(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】登記支援装置および登記支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220119BHJP
【FI】
G06Q50/16 320
(21)【出願番号】P 2021511001
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006395
(87)【国際公開番号】W WO2021167071
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2020027193
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508237395
【氏名又は名称】松山 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【氏名又は名称】山田 牧人
(72)【発明者】
【氏名】松山 英明
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-199499(JP,A)
【文献】特開2006-350975(JP,A)
【文献】特開2010-262351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産の売買に伴う登記情報の変更を支援する登記支援装置であって、
不動産の所有者または前記所有者のために不動産の売却先を紹介する不動産仲介業者が使用する所有者側の端末、不動産の抵当権を有している所有者側債権者が使用する所有者側債権者端末、不動産の買主または前記買主のために不動産の購入を仲介する不動産仲介業者が使用する買主側の端末、不動産の登記の申請を行う代理人が使用する代理人端末、前記買主から依頼を受ける買主側金融機関が使用する買主側金融機関端末、および不動産登記の申請を受け付けるオンライン登記システムと通信ネットワークで接続可能であり、
前記所有者側の端末から、前記所有者が準備する所有権移転登記の申請に必要な所有者側移転登記書類データを受信し、前記買主側の端末から、前記買主が準備する所有権移転登記の申請に必要な買主側移転登記書類データを受信し、前記代理人端末から、前記代理人が準備する所有権移転登記の申請に必要な移転登記申請書類データを受信する移転登記書類管理部と、
前記所有
者側の端末または前記所有者側債権者端末から、不動産の購入費用の着金を確認したことを示す着金確認データを受信する着金管理部と、
前記所有者側移転登記書類データ、前記買主側移転登記書類データおよび前記移転登記申請書類データを含む移転登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記移転登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して前記オンライン登記システムへ所有権移転登記を申請可能とする登記申請管理部と、
前記所有者側債権者端末から、前記所有者側債権者が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記書類データを受信するとともに、前記代理人端末から、前記代理人が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記申請書類データを受信する抹消登記書類管理部と、
前記所有者側の端末から、前記所有者側債権者が前記抹消登記書類データを代理人へ開示することに前記所有者が同意することを示す同意データを受信する同意データ管理部と、を有し、
登記申請管理部は、前記抹消登記書類データ、前記抹消登記申請書類データおよび前記同意データを含む抹消登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抹消登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して不動産の所有権の移転を阻害する登記を抹消する登記を申請可能とすることを特徴とする登記支援装置。
【請求項2】
前記買主側の端末から、前記買主が準備する抵当権設定登記の申請に必要な買主側設定登記書類データを受信し、前記買主側金融機関端末から、前記買主側金融機関が準備する抵当権設定登記の申請に必要な金融機関側設定登記書類データを受信し、前記代理人が準備する抵当権設定登記の申請に必要な設定登記申請書類データを受信する抵当権設定登記書類管理部を有し、
登記申請管理部は、前記買主側設定登記書類データ、前記金融機関側設定登記書類データおよび前記設定登記申請書類データを含む抵当権設定登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抵当権設定登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して抵当権設定登記を申請可能とすることを特徴とする請求項
1に記載の登記支援装置。
【請求項3】
通信ネットワークに接続可能な登記支援装置によりオンライン登記システムへの不動産登記の申請を支援する登記支援方法であって、
不動産の所有者または前記所有者のために不動産の売却先を紹介する不動産仲介業者が使用する所有者側の端末から、前記所有者が準備する所有権移転登記の申請に必要な所有者側移転登記書類データを受信するステップと、
不動産の買主または前記買主のために不動産の購入を仲介する不動産仲介業者が使用する買主側の端末から、前記買主が準備する所有権移転登記の申請に必要な買主側移転登記書類データを受信するステップと、
不動産の登記の申請を行う代理人が使用する代理人端末から、前記代理人が準備する所有権移転登記の申請に必要な移転登記申請書類データを受信するステップと、
前記所有
者側の
端末または
不動産の抵当権を有している所有者側債権者が使用する所有者側債権者端末から、不動産の購入費用の着金を確認したことを示す着金確認データを受信するステップと、
前記所有者側移転登記書類データ、前記買主側移転登記書類データおよび前記移転登記申請書類データを含む移転登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記移転登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して前記オンライン登記システムへ所有権移転登記を申請可能とするステップと、
前記所有者側債権者端末から、前記所有者側債権者が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記書類データを受信するステップと、
前記代理人端末から、前記代理人が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記申請書類データを受信するステップと、
前記所有者側の端末から、前記所有者側債権者が前記抹消登記書類データを代理人へ開示することに前記所有者が同意することを示す同意データを受信するステップと、
前記抹消登記書類データ、前記抹消登記申請書類データおよび前記同意データを含む抹消登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抹消登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して不動産の所有権の移転を阻害する登記を抹消する登記を申請可能とするステップと、を有することを特徴とする登記支援方法。
【請求項4】
前記買主側の端末から、前記買主が準備する抵当権設定登記の申請に必要な買主側設定登記書類データを受信するステップと、
前記
買主から依頼を受ける買主側金融機関が使用する買主側金融機関端末から、前記買主側金融機関が準備する抵当権設定登記の申請に必要な金融機関側設定登記書類データを受信するステップと、
前記代理人端末から、前記代理人が準備する抵当権設定登記の申請に必要な設定登記申請書類データを受信するステップと、
前記買主側設定登記書類データ、前記金融機関側設定登記書類データおよび前記設定登記申請書類データを含む抵当権設定登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抵当権設定登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して抵当権設定登記を申請可能とするステップと、を有することを特徴とする請求項
3に記載の登記支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産登記の申請を支援する登記支援装置および登記支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不動産登記とは、土地および建物である不動産の物理的な現況と権利関係を、公示するための登記簿に登記することを意味する。ところで、不動産を売却する際には、不動産の所有権移転登記の前に、売却代金の決済が行われる。売却代金の所有者への着金が確認された後に、不動産の所有権移転登記が行われる。したがって、買主による購入費用の振り込みと、所有権移転登記の申請の間に、タイムラグが発生し、買主の負担が大きい。
【0003】
このため、例えば特許文献1には、不動産売買の当事者、利害関係者から独立した第3者機関としてのエスクローシステムが記載されている。エスクローシステムは、所有者から登記情報の変更の申請を受け付け、買主からの依頼を受けた買主側金融機関から、エスクローの口座への振り込みを受け付ける。この後、エスクローシステムは、所有者からの依頼により所有権移転登記の申請をオンラインで行い、所有権移転登記が完了した後、エスクローの口座から、所有者の口座へ支払いを行う。このように、第3者機関としてのエスクローシステムが、購入費用を預かることで、不動産に全額を支払うことへの買主の不安を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなエスクローシステムを利用する際には、購入費用を預ける必要があるため、通常、利用するために比較的高い費用が掛かる。