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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 7/00 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
F03B7/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018145904
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2020020315
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】川合 智哉
(72)【発明者】
【氏名】近藤 博光
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-150446(JP,A)
【文献】特開2014-059025(JP,A)
【文献】特開2016-180476(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163919(WO,A1)
【文献】特開2002-177995(JP,A)
【文献】特開昭57-203899(JP,A)
【文献】実開平06-008788(JP,U)
【文献】特開2006-283910(JP,A)
【文献】特開2008-304018(JP,A)
【文献】特開2009-222139(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108638(WO,A1)
【文献】特開2018-135798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 1/00-11/08
F16C 19/00-19/56;33/30-33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水車、およびこの水車の回転により発電する発電機を有する水力発電モジュールと、水路の両肩にそれぞれ設置される一対の水路固定体と、これら水路固定体に設置されたベアリングユニットに両端で回転自在に支持された回転梁と、この回転梁に接合されて前記水力発電モジュールを支持し前記水車の下端が前記水路の水面より下に位置する水没姿勢と前記水車の全体が前記水路の水面より上に位置する待機姿勢とに渡って上下に回転可能な回転架台とを備え、
前記ベアリングユニットの潤滑を行う潤滑剤が、熱固化型の食品機械用グリースであり、前記ベアリングユニットは、軸箱の内周に形成された凹球面の軸受嵌合面に、転がり軸受の外輪の球面状の外周面が揺動自在に嵌合することで調心機能を有し、前記転がり軸受は、内外輪間の軸受空間の両端がシールでシールされ、前記軸受空間に、前記熱固化型の食品機械用グリースが封入されている水力発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水力発電装置において、前記回転梁の片端が、カップリングを介して回転駆動装置と接続され、前記回転駆動装置の潤滑剤が、熱固化型の食品機械用グリースである水力発電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水力発電装置において、前記カップリングがチェーンカップリングであって、前記カップリングの潤滑剤が、熱固化型の食品機械用グリースである水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農業用水路、上下水道、工業用水路、小河川等の水路に設置される水力発電装置に係り、特にその水路からの引き上げのための機構における潤滑の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電装置は、流水が持つ運動エネルギーを発電に利用するシステムである。この水力発電装置の中で小型のものは、農業用水等の水路に設置して利用されている(例えば、特許文献1)。このような水路に設置された水力発電装置は、メンテナンスのため、回転翼またはギヤ、オイルシール等の交換の際、水車を水路から引き上げる必要がある。また、増水等の緊急時にも、溢水や水力発電装置の損傷を防止するために、水路から引き上げる必要がある。
従来は、水力発電装置を水路から引き上げる際、クレーン車に替えて、操作手段、または、滑りねじ等を用いて、水力発電モジュールを支持する架台を回転させて引き上げていた。
【0003】
なお、熱固化型の食品機械用グリースが、特許文献2等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-14219号公報
【文献】特開2016-180476公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
架台を回転させる回転梁(軸)に用いられる軸受は、回転梁に載荷される水力発電モジュールの重量および流速変動により水車翼が受ける荷重変動から回転梁が撓むため、調心性を有するベアリングユニットの適用が望ましい。
しかし、昼夜の温度差等からシールド板を付けても、軸受内部からのグリースの漏洩を防ぐことは困難である。一方、前記回転梁を支持する軸受は、水路の直上または水路壁の直近に配置されるため、万一、グリースが漏洩すると、用水が汚染される。
