(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】抗銅バリ特性を有する電解銅箔
(51)【国際特許分類】
C25D 1/04 20060101AFI20220119BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20220119BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20220119BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220119BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220119BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220119BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220119BHJP
H01G 4/008 20060101ALI20220119BHJP
H01G 4/01 20060101ALI20220119BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20220119BHJP
H01G 11/70 20130101ALI20220119BHJP
【FI】
C25D1/04 311
C25D1/00 311
H01M4/64 A
H01M4/66 A
H01M10/052
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01G4/008
H01G4/01
H01M10/058
H01G11/70
(21)【出願番号】P 2019234702
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2020-12-23
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591057290
【氏名又は名称】長春石油化學股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】鄭 桂森
(72)【発明者】
【氏名】頼 耀生
(72)【発明者】
【氏名】周 瑞昌
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 建銘
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0005249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D1/00-1/21/22
H01G2/00-17/00
H01M4/00-50/77
CAPlus/Registry(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.5~4.3kPa*m
2/gの比破裂強度と、
30~40kgf/mm
2の引張強度と、
を有する
電解銅箔であって、
沈積面とドラム面とを有し、前記沈積面は、ナノインデンテーション分析で0.2~2.0GPaの硬度を示す、電解銅箔。
【請求項2】
前記電解銅箔の切り抜き縁部に銅バリが低減された特性をさらに含み、前記銅バリが低減された特性は、前記切り抜き縁部5cmあたり、前記銅バリ数が0~9として定義される、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項3】
前記電解銅箔の切り抜き縁部に銅バリが低減された特性をさらに含み、前記銅バリが低減された特性は、前記銅バリの最大長さが35μmである、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項4】
前記電解銅箔の切り抜き縁部に銅バリをさらに有し、
前記電解銅箔は、5.1~21.4%の伸び率を有し、
前記切り抜き縁部は5cmあたり9未満の銅バリを有する、請求項
1に記載の電解銅箔。
【請求項5】
前記電解銅箔の切り抜き縁部に銅バリをさらに有し、
前記電解銅箔は、5.1~21.4%の伸び率を有し、
前記銅バリの長さは1μm~35μmである、請求項
1に記載の電解銅箔。
【請求項6】
請求項
1に記載の電解銅箔を含むリチウムイオン二次再充電可能電池用集電体。
【請求項7】
請求項
6に記載のリチウムイオン二次再充電可能電池用集電体を含み、1000回を超える充放電サイクル寿命を有する、リチウムイオン二次再充電可能電池。
【請求項8】
切り抜きプロセスの影響で銅バリを有する電解銅箔の製造方法であって、
銅、硫酸、および一般式:
【化1】
で示すポリエーテルアミンを含む電解液よりカソードに銅箔を電着し、
ここで、前記電解液の総重量に基づき、前記ポリエーテルアミンの含有量は3.5~5.5ppmであり、
(x+z)は2~7であり、yは1~9であり、
前記電解銅箔は1.5~4.3kPa*m
2/gの比破裂強度を有し、
前記電解銅箔は30~40kgf/mm
2の引張強度を有
し、
前記電解銅箔は沈積面とドラム面とを有し、前記沈積面は、ナノインデンテーション分析で0.2~2.0GPaの硬度を示すことを含む、電解銅箔の製造方法。
【請求項9】
電着中の前記電解液の温度は45~55℃であることをさらに含む、請求項