また、第3者機関に高い購入費用を預けることは、買主の不安を増加させる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、購入費用の着金と所有権移転登記のタイムラグを減少させて、買主の負担を低減できる登記支援装置および登記支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する登記支援装置は、不動産の売買に伴う登記情報の変更を支援する登記支援装置であって、不動産の所有者または前記所有者のために不動産の売却先を紹介する不動産仲介業者が使用する所有者側の端末、不動産の抵当権を有している所有者側債権者が使用する所有者側債権者端末、不動産の買主または前記買主のために不動産の購入を仲介する不動産仲介業者が使用する買主側の端末、不動産の登記の申請を行う代理人が使用する代理人端末、前記買主から依頼を受ける買主側金融機関が使用する買主側金融機関端末、および不動産登記の申請を受け付けるオンライン登記システムと通信ネットワークで接続可能であり、前記所有者側の端末から、前記所有者が準備する所有権移転登記の申請に必要な所有者側移転登記書類データを受信し、前記買主側の端末から、前記買主が準備する所有権移転登記の申請に必要な買主側移転登記書類データを受信し、前記代理人端末から、前記代理人が準備する所有権移転登記の申請に必要な移転登記申請書類データを受信する移転登記書類管理部と、前記所有者側の端末または前記所有者側債権者端末から、不動産の購入費用の着金を確認したことを示す着金確認データを受信する着金管理部と、前記所有者側移転登記書類データ、前記買主側移転登記書類データおよび前記移転登記申請書類データを含む移転登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記移転登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して前記オンライン登記システムへ所有権移転登記を申請可能とする登記申請管理部と、前記所有者側債権者端末から、前記所有者側債権者が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記書類データを受信するとともに、前記代理人端末から、前記代理人が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記申請書類データを受信する抹消登記書類管理部と、前記所有者側の端末から、前記所有者側債権者が前記抹消登記書類データを代理人へ開示することに前記所有者が同意することを示す同意データを受信する同意データ管理部と、を有し、登記申請管理部は、前記抹消登記書類データ、前記抹消登記申請書類データおよび前記同意データを含む抹消登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抹消登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して不動産の所有権の移転を阻害する登記を抹消する登記を申請可能とすることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成する登記支援方法は、通信ネットワークに接続可能な登記支援装置によりオンライン登記システムへの不動産登記の申請を支援する登記支援方法であって、不動産の所有者または前記所有者のために不動産の売却先を紹介する不動産仲介業者が使用する所有者側の端末から、前記所有者が準備する所有権移転登記の申請に必要な所有者側移転登記書類データを受信するステップと、不動産の買主または前記買主のために不動産の購入を仲介する不動産仲介業者が使用する買主側の端末から、前記買主が準備する所有権移転登記の申請に必要な買主側移転登記書類データを受信するステップと、不動産の登記の申請を行う代理人が使用する代理人端末から、前記代理人が準備する所有権移転登記の申請に必要な移転登記申請書類データを受信するステップと、前記所有者側の端末または不動産の抵当権を有している所有者側債権者が使用する所有者側債権者端末から、不動産の購入費用の着金を確認したことを示す着金確認データを受信するステップと、前記所有者側移転登記書類データ、前記買主側移転登記書類データおよび前記移転登記申請書類データを含む移転登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記移転登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して前記オンライン登記システムへ所有権移転登記を申請可能とするステップと、前記所有者側債権者端末から、前記所有者側債権者が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記書類データを受信するステップと、前記代理人端末から、前記代理人が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記申請書類データを受信するステップと、前記所有者側の端末から、前記所有者側債権者が前記抹消登記書類データを代理人へ開示することに前記所有者が同意することを示す同意データを受信するステップと、前記抹消登記書類データ、前記抹消登記申請書類データおよび前記同意データを含む抹消登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抹消登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して不動産の所有権の移転を阻害する登記を抹消する登記を申請可能とするステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した登記支援装置および登記支援方法は、不動産の所有権移転登記に必要なデータを受信し、かつ着金確認データを受信した後に、代理人端末からの指示による所有権移転登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に所有権移転登記を行うことができる。このため、着金と所有権移転登記のタイムラグを減少させて、買主および/または買主側金融機関の負担を低減できる。
【0010】
登記支援装置は、前記所有者側債権者端末から、前記所有者側債権者が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記書類データを受信するとともに、前記代理人端末から、前記代理人が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記申請書類データを受信する抹消登記書類管理部と、前記所有者側の端末から、前記所有者側債権者が前記抹消登記書類データを代理人へ開示することに前記所有者が同意することを示す同意データを受信する同意データ管理部と、を有し、登記申請管理部は、前記抹消登記書類データ、前記抹消登記申請書類データおよび前記同意データを含む抹消登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抹消登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して不動産の所有権の移転を阻害する登記を抹消する登記を申請可能としてもよい。これにより、登記支援装置は、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記に必要なデータを受信し、かつ着金確認データを受信した後に、代理人端末から不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記を行うことができる。このとき、登記支援装置は、同意データを事前に受信しているため、所有者側債権者は、代理人へ抹消登記書類データを開示できる。このため、代理人は、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記の申請を迅速に行うことができる。したがって、着金と抹消登記のタイムラグを減少させて、買主および/または買主側金融機関の負担を低減できる。
【0011】
前記登記支援装置は、前記買主側の端末から、前記買主が準備する抵当権設定登記の申請に必要な買主側設定登記書類データを受信し、前記買主側金融機関端末から、前記買主側金融機関が準備する抵当権設定登記の申請に必要な金融機関側設定登記書類データを受信し、前記代理人が準備する抵当権設定登記の申請に必要な設定登記申請書類データを受信する抵当権設定登記書類管理部を有し、登記申請管理部は、前記買主側設定登記書類データ、前記金融機関側設定登記書類データおよび前記設定登記申請書類データを含む抵当権設定登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抵当権設定登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して抵当権設定登記を申請可能としてもよい。これにより、登記支援装置は、不動産の抵当権設定登記に必要なデータを受信し、かつ着金確認データを受信した後に、代理人端末から抵当権設定登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に抵当権設定登記を行うことができる。このため、代理人は、抵当権設定登記の申請を迅速に行うことができる。したがって、着金と抵当権設定登記のタイムラグを減少させて、買主側金融機関の負担を低減できる。
【0012】
前記登記支援方法は、前記所有者側債権者端末から、前記所有者側債権者が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記書類データを受信するステップと、前記代理人端末から、前記代理人が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記申請書類データを受信するステップと、前記所有者側の端末から、前記所有者側債権者が前記抹消登記書類データを代理人へ開示することに前記所有者が同意することを示す同意データを受信するステップと、前記抹消登記書類データ、前記抹消登記申請書類データおよび前記同意データを含む抹消登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により前記登記支援装置から、または前記代理人端末から前記抹消登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して不動産の所有権の移転を阻害する登記を抹消する登記を申請可能とするステップと、を有してもよい。これにより、登記支援方法は、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記に必要なデータを受信し、かつ着金確認データを受信した後に、代理人端末から抵当権抹消登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記を行うことができる。このとき、登記支援装置は、同意データを事前に受信しているため、所有者側債権者は、代理人へ抹消登記書類データを開示できる。このため、代理人は、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記の申請を迅速に行うことができる。したがって、着金と抹消登記のタイムラグを減少させて、買主および/または買主側金融機関の負担を低減できる。
【0013】
前記登記支援方法は、前記買主側の端末から、前記買主が準備する抵当権設定登記の申請に必要な買主側設定登記書類データを受信するステップと、前記買主から依頼を受ける買主側金融機関が使用する買主側金融機関端末から、前記買主側金融機関が準備する抵当権設定登記の申請に必要な金融機関側設定登記書類データを受信するステップと、前記代理人端末から、前記代理人が準備する抵当権設定登記の申請に必要な設定登記申請書類データを受信するステップと、前記買主側設定登記書類データ、前記金融機関側設定登記書類データおよび前記設定登記申請書類データを含む抵当権設定登記用データを受信した後であって、かつ前記着金確認データを受信した後に、前記代理人端末からの指示により登記支援装置から、または代理人端末から前記抵当権設定登記用データを使用して前記通信ネットワークを介して抵当権設定登記を申請可能とするステップと、を有してもよい。これにより、登記支援方法は、不動産の抵当権設定登記に必要なデータを受信し、かつ着金確認データを受信した後に、代理人端末から抵当権設定登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に抵当権設定登記を行うことができる。このため、代理人は、抵当権設定登記の申請を迅速に行うことができる。したがって、着金と抵当権設定登記のタイムラグを減少させて、買主側金融機関の負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る登記支援装置を有する登記支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】登記支援装置の物理的構成を示すブロック図である。
【
