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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】抗PD-L1抗体および変異型
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220203BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220203BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220203BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20220203BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220203BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220203BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220203BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220203BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20220203BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20220203BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220203BHJP
   C07D 239/94 20060101ALN20220203BHJP
   C07D 491/00 20060101ALN20220203BHJP
   C07D 475/04 20060101ALN20220203BHJP
   C07D 305/14 20060101ALN20220203BHJP
   C07D 405/12 20060101ALN20220203BHJP
   C07H 19/073 20060101ALN20220203BHJP
   C07D 487/04 20060101ALN20220203BHJP
   C07D 471/06 20060101ALN20220203BHJP
   C07D 498/18 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/08
C07K16/18
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/5377
A61K31/4745
A61K31/513
A61K31/519
A61K31/282
A61K31/337
A61K31/517
A61K31/7068
A61K31/436
G01N33/53 Y
G01N33/53 D
C07D239/94
C07D491/00
C07D475/04
C07D305/14
C07D405/12
C07H19/073
C07D487/04
C07D471/06
C07D498/18
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019523646
(86)(22)【出願日】2017-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017056689
(87)【国際公開番号】W WO2018080812
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-13
(31)【優先権主張番号】62/414,785
(32)【優先日】2016-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519093229
【氏名又は名称】シャンハイ・ヘンリウス・バイオテック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENLIUS BIOTECH, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ジアン・ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】リン・ペイ-ホア
(72)【発明者】
【氏名】ツェン・チー-リン
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-544755(JP,A)
【文献】特表2015-500207(JP,A)
【文献】特表2012-511329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0272712(US,A1)
【文献】特表2013-511959(JP,A)
【文献】The Journal of Clinical Investigation,2015年,Vol.125, No.9,pp.3384-3391
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C12P 1/00-41/00
C07K 1/00-19/00
CA/MEDLINE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(1)配列番号:65で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:71で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:77で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列;
ii)(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むDR-H2;および(3)配列番号:78で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列;
iii)(1)配列番号:66で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:68で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:73で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:79で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列;
iv)(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:69で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:74で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:80で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列;または
)(1)配列番号:67で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:70で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:76で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:81で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列
含む、抗PD-L1抗体。
【請求項2】
(1)配列番号:65で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:71で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:77で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、請求項1に記載の抗PD-L1抗体。
【請求項3】
(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むDR-H2;および(3)配列番号:78で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、請求項1に記載の抗PD-L1抗体。
【請求項4】
(1)配列番号:66で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:68で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:73で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:79で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、請求項1に記載の抗PD-L1抗体。
【請求項5】
(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:69で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:74で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:80で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、請求項1に記載の抗PD-L1抗体。
【請求項6】
(1)配列番号:67で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:70で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:76で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:81で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、請求項1に記載の抗PD-L1抗体。
【請求項7】
前記抗PD-L1抗体が、N-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含むCDR-L2を含む、請求項またはに記載の抗PD-L1抗体。
【請求項8】
前記抗PD-L1抗体が
)配列番号:16で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:18で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
ii)配列番号:20で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:22で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
iii)配列番号:24で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:26で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
iv)配列番号:28で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:30で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
)配列番号:32で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:34で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
vi)配列番号:117で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:30で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
vii)配列番号:119で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:30で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
viii)配列番号:111で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:26で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;
ix)配列番号:113で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:26で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列;または
)配列番号:115で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列、および配列番号:26で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列、
を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体の抗原結合フラグメントであって、前記抗原結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab)’2、単鎖Fv(scFv)、Fvフラグメント、二特異性抗体、およびリニア抗体からなる群から選択される、抗原結合フラグメント。
【請求項10】
前記抗体が、多特異性抗体である、請求項1~のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメント。
【請求項11】
治療薬に抱合された、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメント。
【請求項12】
標識に抱合された、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメント。
【請求項13】
前記標識が、ラジオアイソトープ、蛍光色素、および酵素からなる群から選択される、請求項12に記載の抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメント。
【請求項14】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメントをコードする、単離された核酸分子。
【請求項15】
請求項14に記載の核酸分子をコードする、発現ベクター。
【請求項16】
請求項15に記載の発現ベクターを含む、細胞。
【請求項17】
抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメント調製方法であって、請求項16に記載の細胞を培養し、次いで前記抗体を前記細胞培養物から回収することを含む、方法。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメント、および医薬的に許容される担体を含む、組成物。
【請求項19】
患者由来の試料におけるPD-L1タンパク質の検出方法であって、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、またはの抗原結合フラグメントを前記試料に接触させ、次いで前記PD-L1タンパク質に結合した抗PD-L1抗体を検出することによる、方法。
【請求項20】
前記抗PD-1抗体、またはの抗原結合フラグメントが、免疫組織化学アッセイ(IHC)またはELISAアッセイで用いられる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象における癌の治療に用いられる、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記癌が、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、三種陰性乳癌(TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、甲状腺癌、および唾液腺癌からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記対象が、抗悪性腫瘍薬、化学療法剤、増殖抑制剤、および細胞傷害性薬物からなる群から選択される治療薬をさらに投与されるものである、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記対象が、放射線療法をさらに投与されるものである、請求項21に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
このPCT国際出願は、出典明示により本明細書にその内容が取り込まれる2016年10月30日提出の米国仮特許出願第62/414,785号に対する利益および優先権を請求する。
【0002】
本発明の技術分野
本発明は、一般に、ヒト癌の治療における、抗PD-L1抗体、それらの変異型もしくは変異体、またはこれらの抗原結合フラグメント、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景技術
プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)およびプログラム細胞死リガンド2(PD-L2)は、抗原提示細胞ならびに多くのヒト癌で発現されており、PD-1への結合によりT細胞活性およびサイトカイン分泌を下流調節することが示されている(Freeman et al., 2000; Latchman et al., 2001)。CTLA-4とは異なり、PD-1は、主に、活性化されたT細胞が腫瘍および/または間質細胞によって発現される免疫抑制性PD-L1(B7-H1)およびPD-L2(B7-DC)リガンドに遭遇しうる末梢組織において機能する(Flies et al., 2011; Topalian et al., 2012a)。PD-1/PD-L1相互作用の阻害は、前臨床モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を介在し(米国特許第8,008,449号および第7,943,743号)、癌治療のためのPD-1/PD-L1相互作用の抗体阻害因子の使用は、臨床試験に入っている(Brahmer et al., 2010; Flies et al., 2011; Topalian et al., 2012b; Brahmer et al., 2012)。
【0004】
PD-L1の上流調節は、癌が宿主免疫系を逃れることを可能にしうるようである。多くのPD-L1阻害因子が免疫腫瘍学的治療として開発中であり、臨床試験において良好な結果を示しているが、PD-L1に対する抗癌治療薬の開発が必要とされている。本発明はこれとその他の必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の概要
本発明により提供されるのは、抗PD-L1抗体および/またはその抗原結合フラグメントである。ある実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL1抗体は、(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:44で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:59で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0006】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL2抗体は、(1)配列番号:36で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:45で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:60で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0007】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL3抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:46で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:53で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:61で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0008】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL6抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:47で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:54で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:57で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:62で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0009】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL8抗体は、(1)配列番号:38で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:43で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:48で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:58で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:63で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0010】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL12抗体は、(1)配列番号:39で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:49で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:64で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0011】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL15抗体は、(1)配列番号:40で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:50で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:53で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:61で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0012】
本発明は、さらに、抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、あるいはそれらの抗原結合フラグメントを提供する。ある実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#3抗体は、(1)配列番号:65で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:71で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:77で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0013】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:78で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0014】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7-19抗体は、(1)配列番号:66で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:68で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:73で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:79で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体の変異体は、N-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含むCDR-L2を含む。
【0015】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7-43抗体は、(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:69で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:74で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:80で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体の変異体は、N-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含むCDR-L2を含む。
【0016】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7-54抗体は、(1)配列番号:67で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:70で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:76で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:81で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0017】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#4抗体は、(1)配列番号:94で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:95で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:96で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0018】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#5抗体は、(1)配列番号:97で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:98で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:99で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0019】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#39抗体は、(1)配列番号:100で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:95で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:101で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0020】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#1抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:106で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:107で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:108で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:109で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。各抗PD-L1抗体および変異型/変異体の上記に記載のCDR(CDR-L1、-L2、および-L3;ならびにCDR-H1、-H2、および-H3)のアミノ酸配列は、下記表1で供される。
表1
【表1】



