(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】被験体の免疫状態をモニタリングするための改善された方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20220119BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G01N33/68 ZNA
G01N33/53 D
(21)【出願番号】P 2018555442
(86)(22)【出願日】2017-01-12
(86)【国際出願番号】 US2017013169
(87)【国際公開番号】W WO2017123741
(87)【国際公開日】2017-07-20
【審査請求日】2020-01-14
(32)【優先日】2016-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518246110
【氏名又は名称】ベレンソン, ジェイムズ リチャード
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベレンソン, ジェイムズ リチャード
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/124280(WO,A1)
【文献】特表2019-501369(JP,A)
【文献】Moir, Susan,Decreased survival of B cells of HIV-viremic patients mediated by altered expression of receptors of the TNF superfamily,Journal of Experimental Medicine,2004年,Vol.200 No.5,Page.587-599
【文献】SHAKER Olfat G,Expression of TNF-α, April and BCMA in Behcet's Disease,Journal of Immunology Research,2014年11月05日,Vol.2014,Page.380405
【文献】HUNTINGTON Nicholas D,A BAFF antagonist suppresses experimental autoimmune encephalomyelitis by targeting cell-mediated and humoral immune responses,International Immunology,2006年10月,Vol.18 No.10,Page.1473-1485
【文献】Rong Jin,Age-related changes in BAFF and APRIL profiles and upregulation of BAFF and APRIL expression in patients with primary antibody deficiency,Int J Mol Med,2008年02月,Vol.21 No.2,Page.233-238
【文献】Sanchez, Eric,Circulating Bcma Binding to Its Ligand BAFF Prevents Normal Antibody Production in Multiple Myeloma Patients,Blood,2014年12月06日,Vol.124 No.21,Page.4713
【文献】Sanchez, Eric,Serum Levels of B-Cell Maturation Antigen Are Elevated in Multiple Myeloma Patients and Correlate with Disease Status and Overall Survival,Blood,2012年11月16日,Vol.120 No.21,Page.4026
【文献】Brian P. O’Connor,BCMA Is Essential for the Survival of Long-lived Bone Marrow Plasma Cells,J. Exp. Med.,2004年01月05日,Vol.199 No.1,Page.91-97
【文献】Maglione Paul J,Serum B-Cell Maturation Antigen (BCMA) Levels Differentiate Primary Antibody Deficiencies,Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice,2020年01月,Vol.8 No.1,Page.283-291
【文献】Eric Sanchez,The clinical significance of B-cell maturation antigen as a therapeutic target and biomarker,Expert Rev Mol Diagn,2018年03月07日,Vol.18 No.4,Page.319-329
【文献】Sanchez, Eric,Soluble B-Cell Maturation Antigen Mediates Tumor-Induced Immune Deficiency in Multiple Myeloma,Clinical Cancer Research,2016年03月09日,Vol.22 No.13,Page.3383-3397
【文献】Maglione, Paul J,Reduced serum BCMA levels distinguish patients with primary antibody deficiency,JOURNAL OF IMMUNOLOGY,2016年05月01日,Vol.196 Supp.1,Page.193.7
【文献】Laurent Sarah A,γ-Secretase directly sheds the survival receptor BCMA from plasma cells,Nature communications,2015年06月11日,Vol.6,Page.7333
【文献】Eric Sanchez,Serum B-cell maturation antigen is elevated in multiple myeloma and correlates with disease status and survival,Br J Haematol,2012年07月18日,Vol.158 No.6,Page.727-738
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/68
G01N 33/53
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可溶性形態のBCMAポリペプチドまたはその断
片の量を、被験体の免疫状態の指標とする方法であって、
(a)該被験体から得られた生体試料中の該BCMAポリペプチドまたはその断
片の量を検出するステップと、
(b)(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断
片の量と、所定のカットオフ値または対照血清試料中で検出した量とを比較するステップであって、該所定のカットオフ値または該対照血清または血漿試料中の量と比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断
片の量の減少が、障害のある免疫システムを示す、ステップと
を含み、
該障害のある免疫システムが、以下の免疫不全症:分類不能型免疫不全(CVID)、低ガンマグロブリン血症、汎低ガンマグロブリン血症、高IgM症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、胸腺腫、LRBA遺伝子における変異と関連する免疫不全、PI3KDと関連する免疫不全、IgG欠損症、IgM欠損症、またはリツキサン投与後の低ガンマグロブリン血症(PRH)、の結果であり、
該生体試料が、血清もしくは血漿試料、または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得られた上清であり、該BCMAポリペプチ
ドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むか、または、配列番号1と少なくとも
90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、方法。
【請求項2】
前記BCMA断片は、切断されたBCMAポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BCMAポリペプチドまたはその断
片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記BCMAポリペプチドまたはその断
片は、配列番号1と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記BCMAポリペプチドまたはその断
片は、配列番号1と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記BCMAポリペプチドまたはその断
片は、配列番号1と少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記BCMAポリペプチドまたはその断
片は、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、発光免疫アッセイ(LIA)、ラテラルフローアッセイ、またはストリップアッセイからなる群から選択される検出システムを使用して検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記検出システムは、ラテラルフローアッセイである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記検出を、BCMAポリペプチドまたはその断
片に特異的な抗体を使用して行う、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
BCMAポリペプチドまたはその断
片に特異的な前記抗体は、モノクローナル抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
BCMAポリペプチドまたはその断
片に特異的な前記抗体は、ポリクローナル抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
被験体の免疫状態をモニタリングするためのキットであって、該被験体から得た生体試料中の
可溶性形態のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルを決定するために適した試薬を含み、該生体試料は、血清試料または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清であり、所定のカットオフ値または対照血清または血清試料中のレベルと比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルの減少が、障害のある免疫システムを示し、
該障害のある免疫システムが、以下の免疫不全症:分類不能型免疫不全(CVID)、低ガンマグロブリン血症、汎低ガンマグロブリン血症、高IgM症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、胸腺腫、LRBA遺伝子における変異と関連する免疫不全、PI3KDと関連する免疫不全、IgG欠損症、IgM欠損症、またはリツキサン投与後の低ガンマグロブリン血症(PRH)、の結果である、キット。
【請求項13】
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な抗体を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な前記抗体は、モノクローナル抗体である、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な前記抗体は、ポリクローナル抗体である、請求項13に記載のキット。
【請求項16】
前記キットは、ELISAアッセイ、RIAアッセイ、EIAアッセイ、FIAアッセイ、LIAアッセイ、ラテラルフローアッセイ、またはストリップアッセイからなる群から選択される検出システムを含む、請求項12に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、2016年2月26日に出願された米国仮出願第62/300,708号および2016年1月12日に出願された米国仮出願第62/277,801号に対する優先権を主張する。これらの出願の両方とも、その全体が参考により本明細書に援用される。
【0002】
配列表に関する陳述
本願と関連する配列表は、ペーパーコピーの代わりにテキストフォーマットで提供され、明細書に参考として援用される。配列表を含むテキストファイルの名称は、IMBC_008_01WO_SeqList_ST25.txtである。そのテキストファイルは、6KBであり、2017年1月12日に作成され、EFS-Webを介して電子提出されている。
【0003】
背景
本発明の組成物および方法は、一般に、免疫状態のモニタリングのためのバイオマーカーの検出に関する。特に、本発明は、被験体の免疫状態のモニタリングのためのB細胞成熟抗原の検出のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
免疫システムは、疾患から防御する被験体内の多くの生体構造物およびプロセスのシステムである。適切に機能するために、免疫システムは、広く様々な因子(ウイルスから寄生虫まで、病原体として公知)を検出し、それらを被験体自身の健康な組織から区別しなければならない。従って、免疫システムが適切に機能するには、免疫システムの全ての成分が病原体を中和するために調和した様式で機能することが必要である。被験体の免疫システムの障害は、最終的には致命的であると判明し得る日和見病原体による感染をもたらす。逆に、活動亢進性の免疫システム(例えば、自己免疫疾患における)は、被験体の正常組織が外来生物であるかのように、免疫システムにその被験体の正常組織を攻撃させる。被験体の免疫システムの全体的な効率(すなわち、正常、活動亢進性、または障害されている)は、被験体の免疫状態を指す。
【0005】
免疫システムは、下位システムである先天性免疫および適応免疫へと分類され得る。病原体からの防御は、先天性免疫の初期反応および適応免疫の後の応答によって媒介される。適応免疫応答には2つのタイプがあり、細胞媒介性免疫(T細胞によって媒介される)および体液性免疫(B細胞によって媒介される)と呼ばれる。
【0006】
B細胞またはBリンパ球は、リンパ球サブタイプの白血球うちの1タイプである。それらは、抗体を分泌することによって、適応免疫システムの体液性免疫成分において機能する。さらに、B細胞は、抗原を提示し(それらはまた、専門的な抗原提示細胞(APC)として分類される)、サイトカインを分泌する。哺乳動物において、B細胞は、骨髄の中で成熟する。B細胞は、リンパ球のうちの他の2つのクラス、T細胞およびナチュラルキラー細胞とは異なり、それらの細胞膜上にB細胞レセプター(BCR)を発現する。BCRは、B細胞に特異的抗原を結合させ、この抗原に対してB細胞は抗体応答を開始する。
【0007】
腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー17(TNFRSF17、また、B細胞成熟抗原(BCMA)またはCD269とも命名される)は、T細胞腫瘍系において最初に同定され(Laabiら、1992年)、それに続いてこれらが成熟するにつれBリンパ球において発現することが示された(Laabiら、1994年)受容体である。BCMAリガンドは、BAFF(B細胞活性化因子;TNFSF13B)およびAPRIL(増殖誘導リガンド;TNFSF13)を含む(Rennertら、2000年;Thompsonら、2000年)。多発性骨髄腫(MM)細胞系において、これらのリガンドは、細胞増殖経路を活性化し、抗アポトーシスタンパク質をアップレギュレートする(Moreauxら、2004年)。両方のリガンドはまた、受容体TACI(膜貫通活性化物質およびCAML相互作用物質;TNFRSF13B)を結合する(Grossら、2000年;Wuら、2000年;Yuら、2000年)。さらに、BAFFは、BAFF受容体(BAFFR;TNFRSF13C)と称される第3の受容体に結合し、一方、APRILは、これに結合しない(Thompsonら、2001年;Dayら、2005年)。リガンドであるBAFFおよびAPRILは、腫瘍壊死ファミリー(TNF)のメンバーであり、これらの受容体へのTNFメンバーの結合は、アポトーシス、分化または増殖をもたらし得る(Smithら、1994年)。
