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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】睡眠関連データの電子管理
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20220119BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20220119BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/087
A61B5/1455
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2016525991
(86)(22)【出願日】2014-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2016-11-04
(86)【国際出願番号】 AU2014050305
(87)【国際公開番号】W WO2015058263
(87)【国際公開日】2015-04-30
【審査請求日】2017-10-19
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-30
(31)【優先権主張番号】2013904136
(32)【優先日】2013-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519212484
【氏名又は名称】レスメド・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ネイサン・ザーシー
(72)【発明者】
【氏名】ルイ,プイ・ヘイ
(72)【発明者】
【氏名】ナトーリ,クラウディオ・ルーカ
【合議体】
【審判長】井上 博之
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-97496(JP,A)
【文献】国際公開第2012/168912(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1450277(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0049008(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00
A61B5/08-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠関連測定デバイスによって取得される睡眠関連情報の電子管理方法であって、
1つ又は複数のプロセッサによって、前記睡眠関連情報に対応する複数の信号チャネルからのデータを含む睡眠データを受け取るステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、複数の睡眠セッションに前記睡眠データを関連付けるように該睡眠データを記憶するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、ダウンロードするために、つの睡眠セッションユーザが選択することができるようにするステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、前記ダウンロードするために、前記選択された1つの睡眠セッションに関連付けられた睡眠データに対応する複数のットマップ画像タイルへと変換するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、前記選択された1つの睡眠セッションに関連付けられた睡眠データを表示するために、前記複数のットマップ画像タイルを送信するステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記複数のットマップ画像タイルは、該複数のットマップ画像タイルの全てがダウンロードされる前に、該複数のットマップ画像タイルからの少なくとも最初のットマップ画像タイルが受取側コンピュータによって表示されることができるように送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセッサによって、前記受け取られた睡眠データに基づいて診断イベントを自動的にスコアリングするステップを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のットマップ画像タイルを送信するステップは、前記選択された1つの睡眠セッションに関連するスコアリングされた前記診断イベントを識別するイベントインジケータを送信することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記送信されたットマップ画像タイルの各々は、前記イベントインジケータに含まれる期間に対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記睡眠データに基づいて報告を生成するステップを更に含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ又は複数のプロセッサによって、スコアリングされた前記診断イベントを示す1つ又は複数のスクリプト要素を生成して送信するステップを更に含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザによって手動により調整可能であるように前記1つ又は複数のスクリプト要素を構成するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザに表示されるとき、前記複数のビットマップ画像タイルのうちのそれぞれ1つの上に重なるように、前記1つ又は複数のスクリプト要素の各々を構成するステップを更に含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数のスクリプト要素に対するユーザの調整を示すデータを受け取るステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又は複数のプロセッサによって、前記1つ又は複数のスクリプト要素に対する前記ユーザの調整を示す前記受け取られたデータに基づいて、報告を再計算するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
睡眠関連測定デバイスによって取得される睡眠関連情報の電子管理システムであって、
前記睡眠関連情報に対応する複数の信号チャネルからのデータを含む睡眠データを記憶するメモリと、
前記メモリに関連する1つ又は複数のプロセッサと
を含んでなり、
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記睡眠データを前記メモリに記憶し、該記憶された睡眠データを複数の睡眠セッションに関連させ、
ダウンロードするために、つの睡眠セッションユーザが選択できるようにし、
前記ダウンロードするために、前記選択された1つの睡眠セッションに関連付けられた睡眠データに対応する複数のットマップ画像タイルへと変換し、
前記選択された1つの睡眠セッションに関連付けられた睡眠データを表示するために、前記複数のットマップ画像タイルを送信する
ように構成されているシステム。
【請求項13】
前記複数のットマップ画像タイルは、該複数のットマップ画像タイルの全てが送信される前に、該複数のットマップ画像タイルからの少なくとも最初のットマップ画像タイルが前記ユーザに表示されるのが可能となるように送信される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記受け取った睡眠データに基づいて診断イベントを自動的にスコアリングするように更に構成されている、前記請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数のットマップ画像タイルを送信することは、前記選択された1つの睡眠セッションに関連するスコアリングされた前記診断イベントを識別するイベントインジケータを送信することを更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記送信されたットマップ画像タイルの各々は、前記イベントインジケータに含まれるそれぞれの期間に対応する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記睡眠データに基づいて報告を生成するように更に構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ又は複数のプロセッサは、スコアリングされた診断イベントを示す1つ又は複数のスクリプト要素を生成し送信するように更に構成されている、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザが手動により調整可能であるように前記1つ又は複数のスクリプト要素を構成するように更に配置されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザに表示されるとき、前記複数のットマップ画像タイルのうちのそれぞれ1つの上に重なるように、前記1つ又は複数のスクリプト要素の各々を構成するように更に配置されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のスクリプト要素に対するユーザの調整を示すデータを受け取るように更に構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のスクリプト要素に対する前記ユーザの調整を示す前記受け取ったデータに基づいて、前記報告を再計算するように更に構成されている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記号チャネルの各々は、患者の空気流量呼吸努力酸素飽和脈拍またはいびきうちの少なくとも1つの測定に対応するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記号チャネルの各々は、患者の空気流量呼吸努力酸素飽和脈拍またはいびきうちの少なくとも1つの測定に対応するものである、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、睡眠呼吸障害の検出及び診断に関する。特に、本技術は、睡眠関連診断データ等の睡眠データの電子管理システムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年10月25日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2013904136号の優先権を主張し、その開示内容は、引用することによって本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
