(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ラバーカップリング
(51)【国際特許分類】
F16D 3/62 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
F16D3/62 B
(21)【出願番号】P 2016199190
(22)【出願日】2016-10-07
【審査請求日】2019-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】519196405
【氏名又は名称】株式会社IJTT
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【氏名又は名称】柱山 啓之
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】濱中 好久
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-239816(JP,A)
【文献】実開平03-068625(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/62
F16D 3/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のトランスミッション側の駆動側軸部とディファレンシャルギア側の被駆動側軸部とを直列に接続するラバーカップリングにおいて、
前記駆動側軸部と前記被駆動側軸部との間に配設されるカップリング本体と、
前記カップリング本体に円周方向に沿って複数設けられ軸方向に貫通する貫通穴と、
前記貫通穴内に配置された筒状のアウターブッシュと、
前記アウターブッシュを変位可能に支持すべく前記貫通穴内に配置された支持ラバーと、
前記アウターブッシュ内に軸方向にスライド自在に設けられ前記駆動側軸部又は前記被駆動側軸部に締結されるためのインナースライダと、
を備え
、
前記インナースライダは、前記アウターブッシュより軸方向に長く形成され、
前記インナースライダの外周には潤滑油が塗布され、
前記アウターブッシュから延出する前記インナースライダの外周には、前記潤滑油を保持するためのブーツが設けられ、
前記ブーツは前記支持ラバーと一体に形成された
ことを特徴とするラバーカップリング。
【請求項2】
前記アウターブッシュの内周面又は前記インナースライダの外周面には、潤滑材がコーティングされたことを特徴とする請求項1に記載のラバーカップリング。
【請求項3】
前記潤滑材がナイロンであることを特徴とする請求項2に記載のラバーカップリング。
【請求項4】
前記アウターブッシュの内周面又は前記インナースライダの外周面には、メッキ処理が施されたことを特徴とする請求項1に記載のラバーカップリング。
【請求項5】
前記ブーツは軸方向に伸縮自在なバネを構成することを特徴とする請求項
1から4のいずれか一項に記載のラバーカップリング。
【請求項6】
前記貫通穴には円筒状の嵌合部材が嵌合され、前記支持ラバーは前記嵌合部材と前記アウターブッシュとの間に設けられたことを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載のラバーカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のトランスミッション側の駆動側軸部とディファレンシャルギア側の被駆動側軸部とを直列に接続するラバーカップリングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のトランスミッション側の駆動側軸部とディファレンシャル側の被駆動側軸部とを直列に接続するラバーカップリングには、エンジンの回転振動(脈動)を吸収し、かつディファレンシャルギアのバックラッシュによる振動を抑えて回転を滑らかに伝達する機能が求められると共に、駆動側軸部と被駆動側軸部との偏芯度、及び軸方向変位を吸収する機能が求められる。
【0003】
