(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】同種移植片の微生物を阻害するための抗菌組成物及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/36 20060101AFI20220203BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20220203BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20220203BHJP
A01N 1/02 20060101ALI20220203BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20220203BHJP
A01N 55/02 20060101ALI20220203BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20220203BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A61L27/36 100
A61L27/36 110
A61L27/36 120
A61L27/36 410
A61L27/54
A61L27/56
A01N1/02
A01N25/02
A01N55/02 150
A01N59/16 Z
A01P3/00
(21)【出願番号】P 2018505472
(86)(22)【出願日】2017-02-07
(86)【国際出願番号】 US2017016789
(87)【国際公開番号】W WO2017139250
(87)【国際公開日】2017-08-17
【審査請求日】2020-02-06
(32)【優先日】2016-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518032627
【氏名又は名称】クレオッソ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ベネヴェニア ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リン シェルドン エス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェス マイケル
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-523527(JP,A)
【文献】特開2015-113299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0280223(US,A1)
【文献】J Bone Joint Surg.[Br],2007年,89-B,p.574-579
【文献】Burns,1999年,25,p.625-635
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
A01N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種移植組織の製造方法であって、
前記同種移植組織を、亜鉛化合物を含む抗菌溶液に2時間~24時間浸漬することによって、または、前記同種移植組織を前記抗菌溶液ですすぐことによって、前記抗菌溶液を前記同種移植組織に適用する工程を含み、
前記抗菌溶液が、
微生物を阻害し、微生物を制御し、又は微生物と闘う抗菌活性を示し、及び、
前記亜鉛化合物が、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩素酸亜鉛及びその組み合わせから成る群より選択され、又は、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ビス(マルトラト)亜鉛、アセキサム酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、ビス(マルトラト)亜鉛(II)[Zn(ma)
2
]、ビス(2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド)亜鉛(II)[Zn(hpo)
2
]、ビス(アリキシナト)Zn(II)[Zn(alx)
2
]、ビス(6-メチルピコリナト)Zn(II)[Zn(6mpa)
2
]、ビス(アスピリナト)亜鉛(II)、ビス(ピロール-2-カルボキシラト)亜鉛[Zn(pc)
2
]、ビス(α-フロニックアシダト(alpha-furonic acidato))亜鉛[Zn(fa)
2
]、ビス(チオフェン-2-カルボキシラト)亜鉛[Zn(tc)
2
]、ビス(チオフェン-2-アセタト)亜鉛[Zn(ta)
2
]、(N-アセチル-L-システイナト)Zn(II)[Zn(nac)]、亜鉛(II)/ポリ(γ-グルタミン酸)[Zn(γ-pga)]、ビス(ピロリジン-N-ジチオカルバマート)亜鉛(II)[Zn(pdc)
2