図3】登記支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】登記支援システムにおける制御の流れを説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。本実施形態に係る登記支援装置90を有する登記支援システム10は、
図1に示すように、インターネットなどの通信ネットワーク300を介して行われる、不動産の登記申請を支援するシステムである。登記支援システム10は、所有者が所有する土地や建物等の不動産を買主に売却する際に使用される。登記支援システム10は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記に必要な書類を、不用意に改ざんさせずに電子データとして保管し、望ましいタイミングで迅速に、法務局のオンライン申請システム310へ申請することを支援できる。
【0016】
所有者は、所有する土地や建物等の不動産を買主に売却する。所有者が所有する不動産は、抵当権が登記されている場合と、登記されていない場合がある。所有者は、銀行等の所有者側債権者から融資を受けて完済していない場合、この債権を担保するために、不動産には、抵当権が設定される。売却する不動産に抵当権が設定されている場合、所有者は、買主から支払われる金額の少なくとも一部を、返済に充てることができる。また、所有者は、所有者側仲介業者に、不動産の売却の仲介を依頼する。また、所有者は、売却する不動産に抵当権を設定されている場合、代理人に、売却する不動産の抵当権抹消登記の申請を依頼する。すなわち、所有者は、所有権の移転を阻害する登記を末梢または解除するために、代理人に、登記を依頼する。不動産の所有権の移転を阻害する登記は、抵当権、担保権、先取特権、地上権、賃貸権等の用益権等が挙げられるが、これらに限定されない。所有者側債権者は、不動産の所有権の移転を阻害する権利を有している。所有者は、買主から支払われる金額の少なくとも一部を、これらの権利を末梢または解除するために支払うことができる。所有者側債権者は、融資を行っている銀行等の金融機関に限定されず、国、税務署、行政機関、個人、法人等であってもよい。
【0017】
買主は、所有者が所有する不動産を購入する。購入する際に、買主は、自己資金により不動産を購入する場合と、買主側金融機関から融資を受けて、購入金額の少なくとも一部に充てる場合がある。また、買主は、買主側仲介業者に、不動産の購入の仲介を依頼する。また、買主は、代理人に、不動産の所有権移転登記の申請を依頼する。代理人は、例えば司法書士や弁護士である。買主は、買主側金融機関から融資を受ける場合には、購入する不動産の抵当権設定登記の申請を、代理人に依頼する。なお、前述の抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記は、同じ代理人により行われてもよいが、別々の代理人により行われてもよい。例えば、抵当権抹消登記を行う代理人と、所有権移転登記および抵当権設定登記を行う別の代理人がいてもよい。または、抵当権抹消登記および所有権移転登記を行う代理人と、抵当権設定登記を行う別の代理人がいてもよい。または、抵当権抹消登記と、所有権移転登記と、抵当権設定登記とを行う代理人が、全て異なってもよい。
【0018】
登記支援システム10は、所有者が使用する所有者端末20と、所有者側仲介業者が使用する所有者側仲介業者端末30と、所有者側債権者が使用する所有者側債権者端末40と、買主が使用する買主端末50と、買主側仲介業者が使用する買主側仲介業者端末60と、買主側金融機関が使用する買主側金融機関端末70と、代理人が使用する代理人端末80と、登記支援装置90とを有する。
【0019】
所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、代理人端末80、登記支援装置90およびオンライン申請システム310は、通信ネットワーク300を介して通信可能に接続されるが、常時接続されている必要はない。
【0020】
所有者端末20は、土地や建物等の不動産を売却する所有者が利用する端末である。
【0021】
所有者側債権者端末40は、所有者側債権者が使用する端末である。所有者側債権者は、所有者が所有している売却予定の不動産の所有権の移転を阻害する登記を行っている場合がある。一例として、以降の説明において、所有者側債権者は、所有者に融資を行い、不動産の債権を担保するために、抵当権を設定している場合を説明する。所有者が不動産を売却することで得る金額の少なくとも一部は、融資を完済するために使用される予定である。所有者側債権者は、融資を完済された場合に、抵当権を抹消するための書類を、所有者へ渡す予定である。なお、所有者に融資する所有者側債権者は、複数あってもよい。この場合、所有者側債権者端末40は、複数存在する。なお、所有者側債権者は、所有者に融資していなくてもよい。
【0022】
所有者側仲介業者端末30は、所有者のために不動産の売却先を紹介する不動産仲介業者が使用する端末である。所有者側仲介業者は、通常、不動産情報を他の不動産仲介業者(買主側仲介業者)に紹介し、他の不動産仲介業者から買主の紹介を受ける。物件の所有者から依頼を受けた所有者側仲介業者は、所有者との交渉権を有している。
【0023】
所有者側仲介業者端末30は、所有者端末20が行うデータの送信および受信の全てまたは少なくとも一部を、所有者端末20に代わって行うことができる場合がある。したがって、設定により、登記支援装置90は、所有者端末20と送受信するデータを、所有者側仲介業者端末30と送受信する場合がある。
【0024】
買主端末50は、所有者から不動産を購入する買主が利用する端末である。
【0025】
買主側金融機関端末70は、買主が不動産を購入する際の振込みを行う金融機関が利用する端末である。買主側金融機関端末70は、所有者が購入する不動産に融資を行う金融機関が利用する端末であってもよい。買主側金融機関は、買主が購入する不動産の購入金額の少なくとも一部を融資する場合がある。なお、買主に融資する買主側金融機関は、複数あってもよい。この場合、買主側金融機関端末70は、複数存在する。所有者側債権者と買主側金融機関は、異なる金融機関であるが、同じ金融機関であることもある。この場合、買主側金融機関端末70は、所有者側債権者端末40でもある。
【0026】
買主側仲介業者端末60は、所有者側仲介業者が紹介する不動産を、買主に斡旋する不動産業者が利用する端末である。買主側仲介業者は、不動産の所有者との直接交渉権を有しておらず、買主と所有者側仲介業者との間で、各種条件の交渉を行う。なお、買主側仲介業者は、所有者側仲介業者であることもある。この場合、買主側仲介業者端末60は、所有者側仲介業者端末30でもある。
【0027】
買主側仲介業者端末60は、買主端末50が行うデータの送信および受信の全てまたは少なくとも一部を、買主端末50に代わって行うことができる場合がある。したがって、設定により、登記支援装置90は、買主端末50と送受信するデータを、買主側仲介業者端末60と送受信する場合がある。
【0028】
代理人端末80は、登記の申請を行う代理人が利用する端末である。代理人は、所有者または買主から依頼を受けて、売却される不動産の所有権移転登記の申請を行う。代理人が複数いる場合、各々の代理人端末80は、異なる代理人端末80を使用する。
【0029】
所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80は、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話やタブレットなどの携帯端末、または専用装置などにより構成される。
【0030】
なお、本実施形態では、1つの不動産の取引を例として説明するが、実際の登記支援システム10では、不動産の取引毎に、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80の各々が存在し、複数の取引が並行して行われる。
【0031】
登記支援装置90は、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80と、通信ネットワーク300を介して通信可能に接続されている。登記支援装置90は、通信ネットワーク300を介した不動産の登記情報の変更を支援するための大容量のサーバーやコンピュータである。
【0032】
登記支援装置90は、ハードウェアの物理的構成として、
図2に示すように、記憶装置91と、処理装置92と、通信装置93とを備えている。
【0033】
記憶装置91は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等である。記憶装置91は、所有者の情報、所有者側仲介業者の情報、所有者側債権者の情報、買主の情報、買主側仲介業者の情報、代理人の情報、買主側金融機関の情報、プログラム等を、処理の状況に応じて書き込み、または読み出すことができる。記憶装置91は、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80から受け取る情報(電子データ)を、処理の状況に応じて書き込み、または読み出すことができる。
【0034】
処理装置92は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。処理装置92は、記憶装置91に記憶されているプログラムを、RAMを作業領域として実行させて演算処理を行い、プログラムに従って通信装置93や記憶装置91を作動させて、通信ネットワーク300上で実行する。すなわち、本実施形態に係る登記支援システム10は、例えば、登記支援装置90の記憶装置91に記憶される。なお、登記支援システム10は、通信ネットワーク300を経由して複数のコンピュータ資源を利用するクラウドコンピューティングにより実行されてもよい。
【0035】
通信装置93は、通信ネットワーク300を介して接続された登記支援装置90が、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80等と通信を行うためのインターフェース装置である。通信装置93は、多数の端末と同時に通信可能である。
【0036】
次に、登記支援装置90について詳述する。
【0037】
登記支援装置90は、
図3に示すように、同意データ管理部100と、本人確認データ管理部110と、連絡管理部120と、抹消金額情報管理部130と、金種情報管理部140と、抹消登記書類管理部150と、移転登記書類管理部160と、抵当権設定登記書類管理部170と、支払管理部180と、着金管理部190と、登記申請管理部200と、状況管理部210とを有する。
【0038】
同意データ管理部100は、所有者側債権者が準備する抵当権抹消に関係する書類を所有者側債権者が代理人へ開示することに所有者が同意することを示す同意データ101を管理する。所有者側債権者が準備する抵当権抹消に関係する書類には、所有者の個人情報が含まれている等の理由により、所有者側債権者は、同意データ10がなければ、書類を代理人へ開示できない。同意データ10がなければ代理人へ開示できない書類は、例えば、登記済証、抵当権解除証書、弁済証書、登記原因証明情報等である。同意データ管理部100は、所有者端末20へ、入力画面を送信する。所有者は、所有者端末20を操作して、同意データ101を同意データ管理部100へ送信でき、同意データ管理部100は、同意データ101を受信できる。同意データ管理部100は、受信した同意データ101を記憶して保管する。同意データ101は、記名押印した売買契約書や同意書をスキャンして電子化したPDF等の画像データや、所有者端末20から入力してタッチペンや指等によって電子的に署名した画像データや、デジタル署名が付された画像データ等である。同意データ101が事前に用意されることで、所有者側債権者は、抵当権抹消に関係する書類を代理人へ円滑に開示できる。このため、代理人は、抵当権を抹消する手続きを容易に行うことができる。
