(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】シート類用紙製ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20220203BHJP
【FI】
B42F7/00 G
(21)【出願番号】P 2020043461
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2020-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】505120973
【氏名又は名称】株式会社セントラルフォーム
(74)【代理人】
【識別番号】100082234
【氏名又は名称】中村 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145078
【氏名又は名称】内藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 孝雄
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3181613(JP,U)
【文献】登録実用新案第3220251(JP,U)
【文献】実開昭60-051077(JP,U)
【文献】特開2003-025779(JP,A)
【文献】登録実用新案第3164980(JP,U)
【文献】特開2013-119195(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0367457(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 1/00-23/00
B65D 27/00-27/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表カバーと裏カバーの両内面を衝合して横幅方向一端側を縦貼着部により貼着し、縦幅方向下端側を横貼着部により貼着することにより、縁側を略L字状に閉塞して内側に収納部を形成し、前記表カバー及び裏カバーは紙で形成してある紙製ファイル
において、前記表カバー又は裏カバー
のいずれか一方に前記縦貼着部に沿って一定の間隔
で切込みを形成することにより、折返し部とその先端側の接着部とからなる複数の間隔拡大片を列状に設け、該各接着部は前記表カバー又は裏カバーのいずれか他方に貼着するようにしてなる収納量増加部を設けることにより、前記収納部の拡開を可能にしてあることを特徴とするシート類用紙製ファイル。
【請求項2】
前記表カバー又は裏カバーのいずれか一方に前記横貼着部に沿って一定の間隔で切込みを形成して複数の間隔拡大片を列状に形成し、前記表カバー又は裏カバー
のいずれか一方に前記縦貼着部に沿って一定の間隔
で切込みを形成することにより、折返し部とその先端側の接着部とからなる複数の間隔拡大片を列状に設け、該各接着部は前記表カバー又は裏カバーのいずれか他方に貼着するようにしてなる収納量増加部を設けたことを特徴とする請求項1記載のシート類用紙製ファイル。
【請求項3】
前記間隔拡大片は、前記折返し部の長さを選択することにより、前記収納部の容量を設定するものである請求項1記載のシート類用紙製ファイル。
【請求項4】
前記裏カバーは、横幅又は縦幅を前記表カバーより大きく形成し、該表カバーに対して張出す張出部はインデックス部としてある請求項1記載のシート類用紙製ファイル。
【請求項5】
前記表カバー又は裏カバーは、該裏カバー又は表カバーと異なる厚さの紙で成形してあることを特徴とする請求項1記載のシート類用紙製ファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の書類、伝票等のシート類の出し入れが容易であるし、シート類の枚数が多い場合でも無理なく収容可能であり、鉛筆等による書き込み、プリンターによる印字が可能で、樹脂廃棄物の削減に資することができるシート類用紙製ファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の書類等のシート類を纏めて保管するために広く用いられている合成樹脂製のシート類用ファイルは、柔軟な合成樹脂製の1枚の基材を谷折りして表シートと裏シートを重ね合せ、その下側縁部を加熱融着して結合することで内部に収納部を形成した構成からなり、その多くはA4サイズのシート類を収容する大きさからなっている。
【0003】
そして、従来のシート類用ファイルの多くは、収納したシート類が表側から目視することができ、また成形の容易性から透明又は半透明の合成樹脂材で成形してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)上述した従来の合成樹脂製のファイルは、二つ折りして下側縁を加熱溶着する構成であるために、収納枚数が多いと下側縁の溶着部が剥がれ始め、この剥がれは使用に伴って次第に拡大し、終にはファイルとして使用不能になるという欠点がある。