8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記電解液に3-メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム(MPS)とマルトデキストリンとを添加することをさらに含む、請求項
9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記電解液の総重量に基づき、前記MPSの含有量は少なくとも3ppmである、請求項
10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記電解液の総重量に基づき、前記マルトデキストリンの含有量は少なくとも5ppmである、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
電解銅箔を構成要素として含む再充電可能なリチウムイオン二次電池であって、
前記電解銅箔は1.5~4.3kPa*m
2/gの比破裂強度と、30~40kgf/mm
2の引張強度とを有し;
銅バリが存在する場合と存在しない場合があり、銅バリが存在する場合には、切り抜き縁部5cmあたり9以下の銅バリを有し、最大銅バリ長さが35μmであり;
前記電解銅箔はドラム面と沈積面とを有し、前記沈積面は、ナノインデンテーション分析で0.2~2.0GPaの硬度を有する、再充電可能なリチウムイオン二次電池。
【請求項14】
前記電池は、交替的なアノード層とカソード層とを有する積層型電池であり、前記交替的なアノード層とカソード層との間にセパレータを有する、請求項
13に記載の再充電可能なリチウムイオン二次電池。
【請求項15】
1000回を超える充放電サイクル寿命を有する、請求項
13に記載の再充電可能なリチウムイオン二次電池。
【請求項16】
電解銅箔を含むキャパシターであって、前記電解銅箔は、
1.5~4.3kPa*m
2/gの比破裂強度と、
30~40kgf/mm
2の引張強度と、
5.1~21.4%の伸び率と、
を含み、
前記電解銅箔は沈積面とドラム面とを有し、前記沈積面は、ナノインデンテーション分析で0.2~2.0GPaの硬度を示し、
前記キャパシターは少なくとも第二銅箔をさらに含み、前記電解銅箔と前記第二銅箔は誘電層で分離される、キャパシター。
【請求項17】
請求項
1に記載の電解銅箔を含み、圧密されたアノード活物質と結合する、電極。
【請求項18】
導電性添加剤をさらに含む、請求項
17に記載の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示抗銅バリ特性を有する電解銅箔の製造方法、および抗銅バリ特性を有する電解銅箔に関する。この新規な電解銅箔は良好な切り抜き(clipping)特性を有する。切り抜き特性は、切り開き(slitting)、切断(cutting)と打抜(punching)特性を含む一般的な用語であり、これらの特性は再充電可能なリチウムイオン二次電池の集電体での使用に貢献する。銅バリの低減は電池の構造と密度を改善し、これにより、より高出力の電池を製造する。一般的には、切り開き、切断または打抜用機械施設の改良で銅バリの産生を低減しようとされている。これは、鋭利な形ナイフを使用するか、より硬い材料を使用することで、電解銅箔の切り開き、切断、打抜、またはほかの機械での細分化に形成される銅バリを低減する。本開示は、引張強度、破裂強度、表面硬度および伸び率の少なくとも一つの特性を調整することで電解銅箔を改良する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は高エネルギー及び高パワー密度を兼備するので、携帯型電子機器、電動工具、電気自動車(EVs)、エネルギー貯蔵システム(ESS)、携帯電話、タブレット、宇宙応用、軍備応用、及び鉄道用の選択技術とされている。電気自動車(EVs)は、ハイブリッド電気自動車(HEVs)、プラグインハイブリッド自動車(PHEVs)及び純バッテリ電気自動車(BEVs)を含む。電気自動車(EVs)が主流の化石燃料(例えば、ガソリン、ディーゼル燃料など)を動力源とする輸送のほとんどを置き換えると、リチウムイオン二次電池は温暖化ガスの排出を大幅に削減する。リチウムイオン二次電池の高エネルギー効率は、飛行機の翼、太陽エネルギー、地熱及び他の再生源から得られたエネルギー品質の向上を含めて種々の電力系統応用に適用させることができ、エネルギー持続可能な経済を築くためのより広範な利用に寄与する。
【0003】
それゆえ、リチウムイオン二次電池は工業及び政府の投資機関から大きな注目を集めており、近来、この領域の研究開発は盛んである。しかしながら、リチウムイオン二次電池は依然として使用安全に懸念があるので、その応用を制限する。
【0004】
これら安全性の課題は、電池メーカーは製造プロセスを変更するようになった。あるリチウム二次電池メーカーによれば、製造プロセスにおけるCu、Al、FeとNi粒子のような金属粒子による汚染は、電池の内部短絡を引き起こす可能性がある。軽い短絡は電池の自己放電を増加させるだけである。放電能は非常に低いため、発生された熱が非常に少ない。ただし、微金属粒子が一点に集まると、大きな電気的短絡が発生し、アノード(負電極)とカソード(正電極)との間に大量な電流が流れる。これにより温度が上昇し、熱暴走(thermal runaway)に導く。電池メーカーは金属粒子の存在を最小限に抑えるように努力しているが、複雑な組み立て技術により、すべての金属粉塵の除去はほぼ不可能である。
