IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図1
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図2
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図3
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図4
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図5
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図6
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図7
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図8
  • 特許-貨幣処理装置及び貨幣処理システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】貨幣処理装置及び貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/235 20190101AFI20220119BHJP
   G07D 11/12 20190101ALI20220119BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20220119BHJP
【FI】
G07D11/235
G07D11/12
G07D11/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018057827
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019169054
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 由利子
(72)【発明者】
【氏名】出羽 知行
(72)【発明者】
【氏名】土田 雅巳
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-217570(JP,A)
【文献】特開2007-156710(JP,A)
【文献】特開平11-232524(JP,A)
【文献】国際公開第2015/114746(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
G07G 1/00- 1/14
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を収納する複数の収納部と、
前記複数の収納部のそれぞれに対応して設けられかつ、操作者が前記収納部を操作することを制限する制限状態と操作することを許容する許容状態とに切り替わる制限部と、
それぞれの前記制限部について、個別に、制限状態と許容状態とに切り替える制御部と、
前記複数の収納部のそれぞれに対応して設けられた複数のランプと、を備え
前記制御部は、前記制限部が制限状態にあるときの前記ランプの発光態様と、許容状態にあるときの前記ランプの発光態様とを異ならせ、
前記制限部が許容状態にする収納部が複数存在するときに、前記制御部は、前記複数の収納部に対応する複数のランプを、順に発光させる貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の収納部のうち、収納している貨幣の在高が不確定になった収納部に対応する制限部を許容状態にし、それ以外の収納部に対応する制限部を制限状態にする請求項1に記載の貨幣処理装置。
【請求項3】
前記複数の収納部はそれぞれ、取り外し可能に筐体に取り付けられ、
前記制限部はそれぞれ、前記操作者が前記収納部を前記筐体から取り外すことを制限する状態と、許容する状態とに切り替わる請求項1又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記複数の収納部はそれぞれ、開閉可能に構成され、
前記制限部はそれぞれ、前記操作者が前記収納部を開けることを制限する状態と、許容する状態とに切り替わる請求項1又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
表示部を備え、
前記表示部は、前記制限部が許容状態にある前記収納部に関する情報を表示する請求項1~4のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
貨幣を収納する複数の収納部と、前記複数の収納部のそれぞれに対応して設けられかつ、操作者が前記収納部を操作することを制限する制限状態と操作することを許容する許容状態とに切り替わる制限部と、前記複数の収納部のそれぞれに対応して設けられた複数のランプと、を有する貨幣処理装置、及び、
それぞれの前記制限部に対して、個別に、制限状態と許容状態とに切り替える制御装置を備え
前記制御装置は、前記制限部が制限状態にあるときの前記ランプの発光態様と、許容状態にあるときの前記ランプの発光態様とを異ならせ、