]、L-乳酸亜鉛(II)[Zn(lac)
2
]、D-(2)-キナ酸亜鉛(II)[Zn(qui)
2
]、ビス(1,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-5-メトキシ-2-ペンチル-1,4-ジヒドロピリジン-4-チオナト)亜鉛(II)[Zn(tanm)
2
]、β-アラニル-L-ヒスチジナト亜鉛(II)(AHZ)及びその組み合わせから成る群より選択される、前記方法。
【請求項2】
前記同種移植組織が、同種移植骨、自家移植骨、異種移植骨、同種移植軟骨、羊膜組織、靱帯組織、腱組織、多孔性組織及び軟部組織から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同種移植組織が同種移植骨である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記同種移植組織が羊膜組織である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同種移植組織が同種移植軟骨である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記微生物が、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、アスペルギルス・ブラジリエンシス・スポア及び大腸菌から成る群より選択される、請求項
1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗菌溶液が0.1%の塩化亜鉛
~0.5%の塩化亜鉛を含む、請求項1
~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記同種移植組織を前記抗菌溶液に2時間~6時間浸漬することによって前記抗菌溶液を適用し、前記抗菌溶液が0.3%の塩化亜鉛
~0.5%の塩化亜鉛を含む、請求項1
~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗菌溶液がZn
2+イオンを含む、請求項1
~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、同種移植片法、自家移植片法、異種移植片法、アロプラスチック移植片法、又は整形外科用バイオ複合材料法と併用される、請求項1
~9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般的に、同種移植片を機械的に処理して、改善された抗菌特性を与える方法、特に、抗菌組成物の溶液を用いて、同種移植片を細菌等の微生物に対して耐性にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
外科医は、骨喪失に起因する再構築の難題に頻繁に直面する。骨再建(修復)のためには自家骨がゴールドスタンダードであるが、ドナー部位の罹患率及び限られた骨体積により同種移植骨の利用が増加した。米国では1年に約800,000の骨の同種移植が行なわれ、Boyceらの文献に記載のように骨は最も一般的な移植組織の二番目である。骨の同種移植片は一般的に骨量を修復するが、Aho AJ. Clinical use of bone allografts. Ann Med. 1993;25:403-412に記載されているように、移植片-宿主偽関節、骨折、及び移植片感染等の合併症が少なくない。
Muscolo DLらの「膝に近い巨細胞腫瘍摘出後の再構築のための骨の同種移植片の使用(The use of a bone allograft for reconstruction after resection of giant-cell tumor close to the knee)」(J Bone Joint Surg Am. 1993;75:1656-1662)に記載されているように、同種移植片関連感染症は、かなりの患者罹患率のために感染骨の除去及び患部の広範なデブリードマンを必要とすることが多い。これらの同種移植片関連感染症の大部分は4カ月以内のように早期に起こり得(Lord et al., Infection in bone allografts. Incidence, nature, and treatment. J Bone Joint Surg Am. 1988;70:369-376, Tomford WW et al. Frozen musculoskeletal allografts. A study of the clinical incidence and causes of infection associated with their use. J Bone Joint SurgAm. 1990;72:1137-1143.)、長期抗生物質予防投与にもかかわらず(Mankin HJ et al. Infection in massive bone allografts. Clin Orthop Relat Res. 2005;432:210-216)、報告された発生率は4%~12%で推移する(Lord CF et al)。金属インプラントと同様に、同種移植片は、多孔性が高く、細胞構造のない無血管性異物として作用し、細菌接着の傾向がある。