検査は、睡眠呼吸障害(SDB)の患者を診断し、在宅医療機器(HME)での治療に対して患者に処方することにおいて不可欠な要素である。診断検査は、従来から、睡眠研究所で行われているが、その利便性及び費用対効果により、在宅睡眠検査(HST)が急速に、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の患者を診断する主流の方法となってきている。新たに台頭してきている家庭に的を絞った診断検査は、そのうちに従来の睡眠研究所検査の大部分に取って代わる可能性がある。
【0004】
このように、診断提供者は、SDBの患者を診断するために、携帯型の家庭用検査デバイスをますます使用するようになっている。例えば、睡眠時無呼吸の患者は、ResMed社のApneaLink(商標)又はCleveMed社のSleepView在宅検査デバイス等のデバイスを使用することによって、様々な程度の検査を受けることができる。このような検査及び診断デバイスは、呼吸流量、呼吸圧、呼吸換気、呼吸努力、酸素化、脈拍、いびき等、1つ又は複数の信号チャネルを含みうる睡眠関連データを生成することができる。
【0005】
その場合、睡眠研究所の医師が、診断デバイスによって収集されるデータを検討することができる。何らかの形態のSDBの症状、例えばOSAが診断された場合、患者に、在宅呼吸療法に対して持続気道陽圧(「CPAP:continuous positive airway pressure」)デバイス等の治療デバイスが処方される場合がある。
【0006】
診断デバイスの使用に関連する患者のデータは、サービス提供者のサーバにアップロードされる。治療医師又は睡眠臨床医がこのようなデータを検討する唯一の方法は、サーバに対して通常遠隔にある自身のコンピュータにデータをダウンロードすることによる。このようなアップロードには相当な時間が関連する可能性がある。実際に、患者データを検討しているとき、睡眠データファイルのみのダウンロードに数分かかる可能性がある。これは、現時点で市場にあるHSTソフトウェアソリューションが、データの任意の部分の閲覧を可能にする前に、睡眠調査ファイル(例えば、EDF+タイプのファイル)全体をユーザのコンピュータにダウンロードするためである。ファイルは、数日の夜からの睡眠関連データを含むことが多く、各夜の睡眠データ自体が数回の睡眠セッションを有することが多い。このため、睡眠検査全体に関連するデータファイルのサイズが非常に大きい可能性がある。結果として、データファイルをパーソナルコンピュータにダウンロードすることにより、睡眠医師が調査の考察及び分析を開始することができる前に、待ち時間が3分を超えることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題は、睡眠データの診断評価に幾つかの手動による変更を導入する必要がある場合に更に複雑になる。後述するように、睡眠医師は、最初にダウンロードされたデータファイルにおいてスコアリングされた診断済みSDBイベントを再評価することを選択する場合がある。現時点では、このような変更により、修正されたデータファイル全体を、全睡眠スコアを再評価するためにサーバに再度アップロードする必要がある。このように大きい睡眠データファイルを複数回データ転送することにより、不要な混乱及び時間の無駄がもたらされる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、睡眠関連測定デバイスによって取得される睡眠関連情報の電子管理方法を提示する。本方法は、睡眠データを受け取るステップと、睡眠データを複数の睡眠セッションに関連付けるように睡眠データを記憶するステップと、ユーザが、ダウンロードするために、睡眠セッションを選択することができるようにするステップと、選択されたセッションの睡眠データに対応する複数の画像タイルを生成するステップと、複数の画像タイルを送信するステップとを含みうる。
【0009】
さらに、複数の画像タイルの全てがダウンロードされる前に、受取側コンピュータが複数の画像タイルからの少なくとも最初の画像タイルをダウンロードすることができるように、複数の画像タイルを送信することができる。本方法は、受け取られた睡眠データに基づいて診断イベントを自動的にスコアリングするステップも含みうる。画像タイルを送信するステップは、選択された睡眠セッションに関連するスコアリングされた診断イベントを表すイベントインジケータを送信することを含むことができ、送信されたタイルの各々は、イベントインジケータに含まれる期間に対応する。
【0010】
別の態様によれば、本方法は、睡眠データ及び/又はスコアリングされた診断イベントに基づいて報告を生成するステップを含みうる。スコアリングされた診断イベントを示す1つ又は複数のスクリプト要素もまた送信することができ、1つ又は複数のスクリプト要素は、ユーザによって手動で調整可能である。ユーザに表示されるとき、複数の画像タイルのうちのそれぞれ1つの上に、1つ又は複数のスクリプト要素を重ねることができる。
【0011】
さらに別の態様では、本方法は、1つ又は複数のスクリプト要素に対するユーザの調整を示すデータを受け取るステップを含みうる。そして、1つ又は複数のスクリプト要素に対するユーザの調整を示す受け取られたデータに基づいて、自動スコアリングを再計算することができる。
【0012】
さらに別の態様では、本明細書に記載した方法は、1つ又は複数のコンピューティングデバイスのシステムによって実行することができる。1つ又は複数のコンピューティングデバイスは、開示した方法を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサでありうる。
【0013】
添付図面により、本技術の様々な実施形態の理解が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】開示する技術の態様による診断デバイスを示す図である。
図2】開示する技術の態様による診断デバイスを示す図である。
図3】開示する技術の一態様による睡眠関連データの電子管理方法を容易にする電子システムの概略図である。
図4】開示する技術の一態様によるユーザの電子デバイスの画面上でユーザに提供される患者の睡眠関連データの視覚的表現を示す図である。
図5】開示する技術の一態様による睡眠関連データの電子管理方法の選択された機能の概略図である。
図6】開示する技術の一態様による図4に示すような睡眠関連イベントの自動スコアリングの結果として提供される診断報告を示す図である。
図7図4の視覚的表現を示し、幾つかの睡眠関連イベントの自動的に生成されたマーキングがユーザによって編集されている図である。
図8】開示する技術の一態様による図4に示すような編集された睡眠関連イベントのスコアリングの結果として提供される診断報告を示す図である。
図9】開示する技術の態様に従って実行することができるフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
提案する技術は、ストリーミングサーバ側のタイリング技術と最適化されたユーザインタフェース設計との一意の組合せを利用して、睡眠関連データファイルが一続きの画像として電子デバイスにロードされるのを可能にする。ストリーミングサーバ側のタイリング技術の幾つかの態様の詳細については、公開特許文献、米国特許第8,560,600号及び同第8,260,006号に見出すことができる。特に、米国特許第8,560,600号は、サーバデータを使用して、地図を表示するために画像タイル等の視覚的地図要素をレンダリングする、サーバの機構の詳細について記載している。米国特許第8,260,006号は、ユーザのブラウザ内で単一の表示を形成するために、マッピングタイルをいかに互いにシームレスにリンクさせることができるかについて記載している。
【0016】
図1及び図2は、睡眠関連診断データを収集するために患者が使用することができる例としての診断デバイス101を示す。患者は、自身の胸部の周囲でベルト1002を締めることによって診断デバイス101を着用することができる。そして、空気流等、患者の呼吸に関連するパラメータを測定するように、鼻孔等、患者の気道路のうちの1つ又は複数に対して、カニューレ1004を配置することができる。診断デバイス101はまた、患者の脈拍及び酸素測定レベルを測定することができるオキシメータセンサ1006も含みうる。患者は、指クリップとしてオキシメータセンサ1006を着用することができる。さらに、診断デバイス101は、睡眠中に患者の呼吸努力を測定する努力センサ1008を含みうる。努力センサ1008は、ベルト1002に、患者の胸郭及び肺に近接して取り付けることができる。
【0017】
図2に示すように、診断デバイス101は、診断デバイス101がカニューレ1004、オキシメータセンサ1006及び努力センサ1008にそれぞれ適切に接続されているか否かを示す表示灯1010、1011及び1012を含みうる。例えば、診断デバイス101が、センサのうちの1つが適切に接続されていないと判断した場合、表示灯1010~1012は、作動するか、点滅するか、又は色を変えることができる。検査灯1014は、診断検査が適切に完了したか否か、又は診断検査中にエラーが発生したか否かを示すことができる。診断デバイス101は、電源ボタン1016等のユーザインタフェースも含みうる。ユーザインタフェースは、診断データを表示しユーザ入力を受け取る対話型ディスプレイ(図示せず)を含みうる。後述するように、診断デバイス101は、眠っている患者から睡眠検査データを収集することができる。このデータは、診断デバイス101に記憶し、リモートコンピューティングデバイスに送信することができる。