【0006】
この発明は、上記課題を解消するものであり、その目的は、水力発電モジュールの水没姿勢と待機姿勢との間の円滑な回転を確保しながら、潤滑剤の漏れによる用水の汚染が防止できる水力発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の水力発電装置は、水車、およびこの水車の回転により発電する発電機を有する水力発電モジュールと、水路の両肩にそれぞれ設置される一対の水路固定体と、これら水路固定体に設置されたベアリングユニットに両端で回転自在に支持された回転梁と、この回転梁に接合されて前記水力発電モジュールを支持し前記水車の下端が前記水路の水面より下に位置する水没姿勢と前記水車の全体が前記水路の水面より上に位置する待機姿勢とに渡って上下に回転可能な回転架台とを備え、
前記ベアリングユニットの潤滑を行う潤滑剤が、熱固化型の食品機械用グリースであることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、回転梁の両端がベアリングユニットで支持されているため、回転梁に載荷される水力発電モジュールの重量や流速変動などで水車翼が受ける荷重変動により回転梁に撓みが生じても、ベアリングユニットの調心性により、円滑な回転が得られる。
前記潤滑剤は、熱固化型の食品機械用グリースが用いられていて、ベアリングユニットへの充填後は固形化状態とされるため、昼夜の温度差等があっても漏洩が生じ難く、かつ万一漏洩が生じても、食品機械用であるため、用水の汚損による人体や生物への害が生じない。
【0009】
この発明において、前記回転梁の片端が、カップリングを介して回転駆動装置と接続され、前記回転駆動装置の潤滑剤が、熱固化型の食品機械用グリースであってもよい。
回転梁を回転駆動装置で回転させるようにすると、水没姿勢と待機姿勢間の姿勢変更が容易であるが、回転駆動装置における潤滑剤の漏れによる問題が、ベアリングユニットと同様に生じる。しかし、回転駆動装置の潤滑剤にも熱固化型の食品機械用グリースを用いていると、グリースの漏れが生じ難く、かつ万一、漏れが生じても、用水の汚損による人体や生物への害が生じない。
【0010】
回転駆動装置を接続する場合に、その接続用の前記カップリングがチェーンカップリングであって、前記カップリングの潤滑剤が、熱固化型の食品機械用グリースであってもよい。
回転駆動装置の接続にチェーンカップリングを用いると、回転梁が撓み、ベアリングユニットの軸受が調心して傾いても、チェーンカップリングが傾きを吸収し、隣接する回転駆動装置に偏荷重を与えることがない。すなわち、この構成を採ることにより、回転駆動装置(例えば、その減速機)がスムーズに稼働する。チェーンカップリングは潤滑が必要であるが、その潤滑剤にも熱固化型の食品機械用グリースを用いるため、チェーンカップリングの潤滑剤についても、漏れが生じ難く、かつ万一、漏れが生じても、用水の汚損による人体や生物への害が生じない。
【発明の効果】
【0011】
この発明の水力発電装置は、水車、およびこの水車の回転により発電する発電機を有する水力発電モジュールと、水路の両肩にそれぞれ設置される一対の水路固定体と、これら水路固定体に設置されたベアリングユニットに両端で回転自在に支持された回転梁と、この回転梁に接合されて前記水力発電モジュールを支持し前記水車の下端が前記水路の水面より下に位置する水没姿勢と前記水車の全体が前記水路の水面より上に位置する待機姿勢とに渡って上下に回転可能な回転架台とを備え、前記ベアリングユニットの潤滑を行う潤滑剤が、熱固化型の食品機械用グリースであるため、水力発電モジュールの円滑な回転を確保しながら、潤滑剤の漏れによる用水の汚染が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の第1の実施形態に係る水力発電装置の水没姿勢を示す斜視図である。
図2】同水力発電装置の待機姿勢を示す斜視図である。
図3】同水力発電装置の水路への設置状態における水没姿勢を示す斜視図である。
図4】同水力発電装置の水路への設置状態における引き上げ途中の姿勢を示す斜視図である。
図5】同水力発電装置におけるベアリングユニットの一例の切欠斜視図である。
図6】同水力発電装置におけるチェーンカップリングの一例を示す断面図である。
図7】同水力発電装置の水力発電モジュールの取付位置を変更した状態の斜視図である。
図8】同水力発電装置にカウンタウェートを取付けた状態の斜視図である。
図9】この発明の他の実施形態に係る水力発電装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図7と共に説明する。
<水力発電装置全体の概略構成>
図3に示すように、この水力発電装置は、水路1に設置され、水流による水車2の回転によって発電を行う。水路1は、農業用水路、工業用水路、小河川等であり、同図の例では水路壁がコンクリート等からなる底壁部1aおよび両側の側壁部1b,1bで構成されている。
この水力発電装置は、水力発電モジュール3と、この水力発電モジュール3を水路1に支持する支持装置4とで構成される。支持装置4は、水路1の両肩にそれぞれ設置された一対の水路固定体11,11と、これら水路固定体11,11に設置されたベアリングユニット13,13に両端で回転自在に支持された回転梁14と、この回転梁14に接合されて前記水力発電モジュール3を支持し水車2の下端が水路1の水面Sより下に位置する水没姿勢と水車2の全体が水路1の水面Sより上に位置する待機姿勢とに渡って上下に回転可能な回転架台6とを備える。前記一対の水路固定体11,11は、繋ぎ材12で相互に接続され、固定台5を構成する。回転梁14の一端は、回転駆動装置15にカップリング16によって連結されている。