【0021】
ある実施態様において、抗PD-L1抗体およびその変異型は、(1)配列番号:35~40、65~67、94、97、および100からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41~43、68~70、および106からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;(3)配列番号:44~50、71~74、95、98、および107からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51~54、75、および108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55~58および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:59~64、77~81、96、99、101、および109からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0022】
本発明により、配列番号:1~7、16、20、24、28、32、83、87、91、または103で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列;ならびに配列番号:8~14、18、22、26、30、34、85、89、93、または105で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体、その変異型、またはその抗原結合フラグメントもまた提供される。これらのLCおよびHC領域をコードする核酸配列もまた提供される。
【0023】
上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、本発明の抗体は、可変領域における1つまたはそれ以上のCDRのN-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含む。生じた脱グリコシル化抗体は、親の脱グリコシル化されていない抗体と同様の機能が残る。
【0024】
上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記抗体は、ヒトIgGのFc配列を含む。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab)’2、単鎖Fv(scFv)、Fvフラグメント、二特異性抗体、およびリニア抗体(linear antibody)からなる群から選択される。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、抗体は、多特異性抗体である。
【0025】
上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントは、治療薬に抱合される。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントは、標識に抱合される。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記標識は、ラジオアイソトープ、蛍光色素、および酵素からなる群から選択される。
【0026】
本発明は、上記実施態様のいずれかによる(または適用される)抗PD-L1抗体、その変異型、その変異体、またはこれらの抗原結合フラグメントをコードする、単離された核酸分子を提供する。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)核酸分子をコードする、発現ベクターもまた提供される。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)発現ベクターを含む、細胞もまた提供される。本発明はまた、抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントの調製方法であって、上記実施態様のいずれかによる(または適用される)細胞を培養し、次いで前記抗体またはこれらの抗原結合フラグメントを前記細胞培養物から回収することを含む方法を提供する。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記細胞は、哺乳類細胞である。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記哺乳類細胞は、CHO細胞である。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記細胞は、安定な哺乳類細胞株である。ある実施態様において、安定な哺乳類細胞株のいずれかによる(または適用される)前記細胞は、CHO細胞株である。
【0027】
本発明は、上記実施態様のいずれかによる(または適用される)抗PD-L1抗体、その変異型、その変異体、またはこれらの抗原結合フラグメント、および医薬的に許容される担体を含む、組成物を提供する。
【0028】
本発明は、患者由来の試料におけるPD-L1タンパク質を検出する方法であって、上記実施態様のいずれかによる(または適用される)抗PD-L1抗体、その変異型、その変異体、またはこれらの抗原結合フラグメントを前記試料に接触し、次いでPD-L1タンパク質に結合した抗PD-L1抗体を検出することによる方法を提供する。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントは、免疫組織化学アッセイ(IHC)またはELISAアッセイにおいて用いられる。
【0029】
対象における癌の治療方法であって、前記対象による(または適用される)組成物の有効な量を投与することを特徴とする方法もまた提供される。癌の治療における使用のための、上記実施態様のいずれかによる(または適用される)抗PD-L1抗体、その変異型、その変異体、またはこれらの抗原結合フラグメントを含む組成物もまた提供される。癌の治療剤の製造における上記実施態様のいずれかによる(または適用される)抗PD-L1抗体、その変異型、その変異体、またはこれらの抗原結合フラグメントの使用が提供される。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記癌は、メラノーマ、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌および非小細胞肺癌(NSCLC))、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌、および唾液腺癌から選択される。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記対象は、抗悪性腫瘍薬、化学療法剤、増殖抑制剤、および細胞傷害性薬物からなる群から選択される治療薬がさらに投与される。上記実施態様のいずれかによる(または適用される)ある実施態様において、前記対象は、放射線療法がさらに投与される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1A-1B。抗PD-L1の選択されたリード物質PL1、PL2、PL3、PL6、PL8、PL12、PL15の軽鎖(A)および重鎖(B)のアミノ酸配列。後のELISAおよびフローサイトメトリーアッセイにおいてヒトPD-L1に対して結合および阻害活性を有する7つの選択された抗体リード物質を、ヒトPD-L1_ECD-HisによるヒトFabナイーブファージディスプレイライブラリーのスクリーニングによって同定した。これらの選択されたFab配列は、ヒトIgG1 Fc骨格のN297A変異体にクローン化し、全長抗体とした。前記抗体リード物質の配列を記載し、相補性決定領域(CDR)を太い下線で示した。
図2図2A-2B。選択された抗体の組み換えヒトPD-L1/Fc融合タンパク質(図2A)および活性化CD3T細胞(図2B)への結合。選択された抗体は、ELISAによる組み換えヒトPD-L1タンパク質およびフローサイトメトリーによる活性化CD3T細胞への結合を試験した。抗PD-L1対照抗体および抗PD-1対照抗体をそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。
図3図3。選択された抗体によるPD-1のPD-L1への結合の阻害。抗PD-L1抗体は、フローサイトメトリーアッセイを用いて、PD-1のPD-L1発現CHO-S細胞への結合を阻害する能力について試験した。抗PD-L1対照抗体およびアバスチンをそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。抗PD-L1モノクローナル抗体は、染色の平均蛍光強度(MFI)によって測定されるように、PD-1のPD-L1トランスフェクトCHO-S細胞への結合を阻害する。
図4図4A-4B。抗PD-L1の効果は、混合白血球反応(MLR)におけるサイトカイン産生およびT細胞増殖を生じる。ヒトPD-L1に対するモノクローナル抗体は、混合白血球反応アッセイにおいてIFN-γ分泌およびT細胞増殖を高める。抗PD-L1対照抗体および抗PD-1対照抗体を陽性対照として用いた。アバスチン(抗VEGF)を陰性対照として用いた。図4Aは、IFN-γ分泌を示す棒グラフであり;図4Bは、抗体の示される濃度におけるCD3T細胞増殖を示す棒グラフである。
図5図5A-5B。A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおけるPL2およびPL3抗体の腫瘍増殖阻害活性。前記マウス(n=4/群)に、ヒトメラノーマ細胞株A375と抗原特異的T細胞の混合物(T細胞:癌細胞=1:100)を皮下に移植した。試験抗体をマウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。PL2およびPL3で処理したマウスの腫瘍増殖曲線を図5Aおよび5Bに示す。全てのデータ点は、平均±SEMである。
図6図6。混合白血球反応(MLR)におけるサイトカイン産生についてのPL2およびPL3変異型の効果。前記PL2およびPL3変異型は、混合白血球反応アッセイにおいてIL-2分泌を高める。抗PD-L1対照抗体およびアバスチンをそれぞれ、陽性対照抗体および陰性対照抗体として用いた。図6Aは、PL2親および変異型によって誘導された分泌IL-2を示す棒グラフであり;図6Bは、PL3親抗体および変異型の示される濃度におけるMLRのIL-2分泌を示す棒グラフである。
図7図7A-7B。A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおけるPL2およびPL3トップ変異型の腫瘍増殖阻害活性。前記マウス(n=4/群)に、ヒトメラノーマ細胞株A375と抗原特異的T細胞の混合物(T細胞:癌細胞=1:100)を皮下に移植した。試験抗体をマウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。PL2#3およびPL3#7で処理したマウスの腫瘍増殖曲線を図7Aに示した。35日目における各腫瘍体積を図7Bに示した。全てのデータ点は、平均±SEMである。
図8図8A-8D。混合白血球反応(MLR)におけるPL2#3およびPL3#7の異なるIgG型の効果。PL2#3およびPL3#7の異なるIgG型を、MLRアッセイを用いて試験した。アバスチンを陰性対照抗体として用いた。試験抗体によって誘導された分泌IFN-γおよびIL-2を示す棒グラフをそれぞれ、図8Aおよび8Bに示した。図8Cは、抗体の様々な濃度におけるCD4T細胞増殖を示す棒グラフであり;図8Dは、抗体の示される濃度におけるCD8T細胞増殖を示す棒グラフである。
図9図9A-9B。A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおける様々なPL2#3およびPL3#7 IgGアイソタイプの腫瘍増殖阻害活性。図9Aは、32日目においてPL2#3の異なるIgG型で処理したマウス(n=4/群)の各腫瘍体積を示す。様々なPL3#7 IgGサブクラスで処理したマウス(n=4/群)の32日目における各腫瘍体積を図9Bに示す。
図10図10。hPD1 KIマウスにおけるPL2#3-mtIgG1およびPL3#7-mtIgG1抗体の腫瘍増殖阻害活性。ヒトPD-1ノックイン(hPD1 KI)マウス(n=6/群)に、MC38-huPD-L1(ヒトPD-L1でトランスフェクトしたMC38)細胞を皮下に移植した。抗体処理は、腫瘍体積が約86mmに達したら開始した。試験抗体をマウスの腹腔内に3週間にわたり1週間に2回注入した。全てのデータ点は、平均±SEMである。
図11図11A-11B。抗PD-L1トップ変異型の軽鎖(A)および重鎖(B)のアミノ酸配列。極めて高い親和性と優れた機能活性を有するPL2トップ変異型(PL2#3)、PL3トップ変異型(PL3#7)、およびPL3#7トップ変異型(PL3#7-19、-43、-54)は、インビトロファージディスプレイに基づく親和性成熟実験から作成した。一般に、3回のパニングは、ストレプトアビジンでコーティングした磁気Dynabeads(登録商標)M-280に結合させたビオチン化hPD-L1-Hisを用いて行った。次いで、トップ変異型のFabをELISAによりスクリーニングし、ヒトIgG1 Fc骨格のN297A変異体にクローン化して、全長抗体とした。トップ変異型の配列を記載し、CDR(相補性決定領域)を太い下線で示した。
図12図12A-12B。混合白血球反応(MLR)のサイトカイン産生およびT細胞増殖におけるPL3#7変異型の効果。修飾PL3#7変異型は、混合白血球反応アッセイにおいてIFN-γ分泌およびCD8T細胞増殖を高める。抗PD-L1対照抗体およびアバスチンをそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。図12Aは、IFN-γ分泌を示す棒グラフであり;図12Bは、抗体の示される濃度におけるCD8T細胞増殖を示す棒グラフである。
図13図13A-13C。PL2#3およびPL3#7変異型のPD-L1発現細胞の細胞表面への結合。PL3#7変異型を、フローサイトメトリーにより、活性化T細胞(図13A)、A375ヒトメラノーマ細胞株(図13B)、およびNCI-H292ヒトNSCLC細胞株(図13C)の細胞表面への結合について試験した。抗PD-L1対照抗体およびHLX01(抗CD20mAb)をそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。
図14図14A-14B。NCI-H292/PBMC異種移植モデルにおけるPL2#3およびPL3#7変異型の腫瘍増殖阻害活性。前記マウス(n=4/群)に、ヒトNSCLC細胞株NCI-H292および新たに単離したヒトPBMCの混合物(癌細胞(T):PBMC(E)=3:1)を皮下に移植した。抗PD-L1抗体をマウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。腫瘍増殖曲線を図14Aに示した。28日目における各腫瘍体積を図14Bに示した。全てのデータ点は、平均±SEMである。
図15図15A-15B。A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおけるPL2#3およびPL3#7変異型の腫瘍増殖阻害活性。前記マウス(n=4/群)に、ヒトメラノーマ細胞株A375と抗原特異的T細胞の混合物(T細胞(E):癌細胞(T)=1:100)を皮下に移植した。試験抗体をマウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。mAbで処理したマウスの腫瘍増殖曲線を図15Aに示した。31日目における各腫瘍体積を図15Bに示した。全てのデータ点は、平均±SEMであった。
図16図16。抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体のマウスメラノーマ細胞への交差結合。PL2#3およびPL3#7変異型を、フローサイトメトリーにより、マウスPD-L1発現メラノーマ細胞(B16-F10)への結合について試験した。抗PD-L1対照抗体をそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。
図17図17A-17B。PL2#3(図17A)およびPL3#7変異型(図17B)のカニクイザルPD-L1への交差結合。PL2#3およびPL3#7変異型を、ELISAにより、組み換えカニクイザルPD-L1_ECD Fc-融合タンパク質への結合について試験した。HLX01(抗CD20mAb)を陰性対照として用いた。全てのデータ点は、3回の平均±SDである。
図18図18。PL3#7-19変異型およびPL3#7-43変異型の脱グリコシル化バージョンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列。これらの脱グリコシル化変異型の軽鎖の配列を記載し、CDR(相補性決定領域)を太い下線で示した。それらの重鎖は、それらの親変異型と変更なく同一であった(配列は示していない)。
図19図19A-19B。PL3#7-19変異型(図19A)およびPL3#7-43変異型(図19B)の脱グリコシル化バージョンの全細胞結合。PL3#7-19の調製した3つの脱グリコシル化変異型(すなわち、PL3#7-19脱グリコ1、脱グリコ2、脱グリコ3)およびPL3#7-43の2つの脱グリコシル化変異型(すなわち、PL3#7-43脱グリコ1、脱グリコ2)のPD-L1トランスフェクトCHO-S細胞に対する全細胞結合活性をフローサイトメトリーで調べた。全ての試験した脱グリコシル化抗体変異型をヒトIgG1 Fc骨格のN297A変異体にクローン化した。内在性抗PD-1抗体(すなわち、HLX10)を陰性対照として用いた。
図20図20A-20B。混合白血球反応(MLR)におけるPL3#7-19脱グリコ1およびPL3#7-43脱グリコ2の異なるIgGアイソタイプの有効性。PL3#7-19脱グリコ1およびPL3#7-43脱グリコ2の異なるIgGアイソタイプを、MLRアッセイを用いて試験した。HLX04およびHLX20(PL2#3)をそれぞれ、陰性対照抗体および陽性対照抗体として用いた。棒グラフは、試験抗体によって誘導された分泌IFN-γ(A)およびIL-2(B)を示す。
図21図21A-21D。A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおける脱グリコシル化PL3#7-19およびPL3#7-43変異型の腫瘍増殖阻害活性。前記マウス(n=5/群)に、ヒトメラノーマ細胞株A375および抗原特異的T細胞の混合物(T細胞:癌細胞=1:100)を皮下に移植した。試験抗体をマウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。脱グリコシル化PL3#7-19およびPL3#7-43変異型で処理したマウスの腫瘍増殖をそれぞれ、図21Aおよび21Cに示した。28日目における各腫瘍体積をそれぞれ、図21Bおよび21Dに示した。全てのデータ点は、平均±SEMである。
図22図22A-22B。NSCLC異種移植モデルマウスにおける抗PD-L1 mAbと抗VEGF mAbとの腫瘍増殖阻害活性。前記マウス(n=5/群)に、ヒトNSCLC細胞NCI-H292および新たに単離したヒトPBMCの混合物(癌細胞:PBMC=3:1)を皮下に移植した。抗PD-L1(PL2#3)、および抗VEGF(HLX04)抗体を、マウスの腹腔内に1日目から1週間に2回注入した。腫瘍増殖曲線を図22Aに示した。21日目における各腫瘍体積を図22Bに示した。全てのデータ点は、平均±SEMである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の詳細な説明
本発明は、新規な抗PD-L1抗体、その変異型、その変異体、および/またはこれらの抗原結合フラグメントを提供する。本発明者らは、驚くべきことに、特定の抗PD-L1抗体およびそれらの親和性変異型および/または変異体が、T細胞によるIL-2およびIFNγの分泌およびCD4およびCD8T細胞の増殖を亢進することを知見した。本明細書に記載の抗PD-L1抗体はまた、癌を治療するために用いられる一定の抗PD-L1対照モノクローナル抗体と比較して高まった有効性および/または抗腫瘍活性を示す。
【0032】
本明細書に記載されるように、免疫抱合体、新規な抗PD-L1抗体をコードする核酸、それらの親和性変異型、あるいはこれらの抗原結合フラグメント、ならびに組成物(例えば、医薬組成物)もまた提供される。本発明はまた、新規な抗PD-L1抗体、その親和性変異型および/または変異体、あるいはこれらの抗原結合フラグメントを用いて、試料(例えば、インビボまたはエクスビボ試料)中のPD-L1を検出する方法、癌の治療における使用のための、このような抗体、その変異型および/または変異体、あるいはこれらの抗原結合フラグメントを含む組成物、および癌の治療剤の製造における、このような抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0033】
定義
本明細書で用いられる「治療」または「治療する」は、臨床試験を含む、利益的なまたは所望の結果を得るための方法である。本発明の目的のために、利益的なまたは所望の臨床結果として、下記に限定されないが、下記のうちの1つまたはそれ以上が挙げられる:疾患から生じる1つまたはそれ以上の症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定化(例えば、疾患の悪化の防止または遅延)、疾患の広がり(例えば、転移)の防止または遅延、疾患の再発の防止または遅延、疾患の進行の遅延または緩徐、病状の軽減、疾患の寛解(部分または全体)、疾患の治療に必要とされる1つまたはそれ以上の他の薬の用量の減少、疾患の進行の遅延、生活の質の向上または改善、体重の増加、および/または生存の延長。「治療」には、癌の病理学的結果(例えば、腫瘍体積など)の減少も包含される。本明細書で提供される方法には、これらの治療態様のうちのいずれか1つまたはそれ以上が包含される。
【0034】
用語「再発」、「回帰」または「再燃」は、病気の消失の臨床的評価後の癌または疾患の再発を意味する。遠隔転移または局所再発の診断は、再発と考えられうる。
【0035】
用語「難治性」または「抵抗性」は、治療に反応しない癌または疾患を意味する。
【0036】
用語「補助療法」は、一次療法、通常、外科手術後に付与される療法を意味する。癌または疾患の補助療法には、免疫療法、化学療法、放射線療法、またはホルモン療法が含まれうる。
【0037】
用語「維持療法」は、前の治療の効果を維持することを助けるために付与される予定された再処置を意味する。維持療法は、癌の寛解を保つのを助けるため、または疾患の進行に関わらず特定の療法に対する応答を延長させるために付与されることが多い。
【0038】
用語「浸潤癌」は、組織の層を超えて広がり、周辺の正常組織へと開始した癌を意味する。浸潤癌は、転移性であってもよく、または転移性でなくてもよい。
【0039】
用語「非浸潤癌」は、非常に初期の癌または元の組織を超えて広がっていない癌を意味する。
【0040】
腫瘍学における用語「無増悪生存期間」は、癌が増殖しない治療期間および後の時間の長さを意味する。無増悪生存期間には、患者が完全な応答もしくは部分的な応答を経た時間、ならびに患者が安定な疾患を経た時間が含まれる。
【0041】
腫瘍学における用語「進行性疾患」は、腫瘍における質量増加または広がりのいずれかにより、治療開始から20%以上の腫瘍増殖を意味しうる。
【0042】
「疾患」は、抗体による治療から利益が得られるであろう病気のいずれかである。例えば、哺乳類は、異常なPD-L1活性に罹っているか、または当該活性に対する予防を必要とする。これには、前記哺乳類を問題となっている疾患に罹りやすくする病態を含む慢性および急性疾患もしくは障害が含まれる。本発明で治療されるべき疾患の非限定的な例には、癌(例えば、頭頚部癌、咽頭癌、結腸直腸癌、肺癌など)が含まれる。
【0043】
本明細書で用いられる「腫瘍」は、全ての腫瘍細胞(悪性または良性の全ての前癌性および癌性細胞および組織)の成長および増殖を意味する。
【0044】
用語「抗体」は、最も広い意味で用いられ、具体的には、天然ポリペプチドに特異的に結合し、および/または本発明の生物学的活性または免疫学的活性を示す限り、例えば、単一のモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、および中和抗体を含む)、抗体組成物(ポリエピトープ特異性を有する)、ポリクローナル抗体、単鎖抗体、および抗体フラグメント(下記を参照)を網羅する。1の実施態様によれば、抗体は、標的タンパク質のオリゴマー型、例えば、三量体型に結合する。別の実施態様によると、抗体は、タンパク質に特異的に結合し、この結合は、本発明のモノクローナル抗体(例えば、本発明の沈着(deposited)抗体など)によって阻害することができる。抗体の用語「機能的フラグメントまたはアナログ」は、それが名付けられている抗体と共通した性質の生物学的活性を有する化合物である。例えば、本発明の抗体の機能的フラグメントまたはアナログは、PD-L1に特異的に結合することができるものでありうる。1の実施態様において、抗体は、細胞増殖を誘導するPD-L1の能力を妨げるか、または実質的に減少させることができる。
【0045】
「単離された抗体」は、その自然環境の一部から同定され、分離され、および/または回収されたものである。その自然環境の混入成分は、前記抗体の診断もしくは治療用途を妨げうる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク性もしくは非タンパク性溶質を含みうる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー法で調べると、95重量%以上の抗体まで、最も好ましくは、99重量%以上まで、(2)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)の使用によってN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーまたは、好ましくは、銀染色を用いて還元もしくは非還元条件下でSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離された抗体には、抗体の自然環境の少なくとも1つの構成成分も存在しないため、組み換えT細胞内の生体内原位置における抗体が含まれる。しかしながら、通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0046】
基本の四鎖抗体単位は、2個の同一の軽(L)鎖および2個の同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は、さらなるポリペプチド(J鎖と呼ばれる)と共に5個の基本ヘテロテトラマー単位からなり、それゆえ、10個の抗原結合部位を含む一方、分泌型IgA抗体は、多量体化して、J鎖と共に2~5個の基本の四鎖単位を含む多価構成を形成することができる)。IgGの場合、前記四鎖単位は、一般に、約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合によってH鎖に連結されているが、これらの2つのH鎖は、H鎖アイソタイプによって1つまたはそれ以上のジスルフィド結合によって相互に連結されている。各HおよびL鎖はまた、規則的な間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各H鎖は、N末端において、可変領域(V)、続いてαおよびγ鎖の各々について3つの定常領域(C)およびμおよびεアイソタイプについて4つのC領域を有する。各L鎖は、N末端において、可変領域(V)、続いてそのもう一方の末端に定常領域(C)を有する。前記Vは、Vと並列しており、Cは、重鎖の第1の定常領域(CH1)と並列する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖可変領域との間に境界を形成すると考えられている。VとVは一緒にペアになって、単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造と特徴については、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th edition, Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow (eds.), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, page 71 and Chapter 6を参照のこと。
【0047】
脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常領域のアミノ酸配列に基づいて、カッパおよびラムダと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに分けることができる。それらの重鎖(C)の定常領域のアミノ酸配列により、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに分けることができる。5つのクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM(それぞれ、α、δ、γ、ε、およびμに属する重鎖を有する)が存在する。γおよびαクラスは、CH配列および機能における比較的小さい差に基づいてサブクラスに分けられ、例えば、ヒトは、下記サブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現する。
【0048】
用語「可変」は、可変領域の一定の部分が抗体間の配列において広範囲で異なるということを意味する。V領域は、抗原結合を介在し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。しかしながら、その可変性は、可変領域の110アミノ酸の長さにわたり均一に分布しているわけではない。むしろ、V領域は、各9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極度の可変性のより短い領域によって分けられる15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変な領域からなる。天然の重鎖および軽鎖それぞれの可変領域には、主に3つの超可変領域によって連結されたβシート構造を用いる4個のFR(前記βシート構造を連結するループを形成し、ある場合には、前記シート構造の一部を形成する)が含まれる。各鎖における超可変領域は、FRによって近接近して一緒に保持され、他の鎖からの超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照のこと)。定常領域は、抗体の抗原への結合に直接関わっていないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)における抗体の関与などの様々なエフェクター機能を示す。
【0049】
本明細書で用いられるように、用語「CDR」または「相補性決定領域」は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見出される非隣接の抗原結合部位を意味するものとされる。これらの特定の領域は、Kabat et al., J. Biol. Chem. 252:6609-6616 (1977); Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, "Sequences of proteins of immunological interest" (1991); by Chothia et al., J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987); and MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996)に記載されており、これらの定義には、相互に比較したときのアミノ酸残基の重複または部分集団が含まれる。それにも関わらず、抗体もしくは移植した抗体またはこれらの変異型のCDRを意味する定義のいずれの適用も、本明細書で定義され、用いられる用語の範囲内であるものとされる。上記に引用される文献の各々によって定義されるCDRを含むアミノ酸残基は、比較として下記の表2に示される。
表2
【表2】
【0050】
本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体(すなわち、少量で存在しうる可能性のある天然に存在する変異を除いて同一である集団を含む各抗体)を意味する。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に対して高度に特異的である。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体が混入することなく合成できる点で有利である。修飾「モノクローナル」は、いずれか特定の方法による抗体の産生が必要とされるものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に有用であるモノクローナル抗体は、Kohler et al. Nature. 256:495 (1975)に最初に記載されたハイブリドーマ法によって調製することができるか、あるいは細菌、真核生物、または植物細胞において組み換えDNA法を用いて調製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991), Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)および下記の実施例に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0051】
本明細書に記載のモノクローナル抗体には、重鎖および/または軽鎖の一部が、本発明の生物学的活性を示す限り、ある種に由来するか、またはある抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか、または相同性を有する一方、前記鎖の残りの部分が、別の種に由来するか、別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか、相同性を有する「キメラ」抗体が含まれる(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984)を参照のこと)。本明細書における目的のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)に由来する可変領域抗原結合配列を含む「霊長類化」抗体、およびヒト定常領域配列が含まれる。
【0052】
「インタクトな」抗体は、抗原結合部位、ならびにCLおよび少なくとも重鎖定常領域、CH1、CH2、およびCH3を含むものである。定常領域は、天然配列の定常領域(例えば、ヒト天然配列の定常領域)またはそのアミノ酸配列変異型でありうる。好ましくは、前記インタクトな抗体は、1つまたはそれ以上のエフェクター機能を有する。
【0053】
「抗体フラグメント」には、インタクトな抗体の一部、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合もしくは可変領域が含まれる。抗体フラグメントの例として、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント;二特異性抗体;リニア抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2;Zapata et al., Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]を参照のこと);単鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成された多特異性抗体が挙げられる。用語「リニア抗体」は、一般に、Zapata et al., Protein Eng., 8(10):1057-1062 (1995)に記載の抗体を意味する。簡単に説明すると、これらの抗体には、タンデムFd部分のペア(VH-CH1-VH-CH1)(相補的な軽鎖ポリペプチドと一緒になって、抗原結合領域のペアを形成する)が含まれる。リニア抗体は、二特異性または一特異性でありうる。
【0054】
抗体のパパイン消化は、「Fab」フラグメント、残りの「Fc」フラグメントと呼ばれる2個の同一の抗原結合フラグメントを生じ、その名称は、容易に結晶化する能力を反映する。Fabフラグメントは、H鎖の可変領域ドメインと共に全体L鎖(VH)と1つの重鎖の第1の定常領域(CH1)とからなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関して一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィドで連結したFabフラグメントにほぼ相当し、まだ抗原に架橋結合することができる単一の大きなF(ab’)フラグメントを生じる。Fab’フラグメントは、CH1ドメインのカルボキシル末端においてさらに数個の残基(抗体ヒンジ領域からの1個またはそれ以上のシステインを含む)を有することによってFabフラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常領域のシステイン残基が遊離チオール基を保有するFab’についての本明細書における名称である。F(ab’)抗体フラグメントは、元々、Fab’フラグメントのペア(ヒンジシステインをそれらの間に有する)として調製された。抗体フラグメントの他の化学結合もまた公知である。
【0055】
Fcフラグメントには、ジスルフィドによって結合された両方のH鎖のカルボキシル末端部分が含まれる。抗体のエフェクター機能は、Fc領域における配列によって決定され、その領域はまた、あるタイプの細胞に見られるFc受容体(FcR)によって認識される一部である。
【0056】
「変異型Fc領域」には、少なくとも本明細書で定義されるような「アミノ酸修飾」により、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列が含まれる。好ましくは、変異型Fc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域において約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5個のアミノ酸置換を有する。1の実施態様において、本明細書における変異型Fc領域は、天然配列Fc領域と少なくとも約80%の相同性、少なくとも約85%の相同性、少なくとも約90%の相同性、少なくとも約95%の相同性、または少なくとも約99%の相同性を有する。別の実施態様によると、本明細書における変異型Fc領域は、親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、少なくとも約85%の相同性、少なくとも約90%の相同性、少なくとも約95%の相同性、または少なくとも約99%の相同性を有する。
【0057】
用語「Fc領域を含むポリペプチド」は、Fc領域を含む抗体またはイムノアドヘシン(本明細書の他の定義を参照のこと)などのポリペプチドを意味する。前記Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによると残基447)は、例えば、ポリペプチドの精製時またはポリペプチドをコードする核酸の組み換え技術によって除去されていてもよい。よって、本発明によるFc領域を有する抗体を含むポリペプチドを含む組成物には、全てのK447残基が除去されたポリペプチド集団、K447残基が除去されていないポリペプチド集団、またはK447残基を有するポリペプチドと有しないポリペプチドの混合物を有するポリペプチド集団が含まれうる。
【0058】
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異型Fc領域)に起因しうる生物学的活性を意味し、抗体アイソタイプにより変動する。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体の下流調節;およびB細胞活性化が含まれる。「天然配列Fc領域」には、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列が含まれる。Fc配列の例は、例えば、下記に限定されないが、Kabat et al., Sequences of Immunological Interest. 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)に記載されている。
【0059】
「Fv」は、全ての抗原認識および結合部位を含有する最少の抗体フラグメントである。このフラグメントは、緊密な非共有結合で1つの重鎖および1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳み構造から、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6個の超可変ループ(HおよびL鎖からそれぞれ3個のループ)が生じる。
【0060】
しかしながら、単一の可変領域(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、全体結合部位より低い親和性ではあるが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
【0061】
「sFv」または「scFv」とも略称される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に繋がれたVおよびV抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドには、sFvを抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVとVドメインとの間のポリペプチドリンカーがさらに含まれる。sFvの総説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994); Borrebaeck 1995を参照のこと。
【0062】
用語「二特異性抗体」は、sFvフラグメント(前段落を参照のこと)をVおよびVドメイン間に短いリンカー(約5~10残基)で構築することによって、これによりV領域の鎖間ではあるが、鎖内ではないペアが達成され、二価フラグメント(すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメント)を生じるように調製された小さな抗体フラグメントを意味する。二特異性抗体は、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体(前記2つの抗体のVおよびVドメインが異なるポリペプチド鎖に存在する)である。二特異性抗体は、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 90:6444-6448 (1993)において詳細に記載されている。
【0063】
非ヒト(例えば、例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト抗体に由来する最少配列を含有するキメラ抗体である。多くの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望される抗体特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト類(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基によって置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある例において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。
【0064】
さらに、ヒト化抗体には、レシピエント抗体またはドナー抗体で見出されることのない残基が含まれうる。これらの改変は、抗体の能力をさらに高めるためになされる。一般に、ヒト化抗体には、実質的に全ての少なくとも1つ、典型的に、2つの可変領域が含まれ、全てまたは実質的に全ての超可変ループが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、ならびに全てまたは実質的に全てのFRが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体にはまた、少なくとも一部の免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンが含まれてもよい。さらなる詳細については、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol.2:593-596 (1992)を参照のこと。
【0065】
本明細書で同定されるポリペプチドおよび抗体配列についての「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」または「相同性」は、配列を配列同一性の一部としていずれの保存的置換を考慮して整列させた後、比較されるポリペプチドにおけるアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当該技術分野内の様々な方法、例えば、公衆に利用可能なコンピューターソフトフェア(例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトフェア)を用いて行うことができる。当業者は、比較される配列の全長に対する最大のアライメントを達成するために必要なアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適当なパラメータを決定することができる。しかしながら、本願のために、%アミノ酸配列同一性の数値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて作成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成され、ソースコードは、アメリカ合衆国著作権局(ワシントンD.C.20559)においてユーザー文書とともに提出された(アメリカ合衆国著作権登録番号TXU510087で登録されている)。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(カリフォルニア州、サウスサンフランシスコ)により公衆に利用可能である。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーションシステム、好ましくは、デジタルUNIX V4.0Dで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され、変更されるものではない。
【0066】
用語「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載するために用いられる。1の実施態様において、本発明のFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体の対立形質変異型および選択的にスプライシングされた型)が含まれる。FcγRII受容体には、同様のアミノ酸配列(主に、これらの細胞質ドメインで異なる)を有するFcγRIIA(「受容体活性化」)およびFcγRIIB(「受容体阻害」)が含まれる。受容体活性化FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含む。受容体阻害FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を含む(総説M. in Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照のこと)。前記用語には、アロタイプ、例えば、FcγRIIIAアロタイプ:FcγRIIIA-Phe158、FcγRIIIA-Val158、FcγRIIA-R131および/またはFcγRIIA-H131が含まれる。FcRは、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991); Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994);およびHaas et al., J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)で総説されている。他のFcR(今後同定されるものを含む)が本明細書における用語「FcR」に包含される。前記用語にはまた、新生児受容体であるFcRn(母親IgGの胎児への移行に関する)が含まれる(Guyer et al., J. Immun Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)およびKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))。
【0067】
用語「FcRn」は、新生児Fc受容体(FcRn)を意味する。FcRnは、主要組織適合抗原(MHC)に構造的に類似し、β2ミクログロブリンに非共有結合で結合したα鎖からなる。新生児Fc受容体FcRnの多機能は、Ghetie and Ward (2000) Annu. Rev. Immunol. 18, 739-766で総説されている。FcRnは、母親から子供への免疫グロブリンIgGの受動送達および血清IgGレベルの調節に重要な役割を果たす。FcRnは、飲作用化されたIgGに結合し、無傷な形態で細胞内および細胞の通過の両方において輸送し、そしてそれらを初期の分解経路から救出する救援受容体として作用することができる。
【0068】
ヒトIgG Fc領域の「CH1ドメイン」(「H1」ドメインの「C1」とも称される)は、通常、約アミノ酸118から約アミノ酸215までの範囲である(EUナンバリングシステム)。
【0069】
「ヒンジ領域」は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの範囲として定義される(Burton, Molec. Immunol.22:161-206 (1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、前記IgG1配列と、重鎖間S-S結合を形成する最初と最後のシステイン残基を同一位置に配置することによって整列させてもよい。
【0070】
Fc領域の「低ヒンジ領域」は、一般に、C末端直後からヒンジ領域までの残基の範囲、すなわち、Fc領域の残基233~239として定義される。これまでの報告では、FcR結合は、一般に、IgG Fc領域の低ヒンジ領域におけるアミノ酸残基を起因とされた。
【0071】
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」(「H2」ドメインの「C2」とも称される)は、通常、約アミノ酸231から約アミノ酸340の範囲である。CH2ドメインは、別のドメインと密接にペアになることはない点で特異的である。むしろ、2つのN-連結分岐炭化水素鎖は、インタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間に挿入されている。前記炭化水素鎖は、ドメイン-ドメイン間のペアのための置換を供し、CH2ドメインの安定性を補助しうることが予測されている。Burton, Molec Immunol. 22:161-206 (1985).
【0072】
「CH3ドメイン」(「C2」または「H3」ドメインとも称される)には、Fc領域における残基C末端からCH2ドメインまでの範囲(すなわち、約アミノ酸残基341から抗体配列のC末端まで、典型的に、IgGのアミノ酸残基446または447)が含まれる。
【0073】
「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。典型的な「エフェクター機能」としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下流調節などが挙げられる。このようなエフェクター機能は、一般に、結合ドメインと結合されるべきFc領域(例えば、抗体可変領域)が必要とされ、例えば、本明細書で開示されるような様々なアッセイを用いて測定することができる。
【0074】
「C1q」は、免疫グロブリンのFc領域に対する結合部位を含むポリペプチドである。C1qは、2つのセリンプロテアーゼ(C1rおよびC1s)と一緒になって、補体依存性細胞傷害(CDC)経路の第1の構成成分である複合体C1を形成する。ヒトC1qは、例えば、Quidel(カリフォルニア州、サンディエゴ)から商業的に購入することができる。
【0075】
用語「結合ドメイン」は、別の分子に結合するポリペプチドの領域を意味する。FcRの場合、結合ドメインには、Fc領域の結合に関連するそのポリペプチド鎖の一部(例えば、そのアルファ鎖)が含まれ得る。1つの有用な結合ドメインは、FcRアルファ鎖の細胞外ドメインである。
【0076】
FcR結合親和性またはADCC活性の「変化した」変異型IgG Fcを有する抗体は、親ポリペプチドまたは天然配列Fc領域を含むポリペプチドと比較して高まるか、もしくは低下したFcR結合活性(例えば、FcγRまたはFcRn)および/またはADCC活性を有するものである。FcRに対して「高まった結合を示す」変異型Fcは、親ポリペプチドまたは天然配列IgG Fcより高い親和性(例えば、より低い見掛けのKdまたはIC50値)を有する少なくとも1つのFcRに結合する。ある実施態様によれば、親ポリペプチドと比較した結合の改善は、約3倍、好ましくは、約5、10、25、50、60、100、150、200、500倍まで、または約25%~1000%の結合の改善である。FcRに対して「低下した結合を示す」ポリペプチド変異型は、親ポリペプチドより低い親和性(例えば、より高い見掛けのKdまたは高いIC50値)を有する少なくとも1つのFcRに結合する。親ポリペプチドと比較した結合の減少は、約40%またはそれ以上の結合の減少であってもよい。
【0077】
「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」は、一定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌型Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞を、抗原を有する標的細胞に特異的に結合させ、続いて細胞毒を有する標的細胞を死滅させることを可能にする細胞傷害の形態を意味する。抗体は、細胞傷害性細胞を「武装し」、このような死滅に絶対的に必要とされる。ADCCを介在するための一次細胞(NK細胞)は、FcγRIIIのみを発現するが、一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)の464ページの表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するために、インビトロADCCアッセイ(例えば、米国特許第5,500,362号もしくは第5,821,337号または下記の実施例に記載のもの)が行われてもよい。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、目的の分子のADCC活性は、インビボ、例えば、モデル動物(例えば、Clynes et al. PNAS (USA) 95:652-656 (1998)に開示の動物)で評価されてもよい。
【0078】
「高まったADCCを示す」か、またはヒトエフェクター細胞の存在下で野生型IgG Fcを有するポリペプチドまたは親ポリペプチドより効率的に抗体依存性細胞傷害(ADCC)を介在する、変異型Fc領域を含むポリペプチドは、アッセイにおいて変異型Fc領域を有するポリペプチドおよび野生型Fc領域を有するポリペプチド(または親ポリペプチド)の量が実質的に同一である場合、ADCC介在時にインビトロまたはインビボで実質的により有効である。一般に、このような変異型は、当該技術分野で公知のいずれかのインビトロADCCアッセイ(例えば、動物モデルなどにおけるADCC活性を調べるためのアッセイもしくは方法)を用いて同定される。1の実施態様において、好ましい変異型は、ADCCの介在時に野生型Fc(または親ポリペプチド)より約5倍から約100倍、例えば、約25~約50倍有効である。
【0079】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在下における標的細胞の溶解を意味する。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1構成成分(C1q)の(適当なサブクラスの)抗体(それらの同族抗原に結合する)への結合によって開始する。補体活性を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されるようなCDCアッセイが行われてもよい。Fc領域アミノ酸配列が変化し、C1q結合能が高まるか、または低下したポリペプチド変異型は、米国特許第6,194,551B1号およびWO99/51642に記載されている。これらの特許公報の内容は、出典明示により本明細書に取り込まれる。Idusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)もまた参照のこと。
【0080】
本明細書に開示される抗PD-1抗体(またはそのフラグメント)または組成物の「有効な量」は、具体的に記載される目的を達成するために十分な量である。「有効な量」は、記載される目的に関して経験的に公知の方法によって決定することができる。用語「治療上有効な量」は、哺乳類(aka患者)における疾患または病気を「治療する」ために有効である本明細書に開示される抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物の量を意味する、癌の場合、本明細書に開示される抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物の治療上有効な量は、癌細胞の数を減少させ;腫瘍サイズまたは重量を減少させ;癌細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延させ、好ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度まで遅延させ、好ましくは停止させ);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;および/または癌に関連する症状の1つまたはそれ以上をある程度まで軽減させることができる。本明細書に開示される抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物は、存在する癌細胞の増殖および/または死滅を阻害することができる程度まで、細胞分裂停止および/または細胞傷害性でありうる。1の実施態様において、治療上有効な量は、増殖阻害量である。別の実施態様において、治療上有効な量は、患者の生存率を高める量である。別の実施態様において、治療上有効な量は、患者の進行に関わらず生存率を改善させる量である。
【0081】
本発明の本明細書に開示される抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物の「増殖阻害量」は、細胞(特に、腫瘍、例えば、癌細胞)の増殖をインビトロまたはインビボで阻害することができる量である。腫瘍の細胞増殖を阻害するための本発明のポリペプチド、抗体、アンタゴニストまたは組成物の「増殖阻害量」は、経験的に公知の方法または本明細書で供される実施例によって決定することができる。
【0082】
本発明の抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物の「細胞毒性量」は、インビトロまたはインビボで細胞(特に、腫瘍、例えば、癌細胞)の破壊を引き起こすことができる量である。腫瘍の細胞増殖を阻害するための本発明の抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物の「細胞毒性量」は、経験的に公知の方法によって決定することができる。
【0083】
本発明の抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物の「増殖阻害量」は、細胞(特に、腫瘍、例えば、癌細胞)の増殖をインビトロまたはインビボで阻害することができる量である。腫瘍の細胞増殖を阻害するための本発明の抗PD-L1抗体(またはその変異型もしくは抗原結合フラグメント)または組成物の「増殖阻害量」は、経験的に公知の方法または本明細書で供される実施例によって決定することができる。
【0084】
本明細書で用いられるように、「医薬的に許容できる」または「薬学的に適合な」は、生物学的、または所望されないものではない物質、例えば、前記物質は、あまり望ましくない生物学的効果を生じることなく、または含まれている組成物の他の構成成分のいずれとも有害な形で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に取り込まれうるものとされる。医薬的に許容される担体または賦形剤は、好ましくは、要求される毒性および製造試験の標準基準を満たし、および/または米国食品医薬品局によって作成された不活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)に含まれる。
【0085】
用語「検出する」は、物質の存在または非存在を決定するか、または物質(例えば、PD-L1)の量を定量化することを含むものとされる。それゆえ、前記用語は、質的および量的試験のための本発明の物質、組成物、および方法の使用を意味する。一般に、検出のために用いられる特定の技術は、本発明の実施に不可欠ではない。
【0086】
例えば、本発明による「検出する」には、PD-L1遺伝子産物、mRNA分子、またはPD-L1ポリペプチドの存在または非存在を観察すること;PD-L1ポリペプチドのレベルまたは標的に結合する量の変化;PD-L1ポリペプチドの生物学的機能/活性の変化が含まれうる。ある実施態様において、「検出する」には、野生型PD-L1レベル(例えば、mRNAまたはポリペプチドレベル)を検出することが含まれてもよい。検出するには、対照と比較して10%~90%のいずれかの値、または30%~60%のいずれかの値、または100%以上の変化(増加または減少)を定量することが含まれてもよい。検出するには、2倍~10倍のいずれかの値を含め、または例えば、100倍以上の変化を定量することが含まれうる。
【0087】
用語「標識」は、本明細書で用いられる場合、抗体に直接的または間接的に抱合されている検出可能な化合物または組成物を意味する。標識は、それ自体によりそれ自身で検出可能であってもよく(例えば、ラジオアイソトープ標識または蛍光標識)、あるいは酵素学的標識の場合、検出可能な基質化合物または組成物の化学変化を触媒してもよい。
【0088】
本明細書における数値またはパラメータの「約」への記載は、当業者に容易に理解される各数値の通常の誤差範囲を意味する。本明細書における数値またはパラメータの「約」への記載には、それ自体の数値またはパラメータに関する態様が含まれる(記載される)。例えば、「約X」を意味する記載には、「X」の記載が含まれる。
【0089】
本明細書に記載の本発明の態様および実施態様には、態様および実施態様「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」が含まれるものと理解される。
【0090】
本明細書で引用される全ての参考文献(特許出願および刊行物を含む)は、出典明示によりそれらの全体が本明細書に取り込まれる。
【0091】
抗PD-L1抗体および親和性変異型/変異体
本発明は、PD-L1受容体(PD-L1)に結合する新規な抗体の同定に基づくものである。抗PD-L1抗体、およびそれらの親和性変異型および/または変異体、あるいはそれらの抗原結合フラグメントは、様々な治療方法および診断方法で用いることができる。例えば、抗PD-L1抗体、ならびにそれらの親和性変異型および/もしくは変異体または抗原結合フラグメントは、単独で、あるいは異常なPD-L1発現または異常なPD-L1活性によって特徴付けられる疾患(例えば、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌を含む)を治療するための他の薬剤と組み合わせて用いることができる。本明細書で提供される抗体はまた、抗PD-L1抗体および/またはそれらの親和性変異型/変異体あるいはそれらの抗原結合フラグメントを患者に投与し、次いで患者由来の試料において(例えば、インビボまたはエクスビボで)PD-L1タンパク質に結合した前記抗PD-L1抗体および/またはそれらの親和性変異型/変異体あるいはそれらの抗原結合フラグメントを検出することによって、あるいは抗PD-L1抗体および/またはそれらの親和性変異型/変異体あるいはそれらの抗原結合フラグメントを患者由来の試料と接触させ、次いでPD-L1タンパク質に結合した抗PD-L1抗体および/またはそれらの親和性変異型/変異体あるいはそれらの抗原結合フラグメントを定性的もしくは定量的に検出することによって、患者または患者の試料におけるPD-L1タンパク質を検出するために用いることができる。
【0092】
分化クラスター274(CD274)またはB7ホモログ1(B7-H1)としても知られるプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)は、ヒトにおいてCD274(PD-L1)遺伝子によってコードされるタンパク質である。PD-L1は、1型膜貫通タンパク質であり、妊娠、組織同種移植、自己免疫疾患、および肝炎などの他の病状のような免疫系の特定の事象を抑制する際に主な役割を果たす。PD-L1のPD-1またはB7.1への結合は、リンパ節でこれらのCD8T細胞の増殖を減少させる阻害シグナルを伝達し、加えて、PD-1はまた、遺伝子Bcl-2の下流調節によってさらに介在されるアポトーシスを介して、リンパ節において前記抗原特異的T細胞の蓄積を制御することができる。
【0093】
抗PD-L1抗体は、十分な親和性と特異性でPD-L1に結合する抗体である。好ましくは、本明細書で提供される抗PD-L1抗体(または変異型/変異体あるいはこれらの抗原結合フラグメント)は、PD-L1活性が関連する疾患または病気を標的とし、妨げる治療薬として用いることができる。抗PD-L1抗体(または変異型/変異体あるいはこれらの抗原結合フラグメント)は、通常、他の免疫グロブリンスーパーファミリーに結合することはない。好ましくは、抗PD-L1抗体(または変異型/変異体あるいはこれらの抗原結合フラグメント)は、ヒトまたは組み換えヒト化抗PD-L1モノクローナル抗体である。
【0094】
ある実施態様によれば、抗PD-L1抗体は、本明細書に開示の抗体のいずれか1つのCDR、可変重鎖領域、および/または可変軽鎖領域を含む。
【0095】
本発明は、抗PD-L1抗体、それらの親和性変異型/変異体、および/またはこれらの抗原結合フラグメントを提供する。ある実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL1抗体は、(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:44で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:59で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0096】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL2抗体は、(1)配列番号:36で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:45で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:60で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0097】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL3抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:46で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:53で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:61で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0098】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL6抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:47で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:54で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:57で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:62で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0099】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL8抗体は、(1)配列番号:38で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:43で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:48で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:58で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:63で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0100】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL12抗体は、(1)配列番号:39で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:49で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:64で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0101】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体、すなわち、PL15抗体は、(1)配列番号:40で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:50で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:53で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:61で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0102】
本発明は、本明細書に記載の重鎖および軽鎖可変領域ならびにCDRが全ての可能なペアとなる組み合わせで組み合わされて多くの抗PD-L1抗体を調製することを供する。
【0103】
ある実施態様において、前記アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。ある実施態様において、前記アミノ酸置換は、抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない。例えば、PD-L1結合親和性を実質的に減少させない保存的変換(例えば、本明細書で供されるような保存的置換)がなされうる。抗PD-L1抗体変異型の結合親和性は、下記実施例に記載の方法を用いて評価することができる。
【0104】
保存的置換は、「保存的置換」の表題として表3に示される。より実質的変換は、「典型的な置換」の表題として表3において、アミノ酸側鎖クラスに関して下記にさらに記載されるように供される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入され、当該生成物が、所望される活性、例えば、PD-L1結合の保持/改善、免疫原性の低下、あるいはADCCまたはCDCの改善についてスクリーニングされうる。
表3:保存的置換
【表3】

