(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】キサントフモールを含む抗微生物剤および食品における使用
(51)【国際特許分類】
A01N 35/04 20060101AFI20220119BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20220119BHJP
A01N 37/02 20060101ALI20220119BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220119BHJP
A23L 3/3499 20060101ALI20220119BHJP
A23L 3/3508 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A01N35/04
A01N25/02
A01N37/02
A01P3/00
A23L3/3499
A23L3/3508
(21)【出願番号】P 2018522554
(86)(22)【出願日】2016-11-03
(86)【国際出願番号】 NL2016050762
(87)【国際公開番号】W WO2017078521
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-10-28
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516030498
【氏名又は名称】ピューラック バイオケム ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スリーケルス、アルネ オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ブルックマイヤー、カイル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フェルリンデ、カテリーヌ ヨ アンネ - ソフィー
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-098738(JP,A)
【文献】特開2002-051757(JP,A)
【文献】特開昭63-240942(JP,A)
【文献】国際公開第2014/066463(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0036569(KR,A)
【文献】EDWARD ROJ; TADIC VANJA M; MISIC DUSAN; ET AL,SUPERCRITICAL CARBON DIOXIDE HOPS EXTRACTS WITH ANTIMICROBIAL PROPERTIES,OPEN CHEMISTRY,2015年,VOL:13, NR:1,PAGE(S):1157 - 1171,http://dx.doi.org/10.1515/chem-2015-0131
【文献】Xantho-Flav Extract on Diatomaceous Earth,Hopsteiner [online],2010年04月30日,[retrieved on 2020.08.21], <URL:https://www.hopsteiner.com/antioxidants/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/02 - 37/02
A01P 3/00
A23L 3/3499 - 3/3508
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物剤としての組成物の使用であって、当該組成物は、第1の抗微生物剤としての式(1)
【化1】
を有するキサントフモールまたはその塩と、第2またはさらなる抗微生物剤とを含み、
しかも、前記第2またはさらなる抗微生物剤が、
ケイ皮酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、ラクチド、ACE50、またはこれらの薬剤のいずれかの組合せから選択されるか、又は、
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、プロピオン酸またはその塩であるか、又は、
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、プロピオン酸塩および酢酸塩を含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物である、前記の使用。
【請求項2】
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、ケイ皮酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、ラクチド、ACE50、またはこれらの薬剤のいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、プロピオン酸またはその塩である、請求項
1に記載の使用。
【請求項4】
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、プロピオン酸カルシウムである、請求項3の使用。
【請求項5】
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、プロピオン酸塩および酢酸塩を含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、Verdad F95である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記組成物が、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus adidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・スンキイ(Lactobacillus sunkii)、ラクトバチルス・フルクティボランス(Lactobacillus fructivorans)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteriodes)に対する、またはこれらの組合せに対する抗微生物剤として使用される、請求項1~6のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
前記組成物が、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)に対する、またはこれらの組合せに対する抗微生物剤として使用される、請求項1~7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
前記組成物が、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を含み、この抽出物が、乾燥重量基準で少なくとも2重量%のキサントフモールを含む、請求項1~8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物が、乾燥重量基準で少なくとも50重量%のキサントフモールを含む、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物が、乾燥重量基準で少なくとも80重量%のキサントフモールを含む、請求項9又は10に記載の使用。
【請求項12】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物が、水抽出物であり、
a)超臨界二酸化炭素抽出法および/またはエタノール抽出法によって、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を調製する工程と、
b)得られた抽出物を60℃以上で水抽出し、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の水抽出物にする工程と
