(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220119BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20220119BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2016148343
(22)【出願日】2016-07-28
【審査請求日】2019-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】内田 元就
(72)【発明者】
【氏名】中川 悠太
(72)【発明者】
【氏名】中尾 憲午
(72)【発明者】
【氏名】宇井 憲司
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】賀屋 恵二
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-093825(JP,A)
【文献】特開2007-004619(JP,A)
【文献】特開2013-117832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業主体の座標を特定する座標情報を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された設定された期間内における前記作業主体の複数の座標情報
と、複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域の座標情報と、に基づいて、
前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する特定手段と、
を有
し、
前記特定手段は、前記複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域に含まれる前記複数の座標情報それぞれに対応する座標の数に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記複数の座標情報と、前記複数の座標情報それぞれが測定された時刻情報と、に基づいて、前記作業主体の作業対象物を特定する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記複数の座標情報と、前記複数の作業対象物それぞれの領域である前記作業領域の座標情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する請求項
1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記複数の座標情報と、前記複数の作業対象物それぞれの領域とその周辺領域とを含む領域である前記作業領域の座標情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する請求項
1又は2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記第1の取得手段により取得された前記作業主体の座標情報に対応する座標が、前記複数の作業対象物それぞれに設定された作業領域のうちの複数の作業領域が重複している重複領域に含まれる場合、前記複数の座標情報と、前記複数の作業対象物それぞれに設定された作業領域のうち前記重複領域を含む作業領域の座標情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する請求項
1乃至4何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記第1の取得手段により取得された前記作業主体の座標情報に対応する座標が、作業対象物と作業対象物との間の領域が双方の作業対象物の作業領域に含まれるように配置された前記複数の作業対象物それぞれに設定された作業領域のうちの複数の作業領域が重複している重複領域に含まれる場合、前記複数の座標情報と、前記複数の作業対象物それぞれに設定された作業領域のうち前記重複領域を含む作業領域の座標情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する請求項
5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記作業主体の動作の情報である動作情報を取得する第2の取得手段と、
前記特定手段は、前記複数の座標情報と、前記第2の取得手段により取得された前記動作情報とに基づいて、前記作業主体の作業対象物を特定する請求項1乃至
6何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の取得手段によって取得された前記複数の座標情報に基づいて、前記
作業主体による作業が開始された作業開始時点を決定する決定手段を更に有する請求項1乃至
7何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1の取得手段によって取得された前記複数の座標情報に基づいて、前記
作業主体による作業が終了した作業終了時点を決定する決定手段を更に有する請求項1乃至
7何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記特定手段により特定された作業対象物に基づいて、前記作業主体による作業の情報を集計する集計手段と、
前記集計手段により集計された前記作業主体による作業の情報を出力する出力手段と、
を更に有する請求項1乃至
9何れか1項記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記集計手段は、前記特定手段により特定された作業対象物に基づいて、前記作業主体による作業の情報として、作業対象物と及び作業の期間との情報を集計する請求項
10記載の情報処理装置。
【請求項12】
作業主体の座標を特定する座標情報を取得する第1の取得手段と、
前記作業主体の動作の情報である動作情報を取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された設定された期間内における前記作業主体の複数の座標情報と、複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域の座標情報と、前記第2の取得手段によって取得された前記動作情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する特定手段と、
を有し、
前記特定手段は、
前記複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域に含まれる前記複数の座標情報それぞれに対応する座標の数に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定し、
前記第1の取得手段により取得された前記作業主体の座標情報に対応する座標が、
前記複数の作業対象物それぞれに設定された
前記作業領域のうちの複数の作業領域が重複している重複領域に含まれる場合
には、前記第2の取得手段により取得された前記動作情報に基づいて、
重複している複数の作業領域のうち、前記作業主体の座標情報に対応する座標をカウントの対象とする作業領域を決定する、
情報処理装置。
【請求項13】
作業主体の座標を特定する座標情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された設定された期間内における前記作業主体の複数の座標情報
と、複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域の座標情報と、に基づいて、
前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する特定手段と、
を有
し、
前記特定手段は、前記複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域に含まれる前記複数の座標情報それぞれに対応する座標の数に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する、
システム。
【請求項14】
作業主体の座標を特定する座標情報を取得する第1の取得手段と、
前記作業主体の動作の情報である動作情報を取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得された設定された期間内における前記作業主体の複数の座標情報と、複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域の座標情報と、前記第2の取得手段によって取得された前記動作情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する特定手段と、
を有し、
前記特定手段は、
前記複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域に含まれる前記複数の座標情報それぞれに対応する座標の数に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定し、
前記第1の取得手段により取得された前記作業主体の座標情報に対応する座標が、
前記複数の作業対象物それぞれに設定された
前記作業領域のうちの複数の作業領域が重複している重複領域に含まれる場合
