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特許7011337スプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】スプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/12 20060101AFI20220119BHJP
   A62C 35/68 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A62C37/12
A62C35/68
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019525072
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 JP2018005847
(87)【国際公開番号】W WO2018235334
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2017122967
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000199186
【氏名又は名称】千住スプリンクラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小岩 康明
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0173094(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0059235(US,A1)
【文献】実開昭56-158271(JP,U)
【文献】特表2008-534143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体にノズルを有しており前記本体から前記ノズルの放水方向に延出された複数のフレームアームを備え、前記複数のフレームアームの間に感熱体である2枚の金属板を低融点合金で接合したリンクと、前記リンクと係合する支柱およびレバーが設置されたスプリンクラーヘッドに用いられるプロテクターであり、
前記感熱体を前記プロテクターの内部に挿通可能な開口部を有しており、
前記開口部に対向してベース面が設置され、
前記スプリンクラーヘッドに前記プロテクターを取り付ける際に、前記プロテクターを前記フレームアームに着脱可能に係合するために、前記ベース面から前記フレームアームを越えて前記開口部側に延出する一対の側面と、
前記一対の側面には前記フレームアームに対してそれぞれ係合する第1突起を有し、前記第1突起は前記フレームアームを安定した状態で保持するために、前記一対の側面が延出する方向に対して垂直方向に延びており、
前記ベース面と前記一対の側面の内側には平面が設置され、前記平面には前記支柱と前記レバーを内部に収容する第1欠如部が設置されていることを特徴とするスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項2】
前記一対の側面の先端は、前記フレームアームを超えて前記開口部側に延出しており、前記一対の側面の前記開口部側には前記フレームアームと係合する前記第1突起を有する請求項1記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項3】
前記第1欠如部から前記ノズルの中心軸に沿って延出部が設置されている請求項1または請求項2記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項4】
前記平面には前記フレームアームを内部に収容する第2欠如部を有しており、前記第2欠如部の先端には前記フレームアームを係止する第2突起が設置されている請求項1~請求項の何れか1項記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項5】
本体にノズルを有しており前記本体から前記ノズルの放水方向に延出された複数のフレームアームを備え、前記複数のフレームアームの間に感熱体である2枚の金属板を低融点合金で接合したリンクと、前記リンクと係合する支柱およびレバーが設置されたスプリンクラーヘッドに用いられるプロテクターであり、
前記感熱体を前記プロテクターの内部に挿通可能な開口部を有しており、
前記開口部に対向してベース面が設置され、
前記ベース面から前記開口部側に延出しており前記フレームアームの近傍を通過する側面と、
前記側面には前記フレームアームと係合する第1突起を有しており、
前記ベース面は前記ノズルの中心軸に沿って溝が設置されており、前記溝を支点として前記側面の先端を移動可能とし
前記側面は前記フレームアームの内側に挿通されることを特徴とするスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項6】
