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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ウォータサーバ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018115201
(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公開番号】P2019218075
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507028826
【氏名又は名称】富士の湧水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 喜之
(72)【発明者】
【氏名】石黒 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正直
(72)【発明者】
【氏名】木村 幸史
(72)【発明者】
【氏名】石井 一基
(72)【発明者】
【氏名】小澤 博之
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06443334(US,B1)
【文献】特開2014-169090(JP,A)
【文献】特開2006-056598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水容器から給水するウォータサーバであり、
下部側に、少なくとも前記原水容器が収納される収納部を備える筐体と、
前記筐体の周面側から前記収納部に前記原水容器の出し入れが可能な開口部と、
給水孔が上方向に向けられて前記収納部に収納された前記原水容器の給水部に挿入して、原水を取り出す取水手段と、
前記原水容器を載置させるとともに、裏面に前記原水容器の荷重による変形を防止する1または複数の支持手段を有するトレイと、
前記開口部を通じて前記収納部に前記トレイを出し入れさせ、少なくとも前記原水容器が前記トレイに載置されていない場合、前記原水容器が空の状態もしくは原水が所定量以下の場合に、前記開口部の開口面に対して直交させまたはそれに近い角度を維持して前記トレイを突出させるとともに、前記トレイおよび前記支持手段を床面から離間させて搬送し、前記トレイの突出時に原水が所定量を超える前記原水容器が載置されている場合に、撓むことで前記支持手段を床面に接触させるスライド手段と、
を備え
前記トレイの裏面から前記支持手段の先端までの長さが前記トレイの裏面から床面までの長さよりも短いことを特徴とするウォータサーバ。
【請求項2】
さらに、前記収納部内に配置した前記原水容器の前記給水部の一部または全部に係合させるフック部と、
前記取水手段を上下方向に変位させて、前記取水手段と前記給水部とを着脱させる変位機構部と、
を備え、前記フック部は、前記スライド手段によって搬送される前記原水容器の搬送経路上に配置されており、前記給水部に係合することで、前記給水部の開口部を前記取水手段の挿入位置にガイドすることを特徴とする、請求項1に記載のウォータサーバ。
【請求項3】
さらに、前記開口部と前記取水手段との間に配置され、少なくとも前記給水部に対する前記取水手段の挿入部分を覆って前記開口部から隠す遮蔽部材と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウォータサーバ。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記変位機構部に設置され、前記取水手段とともに上下方向に変位し、前記給水部に対する前記取水手段の挿入が解除されると、前記給水部が前記開口部から露出状態とすることを特徴とする、請求項3に記載のウォータサーバ。
【請求項5】
前記トレイは、前記原水容器を載置する載置面およびその周縁部分に前記原水容器の載置状態を規制するガイド壁を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のウォータサーバ。
【請求項6】
さらに、前記トレイまたは前記原水容器が前記収納部の所定位置に配置されたことを検出するセンサと、
前記センサの検出信号に応じて前記原水容器から水を取り込む給水手段を動作可能にする制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のウォータサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータサーバに対する原水容器の設置またはその交換技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ウォータサーバは冷水または温水を貯留するタンクを備え、このタンクから冷水や温水を提供する。
サーバー筐体の下部に原水容器を備え、補水ポンプにより原水をタンクに補水するウォータサーバが知られている。このウォータサーバでは、筐体内に固定されたジョイント部に対して、原水容器を移動することにより、原水容器の水出口をジョイント部に接続するものがある(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-169090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウォータサーバは、一定の容量のタンクに溜めた水を加熱または冷却して供給していき、温水または冷水の供給に応じて原水容器からタンクに水を補充していく。そのため一定量の温水や冷水が供給されると補充する水が不足するため、原水容器の交換作業が必要となる。従来のウォータサーバでは、たとえば原水容器を装置本体の上部側に設置する構造が採用され、重力を利用して原水容器からタンクに水を補充していた。しかしながら、原水容器の交換頻度を下げるなどの目的から原水容器が大型化されて水の容量が多くなると、高い位置まで原水容器を持上げて行う交換作業が困難になる。そのため、装置の下部側に原水容器を配置するものがある。このようなウォータサーバでは、たとえば装置筐体の前面や側面側から筐体内部に向けて原水容器を直接、または専用のトレイなどに載置させ、水平方向に原水容器を挿入する構造が採られている。