【0008】
BCMAは、形質細胞系において細胞内にあることが示されてきた(Laabiら、1992年、1994年)。BCMAの表面発現は、ヒト扁桃腺B細胞(Thompsonら、2000年)、およびヒトCD138発現MM細胞(Novakら、2004年)上に見出された。ホジキンリンパ腫およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)患者からの悪性細胞はまた、このタンパク質を発現している(Elsawaら、2006年;Chiuら、2007年)。
【0009】
本発明者らは、BCMAが、様々なB細胞悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ性白血病(CLL)、およびB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL))を有する患者の血清中に存在し、治療に対するその患者の応答および全生存と相関することを以前示した。さらに、本発明者らは、BCMAレベルが、MM、CLL、およびNHL患者の血清中で、これらのがんに罹患していない正常で健康な被験体と比較して増加していることを発見した。
【0010】
さらなる研究は、BCMAが活性化Bリンパ球上で細胞表面レセプタータンパク質として発現され、γ-セクレターゼ酵素によってその後切断され、可溶性BCMA形態としてBCMAの細胞外部分の放出を生じることを示す(Laurentら, 2015, Nature Communications, 6:7333-7344)。
【0011】
現在、被験体の免疫状態を決定する客観的試験は利用可能ではなく、疾患または感染の存在は、被験体の身体の症状(例えば、体温または身体の不快さ(例えば、疼痛))についての医師の所見によって決定される。しかし、このような所見は、主観的であり、かつ医師間で変動し得る。さらに、処置に対する被験体の応答の迅速かつ確実な決定もまた、現在利用可能ではなく、処置レジメンのコースの間の異なる時点で被験体の免疫状態を確実にモニタリングし得る試験によって大いに促進されるであろう。従って、被験体の免疫状態を示し得る迅速で、再現性のある、安価な、かつ確実な試験をデザインすることが当該分野で必要である。
【0012】
本発明者らは、今や驚くべきことに、被験体の生体試料(例えば、血清)中のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルが、その被験体の全体的な免疫状態と相関することを見出した。本発明者らは、正常で健康な被験体から得た対照生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片と比較した、被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量の減少が、彼らの免疫グロブリンレベルの減少によって示されるように、障害のある免疫システムを示す一方で、正常で健康な被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較した、被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量の増加が、その被験体が感染または疾患に罹患していることを示すことを見出した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】Laurentら, 2015, Nature Communications, 6:7333-7344
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
要旨
本発明の目的によれば、本明細書に盛り込まれかつ広く記載されるように、本発明は、一般に、被験体の免疫状態を確実に再現性よくモニタリングするための組成物および方法を提供する。被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルを、検出し、かつ/または測定し、ベースラインもしくは対照に対して比較して、被験体の免疫状態を確実に再現性よくモニタリングし得る。
【0015】
種々の実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングする方法が提供される。一部の実施形態では、であって、被験体の免疫状態をモニタリングする方法は、(a)該被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量を検出するステップと、(b)(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清試料中で検出した量とを比較するステップであって、該所定のカットオフ値または該対照血清試料中の量と比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の減少が、障害のある免疫システムを示す、ステップとを含み、該生体試料が、血清試料、または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0016】
他の実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングする方法は、(a)該被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量を検出するステップと、(b)(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清試料中で検出した量とを比較するステップであって、該所定のカットオフ値または該対照血清試料中の量と比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の増加は、該被験体が、感染もしくは免疫不全関連疾患に罹患しているかまたは感染もしくは免疫不全関連疾患を発症するさらに高いリスクにあることを示す、ステップと、を含み、該生体試料は、血清もしくは血漿試料または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0017】
さらなる実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングするための方法は、(a)被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量を検出するステップと、(b)(a)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清もしくは血漿試料中で検出した量とを比較するステップであって、所定のカットオフ値または対照血清もしくは血漿試料中の量と比較した被験体の生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の減少は、障害のある免疫システムを示し、そして所定のカットオフ値または対照血清もしくは血漿試料中の量と比較した被験体の生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の増加は、被験体が感染もしくは免疫不全関連障害に罹患しているか、または感染もしくは免疫不全関連障害を発症するより高いリスクにあることを示す、ステップを含み、生体試料は、血清もしくは血漿試料、または被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0018】
他の実施形態では、被験体の処置に対する応答をモニタリングする方法が提供される。一部の実施形態では、被験体の処置に対する応答をモニタリングする方法は、(a)該処置の開始前の時点で被験体から得た生体試料中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、(b)該処置の開始後の時点で該被験体から得た生体試料中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、(c)(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と、(b)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量とを比較するステップであって、(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較した、(b)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量の減少は、該被験体が処置に応答していることを示し、(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較した、(b)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の、量の増加または未変化は、該被験体が処置に応答していないことを示す、ステップと、を含み、該生体試料は、血清試料もしくは血漿試料または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0019】
いくつかの実施形態では、生体試料は、限定なく、培養物中の細胞、細胞上清、細胞ライセート、血清、血漿、尿、脳脊髄液、体液、および組織試料を含む。ある種の実施形態では、生体試料は、血清試料である。他の実施形態では、生体試料は、被験体の骨髄単核細胞の培養物から得た上清である。さらに他の実施形態では、生体試料は、被験体の末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0020】
いくつかの実施形態では、BCMA断片は、切断されたBCMAポリペプチドである。いくつかの実施形態では、切断されたBCMAポリペプチドは、BCMAポリペプチドの可溶性形態である。ある種の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む:
【化1】
【0021】
他の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、配列番号1と少なくとも約20%の同一性、少なくとも約30%の同一性、少なくとも約40%の同一性、少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%の同一性、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約75%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約96%の同一性、少なくとも約97%の同一性、少なくとも約98%の同一性、または少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、少なくとも約50個、少なくとも約45個、少なくとも約40個、少なくとも約30個、少なくとも約20個、少なくとも約10個、または少なくとも約5個のアミノ酸を含む。具体的実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、54個のアミノ酸を含む。
【0023】
さらなる実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、発光免疫アッセイ(LIA)、ラテラルフローアッセイ、またはストリップアッセイからなる群から選択される検出システムを使用して検出する。一部の実施形態では、検出システムは、ELISAアッセイである。他の実施形態では、検出システムは、ラテラルフローアッセイである。
【0024】
一部の実施形態では、検出は、BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な抗体を使用して行う。ある種の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な抗体は、モノクローナル抗体である。他の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な抗体は、ポリクローナル抗体である。
【0025】
いくつかの局面では、障害のある免疫システムは、免疫不全症の結果である。いくつかの実施形態では、免疫不全症としては、後天性免疫不全症候群(AIDS)、毛細血管拡張性運動失調、チェディアック・東症候群、分類不能型免疫不全(CVID)、複合免疫不全症、補体欠損症、ディジョージ症候群、低ガンマグロブリン血症、ヨブ症候群、白血球接着不全症、汎低ガンマグロブリン血症(Panhypogammaglobulinemia)、X連鎖無ガンマグロブリン血症(X-linked Agammaglobulinemia Disease)(ブルトン病)、先天性無ガンマグロブリン血症、選択的IgA欠損症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、慢性肉芽腫症、重症複合免疫不全症、高免疫グロブリンE症候群(ヨブ症候群)、高IgM症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、クローン病、胸腺腫、LRBA遺伝子(リポポリサッカリド応答性およびベージュ様アンカータンパク質をコードする)における変異と関連する免疫不全、またはホスファチジルイノシトール3-キナーゼδ(PI3KD)と関連する免疫不全が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態では、感染としては、ウイルス感染、細菌感染、プリオン感染、または真菌感染が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、疾患としては、自己免疫疾患(限定なく、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、橋本甲状腺炎、関節リウマチ、または1型糖尿病が挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、疾患は、遺伝性疾患(例えば、がん(骨髄腫、リンパ腫、または白血病が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。いくつかの局面では、骨髄腫は、多発性骨髄腫(MM)である。他の局面では、リンパ腫は、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。他の実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。
【0027】
いくつかの実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングするためのキットが提供される。特定の実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングするためのキットは、被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルを決定するのに適した試薬を含み、生体試料は、血清試料もしくは血漿試料、または被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0028】
いくつかの実施形態では、キットは、BCMAポリペプチドまたはその断片を特異的に結合する抗体を含む。ある種の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片を特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体である。他の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片を特異的に結合する抗体は、ポリクローナル抗体である。
【0029】
