(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
H01H13/14 B
(21)【出願番号】P 2019062257
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 大貴
(72)【発明者】
【氏名】六川 智博
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 美希
【審査官】北岡 信恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-054578(JP,A)
【文献】特開平11-224557(JP,A)
【文献】特開2007-105495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/06、13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケースと、
前記開口部に配置される操作部材と、
前記ケースに収納される回路基板と、
前記操作部材と前記回路基板との間に配置され、前記操作部材を支持する支持部材とを備え、
前記ケースは、前記ケースの外側の面であるケース表面と、前記ケースの内側の面であるケース裏面と
、前記ケース裏面から前記支持部材に向けて突出する爪部とを有し、
前記回路基板には、前記開口部に対応する位置に配置される被操作部を有する電子部品が設けられ、
前記操作部材は、被操作面を有する操作部材本体部と、前記操作部材本体部から前記被操作部に向かって突出し先端に前記被操作部と接触可能な操作部を有する軸部と、前記操作部材本体部の外周縁から前記軸部の軸方向と直交する方向に延出して前記ケース裏面に当接する延出部とを有し、
前記支持部材は、前記操作部材本体部を支持する支持部材本体部と、前記軸部が挿通される挿通孔と、前記支持部材本体部から前記回路基板に向かって突出し、前記軸方向に沿って前記操作部と前記被操作部とが離れる方向に前記操作部材を付勢する付勢突起部と、前記支持部材本体部から前記軸方向に沿って突出し、前記延出部の周面部と当接して、前記軸方向と直交する方向に対して前記操作部材の移動を規制する規制部と、
前記支持部材本体部に設けられ、前記爪部と係合可能な係合凹部と、を有
し、前記爪部と前記規制部とで前記操作部材が位置決めされる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項
1に記載の電子機器において、
前記支持部材は、前記挿通孔の周囲において、前記支持部材本体部から前記軸方向に突出した壁部を有し、
前記規制部は、前記付勢突起部に付勢されて、先端部が前記ケース裏面に当接する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1
または請求項
2に記載の電子機器において、
復元力を有する弾性バルーンと、
前記弾性バルーンに接続される流路と、
前記流路に空気を供給する空気供給部と、
前記弾性バルーンおよび前記流路の内部の圧力を測定する圧力測定部と、備える
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースの開口部に操作ボタンが配置された電子機器が知られている。
電子機器として、操作ボタンに位置決めリブを設け、ケースの開口部周辺に、位置決めリブと係合する位置決め溝を設けた従来例がある(特許文献1)。
特許文献1の従来例は、操作ボタンの押し込み方向と直交する方向に対するガタツキを防止できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来例では、操作ボタンの押し込み方向と直交する方向に対するガタツキを防止する位置決め溝がケースに設けられている。
ここで、操作ボタンは、操作される際にケースに対して相対的に移動することから、位置決めリブがケースの位置決め溝の壁面に接触していると、操作ボタンとケースとが擦れて操作性が悪化してしまう。