トレイをスライドさせる原水容器の設置処理では、たとえば原水容器の重さの影響によりウォータサーバを設置する床面や壁面に対してトレイが接触して、この床面や壁面を損傷させてしまうおそれがある。また、原水容器の交換時やウォータサーバの使用開始時、または原水容器の未装着状態において、トレイに大きな荷重がかかっていない場合にも過剰な力でトレイの引出し操作が行われると、床面などを傷つけるおそれがある。すなわち、原水容器の大容量化により、原水容器の交換前後のトレイの荷重差が大きくなることで、作業者がトレイの引出し操作時に必要な力を誤認してしまうというおそれがある。
【0005】
そのほか、原水容器を下部側に設置するウォータサーバでは、ポンプによって原水容器から水を取り出すため、ポンプに繋がる管路を原水容器に接続させる作業が必要となる。原水容器は、内部の原水の残量により、形状や重さが変化していく。原水容器の交換作業時に原水容器の給水部と、装置の取水部との接続が不完全な場合、給水が進んで容器の外形が変化することで原水容器と装置との接続が解除されるおそれがある。原水容器と装置との接続が解除されると、たとえばポンプのエア噛みや、原水容器内に空気が侵入してしまい、タンクや配管内の清浄性が低下するおそれがある。
【0006】
斯かる課題について特許文献1には開示も示唆もなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、原水容器の設置・交換作業時のトレイ引出し操作に対する安全性の向上を図ることにある。
また、本発明の他の目的は、原水容器とウォータサーバの取水手段との接続性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のウォータサーバの一側面は、原水容器から給水するウォータサーバであり、下部側に、少なくとも前記原水容器が収納される収納部を備える筐体と、前記筐体の周面側から前記収納部に前記原水容器の出し入れが可能な開口部と、給水孔が上方向に向けられて前記収納部に収納された前記原水容器の給水部に挿入して、原水を取り出す取水手段と、前記原水容器を載置させるとともに、裏面に前記原水容器の荷重による変形を防止する1または複数の支持手段を有するトレイと、前記開口部を通じて前記収納部に前記トレイを出し入れさせ、少なくとも前記原水容器が前記トレイに載置されていない場合、前記原水容器が空の状態もしくは原水が所定量以下の場合に、前記開口部の開口面に対して直交させまたはそれに近い角度を維持して前記トレイを突出させるとともに、前記トレイおよび前記支持手段を床面から離間させて搬送し、前記トレイの突出時に原水が所定量を超える前記原水容器が載置されている場合に、撓むことで前記支持手段を床面に接触させるスライド手段とを備え、前記トレイの裏面から前記支持手段の先端までの長さが前記トレイの裏面から床面までの長さよりも短い
【0009】
上記ウォータサーバにおいて、さらに、前記収納部内に配置した前記原水容器の前記給水部の一部または全部に係合させるフック部と、前記取水手段を上下方向に変位させて、前記取水手段と前記給水部とを着脱させる変位機構部とを備え、前記フック部は、前記スライド手段によって搬送される前記原水容器の搬送経路上に配置されており、前記給水部に係合することで、前記給水部の開口部を前記取水手段の挿入位置にガイドしてよい。
上記ウォータサーバにおいて、さらに、前記開口部と前記取水手段との間に配置され、少なくとも前記給水部に対する前記取水手段の挿入部分を覆って前記開口部から隠す遮蔽部材とを備えてよい。
上記ウォータサーバにおいて、前記遮蔽部材は、前記変位機構部に設置され、前記取水手段とともに上下方向に変位し、前記給水部に対する前記取水手段の挿入が解除されると、前記給水部が前記開口部から露出状態としてよい。
上記ウォータサーバにおいて、前記トレイは、前記原水容器を載置する載置面およびその周縁部分に前記原水容器の載置状態を規制するガイド壁を備えてよい。
上記ウォータサーバにおいて、さらに、前記トレイまたは前記原水容器が前記収納部の所定位置に配置されたことを検出するセンサと、前記センサの検出信号に応じて前記原水容器から水を取り込む給水手段を動作可能にする制御部とを備えてよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) スライド手段を収納部の開口面に対して直交またはそれに近い角度に維持してトレイを搬送させることで、トレイやウォータサーバを設置した床面やその周囲を損傷させず、ウォータサーバの安全性や信頼性が向上する。
(2) トレイの搬送時にスライド手段と床面との接触が防止できるので、原水容器の交換作業性が向上する。
(3) 原水容器の給水部にフック部を係合させることで、原水容器と取水手段との接続性が維持でき、ウォータサーバの信頼性を向上できる。また、作業者が収納部内に接触する箇所を最小限に抑えることができ、収納部内の清浄性が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示す図である。
図2】第2の実施の形態に係るウォータサーバの外観構成例を示す図である。
図3】収納部内に原水容器を配置した状態例を示す図である。
図4】収納部から原水容器を引き出した状態例を示す図である。
図5】トレイおよびスライド手段の構成例を示す平面図である。
図6】トレイおよびスライド手段の底面側の構成例を示す図である。
図7】収納部内のスライド手段の一例を示す図である。
図8】原水容器の構成例を示す図である。
図9】取水部およびフック部を筐体の開口部側から示した図である。
図10】フック部に原水容器の給水部を係合させた状態例を示す図である。
図11】給水部に対する取水部の挿入操作例を示す図である。
図12】給水部と取水部の内部構造の一例を示す断面図である。
