(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】作業管理システム及び部品実装システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20220119BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20220119BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2018043864
(22)【出願日】2018-03-12
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋一
(72)【発明者】
【氏名】木部 裕造
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/207280(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 ー 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する実装機が複数連結された部品実装ラインが複数並設される部品実装システムにおいて、前記部品搭載基板を生産するための段取り作業の管理を行う作業管理システムであって、
前記複数の部品実装ラインにおける前記段取り作業の管理対象の全領域となる作業管理対象領域内での、前記段取り作業を行う作業者の人数を表す作業者数情報を取得する取得部と、
前記作業管理対象領域における前記複数の実装機の各々に対して予め設定された作業位置ごとに、当該作業位置において行うべき前記段取り作業の作業数を特定し、その特定結果を表す作業数特定情報を出力する作業数特定部と、
前記作業者数情報及び前記作業数特定情報に基づき、前記作業管理対象領域を、前記部品実装ラインに沿って延びる複数の作業領域に区画する作業領域設定部と、
前記作業領域内の前記各作業位置において前記段取り作業を行う際の作業者の移動経路を、前記複数の作業領域ごとに設定する移動経路設定部と、
前記段取り作業に対して作業量に応じた重み付け係数が付された作業量情報と、作業者の前記段取り作業に対する作業能力を表す作業能力情報とを記憶する記憶部と、を備え、
前記作業領域設定部は、前記作業領域の数を前記作業者数情報にて表される作業者数と同数に設定し、各作業領域の範囲を前記作業数特定情報
、前記作業量情報及び前記作業能力情報に基づき調整する、作業管理システム。
【請求項2】
前記段取り作業は、前記複数の部品供給装置の各々に対して部品を補給する部品補給作業と、前記部品補給作業以外の複数の付随作業とを含み、
前記作業数特定部は、
前記複数の部品供給装置の各々に対する前記部品補給作業において、所定の作業管理期間内で実施可能な全ての部品補給作業の作業数を、前記作業位置ごとに特定する補給作業数特定部と、
前記複数の付随作業において、前記作業管理期間内で実施可能な全ての付随作業の作業数を、前記作業位置ごとに特定する付随作業数特定部と、を含む、請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記移動経路設定部は、前記作業領域内の前記各作業位置を通り、前記部品実装ラインに沿って延びる直線経路部分を含む、交差しない一筆書き状に連続した第1経路を、前記移動経路として設定する、請求項1
又は2に記載の作業管理システム。
【請求項4】
複数の部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する実装機が複数連結された部品実装ラインが複数並設される部品実装システムにおいて、前記部品搭載基板を生産するための段取り作業の管理を行う作業管理システムであって、
前記複数の部品実装ラインにおける前記段取り作業の管理対象の全領域となる作業管理対象領域内での、前記段取り作業を行う作業者の人数を表す作業者数情報を取得する取得部と、
前記作業管理対象領域における前記複数の実装機の各々に対して予め設定された作業位置ごとに、当該作業位置において行うべき前記段取り作業の作業数を特定し、その特定結果を表す作業数特定情報を出力する作業数特定部と、
前記作業者数情報及び前記作業数特定情報に基づき、前記作業管理対象領域を、前記部品実装ラインに沿って延びる複数の作業領域に区画する作業領域設定部と、
前記作業領域内の前記各作業位置において前記段取り作業を行う際の作業者の移動経路を、前記複数の作業領域ごとに設定する移動経路設定部と、を備え、
前記作業領域設定部は、前記作業領域の数を前記作業者数情報にて表される作業者数と同数に設定し、各作業領域の範囲を前記作業数特定情報に基づき調整し、
前記移動経路設定部は、
前記作業領域内の前記各作業位置を通り、前記部品実装ラインに沿って延びる直線経路部分を含む、交差しない一筆書き状に連続した第1経路を、前記移動経路として設定し、
前記作業領域内の前記各作業位置において、前記作業数特定情報にて表される作業数がゼロであり、前記段取り作業の対象外となる作業対象外位置が存在するか否かに応じて、前記移動経路を設定するように構成されている
、作業管理システム。
【請求項5】
前記移動経路設定部は、
前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在しない場合、前記第1経路を前記移動経路として設定し、
前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在する場合、前記作業対象外位置以外の各作業位置を通り、且つ交差しない一筆書きが可能な範囲で前記作業対象外位置を通らない第2経路を、前記移動経路として設定する、請求項
4に記載の作業管理システム。
【請求項6】
前記移動経路設定部は、
前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在しない場合、前記第1経路を前記移動経路として設定し、
前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在する場合、前記作業対象外位置以外の各作業位置を通り、且つ、前記作業対象外位置に対して隣接する作業位置を中心に作業者の移動方向上流側から下流側へ折り返すことによって当該作業対象外位置を通らない折り返し経路部分を含む第3経路を、前記移動経路として設定する、請求項
4に記載の作業管理システム。
【請求項7】
前記作業領域内の前記各作業位置において、前記段取り作業の対象となる作業位置へ作業者を誘導するための作業者誘導情報を、前記移動経路に沿った作業者の移動に応じて順次生成して出力する作業者誘導部を、更に備える、請求項1~
6のいずれか1項に記載の作業管理システム。
【請求項8】
前記部品供給装置は、部品が収納された部品収納テープの送出により部品供給を行うテープフィーダーと、部品が保持されたトレイが載置されるパレットの移動により部品供給を行うトレイフィーダーと、を含み、
前記複数の実装機の各々は、バックアップピンにより基板を支持する基板支持装置と、部品を吸着保持する吸着ノズルを有するヘッドユニットと、部品を接着するための接着剤を基板に塗布する塗布装置と、を含み、
前記部品補給作業は、前記テープフィーダーに対する前記部品収納テープの補給作業と、前記トレイフィーダーに対する前記パレットの補給作業と、を含み、
前記付随作業は、前記バックアップピンを準備するピン準備作業と、前記吸着ノズルを準備するノズル準備作業と、前記塗布装置に前記接着剤を補充する補充作業と、を含む、請求項2に記載の作業管理システム。
【請求項9】
複数の部品供給装置が付設され、当該部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する実装機が複数連結された複数の部品実装ラインと、
前記部品搭載基板を生産するための段取り作業の管理を行う、請求項1~
8のいずれか1項に記載の作業管理システムと、を備える、部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置から供給された部品を基板に搭載する実装機が複数連結された部品実装ラインに対する、段取り作業の管理を行う作業管理システム、及びそれを備えた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)が搭載された部品搭載基板を生産する部品実装ラインは、部品を基板上に搭載する複数の実装機を連結して構成されている。各実装機には、部品を供給するための部品供給装置が複数並設されている。部品実装ラインの各実装機による部品搭載基板の生産に際しては、基板品種ごとの生産計画に基づいて、部品供給装置に部品を補給する部品補給作業等の段取り作業が作業者によって行われる。
【0003】
作業者による部品補給作業の効率化を図るための技術が、例えば特許文献1,2に開示されている。特許文献1に開示される技術では、部品供給装置において部品切れとなる部品切れ時刻を予測し、その部品切れ時刻に基づいて作業者による部品補給作業のスケジュールを作成する。また、特許文献2に開示される技術では、部品供給装置における部品残数を示す部品残数情報と作業者情報とに基づいて、作業者による部品補給作業の作業順序を示す作業順序情報を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-134691号公報
【文献】特開2016-115739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品実装ラインの各実装機による部品搭載基板の生産の際に行われる段取り作業としては、部品補給作業以外に、部品を吸着保持するための吸着ノズルの準備作業や、基板を支持するためのバックアップピンの準備作業などの付随作業が存在する。部品実装ラインの各実装機による部品搭載基板の生産の際に行われる、部品補給作業及び付随作業を含んだ段取り作業のタイミングは、各実装機において均一ではなく、実装機ごとに異なっている。つまり、ある作業タイミングにおいて、段取り作業の対象となる実装機と、段取り作業の対象外となる実装機とが存在する。このため、段取り作業の負荷が作業者ごとに相違し、作業者ごとに段取り作業の負荷の偏りが生じる虞がある。段取り作業の負荷に作業者ごとの偏りが生じると、負荷が集中した作業者の段取り作業に遅れが生じ、その段取り作業の遅れに起因して部品搭載基板の生産効率が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品実装ラインの各実装機による部品搭載基板の生産に際し、作業者ごとの段取り作業の負荷の偏りを抑制し、作業者による段取り作業の効率化を図ることが可能な作業管理システム、及びそれを備えた部品実装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る作業管理システムは、複数の部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する実装機が複数連結された部品実装ラインが複数並設される部品実装システムにおいて、前記部品搭載基板を生産するための段取り作業の管理を行うシステムである。この作業管理システムは、前記複数の部品実装ラインにおける前記段取り作業の管理対象の全領域となる作業管理対象領域内での、前記段取り作業を行う作業者の人数を表す作業者数情報を取得する取得部と、前記作業管理対象領域における前記複数の実装機の各々に対して予め設定された作業位置ごとに、当該作業位置において行うべき前記段取り作業の作業数を特定し、その特定結果を表す作業数特定情報を出力する作業数特定部と、前記作業者数情報及び前記作業数特定情報に基づき、前記作業管理対象領域を、前記部品実装ラインに沿って延びる複数の作業領域に区画する作業領域設定部と、前記作業領域内の前記各作業位置において前記段取り作業を行う際の作業者の移動経路を、前記複数の作業領域ごとに設定する移動経路設定部と、前記段取り作業に対して作業量に応じた重み付け係数が付された作業量情報と、作業者の前記段取り作業に対する作業能力を表す作業能力情報とを記憶する記憶部と、を備える。前記作業領域設定部は、前記作業領域の数を前記作業者数情報にて表される作業者数と同数に設定し、各作業領域の範囲を前記作業数特定情報、前記作業量情報及び前記作業能力情報に基づき調整する。
【0008】
この作業管理システムによれば、複数の部品実装ラインの各実装機に設定された作業位置にて行われる、作業者による段取り作業を管理する。作業管理システムにおいては、作業数特定部が各実装機の作業位置での段取り作業の作業数を特定し、作業領域設定部が作業管理対象領域を作業者数と同数の作業領域に区画し、移動経路設定部が各作業領域内での作業者の移動経路を設定する。作業者は、移動経路設定部により設定された移動経路に沿って作業領域内を移動し、各実装機の作業位置において段取り作業を行うことができる。
【0009】
ここで、作業領域設定部は、作業数特定部から出力される作業数特定情報に基づき、各作業領域の範囲を調整する。つまり、各作業領域の範囲は、各実装機の作業位置ごとの段取り作業の作業数に基づき調整されたものとなる。これにより、各作業領域内での作業者による段取り作業の負荷が調整可能となる。このため、作業者ごとの段取り作業の負荷の偏りを抑制し、作業者間での作業負荷の均等化を図ることができる。この結果、複数の部品実装ラインの全体としては、作業者による段取り作業の効率化を図ることが可能となる。
また、各作業領域の範囲は、実装機の作業位置ごとの段取り作業の作業数に加えて、段取り作業ごとの作業量と作業者の作業能力とに基づき調整されたものとなる。これにより、複数の部品実装ラインの全体としては、各実装機の作業位置における全ての段取り作業が終了するまでの所要時間の短縮化が可能となる。
【0010】