を含む方法によって調製されたものである、請求項9~11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
前記組成物が、少なくとも1%の希釈剤を含む、請求項1~12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
前記希釈剤が、水、エタノール、油、プロピレングリコール、またはこれらの組合せである、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記希釈剤が、水、プロピレングリコール、またはこれらの組合せである、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記組成物が、食品中に抗微生物剤として使用される、請求項1~15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
前記食品が、新鮮な食肉、鶏肉、魚、調理済の食肉、即席食品、ソース、ペストリー、パン、ベーカリー製品または液体食品である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記食品が、0.00010~0.05重量%のキサントフモールまたはその食用の塩を含む、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項19】
前記食品が、0.0010~0.01重量%のキサントフモールまたはその食用の塩を含む、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
食品に使用するのに適した抗微生物組成物であって、
0.001~50重量%の式(1)
【化2】
を有するキサントフモールまたはその塩と、
0.01~20重量%の少なくとも1つの追加の抗微生物剤と
を含む、抗微生物組成物であって、
しかも、前記追加の抗微生物剤が、
ケイ皮酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、ラクチド、ACE50、またはこれらの薬剤のいずれかの組合せから選択されるか、又は、
前記追加の抗微生物剤が、プロピオン酸またはその塩であるか、又は、
前記追加の抗微生物剤が、プロピオン酸塩および酢酸塩を含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物である、前記の組成物。
【請求項21】
前記追加の抗微生物剤が、ケイ皮酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、ラクチド、ACE50、またはこれらの薬剤のいずれかの組合せから選択される、請求項20に記載の抗微生物組成物。
【請求項22】
担体として60~99重量%の珪藻土をさらに含む、請求項20又は21に記載の抗微生物組成物。
【請求項23】
前記組成物が、
0.001~50重量%のキサントフモールと、
0.01~20重量%
のプロピオン酸またはこれらの塩、またはプロピオン酸塩と酢酸塩を含むプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)発酵糖組成物と、
60~99重量%の珪藻土と
を含む、請求項20~22のいずれかに記載の抗微生物組成物。
【請求項24】
前記組成物が、プロピオン酸またはこれらの塩を含む、請求項23に記載の抗微生物組成物。
【請求項25】
プロピオン酸またはこれらの塩が、プロピオン酸カルシウムである、請求項24に記載の抗微生物組成物。
【請求項26】
前記組成物が、
0.001~50重量%のキサントフモールと、
0.01~20重量%のラクチドと
を含む、請求項20~25のいずれかに記載の抗微生物組成物。
【請求項27】
前記組成物が、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を含む、請求項20~26のいずれかに記載の抗微生物組成物。
【請求項28】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物が、
a)超臨界二酸化炭素抽出法および/またはエタノール抽出法によって、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を調製する工程と、
b)得られた抽出物を60℃以上で水抽出し、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の水抽出物にする工程と
を含む方法によって得ることができる水抽出物である、請求項27に記載の抗微生物組成物。
【請求項29】
前記組成物が、液体または粉末として配合される、請求項20~28のいずれかに記載の抗微生物組成物。
【請求項30】
前記組成物が、液体として配合される、請求項29に記載の抗微生物組成物。
【請求項31】
食品における、乳酸菌および/またはカビおよび/または酵母に対する抗微生物剤としての請求項20~30のいずれかに記載の抗微生物組成物の使用。
【請求項32】
請求項20~30のいずれかに記載の抗微生物組成物を含む食品。
【請求項33】
前記食品が、パン、ベーカリー製品、新鮮な食肉、鶏肉、魚、調理済の食肉、即席食品、ソース、ペストリーまたは液体食品である、請求項32に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物組成物としての、キサントフモールと第2またはさらなる微生物剤とを含む組成物の使用に関する。本発明は、さらに、上述の組成物自体、および乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物組成物としての食品におけるその使用に関する。本発明は、さらに、上述の抗微生物組成物を含む食品に関する。
【背景技術】
【0002】
食品および飲料は、腐敗微生物の成長に弱く、ほとんどの場合、これらの製品の貯蔵寿命が制限され、消費者にとって健康問題の脅威となっている。実際に、微生物の食品腐敗、したがって消費者の安全性は、例えば、新鮮な食肉、鶏肉、魚、加工食肉、調理済の食肉、硬化した肉、硬化した魚、ベーカリー製品、ケーキ、即席食品、(調理)ソース、デリサラダ、ペストリー、前処理した食品または液体食品の加工および貯蔵に関し、食品産業において主要な関心事である。微生物の増殖は、これらの製品の貯蔵寿命を短くし、上述の製品の製造、貯蔵および配給の間に汚染および腐敗を防止することは、非常に厳しい作業である。
【0003】
食肉および調理済食品において、問題を引き起こす腐敗細菌の一種は、乳酸菌(ラクトバチルス(Lactobacillales)、LAB)、すなわち、細菌のラクトバチルス(Lactobacillus)科のメンバーである。現代の食品生産プロセスは、現在、微生物の成長を阻害するために二酸化炭素のレベルを増加させることを用いる、雰囲気を改変した包装を含む。残念ながら、乳酸菌は二酸化炭素の影響を受けにくい。さらに、ラクトバチルス(lactobacillales)目のメンバー(例えば、ラクトバチルス・オリゴフェルメンタンス(Lactobacillus oligofermentans)およびロイコノストック・ガシコミタタム(Leuconostoc gasicomitatum))は、低温耐性の乳酸菌である。このことは、例えば、食肉などの新鮮な製品の低温貯蔵の有用性を著しく制限する。
【0004】
食物の腐敗を引き起こすことが多い別の種類の微生物は、カビである。いくつかのカビは特定の食品の必須部分であるが、カビの成長は、強い異臭と食品の外観の劣化を引き起こすことが多く、ヒトが食べるには不適切なものとなる。さらに、ある種のカビは、胃腸病から癌に至るまで、広範なヒト疾患に関連するマイコトキシンとして知られる有毒な代謝産物を産生する能力を有する。
【0005】