【0018】
図3は、本技術に関連して実施することができる電子システムを示す。図3に示すように、システム100は、患者診断デバイス101、診断提供者(例えば、睡眠研究所)コンピュータ104、治療デバイス105(例えば、RPTデバイス)、治療提供者コンピュータ102及びサーバ201を含み、それらの全てをネットワーク150(「クラウド」)に接続することができる。診断デバイス101、コンピューティングデバイス104(ユーザのコンピュータとも呼ぶ)及びサーバ201(サービス提供者のサーバとも呼ぶ)は、互いに対して遠隔に配置することができる。診断デバイス101は、患者によって使用される任意の在宅睡眠検査デバイスとすることができる。患者が医療診断デバイス101を使用する際、メモリ112とも呼ぶ記憶媒体に診断データ111を記録することができる。診断データ111は、検査の日付、時刻及び持続時間等、患者の睡眠検査に関連する任意のデータとともに、記録された呼吸流量データ、呼吸努力データ、酸素測定及び脈拍データ等の生物測定臨床情報を含みうる。メモリ112は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD若しくは他の光ディスクとともに、他の書込み可能メモリ及び読出し専用メモリ等、コンピュータ可読媒体、又は電子デバイスを用いて読み出すことができるデータを記憶する他の媒体を含む、プロセッサがアクセス可能な情報を記憶することができる任意の非一時的型でありうる。
【0019】
サーバ201は、プロセッサ210及びメモリ220を含みうる。メモリ220は、プロセッサ210がアクセス可能なデータ230とともに、プロセッサ210が実行可能であるか又は他の方法で使用可能とすることができる命令234を記憶するために使用される。メモリ220は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD若しくは他の光ディスクとともに、他の書込み可能メモリ及び読出し専用メモリ等、コンピュータ可読媒体、又は電子デバイスを用いて読み出すことができるデータを記憶する他の媒体を含む、プロセッサがアクセス可能な情報を記憶することができる任意の非一時的型でありうる。システム及び方法は、上述したものの異なる組合せを含むことができ、それにより、命令及びデータの異なる部分が異なるタイプの媒体に記憶される。
【0020】
命令234は、プロセッサが直接実行する命令(機械コード等)又は間接的に実行する命令(スクリプト等)の任意の集合とすることができる。例えば、命令は、コンピュータ可読媒体においてコンピュータコードとして記憶することができる。それに関して、「命令」及び「プログラム」という用語は、本明細書では同義で用いられている場合がある。命令は、プロセッサが直接処理するためにオブジェクトコードフォーマットで、又は、スクリプト、若しくは要求時に解釈されるか若しくは予めコンパイルされる独立したソースコードモジュールの集まりを含む、他の任意のコンピュータ言語により記憶することができる。命令の機能、方法及びルーチンについては、より詳細に後述する。命令234は、Communication(Comm)サーバ240、Easy Care Online(ECO)サーバ250及びCommunication Abstraction Layer(CAL)サーバ260等の1つ又は複数の仮想サーバを動作させる命令も含みうる。
【0021】
Communication Abstraction Layer(CAL)は、治療デバイスと通信する役割を担う。CALの基本的な役割としては、活動的な患者に対して日毎の集計データを取得することと、治療デバイスの設定を取得し変更することと、生の治療デバイスデータを容易に要約可能なフォーマットに変換することとが挙げられる。
【0022】
Communicationサーバ(Comm)は、最初に無線治療デバイスと通信し、それらの出力を確認する役割を担う。Communicationサーバの基本的な役割としては、通信モジュール又は内蔵通信デバイスを介して気流発生器と通信することと、入ってくる無線データを確認することと、CALサーバが読み出すことができるフォーマットに無線データを変換することとが挙げられる。
【0023】
ECOサーバは、システム内のアプリケーション機能に対する役割を担う。ECOサーバの基本的な役割としては、ユーザインタフェース内に患者及びデバイス情報を提示することと、患者の健康情報を書き込みかつ管理することと、本技術に関するアプリケーションを実行することとが挙げられる。これは、提案されているタイリング技術に関連するアプリケーションを実行する役割を直接担うサーバである。
【0024】
プロセッサ210は、命令234に従って、データ230を検索し、記憶し、及び/又は変更することができる。例えば、システム及び方法はいかなる特定のデータ構造によっても限定されないが、データは、コンピュータレジスタに、複数の異なるフィールド及びレコード、XMLドキュメント又はフラットファイルを有するテーブルとしてリレーショナルデータベースに記憶することができる。データはまた、任意のコンピュータ可読フォーマットにフォーマット化することもできる。データは、数字、記述的テキスト、プロプライエタリコード、同じメモリ若しくは異なるメモリ(他のネットワークロケーションを含む)の他の領域に記憶されたデータへの参照、又は関連データを計算する機能によって使用される情報等、関連情報を識別するのに十分な任意の情報を含みうる。データ230は、Commデータベース231、CALデータベース232、ECOデータベース233及びHSTデータベース235を含む、1つ又は複数のデータベースを含みうる。
【0025】
プロセッサ210は、市販のプロセッサを含む任意の従来のプロセッサでありうる。代替的に、プロセッサは、例えば、特定用途向け集積チップ(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等、専用のデバイスでありうる。図3は、プロセッサ、メモリ、及びサーバ201の他の要素を同じブロック内にあるものとして機能的に図示しているが、プロセッサ及びメモリは、実際には、同じ物理的ハウジング内に保管される場合もあれば保管されない場合もある複数のプロセッサ及びメモリを含みうるということが、当業者には理解されるであろう。例えば、メモリは、サーバ201とは異なるハウジング内に位置するハードドライブ又は他の記憶媒体とすることができる。したがって、プロセッサ又はコンピュータに対する言及は、並列に動作する場合もあれば動作しない場合もあり、又は更には同じ場所に配置される場合もあればそうでない場合もある、プロセッサ又はコンピュータ又はメモリの集まりに対する言及を含むように理解される。本明細書に記載するステップを実行するために単一のプロセッサを使用するのではなく、操縦コンポーネント及び減速コンポーネント等のコンポーネントのうちの幾つかが、各々、そのコンポーネントの特定の機能に関連する計算のみを実行するそれら自体のプロセッサを有することができる。したがって、サーバ201は、システム及び装置の両方と呼ぶことができる。
【0026】
コンピュータ102、103及び104は、中央処理装置(CPU)、データ120及び121を記憶するメモリ(例えば、RAM及び内部ハードドライブ)、ウェブブラウザ等の命令130及び131、電子ディスプレイ110及び116(例えば、画面を有するモニタ、小型LCDタッチスクリーン、又は情報を表示するように動作可能な他の任意の電気デバイス)、並びにユーザ入力部160及び161(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン及び/又はマイクロフォン)等、通常コンピュータに関連して使用されるコンポーネントの全てを含みうる。
【0027】
メモリ112は、診断デバイス101の内部とすることができ、USBデータケーブルを別個のコンピュータに接続することによってアクセスすることができる。したがって、「診断デバイス」という用語は、このような場合、在宅睡眠検査デバイス等の医療デバイスから収集される診断データ111を有する、デスクトップ又はモバイルコンピュータ等のパーソナルコンピュータを含むように広く解釈することができる。さらに、図3は、サーバ201及びデバイス101~104を共通のネットワーク150を介して接続されているように示すが、システム100内の2つ以上のデバイスの各々は、別個のネットワークを介して接続することができる。
【0028】
一例では、ECOサーバ250及びECOデータベース233は、Commサーバ240、Commデータベース231、CALサーバ260及びCALデータベース232から遠隔の場所のデバイスに存在することがある。さらに、Commサーバ240、Commデータベース231、CALサーバ260及びCALデータベース232は、単一デバイスに存在することがある。
【0029】
患者は、プライマリケアの医師/一般開業医によって、又は睡眠医師によって処方される診断指示に関連して医療診断デバイス101を使用することができる。患者がデバイスを使用する際、診断デバイス101は、生理学的臨床情報、使用の時刻及び日付、並びに他の任意の関連データを含むデータを収集することができる。これに関して、図1は、処置又は治療を提供しない専用診断デバイスを示すが、場合によっては、診断デバイスは、治療を提供することも可能でありうる。このような診断デバイス例は、診断機能が設けられている、CPAPデバイス等の呼吸圧療法デバイスでありうる。
【0030】
コンピュータ104のユーザ等、システム100のユーザは、医療診断デバイス101のメモリ112に直接アクセスすることができる。代替的に、ユーザは、USBケーブル等を介して診断デバイス101をローカルコンピュータに接続することができ、そして、ローカルコンピュータは、データをサーバ201にアップロードすることができ、又は、ユーザは、コンピュータ104が内部メモリ112のデータにアクセスするのを可能にすることができる。そして、コンピュータ104のウェブブラウザ131を使用して、サーバ201と接触し、診断データ111をサーバのデータベースのうちの1つ又は複数にアップロードすることができる。代替的に、診断デバイス101は、Bluetooth(登録商標)又はWi-Fi送信機能を含むことができ、診断データは、診断デバイス101からサーバ201に直接無線によりアップロードすることができる。
