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特許7011653薄葉紙ログの生産及び包装ラインの管理方法及び前記方法を使用する生産及び包装ライン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】薄葉紙ログの生産及び包装ラインの管理方法及び前記方法を使用する生産及び包装ライン
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20220119BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A47K10/16 D
B65B57/00 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019516511
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2017055835
(87)【国際公開番号】W WO2018060841
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】102016000096943
(32)【優先日】2016-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】504004902
【氏名又は名称】フアビオ・ペリニ・ソシエタ・ペル・アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】パガネッリ,ルーカ
(72)【発明者】
【氏名】ギゼリ,ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】フラズネッティ,ルーカ
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04328931(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0292155(US,A1)
【文献】特開平01-139361(JP,A)
【文献】特開2013-070954(JP,A)
【文献】特開2004-236878(JP,A)
【文献】特開2006-007415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/16
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄葉紙製品(R)の生産及び包装ライン(1)を管理する方法であって、
前記生産及び包装ライン(1)が、
少なくとも一つのログ(L)アキュムレータ(7)と、
ログアキュムレータ(7)の上流に設けられ、少なくとも一つの巻解き装置(9A,9B)及び一つ巻戻し装置(13)を備えた第一セクション(3)と、
アキュムレータ(7)の下流に設けられ、少なくとも一つの処理ステーション(17A,17B,21A,21B;23A,23B;24A,24B)を備えた第二セクション(5)と
を有し、
前記方法が、
・巻解き装置(9A,9B)を用いて親リール(B)を巻解き、巻戻し装置(13)に向けて薄葉紙プライ(N)を供給するステップと、
・巻戻し装置(13)において、薄葉紙プライを巻き、薄葉紙のログ(L)を連続的に形成するステップと、
・ログアキュムレータ(7)に巻戻し装置(13)によって製造されたログ(L)を蓄積するステップと、
・第一セクション(3)又は第二セクション(5)による少なくとも一つの一時停止又は一時減速要求を検出するステップと、
・要求された一時停止又は一時減速を実行する前に、一時停止又は一時減速が生産及び包装ラインの生産率に与える影響を最小限に抑えるように、生産及び包装ラインの少なくとも一つの装置の生産速度を一時的に変更するステップであって、前記生産速度の一時的な変更が、ログアキュムレータ(7)の充填レベルの変更であるステップと、
・生産及び包装ラインの前記少なくとも一つの装置の生産速度を一時的に変更した後に、要求された一時停止又は一時減速を実行するステップと
を有することを特徴とする薄葉紙製品の生産及び包装ライン管理方法。
【請求項2】
・未だ生じてない将来の状態又は事象を予測するステップと、
・前記予測に基づいて、前記状態又は事象が生じる前に、停止が生産及び包装ラインの動作全体に与える影響を低減するために、生産及び包装ラインの装置又はセクションの動作を変更するステップと
を有することを特徴とする請求項1に記載の生産及び包装ライン管理方法。
【請求項3】
生産及び包装ラインの少なくとも一つの装置の生産速度を一時的に変更するステップが、
(a)一時停止又は一時減速要求が第一セクション(3)からくる場合に、ログアキュムレータ(7)に存在するログ(L)の量を一時的に増加し、
(b)一時停止又は一時減速要求が第二セクション(5)からくる場合に、ログアキュムレータ(7)に存在するログ(L)の量を一時的に減少するように
ログアキュムレータ(7)の充填レベルを変更するステップを含み、
要求された一時停止又は一時減速を、ログアキュムレータ(7)の充填レベルを変更した後に実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
生産及び包装ライン(1)の前記少なくとも一つの装置の生産速度を一時的に変更するステップが、
a.一時停止又は一時減速要求が第一セクション(3)からくる場合、一時停止又は一時減速の前にログアキュムレータ(7)に蓄積されたログの量を増加するように、第二セクション(5)の少なくとも一つの装置を減速するステップと、
b.一時停止又は一時減速要求が第二セクション(5)からくる場合、一時停止又は一時減速の前にログアキュムレータ(7)に蓄積されたログの量を減らすように、第二セクション(5)の少なくとも一つの装置を加速するステップと
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
一時停止又は一時減速要求が第一セクション(3)からくる場合、生産及び包装ライン(1)の少なくとも一つの装置の生産速度を一時的に変更するステップが、
一時停止又は一時減速の前に、ログアキュムレータ(7)に蓄積されたログの量を増加するように、第一セクション(3)の少なくとも一つの装置を加速するステップを有する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
一時停止又は一時減速要求が、摩耗を受ける材料又は消耗品の交換又は補充の必要性によって生じる
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
巻解き装置(9A,9B)における親リール(B)の交換の必要性を検知するステップと、
第一セクション(3)によって一時停止又は一時減速要求を生成するステップと
を有することを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
第二セクション(5)が、薄葉紙のログ(L)を切断するため少なくとも一つの刃(17L)を備えた少なくとも一つの切断装置(17A,17B)を有し、
・ログアキュムレータ(7)からくる各ログ(L)を、前記切断装置(17A,17B)を用いて複数のロール(R)に切断するステップと、
・刃(17L)の摩耗に相関するパラメータを検知するステップと、
・刃の摩耗が、刃(17L)の交換を必要とするようなものである時に、第二セクション(5)によって一時停止又は一時減速要求を生成するステップと
を有することを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
第二セクション(5)が少なくとも一つの包装装置(21A,21B,23A,23B)を備え、
・包装装置(21A,21B,23A,23B)に関連付けられたシート材料のストックからくるシート材料(F1,F2)を用いて薄葉紙製品(R)のグループを包装するステップと、
・シート材料(F1,F2)のストックの消耗に相関するパラメータを検知するステップと、
・シート材料(F1,F2)のストックが補充を必要とする時に、第二セクション(5)によって一時停止又は一時減速要求を生成するステップと
を有することを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
・前記第二セクション(5)において、ログアキュムレータ(7)からくるログ(L)の流量を、二つの部分的流量に分割するステップと、
・並行に配置され、各々が少なくとも一つの装置(17A,17B;21A,21B,23A,23B;24A,24B)を備えた二つのブランチ(19A,19B)に二つの部分的な流量を供給するステップと、