食物の腐敗を十分に予防する試みにおいて、微生物汚染を防止するため、または微生物の成長を抑制するために、食品産業において様々な方法および(人工の)防腐剤が使用されている。しかし、これらの防腐剤は、本質的に合成物であることが多い(例えば、亜硝酸塩、安息香酸塩、ソルビン酸カリウムなど)。さらに、いくつかの防腐剤が食品に付与してしまう可能性がある異臭と、食品にこれらの化合物を使用することに伴う健康上の問題は、これらの防腐剤の有用性を大幅に低下させる。消費者は、防腐剤の供給源に対してもますます批判的になりつつあり、非天然の防腐剤が使用された食品を消費しようとする意欲が低下しつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、悪臭をほとんど付与しないか、または全く付与せず、抗微生物剤が天然の供給源に由来する、乳酸菌およびカビの成長を抑制または阻害するのに有効な抗微生物剤が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物剤としての組成物の使用であって、当該組成物は、第1の微生物剤としての式(1)
【化1】
を有するキサントフモールまたはその塩と、第2またはさらなる微生物剤とを含む、組成物の使用に関する。
【0008】
驚くべきことに、本発明者らは、キサントフモールを含む組成物が、乳酸菌およびカビに対して非常に有効であることを見出した。さらに、キサントフモールは、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の毬花(一般にホップと呼ばれる)に由来するため、天然物であると考えられる。このことは、食品に非天然の成分を使用することに消費者がますます関心を寄せているという理由から、有利である。本発明者らは、さらに、他の抗微生物剤と組み合わせると、食品の腐敗を引き起こす微生物(特に乳酸菌およびカビ)の成長を著しく低下させることを見出した。
【0009】
本発明の第2の態様は、食品に使用するのに適した抗微生物組成物であって、
-0.001~50重量%の式(1)
【化2】
を有するキサントフモールまたはその塩と、
-0.01~20重量%の少なくとも1つの追加の抗微生物剤とを含む、抗微生物組成物に関する。
【0010】
他の抗微生物剤と組み合わせてキサントフモールを使用することが有利であることがさらに見出されている。本発明者らは、キサントフモールを他の抗微生物剤と組み合わせて使用すると、食物の腐敗を引き起こす微生物、特に乳酸菌およびカビの成長が著しく減少することを見出した。
【0011】
本発明の第3の態様は、食品における、乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物剤としての上述の抗微生物組成物の使用に関する。
【0012】
本発明の第4の態様は、上述の抗微生物組成物を含む食品に関する。
【0013】
定義
本明細書で使用される「抗微生物剤」または「抗微生物性」との用語は、その従来からある意味を有し、食品で、または食品の付近での微生物の成長を阻害または抑制し、食品で、または食品の付近で微生物を殺すことができる薬剤を指す。
【0014】
本明細書で使用される「乳酸菌」との用語は、その従来からある意味を有し、炭水化物発酵の主要な代謝最終産物として乳酸を産生するグラム陽性菌を指す。乳酸菌の主要な属は、ラクトバチルス(Lactobacillus)である。
【0015】
本明細書で使用される「カビ(mold)」または「カビ(mould)」との用語は、相互に置き換え可能であり、それらの従来の意味を有しており、糸状菌を指す。
【0016】
本明細書で使用される「最小発育阻止濃度」または「MIC」との用語は、その従来からある意味を有し、例えば、重量%またはmg/mlまたはパーツパーミリオン(ppm)で表されてもよく、微生物を阻害するか、または殺す抗微生物剤の最低濃度を指し、一晩インキュベートした後に微生物のin vitroでの目に見える成長の阻害として評価される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】プロピオン酸カルシウムおよび/またはキサントフモールによるP.ロックフォルティ(P.roquefortii)の阻害。
【
図2】プロピオン酸カルシウムおよび/またはキサントフモールによるF.オキシスポルム(F.oxysporum)の阻害。
【
図3】プロピオン酸カルシウムおよび/またはキサントフモールによるP.バリオッティ(P.variotii)の阻害。
【
図4】プロピオン酸カルシウムおよび/またはキサントフモールによるA.フラバス(A.flavus)の阻害。
【
図5】プロピオン酸カルシウムおよび/またはキサントフモールによるM.プランベウス(M.plumbeus)の阻害。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の態様は、乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物剤としての組成物の使用であって、当該組成物は、第1の微生物剤としての式(1)
【化3】
を有するキサントフモールまたはその塩と、第2またはさらなる微生物剤とを含む、使用に関する。好ましくは、本発明の組成物は、食品に抗微生物剤として使用される。
【0019】
本願発明者らは、組成物が、キサントフモールまたはその塩を第2またはさらなる抗微生物剤、好ましくは抗真菌剤、好ましくは抗カビ剤および/または抗酵母剤および/またはLABに対して活性な薬剤と組み合わせて含むとき、特に良好な効果が得られることを見出した。理論によって束縛されることを望まないが、異なる薬剤によって同じ腐敗微生物を複数回攻撃すると、微生物がこのような攻撃から復活する可能性を抑制すると考えられる。上述の微生物を攻撃するために、異なる生物学的機構を用いる抗微生物剤を使用することが特に有利である。
【0020】
第2またはさらなる抗微生物剤は、好ましくは、プロピオン酸を含み、場合により、乳酸および酢酸などの他の有機酸またはその塩と共に含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物である。また、第2またはさらなる抗微生物剤は、ケイ皮酸またはその食用の塩、例えばケイ皮酸カリウムであってもよい。また、セダー油または有機酸、例えば、プロピオン酸、乳酸もしくは酢酸、またはこれらの塩、好ましくはプロピオン酸カルシウムを、第2またはさらなる抗微生物剤として使用してもよい。この観点で、上述の薬剤のいずれかの組合せも、キサントフモールを含む薬剤と組み合わせて使用されてもよいことに留意されたい。
【0021】
キサントフモールは、フムルス・ルプルス L.(Humulus lupulus L.)(Cannabaceae)の樹脂状の雌花序から得られてもよく、ホップの実または球果と呼ばれることが多く、その苦味と芳香の特徴のため、主に醸造産業で使用される。キサントフモールは、新鮮なホップ中に最も豊富に存在するプレニル化フラボノイドであり、十分に知られた抽出技術によって、ホップから誘導され得る。
【0022】
当該技術分野では、食品処理装置における細菌の成長を防止するためのバイオフィルム防止剤としてのキサントフモールの使用が記載されている。この観点で、Rozalskiら、BioMed Research International、2013 pp.1-7の文献を参照されたい。しかし、驚くべきことに、キサントフモールは、食品処理装置における細菌に対するバイオフィルム防止剤として使用されるだけではなく、他の抗微生物剤と組み合わせて、乳酸菌およびカビに対する抗微生物剤として使用されてもよいことを見出した。
【0023】
具体的には、キサントフモールを、食品に抗微生物剤として、好ましくは、新鮮な食肉、鶏肉、魚、調理済の食肉、即席食品、ソース、ペストリー、パン、ベーカリー製品または液体食品に抗微生物剤として使用してもよい。
【0024】
さらに、キサントフモールは、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の毬花に由来するため、天然物であると考えられる。このことは、食品に非天然の成分を使用することに消費者がますます関心を寄せているという理由から、有利である。