【0031】
診断デバイス101からサーバ201に提供される診断データ111は、HSTデータベース235に記憶することができる。例えば、各診断デバイス101にはデバイスIDを割り当てることができ、デバイスIDは、診断データとともにサーバ201に提供される。そして、診断データは、サーバ201によりデータベースに記憶することができ、データベースは、デバイスIDを用いて、受け取ったデータを適切な患者診断デバイス101に関連付ける。
【0032】
場合によっては、患者は、設定された持続時間、医療診断デバイスを使用し、治療を受ける資格があるように幾つかの臨床徴候を示す必要がある。例えば、在宅睡眠検査が指示された患者は、少なくとも4時間診断デバイスを使用し、医師がCPAP療法に対する処方箋を書くために、5を超える無呼吸低呼吸指数(AHI)を示す必要があることが多い。そして、システム100を使用して、患者が、診断デバイスを使用することにおいてコンプライアンスがよかったか否かを追跡することができ、システム100は、医師が診断を行うのを支援することができる。
【0033】
1回又は複数回の睡眠セッションに及ぶ睡眠データファイルを、図3に示すサーバ201のHSTデータベースにアップロードすること等により、診断デバイス101からリモートサーバにアップロードすることができる。睡眠データファイルは、EDF+フォーマットとすることができ、ファイル内の睡眠セッションの開始及び終了を示す組込デリニエータ(delineators)を含みうる。個々の睡眠セッションは、所定の期間又は所定の検査条件の組によって定義することができる。特に、睡眠セッションは、患者が或る期間の連続した又はほぼ連続した睡眠をとった期間に対応することができる。例えば、患者が午前12時15分から午前7時30分まで連続して眠った場合、その期間は、単一睡眠セッションとして定義することができる。睡眠セッションは、睡眠データが収集された何らかの所定期間に基づくこともできる。例えば、睡眠セッションは、睡眠データが収集された4時間の期間によって定義することができる。
【0034】
睡眠データファイル内のデリニエータにより、別個の睡眠セッションの識別とともに、ダウンロードする特定のセッションの選択及び抽出が可能になる。睡眠データは、診断デバイス101によって収集される様々な診断センサデータに対応する複数の別個のデータチャネルを含みうる。例えば、睡眠データファイルは、患者の空気流量、呼吸努力、酸素飽和、脈拍及びいびきの測定に対応する5つの別個のデータチャネルからのデータを含みうる。
【0035】
睡眠データがサーバ201にアップロードされるとき、ソフトウェア分析器がサーバにおいて、SDBイベント(例えば、無呼吸、低呼吸)、酸素脱飽和イベント等の事前に定義されたイベントを自動スコアリングするように、実行することができる。スコアリングは、流量データ又は酸素脱飽和データ等の特定の睡眠データを、無呼吸、低呼吸等の特定の睡眠イベントに関連付けることを含む。スコアリングは、分析器にプログラムされた所定のアルゴリズムに基づく。分析器は、図6に関連して本文において後述するもの等、報告を生成することもできる。報告は、データ自体の、及び/又はアップロードされたデータに基づいてスコアリングされたイベントの統計的集計を含みうる。特定の睡眠セッションの報告は、セッションが選択されたときにユーザに表示することができる。所与の夜の最大睡眠セッションに対する報告は、ユーザがこのセッションに最も関心があることになると想定して、それぞれの日付に対するデフォルトの報告として表示することもできる。
【0036】
睡眠セッションは、多くの方法により選択することができる。一例では、ユーザ(例えば、睡眠研究所医師)は、日付を選択し、その日付に対する利用可能な睡眠セッションを閲覧することができる。そして、ユーザは、利用可能なセッションの持続時間等、1つ又は複数の基準に基づいてその日付に対する睡眠セッションを選択することができる。例えば、ユーザは、特定の期間に対して最長のセッションを選択することができる。例えば、睡眠研究所医師のコンピュータ104において、ダウンロードするために特定のセッションが選択されると、サーバ201は、睡眠調査ファイルから選択されたセッションのデータを読み出し、そのデータを、5つの信号チャネルから、ユーザのブラウザがダウンロードする一続きのビットマップ画像ファイル(タイル)に変換することができる。元のデータがEDF+フォーマットでありうるが、これらのタイルは、GIF、BMP、PNG等、様々な画像フォーマットのうちの任意の1つとすることができる。画像のダウンロードは、通常、左から右へ時間経過順序である。しかしながら、これは、そうである必要はなく、一般的な場合、画像は任意の順序でダウンロードすることができる。ユーザに表示される各画像は、睡眠ファイルからのデータとともに、識別されたSDBイベント(本明細書では診断イベントとも呼ぶ)の追加のマーカに基づく。サーバのデータ分析器が、提供される睡眠データに基づいて自動的にスコアリングするように構成されていた、他のイベントに対するマーカも、表示画像に含めることができる。各画像は、所定の長さの時間に対応し、結合された画像は合わせて、選択されたセッション全体を表す。
【0037】
ユーザが、検討するためにファイル内の例えば5時間の長さの睡眠セッションを選択する場合、そのセッションを、画像タイルとも呼ぶ30個の10分長画像にレンダリングすることができ、各画像はセッションの連続部分を表す。これらの画像の各々によって表される時間は異なる可能性がある。例えば、画像は、1分以下から1時間以上の間で変化する可能性がある。幾つかの形態のデータ検討に対して、5分~30分のデフォルトの画像期間を設定することができる。図3のコンピューティングデバイス104等のユーザ電子デバイスにおけるウェブブラウザが、サーバ201からダウンロードされる複数の画像要素から、ユーザ電子デバイスインタフェースに表示されるものを編集することができる。画像タイルのうちの少なくとも幾つかに対応する1つ又は複数のHTMLファイルもまた、元の睡眠データに基づいてサーバ201において生成することができる。1つ又は複数のHTMLファイルは、信号チャネルにおいて強調する必要がある任意のSDBイベントを示す、JavaScript(登録商標)等のスクリプトを含む。
【0038】
セッション全体に対する情報に基づいて、サーバ201において特別な信号ビットマップ画像タイルを生成することができる。このタイルを用いて、ダウンロードされたタイルが及ぶ期間に対応するタイムラインを視覚化することができる。したがって、残りのタイルのうちの1つ又は複数は、このタイルに含まれる期間に対応することができる。この特定の画像タイルは、信号データの1つ又は複数のチャネルの視覚化とともに、セッションを通しての様々なSDBイベントの表示を含みうる。そのタイルは、イベントインジケータと呼ぶことができる。イベントインジケータは、データチャネル画像タイルと同時にコンピューティングデバイス104にダウンロードすることができる。イベントインジケータは、ダウンロードされる最初のタイルとすることができるため、ユーザがイベントインジケータの上をクリックして、表示されるセッション内の関心のある特定の点にビュー/表示を調整することができる。これにより、ユーザは、データの特定の部分を、解像度を上げて閲覧することができ、それぞれの部分の拡大ビューが有効に提供される。
【0039】
図4に、ユーザに表示することができる診断セッションの例としてのスクリーンショット400を見ることができる。スクリーンショット400は、単一の画像タイル10、イベントインジケータ20及び様々な重なったJavaScript要素30の組合せを表示する。画像タイル10は、患者の空気流量、患者の呼吸努力、酸素飽和、脈拍及びいびきの測定に対応する5つの別個のデータチャネルに対する記述12を含む。データチャネル記述12は、診断デバイス101によって収集された基礎となる診断データに基づく。JavaScript要素30は、1つ又は複数の診断チャネルからの受け取られた睡眠データの処理に基づいて、サーバ201において自動的に識別された可能性があるSDBイベントの表示である。このようなSDBイベントの表示は、スコアリングと呼ぶこともできる。要素30は、画像タイルとともに合わせてダウンロードされたHTMLファイルに含まれるスクリプトに基づいて、ユーザのコンピューティングデバイス104のブラウザによって表示される。要素30は、表示された1つ又は複数のデータチャネルに関連して、重要である可能性があるSDBイベントが発生したときを示すように、それぞれの画像タイル10の上に重ねることができる。例えば、JavaScript要素30は、中枢性睡眠時無呼吸及び閉塞性睡眠時無呼吸のイベント30を識別するように、患者の空気流量及び呼吸努力のデータチャネル記述12の上に重ねられている。同様に、図4に示すように、JavaScript要素30は、酸素脱飽和のイベントを示すように、患者の酸素測定データの上に重ねられている。要素30はJavaScript要素として記載されているが、本技術の幾つかの変形では、JavaScriptに加えて又はその代りに、他のスクリプト又はプロセッサ制御要素を実装することができることに留意されたい。このような代替形態としては、HTML5プロトコル、カスケーディングスタイルシート(CSS)等を挙げることができる。
【0040】
スクリーンショット400の最上部は、睡眠セッション全体に関連するイベントインジケータ20を表示する。図示する例では、睡眠セッションは、午後10時37分から午前06時08分まで及ぶ。イベントインジケータ20はまた、睡眠セッション中に発生したスコアリングされたSDBイベントのインスタンスも識別することができる。特に、ボックス21は、中枢性睡眠時無呼吸等のSDBが発生したときを特定することができる。
【0041】