上記の作業管理システムにおいて、前記段取り作業は、前記複数の部品供給装置の各々に対して部品を補給する部品補給作業と、前記部品補給作業以外の複数の付随作業とを含む。そして、前記作業数特定部は、前記複数の部品供給装置の各々に対する前記部品補給作業において、所定の作業管理期間内で実施可能な全ての部品補給作業の作業数を、前記作業位置ごとに特定する補給作業数特定部と、前記複数の付随作業において、前記作業管理期間内で実施可能な全ての付随作業の作業数を、前記作業位置ごとに特定する付随作業数特定部と、を含む。
【0011】
この態様では、所定の作業管理期間内で実施可能な全ての部品補給作業及び付随作業の作業数が、各実装機の作業位置ごとに特定される。このように特定された部品補給作業及び付随作業を含む段取り作業の作業数に基づいて、作業領域設定部は、各作業領域の範囲を調整することになる。作業者は、作業数に応じて範囲が調整された作業領域内の各作業位置において、所定の作業管理期間内で実施可能な全ての部品補給作業及び付随作業を、まとめて行うことができる。これにより、各実装機の作業位置に作業者が行く頻度を低減することができ、作業者による段取り作業の負荷を軽減することができる。
【0014】
上記の作業管理システムにおいて、前記移動経路設定部は、前記作業領域内の前記各作業位置を通り、前記部品実装ラインに沿って延びる直線経路部分を含む、交差しない一筆書き状に連続した第1経路を、前記移動経路として設定する。
【0015】
この態様では、作業者は、一筆書き状という単純な形状の移動経路に沿って作業領域内を移動し、各実装機の作業位置において段取り作業を行うことができる。
【0016】
本発明の一の局面に係る作業管理システムは、複数の部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する実装機が複数連結された部品実装ラインが複数並設される部品実装システムにおいて、前記部品搭載基板を生産するための段取り作業の管理を行うシステムである。この作業管理システムは、前記複数の部品実装ラインにおける前記段取り作業の管理対象の全領域となる作業管理対象領域内での、前記段取り作業を行う作業者の人数を表す作業者数情報を取得する取得部と、前記作業管理対象領域における前記複数の実装機の各々に対して予め設定された作業位置ごとに、当該作業位置において行うべき前記段取り作業の作業数を特定し、その特定結果を表す作業数特定情報を出力する作業数特定部と、前記作業者数情報及び前記作業数特定情報に基づき、前記作業管理対象領域を、前記部品実装ラインに沿って延びる複数の作業領域に区画する作業領域設定部と、前記作業領域内の前記各作業位置において前記段取り作業を行う際の作業者の移動経路を、前記複数の作業領域ごとに設定する移動経路設定部と、を備える。前記作業領域設定部は、前記作業領域の数を前記作業者数情報にて表される作業者数と同数に設定し、各作業領域の範囲を前記作業数特定情報に基づき調整する。前記移動経路設定部は、前記作業領域内の前記各作業位置を通り、前記部品実装ラインに沿って延びる直線経路部分を含む、交差しない一筆書き状に連続した第1経路を、前記移動経路として設定し、前記作業領域内の前記各作業位置において、前記作業数特定情報にて表される作業数がゼロであり、前記段取り作業の対象外となる作業対象外位置が存在するか否かに応じて、前記移動経路を設定するように構成されている。
【0017】
また、上記の作業管理システムにおいて、前記移動経路設定部は、前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在しない場合、前記第1経路を前記移動経路として設定し、前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在する場合、前記作業対象外位置以外の各作業位置を通り、且つ交差しない一筆書きが可能な範囲で前記作業対象外位置を通らない第2経路を、前記移動経路として設定する。
【0018】
また、上記の作業管理システムにおいて、前記移動経路設定部は、前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在しない場合、前記第1経路を前記移動経路として設定し、前記作業領域内の前記各作業位置において前記作業対象外位置が存在する場合、前記作業対象外位置以外の各作業位置を通り、且つ、前記作業対象外位置に対して隣接する作業位置を中心に作業者の移動方向上流側から下流側へ折り返すことによって当該作業対象外位置を通らない折り返し経路部分を含む第3経路を、前記移動経路として設定する。
【0019】
この態様では、移動経路設定部は、各実装機の作業位置において、段取り作業の対象外となる作業対象外位置を可能な範囲で通らない経路を、各作業領域内での作業者の移動経路として設定する。これにより、作業者の移動経路の経路長を短くすることが可能となる。
【0020】
上記の作業管理システムは、前記作業領域内の前記各作業位置において、前記段取り作業の対象となる作業位置へ作業者を誘導するための作業者誘導情報を、前記移動経路に沿った作業者の移動に応じて順次生成して出力する作業者誘導部を、更に備える。
【0021】
この態様では、作業者は、作業者誘導情報に従って、段取り作業の対象となる作業位置へ移動することができる。
【0022】
上記の作業管理システムにおいて、前記部品供給装置は、部品が収納された部品収納テープの送出により部品供給を行うテープフィーダーと、部品が保持されたトレイが載置されるパレットの移動により部品供給を行うトレイフィーダーと、を含む。前記複数の実装機の各々は、バックアップピンにより基板を支持する基板支持装置と、部品を吸着保持する吸着ノズルを有するヘッドユニットと、部品を接着するための接着剤を基板に塗布する塗布装置と、を含む。前記部品補給作業は、前記テープフィーダーに対する前記部品収納テープの補給作業と、前記トレイフィーダーに対する前記パレットの補給作業と、を含む。前記付随作業は、前記バックアップピンを準備するピン準備作業と、前記吸着ノズルを準備するノズル準備作業と、前記塗布装置に前記接着剤を補充する補充作業と、を含む。
【0023】
この態様では、テープフィーダーに対する部品収納テープの補給作業と、トレイフィーダーに対するパレットの補給作業とが、部品補給作業として作業者によって行われる。また、バックアップピンを準備するピン準備作業と、吸着ノズルを準備するノズル準備作業と、塗布装置に接着剤を補充する補充作業とが、付随作業として作業者によって行われる。
【0024】
本発明の他の局面に係る部品実装システムは、複数の部品供給装置が付設され、当該部品供給装置から供給された部品を基板に搭載し部品搭載基板を生産する実装機が複数連結された複数の部品実装ラインと、前記部品搭載基板を生産するための段取り作業の管理を行う、上記の作業管理システムと、を備える。
【0025】
この部品実装システムによれば、作業者ごとの段取り作業の負荷の偏りを抑制し、作業者による段取り作業の効率化を図ることが可能な作業管理システムを備えている。このため、作業者による段取り作業の遅れに起因した、部品搭載基板の生産効率の低下を抑止することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、部品実装ラインの各実装機による部品搭載基板の生産に際し、作業者ごとの段取り作業の負荷の偏りを抑制し、作業者による段取り作業の効率化を図ることが可能な作業管理システム、及びそれを備えた部品実装システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る部品実装システムの構成を概略的に示す図である。
【
図3】実装機の部品供給部に配置される部品供給装置としてのテープフィーダーを概略的に示す図である。
【
図4】テープフィーダーに装着される部品収納テープを示す斜視図である。
【
図5】実装機の部品供給部に配置される部品供給装置としてのトレイフィーダーを概略的に示す図である。
【
図6】実装機の部品供給部に配置される部品供給装置としてのスティックフィーダーを概略的に示す図である。
【
図7】作業管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】作業管理システムの記憶部に記憶される作業量情報を説明するための図である。
【
図9】作業管理システムの記憶部に記憶される作業者能力情報を説明するための図である。
【
図10】作業管理システムの部品補給管理部及び付随作業管理部による作業管理制御動作を説明するための図である。
【
図11】作業管理システムの作業数特定部により生成される作業数特定情報を説明するための図である。
【
図12】作業管理システムの作業領域設定部及び移動経路設定部による設定制御動作を説明するための図である。
【
図13】作業管理システムの作業者誘導部により生成される作業者誘導情報を説明するための図である。
【
図14】移動経路設定部による設定制御動作の第1変形例を説明するための図である。
【
図15】移動経路設定部による設定制御動作の第1変形例を説明するための図である。
【
図16】移動経路設定部による設定制御動作の第2変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る作業管理システム及び部品実装システムについて図面に基づいて説明する。
【0029】
[部品実装システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装システム1の構成を概略的に示す図である。部品実装システム1は、複数の部品実装ライン2A,2B,2Cと、作業管理システム3と、実装機動作管理装置4とを備える。実装機動作管理装置4は、作業管理システム3とデータ通信可能に接続され、複数の部品実装ライン2A,2B,2Cにおける部品搭載基板の生産を管理する管理装置である。
【0030】
複数の部品実装ライン2A,2B,2Cの各々は、複数の実装機20が連結されて構成されている。各実装機20は、実装機20間において基板を搬送する第1連結コンベア23A及び第2連結コンベア23Bによって、直線状に並ぶように連結される。
図1に示す例では、3つの部品実装ライン2A,2B,2Cの各々において、6台の実装機20が連結されている。6台の実装機20は、第1連結コンベア23Aによって連結される2台を1組とし、それらの実装機20の各組の間が第2連結コンベア23Bによって連結されている。つまり、6台の実装機20は、各部品実装ライン2A,2B,2Cの一端から他端に向かって順番に、第1連結コンベア23Aと第2連結コンベア23Bとによって交互に連結されている。第1連結コンベア23Aは固定式のコンベアであり、第2連結コンベア23Bは跳ね上げ可能な可動式のコンベアである。第2連結コンベア23Bは、各部品実装ライン2A,2B,2Cに直交する方向に延びる軸回りに上方に回動することにより、跳ね上げられる。
【0031】
<実装機の構成>
まず、
図2を参照して実装機20の構成を説明する。
図2は、実装機20の構成を示す平面図である。なお、以下では、方向関係についてはXY直交座標軸を用いて説明する。X軸方向の一方向側を「+X側」と称し、X軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-X側」と称する。また、Y軸方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-Y側」と称する。
【0032】
実装機20は、基板Pに部品を搭載して部品搭載基板を生産する装置である。なお、実装機20による部品の搭載前において基板Pには、塗布装置29Cによって接着剤が塗布される。また、実装機20による部品の搭載前において基板Pには、印刷機によって半田ペーストのパターンが印刷されている。実装機20は、本体フレーム21と、移動フレーム22と、コンベア23と、部品供給部24と、ヘッドユニット25と、第1駆動機構26と、第2駆動機構27と、基板支持装置28とを備える。
【0033】
本体フレーム21は、実装機20を構成する各部が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。コンベア23は、基板PをX軸方向に搬送する。コンベア23上を搬送される基板Pは、所定の作業位置(基板P上に部品が搭載される部品搭載位置)に、基板支持装置28によって位置決めされるようになっている。基板支持装置28は、バックアップピンにより基板Pを支持することにより、当該基板Pを位置決めする。なお、バックアップピンは、作業者によってバックアップピン準備装置29Aを用いて準備される。
【0034】
部品供給部24は、本体フレーム21におけるY軸方向の+Y側及び-Y側の領域部分にそれぞれ、X軸方向に2箇所ずつ合計4箇所に配置される。部品供給部24は、基板Pに搭載される部品を供給するものであり、複数の部品供給装置が並設される。部品供給部24に配置される部品供給装置については後述する。
【0035】
移動フレーム22は、X軸方向に延び、本体フレーム21に、所定の移動方向(Y軸方向)に移動可能に支持される。この移動フレーム22にヘッドユニット25が搭載されている。ヘッドユニット25は、X軸方向に移動可能となるように、移動フレーム22に搭載される。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム22の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム22に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給部24とコンベア23により搬送された基板Pの所定の作業位置とにわたって移動可能とされ、部品供給部24から部品を取り出すとともに、その取り出した部品を基板P上に搭載(実装)する。
【0036】
ヘッドユニット25は、吸着ノズル251を備えている。吸着ノズル251は、部品供給部24により供給された部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル251は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル251に負圧が供給されることで当該吸着ノズル251による部品の吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。なお、吸着ノズル251は、作業者によってノズル準備装置29Bを用いて準備される。