には、前記第2の取得手段により取得された前記動作情報に基づいて、
重複している複数の作業領域のうち、前記作業主体の座標情報に対応する座標をカウントの対象とする作業領域を決定する、
システム。
【請求項15】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
作業主体の座標を特定する座標情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された設定された期間内における前記作業主体の複数の座標情報
と、複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域の座標情報と、に基づいて、
前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する特定ステップと、
を含
み、
前記特定ステップは、前記複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域に含まれる前記複数の座標情報それぞれに対応する座標の数に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する、
情報処理方法。
【請求項16】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
作業主体の座標を特定する座標情報を取得する第1の取得ステップと、
前記作業主体の動作の情報である動作情報を取得する第2の取得ステップと、
前記第1の取得ステップにおいて取得された設定された期間内における前記作業主体の複数の座標情報と、複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域の座標情報と、前記第2の取得ステップにおいて取得された前記動作情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する特定ステップと、
を含み、
前記特定ステップは、
前記複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域に含まれる前記複数の座標情報それぞれに対応する座標の数に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定し、
前記第1の取得ステップで取得された前記作業主体の座標情報に対応する座標が、
前記複数の作業対象物それぞれに設定された
前記作業領域のうちの複数の作業領域が重複している重複領域に含まれる場合、前記第2の取得ステップで取得された前記動作情報に基づいて、
重複している複数の作業領域のうち、前記作業主体の座標情報に対応する座標をカウントの対象とする作業領域を決定する、
情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1乃至
12何れか1項記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場の作業者等の作業の主体にタグを付けて、センサにより作業の主体の座標情報を取得し、作業の主体が行っている作業の情報を取得する技術がある。以下では、作業の主体を、作業主体とする。
例えば、特許文献1には、検知対象の作業者等にセンサを取り付けて位置を検出し、検出時点の情報と共に記憶し、検知対象が行っている工程の変化を、工程を軸とする座標に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業主体毎に作業の対象である作業対象物を特定し、集計したいという要望がある。
特許文献1の構成では、作業領域と工程とが対応付けられており、検出された作業者の位置が含まれる作業領域に基づいて工程が判定される。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、検出された位置情報に基づいて工程が特定されるが、別の工程での作業中に、たまたま足を踏み入れた他の工程の作業領域で位置情報が検出されることもあり、必ずしも作業者の工程情報を正確に収集することはできなかった。
そのため、特許文献1のように、作業主体の位置から作業主体が作業を行っている作業対象物を判定するような場合、作業対象物を精度よく特定することができない問題があった。
【0005】
本発明は、作業対象物をより精度よく特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明のシステムは、作業主体の座標を特定する座標情報を取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段によって取得された設定された期間内における前記作業主体の複数の座標情報と、複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域の座標情報と、に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する特定手段と、を有し、前記特定手段は、前記複数の作業対象物それぞれに設定されている作業領域に含まれる前記複数の座標情報それぞれに対応する座標の数に基づいて、前記複数の作業対象物の中から前記作業主体の作業対象物を特定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業対象物をより精度よく特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、集計システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、センサ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、集計システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、サーバ装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、サーバ装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、サーバ装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、サーバ装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、サーバ装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の集計システムのシステム構成の一例を示す図である。集計システムは、サーバ装置100、センサ端末101、タグ102、動作検知センサ103を含む。本実施形態では、作業主体を作業者Aとする。作業主体とは、ある作業を行っている主体であり、工場の作業者、店舗の店員、工場のフォークリフト、作業用のドローン等である。本実施形態では、集計システムが、タグ102と動作検知センサ103とを身に着けた作業者Aが作業を行っている対象である作業対象物を特定し、測定時点の情報やタグ102が設定されたXY座標系においてどこに存在したかを示す情報とともに、特定した作業対象物の情報を集計する処理について説明する。
集計システムは、XYZ座標系すなわち3次元空間においてタグ102がどこに存在したかを示す情報を集計し、集計した情報に基づいてZ軸方向(高さ方向)の位置も含めて作業対象物の特定や各種情報を集計することとしてもよい。
また、タグ102は、例えば作業者が身につけるもの(ヘルメットや作業着)に取り付けられることとしてもよいし、作業者が用いる工具等に取り付けられることとしてもよい。
サーバ装置100は、センサ端末101からのタグ102の座標についての測定情報を取得するパーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置である。例えば、サーバ装置100は、センサ端末101により測定されたセンサ端末101のそれぞれとタグ102との距離情報を取得し、取得した距離情報と、センサ端末101のそれぞれがXY座標系においてどこに配置されているかを示す情報とに基づいて、(例えば、公知の三点測位等の方法により)タグ102のXY座標系における座標を特定する情報を取得する。集計システムは、タグ102の座標の情報を特定するために用いるセンサ端末101の台数を増加させると、座標の特定の精度を向上させることができる。以下では、XY座標系における座標を特定する情報を、座標情報とする。タグ102の座標情報は、作業者Aの位置情報の一例である。サーバ装置100は、取得したタグ102の座標情報に基づいて作業者Aの作業の対象がどの作業対象物かを特定する。
センサ端末101は、30秒毎、1分毎等の設定された期間毎、又はランダムなタイミングで、センサ端末101とタグ102との距離を測定し、測定した距離の情報をサーバ装置100に送信するUWB(Ultra Wide Band)センサ、wifiセンサ、ibeaconセンサ、IMESセンサ、超音波センサ、GPSセンサ等のセンサを含む端末装置である。本実施形態では、集計システムは、複数のセンサ端末をセンサ端末101として含む。しかし、集計システムは、単一のセンサ端末をセンサ端末101として含むこととしてもよい。
【0010】
