(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】絵コンテ制作装置、絵コンテ制作方法及び絵コンテ制作プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/60 20060101AFI20220119BHJP
G06T 13/20 20110101ALI20220119BHJP
【FI】
G06T11/60 100A
G06T13/20
(21)【出願番号】P 2021165247
(22)【出願日】2021-10-07
【審査請求日】2021-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521443313
【氏名又は名称】曹 毅
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159248
【氏名又は名称】齋藤 修
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【氏名又は名称】大崎 絵美
(72)【発明者】
【氏名】曹 毅
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-285076(JP,A)
【文献】特開2021-028810(JP,A)
【文献】特開2020-177495(JP,A)
【文献】特開2000-172859(JP,A)
【文献】特開2003-006555(JP,A)
【文献】特開2001-338311(JP,A)
【文献】特開2008-097233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/60 - 13/80
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを決定するオブジェクト決定部と、
絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定するカメラワーク決定部と、
前記決定されたカメラワークにより映る画像を生成する画像生成部と、
前記生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する関連情報取得部と、
前記生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与するカット番号付与部と、を有
し、
前記カメラワーク決定部は、前記オブジェクトと、前記オブジェクトに対して配置することができる複数のカメラ位置を図示した画像、及び、前記複数のカメラ位置からオブジェクトを映す画像を、ユーザによるカメラワークの決定のためのUI画面として表示する、
絵コンテ制作装置。
【請求項2】
前記カット番号が付与されたカットを、前記カット番号に従って出力する出力部を、
さらに有する請求項1に記載の絵コンテ制作装置。
【請求項3】
前記生成した画像を編集する画像編集部を、さらに有する請求項1又は請求項2に記載の絵コンテ制作装置。
【請求項4】
絵コンテの制作に係るファイルに付されたタイプに応じて、所定の保存先を設置するファイル保存先設置部を、さらに有する請求項1から
3のいずれか一に記載の絵コンテ制作装置。
【請求項5】
オブジェクトを決定するオブジェクト決定ステップと、
絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定するカメラワーク決定ステップと、
前記決定されたカメラワークにより映る画像を生成する画像生成ステップと、
前記生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する関連情報取得ステップと、
前記生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与するカット番号付与ステップと、を有
し、
前記カメラワーク決定ステップは、前記オブジェクトと、前記オブジェクトに対して配置することができる複数のカメラ位置を図示した画像、及び、前記複数のカメラ位置からオブジェクトを映す画像を、ユーザによるカメラワークの決定のためのUI画面として表示する、
絵コンテ制作方法。
【請求項6】
オブジェクトを決定するオブジェクト決定ステップと、
絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定するカメラワーク決定ステップと、
前記決定されたカメラワークにより映る画像を生成する画像生成ステップと、
前記生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する関連情報取得ステップと、
前記生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与するカット番号付与ステップと、を計算機に実行させるための絵コンテ制作プログラム
であって、
前記カメラワーク決定ステップは、前記オブジェクトと前記オブジェクトに対して配置することができる複数のカメラ位置を図示した画像、及び、前記複数のカメラ位置からオブジェクトを映す画像を、ユーザによるカメラワークの決定のためのUI画面として表示する、