【0003】
医療品の範囲内の抗菌元素金属及び/又は金属化合物を沈着させるための手法が記載されている。米国特許第6,113,636号には、組織等の生体適合性材料の上及び中に元素金属を沈着させるための化学的、光化学的及び電気化学的プロセスが記載されている。比較的穏やかな条件下で元素金属を組織及び他の生体適合性材料と結び付けるために3つの手法が記載されている。第1の手法は、組織中に存在し得るか又は組織に添加され得る未反応架橋剤のような化学的還元剤との金属溶液の反応を伴う。第2の手法は、生体適合性材料の存在下での金属化合物の光還元を伴う。最後に、電気化学的還元によって元素金属が沈着され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学的処理なしで同種移植組織を処理して、同種移植片を微生物に対して耐性にする方法を提供することが望ましい。化学的処理は、組織に有害であるという欠点を有し、厄介又は高価な製造工程を必要とする可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の一態様は、同種移植片の処理に抗菌溶液を使用することである。金属化合物清浄化又は洗浄溶液を含む抗菌溶液は、抗菌特性を強化して、骨の同種移植片を細菌感染に対して耐性にすることが実証された。好ましい抗菌溶液としては、Zn2+イオンを含む亜鉛溶液が挙げられる。同種移植片中のZn2+イオンは、抗菌特性を示し得る。Zn2+の抗菌活性は、その濃度及び接触持続時間によって決まる。浸漬又は洗浄することによって抗菌溶液を適用すると、同種移植片の表面を改変し、並びに/又は深組織清浄化及び同種移植片中への抗菌溶液の浸透をもたらすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
第一態様において、本発明は、同種移植組織における細菌の成長を阻害する方法であって、抗菌溶液を同種移植片に機械的に適用することを含む方法に関する。本発明は、微生物を制御するか又は微生物と闘う方法であって、抗菌活性を示す抗菌溶液を微生物に機械的に適用することを含む方法にも関する。
用語「抗菌活性」は、本発明の文脈では、本発明の抗菌溶液が、真菌生物、及び/又は細菌生物、例えばグラス陽性及びグラム陰性細菌を含めた微生物を阻害若しくは制御するか又は該微生物と闘う際に活性であることを意味する。抗菌活性は、体内に同種移植片を移植した後に生じ得る。
好ましい実施形態では、抗菌活性は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、アスペルギルス・ブラジリエンシス・スポア(Aspergillus brasiliensis spores)及び大腸菌(Escherichia coli)から成る群より選択される細菌に対する活性である。
本発明は、本発明の抗菌剤並びに医薬的に許容されるビヒクル、賦形剤、希釈剤、及びアジュバントを含む抗菌組成物にも関する。
本発明の抗菌溶液に用いるのに適した亜鉛化合物としては、鉱酸亜鉛塩等の無機亜鉛化合物がある。無機亜鉛化合物の例としては、限定するものではないが、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、及び硝酸亜鉛、塩素酸亜鉛、クロム酸亜鉛又はその組み合わせが挙げられる。
【0007】
抗菌溶液に使用可能な亜鉛化合物は、有機酸の亜鉛塩でもあり得る。有機酸亜鉛塩の例としては、限定するものではないが、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ビス(マルトラト)亜鉛、アセキサム酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、ビス(マルトラト)亜鉛(II)[Zn(ma)2]、ビス(2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド)亜鉛(II)[Zn(hpo)2]、ビス(アリキシナト)Zn(II)[Zn(alx)2]、ビス(6-メチルピコリナト)Zn(II)[Zn(6mpa)2]、ビス(アスピリナト)亜鉛(II)、ビス(ピロール-2-カルボキシラト)亜鉛[Zn(pc)2]、ビス(α-フロニックアシダト(alpha-furonic acidato))亜鉛[Zn(fa)2]、ビス(チオフェン-2-カルボキシラト)亜鉛[Zn(tc)2]、ビス(チオフェン-2-アセタト)亜鉛[Zn(ta)2]、(N-アセチル-L-システイナト)Zn(II)[Zn(nac)]、亜鉛(II)/ポリ(γ-グルタミン酸)[Zn(γ-pga)]、ビス(ピロリジン-N-ジチオカルバマート)亜鉛(II)[Zn(pdc)2]、L-乳酸亜鉛(II)[Zn(lac)2]、D-(2)-キナ酸亜鉛(II)[Zn(qui)2]、ビス(1,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-5-メトキシ-2-ペンチル-1,4-ジヒドロピリジン-4-チオナト)亜鉛(II)[Zn(tanm)2]、β-アラニル-L-ヒスチジナト亜鉛(II)(AHZ)等、又はその組み合わせが挙げられる。別の実施形態では、亜鉛塩の有機酸は天然起源の脂肪酸である。