タグ102は、センサ端末101に対応し、作業者Aに取り付けられるタグである。例えば、タグ102は、センサ端末101から発される距離測定用の信号を受信すると、センサ端末101に対して、タグ102のID等のタグ102の特定情報を返信する。センサ端末101は、距離測定用の信号を送信した時点からタグ102からタグ102の特定情報を受信した時点までの期間に基づいて、センサ端末101とタグ102との距離を取得し、取得した距離情報をサーバ装置100に送信する。
動作検知センサ103は、作業者Aの動作についての情報を取得するための加速度センサ、角速度センサ等のセンサ、又はこれらのセンサを含んだスマートウォッチ等の端末装置である。本実施形態では、動作検知センサ103は、加速度センサ、角速度センサ等のセンサを含んだスマートウォッチ等の端末装置であるとする。動作検知センサ103は、センサにより検知した作業者Aの動作情報を、無線ネットワークを介して、サーバ装置100に送信する。また、動作検知センサ103は、センサにより検知した作業者Aの動作情報を、センサ端末101に送信し、センサ端末101が送信された作業者Aの動作情報をサーバ装置100に送信することとしてもよい。また、動作検知センサ103は、センサにより検知した作業者Aの動作情報を一時的に、内部の記憶装置に記憶し、作業者Aの作業完了後に、記憶していた動作情報をまとめて、サーバ装置100に送信することとしてもよい。
本実施形態では、タグ102と動作検知センサ103とは、別個のオブジェクトであるとするが、例えば、動作検知センサ103がタグ102を含むこととしてもよい。
本実施形態では、集計システムは、作業空間104に存在する作業者Aが行う作業の対象である作業対象物を特定する処理を行う。本実施形態では、作業空間104は、工場、製造現場、建設現場、物流倉庫等の作業空間である。また、作業者Aは、例えば、工業製品の製造現場での組み立て、加工作業や建設現場での工事作業や物流倉庫での棚卸作業等の作業を行う作業者である。集計システムは、作業空間104で作業する作業者Aの作業情報を集計することができる。
【0011】
図2Aは、サーバ装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ装置100は、CPU200、主記憶装置201、補助記憶装置202、入出力I/F203、ネットワークI/F204を含む。CPU200、主記憶装置201、補助記憶装置202、入出力I/F203、ネットワークI/F204は、システムバス205を介して、相互に通信可能に接続されている。
CPU200は、サーバ装置100の処理を制御する中央演算装置である。主記憶装置201は、CPU200のワークエリアやデータの一時記憶領域として機能する記憶装置である。補助記憶装置202は、各種プログラム、各種設定データ、作業者の座標情報、作業者の動作情報、集計情報等を記憶する記憶装置である。入出力I/F203は、センサ端末101等からの情報の入力を受付けたり、外部の装置に情報を送信したりする際に利用されるインターフェースである。ネットワークI/F204は、ネットワークを介した外部の装置との通信に利用されるインターフェースである。
CPU200が、補助記憶装置202に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって、サーバ装置100の機能、
図3で後述するシーケンス図におけるサーバ装置100の処理、及び
図4、10、13、15、16で後述するフローチャートの処理が実現される。
【0012】
図2Bは、センサ端末101それぞれのハードウェア構成の一例を示す図である。センサ端末101それぞれは、CPU210、主記憶装置211、補助記憶装置212、センサ部213、入出力I/F214、ネットワークI/F215を含む。CPU210、主記憶装置211、補助記憶装置212、センサ部213、入出力I/F214、ネットワークI/F215は、システムバス216を介して、相互に通信可能に接続されている。
CPU210は、センサ端末101の処理を制御する中央演算装置である。主記憶装置211は、CPU210のワークエリアやデータの一時記憶領域として機能する記憶装置である。補助記憶装置212は、各種プログラム、各種設定データ等を記憶する記憶装置である。センサ部213は、タグ102を検知し、タグ102とセンサ端末101との距離情報等を取得するセンサ部である。入出力I/F214は、サーバ装置100に情報を送信したり、外部の装置からの情報を受信したりする際に利用されるインターフェースである。ネットワークI/F215は、ネットワークを介した外部の装置との通信に利用されるインターフェースである。
本実施形態では、サーバ装置100は、複数のセンサ端末であるセンサ端末101により測定された複数の距離情報に基づいて、タグ102の座標を求めることになる。しかし、センサ端末101が単一のセンサ端末である場合、センサ部213は、GPSセンサ等を介して、タグ102の座標情報を取得する。このような場合、サーバ装置100は、センサ端末101から直接、タグ102の座標情報を取得することになる。
CPU210が、補助記憶装置212に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって、センサ端末101の機能、及び
図3で後述するシーケンス図におけるセンサ端末101の処理が実現される。
動作検知センサ103のハードウェア構成は、
図2Bと同様である。動作検知センサ103のCPUが、動作検知センサ103の補助記憶装置に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって、動作検知センサ103の機能、及び動作検知センサ103の処理が実現される。
上述の通り、
図2Bに示すハードウェア構成は、センサ端末101のハードウェア構成の一例であるが、例えば、センサ端末101自体がCPU等を有さずセンサ部213により情報を取得することに特化した端末として機能し、外付けされた他の制御装置がセンサ端末101に対する各種の制御を行うこととしてもよい。
また、タグ102についても、電波等を発信する機能のみを有するデバイスであってもよいし、CPUやメモリを備えた携帯型端末装置の一機能として電波等を発信する機能を有するデバイスであることとしてもよい。
【0013】
図3は、集計システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
CS301において、センサ端末101それぞれのCPUは、作業者Aに取り付けられたタグ102と、センサ端末101それぞれと、の距離を測定する。例えば、センサ端末101それぞれのCPUは、距離測定用の信号を一定の範囲に対して、送信する。タグ102は、送信された距離測定用の信号を受信すると、タグ102のID等のタグ102の特定情報を、距離測定用の信号を送信したセンサ端末101に返信する。センサ端末101のそれぞれは、距離測定用の信号を送信した時点からタグ102からタグ102の特定情報を受信した時点までの期間に基づいて、センサ端末101とタグ102の距離を取得することで、タグ102との間の距離を測定する。センサ端末101それぞれのCPUは、30秒毎、1分毎等の周期的に、又は、ランダムなタイミングで、タグ102との距離の情報を測定し、測定した結果をサーバ装置100に送信する。この際に測定された距離情報に基づいて、サーバ装置100により、タグ102の座標が算出されることになる。そのため、センサ端末101で、タグ102との距離の測定が行われた時点を、タグ102の座標が測定された時点であるとする。
CS302において、センサ端末101それぞれのCPUは、CS301で測定した距離情報と測定時点の情報と測定したタグの情報とをサーバ装置100に送信する。測定時点の情報とは、測定が行われた時点を示す時刻情報の一例である。CPU200は、センサ端末101のそれぞれから、センサ端末101それぞれとタグ102との距離の情報と、測定時点の情報と、測定したタグの情報と、を受信する。
CS303において、CPU200は、予め補助記憶装置202に記憶されているセンサ端末101のそれぞれが配置されている座標情報を、補助記憶装置202から取得する。そして、CPU200は、取得したCS302で受信した距離の情報と、センサ端末101のそれぞれの座標情報と、に基づいて、タグ102の座標を算出する。CPU200は、算出したタグ102の座標情報と、CS302で距離の情報と共に送信された時点情報及び測定したタグの情報を、タグの測定情報として補助記憶装置202に記憶する。
CS304において、CPU200は、設定された期間(例えば、現在時点直前の5分間)内における、タグ102の測定情報を全て、補助記憶装置202から取得する。
集計システムは、例えば、センサ端末101によるタグ102との距離の測定が行われる度に、
図3のシーケンス図の処理を行い、作業者Aの作業対象物の情報を集計する。
【0014】
CS305において、CPU200は、予め補助記憶装置202に記憶されている作業空間104内に存在する各作業対象物の作業領域の座標情報を、補助記憶装置202から取得する。作業対象物とは、作業者が作業を行う対象となるオブジェクトであり、例えば、建築物を建築する作業の場合、建築物が作業対象物となり、製品を製造する作業の場合、製品が作業対象物となり、棚卸作業の場合、棚が作業対象物となり、本棚に本を並べる作業の場合、本棚が作業対象物となる。作業領域とは、作業対象物毎に予め設定されている領域であり、その領域の中に作業者が存在する場合にその作業者の行っている作業の対象がその作業対象物であることを示す領域である。本実施形態では、各作業対象物のそれぞれに設定されている作業領域は、作業対象物が占める領域であるとする。以下では、作業対象物が占める領域を、作業対象物領域とする。即ち、本実施形態では、作業領域は、作業対象物領域と同一の領域である。作業領域の座標情報は、予め、設定ファイル等の形式で、補助記憶装置202に記憶されている。CPU200は、サーバ装置100の管理者によるサーバ装置100のマウスやキーボード等の操作部を介した操作に基づいて、補助記憶装置202内の設定ファイルの内容を変更することができる。CPU200は、取得した作業領域の座標情報に基づいて、各作業対象物の作業領域を決定する。