前記ベース面と前記側面の内側には平面が設置され、該平面には前記支柱と前記レバーを内部に収容する第1欠如部が設置されており、該第1欠如部は溝まで続いている請求項記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項7】
前記フレームアームと係合する前記第1突起よりも前記ベース面側に把持部を備える請求項1~請求項の何れか1項記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項8】
前記平面から前記ノズルの方向に離間して設置されたノズル側の平面には、前記ノズルの方向に向かって脚が設置されている請求項1~請求項4の何れか1項記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項9】
前記支柱側に前記開口部が配置され、前記レバー側に前記ベース面が配置されている請求項1~請求項8の何れか1項記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項10】
前記スプリンクラーヘッドに取付けられた状態において、前記ベース面は前記複数のフレームアームを通過する仮想直線から離間しており、前記側面は前記ベース面から前記仮想直線と交差する方向に延出されている請求項1~請求項9の何れか1項記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【請求項11】
前記第1突起は、前記フレームアームが配置されている方向に突出している請求項1~請求項10の何れか1項記載のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラーヘッドの感熱体を保護するプロテクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラーヘッドは火災時に自動的に作動して水を散布する。常時においてノズルは感熱分解部により閉止されており、感熱分解部に組み込まれ感熱体が火災の熱により作用することで感熱分解部が分解作動してノズルが開放される。
【0003】
スプリンクラーヘッドは、感熱体および感熱分解部を輸送時や施工時の衝撃から保護するために保護キャップ(例えば、特許文献1参照)やプロテクター(例えば、特許文献2参照)を装着している。
【0004】
特に、フレーム型スプリンクラーヘッドは感熱体や感熱分解部が露出しており外力を受けやすいことから、海外では規格により保護キャップまたはプロテクターの装着が定められている国がある。
【0005】
海外では、感熱体としてグラスバルブが用いられるのが一般的である。グラスバルブはガラスの内部にアルコール等を封入したものであり、火災の熱によりアルコールが気化してガラスが破壊されることでスプリンクラーヘッドのノズルが開放される。グラスバルブを外力から保護するために輸送や施工の際にはグラスバルブを囲むようにプロテクターが設置されている。
【0006】
図9に示すプロテクター36は、スプリンクラーヘッドSの2本のフレームアーム70、72を挟むように2つの平面38、40が設けられており、2つの平面の間はヒンジ面54により接続されている。2つの平面38、40においてヒンジ面54により接続された側と反対側にはファスナー60が設置されている。2つの平面38、40の間にフレームアーム70、72とグラスバルブ30を挟んだ状態でファスナー60を穴62に係止させることでグラスバルブ30を外力から保護することができる。スプリンクラーヘッドSの施工が完了したらファスナー60の係合を解除してプロテクター36が取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-210034号公報
【文献】米国特許第6669111号明細書
【文献】米国特許第7900852号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のプロテクター36は、ファスナー60の係合を解除する際に2つの平面38、40を離す方向に移動させる必要がある。これに加えてグラスバルブ30に衝撃を与えない様に作業しなければならないので、両手を使ってファスナー60の係合を解除していた。例えば、左手で一方の平面38を掴み、右手で他方の平面40を一方の平面38から離す方向に移動させてファスナー60の係合を解除しており、作業の効率化が望まれている。
【0009】
また、グラスバルブの代わりに感熱体として2枚の金属板を低融点合金で貼り合わせたリンクが設置されている場合には、リンクがフレームアームの間から外部に突出しているのでプロテクターの構造がより複雑になるとともにプロテクターの着脱の際にもリンクとプロテクターが干渉しないように注意を払いながら作業しなければならなかった。
【0010】
そこで本発明では、上記問題に鑑み、スプリンクラーヘッドの感熱体を保護するために、スプリンクラーヘッドに着脱可能に取付られ、スプリンクラーヘッドの施工後には容易に取外し可能なスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクターの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は以下のスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクターを提供する。