【0025】
いくつかの食品において、乳酸菌の成長は意図的であるが、多くの食品において、乳酸菌の成長は、異臭を生じさせ、および/または食品の貯蔵寿命を制限するので避けるべきである。本発明の組成物により、非天然の抗微生物剤を使用することを必要とせず、乳酸菌の成長を効率的に防止または阻害することが可能になった。
【0026】
本発明の組成物は、好ましくは、一般的に食品中で見つかる乳酸菌、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus adidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・スンキイ(Lactobacillus sunkii)、ラクトバチルス・フルクティボランス(Lactobacillus fructivorans)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteriodes)、好ましくはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus adidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・スンキイ(Lactobacillus sunkii)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteriodes)に対する抗微生物剤として使用される。
【0027】
さらに、本発明のキサントフモールを含む組成物を、カビの成長を阻害または防止するためにも使用可能であることが見出された。乳酸菌と同様に、カビの増殖が有益であると考えられるいくつかの食品がある。しかし、多くの食品において、食品の味および外観に悪影響を与えるという理由から、カビの増殖を防止すべきである。
【0028】
本発明の組成物は、好ましくは、アスペルギルス(Aspergillus)属またはペニシリウム(Penicillium)属に由来するカビに対する抗微生物剤として使用される。好ましくは、本発明の組成物は、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)といったカビまたはこれらの組合せに対して使用される。より好ましくは、本発明の組成物は、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)といったカビまたはこれらの組合せに対して使用される。
【0029】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の毬花(一般に「ホップ」と呼ばれる)は、キサントフモールの豊富な供給源である。キサントフモールを含むホップ抽出物は市販されているが、乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物剤としての使用はこれまで報告されていない。これまで、キサントフモール抽出物は、食品中に存在する乳酸菌およびカビに対する抗微生物剤として使用し得ることも報告されていない。
【0030】
したがって、一実施形態では、本発明は、本発明のキサントフモールを含む抗微生物組成物の使用に関し、この組成物が、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を含み、この抽出物は、乾燥重量基準で少なくとも5重量%のキサントフモール、好ましくは少なくとも50重量%のキサントフモール、最も好ましくは少なくとも80重量%のキサントフモールを含む。
【0031】
本発明の組成物に使用されるフムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物は、好ましくは、水抽出物であり、まず、例えばホップ(フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の毬花)に対して超臨界二酸化炭素抽出法および/またはエタノール抽出法を行うことによって、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を調製することによって調製された。これらの方法は、上述のRozalskiら、2013の論文に記載されているように、当技術分野で一般的に知られている。さらなる工程において、これらの方法の一方または両方を用いて得られた抽出物は、60℃以上の温度で水抽出に供される。その中にキサントフモールを含む水抽出物は、抗微生物剤として直接使用してもよいが、この抽出物を濃縮または乾燥することも可能である。
【0032】
本発明の種々の態様での適用に適した典型的な市販のフムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物は、ホップから単離された、珪藻土に担持したXantho-Flav抽出物である(Hopsteiner、Simon H.Steiner、Hopfen、GmbH、マインブルク、ドイツ)。
【0033】
本発明の組成物中のキサントフモールの合計量は、好ましくは、0.001~50重量%の範囲である。より好ましくは、本発明の組成物中のキサントフモールの量は、0.005重量%~20重量%、最も好ましくは0.01重量%~10重量%の範囲である。
【0034】
本発明のキサントフモールを含む抗微生物組成物の現時点で予見可能な大部分の実用化のために、この組成物を、注ぐことができる配合物、例えば、希釈剤(好ましくは、水、エタノール、油、プロピレングリコール、より好ましくは、水、プロピレングリコール)を含む配合物になるように配合することが好都合である。さらに、本発明の抗微生物組成物に例えば水および/またはプロピレングリコールのような希釈剤を組み込むことにより、例えば、キサントフモールと、場合により上述の組成物に含まれる1種以上のさらなる抗微生物剤のより簡便で正確な濃度調整が可能になる。
【0035】
したがって、一実施形態では、本発明は、キサントフモールを含む抗微生物組成物の使用を提供し、この組成物は、少なくとも1重量%の希釈剤(好ましくは、水、エタノール、油、プロピレングリコール、より好ましくは、水および/またはプロピレングリコール)を含む。
【0036】
本発明の抗微生物組成物は、好ましくは、食物、食品、前処理した食品および調理済食品(一般的に「食品」と呼ばれる)の貯蔵寿命を延ばすために使用される。
【0037】
乳酸菌による汚染および/またはカビによる汚染の受けやすさという点で知られている典型的な食品は、特に、新鮮な食肉、鶏肉、魚、加工食肉、硬化した肉、調理済の食肉、即席食品、(調理)ソース、デリサラダ、マヨネーズ系のサラダ、シリアルバー、(濃縮)グレービー、ペストリーおよび液体食品、フルーツジュース、二酸化炭素を含まない飲料、ベーカリー製品、ケーキ、ディップ、スプレッド、食品フィリング、食品スタッフィングおよび食物成分である。好ましくは、本発明のキサントフモールを含む抗微生物組成物をこのように使用し、これらの食品を防腐し、腐敗するのを防ぐ。
【0038】
したがって、本発明の抗微生物組成物は、食品に抗微生物剤として、好ましくは、新鮮な食肉、鶏肉、魚、調理済の食肉、即席食品、ソース、ペストリー、パン、ベーカリー製品または液体食品で抗微生物剤として使用される。
【0039】
本発明の組成物が乳酸菌またはカビに対する抗微生物剤として使用される食品は、好ましくは、0.00010~0.05重量%、好ましくは0.001~0.01重量%のキサントフモールまたはその食用の塩を含む。このような濃度のキサントフモールは、乳酸菌および/またはカビの成長を効果的に阻害または防止することがわかっている。
【0040】
この観点で、本発明の第2の態様は、食品に使用するのに適した抗微生物組成物であって、
-0.001~50重量%の式(1)
【化4】
を有するキサントフモールまたはその塩と、
-0.01~20重量%の少なくとも1つの追加の抗微生物剤とを含む、抗微生物組成物に関する。
【0041】