【0014】
<水力発電モジュール3について>
図1に示すように、水力発電モジュール3は、水車2およびこの水車2の回転により発電する発電機8を有する。発電機8は、例えば永久磁石同期型である。
水車2は、通常は水路1の流水中に没する状態に設けられ、水力を回転力に変換する。水車2は、回転軸心O1が水路1の水流の流れる方向と平行なプロペラ型であり、前記回転軸心O1の周囲に放射状に延びる複数枚(図示の例では5枚)の翼2aを有している。水車2の向きは、正面が水流の上手側に向けられ、ギヤボックス9が背面に位置する。
【0015】
水車2の回転軸(図示せず)は、ギヤボックス9に設置された軸受(図示せず)により回転自在に支持される。水車2の回転は、ギヤボックス9内の互いに噛み合う傘歯車等のギヤ列(図示せず)によって増速される。ギヤボックス9内にはグリースが封入されている。ギヤボックス9の出力軸は、上下方向に延びる支持筒10内の伝達軸(図示せず)を介して発電機8の入力軸(図示せず)に接続されている。
【0016】
<回転梁14、および回転架台6について>
回転梁14は、角パイプで構成され、両端に取付けられた被支持部品における断面形状円形の部分が前記ベアリングユニット13に回転自在に支持されている。
回転架台6は、回転梁14の側面に片持ち状に延びて取付けられた枠組体状の架台である。回転架台6は、回転梁14の側面にそれぞれ基端が溶接等で接合された2本の平行な片持ちフレーム材18,18と、これら片持ちフレーム材18,18間に掛け渡した設置板19とを有する。2本の片持ちフレーム材18,18はアングル材等からなり、互いに内向きでかつ上向きに設けられている。
発電機8は、設置板19上に取付けられた発電機台20により、出力軸が設置板19に垂直な方向に設置されている。前記支持筒10は、前記設置板19の下面に取付けられている。
【0017】
<モジュール位置変更手段31、モーメント増大手段について>
回転架台6には、水力発電モジュール3を上下回動させて水車2を前記待機姿勢に引き上げたり、待機位置から水没姿勢に沈めたりするときに、水路1の水流による影響を緩和させるための手段として、回転架台6の水流に対向するモーメントを増大させる手段が設けられている。このモーメント増大手段として、回転架台6の回転軸心Oに対して遠近方向に変更水力発電モジュール3の取付位置を変更可能としたモジュール位置変更手段31が設けられている。モジュール位置変更手段31は、具体的には、回転架台6の片持ちフレーム材18,18にフレーム長さ方向に並んで設けられて選択的に水力発電モジュール3の取付けに用いられる複数の取付孔33からなる。図1は変更水力発電モジュール3を回転軸心Oに最も近づけて設置した状態を示し、図7は変更水力発電モジュール3を回転軸心Oに対して最も遠ざけて設置した状態を示す。
【0018】
<回転駆動装置15について>
回転駆動装置15は、水力発電モジュール3を前記水没姿勢と待機姿勢との間で回動させる装置であり、回転梁14を、例えば90°の範囲で正逆に回転させる。回転装置15は、電動のモータと、このモータの回転を減速する減速機(いずれも図示せず)で構成され、前記水路固定枠11上に設置された回転装置受け台17上に設置されている。回転駆動装置15側の前記ベアリングユニット13は、前記回転装置受け台17上に設置されている。
回転駆動装置15は、電動のモータとこのモータの回転出力を減速するギヤ列等からなる減速機(いずれも図示せず)で構成され、前記モータおよび前記減速機の出力軸は、前記回転梁14の回転軸心Oと同心とされている。回転駆動装置15の前記減速機内には、潤滑剤として、熱固化型の食品機械用グリースが封入されている。
なお、水力発電モジュール3を前記水没姿勢と待機姿勢とで位置決めし、あるいはさらに位置決め状態で固定するストッパやロック機構等の位置決め手段( 図示せず) を、固定基台5と回転梁14等の間に設けてもよい。
【0019】
<ベアリングユニット13について>
ベアリングユニット13は、ピロー形等の軸箱内に玉軸受等の転がり軸受を備えた構成であって、調心機能を有している。
図5は、ベアリングユニット13の一例を示す。このベアリングユニット13は、ピロー形等の軸箱34の内周に形成された凹球面の軸受嵌合面34aに、転がり軸受35の外輪36の球面状の外周面が摺動自在嵌合することで、調心機能を有している。転がり軸受35は、内輪37と前記外輪36の間にボール等の転動体38が介在する。転動体38は保持器39のポケット内に保持され、内輪37と外輪36との間の軸受空間の両端はシール32でシールされている。前記軸受空間に、潤滑剤として、熱固化型の食品機械用グリースが封入されている。
【0020】
<カップリング16について、図6