いくつかの局面では、キットは、ELISAアッセイ、RIAアッセイ、EIAアッセイ、FIAアッセイ、LIAアッセイ、ラテラルフローアッセイ、またはストリップアッセイからなる群から選択される検出システムを含む。いくつかの実施形態では、キットは、ELISAアッセイを含む。他の実施形態では、キットは、ラテラルフローアッセイを含む。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
被験体の免疫状態をモニタリングするための方法であって、
(a)該被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量を検出するステップと、
(b) (a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清試料中で検出した量とを比較するステップであって、該所定のカットオフ値または該対照血清または血漿試料中の量と比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の減少が、障害のある免疫システムを示す、ステップと
を含み、該生体試料が、血清もしくは血漿試料、または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である、方法。
(項目2)
前記BCMA断片は、切断されたBCMAポリペプチドである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記BCMAポリペプチドまたはその断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記BCMAポリペプチドまたはその断片は、配列番号1と少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記BCMAポリペプチドまたはその断片は、配列番号1と少なくとも約80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記BCMAポリペプチドまたはその断片は、配列番号1と少なくとも約75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記BCMAポリペプチドまたはその断片は、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、発光免疫アッセイ(LIA)、ラテラルフローアッセイ、またはストリップアッセイからなる群から選択される検出システムを使用して検出される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記検出システムは、ラテラルフローアッセイである、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記検出を、BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な抗体を使用して行う、項目1に記載の方法。
(項目10)
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な前記抗体は、モノクローナル抗体である、項目9に記載の方法。
(項目11)
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な前記抗体は、ポリクローナル抗体である、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記障害のある免疫システムは、免疫不全症の結果である、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記免疫不全症としては、後天性免疫不全症候群(AIDS)、毛細血管拡張性運動失調、チェディアック・東症候群、分類不能型免疫不全(CVID)、複合免疫不全症、補体欠損症、ディジョージ症候群、低ガンマグロブリン血症、ヨブ症候群、白血球接着不全症、汎低ガンマグロブリン血症、X連鎖無ガンマグロブリン血症(ブルトン病)、先天性無
ガンマグロブリン血症、選択的IgA欠損症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、慢性肉芽腫症、重症複合免疫不全症、高免疫グロブリンE症候群(ヨブ症候群)、高IgM症候群、X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、クローン病、胸腺腫、LRBA遺伝子における変異と関連する免疫不全、またはPI3KDと関連する免疫不全が挙げられるが、これらに限定されない、項目12に記載の方法。
(項目14)
被験体の免疫状態をモニタリングするための方法であって、
(a)該被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量を検出するステップと、
(b) (a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清試料中で検出した量とを比較するステップであって、該所定のカットオフ値または該対照血清試料中の量と比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の増加は、該被験体が、感染もしくは免疫不全関連疾患のより高いリスクにあるかまたは感染もしくは免疫不全関連疾患に罹患していることを示す、ステップと、
を含み、該生体試料は、血清もしくは血漿試料または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である、方法。
(項目15)
被験体の免疫状態をモニタリングするための方法であって、
(a)該被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量を検出するステップと、
(b) (a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清もしくは血漿試料中で検出した量とを比較するステップであって、該所定のカットオフ値または該対照血清もしくは血漿試料中の量と比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の減少は、障害のある免疫システムを示し、該所定のカットオフ値または該対照血清試料中の量と比較した該被験体の該生体試料中のBCMAポリペプチドまたは断片の量の増加は、該被験体が、感染もしくは疾患のより高いリスクにあるかまたは感染もしくは疾患に罹患していることを示すステップと、
を含み、該生体試料は、血清もしくは血漿試料または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である、方法。
(項目16)
被験体の免疫状態をモニタリングするためのキットであって、該被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルを決定するために適した試薬を含み、該生体試料は、血清試料または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である、キット。
(項目17)
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な抗体を含む、項目16に記載のキット。
(項目18)
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な前記抗体は、モノクローナル抗体である、項目17に記載のキット。
(項目19)
BCMAポリペプチドまたはその断片に特異的な前記抗体は、ポリクローナル抗体である、項目17に記載のキット。
(項目20)
前記キットは、ELISAアッセイ、RIAアッセイ、EIAアッセイ、FIAアッセイ、LIAアッセイ、ラテラルフローアッセイ、またはストリップアッセイからなる群から選択される検出システムを含む、項目16に記載のキット。
(項目21)
被験体の処置に対する応答をモニタリングするための方法であって、
(a)該処置の開始前の時点で被験体から得た生体試料中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、
(b)該処置の開始後の時点で該から得た生体試料中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、
(c) (a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と、(b)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量とを比較するステップであって、(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較した、(b)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量の減少は、該被験体が処置に応答していることを示し、(a)において検出した該BCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較した、(b)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の、量の増加または未変化は、該被験体が処置に応答していないことを示す、ステップと、
を含み、該生体試料は、血清試料または該被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である、方法。
【0030】
添付の図面は、本明細書の中に組み込まれかつ本明細書の一部を構成し、開示される方法および組成物のいくつかの実施形態を例証し、記載と一緒に、開示される方法の原理を説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、BCMAが、対照ヒト被験体および低IgGレベルを有する患者の血清中で見出されることを示す。低IgGレベルを有する被験体は、対照被験体(N=104)における血清BCMAレベル(メジアン=36.0ng/mL;範囲=13.45ng/ml~958.1ng/mL)と比較して、低血清BCMAレベル(14.6ng/mL)を有した。
【
図2】
図2は、測定可能な骨髄腫のない完全奏効(CR)を達成したIgA型多発性骨髄腫(MM)を有する患者のIgGレベルが、彼らの血清BCMAレベルと相関することを示す。低血清BCMA(≦10ng/mL; p<0.0001)を示すCRにあるIgA型MM患者(N=23)は、CRにあってかつより高い血清BCMA(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=40)の中でのIgGレベル(メジアン=535.0mg/dL)と比較して、有意に低下したIgGレベルを有する(メジアン=319.0mg/dL)。
【
図3】
図3は、測定可能な骨髄腫のない完全奏効(CR)を達成したIgG型MMを有する患者のIgGレベルが、彼らの血清BCMAレベルと相関することを示す。低血清BCMA(≦10ng/mL; p<0.0001)を示すCRにあるIgG型MM患者(N=47)は、CRにあってかつより高い血清BCMA(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=84)の中でのIgGレベル(メジアン=643.5mg/dL)と比較して、有意に低下したIgGレベルを有する(メジアン=402.0mg/dL)。
【
図4】
図4は、CRを達成したIgG型MMを有する患者の無関係の正常IgAレベルは、彼らの血清BCMAレベルと相関することを示す。CRおよび低血清BCMAレベル(≦10ng/mL; p<0.0001)にあるIgG型MM患者(N=47)は、CRにあってかつより高い血清BCMA(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=84)におけるIgAレベル(メジアン=61.0mg/dL)と比較して、有意に低下したIgAレベルを示す(メジアン=26.0mg/dL)。
【
図5】
図5は、CRを達成したIgG型MMを有する患者の無関係の正常IgMレベルが、彼らの血清BCMAレベルと相関することを示す。CRにあってかつ低血清BCMA(≦10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=47)は、CRにあってかつより高い血清BCMAレベル(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=84)におけるIgMレベル(メジアン=32.5mg/dL)と比較して、有意に低下したIgMレベルを有する(メジアン=11.0mg/dL)。
【
図6】
図6は、免疫不全の診断に基づいて患者の血清BCMAレベルを示す。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、IgG欠損症、IgA欠損症、IgM欠損症、高IgM症候群、PRH、またはクローン病)を有する患者において実質的により低かった。
【
図7】
図7は、免疫不全を有する患者(N=68)の血清BCMAレベルが、正常で健康なドナー(N=119)における血清BCMAレベル(35.2ng/mL(範囲;12.2ng/mL~958.1ng/mL);p<0.0001)と比較して、有意に低かった(7.3ng/mL(範囲;0.84ng/mL~189.5ng/mL);p<0.0001)ことを示す。
【
図8】
図8および10は、免疫不全の診断に基づいて患者の血清BCMAレベルを示す。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、CVID+リンパ腫、CVID+Tx リンパ腫、IgG欠損症、IgA欠損症、IgM欠損症、高IgM症候群、PI3KD、LRBA/LRBA、または胸腺腫)を有する患者において実質的により低かった。
【
図9】
図9および11は、免疫不全の診断に基づいて患者の血清BCMAレベルを示す。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、CVID+リンパ腫、CVID+Tx リンパ腫、IgG欠損症、IgA欠損症、IgA、IgA+IgG、IgA+IgG2、IgM欠損症、または高IgM症候群)を有する患者において実質的により低かった。
【
図10】
図8および10は、免疫不全の診断に基づいて患者の血清BCMAレベルを示す。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、CVID+リンパ腫、CVID+Tx リンパ腫、IgG欠損症、IgA欠損症、IgM欠損症、高IgM症候群、PI3KD、LRBA/LRBA、または胸腺腫)を有する患者において実質的により低かった。
【
図11】
図9および11は、免疫不全の診断に基づいて患者の血清BCMAレベルを示す。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、CVID+リンパ腫、CVID+Tx リンパ腫、IgG欠損症、IgA欠損症、IgA、IgA+IgG、IgA+IgG2、IgM欠損症、または高IgM症候群)を有する患者において実質的により低かった。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
本発明者らは、血清BCMAまたはその断片のレベルが被験体の全体的な免疫状態と相関することを見出した。本発明者らは、正常で健康な被験体から得た対照生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片と比較して、被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量の減少が、障害のある免疫システムを示す一方で、正常で健康な被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較して、被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量の増加が、被験体が感染もしくは免疫不全関連疾患に罹患しているか、または感染もしくは免疫不全関連疾患に罹患するより高いリスクにあることを示すことを見出した。
【0033】