CS306において、CPU200は、CS304で取得したタグ102の座標情報と、CS305で決定した各作業対象物の作業領域の座標情報と、に基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定する。CS306の処理の詳細については、
図4で後述する。
CS307において、CPU200は、予め、補助記憶装置202に記憶されている作業者の作業情報を集計するための集計情報を、CS306で特定した作業対象物の情報に基づいて、更新する。
【0015】
図4は、サーバ装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
図4を用いて、
図3のシーケンス図の処理におけるサーバ装置100の処理の詳細を説明する。
S401において、CPU200は、センサ端末101のそれぞれから、タグ102とセンサ端末101との距離の測定結果の情報と、測定が行われた時点についての情報と、を受信する。センサ端末101は、周期的に、タグ102との距離を測定しており、測定の度に、タグ102との距離の情報と、測定の時点の情報と、測定したタグの情報と、をサーバ装置100に送信する。また、全てのセンサ端末101は、同期して、タグ102との距離の測定を行っている。
CPU200は、センサ端末101から、タグ102との距離の情報と、測定の時点の情報と、測定したタグの情報と、が送信される度に、以下の処理を行う。即ち、CPU200は、予め補助記憶装置202に記憶されているセンサ端末101のそれぞれの座標情報を、補助記憶装置202から取得する。そして、CPU200は、センサ端末101から送信されたタグ102とセンサ端末101との距離の情報と、センサ端末101のそれぞれの座標情報と、に基づいて、タグ102の座標を算出する。CPU200は、算出したタグ102の座標情報と、センサ端末101から送信された測定の時点の情報及び測定したタグ102の情報と、の対応情報を補助記憶装置202に累積的に記憶する。以上のような処理により、CPU200は、タグ102の座標を測定する。以下では、CPU200により、補助記憶装置202に記憶されるタグ102の座標を特定する座標情報とセンサ端末101から送信された測定の時点の情報及び測定したタグ102の情報との対応情報を、座標測定情報とする。また、タグ102の座標測定情報に含まれるタグ102の座標情報に対応するXY座標中における点を、測定点とする。即ち、測定点は、タグ102がXY座標のどこに存在するかを示す点である。
図5Aは、S401で補助記憶装置202に累積的に記憶される座標測定情報の一例を示す図である。本実施形態では、CPU200は、座標測定情報を、
図5Aのようなテーブル形式のデータとして記憶することとする。
図5Aの座標測定情報には、データNo、データ計測時点、タグID、X座標値、Y座標値のデータが含まれる。データNoは、
図5Aのテーブルに何番目に記録されたデータかを示す情報である。データ計測時点は、センサ端末101がタグ102との距離を測定した時点を示す情報である。タグIDは、どのタグの座標のデータであるかを示す情報である。X座標値、Y座標値は、S401でCPU200により取得されたタグ102の座標情報を示す。
【0016】
S402において、CPU200は、設定された期間内におけるタグ102の座標測定情報を、補助記憶装置202から取得する。本実施形態では、CPU200は、現在時点の直前5分間におけるタグ102の座標測定情報を全て取得する。この設定された期間の情報は、予め、設定ファイル等の形式で、補助記憶装置202に記憶されている。CPU200は、サーバ装置100の管理者によるサーバ装置100のマウスやキーボード等の操作部を介した操作に基づいて、補助記憶装置202内の設定ファイルの内容を変更することができる。CPU200は、この設定された期間の情報を補助記憶装置202から取得し、どの期間のタグ102の座標測定情報を取得するか決定する。本実施形態では、CPU200は、S402で、タグ102の座標測定情報を複数取得することとする。即ち、CPU200は、タグ102の最新の座標測定情報と、最新の座標測定情報に対応する時点よりも過去の座標測定情報と、を取得する。
S403において、CPU200は、予め補助記憶装置202に記憶されている作業空間104内に存在する各作業対象物の作業領域の座標情報を、補助記憶装置202から取得する。
S404において、CPU200は、S403で取得した各作業対象物の作業領域の座標情報に基づいて、各作業対象物の作業領域を決定する。
【0017】
図6Aは、S402で取得された座標測定情報に対応する測定点と、S404で決定された作業領域と、の一例を示す図である。
図6Aは、XY座標系における測定点と作業領域とを示す。
図6A中の黒点のそれぞれは、S402で取得された座標情報に対応する測定点のそれぞれを示す。また、
図6A中の白点は、S402で取得された座標情報に対応する測定点のうち、最新のもの、即ちタグ102が存在した最も新しい座標である。本実施形態では、作業対象物は、作業対象物Aと作業対象物Bとの2つが存在する。
図6A中の矩形領域それぞれは、作業対象物A、作業対象物Bの作業領域を示す。本実施形態では、作業領域は、作業対象物領域なので、
図6A中の矩形領域それぞれは、作業対象物A、作業対象物Bが占める領域でもある。
図6Aの例では、タグ102は、最新の状態として、作業対象物Aの作業領域と作業対象物Bの作業領域との間に存在し、現在時点の直前5分間において、作業対象物Aの作業領域上に存在していいたことを示している。
本実施形態では、作業対象物は、XY座標系において矩形である。その場合、補助記憶装置202に記憶されている作業対象物の作業領域の座標情報は、例えば、矩形の左上の座標の情報と、矩形の右下の座標の情報と、の組み合わせの情報等となる。そして、CPU200は、読込んだ情報に基づいて、作業対象物の作業領域を決定する。
また、作業対象物は、他の形状でもよい。例えば、作業対象物は、
図6BのようにXY座標において円形の領域を占めることとしてもよい。その場合、補助記憶装置202に記憶されている作業対象物の作業領域の座標情報は、例えば、円形の中心の座標情報と、半径の情報と、の組み合わせの情報等となる。
【0018】
S405において、CPU200は、S402で取得したタグ102の座標測定情報と、S404で決定した各作業対象物の作業領域の情報と、に基づいて、以下の処理を行う。即ち、CPU200は、各作業対象物の作業領域上に、S402で取得したタグ102の座標測定情報に対応する測定点が幾つ含まれるかをカウントする。
S406において、CPU200は、S405でのカウント処理の結果、最も多く測定点を含む作業対象物の作業領域が1つだけ存在するか否かを判定する。CPU200は、S405でのカウント処理の結果、最も多く測定点を含む作業対象物の作業領域が1つだけ存在すると判定した場合、S407の処理に進む。CPU200は、S405でのカウント処理の結果、最も多く測定点を含む作業対象物の作業領域が1つだけ存在するわけではないと判定した場合、S408の処理に進む。
S407において、CPU200は、S406で1つだけ存在すると判定された最も多く測定点を含む作業領域に対応する作業対象物を、S402で取得された複数の座標測定情報のうち、最新の座標測定情報に対応する時点での作業者Aの作業の対象である作業対象物として決定し、
図4の処理を終了する。
S408において、CPU200は、S405でのカウント処理の結果、最も多く測定点を含む作業対象物の作業領域が複数存在するか否かを判定する。CPU200は、S405でのカウント処理の結果、最も多く測定点を含む作業対象物の作業領域が複数存在すると判定した場合、S409の処理に進む。CPU200は、S405でのカウント処理の結果、最も多く測定点を含む作業対象物の作業領域が複数存在するわけではないと判定した場合、S411の処理に進む。
【0019】
S409において、CPU200は、S408で測定点を最も多く含むと判定された複数の作業領域毎に、S402で取得したタグ102の座標測定情報に対応する測定点の中でどの作業領域にも含まれない測定点のうち、自らに最も近い測定点の数をカウントする。例えば、CPU200は、S402で取得したタグ102の座標測定情報に対応する測定点のうち、どの作業領域にも含まれない測定点それぞれについて、S408で測定点を最も多く含むと判定された複数の作業領域それぞれとの距離を求める。CPU200は、測定点と作業領域の中央の座標との距離を、測定点と作業領域との距離として算出する。そして、CPU200は、S408で測定点を最も多く含むと判定された複数の作業領域毎に、最も自らに近い測定点の数をカウントする。
本実施形態では、作業対象物として、作業対象物Aと作業対象物Bとが存在する。CPU200は、S409で、例えば、以下のようにして、S408で測定点を最も多く含むと判定された複数の作業領域毎に、S402で取得したタグ102の座標測定情報に対応する測定点の中でどの作業領域にも含まれない測定点のうち、自らに最も近い測定点の数をカウントしてもよい。CPU200は、作業対象物Aと作業対象物Bとの丁度中間に、
