部の動作を制御する、請求項3に記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1空気流の流量が第1範囲に維持されつつ前記第1開口部が前記物品群に接触し、前記第1空気流の流量が前記第1範囲よりも少ない第2範囲に維持されつつ前記第1開口部が前記物品群に再び接触するように、前記ヘッド及び前記第1流量調整部の動作を制御する、請求項4に記載の物品移載装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記物品群によって前記収納空間が満たされた状態で、前記第1空気流の流量が前記第2範囲に維持されつつ前記第1開口部が前記物品群から離間し、前記第1空気流の流量が前記第2範囲よりも多い第3範囲に維持されつつ前記ノズルが移載先に移動するように、前記ヘッド及び前記第1流量調整部の動作を制御する、請求項5に記載の物品移載装置。
【請求項7】
前記ヘッドには、前記第2開口部から前記収納空間を介して前記第1開口部に至る第2空気流を発生させるための第2流路が形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項8】
前記第2流路は、前記本流路及び第2分岐流路によって構成され、
前記第2分岐流路は、前記第1分岐流路よりも下側において前記本流路から分岐し、前記ヘッドの側方に開口し、
前記第2空気流は、前記分岐流路から前記本流路における前記第2開口に向かう空気流によって、発生させられる、請求項7に記載の物品移載装置。
【請求項9】
前記第2
分岐流路に接続され、前記第2空気流の流量を調整する第2流量調整部を更に備える、請求項
8に記載の物品移載装置。
【請求項10】
前記ノズルは、前記第1開口部及び前記第2開口部を有する筒体であり、
前記フィルタは、複数の孔が形成された板材であり、
前記フィルタは、前記第2開口部の内側に設けられた段差部に配置される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項11】
前記
本流路に接続されたドレンホースを更に備える、請求項1~
10のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項12】
前記フィルタは、少なくとも前記収納空間に臨む領域が上側へ凸状に湾曲する、請求項1~10のいずれか一項に記載の物品移載装置。
【請求項13】
第1開口部及び第2開口部を有し、収納空間が形成されたノズルと、
前記第2開口部を塞ぐフィルタと、
前記ノズル及び前記フィルタが着脱可能に取り付けられ、前記第1開口部から前記収納空間を介して前記第2開口部に至る第1空気流を発生させるための第1流路が形成されたヘッドと、
前記第1流路に接続され、前記第1空気流の流量を調整する第1流量調整部と、
前記ヘッドの移動に連動して前記第1空気流の流量が変化するように、前記ヘッド及び前記第1流量調整部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1空気流の流量が第1範囲に維持されつつ前記第1開口部が物品群に接触し、前記第1空気流の流量が前記第1範囲よりも少ない第2範囲に維持されつつ前記第1開口部が前記物品群に再び接触するように、前記ヘッド及び前記第1流量調整部の動作を制御する、物品移載装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記物品群によって前記収納空間が満たされた状態で、前記第1空気流の流量が前記第2範囲に維持されつつ前記第1開口部が前記物品群から離間し、前記第1空気流の流量が前記第2範囲よりも多い第3範囲に維持されつつ前記ノズルが移載先に移動するように、前記ヘッド及び前記第1流量調整部の動作を制御する、請求項13に記載の物品移載装置。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の物品移載装置を用いた物品移載方法であって、
前記第1空気流の流量を所定範囲に維持しつつ前記第1開口部を物品群に接触させる第1ステップと、
前記物品群によって前記収納空間が満たされた状態で、前記第1空気流の流量を前記所定範囲に維持しつつ前記第1開口部を前記物品群から離間させる第2ステップと、を備える、物品移載方法。
【請求項16】
前記第1ステップは、
前記第1空気流の流量を第1範囲に維持しつつ前記第1開口部を前記物品群に接触させるステップと、
前記第1空気流の流量を前記第1範囲よりも少ない第2範囲に維持しつつ前記第1開口部を前記物品群に再び接触させるステップと、を含む、請求項
15に記載の物品移載方法。
