(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-18
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ベローズ
(51)【国際特許分類】
F16J 3/04 20060101AFI20220119BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
F16J3/04 B
A61H1/02 K
(21)【出願番号】P 2019568398
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(86)【国際出願番号】 CN2018094196
(87)【国際公開番号】W WO2019007311
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-01-08
(31)【優先権主張番号】201710551749.9
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519437364
【氏名又は名称】北京恒通信佳科技発展有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519437375
【氏名又は名称】中山長曜医療器材有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】楊克強
(72)【発明者】
【氏名】冒真▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】山本圭治郎
【審査官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/135857(WO,A1)
【文献】実開平03-091571(JP,U)
【文献】特開2017-145879(JP,A)
【文献】特開2016-159049(JP,A)
【文献】中国実用新案第204995747(CN,U)
【文献】国際公開第2017/051753(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 3/04
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズであって、複数の山部と複数の谷部を交互に連結してなる中空なチューブであり、前記ベローズの末端の端面
の中央には前記ベローズ
の厚さ(t)よりも厚さが大き
くされたボス
が形成され、前記ベローズにおける先端の最初セグメントと末端の最後セグメントはいずれも一定の幅
(k)で半径が変化しない山部であり、先端の最初セグメントの山部と末端の最後セグメントの山部の前記幅
(k)はいずれも前記ベローズの厚さ
(t)より大きく、前記最後セグメントの山部から、前記ベローズの末端の端面の
外周に向かって傾斜した面取り部
(m)が
形成されており、
前記ベローズ内の空気圧が低下する時、前記ベローズの末端と先端が内部へ陥入することを防止し、前記山部と前記谷部が角度を有し、前記ベローズの材質は
HDPE又は
EVAであり、前記ベローズは関節リハビリ運動補助具に嵌合され、前記ベローズ内の空気圧が制御されることにより、前記ベローズは圧縮したり、伸展するように動作され、患者の関節を動かし、患者のリハビリトレーニングを支援することを特徴とするベローズ。
【請求項2】
前記ベローズの山部の頂角と谷部の底角が等しいとを特徴とする請求項1に記載のベローズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節運動補助の技術分野に関し、具体的に、ベローズに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床的実証によれば、患者の四肢手術の術後、又は脳神経障害の早期リハビリテーション及び自然回復期間において、連続的な受動運動が行われることによって、患者の自発的運動の不足を解消してその身体の可動性を向上させると共に、対応的な合併症を減少させることが可能である。また、現在の患者では、脳梗塞などの中枢神経障害により手指が麻痺して拘縮してしまうことがあり、この場合、患者の手指運動を支援することができれば、患者の手指の回復速度を速めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記欠陥に鑑み、本発明の発明者は長期間にわたる研究と実践の結果、本発明に至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術欠陥を解決するために、本発明に係る技術的解決手段によれば、ベローズを提供し、前記ベローズは複数の山部と複数の谷部を交互に連結してなる中空なチューブであり、前記ベローズ末端の端面中央には前記ベローズよりも厚さが大きいボスが設置され、前記ベローズにおける先端の最初セグメントと末端の最後セグメントはいずれも山部であり、先端の最初セグメントの山部と末端の最後セグメントの山部の幅はいずれも前記ベローズの厚さより大きく、前記ベローズ内の空気圧が低下する時、前記ベローズの末端と先端が内部へ陥入することを防止する。
【0005】
好ましくは、前記ベローズ末端の端面には面取り部が設けられ、前記ベローズ内の空気圧が低下する時、前記ベローズの末端と先端が内部へ陥入することを防止する。