絵コンテ制作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニメーション制作において重要なツールである絵コンテを簡易に制作する絵コンテ制作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絵コンテは、アニメーションや映画などの映像作品の流れを、絵と文字を使って表現したものである。より具体的には、カットの画像、カットの通し番号、カットの説明(絵の動き、セリフ、音、状況説明、意図など)、カットの長さ(時間)などを、時系列で表示したものである。映像作品の制作において、絵コンテは制作者間で共有する設計図として機能する。
【0003】
しかし、制作者間でイメージを共有しやすく、分かりやすい絵コンテを制作するためには、相当の知識や経験が必要であり、これらに乏しい者が絵コンテを制作することは容易ではないという課題がある。
【0004】
この課題を解決しようとする試みとして、従来手書きだった絵コンテの制作を電子化するという技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている絵コンテ制作装置は、ト書きなどのカットの説明を入力する手段や、既存のカット画像を入力する手段などを備えているが、カット画像そのものを作成するものではなく、手書きによるカット画像を電子化して用いている。
【0007】
したがって、絵コンテの機能を発揮するのに十分なカット画像を制作するためには、依然として相当の知識と経験が要求されることに変わりなく、上述した課題は解決されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の絵コンテ制作装置などを提供する。すなわち、オブジェクトを決定するオブジェクト決定部と、絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定するカメラワーク決定部と、前記決定されたカメラワークにより映る画像を生成する画像生成部と、前記生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する関連情報取得部と、前記生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与するカット番号付与部と、を有する絵コンテ制作装置を提供する。
【0009】
また、オブジェクトを決定するオブジェクト決定ステップと、絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定するカメラワーク決定ステップと、前記決定されたカメラワークにより映る画像を生成する画像生成ステップと、前記生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する関連情報取得ステップと、前記生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与するカット番号付与ステップと、を有する絵コンテ制作方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る絵コンテ制作装置により、知識や経験の乏しい者でも絵コンテを制作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の絵コンテ制作装置の機能的構成の一例を示すブロック図
【
図2】オブジェクトに対するカメラワークをユーザが決定するためのUI画面の一例を示す概念図
【
図3】
図2で示したUI画面であり、下層にオブジェクトが位置する3D空間を表示した例を示す図
【
図4】ユーザの入力により関連情報を取得するためのUI画面の一例を示す図
【
図6】実施例1の絵コンテ制作装置を実現するハードウエアの構成例を示す概念図
【
図7】実施例1の絵コンテ制作装置の情報処理の流れの一例を示すフロー図
【
図8】実施例3の絵コンテ制作装置の機能的構成の一例を示すブロック図
【
図9】ファイルを保存する際のUI画面の一例を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0013】
<実施例1>
<概要>
本実施例の絵コンテ制作装置は、登場人物などのオブジェクトに対するカメラの位置や設定などを決定し、そのカメラにより映る画像をカット画像として生成し、そのカットに関する情報とともにシートに配置する。
【0014】
以下では、絵コンテ制作装置の機能及び処理の流れ、並びにハードウエアの内容について説明する。なお、以下に記載する本装置の機能ブロックは、ハードウエア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)や主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウエア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらハードウエアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウエアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本システムの機能ブロックは専用ハードウエアによって実現されても良い。
【0015】
また、この発明はシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるプログラム、及びプログラムを固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0016】
<機能的構成>
図1は、実施例1の絵コンテ制作装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、絵コンテ制作装置100は、オブジェクト決定部101と、カメラワーク決定部102と、画像生成部103と、関連情報取得部104と、カット番号付与部105と、を有する。