様々な実施形態では、被験体の免疫状態を確実にモニタリングするための方法が提供される。生体試料(例えば、被験体の血清)中のBCMAまたはその断片の濃度を、検出し、かつ/または測定し、ベースラインもしくは対照に対して比較して、被験体の免疫状態を確実にモニタリングする。特定の理論に束縛されるものではないが、高レベルのBCMAまたはその断片が、緩徐進行型疾患を有する被験体の生体試料と比較して、活動性疾患を有する被験体の生体試料中で検出されたのに対して、低レベルのBCMAまたはその断片が、正常で健康な被験体の生体試料と比較して、障害のある免疫システムを有する被験体の生体試料中で検出されたので、BCMAまたはその断片のレベルは、被験体の免疫状態を確実にモニタリングするために使用され得ると考えられる。
【0034】
様々な他の実施形態では、被験体の免疫状態を改善することを目的とした処置に対する被験体の応答を確実にモニタリングするための方法が提供される。BCMAまたはその断片のレベルは、被験体の免疫状態を改善することを目的とした処置に対する被験体の応答をモニタリングするために使用される。特定の理論に束縛されるものではないが、被験体から得た生体試料中のBCMAまたはその断片のレベルが被験体の免疫状態と相関したので、生体試料中のBCMAまたはその断片のレベルを、処置の開始の後の異なる時点で決定し得、処置の開始前の最初の時点と比較して、被験体の免疫状態を改善することを目的とした処置に対する被験体の応答をモニタリングし得ると考えられる。
【0035】
本発明の実施は、そうでないと具体的に示されない限り、当分野の技術の範囲内の化学、生化学、有機化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、遺伝学、免疫学、および細胞生物学の通常の方法を用いるが、これらの多くを例示の目的のために下記で記載する。このような技術は、文献において十分に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版、2001年);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989年);Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982年);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、更新2008年7月);Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience;Glover, DNA Cloning:A Practical Approach、第IおよびII巻(IRL Press、Oxford、1985年);Anand, Techniques for the Analysis of Complex Genomes、(Academic Press、New York、1992年);Transcription and Translation(B. HamesおよびS. Higgins編、1984年);Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning(1984年);およびHarlowおよびLane、Antibodies、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1998年)を参照されたい。
【0036】
本明細書において引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0037】
A.定義
他に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等な任意の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用することができるが、組成物、方法および材料の好ましい実施形態を本明細書に記載する。本発明の目的のために、下記の用語を下記で定義する。
【0038】
冠詞「a」、「an」および「the」は、本明細書において、冠詞の文法的な対象の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「エレメント」は、1つのエレメントまたは1つより多くのエレメントを意味する。
【0039】
本明細書において使用する場合、「約」または「概ね」という用語は、参照の分量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して30%、25%、20%、25%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%だけ変化する分量、レベル、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量または長さを指す。特定の実施形態では、「約」または「概ね」という用語は、数値に先行するとき、値に15%、10%、5%、または1%の範囲をプラスまたはマイナスしたものを示す。
【0040】
この明細書を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと」という単語は、記述したステップもしくはエレメント、またはステップもしくはエレメントの群を含むが、任意の他のステップもしくはエレメント、またはステップもしくはエレメントの群を除外しないことを暗示すると理解される。「からなる」とは、語句「からなる」に続く何らかのものを含み、これに限定されることを意味する。このように、「からなる」という語句は、列挙したエレメントが必要とされ、または必須であり、他のエレメントが存在し得ないことを示す。「から本質的になる」とは、この語句の後に列挙する任意のエレメントを含み、列挙したエレメントについての開示において特定した活性もしくは作用を妨げず、またはこれに貢献しない他のエレメントに限定されることを意味する。このように、「から本質的になる」という語句は、列挙したエレメントが必要とされ、または必須であるが、他のエレメントが任意選択でなく、これらが列挙したエレメントの活性または作用に影響を与えるか、しないかによって、存在してもよく、または存在しなくてもよいことを示す。
【0041】
この明細書を通して「一実施形態」、「実施形態(an embodiment)」、「実施形態(embodiment)」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「ある種の実施形態」、「さらなる実施形態(an additional embodiment)」、「一部の実施形態」、「他の実施形態」、「追加の実施形態」、「さらなる実施形態(Further embodiments)」もしくは「さらなる実施形態(a further embodiment)」への言及、またはこれらの組合せは、実施形態に関連して記載した特定のフィーチャー、構造または特徴が、少なくとも本発明の一実施形態に含まれることを意味する。このように、この明細書を通して様々な場所において上記の語句が現れることは、必ずしも全てが同じ実施形態について言及しない。さらに、特定のフィーチャー、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で合わせてもよい。
【0042】
本明細書において使用する場合、「BCMA」という用語は、特に別に示されない限り、野性型およびバリアントB細胞成熟抗原ポリペプチドの両方を一般に指すことを意図する。BCMAポリペプチドは、BCMA遺伝子によってコードされる。当技術分野で一般に使用されるように、「遺伝子」という用語は、5’非翻訳領域(複数可)(UTR)、エキソン、イントロン、および3’UTRを包含するゲノム領域を指すことを意図する。個々のセグメントは、例えば、プロモーター、コード領域などと特に称し得る。完全なBCMAタンパク質を実現するこのようなセグメントの組合せは、タンパク質コード配列と総称して称し得る。ヒトゲノムにおいてBCMA遺伝子の4つの主要なハプロタイプが存在し、本開示において、「BCMA」という用語は、4つの全てを包含することを意味する(Kawasakiら、Genes Immun.、2巻:276~9頁、2001年)。
【0043】
「BCMA」または「BCMAポリペプチド」という用語は、交換可能に使用され、完全長天然ポリペプチドおよびその断片、特に、生物活性のある断片、および/または機能ドメイン、例えば、生物活性を有する領域もしくはドメインに対応する断片など;その抗原性断片を含めた、ならびに他のタンパク質またはその部分への対象ポリペプチドの融合体を含めた、公知のBCMAポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされるアミノ酸配列を包含する。BCMAポリペプチドのアミノ酸配列は、開示されてきた。例えば、Laabiら、Nucleic Acids Research、22巻:1147~1154頁、1994年;Laabiら、EMBO J.、11巻:3897~3904頁(1992年);Grasら、Int. Immunology、7巻:1093~1106頁(1995年);およびMadryら、Int. Immunology、10巻:1693~1702頁(1998年)を参照されたい。本発明のBCMAポリペプチドは、種々の源から、例えば、ヒト組織タイプまたは生体試料、例えば、血清、血漿、骨、髄(bone, marrow)、または組織から単離することができる。
【0044】
本明細書において使用する場合、「その断片」という用語は、全長の天然BCMAポリペプチドの一部を指す。いくつかの実施形態では、BCMA断片は、切断されたBCMAポリペプチドである。いくつかの実施形態では、切断されたBCMAポリペプチドは、BCMAポリペプチドの可溶性形態である。
【0045】
ある種の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、ヒトBCMAポリペプチドの可溶性形態(配列番号1)と少なくとも約20%の同一性、少なくとも約30%の同一性、少なくとも約40%の同一性、少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%の同一性、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約75%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約96%の同一性、少なくとも約97%の同一性、少なくとも約98%の同一性、または少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、全長の天然ヒトBCMAポリペプチド(配列番号2)と少なくとも約20%の同一性、少なくとも約30%の同一性、少なくとも約40%の同一性、少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%の同一性、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約75%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約96%の同一性、少なくとも約97%の同一性、少なくとも約98%の同一性、または少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0047】
他の実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、少なくとも約50個、少なくとも約45個、少なくとも約40個、少なくとも約30個、少なくとも約20個、少なくとも約10個、または少なくとも約5個のアミノ酸を含む。具体的実施形態では、BCMAポリペプチドまたはその断片は、54個のアミノ酸を含む。
【0048】
本明細書において使用する場合、被験体の「免疫状態」という用語は、被験体の免疫システムの効率を指す。よって、被験体の免疫状態は、被験体の免疫システムが、正常で健康な被験体と比較して、正常であるか、障害されているか(例えば、被験体が免疫不全症に罹患している場合に関しては)、または活動亢進性であるか(例えば、被験体が疾患、自己免疫疾患、または病気に罹患している場合に関しては)どうかを示す。
【0049】
「免疫システム」という用語は、疾患から防御する生物内の多くの生体構造物およびプロセスのシステムを指す。
【0050】
下記は、ポリヌクレオチドの非限定的実施形態である:遺伝子または遺伝子断片、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。核酸分子はまた、修飾された核酸分子、例えば、メチル化核酸分子および核酸分子類似体を含み得る。プリンおよびピリミジンの類似体は、当技術分野において公知である。核酸は、天然に存在する、例えば、DNAもしくはRNAでよく、または当技術分野において公知のような合成類似体でよい。このような類似体は、アッセイ条件下での優れた安定性によって、プローブとしての使用に好ましい場合がある。骨格、糖または複素環塩基における変更を含めた天然構造における修飾は、細胞内の安定性および結合親和性を増加させることが示されてきた。骨格化学構造において有用な変化には、ホスホロチオエート;非架橋酸素の両方が硫黄で置換されているホスホロジチオエート;ホスホラミダイト(phosphoroamidites);アルキルホスホトリエステルおよびボラノホスフェートである。アキラルホスフェート誘導体は、3’-O’-5’-S-ホスホロチオエート、3’-S-5’-O-ホスホロチオエート、3’-CH2-5’-O-ホスホネートおよび3’-NH-5’-O-ホスホロアミデート(phosphoroamidate)を含む。ペプチド核酸は、全リボースホスホジエステル骨格をペプチド連結で置き換えている。
【0051】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において互換的に使用されて、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、これはコードされたアミノ酸およびコードされていないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、および修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことができる。様々な実施形態では、BCMAポリペプチドは、本明細書において開示されている診断用、予後予測用、またはモニター用の組成物および方法における使用のために企図される。この用語は、これらに限定されないが、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、異種および同種リーダー配列を有する融合体、N末端メチオニン残基を有する、または有さない融合体;免疫学的タグ化タンパク質などを含めた融合タンパク質を含む。
【0052】
「実質的に単離された」または「単離された」物質(substance)は、天然でその関連する周辺物質(surrounding material)が実質的に存在しない物質である。実質的に存在しないとは、天然で関連している物質の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%が存在しないことを意味する。本明細書において使
用する場合、「単離された」は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、細胞、試料、および抗体を指すことができる。
【0053】
ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェンシー」の条件下で行うことができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを増加させる条件は、広く公知であり、当技術分野で公表されている。例えば、Sambrookら(1989年)を参照されたい。関連性のある条件の例は、(ストリンジェンシーを増加させるために)25℃、37℃、50℃および68℃のインキュベーション温度;10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSCの緩衝液濃度(SSCは、0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸緩衝液である)、ならびに他の緩衝系を使用したこれらの同等物;0%、25%、50%、および75%のホルムアミド濃度;5分から24時間のインキュベーション時間;1回、2回、またはそれより多い洗浄ステップ;1分、2分、または15分の洗浄インキュベーション時間;ならびに6×SSC、1×SSC、0.1×SSCの洗浄液、または脱イオン水を含む。ストリンジェント条件の例は、50℃もしくはそれより高い温度での、かつ0.1×SSC(9mMのNaCl/0.9mMのクエン酸ナトリウム)中のハイブリダイゼーションおよび洗浄である。
