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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】保管庫
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20220119BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20220119BHJP
   F26B 5/16 20060101ALI20220119BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20220119BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F26B9/06 Z
F24F5/00 Z
F26B5/16
F26B25/00 A
B01D53/26 230
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018072782
(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公開番号】P2019184103
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000222509
【氏名又は名称】東洋リビング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】牛田 唯一
(72)【発明者】
【氏名】鶴岡 広国
(72)【発明者】
【氏名】矢木 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】押田 隆博
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-134034(JP,A)
【文献】特開2009-68807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 9/06
F24F 5/00
F26B 5/16
F26B 25/00
B01D 53/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内を除湿する保管庫であって、
前記庫内の空気を取り込んで除湿し前記庫内へ給気するとともに、当該除湿した前記庫内の空気中の水分を気化して庫外に排気する除湿ユニットと、
前記除湿ユニットを制御する制御手段と、を備え、
前記除湿ユニットは、
前記除湿ユニット内に配置され、加熱再生可能な乾燥剤が充填された乾燥装置と、
前記庫内と前記除湿ユニット内との空気循環路を開閉する庫内シャッタと、
前記庫外と前記除湿ユニット内との空気循環路を開閉する庫外シャッタと、
前記乾燥装置に充填された乾燥剤を加熱するヒータと、を有し、
前記制御手段は、
前記庫内シャッタを開き、前記庫外シャッタを閉じて、前記庫内と前記除湿ユニット内との間を空気循環させて、前記乾燥装置内に充填された乾燥剤により前記庫内を除湿する除湿処理、および、前記庫内シャッタを閉じ、前記庫外シャッタを開いて、前記庫外と前記除湿ユニット内との間を空気循環させ、かつ、前記ヒータをオンにして前記乾燥装置内に充填された乾燥剤を加熱することにより、当該乾燥剤を脱湿する加熱再生処理を、択一的に実施するとともに、
前記除湿処理から前記加熱再生処理に移行する際に、前記庫内シャッタおよび前記庫外シャッタの両方を閉じて前記ヒータをオンにし、所定の加熱加速時間が経過するのを待つ加熱加速処理を実施する
ことを特徴とする保管庫。
【請求項2】
請求項1に記載の保管庫であって、
前記制御手段は、
前記加熱再生処理から前記除湿処理に移行する際に、前記庫内シャッタを閉じ、前記庫外シャッタを開いて所定の冷却時間が経過するのを待ち、それから、前記庫内シャッタおよび前記庫外シャッタの両方を閉じて所定の待機時間が経過するのを待つ冷却処理を実施する
ことを特徴とする保管庫。
【請求項3】
請求項2に記載の保管庫であって、
前記除湿ユニット内に配置されたファンをさらに備え、
前記制御手段は、
前記冷却処理のときに前記ファンを動作させ、
前記加熱加速処理のときに前記ファンを停止させる
ことを特徴とする保管庫。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の保管庫であって、
前記除湿ユニットは、
前記除湿ユニットの一方の端部に配置され、前記庫内から前記除湿ユニット内に空気を取り込む庫内取込口および前記庫外から前記除湿ユニット内に空気を取り込む庫外取込口と、