【0008】
一実施形態では、約1mM~約10mMの濃度の塩化亜鉛を抗菌溶液として使用することができる。代替実施形態では、亜鉛塩を約30mM~約100mMの濃度で抗菌溶液に使用することができる。
一実施形態では、同種移植骨を抗菌溶液に浸漬した。例えば、同種移植骨を抗菌溶液に約2時間~約24時間、好ましくは約2時間~約6時間浸漬することができる。一実施形態では、同種移植組織を抗菌溶液に約2~約24時間浸漬することによって抗菌溶液を適用し、抗菌溶液は、約0.1%の塩化亜鉛乃至約0.5%の塩化亜鉛、好ましくは約0.3%の塩化亜鉛乃至約0.5%の塩化亜鉛を含む。
或いは、同種移植骨を抗菌溶液で、例えばフラスコ振盪法(Shake Flask Method) (ASTM E2149)によってすすいだ。例えば、同種移植骨を抗菌溶液に約45分~約120分間浸した。
【0009】
以下の説明の目的では、同種移植骨を、本方法に従って処理し得る例示組織と呼ぶ。しかしながら、当業者は、本明細書で同種移植骨材料を参照して実証する本発明の精神から逸脱することなく、本明細書に規定する原理に従って他の組織を処理できることを認めるであろう。他の組織としては、限定するものではないが、自家移植骨、異種移植骨、同種移植軟骨、同種移植羊膜組織、他の多孔性組織、合成多孔性材料、及び種々の軟部組織が挙げられる。適切な同種移植軟骨は、AnthrexによってBioCartilage(登録商標)として製造されている。一実施形態では、軟部組織は靱帯又は腱である。
この態様の別の実施形態では、本発明の方法は、同種移植片法、自家移植片法、異種移植片法、アロプラスチック移植片法、又は整形外科用バイオ複合材料法と併用される。
この態様の別の実施形態では、患者は哺乳動物である。この態様の別の実施形態では、患者はヒトである。
【0010】
本発明の下記実施例により本発明をさらに説明できるが、当然のことながら、これらの実施例は単に説明目的で含めたものであり、特に指定のない限り、本発明の範囲を限定する意図でない。本明細書、実施例、及び特許請求の範囲に記載の全ての百分率、比、及び部は、特に指定のない限り、質量についてのものであり、近似値である。
【実施例】
【0011】
実施例1:
材料及び方法
35℃~37℃、0.85%生理食塩水中好気的というインキュベーションパラメーターでトリプチックソイ寒天培地及び5%ヒツジ血液(BAP)にコロニーを添加して3.0マクファーランド(McFarland)標準液と適合させることによって試験生物黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)の懸濁液を得た。1%ストック溶液から得た0.1%、0.3%及び0.5%の規定濃度の塩化亜鉛の試験物質に懸濁液を37±1℃(37.2℃)の温度で10分、2時間、6時間及び24時間の規定曝露時間さらした。レーゼン(Latheen)ブロス及び1%炭酸水素ナトリウム(9.9mL)を中和剤として用いた。曝露後、一定分量の懸濁液を中和剤に移し、生存菌についてアッセイした。表1~3は、この実施例に用いたコントロールの結果を示す。
【0012】
【0013】
表2:試験集団コントロール結果
CFU=コロニー形成単位
【0014】
表3:中和確認コントロール結果
CFU=コロニー形成単位
【0015】
結果
表4は、この実施例の実験について黄色ブドウ球菌に対する抗菌有効性を評価するための試験結果を示す。表5は、表4に示す試験結果のパーセント及びLog 10減少についての計算データを示す。
【0016】
表4:黄色ブドウ球菌についての試験結果
T=数えるには多過ぎる(>300コロニー)
計算するためにゼロの代わりに<1の値を用いた。
【0017】
表5:黄色ブドウ球菌についての計算結果
CFU=コロニー形成単位
集団コントロールのために幾何平均及び平均log
10値を用いた。
【0018】
実施例2:
材料及び方法
35℃~37℃、0.85%生理食塩水中好気的というインキュベーションパラメーターでトリプチックソイ寒天培地及び5%ヒツジ血液(BAP)にコロニーを添加して3.0マクファーランド標準液と適合させることによって試験生物黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)の懸濁液を得た。1%ストック溶液から得た0.3%及び0.5%の規定濃度の塩化亜鉛(4.75mL)と同種移植骨0.25gの試験物質に懸濁液を37±1℃(37.2℃)の温度で2時間、6時間及び24時間の規定曝露時間さらした。レーゼンブロス及び1%炭酸水素ナトリウム(9.9mL)を中和剤として用いた。曝露後、一定分量の懸濁液を中和剤に移し、生存菌についてアッセイした。表6~8は、この実施例に用いたコントロールの結果を示す。