すなわち、本体にノズルを有しており本体からノズルの放水方向に延出された複数のフレームアームを備え、複数のフレームアームの間に感熱体が設置されたスプリンクラーヘッドに用いられるプロテクターであり、感熱体をプロテクターの内部に挿通可能な開口部を有しており、開口部に対向してベース面が設置されており、ベース面から開口部側に延出しておりフレームアームの近傍を通過する側面と、側面にはフレームアームと係合される突起を有する。
【0012】
スプリンクラーヘッドは本体にノズルを有しており、本体から放水方向へ延出された複数のフレームアームを有しており、複数のフレームアームの間には感熱分解部が設置されている。ノズルと感熱分解部の間にノズルを閉塞する閉止部材が設置され、感熱分解部には熱によって作動する感熱体が含まれている。プロテクターをフレームアームに係合する構造にしたことで、着脱の際に片手で操作可能となる。感熱体はベース面、側面、ベース面と側面の内側に設置された平面により覆われており外力から保護される。フレームアームはプロテクターの側面に近接して配されており、側面に設置された突起によりフレームアームとの係合状態を保持している。
【0013】
上記のプロテクターは、側面の先端がフレームアームを超えて開口部側に延出しており、側面の開口部側にはフレームアームと係合する突起を有している。これによりプロテクターの側面がフレームアームを超えて感熱体全体を覆う構成となり、感熱体を外力から保護することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、スプリンクラーヘッドの感熱体を保護するためスプリンクラーヘッドに着脱可能に取付られ、スプリンクラーヘッドの施工後には容易に取外し可能なスプリンクラーヘッドの感熱体用プロテクターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のプロテクターを装着したスプリンクラーヘッドの断面図。
図2図1の正面図。
図3】第1実施形態のプロテクターの斜視図。
図4図2のIV-IV断面図。
図5】第2実施形態のプロテクターを装着したスプリンクラーヘッドの断面図。
図6図5の正面図。
図7】第2実施形態のプロテクターの斜視図。
図8図6のVIII-VIII断面図。
図9】従来のプロテクターおよびスプリンクラーヘッドの斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1実施形態(図1図4
図1に示す第1実施形態のプロテクター10は、スプリンクラーヘッドSの感熱体を覆うように設置される。スプリンクラーヘッドSは図示しない給水配管と接続されており、内部にノズル1Aを有する本体1と、本体1から放水方向に延出された2本のフレームアーム2、2を有する。フレームアーム2の先端はノズルの中心軸1B上に配置された中空形状のボス3に接続している。ボス3の先端にはデフレクター4が設置されている。
【0017】
デフレクター4はノズルから放出された水を衝突させて四方へ飛散させるものであり、概ね円盤形状をしている。デフレクター4の周縁には複数のスリット(図示しない)が形成されており、スリットの形状によって散水パターンをコントロールしている。
【0018】
平時において、ノズル1Aの出口は閉止部材5により閉止されている。閉止部材5とボス3の間には感熱分解部6が設置されている。感熱分解部6はリンク6A、支柱6B、レバー6Cから構成される。リンク6Aは火災の熱により作動する感熱体であり、2枚の薄い金属板61を低融点合金で接合して構成されている。低融点合金は60~200℃の範囲内に融点を持つものを使用しており、融点が72℃や96℃の低融点合金が一般的に使用されている。
【0019】
略四角形をした金属板61、61は、一方の端に穴61aを有しており、他方の端にはスリット61bが設置されている。2枚の金属板61は、穴61aが設置された側と反対側の端を重ねた状態で低融点合金により接合されている。接合後の一方の金属板61の穴61aの位置には、他方の金属板61のスリット61bが配置される。2つの穴61aには、それぞれ支柱6Bとレバー6Cが挿通される。
【0020】
支柱6Bは短冊型であり、一端はノズル1Aの出口に設置された閉止部材5と係合され他端はレバー6Cの先端に係合される。前述のように支柱6Bはリンク6Aの穴61aに挿通されている。支柱6Bの中間には突起63が設置されており、突起63の近傍にリンク6Aを係止している。
【0021】
レバー6Cは細長い板を略L字型に屈曲させて構成している。前述のようにレバー6Cの一端側はリンク6Aの穴61aに挿通されている。レバー6Cの他端側は支柱6Bと係合しており、レバー6Cには支柱6Bの先端が係合される溝64が設置されている。
【0022】