前記除湿ユニットの他方の端部に配置され、前記除湿ユニット内から前記庫内に給気する給気口および前記除湿ユニット内から前記庫外に排気する排気口と、をさらに有し、
前記庫内シャッタは、
前記庫内取込口を開閉する庫内取込口シャッタと、
前記庫内取込口シャッタに連動して前記給気口を開閉する給気口シャッタと、を有し、
前記庫外シャッタは、
前記庫外取込口を開閉する庫外取込口シャッタと、
前記庫外取込口シャッタに連動して前記排気口を開閉する排気口シャッタと、を有し、
前記庫内取込口および前記庫外取込口は、
両者間のなす角が前記除湿ユニットの内側に形成されるように配置されており、
前記給気口および前記排気口は、
両者間のなす角が前記除湿ユニットの内側に形成されるように配置されている
ことを特徴とする保管庫。
【請求項5】
請求項4に記載の保管庫であって、
前記庫内取込口シャッタ、前記庫外取込口シャッタ、前記給気口シャッタ、および前記排気口シャッタは、それぞれ、
シャフトと、
前記シャフトに取り付けられた開閉板と、
前記除湿ユニット内に配置され、前記シャフトの両端部を回転可能に支持する一対の軸受と、を有する
ことを特徴とする保管庫。
【請求項6】
請求項5に記載の保管庫であって、
前記除湿ユニットは、
前記除湿ユニット内に配置され、前記制御手段の制御により、前記庫内取込口シャッタおよび前記給気口シャッタを開閉させる庫内シャッタアクチュエータと、
前記除湿ユニット内に配置され、前記制御手段の制御により、前記庫外取込口シャッタおよび前記排気口シャッタを開閉させる庫外シャッタアクチュエータと、をさらに有する
ことを特徴とする保管庫。
【請求項7】
請求項6に記載の保管庫であって、
前記庫内シャッタアクチュエータおよび前記庫外シャッタアクチュエータの一方は、電磁アクチュエータであり、他方は、形状記憶合金アクチュエータである
ことを特徴とする保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庫内を除湿する保管庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精密機器、食品、化学薬品等の保管品を保管する庫内を除湿する除湿ユニットを備えた保管庫が知られている(例えば特許文献1)。この種の保管庫に用いられる除湿ユニットは、除湿ユニット内に配置された乾燥装置と、除湿ユニット内と庫内との空気循環および除湿ユニット内と庫外との空気循環を行わせるための庫内シャッタおよび庫外シャッタと、を有する。乾燥装置は、乾燥装置内に充填された球状、ペレット状等の加熱再生可能な乾燥剤と、乾燥剤を加熱再生するためのヒータと、を有する。そして、除湿ユニットは、庫内シャッタを開いて庫外シャッタを閉じることにより、除湿ユニット内と庫内との間を空気循環させて、乾燥装置内に充填された乾燥剤が空気中の水分を吸着することにより庫内の空気を除湿する(除湿処理)。また、庫内シャッタを閉じて庫外シャッタを開くことにより、除湿ユニット内と庫外との間を空気循環させるとともに、定期的にヒータを動作させて吸湿した乾燥剤を加熱することにより、乾燥剤に溜まった水分を気化して庫外に排気し乾燥剤の乾燥能力を再生させる(加熱再生処理)。これらの処理を繰り返し行うことにより庫内を低湿度化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-134034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の保管庫では、除湿処理から加熱再生処理に移行する際に、庫内シャッタを開き、庫外シャッタを閉じた状態から、庫内シャッタを閉じ、庫外シャッタを開いて、ヒータをオンにして加熱再生処理に移行している。このため、庫外から除湿ユニット内に冷たい外気が侵入し、乾燥装置内に充填された乾燥剤の加熱再生に時間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低湿度を実現可能な保管庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、除湿処理から加熱再生処理に移行する際に、庫内シャッタおよび庫外シャッタの両方を閉じてヒータをオンにして所定の加熱加速時間が経過するのを待ち、それから、庫内シャッタを閉じ、庫外シャッタを開いて加熱再生処理に移行している。
【0007】
例えば、本発明は、
庫内を除湿する保管庫であって、
前記庫内の空気を取り込んで除湿し前記庫内へ給気するとともに、当該除湿した前記庫内の空気中の水分を気化して庫外に排気する除湿ユニットと、
前記除湿ユニットを制御する制御手段と、を備え、
