(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】溶融装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 7/06 20060101AFI20220203BHJP
F23G 5/00 20060101ALI20220203BHJP
F27B 1/09 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H05B7/06
F23G5/00 115Z
F27B1/09
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017239321
(22)【出願日】2017-12-14
【審査請求日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】10 2016 124 481.3
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507332907
【氏名又は名称】アー エル デー ヴァキューム テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ALD Vacuum Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Otto-von-Guericke-Platz 1, 63457 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】特許業務法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イヴァイロ ポポフ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-087726(JP,A)
【文献】特開昭55-155182(JP,A)
【文献】特開2004-308000(JP,A)
【文献】特開2009-046715(JP,A)
【文献】米国特許第04307263(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 7/00- 7/22
F27B 14/00-14/20
C22B 1/00-61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス防護フード(20)によって周囲環境から隔離された溶融室(190)を備え、
前記ガス防護フードには溶融させる電極(70)を動かすための電極ロッド(40)が挿通され、封止によって気密にされたガイドとなる導入口(30)を備え、
前記溶融室内のガス圧力に比例し前記電極ロッド(40)に均等化力を作用させて、前記電極ロッド(40)に作用するガス圧力を相殺する、油圧または空圧による均等化手段(140)を有
し、
空圧によって前記溶融室(190)とつながり、油圧によって前記均等化手段(140)とつながる、油槽(160)を備える、
ことを特徴とする溶融装置。
【請求項2】
前記均等化手段(140)は、前記溶融室(190)における正圧又は負圧に対して相殺する力を生じせしめる、請求項1に記載の溶融装置。
【請求項3】
前記電極ロッド(40)を移動させるための駆動ユニット(50)が、前記電極ロッド(40)の上端に設けられている、請求項1または2に記載の溶融装置。
【請求項4】
前記駆動ユニット(50)は、前記電極ロッド(40)に噛み合わされた駆動スピンドル(130
)によって構成される、請求項3に記載の溶融装置。
【請求項5】
前記駆動ユニット(50)は、少なくとも一つのガイド(41,42)を介して下部横木(180)に接続され、前記下部横木(180)は前記均等化手段の不可
動のシリンダに接続され、上部横木(170)は前記電極ロッド(40)及び前記均等化手段の可
動のピストン(210)、の両方に結合されている、請求項
3または4に記載の溶融装置。
【請求項6】
前記駆動ユニット(50)は、前記電極ロッド(40)を駆動するためにフレーム(10)に取り付けられており、
前記電極ロッド(40)の重量及び前記電極(70)の受取りによって発生する力又はトルクは、前記フレーム(10
)を介して周囲に放散させるようなっている、請求項
3~5のいずれかひとつに記載の溶融装置。
