(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】24時間タイマおよびこれを利用する対流型電気暖房機
(51)【国際特許分類】
G04G 15/00 20060101AFI20220203BHJP
G04F 3/00 20060101ALI20220203BHJP
F24H 3/00 20220101ALI20220203BHJP
【FI】
G04G15/00 B
G04G15/00 E
G04F3/00 301F
F24H3/00 B
(21)【出願番号】P 2018183061
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】中野 稔
(72)【発明者】
【氏名】笠輪 裕士
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-315689(JP,A)
【文献】特開平9-72974(JP,A)
【文献】特開2005-326279(JP,A)
【文献】特開平10-206573(JP,A)
【文献】特開2002-257368(JP,A)
【文献】特開平4-93518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00 - 99/00
G04F 1/00 - 5/16
F24H 3/00 - 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転操作と運転条件の設定を行う操作部と、
設定された運転条件と現在の運転状況を表示する表示部と、
前記運転条件に応じて器機への運転指示を行う制御部と、を備え、
前記制御部には、現在時刻の時間帯を判定するタイマ部と、
前記時間帯の、各時間帯に対応する前記器機の運転または停止を記憶するメモリと、を有し、
前記表示部には、環状に1日を複数の時間帯に分割したセグメントで表示する環状表示部を複数層に並列して配置し、
前記操作部で前記運転条件を設定するときには、前記環状表示部の第1層の前記時間帯に対応するセグメントの点灯で現在設定されている各時間帯が運転に設定されていることを表示し、前記セグメントの消灯で現在設定されている各時間帯が停止に設定されていることを表示し、
前記環状表示部の第2層には現在変更の操作を行うことができる前記時間帯に対応するセグメンを点灯し、前記操作部にて変更操作を行うことで、前記第2層に対応する第1層のセグメントの表示を反転して設定条件の変更をおこなうことを特徴とする24時間タイマ。
【請求項2】
筐体の上部に排気口を、下部に給気口を有し、該給気口と前記排気口の間に電気ヒータを備え、
前記電気ヒータの作動によって発生する自然対流で室内の暖房を行う対流型電気暖房機において、
運転操作と運転条件の設定を行う操作部と、
設定された運転条件と現在の運転状況を表示する表示部と、
前記運転条件に応じて前記電気ヒータへの運転指示を行う制御部と、を備え、
前記制御部には、現在時刻の時間帯を判定するタイマ部と、
前記時間帯の、各時間帯に対応する前記電気ヒータの運転または停止を記憶するメモリと、を有し、
前記表示部には、環状に1日を複数の時間帯に分割したセグメントで表示する環状表示部を複数層に並列して配置し、
前記操作部で前記運転条件を設定するときには、前記環状表示部の第1層の前記時間帯に対応するセグメントの点灯で現在設定されている各時間帯が運転に設定されていることを表示し、前記セグメントの消灯で現在設定されている各時間帯が停止に設定されていることを表示し、
前記環状表示部の第2層には現在変更の操作を行うことができる前記時間帯に対応するセグメンを点灯し、前記操作部にて変更操作を行うことで、前記第2層に対応する第1層のセグメントの表示を反転して設定条件の変更をおこなう24時間タイマを備えることを特徴とする対流型電気暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用時間帯に応じて装置の制御を行うタイマと、このタイマを使用する電気暖房機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許2900852号の風呂装置に使用される24時間タイマが有る、この24時間タイマは、風呂の温度と、風呂を使用する時間帯と、を設定する設定装置を備えている。この設定装置の設定状態を表示するために、サークル状に1日の時間帯を分割して8個のランプで表示する表示部を有し、入浴時間帯としてセットされた時間帯に相当するランプが点灯する。