【0005】
もう一つ短絡にかかる安全性課題は上記の金属粒子汚染より厳重である。製造プロセスにおいて発生される銅バリは、二次電池により厳重な短絡を引き起こして、温度上昇と熱暴走になる。活物質を含有するアノード層上に突出する大きい銅バリはセパレータを破り、電池内にアノードとカソードとの間の短絡を引き起こしうる。なお、切り開き、切断または打抜プロセス中に銅バリあるいは銅箔表面から銅バリを剥離することによる銅粒子または銅粉末は、アノード表面に付着し、短絡を引き起こす可能性がある。アノードの縁部の部分に付着した銅バリは、電池の作成中、電池に電池素子の組み立て中、または充放電サイクルにおいて電池の使用中に破損する可能性があり、同様の短絡トラブルを引き起こす可能性もある。従来、銅バリまたは銅粉末を除去するための清潔工程は、切り開き装置で電解銅箔を切断した後に必要だったため、電極製造プロセスが複雑になり、製造コストが増加するという問題が生じた。
【0006】
ゆえに、電流の作用でドラムを銅含有電解液に浸漬し、回転カソードドラムに銅を電着して、連続の長さを有する電解銅箔の製造に適用される後に、電池メーカーは、電解銅箔を所定のサイズに細分化にする。電解銅箔の細分化は異なる形態をとることができ、例えば、電解銅箔の縦方向の長さに沿った切り開き、電解銅箔を横方向に切断し、または完成形状を電池が必要とするサイズに打抜くことであってもよい。この連続電解銅箔を切り開き、切断し、または電池が必要とするサイズに打抜するプロセスは、その切り開き、切断、または打抜の縁部に沿って銅バリを発生する可能性がある。
【0007】
電解銅箔を細分化にするプロセスには、特徴が異なる銅バリを引き起こしうる。多量の銅バリ、長さと幅の比率が比較的長い銅バリ、および不規則な形状の銅バリは存在する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本開示の目的は、電解銅箔の細分化に使用される切断、切り開きまたは打抜の技術ではなく、電解銅箔自身の特性により抗銅バリ形成と銅バリの特性が制御される電解銅箔を提供することである。この電解銅箔は主に電池形成に適用されるが、銅箔自身は電極や電解銅箔と、(電解銅箔であってもよい)第二銅箔が誘電物質で分離されるキャパシターの素子とすることができる。電解銅箔の製造方法も開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの実施例において、本開示は、1.5~4.3kPa*m2/g、1.5~3.5kPa*m2/g、1.5~3kPa*m2/g、1.5~2.5kPa*m2/gの比破裂強度を有する電解銅箔に関する。同様に、前記の比破裂強度は、2.0~4.3kPa*m2/g、2.0~3.5kPa*m2/gまたは2.0~3.0kPa*m2/gであってもよい。最後、前記の比破裂強度は2~4kPa*m2/g、3.0~4.3kPa*m2/gまたは3.5~4.3kPa*m2/gであってもよく、および引張強度は30~40kgf/mm2、30~38kgf/mm2、30~36kgf/mm2、30~34kgf/mm2または30~32kgf/mm2であってもよい。同様に、前記の引張強度は32~40kgf/mm2、34~40kgf/mm2、36~40kgf/mm2または38~40kgf/mm2であってもよい。最後、前記の引張強度は32~36kgf/mm2または30~35kgf/mm2であってもよい。
【0010】
もう一つの実施例において、沈積面とドラム面とを有する電解銅箔であって、前記沈積面は、ナノインデンテーション分析で0.2~約2.0Gpaの硬度と、1.5~4.3kPa*m2/gの比破裂強度と、30~40kgf/mm2の引張強度とを有する電解銅箔に関する。
【0011】
さらにもう一つの実施例において、本開示は、1.5~4.3kPa*m2/gの比破裂強度と、30~40kgf/mm2の引張強度とを有する電解銅箔に関する。前記の電解銅箔は、銅バリを形成する切り抜き縁部を有し、前記切り抜き縁部5cmあたり、前記銅バリ数が10未満である。
【0012】
さらにもう一つの実施例において、本開示は、1.5~4.3kPa*m2/gの比破裂強度と、30~40kgf/mm2の引張強度とを有する電解銅箔に関する。前記の電解銅箔は、銅バリを形成する切り開き、切断または打抜の縁部があり、前記銅バリがある場合、前記銅バリの長さは1μm~35μmである、前記切り抜き縁部5cmあたり、前記銅バリの数が0~9である。前記銅バリの長さは1μm未満である場合、前記銅バリは存在しないこととする。
【0013】
もう一つの実施例において、本開示は、銅バリの発生現象が低減された電解銅箔の製造方法に関し、前記低減された銅バリとは切り抜き(前記に定義されるように、切り開き、切断または打抜のいずれもプロセスを含む)を受けたときに、500倍の顕微鏡で5cmあたり、前記の銅バリ数が0~9であることを意味する。用語「切り抜き縁部」は、切り抜きにより形成する新たな縁部と定義され、前記切り抜きは、銅箔を切り開き、切断または打抜して形成された新しい縁部のいずれかである。前記方法は、銅、硫酸、塩化物および一般式で示すポリエーテルアミンを含む電解液で、カソードに銅箔を電着する工程を含む。
【0014】
【0015】