前記制限部が許容状態にする収納部が複数存在するときに、前記制御装置は、前記複数の収納部に対応する複数のランプを、順に発光させる貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣処理装置及び貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貨幣処理装置の一例として、紙幣処理装置が記載されている。紙幣処理装置は、紙幣を収納するカセットを複数、備えている。複数のカセットは、カセット装着フレームに並んで装着されている。カセット装着フレームは、スライドレールによって装置の前方側に引き出し可能に構成されている。紙幣処理装置の操作者は、カセット装着フレームを装置の前方側に引き出すと、複数のカセットのそれぞれを、カセット装着フレームから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-118699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているような貨幣処理装置において、エラーが発生したときには、収納カセットに収納している貨幣の在高が不確定になってしまう収納カセットが生じる場合がある。具体的には、エラーの発生により貨幣処理装置の動作が停止したときに、貨幣が収納カセットの収納口の付近に位置していて、収納カセットに貨幣が収納されたか、収納されていないかを確定することができない収納カセットである。また、2枚以上の紙幣を繰り出してしまった収納カセット等も、在高が不確定となる。在高が不確定になってしまった収納カセットについて、操作者は、カセット装着フレームを装置の前方側に引き出すことによって筐体を開けて、収納カセットに収納している貨幣を取り出して、再計数することにより、在高を確定させなければならない。
【0005】
また、在高が確定している収納カセットであっても、カセット装着フレームから取り外すと、操作者は、収納カセットを開けて、中に収納している貨幣に触れることができるため、カセット装着フレームから取り外した収納カセットもまた、在高が不確定になったとみなして、貨幣を取り出して再計数をしなければならない。
【0006】
特許文献1に記載されているような貨幣処理装置では、カセット装着フレームを引き出すと、操作者は、在高が確定している収納カセットであっても、カセット装着フレームから取り外すことができる。そのため、貨幣の管理を厳正に行うためには、全ての収納カセットについて在高が不確定になったとみなして、全ての収納カセットについて再計数を行わなければならない。しかしながら、カセット装着フレームを引き出す度に、全ての収納カセットについて再計数を行わなければならない構成は、作業効率が悪い。
【0007】
なお、各収納カセットについて取り出されたか否かを検知するセンサが設けられている場合には、少なくとも取り外されたことが検知された収納カセットについて再計数を行わなければならない。
【0008】
ここに開示する技術は、貨幣処理装置において、複数の収納部の一部のみ、操作者が操作することを許容し、それ以外の収納部は、操作者が操作することを禁止することにより、貨幣の厳正な管理を行いながら、作業効率を高める。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的に、ここに開示する技術は、貨幣処理装置に関する。貨幣処理装置は、貨幣を収納する複数の収納部と、前記複数の収納部のそれぞれに対応して設けられかつ、操作者が前記収納部を操作することを制限する制限状態と操作することを許容する許容状態とに切り替わる制限部と、それぞれの前記制限部について、個別に、制限状態と許容状態とに切り替える制御部と、を備えている。
【0010】
この構成によると、複数の収納部のそれぞれに対応して設けられた制限部が、個別に、操作者による収納部の操作を制限する状態と操作を許容する状態とに切り替わる。従って、複数の収納部の一部のみ、操作者が操作することを許容し、それ以外の収納部は、操作者が操作することを禁止することができる。
【0011】
前記制御部は、前記複数の収納部のうち、収納している貨幣の在高が不確定になった収納部に対応する制限部を許容状態にし、それ以外の収納部に対応する制限部を制限状態にする、としてもよい。
【0012】
つまり、制御部は、収納部に収納している貨幣を再計数する場合に、在高が不確定になった収納部のみ、操作者が操作することを許容すればよく、それ以外の収納部は、制限部が、操作者による操作を制限することにより、在高が不確定にならない。よって、貨幣の管理を厳正に行うと共に、再計数が必要となる収納部の数を、必要最小限にすることができるから、エラー復旧が容易になる。
【0013】
前記複数の収納部はそれぞれ、取り外し可能に筐体に取り付けられ、前記制限部はそれぞれ、前記操作者が前記収納部を前記筐体から取り外すことを制限する状態と、許容する状態とに切り替わる、としてもよい。
【0014】
操作者による収納部の操作として、操作者が収納部を筐体から取り外すことを制限することにより、操作者が収納部に収納している貨幣に触れることを制限することができる。よって、取り外しを制限された収納部の在高は不確定にならない。一方、操作者は、取り外しを許容された収納部を筐体から取り外すことによって、収納部に収納している貨幣を取り出して、再計数し、在高を確定させることができる。
【0015】
前記複数の収納部はそれぞれ、開閉可能に構成され、前記制限部はそれぞれ、前記操作者が前記収納部を開けることを制限する状態と、許容する状態とに切り替わる、としてもよい。
【0016】
操作者による収納部の操作として、操作者が収納部を開けることを制限することにより、操作者が収納部に収納している貨幣に触れることを制限することができる。よって、開けることを制限された収納部の在高は不確定にならない。一方、操作者が収納部を開けることを許容することによって、収納部に収納している貨幣を取り出して、再計数し、在高を確定させることができる。
【0017】
