(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/26 20060101AFI20220119BHJP
D06F 37/24 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
D06F37/26
D06F37/24 B
(21)【出願番号】P 2016038470
(22)【出願日】2016-02-29
【審査請求日】2019-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】川口 智也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】馬場 義一
(72)【発明者】
【氏名】大西 崇之
(72)【発明者】
【氏名】中川 亘
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05622350(US,A)
【文献】特開2002-058895(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105040348(CN,A)
【文献】特開2008-161352(JP,A)
【文献】特開2010-036012(JP,A)
【文献】特開2015-165860(JP,A)
【文献】特開2001-198384(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0073446(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00~51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容し内槽側開口が形成される内槽と、前記内槽を収容する外槽と、前記内槽および前記外槽を収容する略円筒形状のケースとを有する洗濯機であって、
前記ケースの底壁から立設され前記外槽の振動を吸収しつつ当該外槽の下端を支持するダンパと、
前記内槽側開口と前記ケースの上端に形成された蓋側開口との間に設けられ前記蓋側開口から前記内槽側開口への洗濯物の出し入れをガイドするホッパと、を具備し、
前記ホッパの下端部が、
前記内槽の上端部より上方において前記外槽の上端部に取り付けられ
、且つ、前記ホッパの上端部と前記ケースとの間に隙間が形成されており、
前記ホッパは、前記内槽の上端部に連なる下端部と、前記下端部から上方へ向けて漸次径が大きく構成される大径上端部とを有するものであり、
前記ケースの少なくとも前記ホッパと対向する部分及び前記ホッパは、透明又は半透明であることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記ホッパは、前記外槽及び前記内槽よりも比重が小さい素材によって構成されることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ホッパは、前記内槽の上端よりも高い水位の水を貯留するための嵩上げ槽として機能することを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記ホッパが、前記外槽の内周から前記内槽側開口まで延出する延出部と、この延出部から一体的に立設されるホッパ本体とを有していることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭用として好適に使用することができる洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦型の洗濯機は、外槽の4箇所を吊り棒によって支持することで、共振点付近での外槽や内槽の振れ回りを防止している(例えば、特許文献1参照)。斯かる吊り棒は外槽の下端から斜め上方に延び、制振バネを介して外槽を吊下げ支持しているもので、平面視矩形状をなすケースの隅部と外槽とのあいだのデッドスペースを収納場所として利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような吊り棒を適用した構造の場合、吊り棒構成部品と外槽とが摺動接触するため、異音発生の可能性が払拭できないという潜在的な課題がある。また、近時において、意匠的な外観に加えて、洗濯状態の可視化や故障個所の視認性等の観点から、洗濯機のケースを透明にして内部を見せたいという要請もある。これらの要請に応えるためには、吊り棒が邪魔であり、支持構造を見直す必要がある。
【0005】
そこで、新たな支持構造として、縦型の洗濯機においても所謂ドラム式と称されるような横型の洗濯機同様、外槽の下からダンパで支持することが考えられる。そうなると、ケ