使用者は入浴予定の時刻に対応するランプが点灯しているかを目視で確認でき、現在の時刻に対応する時間帯のランプが点灯していれば、すぐに入浴することができ、ランプが消灯していれば、風呂の温度を上昇させる操作を行って、風呂の温度が設定温度まで上昇するのを待って入浴を行う。入浴予定の時刻が変われば必要に応じて変更できる。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1のものでは、入浴時間帯の設定や設定変更を行うには、送りスイッチの押圧のたびに、8個のランプをカーソルが移動するように構成され、送りスイッチを押圧して設定を変更したい時間帯にカーソルを移動させる。この時カーソルのあるランプは点滅するが、入浴時間帯であれば点灯時間の長いゆっくりした点滅、非入浴時間帯であれば点灯時間の短い点滅とすることで、現在の設定状態を認知して、入浴時間帯の設定や設定変更を行ている。このような表示では、使用者はランプの点灯がON、消灯がOFFであることを直感で理解することは容易であるが、点灯時間の長いゆっくりした点滅と、点灯時間の短い点滅の違いを判別したり、これら示す意味を理解することは難しいものだった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、運転操作と運転条件の設定を行う操作部と、設定された運転条件と現在の運転状況を表示する表示部と、前記運転条件に応じて器機への運転指示を行う制御部と、を備え、前記制御部には、現在時刻の時間帯を判定するタイマ部と、前記時間帯の、各時間帯に対応する前記器機の運転または停止を記憶するメモリと、を有し、前記表示部には、環状に1日を複数の時間帯に分割したセグメントで表示する環状表示部を複数層に並列して配置し、前記操作部で前記運転条件を設定するときには、前記環状表示部の第1層の前記時間帯に対応するセグメントの点灯で現在設定されている各時間帯が運転に設定されていることを表示し、前記セグメントの消灯で現在設定されている各時間帯が停止に設定されていることを表示し、前記環状表示部の第2層には現在変更の操作を行うことができる前記時間帯に対応するセグメンを点灯し、前記操作部にて変更操作を行うことで、前記第2層に対応する第1層のセグメントの表示を反転して設定条件の変更をおこなうようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、操作部でタイマを設定するときには、環状表示部の第1層の時間帯に対応するセグメントの点灯で現在設定されている各時間帯が運転に設定されていることを表示し、第1層のセグメントの消灯で現在設定されている各時間帯が停止に設定されていることを表示し、環状表示部の第2層には現在変更の操作を行うことができる時間帯に対応するセグメンを点灯し、操作部にて変更操作を行うことで、第2層に対応する第1層のセグメントの表示を反転して設定条件の変更をおこなうようにすることで、第1層のセグメントと第2層のセグメントを同時に目視した状態で設定変更をすることがでるので、きわめてわかりやすく簡単にタイマ設定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の一実施形態の対流型電気暖房機の操作パネル。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の24時間タイマとこれを利用する対流型電気暖房機10の一実施形態を図面に基づき説明する。
11は対流型電気暖房機10の本体を構成する筐体で、この筐体11の底面に空気の吸込口12と、上面に空気の吹出口13と、側面に操作パネル14を有している。また、筐体11の内部にはヒータユニット15と、吸込口12近傍に室温センサ16を備え、吸込口12とヒータユニット15と吹出口13とを連通して空気の流通路17を形成している。筐体11底面の四隅には脚部18を有し、この脚部18にはキャスタ19を備えることで対流型電気暖房機10の移動を容易にしている。
【0009】
前記ヒータユニット15は複数本のシーズヒータ20a・20b・20cによって構成され、強運転が1,200W、中運転が900W、弱運転が600Wで運転することができる。
【0010】
前記吸込口12と吹出口13には桟22と、この桟22の内側に金網(図示せず)を有することで、火傷の防止や器具内への害虫の侵入を防止する。これによって、ヒータユニット15は筐体11外に露出することが無いので、火傷や火災の危険性が極めて小さく、安全な暖房手段として数日間連続運転で使用されることが多い。