前記貨幣処理装置は、表示部を備え、前記表示部は、前記制限部が許容状態にある前記収納部に関する情報を表示する、としてもよい。
【0018】
操作者は、表示部が表示している情報を見ることによって、操作をすることが許容されている収納部を知ることができる。操作者は、操作をすることが許容されている収納部については、操作を行い、操作をすることが許容されていない収納部については、操作を行わない。操作者は、表示部の表示に基づいて、在高不確定を解消することができる。
【0019】
前記貨幣処理装置は、前記複数の収納部のそれぞれに対応して設けられた複数のランプを備え、前記制御部は、前記制限部が制限状態にあるときの前記ランプの発光態様と、許容状態にあるときの前記ランプの発光態様とを異ならせる。
【0020】
前記制御部は、前記制限部が許容状態にある前記収納部のランプを発光させる、としてもよい。また、例えば、前記制御部は、前記制限部が許容状態にある前記収納部のランプを点滅させる、としてもよい。
【0021】
操作者は、ランプの発光態様に基づいて、操作をすることが許容されている収納部と、操作をすることが禁止されている収納部とを区別することができる。前記と同様に、操作者は、操作をすることが許容されている収納部については、操作を行い、操作をすることが許容されていない収納部については、操作を行わない。操作者は、ランプの発光態様に基づいて在高不確定を解消することができる。
【0022】
前記制限部が許容状態にする収納部が複数存在するときに、前記制御部は、前記複数の収納部に対応する複数のランプを、順に発光させる。
【0023】
制御部は、例えば、操作者が収納部を操作すべき順番に、複数のランプを順に発光させてもよい。こうすることで、操作者は、ランプが発光する順番に従って、適切な順番で、収納部を操作することができる。在高不確定をスムースに解消することができる。
【0024】
また、例えば筐体から取り外した収納部を筐体に再び取り付けるときに、複数の収納部を取り外してしまうと、間違った取り付け位置に、収納部を取り付けてしまう恐れがある。これに対し、複数のランプを順に点灯させることにより、複数の収納部を一度に取り外すことを抑制することにより、収納部の取り付け間違いが生じることを抑制することができる。
【0025】
ここに開示する貨幣処理システムは、貨幣を収納する複数の収納部と、前記複数の収納部のそれぞれに対応して設けられかつ、操作者が前記収納部を操作することを制限する制限状態と操作することを許容する許容状態とに切り替わる制限部と、を有する貨幣処理装置、及び、それぞれの前記制限部に対して、個別に、制限状態と許容状態とに切り替える制御装置と、を備えている。
【0026】
この構成の貨幣処理システムによると、前記貨幣処理装置と同様に、貨幣の管理を厳正に行いながら、在高不確定を解消することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上、説明したように、前記の貨幣処理装置及び貨幣処理システムによると、複数の収納部の一部のみ、操作者が操作することを許容し、それ以外の収納部は、操作者が操作することを禁止することができるため、貨幣の管理を厳正に行いながら、作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、硬貨処理装置の外観を例示する斜視図である。
図2図2は、硬貨処理装置の構成を例示するブロック図である。
図3図3は、硬貨処理装置内の処理部の構成を例示する平面図である。
図4図4は、硬貨の収納に係る振分構成を例示する側面図である。
図5図5は、一時保留部から返却部へ硬貨を送る状態と、一時保留部から収納部へ硬貨を送る状態とを示す遷移図である。
図6図6は、硬貨処理装置から引き出した収納カセットを例示する斜視図である。
図7図7は、収納カセットの取り外しを制限する制限部の構成を例示する模式図である。
図8図8は、硬貨処理装置におけるエラー復旧処理に係るフローチャートである。
図9図9は、図6とは異なる構成の収納カセットを例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、貨幣処理装置の構成について、図面を参照しながら説明をする。ただし、以下の説明は例示である。
【0030】
(硬貨処理装置の構成)
図1及び図2は、貨幣処理装置としての硬貨処理装置2の構成を例示している。ここに例示している硬貨処理装置2は、投入された硬貨を、複数の収納カセット26に収納するよう構成されている(図6も参照)。
【0031】
ここで、硬貨処理装置2は、例えば、売上金等の入金処理を行うために、各種の店舗に設置される装置である。店舗は、様々な小売り店舗の他にも、例えば各所に設置している自動販売機の管理を行う店舗とすることができる。具体的には、店舗の担当者が各所の自動販売機から回収した売上金が、店舗に集められ、硬貨が硬貨処理装置2に入金される。尚、図示は省略するが、店舗の売上金は、店舗との間で、売上金を回収する業務の請負契約を行っている回収業者によって、回収される。
【0032】
硬貨処理装置2は、矩形箱状の筐体20を有している。筐体20の上部には、硬貨処理装置2の操作者が操作を行う操作部211、各種の事項を表示する表示部212、硬貨処理装置2の操作者を特定するための認証部213、及び、各種のジャーナルを印字するプリンタ部214を備えている。
【0033】
操作部211は、図1の構成例では、テンキーなどの操作キーを有して構成されている。操作部211は、例えば表示部212と一体化させたタッチパネル式の操作部に構成してもよい。
【0034】