【請求項17】
前記第2ステップは、
前記物品群によって前記収納空間が満たされた状態で、前記第1空気流の流量を前記第2範囲に維持しつつ前記第1開口部を前記物品群から離間させるステップと、
前記第1空気流の流量を前記第2範囲よりも多い第3範囲に維持しつつ前記ノズルを移載先に移動するステップと、を含む、請求項
16に記載の物品移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品移載装置及び物品移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉状、チップ状等の物品の集合である物品群を定量ずつ移載する物品移載装置としてロボットハンドが用いられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、刻まれたネギのように、粉状、チップ状等の物品が油分、水分等を含んでいると、物品群を定量ずつ移載することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、粉状、チップ状等の物品が油分、水分等を含んでいたとしても、そのような物品の集合である物品群を定量ずつ移載できる物品移載装置及び物品移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品移載装置は、第1開口部及び第2開口部を有し、収納空間が形成されたノズルと、第2開口部を塞ぐフィルタと、ノズル及びフィルタが着脱可能に取り付けられ、第1開口部から収納空間を介して第2開口部に至る第1空気流を発生させるための第1流路が形成されたヘッドと、を備える。
【0007】
この物品移載装置では、第1空気流を発生させつつ第1開口部を物品群に接触させることで、ノズルの収納空間が物品群によって満たされ、ノズルの収納空間において物品群が保持される。保持される物品群の量は収納空間の容積によって決定されるため、例えばノズル及びフィルタを交換することで、所望の量の物品群を保持できる。よって、この物品移載装置によれば、粉状、チップ状等の物品が油分、水分等を含んでいたとしても、そのような物品の集合である物品群を定量ずつ移載できる。
【0008】
本発明の物品移載装置は、第1流路に接続され、第1空気流の流量を調整する第1流量調整部を更に備えてもよい。これにより、物品の種類、移載すべき物品群の量等に応じて、第1空気流の流量を適切な流量に設定できる。
【0009】
本発明の物品移載装置は、ヘッドの移動に連動して第1空気流の流量が変化するように、ヘッド及び第1流量調整部の動作を制御する制御部を更に備えてもよい。これにより、例えば、ヘッドの移動によってノズルを移載先に移動させる際に第1空気流の流量を増加させておくことで、収納空間において保持された物品群が落下するのを抑制できる。
【0010】
本発明の物品移載装置では、制御部は、第1空気流の流量が所定範囲に維持されつつ第1開口部が物品群に接触し、物品群によって収納空間が満たされた状態で、第1空気流の流量が所定範囲に維持されつつ第1開口部が物品群から離間するように、ヘッド及び第1流量調整部の動作を制御してもよい。これにより、収納空間において保持された物品群が落下するのを抑制できる。
【0011】
本発明の物品移載装置では、制御部は、第1空気流の流量が第1範囲に維持されつつ第1開口部が物品群に接触し、第1空気流の流量が第1範囲よりも少ない第2範囲に維持されつつ第1開口部が物品群に再び接触するように、ヘッド及び第1流量調整部の動作を制御してもよい。これにより、ノズルの収納空間が物品群によって過不足なく満たされる。
【0012】
本発明の物品移載装置では、制御部は、物品群によって収納空間が満たされた状態で、第1空気流の流量が第2範囲に維持されつつ第1開口部が物品群から離間し、第1空気流の流量が第2範囲よりも多い第3範囲に維持されつつノズルが移載先に移動するように、ヘッド及び第1流量調整部の動作を制御してもよい。これにより、ノズルが移載先に移動する際に、収納空間において保持された物品群が落下するのを抑制できる。
【0013】
本発明の物品移載装置では、ヘッドには、第2開口部から収納空間を介して第1開口部に至る第2空気流を発生させるための第2流路が形成されていてもよい。これにより、例えば、移載先において第2空気流を発生させることで、収納空間から物品群を確実に排出できる。
【0014】
本発明の物品移載装置は、第2流路に接続され、第2空気流の流量を調整する第2流量調整部を更に備えてもよい。これにより、物品の種類、移載すべき物品群の量等に応じて、第2空気流の流量を適切な流量に設定できる。
【0015】
