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特許7011458パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220119BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20220119BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02S50/00
H02J13/00 301A
H02J3/38 130
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017243601
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019110717
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 繁浩
(72)【発明者】
【氏名】樽井 俊朗
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-27043(JP,A)
【文献】特開2008-72774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
G06F 13/00
H02S 50/00
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器であって、
メイン機と、
バックアップ機とを備え、
前記メイン機およびバックアップ機は、ともに、
外部サーバから送信された、前記パワーコンディショナーに対する制御情報を取得する第1機能と、
取得した前記制御情報に基づく指令を、前記パワーコンディショナーに送信する第2機能と、
前記パワーコンディショナーから、稼働データの基になるデータを受信する第3機能と
前記外部サーバに、前記パワーコンディショナーの稼働データを送信する第4機能とを有しており、
前記バックアップ機が、前記メイン機の稼働状況を確認可能なように構成されており、
前記メイン機は、正常状態において、前記第1~第4機能を働かせ、
前記バックアップ機は、前記メイン機が正常状態であるとき、少なくとも前記第2~第4機能を働かせないスタンバイ状態であり、前記メイン機が正常状態でないとき、前記第1~第4機能を働かせる代行状態になる
ことを特徴とするネットワーク接続機器。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク接続機器において、
前記バックアップ機は、
前記代行状態において、前記メイン機が正常状態に復帰したことを確認したとき、前記スタンバイ状態に戻る
ことを特徴するネットワーク接続機器。
【請求項3】
請求項1または2記載のネットワーク接続機器において、
前記バックアップ機は、前記メイン機と前記パワーコンディショナーとの間の通信を監視することによって、前記メイン機の稼働状況を確認する
ことを特徴とするネットワーク接続機器。
【請求項4】
請求項1または2記載のネットワーク接続機器であって、
前記メイン機は、正常状態であるとき、正常信号を前記バックアップ機へ送信し、
前記バックアップ機は、前記メイン機から正常信号を受信するか否かに基づいて、前記メイン機の稼働状況を確認する
ことを特徴とするネットワーク接続機器。
【請求項5】
請求項4記載のネットワーク接続機器であって、
前記メイン機と前記バックアップ機との間に、前記正常信号を送信するための専用配線が設けられている
ことを特徴とするネットワーク接続機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型発電システムに用いられるパワーコンディショナー用のネットワーク接続機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電等の分散型発電システムに用いられるパワーコンディショナーは、インターネット等のネットワークへの対応が進められている。例えば、ネットワークを介した稼働状況の常時モニタリングが一般化している。また、最近では、稼働状況のモニタリングに加えて、遠隔からのリアルタイムの出力制御技術の導入も不可避となりつつある。
【0003】
特許文献1では、ネットワーク対応の太陽光発電システムとして、パワーコンディショナによって変換される交流電力に関する情報を表示する電力モニタと、屋外における雨を感知する感雨センサと、感雨センサの感雨結果を通知する通知部とを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-1958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば日本の制度では、パワーコンディショナーと、インターネットを介して外部サーバとの通信を行う出力制御ユニットとを備えたシステムにおいて、パワーコンディショナーと出力制御ユニットとの通信で異常が発生した場合に、5分以内に発電を停止する仕様が求められている。この点で、パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器について、その可用性を高める技術が重要になっている。
