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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】電動弁及び冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20220119BHJP
   F25B 41/35 20210101ALI20220119BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F25B41/35
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018129232
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020008087
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中野 誠一
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-89870(JP,A)
【文献】実公昭61-35773(JP,Y2)
【文献】特開2008-232290(JP,A)
【文献】中国実用新案第205278546(CN,U)
【文献】特開2017-161052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
F25B 41/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部の作動軸に連動する弁部材により弁ポートを開閉する電動弁であって、前記作動軸の端部の外周にフランジ部が形成されるとともに、前記弁部材を保持して前記作動軸の前記フランジ部に連結される弁ホルダ部を備えた電動弁において、
前記弁ホルダ部は、前記作動軸を嵌挿する挿通孔を有するワッシャを、円筒状のガイド管の端部に形成された環状の天井部と前記フランジ部との間に配設して構成され、
前記ワッシャは、
前記弁ポート側の面に、前記フランジ部の前記モータ部側の面が当接し、
前記モータ部側の面に、前記天井部の前記弁ポート側の面が当接し、
前記作動軸における前記挿通孔に嵌挿される側面と前記フランジ部の前記ワッシャに対する当接面とが成す入隅部と、前記ワッシャにおける前記挿通孔の内周面と前記フランジ部に対する当接面部とが成す出隅部と、の少なくとも一方に、他方から後退した後退部が設けられている、ことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記後退部は、前記作動軸における前記入隅部に設けられた凹部によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記後退部は、前記ワッシャにおける前記出隅部に設けられた凹部によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項4】
前記凹部が、段差部または面取部またはR面部であることを特徴とする請求項3に記載の電動弁。
【請求項5】
前記凹部の高さが、前記作動軸における前記入隅部のR部の半径より大きいことを特徴とする請求項4に記載の電動弁。
【請求項6】
前記凹部が、前記ワッシャにおける前記出隅部と、前記ワッシャの前記挿通孔の内周面における前記天井部側と、に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電動弁。
【請求項7】
圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルなどに使用する電動弁及び冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動弁として、モータ部の作動軸に連結された弁部材で弁ポートを開閉するものがある。このような電動弁は例えば特開2017-161052号公報(特許文献1)に開示されている。また、この特許文献1の電動弁は、弁部材を保持する弁ホルダ部(弁ガイド)と作動軸(弁軸)とを連結するために、弁ホルダ部内に作動軸のフランジ部を設け、弁ホルダ部の端部とフランジ部との間にワッシャを介在させるようにしている。なお、このワッシャは、作動軸が回動することから、この作動軸と弁ホルダ部とを相互に回動自在とするために設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-161052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の技術では、図15に示すように、作動軸であるロータ軸8の端部のボス部81に形成されたフランジ部82を、弁ホルダ部のガイド管92内に設け、ガイド管92の上端の天井部92aとフランジ部82との間にワッシャ91を噛ませるように配置されている。しかしながら、ロータ軸8の加工時の加工精度上、ロータ軸8のボス部81とフランジ部82との入隅にR部8Rができてしまうことがある。このような場合、ロータ軸8とガイド管92(弁ホルダ部)との間で横ずれが生じた際に、ワッシャ91がR部8Rに乗り上げ、ロータ軸8に対してガイド管92(及び弁体)が傾斜することにより、作動性が悪化する虞があった。
