(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/14 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
A47L9/14 A
(21)【出願番号】P 2018118217
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-118758(JP,U)
【文献】特開2016-042898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含塵空気を吸い込む吸込口と、
前記吸込口と連通する集塵室と、
前記集塵室
の上部を開閉する蓋体と、
前記集塵室に設けられ、口枠を備えた集塵袋を保持する集塵袋保持部と、
前記集塵袋保持部に対して前記集塵袋を挿入する
上側
であって前記吸込口の上側に位置し、回動可能に設けられた回動部材と、を備え、
前記回動部材は、
前記集塵袋保持部に前記集塵袋が未装着の状態で前記集塵袋を挿入する上側からの力を受ける荷重受け部を備え、前記集塵袋保持部に前記集塵袋が未装着の状態で少なくとも一部が前記蓋体の可動範囲に位置し、前記集塵袋保持部に装着された前記集塵袋との当接により回動して前記蓋体の可動範囲から前記集塵室の内側に退避
し、
前記荷重受け部は、前記集塵室の外側へと突出し、前記集塵袋保持部への前記集塵袋の挿入方向である上下方向に沿って形成されている
ことを特徴とする電気掃除機
。
【請求項2】
前記回動部材は、前記吸込口よりも外側に延び前記集塵袋保持部に装着された前記集塵袋の前記口枠との当接により前記回動部材を前記蓋体の可動範囲から前記集塵室の内側に退避させるように回動させる接触部を備えた
ことを特徴とする請求項
1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記回動部材が退避した状態で前記集塵袋の前記口枠を上側から押さえる押さえ部を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、集塵袋を集塵室に保持して用いる電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集塵袋を集塵室に装着して使用する電気掃除機において、集塵袋の口枠を保持する保持部と、保持部に保持された集塵袋を係止する保持手段とが集塵室に設けられているものがある。保持手段は、集塵袋の口枠を押さえるために集塵室の内側に向かって付勢されている。そのため、集塵袋を集塵室に装着しない状態では、保持手段が集塵室の内側に向かって倒れて、集塵室を開閉する蓋体と当接することで蓋体が閉じないようにして、集塵袋を装着しないまま電気掃除機を誤って使用しないようにするための安全装置として作用する。
【0003】
このような保持手段は、集塵袋の未装着状態で集塵袋の装着経路に大きく掛かって位置するため、集塵袋を装着する際には、保持手段を付勢に抗して起こすように退避させ、退避させた状態を維持しつつ保持手段と保持部との隙間に集塵袋の口枠を差し込む必要がある等、装着作業が煩雑であるため、集塵袋をより装着しやすくすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、集塵袋の未装着状態で蓋体が閉じることを防止可能で、かつ、集塵袋を装着しやすい電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電気掃除機は、含塵空気を吸い込む吸込口と、集塵室と、蓋体と、集塵袋保持部と、回動部材と、を備える。集塵室は、吸込口と連通する。蓋体は、集塵室の上部を開閉する。集塵袋保持部は、集塵室に設けられ、口枠を備えた集塵袋を保持する。回動部材は、集塵袋保持部に対して集塵袋を挿入する上側であって吸込口の上側に位置し、回動可能に設けられる。回動部材は、集塵袋保持部に集塵袋が未装着の状態で集塵袋を挿入する上側からの力を受ける荷重受け部を備える。回動部材は、集塵袋保持部に集塵袋が未装着の状態で少なくとも一部が蓋体の可動範囲に位置する。回動部材は、集塵袋保持部に装着された集塵袋との当接により回動して蓋体の可動範囲から集塵室の内側に退避する。荷重受け部は、集塵室の外側へと突出し、集塵袋保持部への集塵袋の挿入方向である上下方向に沿って形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の電気掃除機の集塵袋の未装着状態の掃除機本体の一部を示す断面図である。
【
図2】同上集塵袋の装着過程の掃除機本体の一部を示す断面図である。
【