【0039】
本人確認データ管理部110は、登記支援システム10を利用する所有者および買主が本人であることを示す本人確認データを管理する。本人確認データ管理部110は、所有者端末20へ、入力画面を送信する。所有者は、所有者端末20を操作して、自身の所有者本人確認データ111を本人確認データ管理部110へ送信でき、本人確認データ管理部110は、所有者本人確認データ111を受信できる。
【0040】
また、本人確認データ管理部110は、買主端末50へ、入力画面を送信する。買主は、買主端末50を操作して、自身の買主本人確認データ112を本人確認データ管理部110へ送信でき、本人確認データ管理部110は、買主本人確認データ112を受信できる。買主側仲介業者端末70は、買主端末50が行うデータの送信および受信の全てまたは少なくとも一部を、買主端末50に代わって行うことができる。
【0041】
所有者および買主の本人確認データは、例えば住民票、運転免許証、パスポート、健康保険証、年金手帳、個人番号カード等をスキャンして電子化した画像データである。
【0042】
また、本人確認データ管理部110は、登記支援装置90が備えるAI(人工知能)等のプログラムにより本人確認データの真偽を確認してもよい。この場合、本人確認データは、所有者端末20が有するカメラや各種センサにより取得される本人の画像データ等の生体情報である。本人確認データ管理部110は、生体情報を、登記支援装置90が備えるプログラム(AI等)によって分析して、本人であるか否かの真偽を指紋認証、手や指の静脈認証、顔認証、虹彩認証等の生体認証により確認してもよい。所有者本人確認データ111は、不動産の売買契約、抵当権抹消登記、所有権移転登記等を行う際に使用される。買主本人確認データ112は、不動産の売買契約、所有権移転登記、抵当権設定登記等を行う際に使用される。
【0043】
連絡管理部120は、売買契約が確定したことを示す情報の連絡を管理する。連絡管理部120は、所有者端末20へ、入力画面を送信する。不動産の売買契約が確定した後に、所有者は、所有者端末20を操作して、売買契約が確定したことを示す情報および決定した決済日を含む情報である連絡データ121を、所有者端末20から連絡管理部120へ送信できる。連絡管理部120は、連絡データ121を受信した後、所有者側債権者端末40へ連絡データ121の情報を送信する。これにより、所有者は、所有者側債権者へ、売買契約が確定したことおよび決定した決済日を容易かつ確実に通知できる。所有者端末20に表示される入力画面は、特に限定されないが、例えば、選択することで売買契約が確定したことを示す情報を容易に通知できるボタンやチェックボックスや、スクロール画面やカレンダー等から決済日を選択して通知できるボタンや、またはタイピングにより文字を入力できる記入欄を有してもよい。連絡管理部120は、所有者側債権者端末40へ、売買契約が確定したことおよび決済日を示す情報を、文字等によって表示させる。
【0044】
決済日を含む連絡データ121の情報を通知された所有者側債権者は、決済日および金利から算出した抵当権抹消金額および振込先口座の情報を含む抹消金額等データ131を、所有者側債権者端末40に入力し、抹消金額情報管理部130へ送信する。所有者側債権者端末40に表示される入力画面は、例えば、抵当権抹消金額および振込先口座の情報を含む抹消金額等データ131を、タイピングにより記入して送信できる記入欄を有してもよい。抹消金額情報管理部130は、受信した抹消金額等データ131の情報を、所有者端末20へ送信する。これにより、所有者側債権者は、抹消金額等データ131の情報を容易に送信できる。また、所有者は、抵当権抹消金額および振込先口座の情報を含む抹消金額等データ131の情報を容易に受信できる。なお、所有者は、口座からの引き落としにより所有者側債権者へ返済する場合には、振込先口座の情報は、なくてもよい。
【0045】
金種情報管理部140は、所有者が返済する返済金の金種の情報を管理する。金種情報管理部140は、所有者端末20へ、入力画面を送信する。不動産の売買契約の確定後であって決済前に、所有者は、所有者端末20を操作して、買主に振り込んでもらう1つまたは複数の振込口座および各々の振込口座への振込額の情報を含む金種情報データ141を、所有者端末20から金種情報管理部140へ送信できる。口座情報の1つは、抹消金額情報管理部130に所有者側債権者から通知された振込先口座である。したがって、金種情報管理部140は、所有者側債権者の振込先口座の情報を抹消金額情報管理部130から受け取り、その情報を、所有者端末20へ送信してもよい。これにより、所有者は、1つまたは複数の口座情報と、各々の口座の振込額を含む金種情報データ141を、買主および買主側金融機関へ容易に通知できる。所有者端末20に表示される入力画面は、例えば、選択可能なボタンや、タイピングにより文字を入力できる記入欄を有してもよい。
【0046】
金種情報管理部140は、受信した金種情報データ141を、買主端末50および買主側金融機関端末70へ送信する。これにより、買主および買主側金融機関は、振込先口座および振込額の情報を容易に得ることができる。
【0047】
抹消登記書類管理部150は、所有者側債権者が準備する抹消登記に必要な書類を管理する。抹消登記書類管理部150は、所有者側債権者端末40へ、入力画面を送信する。所有者側債権者は、融資を完済されるより前に、所有者側債権者端末40を操作して抹消登記書類データ151を送信でき、抹消登記書類管理部150は、抹消登記書類データ151を受信できる。抹消登記書類データ151は、融資を完済された後に所有者側債権者が、融資を完済した所有者へ渡す書類の電子的なデータである。抹消登記書類データ151は、登記識別情報または登記済証、抵当権解除証書や弁済証書、登記原因証明情報、委任状等をスキャンして電子化したPDF等の画像データやテキストデータである。抹消登記書類管理部150は、受信した抹消登記書類データ151を記憶して保管する。抹消登記書類管理部150は、登記支援装置90が備えるAI等のプログラムにより抹消登記書類データ151に問題がないかを確認してもよい。
【0048】
抹消登記書類管理部150は、代理人端末80へ、入力画面を送信する。代理人は、抹消登記申請書類データ152を抹消登記書類管理部150へ送信する。抹消登記申請書類データ152は、決済時に、所有者に記名押印してもらった登記申請書、委任状等をスキャンして電子化したPDF等の画像データである。抹消登記書類管理部150は、受信した抹消登記申請書類データ152を記憶して保管する。または、抹消登記書類管理部150は、代理人により作成された、またはAI等のプログラムにより自動で作成された記名押印される前の抹消登記申請書類データ152を、決済前に所有者端末20へ送信してもよい。所有者は、抹消登記申請書類データ152に、所有者端末20からタッチペンや指等によって電子的に署名したり、デジタル署名を付したりした後に、抹消登記書類管理部150へ送信できる。または、所有者は、抹消登記申請書類データ152を印刷して記名押印した後にスキャンして電子化したPDF等の画像データを、所有者端末20から抹消登記書類管理部150へ送信してもよい。
【0049】
移転登記書類管理部160は、所有者、買主および代理人が準備する移転登記に必要な書類を管理する。移転登記書類管理部160は、所有者端末20へ、入力画面を送信する。所有者は、所有者端末20を操作して、所有者が準備する不動産の移転登記に必要な所有者側移転登記書類データ161を移転登記書類管理部160へ送信でき、移転登記書類管理部160は、所有者側移転登記書類データ161を受信できる。所有者側移転登記書類データ161は、所有者が準備する、不動産の売買契約に必要な書類の電子的なデータである。所有者側移転登記書類データ161は、印鑑証明書や権利書をスキャンして電子化したPDF等の画像データやテキストデータである。移転登記書類管理部160は、受信した所有者側移転登記書類データ161を記憶して保管する。移転登記書類管理部160は、登記支援装置90が備えるAI等のプログラムにより所有者側移転登記書類データ161に問題がないかを確認してもよい。
【0050】
移転登記書類管理部160は、買主端末50へ、入力画面を送信する。買主は、買主端末50を操作して、買主側移転登記書類データ162を送信する。買主側移転登記書類データ162は、住民票、買主が法人の場合の会社謄本等をスキャンして電子化したPDF等の画像データである。移転登記書類管理部160は、受信した買主側移転登記書類データ162を記憶して保管する。移転登記書類管理部160は、登記支援装置90が備えるAI等のプログラムにより買主側移転登記書類データ162に問題がないかを確認してもよい。
【0051】
移転登記書類管理部160は、代理人端末80へ、入力画面を送信する。代理人は、決済よりも前に、記名押印される前の移転登記申請書類データ163を作成し、移転登記書類管理部160へ送信する。移転登記書類管理部160は、受信した記名押印される前の移転登記申請書類データ163を記憶して保管する。移転登記申請書類データ163は、登記申請書、登記済証、売買契約証書、登記原因証明情報、不動産の固定資産評価証明書、委任状等をスキャンして電子化したPDF等の画像データやテキストデータである。代理人は、決済時に、または決済よりも前に、所有者および買主により記名押印された各書類をスキャンして電子化したPDF等の画像データとし、代理人端末80から移転登記書類管理部160へ送信できる。移転登記書類管理部160は、受信した移転登記申請書類データ163を記憶して保管する。または、移転登記書類管理部160は、代理人により作成された、または登記支援装置90のAI等のプログラムにより自動で作成された記名押印される前の移転登記申請書類データ163を、所有者端末20および買主端末50へ送信してもよい。所有者端末20および買主端末50は、移転登記申請書類データ163に、所有者端末20および買主端末50からタッチペンや指等によって電子的に署名したり、デジタル署名を付したりした後に、移転登記書類管理部160へ送信できる。または、所有者および買主は、書類を印刷して記名押印した後にスキャンして電子化したPDF等の画像データを、所有者端末20および買主端末50から移転登記書類管理部160へ送信してもよい。
【0052】
抵当権設定登記書類管理部170は、買主、買主側金融機関および代理人が準備する抵当権設定登記に必要な書類を管理する。抵当権設定登記書類管理部170は、買主端末50へ、入力画面を送信する。買主は、買主端末50を操作して、買主が準備する不動産の抵当権設定登記に必要な買主側設定登記書類データ171を送信する。買主側設定登記書類データ171は、印鑑証明書等をスキャンして電子化したPDF等の画像データである。抵当権設定登記書類管理部170は、受信した買主側設定登記書類データ171を記憶して保管する。
【0053】
抵当権設定登記書類管理部170は、買主側金融機関端末70へ、入力画面を送信する。買主側金融機関は、買主側金融機関端末70を操作して、金融機関側設定登記書類データ172を送信でき、抵当権設定登記書類管理部170は、金融機関側設定登記書類データ172を受信できる。金融機関側設定登記書類データ172は、融資契約後に、買主側金融機関が、融資先の買主へ渡す書類の電子的なデータである。金融機関側設定登記書類データ172は、登記原因証明情報(抵当権設定契約証書など)、資格証明書、委任状等をスキャンして電子化したPDF等の画像データやテキストデータである。抵当権設定登記書類管理部170は、受信した金融機関側設定登記書類データ172を記憶して保管する。抵当権設定登記書類管理部170は、登記支援装置90が備えるAI等のプログラムにより金融機関側設定登記書類データ172に問題がないかを確認してもよい。