【0105】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスに交換することを伴う。典型的な置換の変異型は、親和性成熟抗体であり、例えば、一般に、本明細書に記載される方法などの親和性成熟技術に基づいてファージディスプレイを用いて作成されうる。簡単に説明すると、1つまたはそれ以上のCDR残基に変異を入れ、変異型抗体をファージ上に提示させ、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。変換(例えば、置換)は、例えば、抗体親和性を改善するために、HVRにおいてなされてもよい。このような変換は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異が入るコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照のこと)、および/または結合親和性について試験される生じた変異型VまたはVを有するSDR(a-CDR)においてなされてもよい。二次ライブラリーを構築し、そこから再選択することによる親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001))に記載されている。
【0106】
親和性成熟のある実施態様において、多様性は、様々な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング(chain shuffling)、またはオリゴヌクレオチド定方向突然変異誘発(oligonucleotide-directed mutagenesis)のいずれかによる成熟について選択される可変遺伝子に導入される。そして、二次ライブラリーが作成される。続いて、このライブラリーは、所望される親和性を有する抗体変異型を同定するためにスクリーニングされる。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、1回に4-6残基)にランダムに入るHVR定方向法に関する。抗原結合に関連するHVR残基は、例えば、アラニン系統的変異導入法またはモデリングを用いて、具体的に同定されてもよい。
【0107】
本発明は、さらに、抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、あるいはこれらの抗原結合フラグメントを提供する。ある実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#3抗体は、(1)配列番号:65で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:71で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:77で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0108】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:78で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0109】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7-19抗体は、(1)配列番号:66で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:68で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:73で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:79で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体の変異体PL3#7-19は、N-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含むCDR-L2を含む。ある実施態様において、前記グリコシル化部位は、CDR-L2領域内、例えば、シークオンN-X-S/Tにおけるものである。シークオンN-X-S/Tにおいて1つまたはそれ以上の変異を有する抗PD-L1抗体は、N-グリコシル化部位を除去しているが、同等の機能のままである。
【0110】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7-43抗体は、(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:69で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:74で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:80で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。ある実施態様において、抗PD-L1抗体の変異体PL3#7-43は、N-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含むCDR-L2を含む。ある実施態様において、グリコシル化部位は、CDR-L2領域内、例えば、シークオンN-X-S/Tである。シークオンN-X-S/T上に1つまたはそれ以上の変異を有する抗PD-L1抗体は、N-グリコシル化部位を除去しているが、同等の機能のままである。
【0111】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#7-54抗体は、(1)配列番号:67で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:70で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:76で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:81で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0112】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#4抗体は、(1)配列番号:94で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:95で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:96で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0113】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#5抗体は、(1)配列番号:97で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:98で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:99で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0114】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL2#39抗体は、(1)配列番号:100で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:95で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:101で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0115】
他の実施態様において、本発明の抗PD-L1抗体変異型および/または変異体、すなわち、PL3#1抗体は、(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:106で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:107で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:108で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:109で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む。
【0116】
本発明は、本明細書に記載の重鎖および軽鎖可変領域ならびにCDRが全ての可能なペアとなる組み合わせで組み合わされて多くの抗PD-L1抗体および/またはその変異型が調製されることを供する。
【0117】
ある実施態様において、本発明は、抗PD-L1抗体、変異型またはこれらの抗原結合フラグメントが、(1)配列番号:35-40、65-67、94、97、および100からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41-43、68-70、および106からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:44-50、71-74、95、98、および107からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖可変領域(V)配列、ならびに(1)配列番号:51-54、75、および108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55-58および76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:59-64、77-81、96、99、101、および109からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖可変領域配列(V)を含むものを提供する。重鎖および軽鎖可変領域が全ての可能なペアとなる組み合わせで組み合わされて多くの抗PD-L1抗体および/またはその変異型が調製される。
【0118】
本発明はまた、配列番号:1~7、16、20、24、28、32、83、87、91、または103で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)可変領域配列;ならびに配列番号:8~14、18、22、26、30、34、85、89、93、または105で示されるアミノ酸配列を含む重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体、それらの変異型および/または変異体、あるいはこれらの抗原結合フラグメントを提供する。これらのLCおよびHC領域をコードする核酸配列もまた提供される。重鎖および軽鎖可変領域が全ての可能なペアとなる組み合わせで組み合わされて多くの抗PD-L1抗体および/またはその変異型が調製される。
【0119】
ある実施態様において、抗PD-L1抗体、変異型または変異体、あるいはこれらの抗原結合フラグメントは、変化した機能、免疫原性、または安定性を生じる抗体の集団内の相違を引き起こしうる重鎖または軽鎖可変領域内のN-グリコシル化モチーフを欠失していてもよい。抗体グリコシル化の解析方法としては、以下に限定されないが、例えば、クロマトグラフィー(例えば、陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)または液体クロマトグラフィー)、質量分析法(例えば、エレクトロスプレーイオン化質量分析法)、およびキャピラリー電気泳動-硫酸ドデシルナトリウムが挙げられる。このような方法は、例えば、Jung et al. (2011) Curr Op Biotechnol. 22(6):858-67; Cummings RD, Etzler ME. Antibodies and Lectins in Glycan Analysis. In: Varki A, Cummings RD, Esko JD, et al., editors. Essentials of Glycobiology. 2nd edition. Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press; 2009. Chapter 45; Mulloy B, Hart GW, Stanley P. Structural Analysis of Glycans. In: Varki A, Cummings RD, Esko JD, et al., editors. Essentials of Glycobiology. 2nd edition. Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press; 2009. Chapter 47; Leymarie, et al. (2012) Anal Chem. 84(7): 3040-3048; Fernandez (2005) European Biopharmaceutical Review. pp 106-110; and Raju, T. (2013) Methods Mol Biol. 988: 169-180に記載されている。
【0120】
ある実施態様において、抗PD-L1抗体、変異型および/または変異体、あるいはこれらの抗原結合フラグメントは、PD-L1の類似体に対する結合親和性より強いPD-L1リガンドに対する結合親和性を有する。通常、抗PD-L1抗体、および/または変異型、あるいはこれらの抗原結合フラグメントは、PD-L1に「特異的に結合する」(すなわち、約1x10-7M以下、好ましくは、約1x10-8以下、最も好ましくは、約1x10-9M以下の結合親和性(Kd)の数値を示す)が、そのPD-L1に対する結合親和性より少なくとも約50倍、または少なくとも約500倍、または少なくとも約1000倍弱い多くのPD-L1ファミリーに対する結合親和性を有する。PD-L1に特異的に結合する抗PD-L1抗体は、上記で定義される様々なタイプの抗体のいずれかでありうるが、好ましくは、ヒト化もしくはヒト抗体である。
【0121】
ある実施態様において、抗PD-L1抗体の非標的タンパク質への結合の程度は、当該技術分野で公知の方法(例えば、ELISA、蛍光標識細胞分取(FACS)分析、または放射性免疫沈降法(RIA))によって調べられると、前記抗体のPD-L1への結合の約10%以下である。特異的な結合は、例えば、対照分子(一般に、結合活性を有していない同様の構造の分子である)の結合と比較して分子の結合を調べることによって測定することができる。例えば、特異的な結合は、標的と類似する対照分子(例えば、過剰量の非標識標的)との競合によって調べることができる。この場合、特異的な結合は、標識された標的プローブへの結合が過剰量の非標識標的によって競合的に阻害されるかどうかで示される。本明細書で用いられるような特定のポリペプチド標的上の特定のポリペプチドもしくはエピトープ「の特異的な結合」あるいは「に特異的に結合する」または「に特異的な」なる用語は、例えば、少なくとも約10-4M、あるいは少なくとも約10-5M、あるいは少なくとも約10-6M、あるいは少なくとも約10-7M、あるいは少なくとも約10-8M、あるいは少なくとも約10-9M、あるいは少なくとも約10-10M、あるいは少なくとも約10-11M、あるいは少なくとも約10-12M、またはそれ以上の前記標的に対するKdを有する分子によって示すことができる。1の実施態様において、用語「特異的に結合」は、ある分子が、特定のポリペプチド上の特定のポリペプチドもしくはエピトープに、いずれの他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく結合する結合を意味する。
【0122】
抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、腫瘍細胞に対する治療抗体の作用メカニズムである。ADCCは、免疫系のエフェクター細胞が、標的細胞(例えば、癌細胞)(その膜表面抗原が特異的な抗体(例えば、本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/または親和性変異型など)によって結合されている)を積極的に溶解することによる細胞介在免疫防御である。ある実施態様において、抗PD-L1抗体および/または親和性変異型は、例えば、実施例に記載のアッセイによって示されるように、対照抗PD-L1モノクローナル抗体と同様の抗体依存性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能を示す。
【0123】
例えば、ある実施態様において、抗PD-L1抗体および/またはその親和性変異型もしくは変異体のADCCエフェクター機能活性は、対照抗PD-L1抗体のADCCエフェクター機能活性の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約100%、または100%以上(例えば、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、または約130%)(その数値間のいずれの範囲を含む)である。
【0124】
ある実施態様において、抗PD-L1抗体および/またはその親和性変異型もしくは変異体は、対照抗PD-L1抗体と同様のPD-L1に対する結合親和性を示す。ある実施態様において、PD-L1への結合は、実施例に記載されるように、ELISAによって示される。例えば、PD-L1に対する抗PD-L1および/またはその親和性変異型もしくは変異体の結合親和性は、PD-L1に対する対照抗PD-L1抗体の結合親和性より約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、または100%以上(例えば、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、または約125%以上)高い。
【0125】
ある実施態様において、抗PD-L1抗体および/またはその親和性変異型もしくは変異体は、約0.1pM~200pM(0.2nM)、例えば、約0.1pM、約0.25pM、約0.5pM、約0.75pM、約1pM、約5pM、約10pM、約20pM、約30pM、約40pM、約50pM、約60pM、約70pM、約80pM、約90pM、約100pM、約110pM、約120pM、約130pM、約140pM、約150pM、約160pM、約170pM、約180pM、約190pM、または約190pM以上(これらの数値の間のいずれの範囲も含む)のKdでヒトPD-L1に結合する。ある実施態様において、抗PD-L1抗体および/またはその親和性変異型もしくは変異体のPD-L1への結合親和性は、対照抗PD-L1抗体のPD-L1への結合親和性より約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、または約100%以上(例えば、約105%、約110%、約120%、または約130%)高い。ある実施態様において、抗PD-L1および/またはその変異型もしくは変異体のPD-L1への結合親和性は、対照抗PD-L1抗体のPD-1への結合親和性より約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約2.25倍、約2.5倍、約2.75倍、約3倍、約3.25倍、約3.5倍、約3.75倍、約4倍、約4.25倍、約4.5倍、約4.75倍、または約4.75倍以上(これらの数値の間のいずれの範囲も含む)高い。
【0126】
ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその親和性変異型もしくは変異体は、対照抗PD-L1抗体と比較してインビボ半減期が延長した。ある実施態様において、本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体のインビボ半減期は、対照抗PD-L1抗体のインビボ半減期より短くない。
【0127】
ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体およびその変異型もしくは変異体は、対照抗PD-L1抗体の薬物動態特性に類似する薬物動態特性を示す。ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体およびそれらの変異型もしくは変異体は、対照抗PD-L1抗体の血清濃度時間プロファイルの約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または95%以上(例えば、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%以上)(これらの数値の間のいずれの範囲も含む)のAUC(曲線下面積)を示す。
【0128】
ある実施態様において、前記抗体には、ヒトIgG(例えば、ヒトIgG1またはヒトIgG4)のFc配列が含まれる。ある実施態様において、前記Fc配列は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)エフェクター機能(それらのFc受容体(FcR)への結合に関する場合が多い)を欠失するように変更され、あるいは変化されている。エフェクター機能を変えることができるFc配列に対する変化または変異の例は多く存在する。例えば、WO00/42072およびShields et al. J Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)は、FcRへの結合が改善し、または減少した抗体変異型を記載する。これらの刊行物の内容は出典明示により本明細書に取り込まれる。前記抗体は、Fab、Fab’、F(ab)’2、単鎖Fv(scFv)、Fvフラグメント;二特異性抗体およびリニア抗体の形態でありうる。また、前記抗体およびこれらの変異型または変異体は、PD-L1に結合するだけではなく、1つまたはそれ以上の他の標的にも結合し、それらの機能を阻害する多特異性抗体または変異型もしくは変異体でありうる。前記抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、治療薬(例えば、細胞傷害性薬物、ラジオアイソトープ、および化学療法剤)またはイメージングにより患者試料もしくはインビボでPD-L1を検出するための標識(例えば、ラジオアイソトープ、蛍光色素、および酵素)に抱合されうる。他の修飾には、毒素の本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはこれらの変異型もしくは変異体への抱合が含まれる。
【0129】
抗PD-L1抗体、その変異型および/または変異体をコードする核酸分子、本明細書に記載のCDRおよび/または重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含む発現ベクター、ならびに前記核酸分子を含む細胞もまた包含される。これらの抗体およびその変異型もしくは変異体は、患者試料(例えば、FACS、免疫組織化学法(IHC)、ELISAアッセイ)または患者におけるPD-L1タンパク質を検出するために、本明細書に記載の治療法で用いることができる。
【0130】
モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法、例えば、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975)に記載される方法によって調製するか、組み換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって調製するか、あるいは下記実施例の本明細書に記載の方法によって産生することができる。ハイブリドーマ法において、ハムスター、マウス、または他の適当な宿主動物が、典型的に、免疫剤で免疫されることにより、免疫剤に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、前記リンパ球は、インビトロで免疫することができる。
【0131】
前記免疫剤には、典型的に、目的のタンパク質のポリペプチドもしくは融合タンパク質または前記タンパク質を含む組成物が含まれる。一般に、末梢血リンパ球(「PBL」)は、ヒト起源の細胞が望ましい場合に用いられ、あるいは脾臓細胞またはリンパ節細胞は、非ヒト哺乳類供給源が望ましい場合に用いられる。次いで、前記リンパ球を適する融合剤(例えば、ポリエチレングリコール)を用いて不死化された細胞株と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND PRACTICE, New York: Academic Press, 1986, pp. 59-103)。不死化された細胞株は、通常、形質転換された哺乳類細胞、特に、齧歯類、ウシ、およびヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウス骨髄腫細胞株が用いられる。前記骨髄腫細胞は、好ましくは、融合されていない不死化細胞の増殖または生存を阻害する1つまたはそれ以上の物質を含有する適切な培地中で培養することができる。例えば、親細胞が、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠乏する場合、ハイブリドーマのための培養培地には、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(「HAT培地」)が含まれ、これらの物質は、HGPRT欠失T細胞の増殖を阻害する。
【0132】
好ましい不死化された細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの発現を助け、そしてHAT培地などの培地に感受性を有するものである。より好ましい不死化された細胞株は、マウス骨髄腫細胞株であり、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center(カリフォルニア州、サンディエゴ)およびAmerican Type Culture Collection(ヴァージニア州、マナッサス)から入手することができる。ヒトミエローマおよびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al. MONOCLONAL ANTIBODY PRODUCTION TECHNIQUES AND APPLICATIONS, Marcel Dekker, Inc.: New York, 1987, pp. 51-63)。
【0133】
次いで、ハイブリドーマ細胞が培養された培地は、ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法、あるいはラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって調べることができる。このような技術およびアッセイは、当該技術分野で公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson and Pollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード解析によって調べることができる。
【0134】
所望されるハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界希釈法によってサブクローン化し、標準方法によって増殖させることができる。このための適切な培養培地には、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地およびRPMI-1640培地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳類の腹水としてインビボで増殖させることができる。
【0135】
サブクローンから分泌されるモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製方法、例えば、プロテインAセファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティクロマトグラフィーによって、培養培地または腹水から単離するか、または精製することができる。
【0136】
モノクローナル抗体はまた、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号に記載の方法)によって調製することができる。本明細書で供されるモノクローナル抗体をコードするDNAは、容易に単離し、従来の方法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)配列決定することができる。本明細書で供されるハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として供する。単離されると、DNAは、発現ベクター内に組み込まれ、次いで免疫グロブリンタンパク質を特に産生していないサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされて、組み換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を可能としうる。DNAはまた、例えば、ヒト重鎖および軽鎖定常領域のコード配列を、同種のマウス配列に置換することによって(米国特許第4,816,567号;上記のMorrisonら)、あるいは非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全て又は一部を免疫グロブリンコード配列と共有結合によって改変することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドを、本明細書で供される抗体の定常領域について置換するか、または本明細書で供される抗体の1つの抗原結合部位の可変領域について置換することにより、キメラ二価抗体を調製することができる。
【0137】
ある実施態様において、本発明によって供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、安定な哺乳類細胞株によって発現される。ある実施態様において、本発明によって供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、約2.0グラム/リットル、約2.5グラム/リットル、約3.0グラム/リットル、約3.5グラム/リットル、約4.0グラム/リットル、約4.5グラム/リットル、約5.0グラム/リットル、約5.5グラム/リットル、約6グラム/リットル、約6.5グラム/リットル、約7.0グラム/リットル、または約7.0グラム/リットル以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の力価で安定な哺乳類細胞株から発現される。。ある実施態様において、本発明によって供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体が発現される安定な哺乳類細胞株は、CHO細胞株である。
【0138】
ある実施態様において、前記抗体は、一価抗体である。抗体の調製方法は、当該技術分野で公知である。例えば、ある方法は、免疫グロブリン軽鎖および改変された重鎖の組み換え発現に関する。前記重鎖は、一般に、重鎖の架橋を生じないようにするために、Fc領域におけるいくつかの点で短くされている。あるいは、関連システイン残基は、重鎖の架橋を生じないようにするために、別のアミノ酸残基で置換されているか、または削除されている。
【0139】
インビトロ方法はまた、一価抗体を調製するのに適している。抗体のフラグメント、特に、Fabフラグメントを調製するための抗体の消化は、限定されないが、当該技術分野で公知の技術を用いて行うことができる。
【0140】
ヒトおよびヒト化抗体
抗体(および/または変異型)は、ヒト化抗体またはヒト抗体でありうる。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化型は、典型的に、非ヒト免疫グロブリンに由来する最少配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはこれらのフラグメント(例えば、抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)、または他の抗原結合物質)である。ヒト化抗体としては、レシピエントのCDR由来の残基が、所望される特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、マウス、ラット、またはウサギ)のCDR由来の残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が含まれる。ある例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基に置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体にも、インポートされたCDRまたはフレームワーク配列にも見出されていない残基を含むことができる。一般に、ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン定常配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変領域の実質的に全てを含むことができる。ヒト化抗体にはまた、好ましくは、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部が含まれる。Jones et al. Nature, 321: 522-525 (1986); Riechmann et al., Nature, 332: 323-329 (1988); Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992).
【0141】
一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が取り込まれている。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「インポート」残基と称されることも多く、典型的には、「インポート」可変領域から取り込まれる。1の実施態様によれば、ヒト化は、基本的に、齧歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列に代えて用いることによって、Winterと共同研究者(Jones et al. Nature, 321: 522-525 (1986); Riechmann et al. Nature, 332: 323-327 (1988); Verhoeyen et al. Science, 239: 1534-1536 (1988))の方法に従って行うことができる。よって、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変領域より実質的に少ない配列が、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている抗体である(米国特許第4,816,567号)。実際には、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかのCDR残基、場合によりいくつかのFR残基が、齧歯類抗体における類似部位に由来する残基によって置換されているヒト抗体である。
【0142】
ヒト化に代わる方法として、ヒト抗体を調製することできる。例えば、現在、免疫化により、内在性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の全レパートリーを産生できるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作成することができる。例えば、キメラおよび生殖系列細胞変異マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合型欠失は、内在性抗体の産生の完全な阻害を生じることが記載されている。ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列のこのような生殖系列細胞変異マウスへの導入により、抗原誘発によってヒト抗体が産生される。例えば、Jakobovits et al. PNAS USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggemann et al.Year in Immunol., 7:33 (1993);米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、第5,591,669号;第5,545,807号;およびWO97/17852を参照のこと。
【0143】
あるいは、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的に、または完全に不活性化されたトランスジェニック動物(例えば、マウス)に導入することによって作成することができる。誘発により、ヒト抗体産生は、遺伝子再構成、会合(assembly)、および抗体レパートリーを含む全ての面においてヒトで見られるものと酷似することが観察される。この方法は、例えば、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;および第5,661,016号、ならびにMarks et al., Bio/Technology, 10: 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature, 368: 856-859 (1994); Morrison, Nature, 368: 812-813 (1994); Fishwild et al. Nature Biotechnology, 14: 845-851 (1996); Neuberger, Nature Biotechnology, 14: 826 (1996); Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol., 13: 65-93 (1995)に記載されている。
【0144】
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty et al., Nature 348:552-553, 1990)は、免疫されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからインビトロでヒト抗体および抗体フラグメントを産生するために用いることができる。この技術の1の実施態様によれば、抗体Vドメイン配列は、糸状バクテリオファージの主要もしくは小コートタンパク質遺伝子のいずれか(例えば、M13またはfd)のフレームにクローン化され、ファージ粒子の表面上に機能的な抗体フラグメントとして提示される。ファージディスプレイは、例えば、下記の実施例の項目に記載されるように、または例えば、Johnson, Kevin S. and Chiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571 (1993)に総説されるように、様々な形式で行うことができる。v-遺伝子断片のいくつかの供給源は、ファージディスプレイに用いることができる。Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)では、免疫化マウスの脾臓に由来するv遺伝子の小ランダムコンビナトリアルライブラリー(small random combinatorial library)からの抗オキサゾロン抗体の多様な配列が単離された。免疫されていないヒトドナーに由来するv遺伝子のレパートリーを構築し、抗原(自己抗原を含む)の多様な配列に対する抗体を、基本的にMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)またはGriffith et al., EMBO J. 12:725-734 (1993)に記載される技術に従って単離することができる。さらに、米国特許第第5,565,332号および第5,573,905号を参照のこと。
【0145】
上記に記載されるように、ヒト抗体はまた、インビトロ活性化B細胞によって調製されてもよい(米国特許第5,567,610号および第5,229,275号を参照のこと)。
【0146】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーを含む当該技術分野で公知の様々な技術を用いて調製することができる。Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381 (1991); Marks et al., J. Mol. Biol., 222: 581 (1991). Coleら及びBoernerらの技術はまた、ヒトモノクローナル抗体の調製について利用可能である。Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985)およびBoerner et al., J. Immunol., 147(1): 86-95 (1991).
【0147】
多特異性抗体
多特異性抗体は、モノクローナル、好ましくは、2種類またはそれ以上の異なる抗原に対して結合特性を有するヒトまたはヒト化抗体である(例えば、二特異性抗体は、少なくとも2種類の抗原に対して結合特異性を有する)。例えば、結合特異性のうちの1つは、a5~1タンパク質に対するものであり、もう1つは、他のいずれかの抗原に対するものでありうる。好ましい実施態様によれば、他の抗原は、細胞表面タンパク質または受容体もしくは受容体サブユニットである。例えば、細胞表面タンパク質は、ナチュラルキラー(NK)細胞受容体でありうる。よって、1の実施態様によれば、本発明の二特異性抗体は、PD-L1および例えば、第2の細胞表面受容体の両方に結合しうる。
【0148】
二特異性抗体を調製するための適する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、二特異性抗体の組み換え調製は、2つの重鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖ペアの共発現に基づく。Milstein and Cuello, Nature, 305: 537-539 (1983). 免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダム組み合わせ(random assortment)のため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の混合物を生じる可能性があるが、そのうちの1つのみが正しい二特異的構造を有する。前記正しい分子の生成は、通常、親和性クロマトグラフィー工程によって行われる。同様の方法は、WO93/08829およびTraunecker et al., EMBO, 10: 3655-3659 (1991)に開示されている。
【0149】
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変領域は、免疫グロブリン定常領域配列に融合させることができる。前記融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常領域と行われる。前記融合物のうちの少なくとも1つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物をコードするDNA、好ましくは、前記免疫グロブリン軽鎖が、別々の発現ベクターに挿入され、適切な宿主生物に同時トランスフェクトされる。二特異性抗体を調製するためのさらなる詳細については、例えば、Suresh et al., Methods in Enzymology, 121: 210 (1986)を参照のこと。
【0150】
二特異性抗体フラグメントを組み換え細胞培養から直接調製し、単離するための様々な技術もまた開示されている。例えば、二特異性抗体は、ロイシンジッパーを用いて産生される。Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992). FosおよびJunタンパク質に由来するロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合により2つの異なる抗体のFab’部分に連結された。抗体ヘテロダイマーをヒンジ領域で還元させてモノマーを形成させ、次いで再度酸化させて抗体ヘテロダイマーを形成させた。この方法はまた、抗体ホモダイマーの調製に用いることもできる。Hollinger et al., PNAS USA, 90:6444-6448 (1993)に記載される「二特異性抗体」技術は、二特異性抗体フラグメントを調製するための別のメカニズムを供する。前記フラグメントには、リンカーによってVに連結されたV(同一鎖においてこの2つの領域間があまりに短いためペアを形成させることができない)が含まれる。よって、1つのフラグメントのVおよびVドメインは、別のフラグメントの相補的なVおよびVドメインとペアを形成し、それにより2つの抗原結合部位を形成させる。単鎖Fv(sFv)二量体の使用による二特異性抗体フラグメントを調製するための別の方法が報告されている。Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994)を参照のこと。
【0151】
2つ以上の結合価を有する抗体が包含される。例えば、三特異性抗体が調製されうる。Tutt et al. J. Immunol. 147: 60 (1991).
【0152】
ヘテロ抱合抗体
ヘテロ抱合抗体は、2つの共有結合で結合した抗体から構成される。このような抗体は、例えば、望ましくない細胞に対する免疫系細胞を標的とし(米国特許第4,676,980号)、HIV感染の治療用であることが提案されてきた。WO91/00360;WO92/200373;EP03089。前記抗体は、合成タンパク質化学における公知の方法(架橋剤に関する方法を含む)を用いてインビトロで調製することができるものとされる。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成させることによって構築することができる。このために適する試薬の例には、イミノチオレートおよびメチル-4-メルカプトブチルイミデート、ならびに例えば、米国特許第4,676,980号に開示されるものが含まれる。
【0153】
エフェクター機能改変
エフェクター機能に関する本明細書で供される抗体を、例えば、癌の治療における抗体の有効性を高めるように改変することが望まれ得る。例えば、システイン残基がFc領域に導入され、それによりこの領域における鎖内ジスルフィド結合を形成することができる。それにより調製されたホモダイマー抗体は、改善された内在化能力および/または高まった補体介在細胞死滅および抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有しうる。Caron et al., J. Exp. Med., 176: 1191- 1195 (1992) and Shapes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)を参照のこと。高まった抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolff et al., Cancer Research, 53: 2560-2565 (1993)に記載されるようなヘテロ二官能性架橋剤を用いて調製することができる。あるいは、抗体は、二重Fc領域を有するように改変され、それにより高まった補体溶解性およびADCC能力を有しうる。Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design3: 219-230 (1989)を参照のこと。
【0154】
Fc領域配列における変異または変換は、FcR結合を改善させるようになされうる(例えば、FcγR、FcRn)。1の実施態様によれば、本発明の抗体は、ADCC、CDC、および天然IgGまたは親抗体と比較して改善されたFcRn結合からなる群から選択される少なくとも1つの変化したエフェクター機能を有する。いくつかの有用な具体的な変異の例は、例えば、Shields, RL et al. (2001) JBC 276(6)6591-6604; Presta, L.G., (2002) Biochemical Society Transactions 30(4):487-490;およびWO00/42072に記載されている。
【0155】
1の実施態様によれば、Fc受容体の変異は、Fc領域の238、239、246、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、332、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、または439からなる群から選択される少なくとも1つの位置の置換であって、Fc領域における残基の番号は、EUナンバリングシステムに従うものである。ある実施態様において、Fc受容体の変異は、D265A置換である。ある実施態様において、Fc受容体の変異は、N297A置換である。さらに適する変異は米国特許第7,332,581号に示されている。
【0156】
免疫抱合体
本発明はまた、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物由来の酵素学的に活性な毒素、あるいはこれらのフラグメント)、または放射性同位元素(すなわち、放射性抱合体)などの細胞毒素剤に抱合された、抗体またはその変異型もしくは変異体を含む免疫抱合体に関する。
【0157】
用いることができる酵素学的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、品アブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害因子、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害因子、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセンが挙げられる。様々な放射性核種が、放射性抱合抗体の調製において利用可能である。例として、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。このような免疫抱合体の調製に有用な例示的な化学療法剤には、本明細書に別に記載されているものが含まれる。
【0158】
ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、メイタンシン、マイタンシノイド、またはカリチアマイシンに抱合される。ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、マイタンシノイドDM1に抱合される。
【0159】
抗体および細胞傷害性薬物の抱合体は、様々な二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒドs(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾウイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン 2,6-ジイソシアネート)、およびビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を用いて調製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science, 238: 1098 (1987)に記載されるように調製することができる。炭素-14で標識した1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合のための典型的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。
【0160】
別の実施態様において、抗体またはその変異型もしくは変異体は、腫瘍の前標的化の利用のために「受容体」(例えば、ストレプトアビジン)に抱合させることができ、抗体-受容体抱合体は、患者に投与され、続いて結合しなかった抱合体が血中から除去剤(clearing agent)を用いて除去され、次いで細胞傷害性薬物(例えば、放射性ヌクレオチド)に抱合されている「リガンド」(例えば、アビジン)が投与されるものである。
【0161】
共有結合的修飾
抗PD-L1抗体、その変異型、変異体、およびフラグメントの共有結合的修飾は、本発明の範囲内に含まれる。共有結合的修飾の1つのタイプには、ポリペプチドの標的アミノ酸残基を、ポリペプチドの選択された側鎖またはNもしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化薬剤と反応させることが含まれる。二官能性薬剤による誘導体化は、例えば、抗体の精製方法において使用するために、ポリペプチドを水不溶性支持マトリックスまたは表面に架橋するために有用であり、またはその逆のために有用である。一般に用いられる架橋剤としては、例えば、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル、例えば、4-アジドサリチル酸とのエステル、ホモ二官能性イミドエステル(ジスクシンイミジルエステルを含む)、例えば、3,3’-ジチオビス(スクシンイミジル-プロピオネート)、二官能性マレイミド、例えば、ビス-N-マレイミド-1,8-オクタン、およびメチル-3-[(p-アジドフェニル)-ジチオ]プロピオイミデートなどの薬剤が含まれる。
【0162】
他の修飾には、グルタミニルおよびアスパラギニル残基のそれぞれ対応するグルタミルおよびアスパルチル残基への脱アミド化、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、N末端アミンのアセチル化、およびC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。
【0163】
ポリペプチドの共有結合的修飾の別のタイプには、ポリペプチドを、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号、または第4,179,337号に説明される方法で様々な非タンパク質性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン)の1つに結合させることが含まれる。