図6Aのように中央線を設定する。CPU200は、S402で取得したタグ102の座標測定情報に対応する測定点のうち、どの作業領域にも含まれない測定点それぞれが、設定した中央線を基準に作業対象物Aの側にあるか、作業対象物Bの側にあるかを判定する。CPU200は、設定した中央線を基準に作業対象物Aの側にある測定点を、作業対象物Aの作業領域に最も近い測定点であるとし、設定した中央線を基準に作業対象物Bの側にある測定点を、作業対象物Bの作業領域に最も近い測定点であるとして、各作業対象物に最も近い測定点の数をカウントすることとしてもよい。
【0020】
S410において、CPU200は、S408で測定点を最も多く含むと判定された複数の作業領域のうち、S409でカウントされた測定点の数が最も多い作業領域を取得し、取得した作業領域に対応する作業対象物を、S402で取得された複数の座標測定情報のうち、最新の座標測定情報に対応する時点での作業者Aの作業の対象である作業対象物として特定する。そして、CPU200は、S402で取得したタグ102の座標測定情報に含まれるセンサ端末101がタグ102との距離を測定した時点の情報のうち、最も遅い(最新である)時点の情報を取得する。CPU200は、取得した時点の情報と、特定した作業対象物の情報と、タグ102の情報と、の対応情報を、取得した時点の情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象である作業対象物の情報として、補助記憶装置202に記憶する。
S411において、CPU200は、何れの作業対象物の作業領域にも、測定点が含まれないとして、S402で取得された複数の座標測定情報のうち、最新の座標測定情報に対応する時点での作業者Aの作業の対象である作業対象物がないと決定する。
【0021】
CPU200は、作業者Aによる作業が完了後に、S410で特定した作業者Aの作業の対象である作業対象物の情報に基づいて、予め補助記憶装置202に記憶されている作業についての情報を集計するための集計情報を更新する。
図7は、集計情報の一例を示す図である。
図7の集計情報は、作業者に割り当てられた個人ID、タグの特定情報であるタグID、作業者の所属する班を示す班、作業者の担当する工程を示す担当工程の情報を含む。CPU200は、例えば、S410で補助記憶装置202に記憶された取得した時点情報と、特定した作業対象物の情報と、タグ102の情報と、の対応情報と、作業者Aとの情報と、に基づいて、以下のように集計情報を更新する。CPU200は、タグ102を装着した作業者Aが行った作業の対象である作業対象物の情報を取得し、取得した作業対象物の作業領域にタグ102が存在した時点のうち、最も早い時点と最も遅い時点との情報を取得する。そして、CPU200は、「作業対象物」、「作業開始時点」、「作業終了時点」の項目を追加する。CPU200は、集計情報のデータから、作業者Aに対応する個人ID及びタグ102に対応するタグIDに対応するデータを特定する。CPU200は、特定したデータの「作業対象物」、「作業開始時点」、「作業終了時点」の項目を、取得した作業対象物の情報、作業対象物の作業領域にタグ102が存在した時刻のうち、最も早い時点の情報及び最も遅い時点の情報、で更新する。
【0022】
本実施形態では、サーバ装置100は、設定された期間内の複数のタグ102の座標測定情報に対応する測定点が各作業対象物の作業領域に含まれる数に基づいて、作業者Aの作業の対象の作業対象物を特定した。しかし、サーバ装置100は、以下のようにして、作業者Aの作業の対象の作業対象物を特定することとしてもよい。例えば、S402で取得されたタグ102の座標測定情報に対応する測定点と、S404で取得された作業対象物の作業領域と、の配置が、
図8Aに示す配置であったとする。
図8Aの例では、タグ102を装着した作業者Aは、作業対象物Aの作業領域上に存在した後、作業対象物Bの作業領域上に移動したものとする。この場合、例えば、
図8Aの破線の楕円で囲んだ測定データについては、作業対象物AとBとの何れの作業領域にも含まれない領域で測定されており、かつ、作業対象物AとBとの何れからも所定距離以上離れているため、作業対象物AとBとに対する何れの作業にも属する可能性がある。そのため、集計システムは、データの集計を行う際に、作業対象物A又はBの何れに対しての作業における測定データであるかを判断して、振り分ける必要が生じる場合がある。
CPU200は、S402で取得したタグ102の座標測定情報に含まれるタグ102の座標情報と、時点の情報と、に基づいて、タグ102がどの時点に作業対象物A、作業対象物Bの作業領域上に存在したかの情報を取得する。CPU200は、取得した情報に基づいて、作業対象物Aの作業領域上にタグ102が最後に存在した時点を取得し、作業対象物Bの作業領域上にタグ102が最初に存在した時点の情報を取得する。CPU200は、作業対象物Aの作業領域上にタグ102が最後に存在した時点と、作業対象物Bの作業領域上にタグ102が最初に存在した時点との中間の時点を算出し、時点Nとする。
CPU200は、S402で取得したタグ102の座標測定情報のうち、含まれる時点の情報に対応する時点が時点Nより前の座標測定情報については、その座標測定情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象である作業対象物を、作業対象物Aとする。CPU200は、S402で取得したタグ102の座標測定情報のうち、含まれる時点の情報に対応する時点が時点N以降の座標測定情報については、座標測定情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象である作業対象物を、作業対象物Bとする。即ち、
図8Bに示すような状況となる。このように、CPU200は、作業領域に含まれる座標測定データの数に依らずに、各座標測定データに対応する作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定できる。
【0023】
以上、本実施形態の処理により、集計システムは、設定された期間内におけるタグ102の複数の座標測定情報に含まれる座標情報が示す測定点と、各作業対象物の作業領域と、に基づいて、作業者Aが行っている作業の対象である作業対象物を特定する。これにより、集計システムは、作業者Aの作業の対象である作業対象物をより正確に特定することを可能とする技術を提供することができる。
本実施形態では、集計システムは、作業主体である作業者Aに取り付けられたタグ102の座標を取得し、取得した情報に基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定することとした。しかし、集計システムは、フォークリフトやドローン等の作業主体に装着されたタグ102の座標を取得し、取得した情報に基づいて、作業主体の作業の対象である作業対象物を特定することとしてもよい。
また、本実施形態では、CPU200は、作業対象物の作業領域に含まれる測定点の数をカウントし、カウントした数に基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を決定した。しかし、CPU200は、作業対象物の作業領域に含まれる測定点の数をカウントする際に単純にカウントするのではなく、測定点毎に重み付けしてカウントしてもよい。例えば、CPU200は、測定点毎の重み付けを、測定点に対応する座標測定情報に含まれる時点の情報に対応する時点が遅い程、より大きな重みとなるように、重み付けしてもよい。CPU200は、重み付けしてカウントされた作業領域に含まれる測定点の数に基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定する。CPU200は、測定点に対応する座標測定情報に含まれる時点の情報に対応する時点がより現在に近いほど重みを大きくすることで、作業者Aの作業の対象である作業対象物の特定の精度を、向上させることができる。
更に、例えば、作業対象物が1つの場合に、作業対象物から設定された距離以上離れた一定の範囲内で測定データが複数測定された場合、作業を行っていない(即ち、作業対象物が存在しない)ことを特定することとしてもよい。
【0024】
<実施形態2>
実施形態1では、作業対象物に設定された作業領域は、作業対象物領域と同一の領域であるとした。しかし、例えば、作業者がある作業対象物の周囲領域に存在し、作業対象物の周囲領域から、作業対象物に対して作業を行っているような場合、実施形態1の集計システムは、作業者の作業の対象である作業対象物を特定できない。そこで、本実施形態では、作業対象物に設定された作業領域が、作業対象物の周囲を含んだ領域である場合の集計システムの処理について説明する。
本実施形態の集計システムのシステム構成、システム構成要素のハードウェア構成は、実施形態1と同様である。
本実施形態の集計システムの処理は、
図3のシーケンス図の処理と同様である。また、本実施形態のサーバ装置100の処理は、
図4のフローチャートの処理と同様である。
本実施形態では、S404の処理で、取得される各作業領域の座標情報の内容が実施形態1と異なる。
【0025】