前記ポリエーテルアミンの含有量は、前記電解液の総重量に基づき、3.5~5.5ppmであり、(x+z)は2~7であり、yは1~9である。いくつの実施例において、(x+z)は2.1~5、2.5~6.5、3~6.5、3.5~5または6.5~7である。いくつの実施例において、yは1.5~9、2~8、2.5~8.5、3~7.5、3.5~7、4~6.5、4.5~6または5~9である。
【0016】
さらにもう一つの実施例において、本開示は、前記電解銅箔を構成要素として含む再充電可能な二次リチウムイオン電池に関する。前記電解銅箔は、アノード活物質が塗布され、さらにリチウムイオン二次電池の集電体として使用されてもよい。リチウムイオン二次再充電可能電池用の集電体は、前記電解銅箔の切り抜き縁部に銅バリが低減された特性を有し、前記銅バリが低減された特性は、切り抜き縁部5cmあたり前記銅バリ数が0~9であり、比破裂強度が1.5~4.3kPa*m2/gであり、および引張強度が30~40kgf/mm2である。前記集電体を含むリチウムイオン二次再充電可能電池は1000回を超える充放電サイクル寿命を有する。前記アノード活物質は、前記電解銅箔の沈積面に沈積され、その後ローラー間で圧着させるスラリーであってもよい。ローラーの圧力は、前記アノード活物質を前記電解銅箔の沈積面に結合させるために必要であるが、前記圧着工程は前記電解銅箔にシワ(wrinkle)を作る可能性があり、そのシワは前記電解銅箔を構成要素とするリチウムイオン二次電池の長期間の充放電サイクル寿命に有害である。ゆえに、昔からアノード活物質を電解銅箔の粗面または沈積面に結合させるための圧着工程中にシワを発生しない電解銅箔を提供する必要がある。さらにもう一つの実施例において、本開示は、切り抜きプロセスを受けた場合に、銅バリの発生現象が低減された電解銅箔を含むキャパシターに関する。前記電解銅箔は、1.5~4.3kPa*m2/gの比破裂強度と、30~40kgf/mm2の引張強度と、5.1~21.4%の伸び率を有する。前記キャパシターは少なくとも第二銅箔をさらに含み、前記電解銅箔と前記第二銅箔は誘電層で分離される。キャパシターは、前記の電解銅箔を構成要素として含む。電解銅箔を含むキャパシターであって、前記電解銅箔は、1.5~4.3kPa*m2/gの比破裂強度と、30~40kgf/mm2の引張強度と、5.1~21.4%の伸び率とを有し、前記キャパシターは少なくとも第二銅箔をさらに含み、前記電解銅箔と前記第二銅箔は誘電層で分離されるキャパシターである。
【0017】
前記および他の実施例は、添付の図面および以下の詳細な説明および実施例と併せてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のリチウムイオン電池構造の部分断面の模式図である。
【
図2B】
図2Aで製造された電解銅箔をその縦方向(または搬送方向)の長さに沿って切り開いて細分化にさせる模式図である。
【
図2C】
図2Bに示された切り開きで製造された圧延銅箔の模式図である。
【
図3】従来の切り開きプロセスにおいて使用される上部ナイフと下部ナイフの模式図である。
【
図4】切り開いた電解銅箔縁部の銅バリを視覚的に示すための、500倍に拡大された切り開いた電解銅箔の縁部の上面図の顕微写真である。
【
図5】本開示に使用される銅バリのアドバンスド定義に従って単一の銅バリを測定する実例とする
図4の顕微写真の線画である。
【
図6】電解銅箔の切り開きまたは切断縁部に多種の銅バリの形状が形成できる模式図である。
【
図7】銅バリのISO 13715:2017定義に使用される模式図である。
【
図8A】本開示に使用される銅バリのアドバンスド定義を使用する銅バリの模式図である。
【
図8B】本開示に使用される銅バリのアドバンスド定義を使用する銅バリの模式図である。
【
図8C】本開示に使用される銅バリのアドバンスド定義を使用する銅バリの模式図である。
【
図8D】本開示に使用される銅バリのアドバンスド定義を使用する銅バリの模式図である。
【
図9】電解銅箔の切り開き縁部に形成された銅バリを測定する試験方法の模式図である。
【
図10】電解銅箔の破裂強度を測定する試験装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、添付の図面を参照して説明され、図面全体において類似のまたは同等の要素を示すために同様の参照番号が使用される。図は縮尺通りに描かれておらず、単に本発明を説明するために提供されている。本発明のいくつかの態様は、例示のための実施例を参照して上で説明されている。本発明を完全に理解するために、多数の特定の詳細、関係および方法が記載されていることを理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本発明が1つ以上の特定の詳細なしでまたは他の方法で実施できることを容易に認識できる。本発明を混乱させないために、他の例では、周知の構造または動作は詳細に示されていない。いくつかの動作は異なる順序および/または他の動作またはイベントと同時に発生する可能性があるため、本発明は、説明された動作またはイベントの順序によって制限されない。さらに、本発明の例示されたすべての動作またはイベントは、方法論により実施する必要がない。
【0020】