本発明の物品移載装置では、ノズルは、第1開口部及び第2開口部を有する筒体であり、フィルタは、複数の孔が形成された板材であり、フィルタは、第2開口部の内側に設けられた段差部に配置されてもよい。これにより、物品の種類、移載すべき物品群の量等に応じて、様々な種類のノズル及びフィルタを容易に準備できる。
【0016】
本発明の物品移載装置は、第1流路に接続されたドレンホースを更に備えてもよい。これにより、物品が油分、水分等を含んでいる場合に、フィルタを通過した油分、水分等をドレンホースに回収できる。
【0017】
本発明の物品移載方法は、上述した物品移載装置を用いた物品移載方法であって、第1空気流の流量を所定範囲に維持しつつ第1開口部を物品群に接触させる第1ステップと、物品群によって収納空間が満たされた状態で、第1空気流の流量を所定範囲に維持しつつ第1開口部を物品群から離間させる第2ステップと、を備える。
【0018】
この物品移載方法によれば、収納空間において保持された物品群が落下するのを抑制できる。
【0019】
本発明の物品移載方法では、第1ステップは、第1空気流の流量を第1範囲に維持しつつ第1開口部を物品群に接触させるステップと、第1空気流の流量を第1範囲よりも少ない第2範囲に維持しつつ第1開口部を物品群に再び接触させるステップと、を含んでもよい。これにより、ノズルの収納空間が物品群によって過不足なく満たされる。
【0020】
本発明の物品移載方法は、第2ステップは、物品群によって収納空間が満たされた状態で、第1空気流の流量を第2範囲に維持しつつ第1開口部を物品群から離間させるステップと、第1空気流の流量を第2範囲よりも多い第3範囲に維持しつつノズルを移載先に移動するステップと、を含んでもよい。これにより、ノズルが移載先に移動する際に、収納空間において保持された物品群が落下するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、粉状、チップ状等の物品が油分、水分等を含んでいたとしても、そのような物品の集合である物品群を定量ずつ移載できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図6】他の組合せのノズル及びフィルタが取り付けられたヘッド部の断面図である。
【
図7】他の組合せのノズル及びフィルタが取り付けられたヘッド部の断面図である。
【
図8】他の組合せのノズル及びフィルタが取り付けられたヘッド部の断面図である。
【
図9】種類の異なる複数のフィルタの平面図である。
【
図10】他の組合せのノズル及びフィルタが取り付けられたヘッド部の断面図である。
【
図11】一実施形態の物品移載装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1、
図2及び
図3に示されるように、物品移載装置1は、ノズル2、フィルタ3、ヘッド4及びドレンホース9を備える。物品移載装置1では、ノズル2、フィルタ3及びヘッド4によってヘッド部10が構成される。ヘッド部10は、鉛直方向及び水平方向に移動可能である。物品移載装置1は、粉状、チップ状等の物品の集合である物品群S(
図4及び
図5参照)を定量ずつ移載するための装置である。なお、
図1では、ヘッド部10を断面図として示し、その他の構成をブロック図として示す。
【0025】
ノズル2は、第1開口部21及び第2開口部22を有する筒体である。ノズル2には、第1開口部21及び第2開口部22に連通する収納空間23が形成されている。第2開口部22の内側には、段差部24及び雌ネジ部25が設けられている。本実施形態では、ノズル2及び収納空間23の外形形状は円柱状であり、第1開口部21及び第2開口部22の形状は円形状である。収納空間23は第1開口部21と同径であり、第2開口部22は第1開口部21及び収納空間23よりも大径である。段差部24は、第2開口部22が収納空間23に対して拡径されることで形成される。
【0026】
フィルタ3は、第2開口部22を塞ぎ、収納空間23を画定する。フィルタ3は、複数の孔3aが形成された板材である。各孔3aは、移載対象となる物品群Sを構成する物品が通過し得ないサイズを有する。つまり、フィルタ3は、空気流を通過させ、移載対象となる物品群Sを通過させない。本実施形態では、フィルタ3の外形形状は円形平板状であり、各孔3aの断面形状は円形状である。複数の孔3aは、フィルタ3のうち少なくとも収納空間23に臨む領域において一様に(等ピッチで)分布する。フィルタ3は第2開口部22と略同径であり、フィルタ3は段差部24に配置される。
【0027】