図4に示すように、スクリーンショット400は、午後10時37分~午前6時08分の期間に対応するセッションのイベントインジケータ20を表示している。この期間は、単一セッションとして又はセッションの一部として、開示したシステムによって処理することができる。ユーザが閲覧しているスクリーンショット400は、セッション内の特定の期間を閲覧するようにイベントインジケータ20の一部を選択することができる。そして、選択された期間に対応する1つ又は複数の画像タイルをユーザに表示することができる。例えば、スクリーンショット400は、午前1時11分~午前1時14分の期間に対応する画像タイル10を示す。図7においてイベントインジケータバー内に位置するフレーム701によって示すように、イベントインジケータの上に、睡眠セッション全体に関連する表示されたタイルの相対位置を示すことができる。このように、イベントインジケータ20を用いて、患者の睡眠セッションの概要を示すことができ、一方で、イベントインジケータ20により、ユーザは、1つ又は複数のデータチャネルに関連して詳細データを閲覧するように、セッション内の1つ又は複数の期間に迅速に移動することもできる。イベントインジケータ20はまた、患者の睡眠セッションに関連するデータも表示することができる。例えば、図4のイベントインジケータ20は、酸素飽和データ50を示す。特定の睡眠セッションを閲覧しているとき、イベントインジケータ20に含まれるデータは、常に全体が見えるようにユーザのディスプレイの上にプリロードされた唯一のデータセットとすることができる。
【0042】
図5は、スクリーンショット400に示すウェブページを生成するために、開示するシステムによってイベントインジケータ20、画像タイル10及びJavaScript要素30をいかに結合することができるかを示す。上述したように、イベントインジケータ20及び画像タイル10は、ユーザによって選択された睡眠セッションに対応する。そして、ユーザによって、イベントインジケータ20内の特定の期間を選択することができ、その期間に対して、対応する1つ又は複数の画像タイル10及び対応するJavaScript要素30が選択されかつ結合されて、表示されるウェブページを生成する。特に、画像タイル10がコンピューティングデバイス104にダウンロードされると、コンピューティングデバイス104のプロセッサは、関連するHTMLファイルを読み出し、信号チャネルにおける強調を必要とする任意のマークされたSDBイベントがあるか否かを検出することができる。このようなイベントが特定され、それが、ウェブブラウザに現時点で表示されている時間間隔内にある場合、プロセッサは、ウェブブラウザに対して、図5に示すように、画像タイルの上方に表示されるようにJavaScript要素30をレンダリングするように促すことができる。ユーザがセッションの画像を通して移動する際、プロセッサは、より多くのJavaScript要素(調査の一部はそれに従って閲覧されている)をレンダリングするようにコンピューティングデバイスディスプレイ116を更新し、コンピューティングデバイスのメモリの効率的な使用を維持するように、すでに閲覧されていない要素をアンロードすることができる。
【0043】
睡眠関連データファイルがサーバ201からコンピューティングデバイス104にダウンロードされる方法により、データファイルを検討しているときの効率的な時間及びデータの管理が可能になる。特に、開示するシステムでは、データファイル全体がダウンロードされる必要はなく、したがって、睡眠医師のダウンロード時間が実質的に短縮される。提案する技術により、大きい睡眠データファイルを、ユーザがアクセスしようとする時点に十分先立ってECOサーバ250に転送することができる。睡眠データファイルから読み出される選択された睡眠セッションのデータに基づいて、はるかに小さい画像タイル10を要求に応じて生成することができる。画像タイルは、概して、元のデータよりサイズが実質的に小さく、ダウンロードが一度に1つのタイルで実行されることにより、はるかに短いダウンロード時間(通常、10秒~30秒未満)が容易になる。ユーザは、最初の画像タイル10がダウンロードされると、調査データの検討を実質的に瞬時に開始することができる。さらに、最初のダウンロードタイルであるように送信することができるイベントインジケータのダウンロード後、ユーザは、関心のある時間帯を即座に選択することができる。ユーザが、関心のある特定の時間を選択すると、それぞれの1つ又は複数の画像タイルを即座にかつ優先的にダウンロードすることができ、ユーザは、関心のある時間帯の検討を実質的に即座に開始することができる。
【0044】
上述したように、SDBイベントは、サーバ201において自動的にスコアリングすることができる。生の睡眠データ及び/又はスコアリングされた睡眠イベントに基づいて、サーバ201の分析器は、図6のスクリーンショット600によって示す報告を生成することもできる。この特定の報告は、脈拍、呼吸、酸素脱飽和、無呼吸低呼吸指数等、様々な測定されたパラメータの統計的集計を含みうる。無呼吸イベント(6)、低呼吸イベント(2)、酸素脱飽和イベント(6)等の自動スコアリングされたイベントの集計も表示することができる。この種の患者の睡眠診断統計は、コンピューティングデバイス104のユーザに表示することができる。この場合、無呼吸低呼吸指数602によって表される総診断スコアは、それぞれの1つ又は複数の睡眠セッションに対して分析器によって自動的にスコアリングされたSDB診断イベントに基づいて、自動的に計算(スコアリング)される。AHI602は、この場合1.2であり、患者がSDBではなかったことを示す。
【0045】
コンピューティングデバイス104で実行しているブラウザから、睡眠セッションを手動で直接スコアリングすることもできる。手動スコアリングは、コンピューティングデバイス104のユーザが、1つ又は複数の画像タイル10内に表示されるJavaScript要素30のサイズ及び数を調整することにより行うことができる。例えば、図7は、ユーザが画像タイル10にJavaScript要素30’を追加しているスクリーンショット700を示す。JavaScript要素30’の追加は、ユーザが、カーソルを用いてデータチャネル記述12のうちの1つ又は複数に沿って特定の点を選択し、そして、生成されたJavaScript要素30’が所望の期間に対応するように、選択されたチャネル記述12に沿ってカーソルをドラッグすることによって行うことができる。ユーザはまた、既存のJavaScript要素を、自身が再構築するか又は削除することができるように選択することもできる。このように、ユーザは、患者の自動スコアの再評価を行うことができる。再評価が完了すると、JavaScript要素30の変更された配置に基づいて、患者の診断統計を再計算することができる。
【0046】
例えば、上述したように、図6に示す報告において1.2というAHI自動スコアが計算されており、それは、OSAに対する陰性診断を示す。しかしながら、異なるチャネル信号によって示す生データを検討すると、睡眠医師のユーザは、図7に示すように、自動スコアリングされた診断イベントに変更を導入することにより、手動で自動スコアをオーバライドするように判断することができる。
【0047】
特定されたSDBイベントの精度で満足すると、ユーザは、修正されたセッションを保存することができ、導入された変更を示すデータは、コンピューティングデバイス104からサーバ201に送信することができる。サーバ201は、JavaScript要素30に導入された手動の修正に基づいて、患者の診断統計を再計算することができる。図8に見ることができるように、報告統計は、手動で調整された診断イベントに従って更新されている。患者の手動で調整されたSDBスコア(AHIスコア802)は、29.9に再計算されている。この手動で調整されたAHIスコア802は、このとき、患者がOSAであることを示している。したがって、資格のある臨床医は、診断の結果に影響を及ぼすように自動スコアアルゴリズムをオーバライドするように選択することができる。手動のスコア及び再計算された総SDBスコアに基づいて、新たな更新された報告を生成し、ユーザに提示されるようにユーザのブラウザに提供することができる。
【0048】
図9は、記載する技術に関連するプロセスのフロー図900を示す。プロセスの一部は、上述した技術の態様に従って、図3のシステム100の様々な部分によって実行することができる。ブロック910において、診断デバイス101から睡眠関連生理学的データが受け取られる。受け取られる睡眠データは、図1及び図2に関連して考察したデータタイプのうちの1つ又は複数を含む診断データとすることができ、1つ又は複数の睡眠セッションに関連付けることができる。例えば、一夜又は複数の夜の期間にわたって、睡眠データが収集されている場合がある。ブロック920において、受け取られた睡眠データを、特定のデータファイルに関連付け、データファイル内で線引きされた1つ又は複数の睡眠セッションとして記憶することができる。データは、サーバ201等の電子デバイスによって受け取ることができ、メモリ220のHSTデータベース235等のメモリに記憶することができる。
【0049】
上述したように、睡眠データ自体とは別に、睡眠データファイルは、睡眠データファイル内の異なるセッションを識別するデリニエータを含みうる。ブロック930に示すように、受け取られた睡眠関連データに基づいて識別される様々なSDBイベントを自動的にスコアリングするように、サーバ201の自動データ分析器を構成することができる。そして、このようなイベントは、ユーザのSDB統計の一部でありうる。例えば、これらの自動的にスコアリングされたイベントに基づいて、全体的なSDBスコアを患者に割り付けることができる。睡眠データファイル又は関連する対になったファイルは、自動スコアリング中に生成されるSDBイベントデータ指標に関連するデータを含みうる。ブロック940において、特定の睡眠セッションに関連する睡眠データに対する要求が受け取られる。例えば、コンピューティングデバイス104のユーザは、サーバ201が、特定の日付で取得された、特定のユーザの特定の睡眠データファイルに関連する睡眠データを提供するように要求することができる。受け取られた要求に基づいて、選択されたセッションからの睡眠データは、1つ又は複数の画像タイルを生成することができる(ブロック950)。上述したように、単一セッションに対して、1つ又は複数の画像タイルを生成することができ、各画像タイルは、複数のデータチャネルからのデータを含みうる。そして、生成された画像タイルは、要求側のコンピューティングデバイスに送信される(ブロック960)。選択されたセッション内で自動的にスコアリングされるSDBイベントを示すデータもまた、場合によっては、受取側のコンピュータ(例えば、コンピューティングデバイス104)のブラウザによってタイルを表示するために使用されるHTMLファイル内のスクリプト(JavaScript等)として、送信することができる。ユーザがタイルのうちの1つ又は複数のものを、これらの特定の1つ又は複数のタイルがダウンロードされると即座に、かつ画像タイルの全てがサーバ201によって送信される前に、コンピューティングデバイス104において閲覧を開始することができるように、画像タイルを送信し表示することができる。