試験は、キサントフモールを用いた食品の抗微生物処理の効力が、第2またはさらなる抗微生物剤と組み合わせると高まることを示している。理論によって束縛されることを望まないが、異なる薬剤によって同じ腐敗微生物を複数回攻撃すると、微生物がこのような攻撃から復活する可能性を防止すると考えられる。上述の微生物を攻撃するために、異なる生物学的機構を用いる抗微生物剤を使用することが特に有利である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態では、上述の第2またはさらなる抗微生物剤は、抗真菌剤であり、好ましくは、抗カビ剤または抗酵母剤および/またはLABに対して活性な薬剤である。
【0043】
キサントフモールと他の抗微生物剤とを組み合わせる別の理由は、1つの抗微生物組成物を使用するだけで、特定の食品中の異なる微生物の成長を回避することである。例えば、新鮮な食肉またはベーカリー製品などの特定の製品の食品腐敗は、異なる微生物によって引き起こされることが一般的に知られている。したがって、他の抗微生物剤と組み合わせて乳酸菌および/またはカビに対して有効なキサントフモールを使用することが有利である。
【0044】
上述のように、本発明のキサントフモールを含む組成物は、アスペルギルス(Aspergillus)属またはペニシリウム(Penicillium)属に由来するカビ、特に、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、より詳細には、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)といったカビに対する抗微生物剤として特に適している。
【0045】
さらに、本発明のキサントフモールを含む組成物は、乳酸菌、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus adidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・スンキイ(Lactobacillus sunkii)、ラクトバチルス・フルクティボランス(Lactobacillus fructivorans)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteriodes)に対する抗微生物剤としても特に適している。
【0046】
好ましくは、追加の抗微生物剤は、プロピオン酸塩および酢酸塩、ケイ皮酸またはその塩、好ましくはケイ皮酸カリウム、セダー油または有機酸、例えば、プロピオン酸、乳酸もしくは酢酸、またはこれらの塩、好ましくは、プロピオン酸カルシウム、またはこれらの薬剤のいずれかの組合せを含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物から選択される。
【0047】
ケイ皮酸およびその塩、例えば、ケイ皮酸カリウム(「Kcin」)に関して、これは抗微生物活性を有する天然物であることに留意されたい。文献では、抗微生物組成物中の唯一の抗微生物剤としてのその使用が記載されている。したがって、本発明によれば、キサントフモールをケイ皮酸またはその塩、特にKcinと組み合わせて使用することが有利である。
【0048】
さらに、Kcinとバニリンとの組合せは、既に比較的低い濃度で、カビの成長の阻害に対して正の効果を有することが報告されている。したがって、代替の実施形態では、本発明の組成物は、有効量のキサントフモール、バニリンおよびケイ皮酸またはその塩、例えばKcinを含む。
【0049】
種々の有機酸またはその塩の抗微生物活性は当該技術分野で知られているが、驚くべきことに、キサントフモールとプロピオン酸、乳酸および酢酸などの有機酸とを組み合わせると、カビの成長を顕著に阻害することがわかった。したがって、本発明の抗微生物組成物は、好ましくは、キサントフモールと、1種以上の有機酸、好ましくは、プロピオン酸またはその塩、例えばプロピオン酸カルシウムとを含む。
【0050】
キサントフモールと、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物とを組み合わせると、乳酸菌の成長に対して顕著な阻害効果を有することがさらに見出されている。発酵した糖組成物は、好ましくは、プロピオン酸塩と酢酸塩を含む。
【0051】
プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物は、一般に、少なくともプロピオン酸塩と酢酸塩を含有する。2工程の発酵手法を適用する場合(すなわち、(工程1)糖から乳酸へ、(工程2)乳酸からプロピオン酸へ)、および/または発酵した製品に乳酸を添加する場合、発酵した糖組成物には、乳酸塩も存在するだろう。好ましい発酵した糖組成物は、15~33重量%のプロピオン酸塩と、5~17重量%の酢酸塩と、10~33重量%の乳酸塩とを含む。特に好ましい発酵した糖組成物は、15~20重量%のプロピオン酸塩と、5~10重量%の酢酸塩と、10~20重量%の乳酸塩とを含む。または、特に好ましい発酵した糖組成物は、すべて乾燥重量基準で、25~33重量%のプロピオン酸塩と、8~17重量%の酢酸塩と、17~33重量%の乳酸塩とを含む。本発明の組成物に使用するのに有利な市販の製品は、オランダのCorbionによって市販されているVerdad F95である。
【0052】
したがって、本発明の組成物の好ましい実施形態では、組成物は、
-0.001~50重量%のキサントフモールと、
-0.01~20重量%のプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物とを含み、この糖組成物は、15~20重量%のプロピオン酸塩と、5~10重量%の酢酸塩と、10~20重量%の乳酸塩とを含む。
【0053】
最も好ましくは、発酵した糖組成物は、Verdad F95である。
【0054】
さらに、キサントフモールとセダー油を組み合わせると、様々な乳酸菌の成長に対して顕著かつ強力な相乗効果を有することが見出されている。
【0055】
本発明の抗微生物組成物は、好ましくは、注ぐことができる配合物、例えば、希釈剤(好ましくは、水、エタノール、油、プロピレングリコール、より好ましくは、水、プロピレングリコール)を含む配合物になるように配合される。さらに、本発明の抗微生物組成物に例えば水および/またはプロピレングリコールのような希釈剤を組み込むことにより、例えば、キサントフモールと、場合により上述の組成物に含まれる1種以上のさらなる抗微生物剤のより簡便で正確な濃度調整が可能になる。
【0056】
本発明の抗微生物組成物には、キサントフモールをそのまま使用してもよい。しかし、組成物中にキサントフモールを含むフムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を使用することも可能である。上述の抽出物中のキサントフモールの量に応じて、組成物中の必要なキサントフモール含量を達成するために、比較的多量または少量の抽出物を使用する必要がある。これに関して、抽出物をそのまま使用することも可能であることにも留意されたい。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、いわゆるフムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の水抽出物が、キサントフモール源として使用される。この水抽出物は、本発明の第1の態様に関して既に記載したように調製されてもよい。
【0058】
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物が使用される場合、上述の組成物は、乾燥形態で配合されてもよく、担体として珪藻土を含んでいてもよい。本発明の組成物の一実施形態では、組成物は、担体として60~99重量%の珪藻土を含む。組成物を食品に適用する前に、上述の組成物を水などの溶媒と共にインキュベートし、キサントフモールおよび追加の抗微生物剤を珪藻土から分離する。続いて、この液相を食品と混合してもよく、または食品に塗布してもよい。