ところで特許文献1では、弾性体の円周方向に駆動系と被駆動系に連結する円周方向のボルト(接続素子)を設け、これら接続素子同士をコードで連結することで、回転駆動力を駆動側から被駆動側に伝達させ、偏芯度及び、軸方向変位は弾性体の撓みで調整するようにしてる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、接続素子同士をコードで連結するのでは、製造コストがかかり、またエンジンの振動やトランスミッションのバックラッシによるトルク変動による振動の減衰度を制御することが困難である。また、前記軸方向変位を吸収するための機構を別途備える必要がある。
【0006】
そこで本発明はかかる事情に鑑みて創案され、その目的はエンジンの振動やトランスミッションのバックラッシュによるトルク変動による回転脈動や振動を吸収して動力を伝達できると共に、トランスミッション及びディファレンシャルギア間の軸方向変位を吸収できるラバーカップリングを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様によれば、車両のトランスミッション側の駆動側軸部とディファレンシャルギア側の被駆動側軸部とを直列に接続するラバーカップリングにおいて、前記駆動側軸部と前記被駆動側軸部との間に配設されるカップリング本体と、前記カップリング本体に円周方向に沿って複数設けられ軸方向に貫通する貫通穴と、前記貫通穴内に配置された筒状のアウターブッシュと、前記アウターブッシュを変位可能に支持すべく前記貫通穴内に配置された支持ラバーと、前記アウターブッシュ内にスライド自在に設けられ前記駆動側軸部又は前記被駆動側軸部に締結されるためのインナースライダと、を備えたことを特徴とするラバーカップリングが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転脈動や振動を吸収して動力を伝達できると共にトランスミッション及びディファレンシャルギア間の軸方向変位を吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るラバーカップリングの側断面図である。
【
図5】ラバーカップリングが適用された動力伝達系の概略説明図である。
【
図6】他の実施の形態に係るラバーカップリングの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0011】
[第1実施形態]
図5は車両の動力伝達系に本発明に係るラバーカップリングを適用した例を示す。
図3は
図5のラバーカップリングの拡大斜視図であり、
図4は
図5のラバーカップリングを軸方向から視た正面図である。
【0012】
図5に示すように、エンジン1の動力はトランスミッション2に入力され、トランスミッション2からプロペラシャフト3を介してディファレンシャルギア4に伝達される。
【0013】
プロペラシャフト3は、トランスミッション2に接続される第1プロペラシャフト3aと、ディファレンシャルギア4に接続される第2プロペラシャフト3bと、第1プロペラシャフト3a及び第2プロペラシャフト3bを接続するユニバーサルジョイント5とを備える。第1プロペラシャフト3aは、トランスミッション2に接続される駆動側軸部6aと、ユニバーサルジョイント5に接続される被駆動側軸部7aと、駆動側軸部6a及び被駆動側軸部7aを直列に接続するラバーカップリング8とを備える。また、第2プロペラシャフト3bは、ユニバーサルジョイント5に接続される駆動側軸部6bと、ディファレンシャルギア4に接続される被駆動側軸部7bと、駆動側軸部6b及び被駆動側軸部7bを直列に接続するラバーカップリング8とを備える。
【0014】
ラバーカップリング8は、エンジン1の振動やトランスミッション2のバックラッシによるトルク変動を原因とする回転脈動や振動を吸収して動力を伝達すると共に、トランスミッション2及びディファレンシャルギア4間の軸方向変位を吸収するためのものである。
【0015】
図3及び
図4に示すように、ラバーカップリング8は、概ね円盤状に形成されており、駆動側軸部6a及び被駆動側軸部7aに締結される。また、駆動側軸部6a及び被駆動側軸部7aには、ラバーカップリング8と締結するための締結フランジ9が径方向外方に放射状に延びて形成されている。具体的には、締結フランジ9は、周方向に120°間隔で形成されている。また、駆動側軸部6aと被駆動側軸部7aは、締結フランジ9の周方向の位置が60°ずれるように配置されており、後述するラバーカップリング8と周方向に互い違いの位置で締結される。
【0016】