ースへの振動の伝播を考慮してダンパをケース底壁近くに設置することがまず考えられるが、斯かる構造を適用した場合、吊棒構造に比して外槽の位置が低くなるので、ケース蓋部の操作板等の高さ位置が吊棒構造のものと同等とすれば、外槽・内槽とケース蓋部の開口との距離が吊り棒を適用した洗濯機よりも開いてしまうという新たな課題を招来してしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、これまでに無い支持構造としつつ、吊り棒を適用した構造に比して遜色ないまでに作動中の振動を抑制することができる洗濯機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明の洗濯機は、洗濯物を収容し内槽側開口が形成される内槽と、前記内槽を収容する外槽と、前記内槽および前記外槽を収容する略円筒形状のケースとを有する洗濯機であって、前記ケースの底壁から立設され前記外槽の振動を吸収しつつ当該外槽の下端を支持するダンパと、前記内槽側開口と前記ケースの上端に形成された蓋側開口との間に設けられ前記蓋側開口から前記内槽側開口への洗濯物の出し入れをガイドするホッパと、を具備し、前記ホッパの下端部が、前記内槽の上端部より上方において前記外槽の上端部に取り付けられ、且つ、前記ホッパの上端部と前記ケースとの間に隙間が形成されており、前記ホッパは、前記内槽の上端部に連なる下端部と、前記下端部から上方へ向けて漸次径が大きく構成される大径上端部とを有するものであり、前記ケースの少なくとも前記ホッパと対向する部分及び前記ホッパは、透明又は半透明であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の洗濯機は、前記ホッパは、前記外槽及び前記内槽よりも比重が小さい素材によって構成されることを特徴とする。
【0010】
【0011】
【0012】
また本発明は、ホッパが、内槽の上端よりも高い水位の水を貯留するための嵩上げ槽として機能することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、ホッパが、外槽の内周から内槽側開口まで延出する延出部と、この延出部から一体的に立設されるホッパ本体とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明した本発明によれば、ケースの底壁から立設され外槽の振動を吸収しつつ当該外槽の下端を支持するダンパと、内槽側開口及び蓋側開口の間に設けられ前記蓋側開口から前記内槽側開口への洗濯物の出し入れをガイドするためのホッパとを具備することにより、吊り棒をなくすことで吊り棒と外槽との摺動接触に起因した異音発生を取り除き、ダンパを介してケースの底壁に近づけて支持させることで倒れモーメントに起因したケースへの振動の影響が有効に抑えられる。加えて、ケースと内槽との間にホッパを介在させることで、内槽側開口と蓋側開口との距離が開いても、洗濯物の出し入れを適切にガイドすることが可能となる。
また本発明によれば、ホッパを、内槽の上端部に連続する下端部と、下端部から上方へ向けて漸次径を大きく構成した大径上端部とを有した概略テーパ形状をなすもの、換言すれば、逆円錐台形状或いは概略すり鉢形状としているので、内槽よりもホッパの上端部分の開口面積を大きくとることができ、洗濯物の出し入れの便がより向上する。
また本発明によれば、ケースの少なくともホッパと対向する部分及びホッパを透明又は半透明としているので、意匠的な外観に加えて、洗濯状態の可視化や故障個所の視認性向上につながる。
【0015】
また本発明によれば、ホッパを、外槽及び内槽よりも比重が小さい素材によって構成しているので、ダンパに支持されている部材を軽量化することにより、固有振動数を上げることができ、通常脱水時の振動を低減することができる。
【0016】
【0017】
【0018】
また本発明によれば、ホッパを、内槽の上端よりも高い水位の水を貯留するための嵩上げ槽として機能させているので、内槽の容積を嵩上げしたものと同様の効果が得られる。
【0019】
また本発明によれば、ホッパを、外槽の内周から前記内槽側開口まで延出する延出部と、この延出部から一体的に立設されるホッパ本体とを有したものとしているので、用いる素材にかかわらずホッパの強度を有効に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は本実施形態の洗濯機1の外形を示す斜視図である。
図2は、本実施形態の洗濯機1において視認した状態を示した外観図である。また、
図3は、同洗濯機1の主要な内部構造を示す断面図である。