・二つの並行なブランチに対して時間をずらした方法で一時停止又は一時減速要求を発生させるように、並行な二つのブランチ(19A,19B)における装置の動作速度を調整するステップと
を有することを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
・親リール(B)の交換の必要性が近づいた時に一時停止又は一時減速要求を生成するステップ、
・第二セクション(5)の装置の速度を減速するか、又は、第一セクション(3)の装置の速度を上げて、ログアキュムレータ(7)に蓄積されるログ(L)の数を増加させるステップと、
・ログアキュムレータ(7)のログ(L)の数を増加した後に、巻戻し装置(13)を停止又は減速して、親リール(B)を交換するステップと
を有することを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
・生産及び包装ラインの複数の装置からくる複数の一時停止又は一時減速要求を検知するステップと、
・生産及び包装ラインの複数の装置からくる一時停止又は一時減速要求を、少なくとも部分的に時間を重複させて、少なくとも二つの一時停止又は一時減速を実行するように、相互に時間的に調整するステップと
を有することを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
・生産及び包装ラインの複数の装置からくる複数の一時停止又は一時減速要求を検知するステップと、
・相互に並行な二つ以上のブランチにおいて時間的にずらして連続的に一時停止又は一時減速を行うステップと
を有することを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
生産及び包装ラインの制御ユニット(27)から一つ又は複数のモバイル電子装置へ、要求された一時停止又は一時減速に関する情報を通信するステップを有する
ことを特徴とする請求項1~13に記載の方法。
【請求項15】
前記情報が、前記一時停止又は一時減速の時間に関する情報を含む
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
・製造及び包装すべき製品のレシピを定義する複数の生産パラメータを記憶するステップと、
・生産及び包装ラインの少なくとも一つの装置の最大生産速度を、前記生産パラメータの関数として設定するステップと
を有することを特徴とする請求項1~15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
薄葉紙製品の生産及び包装ライン(1)であって、
少なくとも一つのログ(L)アキュムレータ(7)と、
ログ(L)アキュムレータ(7)の上流に設けられ、少なくとも一つの巻解き装置(9A,9B)及び一つの巻戻し装置(13)を有する第一セクション(3)と、
ログ(L)アキュムレータ(7)の下流に設けられ、少なくとも一つの処理ステーション(17A,17B,21A,21B,23A,23B,24A,24B)を備えた第二セクション(5)と、
請求項1~16の何れか一項に記載の方法を実行するように構成され配置された制御システム(25A,25B,27)と
を有することを特徴とする生産及び包装ライン。
【請求項18】
生産及び包装ラインの少なくとも一つの装置に関連付けられた一時停止又は一時減速の必要性を予測するシステムを有する
ことを特徴とする請求項17に記載の生産及び包装ライン。
【請求項19】
請求項1~16の何れか一項に記載の方法を実行するプログラムを含むデータ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半完成品材料に対して連続的に機械的作業を実行して完成品を得るために順番に配置された複数の装置から成るラインを管理する方法に関する。より具体的には、薄葉紙ログの製造及び包装ラインを管理する方法が開示され、ここでは、半完成品又はロールの完成品のパックが、薄葉紙の親リールから得られる。
【背景技術】
【0002】
薄葉紙のロール、例えば、トイレットペーパやキッチンペーパのロールを製造及び包装するために、変換及び包装ラインが使用される。このラインは、典型的な構成において、各々が、巻戻し装置に向けて(単一又は複数の)薄葉紙プライを供給する一つ又は複数の巻解き装置を有し得る。二つ以上の巻解き装置が、複数のリールからくる複数のプライを供給するために並行に動作し得る。幾つかの構成では、二つ以上の巻解き装置が、直列に動作するように配置され、一つ以上の巻解き装置が、一つ又は複数の親リールから薄葉紙を供給している間に、他の一つ又は複数の巻解き装置が、使い切ったリールを新しいリールに交換することができるようにする。
【0003】
通常、コンバーティング及び包装ラインにおける一つ以上の巻解き装置が設けられた巻解きステーションの下流には、巻戻し装置が設けられ、巻戻し装置において、一つ又は複数の薄葉紙プライがログに巻かれる。前記ログは、販売及び消費を目的とした完成品ロールの直径と同じ直径を有するが、その軸線方向長さは、完成品の軸線方向長さの倍数の長さである。巻戻し装置の下流には、通常、アキュムレータが配置され、アキュムレータは、巻戻し装置及び一つ以上の巻解き装置(並びに、エンボス加工装置、印刷装置、穿孔ユニット、プライ接合ユニット等のような任意の別の補助装置)を備えた第一上流ステーションを、第二下流ステーションから分離する。アキュムレータの下流又は上流には、通常、ログの端部をシールするために、並列に配置された一つ以上の装置が設けられる。
【0004】
本明細書において、用語「上流」及び「下流」は、ラインに沿った材料の一般的な供給方向を基準とする。下流のセクションは、巻戻し装置からくるログを処理する一つ以上の装置を有する。
【0005】
端部をシールする一つ以上の装置の下流には、一つ以上の切断装置が配置され得、前記切断装置は、単一ログを、販売及び消費用のロールに切断する。次いで、ロールは包装装置に供給される。幾つかの例では、複数のロールをまとめて、それらを、例えば、プラスチックフィルムのようなシート材料によって形成されたパックに包装する包装装置が設けられ得る。その後、複数のパックは、一つ以上の結束装置に供給され得、前記結束装置は、例えば、プラスチックフィルムのようなシート材料で形成されたそれぞれの束又は他の包装に、前記パックを束ねる。
【0006】
幾つかの公知のレイアウトでは、下流セクションには、並行な二つのブランチが設けられ得、各ブランチは、一つ又は一連の装置が設けられる。二つのブランチは、アキュムレータからくる二つの部分的なログの流れに対して同じ処理を実行するために、典型的には同じ構成である。例えば、ログの端部を閉じる単一の装置が設けられ得、その下流に、各々、一つの切断装置及び直列に配置される一つ以上の包装装置が設けられた二つのブランチが配置され得る。
【0007】
薄葉紙変換及び包装ラインには、消耗材料(所謂、消耗品)の消耗、及び/又は定期的な交換を必要とする部品の摩耗のために、一時停止を必要とする様々なステーションがある。例えば、巻解き装置及び巻戻し装置は、親リール交換用の高速オンザフライ交換システムが設けられていない限り、親リールが使い尽くされて交換が必要な時に停止する必要があるが、前記オンザフライ交換システムは、構成が複雑で、コストが高く、嵩張るものであり、従って、常に利用可能なものではない。
【0008】
ラインにおける他の典型的な消耗品は、包装用のプラスチックシート又はフィルムである。包装装置は、使い尽くされたプラスチックフィルムリールを交換するために、即ち、包装用のシート材料のストックを補充するために、一時的に停止する必要がある。
【0009】
その他の消耗品は、潤滑油やグリースから成る。
【0010】
磨耗した部品を交換するための典型的な作業は切断装置のメンテナンスに関連しており、切断装置では、紙材料及びブレードにおける研削ホイールによって引き起こされる摩耗のために切断ブレードを定期的に交換しなければならない。研削ホイールは、また、摩耗が原因で、定期的に交換しなければならない。
【0011】
これらの一時停止は、ラインに過渡現象を生じさせ、生産ロスに繋がる可能性があり、かつ、場合によっては装置の動作に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0012】
イタリア国特許第1314831号は、処理ライン、例えばティッシュペーパ製品の処理ラインの複数の単一装置又はステーションを表すノード間の情報の流れを反応的に管理する方法を開示している。前記特許に記載された方法は、各装置が、それ自身の最高速度及び下流の装置から来る要求、並びに、上流の装置によって提供される利用可能性の関数として最適な動作速度を確立することを可能にする。このようなラインは動作条件の変化に適応的に反応することができる。