(2)ファイルは合成樹脂材で成形しているため、鉛筆、ボールペン、万年筆で必要な情報を書き込むことができないことからサインペンを使用しているが、修正や消去ができないという欠点がある。このため、紙のシールを張って書き込むという面倒なことで対処している。また、シュレッダーによる細断ができないという問題もある。
(3)更に、廃棄する場合もプラスチックごみとして処分するが、プラスチックごみを削減するという地球環境の保全に反するという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の欠点や未解決の問題点に鑑みなされたもので、複数枚の書類、伝票等のシート類の出し入れが容易であるし、シート類の枚数が多い場合でも無理なく収容可能であり、また軽量なので可搬性に優れており、鉛筆、万年筆、ボールペン、プリンター等で記録することや多色印刷も可能であるので使い勝手に優れているし、シュレッダーによる細断も可能であり、再製資源に活用できるしプラスチック廃棄物の削減にも資するので地球環境に優しいシート類用紙製ファイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決するために構成した請求項1に係る本発明の手段は、
前記表カバー又は裏カバーのいずれか一方に前記横貼着部に沿って一定の間隔で切込みを形成して複数の間隔拡大片を列状に形成し、前記表カバー又は裏カバーのいずれか一方に前記縦貼着部に沿って一定の間隔で切込みを形成することにより、折返し部とその先端側の接着部とからなる複数の間隔拡大片を列状に設け、該各接着部は前記表カバー又は裏カバーのいずれか他方に貼着するようにしてなる収納量増加部を設けたものからなる。
(2)そして、前記表カバー又は裏カバーのいずれか一方に前記横貼着部に沿って一定の間隔で切込みを形成して複数の間隔拡大片を列状に形成し、前記表カバー又は裏カバーのいずれか一方に前記縦貼着部に沿って一定の間隔で切込みを形成することにより、折返し部とその先端側の接着部とからなる複数の間隔拡大片を列状に設け、該各接着部は前記表カバー又は裏カバーのいずれか他方に貼着するようにしてなる収納量増加部を設けるとよい。
(3)また、前記間隔拡大片は、前記折返し部の長さを選択することにより、前記収納部の容量を設定するものである。
(4)また、前記裏カバーは、横幅又は縦幅を前記表カバーより大きく形成し、該表カバーに対して張出す張出部はインデックス部とするとよい。
(5)更に、前記表カバー又は裏カバーは、該裏カバー又は表カバーと異なる厚さの紙で成形してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く構成したから下記の諸効果を奏する。
(1)表カバーと裏カバーの間に間隔拡大片を介装させる収納量増加部を設けたから、複数枚の書類、伝票等のシート類の出し入れが容易であるし、シート類の枚数が多い場合でも縦貼着部に無理な力が加わることがないので、剥がれたりすることがなく耐久性に優れている。
(2)シート類用紙製ファイルは紙で製作してあるから、軽量で可搬性に優れており、鉛筆、万年筆、ボールペンによる書き込みが出来るし、プリンターで提案書のタイトル等を印字することや多色印刷も可能であるので使い勝手に優れているし、シュレッダーによる細断処分も可能である。
(3)紙製の表カバーと裏カバーを貼り合せてファイルを構成するから、厚さの異なる紙を組合せて製作することができる。
(4)再製紙で作成できるので資源を活用できるし、細断して再製資源にできる。しかも、プラスチック廃棄物の削減にも資するので地球環境にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1乃至
図7は本発明の第1の実施の形態に係り、
図1はシート類用紙製ファイルの正面図である。
【
図3】非使用時のシート類用紙製ファイルの部分拡大断面図である。
【
図4】使用時のシート類用紙製ファイルの部分拡大断面図である。
【
図7】
図4中のVII-VII矢示方向断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係るシート類用紙製ファイルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図面に基づき詳述する。
図1及び
図2において、1は伝票、資料等の紙製シート類を収容するためのシート類用紙製ファイル(以下、紙製ファイル1と称する)、2は該紙製ファイル1を構成する紙製の表カバーを示す。該表カバー2は靱性のある紙で形成してあり、外面2Aは鉛筆、ボールペン、万年筆、プリンター等で文字等を記載することが可能で、内面2Bは後述するように衝合面になっている。そして、表カバー2は既存のクリアファイルと略同等の大きさに形成してある。
【0011】
3は前記表カバー2と紙製ファイル1を構成する裏カバーを示す。該裏カバー3は靱性のある紙で平坦な外面3Aと内面3Bからなる長方形に形成してあるが、横幅を表カバー2より若干幅広にしてあり、