【0006】
前記の問題に鑑み、本発明は、パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器について、可用性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパワーコンディショナー用のネットワーク接続機器は、メイン機と、バックアップ機とを備え、バックアップ機は、メイン機が正常状態であるとき、スタンバイ状態であり、メイン機が正常状態でないとき、外部サーバからの制御信号の受信や外部サーバへの稼働データの送信等を行う代行状態になる。これにより、ネットワーク接続機器の可用性が向上する。
【0008】
すなわち、本発明の態様では、パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器は、メイン機と、バックアップ機とを備え、前記メイン機およびバックアップ機は、ともに、外部サーバから送信された前記パワーコンディショナーに対する制御情報を取得する第1機能と、取得した前記制御情報に基づく指令を前記パワーコンディショナーに送信する第2機能と、前記パワーコンディショナーから稼働データの基になるデータを受信する第3機能と、前記外部サーバに前記パワーコンディショナーの稼働データを送信する第4機能とを有しており、前記バックアップ機が、前記メイン機の稼働状況を確認可能なように構成されており、前記メイン機は、正常状態において、前記第1~第4機能を働かせ、前記バックアップ機は、前記メイン機が正常状態であるとき、少なくとも前記第2~第4機能を働かせないスタンバイ状態であり、前記メイン機が正常状態でないとき、前記第1~第4機能を働かせる代行状態になる。
【0009】
この態様によると、ネットワーク接続機器において、メイン機が正常状態でないときは、スタンバイ状態であったバックアップ機が代行状態になり、外部サーバから送信された制御情報の受信、制御情報に基づく指令のパワーコンディショナーへの送信、パワーコンディショナーからの稼働データの基になるデータの受信、および、外部サーバへの稼働データの送信を行う。このため、ネットワーク接続機器の可用性が向上する。
【0010】
そして、前記態様において、前記バックアップ機は、前記代行状態において、前記メイン機が正常状態に復帰したことを確認したとき、前記スタンバイ状態に戻る、としてもよい。
【0011】
これにより、バックアップ機は、メイン機が正常状態に復帰したとき、代行状態からスタンバイ状態に戻ることができる。
【0012】
そして、前記態様において、前記バックアップ機は、前記メイン機と前記パワーコンディショナーとの間の通信を監視することによって、前記メイン機の稼働状況を確認する、としてもよい。
【0013】
これにより、バックアップ機は、メイン機の稼働状態を確認することができる。
【0014】
また、前記態様において、前記メイン機は、正常状態であるとき、正常信号を前記バックアップ機へ送信し、前記バックアップ機は、前記メイン機から正常信号を受信するか否かに基づいて、前記メイン機の稼働状況を確認する、としてもよい。
【0015】
これにより、バックアップ機は、メイン機の稼働状態を確認することができる。
【0016】
さらに、前記メイン機と前記バックアップ機との間に、前記正常信号を送信するための専用配線が設けられている、としてもよい。
【0017】
これにより、メイン機とパワーコンディショナーとの通信を妨げることなく、バックアップ機は、メイン機の稼働状態を確認することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器の可用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るネットワーク接続機器を備えた分散型発電システムの構成例
図2】出力制御ユニットの機能構成例であり、(a)はメイン機、(b)はバックアップ機
図3】出力制御ユニットの動作例を示すフローチャート
図4】出力制御ユニットの動作例を示すフローチャート
図5】実施形態に係るネットワーク接続機器を備えた分散型発電システムの他の構成例
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は実施形態に係るネットワーク接続機器を備えた分散型発電システム100の構成例を示す模式図である。図1の分散型発電システム100は、太陽光発電を行うものであり、ここでは、太陽光モジュール3a,3b,3cを備えている。各太陽光モジュール3a,3b,3cには、パワーコンディショナー(電力変換装置、図ではPCS1~3と記す)2a,2b,2cがそれぞれ設けられている。パワーコンディショナー2a,2b,2cから電力線4を介して交流電力が出力される。
【0022】