そのため、位置決めリブと位置決め溝の壁面との間には隙間が設けられているが、そうすると、当該隙間分のガタツキを防止できないといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、操作部材のガタツキを防止できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、開口部を有するケースと、前記開口部に配置される操作部材と、前記ケースに収納される回路基板と、前記操作部材と前記回路基板との間に配置され、前記操作部材を支持する支持部材とを備え、前記ケースは、前記ケースの外側の面であるケース表面と、前記ケースの内側の面であるケース裏面とを有し、前記回路基板には、前記開口部に対応する位置に配置される被操作部を有する電子部品が設けられ、前記操作部材は、被操作面を有する操作部材本体部と、前記操作部材本体部から前記被操作部に向かって突出し先端に前記被操作部と接触可能な操作部を有する軸部と、前記操作部材本体部の外周縁から前記軸部の軸方向と直交する方向に延出して前記ケース裏面に当接する延出部とを有し、前記支持部材は、前記操作部材本体部を支持する支持部材本体部と、前記軸部が挿通される挿通孔と、前記支持部材本体部から前記回路基板に向かって突出し、前記軸方向に沿って前記操作部と前記被操作部とが離れる方向に前記操作部材を付勢する付勢突起部と、前記支持部材本体部から前記軸方向に沿って突出し、前記延出部の周面部と当接して、前記軸方向と直交する方向に対して前記操作部材の移動を規制する規制部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、操作部材を支持する支持部材に、軸部の軸方向に沿って操作部と被操作部とが離れる方向に操作部材を付勢する付勢突起部が設けられる。電子機器を操作する者が指などで操作部材本体部の被操作面を付勢突起部の付勢力に抗して押すと、操作部材の軸部の先端にある操作部が電子部品の被操作部を押し込む。被操作面から指などが離されると、操作部材は、付勢突起部により、軸部の軸方向に沿って操作部と被操作部とが離れる方向に付勢される。そのため、操作部材の延出部が、支持部材本体部とケース裏面とで挟持されることになり、当該軸方向に対する操作部材のガタツキを防止できる。
また、支持部材には、支持部材本体部から軸部の軸方向に沿って突出し、延出部の周面部と当接して、軸方向と直交する方向に対して操作部材の移動を規制する規制部が設けられる。これにより、規制部は延出部の周面部と当接するので、操作部材の軸方向と直交する方向の移動が規制され、操作部材の当該軸方向と直交する方向のガタツキを防止することができる。
【0008】
本発明では、前記ケースは、前記ケース裏面から前記支持部材に向けて突出する爪部を有し、前記支持部材は、前記支持部材本体部に設けられ、前記爪部と係合可能な係合凹部を有し、前記爪部と前記規制部とで前記操作部材が位置決めされることを特徴とする。
この構成では、ケースから突出して設けられた爪部と係合する係合凹部が支持部材に設けられる。これにより、操作部材は、係合凹部および爪部と規制部とを介してケースに位置決めされるので、操作部材の軸部の軸方向と径方向とのガタツキを防止できる。
【0009】
本発明では、前記支持部材は、前記挿通孔の周囲において、前記支持部材本体部から前記軸方向に突出した壁部を有し、前記規制部は、前記付勢突起部に付勢されて、先端部が前記ケース裏面に当接する構成としてもよい。
この構成では、支持部材本体部に壁部が設けられており、かつ、付勢突起部により、規制部の先端部がケース裏面に付勢される。これにより、アルコールや中性洗剤を浸した布でケースを洗浄する場合など、少量のアルコールや水などが操作部材と挿通孔との間から支持部材本体に浸入したとしても、支持部材本体部に設けられた壁部と規制部とによって、アルコールや水がケース内部に侵入することを阻止される。そのため、防水効果を得ることができる。
【0010】
本発明では、復元力を有する弾性バルーンと、前記弾性バルーンに接続される流路と、前記流路に空気を供給する空気供給部と、前記弾性バルーンおよび前記流路の内部の圧力を測定する圧力測定部と、を備える構成としてもよい。
この構成では、空気供給部によって、空気が流路を通じて弾性バルーンに供給される。この状態で、被験者は、口にくわえた弾性バルーンを舌で押圧すると、弾性バルーンおよび流路の内部圧力が変化し、この変化した圧力の値が圧力測定部で測定される。
この舌圧測定のために、被験者、医師、看護師などの電子機器を操作する者が、操作部材本体部を付勢突起部の付勢力に抗して指などで押し込むと、操作部で電子部品の被操作部が押される。すると、電子部品から信号が空気供給部や圧力測定部に送られて舌圧測定が適正に行われる。
被験者などが被操作面から指などを離すと、付勢突起部の付勢力により、操作部材が被操作部から離れる方向に付勢される。そのため、延出部が支持部材本体部とケース裏面とで挟持されて操作部材のガタツキが防止される。さらに、規制部により、支持部材の軸方向と直交する方向の移動が規制されて、操作部材のガタツキが防止される。