【0059】
特に好ましい実施形態では、本発明の抗微生物組成物は、
-0.001~50重量%のキサントフモールと、
-0.01~20重量%のセダー油またはプロピオン酸またはこれらの塩、好ましくは、プロピオン酸カルシウム、またはプロピオン酸塩と酢酸塩を含むプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物と、
-60~99重量%の珪藻土とを含む。
【0060】
さらに好ましい実施形態では、本発明の抗微生物組成物は、キサントフモールとラクチドを含む。したがって、本発明の特に好ましい実施形態は、本発明による抗微生物組成物であって、この組成物は、
-0.001~50重量%のキサントフモールと、
-0.01~20重量%のラクチド、好ましくは0.05~5重量%、より好ましくは0.1~0.5重量%のラクチドとを含む。
【0061】
本発明の抗微生物組成物は、好ましくは、液体または粉末として配合される。最も好ましくは、組成物は、液体として配合される。
【0062】
本発明の第3の態様は、食品における、乳酸菌および/またはカビおよび/または酵母に対する抗微生物剤としての上述の抗微生物組成物の使用に関する。
【0063】
上述の抗微生物組成物は、好ましくは、アスペルギルス(Aspergillus)属またはペニシリウム(Penicillium)属に由来するカビ、特に、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)、より詳細には、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)といったカビに対して使用される。上述の組成物は、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus adidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・スンキイ(Lactobacillus sunkii)、ラクトバチルス・フルクティボランス(Lactobacillus fructivorans)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteriodes)といった乳酸菌に対して使用されてもよい。
【0064】
第4の態様は、上述の抗微生物組成物を含む食品に関する。キサントフモールは、乳酸菌またはカビに対して特に有効であるので、パン、ベーカリー製品、新鮮な食肉、鶏肉、魚、調理済の食肉、即席食品、ソース、ペストリー、乳製品または液体食品でこの組成物を使用することが有利である。
【0065】
本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
実施例
【実施例1】
【0066】
本発明の態様で使用するためのキサントフモールの調製
珪藻土に担持したキサントフモールXantho-Flav抽出物(2%のキサントフモールを含む)1部を、激しく振とうしながら1分未満沸騰させた100℃の熱水9部と共にインキュベートする。インキュベートした後、固体物質を捨てる。このようにして、10%のキサントフラブまたは約0.2%のキサントフモール(2mg/ml)を含むストック溶液が得られ、これを以下の実施例で使用する。
【0067】
比較実験1:キサントフモールのみを含む組成物の抗微生物活性
抗微生物活性を試験するために、キサントフモールを含む試験組成物を適用した。試験組成物を以下のように調製した。最も高い濃度で、2mg/mlのキサントフモールストック水溶液100μl(実施例1を参照)を、2倍濃度のMRS培地100μlに加え、MRS培地中に1mg/mlのキサントフモールを含む試験組成物を得る。
【0068】
試験細菌の予備培養物を、標準的な技術を用いて培養した。実験を開始する48時間前に、細菌をMRS培地中で培養した。
【0069】
5μlの細菌予備培養物を200μlの試験培地(培地+成分+水)に入れ、一連の濃度のキサントフモールを含む試験組成物と混合した。一晩の実験開始時の最終的な細菌密度は、105cfu/mlであった。
【0070】
キサントフモールを0.01mg/mlの濃度まで試験した(0.05%w/wまでのキサントフラブ添加レベルに基づく)。ネガティブコントロールをブロスに接種し、ポジティブコントロールをMRS培地に接種した。試験生物を以下の表1に列挙する。細菌培養物を30℃で一晩、一定条件で振り混ぜつつ、培養した。インキュベートした後、各試験生物の最小発育阻止濃度にスコアを付けた(表1)。
【0071】
【0072】
この結果は、キサントフモールを含む組成物が、様々な乳酸菌の成長を阻害するのに強力であることを示している。
【実施例2】
【0073】
種々の乳酸菌の阻害におけるキサントフモールおよびVerdad F95を含む組成物の抗微生物効率
異なる乳酸菌を、pH=5.8のMRSブロスに105細菌/mlのレベルで接種した。同じ様式で、実施例1からの0.13%w/wの作業溶液を含むブロス(したがって0.00026%のキサントフモールに相当する0.013%のキサントフラブを含有する)に接種した。また、これらを、1.5%のPurac Verdad 95(Corbion Purac、オランダ)、約25%のプロピオン酸ナトリウムを含む培養糖を含有するブロスに接種した。また、これらを、1.5%のVerdad F95および0.13%のキサントフモールストック溶液を含むブロスにも接種した。30℃で72時間インキュベートした後、波長595nmでの光学密度を、72時間で成長した細胞の量の尺度として測定した。
【0074】
【実施例3】
【0075】
種々のカビの阻害におけるキサントフモールおよびプロピオン酸塩を含む組成物の抗微生物効率
プロピオン酸塩と組み合わせたキサントフモールの併用効果について、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roquefortii)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)およびムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)の5種類のカビを試験した。この実施例では、上の実施例1に記載したのと同様の様式で調製した0.52%のキサントフラブ(0.0104%w/wのキサントフモールに相当)のストック溶液と、1.6%w/wのプロピオン酸カルシウムのストック溶液を使用した。50gのMalt Extractブロス(Oxoid)と、7.5gのBacteriological Agar No.1(Oxoid)とを混合し、2倍の還元寒天MEAを作成することによって、改変された半固体MEA寒天を調製した。これを120℃で15分間、オートクレーブ処理した。播種の準備ができるまで、このMEAの瓶を50℃に保持し、播種の時点で、上に列挙したカビのうち1種類の株を約104胞子/mlで接種した。このレベルの播種により、96ウェルプレート中のウェルあたり500~1000個の胞子を確実にする。すべての培地をpH6に設定した。
【0076】
96ウェルプレート中、自動化プレート充填器を用い、上述の2倍のMEAを、キサントフモールのストック溶液、プロピオン酸カルシウム、希釈剤としての滅菌H2Oと混合し、1つの軸に沿って0%から0.5%までの範囲のプロピオン酸カルシウムの濃度勾配と、他の軸に沿って0%から0.00195%までの範囲のキサントフモールの濃度勾配を作成した。両方の抗微生物剤を0%含有するウェルは、コントロールとして役立った。これにより、上述の2種類の抗微生物剤の約24種類の異なる組合せを1つのプレートで試験することができた。各ウェルは、75μlの接種した2倍還元寒天MEAと、75μlの抗微生物剤/希釈剤の混合物を含んでおり、寒天をセットした後に75μlのパラフィン油で蓋をした。次いで、ウェルの汚染を防ぐために、96個のウェルプレートを酸素透過性膜で密封した。
【0077】