前記除湿ユニットは、
前記除湿ユニット内に配置され、加熱再生可能な乾燥剤が充填された乾燥装置と、
前記庫内と前記除湿ユニット内との空気循環路を開閉する庫内シャッタと、
前記庫外と前記除湿ユニット内との空気循環路を開閉する庫外シャッタと、
前記乾燥装置に充填された乾燥剤を加熱するヒータと、を有し、
前記制御手段は、
前記庫内シャッタを開き、前記庫外シャッタを閉じて、前記庫内と前記除湿ユニット内との間を空気循環させて、前記乾燥装置内に充填された乾燥剤により前記庫内を除湿する除湿処理、および、前記庫内シャッタを閉じ、前記庫外シャッタを開いて、前記庫外と前記除湿ユニット内との間を空気循環させ、かつ、前記ヒータをオンにして前記乾燥装置内に充填された乾燥剤を加熱することにより、当該乾燥剤を脱湿する加熱再生処理を、択一的に実施するとともに、
前記除湿処理から前記加熱再生処理に移行する際に、前記庫内シャッタおよび前記庫外シャッタの両方を閉じて前記ヒータをオンにし、所定の加熱加速時間が経過するのを待つ加熱加速処理を実施する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、除湿処理から加熱再生処理に移行する際に、庫内シャッタおよび庫外シャッタの両方を閉じてヒータをオンにし、所定の加熱加速時間が経過するのを待つ加熱加速処理を実施するので、所定の加熱加速時間が経過するまでの間、除湿ユニット内が密閉されて暖まりやすくなり、乾燥装置内に充填された乾燥剤の温度上昇が加速されるので、乾燥剤の加熱再生を加速することができる。したがって、本発明によれば、乾燥剤の加熱再生効果を飛躍的に向上させて、低湿度を実現可能な保管庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る保管庫1の概略正面図である。
図2図2は、図1に示す保管庫1のA-A概略断面図および制御盤3の機能構成図である。
図3図3は、除湿ユニット2の概略断面図である。
図4図4は、シャッタ23の概略正面図である。
図5図5は、保管庫1の動作を説明するためのフロー図である。
図6図6は、図5に示す加熱再生処理S1を説明するためのフロー図である。
図7図7は、図5に示す冷却処理S2を説明するためのフロー図である。
図8図8は、図5に示す除湿処理S3を説明するためのフロー図である。
図9図9は、図5に示す加熱加速処理S4を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る保管庫1の概略正面図である。また、図2は、図1に示す保管庫1のA-A概略断面図および制御盤3の機能構成図である。
【0012】
本実施の形態に係る保管庫1は、例えば露点温度-50℃以下の超低湿度環境が要求される二次電池材料、有機EL封止装置等の保管品を保管する。
【0013】
図1および図2に示すように、保管庫1は、前面11に設けられ、庫内10にアクセスするための扉12と、庫内10を除湿するための除湿ユニット2と、除湿ユニット2を制御する制御盤3と、前面11等に配置された操作パネル4と、庫内10の温度、湿度等を測定するセンサ5と、を備えている。
【0014】
操作パネル4は、各種指示、設定情報等をユーザから受け付けるためのボタン、キー等の入力装置と、各種設定情報、動作状態、環境情報等をユーザに知らせるための液晶パネル、LED等の表示装置と、を備えている。
【0015】
除湿ユニット2は、ゼオライト、シリカゲル等の加熱再生可能な乾燥剤を用いて、庫内10を除湿する。
【0016】
図3は、除湿ユニット2の概略断面図である。
【0017】
図示するように、除湿ユニット2は、背壁13に形成された開口部130を庫内10側から塞ぐように庫内10に設置されている。なお、除湿ユニット2は、背壁13に形成された開口部130を庫外側から塞ぐように庫外に設置してもよい。
【0018】
この除湿ユニット2は、少なくとも1台の乾燥装置20と、ファン21と、乾燥装置20およびファン21を収容するハウジング22と、庫内10とハウジング22内の空気循環路を開閉する庫内シャッタ23a、23bと、庫外とハウジング22内の空気循環路を開閉する庫外シャッタ23c、23dと、庫内シャッタ23a、23bを駆動するSMA(形状記憶合金)アクチュエータ26aと、庫外シャッタ23c、23dを駆動する電磁アクチュエータ26bと、を備えている。以下、庫外シャッタ23c、23dおよび庫内シャッタ23a、23bは、単にシャッタ23とも呼ぶこととする。また、SMAアクチュエータ26aおよび電磁アクチュエータ26bは、単にアクチュエータ26とも呼ぶこととする。
【0019】