溝64が設置された面の裏側の面には、凹部65が設置されている。凹部65は溝64よりもレバー6Cの他端よりに設置される。凹部65にはボス3の内部に螺入されたインプレスネジ7が接触している。インプレスネジ7の先端がレバー6Cの凹部65を押圧すると、レバー6Cは支柱6Bが係止されている溝64を支点として回転する力が作用する。しかしながらレバー6Cの一端側にはリンク6Aの穴61aが挿通されており、レバー6Cの回転を阻止している。これにより感熱分解部6を構成するリンク6A、支柱6B、レバー6Cは係合状態を維持している。またインプレスネジ7は感熱分解部6を介して閉止部材5をノズル1A側に押圧保持している。
【0023】
火災時において、リンク6Aの低融点合金が溶融すると、一方の金属板61が上記のレバー6Cの回転によってもう一方の金属板61から引き剥がされる。これにより感熱分解部6の係合状態は解除され、リンク6A、支柱6B、レバー6Cの係合が外れるとともに支柱6Bによって支えられていた閉止部材5はノズル1Aから離れて脱落し、ノズル1Aが開放される。
【0024】
第1実施形態のプロテクター10は、前述のリンク6Aを保護するものであり、2本のフレームアーム2に対して着脱可能に係合される。プロテクター10はベース面11を備えており、リンク6Aのレバー6C側に配置されたベース面11の両端からフレームアーム2の方向に延出された側面12、12が設置されている。側面12は中間に形成された段12bによって外側に拡張しており、側面12の先端側はフレームアーム2の外側を通過して配置される。
【0025】
ベース面11において、側面12よりも上方(ボス3側)は把持部11aとなっている。把持部11aはプロテクター10を着脱する際に指で摘みやすいように設置されている。
【0026】
ベース面11と対向する側はリンク6Aを出し入れ可能な開口部14である。また、ベース面11と側面12、12の内側には平面13a、13bが設置されている。2つの平面13a、13bの間にリンク6Aを収容可能となっている。ボス3側の平面13aと側面12の先端は、フレームアーム2を超えて開口部14側に延出している。また、平面13aにはフレームアーム2を内部に収容する欠如部15が設置されている。この欠如部15により、平面13aとフレームアーム2との干渉を避けることができる。
【0027】
側面12、12の先端付近には突起12aが設置され、さらに欠如部15の開口部14付近にも同様な突起17が設置されている。欠如部15に収容されたフレームアーム2を突起12a、17により係止することで、プロテクター10をスプリンクラーヘッドSに安定して保持させることができる。例えば輸送時の振動や、施工時にプロテクター10に手や物が触れた場合でも、プロテクター10が容易に外れることがない。さらに側壁型スプリンクラーヘッドのようにフレームアーム2が床面に対して平行に設置される場合においても、突起12a、17によりプロテクター10の脱落を防止できる。
【0028】
平面13aには感熱分解部6の構成品である支柱6Bやレバー6Cおよびインプレスネジ7を内部に収容する欠如部16が設置されている。これにより感熱分解部6と平面13aとの干渉が避けられる。さらに欠如部16の縁からノズルの中心軸1Bに沿ってボス3の近傍まで延びた延出部18が設置されている。支柱6Bとレバー6Cは延出部18によって覆われ、外力や埃から保護される。
【0029】
ノズル1A側の平面13bは、平面13aよりも小さく設置されており、ベース面11から開口部14に向かう長さが平面13aよりも短く、後述の脚19の縁に沿ってノズル1A側に屈曲している。これによりプロテクター10を外す際にリンク6Aと平面13bが干渉しないようにしている。
【0030】
また平面13bにはノズル1A側に向かって脚19が設置されている。脚19は閉止部材5の外側に配置されている。前述の延出部18と脚19によりプロテクター10が設置された後でノズルの中心軸1Bに沿った方向へのプロテクター10の移動が阻止される。脚19の縁は丸みを帯びており、プロテクター10を外す際に脚19が本体1に引っ掛からないようにしている。
【0031】
上記構造のプロテクター10は、スプリンクラーヘッドSの輸送時や施工時に外的衝撃からリンク6Aを保護するために、スプリンクラーヘッドSの出荷前の段階で設置されている。そのためスプリンクラーヘッドSが施工現場に納入されたときには、プロテクター10がスプリンクラーヘッドSに装着された状態にある。このとき、プロテクター10の内部には感熱分解部6が収容されており、レバー6C側にベース面11が配置され、ベース面11と対向する支柱6B側に開口部14が配置される。また欠如部15の内側には、フレームアーム2が収容されており、さらに欠如部16の内側には感熱分解部6が収容される。
【0032】
プロテクター10が装着された状態でスプリンクラーヘッドSは給水配管に取付られ、天井が設置された後にプロテクター10が取り外される。第1実施形態のプロテクター10を取り外す際には、まず把持部11aの縁を親指と人差し指で摘んで手前に引き抜く。図1に示すように把持部11aが設けられたベース面11はフレームアーム2から離間して配置されおり、指とフレームアーム2との干渉が避けられる。また、把持部11aの縁に指をかけるとプロテクター10を引き抜きやすくなる。プロテクター10に設置された延出部18と脚19により平面13a、13bが感熱分解部6と干渉せずに引き抜かれる。