【請求項7】
複数設けられた前記均等化手段(140
)は、前記電極ロッド(40)の中心軸から半径方向に離して配置されており、前記均等化手段の作用によって前記電極ロッド(40)には傾斜モーメントやトルクが発生しないように対称に配置されている、請求項1~6のいずれかひとつに記載の溶融装置。
【請求項8】
前記均等化手段(140)にはピストンとシリンダが配置されており、
前記均等化手段(140)の各ピストンの有効な断面積の和は前記電極ロッド(40)の断面積
とほぼ等しい、請求項1~7のいずれかひとつに記載の溶融装置。
【請求項9】
電極ロッド(40)は溶融室(190)内の電極を動かし、
前記溶融室(190)は封止によって周囲に対し気密にされており、
駆動ユニット(50)は前記溶融室(190)の外に配置されて前記電極ロッド(40)を駆動し、
油槽(160)は、空圧によって前記溶融室(190)とつながり、油圧によって均等化手段(140)とつながっており、
流体技術を用いて前記溶融室(190)につながる少なくとも1つの
前記均等化手段(140)のシリンダを用いて、前記溶融室の正圧もしくは負圧によって前記電極ロッドに作用する力を均等化する、
ことを特徴とする溶融装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極再溶融のための溶融装置、及び該溶融装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の溶融装置又は再溶融装置は、主としてフレーム、フレームワーク、ガントリー(gantry)、又はピラー(pillar)を有する支持構造と、気密シリンダの形態をなすガス防護フード(gasprotection hood)、ガス防護フードの上端に設けられた導入口(lead through)、加圧又は真空に対して気密されたガス防護フードの中に導入口を介して導入される電極ロッド(electrode rod)及びガス防護フード内で電極ロッドを垂直に上下動させる駆動ユニット(drive unit)を有する。電極ロッドから吊り下げられた電極の再溶融プロセスを行う1つ又は2つの溶融ステーションを備えている。荷重導入部(weighing installation)は、プロセス制御のために用いられている。
【0003】
公知のように、溶融装置は、フード内のガス圧力を高めるか、もしくは減圧、特に真空にして、再溶融プロセスを行うことができるように考えられている。
【0004】
特に大気圧とは異なる圧力で再溶融プロセスが実施される溶融装置においては、フード内が正圧の場合は電極ロッドを押圧する力が加わり、真空の場合は電極ロッドを吸引する力が加わる、ことが問題になる。
【0005】
溶融装置及び溶融装置の電極ロッド駆動部の設計思想に合致する挙動として、前記電極ロッドの駆動部に作用する力は、電極重量によって生じるばかりでなく、前記の吸引力又は押圧力が付加される。
【0006】
ガス圧力を高めた状態で、電極ロッド内側に同軸に配置された駆動スピンドルを介して電極ロッドを垂直方向に動かす場合に、このストレスは特に危険である。具体的には、座屈する危険性が指摘されている。
【0007】
公知の実施形態においては、該スピンドルが押圧力によって生じるかもしれない座屈に耐えうるように、直径の極めて大きいスピンドルが使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、装置のフード下におけるガス圧力条件とは無関係に、電極ロッドには何も力が伝わらないようにするか、あるいは電極ロッドに余分に加わっている力だけを大幅に補正することによって、電極ロッド及び電極ロッド駆動部に加わる力を相殺できる再溶融のための溶融装置の実現を目的とする。
【0009】
かつ、本発明の溶融装置においては、耐久性が高く、経済性に優れるように設計される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、本願の独立請求項に記載された特徴によって達成される。本発明の好ましい態様は、本願の従属請求項に詳細に記載されている。
【0011】
本発明の溶融装置は、ガス防護フードによって周囲環境から隔離された溶融室を備える。
ここで、ガス防護フードもしくはそれ以外の溶融室内包は、封止手段によって気密にガイドされ、溶融させる電極を移動させるための電極ロッドを挿通する、導入口を備える。