【0005】
本発明は、弁部材を保持して作動軸のフランジ部に連結される弁ホルダ部を備えた電動弁において、弁ホルダ部のワッシャを作動軸のフランジ部に対して常時確実に当接させて、安定した作動性を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の電動弁は、モータ部の作動軸に連動する弁部材により弁ポートを開閉する電動弁であって、前記作動軸の端部の外周にフランジ部が形成されるとともに、前記弁部材を保持して前記作動軸の前記フランジ部に連結される弁ホルダ部を備えた電動弁において、前記弁ホルダ部は、前記作動軸を嵌挿する挿通孔を有するワッシャを、円筒状のガイド管の端部に形成された環状の天井部と前記フランジ部との間に配設して構成され、前記ワッシャは、前記弁ポート側の面に、前記フランジ部の前記モータ部側の面が当接し、前記モータ部側の面に、前記天井部の前記弁ポート側の面が当接し、前記作動軸における前記挿通孔に嵌挿される側面と前記フランジ部の前記ワッシャに対する当接面とが成す入隅部と、前記ワッシャにおける前記挿通孔の内周面と前記フランジ部に対する当接面部とが成す出隅部と、の少なくとも一方に、他方から後退した後退部が設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
請求項2の電動弁は、請求項1に記載の電動弁であって、前記後退部は、前記作動軸における前記入隅部に設けられた凹部によって構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の電動弁は、請求項1に記載の電動弁であって、前記後退部は、前記ワッシャにおける前記出隅部に設けられた凹部によって構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の電動弁は、請求項3に記載の電動弁であって、前記凹部が、段差部または面取部またはR面部であることを特徴とする。
【0010】
請求項5の電動弁は、請求項4に記載の電動弁であって、前記凹部の高さが、前記作動軸における前記入隅部のR部の半径より大きいことを特徴とする。
【0011】
請求項6の電動弁は、請求項5に記載の電動弁であって、前記凹部が、前記ワッシャにおける前記出隅部と、前記ワッシャの前記挿通孔の内周面における前記天井部側と、に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の冷凍サイクルシステムは、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器と、を含む冷凍サイクルシステムであって、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電動弁が、前記膨張弁として用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至6の電動弁によれば、作動軸における入隅部と、ワッシャにおける出隅部との少なくとも一方に後退部が設けられているので、この入隅部と出隅部とが干渉することがない。したがって、作動軸と弁ホルダ部との間で横ずれが生じたとしても、作動軸に対して弁ホルダ部及び弁部材が傾斜することがなく、弁ホルダ部のワッシャを作動軸のフランジ部に対して常時確実に当接させることができ、安定した作動性を確保することができる。
【0014】
請求項7の冷凍サイクルシステムによれば、請求項1乃至6と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の電動弁の縦断面図である。
図2】第1実施形態の電動弁の要部拡大図である。
図3図2の一点鎖線の円で示す部分の一部拡大図である。
図4】第1実施形態におけるロータ軸の入隅部とワッシャの出隅部とを説明する要部拡大断面図である。
図5】第1実施形態における「後退部」の変形例1を示す図である。
図6】第1実施形態における「後退部」の変形例2を示す図である。
図7】第1実施形態における「後退部」の変形例3を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態の電動弁の要部拡大図である。
図9図8の一点鎖線の円で示す部分の一部拡大図である。
図10】第2実施形態における「後退部」の変形例4を示す図である。
図11】第2実施形態における「後退部」の変形例5を示す図である。
図12】第2実施形態における「後退部」の変形例6を示す図である。
図13】実施形態におけるワッシャの変形例を示す図である。
図14】実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。
図15】従来の電動弁における問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の電動弁及び冷凍サイクルシステムの実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電動弁の縦断面図、図2は第1実施形態の電動弁の要部拡大図、図3図2の一点鎖線の円で示す部分の一部拡大図、図4は第1実施形態におけるロータ軸の入隅部とワッシャの出隅部とを説明する要部拡大断面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1の図面における上下に対応する。