従って、舌圧を測定する装置において、操作部材のガタツキを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる電子機器の全体構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[電子機器の概要]
本実施形態の電子機器は、摂食・嚥下機能が低下した患者や高齢者などの被験者の舌圧を測定する装置である。
図1および
図2には、電子機器の全体構成が示されており、
図3には、電子機器の一部が破断された構成が開示されている。
図1から
図3において、電子機器は、装置本体1と、装置本体1に接続され弾性バルーン2とを備えている。弾性バルーン2は、装置本体1に基端が接続されるチューブ21と、チューブ21の先端に設けられた復元力を有するバルーン本体22とを有する。
装置本体1は、ケース3と、ケース3にそれぞれ設けられた操作部材4、回路基板5、支持部材6、電子部品7および測定ユニット8とを備えている。
【0013】
ケース3は、それぞれ合成樹脂製の第一ケース体31と第二ケース体32とを有する。
第一ケース体31は、表示部33が設けられた平面矩形状の板面部34と、板面部34の外周に設けられた外周壁35とを有する。
第二ケース体32は、底面部36と、底面部36の外周に設けられた外周壁37とを有する。第一ケース体31の内部にはフック310(
図5参照)が形成されており、フック310は回路基板5に係合される。
【0014】
板面部34には、平面楕円形状の第一の開口部341と、平面円形の第二の開口部342とが形成されている。本実施形態では、板面部34のうち外部に露出する面がケース表面であり、ケース内部に対向する面がケース裏面である。
板面部34には、第一の開口部341の周囲に沿って第一の爪部381が設けられ、第二の開口部342の周囲に沿って第二の爪部382が設けられている。
第一の爪部381は、第一の開口部341の開口中心を挟んで2つずつ(
図2では2つのみ示す)配置されており、第二の爪部382は、第二の開口部342の開口中心を挟んで2つ(
図2では1つのみ示す)配置されている。なお、第一の爪部381と第二の爪部382の数は限定されるものではなく、その数は、第一の爪部381と第二の爪部382の大きさや、第一の開口部341や第二の開口部342の大きさによって設定される。
【0015】
[操作部材の構造]
操作部材4は、第一の開口部341に配置される第一ボタン41と、第二の開口部342に配置される第二ボタン42とを有する。
第一ボタン41は、測定またはリセットを操作するためのボタンであり、第二ボタン42は、電源をオンオフするためのボタンである。
第一ボタン41は、操作部材本体部4Aと、操作部材本体部4Aの中心部に一体に形成された軸部4Bと、操作部材本体部4Aの外周縁から軸部4Bの軸方向と直交する方向に延出する延出部4Cとを有する。
【0016】
操作部材本体部4Aは、第一の開口部341の平面形状に応じて外形が形成された板部4Dと、板部4Dの外周に形成された壁体部4Eとを有するキャップ状の部材である。板部4Dの外部に露出する面、つまり、表面は被験者などが指で操作部材4を操作するための被操作面410である。
延出部4Cは、板面部34のケース裏面に当接可能とされ、壁体部4Eの外周に沿って形成されている。また、延出部4Cは、操作部材本体部4Aが第一の開口部341に対して出没する際に、第一の爪部381との干渉を阻止する切欠部4Fが形成されている。
第二ボタン42は、板部4Dの平面形状を除いて、第一ボタン41と同様の構造である。つまり、第二ボタン42は、操作部材本体部4A、軸部4Bおよび延出部4Cを有するものであり、延出部4Cには、操作部材本体部4Aが第二の開口部342に対して出没する際に、第二の爪部382との干渉を阻止する切欠部4Fが形成されている。
【0017】
[回路基板の構造]
回路基板5は、第二ケース体32に固定される。
回路基板5は、第一ケース体31のフック310と係合される係合凹部5Aを有する。
回路基板5のうち第一ケース体31の板面部34に対向する面には電子部品7が設けられており、反対側の面と第二ケース体32との間には測定ユニット8が配置されている。回路基板5には電子部品7と測定ユニット8とを電気的に接続するための配線パターン(図示せず)が形成されている。
[電子部品の構造]
電子部品7は、第一ボタン41に対応する第一の電子部品71と、第二ボタン42に対応する第二の電子部品72とを有する。