【0011】
前記操作パネル14には、運転操作と運転条件の設定を行う操作部30と、この操作部30で設定された運転条件と現在の運転状況を表示する表示部40を有している。また、操作パネル14または筐体11内には運転条件に応じて電気暖房機10への運転指示を行う制御部60を備えている。
【0012】
前記操作部30は操作パネル14の下部に備える多数の押圧スイッチで構成される。31は運転スイッチで、押圧で電気暖房機10が運転を開始し、再度の押圧で運転を停止する。32は運転モードの切換えを行う運転切換スイッチで、押圧によって「自動」、「手動」、「プログラム」の3種類の運転モードが順次切換る。33は入りタイマスイッチで、設定時間後に電気暖房機10が自動または手動の運転モードで運転を開始する。34は十字スイッチで、中央のメニュー決定ボタン35と、右方向を示す右ボタン36と、左方向を示す左ボタン37と、上方向を示す上ボタン38と、下方向を示す下ボタン39の5個のボタンで構成される。メニュー決定ボタン35の押圧と、左右ボタン36・37、上下ボタン38・39の選択で、入りタイマの時間設定や、プログラムモードの時間設定、現在時刻の設定、室温設定を行い、メニュー決定ボタン35の再度の押圧で各設定を確定する。
【0013】
前記表示部40は操作パネル14の上部に備える多数のランプで構成される。41は4桁の数字で時刻等を表示する時刻表示部で、時刻だけでなく室温や単なる数字の表示も行う。時刻表示部41の上には時計合せランプ42を、時刻表示部41の下にはプログラム合せランプ43を有し、十字スイッチ34を使用した現在時刻の設定時やプログラム運転(24時間タイマ)の時刻設定のときに点灯することで、使用者が行っている設定作業の種類を表示する。時計合せランプ42の上には入りタイマランプ44を有し、入りタイマ運転時に点灯する。
【0014】
45は環状に1日を24の時間帯に分割したランプ(セグメント)で表示する環状表示部で、第1層46を外側に、第2層47を内側に並列して配置してランプ(セグメント)で表示する。第1層46の更に外側には、最上部の「0」から時計回り(右回り)方向に、数字と点によって第1層46の各ランプの時間帯を示す時刻印字48が、印操作パネル14表面に予め印刷されている。環状表示部45の上方には、運転モードが「自動」のときに点灯する自動ランプ49と、「手動」のときに点灯する手動ランプ50、「プログラム」のときに点灯するプログラムランプ51を水平方向に配置している。52は運転スイッチ31の上部に位置する運転ランプで、運転スイッチ31の押圧による点灯、消灯で電気暖房機10の運転または停止を表示する。
【0015】
60は操作パネル14の裏面や筐体11内に備えられた制御部で、電気暖房機10への運転制御を行う。制御部60内には、現在の時刻や現在時刻の時間帯を判定するタイマ部61と、運転条件や設定された時間、時刻を記憶するメモリ62を備えている。また、このメモリ62はプログラムモードで設定されている各時間帯に対応する電気暖房機10の運転または停止(ON-OFF)を記憶する。
【0016】
「自動」、「手動」、「プログラム」の3種類の運転モードについて説明する。
自動運転は室温センサ16が検知する室温と設定室温(使用者が設定する温度、初期値は20℃)との温度差に応じてヒータユニット15の出力を強・中・弱と切り換えて運転することで自動で室温調整を行う。運転モードが自動運転に設定されているときは、運転スイッチ31の押圧で自動運転を開始し、運転スイッチ31の再度の押圧によって停止するまで自動運転を継続する。また、自動運転中は自動ランプ49が点灯し、時刻表示部41に数字で設定室温を表示する。また、設定室温の変更は自動運転中に上ボタン38を押圧するごとに、設定室温が1℃上昇し、下ボタン39を押圧するごとに、設定室温が1℃下降する。
【0017】
手動運転はヒータユニット15の出力を強・中・弱の中から手動により選択し、選択された出力で継続運転する。手動運転が運転モードに設定されているときは、運転スイッチ31の押圧で前回運転時の運転出力で運転を開始し、運転スイッチ31の再度の押圧によって停止するまで手動運転を継続する。また、手動運転中は手動ランプ50が点灯し、時刻表示部41を利用して「Hi」(強出力を表現)、「Mid」(中出力を表現)、「Lo」(弱出力を表現)を表示する。また、強・中・弱の出力変更は手動運転中に上ボタン38を押圧するごとに、大きな方向の出力に切換り、下ボタン39を押圧するごとに、小さな方向の出力に切換ることで行われる。
【0018】