【0013】
イタリア特許第1314831号に開示された公知の方法は、一つ以上の装置の停止又は減速のような過渡的事象に反応して様々なステーション又は装置の動作条件の変更の実行を可能にする。この結果として、種々のステーションの動作条件は、これらの過渡的な事象に応答して適応される。
【0014】
反応方法並びに製造及び/又は包装ライン、即ち、動作条件の変動に反応することができる製造及び/又は包装ラインは、欧州特許EP1127791号、欧州特許EP1614628号、米国特許US5170877号、及び米国特許US4161094号にも開示されている。
【0015】
従って、ログ等を製造するためのティッシュペーパ処理ラインの一つ以上の装置又はステーションの過渡的な停止に対処するための、より効率的な方法が必要とされている。
【0016】
米国特許第4328931号は、親リールからティッシュペーパのログを製造するための製造ラインを開示している。このラインは、ラインの所与の部分、例えば巻戻し装置又は切断装置が正確に動作しているか、又はアイドル状態にあるか否かを判断する手段を有する。米国特許第4328932号明細書に開示されている製造ラインは、また、切断装置の状態又は効率、及び、アキュムレータの状態又はアキュムレータ内で利用可能な空きスペースの数に基づいて、巻戻し装置の速度を選択する決定ブロックを有する。具体的には、アキュムレータ内に利用可能な空きスペースがほとんどない場合は巻戻し装置を低速で動作させ、利用可能な空きスペースが所定の数を超える場合は巻戻し装置をより高速で動作させる。このようにして、巻戻し装置の速度は、アキュムレータ内で利用可能な空間の量に応じて最適化される。生産速度は、アキュムレータ内に十分な空きスペースが残ってなく巻戻し装置を停止しなければならなくなることを回避するよう調整される。
【0017】
従って、この公知のシステムは、反応ロジックによって動作する。即ち、この公知のシステムでは、装置(切断装置)の速度が、ラインの他の装置(アキュムレータ)の状態に応じて変えられる。
【発明の概要】
【0018】
第一の特徴によれば、この明細書で開示される方法は、少なくとも一つのログアキュムレータと、ログアキュムレータの上流に設けられた第一ラインセクションと、ログアキュムレータの下流に設けられた第二ラインセクションとを備え、第一ラインセクションが、少なくとも一つの巻解き装置及び一つの巻戻し装置を備え、第二ラインセクションが、少なくとも一つの処理ステーション、例えば、包装装置を備えている薄葉紙製品の生産及び包装ラインを管理する方法である。
この方法は、
・巻解き装置を用いて親リールを巻解き、薄葉紙プライを巻戻し装置に向けて供給するステップ、
・巻戻し装置において、薄葉紙プライを巻取り、薄葉紙ログを順次形成するステップ、
・巻戻し装置によって製造されたログをログアキュムレータに蓄積するステップ、
・第一セクション又は第二セクションからくる、少なくとも一つの一時停止要求又は一時減速要求を検知するステップ、
・要求された一時停止又は一時減速を実行する前に、一時停止又は一時的減速がラインの生産率に与える影響を最小限に抑えるように、ラインの少なくとも一つの装置の生産率を一時的に変更するステップ
を有する。
【0019】
ラインの前記少なくとも一つの装置の生産率を一時的に変更した後に、要求された一時停止又は一時減速を実行する。
【0020】
ラインの様々な装置の生産速度を反応的な方法で適合させることを可能にする、即ち、一つ以上の装置の停止又は減速の結果に適合させることを可能にする従来の方法とは反対に、本明細書に記載の方法は予測型である。言い換えれば、ラインの一つ以上の装置を停止又は減速する必要性を前もって予測し、ラインの少なくとも一つ又はそれ以上の装置の速度を変え、それにより、一時停止又は一時減速によってラインの全体的な生産性に与えるその後の影響を低減することを可能にする。例えば、巻解き装置の親リールを交換する必要性を予測することによって、巻解き装置が親リールの交換のために減速又は停止を要求する前に、ラインの一つ又はそれ以上の装置の生産速度又は生産率にアクションを加えることが可能になる。生産速度又は生産率を調整することにより、巻解き装置の停止又は減速による事象が未然に防がれ、ラインを最適な状態におくことが可能になり、将来の停止又は減速によってラインの全体的な生産性に与えることになる影響を低減することが可能になる。
【0021】
例えば、米国特許第4328931号では、アキュムレータ内の空きスペースが減少する場合、巻戻し装置は減速され、逆の場合も同様にされるが、本発明の方法は以下のステップを提供する。
・例えば、ラインの製品を吸収するためのセクションの能力に影響を与えることになる、まだ発生していない将来の状態を予測する。
・前記予測に基づいて、事象が発生する前に、ラインの全体的な動作を停止することになる影響を低減するために装置又はセクションの動作を変更する。
【0022】
例えば、巻戻し装置に供給されるべきウェブ材料のリールが消耗に近づいていることに基づいて、巻解き装置を停止する必要性を予測することが可能である。この停止がラインの下流セクションの動作に悪影響を及ぼさないようにするために、事象(巻解き装置の停止)が発生する前に、下流セクションの動作速度を調整して、例えば、アキュムレータを充填することによって、変換ラインに沿って移動する材料(ログ)のストックを増やすようにする。この方法では、事象(巻解き装置の停止)が発生しても、その事象が、例えば包装装置に悪影響を及ぼすことはない。アキュムレータ内のストックは、切断装置の速度を一時的に遅くするか、又は巻戻し装置の速度を一時的に上げることによって増やすことができる。
【0023】
従って、本明細書に記載の方法は、米国特許第4328931号に開示されているような反応的システムとは異なるアプローチに基づいている。実際、後者(反応的システム)は、既に進行中の事象(アキュムレータ内の空きスペースが少数になっている事象)の検出結果に基づいており、それに応じて上流の装置の動作に影響を及ぼす(巻戻し装置の速度の低下)。本明細書で開示される方法は、例えば、将来の停止の必要性を事前に予測することで、事象を予測し、(現在ではなく、まだ、発生していない)将来の事象に対処するために一つ又は複数の生産パラメータを変更してラインを最適な状態にする。
【0024】
さらに別の実施例は、以下により詳細に説明される。公知の方法に従った一時停止又は一時減速の期間中にラインの反応的適応を実行することも可能であり、この反応的適応は、上述した予測効果に、生産速度における好ましい効果として加えられる。
【0025】
幾つかの実施例によれば、ラインの少なくとも一つの装置の生産率を一時的に変更するステップは、前記少なくとも一つの装置の生産率の変更の結果として、ログアキュムレータを充填するレベルを変更するステップを含む。
【0026】
特に有利な実施例によれば、ラインの少なくとも一つの装置の生産率を一時的に変更するステップは、
・一時停止要求又は一時減速要求が第一セクションから来ている場合は、ログアキュムレータに存在するログの量を一時的に増やすように、また、
・一時停止要求又は一時減速要求が第二セクションから来ている場合は、ログアキュムレータに存在するログの量を一時的に減らすように
ログアキュムレータの充填レベルを変更するステップを含む。
要求された一時停止又は一時減速は、ログアキュムレータの充填レベルを変更した後に実行される。
【0027】
幾つかの実施例では、ラインの前記少なくとも一つの装置の生産率を一時的に変更するステップは、
・一時停止要求又は一時減速要求が第一セクションから来る場合、一時停止又は一時減速の前にログアキュムレータ内に蓄積されたログの量を増やすように、第二セクションの少なくとも一つの装置を減速するステップ、
・一時停止要求又は一時減速要求が第二セクションから来る場合、一時停止又は一時減速の前にログアキュムレータ内に蓄積されたログの量を減らすように、第二セクションの少なくとも一つの装置を加速するステップ
を有し得る。
【0028】
一時停止要求又は一時減速要求が第一セクションから来る場合、ラインの少なくとも一つの装置の生産率を一時的に変更するステップは、一時停止又は一時減速の前に、ログアキュムレータ内に蓄積されたログの量を増やすように、第一セクションの少なくとも一つの装置、例えば、巻戻し装置(及び、巻戻し装置に関連する装置、例えば、巻解き装置やエンボス加工装置等)を加速するステップを有する。ログアキュムレータのレベルを上げるために第一セクションの一つ又は複数の装置を一時的に加速することは、特に、一時的停止要求又は一時的減速要求の前の状態において、巻戻し装置が、最大許容速度より低い速度で動作している場合に可能である。