図13】給水がすすんだときの原水容器内部の状態例を示す図である。
図14】他の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
このウォータサーバ2は、筐体4の収納部6に設置される原水容器8から原水Wを補水し、この原水Wを冷却して生成した冷水CW、または加熱して生成した温水HWを供給する水供給装置の一例である。筐体4は、たとえば金属やプラスチックなどの材料で構成されており、内部に単一又は複数のタンクや管路および冷却手段やヒータなどの装置および制御装置などを収納する空間が形成されている。この筐体4の底部側には、少なくとも原水容器8や、この原水容器8から原水Wを取り出す取水手段を収納する収納部6を備えている。筐体4の内部には、たとえば収納部6とそれ以外の空間部分を仕切り部材などの構造物や筐体4を形成する柱部等によって物理的に区分けしてもよく、または筐体4の底部から高さや位置、その他、収納される構成部品によって区別するものであってもよい。
【0013】
原水容器8は、貯留した原水Wをウォータサーバ2のタンク内に供給する手段であり、たとえば容器内部から原水Wを流出させる給水部10を備えている。原水容器8は、ビニールやその他の樹脂材料で形成され内部に原水Wを貯める容器を備えており、その容器の周囲に紙やプラスチックなどの材料で構成された外装部材を備えてもよい。
この原水容器8は、トレイ12に載置されている。このトレイ12は、収納部6内での原水容器8の配置位置や配置向きなどを規制する手段の一例である。トレイ12は、たとえば樹脂材料などで構成され、原水容器8を載置させる載置面や原水容器8の周面の一部または全部に沿って立設したガイド部などを備える。さらにトレイ12は、原水容器8を載置させたまま収納部6の外部に原水容器8を移送させるスライド手段14に接続されている。
スライド手段14は、筐体4の開口部16からトレイ12に載置された原水容器8を収納部6の内部または外部に出し入れさせる手段の一例である。トレイ12に載置された原水容器8は、スライド手段14により配置位置が遷移する。トレイ12および原水容器8の配置位置は、たとえば一端側が収納部6の外部であって、開口部16の前面側に設定されており、他端側が収納部6の内部であって、取水手段18の直下またはその周辺に設定されている。スライド手段14は、原水容器8およびトレイ12をその配置位置の両端間でスライドさせる。スライド手段14は、たとえば筐体4の内壁や底板部に形成してもよく、またはトレイ12と一体化した装置として収納部6内に設置される。
このスライド手段14は、たとえば少なくとも原水容器8がトレイ12に載置されていない場合や、原水容器8が空の状態もしくは原水Wが所定量以下の状態のように、大きな荷重負荷がかかっていないときに開口部16の開口面に対して所定角度θが90〔°〕またはこれに近い角度でスライドする。このスライド手段14は、所定の範囲以下の荷重に対して変形しない剛性を備えている。このときトレイ12や原水容器8の底部側の一部が、地面や筐体4の底部側に接触することなく、スライド手段14またはトレイ12は地面に対して所定高さhの位置でスライドする。つまり、スライド手段14は、図示しない収納部6内に固定された一端側に対し、トレイ12が設置されており、開口部16から突出した他端側が、所謂片持ち状態となる。
なお、トレイ12やスライド手段14が地面との間で空間を形成する原水容器8の容量は、たとえばスライド手段14の構成材料や開口部16からの突出量等によって決まる。また、このスライド手段14は、たとえば満水状態の原水容器8を載置した場合にもスライド手段14またはトレイ12が地面に対して所定高さhの位置を維持できる剛性を備えてもよいことは、言うまでもない。
【0014】
開口部16は、たとえば筐体4の一面側であって、スライド手段14によって移動するトレイ12および原水容器8を収納部6の内外に出し入れ可能な大きさで形成されている。筐体4には、たとえば開口部16を外部に露出しまたは隠蔽するために、外装部材の一部または全部を開閉可能にした扉を備えてもよい。これによりウォータサーバ2は、原水容器8の設置・交換時にのみ開口部16を開放させればよく、内部に雑菌が混入するのを防止できる。
【0015】
そのほか、収納部6には、原水容器8から原水Wを取り込むための取水手段18、原水容器8を係合させるフック部20、取水手段18を上下方向などに変位させる変位機構部22、変位機構部22を操作するためのレバー(Lever)24、給水管26、給水ポンプ28などを備える。
取水手段18は、原水容器8の給水部10に接続して原水Wを取り込む手段の一例であり、たとえば原水容器8から吸い込む方向にのみ原水Wを流し、逆方向、すなわち原水容器8に対して水や空気が流れ込むのを防止する逆止弁構造を備えている。取水手段18は、たとえば原水容器8の給水部10の内壁に密着状態で原水容器8の内部に挿入する構造とすることで、原水容器8との接続部分から空気や異物の混入を阻止している。取水手段18の原水容器8と接続しない方の端部は、冷水タンク30と繋がる給水管26に接続されている。
フック部20は、給水位置に配置された原水容器8を保持するとともに、交換作業時に原水容器8の配置位置をガイドするガイド手段の一例である。フック部20は、たとえばスライド手段14による原水容器8の搬送経路上に配置されており、搬送により自動的に、または作業者による手動で給水位置に達した原水容器8の給水部10の一部に係合する。このフック部20は、収納部6内の所定の給水位置を表すために、収納部6内で変位させないように筐体4またはその他の移動しない構成に設置されている。
【0016】
変位機構部22は、取水手段18と接続されており、たとえば原水容器8の交換処理において、取水手段18を原水容器8の給水部10に挿入させ、または給水部10から脱出させるように、上下方向やそれ以外の方向に変位させる手段の一例である。
レバー24は、たとえば変位機構部22の操作手段の一例であり、たとえば上下方向の操作に応じて、変位機構部22を介して取水手段18を変位させる。このレバー24の操作により、原水容器8から取水手段18を通じて給水可能な状態と、原水容器8の交換が可能な状態が切替えられる。