第一の電子部品71は、回路基板5に取り付けられる部品本体7Aと、部品本体7Aに出没自在に設けられる被操作部7Bとを有するタクトスイッチである。
被操作部7Bは、第一ボタン41の軸部4Bの先端に形成される操作部40に押し込まれると、信号を後述する演算部85に送る。
第二の電子部品72は、第一の電子部品71と同様な構造を有するタクトスイッチであり、被操作部7Bが第二ボタン42の操作部40によって押し込まれると、電源がオンまたはオフされる。
【0018】
[測定ユニットの構造]
図2において、測定ユニット8は、弾性バルーン2に接続される流路81と、弾性バルーン2および流路81の内部の圧力を測定する圧力測定部83と、演算部85とを備える。
圧力測定部83は、流路81に空気を供給する空気供給部82と、流路81の内部を流通する空気の圧力を検出する圧力検出部84とを有する。
本実施形態では、空気供給部82は、流路81を通じて弾性バルーン2に空気を送るポンプである。
演算部85は、流路81に供給する空気の量を制御する制御部と、圧力検出部84で検出された検出値に基づいて弾性バルーン2および流路81の内部圧力を算出する算出部とを有するものであり、演算部85で演算された圧力値は表示部33で表示される。
【0019】
[支持部材の構造]
支持部材6の具体的な構成が
図4および
図5に示されている。
図2から
図5において、支持部材6は、第一ボタン41と第二ボタン42とを支持するものであって、操作部材4と回路基板5との間に配置されている。
支持部材6は、操作部材4を支持する支持部材本体部60を備えている。
支持部材本体部60は、第一ボタン41の操作部材本体部4Aを支持する第一支持体61と、第二ボタン42を支持する第二支持体62と、第一支持体61と第二支持体62とを連結する連結片部63とが一体に形成されている。
【0020】
第一支持体61は、操作部材本体部4Aを支持する略板状の部材であり、その中心部に第一ボタン41の軸部4Bを挿通する挿通孔611が形成されている。挿通孔611は第一ボタン41の操作部材本体部4Aの平面形状に合わせて楕円形に形成されている。
第一支持体61の回路基板5に対向する面とは反対側の面には、挿通孔611の周辺に沿って壁部64が環状に形成され、さらに、壁部64の外周側に規制部65が壁部64と同心上に形成されている。
壁部64と規制部65との間のスペースは、第一ボタン41の延出部4Cを収納するスペースとされている。
規制部65は、第一ボタン41を軸部4Bの軸方向と直交する方向の移動を規制するものであり、壁部64と対向する壁面が延出部4Cの外周縁部と当接可能とされる。
【0021】
第一支持体61のうち回路基板5に対向する面には、回路基板5に向かって突出する付勢突起部66が4個形成されている。なお、付勢突起部66の数は限定されるものではなく、1個、2個、3個、5個以上であってもよい。付勢突起部66の数は、第一支持体61の大きさなどによって設定される。
第一支持体61の付勢突起部66が形成される面には凹部形成用突出部60Aが複数箇所、例えば、4箇所形成されている。
第一支持体61のうち第一ケース体31と対向する面であって凹部形成用突出部60Aに対応する部分には、第一の爪部381と係合可能な係合凹部610が形成されている。係合凹部610は、規制部65に近接配置されている。
なお、凹部形成用突出部60Aの第一支持体61からの寸法は、付勢突起部66の第一支持体61からの寸法より短い。
本実施形態では、支持部材6の全体が弾性材料で形成されている。そのため、支持部材6の一部を構成する付勢突起部66は弾性を有する。
第一ボタン41を支持した第一支持体61が回路基板5に配置され、かつ、第一ケース体31が第二ケース体32に係合された状態では、付勢突起部66によって、第一ボタン41の軸部4Bの操作部40を、第一の電子部品71の被操作部7Bから離隔する方向に付勢するとともに、規制部65の先端部を第一ケース体31のケース裏面に当接する。
【0022】
第二支持体62は、第一支持体61と同様の構造である。
つまり、第二支持体62は、その中心部に第二ボタン42の軸部4Bを挿通する挿通孔611が形成されている。挿通孔611は第二ボタン42の操作部材本体部4Aの平面形状に合わせて円形に形成されている。
第二支持体62のうち第一ケース体31側の面には、壁部64と規制部65とが形成され、回路基板5に対向する面には付勢突起部66が複数、例えば、4個形成されている。
第二支持体62の凹部形成用突出部60Aに対応する部分には、第二の爪部382と係合可能な係合凹部620が形成されている。係合凹部620は、規制部65に近接配置されている。