【0019】
【0020】
表7:試験集団コントロール結果
CFU=コロニー形成単位
【0021】
表8:中和確認コントロール結果
CFU=コロニー形成単位
【0022】
結果
表9は、この実施例の実験について黄色ブドウ球菌に対する試験結果を示す。表10は、表9に示す試験結果についてのパーセント及びLog 10減少の計算データを示す。
【0023】
表9:黄色ブドウ球菌についての試験結果
Rep=反復試験
T=数えるには多過ぎる(>300コロニー)
【0024】
表10:黄色ブドウ球菌についての計算データ
CFU=コロニー形成単位
反復試験及び集団コントロールのために幾何平均及び平均log
10値を用いた。
【0025】
実施例3:
材料及び方法
35℃~37℃、0.85%生理食塩水中好気的というインキュベーションパラメーターでトリプチックソイ寒天培地及び5%ヒツジ血液(BAP)にコロニーを添加して3.0マクファーランド標準液と適合させることによって試験生物黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)の懸濁液を得た。Anthrexからの0.25gのBioCartilag(登録商標)を含有する0.3%及び0.5%の規定濃度の4.75mLの塩化亜鉛の試験BioCartilage(登録商標)物質に懸濁液を37±1℃の温度で6時間及び24時間の規定曝露時間さらした。レーゼンブロス及び1%炭酸水素ナトリウム(9.9mL)を中和剤として用いた。曝露後、一定分量の懸濁液を中和剤に移し、生存菌についてアッセイした。また、AnthrexからのAmmion Matrix(1個)を含有する0.3%及び0.5%の規定濃度の9.5mLの塩化亜鉛の試験Ammion Matrix物質に懸濁液を37±1℃の温度で6時間及び24時間の規定曝露時間さらした。レーゼンブロス及び1%炭酸水素ナトリウム(9.9mL)を中和剤として用いた。曝露後、一定分量の懸濁液を中和剤に移し、生存菌についてアッセイした。
表11~13は、この実施例に用いたコントロールを示す。
【0026】
【0027】
表12:試験集団コントロール結果
CFU=コロニー形成単位
【0028】
表13:中和確認コントロール結果
CFU=コロニー形成単位
【0029】
表14は、この実施例のBioCartilage(登録商標)実験についての黄色ブドウ球菌に対する試験結果を示す。表15は、この実施例のAmnion Matrix実験についての黄色ブドウ球菌に対する試験結果を示す。表16は、表14に示す試験結果についてパーセント及びLog 10減少の計算データを示す。表17は、表15に示す試験結果についてパーセント及びLog 10減少の計算データを示す。
【0030】
表14:塩化亜鉛(BioCartilage(登録商標)含む)についての試験結果を示す
【0031】
表15:塩化亜鉛(Amnion Matrix含む)についての試験結果を示す
【0032】
表16:計算データ塩化亜鉛(BioCartilage(登録商標)含む)
CFU=コロニー形成単位
計算するためにゼロの代わりに<1の値を用いた。
集団コントロールのために幾何平均及び平均log
10値を用いた。
反復試験について幾何平均及び平均log
10値を用いて減少を決定した。
【0033】
表17:塩化亜鉛(Amnion Matrix含む)についての計算データ
CFU=コロニー形成単位
計算するために、ゼロの代わりに<1の値を用いた。
集団コントロールについては幾何平均及び平均log
10値を用いた。
反復試験について幾何平均及び平均log
10値を用いて減少を決定した。
【0034】
上記実施形態は、本発明の原理の適用を表すことができる多くの可能な具体的実施形態のほんの一部を示すにすぎないことを理解すべきである。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これらの原理に従って多くの多様な他のアレンジメントを容易に考案することができる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕同種移植組織の製造方法であって、
抗菌溶液を同種移植組織に適用する工程を含み、
前記抗菌溶液が抗菌活性を示す、前記方法。
〔2〕前記抗菌溶液が抗菌金属を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記抗菌溶液が亜鉛化合物を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記亜鉛化合物が、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、及び硝酸亜鉛、塩素酸亜鉛、クロム酸亜鉛並びにその組み合わせから成る群より選択される、前記〔3〕に記載の方法。
〔5〕前記亜鉛化合物が塩化亜鉛である、前記〔3〕に記載の方法。