【0033】
スプリンクラーヘッドSは天井裏に配置された配管と接続しているので室内側からは、デフレクター4から閉止部材5までが露出している。プロテクター10を取り外す際には脚19が天井面に近接しているが、脚19の先端が丸みを帯びているのでプロテクター10をフレームアーム2から引き抜いた際に天井面を傷付けない様にしている。
【0034】
第2実施形態(図5図8
第2実施形態のプロテクター20は、ベース面21、側面22、平面23を有する。尚、第1実施形態と構成が同じ箇所については同符号を付して説明は省略する。第2実施形態のプロテクター20は、先に説明したスプリンクラーヘッドSに用いることができる。プロテクター20は感熱分解部6を内部に収容したときに、レバー6C側にベース面21が配置され、ベース面21と対向する支柱6B側に開口部14を有しており、ベース面21から開口部14側に延出しておりフレームアーム2の近傍を通過する側面22と、側面22にはフレームアーム2と係合する突起22aを有する。
【0035】
ベース面21はリンク6Aのレバー6C側に配置されており、ベース面21の両端には側面22、22が設置されている。ベース面21にはノズルの中心軸1Bに沿って溝21aが設置されており、溝21aを支点として側面22、22を回動させることができる。具体的には2つの側面22、22の外面を指で摘むと溝21aを支点として側面22、22の先端が近づく方向に移動する。この状態で側面22、22をフレームアーム2、2の内側に挿通させることができる(図8(a)参照)。
【0036】
側面22はベース面21からフレームアーム2の方向に延出しており、2つのフレームアーム2、2の内側を通過して配置される。側面22の外面にはフレームアーム2と係合可能な突起22a、22bが設けられている。突起22aは側面22の先端側に設置されており、突起22bは突起22aよりもベース面21側に配置されている。突起22a、22bの間にはフレームアーム2が係合される。
【0037】
突起22a、22bにおいて側面22から外側に突き出た量(長さ)は突起22aよりも突起22bの方が大きい。これにより側面22をフレームアーム2、2の内側に挿通させた際に、突起22bがフレームアーム2に接触した段階で、これ以上ベース面21がリンク6Aに近づかないようにしている。また、この状態で溝21a付近をベース面21の外面からリンク6Aが設置された側に押し込むと、側面22、22の先端が外側に回動して突起22a、22bをフレームアーム2と係合できる(図8参照)。
【0038】
突起22aはフレームアーム2と係合する箇所の高さに対して側面22の先端側に向かうに従い高さが減少している。これによりプロテクター20をフレームアーム2に装着する際に、突起22aがフレームアーム2の内側をスムーズに通過しやすくなる。
【0039】
また側面22には、側面22の先端からベース面21に向かうスリット22cが設置されている。スリット22cはリンク6Aの近傍に設置されており、プロテクター20を着脱する際に側面22とリンク6Aとの干渉を避ける目的で設置されている。図7ではスリット22cの上下に突起22aが設置されている。
【0040】
ベース面21と側面22、22の間には平面23が設置されている。平面23はベース面21と側面22の内側のボス3側に設置されている。ベース面21と対向する側はリンク6Aを出し入れ可能な開口部14となる。ベース面21、側面22、22、平面23によりリンク6Aを覆い外力から保護可能な構成としている。
【0041】
平面23と側面22の先端は、フレームアーム2を超えて開口部14側に延出して配置されている。また、平面23には支柱6Bおよびインプレスネジ7を避ける欠如部24が設置されている。平面23に設置された欠如部24は溝21aまで続いており、溝21a側に対して開口部14側が大きく欠如している。これにより、溝21aを支点として側面22、22を回動させて側面22、22の先端を近づけた際に、平面23と支柱6b(またはインプレスネジ7)との干渉を避けることができる。
【0042】
上記に説明したプロテクター10は感熱体がグラスバルブの場合にも適用可能である。その際、欠如部16はグラスバルブが通過可能な程度の幅に構成する。またこれに加えて、欠如部16の近傍にグラスバルブに沿って延出部18を設置することも可能である。あるいは平面13を層状に複数重ねて設置してもよい。これらの構成をプロテクター20に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
S スプリンクラーヘッド
1 本体
2 フレームアーム
3 ボス
4 デフレクター
5 閉止部材
6 感熱分解部
10、20 プロテクター
11、21 ベース面
12、22 側面
13(13a、13b)、23 平面
14 開口部
15 欠如部(第2欠如部)
16、24 欠如部(第1欠如部)
12a、17、22a、22b 突起
22c スリット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9