【0017】
<給水・給湯機能の構成例>
このウォータサーバ2は、たとえば筐体4の上部側、または少なくとも原水容器8よりも上側に原水Wを所定温度に調整して供給する給水・給湯機能部を備えている。この給水・給湯機能部には、たとえば上部側に冷水タンク30が配置され、下段に温水タンク32が設置されている。冷水タンク30は、設定温度に温度管理された冷水CWを貯留する。また温水タンク32は、設定温度に温度管理された温水HWを貯留する。
【0018】
冷水タンク30には、たとえば原水容器8から取水された原水Wが給水管26を通じて流されて、給水管26の給水口34から流入する。冷水タンク30は、たとえば内部にタンク内径よりも小さい径の仕切り板36を備えている。この仕切り板36は、冷水タンク30の中程の高さに配置されており、タンクの底部側に滞留する水とタンクの上部側の水とを仕切る。また、仕切り板36は、中心側に所定の径の開口部38が形成されおり、この開口部38を通じて温水タンク32に繋がる通水管40が接続されている。この通水管40は、冷水タンク30内の水を温水タンク32側に流す管路である。
冷水タンク30の外壁部には冷却装置44の蒸発器(evaporator)42が備えられ、冷水タンク30に供給された原水Wが冷却され、冷水CWに冷水化される。冷却装置44は、冷却器などを含む冷却サイクルを備える。また冷水タンク30には、貯留する冷水CWの温度管理手段として、温度センサ46を備えている。この温度センサ46は、たとえばサーミスタ温度計などを用いればよく、検出した温度は、供給する温水または冷水の温度制御などを行う装置として機能する制御装置70に通知される。
そのほか、冷水タンク30には、給水量を監視するための水位センサ48を備えている。水位センサ48は、たとえばタンクの天井側から所定の高さに配置された共通電極と、単数または配置高さを異ならせた複数本の水位電極を利用すればよい。制御装置70は、取り込んだ水位電極の通電状態を示す信号を監視し、所定水位になるまで給水手段の一例である給水ポンプ28を動作させればよい。
冷水タンク30の底部側には冷水管50が接続され、冷水タンク30内の冷水CWが給水口52側に流される。この冷水管50には、管路途中に冷水電磁弁54が設置されており、冷水電磁弁54の開閉動作により冷水タンク30からの給水のON/OFFや流量が切替えられる。
【0019】
温水タンク32には、外部周囲にヒータ(Heater)56が巻き付けられ、内部の水を設定温度としてたとえば85~90〔℃〕に加熱している。このヒータ56は、たとえば電熱式ヒータなどが用いられる。
そのほか温水タンク32には、タンク内の温度を監視する温度センサ58や空焚き安全装置などを備えてもよい。温度センサ58で検出された温度情報は制御装置70に通知され、温水温度管理などに利用される。また空焚き安全装置は、温水タンク32内に水があるか否かを検出する手段であって、たとえば水位センサや水圧センサなどを備えてもよい。
温水タンク32には、たとえば上部側に温水管60が接続され、給水の要求に応じて、温水タンク32内の温水HWが給水口62側に流される。この温水管60には、管路途中に温水電磁弁64が設置されており、温水電磁弁64の開閉動作により温水タンク32からの給水のON/OFFや流量が切替えられる。
【0020】
冷水タンク30と温水タンク32との間には、バイパス管66を備える。バイパス管66は、通水管40と並列に設置されており、高温水循環動作時に通水するためのバイパス弁68を備えている。このバイパス弁68は、通常の給水運転時は閉状態に維持されており、冷水タンク30と温水タンク32との間で温水HWや冷水CWのバイパス管66の通水が阻止される。
【0021】
ウォータサーバ2には、給水制御やその他の機能を制御する制御装置70を備える。この制御装置70は、たとえばマイクロコンピュータであって、図示しないプロセッサやメモリなどで構成される。そして制御装置70は、たとえば給水ポンプ28、冷却装置44やヒータ56などの機能部、温度センサ46、58や水位センサ48、レバー24の操作状態などを監視する監視機能部と接続している。この制御装置70は、各機能部に対して運転動作指示を出力するとともに、各監視機能部から状態情報を収集する。また、制御装置70は、給水および給湯の操作、温度表示、温度設定などの操作手段や状態表示手段を備える操作パネル72と接続している。この操作パネル72には、少なくとも冷水スイッチ、温水スイッチ、ロック解除スイッチなどを備えてもよい。
【0022】
そのほか、ウォータサーバ2の収納部6内には、原水容器8の設置状態を検出するセンサ74を備えてもよい。このセンサ74は、たとえば原水容器8との接触または近接状態を検出して、その検出結果を制御装置70に送信する。制御装置70は、たとえばセンサ74の検出結果に基づいて、原水容器8の交換作業中か否かを判断し、交換作業中か否かの表示を操作パネル72に表示してもよい。また、制御装置70は、たとえば原水容器8の交換作業中に給水や給湯の操作、ポンプ28の動作などが行われないように、制御してもよい。
【0023】
<給水処理>
次に、ウォータサーバの給水処理について説明する。この給水処理の内容や手順は一例である。
この給水処理では、たとえば以下の処理を行う。
(A)原水容器8の新規設置時、または原水容器8の交換時期の到来を契機に、筐体4の開口部16からトレイ12を引き出す。このときトレイ12やスライド手段14は、ウォータサーバ2が載置される床面などとの間に空間を形成した状態で引き出される。
(B)引き出されたトレイ12から使用済みの原水容器8を取出す。そして、新たな原水容器8をトレイ12上に載置する。
(C)原水容器8が載置されたトレイ12をスライド手段14により開口部16を通じて収納部6に収納させる。このとき、トレイ12またはスライド手段14の一部が床面などに接触している、または接触するおそれがある場合、トレイ12またはスライド手段14を持上げながら収納部6内にスライドさせてもよく、またはトレイ12やスライド手段14の底部に図示しない摩擦軽減手段を設置してもよい。