【0054】
「標的細胞」という用語は、個々の細胞、生体試料からの細胞、または細胞培養物を含む。標的細胞は、単一の標的細胞の子孫を含み、子孫は、自然、偶発的、または意図的な変異および/または変化に起因して、当初の親細胞と必ずしも完全に同一(形態学において、または総DNA補体において)でない場合がある。特定の実施形態では、標的細胞は、多発性骨髄腫の細胞、慢性リンパ球性白血病の細胞、リンパ腫の細胞、またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の腫瘍細胞、骨髄または末梢血単核細胞、B細胞または形質細胞を含む。
【0055】
本発明の検出システムは、部分的に、結合剤がBCMAまたはその断片に結合する能力に基づいている。一般に、本発明は、BCMAまたはその断片および結合剤の検出可能な複合体の形成をもたらす、BCMAまたはその断片を特異的に結合する結合剤の使用を企図する。一部の実施形態では、本発明は、捕獲結合剤および検出結合剤という2種の結合剤であって、これらの両方はBCMAまたはその断片に結合し、捕獲結合剤、BCMA、および検出結合剤を含む三元複合体の形成をもたらす、2種の結合剤を利用する。
【0056】
例えば、ポリペプチド、糖、および核酸を含めた種々の結合剤のいずれかを使用し得る。さらに他の実施形態では、本発明は、検出結合剤に結合するさらなる結合剤の使用をさらに含む。このようなさらなる結合剤は、例えば、結合した検出結合剤を検出することにおいて有用であり得る。したがって、このようなさらなる結合剤の一例は、検出可能な程度に標識し得、したがって、結合した検出結合剤を検出するために使用され、検出結合剤それ自体が容易に標識することができないときに特に有用である、抗体の断片、例えば、Fc断片に特異的な抗体である。ある種の実施形態では、結合剤は、細菌に特異的な抗体である。
【0057】
「特異的に結合する」という用語は、抗体結合の文脈で、特異的ポリペプチドすなわち、BCMAまたはその断片のエピトープに対する抗体の高いアビディティの結合および/または高い親和性の結合を指す。特異的ポリペプチド上のエピトープ(また、本明細書において、「エピトープ」と称される)に結合する抗体は好ましくは、任意の他のエピトープ、特に、関連する分子中に、または同じ試料中に存在し得るものへの同じ抗体の結合より強い。これは、対象とする特異的ポリペプチドは、例えば、異なるBCMAエピトープまたは非BCMAエピトープに対してより、特異的BCMAエピトープに対してより強く結合するためである。対象とするポリペプチドに特異的に結合する抗体は、弱くはあるが検出可能なレベル(例えば、対象とするポリペプチドに対して示される結合の10%以下、5%以下、1%以下)で他のポリペプチドを結合することができる場合がある。このような弱い結合、またはバックグラウンド結合は、例えば、適当な対照の使用によって、対象とする化合物またはポリペプチドへの特異抗体結合と容易に識別可能である。一般に、107モル/L以上、好ましくは108モル/L以上の結合親和性を伴って特異的BCMAポリペプチドまたはその断片に結合する、本発明の組成物および方法において使用される抗体は、特異的BCMAポリペプチドに特異的に結合すると言われる。一般に、106モル/L以下の結合親和性を有する抗体は、現在使用される通常の方法論を使用して、検出可能なレベルで抗原を結合しないという点で有用ではない。
【0058】
一部の実施形態では、BCMAまたはその断片に対するBCMA結合剤の特異的結合の親和性は、バックグラウンド結合より約2倍高い、バックグラウンド結合より約5倍高い、バックグラウンド結合より約10倍高い、バックグラウンド結合より約20倍高い、バックグラウンド結合より約50倍高い、バックグラウンド結合より約100倍高い、またはバックグラウンド結合より約1000倍高い、またはそれ超である。
【0059】
他の実施形態では、特異的結合の親和性は、バックグラウンド結合より約2~約1,000倍高い、バックグラウンド結合より約2~500倍高い、バックグラウンド結合より約2~約100倍高い、バックグラウンド結合より約2~約50倍高い、バックグラウンド結合より約2~約20倍高い、バックグラウンド結合より約2~約10倍高い、バックグラウンド結合より約5~約100倍高い、バックグラウンド結合より約5~約50倍高い、バックグラウンド結合より約5~約20倍高い、バックグラウンド結合より約10~約100倍高い、バックグラウンド結合より約10~約50倍高い、バックグラウンド結合より約50~約500倍高い、または任意のその間の範囲の親和性である。
【0060】
したがって、特異的結合は、結合剤とBCMAまたはその断片との間に起こり、ここではこの2つの間に相互作用が存在し、これによって抗体/抗原または酵素/基質相互作用の特徴を有する結合した複合体が生成される。一部の実施形態では、対の1つのメンバーが、特定の種に実質的に結合し、結合メンバーの対応するメンバーが属する化合物のファミリー内の他の種に結合しないとき、特異的結合が特徴付けられる。他の実施形態では、対の1つのメンバーが、1種または複数種の特定の種に実質的に結合し、結合メンバーの対応するメンバーが属する化合物のファミリー内の他の種に結合しないとき、特異的結合が特徴付けられる。なお他の実施形態では、対の1つのメンバーが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ超の特定の種に実質的に結合し、結合メンバーの対応するメンバーが属する化合物のファミリー内の他の種に結合しないとき、特異的結合が特徴付けられる。
【0061】
一般的に言えば、BCMAまたはその断片(B)への本発明の結合剤(A)の結合親和性は一般に、下記の反応:[A]+[B]-[AB]からもたらされる化学平衡定数Kdによって表すことができる。次いで、化学平衡定数Kdは、Kd=[A]×[B]/[AB]によって得られる。結合剤の結合が特異的であるかまたは特異的でないかどうかは、BCMAまたはその断片への結合剤の結合親和性(Kd値)と、別のポリペプチドへの結合との間の差異から判断することができる。
【0062】
Kd値、およびKd値における差異は、例えば、in vitroもしくはin vivoの結合アッセイ、および/または他の材料、例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレートもしくは分析用バイオセンサー中の特殊化された表面におけるアッセイを使用して測定することができる。一部の実施形態では、BCMAまたはその断片に対する結合剤のKd値と、望ましくないポリペプチドへの結合との間の差異は、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約50倍、約100倍、約1000倍、またはそれ超である。
【0063】
他の実施形態では、Kd値は、104M未満、105M未満、106M未満、107M未満、108M未満、109M未満、1010M未満であり、1011M、1012M未満、1013M未満、1014M未満、1015M未満またはそれ未満であり得る。
【0064】
他の局面では、Kd値は、約104M~約1015Mの間、約104M~約1012Mの間、約104M~約1010Mの間、約106M~約1015Mの間、約106M~約1012Mの間、約106M~約1010Mの間、約108M~約1015Mの間、約108M~約1012Mの間、約108M~約1010Mの間、約107M~約1010Mの間、または任意のその間の範囲の親和性である。
【0065】
「抗体」という用語は、本明細書において最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種のインタクトな抗体から形成される多特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)、および、抗体断片が所望の生物活性を示す限りその抗体断片を具体的にカバーする。
【0066】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書において使用する場合、実質的に均一な抗体の集団から得た抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。
【0067】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、抗BCMAモノクローナル抗体である。他の実施形態では、モノクローナル抗体は、BCMAポリペプチドの断片に存在するエピトープを特異的に認識する。
【0068】
モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向している。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向している異なる抗体を含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向している。これらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンに汚染されていないハイブリドーマ培養によって合成されるという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されない。例えば、本発明によって使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256巻:495頁(1975年)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作製してもよく、または組換えDNA方法によって作製してもよい(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら、Nature、352巻:624~628頁(1991年)およびMarksら、J. Mol. Biol.、222巻:581~597頁(1991年)に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離し得る。
【0069】
モノクローナル抗体は、本明細書において、重鎖および/もしくは軽鎖の一部が、特定の種に由来し、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一もしくは相同であり、一方、鎖(複数可)の残りは、別の種に由来する抗体、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一もしくは相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびに、かかる抗体の断片が所望の生物活性を示す限りそれらを具体的に含む(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、81巻:6851~6855頁(1984年))。キメラ抗体を作製する方法は、当技術分野において公知である。
【0070】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合の部分配列)である。
【0071】
大部分は、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラットまたはウサギのCDRからの残基で置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によって、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においても、移入したCDRまたはフレームワーク配列においても見出されない残基を含み得る。これらの修飾を行って、抗体の性能をさらに洗練および最大化する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここでは超可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域は、結合親和性を改善させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含み得る。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は典型的には、H鎖において6以下であり、L鎖において3以下である。ヒト化抗体はまた最適に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそれを含む。さらなる詳細については、Jonesら、Nature、321巻:522~525頁(1986年);Reichmannら、Nature、332巻:323~329頁(1988年);
およびPresta、Curr. Op. Struct. Biol.、2巻:593~596頁(1992年)を参照されたい。ヒト化抗体は、霊長類化抗体を含み、抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルを対象とする抗原で免疫することによって生じた抗体に由来する。ヒト化抗体を作製する方法は、当技術分野において公知である。
【0072】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーを含めた当技術分野で公知の様々な技術を使用して生成することができる。HoogenboomおよびWinter、J. Mol. Biol.、227巻:381頁(1991年);Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581頁(1991年)。ColeらおよびBoernerらの技術はまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である。Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、77頁(1985年);Boernerら、J. Immunol.、147巻(1号):86~95頁(1991年)。
【0073】
本発明の結合抗体の「機能的断片」は、これらが由来するインタクトな完全鎖分子と実質的に同じ親和性を伴って抗原への結合を保持するこれらの断片である。
【0074】
「単離された」抗体は、その天然環境の成分から同定および分離および/または回収したものである。その天然環境の汚染物質成分は、抗体についての診断上または治療上の使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。好ましい実施形態では、抗体は、(1)ローリー法によって決定して約95重量%超の抗体まで、最も好ましくは約99重量%超まで、(2)スピニングカップ配列決定装置を使用することによって、N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クマシーブルー、もしくは好ましくは銀染色を使用して還元条件もしくは非還元条件下でSDS-PAGEによって均一性となるまで精製される。抗体の天然環境の少なくとも1種の成分は存在しないため、単離された抗体は、組換え細胞内のin situでの抗体を含む。しかし通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0075】
「検出可能な程度に標識された抗体」という用語は、結合した検出可能な標識を有する抗体(またはBCMAもしくはその断片のための結合特異性を保持する抗体断片)を指す。検出可能な標識は、化学的コンジュゲーションによって通常結合しているが、標識がポリペプチドである場合、これは遺伝子工学技術によって代わりに結合させることができる。検出可能な程度に標識されたタンパク質の生成のための方法は、当技術分野で周知である。検出可能な標識は、これらに限定されないが、ハプテン、放射性同位体、フルオロフォア、常磁性標識、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、もしくは検出可能なシグナル(例えば、放射能、蛍光、色)を放ち、またはその基質への標識の曝露の後に検出可能なシグナルを放つ他の部分もしくは化合物を含めて、当技術分野において公知の種々のこのような標識から選択し得る。様々な検出可能な標識/基質対(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ/ジアミノベンジジン、アビジン/ストレプトアビジン、ルシフェラーゼ/ルシフェリン)、抗体を標識するための方法、および標識抗体を使用するための方法は、当技術分野で周知である(例えば、HarlowおよびLane編(Antibodies:A Laboratory Manual(1988年)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.)を参照されたい)。