図1の正面図において右側縁が縦長帯状の張出部3Cになっている。
そして、該裏カバー3の内面3Bと表カバー2の内面2Bを衝合し、横幅方向縁部3D、2Cを接着して縦貼着部4とし、縦幅方向下縁部3E、2Dを接着して横貼着部5として略L字状に閉塞することにより、内側は収納部6にしてある。
【0012】
7は前記縦貼着部4に沿って裏カバー3の縁側に形成した収納量増加部である。なお、本実施の形態の構成を理解し易くするために、
図3乃至
図7は表カバー2、裏カバー3等の各構成要素を拡大して描いてある。該収納量増加部7は縦貼着部4に沿って一定の間隔で略コ字状の切込み7A、7A、・・・を形成することにより、複数の間隔拡大片7B、7B、・・・を列状に形成してある。そして、該各間隔拡大片7Bは倒置V字状に上方に折返す折返し部7B
1と、その先端側の接着部7B
2とからなり、該接着部7B
2は表カバー2の内面2Bに貼着してあり、折返し部7B
1は屈曲自在になっている。
【0013】
本実施の形態に係る紙製ファイル1は上述の構成からなるもので、収納部6に何も収納しない空の状態では各間隔拡大片7Bは
図3に示すように折返し部7B
1が二つ折りの状態になり、その厚さは既存のクリアファイルの厚さと略同等である。
そして、紙製ファイル1に複数枚の資料その他のシート類Sを収納する場合は、裏カバー3を矢示イ方向に押し下げて表カバー2との間の収納部6を拡開して収納する。
【0014】
この場合に、収納するシート類Sが多い場合は、収納量増加部7が機能して表カバー2と裏カバー3が離間することで収納部6の容量が増大する。即ち、差込まれるシート類Sが厚い場合は、表カバー2と裏カバー3は矢示イ方向に広げられ、これにより各間隔拡大片7の折返し部7B
1が
図3に示す折畳まれた状態から
図4に示す起立する状態になり、収納部6が拡開し容量が増大する。
かくして、シート類Sの出し入れが容易であるし、枚数が多い場合も無理なく収納することができる。また、縦貼着部4に無理な力が掛からないから縦貼着部4が剥がれることもないので、耐久性に優れたファイルとして使用できる。
【0015】
そして、裏カバー3は表カバー2より横幅を広く形成して張出部3Cにしてあり、該張出部3Cはインデックス部として使用することができる。また、収納するシート類Sが厚い場合に収納量増加部7の各間隔拡大片7Bが起立して裏カバー3の横幅があたかも縮退するようになるが、張出部3Cの幅より間隔拡大片7Bの幅は狭く表カバー2より縮退することはないから、収納するシート類Sが紙製ファイル1からはみ出ることもない。
【0016】
このようにして用いる紙製ファイル1は表カバー2も裏カバー3も紙で製作してあるから、軽量であり可搬性に優れている。また、鉛筆、万年筆、ボールペン、クレヨン等で自在に書き込むことができるし、プリンター等の事務機で印字することも可能である。
更に、シュレッダーによる細断も可能であり、再製資源に使用できるしプラスチック廃棄物の削減にも資するので地球環境に優しいシート類用紙製ファイルである。
【0017】
図8は本発明の第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して援用し、その説明を省略する。
図8において、11はシート類用紙製ファイル(以下、紙製ファイル11という)、12は該紙製ファイル11を構成する紙製の表カバーで、該表カバー12の一端側には半円状の切欠きからなる指掛け12Aが形成してある。13該表カバー12と衝合する裏カバーを示し、該裏カバー13は表カバー12と略同一の大きさからなっている。そして、表カバー12と裏カバー13は横幅方向一端側を縦貼着部14により、縦幅方向下端側を横貼着部15により貼着して略L字状に閉塞し、内側は収納部に形成してある。
【0018】
16は前記横貼着部15に沿って裏カバー13に形成した下側収納量増加部である。該下側収納量増加部16は第1の実施の形態の収納量増加部7と同じ構成からなるもので、裏カバー13に形成した略コ字状の複数の切込み16A、16A、・・・と、該各切込み16Aにより形成した間隔拡大片16B、16B、・・・とからなり、該各間隔拡大片16Bは倒置V字状の折返し部16B1と先端側の接着部16B2からなっている。
そして、間隔拡大片16Bは内側に折返して接着部16B2を表カバー12の内面に接着してある。
【0019】
本実施の形態による紙製ファイル11では、横端側の収納量増加部7と下側収納量増加部16によって表カバー12と裏カバー13が略L字状に収納部が拡開するので、枚数の多い資料も差込み易いし、横接着部15に無理な力が加わる事態を解消できる。
【0020】
なお、本実施の形態では収納量増加部7を裏カバー3に設けたが、表カバー2に設けてもよいものである。
【符号の説明】
【0021】
1、11 シート類用紙製ファイル
2、12 表カバー
3、13 裏カバー
4、14 縦貼着部
5、15 横貼着部
6 収納部
7、16 収納量増加部
7A、16A 切込み
7B、16B 間隔拡大片