【0029】
以下により詳細に説明するように、一時停止要求又は一時減速要求は、摩耗又は消耗される材料を交換又は補充する必要性によって生じる。概して、この要求は、任意の予測可能な事象によって生じ得る。
【0030】
本発明のさらに有利な特徴及び実施例は、以下の説明及び本明細書の不可欠な部分を形成する添付の特許請求の範囲において説明される。
【0031】
別の特徴によれば、本発明は、
少なくとも一つのログアキュムレータ、
ログアキュムレータの上流に配置された、少なくとも一つの巻解き装置及び巻戻し装置を備えた第一セクション、
ログアキュムレータの下流に配置された、少なくとも一つの処理ステーションを備えた第二セクション、及び
上述した方法を実行するように構成及び配置された制御システム
を備えた薄葉紙製品の生産及び包装ラインに関する。
【0032】
ラインは、ブランチ構造及び/又は幾つかのブランチを並行に有する部分を有する構造を含むことができる。例えば、第二ライン部分は、アキュムレータから来るログが供給される二つ以上のブランチを並列に有することができる。各ブランチは、同じ数のステーション又は装置を有し得、また、異なる数のステーション又は装置を含み得る。二つ以上のブランチにある装置は、同じ機能及び構造を有することができ、また、同じ機能を有するが異なる構造を有することもできる。例えば、様々なブランチに異なる切断装置を設けたり、また、様々なブランチに異なる包装装置を設けたりすることができる。さらに、第一の部分は、エンボス加工装置、印刷装置、穿孔装置、プライ接着装置又はそれらの組み合わせを有し得る。
【0033】
第二セクションに、又は、好ましくは第一セクションに、巻戻し装置から来るログの端部をシールする装置が設けられ得る。端部をシールする装置は、接着装置、機械的シール装置又はこれらの組み合わせ装置であり得、使用者によって選択される様々な技術に従って端部をシールする。
【0034】
幾つかの実施例では、ラインは、一つ又は複数の芯巻装置、即ち、巻戻し装置でその周囲にウェブ材料が巻かれる、厚紙又は他の適当な材料によって形成される巻芯を製造する装置を有し得る。芯巻装置は、有利には、筒状巻芯が収容される、それ自身のアキュムレータを有し得、それにより、巻芯の生産率が、ラインの他のステーションの生産率から独立するようにしている。
【0035】
ラインは、ログ又はロールを、包装フィルムで包装された適当なグループで包装するための一つ又は複数の包装装置を有し得る。包装装置は、各々が一つのグループのロールを含むロールのパック、及び複数のパックを含むバッグを製造するように直列に配置され得る。概して、包装装置は、例えば、好ましくは、消耗品であるリールの形態の包装フィルムのストックを有し得る。
【0036】
第一セクションは、一つ又は複数の巻解き装置を有し、前記巻解き装置は、一つ以上の薄葉紙プライを巻戻し装置に供給するために、一つの親リールを個々に、又は複数の親リールを並行して、巻解く機能を有する。親リールは消耗品である。
【0037】
記載された方法の予測機能の1つは、材料のリール(親リール、フィルムリール等)を新しいリールと交換するステップを予測することである。この目的のために、ラインは、消耗品のリールが設けられている一つ又は複数のステーションに対して、利用可能な材料の量を検出し、従って、使い切ったリールを交換するための一時停止又は一時減速の必要性を予測する検出システムを備え得る。リールの種類、従って、巻かれた材料の種類に拘わらず、検出システムは、制御ユニット、例えば、PLC又は他の電子プログラム可能ユニットと接続され得る。検出システムは、供給されたウェブ材料の量を検出するよう適合された変換器を有し得る。リール上に存在するウェブ材料の量が分かっていれば、供給された量を検出することによって、交換の必要性を予測することが可能になる。より簡単には、検出システムは、リール上に存在する材料の量を検出するための検出装置を有し得る。例えば、ロードセル又は他の検出要素を用いて、リールの重量を検出するシステムが設けられ得る。他の実施形態では、例えば、光学式若しくは静電容量式システム、リールの円筒状表面に接触する部材の位置を検知する位置変換器、又は、任意の他の検出システムを用いて、リールの直径を検出するシステムが設けられ得る。
【0038】
摩耗に晒される装置、部材又は構成要素を含むステーションには、摩耗を検出するための装置が設けられ得る。幾つかの実施形態では、ラインは、一つ又は複数の切断刃を備えた一つ又は複数の切断装置を有し得る。磨耗検出装置は、例えば、切断刃の直径の関数として関連付けられ得る。
【0039】
他の実施形態では、消耗品又は摩耗に晒される装置及び部材は、動作時間を検知する装置に関連付けられ得る。
【0040】
方法及びラインのさらに別の特徴及び実施例は、以下の説明及び本明細書の一部を構成する添付の特許請求の範囲において説明される。
【0041】
本発明は、実施形態を示す以下の説明及び添付図面を用いて、より良く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】薄葉紙ロールのパックを製造するラインを示している。
図1A】生産ラインの単一の装置の詳細を示している。
図1B】生産ラインの単一の装置の詳細を示している。
図1C】生産ラインの単一の装置の詳細を示している。
図1D】生産ラインの単一の装置の詳細を示している。
図1E】生産ラインの単一の装置の詳細を示している。
図2】生産ラインの装置を表すノード間の通信ロジックを説明する機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面を参照して、実施の形態を詳細に説明していく。異なる図面中の同じ参照符号は、同一又は類似の構成要素を示す。さらに、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。 代わりに、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0044】
明細書を通して参照する「一実施例」「ある実施例」又は「幾つかの実施例」は、実施例に関して説明した特定の特性、構造又は特徴が、開示された主題の少なくとも一つの実施例に含まれていることを意味する。従って、明細書を通して様々な場所で使用する「一実施例において」「ある実施例において」又は「幾つかの実施例について」の用語は、必ずしも、同じ実施例を参照しているとは限らない。さらに、特定の特性、構造又は特徴は、一つ又は複数の実施例において、任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0045】
図1は、全体が符号1で示された生産及び包装ラインを概略的に示している。ライン1は、第一セクション3及び第二セクション5を有する。二つのセクション3及び5は直列に配置され、第一セクション3は、処理されるべき製品の全体的な供給方向Fに関して、第二セクション5の上流にある。第一セクション3と第二セクション5との間には、アキュムレータ7が配置されている。
【0046】
幾つかの実施例では、第一セクション3は、巻解き装置を有し得る。図示実施例では、第一セクション3は、二つの巻解き装置9A及び9Bを有し、これらは、同時に動作することができ、又は、一方が動作している間に他方が待機するように、また、その逆になるように、好ましくは、交互に動作することができる。各巻解き装置は、それ自体が公知の方法で構成され得、詳細な説明を必要としない。図1Aは、実施可能な巻解き装置9A;9Bを示す図であり、この巻解き装置9A;9Bには、そこから巻解き部材10を用いてウェブ材料Nが巻解かれる親リールBが配置されている。典型的には、ウェブ材料Nは、薄葉紙から成る単一プライ又はマルチプライである。
【0047】
第一セクション3は、ウェブ材料Nの供給方向に対して巻解き装置9の下流に、概略的に符号11で示されたエンボス加工装置を有し得る。図1Bは、エンボス加工装置を示している。エンボス加工装置の構成は、それ自体が公知の任意の形式であり得る。さらに、第一セクション3は、(もし必要なら)エンボス加工装置11の下流に配置された巻戻し装置13を有し得、この巻戻し装置13もそれ自体が公知の方法で構成され得る。図1Cは、巻戻し装置13を示している。巻戻し装置13は、一つ又は複数の巻解き装置9A,9Bから来るウェブ材料NをログLに巻取り、前記ログはアキュムレータ7内に蓄積される。前記アキュムレータ7は、上流の第一セクションを、下流の第二セクション5から分離する。図1Dは、アキュムレータ7を概略的に示している。