【0017】
オブジェクト決定部101は、オブジェクトを決定する機能を有する。オブジェクトは、カットの画像において描かれる対象(映される対象)であって、主に作品に登場する人物や動物などであるが、その他の物体であってもよい。オブジェクトの決定は、予め設定されている複数のオブジェクトのなかからユーザが選択して行うよう構成することができる。設定されているオブジェクトとしては、例えば、「男児」、「女児」、「成人男性」、「成人女性」、「高齢男性」「高齢女性」などのような性別と年齢により区分して設定することができる。また、オブジェクトは一人(一つ)とは限らず、二人(二つ)など複数設定してもよい。また、オブジェクトの背景や、光源の位置や数などを選択し決定するように構成することもできる。
【0018】
そして、オブジェクトが位置するステージの各背景(背面、左面、右面、下面、正面、上面)のそれぞれを決定する。ステージの決定とは、3D空間を構成するステージの各背景(様々な実際の景色、又は、模様や彩色などにより表現する背景)を決定することをいう。例えば、下面を青色と白色の市松模様とし、背面を茶色と白色の市松模様とし、正面を暗色とする、といった具合である。ステージの決定も、オブジェクトの決定と同様に、様々な候補からユーザが選択して行うよう構成することができる。
【0019】
カメラワーク決定部102は、絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定する機能を有する。カットは、映像作品において絵が切り替わるまでの一区切りをいい、ショットという場合もある。また、カットの画像は、1カット毎の構成を絵で表現するものである。そして、カットの画像と、そのカットの内容に関する情報(後述する関連情報)とで、1カットを構成する。
【0020】
カメラワークは、オブジェクトに対するカメラの位置、向き、ズームなどであり、オブジェクトをどのように映すかということである。カメラワークの決定は、ユーザが位置などを決定するように構成してもよいし、後述するようにオブジェクトやステージ(背景)に基づいてAI(artificial intelligence)がユーザに対して提案するように構成してもよい。
【0021】
画像生成部103は、前記決定されたカメラワークにより映る画像を生成する機能を有する。以下に、
図2及び
図3を用いて、カメラワークの決定と、カメラワークにより映る画像の生成について説明する。
【0022】
図2は、オブジェクトに対するカメラワークをユーザが決定するためのUI(user interface)の一例を示す概念図である。
図2に示すUI画面200のなかで、領域201には、オブジェクトと、オブジェクトに対して配置することができる複数のカメラ位置が示されている。図において、〇印(白丸印)でそれぞれ示されているのが二つのオブジェクトであり、両者を結ぶイマジナリーナインで分けられる片側(正面側)の領域に、配置可能なカメラ位置がそれぞれに番号が付された状態で示されている。配置可能なカメラ位置を、イマジナリーラインで分けられる他方の片側(背面側)に設定することも可能である。また、イマジナリーラインを超えた位置にカメラを配置することができるように構成してもよい。
【0023】
そして、UI画面の領域202には、それぞれのカメラ位置からオブジェクト(人形の態様)を映す画像が、カメラ位置に付された番号とともに表示される。本図では領域202の上方から1番目から5番目のカメラ位置からの画像が示されているが、スクロールすることで、6番目以降のカメラ位置からの画像も表示することができる。
【0024】
ここで、正面(1のカメラ位置203)から映る画像の背景と、左側(2のカメラ位置)から映る画像の背景とは、その模様や彩色において異なるように構成されている。オブジェクトが位置するステージの各背景(背面、左面、右面、下面、正面、上面)のそれぞれを模様や彩色などで異ならしめておくことで、3D空間内でのオブジェクトの把握が容易になる。
【0025】
また、
図2のUI画面を、
図3のUI画面300ようにレイヤーで表示してもよい。
図3は、下層の画面にオブジェクトが位置する3D空間301を表示し、
図2で示したUI画面302をその上層に表示している。このように構成することで、3D空間での表示によりオブジェクトが存在する空間の全体を直感的に把握することができ、また、各カメラ位置からの画像を確認することができる。
【0026】
関連情報取得部104は、前記生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する機能を有する。関連情報は、絵の動き、セリフ、音、状況説明、意図などカットの内容に関する情報であり、カットの時間の情報を含むものであってもよい。
【0027】
図4は、ユーザの入力により関連情報を取得するためのUIの一例を示す図である。
図4に示すUI画面400のなかで、領域401には、生成したカットの画像が表示されており、その下方には、そのカットの関連情報であるト書きなどの内容説明や、セリフを入力するための入力欄が表示されている。そして、その右側の領域402には、領域401に表示されている画像とは異なるカメラワークにより映る画像が複数表示されており、ステージとオブジェクトとの位置関係などが分かるように構成されている。このように構成することで、カットの画像を見ながら、そのカットの関連情報の入力をすることができる。
【0028】