【0017】
この電動弁100は、ロータ軸1と、弁ホルダ部2と、「弁部材」としてのニードル弁3と、「モータ部」としてのステッピングモータ10と、弁ハウジング20と、非磁性体からなる密閉ケース30と、支持部材40とを備えている。弁ハウジング20と密閉ケース30とは気密に固着され、ステッピングモータ10は密閉ケース30の内外に構成されている。ステッピングモータ10は、密閉ケース30の内部に回転可能に配設されたマグネットロータ10aと、密閉ケース30の外周においてマグネットロータ10aに対して対向配置されたステータコイル10bと、その他、図示しないヨークや外装部材等により構成されている。ロータ軸1はブッシュを介してマグネットロータ10aの中心に取り付けられ、このロータ軸1の支持部材40側の外周には雄ねじ部1aが形成されている。そして、このロータ軸1の下端に後述の弁ホルダ部2が取り付けられている。なお、密閉ケース30内の上部にはマグネットロータ10aの突起に連動してマグネットロータ10aの回転を規制する回転ストッパ機構30aが設けられている。
【0018】
弁ハウジング20はステンレス等で略円筒形状に形成されており、その内側に弁室20Rを有している。弁ハウジング20の外周片側には弁室20Rに導通される第1継手管50が接続されるとともに、下端から下方に延びる筒状部に第2継手管60が接続されている。また、第2継手管60の弁室20R側には弁座部材70が嵌合されている。弁座部材70の内側は弁ポート70aとなっており、第2継手管60は弁ポート70aを介して弁室20Rに導通される。
【0019】
支持部材40は例えば合成樹脂製で略円柱形状に形成されており、その外周にはインサート成形により一体に設けられたステンレス製のフランジ部41を介して弁ハウジング20の上端部に溶接等により固定されている。支持部材40の中心には、ロータ軸1の軸線Xと同軸の雌ねじ部40aとそのねじ孔が形成されるとともに、雌ねじ部40aのねじ孔よりも径の大きな円筒状のガイド孔40bが形成されている。そして、支持部材40及び弁室20R内には、弁ホルダ部2とニードル弁3とが設けられ、弁ホルダ部2はロータ軸1の下端に取り付けられている。
【0020】
弁ホルダ部2は、挿通孔21aを有する円環状のワッシャ(スラストワッシャ)21と、円筒状の部材からなるガイド管22と、バネ受け23と、コイルバネ24とを備えている。ガイド管22は、上端部を内側に曲げることで、挿通孔22aを有する円環状の天井部22bを有している。一方、ロータ軸1は、雄ねじ部1aより下端側の端部にボス部11を有するとともに、このボス部11にはフランジ部12が一体に形成されている。そして、ボス部11に挿通孔21aを嵌め込んでワッシャ21が取り付けられている。また、ロータ軸1が挿通孔22aに嵌め込まれることで、ガイド管22内に、ワッシャ21、ボス部11及びフランジ部12が収容されている。これにより、ワッシャ21はガイド管22の天井部22bとフランジ部12との間に配設されている。さらに、ガイド管22内には、バネ受け23が軸線X方向に移動可能に設けられ、このバネ受け23とコイルバネ24が収容された状態で、このガイド管22の下端部にニードル弁3が固着されている。
【0021】
以上のようにニードル弁3を有する弁ホルダ部2は、支持部材40のガイド孔40b内に嵌合されて軸線X方向に摺動可能に配設されている。また、ロータ軸1の雄ねじ部1aが支持部材40の雌ねじ部40aに螺合されており、支持部材40のガイド孔40b内で、弁ホルダ部2の上端部がロータ軸1の下端部に係合保持され、弁ホルダ部2及びニードル弁3はロータ軸1によって回転可能に吊り下げた状態で支持されている。
【0022】
以上の構成により、ステッピングモータ10の駆動により、マグネットロータ10a及びロータ軸1が回転し、ロータ軸1の雄ねじ部1aと支持部材40の雌ねじ40aとのねじ送り機構により、ロータ軸1が軸線X方向に移動する。そして、ニードル弁3が軸線X方向に移動して弁座部材70に対して近接又は離間する。これにより、弁ポート70aが開閉され、第1継手管50から第2継手管60へ、あるいは第2継手管60から第1継手管50へ流れる冷媒の流量が制御される。
【0023】
図4はロータ軸1に対してワッシャ21を組み付ける途中の状態を示している。図示のように、ロータ軸1において、フランジ部12の上部当接面12aはボス部11の外周面の延長面と交差するように、このボス部11の外周面と上部当接面12aとは直角となって入隅部A(一点鎖線で囲った部分)を成している。また、ワッシャ21において、挿通孔21aの内周面とフランジ部12に対する当接面部である下部当接面21bとは直角となって出隅部B(一点鎖線で囲った部分)を成している。なお、この入隅部A及び出隅部Bについては、後述の変形例及び第2実施形態においても同様であり、変形例及び第2実施形態の説明でも図4を援用する。
【0024】