【0164】
キメラ分子
本発明の抗PD-L1抗体、変異型、変異体、および/またはこれらのフラグメントはまた、有利な場合、別の異種性ポリペプチドもしくはアミノ酸配列(例えば、イムノアドヘシンまたはペプチボディ)に融合させたポリペプチドを含むキメラ分子を形成させる方法において改変させることもできる。
【0165】
1の実施態様において、このようなキメラ分子には、ポリペプチドを、様々な組織へ、より具体的には、血液脳関門を通した送達のために標的とするタンパク質形質導入ドメイン、例えば、ヒト免疫不全ウイルスTATタンパク質のタンパク質形質導入ドメインを用いる融合物が含まれる(Schwarze et al., 1999, Science 285: 1569-72)。
【0166】
別の実施態様において、このようなキメラ分子には、ポリペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合することができるエピトープを供するタグポリペプチドとの融合物が含まれる。前記エピトープタグは、一般に、ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシル末端に配置される。ポリペプチドのこのようなエピトープでタグされた型の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を用いて検出することができる。また、エピトープタグを供することにより、ポリペプチドを、エピトープタグに結合する抗タグ抗体または別のタイプのアフィニティーマトリックスを用いてアフィニティー精製によって容易に精製することが可能となる。様々なタグポリペプチドおよびそれらの各抗体は、当該技術分野で公知である。例として、ポリ-ヒスチジン(ポリHis)またはポリ-ヒスチジン-グリシン(ポリHis-gly)タグ;インフルエンザHAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5(Field et al., Mol. Cell. Biol., 8:2159-2165 (1988));c-mycタグおよびその8F9、3C7、6E10、G4、B7、および9E10抗体(Evan et al., Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616 (1985));ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990))が挙げられる。他のタグポリペプチドには、Flag-ペプチド(Hopp et al., BioTechnology, 6:1204-1210 (1988));KT3エピトープペプチド(Martin et al., Science, 255:192-194 (1992));α-チュブリンエピトープペプチド(Skinner et al., J. Biol. Chem., 266:15163- 15166 (1991));およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393-6397 (1990))が挙げられる。
【0167】
別の実施態様において、前記キメラ分子には、ポリペプチドと免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの特定の領域との融合物が含まれうる。キメラ分子の二価形態(例えば、「イムノアドヘシン」)について、このような融合物は、IgG分子のFc領域に対するものでありうる。本発明のIg融合物には、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の代わりに、ヒトの残基94~243、残基33~53、または残基33~52の前後またはこれらのみを含むポリペプチドが含まれる。特に好ましい実施態様において、免疫グロブリン融合物には、IgG1分子のヒンジ、CH2、およびCH3、あるいはヒンジ、CH1、CH2、およびCH3領域が含まれる。免疫グロブリン融合物の作成については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号も参照のこと。
【0168】
免疫リポゾーム
本明細書に開示の抗体はまた、免疫リポゾームとして製剤化することができる。抗体を含有するリポゾームは、Epstein et al., PNAS USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., PNAS USA, 77: 4030 (1980);ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されるような当該技術分野において公知の方法によって調製される。血中時間が上昇したリポゾームが米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0169】
特に有用なリポゾームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発法によって調製することができる。リポゾームを規定の孔径のフィルターに通して押し出して、所望される直径を有するリポゾームが生成される。本発明の抗体のFab’フラグメントは、ジスルフィド交換反応により、Martinet al., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982)に記載されるように、リポゾームに抱合することができる。抗悪性腫瘍薬、増殖抑制剤、または化学療法剤(例えば、ドキソルビシン)はまた、リポゾーム内に含有されてもよい。Gabizon et al., J. National Cancer Inst., 81(19): 1484 (1989)を参照のこと。
【0170】
抗PD-L1抗体およびその変異型を用いる治療
抗PD-L1抗体、変異型、変異体、および/またはこれらのフラグメント、ならびに/あるいは本明細書で供される組成物は、異常なPD-L1活性に関する疾患および障害(例えば、癌(例えば、頭頚部癌、咽頭癌、結腸直腸癌、肺癌など)を含む)を治療するために、対象(例えば、ヒトなどの哺乳類)に投与することができる。ある実施態様において、本発明は、対象における癌(例えば、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌)の治療剤の製造における使用のための本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/または変異型(またはこれらのフラグメント)を提供する。ある実施態様において、本発明は、対象における癌(例えば、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌)の治療における使用のための本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/または変異型(またはこれらのフラグメント)を提供する。
【0171】
ある実施態様において、本発明は、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(あるいはこれらのフラグメント)を含む医薬組成物であって、対象における癌(メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌)の治療における使用のための医薬組成物を提供する。ある実施態様において、治療されるべき対象は、哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなど)である。ある実施態様において、前記対象は、ヒトである。ある実施態様において、前記対象は、臨床患者、臨床試験ボランティア、実験動物などである。ある実施態様において、前記対象は、癌(例えば、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌)に罹っている疑いがあるか、またはそのリスクがあるか、あるいは癌または異常なPD-L1発現または活性を示す他の疾患のいずれかと診断されている。
【0172】
癌(例えば、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌)または異常なPD-L1活性を示す他の疾患のいずれかのための多くの診断方法およびこれらの疾患の臨床的基準は、当該技術分野で公知である。このような方法として、下記に限定されないが、例えば、免疫組織化学法、PCR、蛍光インサイチュ(in situ)ハイブリダイゼーション(FISH)が挙げられる。異常なPD-L1活性または発現のための診断方法に関するさらなる詳細は、例えば、Gupta et al. (2009) Mod Pathol. 22(1): 128-133;Lopez-Rios et al. (2013) J Clin Pathol. 66(5): 381-385;Ellison et al. (2013) J Clin Pathol 66(2): 79-89;およびGuha et al. (2013) PLoS ONE 8(6): e67782に記載されている。
【0173】
投与は、例えば、静脈内、筋肉内、または皮下を含む適切な経路のいずかによりうる。ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/または変異型もしくは変異体(またはこれらのフラグメント)ならびに/あるいは組成物は、異常なPD-L1活性に関する疾患または障害を治療するために、第2、第3、または第4の薬剤(例えば、抗悪性腫瘍薬、増殖抑制剤、細胞傷害性薬物、または化学療法剤を含む)と組み合わせて投与される。このような薬剤として、例えば、ドセタキセル、ゲフィチニブ、FOLFIRI(イリノテカン、5-フルオロウラシル、およびロイコボリン)、イリノテカン、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ベバシズマブ(抗VEGF抗体)、FOLFOX-4、フルオロウラシル静注、ロイコボリン、ならびにオキサリプラチン、アファチニブ、ゲムシタビン、カペシタビン、ペメトレキセド、チバンチニブ、エベロリムス、CpG-ODN、ラパマイシン、レナリドミド、ベムラフェニブ、エンドスタチン、ラパチニブ、PX-866、Imprime PGG、およびエルロチニブが挙げられる。ある実施態様において、抗PD-L1抗体および/または変異型(またはこれらのフラグメント)は、さらなる薬剤に抱合される。
【0174】
ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(あるいはこれらのフラグメント)ならびに/あるいは組成物は、1つまたはそれ以上のさらなる治療、例えば、放射線療法、外科手術、化学療法、および/または標的療法と組み合わせて投与される。ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/または変異型(あるいはこれらのフラグメント)ならびに/あるいは組成物は、放射線療法と組み合わせて投与される。ある実施態様において、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/または変異型(あるいはこれらのフラグメント)ならびに/あるいは組成物と放射線療法との組み合わせは、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌 癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、および甲状腺癌からなる軍から選択される癌を治療するために用いられる。
【0175】
治療されるべき症状および当該技術分野における医師が精通する投薬に関する因子に従って、本明細書で供される抗PD-L1抗体、その変異型、変異体、またはこれらのフラグメントは、毒性および副作用を最少にしつつ当該症状の治療に有効な用量で投与される。癌(例えば、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌)の治療について、典型的な用量は、例えば、0.001から1000mgの範囲でありうるが;この典型的な範囲以下または以上の用量は、本発明の範囲内である。1日の用量は、全体重の約0.1μg/kg~約100mg/kg(例えば、約5μg/kg、約10μg/kg、約100μg/kg、約500μg/kg、約1mg/kg、約50mg/kg、または前記数値のいずれか2つによって定義される範囲)、好ましくは、全体重の約0.3μg/kg~約10mg/kg(例えば、約0.5μg/kg、約1μg/kg、約50μg/kg、約150μg/kg、約300μg/kg、約750μg/kg、約1.5mg/kg、約5mg/kg、または前記数値のいずれか2つによって定義される範囲)、より好ましくは、全体重の約1μg/kg~1mg/kg(例えば、約3μg/kg、約15μg/kg、約75μg/kg、約300μg/kg、約900μg/kg、または前記数値のいずれか2つによって定義される範囲)、ならびにさらにより好ましくは、1日あたり約0.5~10mg/kg体重(例えば、約2mg/kg、約4mg/kg、約7mg/kg、約9mg/kg、または前記数値のいずれか2つによって定義される範囲(前記数値間のいずれかの範囲を含む))でありうる。上記に記載されるように、治療または予防上の有効性は、治療される患者の定期的な評価によってモニターすることができる。数日またはそれ以上にわたる繰り返し投与については、状態に応じて、治療は、病状の望ましい抑制が生じるまで繰り返される。しかしながら、他の投薬計画が有用であることもあり、本発明の範囲内である。望ましい用量は、前記組成物の単回ボーラス投与、前記組成物の複数回ボーラス投与、または前記組成物の連続注入投与によって送達することができる。
【0176】
抗PD-L1抗体、変異型、変異体、またはこれらのフラグメントを含む医薬組成物は、1日1回、2回、3回、または4回で投与することができる。前記組成物はまた、1日1回より少ない頻度、例えば、1週間に6回、1週間に5回、1週間に4回、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または6ヶ月に1回で投与することができる。前記組成物はまた、徐放性製剤、例えば、一定期間にわたり使用するために組成物を徐々に放出し、組成物のより少ない頻度、例えば、1ヶ月に1回、2~6ヶ月に1回、1年に1回、または単回投与を可能にする移植片(implant)で投与されてもよい。徐放デバイス(例えば、ペレット、ナノ粒子、微小粒子、ナノスフェア、ミクロスフェア等)は、注射によって投与されてもよい。
【0177】
前記抗体および/または変異型もしくは変異体(あるいはこれらのフラグメント)は、1日1回の用量で投与されてもよく、あるいは合計の1日用量は、1日2回、3回、または4回の分割用量で投与されてもよい。前記組成物はまた、1日1回より少ない頻度、例えば、1週間に6回、1週間に5回、1週間に4回、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回、または6ヶ月に1回で投与することもできる。前記抗体(またはこれらのフラグメント)は、徐放性製剤、例えば、一定期間にわたり使用するために組成物を徐々に放出し、組成物のより少ない頻度、例えば、1ヶ月に1回、2~6ヶ月に1回、1年に1回、または単回投与を可能にする移植片で投与されてもよい。徐放デバイス(例えば、ペレット、ナノ粒子、微小粒子、ナノスフェア、ミクロスフェア等)は、注射によって投与されるか、または様々な位置に外科的に移植されてもよい。
【0178】
癌治療は、例えば、以下に限定されないが、腫瘍退縮、腫瘍重量または大きさの縮小、進行時間、生存期間、進行なしの生存、全奏効率、応答期間、生活の質、タンパク質の発現および/または活性によって評価することができる。治療の有効性を調べるための方法(例えば、放射線学的画像による応答測定を含む)を用いることができる。
【0179】
ある実施態様において、治療の有効性は、式100-(T/Cx100)[式中、Tは、治療された腫瘍の平均相対腫瘍体積であり、Cは、治療されなかった腫瘍の平均相対腫瘍体積である]を用いて算出される腫瘍増殖阻害パーセンテージ(TGI%)として測定される。ある実施態様において、TGI%は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、または95%以上である。ある実施態様において、抗PD-L1および/またはその変異型もしくは変異体のTGI%は、対照抗PD-L1抗体のTGI%と同一またはそれ以上、例えば、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍(これらの数値間のいずれかの範囲を含む)、または約2.7倍以上である。
【0180】
医薬製剤
抗PD-L1抗体および/または変異型もしくは変異体(あるいはこれらのフラグメント)は、投与に適するように適切な担体または賦形剤とともに製剤化することができる。前記抗体の適する製剤は、所望の純度を有する抗体(またはそのフラグメント)を、適宜、医薬的に許容される担体、賦形剤または安定化剤(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))と混合させることによって凍結乾燥された製剤または水溶液の形態で得られる。許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに対して無毒であり、緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸);抗酸化剤(アスコルビン酸およびメチオニンを含む);保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチルもしくはプロピルパラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基以下)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン);単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール);塩形成対イオン(salt-forming counter-ion)(例えば、ナトリウム金属錯体(例えば、Znタンパク質錯体));および/または非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG))が挙げられる。典型的な抗体製剤は、出典明示により本明細書に取り込まれるWO98/56418に記載されている。皮下投与に用いられる凍結乾燥された製剤は、WO97/04801に開示されている。このような凍結乾燥された製剤は、高いタンパク質濃度に適切な希釈により再構成されてもよく、再構成された製剤が本明細書の治療されるべき哺乳類に皮下投与されてもよい。
【0181】
本明細書に記載の製剤はまた、治療される特定の用法に必要とされる1つ以上の活性化合物、好ましくは、お互いに有害な影響を及ぼさない補完的な活性を有するものを含んでいてもよい。例えば、抗悪性腫瘍薬、増殖抑制剤、細胞傷害性薬物、または化学療法剤をさらに供することが所望されうる。このような分子は、意図する目的のために有用である量で適切に組み合わせて存在する。このような他の薬剤の有効な量は、製剤に存在する抗体の量、病気もしくは疾患または治療のタイプ、および他の上記に記載の因子による。これらは、一般に、本明細書に記載の同一の用量および投与経路、または前記で用いられる用量の約1~99%で用いられる。有効成分はまた、(例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって)調製されたマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル各々に、コロイド薬物送達系(例えば、リポゾーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)に、またはマクロエマルションに封入されていてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の適する例としては、アンタゴニストを含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックス(前記マトリックスは、加工された製品の形態(例えば、フィルムまたマイクロカプセル)である)が挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびL-グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン-ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射ミクロスフェア)、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0182】
リポフェクチンまたはリポゾームは、本発明のポリペプチドおよび抗体(またはこれらのフラグメント)または組成物を細胞に送達するために用いることができる。抗体フラグメントが用いられる場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最も小さい阻害フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、ペプチド分子は、標的タンパク質配列に結合する能力を保持するように設計することができる。このようなペプチドは、化学的に合成し、および/または組み換えDNA技術によって調製することができる。例えば、Marasco et al., PNAS USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照のこと。
【0183】
前記有効成分はまた、(例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって)調製されたマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル各々に、コロイド薬物送達系(例えば、リポゾーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)に、またはマクロエマルションに封入されていてもよい。このような技術は、上記Remington's PHARMACEUTICAL SCIENCESに開示されている。
【0184】
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の適する例としては、抗体(またはそのフラグメント)を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックス(前記マトリックスは、加工された製品の形態(例えば、フィルムまたマイクロカプセル)である)が挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびL-グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン-ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射ミクロスフェア)、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸などのポリマーは、分子を100日にわたり放出することができる一方で、一定のハイドロゲルは、短時間でタンパク質を放出する。被包された抗体は長期間体内に残ると、37℃で水分へ曝された結果として変性し、または凝集し、その結果として、生物学的活性を失い、免疫原性が変化する可能性が生じうる。安定性のために関連するメカニズムに応じて合理的な方法を考案することができる。例えば、凝集メカニズムがチオジスルフィド変換による分子間S-S結合形成であることが知見された場合、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥させ、水分含量を調節し、適当な添加剤を使用し、ならびに特定のポリマーマトリックス組成物を開発することにより安定化させることができる。
【0185】
ある実施態様において、前記製剤は、本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を、約0.5mg/ml以上、約1mg/ml以上、約2mg/ml以上、約3mg/ml以上、約4mg/ml以上、約5mg/ml以上、約6mg/ml以上、約7mg/ml以上、約8mg/ml以上、約9mg/ml以上、約10mg/ml以上、約11mg/ml以上、約12mg/ml以上、約13mg/ml以上、約14mg/ml以上、約15mg/ml以上、約16mg/ml以上、約17mg/ml以上、約18mg/ml以上、約19mg/ml以上、約20mg/ml以上、約21mg/ml以上、約22mg/ml以上、約23mg/ml以上、約24mg/ml以上、約25mg/ml以上、約26mg/ml以上、約27mg/ml以上、約28mg/ml以上、約29mg/ml以上、または約30mg/ml以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の濃度で含む。
【0186】
ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、クエン酸、NaCl、酢酸、コハク酸、グリシン、ポリソルベート80(Tween 80)、または前記組み合わせのいずれかを含む緩衝液中において、(例えば、約0.5mg/ml以上、約1mg/ml以上、約5mg/ml以上、約10mg/ml以上、約15mg/ml以上、約20mg/ml以上、または約25mg/ml以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の濃度で)製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型は、約100mM~約150mMのグリシンを含む緩衝液中において、(例えば、約0.5mg/ml以上、約1mg/ml以上、約5mg/ml以上、約10mg/ml以上、約15mg/ml以上、約20mg/ml以上、または約25mg/ml以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の濃度で)製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型は、約50mM~約100mMのNaClを含む緩衝液中で製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、約10mM~約50mMの酢酸を含む緩衝液中において、(例えば、約mg/ml以上、約1mg/ml以上、約5mg/ml以上、約10mg/ml以上、約15mg/ml以上、約20mg/ml以上、または約25mg/ml以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の濃度で)製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型は、約10mM~約50mMのコハク酸を含む緩衝液中において製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、約0.005%~約0.02%のポリソルベート80を含む緩衝液中において、(例えば、約0.5mg/ml以上、約1mg/ml以上、約5mg/ml以上、約10mg/ml以上、約15mg/ml以上、約20mg/ml以上、または約25mg/ml以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の濃度で)製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、約5.1~5.6の間のpHを示す緩衝液中において製剤化される。ある実施態様において、前記抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体は、10mM クエン酸、100mM NaCl、100mM グリシン、および0.01% ポリソルベート80を含む緩衝液中において製剤化され、前記製剤は、pH=5.5である。
【0187】
ある実施態様において、本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を(例えば、約0.5mg/ml以上、約1mg/ml以上、約5mg/ml以上、約10mg/ml以上、約15mg/ml以上、約20mg/ml以上、または約25mg/ml以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の濃度で)含む製剤(例えば、10mM クエン酸、100mM NaCl、100mM グリシン、および0.01% ポリソルベート80を含む緩衝液を含む製剤(前記製剤は、pH=5.5である))は、室温(例えば、約20~25℃で約0.5週間、1.0週間、1.5週間、2.0週間、2.5週間、3.5週間、4.0週間、4.5週間、または5.0週間(これらの数値間のいずれの範囲も含む))で安定である。ある実施態様において、本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を(例えば、約0.5mg/ml以上、約1mg/ml以上、約5mg/ml以上、約10mg/ml以上、約15mg/ml以上、約20mg/ml以上、または約25mg/ml以上(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の濃度で)含む製剤(例えば、10mM クエン酸、100mM NaCl、100mM グリシン、および0.01% ポリソルベート80を含む緩衝液を含む製剤(前記製剤は、pH=5.5である))は、加速的な条件(例えば、約37℃で保存)下で約0.5週間、1.0週間、1.5週間、2.0週間、2.5週間、3.5週間、4.0週間、4.5週間、または5.0週間(これらの数値間のいずれの範囲も含む)安定である。
【0188】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、周知であり、物理化学的不安定性に対応する断片化および凝集の可能性を検出するタンパク質安定化実験で広く用いられている。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で1週間後に、SECを用いて測定されると、最初の高分子量種%に対して約1.6%、1.4%,1.2%、1.0%、0.8%、0.6%、0.4%、0.2%、または0.1%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)以下の高分子量種(HMWS)の増加を示す。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-1抗体を含む製剤は、37℃で2週間後に、SECを用いて測定されると、最初の高分子量種%に対して約2.0%、1.8%、1.6%、1.4%、1.2%、1.0%、0.8%、0.6%、0.4%、0.2%、または0.1%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)以下の高分子量種の増加を示す。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で4週間後に、SECを用いて測定されると、最初の高分子量種%に対して約3.3%、3.2%、3.1%、3.0%、2.9%、2.8%、2.7%、2.6%、2.5%、2.4%、2.2%、2.0%、1.8%、1.6%、1.4%、1.2%、1.0%、0.8%、0.6%、0.4%、0.2%、または0.1%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)の高分子量種の増加を示す。
【0189】
ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で1週間後に、SECを用いて測定されると、最初の低分子量種%に対して約1.6%、1.4%、1.2%、1.0%、0.8%、0.6%、0.4%、0.2%、または0.1%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)以下の低分子量種(LMWS)の増加を示す。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で2週間後に、SECを用いて測定されると、最初の低分子量種%に対して約2.0%、1.8%、1.6%、1.4%、1.2%、1.0%、0.8%、%、0.4%、0.2%、または0.1%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)以下の低分子量種の増加を示す。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で4週間後に、SECを用いて測定されると、最初の低分子量種%に対して約2.4%、2.2%、2.0%、1.8%、1.6%、1.4%、1.2%、1.0%、0.8%、0.6%、0.4%、0.2%、または0.1%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)以下の低分子量種の増加を示す。
【0190】
ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で1週間後に、SECを用いて測定されると、最初のモノマー%に対して約0.2%、0.4%、0.6%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、または3.5%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満のモノマーの減少を示す。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で2週間後に、SECを用いて測定されると、最初のモノマー%に対して約0.2%、0.4%、0.6%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、または3.5%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満のモノマーの減少を示す。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤は、37℃で2週間後に、SECを用いて測定されると、最初のモノマー%に対して約0.2%、0.4%、0.6%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、または3.5%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満のモノマーの減少を示す。
【0191】
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)は周知であり、脱アミド化または参加などのタンパク質分解現象を検出するために広く用いられる方法である(Moorhouse et al. (1997) J. Pharm. Biomed. Anal. 16, 593-603)。分解産物は、典型的に、より高い見掛け上のpIを有するgntと比較される酸性または塩基性種と称される。酸性種は、CEXからの主要ピークより早期に溶離する変異型であり、塩基性種は、CEXからの主要ピークより遅れて溶離する変異型である。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤の酸性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で1週間後に、総タンパク質の約7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体を含む製剤の酸性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で2週間後に、総タンパク質の約8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、または18%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む製剤の酸性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で2週間後に、総タンパク質の約8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、または27%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。
【0192】
ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む製剤の塩基性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で1週間後に、総タンパク質の約39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、または46%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む製剤の塩基性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で2週間後に、総タンパク質の約39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、または46%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む製剤の塩基性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で4週間後に、総タンパク質の約39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、または46%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。
【0193】
ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む製剤の主要ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で1週間後に、総タンパク質の約32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、または46%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む製剤の塩基性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で2週間後に、総タンパク質の約32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、または46%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。ある実施態様において、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、または25mg/mlの本明細書に記載の抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む製剤の塩基性ピークフラクションは、CEXを用いて測定されると、37℃で4週間後に、総タンパク質の約32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、または46%(これらの数値間のいずれの範囲も含む)未満である。
【0194】
インビボ投与で用いられる製剤は、滅菌されていなければならない。これは、例えば、滅菌濾過メンブレンに通す濾過により容易に行われる。
【0195】
抗PD-L1抗体およびその変異型/変異体を用いる診断方法およびイメージング方法
PD-L1ポリペプチドに特異的に結合する標識された抗PD-L1抗体、その変異型、変異体、フラグメント、ならびに誘導体および類似体は、PD-L1の発現、異常な発現および/または活性に関連する疾患および/または障害を検出し、診断し、またはモニターするための診断目的で用いることができる。例えば、前記本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはこれらのフラグメント)は、インサイチュ(in situ)、インビボ、エクスビボ、およびインビトロでの診断アッセイまたはイメージングアッセイに用いることができる。PD-L1ポリペプチドの発現を検出するための方法であって、(a)本発明の1つまたはそれ以上の抗体を用いて、個体の細胞(例えば、組織)または体液の前記ポリペプチドの発現を測定し、次いで(b)前記発現レベルを標準遺伝子発現レベルと比較し、それにより前記標準発現レベルと比較した測定した遺伝子発現レベルにおける増加もしくは減少が異常な発現の指標である方法である。
【0196】
本明細書で供されるさらなる実施態様には、動物(例えば、ヒトなどの哺乳類)におけるPD-L1の発現または異常な発現に関連する疾患または障害の診断方法が含まれる。前記方法には、哺乳類におけるPD-L1分子を検出することが含まれる。ある実施態様において、診断には:(a)有効な量の標識された抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を哺乳類に投与し、(b)標識された抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)をPD-L1分子が発現される対象の部位に選択的に集めるために(および結合していない標識分子がバックグラウンドレベルまで浄化されるために)投与後一定期間待ち;(c)バックグラウンドレベルを調べ;次いで(d)標識された分子を対象において検出することを含み、バックグラウンドレベルを超える標識された分子の検出は、対象がPD-L1の発現または異常な発現に関連する特定の疾患または障害に罹っていることを示す。バックグラウンドレベルは、検出された標識分子の量を、特定の系について過去に調べた標準値を比較することを含む、様々な方法によって調べることができる。
【0197】
本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)は、当業者に公知の従来の免疫組織法を用いて、生物学的試料におけるタンパク質レベルを測定するために用いることができる(例えば、Jalkanen, et al., J. Cell. Biol. 101:976-985 (1985); Jalkanen, et al., J. Cell. Biol. 105:3087-3096 (1987)を参照のこと)。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体に基づく方法には、免疫アッセイ、例えば、酵素結合免疫測定法(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)が含まれる。適切な抗体アッセイ標識は、当該技術分野で公知であり、酵素標識、例えば、グルコースオキシダーゼ;ラジオアイソトープ、例えば、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)、インジウム(115mIn、113mIn、112In、111In)、およびテクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru;ルミノール;ならびに蛍光標識、例えば、フルオレセインおよびローダミン、ならびにビオチンが挙げられる。
【0198】
当該技術分野で公知の技術が、本明細書で供される標識された抗体(またはこれらのフラグメント)に適用されてもよい。このような技術には、下記に限定されないが、二官能性抱合剤の使用(例えば、米国特許第5,756,065号;第5,714,631号;第5,696,239号;第5,652,361号;第5,505,931号;第5,489,425号;第5,435,990号;第5,428,139号;第5,342,604号;第5,274,119号;第4,994,560号;および第5,808,003号)が含まれる。
【0199】
あるいは、またはさらに、1つは、細胞におけるPD-L1ポリペプチドをコードする核酸またはmRNAのレベルを測定することができ、例えば、PD-L1をコードする核酸またはその相補物に対応する核酸に基づくプローブを用いる蛍光インサイチュ(in situ)ハイブリダイゼーション;(FISH;1998年10月に公開されたWO98/45479を参照のこと)、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、またはポリメラーゼ鎖反応(PCR)技術、例えば、リアルタイム定量PCR(RT-PCR)によるものである。1つはまた、例えば、抗体に基づくアッセイ(例えば、1990年6月12日発行の米国特許第4,933,294号;1991年4月18日公開のWO91/05264;1995年3月28日発行の米国特許第5,401,638号;およびSias et al., J. Immunol. Methods 132:73-80 (1990)も参照のこと)を用いて、生物学的液体(例えば、血清)における排出抗原を測定することによってPD-L1の過剰発現を試験することができる。上記アッセイの他に、様々なインビボおよびエクスビボアッセイが当業者に利用可能である。例えば、1つは、哺乳類の体内の細胞を、検出可能な標識(例えば、放射性同位元素)で適宜標識されている抗体に曝露することができ、抗体の結合は、例えば、放射能について外部走査することによって、または抗体に以前曝露された哺乳類から取得した試料(例えば、バイオプシーまたは他の生物学的試料)を分析することによって評価することができる。
【0200】
製品およびキット
本明細書で供される別の実施態様は、癌、例えば、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、乳癌(例えば、三種陰性乳癌、TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌)、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、甲状腺癌、および唾液腺癌の治療に有用な物質を含有する製品である。前記製品には、容器およびその容器上もしくは容器に添付したラベルもしくは添付文書が含まれ得る。適当な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジなどが含まれる。前記容器は、ガラスまたはプラスティックなどの様々な物質からできていてもよい。一般に、前記容器は、前記疾患を治療するために有効である組成物を保持し、滅菌されたアクセスポートを有していてもよい(例えば、前記容器は、皮下注射ニードルによって通すことができるストッパーを有する静脈注射用溶液バッグもしくはバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの有効成分は、本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)である。前記ラベルもしくは添付文書は、前記組成物が特定の疾患を治療するために用いられることを示す。前記ラベルもしくは添付文書には、前記抗体組成物を前記患者に投与するための説明書がさらに含まれる。本明細書に記載の併用療法を含む製品およびキットもまた包含される。
【0201】
添付文書は、治療薬の使用に関する効能、用法、用量、投与、禁忌および/または警告についての情報を含む治療薬の販売用パッケージに慣習的に含まれる説明書を意味する。1の実施態様において、前記添付文書は、前記組成物が癌(例えば、頭頚部癌、肺癌、または結腸直腸癌)を治療するために用いられることを示す。
【0202】
さらに、前記製品には、医薬的に許容される緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液を含む第2の容器がさらに含まれてもよい。他の緩衝液、希釈液、フィルター、ニードル、およびシリンジを含む販売およびユーザーの立場から望まれる他の物質がさらに含まれてもよい。
【0203】
様々な目的、例えば、適宜、前記製品と組み合わせた患者におけるPD-L1の単離または検出に有用であるキットもまた、提供される。PD-L1の単離または検出のために、前記キットには、ビーズ(例えば、SEPHAROSE(登録商標)ビーズ)に結合させた本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含ませることができる。例えば、ELISAまたはウェスタンブロットにおいて、インビトロでPD-L1の検出および定量のための抗体(またはそのフラグメント)を含むキットが含まれうる。前記製品と同様に、前記キットには、容器およびその容器上もしくは容器に添付したラベルもしくは添付文書が含まれる。例えば、前記容器は、少なくとも1つの本明細書で供される抗PD-L1抗体および/またはその変異型もしくは変異体(またはフラグメント)を含む組成物を含む。例えば、希釈液および緩衝液、対照抗体を含むさらなる容器が含まれてもよい。前記ラベルもしくは添付文書は、前記組成物の説明、ならびに目的とするインビトロまたは診断使用についての説明を供してもよい。
【実施例
【0204】
実施例1
ヒト抗PD-L1抗体および変異型の開発
抗PD-L1抗体の開発について、全体の流れは下記のようにまとめられる。7つの陽性リード物質(すなわち、PL1、PL2、PL3、PL6、PL8、PL12、PL15)は、ヒトPD-L1_ECD-Hisによるヒトファージディスプレイライブラリーのスクリーニングにより同定した。一般に、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気Dynabeads(登録商標)M-280(Thermo Fisher Scientific #11205D)に結合されたビオチン化ヒトPD-L1_ECD-Hisによる3回のパニング後、リード物質のFabをスクリーニングし、ELISAによりhPD-L1_ECD-FcおよびhPD-L1_ECD-Hisへのそれらの結合を測定し、次いで、7つの選択されたリード物質のFab配列をヒトIgG1 Fc骨格のN297A変異体にクローン化して、動力学的特性、全細胞PD-L1結合活性、PD-1阻害活性、インビトロおよびインビボ機能の測定における多くの実験を実施するために用いた全長抗体とした。全てのデータに基づいて、PL2およびPL3は、他の選択されたリード物質より優れた抗腫瘍活性を有することが見出され、それらの親和性は、PL2およびPL3のファージディスプレイライブラリーを作成することによってさらに最適化し、少なくとも3回のパニングをインビトロ親和性成熟について行った。高い親和性を有するPL2およびPL3に由来する変異型(すなわち、PL2#3およびPL3#7)を同定し、活性と機能を、前記抗体リード物質の選択に用いられた方法と非常に類似する方法に従って確認した。また留意すべきは、この段階において、異なるIgGアイソタイプの変異型(すなわち、IgG1、mtIgG1(N297A)、IgG2、IgG4)を作成し、様々なFc骨格と抱合されたPL2#3およびPL3#7の一団についての親和性およびインビトロとインビボ有効性を同時に比較したことである。腫瘍/抗原特異的T細胞異種移植モデルに加えて、hPD-1ノックインモデルをPL2#3およびPL3#7の有効性を確認するために用い、これらのデータにより、それらは両方とも、抗PD-L1対照抗体と比較可能であることが示された。PL3#7の親和性をさらに改善するために、PL3#7に基づく別のファージディスプレイライブラリーを前述と同様に親和性成熟のために作成した。これにより、3つの新たな変異型(すなわち、PL3#7-19、-43、-54)を同定し、それらの有効性をPL2トップ変異型(PL2#3)と比較するために用いた。比較データの詳細を下記の実施例に記載する。
【0205】
ここで、7つの選択されたリード物質の結合親和性および反応速度(ka、kd、およびK)を、表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いて測定し、表4に示した。抗ヒトIgG Fcを、まずセンサーチップ上に固定し、次いで抗PD-L1対照抗体および前記抗PD-L1抗体リード物質:PL1、PL2、PL3、PL6、PL8、PL12、およびPL15をRmax~250RUで捕捉する。実験は25℃で行い、55.4nM~11.1nMのhPD-L1_ECD-Hisの連続希釈液を用いて、捕捉された抗体にHBS-P+緩衝液(0.1%(w/v)BSAを補充)中で25μL/分の流速にて通して行った。全てのデータは評価ソフトウェアで解析し、曲線を1:1ラングミュア結合モデルで適合させた。データは、2つの独立した実験を2回行った代表値である。
表4
【表4】
【0206】
選択された抗PD-L1抗体リード物質(PL1、PL2、PL3、PL6、PL8、PL12、PL15)の軽鎖(LC)および重鎖(HC)のアミノ酸配列を図1A-1Bに示す。これらのリード物質のこれらのLCおよびHCにおける相補性決定領域(CDR)を太い下線で示した。
【0207】
実施例2
抗体PL2の抗PD-L1変異型の結合親和性および反応速度
抗体リード物質PL2を、インビトロファージディスプレイに基づく親和性成熟実験で用いて、改善された結合能を有するさらなるクローンを作成した。まず、CDR-L1/CDR-L3/CDR-H3(3個のCDRに着目)核酸ライブラリーをPCRにより作成し、ファージディスプレイベクターにクローン化し、次いでE.coli TG1またはSS320細胞に形質転換させて、ファージのライブラリーを作成した。ストレプトアビジンでコーティングした磁気Dynabeads(登録商標)M-280に結合させたビオチン化hPD-L1-His(Thermo Fisher Scientific #11205D)による3回のパニング後、40個のFabクローンをELISAによりスクリーニングし、4つのFab(すなわち、#3、#4、#5、および#39)が、親PL2より優れた結合能を有することを見出した。さらに、反応速度特性は、PL2#3、PL2#4、PL2#5、およびPL2#39の全長IgGを用いて表面プラズモン共鳴法(SPR)により測定し、抗PD-L1対照抗体と同等またはそれ以上の優れた結合能を有することを見出した。
【0208】
下記表5は、L1、L3、および-H3領域に変異を有するPL2変異型のアミノ酸配列を示す。
表5
【表5】