図1の分散型発電システム100は、インターネット対応がなされている。すなわち、出力制御ユニット10は、通信モデム1を介してインターネットと接続されており、かつ、各パワーコンディショナー2a,2b,2cと通信可能である。出力制御ユニット10は、ネットワーク接続機器の一例である。そして本実施形態では、出力制御ユニット10は、メイン機11と、バックアップ機12とを備える。メイン機11とバックアップ機12は、基本的にはほぼ同一の機能を有している。
【0023】
図2は出力制御ユニット10の機能構成例を示す図であり、(a)はメイン機11の機能構成、(b)はバックアップ機12の機能構成である。図2において、機能21は、外部サーバから、パワーコンディショナー2a,2b,2cに対する制御情報を受信する機能である。機能22は、機能21によって受信した制御情報に基づく指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに送信する機能である。機能23は、機能24によって送信する稼働データの基になるデータを、パワーコンディショナー2a,2b,2cから受信する機能である。機能24は、外部サーバに、パワーコンディショナー2a,2b,2cの稼働データを送信する機能である。機能21による受信、および、機能24による送信は、外部サーバにおいて定義されたプロトコルに従う。なお、機能25A,25B,26については、後述する。
【0024】
本実施形態では、出力制御ユニット10は、バックアップ機12が、メイン機11の稼働状況を確認可能なように構成されている。そして、メイン機11は、正常状態において、機能21~24を働かせる一方、バックアップ機12は、メイン機11が正常状態であるとき、機能21を働かせるが、機能22~24を働かせないスタンバイ状態であるものとする。また、バックアップ機12は、メイン機11が正常状態でないとき、機能21~24を働かせる代行状態になる。さらに、バックアップ機12は、代行状態において、メイン機11が正常状態に復帰したことを確認したとき、スタンバイ状態に戻る。
【0025】
図3は出力制御ユニット10の動作例を示すフローチャートである。この動作例では、メイン機11とバックアップ機12はマスター・スレーブ方式で通信を行うものとする。まず、ユーザは、出力制御ユニット10を分散型発電システム100に設置し、初期設定を行う(S11,S21)。そして、出力制御データに関する設定(例えば、外部サーバのアドレスの設定等)を行い、外部サーバと接続し、初期データを取得する(S12,S22)。
【0026】
外部サーバから出力制御データを取得すると(S13)、メイン機11は、この出力制御データに含まれた制御情報に基づく指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信する(S14,S15,S16)。続いて、メイン機11は、パワーコンディショナー2a,2b,2cの稼動データを要求する指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信し(S17,S18,S19)、取得した稼動データを外部サーバへ送信する(S1A)。
【0027】
一方、バックアップ機12は、スタンバイ状態であり、メイン機11から各パワーコンディショナー2a,2b,2cへの制御情報に基づく指令の送信、および、各パワーコンディショナー2a,2b,2cからのレスポンスを監視する(S23,S25,S27)。指令送信およびレスポンスが正常になされている場合は、OKと判定する。一方、所定時間が経過してもメイン機11から指令が送信されないときは、無通信タイムアウトと判定する(S24,S26,S28)。また、バックアップ機12は、メイン機11から各パワーコンディショナー2a,2b,2Cへの稼働データを要求する指令の送信、および、各パワーコンディショナー2a,2b,2cからのレスポンスを監視する(S29,S2B,S2D)。指令送信およびレスポンスが正常になされている場合は、OKと判定する。一方、所定時間が経過してもメイン機11から指令が送信されないときは、無通信タイムアウトと判定する(S2A,S2C,S2E)。
【0028】
バックアップ機12は、無通信タイムアウトと判定したとき、スタンバイ状態から代行状態に移行し、機能22~24を働かせる。そして、メイン機11の代わりに、出力制御データに含まれた制御情報に基づく指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信する(S2F,S2G,S2H)。続いて、パワーコンディショナー2a,2b,2cの稼動データを要求する指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信し(S2I,S2J,S2K)、取得した稼動データを外部サーバへ送信する(S2L)。そして、メイン機11の通信を確認し(S2M)、メイン機11による指令送信およびパワーコンディショナー2a,2b,2cからのレスポンスが正常になされるまで、パワーコンディショナー2a,2b,2cへの指令送信を続行する。メイン機11による指令送信およびパワーコンディショナー2a,2b,2cからのレスポンスが正常に行われたことを確認すると、バックアップ機12は、再びスタンバイ状態に戻る(S2N)。