【0054】
抵当権設定登記書類管理部170は、代理人端末80へ、入力画面を送信する。代理人は、決済前、決済時または決済後に、設定登記申請書類データ173を送信する。設定登記申請書類データ173は、登記申請書、登記済証、登記原因証明情報、委任状等をスキャンして電子化したPDF等の画像データやテキストデータである。代理人は、決済時に、買主および買主側金融機関により記名押印された各書類をスキャンして電子化したPDF等の画像データとし、代理人端末80から移転登記書類管理部160へ送信できる。移転登記書類管理部160は、受信した設定登記申請書類データ173を記憶して保管する。または、抵当権設定登記書類管理部170は、代理人により作成された、または登記支援装置90のAI等のプログラムにより自動で作成された記名押印される前の設定登記申請書類データ173を、買主側金融機関端末70および買主端末50へ送信してもよい。買主側金融機関および買主は、設定登記申請書類データ173に、買主側金融機関端末70および買主端末50からタッチペンや指等によって電子的に署名したり、デジタル署名を付したりした後に、抵当権設定登記書類管理部170へ送信できる。または、買主側金融機関端末70および買主端末50は、書類を印刷して記名押印した後にスキャンして電子化したPDF等の画像データを、買主側金融機関端末70および買主端から抵当権設定登記書類管理部170へ送信してもよい。
【0055】
支払管理部180は、買主の支払いを管理する。支払管理部180は、代理人端末80に、入力画面を送信する。支払管理部180は、実施する登記の申請に必要なデータが揃ったと判別すると、データが揃ったことを示す情報を代理人端末80へ送信するとともに、各データを、代理人端末80へ閲覧可能に送信する。なお、支払管理部180は、受信したデータから順番に、データを代理人端末80へ閲覧可能に送信してもよい。なお、支払管理部180は、抹消登記書類データ151を代理人端末80へ閲覧可能に送信する際には、抹消登記に使用できない程度に加工することが好ましい。例えば、支払管理部180は、抹消登記書類データ151の画像データの一部を隠すように画像処理を施してもよい。また、支払管理部180は、代理人端末80へ閲覧可能となった抹消登記書類データ151を、代理人端末80へのダウンロード、画像キャプチャによる保存ができないように、代理人端末80へ表示させることができる。なお、どの情報を、代理人端末80へのダウンロード、画像キャプチャによる保存ができないようにするかは、支払管理部180によって任意に設定できることが好ましい。これにより、代理人は、代理人端末80により各データに問題がないかを確認できる。代理人は、問題がないことを確認すると、代理人端末80から支払管理部180へ、データに問題がなかったことを示す情報を送信する。支払管理部180は、実施する登記の申請に必要なデータが揃い、かつデータに問題がなかったことを示す情報を受け取ると、取引が可能となったこと示す情報を全ての関係者の端末へ送信する。なお、支払管理部180は、データに問題がなかったことを示す情報を、登記支援装置90が備えるプログラム(AI等)から受け取ってもよい。プログラムは、データに問題がないかを確認できる。実施する登記が、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記である場合、実施する登記の申請に必要なデータは、抵当権抹消登記の申請に必要なデータ(抹消登記書類データ151および抹消登記申請書類データ152)、所有権移転登記の申請に必要なデータ(所有者側移転登記書類データ161、買主側移転登記書類データ162および移転登記申請書類データ163)および抵当権設定登記の申請に必要なデータ(買主側設定登記書類データ171、金融機関側設定登記書類データ172および設定登記申請書類データ173)である。さらに、支払管理部180は、実施する登記の申請に必要なデータが揃い、かつ当日が決済日に達すると、買主端末50へ、支払いを指示するためのボタン等を含む支払指示用画面を送信する。買主は、買主端末50を操作して、支払指示用画面のボタン等を選択することにより、支払いの実行を指示する支払指示データ181を送信することができる。支払管理部180は、支払指示データ181を受信した後、買主側金融機関へ、買主側金融機関端末70または買主金融機関のネットバンキングシステムを介して、支払いの実行を指示する情報を送信する。買主端末50に表示される入力画面は、例えば、選択可能なボタンや、タイピングにより文字を入力できる記入欄を有してもよい。登記支援システム10およびネットバンキングシステムの連携は、例えばAPI(Application Programming Interface)連携により実現可能である。買主側金融機関は、手続きに問題がないかを確認し、問題がないと判断すると、買主の口座へ融資額を送金する。買主側金融機関は、買主側金融機関端末70または買主金融機関のネットバンキングシステムから、融資を行ったことを示す情報を、支払管理部180へ送信する。次に、支払管理部180は、融資を行ったことを示す情報を受信した後、買主側金融機関へ、買主側金融機関端末70または買主金融機関のネットバンキングシステムを介して、所有者が指定する1つまたは複数の口座へ、支払いを実行する。買主側金融機関は、買主側金融機関端末70または買主金融機関のネットバンキングシステムから、送金したことを示す情報を、支払管理部180へ送信する。
【0056】
さらに、支払管理部180は、支払指示データ181および送金したことを示す情報を受信した後、買主端末50へ、支払いが完了したことを関係者へ通知するためのボタン等を含む振込完了通知用画面を送信する。買主は、買主端末50を操作して、振込完了通知用画面のボタン等を選択することにより、支払いを完了したことを通知する支払通知データ182を送信することができる。支払管理部180は、支払通知データ182を受信した後、例えば所有者端末20および所有者側債権者端末40へ、支払いを完了したことを通知する。なお、支払管理部180は、買主端末50へ振込完了通知用画面を送信せずに、直接的に所有者端末20および所有者側債権者端末40へ支払いを完了したことを通知してもよい。
【0057】
着金管理部190は、所有者への着金状況を管理する。着金管理部190は、所有者および/または所有者側債権者へ、入力画面を送信する。所有者または所有者側債権者は、買主からの着金を確認した後、所有者端末20または所有者側債権者端末40を操作して、着金されたことを示す着金確認データ191を、着金管理部190へ送信する。所有者端末20または所有者側債権者端末40に表示される入力画面は、例えば、選択可能なボタンや、タイピングにより文字を入力できる記入欄を有してもよい。なお、登記支援システム10および銀行のオンラインバンキング等のシステムが、例えばAPI等により連携していれば、着金管理部190は、着金されたことを示す着金確認データ191を、銀行のシステムから受信できる。
【0058】
登記申請管理部200は、法務局への登記申請を管理する。登記申請管理部200は、代理人端末80から、抵当権抹消登記、所有権移転登記、抵当権設定登記の申請に必要な書類データを、通信ネットワーク300を介して、法務局のオンライン申請システム310により法務局へ提出する。登記支援システム10および法務局のオンライン申請システムの連携は、例えばAPI連携により実現可能である。
【0059】
状況管理部210は、登記支援装置90に保管される各データの状況を管理する。状況管理部210は、登記支援装置90に保管される各データの存否、送信された日時、保管されているデータが変更されていないことを示す情報、送信されたデータが変更された場合の変更された事実、変更された日時、AI等のプログラムや代理人による承認の有無等の情報を記録して保管する。したがって、状況管理部210は、代理人端末80に、各データが問題ないか確認できるように表示できる。代理人は、各データを確認した後、問題ない場合には、代理人端末80を操作して、各データが問題ないことを示す承認データ211を送信する。登記支援装置90は、代理人端末80から、状況管理部210により承認データ211を受信し、保管する。
【0060】
次に、登記支援装置90の制御の流れを、
図3および4を参照しつつ説明する。ここでは、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記の申請を行う場合を例に説明する。
【0061】
登記支援装置90は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記の申請に必要な全ての書類データが揃っていない状態、すなわち不動産取引の決済前の状態において、所有者、所有者側仲介業者、所有者側債権者、買主、買主側仲介業者、買主側金融機関および代理人から、各データの登記支援装置90への送信を受け付け可能とする(ステップS01)。登記支援装置90は、取引に関わる端末に、各端末が送信する予定のデータを送信できるように、入力画面を送信する。
【0062】
所有者は、決済前に、所有者端末20により、所有者側債権者が抵当権抹消関係書類を代理人へ開示することに同意する同意データ101を送信する(ステップS02)。登記支援装置90は、所有者端末20から、同意データ管理部100により同意データ101を受信し、保管する。
【0063】
また、所有者は、不動産の売買契約時や決済時に、所有者端末20から、本人確認データ管理部110へ所有者本人確認データ111を送信する(ステップS03)。これにより、本システムにより手続きを行う所有者が本人であることが確認される。登記支援装置90は、所有者端末20から、本人確認データ管理部110により所有者本人確認データ111を受信し、保管する。
【0064】
また、所有者は、不動産の売買契約を行った後であって決済前に、所有者端末20から、売買契約が確定したことおよび決済日を示す連絡データ121を送信する(ステップS04)。登記支援装置90は、所有者端末20から、連絡管理部120により連絡データ121を受信し、保管する。登記支援装置90は、連絡データ121を受け取った後、連絡データ121に含まれる情報を、所有者側債権者端末40に送信する(ステップS05)。これにより、所有者は、売買契約が確定したことおよび決定した決済日を、所有者側債権者へ容易かつ確実に伝えることができる。
【0065】
所有者金融機関は、所有者側債権者端末40により、決済日の情報を含む連絡データ121を受け取ると、決済日および金利から抵当権抹消金額を算出し、抵当権抹消金額および振込先口座を含む抹消金額等データ131を、所有者側債権者端末40に入力し、抹消金額情報管理部130へ送信する(ステップS06)。登記支援装置90は、抹消金額情報管理部130により所有者側債権者端末40から抹消金額等データ131を受信すると、そのデータを保管する。さらに、所有者金融機関は、所有者側債権者端末40により、抹消登記書類データ151を送信する(ステップS07)。登記支援装置90は、抹消登記書類管理部150により、所有者側債権者端末40から抹消登記書類データ151を受信し、保管する。
【0066】
登記支援装置90は、抹消金額等データ131を受け取った後、抹消金額等データ131に含まれる情報を、所有者端末20に送信する(ステップS08)。これにより、所有者は、抵当権抹消金額および振込先口座の情報を得ることができる。