ハウジング22は、乾燥装置20が配置された乾燥室220と、庫内シャッタ23aが配置された流路室221aと、庫内シャッタ23bが配置された流路室221bと、庫外シャッタ23cが配置された流路室221cと、庫外シャッタ23dが配置された流路室221dと、を有する。以下、流路室221a~221dは、単に流路室221とも呼ぶこととする。
【0020】
流路室221aは、乾燥室220の下方の庫内10側に配置され、庫内10から空気B1を流路室221a内に取り込むための通気口25aと、流路室221aから空気B1を乾燥室220内に取り込むための庫内取込口24aと、を有している。
【0021】
流路室221bは、乾燥室220の上方の庫内10側に配置され、乾燥室220から空気B2を流路室221b内に給気するための給気口24bと、流路室221bから空気B2を庫内10に給気するための通気口25bと、を有している。
【0022】
流路室221cは、乾燥室220の下方の庫外側に配置され、庫外から空気A1を流路室221c内に取り込むための通気口25cと、流路室221cから空気A1を乾燥室220内に取り込むための庫外取込口24cと、を有している。
【0023】
流路室221dは、乾燥室220の上方の庫外側に配置され、乾燥室220から空気A2を流路室221d内に排気するための排気口24dと、流路室221dから空気A2を庫外に排気するための通気口25dと、を有している。
【0024】
庫内取込口24aおよび庫外取込口24cは、両者間のなす角(180度未満の角)α1が乾燥室220内に形成されるように、乾燥室220の長手方向(高さ方向)Hに対して斜めに配置されている。また、給気口24bおよび排気口24dは、両者間のなす角(180度未満の角)α2が乾燥室220内に形成されるように、乾燥室220の長手方向Hに対して斜めに配置されている。また、通気口25a~25dは、乾燥室220の長手方向Hに対して平行に配置されている。
【0025】
ファン21は、乾燥室220内に配置され、流路室221a、221bを介して乾燥室220内と庫内10との間、あるいは、流路室221c、221dを介して乾燥室220内と庫外との間で強制的に空気循環させるために駆動される。
【0026】
乾燥装置20は、乾燥装置20内に充填された球状、ペレット状等の乾燥剤201と、乾燥装置20内に乾燥剤201とともに収容されたヒータ202と、を有している。乾燥装置20は、乾燥剤201で吸湿することにより、流路室221aを介して庫内10から乾燥室220内に取り込まれた空気B1を除湿する。また、ヒータ202により乾燥剤201を加熱することにより、乾燥剤201が吸湿した水分を気化し、気化した水分を含む空気A2を、流路室221dを介して乾燥室220内から庫外へ排気する。
【0027】
乾燥剤201は、ゼオライト、シリカゲル等の加熱再生可能な乾燥剤であり、庫内10の空気を十分に除湿できるように庫内10のスペースに応じて定められた量が乾燥装置20に充填されている。図示していないが、乾燥装置20には、乾燥剤201の粒径より狭い幅のスリットが複数形成されており、乾燥剤201は、このスリットを介して乾燥室220内を除湿する。
【0028】
ヒータ202は、制御盤3の制御により、乾燥装置20内に充填された乾燥剤201を加熱して、乾燥剤201に溜まった水分を気化し、乾燥剤201の乾燥能力を再生する。
【0029】
庫内シャッタ23aは、SMAアクチュエータ26aにより、庫内取込口24aを開閉する。また、庫内シャッタ23bは、SMAアクチュエータ26aにより、庫内シャッタ23aと連動して給気口24bを開閉する。
【0030】
庫外シャッタ23cは、電磁アクチュエータ26bにより、庫外取込口24cを開閉する。また、庫外シャッタ23dは、電磁アクチュエータ26bにより、庫外シャッタ23cと連動して排気口24dを開閉する。
【0031】
図4は、シャッタ23の概略正面図である。
【0032】
図示するように、シャッタ23は、流路室221の幅W方向に配置されたシャフト230と、シャフト230に取り付けられ、少なくとも開閉対象の開口24(庫内取込口24a、給気口24b、庫外取込口24c、排気口24d)より大きな開閉板231と、流路室221の側壁(幅W方向と直交する内壁)223a、223bに設けられ、シャフト230の両端部を回転可能に支持する一対の軸受232a、232bと、を有している。
【0033】
開閉板231は、幅W方向の中央付近において、アクチュエータ26の駆動アーム260に連結されており、駆動アーム260が長手方向Hに往復移動することにより、シャフト230回りに回動して開閉対象の開口24を開閉する。
【0034】
図3に戻って説明を続ける。
【0035】