【0076】
1つの技術において、ポリペプチドを含む免疫原を、多種多様の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはヤギ)のいずれかに最初に注射する。次いで、ポリペプチドに特異的なポリクローナル抗体は、このような抗血清から、例えば、適切な固体支持体にカップリングしたポリペプチドを使用してアフィニティークロマトグラフィーによって精製し得る。一部の実施形態では、抗体は、抗BCMAポリクローナル抗体である。他の実施形態では、抗体は、BCMAポリペプチドの断片を認識するポリクローナル抗体である。
【0077】
「生体試料」は、個体から得た種々の試料タイプを包含し、診断アッセイまたはモニタリングアッセイにおいて使用することができる。この定義は、血液および生物起源の他の液体試料、固体組織試料、例えば、生検標本または組織培養物またはそれに由来する細胞(cells derived there from)およびその子孫を包含する。この定義はまた、例えば、ある種の成分、例えば、ポリヌクレオチドについて試薬による処理、可溶化、または富化によって、これらの調達の後に何らかの形で操作されてきた試料を含む。「生体試料」という用語は、臨床試料を包含し、かつまた、限定されないが、培養物中の細胞、細胞上清、細胞ライセート、血清、血漿、尿、脳脊髄液、体液、および組織試料を含む。試料は、適当な緩衝溶液での希釈によって必要に応じて前処理し、または必要であれば濃縮し得る。種々の緩衝液の1つ、例えば、ホスフェート、Trisなどを、好ましくは生理学的pHにて用いるいくつかの標準的な水性緩衝溶液のいずれかを使用することができる。生体試料は、周知の技術、例えば、静脈穿刺、腰椎穿刺、液体試料、例えば、唾液または尿、または組織生検などを使用して、患者から得ることができる。
【0078】
本明細書において使用する場合、「と相関する」または「と関連する」という用語は、生理的状態、例えば、疾患状況または疾患の程度、処置に対する応答、および生存と統計的に有意な相関を有する、被験体の生体試料中のBCMAまたはその断片のレベルを指す。BCMAまたはその断片のレベルと、特定の生理的状態が存在すること、または存在しないこととの間の相関の強さは、有意性の統計試験によって決定し得る。統計スコアを相関に当てはめることによる、差次的に発現した遺伝子の発現レベルと特定の生理的状態との間の相関の強さを決定するための方法は、これらのそれぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれているHollowayら(2002年)、Nature Genetics Suppl.、32巻:481~89頁、Churchill(2002年)、Nature Genetics Suppl.、32巻:490~95頁、Quackenbush(2002年)、Nature Genetics Suppl.、32巻:496~501頁;Slonim(2002年)、Nature Genetics Suppl.、32巻:502~08頁;およびChuaquiら(2002年)、Nature Genetics Suppl.、32巻:509~514頁において概説されている。
【0079】
「コンジュゲート」とは、融合タンパク質、ならびにアミノ酸またはタンパク質部分、および非タンパク質部分の両方を含有する分子を含めた、別の分子、例えば、ハプテン、小分子、または標識に共有結合的または非共有結合的に結合したまたは繋がれた任意の分子、例えば、抗体を指す。コンジュゲートは、例えば、固相合成、液相合成、有機化学合成技術またはこれらの技術の組合せを含めた種々の当技術分野で公知の技術によって合成し得る。合成の選択は、生成される特定の分子によって決まる。
【0080】
「個体」、「被験体」および「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用され、これらに限定されないが、マウス、サル、ヒト、哺乳動物の家畜、哺乳動物の競技用動物、および哺乳動物のペットを含めた哺乳動物を指す。一部の実施形態では、被験体はヒト被験体である。
【0081】
「哺乳動物」という用語は、ヒト、飼育される動物および家畜、ならびに動物園の動物、競技用動物、またはペット動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを含めた、哺乳動物に分類されている任意の動物を指す。一部の実施形態では、哺乳動物は、本明細書において、ヒトである。
【0082】
B.被験体の免疫状態をモニタリングするための方法
本発明者らは、BCMAポリペプチドレベルまたはその断片のレベルが、被験体の免疫状態と相関することを発見した。よって、BCMAポリペプチドレベルまたはその断片のレベルは、障害のある免疫システムを有する被験体から得た生体試料中で減少しており、感染または疾患に罹患している被験体から得た生体試料中で増加している。よって、本発明の特定の実施形態は、患者から得た生体試料(例えば、異なる時点での患者の血流、血清、骨髄、または組織が挙げられる)中のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルに基づいて、被験体の免疫状態のモニタリング、および処置に対する被験体の応答のモニタリングのための方法を提供する。BCMAレベルを決定する種々の方法は公知であり、当技術分野で利用可能である。ある種の実施形態では、これらは、BCMA結合剤、例えば、BCMA特異抗体の使用を伴う。本明細書において他の場所で論じるように、当業者に公知であり、かつ試料中のポリペプチドマーカーを検出する結合剤を使用するのに適した種々のアッセイフォーマットが存在する。例えば、ELISAアッセイ、ラテラルフローアッセイなど。また、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988年を参照されたい。
【0083】
一般に、免疫システムの障害をもたらす状態は、正常対照被験体におけるものと比較して、少なくとも約1/2、少なくとも約1/5、少なくとも約1/10、少なくとも約1/20、少なくとも約1/50倍、少なくとも約1/100、少なくとも約1/1000、またはそれより低いレベルのBCMAの存在によってモニターされる。一般に、感染または疾患状態は、正常対照被験体におけるものと比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約1000倍、またはそれより高いレベルのBCMAの存在によってモニターされる。
【0084】
いくつかの実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングするための方法は、(a)被験体から得た生体試料(例えば、血清)中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、(b) (a)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清試料中で検出した量とを比較するステップであって、所定のカットオフ値または対照血清試料中の量と比較した被験体の生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量の減少は、障害のある免疫システムを示し、所定のカットオフ値または対照血清試料中の量と比較した被験体の生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量の増加は、被験体が感染もしくは疾患のより高いリスクにあるかまたは感染もしくは疾患に罹患していることを示す、ステップとを含み、ここで、生体試料は、血清もしくは血漿試料、または被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0085】
他の実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングするための方法は、(a)被験体から得た生体試料(例えば、血清)中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、(b) (a)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量と、所定のカットオフ値または対照血清試料中で検出した量とを比較するステップであって、所定のカットオフ値または対照血清もしくは血漿試料中の量と比較した被験体の生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片の量の減少は、障害のある免疫システムを示す、ステップとを含み、ここで、生体試料は、血清もしくは血漿試料、または被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0086】
さらに他の実施形態では、被験体の免疫状態をモニタリングするための方法は、(a)最初の時点において被験体から得た生体試料中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、(b)後の時点において被験体から得た生体試料中のBCMAまたはその断片の量を検出するステップと、(c) (a)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量と、(b)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量とを比較するステップであって、(a)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較した、(b)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量の減少は、被験体が処置に応答していることを示し、(a)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の量と比較した、(b)において検出したBCMAポリペプチドまたはその断片の、量の増加または未変化は、被験体が処置に応答していないことを示す、ステップとを含み、ここで、生体試料は、血清試料、または被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。
【0087】
いくつかの実施形態では、被験体の免疫状態は、(a)被験体から得た生体試料とBCMA結合剤とを接触させるステップと、(b)試料中で、結合剤に結合するBCMAポリペプチドのレベルを検出するステップと、(c)BCMAポリペプチドのレベルと、所定のカットオフ値または正常対照被験体から得た値とを比較するステップとによって、決定され得る。ある種の実施形態では、免疫システムの障害および/または感染もしくは疾患状態の検出のためのカットオフ値は、固定化された抗体を、免疫システム障害に罹患していない、および感染または疾患状態に罹患していない患者からの試料とともにインキュベートしたときに得られる平均の平均シグナル(the average mean signal)である。
【0088】
様々な実施形態では、生体試料は、限定なく、培養物中の細胞、細胞上清、細胞ライセート、血清、血漿、尿、脳脊髄液、体液、および組織試料を含む。ある種の実施形態では、生体試料は、被験体の細胞の培養物から得られる上清である。いくつかの局面では、細胞は、被験体の骨髄単核細胞である。他の局面では、細胞は、被験体の末梢血単核細胞である。
【0089】
特定の実施形態では、検出は、生体試料中に存在するBCMA mRNAレベルを測定することを含む。他の実施形態では、検出は、生体試料中に存在するBCMAポリペプチドレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、BCMAに特異的な1種または複数種のプライマーを使用して検出を行う。他の実施形態では、BCMAまたはその断片に特異的な抗体を使用して検出を行う。
【0090】
ある種の実施形態では、所定のカットオフ値より統計的に強いシグナルを生み出す試料は、感染または疾患状態について陽性であると考えられるのに対して、所定のカットオフ値より統計的に弱いシグナルを生み出す試料は、障害のある免疫システムについて陽性であると考えられる。ある種の実施形態では、試料は、所定のカットオフ値よりも、最大約2標準偏差高い、最大約3標準偏差高い、最大約5標準偏差高い、最大約10標準偏差高い、最大約20標準偏差高い、最大約30標準偏差高い、最大約40標準偏差高い、最大約50標準偏差高い、最大約60標準偏差高い、最大約70標準偏差高い、最大約80標準偏差高い、最大約90標準偏差高い、または最大約100標準偏差高い、シグナルを生み出す。他の実施形態では、試料は、所定のカットオフ値よりも、最大約2標準偏差低い、最大約3標準偏差低い、最大約5標準偏差低い、最大約10標準偏差低い、最大約20標準偏差低い、最大約30標準偏差低い、最大約40標準偏差低い、最大約50標準偏差低い、最大約60標準偏差低い、最大約70標準偏差低い、最大約80標準偏差低い、最大約90標準偏差低い、または最大約100標準偏差低い、シグナルを生み出す。
【0091】
他の実施形態では、カットオフ値は、Sackettら、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine、Little Brown and Co.、1985年、106~7頁の方法によって受信者動作曲線を使用して決定する。手短に言えば、これらの実施形態では、カットオフ値は、診断試験結果についてのそれぞれの可能なカットオフ値に対応する、真陽性率(すなわち、感度)および偽陽性率(100%-特異性)の対のプロットから決定し得る。プロット上で左上コーナーに最も近いカットオフ値(すなわち、最も大きなエリアを取り囲む値)は、最も正確なカットオフ値であり、この方法によって決定したカットオフ値より高いシグナルを生じる試料は、陽性であると考えてよい。代わりに、カットオフ値は、プロットに沿って左にシフトして偽陽性率を最小化し、または右にシフトして偽陰性率を最小化し得る。一般に、この方法によって決定されるカットオフ値より高いシグナルを生み出す試料は、感染または疾患状態について陽性であると考えられるのに対して、所定のカットオフ値よりも3標準偏差低いシグナルを生み出す試料は、障害のある免疫システムについて陽性であると考えられる。
【0092】
一部の実施形態では、アッセイは、BCMAポリペプチドに結合し、BCMAポリペプチドを試料の残りから取り除く、固体支持体上に固定化されたBCMA結合剤の使用を伴う。次いで、結合したBCMAポリペプチドは、レポーター基を含有し、かつ結合剤/ポリペプチド複合体に特異的に結合する検出試薬を使用して検出し得る。このような検出試薬は、例えば、BCMAポリペプチドもしくは抗体に特異的に結合する結合剤、または結合剤、例えば、抗免疫グロブリン、タンパク質G5タンパク質Aもしくはレクチンに特異的に結合する他の作用剤を含み得る。いくつかの実施形態では、BCMA検出試薬(例えば、抗体)は、ストレプトアビジンまたはアビジン結合剤を認識しかつ特異的に結合するビオチンに結合される。
【0093】
関連する実施形態では、アッセイは、本明細書において他の場所で論じるようにラテラルフローまたはストリップ試験フォーマットで行い、ここで、BCMA結合剤、例えば、抗体は、膜、例えば、ニトロセルロース上に固定化される。ラテラルフロー試験において、試料内のBCMAポリペプチドは、試料が膜を通過するにつれ固定化された結合剤に結合する。次いで、第2の標識した結合剤は、膜を通って流れる第2の結合剤を含有する溶液としてBCMA結合剤-ポリペプチド複合体に結合する。次いで、結合した第2の結合剤の検出を上記のように行い得る。ストリップ試験フォーマットにおいて、BCMA結合剤が結合する膜の一端を、試料を含有する溶液に浸す。試料は、膜に沿って第2の結合剤を含有する領域を通り、固定化された結合剤のエリアに移動する。固定化された抗体のエリアにおける第2の結合剤の濃度は、被験体の免疫状態を示す。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明は、処置に対する被験体の免疫状態の応答を決定するための類似の方法を提供する。血清BCMAレベルは、免疫状態と相関するので、処置または治療に対する応答は、処置レジメンのコースの間の異なる時点での被験体の血清(または他の生体試料)中のBCMAレベルを比較することによってモニタリングされる。従って、本発明は、例えば、被験体の血流から得た血清もしくは血漿試料を使用して、被験体の免疫状態および免疫状態の処置に対する応答をモニタリングするための迅速かつ確実な方法を提供する。特定の実施形態では、方法は、BCMAに特異的な抗体を使用して、ELISAアッセイ、ラテラルフローアッセイ、またはストリップ試験アッセイによって実施する。