【0067】
登記支援装置90は、同意データ101を受信し、かつ抹消登記書類データ151を受信すると、抹消登記書類データ151を、代理人端末80に閲覧可能に送信する(ステップS09)。これにより、代理人は、抹消登記書類データ151を確認できる。すなわち、同意データ101が事前に用意されることで、所有者側債権者は、抵当権抹消関係書類を代理人へ開示できる。なお、抹消登記書類データ151は、所有者側債権者端末40、所有者端末20および代理人端末80以外の端末からは閲覧やダウンロードができない。このため、登記支援システム10は、取引の安全を確保できる。
【0068】
所有者は、抹消金額等データ131に含まれる情報を受け取った後であって決済前に、所有者端末20から、金種情報管理部140へ1つ以上の振込口座および振込額を含む金種情報データ141を送信する(ステップS10)。登記支援装置90は、金種情報管理部140により所有者端末20から金種情報データ141を受信し、保管する。
【0069】
さらに、所有者は、決済前に、所有者端末20から、移転登記書類管理部160へ所有者側移転登記書類データ161を送信する(ステップS11)。登記支援装置90は、移転登記書類管理部160により、所有者端末20から所有者側移転登記書類データ161を受信し、保管する。
【0070】
買主は、買主端末50から、不動産の売買契約時や決済時に、本人確認データ管理部110により買主本人確認データ112を送信する(ステップS12)。これにより、本システムにより手続きを行う買主が本人であることが確認される。登記支援装置90は、買主端末50から、本人確認データ管理部110により買主本人確認データ112を受信し、保管する。
【0071】
また、買主は、決済前に、買主端末50から、買主側移転登記書類データ162を送信し(ステップS13)、買主側設定登記書類データ171を送信する(ステップS14)。登記支援装置90は、買主端末50から、移転登記書類管理部160により買主側移転登記書類データ162を受信し、抵当権設定登記書類管理部170により買主側設定登記書類データ171を受信し、保管する。
【0072】
買主側金融機関は、決済前に、買主側金融機関端末70により、金融機関側設定登記書類データ172を送信する(ステップS15)。登記支援装置90は、買主側金融機関端末70から、抵当権設定登記書類管理部170により金融機関側設定登記書類データ172を受信し、保管する。
【0073】
代理人は、決済前に、代理人端末80により、記名押印前の抹消登記申請書類データ152、移転登記申請書類データ163、および設定登記申請書類データ173を作成し、登記支援装置90へ送信する。登記支援装置90は、代理人端末80からの要求(例えば、画面におけるボタンの選択など)によって、抹消登記申請書類、移転登記申請書類、設定登記申請書類の記入前の記入可能な電子データを、代理人端末80を送信できてもよい。代理人は、代理人端末80で受け取った各書類の記入前の電子データを利用して、記名押印前の抹消登記申請書類データ152、移転登記申請書類データ163、および設定登記申請書類データ173を作成できる。登記支援装置90は、代理人端末80から、抹消登記書類管理部150により抹消登記申請書類データ152を受信し、移転登記書類管理部160により移転登記申請書類データ163を受信し、抵当権設定登記書類管理部170により設定登記申請書類データ173を受信し保管する。代理人は、決済時に、記名押印前の抹消登記申請書類データ152を印刷して所有者に示し、記名押印してもらった後、電子化して画像データとして、代理人端末80から登記支援装置90へ送信する(ステップS16)。また、代理人は、決済時に、記名押印前の移転登記申請書類データ163を印刷して所有者および買主に示し、記名押印してもらった後、電子化して画像データとして、代理人端末80から登記支援装置90へ送信する(ステップS17)。また、代理人は、決済時に、記名押印前の設定登記申請書類データ173を印刷して買主に示し、記名押印してもらった後、電子化して画像データとして、代理人端末80から登記支援装置90へ送信する(ステップS18)。記名押印された抹消登記申請書類データ152、移転登記申請書類データ163、および設定登記申請書類データ173は、登記支援装置90で保管される。なお、記名押印は、デジタル署名等の電子的な署名であってもよい。この場合、代理人は、各書類を印刷およびスキャンしなくてもよい。
【0074】
登記支援装置90は、受信するデータ毎に、データの存否を示す表示、送信された日時を示す表示、保管されているデータが変更されていないことを示す情報、送信されたデータが変更された場合に変更された事実を示す情報(例えば、変更された日時の表示)を、設定された端末(例えば、全ての関係者の端末)へ送信する。これにより、所有者、所有者側仲介業者、所有者側債権者、買主、買主側仲介業者、買主側金融機関、および代理人は、登記に必要なデータの集まり状況を、自己が使用する端末により確認できる。また、登記支援装置90は、保管されたデータが修正されたり、削除されたり、入れ換えられたりすると、所有者、所有者側仲介業者、所有者側債権者、買主、買主側仲介業者、買主側金融機関、および代理人は、修正、削除または入れ換えられたことを確認できる。そして、各データは、AIや代理人により確認された後、問題ないデータであることを承認される。代理人は、決済前に、代理人端末80により、登記支援装置90の支払管理部180によって閲覧可能とされた登記に必要な各データを確認できることが好ましい(ステップS19)。代理人は、確認して問題ないと承認したデータに対して、承認されたデータであることを示す情報を、代理人端末80により登記支援装置90へ送信できる。登記支援装置90は、データが承認された後、データが承認されたことを、文字、色、記号等により、全ての関係者の端末へ送信する(ステップS20)。登記支援装置90は、一旦承認されたデータの修正、削除および入れ換えを不能としてもよい。これにより、承認されたデータの改ざんを防止できる。
【0075】
抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記が異なる代理人により行われる場合、1つの不動産の取引に関連して、複数の代理人端末80が存在する。そして、各々の代理人が、担当する登記の申請書類を作成し、かつ確認を行うことが好ましい。例えば、代理人Aは、抵当権抹消登記を担当する場合、決済前に、代理人Aが使用する代理人端末80から、抹消登記申請書類データ152を作成して送信するとともに、抵当権抹消登記に必要なデータ(抹消登記書類データ151および抹消登記申請書類データ152等)が問題ないかを確認できることが好ましい(ステップS19)。また、代理人Bは、所有権移転登記を担当する場合、決済前に、代理人Bが使用する代理人端末80から、移転登記申請書類データ163を作成して送信するとともに、所有権移転登記に必要なデータ(所有者側移転登記書類データ161、買主側移転登記書類データ162および移転登記申請書類データ163等)が問題ないかを確認できることが好ましい(ステップS19)。また、代理人Cは、抵当権設定登記を担当する場合、決済前に、代理人Cが使用する代理人端末80から、設定登記申請書類データ173を作成して送信するとともに、抵当権設定登記に必要なデータ(買主側設定登記書類データ171、金融機関側設定登記書類データ172および設定登記申請書類データ173等)が問題ないかを確認できることが好ましい(ステップS19)。各々の代理人は、確認して問題ないと承認したデータに対して、承認されたデータであることを示す情報を、各々の代理人端末80により登記支援装置90へ送信できる。登記支援装置90は、データが承認された後、各データが承認されたことを、文字、色、記号等により、全ての関係者の端末へ送信する(ステップS20)。
【0076】
登記支援装置90は、抵当権抹消登記に必要なデータ(抹消登記書類データ151および抹消登記申請書類データ152)、所有権移転登記に必要なデータ(所有者側移転登記書類データ161、買主側移転登記書類データ162および移転登記申請書類データ163)および抵当権設定登記の申請に必要なデータ(買主側設定登記書類データ171、金融機関側設定登記書類データ172および設定登記申請書類データ173)が揃い、AI等のプログラムや代理人により確認されて問題ないと承認された状態となると、その状態を判別する。登記支援装置90は、各データが揃い、問題ないと判別した後、取引の全ての関係者の端末(所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80)から、各データ(少なくとも、前述の抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記の申請に必要なデータ)の修正、削除および入れ換えを不能とする(ステップS21)。これにより、各データは、承認された状態で保全される。次に、状況管理部210は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記が可能となったことを、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80へ通知する(ステップS22)。
【0077】
さらに、登記支援装置90は、決定されている決済日に、買主端末50へ、支払いを指示するためのボタン等の支払指示用画面を送信する(ステップS23)。買主は、決定されている決済日に、表示された支払指示用画面のボタン等を選択し、支払いの実行を指示する(ステップS24)。登記支援装置90は、買主端末50から支払指示データ181を受信する。登記支援装置90は、登記支援システム10に連携している買主側金融機関のネットバンキング等にアクセスし、振込を行うための画面を買主端末50へ表示させる(ステップS25)。買主は、買主端末50に表示された買主側金融機関のネットバンキング等の画面や、登記支援システム10の画面から、金種情報により指定された1つまたは複数の振込口座へ、指定された金額を送金する(ステップS26)。
【0078】
支払いが完了された後、登記支援装置90は、支払いを完了したことを示す情報を、買主端末50、買主側金融側機関端末70、所有者端末20および所有者側債権者端末40等へ通知する(ステップS27)。
【0079】
次に、支払いを完了したことを示す情報を受信した所有者は、所有者端末20から、または他の手段により、振込口座への着金を確認する(ステップS28)。所有者は、振込口座の着金を確認した後、登記支援システム10が、所有者側債権者のネットバンキング等のシステムと連携されていれば、所有者は、所有者端末20を操作してネットバンキング等から着金を確認できる。
【0080】
所有者は、着金を確認した後、所有者端末20を操作して、着金されたことを示す着金確認データ191を、着金管理部190へ送信する(ステップS29)。なお、登記支援システム10が、所有者側債権者のネットバンキング等のシステムと連携されていれば、着金管理部190は、指定された口座に指定金額が着金されたことを示す情報を、金融機関のシステムから自動的に取得してもよい。
【0081】
登記支援装置90は、着金管理部190により着金確認データ191を受信した後、着金があったことを示す情報を、取引に関係する全ての関係者の端末へ通知する(ステップS30)。さらに、登記支援装置90は、代理人端末80からの指示により、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権抹消登記の申請を可能な状態とする(ステップS31)。本実施形態においては、登記支援システム10は、法務局のオンライン申請システム310と連携している。この場合、登記に必要なデータは、登記支援装置90から代理人端末80を介さずに、オンライン申請システム310へ直接的にオンラインで申請できる。