【0037】
第1駆動機構26は、本体フレーム21の+X側及び-X側の端部に配設される。第1駆動機構26は、移動フレーム22をY軸方向に移動させる機構である。第1駆動機構26は、例えば、駆動モーターと、Y軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、移動フレーム22に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第1駆動機構26は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、移動フレーム22をY軸方向に移動させる。
【0038】
第2駆動機構27は、移動フレーム22に配設される。第2駆動機構27は、ヘッドユニット25を移動フレーム22に沿ったX軸方向に移動させる機構である。第2駆動機構27は、第1駆動機構26と同様に、例えば、駆動モーターと、X軸方向に延び、駆動モーターに連結されるボールねじ軸と、ヘッドユニット25に配設されてボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。このような構成の第2駆動機構27は、駆動モーターによるボールねじ軸の回転駆動に伴ってボールナットがボールねじ軸に沿って進退することにより、ヘッドユニット25をX軸方向に移動させる。
【0039】
<部品供給装置について>
部品供給部24に並設される部品供給装置は、部品供給方式の違いにより、テープフィーダー、トレイフィーダー及びスティックフィーダーに大別される。実装機20の各部品供給部24には、部品供給方式が同一の1種の部品供給装置が配置されていてもよいし、部品供給方式が異なる2種以上の部品供給装置がそれぞれ配置されていてもよい。
【0040】
(テープフィーダー)
まず、部品供給装置としてのテープフィーダーは、部品収納部材としてのリールに、部品を所定間隔おきに収納した部品収納テープが巻回され、そのリールから部品収納テープが送出されるように構成されている。テープフィーダーは、一般的に、スプライシングフィーダーと自動ローディングフィーダー(AF)とに大別される。スプライシングフィーダーは、1本のリールが装着されるように構成されており、そのリールからの部品収納テープの送出が完了して部品切れになる前に、当該部品収納テープから後続の部品収納テープへと移行させるために、先行する部品収納テープの末端部と後続の部品収納テープの先端部との間をスプライシングテープ等で貼り付けて両者を接続する。すなわち、スプライシングフィーダーでは、1本のリールからの部品収納テープの送出が完了して部品切れになる前に、スプライシングテープ等で貼り付けるスプライシング作業が行われるので、後続の部品収納テープが巻回されたリールの補給タイミングは、先行の部品収納テープが部品切れになるまでの当該先行の部品収納テープの送出が完了したときに拘束される。
【0041】
一方、AFは、複数のリールが装着可能に構成されており、複数のリールのうち、部品供給が先行して行われる部品収納テープ(以下、「先行の部品収納テープ」という)が巻回された先行のリールからの部品収納テープの送出が完了すると、スプライシング作業を行うことなく自動的に、後続する部品収納テープが巻回された後続のリールから部品収納テープが送出される。すなわち、AFにおいて、新たなリールの補給タイミングは、先行の部品収納テープが巻回された先行のリールからの部品収納テープの送出が完了したときに拘束されることなく、スプライシングフィーダーに比べて自由度がある。
【0042】
本実施形態では、部品供給部24に配置されるテープフィーダーとしては、スプライシングフィーダーとAFとが混在しても構わないが、部品収納部材としてのリールを複数装着可能なAFが、部品供給装置として複数配置されている。この部品供給装置としてのAFからなるテープフィーダーについて、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3はAF241の構成を概略的に示す図であり、
図4はAF241に装着される部品収納テープ243を示す斜視図である。
【0043】
部品供給部24においてAF241は、台車242に配置される。台車242には、部品収納テープ243が巻回された複数のリール2420の装着が可能である。AF241は、複数のリール2420の各々に巻回された部品収納テープ243をそれぞれ装着可能である。つまり、AF241は、複数の部品収納テープ243を装着可能である。
【0044】
AF241の構成を説明するに先立って、
図4を参照して部品収納テープ243を説明する。部品収納テープ243は、キャリアテープ2431とカバーテープ2434とからなる。キャリアテープ2431は、部品Eを収納する部品収納部2433が所定の間隔をおいて複数配列されたテープである。また、キャリアテープ2431には、その幅方向一端部に、後述するAF241における第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの歯部と嵌合し、第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aにより部品収納テープ243を送出させるための搬送力が伝達される搬送力伝達孔2432が所定の間隔を有して配列されている。カバーテープ2434は、部品収納部2433を覆うようにキャリアテープ2431に貼付されたテープである。
【0045】
図3に示すように、AF241は、部品供給部24に設けられたフィーダー取付部2417Aに取り付けられている。詳しくは、部品供給部24には、フィーダー取付部2417Aと、リール支持部2419とが設けられている。フィーダー取付部2417Aには、フィーダー取付ベースと、フィーダー取付ベース上にX軸方向に一定間隔で並びかつY軸方向に互いに平行に延びる複数のスロット2417Bと、これらスロット2417Bよりも前側の位置でX軸方向に延びる固定台2417Cとが設けられている。そして、各スロット2417BにAF241がセットされ、各AF241が固定台2417Cに固定されている。これにより、部品供給部24において複数のAF241が台車242に並設されている。
【0046】
リール支持部2419は、フィーダー取付部2417Aの後方下側に位置しており、リール2420を回転可能に支持する第1リールホルダ2419A及び第2リールホルダ2419Bを、上下方向に互いに離間した状態で支持する。第1リールホルダ2419A及び第2リールホルダ2419Bの各々に支持されるリール2420には、部品収納テープ243が巻回されている。
【0047】
AF241は、フィーダー本体2411を備えている。AF241は、スロット2417Bにフィーダー本体2411が挿入(セット)された状態で、固定台2417Cに固定されている。フィーダー本体2411には、第1テープ送出部2412を構成する第1スプロケット2412Aと、その第1スプロケット2412Aに対してリール支持部2419から離れるようにY軸方向に離間した、第2テープ送出部2413を構成する第2スプロケット2413Aとが、回転可能に支持されている。第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aはそれぞれ、周方向に所定の間隔を有して配列した複数の歯部を備える。第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの歯部は、部品収納テープ243のキャリアテープ2431に形成された搬送力伝達孔2432と嵌合可能である。
【0048】
第1リールホルダ2419A及び第2リールホルダ2419Bの各々に支持されるリール2420に巻回された部品収納テープ243は、リール支持部2419の上端に配設されたガイドローラー2418にガイドされつつ第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aに導かれる。搬送力伝達孔2432が第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの歯部と嵌合された部品収納テープ243は、第1スプロケット2412A及び第2スプロケット2413Aの回転により送出され、部品供給位置P1で部品Eの取り出しが行われる。
【0049】
AF241は、更に、フィーダー本体2411の後端部に着脱可能に固定されたテープ支持部材2414と、フィーダー本体2411の後部上面に配置された操作入力部2415と、第1、第2テープ検知センサ2416A、2416Bと、を備えている。
【0050】
テープ支持部材2414は、
図3に示すように、フィーダー本体2411の内部において部品収納テープ243が走行するテープ走行通路2414Aの後端部分を、上下の2つの通路(上側通路2414AA、下側通路2414AB)に分けるとともに、上側通路2414AAを通過する部品収納テープ243を下側から支持するものである。詳しくは、テープ走行通路2414Aの後端部分は、その前方から後方に向かって上下方向に広がる形状とされている。テープ支持部材2414は、フィーダー本体2411の後方からテープ走行通路2414A内に挿入され、当該フィーダー本体2411に着脱可能に固定されている。これにより、テープ走行通路2414Aの後端部分が、テープ支持部材2414によって上側通路2414AAと下側通路2414ABとに分けられている。
【0051】
第1テープ検知センサ2416A及び第2テープ検知センサ2416Bは、テープ走行通路2414Aに臨む状態で設けられており、テープ走行通路2414Aを通過する部品収納テープ243の有無を検出する。より具体的には、第1テープ検知センサ2416Aは、上側通路2414AAと下側通路2414ABとの合流地点よりも前方であってテープ走行通路2414Aに下方から臨む位置に設けられている。一方、第2テープ検知センサ2416Bは、上側通路2414AAに上方から臨む位置に設けられており、これにより、上側通路2414AAにおける部品収納テープ243の有無を検知する。
【0052】
操作入力部2415は、作業者が必要に応じて部品収納テープ243の送出及び逆送を行うものである。
【0053】
以上のように構成されるAF241の部品供給動作は、次の通りである。まず準備作業として、作業者は、リール支持部2419の下段の第1リールホルダ2419Aに先行する部品収納テープ243が巻回されたリール2420を取り付け、そのリール2420に巻回された部品収納テープ243の先端部をフィーダー本体2411の後方から上側通路2414AAに挿入する。これにより、先行する部品収納テープ243の先端部は、第1スプロケット2412Aと嵌合された状態で、テープ支持部材2414により支持される。その後、作業者は、操作入力部2415を操作し、第1スプロケット2412Aを回転させる指示を入力して部品収納テープ243を送出させ、部品供給テープ243の先端部を第2スプロケット2413Aと嵌合させる。
【0054】
上記の準備作業が終了した状態で、AF241の部品供給動作が開始される。AF241において、第2スプロケット2413Aは回転し、これにより部品収納テープ243を送出する。なお、第1スプロケット2412Aは空転するように構成されており、このとき、第2スプロケット2413Aを回転させるのみで部品収納テープ243を送出することができる。
【0055】
次に、リール2420から先行する部品収納テープ243が送出されている状態で、作業者は、フィーダー本体2411からテープ支持部材2414を取り外す。テープ支持部材2414が取り外されると、部品収納テープ243がその自重によってテープ走行通路2414A底面部に変位する。これにより、先行する部品収納テープ243の第1スプロケット2412Aとの嵌合が解除される。このとき、部品収納テープテープ243は、第2スプロケット2413Aと嵌合されているので、第1スプロケット2412Aとの嵌合が解除されても、第2スプロケット2413Aの回転により送出され続ける。
【0056】
次に、リール2420から先行する部品収納テープ243が送出されている状態で、作業者は、テープ支持部材2414をフィーダー本体2411に装着し、先行する部品収納テープ243が巻回されたリール2420を下段の第1リールホルダ2419Aから上段の第2リールホルダ2419Bに移動させる。次に、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から先行する部品収納テープ243が送出されている状態で、作業者は、後続する部品収納テープが巻回されたリールを下段の第1リールホルダ2419Aに取り付け、その部品収納テープの先端部をフィーダー本体2411の後方から上側通路2414AAに挿入する。これにより、後続する部品収納テープの先端部は、第1スプロケット2412と嵌合された状態で、テープ支持部材2414により支持される。このようにして、リール2420に巻回される先行の部品収納テープ243の部品切れが発生していない状態で、後続の部品収納テープが巻回されたリールを装着することができる。
【0057】
その後、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から、先行する部品収納テープ243が全て引き出され、その後端が第2テープ検知センサ2416Bの位置を通過して、先行する部品収納テープ243が無いことが検知されると、下段の第1リールホルダ2419Aに支持されたリール2420からの、後続する部品収納テープの送出が自動的に開始される。そして、作業者は、部品切れとなったリール2420を上段の第2リールホルダ2419Bから取り外し、後続する部品収納テープが巻回されたリールを下段の第1リールホルダ2419Aから上段の第2リールホルダ2419Bに移動させる。このとき、作業者は、部品収納テープが巻回された新たなリールを、AF241に対して補給することができる。AF241に対して補給された新たなリールは、作業者によって下段の第1リールホルダ2419Aに取り付けられる。ここで、新たなリールの部品補給作業のタイミングは、先行する部品収納テープ243が巻回されたリール2420が部品切れとなるときに拘束されることはなく、作業計画システム3によって特定される。