ここで、第一の爪部381および第二の爪部382と規制部65とで操作部材4が位置決めされる。
連結片部63は、第一支持体61と第二支持体62とを連結する複数、例えば、2本の帯状部であり、これらの帯状部は、第一支持体61と第二支持体62の一方に力がかかっても、この力が他方に伝達しないようにするために、湾曲して形成されている。
【0023】
[電子機器の操作]
次に、電子機器の操作方法について説明する。
まず、電子機器は、操作前では、支持部材6の付勢突起部66によって、第一ボタン41と第二ボタン42との操作部材本体部4Aが第一ケース体31の開口部341,342から突出するように付勢されるとともに、規制部65が第一ケース体31のケース裏面に当接している。
舌圧測定をするため、被験者は、電子機器の装置本体1を手に持ち、あるいは、テーブルなどに置いた状態で、弾性バルーン2を口にくわえる。
そして、被験者、医師、看護師などの電子機器を操作する者は、指で、第二ボタン42を第二支持体62に形成された付勢突起部66の付勢力に抗して押し込むと、第二ボタン42の軸部4Bに形成された操作部40が第二の電子部品72の被操作部7Bを押し込んで電源をオンする。そして、第二ボタン42を押し込んだ後、第一ボタン41を第一支持体61に形成された付勢突起部66の付勢力に抗して押し込むと、第一ボタン41の軸部4Bに形成された操作部40が第一の電子部品71の被操作部7Bを押し込んで測定ユニット8が作動する。つまり、空気供給部82が作動して流路81を通じて弾性バルーン2に空気が送られる。この状態で、被試験者が弾性バルーン2を舌で押すと、弾性バルーン2および流路81の内部圧力が変化し、この変化した内部圧力が演算部85で演算されて圧力値として表示部33で表示される。
【0024】
電子機器を操作する者は、電源がオンされたなら、第二ボタン42から指を離し、舌圧測定が開始されたなら、第一ボタン41から指を離す。すると、第一ボタン41や第二ボタン42は、支持部材6の付勢突起部66の付勢力により、軸部4Bの軸方向に沿って操作部40と被操作部7Bとが離れる方向に付勢される。
第一ボタン41や第二ボタン42の延出部4Cが、支持部材本体部60と第一ケース体31のケース裏面とで挟持される。第一ボタン41や第二ボタン42の延出部4Cが規制部65の壁面に当接して軸方向と直交する方向の移動が規制される。
【0025】
[実施形態の効果]
(1)ケース3の第一の開口部341および第二の開口部342に操作部材4が配置され、操作部材4と回路基板5との間に、操作部材4を支持する支持部材6が配置され、回路基板5には、被操作部7Bを有する電子部品7が設けられ、操作部材4は、操作部材本体部4Aと、操作部材本体部4Aに設けられた軸部4Bと、操作部材本体部4Aの外周縁から軸部4Bの軸方向と直交する方向に延出してケース3のケース裏面に当接する延出部4Cとを有し、支持部材6は、操作部材本体部4Aを支持する支持部材本体部60と、軸部4Bが挿通される挿通孔611と、支持部材本体部60から突出して形成され操作部40と被操作部7Bとが離れる方向に操作部材4を付勢する付勢突起部66と、支持部材本体部60から突出した延出部4Cの周面部と当接して操作部材4の移動を規制する規制部65と、を有する。そのため、付勢突起部66によって、操作部材4の延出部4Cが、支持部材本体部60とケース3のケース裏面とで挟持されることになり、さらに、規制部65によって、操作部材4の軸部4Bの軸方向と直交する方向でのガタツキを防止できる。
【0026】
(2)ケース3は、ケース裏面から支持部材6に向けて突出する第一の爪部381および第二の爪部382を有し、支持部材6は、支持部材本体部60に設けられ第一の爪部381および第二の爪部382と係合可能な係合凹部610,620を有し、第一の爪部381および第二の爪部382と規制部65とで操作部材4が位置決めされるため、操作部材4の軸部の軸方向と径方向とに沿ったガタツキを防止できる。
【0027】
(3)支持部材6の挿通孔611の周囲において、支持部材本体部60に壁部64が設けられ、規制部65は、付勢突起部66に付勢されて先端部がケース3のケース裏面に当接する構成である。そのため、アルコールや中性洗剤を浸した布でケース3を洗浄する場合など、少量のアルコールなどが支持部材本体部60に浸入したとしても、壁部64と規制部65とによってケース3の内部に侵入することが阻止される。そのため、優れた防水効果を得ることができる。
【0028】