【0082】
代理人は、代理人端末80により登記支援装置90へ指示を送る(ステップS32)。これにより、登記支援装置90は、抵当権抹消登記のための電子データ(抹消登記書類データ151および抹消登記申請書類データ152)と、所有権移転登記のための電子データ(所有者側移転登記書類データ161、買主側移転登記書類データ162および移転登記申請書類データ163)と、抵当権設定登記のための電子データ(買主側設定登記書類データ171、金融機関側設定登記書類データ172および設定登記申請書類データ173)を、オンライン申請システム310へオンラインで提出する(ステップS33)。このとき、登記支援装置90には、所有者側債権者が抹消登記書類データ151を代理人へ開示することに所有者が同意する同意データ101が保管されているため、所有者側債権者は、抹消登記書類データ151を代理人に開示できる。そして、登記に必要な書類が全て揃った状態で、振り込みが行われるため、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記の申請を円滑かつ迅速に行うことができる。なお、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記の申請は、連続した1つの手続きで行われることが好ましいが、別々の異なる手続きで行われてもよい。
【0083】
登記支援装置90は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記を、連件申請により同時に申請することができる。なお、連件申請は、一人の代理人が代表して連件申請する場合と、各々の代理人が個別に申請する登記を連件申請する場合とがある。登記支援装置90は、複数の代理人端末80が存在する場合、登記申請が行われるよりも前に、各々の代理人端末80へ、どの代理人が代表して連件申請するか、または各々の代理人が個別に申請する登記を連件申請するかを選択するためのボタン等を有する選択画面を送信する。なお、登記支援装置90は、他の関係者の端末(所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60または買主側金融機関端末70)へ、選択画面を送信してもよい。選択画面を送信された人のいずれかが、登記申請が行われるよりも前の任意のタイミングまたは所定のタイミングで、自分が使用する端末により、どの代理人が代表で連件申請するか、または各々の代理人が個別に申請する登記を連件申請するかを選択し、登記支援装置90へ送信する。
【0084】
代理人の一人が代表して連件申請に関する指示を送信する場合、登記支援装置90は、代表に選択された代理人端末80から指示を受ければ抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権抹消登記の申請を可能な状態とする(ステップS31)。代表の代理人は、代理人端末80により登記支援装置90へ登記申請を行う指示を送る(ステップS32)。登記支援装置90は、連件申請をする旨を、抹消登記申請書類データ152、移転登記申請書類データ163および設定登記申請書類データ173に追記する。次に、登記支援装置90は、登記の順番を自動で適切に設定し、本実施形態においては抵当権抹消登記、所有権移転登記、抵当権設定登記の順番で、登記に必要な電子データを、オンライン申請システム310へ提出する(ステップS33)。
【0085】
各々の代理人が個別に申請する登記を連件申請する場合、登記支援装置90は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記を、オンラインで連件申請するために、登記の順番を自動で適切に設定する。本実施形態においては、登記支援装置90は、初めに、抵当権抹消登記を担当する代理人の代理人端末80から指示を受ければ抵当権抹消登記の申請を可能な状態とする(ステップS31)。抵当権抹消登記を担当する代理人が、代理人端末80により登記申請の指示を送ると(ステップS32)、指示を受信した登記支援装置90は、抵当権抹消登記のための電子データ(抹消登記書類データ151および抹消登記申請書類データ152)を、オンライン申請システム310へオンラインで提出する(ステップS33)。次に、登記支援装置90は、オンライン申請システム310から、抵当権抹消登記の受付番号をオンラインで受信する。
【0086】
次に、登記支援装置90は、所有権移転登記を担当する代理人の代理人端末80から指示を受ければ所有権移転登記の申請を可能な状態とする(ステップS31)。所有権移転登記を担当する代理人が、代理人端末80により登記申請の指示を送ると(ステップS32)、指示を受信した登記支援装置90は、移転登記申請書類データ163に、本不動産の抵当権抹消登記と連件であること、抵当権抹消登記が行われた日付および受付番号を自動で追記し、所有権移転登記のための電子データ(所有者側移転登記書類データ161、買主側移転登記書類データ162および移転登記申請書類データ163)を、オンライン申請システム310へオンラインで提出する。次に、登記支援装置90は、オンライン申請システム310から、所有権移転登記の受付番号をオンラインで受信する。
【0087】
次に、登記支援装置90は、抵当権設定登記を担当する代理人の代理人端末80から指示を受ければ抵当権設定登記の申請を可能な状態とする(ステップS31)。抵当権設定登記を担当する代理人が、代理人端末80により登記申請の指示を送ると(ステップS32)、指示を受信した登記支援装置90は、設定登記申請書類データ173に、本不動産の所有権移転登記と連件であること、所有権移転登記が行われた日付および受付番号を自動で追記し、抵当権設定登記のための電子データ(買主側設定登記書類データ171、金融機関側設定登記書類データ172および設定登記申請書類データ173)を、オンライン申請システム310へオンラインで提出する。これにより、登記支援装置90は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記を、オンラインで連件申請することができる。なお、代理人の一人が代表して連件申請する場合においても、上述した各々の代理人が個別に申請する登記を連件申請する場合と同様に、登記支援装置90は、前の登記と連件であること、前の登記が行われた日付および受付番号を自動で追記しつつ、順番にオンライン申請システム310へ登記申請を行ってもよい。
【0088】
登記支援装置90は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権抹消登記について、代理人端末80を経由して、オンラインの申請を可能としてもよい。この場合、代理人端末80が、法務局のオンライン申請システム310と連携している。登記に必要なデータは、登記支援装置90が登記の申請を可能な状態(ステップS31)とした後に、登記支援装置90から代理人端末80へ送信される。この後、代理人は、代理人端末80によりデータを受け取り、代理人端末80からオンライン申請システム310へオンラインで申請する。
【0089】
登記支援装置90は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権設定登記が完了したことを示す情報を、法務局のオンライン申請システム310から受信すると、状況管理部210により、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70および代理人端末80へ、登記が完了したことを示す情報を送信する(ステップS34)。これにより、登記支援システム10は、登記情報の変更支援を完了する。この後、代理人は、登記申請の際にオンライン申請システムにより法務局へ提出した電子データの原本を、法務局へ郵送する。
【0090】
以上のように、本実施形態に係る登記支援装置90は、不動産の売買に伴う登記情報の変更を支援する登記支援装置90であって、不動産の所有者または所有者のために不動産の売却先を紹介する不動産仲介業者が使用する所有者側の端末21(所有者端末20および/または所有者側仲介業者端末30)、不動産の抵当権を有している所有者側債権者が使用する所有者側債権者端末40、不動産の買主または買主のために不動産の購入を仲介する不動産仲介業者が使用する買主側の端末51(買主端末50および/または買主側仲介業者端末60)、不動産の登記の申請を行う代理人が使用する代理人端末80、買主から依頼を受ける買主側金融機関が使用する買主側金融機関端末70、および不動産登記の申請を受け付けるオンライン登記システム310と通信ネットワーク300で接続可能であり、所有者側の端末21または所有者側仲介業者端末30から、所有者が準備する所有権移転登記の申請に必要な所有者側移転登記書類データ161を受信し、買主側の端末51から、買主が準備する所有権移転登記の申請に必要な買主側移転登記書類データ162を受信し、前記代理人端末80から、代理人が準備する所有権移転登記の申請に必要な移転登記申請書類データ163を受信する移転登記書類管理部160と、所有者側の端末21または所有者側債権者端末40から、不動産の購入費用の着金を確認したことを示す着金確認データ191を受信する着金管理部190と、所有者側移転登記書類データ161、買主側移転登記書類データ162および移転登記申請書類データ163を含む移転登記用データを受信した後であって、かつ着金確認データ191を受信した後に、代理人端末80からの指示により登記支援装置90から、または代理人端末80から移転登記用データを使用して通信ネットワーク300を介してオンライン登記システム310へ所有権移転登記を申請可能とする登記申請管理部200と、を有する。
【0091】
また、本実施形態における登記支援方法は、通信ネットワーク300に接続可能な登記支援装置90によりオンライン登記システム310への不動産登記の申請を支援する登記支援方法であって、不動産の所有者または所有者のために不動産の売却先を紹介する不動産仲介業者が使用する所有者側の端末21から、所有者が準備する所有権移転登記の申請に必要な所有者側移転登記書類データ161を受信するステップと、不動産の買主が使用する買主または買主のために不動産の購入を仲介する不動産仲介業者が使用する買主側の端末51から、買主が準備する所有権移転登記の申請に必要な買主側移転登記書類データ162を受信するステップと、不動産の登記の申請を行う代理人が使用する代理人端末80から、代理人が準備する所有権移転登記の申請に必要な移転登記申請書類データ163を受信するステップと、所有者側の端末21または所有者側債権者端末40から、不動産の購入費用の着金を確認したことを示す着金確認データを受信するステップと、所有者側移転登記書類データ161、買主側移転登記書類データ162および移転登記申請書類データ163を含む移転登記用データを受信した後であって、かつ着金確認データ191を受信した後に、代理人端末80からの指示により登記支援装置90から、または代理人端末80から移転登記用データを使用して通信ネットワーク300を介してオンライン登記システム310へ所有権移転登記を申請可能とするステップと、を有する。
【0092】
上記のように構成した登記支援装置90および登記支援方法は、不動産の所有権移転登記に必要なデータを全て受信し、かつ着金確認データ191を受信した後に、代理人端末80から所有権移転登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に所有権移転登記を行うことができる。このため、着金と所有権移転登記のタイムラグを減少させて、買主および/または買主側金融機関の負担を低減できる。また、登記支援装置90は、エスクローシステムではないため、登記に必要な費用を削減し、第3者機関へ高い購入金額を預ける必要がなく、所有者および/または買主の負担を低減できる。