【0058】
なお、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から先行する部品収納テープ243が送出され、下段の第1リールホルダ2419Aに支持されたリールに巻回された後続する部品収納テープの先端部が上側通路2414AAに挿入された状態では、新たなリールの装着が不能である。一方、上段の第2リールホルダ2419Bに支持されたリール2420から、先行する部品収納テープ243が全て引き出され、下段の第1リールホルダ2419Aに支持されたリールからの、後続する部品収納テープの送出が自動的に開始され、下段の第1リールホルダ2419Aに支持されたリールが上段の第2リールホルダ2419Bに移動させられた状態では、新たなリールの下段の第1リールホルダ2419Aへの装着が可能である。
【0059】
(トレイフィーダー)
次に、部品供給装置としてのトレイフィーダーについて、
図5を参照して説明する。
図5は、トレイフィーダー245の構成を概略的に示す図である。部品供給部24には、複数のトレイフィーダー245が並設可能である。トレイフィーダー245は、1つのマガジン2453がカバー体2451内を上下方向に移動可能に構成されている。このマガジン2453には、複数の第1パレット2454と、複数の第2パレット2455と、複数の第3パレット2456とが収容されている。
【0060】
各第1パレット2454には、複数の部品が保持された少なくとも1つの第1トレイTR1が載置されている。第1トレイTR1に保持される部品は、第1パレット2454ごとに同じ種類の部品である。同様に、各第2パレット2455には、複数の部品が保持された少なくとも1つの第2トレイTR2が載置されている。第2トレイTR2に保持される部品は、第2パレット2455ごとに同じ種類の部品である。但し、第2トレイTR2に保持される部品は、第1トレイTR1に保持される部品とは種類が異なる。また、各第3パレット2456には、複数の部品が保持された少なくとも1つの第3トレイTR3が載置されている。第3トレイTR3に保持される部品は、第3パレット2456ごとに同じ種類の部品である。但し、第3トレイTR3に保持される部品は、第1トレイTR1及び第2トレイTR2の各々に保持される部品とは種類が異なる。
【0061】
第1パレット2454、第2パレット2455、及び第3パレット2456の各々は、複数の部品が保持されたトレイTR1,TR2,TR3が載置される、部品収納部材としての機能を有する。マガジン2453に収容された第1パレット2454、第2パレット2455、及び第3パレット2456の各々は、部品搭載基板の生産時に、カバー体2451から外方に突出して設けられたテーブル2452に移動され、移動した第1パレット2454、第2パレット2455、または第3パレット2456上のトレイTR1、TR2、またはTR3に保持された状態で部品が供給される。
【0062】
部品搭載基板の生産中において、複数の第1パレット2454のうちの1つの第1パレット2454に載置された第1トレイTR1に保持された部品が部品切れになったとしても、他の第1パレット2454がテーブル2452に移動され、移動した第1パレット2454上の第1トレイTR1に保持された状態で部品が供給される。このとき、作業者は、部品搭載基板の生産中において、部品切れとなった第1パレット2454をカバー体2451から取り出し、新たな第1パレットをトレイフィーダー245に対して補給することができる。同様に、部品搭載基板の生産中において、複数の第2パレット2455のうちの1つの第2パレット2455に載置された第2トレイTR2に保持された部品が部品切れになったとしても、他の第2パレット2455がテーブル2452に移動され、移動した第2パレット2455上の第2トレイTR2に保持された状態で部品が供給される。このとき、作業者は、部品搭載基板の生産中において、部品切れとなった第2パレット2455をカバー体2451から取り出し、新たな第2パレットをトレイフィーダー245に対して補給することができる。また、部品搭載基板の生産中において、複数の第3パレット2456のうちの1つの第3パレット2456に載置された第3トレイTR3に保持された部品が部品切れになったとしても、他の第3パレット2456がテーブル2452に移動され、移動した第3パレット2456上の第3トレイTR3に保持された状態で部品が供給される。このとき、作業者は、部品搭載基板の生産中において、部品切れとなった第3パレット2456をカバー体2451から取り出し、新たな第3パレットをトレイフィーダー245に対して補給することができる。
【0063】
トレイフィーダー245に対する新たなパレットの部品補給作業に関する管理は、作業管理システム3によって行われる。
【0064】
(スティックフィーダー)
次に、部品供給装置としてのスティックフィーダーについて、
図6を参照して説明する。
図6は、スティックフィーダー246の構成を概略的に示す図である。部品供給部24には、複数のスティックフィーダー246が並設可能である。スティックフィーダー246は、筒状の部品収納部材としてのスティック2469に収納された部品Eを当該スティック2469から押し出しながら供給するように構成されている。スティックフィーダー246は、フレーム本体2461と、このフレーム本体2461の上部に設けられたスティックテーブル2462、第1チャック2463及び第2チャック2464と、部品押し出し機構部2465と、ガイドフレーム2466と、一対のガイドレール2467と、搬送ベルト2468と、を備える。
【0065】
フレーム本体2461は、上部が開口した中空箱形の形状を有している。スティックテーブル2462は、フレーム本体2461の上部内側に配設されている。スティックテーブル2462上には、複数のスティック2469を積層状態で載置することが可能である。第1チャック2463は、スティックテーブル2462上の複数のスティック2469のうちの最下位以外のスティック2469の前端部を同時に保持することが可能である。同様に、第2チャック2464は、スティックテーブル2462上の複数のスティック2469のうちの最下位以外のスティック2469の後端部を同時に保持することが可能である。
【0066】
部品押し出し機構部2465は、スティックテーブル2462上の複数のスティック2469のうち、最下位のスティック2469からその前方に部品Eを押し出す。ガイドフレーム2466は、フレーム本体2461の前部に固定され、このガイドフレーム2466に一対のガイドレール2467が支持されている。そして、一対のガイドレール2467の間に搬送ベルト2468が設けられている。部品押し出し機構部2465により前方に押し出された部品Eは、一対のガイドレール2467に沿って、搬送ベルト2468によって搬送される。これにより、スティック2469に収納された部品Eが、部品供給位置に供給される。
【0067】
部品供給動作に伴い最下位のスティック2469が部品切れとなると、第1及び第2チャック2463,2464が最下位以外のスティック2469を保持する。この状態でスティックテーブル2462がスティック2469の支持を解除する支持解除位置に変位することによって、最下位のスティック2469のみを自重でフレーム本体2461の内底部に落下させるようになっている。なお、部品切れのスティック2469の廃棄後は、スティックテーブル2462がスティック2469の支持位置に復帰し、第1及び第2チャック2463,2464が開放されることにより、スティックテーブル2462上に残りのスティック2469が載置され、次の(最下位の)スティック2469から部品Eの供給が行われる。
【0068】
部品搭載基板の生産中において、部品切れとなったスティック2469がフレーム本体2461の内底部に落下すると、作業者は、新たなスティックをスティックフィーダー246に対して補給することができる。
【0069】
スティックフィーダー246に対する新たなスティックの部品補給作業に関する管理は、作業管理システム3によって行われる。
【0070】
[作業管理システムの構成]
作業管理システム3は、複数の実装機20が連結されて構成される各部品実装システム2A,2B,2Cにおいて、部品搭載基板を生産するための段取り作業の管理を行うシステムである。段取り作業は、部品搭載基板の生産を開始する前、または、生産する基板品種が切換えられるときに、作業者によって行われる作業である。段取り作業としては、実装機20の部品供給部24に、部品搭載基板の生産に必要な部品供給装置を設置する、或いは部品供給装置を交換する作業や、部品供給部24に配置された複数の部品供給装置の各々に対して新たな部品収納部材を補給する部品補給作業、並びに、部品補給作業以外の複数の付随作業が挙げられる。本実施形態では、段取り作業は、部品補給作業と、複数の付随作業とを含む。部品補給作業としては、AF241に対する新たなリールの補給作業、トレイフィーダー245に対する新たなパレットの補給作業、並びにスティックフィーダー246に対する新たなスティックの補給作業が含まれる。
【0071】
付随作業としては、例えば、バックアップピンを準備するピン準備作業、吸着ノズルを準備するノズル準備作業、接着剤補充作業などが挙げられる。ピン準備作業は、基板支持装置28に備えられるバックアップピンに関し、基板品種ごとに、基板Pの支持に適したバックアップピンを準備しておく作業であり、バックアップピン準備装置29Aを用いて行われる。ノズル準備作業は、ヘッドユニット25に備えられる吸着ノズル251に関し、基板品種ごとに、部品の保持に適した吸着ノズル251を準備しておく作業であり、ノズル準備装置29Bを用いて行われる。接着剤補充作業は、基板Pに対する部品接着用の接着剤を塗布装置29Cに補充する作業である。
【0072】
なお、
図2に示すように、実装機20には、作業者による段取り作業が行われる作業位置WP1,WP2が設定されている。本実施形態では、実装機20には、実装機20の-Y側に位置する第1作業位置WP1と、実装機20の+Y側に位置する第2作業位置WP2とが設定されている。第1作業位置WP1は、実装機20において-Y側に配置された部品供給部24に並設される部品供給装置に対する部品補給作業と、バックアップピン準備装置29Aを用いたピン準備作業と、ノズル準備装置29Bを用いたノズル準備作業と、塗布装置29Cに対する接着剤補充作業とを含む段取り作業が行われる作業位置である。第2作業位置WP2は、実装機20において+Y側に配置された部品供給部24に並設される部品供給装置に対する部品補給作業が行われる作業位置である。
【0073】
図7は、作業管理システム3の構成を示すブロック図である。作業管理システム3は、
図1に示すように、実装機動作管理装置4とデータ通信可能に接続されている。また、作業管理システム3は、例えばマイクロコンピュータを含み、
図7に示すように、データ通信部31と、操作部32と、表示部33と、記憶部34と、制御部35とを備える。
【0074】
操作部32は、タッチパネル、テンキー、スタートキー及び設定キー等を備え、作業管理システム3に対する作業者の操作や各種の設定を受付ける。表示部33は、後述の制御部35の作業領域設定部358及び移動経路設定部359により設定された情報や、作業者誘導部360により生成された情報などを表示する。データ通信部31は、実装機動作管理装置4を含む外部装置とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路である。データ通信部31は、実装機動作管理装置4から送信される情報を取得し、その取得した情報を制御部35に与える。また、データ通信部31は、作業領域設定部358、移動経路設定部359及び作業者誘導部360により生成される情報が制御部35から与えられ、その情報を実装機動作管理装置4などの外部装置に送信(出力)する。
【0075】
ここで、実装機動作管理装置4は、複数の実装機20が連結される各部品実装ライン2A,2B,2Cに近設され、実装機20の基板作成動作、即ち、基板の搬送動作、基板への部品搭載動作等を管理するための装置である。実装機動作管理装置4は、例えばマイクロコンピュータからなる。作業者は、実装機動作管理装置4を操作し、実装機20の部品搭載動作を制御させる。
【0076】
記憶部34は、作業量情報と作業者能力情報とを記憶する。
図8は作業量情報JH1を説明するための図であり、
図9は作業者能力情報JH2を説明するための図である。
【0077】
作業量情報JH1は、段取り作業に対して作業量に応じた重み付け係数が付された情報であり、段取り作業ごとの作業量を表す情報である。具体的には、作業量情報JH1は、
図8に示すように、作業種情報J11と、作業識別情報J12と、重み付け係数J13と、換算作業数情報J14とが関連付けられた情報である。作業種情報J11は、段取り作業の「作業種」を表す情報である。作業識別情報J12は、段取り作業を識別するための「作業ID」を表す情報である。重み付け係数J13は、段取り作業ごとの作業量に応じた重み付け量を表す係数である。換算作業数情報J14は、段取り作業ごとの「1作業当たりの換算作業数」を表す情報であり、重み付け係数J13に基づき換算された情報である。
【0078】
例えば、作業種情報J11が「リール補給作業」として表されるAF241に対する新たなリールの補給作業の換算作業数情報J14「N1」が「1」であり、作業種情報J11が「パレット補給作業」として表されるトレイフィーダー245に対する新たなパレットの補給作業の換算作業数情報J14「N2」が「2」である場合を想定する。この場合、1回の「リール補給作業」を行うときには作業数が「1」であるとカウントされるのに対し、1回の「パレット補給作業」を行うときには作業数が「2」であるとカウントされる。つまり、2回の「リール補給作業」と1回の「パレット補給作業」とが、同じ作業量として扱われる。