【0048】
上述した装置に加えて、第一セクション3は、また、穿孔装置、プライ結合ユニット及び印刷装置等のような他のユニットを有し得る。
【0049】
アキュムレータ7の上流又は下流には、ログLの端部をシールする装置15が配置され得る。図1の実施例では、端部シール装置15は、好ましくは、アキュムレータ7の上流に配置されており、ログは、例えば、接着剤によって端部がシールされた後にアキュムレータに蓄積される。また、このシール装置は、それ自体が公知の方法で構成され得るので、詳細には説明しない。
【0050】
ログLは、軸線方向長さが短いロールに切断されなければならない。図1に示した実施例では、この目的のために、二つの切断装置17A及び17Bが設けられ、これらは二つの並行なブランチ、即ち、軌道19A及び19Bに配置されている。二つの切断装置17A及び17Bは、相互に同一であってもよく、また、相互に異なっていてもよい。二つの切断装置は、概して、アキュムレータ7から来るログLに対して同じタイプの動作を実行する。即ち、二つの切断装置は、ログLを、包装及び販売に適した寸法のロールに分離し、かつ、ログの最初のトリム及び最後のトリムを除去する。トリムは、不図示のトリム除去装置によって除去してもよい。図1Eは、切断装置17を概略的に示しており、この図では、ログ切断刃が符号17Lで示されている。切断装置17は、それ自体が公知の方法で構成され得る。
【0051】
次いで、ロールRは、二つのブランチ19A及び19Bに並行に配置された二つの包装装置21A及び21Bに供給される。順序付けされたロール群によって形成されたパックは、順次グループ化され、各結束装置23A及び23Bにおいて、より大きい寸法のパックに入れられる。パックは、プラスチックフィルムのようなシート材料を用いて形成される。
【0052】
結束装置23A及び23Bの下流には、パレット搭載装置24A及び24Bが設けられ得る。必要に応じて、これらは、パレットを安定させるためのプラスチックフィルムリール、又は他の消耗品、例えば、結束ストラップを装備し得る。
【0053】
ライン1の各装置は、PLC又はマイクロコンピュータのようなそれ自身が電子プログラム可能な制御ユニットを装備し得る。各電子プログラム可能な制御ユニットは図1に概略的に示されており、対応する装置と同じ参照符号の後ろにUを付けて示されている。
【0054】
単一のプログラム可能な制御ユニットが、中央処理装置に接続され得る。他の実施例では、図1に概略的に示すように、セクション3の装置及びアキュムレータ7が、処理装置25Aに接続され得る一方、セクション5の装置は、処理装置25Bに接続され得る。二つの処理装置25A及び25Bは、監視処理装置27に接続され得る。
【0055】
各プログラム可能な制御ユニット及び/又は処理装置25A,25B及び27は、前述のイタリア国特許第1314831号に開示されたロジックに従って、各装置を管理するよう構成され得る。
【0056】
生産ライン1の電子制御システムのアーキテクチャは、図1に概略的に表されているものとは異なり得る。例えば、ラインの各装置の様々な部材に直接接続された単一のプロセッサが設けられ得る。代わりに、中間制御ユニット25A及び25Bを必要とせずに、単一のPLC、マイクロプロセッサ、又は他のローカル制御ユニットが、製造ライン1の各装置に一つずつ設けられ、単一のプロセッサ27に直接接続され得る。以下で説明する制御ロジックは、集中式制御、又は分散インテリジェンス(ローカルPLC)を介した制御の区別なく実行できるプログラムを使用して実装され得る。制御システムの特定のアーキテクチャの選択は、例えば、異なる製造業者によって供給される装置、即ち、ラインの一部との接続の必要性によって決定され得る。全製造ライン1が同じ製造業者によって供給される場合には、より少ない数の制御装置又は制御ユニットを有する統合システムが、より簡単に使用され得る。
【0057】
図1において、符号20は、ライン1の電子プログラム可能制御システムを全体的に示している。この実施形態におけるシステムは、ローカル制御ユニット9U ... 23U(ローカルPLC)、処理装置25A、25B及び以下に説明する他の構成要素を有する。
【0058】
要約すると、ライン1の各装置は、同じ装置の最適速度を計算するアルゴリズムに従って管理される。最適速度を計算するためのこのアルゴリズムは、それに従って、ラインの様々な装置が変換ノードとして表され、かつ、アキュムレータ7及びコンベアベルト(図示せず)が半完成製品の蓄積又は保管ノードとして表される論理モデルに基づいている。ノードは互いに相互接続されている。
【0059】
各装置ノードは、装置の種類(巻戻し装置、切断装置、包装装置、結束装置等)に関係なく、その範囲で装置が動作可能な最低速度(Velmin)及び最高速度(Velmax)の二つのパラメータによって表される。目標速度(Veltarget)を表すパラメータ、即ち、ラインの最適動作を得るためにシステムが計算しなければならない動作速度を表すパラメータが提供される。代わりに、各蓄積ノード(アキュムレータ又はベルト)は、生産工程の円滑な運用に役立つ半完成製品の累積レベルに関する幾つかのパラメータで表される。典型的には、一つ又は二つの最小累積レベル(Livellomin)と、一つ又は二つの最大蓄積レベル(Livellomax)とがあり、これらと実際の累積レベル(Livelloact)とが比較される。
【0060】
前述のパラメータに加えて、各装置、従って、各ノードは、動作状態(RUN)又は停止状態(STOP)をとることができる。
【0061】
ライン1を構成する全ての装置に対する最適パラメータ(Veltarget)を計算することができるように、装置が下流の装置に供給する製品の流れ(要求流量REQ)を、上流の装置からの有効利用可能な製品の流れ(利用可能流量ACK)と比較するロジックが設けられる。例えば、各切断装置17A、17Bは、下流の包装装置からのN個のログの要求を受け、かつ、端部をシールする上流の装置15からのM個のログの利用可能流量を有する。
【0062】
実際には、各装置は下流ノードから製品流量要求(ReqO)を受信する。この要求は、必要に応じて、装置が供給可能な最大製品流量(Velmax)に応じて減少されて、上流のノードに送信され(ReqI)、次いで、上流のノードに関してこのロジックが繰り返される。このようにして、ツリーの終わりにあるリーフノード(典型的には、結束装置23A、23B)から出発して、製品流量要求がルーツノード(巻戻し装置13)に到達することになる。前記製品流量要求は、軌道に沿って、通過する装置ノードの速度の制限により低減される可能性があり、かつ、設定された適切な基準レベルに対する蓄積レベルの比較に基づいて計算されたストレージノードの通過により再調整される可能性がある。
【0063】
各装置は、上流のノードから、製品流量の利用可能性(AckI)を受信する。この利用可能性は、必要に応じて、装置が供給可能な最大製品流量(Velmax)に基づいて低減されて、下流のノードに伝達される(AckO)。この流量の利用可能性は、ルーツ装置(巻戻し装置13)からリーフ装置(典型的には、結束装置23A及び23B)へ伝達される。各通過において、各ノードは、(装置に対する)その最大供給能力又は(アキュムレータ7及び不図示のコンベアに対する)蓄積レベルに基づく再調整のために、任意の必要な制限を及ぼす。
【0064】
一般的なノードNi間の前述の情報の伝達が図2の機能図に概略的に示されており、ノードはN1、N2、・・・で示され、これらノードは、各々ラインの一般的な装置を表すことができる。
【0065】
装置が流量要求及び全ての装置の制限に適合する利用可能性を受信すると、装置は、自律的に、その動作速度、即ち、目標速度(VELTARGET)を決定し得る。パラメータ(VELTARGET)の決定のロジックは、以下の通りである。
・i番目のノードから、上流の装置からの所定の製品流量(ReqI)を要求され、この要求流量が、i番目のノードによって表される装置の限界及び下流のノードから受信した要求の限界に比例している場合
・i番目のノードの要求に対して、製品流量の利用可能性(AckI)が保証できることを上流の全ての装置で確認し、i番目のノードが、AckI及びReqIの間の低い方を、最適速度又は目標速度(VELTARGET)としている場合

VELTARGET = min(ReqI, AckI)
【0066】
上述したシステムのロジックは、非常に反応的であり、例えば、以下のような様々な理由により、様々な装置の流量容量の変化に非常に良く自然に反応する。
・機能上の理由による装置の停止
・巻解き装置9、9A、9Bにおける親リールの交換