図3】同上集塵袋の装着状態の掃除機本体の一部を示す断面図である。
【
図6】同上電気掃除機の掃除機本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図8において、1は電気掃除機である。電気掃除機1は、本実施形態において、ユーザが床面上を走行させて移動させ、床面上の塵埃を掃除する床面を掃除する。本実施形態では、電気掃除機1として、キャニスタ型の電気掃除機を例に挙げて説明するが、アップライト型やスティック型、ハンディ型の電気掃除機等でもよく、自律走行式のロボットクリーナ等でもよい。以下、本実施形態において、前後方向、左右方向および上下方向は、キャニスタ型の電気掃除機1を床面等の平面に載置した状態を基準として説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
電気掃除機1は、掃除機本体2を備えている。掃除機本体2には、本実施形態において、風路体3が着脱可能に接続される。風路体3は、吸込風路を形成するものである。風路体3は、本実施形態において、ホース体4、延長管5、および、吸込口体6を備えている。また、風路体3は、ユーザが把持操作する操作部7を備えている。操作部7には、電気掃除機1の起動および停止を設定する設定手段8が配置されている。なお、風路体3は、電気掃除機1がアップライト型やスティック型、ハンディ型の場合にはそれぞれの態様に対応する構成とすればよく、電気掃除機1がロボットクリーナである場合には不要である。
【0011】
掃除機本体2には、吸込口9が形成されている。吸込口9は、掃除機本体2の前端に位置しているが、この位置に限定されるものではない。本実施形態において、吸込口9には風路体3が接続される。また、吸込口9には、吸込口シール10が取り付けられている。吸込口シール10は、弾性を有する部材等により形成され、吸込口9の下流端側に取り付けられている。
【0012】
また、
図6および
図7に示すように、掃除機本体2は、本体部11を備えている。本体部11には、集塵室12が形成されている。集塵室12は、掃除機本体2の前部に形成されている。集塵室12は、吸込口9と連通し、吸込口9に取り付けられた吸込口シール10の下流端部が集塵室12内に突出している。本実施形態の集塵室12は、上側が開口されている。なお、集塵室12は、左側又は右側が開口されても構わなくて、これらに限定されるものではない。集塵室12の開口縁には、集塵室12を密閉するためのシール部材13が取り付けられている。シール部材13は、例えば弾性変形可能な部材により形成される。シール部材13は、集塵室12の開口縁に沿って連なって配置される。また、集塵室12は、蓋体14によって開閉可能となっている。蓋体14は、本体部11に回動可能に支持され、集塵室12を閉じた状態でシール部材13に対して締込部15が圧接されて集塵室12を気密に閉塞するようになっている。また、蓋体14は、本体部11に対して、集塵室12を閉じた状態で係止手段16により係止される。係止手段16は、蓋体14に形成されていてもよいし、本体部11に形成されていてもよい。さらに、
図6に示すように、集塵室12は、本体部11に配置された吸引源となる電動送風機17の吸気側と連通している。電動送風機17は、本体部11に配置されたコードリール装置や二次電池等の電源部からの給電により動作し、制御部19により制御される。また、電動送風機17の排気側は、掃除機本体2に設けられた排気口20に連通している。
【0013】
また、集塵室12には、集塵袋22が装着される。集塵袋22は、含塵空気から塵埃を濾過捕集するものである。集塵袋22としては、紙パックや布パック等が用いられる。本実施形態の集塵袋22は、集塵室12に対し、上側から取り付けられるよう構成されているが、この方向からの取り付けに限定されるものではなくて、集塵袋22は左側又は右側から取り付けられるよう構成されても構わない。本実施形態の集塵袋22は、口枠23を備えている。口枠23は、硬質の紙材又は厚紙等により形成されている。また、口枠23は、四角形状に形成されているとともに、集塵室12に装着した状態で吸込口9と連通する開口部24が形成されている。
【0014】
また、集塵袋22は、濾材部25を備えている。濾材部25は、含塵空気を内部に通過させて、塵埃を濾過するものである。濾材部25は、単層又は多層の濾材等によって袋状に形成され、口枠23と一体的に連結されて内部が開口部24と連通している。なお、
図7において、集塵袋22は、濾材部25が折り畳まれた使用前の状態を示すが、含塵空気が内部に導入されることにより集塵室12内で濾材部25が膨らむようになっている。そして、集塵袋22は、集塵室12に設けられた集塵袋保持部26により保持される。