【0095】
本発明はさらに、被験体から得た生体試料中のBCMAポリペプチドまたはその断片のレベルを決定するために適した試薬を含む、被験体の免疫状態をモニタリングするためのシステムおよびキットを提供し、ここで、生体試料は、血清もしくは血漿試料、または被験体の骨髄単核細胞もしくは末梢血単核細胞の培養物から得た上清である。いくつかの実施形態では、キットは、ELISAアッセイ、ラテラルフローアッセイ、またはストリップ試験アッセイを行うための試薬(例えば、BCMAに特異的な抗体)を含む。本発明の検出システムおよびキットは、以下でさらに詳細に記載される。
【0096】
C.検出システムおよびキット
様々な実施形態では、本発明は、被験体の免疫状態をモニタリングするための検出システムおよびキットを提供する。本発明の検出システムまたはキットは、被験体の生体試料(例えば、血清)を使用して、被験体の免疫状態をモニタリングするために使用され得る。診断キットは、材料に加えて、抗原-抗体反応の検出のための方法を含むことができる。検出方法は好ましくは、フローサイトメトリー、免疫組織化学、および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、蛍光免疫アッセイ(FIA)、発光免疫アッセイ(LIA)、ラテラルフローアッセイおよびストリップアッセイからなる群から選択される。抗原認識材料の反応性は、酵素反応、蛍光、発光、または放射線を検出するデバイスを使用して確認することができる。いくつかの実施形態では、被験体の免疫状態のモニタリングは、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を含む、フローサイトメトリーキット、免疫組織化学キット、ELISAキットまたはラテラルフローまたはストリップキットで行うことができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、被験体の免疫状態のモニタリングは、BCMAまたはその断片に特異的な抗体を含む、フローサイトメトリーキット、免疫組織化学キット、ELISAキットまたはラテラルフローまたはストリップキットで行うことができる。
【0098】
一部の実施形態では、キットまたはシステムは、下記の成分の1つもしくは複数または全てを含み得る:1)本発明のバイオマーカー(複数可)の1種または複数種、例えば、BCMAまたはその断片からなる1または複数種の標準物質;2)キットを使用してアッセイされるバイオマーカー(複数可)に特異的な結合剤、例えば、抗体または複数の抗体;3)書面での指示;4)試料および標準物質のための希釈剤;5)洗浄緩衝液;6)発色試薬;7)停止液;ならびに8)キャリア、例えば、抗体キャリア、例えば、ラテラルフローデバイス、または結合した抗体を有するマイクロプレート、またはポリスチレンビーズ。
【0099】
一部の実施形態では、被験体の免疫状態をモニターするために使用される検出システムまたはキットは、本発明によって具現される方法によって1種または複数種のバイオマーカーの濃度(the concentration or concentrations of the biomarker or biomarker(s))を決定する定量的ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)である。アッセイの原理は、定量的サンドイッチ酵素免疫アッセイ技術を使用することであり、ここで、バイオマーカーについて選択的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体を、キャリア、例えば、マイクロプレートのそのウェル中へとプレコーティングする。次いで、標準物質および試料をウェル中にピペットで移し、存在するバイオマーカーをこの固定化された抗体に結合させる。次に、ウェルを洗浄緩衝液で洗浄し、バイオマーカーに特異的である酵素結合モノクローナルまたはポリクローナル抗体をウェルに加える。洗浄を再び行い、次いで、基質溶液をウェルに加える。引き続いて、第1のステップにおいて結合した本発明のポリペプチドの量に比例して色が発生する。色の発生を、停止液を使用して停止し、色の強度をマイクロプレートリーダーによって測定する。
【0100】
他の実施形態では、被験体の免疫状態のモニタリングは、例えば、ラテラルフローアッセイを使用して行い得る。このようなラテラルフローアッセイは、例えば、オンサイトのスクリーニングアッセイのための対費用効果の高い、速く単純であり、高感度の方法である可能性を有する。ラテラルフローアッセイは、ラテラルフローが起こることを可能とするキャリアを含み、ここで、試料または検出試薬のいずれかは、キャリア上の1つの場所から(form)別の場所まで移る。本発明によって具現される方法における使用に適したラテラルフローアッセイの多くのフォーマットが存在し、当業者は、特定のフォーマットをどのように選択し、最適化するかについて容易にわかる。本発明のラテラルフロー試験ストリップの一例は、例えば、下記の成分を含む:試料パッド;その上に試験試料を適用する吸収パッド;標的分析物に特異的であり、かつ有色の粒子(通常、金コロイド粒子、またはラテックスミクロスフィア)にコンジュゲートしている抗体を含有する、コンジュゲートまたは試薬パッド;抗標的分析物抗体が、捕獲ゾーンまたは試験ラインとしての膜全体にわたってライン状に固定化される反応膜、典型的には、疎水性ニトロセルロースまたは酢酸セルロース膜(コンジュゲート抗体に特異的な抗体を含有する対照ゾーンがまた存在し得る);および吸水リザーバまたは廃液リザーバ(wick or waste reservoir)、毛細管作用によって反応膜を横切って試料を引き抜き、これを集めるように設計されたさらなる吸収パッド。
【0101】
ラテラルフロー技術についていくつかのバリエーションが存在する。膜上の捕獲ゾーンは、抗体よりむしろ標的分析物に応じて、固定化された抗原または酵素を含有し得る。マルチプレックス試験を作出するために複数の捕獲ゾーンを適用することがまた可能である。例えば、特定の実施形態では、BCMAまたはその断片を検出することができる試験ストリップ、および個々に同じ試料中で、特定の疾患、例えば多発性骨髄腫のさらなるバイオマーカー、例えば、β2M、IL-6、C反応性タンパク質、および血清単クローン性タンパク質が意図される。ラテラルフロー免疫アッセイは、訓練されていないオペレーターが使用するのに単純であり、一般に、15分以内に結果が出る。これらは非常に安定的およびロバストであり、長い保存寿命を有し、通常冷蔵を必要としない。これらはまた、生産するのに相対的に安価である。これらのフィーチャーによって、ポイントオブケアにおける使用のために、ならびに現場において、および実験室において試料を試験するために、これらは理想的なものとなる。
【0102】
大部分のラテラルフロー免疫アッセイが定性的結果を実現することのみができる一方で、捕獲ゾーンに結合したコンジュゲートの量を測定することによってある程度の定量化を得ることが可能である。これは、有色の試験ラインの強度を測定するための専用の読取り機を使用して行うことができる。例えば、Neogen Corporationは、その範囲のReveal(登録商標)アッセイキットで使用するためのAccuscan(商標)ラテラルフロー読取り機を開発し、Charm Sciencesはまた、そのRosa(登録商標)範囲の試験ストリップのための読取り機を供給する。より洗練された技術、例えば、蛍光染料標識したコンジュゲートがまた開発されて、ラテラルフローアッセイの定量的な可能性が改善されてきた。
【0103】
キット形態での検出システムは、例えば、少なくとも1つのアッセイのために十分な量で、パッケージ化された試薬として、BCMAまたはその断片を結合するポリクローナル抗体組成物またはモノクローナル抗体組成物を含むことができる。パッケージ化された試薬の使用のための指示がまた典型的には含まれる。
【0104】
キット形態における検出システムはまた、例えば、試験試料と粘度制御剤および安定剤を含有する緩衝系(試薬1)とを反応容器中に合わせ、その溶液を混合するための手段を含むことができる。キット形態での検出システムはまた、試料および緩衝液を有する反応容器のパラメーターを読み取るための手段、ならびに試験試料および緩衝液混合物と、反応容器中の前記生物学的物質に対する(to said biological substance in the reaction vessel)蛍光標識リガンド(試薬2)とを合わせ、溶液を混合し、アッセイ溶液を生成するためのさらなる手段を含むことができる。さらに、試薬2を、さらなる希釈容量のアッセイ溶液を伴わずに反応容器に送達し得る。
【0105】
本明細書において使用する場合、「パッケージ」という用語は、定められた限度内に抗体組成物またはモノクローナル抗体組成物を保つことができる、固体マトリックスまたは材料、例えば、ガラス、プラスチック、紙、ホイルなどを指す。したがって、例えば、パッケージは、ミリグラム量の企図するポリペプチドを含有するのに使用されるガラス製バイアルでよく、またはマイクログラム量の企図するポリペプチドもしくは抗体が機能するように付着しているマイクロタイタープレートウェルでよい。
【0106】
「使用のための指示」は典型的には、試薬濃度または少なくとも1つのアッセイ法パラメーター、例えば、混合する試薬および試料の相対量、試薬/試料混合物のための保守期間、温度、緩衝液条件などを記載した具体的な表現を含む。
【0107】
特定の実施形態では、本発明の検出システムは、本発明のポリペプチドまたは抗体分子を含有する複合体の形成をシグナル伝達することができる標識または指示手段をさらに含む。
【0108】
「複合体」は、本明細書において使用する場合、特異的結合反応、例えば、抗体-抗原または受容体-リガンド反応の産物を指す。例示的な複合体は、免疫反応生成物である。
【0109】
本明細書において使用する場合、「標識」および「指示手段」という用語は、これらの様々な文法的形態において、複合体の存在を示す検出可能なシグナルの生成に直接的または間接的に関与している単一の原子および分子を指す。任意の標識または指示手段は、本発明の抗体もしくはモノクローナル抗体組成物の部分である発現されたタンパク質、ポリペプチド、もしくは抗体分子に連結し、またはこれに組み込まれ、あるいは別々に使用されることができ、これらの原子または分子は、単独で、またはさらなる試薬と併せて使用することができる。このような標識はこれら自体が臨床診断化学において周知であり、これらが別段新規なタンパク質の方法および/またはシステムと共に利用される限りにおいてのみ、本発明の一部を構成する。
【0110】
標識化手段は、有用な免疫蛍光トレーサーである蛍光色素(染料)を形成するために抗体または抗原を変性することなく、抗体または抗原に化学的に結合する蛍光標識剤でよい。適切な蛍光標識剤は、蛍光色素、例えば、フルオレセインイソシアネート(FIC)、フルオレセインイソチオシアネート(isothiocyante)(FITC)、5-ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニルクロリド(DANSC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リサミン、ローダミン8200スルホニルクロリド(RB200SC)などである。免疫蛍光分析技術についての記載は、参照により本明細書に組み込まれているDeLuca、「Immunofluorescence Analysis」、Antibody As a Tool、Marchalonisら編、John Wiley & Sons, Ltd.、189~231頁(1982年)において見出される。
【0111】
ある種の実施形態では、指示基は、酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、グルコースオキシダーゼなどである。主要な指示基が酵素、例えば、HRPまたはグルコースオキシダーゼである場合、さらなる試薬は、受容体-リガンド複合体(免疫反応体)が形成されたという事実を可視化することが必要とされる。HRPのためのこのようなさらなる試薬は、過酸化水素および酸化染料前駆体、例えば、ジアミノベンジジンを含む。グルコースオキシダーゼで有用なさらなる試薬は、2,2’-アジノ-ジ-(3-エチル-ベンゾチアゾリン(benzthiazoline)-G-スルホン酸)(ABTS)である。
【0112】
他の実施形態では、指示基は、緑色蛍光タンパク質(GFP)である。
【0113】
放射性元素はまた有用な標識剤であり、本明細書において例示的に使用される。例示的な放射標識剤は、γ線放出を生じさせる放射性元素である。それ自体がγ線を放つ元素、例えば、124I、125I、128I、132Iおよび51Crは、1つのクラスのγ線放出を生じさせる放射性元素指示基を表す。特に好ましいのは、125Iである。有用な標識化手段の別の基は、これら自体がポジトロンを放つこれらの元素、例えば、11C、18F、15Oおよび13Nである。このように放たれたポジトロンは、動物の体中に存在する電子と遭遇するとγ線を生じる。また有用なのは、ベータ放射体、例えば、111インジウムまたは3Hである。
【0114】
標識の連結、すなわち、ポリペプチドおよびタンパク質の標識化は、当技術分野で周知である。例えば、ハイブリドーマによって生成される抗体分子は、培養培地中の成分として提供される放射性同位体含有アミノ酸の代謝性組込みによって標識することができる。例えば、Galfreら、Meth. Enzymol.、73巻:3~46頁(1981年)を参照されたい。活性化された官能基によるタンパク質のコンジュゲーションまたはカップリングの技術は特に適用可能である。例えば、全てが参照により本明細書に組み込まれている、Aurameasら、Scand. J. Immunol.、第8巻、Suppl.7:7~23頁(1978年)、Rodwellら、Biotech.、3巻:889~894頁(1984年)、および米国特許第4,493,795号を参照されたい。
【0115】
本発明の検出システムまたはキットを、「ELISA」フォーマットにおいて使用して、例えば、体液試料、例えば、血流、血漿、血清、骨髄、または組織などにおけるBCMAまたはその断片の存在または量を検出することができる。「ELISA」とは、固相に結合した抗体または抗原、および酵素-抗原または酵素-抗体コンジュゲートを用いて、試料中に存在する抗原または抗体の量を検出および定量する、酵素結合免疫吸着アッセイを指す。このように、例えば、本発明のポリペプチド、抗体分子組成物またはモノクローナル抗体分子組成物は、固体マトリックスに付着して、対象診断システムにおけるパッケージを構成する固体支持体を形成することができる。試薬は典型的には、水性媒体からの吸着によって固体マトリックスに付着しているが、当業者には周知の他のモードの付着を使用することができる。
【0116】
有用な固体マトリックスはまた、当技術分野で周知である。このような材料は水不溶性であり、架橋デキストラン;アガロース;直径が約1ミクロン~約5ミリメートルのポリスチレンビーズのビーズ;ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、架橋ポリアクリルアミド、ニトロセルロースまたはナイロンをベースとするウェブ、例えば、シート、ストリップもしくはパドル;またはチューブ、プレートもしくはマイクロタイタープレートのウェル、例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルから作製したものが含まれる。
【0117】