アクチュエータ26は、乾燥室220内に配置されており、シャッタ23の開閉板231に連結された駆動アーム260を長手方向Hに往復移動させることにより、シャッタ23を駆動する。
【0036】
具体的には、SMAアクチュエータ26aは、形状記憶合金への通電を制御することにより、庫内シャッタ23a、23bに連結された駆動アーム260を長手方向Hにおいて互いに反対方向に移動させる。これにより、庫内シャッタ23aに庫内取込口24aを開閉させるとともに、これに連動して庫内シャッタ23bに給気口24bを開閉させて、庫内10と乾燥室220内の空気循環路を開閉する。
【0037】
また、電磁アクチュエータ26bは、ソレノイドへの通電を制御することにより、庫外シャッタ23c、23dに連結された駆動アーム260を長手方向Hにおいて互いに反対方向に移動させる。これにより、庫外シャッタ23cに庫外取込口24cを開閉させるとともに、これに連動して庫外シャッタ23dに排気口24dを開閉させて、庫外と乾燥室220内の空気循環路を開閉する。
【0038】
図2に戻って説明を続ける。
【0039】
制御盤3は、操作パネル4を介して操作者から受け付けた指示に従い除湿ユニット2を制御する。図示するように、制御盤3は、センサIF部30と、操作パネルIF部31と、シャッタ駆動部32と、ファン駆動部33と、ヒータ駆動部34と、主制御部35と、を備えている。
【0040】
センサIF部30は、主制御部35をセンサ5に接続するためのインターフェースである。操作パネルIF部31は、主制御部35を操作パネル4に接続するためのインターフェースである。
【0041】
シャッタ駆動部32は、庫内シャッタ23a、23bおよび庫外シャッタ23c、23dの開閉動作を制御する。ファン駆動部33は、ファン21の動作を制御する。ヒータ駆動部34は、ヒータ202の動作を制御する。
【0042】
主制御部35は、制御盤3の各部30~34を統括的に制御して庫内10を除湿する。
【0043】
図5は、保管庫1の動作を説明するためのフロー図である。
【0044】
図示するように、保管庫1は、庫外と乾燥室220内との間を空気循環させ、かつ、ヒータ202をオンにして乾燥装置20内の乾燥剤201を加熱することにより脱湿する加熱再生処理S1、庫外と乾燥室220内との間を空気循環させ、かつファン21をオンし、強制的に空気の流れを起こすことで乾燥装置20内の乾燥剤201を冷却する冷却処理S2、庫内と乾燥室220内との間を空気循環させることにより、乾燥装置20内の乾燥剤201で庫内10を除湿する除湿処理S3、および乾燥室220内を密閉状態にしてヒータ202をオンにすることにより、乾燥装置20内の乾燥剤201の温度上昇を加速する加熱加速処理S4を、この順番でサイクリックに実施する。
【0045】
図6は、図5に示す加熱再生処理S1を説明するためのフロー図である。
【0046】
制御盤3において、主制御部35は、シャッタ駆動部32、ファン駆動部33、およびヒータ駆動部34に加熱再生処理の開始を指示する。これを受けて、シャッタ駆動部32は、庫内シャッタ23a、23bを閉じて庫外シャッタ23c、23dを開く。また、ファン駆動部33はファン21をオフにし、ヒータ駆動部34はヒータ202をオンにする(S10)。これにより、図3に示すように、庫外の空気A1が、流路室221cを介して乾燥室220内に取り込まれるとともに、ヒータ202の加熱により、乾燥剤201に吸湿された水分が気化する。そして、乾燥室220内の湿った空気A2が、流路室221dを介して庫外に排気されて、乾燥剤201が乾燥する。
【0047】
つぎに、主制御部35は、所定の加熱再生時間(例えば30分)が経過するのを待ち(S11)、それから、このフローを終了して、冷却処理S2に進む。
【0048】
図7は、図5に示す冷却処理S2を説明するためのフロー図である。
【0049】
制御盤3において、主制御部35は、シャッタ駆動部32、ファン駆動部33、およびヒータ駆動部34に冷却処理の開始を指示する。これを受けて、シャッタ駆動部32は、庫内シャッタ23a、23bを閉じ、庫外シャッタ23c、23dを開く。また、ファン駆動部33はファン21をオンにし、ヒータ駆動部34はヒータ202をオフにする(S20)。ファン21をオンすることによって乾燥室22内に強制的な空気の流れが起き、乾燥剤201の冷却が促進され、自然対流による冷却よりも素早い冷却となり、乾燥剤201の吸着能力が復帰するまでの時間を短縮できる。
【0050】
つぎに、主制御部35は、所定の冷却時間(例えば10分)が経過するのを待ち(S21)、それから、このフローを終了して除湿処理S3に進む。
【0051】