【0015】
集塵袋保持部26は、吸込口9の左右両側に位置している。集塵袋保持部26は、集塵室12の吸気側に配置されている。本実施形態の集塵袋保持部26は、集塵室12内の前端部に配置されている。集塵袋保持部26の位置は、この位置に限定されるものではない。また、本実施形態の集塵袋保持部26は、吸込口シール10の両側に離れて配置されている。集塵袋保持部26は、集塵袋22の口枠23の側部の位置を規制する側部規制部27を備えている。側部規制部27は、集塵袋22を挿入する側である集塵室12の開口方向に向かって延びて形成されている。本実施形態の側部規制部27は、集塵室12の底部から上方に向かって突出しているが、この方向に限定されるものではない。また、集塵袋保持部26は、集塵袋22の口枠23の吸込口9とは反対側の位置を規制する位置規制部28を備えている。位置規制部28は、集塵袋22の口枠23の開口部24の周辺を吸込口シール10に対して密着させることで、開口部24と吸込口9とを気密に接続するものである。位置規制部28は、吸込口9および/又は吸込口シール10に対して集塵室12の内側である後側に離れて位置している。位置規制部28の位置は、この位置に限定されるものではない。また、位置規制部28は、側部規制部27に連なって形成されている。位置規制部28は、集塵袋22を挿入する側である集塵室12の開口方向に向かって延びて形成されている。また、位置規制部28は、集塵袋22を挿入する側である集塵室12の開口方向に向かい、吸込口9から離れる方向に傾斜する呼込部30を備えている。本実施形態の呼込部30は、集塵袋22の口枠23を位置規制部28と吸込口9又は吸込口シール10との間に呼び込むものである。呼込部30は、位置規制部28の上端部に位置し、上方に向かい後方に傾斜して形成されている。呼込部30の位置や傾斜方向は、これらの位置や方向に限定されるものではない。
【0016】
さらに、集塵袋保持部26には、集塵袋22を挿入する側である上部に回動部材32が回動可能に設けられている。回動部材32は、集塵室12に対して外側である前側と内側である後側とに回動可能である。集塵室12の開口方向により、回動部材32の配置位置や回動方向は変わるが、回動部材32の配置位置や回動方向は、これらの位置や方向に限定されるものではない。回動部材32は、集塵袋22を装着しない状態での蓋体14による集塵室12の閉塞を阻止する安全装置として作用するものである。また、本実施形態の回動部材32は、集塵袋保持部26に保持された集塵袋22の口枠23を係止するものである。
【0017】
図1、
図4および
図5に示すように、回動部材32は、本体部11に対して回動可能に支持される部材本体部34を備えている。部材本体部34は、本体部11の軸支部35に対して回動軸34aが回動可能に支持されている。本実施形態の回動軸34aは、左右方向に沿って延びているが、この方向に限定されるものではない。例えば、回動部材32が上下方向に配置される場合、回動軸34aは上下方向に沿って延びている。また、回動軸34aには、付勢手段36が取り付けられている。付勢手段36は、回動部材32を集塵室12の外側である前側に向かって回動させるように付勢している。付勢手段36は、本実施形態においてトーションばねが用いられるが、これに限らず、コイルばね等が用いられてもよい。
【0018】
さらに、回動部材32は、蓋体14による集塵室12の閉塞を規制する閉塞規制部38を備えている。閉塞規制部38は、部材本体部34から突出し、集塵袋保持部26に集塵袋22が未装着の状態で集塵室12に対して外側である前側に回動している位置で蓋体14と当接することにより蓋体14による集塵室12の閉塞を阻害するようになっている。本実施形態の閉塞規制部38は、部材本体部34の上部に連なって形成されている。また、閉塞規制部38は、部材本体部34に対して集塵室12の外側である前側に向かって屈曲するように形成されている。さらに、閉塞規制部38は、本体部11の集塵室12の開口縁よりも上方に延出している。閉塞規制部38の位置や屈曲等の方向については、回動部材32の配置により変わるので、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、回動部材32は、閉塞規制部38の下側に、荷重受け部40を備えている。荷重受け部40は、集塵袋保持部26に集塵袋22が未装着の状態で集塵袋22を挿入する側である上側からの力を、本体部11に形成された支持部41との当接によって受けるものである。荷重受け部40は、部材本体部34から集塵室12の外側である前側に突出している。本実施形態の荷重受け部40は、集塵袋22の挿入方向に沿う方向である上下方向に沿ってリブ状に形成されている。また、荷重受け部40および支持部41は、本実施形態において、左右に離れて一対形成されている。