〔6〕前記亜鉛化合物が、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ビス(マルトラト)亜鉛、アセキサム酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、ビス(マルトラト)亜鉛(II)[Zn(ma)2]、ビス(2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド)亜鉛(II)[Zn(hpo)2]、ビス(アリキシナト)Zn(II)[Zn(alx)2]、ビス(6-メチルピコリナト)Zn(II)[Zn(6mpa)2]、ビス(アスピリナト)亜鉛(II)、ビス(ピロール-2-カルボキシラト)亜鉛[Zn(pc)2]、ビス(α-フロニックアシダト(alpha-furonic acidato))亜鉛[Zn(fa)2]、ビス(チオフェン-2-カルボキシラト)亜鉛[Zn(tc)2]、ビス(チオフェン-2-アセタト)亜鉛[Zn(ta)2]、(N-アセチル-L-システイナト)Zn(II)[Zn(nac)]、亜鉛(II)/ポリ(γ-グルタミン酸)[Zn(γ-pga)]、ビス(ピロリジン-N-ジチオカルバマート)亜鉛(II)[Zn(pdc)
2
]、L-乳酸亜鉛(II)[Zn(lac)
2
]、D-(2)-キナ酸亜鉛(II)[Zn(qui)
2
]、ビス(1,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-5-メトキシ-2-ペンチル-1,4-ジヒドロピリジン-4-チオナト)亜鉛(II)[Zn(tanm)2]、β-アラニル-L-ヒスチジナト亜鉛(II)(AHZ)及びその組み合わせから成る群より選択される亜鉛塩である、前記〔4〕に記載の方法。
〔7〕前記同種移植組織を前記抗菌溶液に浸漬することによって前記抗菌溶液を適用する、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕前記同種移植組織を前記抗菌溶液ですすぐことによって前記抗菌溶液を適用する、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕前記同種移植組織が、同種移植骨、自家移植骨、異種移植骨、同種移植軟骨、羊膜組織、靱帯組織、腱組織、多孔性組織及び軟部組織から成る群より選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔10〕前記同種移植組織が同種移植骨である、前記〔1〕に記載の方法。
〔11〕前記同種移植組織が羊膜組織である、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕前記同種移植組織が同種移植軟骨である、前記〔1〕に記載の方法。
〔13〕前記抗菌活性が、微生物を阻害若しくは制御するか又は微生物と闘う、前記〔1〕に記載の方法。
〔14〕前記微生物が、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、アスペルギルス・ブラジリエンシス・スポア及び大腸菌から成る群より選択される、前記〔12〕に記載の方法。
〔15〕前記同種移植組織を前記抗菌溶液に約2時間~約24時間浸漬することによって前記抗菌溶液を適用し、前記抗菌溶液が約0.1%の塩化亜鉛~約0.5%の塩化亜鉛を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔16〕前記同種移植組織を前記抗菌溶液に約2時間~約6時間浸漬することによって前記抗菌溶液を適用し、前記抗菌溶液が約0.3%の塩化亜鉛~約0.5%の塩化亜鉛を含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔17〕前記抗菌溶液がZn
2+
イオンを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔18〕前記抗菌溶液が、医薬的に許容されるビヒクル、賦形剤、希釈剤又はアジュバントをさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔19〕前記〔1〕に記載の方法に従って調製される同種移植組織。
〔20〕前記抗菌溶液が亜鉛化合物を含む、前記〔19〕に記載の同種移植組織。
〔21〕前記同種移植組織が、同種移植骨、自家移植骨、異種移植骨、同種移植軟骨、羊膜組織、靱帯組織、腱組織、多孔性組織及び軟部組織から成る群より選択される、前記〔19〕に記載の同種移植組織。
〔22〕前記同種移植組織が同種移植骨である、前記〔19〕に記載の同種移植組織。
〔23〕前記同種移植組織を前記抗菌溶液に約2時間~約6時間浸漬することによって前記抗菌溶液を適用し、前記抗菌溶液が約0.3%の塩化亜鉛~約0.5%の塩化亜鉛を含む、前記〔19〕に記載の同種移植組織。
〔24〕前記抗菌溶液がZn
2+
イオンを含む、前記〔19〕に記載の同種移植組織。
〔25〕前記方法が、同種移植片法、自家移植片法、異種移植片法、アロプラスチック移植片法、又は整形外科用バイオ複合材料法と併用される、前記〔1〕に記載の方法。