【0209】
結合親和性および反応速度を、表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いて測定した。抗ヒトIgG Fcを、まずセンサーチップ上に固定し、次いで抗PD-L1対照抗体およびPL2変異型をRmax~250RUで捕捉した。実験は25℃で行い、測定は、19.1nM~0.71nMのhPD-L1-Hisの連続希釈液を捕捉した抗体にHBS-P+緩衝液(0.1%(w/v)BSAを添加)中において25μL/分の流速で通して行った。全てのデータは評価ソフトフェアで解析し、曲線を1:1ラングミュア結合モデルで適合させた。全てのデータは、2つの独立した実験を2回行った代表値である。
【0210】
表6は、表面プラズモン共鳴法(SPR)によって測定された抗PD-L1対照抗体と比較したPL2変異型の算出された親和性(K)とともに、結合および解離反応速度を示す。全ての変異型、親PL2、および対照抗体は、この試験においてヒトIgG2骨格にクローン化した。対照抗PD-1抗体と比較したPL2変異型の親和性の改善も、表6に示した。表6に示されるデータは、PL2変異型の中で、PL2#3は、ヒトPD-L1-Hisに対して最も優れた結合親和性を有することを示す。表は、後の試験でPL2#3の異なるヒトIgGアイソタイプ間の反応速度の比較に注目した結果を示す。ここで、PL2#3の異なるアイソタイプは、ヒトPD-L1-Hisに対して同様の結合親和性を示した。
表6
【表6】