【0050】
要求側のコンピューティングデバイス(例えば、コンピュータ104)は、送信された画像タイル及びHTMLファイルを、自動的にスコアリングされたSDBイベントを示すスクリプトとともに受け取ることができる。そして、コンピューティングデバイス104は、タイルと、自動的にスコアリングされたSDBイベントを示すそれらのそれぞれのスクリプト要素とをともに表示することができる(ブロック980)。重ねられたJavaScript要素は、診断イベントが発生したと考えられる位置に対応するように、画像タイルの上に重ねられる。診断イベントの識別は、画像タイル内の基礎となるデータのサーバ201による分析に基づくことができる。例えば、空気流量データに基づき、OSAの期間を特定することができる。JavaScript要素は、それぞれの特定されたOSAイベントが発生した期間を示すように、画像タイルに示す空気流量データの上に重ねることができる。
【0051】
特定された診断イベントに基づいて、全体的な患者のSDB統計及び/又は状態をスコアリングすることができる(ブロック970)。例えば、サーバ201は、1つ又は複数の睡眠セッションの間にスコアリングされたSDBイベントに基づいて、AHI自動スコアを提供することができる。上述したように、コンピューティングデバイス104のユーザは、画像タイルとともに表示されるJavaScript要素を調整することができる(ブロック990)。この調整は、様々なJavaScript要素を追加し、除去し、又は他の方法によって変更することができる。そして、スコアリングされたSDBイベントに対するこの手動の変更を示すデータを、ユーザのコンピューティングデバイス104からサーバ201に転送することができる(ブロック995)。JavaScript要素に対する調整を示すデータを受け取ると、サーバ201は、受け取られた手動調整に基づいて患者のSDBスコアを再計算することができる(ブロック970)。
【0052】
上記記載では、910~970等、ブロックのうちの幾つかはサーバ201で実行することができ、残りのステップは、コンピューティングデバイス104等のユーザ電子デバイスで実行することができることに留意するべきである。また、開示した方法では、フロー図900に示すブロックの各々が実行される必要はなく、表示された順序で実行される必要もない。開示する方法に従って、フロー図900に更なるブロックを追加することもできる。
【0053】
提案する睡眠関連データ処理方法は、固有に、ユーザのウェブブラウザ内で実行することができる。これは、サービス提供者に対して有益であり、それは、そのような提供者のソフトウェアが複数のクライアント側アプリケーションのうちの任意の1つと互換性がなければならないことに関連する複雑性が回避されるためである。コンピューティングデバイス104のユーザにとっては、専用ソフトウェアをインストールし維持する必要がなくなるため、簡潔性がもたらされる。サードパーティのプラグインが必要でないため、アプリケーションは、迅速にかつ確実に実行することもできる。アプリケーションは、PCのみでなく、タブレット、スマートフォン及び他の移動デバイスでも実行することができる。
【0054】
現時点で使用されているデータ処理及び視覚化アプリケーションの更なる問題は、クライアント側でデータを閲覧するためにサードパーティプラグイン(例えば、Java(登録商標)アプレットバージョン)に依存するということである。このような依存性により、サードパーティプラグインのあり得る欠陥と予測不可能なバージョン更新とによって、それらの性能が予測不可能となる可能性がある。現行のアプリケーションはまた、PCでの動作に対してのみ適している。
【0055】
開示した方法では、ローカルユーザのコンピューティングデバイスのプロセッサからリモートサーバのプロセッサに作業負荷をシフトさせることができ、ローカル電子デバイスに対して、ユーザエクスペリエンスに対するより多くの制御を可能にし、クライアントのコンピュータ/ブラウザの機能に対する依存性を低減させる。これにより、より効率的なデータ管理方法と非常に反応性の高いユーザエクスペリエンスとがもたらされる。本手法は効果的に、サービス提供者の実質的なサーバ計算能力を用いて大きい睡眠ファイルを処理すること等により、高解像度ブラウザデータを扱う際のクライアントマシンの能力、及びJavaアプレットバージョンの相違を考慮する必要があること等、制御が困難である問題を、効率的に管理することができる問題にする。これにより、検査が簡略化され、開発が高速化し、最終製品におけるユーザエクスペリエンスがより一貫することになる。
【0056】
本技術によって効率が向上することにより、大量の睡眠調査データの効率的な処理が可能になる(例えば、10時間の調査に対して800万データ点をおよそ10秒~30秒で表示することができる)。
【0057】
さらに、プロセッサ制御命令等による提案する技術により、以下のあり得る利点がもたらされる。
【0058】
ウェブブラウザ内で、睡眠関連調査データを一続きの個々のビットマップ画像として固有に表示することができる。
【0059】
時間効率-ユーザは、実質的に瞬時にかつ全てのビットマップ画像の送信が完了する十分前に、画像のうちの1つ又は複数の検討を開始することができる。
【0060】
診断イベントは、単一線の調査イベントバー(例えば、イベントインジケータ)を介して好都合に表示される。
【0061】
大きい睡眠データファイル内で、要求に応じて、診断記録の個々の睡眠セッションを、ダウンロードするために選択することができること(例えば、複数の夜のデータが記録された場合、ブラウザは、ユーザが閲覧するように選択した特定の選択された夜のデータのみをロードする)。
【0062】
睡眠セッションの集計を閲覧し、提示されている集計を用いて睡眠セッションの特定の部分に迅速に移動することができること。
【0063】
ウェブブラウザ内でJavaScript要素を用いて睡眠調査マーカを手動で編集することができる。
【0064】
編集された要素に与えられた変更を示すデータをクラウドに再送することができること。ここでは、その変更に基づいて、睡眠調査統計が(スコアも)再計算される。再計算、更新及びデータ転送の全てが、はるかに効率的になり、それは、大きい睡眠データファイルをサーバからユーザのコンピュータにダウンロードする必要なしに、かつ修正されたデータファイルをユーザのコンピュータからサーバに戻すようにアップロードする必要なしに行われるためである。一例では、SDBイベントインジケータに対する変更を示すデータのみがサーバに返送される。
【0065】
セッション全体に対する全てのSDBイベントの好都合な視覚化が、単一線の調査イベントバー(イベントインジケータ)を用いて提供される。
【0066】
開示した技術は、最も実際的かつ好ましい実施形態であると現時点で考えられるものに関連して記載したが、本発明は、開示した実施形態に限定されるべきではなく、反対に、開示した技術の趣旨及び範囲内に含まれる様々な変更及び等価な配置を包含するように意図されていることが理解されるべきである。また、様々な実施形態、例えば一実施形態の態様を別の実施形態の態様と組み合わせて、更なる他の実施形態を具現化することができる。
【0067】
例えば、リモートサーバで生成された睡眠データ関連画像タイルをダウンロードするために、ユーザの電子デバイスブラウザを使用する代りに、代替方法は、JavaScriptが埋め込まれたHTMLファイルを用いて、ユーザのコンピューティングデバイス104において睡眠データ及びSDBイベントデータの両方を再生することを含みうる。このような方法は、「JFreeChart」等、サードパーティJavaScriptチャートライブラリを利用して、デバイスのブラウザにおいて様々な信号チャネル及び臨床マーカを表示するために、ユーザの電子デバイスにHTML及びJavaScript要素をダウンロードすることができる。
【0068】
ユーザが閲覧するセッションを選択すると、サーバアプリケーションは、睡眠調査ファイル(EDF+フォーマット)から、選択されたセッションを読み出し、信号データ及び自動的に生成された臨床マーカを、JavaScriptチャートライブラリにロードされる一続きのデータ点に変換することができる。そして、このライブラリは、データ点を、ユーザのブラウザにダウンロードされ画像として表示されるHTML及びJavaScript要素のアレイに変換する。したがって、本方法は、種々のダウンロード機構と共に使用することができる。
【0069】
本方法は、適用可能な睡眠データのタイプに関して柔軟性もある。本方法は、睡眠データ、より具体的には、図4及び図7に示す特定のデータチャネルに関して例示したが、他の睡眠関連データと共に使用することもできることが理解されるべきである。例えば、SleepMinder(商標)等、様々な非接触睡眠モニタによって検出及び/又は生成されるデータもまた、同様にダウンロードすることができる。このようなデータとしては、限定されないが、検出された睡眠段階、患者の体温、心拍数、血圧、呼吸数、いびき、音声、温度、光レベル等の環境パラメータ等を挙げることができる。したがって、上記記載において考察したように、スコアリングされるイベント30はSDBイベントではない場合もあり、特定のタイプの睡眠データに関連する他のタイプのイベントを使用することができる。
【0070】
本明細書の開示内容の一部分は、著作権保護を受けるマテリアルを含んでいる。著作権者は、本明細書又は特許開示内容が特許商標庁の包袋又は記録に現われているときは、いかなる者によるこの明細書又は特許開示内容の複製に対しても異議を有しないが、それ以外については、いかなる著作権も全てこれを留保する。