【0079】
作業者能力情報JH2は、
図9に示すように、作業者識別情報J21と、前記作業種情報J11と、前記作業識別情報J12と、作業能力情報J22とが関連付けられた情報である。作業者識別情報J21は、作業者を識別するための「作業者ID」を表す情報である。作業能力情報J22は、作業者の各段取り作業に対する「作業能力」を表す情報である。
【0080】
作業管理システム3の制御部35は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部35は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することによりデータ通信部31、操作部32、表示部33及び記憶部34を制御するとともに、段取り作業の管理に関する各種情報を生成する。制御部35は、
図7に示すように、通信制御部351と、操作制御部352と、表示制御部353と、取得部354と、部品補給管理部355と、付随作業管理部356と、作業数特定部357と、作業領域設定部358と、移動経路設定部359と、作業者誘導部360と、を含む。
【0081】
通信制御部351は、データ通信部31による実装機動作管理装置4などの外部装置とのデータ通信を制御する。操作制御部352は、操作部32を制御する。表示制御部353は、表示部33による情報の表示動作を制御する。
【0082】
<作業管理システムにおける段取り作業の管理に関する制御動作>
(作業管理制御動作について)
図7に加えて
図10を参照して、制御部35における取得部354、部品補給管理部355及び付随作業管理部356を説明する。
図10は、作業管理システム3の部品補給管理部355及び付随作業管理部356による作業管理制御動作を説明するための図である。
図10は、第1生産期間TW01において第1の基板品種の部品搭載基板が生産され、その後、基板品種が切換えられて、第2生産期間TW02において第2の基板品種の部品搭載基板が生産される例を示している。また、
図10では、第1生産期間TW01において、各部品実装ライン2A,2B,2Cにおける各実装機20の部品供給部24に並設された複数の部品供給装置のうち、2台のAF241、1台のトレイフィーダー245、及び1台のスティックフィーダー246から部品を供給し、部品搭載基板を生産する例が示されている。更に、
図10では、第2生産期間TW02において部品搭載基板を生産するために、接着剤補充作業、ピン準備作業及びノズル準備作業の、3種の付随作業を、第1生産期間TW01の間に行う例が示されている。
【0083】
取得部354は、AF241、トレイフィーダー245及びスティックフィーダー246の各々に対する部品補給作業、並びに、接着剤補充作業、ピン準備作業及びノズル準備作業を含む段取り作業の管理の開始時刻を表す管理開始時刻TSを取得する。取得部354は、第1生産期間TW01での部品搭載基板の生産を開始する時刻を管理開始時刻TSとして取得してもよいし、管理開始を指令する指令情報が操作部32を介して入力された場合に、その指令情報が入力された時刻を管理開始時刻TSとして取得してもよい。
【0084】
部品補給管理部355は、AF241、トレイフィーダー245及びスティックフィーダー246の各々に対する部品補給作業の計画を管理する。部品補給作業としては、AF241に対して新たなリールを補給する部品補給作業、トレイフィーダー245に対して新たなパレットを補給する部品補給作業、並びにスティックフィーダー246に対して新たなスティックを補給する部品補給作業が含まれる。なお、以下では、AF241、トレイフィーダー245及びスティックフィーダー246を総称するときには、「部品供給装置241,245,246」と称し、リール、パレット及びスティックを総称するときには、「部品収納部材」と称する。また、2台のAF241を区別するときには、「第1AF241、第2AF241」と称する。
【0085】
まず、部品補給管理部355は、部品供給装置241,245,246の各々における部品Eの供給状況を監視し、部品補給作業が可能な期間を表す補給可能期間を、部品供給装置241,245,246ごとに特定する。
図10に示す例では、第1AF241に対しては補給可能期間TWSAが特定され、第2AF241に対しては補給可能期間TWSBが特定され、トレイフィーダー245に対しては補給可能期間TWSCが特定され、スティックフィーダー246に対しては補給可能期間TWSDが特定されている。
【0086】
補給可能期間TWSA~TWSDの各々における最も早い時刻(以下、「最早時刻」という)は、部品供給装置241,245,246に装着された複数の部品収納部材のうちの、部品供給が先行して行われる先行の部品収納部材が部品切れとなる時刻である。先行の部品収納部材が部品切れとなると、新たな部品収納部材の補給が可能となる。また、補給可能期間TWSA~TWSDの各々における最も遅い時刻(以下、「最遅時刻」という)は、部品供給装置241,245,246に装着された複数の部品収納部材の合計部品残数が所定の部品残数警告値に達する時刻である。
【0087】
次に、部品補給管理部355は、部品供給装置241,245,246において、部品補給作業の対象となる部品補給対象装置を特定する。具体的には、部品補給管理部355は、補給可能期間TWSA~TWSDの各々で重複する作業管理期間を認識する。
図10に示す例では、部品補給管理部355は、第1AF241の補給可能期間TWSAと、第2AF241の補給可能期間TWSBと、トレイフィーダー245の補給可能期間TWSCとで重複する期間として、作業管理期間TWDを認識している。作業管理期間TWDの最も早い時刻(最早時刻)は、トレイフィーダー245の補給可能期間TWSCの最早時刻T1に一致し、作業管理期間TWDの最も遅い時刻(最遅時刻)は、第1AF241の補給可能期間TWSAにおける最遅時刻T2に一致している。そして、部品補給管理部355は、作業管理期間TWD内で部品補給作業が可能な全ての部品供給装置を、部品補給対象装置として特定する。
図10に示す例では、部品補給管理部355は、作業管理期間TWD内で部品補給作業が可能な部品補給対象装置として、第1AF241、第2AF241及びトレイフィーダー245を特定する。
【0088】
このように、部品補給管理部355は、作業管理期間TWD内で部品補給作業が可能な全ての部品供給装置を、部品補給対象装置として特定する。これにより、作業管理期間TWD内で部品収納部材を補給可能な部品供給装置241,245,246に対しては、作業者による部品補給作業をまとめて行う、「まとめ補給」が可能となる。このため、各部品実装ライン2A,2B,2Cにおいて、各実装機20の作業位置WP1,WP2に作業者が行く頻度を低減することができ、作業者による段取り作業の負荷を軽減することができる。
【0089】
更に、部品補給管理部355は、部品補給対象装置として特定した第1AF241、第2AF241及びトレイフィーダー245に対して同一の、作業管理期間TWD内での部品補給作業の補給作業タイミングTHを特定する。部品補給管理部355は、作業管理期間TWD内での補給作業タイミングTHとして、作業管理期間TWDの最早時刻T1を特定することが望ましい。作業管理期間TWD内で最も早い時刻となる最早時刻T1を補給作業タイミングTHとすることによって、作業者は、時間的な余裕がある状態で、第1AF241、第2AF241及びトレイフィーダー245に対する部品補給作業を行うことができる。
【0090】
付随作業管理部356は、接着剤補充作業、ピン準備作業及びノズル準備作業の各々の付随作業の計画を管理する。
【0091】
まず、付随作業管理部356は、各付随作業の作業開始から作業終了までの作業時間に基づいて、付随作業ごとに作業開始推奨期間を特定する。なお、各付随作業の作業開始から作業終了までの作業時間は、付随作業ごとに経験的に予め求められている。各付随作業において、作業開始推奨期間は、作業開始を推奨する期間である。
図10に示す例では、接着剤補充作業に対しては作業開始推奨期間TWC1が特定され、ピン準備作業に対しては作業開始推奨期間TWC2が特定され、ノズル準備作業に対しては作業開始推奨期間TWC3が特定されている。各付随作業における作業開始推奨期間TWC1~TWC3の時間間隔は、一定の所定時間TCに設定される。つまり、接着剤補充作業の作業開始推奨期間TWC1の最も早い時刻(最早時刻)TC11から所定時間TC経過後の時刻が、作業開始推奨期間TWC1の最も遅い時刻(最遅時刻)TC12となる。同様に、ピン準備作業の作業開始推奨期間TWC2の最早時刻TC21から所定時間TC経過後の時刻が、作業開始推奨期間TWC2の最遅時刻TC22となる。また、ノズル準備作業の作業開始推奨期間TWC3の最早時刻TC31から所定時間TC経過後の時刻が、作業開始推奨期間TWC3の最遅時刻TC32となる。
【0092】
また、付随作業管理部356は、作業開始推奨期間TWC1~TWC3の最遅時刻TC12,TC22,TC32から各付随作業を開始したときに、作業が終了すると想定される作業終了想定時刻TCEAを、付随作業ごとに特定する。各付随作業における作業終了想定時刻TCEAは、各作業開始推奨期間TWC1~TWC3の最遅時刻TC12,TC22,TC32から所定の作業時間が経過した時刻である。
図10に示す例では、接着剤補充作業に対しては、作業開始推奨期間TWC1の最遅時刻TC12から作業時間WT1が経過した時刻が作業終了想定時刻TCEAとして特定されている。また、ピン準備作業に対しては、作業開始推奨期間TWC2の最遅時刻TC22から作業時間WT2が経過した時刻が作業終了想定時刻TCEAとして特定されている。また、ノズル準備作業に対しては、作業開始推奨期間TWC3の最遅時刻TC32から作業時間WT3が経過した時刻が作業終了想定時刻TCEAとして特定されている。
【0093】
各付随作業の作業終了想定時刻TCEAは、部品搭載基板の生産における基板品種の切換えタイミングTPと一致するように設定される。換言すると、各付随作業における作業開始推奨期間TWC1~TWC3の最遅時刻TC12,TC22,TC32は、作業終了想定時刻TCEAが基板品種の切換えタイミングTPと一致するように設定される。なお、基板品種の切換えタイミングTPは、第1生産期間TW01と第2生産期間TW02とを区画するタイミングである。
【0094】
次に、付随作業管理部356は、各付随作業において、作業開始推奨期間TWC1~TWC3に作業管理期間TWDの最早時刻が含まれる全ての付随作業を、作業管理期間TWD内で作業を開始させる対象となる開始対象作業として特定する。
図10に示す例では、付随作業管理部356は、作業管理期間TWDの最早時刻T1が含まれる作業開始推奨期間TWC1~TWC3が設定された接着剤補充作業、ピン準備作業及びノズル準備作業を、作業管理期間TWD内で作業を開始させる開始対象作業として特定する。
【0095】
このように、付随作業管理部356は、付随作業ごとに特定された作業開始推奨期間TWC1~TWC3に作業管理期間TWDの最早時刻T1が含まれる全ての付随作業を、開始対象作業として特定する。この開始対象作業は、作業管理期間TWD内で作業を開始させる対象となる付随作業である。つまり、開始対象作業として特定された付随作業は、部品補給作業の「まとめ補給」と同じ期間の作業管理期間TWD内において、作業の開始が可能となる。このため、作業者による、部品補給作業に加えて付随作業を含んだ段取り作業の負荷を軽減することができる。
【0096】
更に、付随作業管理部356は、開始対象作業として特定した付随作業に対して同一の作業開始タイミングを特定する。付随作業管理部356は、部品補給管理部355により特定された補給作業タイミングを、作業開始タイミングとして特定する。
図10に示す例では、作業管理期間TWD内での開始対象作業として特定された接着剤補充作業、ピン準備作業及びノズル準備作業に対しては、補給作業タイミングTHと同一のタイミングが、作業開始タイミングTSとして特定されている。これにより、作業者は、作業管理期間TWDにおいて、第1AF241、第2AF241及びトレイフィーダー245に対する部品補給作業と、接着剤補充作業、ピン準備作業及びノズル準備作業とを同一のタイミングで、まとめて行うことができる。
【0097】
(作業数特定制御動作について)
次に、制御部35における作業数特定部357による作業数特定制御動作について説明する。作業数特定部357は、各部品実装ライン2A,2B,2Cにおける各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとに、当該作業位置WP1,WP2において行うべき段取り作業の作業数を特定する。
図7に示すように、作業数特定部357は、補給作業数特定部3571と付随作業数特定部3572とを含む。
【0098】
補給作業数特定部3571は、各実装機20の部品供給部24に配置される複数の部品供給装置241,245,246の各々に対する部品補給作業の作業数を、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとに特定する。補給作業数特定部3571は、部品補給管理部355によって、作業管理期間TWD内での部品補給対象装置として作業位置WP1,WP2ごとに特定された部品供給装置241,245,246の数を、当該作業位置WP1,WP2における部品補給作業の作業数として特定する。なお、部品補給管理部355によって特定される部品補給対象装置は、前述したように、部品供給装置241,245,246ごとに特定された補給可能期間TWSA~TWSDの各々で重複する作業管理期間TWD内で補給作業が可能な装置である。
【0099】