表示部212は、例えば液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイによって構成してもよい。
【0035】
認証部213は、図例では、IDカードに磁気記録されている操作者の情報を読み取るカードリーダによって構成されている。認証部213は、磁気記録を読み取るカードリーダに限らず、ICチップに記録されている情報を読み取るカードリーダによって構成してもよい。また、認証部213は、生体認証により操作者を特定するように構成してもよい。
【0036】
プリンタ部214は、例えば熱転写式のプリンタや、インクジェット式のプリンタによって構成してもよい。
【0037】
筐体20の上部にはまた、硬貨処理装置2に入金する硬貨が投入される投入口210が設けられている。図示は省略するが、投入口210には、投入された硬貨を、後述する処理部へと導くホッパが設けられている。
【0038】
図3は、筐体20内に設けられている処理部の構成例を概略的に示している。処理部は、投入口210に投入された硬貨を繰り出す繰出部22と、繰り出された硬貨を搬送する搬送部23と、硬貨の識別を行う識別部24と、を有している。
【0039】
繰出部22は、第1円盤221と、第2円盤222との二つの円盤を有している。第1円盤221は前記ホッパの下方に配設されている。投入口210に投入された硬貨は、ホッパを介して第1円盤221に投入される。第1円盤221が、図3における時計回り方向に回転をすると、遠心力によって硬貨は、第1円盤221の周縁部に沿って移動し、所定の位置に設けた供給口から、第2円盤222へと送り出される。
【0040】
第2円盤222は、第1円盤221に隣り合って配設されている。第2円盤222は、図3における反時計回り方向に回転をする。第2円盤222が回転をすると、硬貨は、遠心力によって、第2円盤222の周縁部に沿って移動し、搬送部23に、一層一列状態で繰り出される。
【0041】
搬送部23は、図3における紙面左から右方向に硬貨を搬送する第1搬送路231と、第1搬送路231に接続すると共に、紙面下から上方向に硬貨を搬送する第2搬送路232とを有している。
【0042】
第1搬送路231には、第1搬送ベルト233が配設されている。第1搬送ベルト233は、第1搬送路231に沿って走行する。硬貨は、第1搬送路231の搬送面と、第1搬送ベルト233との間に挟まれた状態で、硬貨と第1搬送ベルト233との間に働く摩擦力によって、第1搬送路231に沿って搬送される。
【0043】
識別部24は、第1搬送路231に配設されている。識別部24は、磁気センサ241とイメージセンサ242とを有している。
【0044】
第2搬送路232には、第2搬送ベルト234が配設されている。尚、図3においては、第2搬送ベルト234の一部の図示を省略している。第2搬送ベルト234は、第2搬送路232に沿って走行する。硬貨は、第2搬送路232の搬送面と、第2搬送ベルト234との間に挟まれた状態で、硬貨と第2搬送ベルト234との間に働く摩擦力によって、第2搬送路232に沿って搬送される。
【0045】
第2搬送路232には、搬送方向の順に、汚損硬貨及びその他のリジェクト硬貨をリジェクトするためのリジェクト孔25aと、硬貨を第1~第6の収納カセット261~266に送るための第1~第6の選別孔25b~25gが設けられている。リジェクト孔25a及び第1~第5の選別孔25b~25fにはそれぞれ、第2搬送路232に沿って搬送される硬貨を、選択的に、リジェクト孔25a、又は、第1~第5の選別孔25b~25fに落下させる選別部251a~251fが設けられている。第6の選別孔25gには、選別部が設けられていない。第6の選別孔25gには、リジェクト孔25a及び第1~第5の選別孔25b~25fに落下しなかった硬貨が落下する。
【0046】
第2搬送路232にはまた、各孔25a~25gに対応して、搬送中の硬貨を検知する複数のセンサ252a~252gが配設されている。これらのセンサ252a~252gの検知結果に基づいて選別部251a~251fが駆動することにより、硬貨処理装置2は、投入口210に投入された硬貨を、リジェクト孔25a、又は、第1~第6の選別孔25b~25gのいずれかに落下させるよう構成されている。硬貨処理装置2は、径差によって硬貨の選別を行うのではなく、いわゆる、電磁選別を行うよう構成されている。
【0047】
硬貨処理装置2にはまた、リジェクト孔25aを通過したリジェクト硬貨を操作者に返却するためのリジェクト部27と、後述するように、第1~第6のいずれかの選別孔25b~25gを通過した後に返却される硬貨を収納する返却部28と、第1~第6の選別孔25b~25gを通過した硬貨を収納する第1~第6の収納カセット261~266とが、設けられている。
【0048】
リジェクト部27は、図1に示すように、筐体20の前面における装置に向かって右部に設けられている。リジェクト部27は、筐体20の前面に開口している。操作者は、リジェクト部27に収納されているリジェクト硬貨を手で取り出すことができる。
【0049】
返却部28は、筐体20の前面における装置に向かって右下部に設けられている。詳細な図示は省略するが、返却部28は、装置の前方に向かって引き出し可能に構成されている。返却部28は、第1~第6の選別孔25b~25gに対し、一つ設けられている。操作者は、返却部28を引き出すことによって、返却された硬貨を、取り出すことができる。
【0050】
筐体20の前面における装置に向かって左部には、第1~第6の収納カセット261~266が取り付けられる収納フレーム29が配設されている。収納フレーム29は、図6に示すように、装置の前方に向かって引き出し可能に構成されている。第1~第6の収納カセット261~266は、硬貨処理装置2の前後方向に並んで配設されている。