図8は、図5に示す除湿処理S3を説明するためのフロー図である。
【0052】
制御盤3において、主制御部35は、シャッタ駆動部32、ファン駆動部33、およびヒータ駆動部34に除湿処理の開始を指示する。これを受けて、シャッタ駆動部32は、庫内シャッタ23a、23bを開き、庫外シャッタ23c、23dを閉じる。また、ファン駆動部33はファン21をオンにし、ヒータ駆動部34はヒータ202をオフにする(S30)。これにより、図3に示すように、庫内10の湿った空気B1が、流路室221aを介して乾燥室220内に取り込まれ、乾燥剤201により吸湿される。そして、乾燥室220内の乾いた空気B2が、流路室221bを介して庫内10に給気されて、庫内10が除湿される。また、冷却処理S2から除湿処理S3に移行する際に、庫内シャッタ23a、23b:開→閉、庫外シャッタ23c、23d:閉→開となるが、この動作にタイムラグを設け、一瞬全てのシャッタ23a~23dが閉じた状態を設けることで、庫外側から庫内10側へのリークの影響を最小限に抑えることができる。
【0053】
つぎに、主制御部35は、所定の除湿時間(例えば7時間)が経過するのを待ち(S31)、それから、このフローを終了して加熱加速処理S4に進む。
【0054】
図9は、図5に示す加熱加速処理S4を説明するためのフロー図である。
【0055】
制御盤3において、主制御部35は、シャッタ駆動部32、ファン駆動部33、およびヒータ駆動部34に加熱加速処理の開始を指示する。これを受けて、シャッタ駆動部32は、庫内シャッタ23a、23bおよび庫外シャッタ23c、23dの両方を閉じる。また、ファン駆動部33はファン21をオフにし、ヒータ駆動部34はヒータ202をオンにする(S40)。これにより、乾燥室220が密閉されて、乾燥室220内の空気が暖まりやすくなるため、ヒータ202の加熱による乾燥剤201の温度上昇が加速される。
【0056】
つぎに、主制御部35は、所定の加熱加速時間(例えば10分)が経過するのを待ち(S41)、それから、このフローを終了して、加熱処理S1に戻る。
【0057】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0058】
本実施の形態によれば、除湿処理S3から加熱再生処理S1に移行する際に、庫内シャッタ23a、23bおよび庫外シャッタ23c、23dの両方を閉じ、ヒータ202をオンにして所定の加熱加速時間が経過するのを待つ加熱加速処理S4を実施するので、所定の加熱加速時間が経過するまでの間、乾燥室220内が密閉されて暖まりやすくなり、ヒータ202の加熱による乾燥剤201の温度上昇が加速されるので、加熱再生処理S1における乾燥剤201の加熱再生を加速することができる。したがって、本実施の形態によれば、乾燥剤201の加熱再生効果を飛躍的に向上させて、低湿度を実現可能な保管庫1を提供することができる。
【0059】
また、本実施の形態において、除湿ユニット2は、長手方向Hの一方の端部に配置され、流路室221aを介して庫内10から乾燥室220内に空気を取り込む庫内取込口24aおよび流路室221cを介して庫外から乾燥室220内に空気を取り込む庫外取込口24cと、長手方向Hの他方の端部に配置され、流路室221bを介して乾燥室220内から庫内10に給気する給気口24bおよび流路室221dを介して乾燥室220内から庫外に排気する排気口24dと、庫内取込口24aを開閉する庫内シャッタ23aと、庫内シャッタ23aに連動して給気口24bを開閉する庫内シャッタ23bと、庫外取込口24cを開閉する庫外シャッタ23cと、庫外シャッタ23cに連動して排気口24dを開閉する庫外シャッタ23dと、を有している。そして、庫内取込口24aおよび庫外取込口24cは、両者間のなす角α1が乾燥室220内に形成されるように配置され、かつ給気口24bおよび排気口24dは、両者間のなす角α2が乾燥室220内に形成されるように配置されている。このため、庫内取込口24a、給気口24b、庫外取込口24c、および排気口24dの開口面積をより大きくしつつ、乾燥室220と庫内10との間の空気循環路および乾燥室220と庫外との間の空気循環路から急激な屈折箇所をなくすことができるので、乾燥室220と庫内10との間の空気循環および乾燥室220と庫外との間の空気循環をスムーズにすることができる。したがって、本実施の形態によれば、庫内10の除湿効果および乾燥剤201の加熱再生効果をさらに向上させて、より低湿度を実現可能な保管庫1を提供することができる。
【0060】