付随作業数特定部3572は、作業管理期間TWD内で実施可能な全ての付随作業の作業数を、各実装機20の作業位置WP1ごとに特定する。付随作業数特定部3572は、付随作業管理部356によって、作業管理期間TWD内での開始対象作業として作業位置WP1ごとに特定された付随作業の数を、当該作業位置WP1における付随作業の作業数として特定する。なお、付随作業管理部356によって特定される開始対象作業は、前述したように、付随作業ごとに特定された作業開始推奨期間TWC1~TWC3に作業管理期間TWDの最早時刻T1が含まれ、作業管理期間TWD内で作業の開始が可能な付随作業である。
【0100】
そして、作業数特定部357は、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの段取り作業の作業数に関する特定結果を表す作業数特定情報を生成して出力する。
図11は、作業数特定部357から出力される作業数特定情報JH3を説明するための図である。
【0101】
作業数特定情報JH3は、部品実装ライン識別情報J31と、実装機識別情報J32と、作業位置情報J33と、前記作業識別情報J12と、作業数情報J34とが関連付けられた情報である。部品実装ライン識別情報J31は、各部品実装ライン2A,2B,2Cを識別するための「部品実装ラインID」を表す情報である。実装機識別情報J32は、各実装機20を識別するための「実装機ID」を表す情報である。作業位置情報J33は、各実装機20の作業位置WP1,WP2を区別するための情報である。作業数情報J34は、作業数特定部357により特定された、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの段取り作業の「作業数」を表す情報である。
【0102】
(作業領域設定制御動作及び移動経路設定制御動作について)
次に、制御部35における作業領域設定部358による作業領域設定制御動作、並びに、移動経路設定部359による移動経路設定制御動作について、
図7に加えて
図12を参照して説明する。
図12は、作業管理システム3の作業領域設定部358及び移動経路設定部359による設定制御動作を説明するための図である。
【0103】
複数の部品実装ライン2A,2B,2Cには、当該各部品実装ライン2A,2B,2Cにおける段取り作業の管理対象の全領域となる作業管理対象領域AR01が設定されている。この作業管理対象領域AR01は、各部品実装ライン2A,2B,2Cが配置される全領域を包含する領域となる。
【0104】
また、取得部354は、作業管理対象領域AR01内での段取り作業を行う作業者の人数を表す作業者数情報を取得する。取得部354は、作業者の人数に関する情報が操作部32を介して入力されると、その情報に基づいて作業者数情報を取得する。
図12は、作業管理対象領域AR01内で段取り作業を行う作業者の人数として、取得部354が「3」を表す作業者数情報を取得した例を示している。なお、
図12では、「3」人の作業者が、第1作業者OP1、第2作業者OP2及び第3作業者OP3として示されている。
【0105】
各作業者OP1,OP2,OP3は、カート100を押しながら作業管理対象領域AR01内を移動し、各実装機20の作業位置WP1,WP2において段取り作業を行う。カート100には、段取り作業を行う際に使用する物品(例えば、部品補給作業用のリール、パレット及びスティックなど)が収容されている。また、カート100には、携帯端末装置101が設けられている。携帯端末装置101は、各作業者OP1,OP2,OP3が携帯するようにされてもよい。この携帯端末装置101には、後述の作業領域設定部358、移動経路設定部359及び作業者誘導部360により生成される情報がデータ通信部31を介して入力され、当該情報が表示される。各作業者OP1,OP2,OP3は、携帯端末装置101に表示される情報を参照しつつ、作業管理対象領域AR01内での段取り作業を行うことができる。
【0106】
作業領域設定部358は、取得部354により取得された作業者数情報と、作業数特定部357から出力された作業数特定情報JH3(
図11参照)とに基づいて、作業管理対象領域AR01を、各部品実装ライン2A,2B,2Cに沿って延びる複数の作業領域AR11,AR12,AR13に区画する。各作業領域AR11,AR12,AR13は、各作業者OP1,OP2,OP3が段取り作業を担当する領域となる。
【0107】
作業領域設定部358は、作業領域AR11,AR12,AR13の数を前記作業者数情報にて表される作業者数と同数に設定する。
図12に示す例では、前記作業者数情報にて表される作業者数が「3」であることに対応して、作業領域AR11,AR12,AR13の数も「3」である。以下では、第1作業者OP1の段取り作業の担当領域となる作業領域AR11を「第1作業領域AR11」と称し、第2作業者OP2の段取り作業の担当領域となる作業領域AR12を「第2作業領域AR12」と称し、第3作業者OP3の段取り作業の担当領域となる作業領域AR13を「第3作業領域AR13」と称する。
【0108】
更に、作業領域設定部358は、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を、作業数特定情報JH3に基づき調整する。作業領域設定部358は、作業数特定情報JH3における、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの作業数を表す作業数情報J34に基づいて、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を調整する。具体的には、作業領域設定部358は、各作業領域AR11,AR12,AR13内における段取り作業の作業数が均等、或いは、ほぼ均等になるように、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を調整する。例えば、前記作業者数情報にて表される作業者数が「3」であり、作業管理対象領域AR01内の各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの作業数の合計値が「24」である場合、作業領域設定部358は、各作業領域AR11,AR12,AR13内における段取り作業の作業数が均等の「8」になるように、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を調整する。
【0109】
作業領域設定部358の作業領域設定制御動作をより詳細に説明すると、以下の通りである。まず、作業領域設定部358は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の-Y側の第1作業位置WP1において、-X側の端部から+X側の端部に向かって順番に作業数特定情報JH3にて表される作業数を加算していく。次に、作業領域設定部358は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の+Y側の第2作業位置WP2において、+X側の端部から-X側の端部に向かって順番に作業数特定情報JH3にて表される作業数を加算していく。作業領域設定部358は、第2部品実装ライン2B及び第3部品実装ライン2Cについても同様にして、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの作業数を加算していく。そして、作業領域設定部358は、各部品実装ライン2A,2B,2Cに沿った、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの作業数の加算値が、作業管理対象領域AR01内の各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの作業数の合計値を作業者数で除算した平均値に達するごとに、第1作業領域AR11、第2作業領域AR12及び第3作業領域AR13を順次設定する。
【0110】
図12に示す例では、第1作業領域AR11の範囲は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の-Y側の第1作業位置WP1の全てが含まれる範囲に調整されている。第1作業領域AR11内の全ての第1作業位置WP1は、作業数特定情報JH3にて表される作業数がゼロではなく、段取り作業の対象となる作業位置とされている。
【0111】
また、第2作業領域AR12の範囲は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の+Y側の第2作業位置WP2と、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の-Y側の第1作業位置WP1と、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の+Y側の第2作業位置WP2との全てが含まれる範囲に調整されている。第2作業領域AR12において、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の+Y側の第2作業位置WP2には、作業数特定情報JH3にて表される作業数がゼロであり、段取り作業の対象外となる作業対象外位置WP2Tが存在している。また、第2作業領域AR12において、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の-Y側の第1作業位置WP1にも、作業数特定情報JH3にて表される作業数がゼロであり、段取り作業の対象外となる作業対象外位置WP1Tが存在している。更に、第2作業領域AR12において、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の+Y側の第2作業位置WP2にも、作業数特定情報JH3にて表される作業数がゼロであり、段取り作業の対象外となる作業対象外位置WP2Tが存在している。なお、
図12では、作業対象外位置WP1T,WP2Tは、ハッチングが付された部分として示され、以下同様である。
【0112】
また、第3作業領域AR13は、第3部品実装ライン2Cにおける各実装機20の-Y側の第1作業位置WP1と、第3部品実装ライン2Cにおける各実装機20の+Y側の第2作業位置WP2との全てが含まれる範囲に調整されている。第3作業領域AR13において、第3部品実装ライン2Cにおける各実装機20の-Y側の第1作業位置WP1には、作業数特定情報JH3にて表される作業数がゼロであり、段取り作業の対象外となる作業対象外位置WP1Tが存在している。また、第3作業領域AR13において、第3部品実装ライン2Cにおける各実装機20の+Y側の第2作業位置WP2にも、作業数特定情報JH3にて表される作業数がゼロであり、段取り作業の対象外となる作業対象外位置WP2Tが存在している。
【0113】
このように、作業領域設定部358は、作業数特定部357から出力される作業数特定情報JH3に基づき、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を調整する。つまり、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲は、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの段取り作業の作業数に基づき調整されたものとなる。これにより、各作業領域AR11,AR12,AR13内での各作業者OP1,OP2,OP3による段取り作業の負荷が調整可能となる。このため、作業者OP1,OP2,OP3ごとの段取り作業の負荷の偏りを抑制し、作業者間での作業負荷の均等化を図ることができる。この結果、複数の部品実装ライン2A,2B,2Cの全体としては、各作業者OP1,OP2,OP3による段取り作業の効率化を図ることが可能となる。
【0114】
また、前述したように、作業数特定部357は、所定の作業管理期間TWD内で実施可能な全ての部品補給作業及び付随作業の作業数を、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとに特定するように構成されている。このように特定された部品補給作業及び付随作業を含む段取り作業の作業数に基づいて、作業領域設定部358は、各作業領域AR11,AR12,AR13の作業数が均等、或いはほぼ均等になるように、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を調整することになる。各作業者OP1,OP2,OP3は、作業数に応じて範囲が調整された各作業領域AR11,AR12,AR13内の各作業位置WP1,WP2において、所定の作業管理期間TWD内で実施可能な全ての部品補給作業及び付随作業を、まとめて行うことができる。これにより、各実装機20の作業位置WP1,WP2に各作業者OP1,OP2,OP3が行く頻度を低減することができ、各作業者OP1,OP2,OP3による段取り作業の負荷を軽減することができる。
【0115】
更に、作業領域設定部358は、作業数特定部357から出力される作業数特定情報JH3に加えて、記憶部34に記憶される作業量情報JH1(
図8参照)と、作業者能力情報JH2の作業能力情報J22(
図9参照)とに基づいて、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を調整するように構成されてもよい。この場合、作業領域設定部358は、作業量情報JH1の換算作業数情報J14にて表される段取り作業の換算作業数、並びに作業能力情報J22にて表される作業者OP1,OP2,OP3の作業能力を加味して、各作業領域AR11,AR12,AR13における作業時間が均等、或いはほぼ均等になるように、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲を調整する。これにより、各作業領域AR11,AR12,AR13の範囲は、各実装機20の作業位置WP1,WP2ごとの段取り作業の作業数に加えて、段取り作業ごとの作業量と各作業者OP1,OP2,OP3の作業能力とに基づき調整されたものとなる。このため、複数の部品実装ライン2A,2B,2Cの全体としては、各実装機20の作業位置WP1,WP2における全ての段取り作業が終了するまでの所要時間の短縮化が可能となる。