【0029】
このような動作によって、メイン機11が正常状態でないときは、スタンバイ状態であったバックアップ機12が代行状態になり、外部サーバから送信された制御情報の受信、外部サーバへの稼働データの送信、制御情報に基づく指令のパワーコンディショナー2a,2b,2cへの送信、および、パワーコンディショナー2a,2b,2cからの稼働データの基になるデータの受信を行う。このため、ネットワーク接続機器の可用性が向上する。
【0030】
図4は出力制御ユニット10の他の動作例を示すフローチャートである。この動作例では、メイン機11とバックアップ機12はプロデューサ・コンシューマ方式で通信を行うものとする。この場合、メイン機11は、正常信号を送信する機能25Aを有し、バックアップ機12は、正常信号を確認する機能25Bを有する。
【0031】
まず、ユーザは、出力制御ユニット10を分散型発電システム100に設置し、初期設定を行う(S31,S41)。そして、出力制御データに関する設定(例えば、外部サーバのアドレスの設定等)を行い、外部サーバと接続し、初期データを取得する(S32,S42)。
【0032】
出力制御データを取得すると(S33)、メイン機11は、この出力制御データに含まれた制御情報に基づく指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信する(S34,S35,S36)。続いて、メイン機11は、パワーコンディショナー2a,2b,2cの稼動データを要求する指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信し(S37,S38,S39)、取得した稼動データを外部サーバへ送信する(S3A)。その後、メイン機11はバックアップ機12に正常信号を送信する(S3B)。一方、バックアップ機12は、スタンバイ状態であり、メイン機11から送信される正常信号を受信する(S43)。正常信号を受信した場合は、OKと判定する。一方、所定時間が経過しても正常信号を受信しない場合は、NGと判定する(S44)。
【0033】
バックアップ機12は、NGと判定したとき、スタンバイ状態から代行状態に移行し、機能22~24を働かせる。そして、メイン機11の代わりに、出力制御データに含まれた制御情報に基づく指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信する(S45,S46,S47)。続いて、パワーコンディショナー2a,2b,2cの稼動データを要求する指令を、パワーコンディショナー2a,2b,2cに順に送信し(S48,S49,S4A)、取得した稼動データを外部サーバへ送信する(S4B)。そして、メイン機11から正常信号が送信されるか否かを確認し(S4C)、正常信号が送信されるまで、パワーコンディショナー2a,2b,2cへの指令送信を続行する。メイン機11から送信された正常信号を受信すると、バックアップ機12は、再びスタンバイ状態に戻る(S4D)。
【0034】
このような動作によっても、メイン機11が正常状態でないときは、スタンバイ状態であったバックアップ機12が代行状態になり、外部サーバから送信された制御情報の受信、外部サーバへの稼働データの送信、制御情報に基づく指令のパワーコンディショナー2a,2b,2cへの送信、および、パワーコンディショナー2a,2b,2cからの稼働データの基になるデータの受信を行う。このため、ネットワーク接続機器の可用性が向上する。
【0035】
なお、図4の動作例では、メイン機11は、バックアップ機12に送信する正常信号を、パワーコンディショナー2a,2b,2cへの信号経路に送信するものとしている。これに対して、図5の出力制御ユニット10Aの構成のように、メイン機11とバックアップ機12との間に、正常信号を送信するための専用配線13を設けてもよい。これにより、メイン機11とパワーコンディショナー2a,2b,2cとの通信を妨げることなく、バックアップ機12は、メイン機11の稼働状態を確認することができる。
【0036】
また、上の例では、バックアップ機12は、スタンバイ状態において、制御情報を受信する機能21を働かせるものとした。これに代えて、バックアップ機12は、スタンバイ状態において、機能21も働かせないようにしてもよい。この場合には、バックアップ機12は、メイン機11が受信した制御情報を、メイン機11から取り出し保存しておく。このために、メイン機11およびバックアップ機12は、保持情報を交換する機能26を働かせておけばよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明では、パワーコンディショナー用のネットワーク接続機器の可用性を向上できるので、例えば、分散型発電システムの稼働率向上に有用である。
【符号の説明】
【0038】
2a,2b,2c パワーコンディショナー
10,10A 出力制御ユニット(ネットワーク接続機器)
11 メイン機
12 バックアップ機
13 専用配線
図1
図2
図3
図4
図5