図1は典型的なリチウムイオン二次電池10の部分断面を模式的に示す。リチウムイオン二次電池10の構造は、一連のセパレータ19、20で負極16と正極18を分離する交替的層を含む「ゼリーロール」複合材料14を囲むポーチ12を含む。負タブ22は負極16に付着されることができ、正タブ24は正極18に付着されることができる。正タブ24と負タブ22の目的は、リチウムイオン二次電池10を電池電力で稼働する外部素子、例えば、電気モーター、電子回路、電気自動車(EVs)またはほかの素子に取り付ける。負極16と正極18との各層は互いに電気絶縁に維持され、セパレータ19、20は負極16の縁部の銅バリにより貫かれないことは重要である。銅バリの存在が各層との間の固めを妨げることも望ましくない。本発明は低減された銅バリ発生現象を有するので、複数の層を互いに緊密に加圧することができ、良好な切断または打抜特性を有する電解銅箔を使用し、また、得られた二次電池に良好な充放電サイクル寿命を有することにより、高密度と高発電の二次電池を形成する。電池ケース内の素子の内部容積を小さくすると、電池ケース内の発電素子の密度が高くなり、エネルギー密度が向上する。積層された再充電可能な二次リチウムイオン電池は、本明細書に記載の電解銅箔に沈積されたアノード活物質層と、アルミニウムのような別の金属箔に沈積されたカソード活物質層を交替的に重ねたことにより形成されてもよく、前記交替的なアノードとカソード層は絶縁セパレータ層でインターリーブされている。例えば、アノードは、電解銅箔の沈積面にアノード活物質を沈積し、銅箔とその上のアノード活物質の両方をローラー加圧機の対面するニップローラーに通すことにより、アノード活物質と電解銅箔とを結合させることで形成されてもよい。電解銅箔は、より大きい銅箔を切り開く/切断/打抜することにより、電池のアノード層の必要なサイズに細分化されてもよい。セパレータに使用可能な絶縁体は、多孔質薄膜、織物繊維または不織布繊維であってもよい。セパレータとして好適な物質は、ポリエチレンとポリプロピレンのようなポリオレフィンを含む。交替的な層とセパレータは緊密に圧縮され、非金属または金属ケースに覆われてもよい。ケースを封止する前に電解液をケースに導入して、1000回を超える充放電サイクルが可能な高密度電源を形成することができる。電解液は非水性であるが、電解質塩(例えば、リチウム塩)および電解質塩を溶解するための非水溶媒と含む液体、ゲル、または固体の非水溶液電解液の形態であってもよい。
【0021】
図2Aは、銅イオンを含む硫酸銅電解液で電解銅箔を製造するための典型的な電着装置および方法の模式図である。回転ドラム25は電解液27を含むタンク26に部分的に浸漬する。電解液27は、通常、細断ワイヤの形態の高純度の銅が溶解された硫酸を含む。本開示は、硫酸銅電解液1リットルあたり、3mg/kgの3-メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム(MPS、Hopax Chemicals Manufacturing Company株式会社製)、25ppm(Cl
-)の塩酸塩(RCI Labscan株式会社製)と、5mg/kgのマルトデキストリン(San Soon Seng株式会社製)と、3.5~5.5mg/kgの下記式(I)を有するポリエーテルアミンを添加してもよい:
【0022】
【0023】
(x+z)は2~7であり、yは1~9であり、本発明の開示に使用されている市販のポリエーテルアミン(ED-900またはED-2003)は、そのポリエーテルアミンの(x+z)の平均値が約3.6~約6であり、yの平均値が約9~約39である。前記のポリエーテルアミンの平均分子量(MW)は約600~2000である。ドラム25はカソードとし、不溶性金属アノード28は電解液27と接触する。電解質は、ポート29から電解液27をポンプすることで連続的に補充することができる。アノード28とドラム25との間に電流密度50A/dm2、温度45℃~55℃で直流電(DC)を印加する影響で、原反電解銅箔30が約8μmに到達するまで連続に沈積され、その時点でその原反電解銅箔30をドラム25から剥離する。当業者は、用語「ドラム面」(あるいはS面または光沢面)31を使用してドラム25の表面に対して電解銅箔を直接に形成する面を示す。ドラム25の表面は研磨により調整することができるため、その表面粗度(Rz)は、原反電解銅箔30のドラム面31に付与される。ドラム25の表面には鏡面仕上げを施すことができる。一方、原反電解銅箔30の反対側は、「沈積面」(当技術分野ではM面または粗面とも呼ばれる)32を有し、その表面粗度は、電解質27からの銅の沈積プロセスによって調整される。一連のガイドローラ33、34、35、36は、さび防止溶液38を含む第2のタンク37を通して原反電解銅箔30を搬送する。さび防止溶液38は、当該電解銅箔表面のさびを防ぐために、原反電解銅箔30のドラム面31と沈積面32の両方を被覆する。さらなる一連の搬送ローラー39、40、41、42は、表面処理された銅箔43上のさび防止溶液を乾燥させるための一連のエアナイフ44、45、46、47を通して表面処理された銅箔43を引き込む。表面処理された銅箔43は、保管または輸送されてさらなる処理を行うためにマザーロール48に巻き付けることができる。
【0024】
図2Bに示すように、表面処理銅箔43はマザーロール48から巻き戻され、箇所49で表面処理銅箔をその縦方向に沿って切り開くことにより細分化され、ロール製品50および耳を形成する。本目的において、「切り抜き縁部」は、銅箔の元のサイズを縮小する切り開き、切断、打抜または他の方法によって銅箔に形成された任意の縁部である。
【0025】