【0020】
また、回動部材32は、回動軸34aに対して閉塞規制部38とは反対側の位置に接触部43を備えている。接触部43は、集塵袋保持部26に装着される集塵袋22の口枠23との当接により回動部材32を集塵室12の内側である後側に回動させるためのものである。接触部43は、部材本体部34から閉塞規制部38とは反対側である下側に位置して形成されている。また、接触部43は、回動軸34aに対して集塵室12の内側である後側に延出している。さらに、接触部43は、回動部材32の回動軸方向に沿って延びている。本実施形態の接触部43は、棒状であって、部材本体部34から左右に延出しているが、この構成及び形状に限らず、左右いずれか一方のみに延出するように形成されていてもよい。また、本実施形態の接触部43は、回動部材32の回動径方向の距離が、閉塞規制部38よりも近く設定されている。また、接触部43は、吸込口9および吸込口シール10よりも外側である左右両側方にそれぞれ延びている。接触部43の位置や形状等の方向については、回動部材32の配置により変わるので、これらに限定されるものではない。さらに、回動部材32には、左右の接触部43間に、吸込口9および吸込口シール10を避ける切欠部44が形成されている。
【0021】
さらに、回動部材32は、集塵室12の内側である後側に突出する押さえ部45を備えている。押さえ部45は、集塵袋保持部26に保持された集塵袋22の口枠23を押さえて、集塵袋保持部26に対して集塵袋22を抜け止めするものである。押さえ部45は、部材本体部34からリブ状に突出して形成されている。また、押さえ部45は、左右方向に沿って延びているが、これに限定されるものではない。さらに、押さえ部45は、閉塞規制部38に対して回動軸34aに近い位置に形成されている。なお、本実施形態では、回動部材32に押さえ部45が形成されているが、この構成に限らず、蓋体14により集塵室12を閉じた状態で集塵袋22の口枠23を押さえるリブ等の押さえ部を蓋体14に形成する構成等としてもよい。
【0022】
次に、一実施形態の作用を説明する。
【0023】
集塵袋22が集塵室12に装着されていない場合には、ユーザは掃除を開始する前に集塵室12に集塵袋22を装着する。集塵室12に集塵袋22を装着していない状態では、
図1に示すように、回動部材32が付勢手段36の付勢により集塵室12に対して外側である前側に回動しており、閉塞規制部38がシール部材13に重なって蓋体14と干渉する蓋体14の可動範囲に位置することで、回動部材32が閉塞規制部38の位置で締込部15と当接して蓋体14の閉塞を阻害する。この位置では、回動部材32の閉塞規制部38が集塵袋22の集塵袋保持部26への装着経路上になく、接触部43のみが集塵袋保持部26の集塵袋22の装着側である上側に僅かに臨んで突出する。したがって、集塵袋保持部26の上側は回動部材32によってほぼ阻害されることなく開口した状態となっている。
【0024】
このため、ユーザは、蓋体14を開いた状態で、
図2に示すように集塵袋22の口枠23を集塵袋保持部26に対して位置合わせして容易に挿入可能となる。口枠23の両側部は、側部規制部27により位置が規制され、口枠23の後側部は、位置規制部28により位置が規制されて、両側の集塵袋保持部26間にて吸込口9との間に集塵袋22の口枠23が挿入される。挿入された口枠23は、回動軸34aよりも下側に位置する接触部43に対して開口部24の両側の位置が当接し、接触部43を押すことで、回動部材32の回動軸34aよりも上側の位置が回動軸34aを中心として集塵室12に対して内側である後側に、付勢手段36の付勢に抗して回動して、蓋体14の可動範囲から退避する。このとき、集塵袋保持部26には、集塵袋22が挿入される上側で位置規制部28に呼込部30が形成されていることにより、回動部材32に対して集塵室12の内側に傾斜するように集塵袋保持部26に挿入される口枠23が、集塵袋保持部26の位置規制部28と吸込口9との間のスペースに円滑に呼び込まれる。
【0025】