ヘッド4は、鉛直方向及び水平方向に移動可能である。ヘッド4には、ノズル2及びフィルタ3が着脱可能に取り付けられる。本実施形態では、ヘッド4の下端部41の外側に設けられた雄ネジ部42に、ノズル2の雌ネジ部25が螺合されることで、第1開口部21が下方に向いた状態で、ヘッド4にノズル2及びフィルタ3が取り付けられる。このとき、ヘッド4の下端部41がスペーサ5を介してフィルタ3の外縁部を段差部24に押圧することで、フィルタ3が段差部24に位置決めされる。スペーサ5は、円形環状の部材である。スペーサ5の外径は第2開口部22と略同径であり、スペーサ5の内径は第1開口部21及び収納空間23よりも大径である。なお、スペーサ5と伴に或いはスペーサ5に替えてOリングが段差部24に配置されてもよい。また、スペーサ5、Oリング等を用いずに、ヘッド4の下端部41がフィルタ3の外縁部を直接押圧する構成を採用してもよい。
【0028】
ヘッド4には、本流路43、第1分岐流路44及び第2分岐流路45が形成されている。本流路43は、鉛直方向に延在する。本流路43は、ヘッド4の下端部41において下側に開口し、ノズル2の第2開口部22に接続される。本流路43における第2開口部22とは反対側の端部には、ドレンホース9が間接的に(つまり、他の配管を介して)又は直接的に接続される。第1分岐流路44は、本流路43から分岐し、ヘッド4の側方に開口する。第2分岐流路45は、第1分岐流路44よりも下側において本流路43から分岐し、ヘッド4の側方に開口する。本実施形態では、本流路43及び第1分岐流路44によって、ノズル2に吸引空気流を発生させるための第1流路が構成され、本流路43及び第2分岐流路45によって、ノズル2に吐出空気流を発生させるための第2流路が構成される。吸引空気流は、第1開口部21から収納空間23を介して第2開口部22に至る第1空気流である。吐出空気流は、第2開口部22から収納空間23を介して第1開口部21に至る第2空気流である。
【0029】
物品移載装置1は、第1流量調整部6及び第2流量調整部7を更に備える。第1流量調整部6は、第1分岐流路44に接続され(すなわち、第1流路に接続され)、吸引空気流の流量(単位時間当たりの流量)を調整する。第2流量調整部7は、第2分岐流路45に接続され(すなわち、第2流路に接続され)、吐出空気流の流量(単位時間当たりの流量)を調整する。本実施形態では、第1流量調整部6及び第2流量調整部7が次のように構成される。
【0030】
第1流量調整部6は、流路61,62,63、スピードコントローラ64及び電磁弁65,66によって構成される。流路61は第1分岐流路44に接続され、流路62及び流路63は流路61に合流する。スピードコントローラ64及び電磁弁65は流路62設けられ、電磁弁66は流路63に設けられる。第1流量調整部6は、電磁弁65,66の両方を閉じることで、ノズル2に吸引空気流を発生させない。第1流量調整部6は、電磁弁65,66の少なくとも一方を開くことで、ノズル2に吸引空気流を発生させる。電磁弁65のみを開いた場合、電磁弁66のみを開いた場合、電磁弁65,66の両方を開いた場合という順序で、ノズル2に発生する吸引空気流の流量が段階的に増加する。
【0031】
第2流量調整部7は、流路71及び電磁弁72よって構成される。流路71は第2分岐流路45に接続される。電磁弁72は流路71設けられる。第2流量調整部7は、電磁弁72を閉じることで、ノズル2に吐出空気流を発生させない。第2流量調整部7は、電磁弁72を開くことで、ノズル2に吐出空気流を発生させる。
【0032】
物品移載装置1は、制御部8を更に備える。制御部8は、ヘッド4の移動に連動して吸引空気流の流量及び吐出空気流の流量が変化するように、ヘッド4、第1流量調整部6及び第2流量調整部7の動作を制御する。この制御により、一例として、次のように物品群Sが定量ずつ移載される。まず、
図4に示されるように、ノズル2に吸引空気流が発生させられ、移載元のトレイ等に収容された物品群Sに対してノズル2が下降させられる。そして、ノズル2に吸引空気流が発生させられた状態で、ノズル2の第1開口部21が物品群Sに接触させられる。これにより、ノズル2の収納空間23が物品群Sによって満たされる。続いて、ノズル2に吸引空気流が発生させられた状態で、物品群Sを保持したノズル2が移載先のトレイ等の上方に移動させられる。そして、
図5に示されるように、ノズル2に吐出空気流が発生させられ、収納空間23から移載先のトレイ等に物品群Sが排出される。
【0033】
図6、
図7及び
図8は、他の組合せのノズル2及びフィルタ3が取り付けられたヘッド部10の断面図である。
図6に示されるように、第1開口部21の径を大きくすることで、収納空間23の容積を大きくすることができる。また、