【0012】
溶融室内のガス圧力に比例する力を電極ロッドに加え、電極ロッドに作用するガス圧力の少なくとも一部を相殺するように、均等化手段(Equalization means)、特に油圧又は空圧による均等化手段が設けられている。
【0013】
当該の駆動ユニットには、電極ロッド及び電極の重みに起因する力のみが作用するので、駆動ユニットをより小さくすることができる。更に、溶融室の内圧は電極ロッドに影響を及ぼさなくなるので、プロセス制御も容易になる。
【0014】
本発明の封止手段は、例えば円環状をなしていることを特徴とする。
【0015】
特に均等化シリンダ(Equalization cylinder)は、均等化手段のシリンダのことをさす。
【0016】
溶融室内が正圧または負圧のどちらであっても、それぞれの場合に対応して、均等化をはかる力を上手く作用させることができる。これは、溶融室を正圧で運転する前者と、負圧で運転する後者とでは、均等化をはかる力が逆向きに作用することを意味している。圧力は、周囲の圧力との関係によって、正圧にも負圧にもなりうる。周囲圧力は大気圧が大勢を占める。溶融室内が正圧にされている時のみ力の補正が可能な既存の装置の限度を超えて、動作状態の選択の自由度は既存方式の実施形態と比較して大幅に増加している。
【0017】
本発明の溶融装置は、電極ロッドを移動させるための駆動ユニットを電極ロッドの上方に配置できるので、いっそう優れている。また、本発明の溶融装置は、駆動ユニットは、電極ロッドの上端と同じ領域に設置することができる。また、本発明の溶融装置は、モータ/駆動装置、及び/又は、あらゆる運転状態の各々における駆動ユニットのギアボックスを、ガス防護フードを封止するために設けられた領域の上方に位置するように、設計することができる。
【0018】
本発明の溶融装置は、電極ロッドを移動させるための駆動ユニットがガス防護フードに固定されていた従来の実施形態と比べると、非常に優れている。
【0019】
従来の実施形態では、電極ロッドとの結合を可能にするために、例えば歯切りしたラック形状のものに結合しなければならなかった。しかしながら、従来、このような結合方式は、溶融室の封止構造を複雑にしていた。
【0020】
本発明における駆動ユニットは、特に電極ロッドに噛み合わされた駆動スピンドルによって連結することができ、駆動スピンドルは雄ネジを備え電極ロッドの雌ネジに噛み合わせることができる。以上は、電極ロッドの搭載する実施形態についてのほんの一例に過ぎない。
【0021】
上記の実施形態に代えて、フレームと電極ロッドとの間に流体駆動部を設けることができる。このような実施形態では、電極ロッドの円筒形状の外側面は駆動方式に左右されないものとなり、例えば非常に封止構造を複雑にする歯切りしたラック形状を回避することができる。
【0022】
これに反して、電極ロッドが回転しないように長手方向に延びる溝を電極ロッドに設けた場合は、封止性能を著しく損なうことになる。
【0023】
駆動ユニットは、少なくとも1つのガイドを介して下部横木(lower traverse)に接続され、下部横木は均等化手段の不可動部、特にシリンダに接続され、上部横木(upper traverse)は電極ロッド及び均等化手段の可動部、特に均等化手段のピストン、の両方に接続されていると、いっそう優れたものとなる。
【0024】
均等化手段は垂直方向に動作する。このように構成にすることで、特に直上においた駆動ユニットから、電極ロッドと駆動スピンドルを平行に走らせるガイドを使用する場合は、座屈に係る強度を改善することができる。
【0025】
上部横木と電極ロッド間の接続は、回転できるように据え付けられている。接合部は、過度の静水圧を避けるために必要とされる場所に設けられている。水平に見た場合の駆動スピンドルは、いかなる動作状態においてもガイドの間に位置する。均等化手段のピストンロッドに接続されるか、もしくはピストンロッドの一部分となりうるガイドは、特にガイドとして用いられる。ガイドは、垂直方向に均等化する所望の力を両方向に伝達できるように、弾性変形する性質を備えるべきではない。
【0026】
本発明のより優れた実施形態では、電極ロッドを駆動する駆動ユニットは、フレームに取り付けられている。電極ロッドの重量及び電極の受取りによって発生する力又はトルクは、フレームを介して周囲に放散させることができる。フレームは、ガス防護フードとは独立に設けられていることが望ましい。電極ロッド及び電極に作用する力は、ガス防護フードを含む溶融室内包を介して、放散させるべきではない。