プログラム運転は制御部60が備える24時間タイマの機能によって行われる。使用者が毎日の生活パターンを基にあらかじめ設定した、各時間帯での電気暖房機10のON(運転)またはOFF(停止)にて運転を行うものである。プログラム運転ではONに設定されている時間帯になると、先に説明した自動運転モードと同じ作動で室温調整が行われる。運転スイッチ31は基本的に最初に電気暖房機10を使用開始するするときと、停止するとき操作するだけであり、停止操作を行うまでは24時間タイマの設定に応じて自動でプログラム運転が実施される。また、プログラム運転中はプログラムランプ51が点灯し、プログラム運転中であることを表示する。また、環状表示部45の第1層46を構成する24個のランプは、それぞれ1時間の時間帯を示し、最上部から時計回り(右回り)方向に24個のランプが1周することで1日24時間の表示ができ、ONに設定されている時間帯のランプが点灯する。また、時刻表示部41は現在の時刻を表示する。
【0019】
プログラム運転における各時間帯のON-OFF設定について
図1・4・5によって説明する。
電気暖房機10の停止時にメニュー決定ボタン35を押圧すると、入りタイマランプ44が点滅し、時計合せランプ42とプログラム合せランプ43のランプが点灯する。左右ボタン36・37の押圧によってプログラム合せランプ43を選択し(点滅に換え)、再度メニュー決定ボタン35を押圧するすれば、プログラム合せランプ43は点灯すると同時に、入りタイマランプ44と時計合せランプ42が消灯する。この状態で左右ボタン36・37を押圧れば、プログラム合せランプ43は「プログラム1合せ」、「プログラム2合せ」、「プログラム3合せ」と順次変化し、3種類のプログラム運転を選択できる。
図4の表示部40は「プログラム2合せ」を選択した場合を示している。ここで、環状表示部45の第1層46は現在のプログラム設定の状態を示し、16時から7時までのランプが点灯しているので、ON(運転)に設定され、7時から16時までのランプが消灯しているのでOFF(停止)に設定されている。環状表示部45の第2層47は0時から1時の間の時間帯のランプのみが点灯する。時刻表示部41は0時から1時の間の時間帯を示す「0-1」を点灯表示する。
【0020】
環状表示部45の第2層47は設定のON-OFFを変更可能な時間帯を示し、左右ボタン36・37の押圧によって移動する。
図5の表示部40の破線矢印で示す様に、右ボタン36を3回押圧して第2層47のランプを3時から4時の時間帯に移動する。このとき、時刻表示部41も「3-4」に変化する。そして、上下ボタン38・39を押圧すれば、第1層46の3時から4時の時間帯のランプがON(点灯)からOFF(消灯)に切換る。更に、左右ボタン36・37と上下ボタン38・39を操作すれば全ての時間帯の設定変更ができる。設定変更が終了したならばメニュー決定ボタン35の押圧で設定変更が確定され、メモリ62に記憶される。
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、操作部40でタイマを設定するときには、環状表示部45の第1層46の時間帯に対応するセグメントの点灯で現在設定されている各時間帯が運転に設定されていることを表示し、セグメントの消灯で現在設定されている各時間帯が停止に設定されていることを表示し、環状表示部45の第2層47には現在変更の操作を行うことができる時間帯に対応するセグメンを点灯し、操作部40にて変更操作を行うことで、第2層47に対応する第1層46のセグメントの表示を反転して設定条件の変更をおこなうようにすることで、第1層46のセグメントと第2層47のセグメントを同時に目視した状態で設定変更をすることがでるので、きわめてわかりやすく簡単にタイマ設定をすることができる。
【0022】
また、セグメントの点滅を使用者が判定して操作を行う必要がないことで、わかりやすく簡単にタイマ設定をすることができる。また、24時間タイマとして対流型電気暖房機10で使用すれば、対流型電気暖房機10の操作性を向上することができる。
【0023】
また、本実施形態で用いた構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
10 対流型電気暖房機
11 筐体
12 吸込口
13 吹出口
14 操作パネル
15 ヒータユニット
30 操作部
31 運転スイッチ
32 運転切換スイッチ
34 十字スイッチ
45 環状表示部
46 第1層
47 第2層
60 制御部
61 タイマ部
62 メモリ