【0093】
また、登記支援装置90は、所有者側債権者端末40から、所有者側債権者が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記書類データ151を受信するとともに、代理人端末80から、代理人が準備する、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消の申請に必要な抹消登記申請書類データ152を受信する抹消登記書類管理部150と、所有者側の端末21から、所有者側債権者が抹消登記書類データ151を代理人へ開示することに所有者が同意することを示す同意データ101を受信する同意データ管理部100と、を有し、登記申請管理部200は、抹消登記書類データ151、抹消登記申請書類データ152および同意データ101を含む抹消登記用データを受信した後であって、かつ着金確認データ191を受信した後に、代理人端末80からの指示により登記支援装置90から、または代理人端末80から抹消登記用データを使用して通信ネットワーク300を介して不動産の所有権の移転を阻害する登記を抹消する登記を申請可能とする。これにより、登記支援装置90は、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記に必要なデータを全て受信し、かつ着金確認データ191を受信した後に、代理人端末80から不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記を行うことができる。このとき、登記支援装置90は、同意データ101を事前に受信しているため、所有者側債権者は、代理人へ抹消登記書類データ151を開示できる。このため、代理人は、不動産の所有権の移転を阻害する登記の抹消登記の申請を迅速に行うことができる。したがって、着金と抹消登記のタイムラグを減少させて、買主および/または買主側金融機関の負担を低減できる。
【0094】
また、登記支援装置90は、買主端側の端末51から、買主が準備する抵当権設定登記の申請に必要な買主側設定登記書類データ171を受信し、買主側金融機関端末70から、買主側金融機関が準備する抵当権設定登記の申請に必要な金融機関側設定登記書類データ172を受信し、代理人が準備する抵当権設定登記の申請に必要な設定登記申請書類データ173を受信する抵当権設定登記書類管理部170を有し、登記申請管理部200は、買主側設定登記書類データ171、金融機関側設定登記書類データ172および設定登記申請書類データ173を含む抵当権設定登記用データを受信した後であって、かつ着金確認データ191を受信した後に、代理人端末80からの指示により登記支援装置90から、または代理人端末80から抵当権設定登記用データを使用して通信ネットワーク300を介して抵当権設定登記を申請可能とする。これにより、登記支援装置90は、不動産の抵当権設定登記に必要なデータを全て受信し、かつ着金確認データ191を受信した後に、代理人端末80から抵当権設定登記の申請を可能とする。このため、代理人は、所有者への着金が確認された後に、迅速に抵当権設定登記を行うことができる。このため、代理人は、抵当権設定登記の申請を迅速に行うことができる。したがって、着金と抵当権設定登記のタイムラグを減少させて、買主側金融機関の負担を低減できる。
【0095】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、所有者側仲介業者端末30は、代理人端末80を操作する代理人や、所有者端末20を操作する所有者が操作してもよい。また、買主側仲介業者端末60は、代理人端末80を操作する代理人や、買主端末50を操作する買主が操作してもよい。仲介業者は、不動産登記を円滑にすべく関係者間をつなぐ役割を果たすが、仲介業者がいなくても、不動産登記が可能である。
【0096】
また、登記支援システム10により行うことができる登記申請は、抵当権抹消登記、所有権移転登記、抵当権設定登記の申請に限定されず、例えば、土地地目変更登記、所有権保存登記、合筆登記、根抵当権設定登記、共同根抵当権設定登記、登記名義人住所・氏名変更登記、根抵当権抹消登記、建物滅失登記等の申請が可能であってもよい。
【0097】
また、購入金額は、指定される振込先口座へ振り込まれる前に、登記支援装置90が管理する管理口座や信託口座へ一旦振り込まれてもよい。登記支援装置90は、管理口座や信託口座を使用することを、取引の関係者のいずれかの端末(所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80)から受け付けることができる。管理口座や信託口座の情報は、登記支援装置90により自動的に提供される。管理口座や信託口座への着金確認(ステップS28)は、登記支援装置90の着金管理部190により自動的に行われる。登記支援装置90は、着金を確認した後、着金があったことを示す情報を、取引に関係する全ての関係者の端末へ通知する(ステップS30)。登記支援装置90は、オンライン申請システム310への登記申請(ステップS33)が完了した後に、金種情報データ141により指定される振込額を振込先口座へ送金する。このように、本登記支援システム10は、エスクロー的な取引も選択可能である。
【0098】
同意データ101、抹消登記申請書類データ152、移転登記申請書類データ163、設定登記申請書類データ173、その他の各種委任状等は、上述したように電子契約書でありえ、契約書がクラウドデータであってもよい。
【0099】
また、登記支援装置90は、通信ネットワーク300に接続された不動産会社(所有者側仲介業者や買主側仲介業者)、司法書士、金融機関(所有者側金融機関や買主側金融機関)等の各々の基幹システムと連携可能であると、より好ましい。
【0100】
また、登記支援装置90は、通信ネットワーク300に接続された行政機関(区役所、法務局、税務署等)のシステムとデータ連携が可能であると、より好ましい。これにより、登記支援装置90は、必要な書類(例えば、印鑑証明書、住民票、固定資産税都市企画税評価書、マイナンバー等)の取得や、取得するための入力等を、手続きを行う者の端末から容易に行うことを可能とする。
【0101】
登記支援装置90は、抵当権抹消登記、所有権移転登記および抵当権抹消登記についてオンラインの申請を行う際に、法務局へ直接的にオンライン申請するだけでなく、代理人端末80を経由したり、それ以外の業者のシステムを経由したりすることで、間接的にオンライン申請を行ってもよい。
【0102】
また、登記支援装置90は、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80の少なくとも二人でのビデオ通話を可能としてもよい。登記支援装置90は、各端末へビデオ通話を実行するためのボタン等を表示されることができる。登記支援装置90は、ボタンを選択されて実行されることで、対話する相手を選択可能として、ビデオ通話を実行させる。なお、ビデオ通話は、登記支援装置90の専用の機能であってもよいが、ZOOM(登録商標)、SKYPE(登録商標)、LINE(登録商標)などの外部システムと連携することで実現されてもよい。したがって、登記支援装置90は、上述したステップS01~S34の少なくとも一部を、ビデオ通話を行いながら実行することも可能である。
【0103】
登記支援装置90は、不動産の売却依頼から登記および決済までの全てを行うことを可能とするが、不動産の売却の一部の手続きだけの利用や、不動産の売買以外の登記申請だけの利用も可能である。例えば、登記支援装置90は、所有者端末20と所有者側仲介業者端末30を用いた、売却依頼(媒介契約)のみで利用されてもよい。
【0104】
また、登記支援装置90は、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、買主端末50、および買主側仲介業者端末60を用いた、重要事項説明書による重要事項説明を含む不動産の売買契約で利用されてもよい。この場合、代理人(司法書士または弁護士)、買主側金融機関、および買主側金融機関は、登記支援装置90における取引に登場しない。
【0105】
また、登記支援装置90は、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80を用いた、不動産取引の売却代金の決済のみのために利用されてもよい。この場合、登記支援装置90は、不動産の登記の手続きに利用されなくてよい。
【0106】
また、登記支援装置90は、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80を用いた、不動産取引の登記手続きのみのために利用されてもよい。この場合、登記支援装置90は、登記に付随する本人確認や登記手続きに利用され、売却代金の決済に利用されなくてよい。
【0107】
また、登記支援装置90は、所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、および代理人端末80を用いた、不動産の抹消登記のための銀行手続きのみに利用されてもよい。
【0108】
また、登記支援装置90は、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、および代理人端末80を用いた、不動産の買主のための融資契約のみのために利用されてもよい。
【0109】
また、登記支援装置90は、不動産の資料をクラウドで管理するために利用されたり、資料のバックアップ用の専用サーバーとして利用されてもよい。登記支援装置90は、各端末(所有者端末20、所有者側仲介業者端末30、所有者側債権者端末40、買主端末50、買主側仲介業者端末60、買主側金融機関端末70、または代理人端末80)に、不動産の補足説明資料を提供できる。また、登記支援装置90は、不動産以外の取引や各種手続き、情報の管理や提供等に利用されてもよい。
【0110】
なお、本出願は、2020年2月20日に出願された日本特許出願2020-027193号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
【符号の説明】
【0111】
10 登記支援システム
20 所有者端末
21 所有者側の端末
30 所有者側仲介業者端末
40 所有者側債権者端末
50 買主端末
51 買主側の端末
60 買主側仲介業者端末
70 買主側金融機関端末
80 代理人端末
90 登記支援装置
91 記憶装置
92 処理装置
93 通信装置
100 同意データ管理部
101 同意データ
110 本人確認データ管理部
111 所有者本人確認データ
112 買主本人確認データ
120 連絡管理部
121 連絡データ
130 抹消金額情報管理部
131 抹消金額等データ
140 金種情報管理部
141 金種情報データ
150 抹消登記書類管理部
151 抹消登記書類データ
160 移転登記書類管理部
161 所有者側移転登記書類データ
162 買主側移転登記書類データ
163 移転登記申請書類データ
170 抵当権設定登記書類管理部
171 買主側設定登記書類データ
172 金融機関側設定登記書類データ
173 設定登記申請書類データ
180 支払管理部
181 支払指示データ
182 支払通知データ
190 着金管理部
191 着金確認データ
200 登記申請管理部
210 状況管理部
211 承認データ
300 通信ネットワーク
310 オンライン申請システム