【0116】
また、作業領域設定部358は、各作業領域AR11,AR12,AR13の特定結果を示す情報として、
図12に示すような複数の作業者それぞれの作業領域も記載されたイメージ図からなる情報を生成して出力するように構成されていてもよい。この情報は、表示部33に表示されるとともに、データ通信部31を介して実装機動作管理装置4や携帯端末装置101に送信され、その実装機動作管理装置4や携帯端末装置101に表示される。各作業者OP1,OP2,OP3は、携帯端末装置101に表示される情報を参照しつつ、各作業領域AR11,AR12,AR13内での段取り作業を行うことができる。
【0117】
次に、移動経路設定部359は、作業領域設定部358により設定された各作業領域AR11,AR12,AR13内において、各実装機20の各作業位置WP1,WP2にて段取り作業を行う際の各作業者OP1,OP2,OP3の移動経路を、複数の作業領域AR11,AR12,AR13ごとに設定する。
図12に示す例では、第1作業領域AR11内における第1作業者OP1の移動経路として第1移動経路RT1が設定され、第2作業領域AR12内における第2作業者OP2の移動経路として第2移動経路RT2が設定され、第3作業領域AR13内における第3作業者OP3の移動経路として第3移動経路RT3が設定されている。各作業者OP1,OP2,OP3は、移動経路設定部359により設定された各移動経路RT1,RT2,RT3に沿って各作業領域AR11,AR12,AR13内を移動し、各実装機20の作業位置WP1,WP2において段取り作業を行うことができる。
【0118】
移動経路設定部359は、各作業領域AR11,AR12,AR13内の各作業位置WP1,WP2を通り、各部品実装ライン2A,2B,2Cに沿って延びる直線経路部分を含む、交差しない一筆書き状に連続した第1経路を、移動経路RT1,RT2,RT3として設定するように構成されることが望ましい。一筆書き状に連続した第1経路とは、1度通過した経路部分を逆方向に再度通過することがないような経路である。
【0119】
図12に示す例では、第1作業領域AR11内の第1移動経路RT1は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の-Y側の全ての第1作業位置WP1を通り、第1部品実装ライン2Aに沿って-X側の端部から+X側の端部に向かって延びる直線経路部分からなる、一筆書き状の第1経路として設定されている。
【0120】
また、第2作業領域AR12内の第2移動経路RT2は、第1直線経路部分RT21と、第1連結経路部分RT22と、第2直線経路部分RT23と、第2連結経路部分RT24と、第3直線経路部分RT25とを含む、一筆書き状の第1経路として設定されている。第1直線経路部分RT21は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の+Y側の作業対象外位置WP2Tを含む全ての第2作業位置WP2を通り、第1部品実装ライン2Aに沿って+X側の端部から-X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第2直線経路部分RT23は、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の-Y側の作業対象外位置WP1Tを含む全ての第1作業位置WP1を通り、第2部品実装ライン2Bに沿って-X側の端部から+X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第3直線経路部分RT25は、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の+Y側の作業対象外位置WP2Tを含む全ての第2作業位置WP2を通り、第2部品実装ライン2Bに沿って+X側の端部から-X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第1連結経路部分RT22は、第1直線経路部分RT21の-X側の端部と、第2直線経路部分RT23の-X側の端部とを連結し、-Y側から+Y側に向かって延びる経路部分である。第2連結経路部分RT24は、第2直線経路部分RT23の+X側の端部と、第3直線経路部分RT25の+X側の端部とを、第2部品実装ライン2Bの+X側の側縁よりも外側で連結し、-Y側から+Y側に向かって延びる経路部分である。
【0121】
また、第3作業領域AR13内の第3移動経路RT3は、第1直線経路部分RT31と、第1連結経路部分RT32と、第2直線経路部分RT33とを含む、一筆書き状の第1経路として設定されている。第1直線経路部分RT31は、第3部品実装ライン2Cにおける各実装機20の-Y側の作業対象外位置WP1Tを含む全ての第1作業位置WP1を通り、第3部品実装ライン2Cに沿って-X側の端部から+X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第2直線経路部分RT33は、第3部品実装ライン2Cにおける各実装機20の+Y側の作業対象外位置WP2Tを含む全ての第2作業位置WP2を通り、第3部品実装ライン2Cに沿って+X側の端部から-X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第1連結経路部分RT32は、第1直線経路部分RT31の+X側の端部と、第2直線経路部分RT33の+X側の端部とを、第3部品実装ライン2Cの+X側の側縁よりも外側で連結し、-Y側から+Y側に向かって延びる経路部分である。
【0122】
各作業者OP1,OP2,OP3は、一筆書き状という単純な形状の各移動経路RT1,RT2,RT3に沿って各作業領域AR11,AR12,AR13内を移動し、各実装機20の作業位置WP1,WP2において段取り作業を行うことができる。
【0123】
また、移動経路設定部359は、各作業領域AR11,AR12,AR13内での各移動経路RT1,RT2,RT3の特定結果を示す情報として、
図12に示すようなイメージ図からなる情報を生成して出力するように構成されていてもよい。この情報は、表示部33に表示されるとともに、データ通信部31を介して実装機動作管理装置4や携帯端末装置101に送信され、その実装機動作管理装置4や携帯端末装置101に表示される。各作業者OP1,OP2,OP3は、携帯端末装置101に表示される情報を参照しつつ、各移動経路RT1,RT2,RT3に沿って各作業領域AR11,AR12,AR13内を移動し、各実装機20の作業位置WP1,WP2において段取り作業を行うことができる。
【0124】
(作業者誘導制御動作について)
次に、制御部35における作業者誘導部360による作業者誘導制御動作について、
図7に加えて
図13を参照して説明する。
図13は、作業管理システム3の作業者誘導部360により生成される作業者誘導情報JH4を説明するための図である。
【0125】
作業者誘導部360は、各作業領域AR11,AR12,AR13内での各移動経路RT1,RT2,RT3に沿った各作業者OP1,OP2,OP3の移動に応じて、作業者誘導情報JH4を順次生成して出力する。作業者誘導情報JH4は、各作業領域AR11,AR12,AR13内の各作業位置WP1,WP2において、段取り作業の対象となる作業位置WP1,WP2へ各作業者OP1,OP2,OP3を誘導するための情報である。
【0126】
図13に示すように、作業者誘導情報JH4は、例えば、誘導メッセージ情報J41と、誘導作業位置情報J42とを含む。誘導メッセージ情報J41は、例えば、「以下に示す作業位置で段取り作業を行って下さい。」などの文字列からなる情報である。誘導作業位置情報J42は、各作業領域AR11,AR12,AR13内の各移動経路RT1,RT2,RT3に沿って移動する各作業者OP1,OP2,OP3が、段取り作業を行うために向かうべき作業位置WP1,WP2を指示するための情報である。
【0127】
作業者誘導部360から出力された作業者誘導情報JH4は、表示部33に表示されるとともに、データ通信部31を介して実装機動作管理装置4や携帯端末装置101に送信され、その実装機動作管理装置4や携帯端末装置101に表示される。各作業者OP1,OP2,OP3は、携帯端末装置101に表示される作業者誘導情報JH4に従って、段取り作業の対象となる作業位置WP1,WP2へ移動することができる。
【0128】
<移動経路設定制御動作の変形例について>
前述の実施形態では、移動経路設定部359は、各作業領域AR11,AR12,AR13内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在するか否かに関わらず、各作業領域AR11,AR12,AR13内の全ての作業位置WP1,WP2を通る一筆書き状の第1経路を、各移動経路RT1,RT2,RT3として設定するように構成されている。移動経路設定部359は、このような構成に限定されるものではなく、各作業領域AR11,AR12,AR13内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在するか否かに応じて、各移動経路を設定するように構成されていてもよい。このような、移動経路設定部359による移動経路設定制御動作の変形例について、以下に説明する。
【0129】
(移動経路設定制御動作の第1変形例)
図14及び
図15は、移動経路設定部359による移動経路設定制御動作の第1変形例を説明するための図である。
図14及び
図15では、作業領域設定部358により設定された複数の作業領域のうち、1つの作業領域AR11に対する移動経路設定部359の移動経路設定制御動作が示されている。その作業領域AR11の範囲は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の-Y側及び+Y側の第1及び第2作業位置WP1,WP2と、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の-Y側及び+Y側の第1及び第2作業位置WP1,WP2との全てが含まれる範囲に調整されている。
【0130】
前述したように、各部品実装ライン2A,2Bにおける各実装機20は、固定式の第1連結コンベア23Aによって連結される2台を1組とし、それらの実装機20の各組の間が跳ね上げ可能な可動式の第2連結コンベア23Bによって連結されている。作業者は、第2連結コンベア23Bを上方に回動させて跳ね上げることによって、その第2連結コンベア23Bの部分を-Y側から+Y側へと通過することができる。
【0131】
まず、移動経路設定部359は、作業者が通過可能な第2連結コンベア23Bの配置位置を基準として、作業領域AR11を複数の単位領域AR21~AR32に区画する。具体的には、移動経路設定部359は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の-Y側の領域を、-X側の端部から+X側の端部に向かって順番に、第2連結コンベア23Bごとに2箇所の第1作業位置WP1を含む第1単位領域AR21、第2単位領域AR22及び第3単位領域AR23に区画する。また、移動経路設定部359は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の+Y側の領域を、+X側の端部から-X側の端部に向かって順番に、第2連結コンベア23Bごとに2箇所の第2作業位置WP2を含む第4単位領域AR24、第5単位領域AR25及び第6単位領域AR26に区画する。同様に、移動経路設定部359は、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の-Y側の領域を、-X側の端部から+X側の端部に向かって順番に、第2連結コンベア23Bごとに2箇所の第1作業位置WP1を含む第7単位領域AR27、第8単位領域AR28及び第9単位領域AR29に区画する。また、移動経路設定部359は、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の+Y側の領域を、+X側の端部から-X側の端部に向かって順番に、第2連結コンベア23Bごとに2箇所の第2作業位置WP2を含む第10単位領域AR30、第11単位領域AR31及び第12単位領域AR32に区画する。
【0132】
作業領域AR11を第1~第12単位領域AR21~AR32に区画した後、移動経路設定部359は、第1単位領域AR21から第12単位領域AR32に向かって順番に、各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在するか否かを判定する。
【0133】
各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在しない場合、すなわち作業領域AR11内の各作業位置WP1,WP2において作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在しない場合、移動経路設定部359は、前述した一筆書き状の第1経路RTAを、移動経路として設定する(
図14参照)。
【0134】