図1は、ラバーカップリング8の側断面図である。なお、第2プロペラシャフト3bに具備されるラバーカップリング8は第1プロペラシャフト3aのものと同様であるため説明を省略する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ラバーカップリング8は、駆動側軸部6aと被駆動側軸部7aとの間に配設されるカップリング本体10と、カップリング本体10に円周方向に沿って複数設けられ軸方向に貫通する貫通穴11と、貫通穴11内に配置された筒状のアウターブッシュ12と、アウターブッシュ12を変位可能に支持すべく貫通穴11内に配置された支持ラバー13と、アウターブッシュ12内にスライド自在に設けられ駆動側軸部6a又は被駆動側軸部7aに締結されるためのインナースライダ14とを備える。
【0018】
カップリング本体10は、鉄又はダイキャスト等の金属にて円盤状に形成されている。また、カップリング本体10の中心には、軽量化のための孔Hが形成されている。なお、カップリング本体は、上述のものに限るものではない。例えばカップリング本体はラバー中に金属プレートを埋設したものであってもよく、ラバー中に金属製のコードを埋設したものであってもよく、他のものであってもよい。
【0019】
貫通穴11は、カップリング本体10の外周部に周方向に60°間隔で6箇所形成されている。なお、貫通穴11は6箇所に限るものではない。例えば貫通穴11は4箇所以上の複数であってもよい。
【0020】
アウターブッシュ12は、貫通穴11より十分小径の筒状に形成されている。アウターブッシュ12は、金属にて形成されると共に、貫通穴11よりも軸方向に長く形成されている。
【0021】
支持ラバー13は、加硫ゴムにて形成される。なお、支持ラバー13は、他の軟質の樹脂にて形成されてもよい。支持ラバー13は、貫通穴11に嵌合される筒状の嵌合部材17とアウターブッシュ12との間に充填されており、嵌合部材17及びアウターブッシュ12と一体にされている。これにより、嵌合部材17、アウターブッシュ12及び支持ラバー13をユニット化できると共に、カップリング本体10と並行して製造できる。仮にカップリング本体10に直接支持ラバー13を形成するものとした場合、プレス加工や機械加工等でカップリング本体の金属部分を成形した後、この金属部分に複数の支持ラバー13を成形して設けると共に、アウターブッシュ12を設けなければならない。特に加硫ゴムの成形には時間と専門の設備とを必要とするため、前記設備の大型化と生産効率とが問題となる可能性がある。しかし、アウターブッシュ12及び嵌合部材17間に支持ラバー13を成形してユニット化することにより、前記設備が小さくても支持ラバー13を効率よく形成でき、カップリング本体の金属部分と支持ラバー部分を並行して製造でき、ラバーカップリング8を効率よく製造できる。
【0022】
インナースライダ14は、アウターブッシュ12内にスライド自在に設けられたインナーブッシュ15と、インナーブッシュ15内に挿通され、インナーブッシュ15を駆動側軸部6a又は被駆動側軸部7aに締結するための締結具16とを備える。
【0023】
インナーブッシュ15は、アウターブッシュ12と遊嵌する筒状に形成されると共に、アウターブッシュ12より軸方向に長く形成されている。また、インナーブッシュ15は金属にて形成されると共に、外周面にナイロンコーティング18が施されている。ナイロンコーティング18はインナーブッシュ15及びアウターブッシュ12間の潤滑性を高める。
【0024】
なお、ナイロンコーティング18はアウターブッシュ12の内周面に施されてもよい。また、ナイロンコーティング18に代えて他の潤滑材のコーティングやメッキ処理などの表面処理がなされてもよい。
【0025】
また、ナイロンコーティング18されたインナーブッシュ15の外周面には、グリス等の潤滑油が塗布されている。これにより、インナーブッシュ15とアウターブッシュ12の摩擦がさらに低減される。
【0026】
またさらに、アウターブッシュ12から軸方向に延出するインナーブッシュ15の外周には、前記潤滑油を保持するためのブーツ19が設けられている。
【0027】