本明細書に記載されている任意の検出システムの試薬種、標識された特異的結合剤または増幅試薬は、溶液中、液体分散物として、または実質的に乾燥粉末として、例えば、凍結乾燥した形態で提供することができる。指示手段が酵素である場合、酵素の基質をまたシステムの別々のパッケージ中で提供することができる。固体支持体、例えば、前記のマイクロタイタープレートおよび1種または複数種の緩衝液をまた、この検出アッセイシステムにおける別々にパッケージ化したエレメントとして含むことができる。
【0118】
検出システムに関連して本明細書において論じられている包装材料は、診断システムにおいて従来通り利用されるものである。このような材料は、ガラスおよびプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート)のボトル、バイアル、プラスチックおよびプラスチック-ホイルラミネートの包みなどを含む。一部の実施形態では、本発明の検出システムは、BCMAまたはその断片の存在についてアッセイするのに有用である。ある種の実施形態では、このようなシステムは、キット形態で、BCMAまたはその断片に対する抗体を含有するパッケージを含む。
【0119】
この明細書において引用されている全ての刊行物、特許出願、および発行された特許は、それぞれの個々の刊行物、特許出願、または発行された特許が参照により組み込まれていることが特におよび個々に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれている。
【0120】
上記の発明を、理解を明瞭化する目的のために例示および例として少し詳しく記載してきたが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなくある種の変更および修飾をこれに行い得ることは本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。限定としてではなく、例示のためのみに、下記の実施例を提供する。当業者であれば、変更または修正して本質的に同様の結果を生じさせることができる種々の重大でないパラメーターを容易に認識する。
【実施例】
【0121】
実施例1:血清、およびBMMC培養物からの上清液中のBCMA濃度の決定のための酵素結合免疫吸着アッセイ
血清および上清試料を、R&D Systems、Minneapolis、MN、USAから得たBCMA酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(カタログ番号DY193E)によって分析した。血清試料を1:50または1:500に希釈し、製造業者のプロトコルによってBCMA ELISAアッセイを行った。ELISAプレートを、KC Juniorソフトウェアを伴う、450nmに設定したμQuant(Biotek Industries、Winooski、VT、USA)プレートリーダーを使用して分析した。値は、各標本についての三連試料の平均を表す。このBCMA ELISAキットは、組換えヒトAPRILまたはBAFF、組換えヒトTACI/Fcまたは組換えマウスBCMA/FcまたはマウスBCMAと交差反応しない。
【0122】
ポリクローナル抗BCMA抗体(Ab)遮断実験
B細胞成熟抗原標準物質を、高濃度(400ng/ml)または低濃度(40ng/ml)の、別のポリクローナルヤギ抗ヒトBCMA Ab(カタログ番号AF193;R&D Systems)または対照Abと共に、4℃にて一晩インキュベートした。ポリクローナルヤギIgG Abを、アイソタイプ対照として使用した(カタログ番号AB-108-C;R&D Systems)。本発明者らはまた、一晩のインキュベーションに続くMM患者1056の血清からのBCMAの検出をブロックするこのポリクローナル抗BCMA Abの能力を試験し、上記のBCMA ELISAプロトコルを使用してBCMAレベルを評価した。
【0123】
モノクローナル抗BCMA AbによるBCMAの検出
B細胞成熟抗原標準物質またはMM患者からの血清(1:50または1:500に希釈)を、BCMA ELISAにおいて使用されるポリクローナル「捕獲Ab」の代わりに、マウスのモノクローナル抗ヒトBCMA Ab(カタログ番号WH0000608M1;Sigma-Aldrich)を使用してインキュベートした。次いで、BCMA ELISAプロトコルによって試料をアッセイした。
【0124】
MM異種移植片研究
6週齢のCB17 SCIDマウスは、Charles River Laboratories(Wilmington、MA、USA)から得た。施設内動物実験委員会によって承認されたプロトコルに従って動物試験を行った。CD38およびCD138を発現しているLAGκ-2腫瘍を確立するために、IgGκパラプロテインを示すMM患者からのBM生検を、SCIDマウスの後肢に埋め込んだ(CampbellおよびBerenson、2008年)。異種移植片を含有するマウスからの血清は、ヒトIgGまたは遊離κ軽鎖を示さなかった。したがって、この異種移植片は、非分泌性と特徴付けた。しかし、免疫組織化学的(IHC)染色を使用して、κ鎖が腫瘍細胞のサイトゾル中に観察された。LAGκ-1A腫瘍は、レナリドミドに対して耐性であるIgGκ生成MMを有する患者から発生した(CampbellおよびBerenson、2008年)。LAGλ-1腫瘍は、IgGλパラプロテインを示したMM患者から発生した(CampbellおよびBerenson、2008年)。異種移植片を切除し、20~40mm3の小片に切開し、筋肉中に埋め込んだ。腫瘍埋込みの7日後、マウスを処置群に無作為化した。腫瘍が直径2.5cmに達したとき、動物を安楽死させた。
【0125】
プロテアソーム阻害剤(PI)ボルテゾミブ(Millennium Pharmaceuticals、Cambridge、MA、USA)を、1mg/mlのストック溶液として使用し、0.9%塩化ナトリウム(NaCl)を使用して希釈した。ボルテゾミブを0.75mg/kgで毎週2回i.v.投与した。シクロホスファミド(Florida Infusion、Palm Harbor、FL、USA)を、NaClを有する20mg/mLのストック溶液から溶解し、10mg/kgで経口胃管栄養法によって毎週1回投与した。メルファラン(Sigma-Aldrich)3mgを、100μLの酸-EtOH(47μlの濃HClおよび1mlの100%EtOH)に溶解し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で1mLに希釈し、3mg/mLのストック溶液を作製した。薬物を、3mg/kgの用量で毎週2回腹腔内(i.p.)注射によって投与した。
【0126】
標準的なカリパスを使用して腫瘍を測定し、楕円体積についての式を適用した(4/3π×[幅/2]2×[長さ/2])。腫瘍成長およびIgG曲線を、処置群の平均値および標準誤差に関して分析した。
【0127】
マウスを、後眼窩洞を介して毎週出血させ、ヒトIgGおよびBCMAレベルを決定した。試料を10,000rpmで5分間スピンし、血清を集めた。ヒトIgG ELISAキット(Bethyl Laboratories、Montgomery、TX、USA)を、製造業者の仕様書に従って使用した。550nmの参照波長を伴う450nmでの吸光度を、KC Juniorソフトウェアを伴うμQuantマイクロプレート分光光度計(Bio-Tek Instruments、Winooski、VT、USA)で決定した。ヒトBCMA ELISAキット(R&D Systems)を使用して、血清タンパク質レベルを決定した。
【0128】
免疫組織化学分析
BCMAタンパク質発現を、MMおよび正常なBMMCにおいて、ならびに本発明者らのヒトMM異種移植片において決定した。異種移植片について、4%パラホルムアルデヒドに固定した後、5μmの切片を切り取った。BMMCについて、細胞を1%パラホルムアルデヒドで固定し、1×105個の細胞/スライドをサイトスピンにかけた。スライドを、0.05%Tween-20 PBS(PBST)および3%ウシ血清アルブミン(BSA)で室温にて(RT)1時間ブロッキングした。試料を、抗ヒトBCMA Ab(5μg/mL)に4℃にて一晩曝露した。スライドをTBSTで3回洗浄し、TBST中で1:500に希釈した抗マウス、抗ウサギまたは抗ヤギ抗体(KPL、Gaithersburg、MD、USA)のいずれかとコンジュゲートした西洋ワサビペルオキシダーゼでRTにて2時間処理した。スライドを、TBST中で3回洗浄し、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)緩衝液中に5分間入れ、AECキット(Vector Laboratories、Burlingame、CA、USA)を使用して色を検出した。軽鎖染色のために、BMMCを、100μLのPBSに再懸濁させ、スライド上でサイトスピンにかけた。試料を3%BSAでブロッキングし、その後、Abを加えて、非特異的結合を防止した。ヤギ抗ヒトλ軽鎖Ab(Sigma-Aldrich)、抗ヒトκ軽鎖Ab(Sigma-Aldrich)またはアイソタイプ対照Ab(R&D System)を、対応する試料に加えた。これらの抗体を、一晩4℃にてインキュベートした。翌日、抗体を0.05mol/LのTBST緩衝液で洗浄した。次いで、試料を、二次Abの前に、10%H2O2メタノールで処理した。次いで、試料をペルオキシダーゼ標識したウサギ抗ヤギAb(KPL)と共に2時間RTにてインキュベートし、次いで、洗浄した。ペルオキシダーゼ基質(Vector Laboratories)を、30分間試料に加えた。細胞を、ヘマトキシリンで1分間染色し、試料をマウントした。BCMAならびにλおよびκ軽鎖発現は、光学顕微鏡(Olympus BX51;Olympus、San Diego、CA、USA)を使用して決定した。ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色を、標準的な染色手順を使用してBMMC上で行った。
【0129】
統計分析
上清、血清および異種移植片の研究において観察される差異の統計的有意性は、スチューデントt検定を使用して決定した。最小有意水準は、P<0.05であった。統計解析は、Windows(登録商標)のためのGRAPHPAD PRISMバージョン4.03(GraphPadソフトウェア、San Diego、CA、USA)を使用して決定した。
【0130】
一般に、下記の特許請求の範囲において、使用される用語によって、特許請求の範囲を、明細書において開示されている特定の実施形態、および特許請求の範囲に限定すると解釈すべきではないが、このような特許請求の範囲に与えられる完全な範囲の同等物と共に全ての可能な実施形態を含むと解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は、この開示によって限定されない。
【0131】
実施例2:BCMAは、対照ヒト被験体および低IgGを有する患者の血清中で見出される
低IgGを有する患者および対照健康ヒト被験体からの血清を得、BCMAの存在について分析した。低IgGレベルを有する被験体は、対照被験体(N=104)における血清BCMAレベル(メジアン=36.0ng/mL;範囲=13.45ng/mL~958.1ng/mL)と比較して、低血清BCMAレベル(14.6ng/mL)を有した。
【0132】
実施例3:患者の血清BCMAレベルに基づいて完全奏効を達成したIgA型MMを有する患者の血清IgGレベル
完全奏効(CR)を達成したIgA型多発性骨髄腫(MM)を有する患者からの血清を得、血清IgGおよびBCMAレベルを分析した。測定可能な骨髄腫なしのCRを達成したIgA型MMを有する患者のIgGレベルは、彼らの血清BCMAレベルと相関する。低血清BCMA(≦10ng/mL; p<0.0001)を示すCRにあるIgA型MM患者(N=23)は、CRにあってかつより高い血清BCMA(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=40)の中でのIgGレベル(メジアン=535.0mg/dL)と比較して、有意に低下したIgGレベル(メジアン=319.0mg/dL)を有する。
【0133】
実施例4:患者の血清BCMAレベルに基づいて、完全奏効を達成したIgG型MMを有する患者の血清IgGレベル
CRを達成したIgG型MMを有する患者からの血清を得、血清IgGおよびBCMAレベルを分析した。測定可能な骨髄腫のないCRを達成したIgG型MMを有する患者のIgGレベルは、彼らの血清BCMAレベルと相関する。低血清BCMA(≦10ng/mL; p<0.0001)を示すCRにあるIgG型MM患者(N=47)は、CRにあってかつより高い血清BCMA(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=84)の中でのIgGレベル(メジアン=643.5mg/dL)と比較して、有意に低下したIgGレベル(メジアン=402.0mg/dL)を有する。
【0134】
実施例5:患者の血清BCMAレベルに基づいて完全奏効を達成したIgG型MMを有する患者の血清IgAレベル
CRを達成したIgG型MMを有する患者からの血清を得、血清IgAおよびBCMAレベルを分析した。CRを達成したIgG型MMを有する患者の無関係の正常IgAレベルは、彼らの血清BCMAレベルと相関する。CRおよび低血清BCMAレベル(≦10ng/mL; p<0.0001)にあるIgG型MM患者(N=47)は、CRにあってかつより高い血清BCMA(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=84)におけるIgAレベル(メジアン=61.0mg/dL)と比較して、有意に低下したIgAレベル(メジアン=26.0mg/dL)を示す。
【0135】
実施例6:患者の血清BCMAレベルに基づく完全奏効を達成したIgG型MMを有する患者の血清IgMレベル
CRを達成したIgG型MMを有する患者からの血清を得、血清IgMおよびBCMAレベルを分析した。CRを達成したIgG型MMを有する患者の無関係の正常IgMレベルは、彼らの血清BCMAレベルと相関する。CRにあってかつ低血清BCMA(≦10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=47)は、CRにあってかつより高い血清BCMAレベル(>10ng/mL; p<0.0001)を示すIgG型MM患者(N=84)におけるIgMレベル(メジアン=32.5mg/dL)と比較して、有意に低下したIgMレベル(メジアン=11.0mg/dL)を有する。
【0136】
実施例7:免疫不全の診断に基づく患者の血清BCMAレベル
免疫不全症を有する患者および対照健康ヒト被験体からの血清を得、血清BCMAレベルを分析し比較した。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、IgG欠損症、IgA欠損症、IgM欠損症、高IgM症候群、PRH、またはクローン病)を有する患者において実質的により低かった。
【表1】
【0137】
実施例8:免疫不全を有する患者 対 正常で健康なドナーの血清BCMAレベル
免疫不全症を有する患者および正常で健康なドナーからの血清を得、血清BCMAレベルを分析し比較した。免疫不全を有する患者(N=68)の血清BCMAレベルは、正常で健康なドナー(N=119)における血清BCMAレベル(35.2ng/mL(範囲;12.2ng/mL~958.1ng/mL); p<0.0001)と比較して、有意により低かった(7.3ng/mL(範囲;0.84ng/mL~189.5ng/mL); p<0.0001)。
【0138】
実施例9:免疫不全の診断に基づく患者の血清BCMAレベル
免疫不全症を有する患者および対照健康ヒト被験体からの血清を得、血清BCMAレベルを分析し比較した。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、CVID+リンパ腫、CVID+Tx リンパ腫、IgG欠損症、IgA欠損症、IgM欠損症、高IgM症候群、PI3KD、LRBA/LRBA、または胸腺腫)を有する患者において実質的により低かった。
【表2】
【表3】
【0139】
実施例10:免疫不全の診断に基づく患者の血清BCMAレベル
免疫不全症を有する患者および対照健康ヒト被験体からの血清を得、血清BCMAレベルを分析し比較した。血清BCMAのレベルは、対照被験体における血清BCMAレベルと比較して、免疫不全(XLA、CVID、CVID+リンパ腫、CVID+Tx リンパ腫、IgG欠損症、IgA欠損症、IgA、IgA+IgG、IgA+IgG2、IgM欠損症、または高IgM症候群)を有する患者において実質的により低かった。
【表4】
【表5】
【配列表】