(D)スライド手段14を通じてトレイ12を収納部6内に搬送させ、給水処理時に突出する取水手段18に接続可能な位置に原水容器8を配置させる。
(E)原水容器8の給水部10をフック部20に係合させる。レバー24を引き下げて、原水容器8の給水部10内に取水手段18を挿入させる。
【0024】
<第1の実施の形態の効果>
この実施の形態の構成によれば、次のような効果が期待できる。
(1) 少なくともトレイ12に荷重負荷がかかっていない場合や、もしくは原水容器8が軽量なときに、スライド手段14を収納部6の開口面に対して直交またはそれに近い角度に維持して出し入れさせることで、トレイ12やスライド手段14の一部が床面など接触するのを防止し、ウォータサーバを設置した床面やその周囲を損傷させない。また、スライド操作によってトレイ12やスライド手段14が床面などに対して摩擦などを生じさせず、トレイ12やスライド手段14の損傷を防止でき、ウォータサーバの安全性や信頼性が向上する。
(2) スライド手段14は、トレイ12や原水容器8を保持できる剛性を備えており、トレイ12の搬送時に撓みの発生が抑えられ、原水容器8の交換作業性が向上する。
(3) 上向きに配置される原水容器8の給水部10にフック部20を係合して、所定の配置位置に維持させることで、原水容器8と取水手段18との接続性が維持でき、装置の信頼性を向上できる。
【0025】
(4) 原水容器8の給水部10をフック部20によって所定位置に固定維持させることで、取水手段18との接続操作の容易化が図れるとともに、作業者が収納部6内に接触する箇所を最小限に抑えることができ、収納部6内の清浄性が維持できる。
(5) トレイ12およびスライド手段14により、設定された位置に原水容器8の給水部10が配置されることで、取水手段18との接続に過剰な引張り負荷などが生じるのを防止できる。
【0026】
〔第2の実施の形態〕
図2は、第2の実施の形態に係るウォータサーバの外観構成例を示している。図2に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。また、図2において、図1と同一部分には、同一符号を付している。
このウォータサーバ2は、たとえば図2に示すように、装置全体の上部側に形成され、給水機能や給湯機能および制御機能部などを備える第1の外装筐体部80と、装置全体の下部側に形成され、原水容器8や取水手段18などを備える第2の外装筐体部82で構成されている。第1の外装筐体部80には、たとえば上部側に給水・給湯操作や温度設定操作などを行う操作パネル72を備えるほか、第1の外装筐体部80の所定範囲を凹ませており、その凹ませた部分の天井側に給水口52、62が配置された給水・給湯部84が形成されている。また給水・給湯部84の底部側には、給水または給湯を受ける容器などを載置する載置部86を備えている。この載置部86には、たとえば容器などで受けなかった冷水CWや温水HWを排水する排水機能を備えてもよい。
また、第2の外装筐体部82の前面側には、原水容器8などが収納される収納部6の開口部を開閉させる蓋部88を備える。
【0027】
図3は、収納部内の構成例を示している。
第2の外装筐体部82内に形成される収納部6には、原水容器90や取水部110のほか、図示しない給水ポンプ28や給水管26などが収納される。この収納部6は、たとえば冷水タンク30や温水タンク32が設置される第1の外装筐体部80側と連通させてもよく、または図示しない仕切り板などによって縁切りしてもよい。
原水容器90は、たとえば外装部材である原水ケース92と、この原水ケース92に周囲を覆われており、原水Wが封入される内部容器94を備える。内部容器94には、たとえば原水Wを流出させる給水部96が上部方向に向けて備えられている。
また収納部6には、原水容器90の給水部96の配置位置に対して給水カバー部材98が配置されている。この給水カバー部材98は、たとえば給水位置に配置された原水容器90の給水部96の周囲の一部または全部を覆う位置および大きさに形成されている。この給水カバー部材98は、たとえば筐体内部に固定設置されており、原水容器90の収納位置の特定に利用される。また、給水カバー部材98は、たとえば給水部96と対向する面の一部または全部を給水部96に接触させるように構成されている。これにより、原水容器90の交換時に原水容器90の配置位置決めを行う。
【0028】
原水容器90は、トレイ100上に載置されている。このトレイ100は、たとえば第2の外装筐体部82の底板部102上にガイドレール104を介して配置されている。この底板部102およびガイドレール104は、本開示のスライド手段の一例であり、たとえば図4に示すように、底板部102に対してガイドレール104およびトレイ100を水平方向、またはそれに近い状態でスライドさせる。これにより、トレイ100は、たとえば蓋部88を開状態にしたときに開口部から出し入れ可能となる。また、このとき、トレイ100や載置された原水容器90は、収納部6の開口部130の開口面に対して直交またはそれに近い角度でスライドする。
そして、ウォータサーバ2は、ガイドレール104を介してトレイ100を収納部6から引き出すことで、新たな原水容器90をトレイ100に設置し、または交換タイミングとなった原水容器90を取替え、トレイ100およびガイドレール104を収納部6の内部の所定位置まで運搬させることができる。この原水容器90を配置させる所定位置は、原水容器90の給水部96がウォータサーバ2の取水部110と係合可能な位置である。
【0029】
取水部110は、たとえば載置された原水容器90に対して接近させ、または離間させる変位機構部112に接続されている。この変位機構部112は、たとえば上下方向への操作に応じて取水部110の配置高さを制御するハンドル114を備える。取水部110は、たとえば先端側から一定の長さ部分が給水部96内部に挿入されて原水Wを取り込む。取水部110は、中空な筒状であり、先端部分が原水容器90内に配置される。このような構成により、給水ポンプ28の動作により取水部110の内部が負圧となることで、貯留する原水Wを取り込んで給水管26側に流す。このような取水に伴って原水容器90の内部容器94が収縮し体積が減少する。