【0051】
ここで、収納フレーム29を硬貨処理装置2から引き出すことは、原則的には、回収業者(の担当者)のみが可能である。つまり、認証部213において認証を行うことにより、図示しない収納フレーム29のロック機構が解除され、回収業者の担当者は、収納フレーム29を硬貨処理装置2から引き出すことができ、収納フレーム29を引き出すことによって筐体20の外に出た収納カセット261~266を、硬貨処理装置2から取り外すことができる。一方、店舗の担当者は、基本的には、収納フレーム29を、硬貨処理装置2から引き出すことができない。しかし、硬貨の入金処理を行っているときにエラーが発生したときには、エラー復旧の処理のために、収納フレーム29を、筐体20から引き出すことが可能である。後述するように、エラー復旧の処理のために、収納フレーム29を筐体20から引き出したときには、収納カセット26内に収納している硬貨を再計数する場合がある。
【0052】
図4は、筐体20内において、第2搬送路232の下側の構成を概念的に例示している。第2搬送路の下側には、振分部3が配設されている。振分部3は、一時保留部30と、第1~第3シュート31、32、33とを有している。
【0053】
一時保留部30は、第1~第6の選別孔25b~25gのそれぞれに対応して、複数設けられている。一時保留部30は、選別孔25b~25gを通過した硬貨を収容する筒部301と、筒部301の底を塞ぐ底部302とを有している。筒部301及び底部302はそれぞれ、図4における紙面左右方向に、独立して、移動するよう構成されている。底部302は、筒部301の底を開閉する。
【0054】
第1シュート31は、一時保留部30の筒部301の上端部と、第1~第6の選別孔25b~25gとの間に配設されている。第1シュート31は、第1~第6の選別孔25b~25gに対応して、複数設けられている。第1シュート31は、一時保留部30と、第1~第6の選別孔25b~25gとをつないでいる。第1~第6の選別孔25b~25gを落下した硬貨は、第1シュート31を通って一時保留部30に入る。
【0055】
第2シュート32と、第3シュート33とは、一時保留部30の下側に配設されている。第2シュート32と、第3シュート33とはそれぞれ、第1~第6の選別孔25b~25gに対応して、複数設けられている。第2シュート32の下端は、返却部28につながっている。第3シュート33は、上側第3シュート331と、上側第3シュート331の下側に配設された下側第3シュート332とによって構成されている。下側第3シュート332の下端は、第1~第6の収納カセット261~266のそれぞれにつながっている。下側第3シュート332は、移動しないよう構成されている。上側第3シュート331は、図4における紙面左右方向に移動するよう構成されている。上側第3シュート331は、一時保留部30と下側第3シュート332との間をつないでいる。
【0056】
硬貨の入金処理を行うときには、図5に符号61で示すように、一時保留部30は、第1シュート31につながる位置に位置づけられる。また、一時保留部30の底部302は、筒部301の底を塞いでいる。第2搬送路232に沿って搬送されている硬貨が選別孔25b~25gを通過すると、その硬貨は、第1シュート31を通って一時保留部30に収納される(図5の白抜きの矢印参照)。
【0057】
投入口210に投入された硬貨が全て繰り出されて、硬貨の搬送が完了した後、店舗の担当者が入金処理をキャンセルして、硬貨の返却を希望したときには、図5に符号62で示すように、一時保留部30の筒部301は、第2シュート32の上方位置に移動する一方で、底部302は、下側第3シュート332の上方位置に移動する。これにより、筒部301の底が開いて一時保留部30に収納していた硬貨は、第2シュート32を通じて、図5では図外の返却部28に落下する(図5の白抜きの矢印参照)。店舗の担当者は、返却部28を、装置の前側に引き出すことによって、返却された硬貨を、返却部28から取り出すことができる。
【0058】
これに対し、店舗の担当者が入金処理を完了させることを希望したときには、図5に符号63で示すように、上側第3シュート331は、下側第3シュート332の上方に位置する。それと共に、一時保留部30の筒部301は、上側第3シュート331の上方位置に移動する一方で、底部302は、第2シュート32の上方位置に移動する。これにより、筒部301の底が開いて一時保留部30に収納していた硬貨は、第3シュート33を通じて、当該第3シュート33に対応する、図外の収納カセット261~266に収納される(図5の白抜きの矢印参照)。
【0059】
各収納カセット26は矩形箱状を有している。各収納カセット26は、図6に一点鎖線で示すように、収納カセット26毎に、収納フレーム29から取り外すことができるよう構成されている。図示は省略するが、各収納カセット26には、鍵付きの開閉部が設けられている。収納カセット26を収納フレーム29から取り外した後、開閉部を開けることによって、操作者は、収納カセット26に収納している硬貨を取り出すことができる。つまり、収納カセット26を収納フレーム29から取り外すことによって、操作者は、収納カセット26内にアクセスをすることができる。
【0060】