OD測定を約1回/日行い、(ODの増加によって測定した)成長を経時的に追跡した。最終的な読み(13日目)での測定値を3Dグラフに配置し、2種類の抗微生物剤の相加効果を、プレート全体でのそれぞれの増加したレベルとして視覚化した。
【0078】
結果を
図1~5のグラフで視覚化する。キサントフモールは、既にそれ自体で阻害効果を有しており、プロピオン酸カルシウムとキサントフモールとの組合せは、個々の構成要素では容易に達成することができない阻害レベルをもたらすことがわかっている。
【実施例4】
【0079】
種々のカビの阻害におけるキサントフモールおよびプロピオン酸塩を含む組成物の抗微生物効率
プロピオン酸塩と組み合わせたキサントフモールの併用効果について、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)およびペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roquefortii)の2種類のカビを試験した。MEAブロスに真菌の胞子を104胞子/mlの濃度になるように接種した。この実施例では、上の実施例1に記載したキサントフモールのストック溶液を使用した。このストック溶液4mlをブロス96mlに加え、ブロス中0.008%w/wの溶液を得た。
【0080】
プロピオン酸塩を、ブロス中のプロピオン酸塩の最終濃度が0.085%になるまで添加した。また、ブロス中に0.008%w/wのキサントフモールと0.085%のプロピオン酸塩を含む溶液を作製した。コントロール実験として、抗微生物性の構成要素を含まないブロスを使用した。すべての培地のpHを3.5に設定した。25℃で14日間インキュベートした後、カビの菌糸の目に見える成長について、ブロスを観察した。これらの試験の結果を表3に示す。
【0081】
【0082】
比較実験2:ラクトバチルス(Lactobacillus)で汚染された食品における、キサントフモールを含む組成物の抗微生物効果
この実施例では、ベビーフードおよびパスタソースにおけるラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)の成長に対するキサントフモールの影響を評価した。この目的のために、ベビーフードを滅菌し、pHをpH4.8に調整し、パスタソースを滅菌し、pHをpH4.2に調整した。
【0083】
t=0時点で、ベビーフードおよびパスタソースの3種類のサンプルに、最終的なラクトバチルス(Lactobacillus)細胞密度が約1×104細胞/mlになるように、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)スターター培養物を接種した。ベビーフードおよびパスタソースについて、それぞれ1つのサンプルに、0.2重量%のキサントフモール組成物存在下、食品中のキサントフモールの最終濃度が0.004mg/mlになるように接種した。食品中のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)細胞密度を、t=0およびt=24時間で測定した。ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)成長に対するキサントフモールの結果を表4に示す。
【0084】
表4から、キサントフモールの使用は、ベビーフードとパスタソース中のラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)に対して強い阻害効果を有することは明らかである。
【0085】
【実施例5】
【0086】
ソーセージの貯蔵寿命の延長
実施例7では、キサントフラブ単独、あるいは「ACE50」またはラクチドのいずれか、またはその両方と組み合わせたキサントフラブのソーセージの貯蔵寿命延長に対する影響を分析した。Ace50は、Corbion Purac(オランダ)から市販されているOpti.form粉末Ace S50である。Ace50は、49.5%の乳酸ナトリウムと、49.5%の酢酸ナトリウムとを含む粉末である。ラクチド(CAS 4511-42-6および95-96-5、Corbion Purac(オランダ)製のPURALACT)は、ダイマーであり、2つのL-乳酸分子から作られるL-ラクチド、2つのD-乳酸分子から作られるD-ラクチド、L-乳酸とD-乳酸から作られるメソ-ラクチドの3種類の光学異性体として存在する乳酸の環状エステルである。
【0087】
調製
以下の手順に従ってソーセージを製造した。表5に重量%として規定される成分をソーセージの調製に使用した。実施例1に適用したような調製工程を行わずに、キサントフラブをそのまま使用した。
【0088】
最初に食肉を細断し、塩、トリポリリン酸塩と半分量の水を加えた。十分によく混合した後、他の成分を加えた。食肉生地を調理クリンプ袋に入れ、減圧密封した。密封した後、袋を缶詰に入れた。ソーセージは、調理キャビネット中、75℃で120分間調理され、その後15℃に冷却された。最後のソーセージを0℃で保存した。
【0089】
調理中にソーセージからの水分消失が起こっていないことが観察された。ラクチドが添加されていなければ、ソーセージのpHは6.6であった(実験「成分:3番、6番、7番」、表5を参照)。ラクチドが含まれる実験では、ラクチドが少なくとも部分的に乳酸に分解するため、pHは、5.3~5.5であった。
【0090】
【0091】
微生物学的耐性の評価
第1の工程において、以下のように播種材料を調製した。乳酸菌(L.curvatus(L.カルバタス)、3倍のL.plantarum(L.プランタルム)およびL.mesenteroides(L.メセンテロイデス))の培養をプレートから始め、10mlのMRSブロスの入ったネジ付き蓋のついたチューブ(100×16mm)中、30℃で一晩インキュベートする。
【0092】
ソーセージに、製品1gあたりの最終レベルが約1000(103)CFUになるように接種した。ソーセージに、1%の接種材料(500gの粉砕食肉あたり約5mlの接種材料)を接種した。粉砕したソーセージをバッグフィルター中にはかり取り、減圧密封し(Turbovac、減圧時間:6、ガス時間:G、密封時間:2)、7℃で保存した。
【0093】
適切な時間間隔で、各バッチの接種した粉砕したソーセージのサンプルを、微生物分析のために3個ずつ採取する。サンプルの入ったバッグフィルターを開け、滅菌希釈液(8.5%(w/w)のNaClと0.1(w/w)の細菌ペプトン)で3倍に希釈した。Stomacher中、混合物を1分間かけて均質化した。滅菌希釈液で、同様にさらなる希釈を行った。
【0094】
50μlの均質化物または希釈物を、その後、Eddyjet型1.23スパイラルプレーター(IUL Instrument、バルセロナ、スペイン)を用い、MRS寒天に蒔いた。プレートを30℃で48時間または室温で72時間インキュベートした。Synopticsソフトウェアパッケージを用い、Acolyte Supercount自動コロニーカウンター(Synoptics、ケンブリッジ、UK)でコロニーを計測した。
【0095】
試験の結果を、プレートカウント数が対数値7に達するまでの日数として表6に示す。
【0096】
表6は、それぞれ、1%のACE50を含む変種(2番)、0.8%のラクチドを含む変種(3番)、0.2%のキサントフモールを含む変種(4番)または1%のACE50+0.2%のキサントフラブを含む変種(5番)が、コントロールと比較して、貯蔵寿命が約4日間向上していることを示す。0.2%のキサントフラブ+0.8%のラクチドを用いると(6番)、貯蔵寿命はさらに向上し、コントロールと比較して約14日間の向上であった。1%のACE50+0.2%のキサントフラブ+0.8%のラクチドを含む変種(7番)は、最良の機能を発揮し、コントロールと比較して、貯蔵寿命が19日より長く延長された。
【0097】
【表6】
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物剤としての組成物の使用であって、当該組成物は、第1の微生物剤としての式(1)