図7に示されるように、収納空間23の高さ(鉛直方向における長さ)を大きくすることで、収納空間23の容積を大きくすることができる。また、
図8に示されるように、収納空間23の高さを小さくすることで、収納空間23の容積を小さくすることができる。ノズル2に保持される物品群Sの量は収納空間23の容積によって決定される。そのため、移載すべき物品群Sの量に合わせてノズル2の種類を選択することで、所望の量の物品群Sを移載できる。更に、第1開口部21の形状を移載先の形状(円形状に限定されず、三角形状、四角形状等)に合わせてもよい。このように、ノズル2の形状は、様々な形状とすることができる。収納空間23の形状も、円柱状に限定されず、円錐台状等、様々な形状とすることができる。
【0034】
図9は、種類の異なる複数のフィルタ3の平面図である。
図9に示されるように、各孔3aの径、隣り合う孔3a間のピッチ等をフィルタ3ごとに変えることができる。移載対象となる物品群Sを構成する物品のサイズに合わせてフィルタ3の種類を選択することで、物品群Sの通過を防止しつつ、ノズル2に吸引空気流を適切に発生させられる。
図10は、他の組合せのノズル2及びフィルタ3が取り付けられたヘッド部10の断面図である。移載先の所定領域に対して物品群S(例えば、ゴマ等)を一様に散らしたい場合には、
図10に示されるように、少なくとも収納空間23に臨む領域が上側に凸状に湾曲したフィルタ3が有効である。
【0035】
次に、物品移載装置1を用いた物品移載方法について、
図11を参照して説明する。以下に説明する物品移載方法は、ヘッド4、第1流量調整部6及び第2流量調整部7の動作を制御部8が制御することで、実施される。
【0036】
まず。電磁弁65,66の両方が開かれることで、最大流量でノズル2に吸引空気流が発生させられると共に、移載元のトレイ等に収容された物品群Sに対してノズル2が下降させられる。そして、吸引空気流の流量が最大流量(所定範囲、第1範囲)に維持されつつ、ノズル2の第1開口部21が物品群Sに接触させられる(第1ステップ、接触させるステップ)。これにより、ノズル2の収納空間23に物品群Sがある程度まで収納される。
【0037】
続いて、電磁弁66のみが閉じられることで、中間流量でノズル2に吸引空気流が発生させられると共に、移載元のトレイ等に収容された物品群Sに対してノズル2が上昇及び再下降させられる。そして、吸引空気流の流量が中間流量(所定範囲、第1範囲よりも低い第2範囲)に維持されつつ、ノズル2の第1開口部21が物品群Sに再び接触させられる(第1ステップ、再び接触させるステップ)。これにより、ノズル2の収納空間23が物品群Sによって過不足なく満たされる。
【0038】
このように、物品群Sに対してノズル2を上昇及び再下降させるのは、1度目の下降時の吸引で第1開口部21付近の物品群Sの密度が低くなっている可能性があるからである。ノズル2を上昇及び再下降させることで、第1開口部21付近の物品群Sの密度が、物品群Sを吸引するのに十分な状態に戻る。このとき、吸引空気流の流量を少なくしつつノズル2を再下降させることで、ノズル2の収納空間23が物品群Sによって過不足なく満たされる。なお、移載元のトレイ等に収容された物品群Sが十分な深さを有する場合には、ノズル2を上昇させずに、吸引空気流の流量を少なくしつつ同じ場所でノズル2を更に下降させてもよい。或いは、ノズル2を上昇及び水平移動させ、吸引空気流の流量を少なくしつつ異なる場所でノズル2を再下降させてもよい。
【0039】
続いて、物品群Sによって収納空間23が満たされた状態で、吸引空気流の流量が中間流量に維持されつつ、ノズル2が上昇させられ、ノズル2の第1開口部21が物品群Sから離間させられる(第2ステップ、離間させるステップ)。このとき、ノズル2を段階的に上昇させることで、余分な物品群Sが移載元のトレイ等に落とされる。
【0040】
続いて、電磁弁66が再び開かれることで、最大流量でノズル2に吸引空気流が発生させられ、物品群Sを保持したノズル2が水平移動させられる。そして、吸引空気流の流量が最大流量(所定範囲、第2範囲よりも多い第3範囲)に維持されつつ、物品群Sを保持したノズル2が移載先のトレイ等に移動させられる(第2ステップ、移動するステップ)。続いて、移載先のトレイ等の上方においてノズル2が下降させられた後、電磁弁72が開かれて電磁弁65,66が閉じられることで、ノズル2に吐出空気流が発生させられ、収納空間23から移載先のトレイ等に物品群Sが排出される。その後、ノズル2が移載元のトレイ等に移動させられ、上述した動作が繰り返される。
【0041】