本実施形態では、作業対象物の作業領域は、作業対象物領域と、作業対象物の周辺の領域とを含んだ領域である。実施形態1と同様に、補助記憶装置202は、予め、各作業対象物の作業領域の座標情報を記憶している。各作業対象物の作業領域の座標情報は、実施形態1では作業対象物の領域を示す情報としたが、本実施形態では作業対象物の領域に加えてその周辺領域を含む領域(作業対象物を含んだ領域)を示す情報である。CPU200は、サーバ装置100の管理者等によるサーバ装置100のマウスやキーボード等の操作部を介した操作に基づいて、補助記憶装置202内の設定ファイルの内容を変更することができる。
例えば、CPU200は、サーバ装置100の管理者等によるサーバ装置100のマウスやキーボード等の操作部を介した操作に基づいて、作業対象物の作業領域の座標情報を、作業領域を広げるように更新することもできるし、作業領域を狭めるように変更することもできる。また、CPU200は、サーバ装置100の管理者等によるサーバ装置100のマウスやキーボード等の操作部を介した操作に基づいて、作業対象物の作業領域の座標情報を、作業領域の形状を任意な形状に変更するように更新することもできる。また、本実施形態では、作業対象物の作業領域は、作業対象物の領域に周辺領域を加えた領域である、即ち、作業領域に作業対象物の領域が含まれるとするが、CPU200は、例えば、作業対象物の一部のみを含む作業領域とするように、作業対象物の作業領域の座標情報を更新できる。
【0026】
図9Aは、S402で取得された座標情報に対応する座標と、S404で決定された作業領域と、の一例を示す図である。
図9Aは、XY座標系における測定点と作業対象物の作業領域とを示す。
図9A中の黒点のそれぞれは、S402で取得された座標測定情報に対応する測定点のそれぞれを示す。また、
図9A中の白点は、S402で取得された座標測定情報に対応する座標のうち、最新のもの、即ちタグ102が存在した最も新しい座標を示す測定点である。本実施形態では、作業対象物は、作業対象物Aと作業対象物Bとの2つが存在する。
図9A中の矩形領域それぞれは、作業対象物Aの領域とその周辺領域とを含む作業領域、作業対象物Bとその周辺領域とを含む作業領域を示す。
図9Aの例では、タグ102は、最新の状態において、作業対象物Aの作業領域と作業対象物Bの作業領域との間に存在し、現在時点の直前5分間において、作業対象物Aの作業領域上に存在していたことを示している。
本実施形態では、作業対象物は、XY座標において矩形であるとするが、
図9Bのように円形等の形状であってもよい。
【0027】
以上、本実施形態の処理により、集計システムは、作業対象物の周辺領域から作業者Aが作業対象物に対して作業をしているような場合でも、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定できるようになる。
【0028】
<実施形態3>
実施形態1、2では、各作業対象物の作業領域は、重複していないものとしたが、本実施形態では、各作業対象物の作業領域が重複している場合の集計システムの処理について説明する。
本実施形態の集計システムのシステム構成、システム構成要素のハードウェア構成は、実施形態1と同様である。
図10は、本実施形態におけるサーバ装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
S1001の処理は、S401の処理と同様である。
S1002において、CPU200は、S1001で取得したセンサ端末101とタグ102との距離の情報のうち、測定時点が最も新しい情報に基づいて、タグ102の最新の座標測定情報を取得する。
S1003の処理は、S403と同様である。S1004の処理は、S404の処理と同様である。
本実施形態における各作業対象物の作業領域は、各作業対象物領域とその周辺領域とを含む領域であるとする。また、各作業対象物の作業領域のいくつかは、他の作業領域と重複しているものとする。
【0029】
図11は、本実施形態での各作業対象物の作業領域の配置等の一例を示した図である。本実施形態では、作業対象物は、作業対象物A、作業対象物B、作業対象物C、作業対象物Dの4つがある。各作業対象物は、
図11に示されるように配置されており、それぞれ、作業対象物の領域と、その周辺領域(通路等のスペース)と、を含む作業領域が設定されている。各作業領域は、他の作業領域と重複しており、重複している領域を重複領域とする。
図11の例では、重複領域には、重複領域(1)、重複領域(2)、重複領域(3)、重複領域(4)、重複領域(5)がある。重複領域(1)は、作業対象物Aと作業対象物Bとの作業領域が重複している領域である。重複領域(2)は、作業対象物Aと作業対象物Cとの作業領域が重複している領域である。重複領域(3)は、作業対象物Bと作業対象物Dとの作業領域が重複している領域である。重複領域(4)は、作業対象物Cと作業対象物Dとの作業領域が重複している領域である。重複領域(5)は、全ての作業対象物の作業領域が重複している領域である。
【0030】
S1005において、CPU200は、S1004で決定した各作業対象物の作業領域の重複領域を取得する。例えば、CPU200は、S1003で取得した各作業対象物の作業領域の座標情報に基づいて、各作業領域の重複部分を、重複領域として算出する。
S1006において、CPU200は、タグ102の最新の座標測定情報に対応する測定点が、S1005で取得した重複領域に含まれるか否かを判定する。CPU200は、測定点が、S1005で取得した重複領域に含まれると判定した場合、S1007の処理に進む。また、CPU200は、測定点が、S1004で取得した重複領域に含まれないと判定した場合、S1015の処理に進む。
S1007の処理は、S402と同様である。S1008~S1014の処理は、S405~S411の処理と同様の処理である。また、S1007で取得されることになる座標測定情報に対応する測定点は、
図11中の黒点及び白点となる。また、
図11中の白点は、S1002で取得された最新の座標測定情報に対応する測定点を示す。
図11の例では、作業者Aは、重複領域(1)に存在することとなる。
【0031】
S1015において、CPU200は、タグ102の最新の座標測定情報に対応する測定点が、S1004で決定された各作業対象物の作業領域の何れかに含まれるか否かを判定する。CPU200は、測定点が、S1004で決定された各作業対象物の作業領域の何れかに含まれると判定した場合、S1016の処理に進む。また、CPU200は、測定点が、S1003で決定された各作業対象物の作業領域の何れかに含まれないと判定した場合、S1017の処理に進む。
S1015において、CPU200は、S1014でタグ102の最新の座標測定情報に対応する測定点を含むと判定された作業領域に対応する作業対象物を、S1002で取得した座標測定情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象である作業対象物であると特定する。そして、CPU200は、S1002で取得した座標測定情報に含まれる時点の情報を取得する。CPU200は、取得した時点の情報と、特定した作業対象物の情報と、タグ102の情報と、の対応情報を、取得した時点情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象である作業対象物の情報として、補助記憶装置202に記憶する。
S1016において、CPU200は、何れの作業対象物の作業領域にも、測定点が含まれないとして、作業者Aの作業の対象である作業対象物がないと決定する。
【0032】
本実施形態では、各作業対象物の作業領域は、
図11Aに示す配置であるとしたが、
図12Aに示すような配置であってもよい。
図12Aの例では、作業対象物は、1列、2列で示されている2つの作業対象物である。
図12の2つの作業対象物の間には、人が一人通れる程度の幅の通路が存在する。各作業対象物に設定された作業領域は、
図12Aに示すように、作業対象物の領域と、その両側の通路の領域とを含む領域となっている。各作業対象物の作業領域は、各作業対象物の間の通路の領域において、重複している。即ち、
図12Aの例では、重複領域は、各作業対象物の間の通路の領域となる。
図12Bは、
図12Aで示される状況で、作業者Aが作業している際に取得されたタグ102の座標を示す図である。
図12B中の黒点のそれぞれは、S1007で取得された座標測定情報に対応する測定点のそれぞれを示す。また、
図12B中の白点は、S1002で取得された座標測定情報に対応する測定点を示す。
図12Bの例では、作業者Aは、最新の状態として、各作業対象物の間の通路に存在することとなる。
図12に示されるような作業対象物及び作業領域の配置であっても、集計システムは、
図10の処理により、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定できる。
【0033】
また、集計システムは、
図12に示されるような作業領域の配置の場合、以下のような処理を行い、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定してもよい。
まず、CPU200は、S1001~S1006の処理を行う。補助記憶装置202には、予め、各作業対象物の作業領域の座標情報と併せて、各作業対象物領域の座標情報を記憶していることとする。CPU200は、S1006で、重複領域であるタグ102の最新の座標が作業対象物間の通路の領域に含まれると判定された場合、補助記憶装置202から各作業対象物領域の座標情報を取得し、各作業対象物領域を決定する。