図7に示すように、収納フレーム29には、ロック機構291が設けられている。ロック機構291は、操作者が収納カセット26を操作することを制限する制限状態と操作することを許容する許容状態とに切り替わる制限部の一例である。ロック機構291は、図7の構成例では、複数の収納カセット26のそれぞれに対応して、収納フレーム29に複数、設けられている。ロック機構291は、図7の構成例では、収納カセット26の側面に設けられた凹部267に挿入されるピン292を有して構成されている。ピン292は、進退可能に構成されている。図7に示すように、ピン292が凹部267に挿入されていると、操作者は、収納カセット26を収納フレーム29から取り外すことができない。図示は省略するが、ピン292が凹部267から外れていると、操作者は、収納カセット26を収納フレーム29から取り外すことができる。尚、ロック機構291の構成は、図7の構成例に限らない。
【0061】
収納フレーム29にはまた、図6に例示するように、第1~第6の収納カセット261~266のそれぞれに対応して、合計六個のランプ29a~29fが取り付けられている。これらのランプ29a~29fは、詳細は後述するが、エラー復旧処理の際に、収納フレーム29から取り外すことが可能な収納カセット26を特定するために用いられる。
【0062】
図2に示すように、硬貨処理装置2は、制御部200を備えている。制御部200には、前述した操作部211、表示部212、認証部213、プリンタ部214、識別部24、搬送部23、繰出部22、振分部3、ロック機構291、及びランプ29a~29fがそれぞれ、信号の授受可能に接続されている。硬貨処理装置2はまた、例えばインターネット等の通信回線を通じて通信を行う通信部201を備えている。通信部201もまた、制御部200に信号の授受可能に接続されている。さらに、硬貨処理装置2は、各種の情報を記憶する記憶部202を備えている。記憶部202は、例えばハードディスクドライブや、不揮発性メモリ等からなる。記憶部202には、第1~第6の収納カセット261~266に収納している硬貨の在高の情報等が記憶されている。
【0063】
(硬貨処理装置における在高不確定発生時の処理)
次に、硬貨処理装置2において、在高不確定が発生した時の処理について説明する。前述したように硬貨処理装置2が設置されている店舗には、各所に設置された自動販売機から回収された硬貨が集められる。硬貨処理装置2は、集められた硬貨の入金処理を行う。具体的に、入金処理を行おうとする店舗の担当者は、硬貨処理装置2の認証部213によって認証操作を行った後、入金処理の実行を選択した上で、投入口210に硬貨を投入する。硬貨処理装置2は、投入口210に投入された硬貨を、処理部によって第1~第6の収納カセット261~266に収納する(但し、リジェクト硬貨を除く)。ここで、硬貨処理装置2は、第1~第6の収納カセット261~266に、例えば金種別に硬貨を収納してもよい。一つの収納カセット261~266には、同じ金種の硬貨が収納される。また、硬貨処理装置2は、第1~第6の収納カセット261~266に、異なる金種の硬貨を混合状態で収納してもよい。
【0064】
図5に示したように一時保留部30から各収納カセット261~266へ硬貨を移送する際に、硬貨の詰まり等が発生することに起因するエラーが発生して、硬貨処理装置2の動作が停止する場合がある。エラーが発生したときには、操作者は、硬貨処理装置2の筐体20を開けて、硬貨の詰まり等のエラー発生の原因を解消させると共に、図示は省略するが、操作者はリセット操作を行うことにより、硬貨処理装置2のリセットを行う。
【0065】
エラーが発生して、硬貨処理装置2の動作が停止したときに、収納カセット26内に硬貨が収納されたか否かが不明になる場合がある。少なくともエラー発生時に硬貨が収納されたか否かが不明となった収納カセット26については、硬貨処理装置2のリセット後、収納カセット26内に収納している貨幣を再計数しなければならない。操作者は、収納カセット26内に収納されている硬貨を取り出して、投入口210に、取り出した硬貨を再投入することにより、貨幣の再計数を行う。
【0066】
ここで、従来の硬貨処理装置においては、収納フレームを引き出すことによって、複数の収納カセットを筐体の外に引き出すと、いずれの収納カセットも、収納フレームから取り出すことができるよう構成されていた。従って、従来の硬貨処理装置においては、収納フレームを筐体から引き出すことによって、全ての収納カセットが、在高不確定になり得る。そのため、従来の硬貨処理装置においては、エラーの復旧処理などで収納フレームを筐体から引き出すと、全ての収納カセットについて、収納している貨幣の再計数を行っていた。
【0067】
従来の硬貨処理装置に対し、ここに開示する硬貨処理装置2は、複数の収納カセット261~266について、個別に、ロック機構291によるロック状態と、解除状態とを切り替えるよう構成されている。前述したように、ロック機構291がロック状態あると、操作者は、収納カセット26を収納フレーム29から取り外すことができない。よって、収納フレーム29を筐体20から引き出しても、ロック機構291が解除状態にある収納カセット26のみが、収納フレーム29から取り外すことができる状態となる。
【0068】
従って、制御部200は、在高が不確定になった収納カセット26については、ロック機構291を解除状態にする。一方、制御部200は、エラー発生時に、在高が不確定にならない収納カセット26については、ロック機構291をロック状態にする。こうすることで、操作者は、エラー復旧処理時等において、在高が不確定になった収納カセット26は、収納フレーム29から取り外して、収納カセット26から硬貨を取り出し、再計数を行うことができる。一方、在高が不確定ではない収納カセット26は、収納フレーム29から取り外すことができないため、当該収納カセット26は、操作者の操作に起因して在高が不確定になることはない。その結果、硬貨の管理を厳正に行いながら、再計数が必要になる収納カセット26の数を必要最小限に抑えることができる。