表7
【表7】
【0211】
実施例3
抗体PL3の抗PD-L1変異型の結合親和性および反応速度
抗体リード物質PL3をインビトロファージディスプレイに基づく親和性成熟実験で用いることにより、改善された結合能を有するさらなるクローンを作成した。まず、CDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H1/CDR-H2/CDR-H3(6個のCDRに着目)核酸ライブラリーをPCRにより作成し、ファージディスプレイベクターにクローン化し、次いでE.coli TG1またはSS320細胞内に形質転換させて、ファージのライブラリーを作成した。ストレプトアビジンでコーティングした磁気Dynabeads(登録商標)M-280に結合させたビオチン化hPD-L1-His(Thermo Fisher Scientific #11205D)で3回のパニング後、20個のFabクローンをELISAによりスクリーニングし、2個のFab(すなわち、#1および#7)が、親PL3より優れた結合能を有することを見出した。さらなる反応速度特性は、PL3#1およびPL3#7の全長IgGを用いて表面プラズモン共鳴法(SPR)により測定し、対照抗PD-L1抗体と同等か、またはそれ以上の結合能を有することを見出した
【0212】
下記の表8は、L2、L3、H1、およびH3領域に変異を有するPL3変異型のアミノ酸配列を示す。表9は、表面プラズモン共鳴法(SPR)によって測定された対照抗PD-L1抗体と比較したPL3変異型の算出された親和性(K)とともに、結合および解離反応速度を示す。この結果はまた、PL3#1およびPL3#7の異なるヒトIgGアイソタイプ間の反応速度の比較を示した。対照抗PD-1抗体に対するPL3変異型の親和性の改善も表9に示した。全てのデータは、データは、2つの独立した実験を2回行った代表値である。
【0213】
これらのデータは、PL3変異型の中で、PL3#7が、ヒトPD-L1-Hisに対してわずかに高い結合親和性を示したことを表す。PL3#7の異なるアイソタイプは、ヒトPD-L1-Hisに対して同様の結合親和性を示した。
表8
【表8】