そして、CPU200は、S1008で、各作業対象物の作業領域に含まれる座標をカウントするのではなく、各作業対象物領域に含まれる座標をカウントする。作業対象物領域を、作業対象物領域とする。そして、CPU200は、S1009で、最も多く測定点を含む作業対象物領域が1つ存在するか否か判定し、存在すれば、S1010の処理に、存在しなければ、S1011の処理に進む。S1010において、CPU200は、最も多く測定点を含む作業対象物領域に対応する作業対象物を、S1002で取得した座標測定情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象である作業対象物として特定する。
CPU200は、S1011で、最も多く測定点を含む作業対象物領域が複数存在するか否かを判定し、存在する場合、S1012の処理に進み、存在しない場合、S1014の処理に進む。CPU200は、S1012で、最も多く測定点を含むと判定された複数の作業対象物領域毎に、どの作業領域にも含まれない測定点のうち、自らに最も近い測定点の数をカウントする。そして、S1013で、CPU200は、S1012でカウントされた測定点の数が最も多い作業対象物領域に対応する作業対象物を、S1002で取得した座標測定情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象として特定する。また、CPU200は、S1014で、作業者Aの作業の対象はないものと決定する。
以上の処理のように、集計システムは、各作業対象物に複数、設定された領域(例えば、作業領域及び作業対象物領域)を利用して、作業者Aの作業の対象の作業対象物を特定することとしてもよい。これにより、集計システムは、より柔軟に、作業者Aの作業の対象の作業対象物を特定できる。
【0034】
以上、本実施形態の処理により、集計システムは、各作業対象物の作業領域が重複している場合でも、作業者Aの作業の対象である作業対象物をより精度よく特定できるという効果を奏する。また、タグ102の最新の座標測定情報に対応する測定点が作業対象物の作業領域の重複領域に含まれない場合、CPU200は、タグ102の最新の座標測定情報のみに基づいて、S1002で取得した座標測定情報に対応する時点における作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定し、設定された期間内の複数のタグ102の座標情報を取得しないため、実施形態1に比べて処理を軽減できるという効果を奏する。
本実施形態の集計システムは、
図12に示されるように、作業対象物同士の間が狭く、作業対象物同士の間の領域が双方の作業対象物の作業領域に属しているような場合に特に、これらの効果を奏することができる。
【0035】
<実施形態4>
実施形態1~3では、集計システムは、タグ102の座標測定情報に基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定することとした。本実施形態では、タグ102の座標測定情報に加えて、作業者Aの動作の情報に基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定する処理を説明する。
本実施形態の集計システムのシステム構成、システム構成要素のハードウェア構成は、実施形態1と同様である。
【0036】
本実施形態では、動作検知センサ103は、センサ端末101がタグ102との距離を測定するタイミングと同期して、作業者Aの動作を検知して、検知した結果の作業者Aの動作情報を、サーバ装置100に送信する。より具体的には、動作検知センサ103のCPUは、センサ端末101による測定のタイミングと同期するように予め設定されたタイミングで、動作検知センサ103のセンサ部を介して、作業者Aの動作を検知し、作業者Aの動作情報(例えば、加速度、角速度等の情報)を取得する。そして、動作検知センサ103のCPUは、取得した作業者Aの動作情報と、検知を行った時点の情報とを、動作検知センサ103のネットワークI/F及び無線ネットワークを介して、サーバ装置100に送信する。本実施形態では、動作検知センサ103は、無線ネットワークを介して、動作情報をサーバ装置100に送信することとしたが、例えば、動作情報を動作検知センサ103の補助記憶装置内に蓄積して記憶しておき、作業者Aの作業が終わった後に、まとめて、サーバ装置100に送信することとしてもよい。
CPU200は、動作検知センサ103から送信された動作情報を、動作情報と合わせて送信された時点情報と対応付けて補助記憶装置202に記憶する。
図5Bは、CPU200により記憶された動作情報の一例を示す図である。
本実施形態における各作業対象物と作業領域との配置は、
図14に示す通りであるとする。
図14のように、矩形の作業対象物A、Bに、周辺領域を含む作業領域が設定されている。
【0037】
図13は、本実施形態におけるサーバ装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
図13のS402~S408、S411の処理は、
図4と同様である。また、S402で取得されるタグ102の座標は、
図14に示す通りであるとする。
図14では、2つの作業対象物の作業領域それぞれに、同じ数(3つ)のタグ102の座標が含まれている。
S1301において、CPU200は、S401と同様に、センサ端末101のそれぞれから、タグ102とセンサ端末101との距離の測定結果の情報と、測定が行われた時点の情報と、を受信する。また、CPU200は、更に、動作検知センサ103から、作業者Aの動作情報と、動作情報の検知が行われた時点の情報と、をセンサ端末101からの情報と同期して受信する。
S1302において、CPU200は、S1301で取得した作業者Aの動作情報のうち、S402で取得されたタグ102の座標が測定された時点と同じ時点に検知された動作情報を取得する。そして、CPU200は、取得した動作情報に基づいて、S402で取得されたタグ102の座標それぞれについて、作業者Aの体の向きを推定する。例えば、CPU200は、動作検知センサ103の角速度に基づいて、動作検知センサ103の向きを算出し、算出した動作検知センサ103の向きを、作業者Aの体の向きと推定する。
体の向きを判定する場合、CPU200は、例えば、予め補助記憶装置202等に記憶された動作検知センサ103により測定された角速度等の情報と実際の体の向きとを紐づけた情報の初期値を基準にして、各時刻で取得される動作検知センサ103の角速度等の情報から相対的に体の向きを順次推定することとしてもよい。
又は、CPU200は、動作検知センサ103により方位情報(絶対的な体の向きを示す情報)を取得し、取得した方位情報に基づいて、体の向きを推定することとしてもよい。
【0038】
S1303において、CPU200は、S1302で取得したタグ102の座標毎の作業者Aの体の向きに基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定する。例えば、CPU200は、タグ102の各座標測定情報に対応する測定点について、以下のような処理を行う。即ちCPU200は、各測定点と、S408で複数存在すると判定された作業領域のそれぞれと、を結ぶ線分を設定する。そして、CPU200は、測定点における作業者Aの体の向いている方向と、設定した各線分とのなす角度を算出する。CPU200は、算出した角度が最も小さいものに対応する線分に対応する作業対象物を、その座標における作業者Aが見ている作業対象物として決定する。
そして、CPU200は、最も多くの測定点における作業者Aが見ている作業対象物を、作業者Aの作業の対象の作業対象物として決定する。
CPU200は、作業者Aの動作情報を利用して、以下のような処理で作業者Aの作業対象物を特定することとしてもよい。即ち、CPU200は、予め補助記憶装置202に記憶された動作情報と作業内容とを関連付けたテーブル及び、作業内容と作業対象物とを関連付けたテーブル(作業内容と作業対象物とは1対1の対応に限られない)に基づいて、動作情報に紐づく作業内容を介して作業対象物を特定してもよい。ここで、CPU200は、複数の作業対象物を候補として抽出した場合、候補として抽出した作業対象物の中から、測定された各時刻の座標情報との距離関係に基づいて、作業対象物を特定(例えば最も近いものを作業対象物として特定)してもよい。
又は、CPU200は、作業者Aの動作情報を入力情報として受け付けて作業内容を特定する人工知能アルゴリズムのプログラムを利用して、作業対象物を特定することとしてもよい。即ち、CPU200は、人工知能アルゴリズムにより特定された作業内容について、上述した作業内容と作業対象物とを関連付けたテーブルに基づいて、作業対象物を特定することもできる。
【0039】
また、CPU200は、
図10に示すフローチャートにおいて、S1001の処理をS1301の処理に置き換え、S1007以降の処理を、S1302、S1303の処理に置き換えた処理を行うこともできる。即ち、CPU200は、S1006で最新の測定点がS1005で取得た重複領域に含まれると判定した場合、その後に続く処理として、S1302、S1303の処理を行うことにより、作業対象物を特定することとしてもよい。より詳細に説明すれば以下の通りである。
S1006において、CPU200は、タグ102の最新の座標測定情報に対応する測定点が、S1005で取得した重複領域に含まれるか否かを判定する。CPU200は、測定点が、S1005で取得した重複領域に含まれると判定した場合、S1302の処理を行う。例えば、