図2Cに示すように、ロール製品50は、電池メーカーがゼリーロールタイプのリチウムイオン二次電池を形成するために直接利用することができ、または縦方向を横切るように切断することによってさらに細分化され、積層型リチウムイオン電池の部品を形成することができる。
【0026】
図3は、実際の切り開きプロセスの模式図であり、表面処理された銅箔43は、上部ナイフ51と下部ナイフ52との間を通過して、銅箔上に新しい縁部53を形成する。前記の新しい縁部53は、切り抜き縁部、または面処理された銅箔43を切り抜きして形成された縁部である。
【0027】
図4は、表面処理された銅箔43の切り抜き縁部53上の銅バリ54を示す500倍に拡大された顕微写真である。
【0028】
図5は、本明細書および特許請求の範囲を通して利用される銅バリの定義を説明するために、表面処理された銅箔43上の切り抜き縁部53を示す
図4の線画である。不規則な銅バリのサンプルは、
図4の500倍の顕微写真の線画描写ではっきりと見ることができる。点Aと点Bは、
図8Aに関連して説明した銅バリのアドバンスド定義に従って、
図5において明確に標記されている。先端にも標記されている。この特定の場合において、単一の銅バリは、先端線と基線の間の長さが71.72μmである。
【0029】
図6は、表面処理された電解銅箔43の切り抜き縁部53上に形成することができる様々な形状の銅バリ55、56、57、58の模式図である。
【0030】
図7は、ISO 13715:2017の定義における銅バリ64が使用される図であり、43は表面処理された銅箔を表し、53は切り抜き縁部を表す。ISO 13715:2017の定義では、59におけるアンダーカットのサイズと60における鋭い縁部のサイズを特定している。これらの理論的な形状は、実際に視覚的に観察されたサンプルにはほとんど見られないため、銅バリの外観と縁部上の銅バリの数を具体的に説明するために、本発明者らは、異なる銅バリ定義を採用している。
【0031】
本出願は、
図8A-8Dに示されるように、銅バリのアドバンスド定義を使用する。本明細書における銅バリのアドバンスド定義は、銅バリの先端点から始まり、第1方向に銅バリ65の根部と表面処理された電解銅箔43の切り抜き縁部53との間の第1接合点は、点Aとして定義される。同じ原理に従って、接合点Bは、第1方向の他の方向で定義されることができる。銅バリ65の基線は、点Aと点Bとを接続することにより見出される。当該銅バリの先端線66は、銅バリ65の先端を通り、基線に平行な線である。
図8B-8Dに示されるように、先端線66は、切り抜き縁部53に平行であってもなくてもよい。
【0032】
図9は、電解銅箔の切り開き縁部に形成された銅バリを測定するための試験方法の模式図である。
図9に示されるように、表面処理された銅箔43から5cm×5cmのサンプル70を取る。500倍の顕微鏡検査で、銅バリがあれば、切り開き縁部に沿って当該銅バリが見える。銅バリの形状がどんなに不規則であっても、サンプル5cmあたり、長さ1μm~35μmの銅バリが500倍の顕微鏡で認識できる限り、一つの銅バリと呼ばれる。また、
図8Aに関連して説明したように、先端線と基線との間の距離を測定することにより、銅バリの長さが記録される。点Aと点Bの間の銅バリの形状がどんなに不規則であっても、記録される銅バリの量は1つだけである。5cmあたりのサンプル長さに基づいて銅バリの総数を計算する。
【0033】
図10は、電解銅箔の破裂強度を測定するための試験装置80の模式図である。電解銅箔のサンプル(わかりやすくするために省略)をクランプリング81とダイアフラム(diaphragm)82の間に配置し、電解銅箔の沈積面を上向きでクランプリング81に向ける。電解銅箔に対してクランプリング81を下げ、クランプリングとダイアフラムの間で電解銅箔の滑りを防ぐために十分な圧力を加え、破裂強度はGS-QC-Tester Instrμment Enerprise株式会社のモデルGS-7611の破裂強度試験機を使用して、電解銅箔サンプルが破損したときの最大圧力を測定することにより決定する。比破裂強度単位はkPa*m
2/g=破裂強度(kPa)/単位面積重量(g/m
2)である。
【0034】
本開示は、添加剤で電解液を調整する場合には、銅バリの数、銅バリの長さ、またはその両方の少なくとも1つに影響を与えることが見出された。式(I)を有するポリエーテルアミンを使用した場合:
【0035】
【0036】
銅バリの長さは繰り返し単位の数(x+z)によって変化し、破裂強度は異なる(x+z)により変更し、比破裂強度による異なる長さの銅バリをもたらす。一方、繰り返し単位yの濃度と数を変更すると、銅バリの数が変化し、繰り返し単位yの濃度が異なると、引張強度が変化し、引張強度が異なると、銅バリの量が異なる。一般に、(x+z)が2~7の範囲にあり、yが1~9の範囲にあると、最もよい結果が得られることがわかった。電解液に他の成分を加える場合には、以下の実施例および比較例において、これらの他の成分を本質的に同じに維持することで、ポリエーテルアミンの作用は、組成物に異なる結果をもたらす変数の1つである。
実施例および比較例
【0037】
以下の表1は、実施例1~11および比較例1~17で使用される組成物を示している。表2は、表1の実施例1~11および比較例1~17の組成物から得られた電解銅箔の特性を示している。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