変位機構部112は、たとえばハンドル114の長辺方向の中央部分を挟むように配置されたアーム116、アーム116と略平行に配置されたガイド部118を備える。
アーム116は、取水部110と連通しており、ハンドル114の先端側が押し下げられると、この先端部分を力点、ガイド部118とハンドル114とを固定支持した支持部120を支点としたレバー(てこ)となる。そしてハンドル114とアーム116とを固定した支持部122が作用点となって、アーム116を介して取水部110が押し下げられる。
【0030】
そのほか、収納部6には、露出カバー124を備えている。この露出カバー124は、たとえば取水部110と開口部130との間に配置されており、取水部110を開口部130から外部に露出させないように遮蔽する遮蔽部材の一例である。露出カバー124は、変位機構部112に固定設置されており、ハンドル114の上下方向の操作により、取水部110とともに変位する。露出カバー124は、たとえば取水部110より横幅が広く形成されるとともに、下方に突出した取水部110の一部または全部を覆う縦幅で形成されている。この露出カバー124の縦幅は、少なくとも原水容器90の給水部96に対する取水部110の挿入部分を覆うように設定される。
【0031】
さらに、トレイ100の底面側、すなわち原水容器90の載置面に対して裏面側には、たとえば1または複数のキャスター132を備えている。このキャスター132は、原水容器90の荷重に対し、トレイ100が床面側に向けて変形するのを抑える支持手段の一例である。キャスター132は、たとえばトレイ100やガイドレール104に作用する荷重が小さい場合には、床面に対して所定高さhで離間しており、荷重が大きくなるとガイドレール104の撓みによって床面に接触状態となる。原水容器90の交換処理によりトレイ100を収納部6に出し入れする場合、たとえば荷重が大きいためにキャスター132が床面に接触する場合には、たとえばトレイ100を所定の高さまで持上げながら出し入れ処理を行えばよい。
【0032】
<トレイ100およびガイドレール104の構成について>
図5は、トレイおよびスライド手段の構成例を示している。また図6は、トレイおよびスライド手段の底面側の構成例を示している。
トレイ100は、たとえば図5に示すように、原水容器90を載置させる載置面部140を備えている。この載置面部140は、少なくとも原水容器90の原水ケース92の底面積と同等またはそれよりも大きな面積に設定されるとともに、その載置面の少なくとも一部または全部が原水ケース92の底部の形状を収納可能な形状である。またトレイ100は、載置面部140の周縁の一部または全部にガイド壁142が立設されている。ガイド壁142は、たとえば原水容器90の原水ケース92の周縁に接触させることで、トレイ100に対する原水容器90の載置位置や載置向きを規制するほか、収納部6に対する出し入れ操作時の振動や衝撃によって原水容器90がトレイ100から離脱するのを防止している。
【0033】
収納部6の内部には、底板部102上であって、開口部130側から収納部6内に向けて2本のガイドレール104が敷設されている。このガイドレール104は、たとえばトレイ100の底面側に固定設置された第1のレール部材104aと、収納部6内に固定設置された第3のレール部材104cと、この第1のレール部材104aと第3のレール部材104cに係合される第2のレール部材104bで構成される。これにより第2のレール部材104bは、第1のレール部材104aと第3のレール部材104cとを連結する手段であるとともに、収納部6に対するトレイ100の引出し長さを調整する手段として機能する。
【0034】
また収納部6には、たとえば底板部102上に第3のレール部材104cを固定するための支持具144を備える。この支持具144は、たとえば底板部102上に接触し、図示しないボルトなどの固定部材を介して固定される固定面部と、第3のレール部材104cを固定支持し、固定面部に対して直角またはそれに近い角度で立設される支持面部で構成される。
【0035】
また、トレイ100の底面部分には、たとえば図6に示すように、突出時に最も収納部6から離間するトレイ100の先端部分、またはそれに近い位置にキャスター132が設置される。この実施の形態では、トレイ100の先端側の中央に1のキャスター132が設置される場合を示しているがこれに限らない。トレイ100の底面には、所定の間隔をもって複数のキャスター132が設置されてもよい。このトレイ100の底面からキャスター132の先端部分までの長さは、トレイ100の底面からウォータサーバ2が設置される床面までの長さよりも短く設定されている。すなわちこのキャスター132の径は、既述のように、少なくともトレイ100上に所定範囲以上の荷重負荷がかかっていない場合には、床面に接触させない長さとなっている。
トレイ100には、底板面に第1のレール部材104aを固定するための支持具146を備える。この支持具146は、たとえばトレイ100の底面に接触し、図示しないボルトなどの固定部材を介して固定される固定面部と、第1のレール部材104aを固定支持し、固定面部に対して直角またはそれに近い角度で立設される支持面部で構成される。
【0036】
また、第2のレール部材104bには、たとえば第1のレール部材104aと第3のレール部材104cが異なる面に係合している。この第2のレール部材104bは、一方のレール部材との係合位置が他方のレール部材との係合位置に影響を与えない。原水容器90の設置または交換処理では、たとえば収納部6からトレイ100を引出す操作と、突出したトレイ100を収納部6内に押込む操作とで、第1のレール部材104aおよび第3のレール部材104cに対する第2のレール部材104bの摺動動作を異ならせてもよい。つまり、初めに第1のレール部材104aと第2のレール部材104bの間でスライド動作が生じた後に、第2のレール部材104bと第3のレール部材104cのスライド動作が生じてもよく、それ以外の順序、またはこれらが同時に生じてもよい。