切断装置17、17A、17Bにおける切断刃17Lの交換
包装装置21A、21B、23A、23Bにおける包装フィルムのリールの交換等
・運転中の問題により装置の停止
・・故障
・・予定外のメンテナンス
・・製品の品質要件を満たすためのオペレータによる最高速度の低下
・製品パラメータの変更(生産能力の変更)
・・例:各ログLに巻かれるウェブ材料Nの長さが著しく増加した場合に、ログ/分で定義される巻戻し装置13の流量容量を大幅に減少させる。
・・例:包装装置21A、21B、23A、23Bのうちの一つによって製造されるパックのフォーマットを変更する場合、この包装装置による上流の切断装置17A、17Bへのログに対する要求を大幅に変更させる。
【0067】
どのような状況でも、上記のロジックを用いて、様々なインライン装置の速度が、最大の生産性を得るように、自動的に調整される。
【0068】
しかしながら、これらの条件の中には、一つ又は複数の装置の動作に過渡現象を生じさせる幾つかの事象、例えば一つ又は複数の装置の一時停止があり、これらの事象は前もって予測することができる。これらの事象は、アキュムレータ7によって供給されるログLの蓄積容量を利用することによってより効果的に処理され得る。これは、場合によっては生産性の向上をもたらし、他の装置の停止事象を事前に知ることに基づいて、(摩耗を少なくし、製品を改善するために)幾つかの装置の速度を低く保ちながら、他の場合における製品流量の管理を改善する。
【0069】
概して、予測可能な事象は、生産ライン1における消耗品の消耗に関する。これに関連して、消耗品は、また、生産ライン1における半完成製品の一つ、例えば、親リールBのウェブ材料Nを意味する。一例として、消耗品は、また、包装装置21A、21B、23A、23Bによって使用されるプラスチックフィルム又は他の包装材料も含み得る。予測可能な事象は、摩耗の影響を受ける構成要素を交換する必要性にも関連する。典型的には、摩耗を受けるものは、切断装置17A、17B、17の切断ナイフ、即ち、切断ブレード17L、又は、これらの装置の研削ホイール、包装装置のプラスチックフィルムを切断するナイフ、包装装置の溶着部材、及びラインの様々な装置の摩耗を受ける一般的な構成要素である。
【0070】
現在の技術によれば、これらの事象のうちの一つが生じると、装置は停止され、その結果、ライン、又は事象が発生しているラインのブランチが停止する。ある程度まで、アキュムレータ7の存在により、一つの装置の停止を引き起こす事象をライン全体の動作から解放することができる。例えば、切断刃17Lを交換するために切断装置17を一時的に停止する場合、切断装置が配置されているブランチ19A又は19Bを停止し、他方のブランチを動作し続ける。巻戻し装置13は、その生産速度を維持し、巻戻し装置13によって生産された余剰のログLはアキュムレータ7によって一時的に保管される。しかしながら、アキュムレータが最大充填レベルに達すると、巻戻し装置13を停止しなければならない。巻戻し装置を停止する必要性を減らすために、動作が維持されているブランチの生産速度が上げられ得る。しかしながら、これは巻戻し装置が停止されることを防ぐために必ずしも十分ではない。この必要性を回避するために、巻戻し装置13の速度が下げられる。これら全ての場合において、ラインの生産性が低下するので、操作は最適ではない。巻戻し装置13の動作速度に対する作用は、この装置の動作の滑らかさ、従って、製品の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。装置を停止することは、かなりの生産損失を生じさせ、かつ、廃棄製品を発生させ、どちらもラインの収益性に悪影響を及ぼす。
【0071】
これらの欠点を軽減するために、本明細書に記載の方法によれば、この方法は、前述の事象を予測するように適合されており、従って、前述の問題を軽減または排除するように適合されている。
【0072】
概して、生産ライン1は、装置又はラインの一部の停止要求を発生させ得る事象を予測するための手段を有し得る。幾つかの実施形態では、切断刃17Lを交換する必要性のような、一種類の予測可能な事象のみを予測するシステムを使用することが可能である。他の実施形態では、複数の予測可能な事象を予測するための手段を採用することが可能である。以下に、単なる実施例として、生産ライン1が以下のように装備されていると仮定する。
【0073】
第1セクション3の様々な巻解き装置9A、9Bの一方又は他方において親リールBの消耗を予測するために、各巻解き装置9A、9Bは、システムを関連付けられ得る。このシステムは、親リールBの直径を検出する変換器を有し得る。図1Aでは、この目的のために、巻解き部材10の可撓性部材10Bを支持するアーム10Aの角度位置を検出する角度位置変換器12が設けられている。実際には、親リールBの直径を直接検知するシステムのような、光学式、容量式、超音波式、または他の方法の、より洗練された正確な、親リールBの直径検出システムが設けられ得ることは理解されるべきである。他の実施形態では、ウェブ材料Nには、リールの端部から所与の距離にある点に適用されるインデックスが設けられ得る。検出システムは、適用されたインデックスを識別し、親リールが消耗に近づいていることを報告し得る。親リールBに含まれるウェブ材料Nの全長を知ること、及び、例えば、ウェブ材料Nがその周りで案内される複数のローラの一つに関連付けられた角度変換器を用いて、供給されるウェブ材料Nの量を測定することに基づいて、親リールが消耗に近づいていることを検出することも可能である。
【0074】
各切断装置17A、17Bが、各切断装置17A、17Bの切断刃17Lの磨耗度を検出するためのシステムを関連付けられ得る。この検出システムは、刃17Lの有効径を検出する部材を用いることができる。他の実施形態は、例えば変換器又はエンコーダを用いて、図1Eに符号17Mで概略的に示されている研削ホイールの切断刃17Lの回転軸に対する位置を検出することができる。
【0075】
各包装装置、即ち、包装装置21A、21B及び結束装置23A、23Bは、利用可能な包装シート材料、典型的にはプラスチックフィルムの量を検出するために、検出システムに関連付けられ得る。包装シート材料のストックは、フィルムのリールで構成され得る。図1は、包装装置21A、21B用のプラスチックフィルム(又は、他のシート材料)のリールF1、及び結束装置23A、23B用のプラスチックフィルム(又は、他のシート材料)のリールF2を概略的に示している。利用可能なフィルムの量の検出システムは各装置と関連付けられ得る。親リールB上で利用可能なウェブ材料Nの量を検出するために、上記と同じ種類のシステムが利用され得る。
【0076】
パレット上のパックを安定させるために使用される消耗品(フィルム、結束ストラップ等)が消耗に近づいているかどうかを検出するための部材に、任意のパレット搭載装置24A、24Bが関連付けられ得る。
【0077】
上述した検出システムは、一時停止を必要とする予測可能な事象の発生を予測することができる。例えば、親リールが使い尽くされたことによる巻戻し装置の停止必要性を事前に予測することが可能である。代わりに、切断刃17Lの直径が最小許容直径に近づいた時の切断装置の停止要性を前もって予測することが可能である。選択的に、フィルムF1、F2のストックが消耗に近づいていることによる包装装置又は結束装置の停止必要性を前もって予測することが可能である。
【0078】
生産ライン1の通常の運転中に、少なくとも一つの親リールBが巻解き装置9A、9Bの一方で巻解かれ、かつ、薄葉紙のシングルプライ又はマルチプライから成るウェブ材料Nが、巻戻し装置13に向けて供給される。巻戻し装置13では、ウェブ材料Nは、アキュムレータ7に蓄積される薄葉紙のログLを順次形成するように巻かれる。
【0079】
通常、アキュムレータ3の下流の装置は、巻戻し装置13の生産能力に比べて、特に大きい。
この状態では、製造ライン1は通常以下の状態で、全速で動作する。
・巻戻し装置13は常に最高速度で動作する。
・アキュムレータ7は、操作者によって設定された最小レベル付近ではほとんど空のままである。
・切断装置17A、17B、包装装置21A、21B及び結束装置23A、23Bは、巻戻し装置13の速度に適合するように、それらの最高速度より低い速度で動作し、その結果、アキュムレータのレベルは一定に維持される。
【0080】