カット番号付与部105は、前記生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与する機能を有する。
図4に示すUI画面400のなかで、領域403は、生成された画像が複数並んで配置されるように構成されており、それらの複数の画像から選択された一の画像が、領域401に表示され、関連情報の入力などを行うことができる。
【0029】
ここで、領域403に配置される複数の画像は、その配置により時系列の順番が付与されることになる。例えば、向かって左から右へ進む時系列とした場合には、左側に配置された画像から、そのカット番号が付与される。また、この領域に配置される画像は、ドラッグアンドドロップなどの操作により順序を入れ替えることができるように構成されている。順序の入れ替えに伴いカット番号が更新される。
【0030】
また、カットの尺(映像の長さ)を設定できるように構成することもできる。カットの尺の設定は、秒単位でもよいし、コマ単位でもよいし、秒とコマを併用してもよい。例えば、アニメーションは24FPSのフレームレートで制作されることが多いので、24コマで1秒として、例えば「1(秒)+12(コマ)」といった具合に設定するように構成してもよい。
【0031】
また、本実施例の絵コンテ制作装置は、生成した画像を編集する画像編集部を、有するように構成することができる。例えば、
図4に示すUI画面400のなかで、領域403に配置された画像から選択され、領域401に表示されている画像に対して編集を行うことができるように構成することができる。例えば、オブジェクトのポーズ(姿勢や向きなど)を変更したり、オブジェクトに対する光源の数や強弱などを変更することである。また、ペイントソフトのように、オブジェクトに対してポインティングデバイス(マウス、ペンタブレット、タッチパネルなど)を用いてユーザにより加筆修正ができるように構成してもよい。上述した、関連情報の取得、カット番号の付与及び編集は、順序を問わず行うことができ、繰り返し実行可能である。
【0032】
また、本実施例の絵コンテ制作装置は、カット番号が付与されたカットを、カット番号に従って出力する出力部を、有するように構成することができる。
図5は、出力部により絵コンテの態様で出力した一例を示す概念図である。
図5に示すように、カットごとのカット番号502、画像502、内容503、セリフ/SE504及びカット尺505が時系列で表示されている。さらに必要に応じて印刷等をすることができる。なお、
図5に示すように絵コンテの態様で表示した後に、画像や関連情報について加筆修正を行うことも可能である。
【0033】
<ハードウエア構成>
図6は、絵コンテ制作装置を実現するハードウエアの構成例を示す概念図である。図示するように、絵コンテ制作装置600は、各種演算処理を行うCPU601と、揮発性記録媒体であるRAM602と、不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリやHDDなどのストレージ603と、通信インタフェース604と、入出力インタフェース605と、を有している。RAM602は、各種演算処理を行うプログラムをCPU601に実行させるために読み出すとともに、そのプログラムのワーク領域(作業領域)を提供する。また、RAM602には、複数のアドレスが割り当てられており、CPU601で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行うことが可能となっている(本明細書を通じて同様である)。
【0034】
ここで、
図1に示した絵コンテ制作装置100のオブジェクト決定部101、カメラワーク決定部102、画像生成部103、関連情報取得部104及びカット番号付与部105の機能は、主に
図6のCPU601、RAM602及び入出力インタフェース605により実現される。また、
図1に示さなかった絵コンテ制作装置の画像編集部及び出力部の機能は、主に
図6のCPU601、RAM602及び入出力インタフェース605により実現される。
【0035】
<処理の流れ>
図7は、絵コンテ制作装置の情報処理の流れの一例を示すフロー図である。図示するように、オブジェクトを決定する(S701:オブジェクト決定ステップ)。そして、絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定する(S702:カメラワーク決定ステップ)。そして、決定したカメラワークにより映る画像を生成する(S703:画像生成ステップ)。そして、生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する(S704:関連情報取得ステップ)。そして、生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与する(S705:カット番号付与ステップ)。
【0036】
<効果>
本実施例の絵コンテ制作装置によれば、知識や経験の乏しい者でも絵コンテを制作することができる。
【0037】
<実施例2>
<概要>
本実施例は、実施例1を基本とし、学習済みモデルを用いてカメラワークを提示する絵コンテ制作装置に関する。
【0038】
<機能的構成>
実施例2の絵コンテ制作装置は、カメラワーク決定部が、決定されたオブジェクト又は/及びステージに基づき、学習済みモデルを用いてカメラワークを提示することを特徴とする。なお、カメラワーク決定部以外の機能的構成は、実施例1における同名の構成と同様の説明は省略する。
【0039】
