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  • 特許-ショート判定装置、及び、光照射装置 図1
  • 特許-ショート判定装置、及び、光照射装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ショート判定装置、及び、光照射装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/54 20200101AFI20220119BHJP
【FI】
H05B45/54
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017208096
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019079772
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 秀和
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2237644(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが直列に接続されたストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するショート判定装置であって、
複数のLEDからなるLED群に対して1つずつ発光側が並列接続された複数のフォトカプラと、
各フォトカプラの受光側から出力される電圧に基づいて、前記ストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するショート判定部と、を備えたショート判定装置。
【請求項2】
前記フォトカプラの発光側に対してツェナーダイオードが設けられており、LED群のいずれか1つがショートした場合に、前記フォトカプラの受光側がオフとなるようにツェナー電圧が設定されている請求項1記載のショート判定装置。
【請求項3】
請求項1又は2いずれかに記載のショート判定装置と、
前記ストリングスと、を備えた光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、n個(nは2以上の自然数)のLEDが直列に接続されたストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するショート判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のLEDが直列に接続されたストリングスが複数並列に接続された光照射装置では、例えば照度ムラを小さくするために各ストリングスから射出される光の放射強度を均一に揃える必要がある。このため、各ストリングスを構成するLEDがショートしている場合には、速やかに検出してショートしているLED、又は、そのLEDを含むストリングスを交換できることが求められている(特許文献1参照)。
【0003】
例えば正常時においてストリングスに印加されているストリングス電圧を基準電圧として予め測定しておき、ストリングスに現在印加されているストリングス電圧が基準電圧よりも低い場合にはLEDのショートが発生していると判定するものがある。
【0004】
ところで、ストリングスにおけるLEDの直列数が大きい場合には、そのストリングスに印加されるストリングス電圧も高くなるため、ストリングス電圧の変動によるノイズと、LED1個がショートすることによる電圧降下量との差が小さくなる。また、ストリングス電圧が高電圧であるとA/Dコンバータの入力可能レンジを超えている場合があるため、分圧して取り込み可能なレンジに調整された後、デジタル値に変換されることになる。
【0005】
このため、デジタル値によって正常時と現時点でのストリングス電圧の比較を単純に行うと、ストリングス電圧が高くなるほどストリングス電圧の変動に対してLED1個がショートすることによる電圧降下量のS/N比が悪化してしまう。
【0006】
したがって、特にストリングス電圧が高い場合に従来のショート判定方法ではストリングス中のLEDが複数ショートしたときには判定できるものの、1個しかLEDがショートしていないときにはこれを正確に判定することが難しい。
【0007】
また、各LEDの両端の電圧をモニタリングできるように構成して、どのLEDがショートしているかを判定しようとすると、必要となる配線が非常に多くなってしまい、電圧検出のための回路も多数必要となるため現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-135167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、ストリングス電圧が高くても、1個でもLEDがショートしたときに簡素な回路構成で正確に判定できるショート判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係るショート判定装置は、複数のLEDが直列に接続されたストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するショート判定装置であって、各LEDに対して1つずつ発光側が並列接続された複数のフォトカプラと、各フォトカプラの受光側から出力される電圧に基づいて、前記ストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するショート判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、LEDがショートしていない場合には、フォトカプラの発光側にも電流が流れて受光側のスイッチをオン状態にし、一方、LEDがショートした場合には、フォトカプラの発光側に電流が流れず、受光側のスイッチをオフ状態とすることができる。