【0069】
図8は、在高不確定発生時の処理に関し、硬貨処理装置2の制御部200が実行する制御フローを例示している。先ず、スタート後のステップS1において、制御部200は、在高不確定が発生したか否かを判断する。在高不確定が発生しないときには、制御プロセスはステップS1を繰り返す。一方、在高不確定が発生したときには、制御プロセスはステップS2に進む。
【0070】
ステップS2において制御部200は、収納フレーム29のロック機構を解除すると共に、在高が不確定になった収納カセット26(つまり、該当カセット)のロック機構291を解除状態にする。尚、制御部200は、在高が不確定になっていない収納カセット26のロック機構291をロック状態にする。
【0071】
制御部200はまた、ロック機構291を解除した収納カセット26に対応するランプ29a~29fを発光させ、ロック機構291を解除していない収納カセット26に対応するランプ29a~29fは発光させない。
【0072】
ロック機構291やランプ29a~29fを設けることにより、収納フレーム29を筐体20から引き出したときに、操作者は、第1~第6の複数の収納カセット261~266のなかから、収納フレーム29から取り外すべき収納カセット26、言い換えると、再計数のために取り外す収納カセット26を、正確に特定することができる。これにより、操作者が、誤った収納カセット26を収納フレーム29から取り外してしまうことを抑制することができる。
【0073】
続くステップS3において制御部200は、収納カセット26が収納フレーム29から取り外されたか否かを判断する。取り外されていないときには、制御プロセスはステップS3を繰り返し、取り外されたときには、制御プロセスはステップS4に進む。操作者は、在高が不確定になった収納カセット26から、再計数のために硬貨を取り出す。
【0074】
ステップS4において制御部200は、取り外された収納カセット26が収納フレーム29に取り付けられたか否かを判断する。取り付けられていないときには、制御プロセスはステップS4を繰り返し、取り付けられたときには、制御プロセスはステップS5に進む。
【0075】
ステップS5において制御部200は、硬貨が投入口210に投入されて再計数を開始することができるか否かを判断する。再計数を開始することができないときには、制御プロセスはステップS5を繰り返す。再計数を開始することができるときには、制御プロセスはステップS6に進む。ステップS6において、制御部200は、硬貨の再計数を行い。再計数が終われば、制御プロセスは、終了する。
【0076】
この硬貨処理装置2は、在高不確定を解消するときに、複数の収納カセット26について、収納カセット26毎に、ロック機構291のロック状態と解除状態とを切り替えることができる。そのため、在高不確定を解消する際に操作をする必要がない収納カセット26を、操作者が操作してしまうことを抑制することができる。在高不確定を解消する際に、貨幣の厳正な管理を行いながら、再計数を行う収納カセット26の数を必要最小限にすることができるため、在高不確定を容易に解消することができる。
【0077】
また、硬貨処理装置2は、再計数等のために取り外す収納カセット26をランプ29a~29fの発光によって操作者に示すことにより、操作者は、復旧処理の時に、取り外すべき収納カセット26を、正確に特定することができる。尚、ランプ29a~29fは、取り外す収納カセット26と取り外さない収納カセット26で点灯、点滅、消灯など、発光態様を切替えてもよい。また、ランプ29a~29fは、取り外す収納カセット26と取り外さない収納カセット26で発光する色を変更してもよい。
【0078】
尚、硬貨処理装置2は、取り外す収納カセット26が複数存在しているときには、複数の収納カセット26のそれぞれに対応する複数のランプ29a~29fを同時に発光させてもよい。
【0079】
また、これとは異なり、複数のランプ29a~29fを、一つずつ順番に発光させてもよい。前述したように、収納カセット26を取り外して、エラーの原因の解除や、収納している硬貨の取り出しを行うと、操作者は、取り外した収納カセット26を、もう一度、収納フレーム29に取り付ける。収納フレーム29から複数の収納カセット26を取り外してしまうと、収納カセット26を収納フレーム29に取り付けるときに、誤った場所に収納カセット26を取り付けてしまう恐れがある。そこで、操作者が、収納カセット26を一つずつ取り外しかつ、一つずつ取り付けることができるように、制御部200は、複数のランプ29a~29fのいずれか一つを発光させて、操作者に、当該ランプ29a~29fに対応する収納カセット26のみを取り外すよう促してもよい。そして、操作者が収納カセット26の取り付けを完了させると、制御部200は、次のランプ29a~29fを点灯させる、といったように、複数のランプ29a~29fを順次発光させてもよい。こうすることで、収納カセット26の取り付け間違いを抑制することができる。尚、ランプ29a~29fの発光順と、複数のロック機構291の解除状態とは連動してもよい。また、複数のロック機構291の解除状態は、ランプ29a~29fの発光順とは連動しなくてもよい。例えばランプ29a~29fの発光順に関わらず、複数のロック機構291を解除状態にしたままにしてもよい。
【0080】