生産ライン1の材料の消耗及び/又は部材の摩耗は、上記実施例として挙げたシステムによって、監視され、検出される。各システムは、生産ライン1の装置又はステーションの一時停止を必要とすることになる事象が近づいていることを示す警告信号を生成し得る。警告信号は、実際の事象に関して事前に生成され、従って、警告信号は、事象を予測し、制御システム、特に、例えば、制御ユニット27が、生産システム1の全体的な動作の一時停止が生じる悪影響を低減するために、生産ライン1に作用することを可能にする。本明細書において、「一時停止要求」は、生産ライン1に設けられた検出システムの一つによって供給される信号を示し、前記信号は、停止を必要とする事象が近づいていることを示す。
【0081】
概して、一時停止要求は、アキュムレータ7の上流の第1のセクション3から、又はアキュムレータ7の下流の第2のセクション5から来ることができる。
【0082】
生産ライン1の制御システムによって一時停止要求が受信されると、制御システムはラインの一つ又はそれ以上の装置の生産速度を以下のように変更する。
・アキュムレータ7の上流側の第1セクション3による停止要求がある場合、アキュムレータ7内に存在するログLの量を一時的に増加させる。
・又は、第2セクション5による停止要求がある場合、アキュムレータ7に存在するログLの量を一時的に減らす。
【0083】
例えば、包装装置21A、21B、23A、23Bの一つを停止して、消耗品(包装装置21A、21B又は結束装置23A、23Bのフィルムリール)を交換しなければならない場合には、一時停止要求は第2セクション5から出され得る。この一時停止要求が制御システムによって受信された場合、アキュムレータ7を可能な限り空にするように生産ライン1の動作速度が一時的に調整される。このようにして、包装装置の一時停止が発生する時間間隔において、巻戻し装置13によって製造されたログLを一時的に蓄積するための、より多くのスペースがアキュムレータ7内に得られる。
【0084】
アキュムレータ7の充填レベルの低減は、理論的には、巻戻し装置13の製造速度の下げること、及び下流側の装置(ブランチ19A、19Bの一方又は両方)の製造速度を上げることの両方によって達成され得る。概して、巻戻し装置13を減速することは、生産ライン1の全体的な生産性に悪影響を及ぼすので、有利ではない。また、巻戻し装置13の動作に過渡現象を生じさせることは、それが最終製品(ログL及びロールR)の品質に悪影響を及ぼす可能性があるので有利ではない。従って、アキュムレータ7は、好ましくは、一方、他方又は両方のブランチ19A、19Bの装置を加速することによって空にされる。
【0085】
これは、二つのブランチの一方を一時的に停止させることになる事象を事前に予測することによって可能になり、従って、問題の装置が未だある程度のレベルの自律性を有し、生産率を高めることができる。
【0086】
アキュムレータ7が空になった後、又は、その充填レベルが低下した後、包装装置は停止され得、そして、他のブランチの装置を加速して、予め空にしたアキュムレータ7内にログLを蓄積することによって、停止したブランチ19A又は19Bが吸収できない流量の材料を吸収する。このようにして、巻戻し装置は、過渡現象なしに、その最適速度で作動し続けることができ、結果として、生産ライン1の全体的な生産性を維持することができる。
【0087】
切断刃17L又は研削ホイール17Mを交換する場合も、同様の処理が実行され得る。
【0088】
アキュムレータ7を空にすることで、ブランチ17A、17Bの一方を一時的に停止することによって生じるアキュムレータ7の充填により、巻戻し装置13を減速又は停止する必要がない可能性が高まる。
【0089】
一時停止要求は、アキュムレータ7の上流の第1のセクション3から来ることがある。例えば、親リールBを交換するためには、巻戻し装置を停止又は減速する必要がある場合がある。適切な処置が講じられない限り、巻戻し装置13が停止又は減速された直後に、最小充填レベル付近に保たれていたアキュムレータ7のログLが使い尽くされ、したがって切断装置17A、17B及び包装装置21A、21B、23A、23Bもまた停止する。
【0090】
この事象を防ぐために、本明細書に記載の方法は以下の動作を提供する。一時停止又は一時減速要求が親リールBの交換のために生成されると、制御システムは、停止又は減速をする前に、アキュムレータ7の充填を引き起こすように、即ち、いずれにせよそのレベルの増加を引き起こすように、即ち、アキュムレータ7に収容されるログLの数を増やすように作用する。この目的のために、第2セクション5の装置、特に切断装置17A、17B及び包装装置21A、21B、23A、23Bが減速され得、それらは、最適な動作速度、すなわち、例えば、上述の目標速度の識別方法を用いて決定された速度より低い速度にされる。
【0091】
幾つかの場合では、第2セクション5の減速と組み合わせて、またはその代わりに、巻戻し装置の速度を一時的に上げることが可能である。例えば、アキュムレータ7内のレベルを上げる要求が発生する前に、巻き戻装置13がその最大速度より遅い速度で動作している場合、巻戻し装置の速度を一時的に上げることが可能である。この速度の上昇及び/又は下流セクションの生産速度の減速により、アキュムレータ7に蓄積されるログLの数が増加する。
【0092】
下流のセクションの速度を遅くするのではなく、巻戻し装置13の速度を一時的に上げることが可能である場合、より大きな平均生産速度を得ることができる。
【0093】
アキュムレータ7が一杯になるか、又は、最大充填レベルに近づくと、巻戻し装置13を停止又は減速され得る。満杯のアキュムレータに蓄積されたログLは、第2セクション5のブランチ19A、19Bに供給され続け、巻戻し装置13の上流で親リールBが交換されている間であっても、切断装置17A、17B及び包装装置21A、21B、23A、23Bの動作が維持される。これにより、切断装置17A、17B及び包装装置21A、21B、23A、23Bの不必要な停止が回避される。必要に応じて、アキュムレータ7の下流のこれらの装置が減速されて低速で動作され得、アキュムレータ7内のログLのストックを、巻戻し装置13を再始動するのに必要かつ十分な時間、又は、巻戻し装置13が単に減速されただけの場合には、それを全速での動作に戻すのに必要かつ十分な時間、持続するようにする。
【0094】
図1に概略的に示される実施例のようなアキュムレータ7の下流に2つのブランチ19A、19Bを有する生産ライン1において、本明細書に記載された方法の改良された実施形態によれば、様々な包装装置のリールが装置の停止を要求する時を予測することが可能であり、これらの装置が、同じ期間に停止することを防止することが可能である。これにより、アキュムレータ7を充填する巻戻し装置13が、減速又は停止する危険を非常に増大させることになるアキュムレータの下流の両方のブランチ19A、19Bの同時停止が防止される。
【0095】
切断装置17A、17Bの場合も同様のことが言える。
【0096】
概して、一時停止を要求する可能性がある複数の装置を並列に備えた複数の並列なブランチがある場合、一時停止が同時に要求されないように、又は、一時停止が時間的に重なって要求されないように、二つの装置の生産速度を調整することが可能である。
【0097】
これは、並列な二つの実質的に同一の装置(例えば、二つの切断装置17A、17B、二つの包装装置21A、21B、又は二つの結束装置23A、23B)の場合、及び並列なブランチにおける異なる装置の場合の両方に当てはまる。例えば、二つの並行なブランチ19A、19B内で、三つのタイプの装置(切断装置、包装装置、及び結束装置)に対する一時停止要求を予測するためのシステムを有することで、二つのブランチ19A、19Bの全ての装置の速度を調整して、ブランチ19Aの任意の装置(17A,21A,23A)の停止期間が、ブランチ19Bの任意の装置(17B,21B,23B)と重なることを防止することができる。
【0098】
装置の停止が終了すると、アキュムレータ7内の最適量の製品が補給される。
【0099】
上記の説明では、一実施例として、消耗品又は磨耗した部材を交換する必要があるというアプローチの結果として生じるただ一回の停止又は一時減速要求の存在について言及した。より一般的には、ライン1は、消耗品を使用する装置、及び/又は摩耗を受ける構成要素を含む装置等の定期的な交換を必要とする多数の装置を備えているので、複数回の停止又は複数回の一時減速要求が発生する可能性がある。これらの要求は、セクション3、5及び二つのセクションの異なる装置からくることができる。
【0100】
本明細書に記載された方法の改良された実施形態は以下のステップを含み得る。
・ラインの複数の装置からくる複数の一時停止又は一時減速要求を検出するステップ
・少なくとも時間的に部分的に重複する少なくとも二つの一時停止又は一時減速を実行するために、ラインの複数の装置から来る一時停止又は一時減速要求を時間的に調整するステップ
【0101】