【0071】
文脈が明らかに別段の規定をしていない限り、値の範囲が提供されている場合には、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間にある各値、及びその明示された範囲にある他の任意の明示された値又は間にある値が、本技術の範囲内に包含されることが理解される。これらの間にある範囲の上限及び下限は、当該間にある範囲に独立して含まれる場合があり、これらも、本技術内に包含され、明示された範囲内で任意の明確に除外された制限に従う。明示された範囲がこれらの上限及び下限の一方又は双方を含む場合、それらの含まれる上限及び下限の一方又は双方を除外した範囲も本技術に含まれる。
【0072】
さらに、単数又は複数の値が、本技術の一部分として実施されるものとして本明細書に明示されている場合、そのような値は、別段の明示がない限り、近似することができ、そのような値は、実際の技術的な実施態様が可能とすることができるか又は必要とする場合がある程度まで任意の好適な有効桁で利用することができることが理解される。
【0073】
別段の定義がない限り、本明細書に用いられる全ての科学技術用語は、この技術が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法及びマテリアルと類似の又は等価ないずれの方法及びマテリアルも、本技術の実践又は試験において用いることができるが、限られた数の例示の方法及びマテリアルが本明細書に記載されている。
【0074】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるとき、文脈が明らかに別段の規定をしていない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の等価なものを含むことに留意しなければならない。
【0075】
本明細書で言及した全ての刊行物は、それらの刊行物の主題である方法及び/又はマテリアルを開示及び記載しているように引用することによって本明細書の一部をなすものとする。本明細書において論述した刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示内容についてのみ提供される。本明細書におけるいかなるものについても、本技術が先行発明によるそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、実際の公開日は、別個に確認することが必要な場合がある。
【0076】
その上、開示内容を解釈する際に、全ての用語は、文脈と一貫性のある最も広い合理的な方法で解釈されるべきである。特に、「備える」及び「含む」(“comprises” and “comprising”)という用語は、非排他的な方法で要素、構成要素、又はステップを指すものと解釈されるべきであり、参照される要素、構成要素、又はステップが存在することができること、又は利用することができること、又は明確に参照されない他の要素、構成要素、若しくはステップと組み合わせることができることを示す。
【0077】
特定の実施形態を参照して本明細書における技術を説明してきたが、これらの実施形態は、本技術の原理及び適用の単なる例示にすぎないことが理解されるべきである。幾つかの場合には、術語及びシンボルは、本技術を実施するのに必要とされない特定の詳細を意味している場合がある。例えば、「第1」及び「第2」という用語が用いられる場合があるが、別段の指定がない限り、それらは、何らかの順序を示すことを意図するものではなく、異なる要素を区別するのに利用される場合がある。さらに、上記方法論におけるプロセスステップは、或る順序で説明又は図示される場合があるが、そのような順序付けは必須ではない。当業者であれば、そのような順序付けを変更することができ、及び/又はそれらの態様を同時に行うこともできるし、更には同期して行うこともできることを認識するであろう。したがって、本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、非常に多くの変更を例示の実施形態に行うことができ、他のアレンジを案出できることが理解されるべきである。
【0078】
また、上述した様々な実施形態は、他の実施形態と共に実施することができ、例えば、一実施形態の態様を別の実施形態の態様と組み合わせて更なる他の実施形態を具現化することができる。さらに、本技術は、OSA及び他のSDBの患者に関連する睡眠関連データ及び診断データに特に適用されるが、他の疾患(例えば、うっ血性心不全、病的肥満、脳卒中、肥満手術等)の患者が、上記教示から利益を得ることができることが理解されるべきである。さらに、上記教示は、非医療用途において患者及び非患者に同様に適用可能である。
なお、特許査定後の新たな出願(分割出願)の便宜のために、本願の出願当初の請求項1~22の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
睡眠関連測定デバイスによって取得される睡眠関連情報の電子管理方法であって、
1つ又は複数のプロセッサによって、睡眠データを受け取るステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、複数の睡眠セッションに前記睡眠データを関連付けるように該睡眠データを記憶するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、ダウンロードするために、睡眠セッションをユーザが選択することができるようにするステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、選択された前記睡眠セッションの前記睡眠データに対応する複数の画像タイルを生成するステップと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって、前記複数の画像タイルを送信するステップと
を含んでなる方法。
(請求項2)
前記複数の画像タイルは、該複数の画像タイルの全てがダウンロードされる前に、該複数の画像タイルからの少なくとも最初の画像タイルが受取側コンピュータによって表示されることができるように送信される、請求項1に記載の方法。
(請求項3)
前記1つ又は複数のプロセッサによって、前記受け取られた睡眠データに基づいて診断イベントを自動的にスコアリングするステップを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
(請求項4)
前記複数の画像タイルを送信するステップは、選択された前記睡眠セッションに関連するスコアリングされた前記診断イベントを識別するイベントインジケータを送信することを更に含む、請求項3に記載の方法。
(請求項5)
前記送信された画像タイルの各々は、前記イベントインジケータに含まれる期間に対応する、請求項4に記載の方法。
(請求項6)
前記睡眠データ及びスコアリングされた前記診断イベントのうちの少なくとも1つに基づいて報告を生成するステップを更に含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
(請求項7)
前記1つ又は複数のプロセッサによって、スコアリングされた前記診断イベントを示す1つ又は複数のスクリプト要素を生成して送信するステップを更に含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
(請求項8)
前記ユーザによって手動により調整可能であるように前記1つ又は複数のスクリプト要素を構成するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
(請求項9)
前記ユーザに表示されるとき、前記複数の画像タイルのうちのそれぞれ1つの上に重なるように、前記1つ又は複数のスクリプト要素の各々を構成するステップを更に含む、請求項7又は8に記載の方法。
(請求項10)
前記1つ又は複数のスクリプト要素に対するユーザの調整を示すデータを受け取るステップを更に含む、請求項8又は9に記載の方法。
(請求項11)
前記1つ又は複数のプロセッサによって、前記1つ又は複数のスクリプト要素に対する前記ユーザの調整を示す前記受け取られたデータに基づいて、報告を再計算するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
(請求項12)
睡眠関連測定デバイスによって取得される睡眠関連情報の電子管理システムであって、
睡眠データを記憶するメモリと、
前記メモリに関連する1つ又は複数のプロセッサと
を含んでなり、
前記1つ又は複数のプロセッサは、
前記睡眠データを前記メモリに記憶し、該記憶された睡眠データを複数の睡眠セッションに関連させ、
ダウンロードするために、睡眠セッションをユーザが選択できるようにし、
選択された前記睡眠セッションの前記睡眠データに対応する複数の画像タイルを生成し、
前記複数の画像タイルを送信する
ように構成されているシステム。
(請求項13)
前記複数の画像タイルは、該複数の画像タイルの全てが送信される前に、該複数の画像タイルからの少なくとも最初の画像タイルが前記ユーザに表示されるのが可能となるように送信される、請求項12に記載のシステム。
(請求項14)
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記受け取った睡眠データに基づいて診断イベントを自動的にスコアリングするように更に構成されている、前記請求項12又は13に記載のシステム。
(請求項15)
前記複数の画像タイルを送信することは、選択された前記睡眠セッションに関連するスコアリングされた前記診断イベントを識別するイベントインジケータを送信することを更に含む、請求項14に記載のシステム。
(請求項16)
前記送信されたタイルの各々は、前記イベントインジケータに含まれるそれぞれの期間に対応する、請求項15に記載のシステム。
(請求項17)
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記睡眠データ及び/又は前記スコアリングされた診断イベントに基づいて報告を生成するように更に構成されている、請求項13~16のいずれか一項に記載のシステム。
(請求項18)