【0037】
また、ガイドレール104は、たとえばトレイ100を開口部130の開口面に対して直交方向またはそれに近い角度に維持するために、トレイの突出量を制限する。すなわちガイドレール104は、たとえば図7に示すように、第2のレール部材104bが第3のレール部材104cの先端側までスライドさせないように規制してもよい。このように、第2のレール部材104bと第3のレール部材104cが重なる部分を多くすることで、トレイ100の突出により所謂片持ち状態となるガイドレール104の剛性が高められ、トレイ100上に作用する負荷の支持力が保てる。
【0038】
そのほか、第3のレール部材104cには、たとえばトレイ100の突出量を規制するとともに、所定量毎のスライド操作に応じて振動させるなどの接触部材を備え、作業者にスライド位置やスライド量を認識させるための構造を備えてもよい。
【0039】
<原水容器90について>
原水容器90の内部容器94は、たとえば内部に原水Wが封入されており、貯留量に応じて体積が変化する。内部容器94の給水部96は、たとえば図8に示すように、径大に形成された凸部150と、この凸部150に隣接した凹部152を備える。この凸部150および凹部152は、収納部6内の所定位置に係合させる手段の一例である。この凸部150および凹部152は、給水部96に対して少なくとも1組み形成されればよく、または原水容器90の設置高さを変動可能に、複数組みが形成されてもよい。
そのほか、原水ケース92は、たとえば給水部96を突出させる開口部の縁部に沿って複数の係止片154を備える。この係止片154は、たとえば全て同じ大きさで同じ形状に形成してもよく、またはそれぞれ異ならせてもよく、もしくは対向する面同士を同じ大きさや形状にしてもよい。この係止片154は、開口部側で内部容器94を接触させて離脱するのを防止する手段の一例である。係止片154は、たとえば少なくとも内部容器94内に所定量以上の原水がある場合に離脱できない大きさに形成する。
【0040】
<原水容器90の設置状態について>
図9は、取水部およびフック部を筐体の開口部側から示している。
給水カバー部材98には、たとえば図9に示すように、下方に向けて配置された先端部分に、開口形を狭める方向に突出した支持凸部160が形成されている。この支持凸部160は、本発明のフック部の一例であり、原水容器90の給水部96を所定位置に保持させる手段の一例である。収納部6内に搬送された原水容器90は、たとえば図10に示すように、給水部96の凹部152が支持凸部160で形成された開口部分に配置される。これにより、給水部96は、たとえば柔軟性のある樹脂材料で形成された内部容器94の変形などに対抗し、収納部6内の設定位置に固定配置される。
そして、原水容器90の設置処理では、たとえば図11のAに示すように、給水部96の凹部152を支持凸部160の位置に合せて配置させる。そして、給水部96を支持凸部160に係止させ、図11のBに示すように、ハンドル114を下方に押し下げることで、アーム116などを介して取水部110を下方に変位させる。これにより取水部110は、先端部分が原水容器90の給水部96内に挿入される。
この取水部110は、たとえば図12に示すように、先端側から一定の長さ部分が給水部96の開口部119内に挿入される。使用開始前の原水容器90の給水部96には、たとえば図示しない開口部の封止手段を備えており、取水部110の先端部分は封止手段を押圧して給水部96を開口させる。このように、取水部110の挿入処理では、原水容器90を下方に押圧するが、支持凸部160の先端部分が給水部96の凸部150の周面に接触することで、原水容器90が下方にずれるのを阻止している。
そのほか、取水部110は、たとえば原水容器90内に挿入された先端部分に原水Wを取り込む給水孔170を備えるとともに、この給水孔170から取り込んだ原水Wを内部に通過させる通流路172、この通流路172に連通しており、原水Wを原水容器90側に逆流させない逆止経路174が形成されている。そして、逆止経路174を通過した原水Wは、給水管26が接続される接続部176側に流れる。
【0041】
給水が進むと、原水容器90内の原水Wが減少し、所定の残量になったところで、原水容器90の交換処理に移行する。
原水容器90は、たとえば図13に示すように、内部の原水Wが少なくなると、内部容器94が収縮する。つまり、内部容器94は、内部が密閉状態に維持されており、給水ポンプ28による負圧で原水Wを供給しているため、残水量に応じて収縮状態となる。このとき、収縮した内部容器94は、給水部96が給水カバー部材98の支持凸部160によって係止されるため、取水部110との接続が維持できる。
【0042】
<第2の実施の形態の効果>
この実施の形態の構成によれば、次のような効果が期待できる。
(1) トレイ100およびガイドレール104を開口部130の開口面に対して直交またはそれに近い状態で変位可能にすることで、トレイ100の引出し時に床面やその周囲を損傷させるのを防止できる。
(2) 床面に対してレール部材104a、104b、104cの設置向きを直角またはそれに近い角度にし、ガイドレールを垂直方向の面で係合させることで、トレイ100上に載置される荷重負荷などに対して、レール部材同士の離間を阻止し、かつ、荷重負荷に対する剛性を高めることができる。
(3) トレイ100に載置される荷重負荷に対し、レール部材104a、104b、104cの突出量を調整し、重なり部分を多くとることで、荷重負荷に対する剛性を高められ、トレイ100が床面などに接触するのを阻止でき、または載置可能な荷重負荷を大きくすることができる。
(4) トレイ100の搬送時にガイドレール104と床面との接触が防止できるので、原水容器90の交換作業性が向上する。
【0043】