この第1実施形態では、ロータ軸1のボス部11とフランジ部12との間に、ボス部11の外径より縮径された「後退部」としての円環状の水平V溝13が形成されている。なお、図3では片側の断面形状だけを示しているが、水平V溝13は軸線X回りの全周に形成された円環状の構造となっている。すなわち、この水平V溝13は、ロータ軸1の入隅部Aにおいてワッシャ21側の出隅部Bから中心側に後退するように設けられている。これにより、図3に示すように、ロータ軸1にワッシャ21を組み付けた状態で、ワッシャ21の下部当接面21bがフランジ部12の上部当接面12aに確実に当接されている。
【0025】
以上のように、ロータ軸1の「後退部」としての円環状の水平V溝13により、ワッシャ21側の下部当接面21bを、入隅部Aと干渉することなくフランジ部12の上部当接面12aに確実に当接させることができる。ロータ軸1と弁ホルダ部2との間で横ずれが生じたとしても、ロータ軸1に対して弁ホルダ部2(及びニードル弁3)が傾斜することがなく、弁ホルダ部2のワッシャ21をロータ軸1のフランジ部12に対して常時確実に当接させることができ、安定した作動性を確保することができる。
【0026】
図5乃至図7は第1実施形態における「後退部」の変形例1乃至3を示す図である。以下の各変形例及び第2実施形態において、第1実施形態と同様な要素には図1乃至図4と同符号を付記して重複する説明は適宜省略する。なお、図では片側の断面形状だけを示しているが、以下の垂直V溝14、水平角溝15、垂直角溝16は前記軸線X回りの全周に形成された円環状の構造となっている。
【0027】
図5の変形例1は、ロータ軸1のボス部11の外周面を軸方向に延長するようにして「後退部」としての円環状の垂直V溝14を形成したものである。すなわち、この垂直V溝14は、ロータ軸1の入隅部A(図4参照)においてワッシャ21側の出隅部B(図4参照)から軸方向に後退するように設けられている。
【0028】
図6の変形例2は、ロータ軸1のフランジ部12の上部当接面12aを中心側に延長するようにして「後退部」としての円環状の水平角溝15を形成したものである。すなわち、この水平角溝15は、ロータ軸1の入隅部A(図4参照)においてワッシャ21側の出隅部B(図4参照)から中心側に後退するように設けられている。
【0029】
図7の変形例3は、ロータ軸1のボス部11の外周面を軸方向に延長するようにして「後退部」としての円環状の垂直角溝16を形成したものである。すなわち、この垂直角溝16は、ロータ軸1の入隅部A(図4参照)においてワッシャ21側の出隅部B(図4参照)から軸方向に後退するように設けられている。
【0030】
以上の変形例1乃至3においても、垂直V溝14、水平角溝15、垂直角溝16により、ワッシャ21側の下部当接面21bをフランジ部12の上部当接12aに確実に当接させることができるので、ロータ軸1に対する弁ホルダ2(及びニードル弁3)の位置を精度高く保持することができ、安定した作動性を得ることができる。
【0031】
図8は第2実施形態の電動弁の要部拡大図、図9図8の一点鎖線の円で示す部分の一部拡大図である。この第2実施形態では、ワッシャ21の挿通孔21aの下方開口部の周囲に「後退部」としての円環状の段差部21cを形成したものである。すなわち、段差部21cは、挿通孔21aの内周面と下部当接面21bとにそれぞれ直角となる面で構成されており、この段差部21cは、ワッシャ21の出隅部B(図4参照)においてロータ軸1側の入隅部A(図4参照)から外側に後退するように設けられている。これにより、図9に示すように、ロータ軸1の入隅部AにR部1Qが形成されていても、ワッシャ21側の下部当接面21bをフランジ部12の上部当接面12aに確実に当接させることができる。なお、段差部21cの高さ[H1]とR部1Qの半径[R1]とは
H1>R1
となっている。
したがって、ロータ軸1に対する弁ホルダ2(及びニードル弁3)の位置を精度高く保持することができ、安定した作動性を得ることができる。
【0032】
図10乃至図12は第2実施形態における「後退部」の変形例4乃至6を示す図であり、各図の(A)図は図8の一点鎖線の円に対応する部分の一部拡大図、(B)図はワッシャ21の全体断面図である。
【0033】
図10の変形例4は、ワッシャ21の挿通孔21aの下方開口部の周囲に「後退部」としての円環状の面取部21dを形成したものである。すなわち、面取部21dは、挿通孔21aの内周面と下部当接面21bとにそれぞれ交差する面であり、この面取部21dは、ワッシャ21の出隅部B(図4参照)においてロータ軸1側の入隅部A(図4参照)から外側に後退するように設けられている。なお、面取部21dの高さ[H2]とR部1Qの半径[R1]とは
H2>R1
となっている。
【0034】
図11の変形例5は、ワッシャ21の挿通孔21aの下方開口部の周囲に「後退部」としての円環状のR面部21eを形成したものであり、このR面部21eは、ワッシャ21の出隅部B(図4参照)においてロータ軸1側の入隅部A(図4参照)から外側に後退するように設けられている。なお、R面部21eの半径[R2]すなわち高さとR部1Qの半径[R1]とは
R2>R1
となっている。
【0035】
以上の変形例4及び5においても、面取部21d及びR面部21eにより、ワッシャ21側の下部当接面21bをフランジ部12の上部当接12aに確実に当接させることができるので、ロータ軸1に対する弁ホルダ2(及びニードル弁3)の位置を精度高く保持することができ、安定した作動性を得ることができる。