尚、収納カセット26には、各種の情報を記憶することができると共に、記憶している情報をリーダーによって読み取り可能なタグを取り付けてもよい。また、収納フレーム29には、リーダーを配設し、収納フレーム29に取り付けられた各収納カセット26のタグから情報を読み取ることができるよう構成してもよい。収納フレーム29から取り外された収納カセット26が、再び、収納フレーム29に取り付けられたときに、リーダーがタグの情報を読み取ることにより、取り付けられた収納カセット26を特定することができる。つまり、硬貨処理装置2は、タグ情報に基づいて、収納フレーム29の各取付位置に取り付けられている各収納カセット26を特定することができる。
【0081】
前述したように、硬貨処理装置2は、いわゆる電磁選別を行うよう構成されているため、収納カセット26の取り付け位置に関わらず、収納カセット26の特定情報(つまりタグ情報)に基づいて、例えば金種別や、収納量に基づいて、複数の収納カセット26に硬貨を収納することができるようになる。
【0082】
硬貨処理装置2は、取り外すことができる収納カセット26をランプ29a~29fによって操作者に示す代わりに、又は、ランプ29a~29fによって操作者に示すと共に、硬貨処理装置2の表示部212に、取り外すことができる収納カセット26の情報を表示するようにしてもよい。こうすることで、操作者は、表示部212の表示内容を見ることにより、取り外すことができる収納カセット26を正確に特定することができる。それによって、在高不確定の解消に係る操作者の作業効率を向上させることができる。尚、ランプ29a~29fは省略することも可能である。
【0083】
図示は省略するが、硬貨処理装置2の表示部212に代えて、操作者が携帯する携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、ノートPC)の表示部に、取り外すことができる収納カセット26の情報を表示するようにしてもよい。こうすることでも、操作者は、取り外すことができる収納カセット26を正確に特定することができる。
【0084】
(収納カセットの変形例)
前記の構成では、収納カセット26は、硬貨処理装置2の収納フレーム29に対し、取り外し可能に、取り付けられていた。これとは異なり、収納カセット26は、収納フレーム29に対し、取り外し不可に取り付けられていてもよい。その場合、各収納カセット26には、例えば図9に例示するように、開閉可能な開閉部268を設けてもよい。開閉部268は、詳細な図示は省略するが、例えば電磁的に構成されるロック機構を有し、制御部200が当該ロック機構のロック及びアンロックを制御することにより、操作者が開閉部268を開けることを制限及び許容するようにしてもよい。開閉部268は、操作者が収納カセット26を操作することを制限する制限状態と操作することを許容する許容状態とに切り替わる制限部の一例である。
【0085】
つまり、再計数が必要な収納カセット26について、制御部200は、ロック機構をアンロック状態にすることにより、操作者は、当該収納カセット26の開閉部268を開けて、収納されている硬貨を、収納カセット26から取り出したりすることができる。一方、再計数が必要な収納カセット26以外の収納カセット26については、制御部200は、ロック機構をロック状態にすることにより、操作者は、当該収納カセット26の開閉部268を開けることができなくなる。操作者は、当該収納カセット26の開閉部268を開けないため、操作者の操作に起因して在高が不確定になることを避けることができ、硬貨の管理を厳正に行いながら、在高不確定の解消に係る作業効率を向上させることができる。
【0086】
(他の構成例)
尚、前記の構成では、硬貨処理装置2が電磁選別を行うよう構成されているが、硬貨処理装置は、硬貨の径差によって選別を行うよう構成していてもよい。
【0087】
また、前記の構成では、硬貨処理装置2の制御部200が、収納フレーム29から取り外したり、開閉部268を開けたりする収納カセット26を、複数の収納カセット26のなかから、収納カセット26毎に設定するようにしている。これとは異なり、図示は省略するが、硬貨の処理を行う前記硬貨処理装置2と、硬貨処理装置2に接続される制御装置とを備えた貨幣処理システムを構成し、制御装置が、収納フレーム29から取り外したり、開閉部268を開けたりする収納カセット26を、複数の収納カセット26のなかから、収納カセット26毎に設定するよう構成してもよい。
【0088】
また、収納カセット26が複数の収納部を備えていることとしてもよい。この場合、いずれかの収納部が在高不確定となると、当該収納カセット26が在高不確定となったものとみなし、収納フレーム29からの取り外しや開閉部268を開けることを許可してもよい。
【0089】
また、ここに開示する技術は、硬貨処理装置に適用することに限らず、紙幣の処理を行う紙幣処理装置に適用してもよいし、硬貨及び紙幣の処理を行う貨幣処理装置に適用してもよい。ここに開示する技術は、貨幣を収納する収納部を有する、様々な構成の処理装置に広く適用することができる。
【0090】
さらに、ここに開示する技術は、硬貨や紙幣の出金を行う処理装置にも適用することができる。この場合、通常は硬貨や紙幣が収納部から1枚ずつ繰出されることになるが、2枚以上の硬貨や紙幣が繰出されたと判定された場合等にも、当該収納スタッカは在高不確定となる。
【0091】
尚、前述した様々な実施形態は、適宜、組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
2 硬貨処理装置(貨幣処理装置)
20 筐体
200 制御部
212 表示部
26 収納カセット(収納部)
261~266 収納カセット(収納部)
268 開閉部(制限部)
291 ロック機構(制限部)
29a~29f ランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9