(4)電子機器は、復元力を有する弾性バルーン2と、弾性バルーン2に接続される流路81と、流路81に空気を供給する空気供給部82と、弾性バルーン2および流路81の内部の圧力を測定する圧力測定部83とを備える。そのため、被験者などが舌圧測定のために、指で操作部材4を押したり、指を操作部材4から離したりするが、操作部材4から指を離すと、付勢突起部66の付勢力により、操作部材4が被操作部7Bから離れる方向に付勢され、延出部4Cが支持部材本体部60とケース裏面とで挟持されて操作部材4のガタツキが防止される。
【0029】
(5)支持部材6を弾性材料で形成したため、付勢突起部66を含めた支持部材6の全体を、射出成形などによって容易に成形することができる。
(6)支持部材本体部60は、第一ボタン41の操作部材本体部4Aを支持する第一支持体61と、第二ボタン42を支持する第二支持体62と、第一支持体61と第二支持体62とを連結し湾曲して形成された連結片部63とを有する構成であるため、第一ボタン41と第二ボタン42との一方を操作した際に、第一支持体61と第二支持体62の一方が変形しても、この変形が連結片部63によって第一支持体61と第二支持体62の他方に伝達されることを阻止できる。
【0030】
(7)第一ボタン41の延出部4Cには、操作部材本体部4Aが第一の開口部341に対して出没する際に、第一の爪部381との干渉を阻止する切欠部4Fが形成され、同様に、第二ボタン42の延出部4Cには、操作部材本体部4Aが第二の開口部342に対して出没する際に、第二の爪部382との干渉を阻止する切欠部4Fが形成されている。そのため、支持部材6がケース3に支持された状態で、第一ボタン41および第二ボタン42の軸方向での移動が制限されない。
【0031】
[変形例]
前記実施形態では、電子機器を被験者の舌圧を測定する舌圧測定装置としたが、本発明では、電子機器を、舌圧自体を測定する装置ではなく、舌圧強化トレーニングを行う装置としてもよい。ここで、舌圧強化トレーニング装置は、舌圧の測定値自体を表示部33で表示するだけでなく、舌圧が標準値に達した場合に、音や図形、色で知らせることで、被験者が飽きることなく、訓練を行える装置である。
さらに、本発明は、舌圧測定や舌圧強化トレーニングに関する装置に限定されるものではなく、血圧計、その他の電子機器に適用することができる。
【0032】
仮に、電子機器を舌圧測定装置や舌圧強化トレーニング装置としても、空気供給部をポンプに限定することを要しない。本発明では、空気供給部を、弾性バルーンが変形して弾性バルーンおよび連通流路部の内部の圧力が高くなった時に弾性バルーンおよび連通流路部の空気が外部に流出することを阻止し、弾性バルーンが復元して弾性バルーンおよび連通流路部の内部の圧力が低くなった時に弾性バルーンおよび連通流路部に外部から空気が流入することを許容する逆止弁としてもよい。この逆止弁として、基側から先端に向けて収束するように延出した一対の傾斜リップ部と、傾斜リップ部の先端の合せ面に設けられたスリットとを備えたダックビルバルブを例示することができる。
【0033】
前記実施形態では、支持部材6の全体を弾性材料で形成したが、本発明では、付勢突起部66のみを弾性材料で形成し、支持部材6を構成する付勢突起部66以外の材料を硬質な材料としてもよい。
また、本発明では、操作部材4を1つのボタンから構成してもよく、あるいは、3つ以上のボタンから構成してもよい。
操作部材4を複数のボタンから構成する場合、支持部材本体部60は、複数のボタンをそれぞれ支持する支持体部が必要とされるが、この際、支持体部同士を連結する連結片部は、湾曲して形成されるものに限定されない。
【符号の説明】
【0034】
1…装置本体、2…弾性バルーン、3…ケース、31…第一ケース体、32…第二ケース体、34…板面部、341…第一の開口部、342…第二の開口部、35…外周壁、36…底面部、37…外周壁、381…第一の爪部、382…第二の爪部、4…操作部材、40…操作部、41…第一ボタン、42…第二ボタン、410…被操作面、4A…操作部材本体部、4B…軸部、4C…延出部、4D…板部、4E…壁体部、4F…切欠部、5…回路基板、6…支持部材、60…支持部材本体部、61…第一支持体、610…係合凹部、611…挿通孔、62…第二支持体、620…係合凹部、63…連結片部、64…壁部、65…規制部、66…付勢突起部、7…電子部品、71…第一の電子部品、72…第二の電子部品、7A…部品本体、7B…被操作部、8…測定ユニット、81…流路、82…空気供給部、83…圧力測定部、84…圧力検出部、85…演算部