【0036】
図12の変形例6は、第2実施形態と同様な円環状の段差部21cを、ワッシャ21の挿通孔21aの上下両方の開口部の周囲に形成したものであり、下側の段差部21cの作用効果は第2実施形態と同様である。この変形例6の場合、ワッシャ21をロータ軸1に組み付ける際に、ワッシャ21の裏表を考慮する必要がなく、組み付け作業が容易になる。なお、このように、ワッシャ21の両面に「後退部」を設けるのは、変形例1乃至5にも同様に適用できる。
【0037】
なお、上記の第1実施形態 及び、第2実施形態の各ワッシャ21の形状は、各図面のワッシャ部分を上から見た上面図として表した図13(A)の様な円環状(リング状)のワッシャ21や、図13(B)の様な円環状の一部に切欠き21dのあるC形状のワッシャ21や、図13(C)の様な円環状の一部に切欠き21dのあるU形状のワッシャ21でもよい。C形状やU形状のワッシャ21とすることで作動軸に横から組み込むことができ、組立て性に優れるという効果がある。また、このC形状やU形状のワッシャ21も、円環状(リング状)のワッシャ21と同様に作動軸を嵌挿する目的の挿通孔21aを有するものである。
【0038】
図14は実施形態の冷凍サイクルシステムを示す図である。図において、符号100は膨張弁を構成する本発明の各実施形態の電動弁、200は室外ユニットに搭載された室外熱交換器、300は室内ユニットに搭載された室内熱交換器、400は四方弁を構成する流路切換弁、500は圧縮機である。電動弁100、室外熱交換器200、室内熱交換器300、流路切換弁400、及び圧縮機500は、それぞれ導管によって図示のように接続され、ヒートポンプ式の冷凍サイクルを構成している。なお、アキュムレータ、圧力センサ、温度センサ等は図示を省略してある。
【0039】
冷凍サイクルの流路は、流路切換弁400により冷房運転時の流路と暖房運転時の流路の2通りに切換えられる。冷房運転時には、図に実線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室外熱交換器200に流入され、この室外熱交換器200は凝縮器として機能し、室外熱交換器200から流出された液冷媒は電動弁100を介して室内熱交換器300に流入され、この室内熱交換器300は蒸発器として機能する。
【0040】
一方、暖房運転時には、図に破線の矢印で示したように、圧縮機500で圧縮された冷媒は流路切換弁400から室内熱交換器300、電動弁100、室外熱交換器200、流路切換弁400、そして、圧縮機500の順に循環され、室内熱交換器300が凝縮器として機能し、室外熱交換器200が蒸発器として機能する。電動弁100は、冷房運転時に室外熱交換器200から流入する液冷媒、または暖房運転時に室内熱交換器300から流入する液冷媒を、それぞれ減圧膨張し、さらにその冷媒の流量を制御する。
【0041】
なお、第1実施形態の後退部(図1~4)及び、後退部の変形例1(図5)は水平、垂直方向のV溝としているが、R状の溝でも良い。また、第1実施形態の後退部の変形例2、3(図6、7)は水平、垂直方向の角溝としているが、角溝の奥にある入隅部の角部にRが付いた角溝でも良い。また、第2実施形態の後退部(図9)及び、後退部の変形例6(図12)の段差部21cは図では角が直角であるが、段差の入隅部と出隅部の角部にRが付いた段差部でも良い。また、第2実施形態の後退部の変形例4(図10)の面取部21dは図では面取り始まり部と終わり部は角であるが、角をRにしたRの付いた面取部でも良い。
【0042】
なお、前述で、『ロータ軸1は、雄ねじ部1aより下端側の端部にボス部11を有するとともに、このボス部11にはフランジ部12が一体に形成されている。』としているが、このフランジ部はロータ軸と一体の形成に限定されるものではなく、ロータ軸(作動軸)と別体に形成されていてもよい。従って、作動軸の端部の外周に別体の部品(フランジ部材)が固着されていることでフランジ部が形成されていてもよい。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 ロータ軸(作動軸)
1Q R部
11 ボス部
12 フランジ部
12a 上部当接面
13 水平V溝(後退部)
14 垂直V溝(後退部)
15 水平角溝(後退部)
16 垂直角溝(後退部)
2 弁ホルダ部
21 ワッシャ
21a 挿通孔
21b 下部当接面
21c 段差部(後退部)
21d 面取部(後退部)
21e R面部(後退部)
22 ガイド管
22a 挿通孔
22b 天井部
3 ニードル弁(弁部材)
10 ステッピングモータ(モータ部)
10a マグネットロータ
10b ステータコイル
20 弁ハウジング
20R 弁室
30 密閉ケース
40 支持部材
40a 雌ねじ部
40b ガイド孔
1a 雄ねじ部
50 第1継手管
60 第2継手管
70 弁座部材
70a 弁ポート
A 入隅部
B 出隅部
100 電動弁
200 室外熱交換器
300 室内熱交換器
400 流路切換弁
500 圧縮機
図1
図2
図3
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図5
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図15