試験方法
【0043】
以下は、引張強度、伸び率および面積重量を測定するための試験方法である。
【0044】
引張強度:IPC-TM-650の方法に従って、電解銅箔を切断し、サイズが100mm×12.7mm(長さ×幅)のサンプルを得た。当該サンプルは、株式会社島津製作所製のAG-I型試験機を用いて、室温(約25℃)で、チャック間距離50mmおよびクロスヘッド速度50mm/minの条件で測定した。
【0045】
伸び率:IPC-TM-650の方法に従って、電解銅箔を切断して、サイズが100mm×12.7mm(長さ×幅)のサンプルを得た。当該サンプルは、株式会社島津製作所製AG-I型試験機を用いて、室温(約25℃)で、チャック間距離50mmおよびクロスヘッド速度50mm/minの条件で測定した。電解銅箔の伸び率は5.1~21.4%である。
【0046】
単位面積重量:IPC-TM-650の方法に従って、各電解銅箔からサイズが長さ100mmx幅100mmであるサンプルを切断し、メトラー・トレド株式会社製のAG-204型微量てんびんを使用して、サンプルを測量した。各サンプルにおいて、読み取れた数値に100をかけることで単位面積重量(g/m2)が得られた。
【0047】
比破裂強度:IPC-TM-650 2.4.2法に従って、電解銅箔を切断し、サイズが100mm×100mm(長さ×幅)のサンプルを得た。沈積面が上になるよう、試験用銅箔サンプルをダイアフラムの上に配置する。クランプリングを下げて、平板間でサンプルが滑らないように十分な圧力を加える。破裂強度は、GS-QC-Tester Instrμment Enerprise株式会社のモデルGS-7611の破裂強度試験機を使用して電解銅箔サンプルが破損したときの最大圧力を測定する。
比破裂強度(kPa*m2/g)=破裂強度(kPa)/単位面積重量(g/m2)
【0048】
ナノインデンテーション硬度:サイズが長さ100mmx幅100mmであるサンプルを、曲率半径≦50nmのバーコビッチ圧子を使用するインデンターシステム(MTSナノインデンターXPWシステム、モデルXPW291)で分析された。押込み速度は0.04mm/sである。表面プロファイルは不規則であるため、硬度の初期測定値は高くなる傾向がある。押込み深さは深ければ深いほど、その硬度値は安定になる。したがって、300nm押込み深さでの押込み硬度を記録した。
【0049】
銅バリの測定:銅箔の切り抜き縁部53(
図3と
図9に示される)に沿って、5cmX5cmのサンプルを取る。500倍の顕微鏡で5cmの切り抜き縁部にある銅バリを検査する。まず、下記の原則に沿って接合点を定義しなければならない:銅バリの先端点から始まり、1つの方向にある銅バリの根部と銅箔の縁部との間の接合点を点Aと点Bに定義される。点AとBとを接続することにより基線を形成する。銅バリの先端点で基線に平行な線(先端線)を設定する。銅バリの長さは、基線と先端線(両平行線)と垂直する垂直線である。小さい突起領域をバリと誤認されないために、銅バリの長さが1μmを上回るものだけは銅バリとみなす。
実施例および比較例の分析と検討
【0050】
引張強度:実施例2、7:ポリエーテルアミンの濃度(ppm)が増加する場合、引張強度が増加する。比較例9、10:ポリエーテルアミンの濃度が高すぎまたは低すぎる場合、引張強度は30~40kgf/mm2の範囲外にある。実施例3、6:ポリエーテルアミンのy値が増加する場合、引張強度が増加する。比較例6:y値が高すぎる場合、引張強度は30~40kgf/mm2の範囲外にある。
【0051】
破裂強度:実施例2、3:ポリエーテルアミンの(x+z)値が増加する場合、破裂強度が増加する。比較例2:(x+z)値が低すぎる場合、破裂強度が低すぎる。実施例1、2、5と11:電解銅箔の厚さが厚い場合、破裂強度は強くなる。
【0052】
銅バリの量:引張強度が増加する場合、銅バリ数が低減する。引張強度が高すぎるまたは低すぎる場合(>40または<30)、銅バリの量は多すぎる。理論に縛られたくないが、引張強度が強いほど、観察された銅バリは少ないことを発見した。
【0053】
銅バリのサイズ:破裂強度が増加する場合、銅バリのサイズが増加する。理論に縛られたくないが、比破裂強度が小さいほど、銅バリのサイズが小さいであることを発見した。破裂強度が高すぎるまたは低すぎる場合、銅バリは多すぎる。
【0054】
銅バリ数:銅バリ形状のどんなに不規則であっても、銅箔長さ5cmあたり、その長さは1μm~35μmの銅バリだけを計算する。
比較例6:引張強度は上限(40kgf/mm2)を超える場合、および比較例12:引張強度が30kgf/mm2未満である場合、銅バリ数が増加する。
【0055】
銅バリの長さ:銅バリの長さは、基線と先端線(両平行線))と垂直する。小さい突起領域を銅バリと誤認されないために、銅バリの長さが1μmを超えるものだけは銅バリとみなす。実施例2:比破裂強度(kPa*m2/g)は低い場合、銅バリの長さ(μm)は低減する。実施例11:比破裂強度は高い場合、銅バリの長さは増加する。比破裂強度が1.5~4.3kPa*m2/gである場合、良好な充放電サイクル寿命特性を有する。
【0056】