以上説明したように、物品移載装置1では、吸引空気流を発生させつつノズル2の第1開口部21を物品群Sに接触させることで、ノズル2の収納空間23が物品群Sによって満たされ、ノズル2の収納空間23において物品群Sが保持される。保持される物品群Sの量は収納空間23の容積によって決定されるため、ノズル2及びフィルタ3を交換することで、所望の量の物品群Sを保持できる。よって、物品移載装置1によれば、粉状、チップ状等の物品が油分、水分等を含んでいたとしても、そのような物品の集合である物品群Sを定量ずつ移載できる。
【0042】
また、物品移載装置1では、ノズル2に発生する吸引空気流の流量を第1流量調整部6が調整する。これにより、物品の種類、移載すべき物品群Sの量等に応じて、吸引空気流の流量を適切な流量に設定できる。
【0043】
また、物品移載装置1では、ヘッド4の移動に連動して吸引空気流の流量が変化するように、制御部8がヘッド4及び第1流量調整部6の動作を制御する。これにより、例えば、ヘッド4の移動によってノズル2を移載先に移動させる際に吸引空気流の流量を増加させて、収納空間23において保持された物品群Sが落下するのを抑制できる。
【0044】
また、物品移載装置1では、吸引空気流の流量が所定範囲に維持されつつノズル2の第1開口部21が物品群Sに接触し、物品群Sによって収納空間23が満たされた状態で、吸引空気流の流量が所定範囲に維持されつつノズル2の第1開口部21が物品群Sから離間するように、制御部8がヘッド4及び第1流量調整部6の動作を制御する。これにより、収納空間23において保持された物品群Sが落下するのを抑制できる。
【0045】
また、物品移載装置1では、吸引空気流の流量が第1範囲に維持されつつノズル2の第1開口部21が物品群Sに接触し、吸引空気流の流量が第1範囲よりも少ない第2範囲に維持されつつノズル2の第1開口部21が物品群Sに再び接触するように、制御部8がヘッド4及び第1流量調整部6の動作を制御する。これにより、ノズル2の収納空間23が物品群Sによって過不足なく満たされる。
【0046】
また、物品移載装置1では、物品群Sによってノズル2の収納空間23が満たされた状態で、吸引空気流の流量が第2範囲に維持されつつノズル2の第1開口部21が物品群Sから離間し、吸引空気流の流量が第2範囲よりも多い第3範囲に維持されつつノズル2が移載先に移動するように、制御部8がヘッド4及び第1流量調整部6の動作を制御する。これにより、ノズル2が移載先に移動する際に、収納空間23において保持された物品群Sが落下するのを抑制できる。
【0047】
また、物品移載装置1では、ノズル2に吐出空気流を発生させるための本流路43及び第2分岐流路45がヘッド4に形成されている。これにより、移載先において吐出空気流を発生させることで、収納空間23から物品群Sを確実に排出できる。
【0048】
また、物品移載装置1では、ノズル2に発生する吐出空気流の流量を第2流量調整部7が調整する。これにより、物品の種類、移載すべき物品群Sの量等に応じて、吐出空気流の流量を適切な流量に設定できる。
【0049】
また、物品移載装置1では、ノズル2が、第1開口部21及び第2開口部22を有する筒体であり、フィルタ3が、複数の孔3aが形成された板材であって、第2開口部22の内側に設けられた段差部24に配置される。これにより、物品の種類、移載すべき物品群Sの量等に応じて、様々な種類のノズル2及びフィルタ3を容易に準備できる。
【0050】
また、物品移載装置1では、ドレンホース9が、本流路43における第2開口部22とは反対側の端部(第1流路に吸引空気流が発生した場合における第1流路の下流側の端部)に接続される。これにより、物品が油分、水分等を含んでいる場合に、フィルタ3を通過した油分、水分等をドレンホース9に回収できる。つまり、フィルタ3を通過した油分、水分等の飛散を防止できる。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、ヘッド4に対するノズル2及びフィルタ3が着脱機構は、上述したものに限定されず、他の構成(例えば、マグネット、圧入方式等の構成)を有してもよい。また、第1流量調整部6は、吸引空気流の流量(単位時間当たりの流量)を調整できれば、他の構成を有してもよい。同様に、第2流量調整部7は、吐出空気流の流量(単位時間当たりの流量)を調整できれば、他の構成を有してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…物品移載装置、2…ノズル、3…フィルタ、3a…孔、4…ヘッド、6…第1流量調整部、7…第2流量調整部、8…制御部、21…第1開口部、22…第2開口部、23…収納空間、24…段差部、S…物品群。