また、本実施の形態において、除湿ユニット2は、シャッタ23(庫内シャッタ23a、23b、庫外シャッタ23c、23d)は、シャフト230と、シャフト230に取り付けられた開閉板231と、流路室221内に配置され、シャフト230の両端部を回転可能に支持する一対の軸受232a、232bと、を有している。軸受232a、232bを流路室221内に配置しているので、シャフト230を外部に突出させるための貫通孔を流路室221の側壁223a、223bに設ける必要がない。このため、例えば、庫外から流路室221cに流れ込んだ空気A1の一部が庫内10に漏れて庫内10の湿度に影響したり、乾燥室220内から流路室221dに流れ込んだ空気A2の一部が庫内10に漏れて庫内10の温度に影響したりするのを防止することができる。したがって、本実施の形態によれば、庫内10の湿度および温度をより安定させることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、シャッタ23を開閉するアクチュエータ26を乾燥室220内に配置している。このため、シャッタ23の開閉板231をシャフト230回りに回転させる力を付与するための駆動アーム260を、開閉板231の中央付近に当接させることができ、これにより、流路室221の側壁223a、223bの外部に突き出したシャフトの一方の端部にトルクを付与して開閉板231をシャフト回りに回転させる場合に比べて、開閉対象の開口24の閉成時に、開閉対象の開口24の縁部(受け面)全周により均一に開閉板231を押し当てることができるので、開閉対象の開口24の縁部(受け面)と開閉板231との間に隙間ができるのを防止することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0063】
例えば、上記の実施の形態の冷却処理S2において、ファン21をオンにし、ヒータ202をオフにした状態で、庫内シャッタ23a、23bを閉じ、庫外シャッタ23c、23dを開いて(S20)、所定の冷却時間の経過を待った後に(S21)、さらに、庫内シャッタ23a、23bおよび庫外シャッタ23c、23dの両方を閉じて、所定の待機時間(例えば10分)の経過を待つようにしてもよい。このようにすることで、庫外から乾燥室220内に浸入した湿った空気を十分に乾燥させてから、除湿処理S3に移行することができるので、乾燥室220内の湿った空気の影響により庫内10の湿度が上昇するのを防止することができる。また、冷却処理S2においてファン21をオフにしてもよい。
【0064】
また、上記の実施の形態において、除湿ユニット2のファン21を省略してもよい。また、操作パネル4を省略してもよい。
【0065】
また、上記の実施の形態では、庫内シャッタ23a、23bを開閉させるアクチュエータ26にSMAアクチュエータ26aを用いるとともに、庫外シャッタ23c、23dを開閉させるアクチュエータ26に電磁アクチュエータ26bを用いているが、本発明はこれに限定されない。庫内シャッタ23a、23bを開閉させるアクチュエータ26に電磁アクチュエータを用いるとともに、庫外シャッタ23c、23dを開閉させるアクチュエータ26にSMAアクチュエータを用いてもよい。また、庫内シャッタ23a、23bを開閉させるアクチュエータおよび庫外シャッタ23c、23dを開閉させるアクチュエータの両方に、電磁アクチュエータを用いてもよいし、あるいはSMAアクチュエータを用いてもよい。
【0066】
また、上記の実施の形態において、制御盤3の機能構成(図2参照)は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU、メモリ、およびHDD等の補助記憶装置を備えた汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:保管庫 2:除湿ユニット 3:制御盤 4:操作パネル 5:センサ 10:庫内 11:前面 12:扉 13:背壁 20:乾燥装置 21:ファン 22:ハウジング 23、23a,23b,23c,23d:シャッタ 24:開口 24a:庫内取込口 24b:給気口 24c:庫外取込口 24d:排気口 25a,25b,25c,25d:通気口 26a:SMAアクチュエータ 26b:電磁アクチュエータ 30:センサIF部 31:操作パネルIF部 32:シャッタ駆動部 33:ファン駆動部 34:ヒータ駆動部 35:主制御部 130:背壁13の開口部 201:乾燥剤 202:ヒータ 220:乾燥室 221,221a,221b,221c,221d:流路室 223a,223b:乾燥室221の側壁 230:シャフト 231:開閉板 232a,232b:軸受 260:駆動アーム
図1
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図9