ブーツ19は、金属にて形成されると共に、インナーブッシュ15の外周を覆う筒状に形成され、かつ、蛇腹状に形成されている。また、ブーツ19は軸方向の一端がアウターブッシュ12に当接すると共に他端が後述するインナーブッシュ15の拡径部20又は後述する締結具16の頭部21に当接するように形成されており、アウターブッシュ12から軸方向に延出するインナーブッシュ15の摺動面14aを覆う。これにより、ブーツ19はインナーブッシュ15の摺動面14aに泥水や砂、埃などの異物が付着するのを抑制或いは防止する。そして、インナーブッシュ15及びアウターブッシュ12間に泥水が浸入して錆が発生する可能性を低減できると共に、インナーブッシュ15及びアウターブッシュ12間に異物が入り込むことによるインナーブッシュ15及びアウターブッシュ12間の固着や摺動抵抗の増加を低減できる。そしてさらに、潤滑油の流出を抑制又は防止できると共に、ブーツ19の蛇腹の折り曲げ部に潤滑油ポケットを形成できる。これにより、摺動部の摺動性能を長期間に亘って良好に維持できる。また、ブーツ19は、蛇腹状に形成されることで軸方向に伸縮自在なバネを構成する。
【0028】
また、インナーブッシュ15は、一端に駆動側軸部6a又は被駆動側軸部7aを受けるための拡径部20を有する。拡径部20は、アウターブッシュ12の内径より大径に形成されており、アウターブッシュ12の抜け止めとしても機能する。またさらに、インナーブッシュ15は、拡径部20の軸方向の位置が交互に反対となるようにカップリング本体10の円周方向に沿って配置される。
【0029】
締結具16は、ボルト16a及びナット16bからなる。締結具16は、インナーブッシュ15の他端から一端側に挿通され、駆動側軸部6a又は被駆動側軸部7aの締結フランジ9に締結される。締結具16の頭部21は、アウターブッシュ12の内径より大径に形成されており、アウターブッシュ12の抜け止めとしても機能する。
【0030】
なお、インナースライダ14はインナーブッシュ15と締結具16とを備えるものとしたが、これに限るものではない。インナースライダ14はインナーブッシュ15と締結具16を一体に形成したものであってもよい。
【0031】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0032】
図5に示すように、エンジン1からの駆動力がトランスミッション2を介して第1プロペラシャフト3aの駆動側軸部6aに伝達されると、駆動側軸部6aの駆動力は締結具16、インナーブッシュ15及びアウターブッシュ12を介して支持ラバー13に伝達される。このとき、エンジン1の回転には脈動が伴うが、支持ラバー13が脈動を吸収するため、支持ラバー13からカップリング本体10に伝わる力は平均化される。また、カップリング本体10から被駆動側軸部7a側に伝わる力も他の支持ラバー13を介することで更に平均化され、脈動が更に吸収される。これにより、脈動を伴う駆動側軸部6aとは対照的に被駆動側軸部7aがスムーズに回転され、運転のフィーリングを良好に保つことができる。また、ディファレンシャルギア4側のバックラッシによる衝撃がラバーカップリング8に伝わった場合もその衝撃を支持ラバー13で吸収でき、運転のフィーリングを良好に保つことができる。
【0033】
また、路面の凹凸上を走行することによってディファレンシャルギア4が上下した場合、ラバーカップリング8とディファレンシャルギア4との間隔が変動する。この場合、被駆動側軸部7aは軸方向に動くこととなるが、被駆動側軸部7aに締結されたインナーブッシュ15は対応するアウターブッシュ12に対してスライドし、駆動側軸部6aに締結されたインナーブッシュ15と対応するアウターブッシュ12はそのインナーブッシュ15に対してスライドするため、被駆動側軸部7aの軸方向移動を吸収することができる。
【0034】
また、引用文献1に記載のフレキシブルカップリングでも変形することで被駆動側軸部7aの軸方向の移動を吸収することは可能であるが、そのためにはフレキシブルカップリングの硬さを調整する必要があり、回転方向の脈動及び衝撃を吸収する性能と被駆動側軸部7aの軸方向移動を吸収する性能とを両立させることは極めて困難である。しかし、本実施の形態に係るラバーカップリング8は回転方向の脈動等の吸収性能と前記軸方向移動の吸収性能とを互いに独立して別々に設定できるため、双方の性能を容易に両立させることができる。
【0035】
また、被駆動側軸部7aの移動によって圧縮方向の負荷を受けたブーツ19は弾性的に縮退する。このため、被駆動側軸部7aの位置が元に戻ったとき、ブーツ19はカップリング本体10をインナーブッシュ15の軸方向の中心位置に戻すように作用する。これにより、ラバーカップリング8は常に次の動作に備えることができ、所期の性能を安定して発揮することができる。