表9
【表9】
【0214】
親PL3より著しく高い親和性を示したクローンPL3#7を、インビトロファージディスプレイに基づく親和性成熟実験にさらに用いて、改善した結合能を有するさらなるクローンを作成した。まず、CDR-L1/CDR-L2/CDR-L3/CDR-H2/CDR-H3(CDR-H1を固定し、5個のCDRに着目)の核酸ライブラリーをPCRにより作成し、ファージディスプレイベクターにクローン化し、次いでE.coli TG1またはSS320細胞内に形質転換させて、ファージのライブラリーを作成した。ストレプトアビジンでコーティングした磁気Dynabeads(登録商標)M-280に結合させたビオチン化hPD-L1-His(Thermo Fisher Scientific #11205D)による3回のパニング後、57個のFabクローンをELISAによりスクリーニングし、3つのFab(すなわち、19、43、および54)が、親PL3#7より優れた結合能を有することを見出した。さらなる反応速度特性は、バイオレイヤー干渉法(ForteBio Octet RED96)をPL3#7-19、PL3#7-43、およびPL3#7-54の全長IgGに用いることによって測定し、対照抗PD-L1抗体と同等またはそれ以上の結合能を有することが見出された。
【0215】
下記の表10は、L1、L2、L3、H2、およびH3領域に変異を有するPL3#7変異型のアミノ酸配列を示す。
表10
【表10】
【0216】
PL3#7変異型の親和性および反応速度は、Octet RED96(ForteBio)システムをストレプトアビジン(SA)センサーで25℃と1000rpmの攪拌速度にて使用するバイオレイヤー干渉法を用いることによって測定した。簡単に説明すると、黒色96ウェルプレートは、親和性の決定に必要とされる試薬の200μL/ウェルを含有するカラムとともに調製した。一般に、Octet SAセンサーを、まず、1X反応速度緩衝液(PBS、0.1% BSA、0.02% Tween-20、pH7.4)を含有するウェルに180秒間入れて、基準値を設定した。次いで、センサーを、10μg/mLのビオチン化PL3#7変異型(抗体:ビオチンの1:1の割合(EZ-Link(登録商標)NHS-PEG4-ビオチンを含有)、Thermo Fisher Scientific #21329)を含有するウェルに300秒間移して、SAでコーティングしたチップに載せた。続いて、センサーを、再生緩衝液(10mM グリシン、pH1.5)中で3X5秒のインキュベーション、続いて1×反応速度緩衝液中で5秒のインキュベーションによってそれぞれ再生させた。再生は、各結合/解離サイクルの測定前に繰り返した。次に、センサーを新鮮な1×反応速度緩衝液に180秒間入れて、基準値を設定した。次いで、結合は、該センサーをhPD-L1-Hisを含有するウェル中で5分間インキュベートし、続いて1×反応速度緩衝液を含有するウェルに10分間移して解離を測定することによって測定した。反応速度(ka、kd、およびK)は、38.28nM~1.42nMのhPD-L1-Hisの1:3連続希釈液から得られたデータの4回の結合/解離サイクル(1つの濃度につき1回の結合/解離サイクル)を、1:1のラングミュア結合モデルを用いて網羅的に適合させることによって測定した。全てのデータは、Octetデータ解析ソフトウェアv.9.0で解析し、2つの独立した実験を2回行った代表値である。
【0217】
表11は、バイオレイヤー干渉法を用いてForteBio Octet RED96装置(米国、カリフォルニア州のMenlo Park)により測定された対照抗PD-L1抗体と比較したPL3#7変異型の算出された親和性(K)とともに、結合および解離反応速度を示す。対照抗PD-1抗体に対するPL3#7変異型の親和性の改善も表11に示した。全てのデータは、2つの独立した実験を2回行った代表値である。表11に示されるデータは、PL3#7-19、PL3#7-43、およびPL3#7-54が、親PL3#7より優れた結合親和性を示したことを表す。
表11
【表11】
【0218】
それゆえ、優れた高い親和性および優れた機能活性を有するPL2トップ変異型(PL2#3)、PL3トップ変異型(PL3#7)、およびPL3#7トップ変異型(PL3#7-19、-43、-54)をインビトロファージディスプレイに基づく親和性成熟実験から作成した。一般に、3回のパニングを、ストレプトアビジンでコーティングした磁気Dynabeads(登録商標)M-280に結合させたビオチン化hPD-L1-Hisを用いて行った。トップ変異型のFabをELISAによりスクリーニングし、ヒトIgG1 Fc骨格のN297A変異体にクローン化して、全長抗体とした。これらの抗PD-L1トップ変異型の軽鎖(LC)および重鎖(HC)のアミノ酸配列を図11A-11Bに示す。これらの抗PD-L1トップ変異型のLCおよびHCにおける相補性決定領域(CDR)を太い下線で示した。
【0219】
実施例4
抗PD-L1抗体の組み換えヒトPD-L1/Fc融合タンパク質および活性化CD3T細胞への結合
ELISAアッセイを行うことにより、選択された抗体の組み換えヒトPD-L1/Fc融合タンパク質への結合を測定した。1ウェルあたり15μgのヒトPD-L1/Fcタンパク質を、96ウェルEIAマイクロプレートに4℃で終夜コーティングした。5% スキムミルクでブロッキングし、連続希釈した抗体を加え、RTで1時間インキュベートした。結合しなかった抗体を除去し、ウェルをPBSTで2回洗浄した。HRPが抱合された二次抗体をウェルに加え、インキュベートし、過剰な二次抗体を洗い流した。TMBをウェルに加え、インキュベートし、該反応を停止し、次いでHRP活性を、450nmにおける吸光度の増加をモニターすることによって測定した。
【0220】
ヒトT細胞は、MagniSort(登録商標)ヒトT細胞豊富化(enrichment)キット(eBioscience)を用いてPBMCから単離した。単離されたT細胞を5μg/mLのフィトヘマグルチニン(PHA)により3日間活性化して、PD-L1発現を活性化した。活性化されたT細胞を収集し、FACS緩衝液(PBS(2% FBSを含有))中でヒトFcブロッカー(eBioscience)とともに4℃で20分間インキュベートした。抗PD-L1モノクローナル抗体の結合は、活性化されたT細胞をFACS緩衝液中で連続希釈した抗体とインキュベートさせることによって測定した。前記細胞をフロー緩衝液で洗浄し、結合をFITC標識ウサギ抗ヒトIgG Fcγ AB細胞で検出した。細胞はまた、CD3陽性T細胞を開閉するためのマウス抗ヒトCD3 PE-Cy7(eBioscience)で染色した。フローサイトメトリー分析は、Cytomics FC 500(Beckman Coulter Inc.)を用いて行った。
【0221】
それゆえ、選択された抗PD-L1抗体は、ELISAにより組み換えヒトPD-L1タンパク質およびフローサイトメトリーにより活性化CD3T細胞に対するそれらの結合について試験した。抗PD-L1対照および抗PD-1対照抗体をそれぞれ、陽性および陰性対照として用いた。図2Aおよび2Bは、全ての選択された抗PD-L1抗体が、ヒトPD-L1組み換えタンパク質およびPD-L1発現T細胞の両方に結合することができることを示す。
【0222】
実施例5
抗PD-L1抗体によるPD-1のPD-L1への結合の阻害
PD-L1を発現するCHO-S細胞をFACS緩衝液(4% FBSを含有するPBS)中に懸濁した。様々な濃度の試験抗体を該細胞懸濁物(3.5×10細胞/ウェル)に加え、4℃で30分間インキュベートした。結合しなかった抗体を洗い流し、ビオチンで標識したPD-1-Fc融合タンパク質を加え、4℃で30分間インキュベートした。該細胞を洗浄し、次いでストレプトアビジン-PEで4℃にて30分間染色した。フローサイトメトリー分析は、Cytomics FC500(Beckman Coulter Inc.)を用いて行った。
【0223】
選択された抗PD-L1抗体は、フローサイトメトリーアッセイを用いて、PD-1のPD-L1発現CHO-S細胞への結合を阻害する能力について試験した。抗PD-L1対照抗体およびアバスチンをそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。図3に示されるデータは、染色の平均蛍光強度(MFI)によって測定されるように、全ての選択された抗PD-L1モノクローナル抗体が、PD-1のPD-L1トランスフェクトCHO-S細胞への結合を阻害したことを示す。
【0224】
実施例6
混合白血球反応(MLR)におけるサイトカイン産生およびT細胞増殖における抗PD-L1抗体の効果
混合白血球反応は、リンパ球エフェクター細胞に対するPD-L1/PD-1経路の阻害効果を示すために用いた。このアッセイにおけるT細胞を、抗PD-L1抗体の存在または非存在における増殖およびIFN-ガンマまたはIL-2分泌について試験した。
【0225】
ヒトT細胞は、Lympho-kwik T(One Lamda,Inc.)を用いてPBMCから精製した。単離されたT細胞をPBS中に懸濁させ、1μMのCFSEで室温にて10分間標識した。細胞を完全培地(10% FBSを含有するRPMI-1640)で洗浄し、CFSE標識T細胞を完全培地中に1×10細胞/mLの濃度で懸濁させた。
【0226】
同種樹状細胞は、PBMCから作成した。単離されたPBMCを、200U/mLの組み換えヒトIL-3(eBioscience)と終夜インキュベートさせて、単球/マクロファージ集団をプレートに接着できるようにした。接着しなかったT細胞を除去し、プレートを完全培地で2回洗浄した。プレート上の細胞を、200U/mLのヒトIL-4(eBioscience)および200U/mLのヒトGM-CSF(eBioscience)を含有する完全培地中で6日間培養した。単球由来の樹状細胞を、TNF-アルファ(100U/mL)を6日目に培養物に加え、終夜インキュベートすることにより成熟させた。成熟させたDCをトリプシン処理し、収集し、続いて完全培地中に1×10細胞/mLの濃度で懸濁させた。
【0227】
各反応物は、200μlの合計体積中に10×10個のCFSE標識T細胞および10×10個の同種樹状細胞を含有した。抗体を異なる濃度で各培養に加えた。抗体なし、または抗VEGF抗体(アバスチン)のいずれかを陰性対照として用いた。抗PD-1対照または抗PD-L1対照抗体を陽性対照として用いた。該細胞を37℃で5日間培養した。5日目に、100μlの培地をサイトカイン測定のために各培養物から取得した。サイトカインのレベルは、ヒトIFN-γまたはIL-2 ELISA MAX(登録商標)Deluxeキット(BioLegend)を用いて測定した。該細胞を収集し、フローサイトメトリーによるT細胞の増殖について分析した。
【0228】
図4A-4Bに示されるデータは、全ての選択された抗PD-L1抗体が、IFN-γ分泌を亢進し、混合白血球反応アッセイにおいてT細胞の増殖を促進することを示す。抗PD-L1および抗PD-1対照抗体を陽性対照として用いた。アバスチン(抗VEGF)を陰性対照として用いた。図4Aは、IFN-γ分泌を示す棒グラフであり、図4Bは、示される濃度の抗体でCD3T細胞増殖を示す棒グラフである。
【0229】
さらに、抗PD-L1抗体PL2親抗体および変異型によって誘導されたMLRにおけるIL-2分泌を図6Aに示し、示される濃度の抗PD-L1抗体PL3親抗体および変異型によって誘導されたMLRにおけるIL-2分泌を図6Bに示す。これらのデータは、選択されたPL2変異型PL2-3/3(PL2#3)およびPL3変異型(PL3#7)が、T細胞活性化を刺激する際に親抗体より優れた有効性を示したことを示す。
【0230】
さらに、混合白血球反応(MLR)における異なるIgG型の抗PD-L1抗体PL2#3、PL3#7、およびPL3#7変異型の効果を図8A-8Dおよび図12A-12Bに示す。これらの抗PD-L1抗体によって誘導された分泌IFN-γおよびIL-2を示す棒グラフを図8A、8B、および12Aに示す。図8Cは、抗PD-L1抗体L2#3、PL3#7の様々な濃度でのCD4T細胞の増殖を示す棒グラフであり、図8Dおよび12Bは、これらの3つの抗PD-L1抗体の示される濃度でのCD8T細胞の増殖を示す棒グラフである。図12Aおよび12Bは、特に、抗PD-L1抗体PL3#7変異型、例えば、PL3#7-19、-43、および-54が、IFN-γ分泌およびCD8T細胞の増殖の亢進における優れた活性を示したことを示す。
【0231】
実施例7
A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおけるPL2およびPL3抗PD-L1抗体の腫瘍増殖阻害活性
抗ヒトPD-L1抗体のインビボ活性は、易感染性NOD/SCID(非肥満糖尿病性/重症複合免疫不全)マウスを用いて異種移植マウスモデルで調べた。該マウスに、ヒト癌細胞株(ヒトPD-L1を発現する)およびヒトPBMCまたは抗原特異的T細胞を皮下に移植した。抗体の腹腔内用量を、ヒトメラノーマ細胞株A375またはヒトNSCLC細胞株NCI-H292を接種したマウスに与えた。前記抗体の効果は、2000mmの腫瘍体積または肉眼的腫瘍壊死まで腫瘍増殖を観察した。
【0232】
抗原特異的T細胞を作成するために、T細胞をMagniSort(登録商標)ヒトT細胞豊富化キット(eBioscience)を用いて健常なドナーのPBMCから分離した。単離されたT細胞をマイトマイシンCで処理したA375細胞およびrhIL-2(50IU/mL)と10~14日間共培養して、抗原特異的T細胞を増殖させた。ヒトPBMCは、Histopaque(登録商標)-1077(Sigma-Aldrich)を用いて、健常なドナーの全血から単離させた。
【0233】
A375および抗原特異的T細胞を、示されるエフェクターと標的(E:T)比での皮下投与直前に混合した。NCI-H292細胞を、示されるE:T比で新鮮なヒトPBMCと混合し、マウスの皮下に接種した。試験品の最初の用量を、癌/エフェクター細胞の移植2時間後に腹腔内に投与した。マウスを抗体で3~5週間にわたり1週間に2回処理した。腫瘍の形成は、各動物において1週間に2回観察した。腫瘍をキャリパーにより測定しし;腫瘍体積(V)は、下記式を用いて算出した:
V(mm)=0.5(長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)/2)。
【0234】
該マウス(n=4/群)に、ヒトメラノーマ細胞株A375および抗原特異的T細胞の混合物(T細胞:癌細胞=1:100)を皮下に移植した。試験抗体を、マウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。全ての抗PD-L1リード物質のインビボ有効性をA375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおいて試験した。PL2およびPL3で処理したマウスの腫瘍増殖曲線を図5Aおよび5Bに示す。該データは、PL2およびPL3が、インビボでA375腫瘍増殖を著しく阻害することができたことを示す。
【0235】
さらに、A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおける抗PD-L1抗体PL2およびPL3トップ変異型の腫瘍増殖阻害活性を図7Aおよび7Bに示す。該データは、PL2#3 IgG2が、30mg/kgおよび10mg/kgの用量でA375腫瘍増殖を阻害し、PL3#7 IgG2が、30mg/kgの用量でのみA375の増殖を阻害したことを示す。
【0236】
さらに、A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおける様々なPL2#3およびPL3#7 IgGアイソタイプの腫瘍増殖阻害活性を図9A(PL2#3)および9B(PL3#7)に示す。該データは、抗PD-L1抗体PL2#3の変異IgG1およびIgG4型が、20mg/kgの用量でより優れた抗腫瘍効果を示したことを示す。抗PD-L1抗体PL3#7の野生型IgG1、変異IgG1およびIgG2は、30mg/kgの用量でA375腫瘍増殖を阻害した。これらのデータに基づいて、変異体IgG(N297A)をFc骨格として選択した。
【0237】
A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおける抗PD-L1抗体PL2#3およびPL3#7の変異体の腫瘍増殖阻害活性を図15A-15Bに示す。該マウス(n=4/群)に、ヒトメラノーマ細胞株A375および抗原特異的T細胞の混合物(T細胞(E):癌細胞(T)=1:100)を皮下に移植した。PL2#3およびPL3#7の試験抗体変異体を、マウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。mAbで処理したマウスの腫瘍増殖曲線を図15Aに示した。31日目における各腫瘍体積を図15Bに示した。該データは、PL2#3 mtIgG1が、A375(メラノーマ)/抗原特異的T細胞モデルにおいて20mg/kgおよび1mg/kgで抗腫瘍活性を示し;PL3#7-43が、20mg/kgの用量で優れた抗腫瘍活性を示したことを示す。
【0238】
実施例8
hPD1 KIマウスにおける変異体抗PD-L1抗体の腫瘍増殖阻害活性
抗ヒトPD-1抗体のインビボ活性は、ヒトPD-1ノックインC57BL/6マウス(hPD1 KIマウス)において調べた。該マウスに、ヒトPD-L1をトランスフェクトしたマウスMC38癌細胞を皮下に接種した(1匹のマウスあたり5X10個の細胞)。抗体処理は、腫瘍体積が約86mmに達したときに開始した。6匹の動物を処理前に各実験群に割り当てた。該動物は、抗PD-L1抗体の投薬を3週間にわたり1週間に2回受けた。腫瘍の形成は、各動物において1週間に2回観察した。腫瘍をキャリパーにより測定し、腫瘍体積(V)を下記の式を用いて算出した:
V(mm)=0.5(長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)/2)。
【0239】
ヒトPD-1ノックイン(hPD1KI)マウス(n=6/群)に、MC38-huPD-L1(ヒトPD-L1でトランスフェクトしたMC38)細胞を皮下に移植した。抗体処理は、腫瘍体積が約86mmに達したときに開始した。試験抗体(PL2#3-mtIgG1およびPL3#7-mtIgG1)を、マウスの腹腔内に3週間にわたり1週間に2回注入した。図10に示されるデータは、PL2#3-mtIgG1およびPL3#7-mtIgG1の抗腫瘍活性が、抗PD-L1対照抗体と同等であるアテゾリズマブ類似体の抗腫瘍活性に相当することを示す。
【0240】
実施例9
抗PD-L1抗体のPD-L1発現細胞の細胞表面への結合
ヒトT細胞は、MagniSort(登録商標)ヒトT細胞豊富化キット(eBioscience)を用いて、PBMCから単離した。単離したT細胞を5μg/mLのフィトヘマグルチニン(PHA)により6日間活性化して、PD-L1発現を活性化した。活性化T細胞を収集し、FACS緩衝液(PBS(2% FBSを含有))中でヒトFcブロッカー(eBioscience)と4℃で20分間インキュベートした。ブロッキング試薬を除去し、T細胞を染色工程のためにFACS緩衝液中に懸濁させた。腫瘍細胞(A375およびNCI-H292)を培養プレートから細胞をトリプシン処理することにより採取し、細胞染色のためにFACS緩衝液で2回洗浄した。
【0241】
抗PD-L1モノクローナル抗体の結合は、該細胞をFACS緩衝液(PBS(2% FBSを含有))中の連続希釈した抗PD-1モノクローナル抗体とインキュベートさせることにより評価した。該細胞をフロー緩衝液で洗浄し、結合をビオチン標識ウサギ抗ヒトIgG Fcγ Abおよびストレプトアビジン-PEで検出した。フローサイトメトリー分析は、Cytomics FC500(Beckman Coulter Inc.)を用いて行った。
【0242】
図13A-13Cは、PL2#3およびPL3#7変異型のPD-L1発現細胞の細胞表面:活性化T細胞(図13A)、A375ヒトメラノーマ細胞株(図13B)、およびNCI-H292ヒトNSCLC細胞株(図13C)への結合を示す。抗PD-L1対照抗体およびHLX01(抗CD20 mAb)をそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。活性化T細胞に対する結合活性の順位は:PL2#3 mtIgG1>PL3#7-54 mtIgG1>PL3#7-43 mtIgG1>PL3#7-19 mtIgG1である。A375ヒトメラノーマ細胞に対する結合活性の順位は:PL3#7-54 mtIgG1=PL2#3 mtIgG1>PL3#7-43 mtIgG1>PL3#7-19 mtIgG1である。NCI-H292ヒトNSCLC細胞に対する結合活性の順位は:PL3#7-54 mtIgG1≧PL2#3 mtIgG1=PL3#7-43 mtIgG1≧PL3#7-19 mtIgG1である。これらのデータは、全てのPL3#7変異型およびPL2#3がPD-L1発現細胞の表面に結合すると結論付ける。
【0243】
実施例10
NCI-H292/PBMC異種移植モデルにおける抗PD-L1抗体変異型の腫瘍増殖阻害活性
抗ヒトPD-L1抗体のインビボ活性は、易感染性NOD/SCID(非肥満糖尿病性/重症複合免疫不全)マウスを用いて異種移植マウスモデルで調べた。癌細胞および単離されたヒトPBMCは、示されるエフェクターと標的(E:T)比での皮下投与直前に混合した。各マウスに癌細胞およびヒトPBMCの混合物を両側に接種した。試験品の最初の用量は、癌/エフェクター細胞の移植2時間後に腹腔内に投与した。該動物は、試験抗体の投薬を1週間に2回で3~4週間にわたり受容した。腫瘍の形成は各動物において1週間に2回観察した。腫瘍をキャリパーにより測定し、腫瘍体積(V)を下記の式を用いて算出した:
V(mm)=0.5(長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)/2)。
【0244】
マウス(n=4/群)に、ヒトNSCLC細胞株NCI-H292および新たに単離したヒトPBMCの混合物(癌細胞(T):PBMC(E)=3:1)を皮下に移植した。抗PD-L1抗体を、マウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。腫瘍増殖曲線を図14Aで示した。28日目における各腫瘍体積を図14Bに示した。これらのデータは、全ての試験抗PD-L1抗体変異型が、エフェクター細胞(hPBMC)を加えると腫瘍増殖を阻害することを示す。変異型PL2#3、PL3#7-19、およびPL3#7-43は、PL3#7-54変異型および対照抗PD-L1抗体より優れている同様のインビボ腫瘍増殖阻害効果を示す。抗PD-L1 mAbの抗癌効果は、免疫細胞を介在するものであった。
【0245】
実施例11
抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体のマウスメラノーマ細胞への交差結合
抗PD-L1モノクローナル抗体の結合は、A375メラノーマ細胞(1.5×10細胞/試験)をFACS緩衝液中で連続希釈した抗体とインキュベートすることによって評価した。該細胞をフロー緩衝液で洗浄し、結合は、FITC標識ウサギ抗ヒトIgG Fcγ Abで検出した。フローサイトメトリー分析は、Cytomics FC500(Beckman Coulter Inc.)を用いて行った。
【0246】
PL2#3およびPL3#7変異型は、フローサイトメトリーにより、マウスPD-L1発現メラノーマ細胞(B16-F10)への結合について試験した。抗PD-L1対照抗体をそれぞれ、陽性対照および陰性対照として用いた。図16に示されるデータは、PL3#7-43およびPL3#7-54変異型がマウスPD-L1に交差結合するが、PL2#3およびPL3#7-19変異型は、マウスメラノーマ細胞とほとんど交差反応性を示さないことを示す。
【0247】
実施例12
抗PD-L1変異型のカニクイザルPD-L1交差結合
組み換えカニクイザルPD-L1_ECD Fc-融合タンパク質は、Sino Biological Inc.から購入した。PD-L1_ECD/Fc(1ウェルあたり9ng)を、4℃で終夜インキュベートすることによって96ウェルアッセイプレート上に固定した。非特異的結合部位は、PBS中の5% スキムミルクを用いて室温で1時間ブロックさせた。プレートをPBSTで3回洗浄し、示される濃度の抗PD-L1抗体およびHLX01(陰性対照)を固定させたタンパク質と室温で1時間インキュベートした。該プレートをPBSTで3回洗浄し、続いてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgG F(ab)’2(Jackson ImmunoResearch Laboratories)(PBS中で1/10,000に希釈)と室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートを、TMB(eBioscience)を用いて発色させた。吸光度は、Varioskan LUXマイクロプレートリーダー(Thermo Scientific)により450nmの波長で読み取った。
【0248】
PL2#3およびPL3#7変異型は、ELISAにより、組み換えカニクイザルPD-L1_ECD Fc-融合タンパク質への結合について試験した。HLX01(抗CD20 mAb)を陰性対照として用いた。図17で示されるデータは、PL2#3およびPL3#7変異型がカニクイザルPD-L1と交差反応することを示す。
【0249】
実施例13
脱グリコシル化されたPL3#7-19変異型およびPL3#7-43変異型の構築
PL3#7-19およびPL3#7-43は、PL3#7に由来する2つのリード変異型であったが、L-CDR2領域内の望ましくないN-グリコシル化部位を取り除くためにさらなる変異誘発をかけることが必要である。N-グリコシル化はシークオンN-X-S/Tで生じる。親PL3#7-19およびPL3#7-43におけるN-グリコシル化部位がN-S-TおよびN-R-Sとしてコードされていたことから、PL3#7において第2のS/TをNから同一または類似のアミノ酸に変異させること、すなわち、PL3#7-19およびPL3#7-43についてN-S-TおよびN-R-SをN-S-N/QおよびN-R-Pにそれぞれ変異させること(すなわち、PL3#7-19脱グリコ1、脱グリコ3、およびPL3#7-43脱グリコ1)、あるいはN-X-S/TシークオンについてNからQに直接変異させること、すなわち、PL3#7-19およびPL3#7-43についてN-S-TおよびN-R-SをQ-S-TおよびQ-R-Sにそれぞれ変異させること(すなわち、PL3#7-19脱グリコ2およびPL3#7-43脱グリコ2)のいずれかによって操作した。その後、L-CDR2におけるN-グリコシル化部位の除去を液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)およびSDS-PAGEで確認した(データは示さず)。
【0250】
PL3#7-19変異型およびPL3#7-43変異型の脱グリコシル化バージョンの軽鎖可変領域のアミノ酸配列を図18に示す。これらの脱グリコシル化変異型の軽鎖の配列を記載し、CDR(相補性決定領域)を太い下線で示した。それらの重鎖は、変更せず、それらの親変異型と同一であった(配列は示さず)。これらの脱グリコシル化変異型のヒトPD-L1に対する結合活性は、後の実験でフローサイトメトリーおよびOctetを用いて調べた。
【0251】
実施例14
脱グリコシル化PL3#7-19変異型およびPL3#7-43変異型の全細胞結合
試験脱グリコシル化変異型の結合は、PD-L1発現CHO-S細胞(2×10細胞/ウェル)を、FACS緩衝液(1% FBSを含有するPBS)中で連続希釈した抗体と4℃で30分間インキュベートすることにより評価した。これらの細胞をフロー緩衝液で洗浄し、次いで抗ヒトIgG Fc-FITC(1:500x)で4℃にて30分間染色して、細胞表面上の抗体結合を検出した。フローサイトメトリー分析は、CytoFlex(Beckman Coulter Inc.)を用いて行った。
【0252】
PL3#7-19変異型およびPL3#7-43変異型の脱グリコシル化バージョンの全細胞結合を図19(A)および(B)に示す。PL3#7-19およびPL3#7-43は、2つのリード変異型であったが、L-CDR2領域内の望ましくないN-グリコシル化部位を取り除くために改変が必要である(上記実施例13を参照のこと)。生じたPL3#7-19についての3つの脱グリコシル化変異型(すなわち、PL3#7-19脱グリコ1、脱グリコ2、脱グリコ3)およびPL3#7-43についての2つの脱グリコシル化変異型(すなわち、PL3#7-43脱グリコ1、脱グリコ2)のPD-L1トランスフェクトCHO-S細胞に対する全細胞結合活性をフローサイトメトリーで調べた。ここで試験した全ての脱グリコシル化抗体変異型は、ヒトIgG1 Fc骨格のN297A変異体中に存在した。内在性抗PD-1抗体(すなわち、HLX10)を陰性対照として用いた。
【0253】
図19(A)および(B)に示されるデータは、脱グリコシル化されたPL3#7-19およびPL3#7-43変異型の全細胞結合活性がL-CDR2領域内のN-グリコシル化部位の除去によって影響を受けなかったことを示す。
【0254】
実施例15
混合白血球反応におけるPL3#7-19脱グリコ1およびPL3#7-43脱グリコ2のIgGアイソタイプ
PL3#7-19脱グリコ1およびPL3#7-43脱グリコ2の異なるIgGアイソタイプの有効性を、混合白血球反応(MLR)アッセイを用いて試験し、これらの結果を図20(A)および(B)に示した。HLX04およびHLX20(PL2#3)をそれぞれ、陰性および陽性対照抗体として用いた。棒グラフは、試験抗体によって誘導された分泌IFN-γ(図20A)およびIL-2(図20B)を示す。
【0255】
グリコシル化されたPL3#7-19 mtIgG1およびPL3#7-43 mtIgG1と同様に、脱グリコシル化されたPL3#7-19およびPL3#7-43のmtIgG1およびIgG4アイソタイプは、MLRにおいてサイトカイン分泌を著しく高める。PL3#7-19脱グリコ1およびPL3#7-43脱グリコ1の野生型IgG1は、サイトカイン放出の低い亢進を示したが、これは、T細胞における野生型IgG1の潜在的なADCC効果によるものと考えられる。
【0256】
実施例16
A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおける脱グリコシル化されたPL3#7-19およびPL3#7-43変異型の腫瘍増殖阻害活性
マウス(n=5/群)に、ヒトメラノーマ細胞株A375および抗原特異的T細胞の混合物(T細胞:癌細胞=1:100)を皮下に移植した。試験抗体を、マウスの腹腔内に0日目から1週間に2回注入した。脱グリコシル化されたPL3#7-19およびPL3#7-43変異型で処理したマウスの腫瘍増殖をそれぞれ、図21Aおよび21Cに示した。28日目における各腫瘍体積をそれぞれ、図21Bおよび21Dに示した。全てのデータ点は、平均±SEMである。
【0257】
これらの図に示されるデータは、PL3#7-19 脱グリコ1 mtIgG1およびIgG4変異型、ならびにPL3#7-43 脱グリコ2 wtIgG1の抗腫瘍効果が、A375/抗原特異的T細胞異種移植モデルにおけるHLX20(PL2#3)のものに相当したことを示す。
【0258】
実施例17
NSCLC異種移植マウスモデルにおける抗PD-L1 mAbの抗VEGF mAbとの腫瘍増殖阻害活性
抗ヒトPD-L1抗体のインビボ活性は、易感染性NOD/SCID(非肥満糖尿病性/重症複合免疫不全)マウスを用いて異種移植マウスモデルで調べた。癌細胞および単離されたヒトPBMCは、示されるエフェクターと標的(E:T)比で皮下投与直前に混合した。各マウスに、癌細胞およびヒトPBMCの混合物を両側に接種した。4匹の動物を各実験群に割り当てた。試験品の最初の用量を、癌/エフェクター細胞の移植後1日目に腹腔内に投与した。該動物は、試験品の用量を1週間に2回で3-4週間受容した。腫瘍の形成を各動物において1週間に2回観察した。腫瘍をキャリパーにより測定し、腫瘍体積(V)を下記の式を用いて算出した:
V(mm)=0.5(長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)/2)。
【0259】
マウス(n=5/群)に、ヒトNSCLC細胞NCI-H292および新たに単離されたヒトPBMCの混合物(癌細胞:PBMC=3:1)を皮下に移植した。抗PD-L1(PL2#3)および抗VEGF(HLX04)抗体を、マウスの腹腔内に1日目から1週間に2回注入した。腫瘍増殖曲線を図22Aに示した。21日目における各腫瘍体積を図22Bに示した。全てのデータ点は、平均±SEMである。
【0260】
これらのデータは、抗VEGF mAb(HLX04)と組み合わせた抗PD-L1 mAb(PL2#3)が、いずれの薬剤を単独で用いるよりNCI-H292異種移植の腫瘍増殖を効果的に抑制することを示す。
【0261】
実施例18
脱グリコシル化されたPL3#7-19およびPL3#7-43変異型の平衡解離定数(K)の決定
N-グリコシル化は、シークオンN-X-S/Tで生じる。それゆえ、親PL3#7-19およびPL3#7-43におけるN-グリコシル化部位はL-CDR2に位置した。N-グリコシル化部位の除去は、PL3#7と同一または類似するアミノ酸に変異させること(すなわち、PL3#7-19脱グリコ1、脱グリコ3、およびPL3#7-43脱グリコ1)、またはグリコシル化されたNをQ(すなわち、PL3#7-19脱グリコ2およびPL3#7-43脱グリコ2)に直接変異させることによって行った。N-グリコシル化を除去するために操作したL-CDR2を除いて、脱グリコシル化変異型のL-CDR1、L-CDR3およびH-CDR1、H-CDR2、H-CDR3領域は変化させないままにした。ここで試験した全ての脱グリコシル化変異型をヒトIgG1Fc骨格のN297A変異体にクローン化して、親PL3#7-19およびPL3#7-43変異型と対照比較した。
【0262】
脱グリコシル化された抗PD-L1変異型(すなわち、PL3#7-19脱グリコ1、脱グリコ2、脱グリコ3およびPL3#7-43脱グリコ1、脱グリコ2)の親和性および反応速度は、Octet RED96(ForteBio)システムをAHC抗ヒト-Fc捕捉センサーで25℃および1000rpmの攪拌速度にて使用するバイオレイヤー干渉法によって測定した。簡単に説明すると、黒色96ウェルプレートは、親和性の決定に必要な試薬の200μL/ウェルを含有するカラムで調製した。一般に、Octet 抗ヒト-Fcセンサーを、まず、1×反応速度緩衝液(PBS、0.1% BSA、0.02% Tween-20、pH7.4)を含有するウェルに180秒間入れて、基準値を設定した。次いで、センサーを、10μg/mLの抗PD-L1変異型を含有するウェルに600秒間移して、抗ヒト-Fcチップを載せた。続いて、センサーを新鮮な1×反応速度緩衝液に180秒間入れて、基準値を設定した。結合は、センサーを、hPD-L1-Hisを含有するウェルで3分間インキュベートし、次いで1×反応速度緩衝液を含有するウェルに10分間移して、解離を測定することによって測定した。次に、センサーを再生緩衝液(10mM グリシン、pH1.5)中で3×5秒インキュベートし、続いて1×反応速度緩衝液中で5秒インキュベートすることによって再生させた。再生は、各結合/解離サイクルの測定前に繰り返した。反応速度(ka、kd、およびK)は、21.3nM~0.79nMのhPD-L1-Hisの1:3連続希釈液から得られたデータの4回の結合/解離サイクル(1つの濃度につき1回の結合/解離サイクル)を、1:1ラングミュア結合モデルを用いて網羅的に適合させることによって測定した。全てのデータは、Octetデータ解析ソフトウェアv.9.0で解析し、2つの独立した実験を2回行った代表値である。
【0263】
表12は、バイオレイヤー干渉法を用いるForteBio Octet RED96装置(米国、カリフォルニア州のメンローパーク)によって測定された脱グリコシル化変異型の結合、解離反応速度および算出された親和性(K)を示す。脱グリコシル化変異型対親変異型(L-CDR2にN-グリコシル化部位を有する)の親和性における倍差も、表12に示す。全てのデータは、2つの独立した実験を2回行った代表値である。これらのデータは、脱グリコシル化変異型が、親PL3#7-19およびPL3#7-43と非常に類似する結合親和性を示したことを示す。親和性は、L-CDR2内のN-グリコシル化の除去によって影響を受けなかった。
表12
【表12】
【0264】
前記実施例は、例示のためだけに提示されるものであって、いずれの形でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の様々な改変は、本明細書に示され、記載されるものに加えて、前記明細書から当業者にとって明らかであり、本願の特許請求の範囲内である。
【0265】
実施態様の記載
本発明によって供される実施態様として、下記に限定されないが、下記が挙げられる:
1.(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:44で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:59で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体(PL1)。
【0266】
2.(1)配列番号:36で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:45で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:60で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体(PL2)。
【0267】
3.(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:46で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:53で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:61で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体(PL3)。
【0268】
4.(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:47で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:54で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:57で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:62で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体(PL6)。
【0269】
5.(1)配列番号:38で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:43で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:48で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:58で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:63で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体(PL8)。
【0270】
6.(1)配列番号:39で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:49で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:51で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:64で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体(PL12)。
【0271】
7.(1)配列番号:40で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:50で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:53で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:61で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体(PL15)。
【0272】
8.(1)配列番号:65で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:71で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:71で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL2#3)。
【0273】
9.(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:41で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:78で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL3#7)。
【0274】
10.(1)配列番号:66で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:68で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:73で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:79で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL3#7-19)。
【0275】
11.(1)配列番号:35で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:69で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:74で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:80で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL3#7-43)。
【0276】
12.(1)配列番号:67で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:70で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:72で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:75で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:76で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:81で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL3#7-54)。
【0277】
13.(1)配列番号:94で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:95で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:96で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL2#4)。
【0278】
14.(1)配列番号:97で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:98で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:99で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL2#5)。
【0279】
15.(1)配列番号:100で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:42で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:95で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:52で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:56で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:101で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL2#39)。
【0280】
16.(1)配列番号:37で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;(2)配列番号:106で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;および(3)配列番号:107で示されるアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む、軽鎖(LC)可変領域配列、ならびに(1)配列番号:108で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;(2)配列番号:55で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;および(3)配列番号:109で示されるアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む、重鎖(HC)可変領域配列を含む、抗PD-L1抗体変異型(PL3#1)。
【0281】
17.前記抗PD-L1抗体 変異型が、N-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含むCDR-L2を含む、実施態様10に記載の抗PD-L1抗体変異型。
【0282】
18.前記抗PD-L1抗体変異型が、N-グリコシル化部位に1つまたはそれ以上の変異を含むCDR-L2を含む、実施態様11に記載の抗PD-L1抗体変異型。
【0283】
19.前記抗原結合フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab)’2、単鎖Fv(scFv)、Fvフラグメント、二特異性抗体、およびリニア抗体からなる群から選択される、実施態様1~18のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメント。
【0284】
20.前記抗体が、多特異性抗体である、実施態様1~19のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体もしくはその変異型、またはこれらの抗原結合フラグメント。
【0285】
21.治療薬に抱合された、実施態様1~20のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメント。
【0286】
22.標識に抱合された、実施態様1~20のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメント。
【0287】
23.前記標識が、ラジオアイソトープ、蛍光色素、および酵素からなる群から選択される、実施態様22に記載の抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメント。
【0288】
24.実施態様1~19のいずれか1項に記載の抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントをコードする、単離された核酸分子。
【0289】
25.実施態様24に記載の核酸分子をコードする、発現ベクター。
【0290】
26.実施態様25に記載の発現ベクターを含む、細胞。
【0291】
27.抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントの調製方法であって、実施態様26に記載の細胞を培養し、次いで前記抗体を前記細胞培養物から回収することを含む、方法。
【0292】
28.実施態様1~23のいずれか1つに記載の抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメント、および医薬的に許容される担体を含む、組成物。
【0293】
29.患者由来の試料におけるPD-L1タンパク質の検出方法であって、実施態様1~20のいずれか1つに記載の抗PD-L1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントを前記試料に接触させ、次いでPD-L1タンパク質に結合した抗PD-L1抗体を検出することによる、方法。
【0294】
30.前記抗PD-1抗体、その変異型、またはこれらの抗原結合フラグメントが、免疫組織化学アッセイ(IHC)またはELISAアッセイで用いられる、実施態様29に記載の方法。
【0295】
31.有効な量の実施態様28に記載の組成物を前記対象に投与することを特徴とする、対象における癌の治療方法。
【0296】
32.前記癌が、メラノーマ、NSCLC、頭頚部癌、尿路上皮癌、三種陰性乳癌(TNBC)、胃癌、古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫 縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫(NHL PMBCL)、中皮腫、卵巣癌、肺癌、食道癌、鼻咽頭癌(NPC)、胆道癌、結腸直腸癌、乳癌、子宮頸癌、甲状腺癌、および唾液腺癌からなる群から選択される、実施態様31に記載の方法。
【0297】
33.前記対象が、抗悪性腫瘍薬、化学療法剤、増殖抑制剤、および細胞傷害性薬物からなる群から選択される治療薬をさらに投与される、実施態様32に記載の方法。
【0298】
34.前記対象が、放射線療法をさらに投与される、実施態様32に記載の方法。
【0299】
配列表
配列番号:1(PL1_LC AA配列、図1Aを参照)
配列番号:2(PL2_LC AA配列、図1Aを参照)
配列番号:3(PL3_LC AA配列、図1Aを参照)
配列番号:4(PL6_LC AA配列、図1Aを参照)
配列番号:5(PL8_LC AA配列、図1Aを参照)
配列番号:6(PL12_LC AA配列、図1Aを参照)
配列番号:7(PL15_LC AA配列、図1Aを参照)
配列番号:8(PL1_HC AA配列、図1Bを参照)
配列番号:9(PL2_HC AA配列、図1Bを参照)
配列番号:10(PL3_HC AA配列、図1Bを参照)
配列番号:11(PL6_HC AA配列、図1Bを参照)
配列番号:12(PL8_HC AA配列、図1Bを参照)
配列番号:13(PL12_HC AA配列、図1Bを参照)
配列番号:14(PL15_HC AA配列、図1Bを参照)
配列番号:15(PL2#3_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCTCAATGTCAGCGGCCCCAGGACAGAGAGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCTACATTGAAAGTTCTTACGTCGGGTGGTACCAGCAACTCCCAGGAACAGCCCCCAGACTCCTCATTTATGACGATGATATGCGACCCTCAGGGATCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACGTCAGCCACCCTGGCCATCACCGGACTCCAGACTGGGGACGAGGCCGATTATTACTGCGAGATATGGCGGAGCGGCCTGGGAGGCGTCTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:16(PL2#3_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))QSVVTQPPSMSAAPGQRVTISCSGSSSYIESSYVGWYQQLPGTAPRLLIYDDDMRPSGIPDRFSGSKSGTSATLAITGLQTGDEADYYCEIWRSGLGGVFGGGTKLTVL