図11に示す例の場合、作業者Aは、重複領域(1)に存在しており、作業者Aの作業の対象としては、作業対象物Aと作業対象物Bの2つが候補として考えられる。
次に、S1302において、CPU200は、作業者Aの体の向きを推定する。S1302における処理の詳細は上述の通りである。
そして、S1303において、CPU200は、S1302で取得したタグ102の座標毎の作業者Aの体の向きに基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定する。例えば、CPU200は、各測定点と、候補となる作業対象物のそれぞれと、を結ぶ線分を設定し、測定点における作業者Aの体の向いている方向と、設定した各線分とのなす角度を算出する。そして、CPU200は、算出した角度が最も小さいものに対応する線分に対応する作業対象物を、その座標における作業者Aが見ている作業対象物として決定する。
そして、CPU200は、S1303で決定された各座標における作業者Aが見ている作業対象物を、その座標における作業者Aの作業の対象である作業対象物として特定する。
【0040】
また、サーバ装置100は、
図10に示すフローチャートにおいて、S1001の処理をS1301の処理に置き換え、S1007以降の処理を、以下の処理に置き換えた処理を行うこととしてもよい。即ち、CPU200は、S1007の処理の後に、S1301で取得した検知された動作情報に基づいて、予め補助記憶装置202に記憶された動作情報と作業内容とを関連付けたテーブルから(又は人工知能アルゴリズムにより)作業内容を特定し、予め補助記憶装置202に記憶された作業内容と作業対象物とを関連付けたテーブルから作業対象物を特定する処理を行ってもよい。
更には、CPU200は、作業者Aの動作情報から作業者Aの体の向きを推定して作業対象物を特定する処理と、作業者Aの動作情報から作業内容を特定して作業対象物を特定する処理とを組み合わせた処理を行うこともできる。例えば、CPU200は、作業者Aの動作情報から特定される作業内容に紐づく作業対象物が複数存在する場合に、作業者Aの動作情報から推定される作業者Aの体の向きにより、作業対象物を1つに絞り込む処理等の処理を行うこともできる。
【0041】
以上、本実施形態では、集計システムは、タグ102の座標情報に加えて、作業者Aの姿勢の情報に基づいて、作業者Aの作業の対象である作業対象物を特定することとした。これにより、集計システムは、作業者Aが装着するタグ102の座標情報だけでなく、作業者Aの動作の情報も利用することで、より精度よく作業者Aの作業の対象の作業対象物を特定できる。
また、集計システムは、
図14のような状況で、作業領域に含まれる測定点の数が等しく、作業領域に含まれる測定点の数に基づいて、どちらの作業領域に対応する作業対象物に対して作業を行っているか判定することができないような場合に、より精度よく作業者Aの作業の対象の作業対象物を特定できる。
【0042】
<実施形態5>
本実施形態では、集計システムが、作業者Aが作業を開始した時点、終了した時点を決定する処理を説明する。以下では、作業者が作業対象物に対して作業を開始した時点を、作業開始時点とする。また、作業者が作業対象物に対して作業を終了した時点を、作業終了時点とする。
本実施形態の集計システムのシステム構成、システム構成要素のハードウェア構成は、実施形態1と同様である。
図15は、本実施形態のサーバ装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
図15を用いて、作業者Aの作業の開始時点を決定する処理を説明する。
S1501において、CPU200は、作業空間104に入っていきたタグ102の座標の測定を開始する。
【0043】
S1502~S1505の処理は、S401~S404の処理と同様である。本実施形態では、CPU200は、S1503で、設定された期間として、現在時点の直前に設定された期間を用いる。
S1506において、CPU200は、S1503で取得されたタグ102の座標測定情報と、S1505で決定した作業領域の情報と、に基づいて、S1503で取得されたタグ102の座標測定情報に対応する測定点の全てが、単一の作業領域に含まれているか否かを判定する。CPU200は、測定点の全てが、単一の作業領域に含まれていると判定した場合、S1507の処理に進む。CPU200は、測定点の全てが、単一の作業領域に含まれているわけではないと判定した場合、S1502~S1505の処理を繰り返す。
S1507において、CPU200は、S1503で取得されたタグ102の座標測定情報に含まれる時点の情報のうち、最新のものに対応する時点を作業者AがS1506で全ての測定点を含むと判定された作業領域に対応する作業対象物に対して、作業を開始した作業開始時点として決定する。
以上、CPU200は、
図15の処理により、タグ102の座標情報と、作業対象物の作業領域の情報と、に基づいて、作業者Aの作業開始時点を決定することができる。
【0044】
図16は、本実施形態のサーバ装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
図16を用いて、作業者Aの作業終了時点を決定する処理を説明する。
S1601において、CPU200は、センサ端末101からタグ102との距離の情報が送信されなくなったことを検知する。これにより、CPU200は、作業者Aが作業空間104から退出したことを把握する。
S1602において、CPU200は、作業者Aの作業開始時点から、現在時点までの期間内におけるタグ102の全てのタグ102の座標測定情報を取得する。
S1603~S1604の処理は、S403~S404の処理と同様である。
S1605において、CPU200は、S1602で取得したタグ102の座標測定情報に基づいて、設定された期間の間、同一の作業領域にタグ102が存在した期間を取得する。例えば、CPU200は、タグ102の座標測定情報に含まれる時点の情報に基づいて、設定された期間の間、連続して単一の作業領域に存在する測定点の集まりを探索する。そして、CPU200は、探索した測定点に対応する座標測定情報に含まれる時点の情報に対応する時点のうち、最も早い時点から最も遅い時点までの期間を、同一の作業領域にタグ102が存在した期間として取得する。
S1606において、CPU200は、S1605で取得した期間のうち、期間の終了時点が最も遅い期間を取得し、取得した期間の終了時点を、作業者Aの作業終了時点として決定する。
以上、CPU200は、
図15の処理により、タグ102の座標測定情報と、作業対象物の作業領域の情報と、に基づいて、作業者Aの作業開始時点を決定することができる。
【0045】
以上、本実施形態の処理により、集計システムは、タグ102の座標測定情報と、タグ102の座標測定情報が測定された時点の情報とに基づいて、作業者Aが作業を開始した時点、終了時点を決定することができる。それにより、集計システムは、作業者Aの作業開始時点や作業終了時点をより精度よく集計可能となる。
【0046】
<実施形態6>
本実施形態では、集計システムが集計結果を出力する処理について説明する。
本実施形態の集計システムのシステム構成、システム構成要素のハードウェア構成は、実施形態1と同様である。
本実施形態では、CPU200は、実施形態1と同様の集計処理を行い、
図7に示すような集計情報を補助記憶装置202に記憶しているとする。
本実施形態では、CPU200は、例えば、
図16と同様の処理により作業者Aの作業終了時点を取得すると、補助記憶装置202に記憶されている集計情報に基づいて、集計結果を出力する処理を行う。
CPU200は、例えば、補助記憶装置202に記憶されている集計情報から、各作業対象物について、どの作業者が、どの程度の期間、作業をしていたかの情報を取得する。そして、CPU200は、作業対象物、作業者、作業の期間を対応付けた表を作成する。また、CPU200は、作業者の代わりに、その作業者の属する班を利用して、作業対象物、作業者の属する班、作業の期間を対応付けた表を作成してもよい。また、CPU200は、作業対象物、作業者(又は作業者の属する班)、作業の期間以外の情報を、これらの情報と対応付けた表を作成してもよい。例えば、CPU200は、
図17に示すような、作業対象物、作業者の属する班、工程、作業の期間を対応付けた表を作成する。
図17の表の作業の期間は、時系列上のグラフとして、図形化されている。CPU200は、作業の期間の情報を、図形化することで、よりユーザによる可視性を高めることができる。
CPU200は、作成した表を、サーバ装置100の表示部に表示することで、出力する。また、CPU200は、外部の印刷機等に対して、作成した表の紙媒体への印刷を指示することで出力することとしてもよい。また、CPU200は、作成した表の情報を、設定された送信先に送信することで、出力してもよい。また、CPU200は、作成した表の情報を、補助記憶装置202等に記憶することで、出力してもよい。
【0047】
以上、本実施形態の処理により、集計システムは、集計された作業の情報を、集計結果として出力することができる。これにより、集計システムは、集計結果を確認したいユーザに対して、集計結果を提示することができる。
【0048】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した集計システムの機能構成の一部又は全てをハードウェアとしてサーバ装置100に実装してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 サーバ装置
102 タグ
200 CPU