【0012】
したがって、各LEDがショートしたか否かをオンオフ信号に置き換えることができるので、前記ショート判定部でLEDの直列数が多く、ストリングス電圧が高くてもその影響を受けずに1つのLEDのショートについて判定を行うことが可能となる。
【0013】
各LEDのショートに関する情報を1つにまとめることができ、各フォトカプラから前記ショート判定部に至る配線を簡素化するには、前記複数のフォトカプラの受光側がそれぞれ直列接続されたショート検出回路をさらに備え、前記ショート判定部が、前記ショート検出回路に印加されている電圧を取得し、前記ストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するように構成されたものであればよい。
【0014】
また、本発明に係るショート判定装置は、複数のLEDが直列に接続されたストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するショート判定装置であって、複数のLEDからなるLED群に対して1つずつ発光側が並列接続された複数のフォトカプラと、各フォトカプラの受光側から出力される電圧に基づいて、前記ストリングス中におけるLEDのショートの有無を判定するショート判定部と、を備えたものにすれば、LEDに対するフォトカプラの設置数を減らしても、ストリングス中のLEDが1つでもショートしたことを判定する事ができる。
【0015】
LED群に含まれるいずれか1つのLEDがショートした際に、フォトカプラの発光側に電流が流れなくなるように調節でき、1つのLEDのショートの検出を実現するための具体的な構成としては、前記フォトカプラの発光側に対してツェナーダイオードが設けられており、LED群のいずれか1つがショートした場合に、前記フォトカプラの受光側がオフとなるようにツェナー電圧が設定されているものが挙げられる。
【0016】
本発明に係るショート判定装置と、前記ストリングスと、を備えた光照射装置であれば、ストリングス電圧が高くても1つのLEDがショートしたことを検出し、該当するLED又はストリングスを速やかに交換することができる。したがって、光照射装置から照射される光の照度を常に均一に保つことができる。
【発明の効果】
【0017】
このように本発明に係るショート判定装置によれば、フォトカプラによって各LEDがショートしたか否かの情報をオンオフ信号に置き換えることができる。したがって、ストリングスのLED直列数が多く(ストリングス電圧が高く)、LEDのショートによる電圧降下量を検出しにくい場合でも、その影響を受けずに1つのLEDのショートを確実に検出する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るショート判定装置、及び、光照射装置を示す模式的回路図。
図2】本発明の第2実施形態に係るショート判定装置、及び、光照射装置を示す模式的回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態に係るショート判定装置100、及び、光照射装置200について各図を参照しながら説明する。
【0020】
本実施形態のショート判定装置100は、複数個(本例では6個)のLED2が直列に接続されたストリングス1中におけるLED2のショートの有無(LED2がショートしたかどうか)を判定するものである。このショート判定装置100と、ストリングス1とを備えた光照射装置200は例えば外観検査においてワークに対して均一な照度の光を照射するために用いられる。
【0021】
この実施形態では、ストリングス1には定電流源3が接続されており、所定の放射強度で各LED2が発光するようにしてある。
【0022】
このショート判定装置100は、図1に示すように、各LED2に対して1つずつ発光側が並列接続された複数(本例ではLED2と同数の6個)のフォトカプラ4と、フォトカプラ4の受光側をそれぞれ直列接続したショート検出回路5と、ショート検出回路5からの出力に基づいて各LED2におけるショートの有無を判定するショート判定部7と、を備えている。また、ショート検出回路5のハイサイドにはプルアップ抵抗6が設けられているとともに、その両端に所定の電圧を印加する電源が設けられている。
【0023】
フォトカプラ4は、パッケージ内に発光素子と受光素子が対向して配置され、外部からの光が受光素子へと入射しないように構成されている。発光素子には発光ダイオード、受光素子にはフォトトランジスタが用いられている。入力側となる発光素子と、出力側となる受光素子との間は絶縁されているため、ストリングス1とショート判定装置100との間は絶縁を保ったままでLED2のショートの有無に関する情報を含む信号伝達が行われる。
【0024】
第1実施形態では、各フォトカプラ4の発光素子の端子はストリングス1を構成するLED2に対して、抵抗Rとともに並列に接続されている。すなわち、LED2が正常に点灯している場合には、フォトカプラ4の発光側に電流が流れ、受光素子であるフォトトランジスタがオン状態となる。一方、LED2がショートしている場合には、フォトカプラ4の発光側には電流が流れず、受光素子であるフォトトランジスタがオフ状態となる。なお、抵抗Rは、LED2がショートしていないときに、フォトカプラ4の発光側に流れる電流を制御するためのものである。
【0025】
各フォトカプラ4の受光側は、それぞれ直列に接続されてショート検出回路5を構成している。このようにしてショート検出回路5の両端の電圧信号が、各フォトカプラ4からの出力信号をまとめたものとしている。ショート検出回路5は、各フォトカプラ4の出力側が直列に接続されているので、LED2が全てショートしていない場合のみ全体としてオン状態となり、いずれかのLED2が1つでもショートしている場合には、全体としてオフ状態となる。
【0026】