【化1】
を有するキサントフモールまたはその塩と、第2またはさらなる微生物剤とを含む、使用。
[2]
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、抗真菌剤であり、好ましくは、抗カビ剤および/または抗酵母剤および/または乳酸菌に対して活性な薬剤である、[1]に記載の使用。
[3]
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、プロピオン酸塩および酢酸塩;ケイ皮酸またはその塩、好ましくはケイ皮酸カリウム;セダー油;有機酸、例えば、プロピオン酸、乳酸もしくは酢酸、またはこれらの塩、好ましくは、プロピオン酸カルシウム、ラクチド、ACE50;またはこれらの薬剤のいずれかの組合せを含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物から選択される、[1]または[2]に記載の使用。
[4]
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、有機酸、好ましくはプロピオン酸またはその塩、最も好ましくはプロピオン酸カルシウムから選択される、[1]~[3]のいずれかに記載の使用。
[5]
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、乳酸菌および/またはカビに対する抗微生物剤として、プロピオン酸塩および酢酸塩、好ましくは、Verdad F95を含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物から選択される、[1]~[4]のいずれかに記載の使用。
[6]
前記組成物が、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus adidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・スンキイ(Lactobacillus sunkii)、ラクトバチルス・フルクティボランス(Lactobacillus fructivorans)、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteriodes)に対する、またはこれらの組合せに対する抗微生物剤として使用される、[1]~[5]のいずれかに記載の使用。
[7]
前記組成物が、ムコール・プランベウス(Mucor plumbeus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ペシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、リゾプス・ストロニファー(Rhizopus stolonifer)、ペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)に対する、またはこれらの組合せに対する抗微生物剤として使用される、[1]~[6]のいずれかに記載の使用。
[8]
前記組成物が、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を含み、この抽出物が、乾燥重量基準で少なくとも2重量%のキサントフモール、好ましくは少なくとも50重量%のキサントフモール、最も好ましくは少なくとも80重量%のキサントフモールを含む、[1]~[7]のいずれかに記載の使用。
[9]
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物が、水抽出物であり、
a)超臨界二酸化炭素抽出法および/またはエタノール抽出法によって、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を調製する工程と、
b)得られた抽出物を60℃以上で水抽出し、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の水抽出物にする工程と
を含む方法によって調製されたものである、[8]に記載の使用。
[10]
前記組成物が、少なくとも1%の希釈剤、好ましくは、水、エタノール、油、プロピレングリコール、より好ましくは、水、プロピレングリコール、またはこれらの組合せを含む、[1]~[9]のいずれかに記載の使用。
[11]
前記組成物が、食品に抗微生物剤として、好ましくは、新鮮な食肉、鶏肉、魚、調理済の食肉、即席食品、ソース、ペストリー、パン、ベーカリー製品または液体食品に抗微生物剤として使用される、[1]~[10]のいずれかに記載の使用。
[12]
前記食品が、0.00010~0.05重量%、好ましくは0.0010~0.01重量%のキサントフモールまたはその食用の塩を含む、[1]~[11]のいずれかに記載の使用。
[13]
食品に使用するのに適した抗微生物組成物であって、
-0.001~50重量%の式(1)
【化2】
を有するキサントフモールまたはその塩と、
-0.01~20重量%の少なくとも1つの追加の抗微生物剤と
を含む、抗微生物組成物。
[14]
担体として60~99重量%の珪藻土をさらに含む、[13]に記載の抗微生物組成物。
[15]
前記追加の抗微生物剤が、抗真菌剤であり、好ましくは、抗カビ剤および/または抗酵母剤および/または乳酸菌に対して活性な薬剤である、[13]または[14]に記載の抗微生物組成物。
[16]
前記第2またはさらなる抗微生物剤が、プロピオン酸塩および酢酸塩;ケイ皮酸またはその塩、好ましくはケイ皮酸カリウム;セダー油;有機酸、例えば、プロピオン酸、乳酸もしくは酢酸、またはこれらの塩、好ましくは、プロピオン酸カルシウム、ラクチド、ACE50;またはこれらの薬剤のいずれかの組合せを含む、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物から選択される、[13]~[15]のいずれかに記載の抗微生物組成物。
[17]
前記組成物が、
-0.001~50重量%のキサントフモールと、
-0.01~20重量%のセダー油またはプロピオン酸またはこれらの塩、好ましくは、プロピオン酸カルシウム、またはプロピオン酸塩と酢酸塩を含むプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)によって発酵した糖組成物と、
-60~99重量%の珪藻土と
を含む、[13]~[16]のいずれかに記載の抗微生物組成物。
[18]
前記組成物が、
-0.001~50重量%のキサントフモールと、
-0.01~20重量%のラクチドと
を含む、[13]~[17]のいずれかに記載の抗微生物組成物。
[19]
前記組成物が、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を含む、[13]~[18]のいずれかに記載の抗微生物組成物。
[20]
フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物が、
a)超臨界二酸化炭素抽出法および/またはエタノール抽出法によって、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の抽出物を調製する工程と、
b)得られた抽出物を60℃以上で水抽出し、フムルス・ルプルス(Humulus lupulus)の水抽出物にする工程と
を含む方法によって得ることができる水抽出物である、[19]に記載の抗微生物組成物。
[21]
前記組成物が、液体または粉末として、好ましくは液体として配合される、[13]~[20]のいずれかに記載の抗微生物組成物。
[22]
食品における、乳酸菌および/またはカビおよび/または酵母に対する抗微生物剤としての[13]~[21]のいずれかに記載の抗微生物組成物の使用。
[23]
[13]~[22]のいずれかに記載の抗微生物組成物を含む食品。
[24]
前記食品が、パン、ベーカリー製品、新鮮な食肉、鶏肉、魚、調理済の食肉、即席食品、ソース、ペストリーまたは液体食品である、[23]に記載の食品。