沈積面ナノインデンテーション硬度:比較例17:電解液の温度は60℃に到達する場合、沈積面の表面ナノインデンテーション硬度(GPa)は0.2GPaに下回る。表面はかなり柔らかいので、ローラーで負活物質を圧着するとき、電解銅箔にたくさんのシワが現れる。このような電極は続きのアッセンブリ工程へ移行することはできない。比較例15と16は、電解液温度は60℃を下回る場合、沈積面の表面ナノインデンテーション硬度(GPa)は上限の2GPaを上回ることを示す。表面が硬すぎるので、銅箔表面と圧着ローラーとの間に十分な緩衝がなく、たくさんのシワも現れる。比較例15、16と17に示す電解銅箔は受け入れない。
本開示の電解銅箔で製造されたリチウムイオン二次再充電可能電池の充放電サイクル試験
【0057】
下記の通り、積層型リチウムイオン二次電池を製造し、また、高いcレート(high c-rate)充電と放電試験を行った。下記表3に示すように、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)をカソード物質の溶剤として使用し、固液比を195wt%(100gのカソード物質:195gのNMP)とすることでカソードスラリーを製造した。NMPをアノード物質の溶剤として使用し、固液比を60wt%(100gのアノード物質:60gのNMP)とすることでアノードスラリーを製造した。
【0058】
【0059】
充放電サイクル試験(初期容量の80%まで)
【0060】
そして、アルミニウム箔にカソードスラリーを塗布し、本開示の電解銅箔にアノードスラリーを塗布した。溶剤が蒸発した後、アノードとカソードを圧密して所定のサイズに切断された。圧着はローラー加圧で行うことができ、そこでは電解銅箔とアノード物質が対面するローラーのニップを通す。金属箔のいずれかのシワまたは割れは、電池の欠損または充放電サイクルの減低を引き起こす。通常、可視なシワのある金属箔は電池に組み立てない。沈積面(あるいはM面または粗面)の表面硬度は、圧着工程におけるしわの形成を抵抗する。その後、カソードとアノードはセパレータ(Celgard社製)がその間に挟まれるように交替的に積み重ね、積層膜で成形された容器に位置された。そして、容器に電解質を充填し、封止して電池を形成した。積層型電池のサイズは41mmx34mmx53mmであった。充電モードは定電流-定電圧(「CCCV」)モードであり、充電電圧は4.2Vであり、充電電流は5Cであった。放電モードは定電流(「CC」)モードであり、放電電圧は2.8Vであり、放電電流は5Cであった。電池の充電-放電試験は高温(55℃)で行った。サイクル寿命は、公称容量(nominal capacity)が初期の定格容量(rated capacity)の80%を下回る前に、電池が進行できる充放電サイクルの数で定義され。表2における記号「○」は、サイクル数が1、000回を超えることを意味する。表2における記号「×」は、サイクル数が1、000回未満であることを意味する。
【0061】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、本明細書で使用される単数形「一つ」および「前記」は、複数形も含むことを意図している。さらに、詳細な説明および/または特許請求の範囲で「からなる」、「含有する」、「有する」またはその変形の用語が使用される限り、そのような用語は「含む」という用語と同様の方法を含む。
【0062】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する分野の当業者によって普通に理解される内容と同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそう定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことが理解される。
【0063】
明細書に列挙される任意の数値範囲は、そこに包含されるすべての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。たとえば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値1と最大値10の間のすべての従属範囲を含むことを意図している。つまり、最小値が1以上で最大値が10以下である。開示されている数値範囲は連続しているため、最小値と最大値の間のすべての値が含まれる。特に明記しない限り、このアプリケーションで指定されるさまざまな数値範囲は近似値である。
【0064】
本開示の範囲内で、上下に記載の技術的特徴(例えば実施例)を自由にかつ相互に組み合わせて、新規または好ましい技術的解決策を形成することができると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0065】
10 リチウムイオン二次電池
12 ポーチ
14 複合材料
16 カソード
18 アノード
19、20 セパレータ
22 負タブ
24 正タブ
25 ドラム
26 タンク
27 電解液
28 アノード
29 ポート
30 原反電解銅箔
31 ドラム面
32 沈積面
33、34、35、36 ガイドローラ
37 第2タンク
38 さび防止溶液
39、40、41、42 搬送ローラー
43 表面処理された銅箔
44、45、46、47 エアナイフ
48 マザーロール
49 (マーカー)箇所
50 ロール製品
51 上部ナイフ
52 下部ナイフ
53 縁部
54、64、65 銅バリ
55、56、57、58 異なる形状の銅バリ
59 アンダーカット
60 鋭い縁部
66 先端線
70 サンプル
80 試験装置
81 クランプリング
82 ダイアフラム
A、B 点