(5) 原水容器90の給水部96に支持凸部160を係合させることで、原水容器90と取水部110との接続性が維持でき、ウォータサーバの信頼性を向上できる。
(6) 取水部110から離間した位置にある支持凸部160と給水部96の凹部152を基準に原水容器90の設置操作を行うことで、作業者が取水部110に誤って触れるのを防止でき、供給される温水HWや冷水CWや収納部6内の清浄性が維持できる。
る。
(7) 原水容器90の給水部96に支持凸部160を係合させることで、内部容器94内の残水が減少して収縮しても、重力などによって取水部110との接続が強制的に解除されるのを防止できる。
【0044】
〔他の実施の形態〕
以上説明した実施形態について、変形例を以下に列挙する。
【0045】
(1) 図14は、他の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示している。
このウォータサーバ2は、たとえば図14に示すように、トレイ100の背面側にあるガイド壁142にマグネット190を設置してもよい。また、収納部6を形成する外装筐体部82またはその内壁面の一部を金属などの磁性材料で形成してもよい。これによりトレイ100は、収納部6内に配置されたときにマグネット190が外装筐体部82の内壁面などに対し、磁力によって引き寄せられ、または接触状態が維持され、原水容器90の給水部96を所定の給水位置に維持させることができる。
また、外装筐体部82の内壁面には、たとえば磁気センサを備え、検出結果を制御装置70に通知してもよい。これにより制御装置70は、たとえば収納部6内のトレイ100の有無の検出が可能となり、原水容器90の交換作業中か否かを把握できる。この検出結果により制御装置70は、たとえば原水容器の交換作業中の場合には、操作パネル72に対する給水または給湯指示の操作を無効にしたり、給水ポンプ28の動作を禁止させるなど制御すればよい。
【0046】
(2) このウォータサーバ2は、たとえば収納部6に設置されたセンサにより、原水容器90の交換状態の監視処理を行ってもよい。このセンサは、たとえば収納部6内に原水容器90が有るか否かを監視するほか、所定の設置位置に原水容器90が配置されているか、設定された向きに向いているか否かなどを監視すればよい。そして、センサによる検出信号は、随時または所定のタイミング毎に制御装置70側に通知されればよい。さらに制御装置70は、たとえば検出結果に基づいて、操作パネル72に対して警報表示などを行ってもよい。
【0047】
(3) 上記実施の形態では、露出カバー124が原水容器90と取水部110との接合部分を覆うように形成する場合を示したがこれに限らない。この露出カバー124は、たとえばハンドル114を下げる前の取水部110を覆い、開口部130から取水部110を露出させないようにしてもよい。このとき、露出カバー124は、たとえば変位機構部112による上下方向への変位操作に対して独立するように設置されればよい。このように構成すれば、原水容器90の交換処理などで開口部130が開状態となっても、取水部110が開口部130の外部に直接露出するのを防止でき、外気との直接の接触を防止し、取水部110に塵や埃などの異物が付着する可能性を低下できるほか、原水容器90の交換作業時に、作業者が取水部110に触れるのを防止できる。
【0048】
(4) このウォータサーバ2は、たとえば原水容器90の給水部96を係止させる給水カバー部材98(フック部)に荷重センサを備え、原水容器90内の原水Wの重さにより残水量を監視して、交換時期などを監視してもよい。
(5) さらにウォータサーバ2は、原水容器10の交換時期として、たとえば原水容器90の重さの検出結果に基づき、トレイ100を引き出したときにガイドレール104が片持ち状態を維持できる重量になったことを契機にとしてもよい。そして、操作パネル72の表示部等に交換時期の到来や接近を報知してもよい。
【0049】
(6) 上記実施の形態では、ウォータサーバ2は、原水容器8から供給される原水Wが給水管26を通じて冷水タンク30に流れるものを示したがこれに限られない。原水Wは、原水容器8から温水タンク32を介して冷水タンク30側に流す構成としてもよい。
【0050】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のウォータサーバは、交換する原水容器を引き出すときにトレイやスライド手段を水平方向に引き出すことで、ウォータサーバが設置される床面やその周辺部分にトレイやスライド手段を接触させず、床面などの損傷を回避でき、有用である。
【符号の説明】
【0052】
2 ウォータサーバ
4 筐体
6 収納部
8、90 原水容器
10、96 給水部
12、100 トレイ
14 スライド手段
16 開口部
18 取水手段
20 フック部
22 変位機構部
24 レバー
26 給水管
28 給水ポンプ
30 冷水タンク
32 温水タンク
34 給水口
36 仕切り板
38 開口部
40 通水管
42 蒸発器
44 冷却装置
46、58 温度センサ
48 水位センサ
50 冷水管
52、62 給水口
54 冷水電磁弁
56 ヒータ
60 温水管
64 温水電磁弁
66 バイパス管
68 バイパス弁
70 制御装置
72 操作パネル
74 センサ
80 第1の外装筐体部
82 第2の外装筐体部
84 給水・給湯部
86 載置部
88 蓋部
92 原水ケース
94 内部容器
98 給水カバー部材
102 底板部
104 ガイドレール
104a、104b、104c レール部材
110 取水部
112 変位機構部
114 ハンドル
116 アーム
118 ガイド部
120、122 支持部
124 露出カバー
130 開口部
132 キャスター
140 載置面部
142 ガイド壁
144、146 支持具
150 凸部
152 凹部
154 係止片
160 支持凸部
170 給水孔
172 通流路
174 逆止経路
176 接続部
190 マグネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14