【0036】
このように、ラバーカップリング8が、駆動側軸部6aと被駆動側軸部7aとの間に配設されるカップリング本体10と、カップリング本体10に円周方向に沿って複数設けられ軸方向に貫通する貫通穴11と、貫通穴11内に配置された筒状のアウターブッシュ12と、アウターブッシュ12を変位可能に支持すべく貫通穴11内に配置された支持ラバー13と、アウターブッシュ12内にスライド自在に設けられたインナーブッシュ15と、インナーブッシュ15内に挿通され、インナーブッシュ15を駆動側軸部6a又は前記被駆動側軸部7aに締結するための締結具16とを備えるものとする。このため、回転方向の脈動や振動を吸収する回転方向性能と、トランスミッション2及びディファレンシャルギア4間の軸方向変位を吸収する軸方向性能とを両立させて得ることができる。そしてこのことから、プロペラシャフト3に軸方向変位を吸収するための機構(例えばスプライン係合等)を別途備える必要性を低減或いはなくすことができ、車両のトランスミッション2及びディファレンシャルギア4間の動力伝達系を簡素化でき、前記動力伝達系の信頼性を高めることができる。
【0037】
また、インナーブッシュ15の外周面には、ナイロンコーティング18が施されるものとするため、簡単な加工でインナーブッシュ15及びアウターブッシュ12間の摺動抵抗を低減できる。
【0038】
また、インナーブッシュ15は、アウターブッシュ12より軸方向に長く形成され、インナーブッシュ15の外周には潤滑油が塗布され、アウターブッシュ12から延出するインナーブッシュ15の外周には、潤滑油を保持するためのブーツ19が設けられるものとする。このため、インナーブッシュ15の外周に砂や埃等の異物が付着するのを抑制或いは防止できると共に、潤滑油を永くインナーブッシュ15の外周に留めておくことができ、インナーブッシュ15及びアウターブッシュ12間の摺動抵抗を安定して低く抑えることができる。
【0039】
また、ブーツ19は軸方向に伸縮自在なバネを構成するものとしたため、カップリング本体10をインナーブッシュ15の軸方向の中心位置に復帰させることができ、トランスミッション2及びディファレンシャルギア4間の軸方向変位を恒久的に安定して吸収できる。
【0040】
貫通穴11には円筒状の嵌合部材17が嵌合され、支持ラバー13は嵌合部材17とアウターブッシュ12との間に設けられるため、アウターブッシュ12及び支持ラバー13をユニット化できると共に、カップリング本体10の金属部分と支持ラバー部分とを並行して製造でき、ラバーカップリング8を効率よく製造できる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、ブーツ19及び支持ラバー13に変更を加えた本発明の第2実施形態を説明する。なお、ブーツ及び支持ラバー以外の構成は第1実施形態と同様であるため同符号を付し説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、ブーツ30は、加硫ゴムにて形成されると共に、支持ラバー31と一体に形成されている。具体的には、ブーツ30は、アウターブッシュ12及び嵌合部材17間に形成される支持ラバー31のアウターブッシュ12側の両端から軸方向外方に筒状に延びて形成されると共に、蛇腹状に形成されている。また、ブーツ30はインナーブッシュ15の拡径部20又は締結具16の頭部21に先端を当接させるように形成されており、アウターブッシュ12から軸方向に延出するインナーブッシュ15の摺動面14aを覆う。
【0043】
このように、ブーツ30は支持ラバー31と一体に形成されるものとしても、インナーブッシュ15の外周に砂や埃等の異物が付着するのを抑制或いは防止できると共に、潤滑油を永くインナーブッシュ15の外周に留めておくことができ、インナーブッシュ15及びアウターブッシュ12間の摺動抵抗を安定して低く抑えることができる。
【0044】
前述の各実施形態の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
6 駆動側軸部
7 被駆動側軸部
8 ラバーカップリング
10 カップリング本体
11 貫通穴
12 アウターブッシュ
13 支持ラバー
14 インナースライダ