【0027】
特に複数設けられた均等化手段、特に均等化のためのシリンダは、電極ロッドの中心軸から半径方向に離して配置されており、均等化手段の作用によって電極ロッドには傾斜モーメントやトルクが発生しないように対称に配置されていることが好ましい。少なくとも2つの均等化シリンダが備わっていることが好ましい。
【0028】
均等化手段は、ピストン/シリンダを備え、均等化手段全体にわたって個々のピストンの有効な断面積を足し合わせた合計が電極ロッドの断面積にほぼ等しくなっている。「ほぼ同一」という語句は広義に解釈され、断面積の偏差は±30%以下という意味を含んでいる。他の好ましい適用例では、偏差が10%未満となるように要求されており、溶融室内の圧力をピストンロッドの駆動部の出力から切り離す工夫がなされている。
【0029】
均等化手段は、流体技術を用いて溶融室と連絡しており、例えば溶融室から均等化手段に通じる導管が備わっている。油槽は、溶融室と空圧により連絡しており、均等化手段と油圧により結合されている。溶融中に温度上昇する溶融室側で油を使用することは好ましくない。剛性を改善するために、油圧による駆動は均等化手段側に設けることが好ましい。
【0030】
電極溶融装置を運転する方法の場合、電極ロッドによって電極は溶融室内で移動可能であり、溶融室は周囲環境から封止によって気密にされている。
【0031】
駆動ユニットは溶融室の外側に配置されており、電極ロッドを駆動する。
【0032】
溶融室内が正圧もしくは負圧のどちらであっても、電極ロッドに作用する力は、流体技術を用いて溶融室と連絡された、少なくとも一つの均等化手段によって、均等化される。
【0033】
本発明の溶融装置は、電解スラグの再溶融に好ましい溶融装置である。本発明による運転方法は、電解スラグの再溶融に好ましい方法である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の溶融装置に係る優れた実施形態のひとつが、
図1に例示されている。
【0036】
図示された構造は、フレーム10と、気密にされた円筒形状のガス防護フード20と、ガス防護フード20の上端に設けられた導入口30と、導入口30を介してガス防護フード20の中に挿通され加圧又は真空封止されている電極ロッド40とガス防護フード20の内部で電極ロッド40を垂直に上下動させることができる駆動ユニット50と、電極ロッド40に吊るされた電極70の再溶融が行われる溶融ステーション60と、プロセス調整のための荷重導入部80と、を備える。
【0037】
駆動ユニット50は、電極ロッド40の直上に配置され、ガイド41と42を介して荷重導入部80に垂直に接続されており、一方、駆動スピンドル130は、電極ロッドの内側(40.1)において同軸となるように、電極ロッド40に吊るされている。
【0038】
駆動ユニット50は、フレーム10に対して水平に動かせるように支持されている。フレーム10は旋回できるようになっており、電極ロッド40、駆動ユニット50、及び荷重導入部80と共に、ガス気密されたガス防護フード20を含む全体を、当該の溶融ステーション60から隣の溶融ステーション(図示されていない)へと移動させることができる。
【0039】
均等化手段140の2つのシリンダは、電極ロッド40の両側に配置され、前記均等化手段140のシリンダのピストンロッド室200と油槽160とは、導管150を介して、気密にされているガス防護フード20のガス室190に接続されている。以下、ガス室190は溶融室190とも記される。
【0040】
電極ロッド40の上部と下部は、それぞれ上部横木170と下部横木180を介して、均等化手段140のシリンダと関節のように動かせるように接続されており、すなわち前記均等化手段140のシリンダのピストンロッド210は電極ロッド40の上端において関節のように動かせるように上部横木170に直接接続されており、さらに、均等化手段140のシリンダは気密にされた導入口30の上端に形成されている下部横木180に対して関節のように動かせるように接続されており、他端では、荷重導入部80の荷重フレームに対して関節のように動かせるように接続されている。
【0041】
下記では、溶融装置の運転時の働きについて述べる。