図3では洗濯機1の駆動部分、制御に係る部分及び制御に係る部分の図示を適宜省略している。
【0023】
本実施形態の洗濯機1は、例えば家庭にて好適に使用され得るものであり、洗濯物を収容するための内槽4と、内槽4を収容する外槽3と、内槽4及び外槽3を外方から良好に視認可能なように収容するケース2とを有する。また本洗濯機1は、外槽3、内槽4及びケース2に加え、外槽3の上部に取り付けらるホッパ7と、外槽3の下側に取り付けられるダンパ6と、外槽3上端と内槽4との間に設けられるラビリンス部8とを有する。
【0024】
本実施形態に係る洗濯機1は、外槽3を収容するために設けられ外槽3を下方から支持する底壁21を有するとともに上端を開放させたケース本体20と、ケース本体20の上端に固定される固定蓋24と、固定蓋24に動作可能に設けられケース本体20の上端を外部に選択的に開放させ内槽4上端部に形成される内槽側開口43を上方に開放する蓋側開口28を固定蓋24に形成し得る可動蓋25を有したケース2と、底壁21から立設され外槽3の振動を吸収しつつ当該外槽3の下端を支持するダンパ6と、内槽側開口43及び蓋側開口28との間に設けられ蓋側開口28から内槽側開口43への洗濯物の出し入れをガイドするためのホッパ7とを具備することを特徴とする。
【0025】
以下、洗濯機1を構成する各構成要素の構造について説明する。まずケース2は、
図1及び
図2に示すように、有底略円筒形状をなし、内部に収容する外槽3に対し平面視で略均一の寸法を隔てて離間している。ケース2は、上端が開放される円筒状の筒状体22を主体としたケース本体20と、ケース本体20すなわち筒状体22の下方端に設けられ外槽3を下方から支持する底壁21と、ケース本体20の上端に固定され平面視円環形状を
なす固定蓋24と、この固定蓋24に動作可能に設けられケース本体20の上端を外部に選択的に開放させ内槽4上端部に形成される内槽側開口43を上方に開放する蓋側開口28を形成し得る平面視略真円形状をなす可動蓋25とを有したものである。
【0026】
ケース本体20は、例えば透明又は半透明のアクリル等の樹脂からなる筒状をなした筒状体22と、この筒状体22の上下に亘って設けられ各種配線を収容するための配線カバー23と、ケース本体20の底面側において外槽3を下方から間接的に支持している底壁21とを有している。固定蓋24は、内周側に略真円形状に開口させた蓋側開口28を有するものであり、可動蓋25を開閉動作可能に支持するヒンジ部26とを有している。そして、このヒンジ部26から円周方向へ変位した位置に設けられ内槽4へ向けて給水するための給水部27が設けられている。
【0027】
外槽3は、ケース2の内部に配置された有底筒状の部材であり、内部に洗濯水を貯留可能である。この外槽3は、水を貯留するための外槽胴31と、この外槽胴31の上端に設けられた外槽カバー32と、外槽胴31及び外槽カバー32との間に介在し、外部への水漏れを防止するためのパッキン水封部34とを有している。パッキン水封部34は、外槽カバー32の下側に設けられた水封部材36と、水漏れを防止するためのパッキン35とを有している。また当該パッキン水封部34近傍の具体的な構成については後に説明する。
【0028】
内槽4は、外槽3内において外槽3と同軸に配置されるとともに、回転自在に支持される有底筒状の部材である。内槽4は、内部に洗濯物を収容可能で、その壁面に多数の通水孔を有する通常のものである。
図3に示すように、内槽4の内周面の上端側には円環状に内方に突出したバランサ41と、このバランサ41よりも下側において内方に突出する3つのバッフル42とが設けられている。そして本実施形態の如き縦型全自動洗濯機1では、内槽4の底部中央には、想像線にて図示する駆動装置50により駆動されるパルセータ(撹拌翼)5が回転自在に配置される。
【0029】
パルセータ5は、略円盤形状のパルセータ本体と、パルセータ本体の上面に形成される複数の羽根部とを有する通常のものである。このようなパルセータ5は、外槽3内に貯留された洗濯水を撹拌して水流を発生させる。駆動装置50は、同図では想像線でのみ位置のみを図示しているが、図示しないモータを主体とし、内槽4の底部に向けて延出する駆動軸を回転させて、内槽4やパルセータ5を回転させる。洗濯機1は、洗い工程では主としてパルセータ5のみを回転させ、脱水工程では内槽4とパルセータ5とを一体的に高速で回転させる。
【0030】
そして本実施形態では、ケース2内において外槽3及び内槽4は下方からダンパ6を介してケース2の底壁21に支持されている。そして外槽3は側方や上方から吊り棒による支持はされていない。すなわち本実施形態に斯かる洗濯機1は吊り棒の配置を回避することで、上方からの洗濯物の視認性をより向上せしめているが、この点については後に詳述する。