ショート判定部7は、各フォトカプラ4からの出力信号に基づいて決定されるショート検出回路5の両端電圧を取得し、その両端電圧に基づいてストリングス1中のLED2におけるショートの有無を判定する。第1実施形態では、ショート判定部7の電圧取得点よりも上流側においてプルアップ抵抗6が設けられている。したがって、ストリングス1中のいずれかのLED2がショートし、対応するフォトカプラ4の受光側がオフ状態となった場合には、ショート判定部7にハイレベルの電圧信号が入力されることになる。一方、ストリングス1中のいずれのLED2にもショートが発生しておらず、ショート検出回路5全体がオン状態の場合には、プルアップ抵抗6の作用により、ショート判定部7にはローレベルの電圧信号が入力されることになる。
【0027】
したがって、第1実施形態ではショート判定部7は、ハイレベルの信号が入力された場合にそのストリング中にLED2のショートが発生していると判定する。なお、ショート検出回路5のハイサイド側に設けたプルアップ抵抗6に代え、ローサイド側(ショート判定部7の電圧取得点よりも下流側)にプルダウン抵抗を設けた構成とすることもでき、この場合、いずれかのLED2がショートしたときには、ショート判定部7にローレベルの電圧信号が入力され、いずれのLED2もショートしていないときには、ショート判定部7にハイレベルの電圧信号が入力されるため、ショート判定部7は、ローレベルの信号が入力された場合にLED2がショートしていると判定する。
【0028】
なお、フォトカプラ4の受光素子の直列数が多く、ショート判定部7において単純に信号のハイレベル、ローレベルを検出できない電圧となる場合には、ショート判定部7にコンパレータを用いたり、A/Dコンバータを介して出力される電圧と閾値電圧との比較を行ったりして、LED2のショートの有無を判定するようにしてもよい。
【0029】
このように第1実施形態のショート判定装置100によれば、ストリングス1を構成する各LED2に対して1つずつフォトカプラ4を並列に接続することで、LED2のショートの有無をオンオフ信号に置き換えることができる。
【0030】
したがって、従来のように1つのLED2のショートによる電圧降下量を取得する必要がない。このため、LED2の直列数が多く、ストリングス1の両端に印加されるストリングス電圧が大きい場合でも、ショートの判定においてその影響を受けなくすることができる。
【0031】
さらに、ショート検出回路5は各フォトカプラ4の受光素子側を直列接続して構成されているので、全てのLED2にショートが発生していない場合のみオン状態となり、1つでもLED2にショートが発生している場合にはオフ状態となる。したがって、ショート判定部7は、ショート検出回路5がオフ状態となっていることを検出できさえすれば、ストリングス1中に1個でもLED2のショートが発生していることを検出できる。
【0032】
したがって、ショート判定装置100によるショートの有無に関する判定精度を従来よりも向上させることができ、ストリングやLED2の交換を速やかに行うことが可能となる。
【0033】
このため、例えば製品の外観検査等に用いられる光照射装置として必要とされる均一な放射強度を常に保つことが可能となり、検査の信頼性を担保することが可能となる。
【0034】
加えて、フォトカプラ4の受光素子を直列に接続してショート検出回路5を構成することにより、回路構成を簡素のものとして、省配線を実現できる。
【0035】
次に本発明の第2実施形態に係るショート判定装置100、及び、光照射装置200について図2を参照しながら説明する。
【0036】
第2実施形態のショート判定装置100は、第1実施形態とは異なり、ストリングス1を構成するLED2に対して1つずつフォトカプラ4を設けるのではなく、隣接する2つのLED2に対して1つずつフォトカプラ4を設けるように構成されている。
【0037】
すなわち、フォトカプラ4は、その発光側が複数のLED2からなるLED群に対して1つ並列に接続されている。このフォトカプラ4が接続されている並列回路には、フォトカプラ4に対してさらにツェナーダイオードZと抵抗Rが接続してあり、LED2群のうち少なくとも一方のLED2がショートした場合にフォトカプラ4の発光素子に対して電流が流れ無いようにツェナー電圧及び抵抗値が設定されている。
【0038】
このようなものであっても、ストリングス1中のいずれかのLED2がショートすると、ショート検出回路5はオフ状態となり、LED2がショートしたことを第1実施形態と同様に検出する事が可能となる。
【0039】
その他の実施形態について説明する。
【0040】
ストリングスについては、各実施形態では1つだけ設けられたものを例示したが、例えば複数のストリングスが定電流源に対して並列に設けられていても構わない。この場合には、各ストリングスに対して1つずつショート検出装置を設けても良いし、1つのショート検出装置に対して接続されるストリングスが切り替えられるようにセレクタを設けても良い。
【0041】
ストリングスを構成するLEDの直列数については複数であればよく、各実施形態において例示したものに限られない。また、LED群に含まれるLEDの個数は2つに限れられるものではなく、3つであっても構わない。
【0042】
複数のフォトカプラについて受光側を直列接続してショート検出回路を構成せずに、各フォトカプラに対して1つずつショート判定部を設けても構わない。
【0043】
また、本発明であれば、1個のLEDのショートを検出するだけでなく、当然に、複数個のLEDのショートでも検出できる。
【0044】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の組み合わせや変形を行っても構わない。
【符号の説明】
【0045】
200・・・光照射装置
100・・・ショート判定装置
1 ・・・ストリングス
2 ・・・LED
3 ・・・定電流源
4 ・・・フォトカプラ
5 ・・・ショート検出回路
7 ・・・ショート判定部
R ・・・抵抗
Z ・・・ツェナーダイオード
図1
図2