図3に示すように、集塵袋22の口枠23をさらに押し込み、口枠23が集塵室12の底部まで達すると、口枠23の開口部24の周囲の部分が吸込口シール10に密着して開口部24と吸込口9とが気密に接続されるとともに、回動部材32の押さえ部45が口枠23を上側から押さえる。このように集塵袋22を集塵室12に保持すると、閉塞規制部38がシール部材13から離れて蓋体14の可動範囲外へと退避していることで、蓋体14により集塵室12を閉じる際に閉塞規制部38が蓋体14と干渉しないため、蓋体14により集塵室12を閉塞することが可能になる。そこで、ユーザは蓋体14を回動させて集塵室12を閉じ、係止手段16により蓋体14を本体部11に係止する。この状態で、蓋体14の締込部15がシール部材13に対して圧接され、集塵室12を密閉する。
【0026】
ユーザが設定手段8を操作することで電気掃除機1が起動すると、電動送風機17が動作して負圧を発生させる。ユーザは操作部7を把持操作し、吸込口体6等から床面の塵埃を空気とともに吸い込む。そして、含塵空気は吸込口9から、集塵室12に装着された集塵袋22の開口部24へと吸い込まれ、集塵袋22の濾材部25において塵埃が分離捕集される。塵埃が分離された空気は、電動送風機17に吸い込まれる。電動送風機17に吸い込まれた空気は、電動送風機17を冷却した後、電動送風機17から排気され、さらに排気口20を介して掃除機本体2の外部へと排出される。
【0027】
掃除が終了すると、ユーザが設定手段8を操作することで電気掃除機1が運転を停止する。集塵袋22に塵埃が所定量以上溜まったり、濾材部25が目詰まりしたりして電動送風機17の吸引力が低下すると、ユーザは係止手段16による蓋体14の本体部11への係止を解除しつつ蓋体14を回動させて集塵室12を開き、回動部材32を付勢に抗して前側に回動させながら集塵袋22を集塵袋保持部26から引き抜いて集塵室12から取り外した後、集塵袋22を塵埃とともに廃棄する。
【0028】
以上説明した一実施形態によれば、回動部材32の少なくとも一部が、集塵袋保持部26に集塵袋22が未装着の状態で蓋体14の可動範囲に位置することで、集塵袋22の未装着状態で蓋体14が閉じることを防止できる。そのため、蓋体14が閉じられないことで集塵袋22が未装着であることをユーザに容易に気づかせることができるので、集塵袋22を装着しないまま電気掃除機1を誤って運転させることを抑制できる。また、回動部材32は、集塵袋22の未装着の状態で集塵袋22の集塵袋保持部26に対して集塵室12の外側に位置し、集塵袋保持部26に対する集塵袋22の装着経路を阻害しない位置にあるため、集塵袋22を集塵袋保持部26に装着しやすいとともに、集塵袋保持部26に装着された集塵袋22との当接により回動して蓋体14の可動範囲から集塵室12の内側に退避するので、集塵袋保持部26に集塵袋22を装着した状態では、蓋体14により集塵室12を閉じることができる。
【0029】
また、集塵袋22を装着する際にユーザが誤って集塵袋22の口枠23を回動部材32に押し付けた場合等でも、集塵袋保持部26に集塵袋22を挿入する側からの力を荷重受け部40により受けるので、回動部材32を傷めにくくなる。特に、上方が開口されている集塵室12の場合、集塵袋22の装着の際にユーザが重力を加えながら口枠23によって回動部材32を押し込みやすくなるため、荷重受け部40によって荷重を受けることで、回動部材32の破損等を抑制できる。
【0030】
さらに、回動部材32の接触部43が吸込口9よりも外側に延びているため、集塵袋保持部26に集塵袋22を装着する際に、口枠23に対して開口部24の周辺の位置に接触部43を当接させやすくなり、回動部材32を蓋体14の可動範囲から集塵室12の内側へと容易に退避させるように回動させることができる。
【0031】
また、回動軸34aを挟んで互いに反対側に位置する接触部43と閉塞規制部38とに関して、閉塞規制部38よりも接触部43が回動軸34aに対して回動径方向に近い位置にあるため、集塵袋22の口枠23との当接によって接触部43が動く範囲に対して閉塞規制部38が回動する範囲を大きくし、閉塞規制部38を集塵室12の内側に大きく退避させることができるとともに、集塵袋22を装着する前には、閉塞規制部38が集塵室12に対して外側に大きく避けた位置となるので、集塵袋22の装着の邪魔になりにくい。
【0032】
なお、上記一実施形態では、上側が開口された集塵室12を蓋体14により開閉する構成としたが、この構成に限らず、前や左右が開口された集塵室12を蓋体14により開閉する構成にも適用できる。したがって、上記一実施形態に記載した方向や位置については、電気掃除機1の設置位置や電気掃除機1の形状等に応じて適宜設定されるものとする。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1 電気掃除機
9 吸込口
12 集塵室
14 蓋体
22 集塵袋
23 口枠
26 集塵袋保持部
32 回動部材
40 荷重受け部
43 接触部
45
押さえ部