図14に示す例では、作業領域AR11内に設定された一筆書き状の第1経路RTAは、第1直線経路部分RTA1と、第1連結経路部分RTA2と、第2直線経路部分RTA3と、第2連結経路部分RTA4と、第3直線経路部分RTA5と、第3連結経路部分RTA6と、第4直線経路部分RTA7とを含む。第1直線経路部分RTA1は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の-Y側の全ての第1作業位置WP1を通り、第1部品実装ライン2Aに沿って-X側の端部から+X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第2直線経路部分RTA3は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の+Y側の全ての第2作業位置WP2を通り、第1部品実装ライン2Aに沿って+X側の端部から-X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第3直線経路部分RTA5は、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の-Y側の全ての第1作業位置WP1を通り、第2部品実装ライン2Bに沿って-X側の端部から+X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第4直線経路部分RTA7は、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の+Y側の全ての第2作業位置WP2を通り、第2部品実装ライン2Bに沿って+X側の端部から-X側の端部に向かって延びる直線経路部分である。第1連結経路部分RTA2は、第1直線経路部分RTA1の+X側の端部と、第2直線経路部分RTA3の+X側の端部とを、第1部品実装ライン2Aの+X側の側縁よりも外側で連結し、-Y側から+Y側に向かって延びる経路部分である。第2連結経路部分RTA4は、第2直線経路部分RTA3の-X側の端部と、第3直線経路部分RTA5の-X側の端部とを連結し、-Y側から+Y側に向かって延びる経路部分である。第3連結経路部分RTA6は、第3直線経路部分RTA5の+X側の端部と、第4直線経路部分RTA7の+X側の端部とを、第2部品実装ライン2Bの+X側の側縁よりも外側で連結し、-Y側から+Y側に向かって延びる経路部分である。
【0135】
一方、各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在する場合、すなわち作業領域AR11内の各作業位置WP1,WP2において作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在する場合、移動経路設定部359は、第2経路RTBを移動経路として設定する(
図15参照)。第2経路RTBは、作業対象外位置WP1T,WP2T以外の各作業位置WP1,WP2を通り、且つ交差しない一筆書きが可能な範囲で作業対象外位置WP1T,WP2Tを通らない経路である。
【0136】
図15を参照して詳細に説明すると、以下の通りである。移動経路設定部359は、第1単位領域AR21から第12単位領域AR32に向かって順番に、各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在するか否かを判定する。
【0137】
第1単位領域AR21内には作業対象外位置は存在しないが、第2~第5単位領域AR22~AR25内にはいずれも作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在し、第6単位領域AR26内には再び作業対象外位置が存在しない。このような場合、移動経路設定部359は、一筆書き状に連続した第1直線経路部分RTB1、第1短絡経路部分RTB2、及び第2直線経路部分RTB3を設定する。第1直線経路部分RTB1は、第1単位領域AR21内の各第1作業位置WP1を通り、-X側から+X側に向かって延びる経路部分である。第1短絡経路部分RTB2は、作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在する第2~第5単位領域AR22~AR25を通らず第2連結コンベア23Bを通過するように、第1直線経路部分RTB1の+X側の端部から+Y側に向かって延びる経路部分である。第2直線経路部分RTB3は、第6単位領域AR26内の各第2作業位置WP2を通り、第1短絡経路部分RTB2の+Y側の端部から-X側に延びる経路部分である。
【0138】
次に、第7単位領域AR27内には作業対象外位置は存在しないが、第8~第12単位領域AR28~AR32内には少なくとも1つの作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在している。このような場合、第8~第12単位領域AR28~AR32内に存在する作業対象外位置WP1T,WP2Tを通らない一筆書き状の経路の設定は不可能である。このため、移動経路設定部359は、作業対象外位置WP1T,WP2Tを通らない短絡経路部分を設定することなく、第2直線経路部分RTB3から一筆書き状に連続した第1連結経路部分RTB4、第3直線経路部分RTB5、第2連結経路部分RTB6、及び第4直線経路部分RTB7を設定する。第1連結経路部分RTB4は、第2直線経路部分RTB3の-X側の端部と第3直線経路部分RTB5の-X側の端部とを連結する経路部分である。第3直線経路部分RTB5は、第7~第9単位領域AR27~AR29内の、作業対象外位置WP1Tを含む全ての第1作業位置WP1を通り、-X側から+X側に向かって延びる経路部分である。第2連結経路部分RTB6は、第3直線経路部分RTB5の+X側の端部と第4直線経路部分RTB7の+X側の端部とを連結する経路部分である。第4直線経路部分RTB7は、第10~第12単位領域AR30~AR32内の、作業対象外位置WP2Tを含む全ての第2作業位置WP2を通り、+X側から-X側に向かって延びる経路部分である。
【0139】
このように、移動経路設定部359は、各実装機20の作業位置WP1,WP2において、段取り作業の対象外となる作業対象外位置WP1T,WP2Tを可能な範囲で通らない経路を、作業領域AR11内での作業者の移動経路として設定する。これにより、作業者の移動経路の経路長を短くすることが可能となる。
【0140】
(移動経路設定制御動作の第2変形例)
図16は、移動経路設定部359による移動経路設定制御動作の第2変形例を説明するための図である。
図16では、作業領域設定部358により設定された複数の作業領域のうち、1つの作業領域AR11に対する移動経路設定部359の移動経路設定制御動作が示されている。その作業領域AR11の範囲は、第1部品実装ライン2Aにおける各実装機20の-Y側及び+Y側の第1及び第2作業位置WP1,WP2と、第2部品実装ライン2Bにおける各実装機20の-Y側及び+Y側の第1及び第2作業位置WP1,WP2との全てが含まれる範囲に調整されている。
【0141】
移動経路設定制御動作の第2変形例において、移動経路設定部359は、前述の第1変形例の場合と同様に、作業者が通過可能な第2連結コンベア23Bの配置位置を基準として、作業領域AR11を第1~第12単位領域AR21~AR32に区画する。その後、移動経路設定部359は、第1単位領域AR21から第12単位領域AR32に向かって順番に、各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在するか否かを判定する。
【0142】
各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在しない場合、すなわち作業領域AR11内の各作業位置WP1,WP2において作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在しない場合には、移動経路設定部359は、前述した一筆書き状の第1経路RTAを、移動経路として設定する(
図14参照)。
【0143】
一方、各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在する場合、すなわち作業領域AR11内の各作業位置WP1,WP2において作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在する場合、移動経路設定部359は、第3経路RTCを移動経路として設定する(
図16参照)。第3経路RTCは、作業対象外位置WP1T,WP2T以外の各作業位置WP1,WP2を通り、且つ、作業対象外位置WP1T,WP2Tに対して隣接する作業位置を中心に作業者の移動方向上流側から下流側へ折り返すことによって当該作業対象外位置WP1T,WP2Tを通らない折り返し経路部分RTC7を含む経路である。
【0144】
図16を参照して詳細に説明すると、以下の通りである。移動経路設定部359は、第1単位領域AR21から第12単位領域AR32に向かって順番に、各単位領域AR21~AR32内に作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在するか否かを判定する。
【0145】
第1単位領域AR21内には作業対象外位置は存在しないが、第2~第5単位領域AR22~AR25内にはいずれも作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在し、第6単位領域AR26内には再び作業対象外位置が存在しない。このような場合、移動経路設定部359は、前述の移動経路設定制御動作の第1変形例と同様に、一筆書き状に連続した第1直線経路部分RTC1、第1短絡経路部分RTC2、及び第2直線経路部分RTC3を設定する。第1直線経路部分RTC1は、第1単位領域AR21内の各第1作業位置WP1を通り、-X側から+X側に向かって延びる経路部分である。第1短絡経路部分RTC2は、第2~第5単位領域AR22~AR25を通らず第2連結コンベア23Bを通過するように、第1直線経路部分RTC1の+X側の端部から+Y側に向かって延びる経路部分である。第2直線経路部分RTC3は、第6単位領域AR26内の各第2作業位置WP2を通り、第1短絡経路部分RTC2の+Y側の端部から-X側に延びる経路部分である。
【0146】
次に、第7単位領域AR27内には作業対象外位置は存在しないが、第8~第10単位領域AR28~AR30内において、第8単位領域AR28内の+X側、第9単位領域AR29内の-X側及び+X側、及び第10単位領域AR30内の+X側には作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在し、第10単位領域AR30内の-X側の第2作業位置WP2は作業対象外位置ではない。つまり、第2部品実装ライン2Bの+X側の端部の近傍において、第8単位領域AR28内の+X側、第9単位領域AR29内の-X側及び+X側、及び第10単位領域AR30内の+X側にそれぞれ連続して、作業対象外位置WP1T,WP2Tが存在している。そして、それらの連続の終点位置となる第10単位領域AR30の-X側には作業対象外位置以外の第2作業位置WP2が存在している。このような場合、移動経路設定部359は、第2直線経路部分RTC3から連続した第1連結経路部分RTC4、第3直線経路部分RTC5、第2短絡経路部分RTC6、及び折り返し経路部分RTC7を設定する。
【0147】
第1連結経路部分RTC4は、第2直線経路部分RTC3の-X側の端部と第3直線経路部分RTC5の-X側の端部とを連結する経路部分である。第3直線経路部分RTC5は、第7単位領域AR27内の-X側及び+X側の第1作業位置WP1と、第8単位領域AR28内の-X側の第1作業位置WP1及び+X側の作業対象外位置WP1Tとを通り、-X側から+X側に向かって延びる経路部分である。第2短絡経路部分RTC6は、第9単位領域AR29内の-X側及び+X側、及び第10単位領域AR30内の+X側にそれぞれ連続して存在する作業対象外位置WP1T,WP2Tを通らず、第2連結コンベア23Bを通過するように、第3直線経路部分RTC5の+X側の端部から+Y側に向かって延びる経路部分である。折り返し経路部分RTC7は、第10単位領域AR30内の-X側の第2作業位置WP2を中心に、一筆書きに反して折り返すことによって、当該第10単位領域AR30内の-X側の第2作業位置WP2を通る経路部分である。
【0148】
次に、第11及び第12単位領域AR31,AR32内には少なくとも1つの作業対象外位置WP2Tが存在している。このような場合、第11及び第12単位領域AR31,AR32内の作業対象外位置WP2Tを通らずに、第3経路RTCの終点位置への到達は不可能である。このため、移動経路設定部359は、折り返し経路部分RTC7から連続するように、第11及び第12単位領域AR31,AR32内の、作業対象外位置WP2Tを含む全ての第2作業位置WP2を通り、+X側から-X側に向かって延びる第4直線経路部分RTC8を設定する。
【0149】
このように、移動経路設定部359は、各実装機20の作業位置WP1,WP2において、段取り作業の対象外となる作業対象外位置WP1T,WP2Tを可能な範囲で通らない経路を、作業領域AR11内での作業者の移動経路として設定する。これにより、作業者の移動経路の経路長を短くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0150】
1 部品実装システム
2A,2B,2C 部品実装ライン
20 実装機
241,245,246 部品供給装置
25 ヘッドユニット
251 吸着ノズル
28 基板支持装置
29A バックアップピン準備装置
29B ノズル準備装置
29C 塗布装置
3 作業管理システム
34 記憶部
35 制御部
354 取得部
355 部品補給管理部
356 付随作業管理部
357 作業数特定部
3571 補給作業数特定部
3572 付随作業数特定部
358 作業領域設定部
359 移動経路設定部
360 作業者誘導部
AR01 作業管理対象領域
AR11 第1作業領域
AR12 第2作業領域
AR13 第3作業領域
JH1 作業量情報
JH13 重み付け係数
JH2 作業者能力情報
J22 作業能力情報
JH3 作業数特定情報
JH4 作業者誘導情報
RT1,RT2,RT3 移動経路
RTA 第1経路
RTB 第2経路
RTC 第3経路
RTC7 折り返し経路部分
WP1 第1作業位置
WP2 第2作業位置
WP1T,WP2T 作業対象外位置