【0031】
ダンパ6は、運転中の外槽3を下方から支持しつつ運転中の外槽3に発生する振動を有効に低減するためのものである。このダンパ6は、ケース2の底壁21に固定された内シャフト61と、この内シャフト61の外側を被覆しつつ外槽3側に固定された外シャフト62と、この外シャフト62の下端及びケース2の底壁21側に介在し外槽3の上下動或いは振動に応じて適宜伸縮することによりケース2へ伝播される振動を軽減させるための圧縮コイルバネであるスプリング63とを有している。また外シャフト62と外槽3との間および内シャフト61と底壁21との間には、クッションゴム64が設けられる。本実施形態ではこのダンパ6は、
図2及び
図3に示すように、外槽3底部から、平面視はみ出
さない範囲で、最大径の位置又はその近傍に配置されている。また本実施形態ではこのスプリング63は、脱水時にバネが密着しない程度に、且つ、運転中に外槽3が傾かない程度にバネ定数を低くしてある。
【0032】
そして本実施形態では上述の通り、外槽3の上側、具体的には固定蓋24の蓋側開口28から内槽側開口43に至るまでにホッパ7を介在させるように設けている。このホッパ7は、
図2及び
図3に示すように、蓋側開口28及び内槽側開口43の間に設けられ蓋側開口28から内槽側開口43への洗濯物の出し入れをガイドするための受水ガイドとして機能するとともに、蓋側開口28から内槽側開口43への洗濯物の出し入れをガイドするためのものである。
【0033】
ホッパ7は、透明或いは半透明に構成された樹脂性の一体成形品によって構成されてなり、概略コーン形状すなわちテーパ形状をなすホッパ本体71と、このホッパ本体71の下端部から外方へ延出する延出部72とを有している。延出部72の内縁である開口部分の径は内槽4側に開口に略対応した径となっている。またホッパ本体71は、その上端において内槽側開口43よりも大きく開口する大径上端部73と、この大径上端部73に設けられた折り返し端74と、ホッパ本体71の上下方向中間位置における任意の位置に設けられた開口であり、洗濯工程並びに濯ぎ工程における上限水位を設定するための溢水孔75とを有している。ホッパ7は、素材を樹脂素材のうち、外槽3に用いる素材よりも比重の小さい素材を用いていることもあり、外槽3に比べて、軽量構造であるようにしている。
【0034】
そして溢水孔75の外側には、
図2及び
図4に示すように、溢水孔75よりも上側に水が貯留されることを回避すべく溢水孔75から機外へ水を排出するための溢水パイプ76が接続されている。この溢水パイプ76は、円筒形状をなすケース2と外槽3との間の円周状に湾曲したスペースを有効利用すべく、平断面視湾曲した楕円形状をなす部分を主体としている。また溢水パイプ76から機外へ水を排出するための機構及び構造は既存のものであるため説明を省略する。
【0035】
加えて本実施形態では、特に
図4に示すように、固定蓋24の蓋側開口28の内周が内槽側開口43の略全体を上方に開放する形状及び大ききとし、内槽4の上端部分に設けられた内槽側開口43の略全体を上方に開放する形状及び大きさとしている。換言すれば、蓋側開口28の開口縁は、内槽側開口43の開口縁の何れの箇所よりも外側に位置づけられている。
【0036】
そして本実施形態ではホッパ7が、内槽4の上端よりも高い水位の水を貯留するための嵩上げ槽として機能する。すなわちホッパ7は、洗濯槽として機能する。加えて本実施形態では上述の通り、ケース本体20の筒状体22、可動蓋25及びホッパ7を透明又は半透明としているので、洗濯中、固定蓋24を介してホッパ7まで上昇した水面付近の洗濯物を視認することも、側方からは筒状体22及びホッパ7を介して水面付近の洗濯物を側方から視認することも容易である。換言すれば、洗濯物の可視化を良好にせしめている。また筒状体22を透明又は半透明としたことで、内部の機構部品の可視化も併せて向上せしめている。これにより、使用者による運転状態の把握やメンテナンス作業の利便性を向上せしめている。
【0037】
また本実施形態では洗い時に嵩上げ槽としてホッパ7を機能させているが、概略コーン形状すなわちテーパ形状とすることで脱水時には、洗濯物を脱水槽たる内槽4内へ案内し、確実に内槽4内へ収め得るものとなっている。
【0038】
加えて本実施形態では特に
図5に示すように、外槽3の下部にダンパ6を配置するとと
もに嵩上げ槽としてのホッパ7を軽量に構成することで、ダンパ6に支持される部分の固有振動数を上げることができ、脱水時の振動を、より低減することができる。
【0039】