カップリング16にはチェーンカップリングが用いられている。チェーンカップリングは、例えば図6に示すように、2列のローラーチェーン41,41を、互いに同心で回転自在な2個のスプロケット42,42に巻き付けた構成であり、スプロケット42とローラーチェーン41間のクリアランスによりフレキシブルな回転伝動を行う。前記各スプロケット42,42に、互いに接続する一対の軸、この例では、回転梁14(図1参照)の端部の被支持部品43、および回転駆動装置15の出力軸となる減速機の出力軸44が接続される。前記スプロケット42,42とローラーチェーン41とは、ケース45内に収容され、ケース45内に潤滑剤として、熱固化型の食品機械用グリースが封入されている。
【0021】
<熱固化型の食品機械用グリースについて>
熱固化型のグリースは、超高分子量ポリエチレン等の樹脂とグリース成分とを主成分とするグリースであり、初期状態で流動性を有していて、熱を与えることによって硬化する性質を有する。熱固化型の食品機械用グリースは、前記熱固化型のグリースのうち、前記グリース成分として、食品機械用グリースが用いられたものである。
熱固化型のグリースの商品としては、ポリループ(登録商標)があり、このポリループの一種として、食品機械用のものがある。この熱固化型で食品機械用のポリループは、樹脂として超高分子量ポリエチエンが用いられグリース成分としてウレア-合成油性系グリースが用いられている。
【0022】
<作用>
この構成によると、常時は、水力発電モジュール3を図1図3に示すように、水車2が水路1の流水に漬かる水没姿勢とされ、水車2が水流で回転することにより発電機8が発電を行う。
メンテナンスや増水時の安全等のために水路1から引き上げるときは、回転駆動装置15により回転架台6を90°回転させ、水力発電モジュール3を、図2に示すように水平な待機姿勢とする。図4は、回転架台6の回転途中の姿勢を示す。
【0023】
上記のように姿勢変更するときに、水力発電モジュール3を搭載した回転梁14の両端がベアリングユニット13で支持されているため、回転梁14に載荷される水力発電モジュール3の重量や流速変動により水車10が受ける荷重変動から回転梁14に撓みが生じても、ベアリングユニット13の調心性により、円滑な回転が得られる。
ベアリングユニット13の潤滑剤には熱固化型の食品機械用グリースが用いられていて、ベアリングユニット13への充填後は固形状態とされるため、昼夜の温度差等があっても漏洩が生じ難く、かつ万一漏洩が生じても、食品機械用であるため、用水の汚損による人体や生物への害が生じない。
【0024】
前記回転梁14の片端は、カップリング13を介して回転駆動装置15と接続されているため、水没姿勢と待機姿勢間の姿勢変更が容易であるが、回転駆動装置15における潤滑剤の漏れが懸念される。しかし、回転駆動装置15の潤滑剤にも熱固化型の食品機械用グリースを用いているため、グリースの漏れが生じ難く、かつ万一、漏れが生じても、用水の汚損による人体や生物への害が生じない。
【0025】
前記カップリング13は、チェーンカップリングが用いられているため、回転梁14が前記の理由で撓み、ベアリングユニット13の軸受が調心して傾いても、カップリング13が傾きを吸収し、隣接する回転駆動装置15に偏荷重を与えることがない。すなわち、この構成を採ることにより、回転駆動装置15、例えばその減速機がスムーズに稼働する。チェーンカップリング16は潤滑が必要であるが、その潤滑剤にも熱固化型の食品機械用グリースを用いるため、チェーンカップリング13の潤滑剤についても、漏れが生じ難く、かつ万一、漏れが生じても、用水の汚損による人体や生物への害が生じない。
【0026】
前記モーメント増大手段となるモジュール位置変更手段31は、次の作用効果を得る。水力発電モジュール3を水没姿勢から待機姿勢に持ち上げるときに、水没姿勢での姿勢の保持を解除すると、水路1の水流によるモーメントで水力発電モジュール3が急激に持ち上げられることがあり、この急激な持ち上げ動作に耐えるために、各部の強度を高めることが必要となる。流速が速い場合に、この問題が顕著となる。また、流速が速いと、水力発電モジュール3を待機姿勢から水没姿勢まで回転させることが難しいことがある。このような水路1やその水流の状況では、モジュール位置変更手段31により、図7のように水力発電モジュール3を回転架台6の先端に取付けておく。これにより、水力発電モジュール3の自重により、水流に抗する回転架台6のモーメントが増大し、前記の待機姿勢への引き上げ時における急激な持ち上げを緩和でき、また待機姿勢から水没姿勢へ回転させる動作が行い易くなる。
【0027】
前記の水路1の水流に抗するモーメントを増大させるモーメント増大手段としてとしては、前記モジュール位置変更手段31の代わりに、図8に示すように、カウンタウェート7を設けてもよい。
【0028】
なお、前記モジュール位置変更手段31やカウンタウェート7等のモーメント増大手段を設けずに、図9に示すように、回転架台6を、水力発電モジュール3が図1の状態で取付けられる最小の長さとしとてもよい。
【0029】
以上、実施形態に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1…水路
2…水車
2a…翼
3…水力発電モジュール
4…支持装置
5…固定基台
6…回転架台
7…カウンタウェート
8…発電機
9…ギヤボックス
10…支持筒
11…水路固定体
12…繋ぎ材
13…ベアリングユニット
14…回転梁
15…回転駆動装置
16…カップリング
18…片持ちフレーム材
19…設置板
20…発電機台
31…モジュール位置変更手段
O…回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9