配列番号:17(PL2#3_VH nt配列)

GAGGTTCAGCTGGTACAATCTGGGGGAGGCCTGGTCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTAGTTATACTATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCATCCATTAGTAGTGGTAGTGATTACTTATACTACGCAGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGGGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAACGAACTACGGTGGTATCCACAAGCAGGTGCTTTTGATCGATGGGGCCAAGGGACAATGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:18(PL2#3_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

EVQLVQSGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMNWVRQAPGKGLEWVSSISSGSDYLYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARNELRWYPQAGAFDRWGQGTMVTVSS

配列番号:19(PL3#7_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCCTGAGTGCCCGGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:20(PL3#7_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSLSARVVFGGGTKLTVL

配列番号:21(PL3#7_VH nt配列)

CAGGTCCAGCTGGTGCAATCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCTTCAGCAGCTATCCGATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATAGGAAGGATCATCCCTATCCTTGGGATAGCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACAAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGGTCTAGAGATGGCTACGCTTTTGGTGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:22(PL3#7_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYPISWVRQAPGQGLEWIGRIIPILGIANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSRDGYAFGAFDIWGQGTLVTVSS

配列番号:23(PL3#7-19_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGGGGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCACGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCCTGAGTGCCACGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:24(PL3#7-19_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGGGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSTRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSLSATVVFGGGTKLTVL

配列番号:25(PL3#7-19_VH nt配列)

CAGGTCCAGCTGGTGCAATCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCTTCAGCAGCTATCCGATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAAGGATCATCCCTATCCTTGGTATAGCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACAAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGGTCTAGAGATGGCTACGCTTTTGGTGCTTTTGATGTGTGGGGCCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:26(PL3#7-19_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYPISWVRQAPGQGLEWMGRIIPILGIANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSRDGYAFGAFDVWGQGTLVTVSS

配列番号:27(PL3#7-43_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACGTGGGGGCAGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCAATCGGTCTTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCGGGAGTGCCCGGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:28(PL3#7-43_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNVGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSNRSSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSGSARVVFGGGTKLTVL

配列番号:29(PL3#7-43_VH nt配列)

CAGGTCCAGCTGGTGCAATCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCTTCAGCAGCTATCCGATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAAGGATCATCCCTATCCTTGGTATAGCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACAAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGGTCTAGACCGGGCTACGCTTTTGGTGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:30(PL3#7-43_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYPISWVRQAPGQGLEWMGRIIPILGIANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSRPGYAFGAFDIWGQGTLVTVSS

配列番号:31(PL3#7-54_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGCAGGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGCTAACAGCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCCTGAGTGCCCGGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:32(PL3#7-54_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGQGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYANSNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSLSARVVFGGGTKLTVL

配列番号:33(PL3#7-54_VH nt配列)

CAGGTCCAGCTGGTGCAATCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCTTCAGCAGCTATCCGATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAAGGATCATCCCTATCCTTGGTATAGCAGATTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACAAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGGTCTAGACCGGGCTACGCTTTTGGTGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:34(PL3#7-54_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYPISWVRQAPGQGLEWMGRIIPILGIADYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSRPGYAFGAFDIWGQGTLVTVSS

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配列番号:41(PL3_LCのCDR-L2):GNSNRPS

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配列番号:41(PL12_LCのCDR-L2):GNSNRPS

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配列番号:51(PL12_HCのCDR-H1):SYAIS

配列番号:53(PL15_HCのCDR-H1):SYTIS

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配列番号:56(PL2#3_HCのCDR-H2):SISSGSDYLYYADSVKG

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配列番号:55(PL3#7-43_HCのCDR-H2):RIIPILGIANYAQKFQG

配列番号:76(PL3#7-54_HCのCDR-H2):RIIPILGIADYAQKFQG

配列番号:77(PL2#3_HCのCDR-H3):NELRWYPQAGAFDR

配列番号:78(PL3#7_HCのCDR-H3):SRDGYAFGAFDI

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配列番号:81(PL3#7-54_HCのCDR-H3):SRPGYAFGAFDI

配列番号:82(PL2#4_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCTCAATGTCAGCGGCCCCAGGACAGAGGGTCACCATCTCCTGCTCTGGAGTTAGCTCCTACATTGAAAGTTCTTATGTCTCCTGGTACCAGCAACTCCCAGGAACAGCCCCCAGACTCCTCATTTATGACGATGATATGCGACCCTCAGGGATCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACGTCAGCCACCCTGGCCATCACCGGACTCCAGACTGGGGACGAGGCCGATTATTACTGCAAGATATGGGATAGCGGCCTGGGAGGCGTCTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:83(PL2#4_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPSMSAAPGQRVTISCSGVSSYIESSYVSWYQQLPGTAPRLLIYDDDMRPSGIPDRFSGSKSGTSATLAITGLQTGDEADYYCKIWDSGLGGVFGGGTKLTVL

配列番号:84(PL2#4_VH nt配列)

GAGGTTCAGCTGGTACAATCTGGGGGAGGCCTGGTCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTAGTTATACTATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCATCCATTAGTAGTGGTAGTGATTACTTATACTACGCAGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGGGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAACGAACTACGGTGGTATCCACTTGCAGGTGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGGACAATGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:85(PL2#4_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

EVQLVQSGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMNWVRQAPGKGLEWVSSISSGSDYLYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARNELRWYPLAGAFDIWGQGTMVTVSS

配列番号:86(PL2#5_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCTCAATGTCAGCGGCCCCAGGACAGAGGGTCACCATCTCCTGCAGTGGAAGCAGCTCCTACATTGAAAGTTCTTATGTCTCATGGTACCAGCAACTCCCAGGAACAGCCCCCAGACTCCTCATTTATGACGATGATATGCGACCCTCAGGGATCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACGTCAGCCACCCTGGCCATCACCGGACTCCAGACTGGGGACGAGGCCGATTATTACTGCGAGATATGGGATAGCCGGCTGGGAGGCGTCTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:87(PL2#5_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPSMSAAPGQRVTISCSGSSSYIESSYVSWYQQLPGTAPRLLIYDDDMRPSGIPDRFSGSKSGTSATLAITGLQTGDEADYYCEIWDSRLGGVFGGGTKLTVL

配列番号:88(PL2#5_VH nt配列)

GAGGTTCAGCTGGTACAATCTGGGGGAGGCCTGGTCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTAGTTATACTATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCATCCATTAGTAGTGGTAGTGATTACTTATACTACGCAGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGGGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAACGAACTACGGTGGTATCCATTTGCAGGTGCTTTTGATATTTGGGGCCAAGGGACAATGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:89(PL2#5_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

EVQLVQSGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMNWVRQAPGKGLEWVSSISSGSDYLYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARNELRWYPFAGAFDIWGQGTMVTVSS

配列番号:90(PL2#39_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCTCAATGTCAGCGGCCCCAGGACAGAGGGTCACCATCTCCTGCTCTGGAAGCAGCTCCTACATTACGAGTTCTTATGTCTCCTGGTACCAGCAACTCCCAGGAACAGCCCCCAGACTCCTCATTTATGACGATGATATGCGACCCTCAGGGATCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACGTCAGCCACCCTGGCCATCACCGGACTCCAGACTGGGGACGAGGCCGATTATTACTGCAAGATATGGGATAGCGGCCTGGGAGGCGTCTTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:91(PL2#39_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPSMSAAPGQRVTISCSGSSSYITSSYVSWYQQLPGTAPRLLIYDDDMRPSGIPDRFSGSKSGTSATLAITGLQTGDEADYYCKIWDSGLGGVFGGGTKLTVL

配列番号:92(PL2#39_VH nt配列)

GAGGTTCAGCTGGTACAATCTGGGGGAGGCCTGGTCAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTAGTTATACTATGAACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGCCTGGAGTGGGTCTCATCCATTAGTAGTGGTAGTGATTACTTATACTACGCAGACTCTGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGGGACAACGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAAACGAACTACGGTGGTATCCAAAGGCAGGTGCTTTTGATATATGGGGCCAAGGGACAATGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:93(PL2#39_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

EVQLVQSGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMNWVRQAPGKGLEWVSSISSGSDYLYYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARNELRWYPKAGAFDIWGQGTMVTVSS

配列番号:94(PL2#4_LCのCDR-L1):SGVSSYIESSYVS

配列番号:97(PL2#5_LCのCDR-L1):SGSSSYIESSYVS

配列番号:100(PL2#39_LCのCDR-L1):SGSSSYITSSYVS

配列番号:42(PL2#4_LCのCDR-L2):DDDMRPS

配列番号:42(PL2#5_LCのCDR-L2):DDDMRPS

配列番号:42(PL2#39_LCのCDR-L2):DDDMRPS

配列番号:95(PL2#4_LCのCDR-L3):KIWDSGLGGV

配列番号:98(PL2#5_LCのCDR-L3):EIWDSRLGGV

配列番号:95(PL2#39_LCのCDR-L3):KIWDSGLGGV

配列番号:52(PL2#4_HCのCDR-H1):SYTMN

配列番号:52(PL2#5_HCのCDR-H1):SYTMN

配列番号:52(PL2#39_HCのCDR-H1):SYTMN

配列番号:56(PL2#4_HCのCDR-H2):SISSGSDYLYYADSVKG

配列番号:56(PL2#5_HCのCDR-H2):SISSGSDYLYYADSVKG

配列番号:56(PL2#39_HCのCDR-H2):SISSGSDYLYYADSVKG

配列番号:96(PL2#4_HCのCDR-H3):NELRWYPLAGAFDI

配列番号:99(PL2#5_HCのCDR-H3):NELRWYPFAGAFDI

配列番号:101(PL2#39_HCのCDR-H3):NELRWYPKAGAFDI

配列番号:102(PL3#1_VL nt配列)

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGCAGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCAGGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACCTATGACAGCAGCCTGAGTCGTCCCGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:103(PL3#1_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSRRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSLSRPVVFGGGTKLTVL

配列番号:104(PL3#1_VH nt配列)

CAGGTCCAGCTGGTGCAATCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGTGAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCTTCAGCAGCTATAGGATCAGCTGGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAAGGATCATCCCTATCCTTGGTATAGCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACCGCGGACAAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGGTCTAGAGATGGCTACAGTGTGGGTGCTTTTGATTCGTGGGGCCAAGGAACCCTGGTCACCGTCTCAAGC

配列番号:105(PL3#1_VH AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYRISWVRQAPGQGLEWMGRIIPILGIANYAQKFQGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARSRDGYSVGAFDSWGQGTLVTVSS

配列番号:37(PL3#1_LCのCDR-L1):TGSSSNIGAGYDVH

配列番号:106(PL3#1_LCのCDR-L2):GNSRRPS

配列番号:107(PL3#1_LCのCDR-L3):QTYDSSLSRPVV

配列番号:108(PL3#1_HCのCDR-H1):SYRIS

配列番号:55(PL3#1_HCのCDR-H2):RIIPILGIANYAQKFQG

配列番号:109(PL3#1_HCのCDR-H3):SRDGYSVGAFDS

配列番号:110(PL3#7-19 脱グリコ1_VL nt配列(下線強調部: L-CDR2))

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGGGGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCCTGAGTGCCACGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:111(PL3#7-19 脱グリコ1_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGGGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSLSATVVFGGGTKLTVL

配列番号:112(PL3#7-19 脱グリコ2_VL nt配列(下線強調部: L-CDR2))

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGGGGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTCAGAGCACGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCCTGAGTGCCACGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:113(PL3#7-19 脱グリコ2_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGGGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGQSTRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSLSATVVFGGGTKLTVL

配列番号:114(PL3#7-19 脱グリコ3_VL nt配列(下線強調部: L-CDR2))

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACATCGGGGGGGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCCAACGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCCTGAGTGCCACGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:115(PL3#7-19 脱グリコ3_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNIGGGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSQRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSLSATVVFGGGTKLTVL

配列番号:116(PL3#7-43 脱グリコ1_VL nt配列(下線強調部: L-CDR2))

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACGTGGGGGCAGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCAATCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCGGGAGTGCCCGGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:117(PL3#7-43 脱グリコ1_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNVGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSNRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSGSARVVFGGGTKLTVL

配列番号:118(PL3#7-43 脱グリコ2_VL nt配列(下線強調部: L-CDR2))

CAGTCTGTCGTGACGCAGCCGCCCCCAGTGTCTGGGGCCCCAGGGCAGAGGGTCACCATCTCCTGCACTGGGAGCAGCTCCAACGTGGGGGCAGGTTATGATGTACACTGGTACCAGCAGCTTCCAGGAACAGCCCCCAAACTCCTCATCTATGGTAACAGCCAACGGTCTTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCACTGGGCTCCAGGCTGAGGATGAGGCTGATTATTACTGCCAGACTTATGACAGCAGCGGGAGTGCCCGGGTGGTATTCGGCGGAGGGACCAAGCTGACCGTCCTA

配列番号:119(PL3#7-43 脱グリコ2_VL AA配列(下線強調部: Kabatが定義したCDR))

QSVVTQPPPVSGAPGQRVTISCTGSSSNVGAGYDVHWYQQLPGTAPKLLIYGNSQRSSGVPDRFSGSKSGTSASLAITGLQAEDEADYYCQTYDSSGSARVVFGGGTKLTVL
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図21D
図22A
図22B
【配列表】
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