前記1つ又は複数のプロセッサは、スコアリングされた診断イベントを示す1つ又は複数のスクリプト要素を生成し送信するように更に構成されている、請求項16又は17に記載のシステム。
(請求項19)
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザが手動により調整可能であるように前記1つ又は複数のスクリプト要素を構成するように更に配置されている、請求項18に記載のシステム。
(請求項20)
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記ユーザに表示されるとき、前記複数の画像タイルのうちのそれぞれ1つの上に重なるように、前記1つ又は複数のスクリプト要素の各々を構成するように更に配置されている、請求項18又は19に記載のシステム。
(請求項21)
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のスクリプト要素に対するユーザの調整を示すデータを受け取るように更に構成されている、請求項19又は20に記載のシステム。
(請求項22)
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のスクリプト要素に対する前記ユーザの調整を示す前記受け取ったデータに基づいて、前記報告を再計算するように更に構成されている、請求項21に記載のシステム。
【0079】
用語集
空気:空気は、呼吸用ガス、例えば、補給酸素を含む空気を含むように解釈される。
【0080】
自動スコアリング:カスタムアルゴリズムが、睡眠調査の生データを分析し、アルゴリズムが臨床的に重要なSDBイベントの発生を検出する領域をマークアップ/強調する、自動化プロセスである。
【0081】
持続気道陽圧(CPAP):CPAP治療は、大気に対して連続して陽圧で、好ましくは患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定の圧力で、空気又は呼吸に適したガスの供給を気道の入口に適用することを意味するものとされる。幾つかの形態では、気道の入口における圧力は、単一の呼吸サイクル内で数水柱センチメートルだけ変動し、例えば、吸息中は高くなり、呼息中は低くなる。幾つかの形態では、気道の入口における圧力は、呼息中は僅かに高くなり、吸息中は僅かに低くなる。幾つかの形態では、圧力は、患者の呼吸サイクルごとに変動し、例えば、部分的上気道閉塞の指標の検出に応答して増加され、部分的上気道閉塞の指標が存在しない場合には減少される。
【0082】
ヨーロピアンデータフォーマット(European Data Format)(EDF+):医学時系列の交換及び記憶に対して設計された標準ファイルフォーマット。ApneaLinkを含む大部分の診断デバイスが記録を行う固有ファイルである。ファイルは、複数の夜/セッションの睡眠データとともに、SDBイベントのマーカを含みうる。
【0083】
解釈:睡眠医師が、睡眠調査からの結果を閲覧して、更なる検査に対して患者に治療が必要であるか否かに関して臨床診断を行うプロセスである。
【0084】
手動スコアリング:睡眠調査の生データを見て、ユーザが、患者に対して重要なSDBイベントが発生していると考える領域を手動でマークアップ/強調するプロセスである。
【0085】
再分析/再計算:手動スコア又はパラメータの変更から生成される新たな入力データを取得し、AHI等、新たな臨床統計を生成するように分析器にフィードバックするプロセスである。
【0086】
睡眠医師:様々な睡眠呼吸障害の症状に対して診断を行うように法的に資格が与えられているものとして、米国睡眠医学会(American Association of Sleep Medicine)の委員会によって認定された医師である。
【0087】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA):睡眠中の上側気道の閉鎖又は閉塞を含む事象によって特徴付けられる睡眠呼吸障害(SDB)の一形態である。この閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に、異常に小さな上気道と、舌、軟口蓋、及び中咽頭後壁の部位における筋緊張の正常欠損とが組み合わさった結果生じる。この条件によって、罹患患者は、夜ごとに、時に200回~300回、通常は30秒~120秒の継続時間の期間中、呼吸が停止する。この閉塞性睡眠時無呼吸は、多くの場合、過度の日中の傾眠を引き起こし、心血管疾患及び脳損傷を引き起こす場合がある。この症候群は、特に中高年の太りすぎの男性にとって一般的な障害であるが、罹患した人は、その問題に気付いていない場合がある。これについては、米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0088】
チェーンストークス呼吸(CSR):睡眠呼吸障害の一形態。CSR周期として知られる吸(waxing)換気及び呼(waning)換気の律動的な交番する周期が存在する、患者の呼吸調節器の障害である。CSRは、動脈血の反復的な脱酸素及び再酸素添加を特徴とする。CSRは、反復的な低酸素のために有害である可能性がある。患者の中には、CSRが睡眠からの反復的な覚醒に結び付き、これによって、深刻な不眠、交感神経作用の増大、及び後負荷の増加が引き起こされる者がいる。これについては、米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0089】
肥満過換気症候群(OHS:Obesity Hyperventilation Syndrome):過換気について他の既知の原因が存在しない状態での、重度の肥満と意識下慢性高炭酸ガス血症との組合せである。症状は、呼吸困難、朝の頭痛、及び過剰の日中の眠気を含む。
【0090】
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease):或る特定の特性を共通に有する下部気道疾患の群のうちの任意の下部気道疾患を包含する。これらは、空気移動に対する抵抗の増加、呼吸の呼気位相の延長、及び肺の正常弾性の喪失を含む。COPDの例は、肺気腫及び気管支炎である。COPDは、慢性的喫煙(主要な危険因子)、職業上の曝露、空気汚染、及び遺伝因子によって引き起こされる。症状は、運動時呼吸困難、慢性咳、及び痰生成を含む。
【0091】
神経筋疾患(NMD:Neuromuscular Disease):内在筋病理によって直接、又は、神経病理によって間接的に筋肉の機能を損なう多くの疾患及び病気を包含する用語である。一部のNMD患者は、進行性筋肉障害を特徴とし、歩行不能となり、車椅子での生活を強いられ、嚥下困難となり、呼吸筋が衰弱し、そして最終的には呼吸不全による死がもたらされる。神経筋障害は、急速進行性及び緩徐進行性、すなわち、(i)急速進行性障害:数か月にわたって悪化し、数年以内に死に至る筋肉損傷を特徴とする(例えば、10代の少年少女の筋委縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic lateral sclerosis)及びデュセンヌ筋ジストロフィ(DMD:Duchenne muscular dystrophy)、(ii)変わり易い又は緩徐進行性障害:数年にわたって悪化し、寿命を少し減少させるだけである筋肉損傷を特徴とする(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型、及び筋緊張性筋ジストロフィ)に分類することができる。NMDにおける呼吸不全の症状は、全体的衰弱、嚥下障害、運動時及び安静時呼吸困難、疲労、眠気、朝の頭痛、並びに意識集中及び気分転換に関する困難さを含む。
【0092】
無呼吸:一部の定義によれば、無呼吸は、流量が或る継続時間、例えば10秒の間、所定の閾値未満に降下したときに発生したと言われる。閉塞性無呼吸は、患者の努力にもかかわらず、気道の或る閉塞によって空気が流れることができないときに発生したと言われる。中枢性無呼吸は、気道が開放しているにも関らず、呼吸努力の低下又は呼吸努力の欠如に起因する無呼吸が検出されたときに発生したと言われる。混合性無呼吸は、呼吸努力の低下又は欠如が気道の閉塞と同時に起きる場合に発生する。
【0093】
呼吸数:通例、呼吸毎分で測定される患者の自発呼吸数である。
【0094】
デューティサイクル:全呼吸時間Ttotに対する吸息時間Tiの比である。
【0095】
努力(呼吸):呼吸努力は、呼吸を試みる自発呼吸する人によって行われる努力であると言われる。
【0096】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流の開始から吸気流の開始までの期間である。
【0097】
流量制限:流量制限は、患者による努力の増大が流量の対応する増加を引き起こさない患者の呼吸の状態とされる。流量制限が呼吸サイクルの吸気部分の間に生じている場合、これは、吸気流量制限と呼ぶことができる。流量制限が呼吸サイクルの呼気部分の間に生じている場合、これは、呼気流量制限と呼ぶことができる。
【0098】
過呼吸:標準流量率よりも高いレベルへの流量の増加である。
【0099】
流量率:単位時間当たりに送達される空気の瞬時体積(又は質量)。流量率及び換気量は、単位時間当たりの体積又は質量という同じ側面を有するが、流量率は、はるかに短い時間期間にわたって測定される。幾つかの場合には、流量率というときは、スカラー量、すなわち、大きさのみを有する量を指す。他の場合には、流量率というときは、ベクトル量、すなわち、大きさ及び方向の双方を有する量を指す。符号付きの量と言う場合、流量率は、名目上、患者の呼吸周期の吸息部分に対して正であり、そのため患者の呼吸周期の呼息部分に対して負である可能性がある。流量率には、記号Qが与えられる。「流量率(flow rate)」は、単に「流量(flow)」と短縮される場合がある。総流量率Qtは、RPTデバイスから出る空気の流量率である。排気流量率Qvは、吐出ガスの流失を可能にする排気口から出る空気の流量率である。漏れ流量率Qlは、患者インタフェースシステムからの漏れの流量率である。呼吸流量率Qrは、患者の呼吸系内に受け取られる空気の流量率である。
図1
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