カメラワークを提示するために用いられる学習済みモデルは、例えば、設定したステージやオブジェクトに対するカメラワークのデータを大量に集積し、これをアルゴリズムにインプットして学習済みモデルを生成する。生成した学習済みモデルにオブジェクトやステージをインプットすることで、そのオブジェクトやステージに適したカメラワークがアウトプットとして得られ、得られたカメラワークをユーザに対して提示する。ユーザは、提示されたカメラワークを採択することができ、また、再提示をリクエストできるように構成することができる。
【0040】
このように学習済みモデルを用いて、決定されたオブジェクトやステージに基づきカメラワークが提示されるので、知識や経験の乏しいユーザにとって難しいカメラワークの決定が容易になる。
【0041】
<ハードウエア構成>
実施例2の絵コンテ制作装置は、実施例1に準じ
図6に示したハードウエア構成により実現することができる。
【0042】
<処理の流れ>
実施例2の絵コンテ制作装置の処理の流れは、実施例1の絵コンテ制作装置の処理の流れと基本的に同様である。そして、実施例2の絵コンテ制作装置においては、カメラワーク決定ステップにおいて、決定されたオブジェクト又は/及びステージに基づき、学習済みモデルを用いてカメラワークを提示することに特徴を有する。
【0043】
<効果>
実施例2の絵コンテ制作装置によれば、知識や経験の乏しいユーザにとって難しいカメラワークの決定が容易になる。
【0044】
<実施例3>
<概要>
実施例3は、実施例1又は実施例2を基本とし、絵コンテの制作に係るファイルを、ファイルに付されたタイプに応じて、所定の保存先に保存することを特徴とする絵コンテ制作装置に関する。
【0045】
<機能的構成>
図8は、実施例3の絵コンテ制作装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図8に示すように、絵コンテ制作装置800は、オブジェクト決定部801と、カメラワーク決定部802と、画像生成部803と、関連情報取得部804と、カット番号付与部805と、画像編集部806と、出力部807と、ファイル保存部808と、を有する。ファイル保存部808以外の各構成は、実施例1又は実施例2における同名の構成と同様の機能を有するので説明は省略する。
【0046】
ファイル保存先設置部808は、絵コンテの制作に係るファイルに付されたタイプに応じて、所定の保存先を設置する機能を有する。絵コンテの制作に係るファイルとは、上述した各構成の機能により生成されるファイルや、本絵コンテ制作装置を含むPC(パーソナルコンピュータ)などの装置において生成されるファイルなどである。
【0047】
図9は、ファイルを保存する際のUI画面の一例を示す概念図である。まず、ファイルに付されるタイプの例として、「企画」、「PV」、「OP」、「END」、「OVA」などがある。ここで、「PV」のタイプが付されたファイルを保存しようとすると、
図9(a)に示すように、予め設置されている保存先である「_0_企画」、「_1_PV」、「_2_OP」、「_3_END」、「_4_OVA」、「_5_シリーズ」、「_6_MOVIE」の中から、「_1_PV」が自動的に指定され、選択待ちの状態(図中における点線枠)で表示される。
【0048】
そして、選択待ち状態の「_1_PV」のフォルダをユーザが決定することで、
図9(b)に示すように、さらに「_1_PV」の下位の保存先として、予め設置されている「00_シナリオ」、「01_ビジュアル」、「02_絵コンテ」、「03_LO」、「04_原画」、「05_動仕」、「06_CG」、「07_撮影」、「08_編集」、「09_制作」、「10_パッケージ」の各保存先が表示される(図中における点線枠)。このように、ファイルの保存、管理のためのフォルダの階層構造やフォルダ名もアニメーション制作に好適な態様で予め設定されている。
【0049】
<ハードウエア構成>
実施例3の絵コンテ制作装置は、実施例1又は実施例2に準じ
図6に示したハードウエア構成により実現することができる。
【0050】
<処理の流れ>
実施例3の絵コンテ制作装置の処理の流れは、実施例1又は実施例2の絵コンテ制作装置の処理の流れと基本的に同様である。そして、実施例3の絵コンテ制作装置においては、絵コンテの制作に係るファイルに付されたタイプに応じて、所定の保存先を設置するステップを有する。
【0051】
<効果>
実施例3の絵コンテ制作装置によれば、生成したファイルのタイプに応じて保存先が設置されるので、保存先や保存用フォルダの階層構造の設定などの煩雑な手間がなくなり、ユーザにとって有益である。
【符号の説明】
【0052】
100:絵コンテ制作装置
101:オブジェクト決定部
102:カメラワーク決定部
103:画像生成部
104:関連情報取得部
105:カット番号付与部
601:CPU
602:RAM
603:ストレージ
604:通信インタフェース
605:入出力インタフェース
【要約】
【課題】ト書きや既存のカット画像を入力する手段などを備える絵コンテ制作装置があるが、カット画像そのものを作成する手段がなく、知識や経験の乏しい者が好適な絵コンテを作成することが困難であるという課題があった。
【解決手段】上記課題を解決するために、オブジェクトを決定するオブジェクト決定部と、絵コンテを構成するカットの画像におけるオブジェクトに対するカメラワークを決定するカメラワーク決定部と、前記決定されたカメラワークにより映る画像を生成する画像生成部と、前記生成した画像のカットに関連する情報である関連情報を取得する関連情報取得部と、前記生成した画像と、その画像のカットの前記関連情報と、を含むカットに、カット番号を付与するカット番号付与部と、を有する絵コンテ制作装置を提供する。
【選択図】
図1