幾つかの実施形態では、セクション5のブランチ19A、19Bの一時停止又は一時減速が同時に起きることを回避するように、セクション5の複数の装置から来る一時停止又は一時減速要求が時間的に調整され得る。
【0102】
「少なくとも部分的に重複した」二つ(またはそれ以上)の一時停止又は一時減速を実行することは、停止又は減速を要求する二つの装置が、同じ時間間隔で停止又は減速されることを意味し、即ち、その結果、一つの装置の停止又は減速期間が、他の装置の停止又は減速期間と、少なくとも部分的に重なる(即ち、部分的に同時に生じる)ことを意味する。この方法では、生産性が低下した状態でラインが動作する時間間隔が減らされる。
【0103】
予測可能な事象によって一時停止又は一時減速が要求された時、有利な実施形態では、ライン1の電子制御システムの一部であり得る、図1に符号28で概略的に示された動作スケジューラが提供される。動作スケジューラ28は、制御システム20のプロセッサ上で動作するソフトウェアモジュールであり得る。動作スケジューラ28は、ライン1の様々な装置、ステーション又はセクションから入力データを受け取り、特に一時停止又は一時減速要求を受け取る。動作スケジューラ28は、これらの要求に基づいて、必要に応じて二つ又はそれ以上の一時停止又は一時減速を組み合わせ、即ち、セクション5のブランチ19A,19Bが同時に停止又は減速しないように、一時停止又は一時減速及びそれらの時間を決定する。この方法では、ラインによって実行される停止又は減速の回数が減少する。
【0104】
例えば、同じブランチ19A、19Bの両方の包装装置21A、23A又は21B、23Bが一時停止要求を生成し、これらの停止が理論的に時間的にずれている場合、利用可能なフィルムF1、F2のストックが異なる期間になるので、動作スケジューラ28は、二重停止を防止するために、より長い残存期間を有するフィルムのリールを先行して交換させるようにすることができる。
【0105】
他の状況では、例えば、切断装置17Bがブレード17Lの交換のために一時停止を要求することがあり、また、包装装置21B、23Bの一方がフィルムのストックの交換のために一時停止要求を出すことがある。二つの停止要求は、例えば、数十分の間隔を開けて、異なる時間に要求することができる。この場合、動作スケジューラ28は、最適な交換時期を超えて摩耗した刃の使用期間を延ばすことにより、切断装置17Bの一時停止を遅らせることができ、フィルムF1又はF2の使い尽くしたリールの交換を実行する期間と同じ期間に切断刃17Lの交換を実行することができるようにすることができる。幾つかの場合、反対のことも起こり得る。即ち、磨耗した刃での切断装置の動作を過度に長くすることを避けるために、フィルムのリールが前もって交換される場合もある。
【0106】
停止時間が異なる期間である場合、時間の重複は部分的なものになる。しかしながら、何れにしても、二回の連続する一時停止の代わりに、ただ一回の一時停止を行うことになり、これは、異なる時間にログアキュムレータ7を空にするために二回の過渡現象を必要とする。
【0107】
二つ以上の一時的停止又は一時減速の組み合わせは、停止が要求された時に従うだけでなく、即ち、一時停止又は一時減速を実行する前の残りの時間に基づくだけでなく、一時停止又は一時減速の期間にも基づいて、実行され得る。
【0108】
幾つかの実施形態では、一時停止要求及び/又は制御システム20によって、特に作業スケジューラ28(存在する場合)によって確立された時間は、一人又はそれ以上のオペレータに通信することができる。これは、例えば、符号32A、32Bで概略的に示されているモバイル機器の使用を通じて行われ得る。これらの装置は、例えば、ラインを管理する一人又は複数のオペレータが装備しているタブレット又はスマートフォンであり得る。有利にはWi-Fiシステムを用いて供給される情報は、要求された動作及びこれらの動作に割り当てられた時間の表示を含むことができる。これにより、オペレータは迅速に行動することができる。
【0109】
また、図1は、ユーザインターフェイス30を示しており、このユーザインターフェイス30を介して、電子プログラム可能制御システム20において製造及び包装されるべき様々な種類の製品のレシピを入力することができる。レシピは、概して、製品を定義する複数のパラメータ、例えばログのサイズ、巻紙の量、巻き密度、エンボス加工の種類、穿孔ピッチ、パイル数、パックの種類(1パック当たりのロール数、包装材料の種類等)から成る。レシピに加えて、処理される注文に関するデータが記憶され得る。このようにして、制御システム20は、一時停止又は一時減速をプログラムするために、これらのパラメータを考慮することもできる。さらに、各レシピに対して、単一の装置、特に巻戻し装置13についての最大速度が提供され得る。制御システム20は、生産されるべき各種類の製品(レシピ)に対して許容される最大速度に基づいてライン1を管理することができる。
【0110】
上述の好ましい実施形態では、予測動作はログアキュムレータ7Lのレベルで行われるが、場合によっては、アキュムレータ7にあるログのレベルに影響を与えることなく、ラインの一つ又は複数の装置の速度で予測動作を行い、ライン1の全体的な生産に関して、予測可能な事象によって決められた一時停止又は一時減速の後の影響を常に減少させることも可能である。例えば、包装機械の停止又は減速が特に短い場合、ラインの一つ又は複数の装置の生産速度を変更し、ラインに沿って順番に配置された装置間の中間コンベアに存在する製品の量を変更することができる。実際、これらのコンベヤーは、小さなアキュムレータを構成し、ラインの全体的な生産性に対する停止又は減速の影響を低減するという同じ目的を持って動作させることが可能である。
【0111】
上記の説明では、ライン又はその一部の一時停止を必要とする可能性がある様々な実施可能な動作について具体的に言及した。これらの停止は、例えばプラスチックフィルムや紙等の消耗品のストックを補充するために必要とされ得る。選択的に、停止は、穿孔刃やログ切断刃等のような摩耗を受ける機械的部材の交換のために必要とされ得る。
【0112】
一般論として、生産ラインは、複数の機能ユニットを含むことができ、これらの機能ユニットは前述の理由のために停止する必要があり得る。本明細書において、機能ユニットとは、概して、ラインの構成要素、部材若しくは装置、又は構成要素、部材若しくは装置の組み合わせを意味し、これらは、概して、保守、修理、部品や材料等の交換のために停止する必要があり得る。一つ又は複数の機能ユニットは、差し迫った停止の必要性を示す一つ又は複数のパラメータを検出する部材を有し得る。巻戻し装置の場合、例えば、親リールに存在する材料の量を検出する部材が設けられ得る。この場合、停止する必要性を示すパラメータを形成する、この量を示すパラメータが提供され得る。パラメータは、巻き解かれるリールの直径、その重量、又は前の交換によって供給されたウェブ材料の量であり得る。同様に、包装装置におけるプラスチックフィルムの量は、包装装置の差し迫った停止要求を決定するために使用される動作パラメータを形成することができる。切断装置の切断刃の直径の大きさに相関するパラメータを用いて切断装置の差し迫った停止要求を決定することができる。
【0113】
前述の例は定量的パラメータに言及しているが、場合によっては、交換を必要とする部材の摩耗を示すことができる振動のような別の物理的パラメータを提供することができる。振動は、振動スペクトルの分析、音響検出、又は任意の他の適切な方法によって、振動センサを用いて決定することができる。振動に相関するパラメータを使用して、摩耗にさらされて交換が必要となる可能性が高い機械的部材を含む、生産ラインの多数の実施可能な機能性ユニットを停止する必要性を予測することができる。
【0114】
例えば、切断装置のディスク形状の切断刃、紙の穿孔刃、又はエンボス加工ユニットで異常な振動が検出され得る。
【0115】
幾つかの実施形態では、グリース補給、即ち、潤滑操作の必要性を検出することができるセンサを設けることもできる。この種の操作の必要性は、例えば、移動部材、例えばシャフト、ローラ、歯付きホイール等のような回転部材によって生じる振動の変化に基づいて検出され得る。幾つかの実施形態では、グリース補給、即ち、潤滑操作の必要性は、互いに対して動く部材間の相互接触の発生に基づいて検出され得る。
【0116】
これら全ての場合において、一つ以上のセンサを設けて、修理、交換又は保守作業の必要性を検出するのに有用な一つ以上の重要なパラメータを検出し、それに従ってラインの動作を上記基準に従ってプログラムすることができる。
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2