更に本実施形態では、ホッパ7が外槽3に固定されているために回転不能である一方、内槽4は勿論回転可能に構成されているが、それにも関わらず内槽4とホッパ7との間からの水の漏出は無い。
【0040】
すなわち本実施形態では特に
図6に示すように、ラビリンス部8は、ホッパ7、外槽3及び内槽4の上端に亘る領域に形成されたものであり、ホッパ7の延出部72に設けられ鉛直方向下方へ延出する上側リブ81と、内槽4の上端に設けられ鉛直方向上方へ延出する下側リブ82と、エア溜まり部83とを有している。パッキン35は、外槽3の上端であって、かつ、上側リブ81の先端部を含む仮想平面よりも鉛直方向上方の位置に設けられ、外槽3の上端と延出部73とを密封する。これによって、エア溜まり部83の空気がパッキン35を超えて外槽3外にでることを防ぐことができる。
【0041】
内槽4におけるバランサ41よりも上方まで水を溜めると、ラビリンス部8内の液面は、上側リブ81の先端部と略同一平面上に形成され、該液面と、該液面よりも上方であって延出部72の内周面との間に、エア溜まり部83が形成される。エア溜まり部83が形成されることによって、ホッパ7内の水は、上下のリブ81、82間から外側へ移動しようとしても、パッキン35近傍には既にエア溜まり部が形成されており、水の外方への移動がこのエア溜まり部83により強く抑制されている。またパッキン35が設けられるので、エア溜まり部83を超えて水が浸入したとしても、外槽3外に流出することを防ぐことができる。これにより、外槽3とホッパ7との接続に要する締結部品の点数を有効に削減せしめている。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る洗濯機1は、ケース2の底壁21から立設され外槽3の振動を吸収しつつ当該外槽3の下端を支持するダンパ6と、内槽側開口43及び蓋側開口28の間に設けられ蓋側開口28から内槽側開口43への洗濯物の出し入れをガイドするためのホッパ7とを具備することにより、吊り棒をなくすことで、吊り棒と外槽3とのの摺動接触に起因した異音発生を取り除き、ダンパ6を介してケース2の底壁21に近づけて支持させることで倒れモーメントに起因したケース2への振動の影響が有効に抑えられている。加えて、ケース2と内槽4との間にホッパ7を介在させることで、内槽側開口43と蓋側開口28との距離が開いても、洗濯物の出し入れを適切にガイドすることが可能となっている。
【0043】
また本実施形態によれば、ホッパ7を、内槽4の上端部に連続する下端部と、下端部から上方へ向けて漸次径を大きく構成した大径上端部73とを有した概略テーパ形状をなすもの、換言すれば、逆円錐台形状或いは概略すり鉢形状としているので、内槽4よりもホッパ7の上端部分の開口面積を大きくとることができ、洗濯物の出し入れの便がより向上したものとなっている。
【0044】
更に本実施形態によれば、ケース2の少なくとも一部及びホッパ7を透明又は半透明としているので、意匠的な外観に加えて、洗濯状態の可視化や故障個所の視認性が向上している。
【0045】
また本実施形態によれば、ホッパ7を、外槽3及び内槽4よりも比重が小さい素材によって構成しているので、ダンパ6に支持されている部材を軽量化することにより、ダンパ6に支持されている部分の固有振動数を上げることができ、通常脱水時の振動を低減せしめている。
【0046】
そして本実施形態によれば、ホッパ7を、内槽4の上端よりも高い水位の水を貯留するための嵩上げ槽として機能させているので、単純な構成を用いつつ内槽4の容積を嵩上げしたものと同様の効果を獲得している。
【0047】
また本実施形態によれば、ホッパ7を、外槽3の内周から内槽側開口43まで延出する延出部72と、この延出部72から一体的に立設されるホッパ本体71とを有したものとしているので、軽量な素材を用いてはいるものの撓みにくい形状としてホッパ7の強度が有効に高まっている。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態ではダンパを三つ配置した構成を開示したが勿論、外槽を支持し得る態様のものであればよく、例えば四つ以上のダンパを適用する態様を妨げない。
【0050】
また上記実施形態ではホッパを外槽に固定してなる構成を開示したが勿論、ケース側にホッパを配置した構成、具体的には固定蓋やケース本体にホッパを固定するような構成しても良い。
【0051】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・洗濯機
2・・・ケース
20・・・ケース本体
22・・・底壁
24・・・固定蓋
25・・・可動蓋
28・・・蓋側開口
3・・・外槽
4・・・内槽
43・・・内槽側開口
6・・・ダンパ
7・・・ホッパ