【0042】
例えばガスの吸引もしくはガスの放出によって、容器内すなわち当該の溶融室190と大気との間に圧力差が生じると直ちに、該圧力差は導管150を介して油槽160に伝達される。2つの均等化手段140のシリンダのピストンリングの面積の和が電極ロッド40の封止部の断面積と等しくなるように構成されているので、油は、油槽から均等化手段140のシリンダへと流れて、相互に相殺しあう2つの力を生じせしめる。前記2つの力は、容器内において内側から外側へ言い換えると底部から頂部へ向かう方向に作用する圧力である場合は電極ロッド40に作用する圧縮力と、シリンダ内のピストン面には頂部から底部へ向かう方向に作用する圧縮力である。電極ロッド40から受ける均等化力は、上部横木170と下部横木180とを介して、均等化手段140のシリンダのピストンロッド210に伝達され、電極ロッド40を挿入する力は、シリンダに水平に作用する2つの力によって補償される。そのため、溶融装置を構成する残りの部分は、圧力差によって生じる力を受けないようになっている。
【0043】
このようにアレンジされたことによる利点は次のようなものである。
【0044】
大気と容器内部との圧力差によって導入される全ての力は、電極ロッド機構内に閉じ込められ、装置の残りの部分にはいかなる影響も及ぼさない。
【0045】
電極ロッドの駆動スピンドルは、大気圧下でのみ運転される従来装置と同じように、構成することができる。
【0046】
圧力によって生じる力は電極ロッドの駆動部には作用せず、そのため駆動部の出力に何も影響しないことから、溶融室の圧力が変化する条件であっても、装置制御を司るどの溶融制御器も変更しなくてよい。
【0047】
システムは、両方向に対して、すなわち溶融室190が内部圧(正圧)及び負圧(例えば真空)に対して同じように作用する、機能を備える。
【0048】
ガス圧力は、均等化手段140に直接印加されず、溶融室190と均等化手段140のシリンダとの間に配置されている油槽160に最初に印加されるので、前記ガス圧力が油圧に変換される。両シリンダに作用する摩擦条件は相似しているので、そこに存在する摩擦力の更なる同期化や均等化は必要としない。
【0049】
装置に発生するスラグ塵埃は油に捕捉され、油交換によって廃棄される。よって、有毒なスラグや金属塵を意図せずして周囲環境に放出してしまう危険は免れる。
【0050】
均等化システムの構成は単純であり、既に建設されている殆ど全ての装置において、サイズ変更することなく、取り付けることができる。
【0051】
均等化手段140のシリンダは、垂直方向に高さが揃えられており、ピストンロッド210が電極ロッド40から半径方向に離して配置されている。均等化手段140のシリンダは、電極ロッド40に対して少なくとも部分的に半径方向に重なっている。
【0052】
図示された均等化手段140の2つのシリンダの代わりに、このタイプのシリンダを複数使用することができ、複数設けた場合は、電極ロッド40に不均衡なモーメントが加わらないように、電極ロッド40の中心軸を一様に取り巻くように配置することが好ましい。
【0053】
上述し図面にも記載したように、フレーム10は垂直軸の周りで旋回できるようになっていることが好ましい。フレーム10から順次先送りできるように、図示されている溶融ステーション60の反対側に、更にもう1つ別の溶融ステーション(図示されていない)を配置することができる。そうすることによって、電極70を溶解させた後の補充に要する時間を大幅に削減することができる。
【0054】
電極ロッド40の内側に駆動スピンドル130を設ける実施形態では、電極ロッド40の(円筒状の)外側面を平坦かつ滑らかになるように設計できる。該表面でガス防護フード20を封止すると、封止構造の複雑さ、及び封止部を通過して排出又は取込まれるガス量が大幅に低減される。特に装置を負圧で運転する場合には、隙間のないきつく締まった状態であることが重要であり、さもなければ、溶融中に好ましくない酸化が起こる。
【符号の説明】
【0055】
10 フレーム
20 ガス防護フード
30 導入口
40 電極ロッド
41,42 ガイド
50 駆動ユニット
70 電極
80 荷重導入部
130 駆動スピンドル
140 均等化手段
150 導管
160 油槽
170 上部横木
180 下部横木
190 溶融室
200 ピストンロッド室
210 ピストン