【0006】
好ましくは、前記ベローズ先端の端面には円弧面が設けられ、前記ベローズ内の空気圧が低下する時、前記ベローズの末端と先端が内部へ陥入することを防止する。
【0007】
好ましくは、前記ベローズの山部の頂角と谷部の底角が等しい。
【0008】
好ましくは、前記ベローズの山部の頂角が鋭角である時、前記ベローズの圧縮特性は引張特性より大きい。
【0009】
好ましくは、前記ベローズの山部の頂角が鈍角である時、前記ベローズの圧縮特性は引張特性より小さい。
【発明の効果】
【0010】
従来技術と比較すると、本発明の好適な効果は以下のとおりである。該ベローズは他の関節リハビリ運動補助具に嵌合し、ベローズ内の空気圧を制御することにより、ベローズを圧縮したり、伸展させたりするように動作させ、患者の関節を動かし、患者のリハビリトレーニングを支援する。
【0011】
本発明に係る各実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例を説明するために使用される図面を簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】ベローズが手指関節リハビリ運動補助具に装着される状態の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に
図1~
図3に合わせて本発明の上記及び他の技術的特徴及び利点をより詳細に説明する。
【0014】
図1はベローズの構成図であり、該ベローズは手指、足指、腿部又は腕部などのリハビリ運動を補助する機構に嵌合し、ベローズの内部が中空で、ベローズ内の空気圧を制御することにより、ベローズを伸展させたり、圧縮させたりすることで、リハビリ運動を必要とする関節はベローズの伸展と圧縮動作に動かされて受動的に運動する。ベローズの材質は高圧ポリエチレン(HDPE)又はエチレン(EVA)である。
【0015】
図2はベローズの断面図であり、図から分かるように、ベローズは山部と谷部で交互に構成されるフレキシブルなチューブであり、各山部の頂角eと谷部の底角fが等しいため、隣接する2つの山部の同じ方向における辺gとhが平行で、角eと角fが90度となる時、ベローズの圧縮特性と引張特性が等しく、角eと角fがいずれも鋭角である時、角eと角fは鋭角から平角に引かれると、その引張空間が大きくなるが、引張抵抗力も非常に大きくなり、ベローズの材質や引張角度が大きすぎることで、角eと角fが平角となる時にベローズは、元の状態に戻れない現象が生じ、逆に、ベローズを圧縮すると、角eと角fが圧縮で鋭角から0度角に比較的変わりやすく、1つの山部と2つの谷部で囲まれた三角形において、頂角の山部が鋭角であるため、この三角形の頂角の剛性が小さく、2つの谷部が比較的圧縮されやすくなり、この時圧縮特性は引張特性より大きく、角eと角fがいずれも鈍角である時、角eと角fが鈍角から平角に比較的変わりやすく、1つの山部と2つの谷部で囲まれた三角形において、頂角の山部が鈍角であるため、この三角形の頂角の剛性が大きく、2つの谷部が圧縮されにくくなり、この時ベローズの引張特性は圧縮特性より大きく、本発明において、患者の骨格が屈曲や変形して伸展することができない場合、屈曲状態から伸展状態にする必要があり、ベローズの動作状態は元の屈曲状態から圧縮状態に変わり、ベローズの圧縮特性が引張特性より大きいことが期待される。患者の四肢が伸展状態で、曲げることができない場合、ベローズの初期状態が患者の四肢の伸展状態に対応する必要があり、患者の四肢を曲げる時、ベローズを引っ張る必要があり、この時、角eと角fがいずれも鈍角であり、角eと角fが鈍角から平角(伸展状態)になるまでの抵抗力が小さく、比較的実現しやすく、
図2において、角eと角fがいずれも鋭角であり、ベローズの圧縮特性は引張特性より大きく、患者の四肢が屈曲状態から伸展する場合に適用される。山部と谷部の間の高低差、すなわち、波高さiが大きくなるほど、ベローズの圧縮特性が良くなるが、ベローズの外径Dが変化せず一定である時、波高さiが大きくなるほど、内径dが小さくなり、ベローズの空気充填量に影響を与える。ベローズの厚さtの数値が大きすぎると、その引張と圧縮特性に影響を与え、厚さtはベローズが受ける空気圧に関連し、空気圧が大きくなるほど、厚さtも大きくなり、
図2において、手指運動を補助するベローズの厚さは0.5ミリメートルである。
【0016】
ベローズが圧縮される時に、すなわち、ベローズ内の空気圧が低くなる時、ベローズの両端が内部へ陥入することを防止するために、ベローズの両端で強度補強処理を行い、末端の底部中央に厚さが1であるボスを増設し、最後セグメントの山部の幅をtからkに増加させ、端面に面取り部mを追加することによって、ベローズ末端の強度を向上させ、ベローズ内の空気圧が低い時でも、ベローズの末端が内部へ陥入し、使用効果に影響を与えることがない。ベローズ先端の最初セグメントの山部の幅をtからkにも増加させ、端面においては円弧面を追加することによって、ベローズ内の空気圧が低い時でも、ベローズの先端が内部へ陥入することはない。
【0017】
図3はベローズが手指補助具に装着される状態の構成図であり、
図3において、3はベローズであり、2はゴム部材21と、小形ブラケット22と、中形ブラケット23と、大形ブラケット24を含む手指関節リハビリ運動補助具である。小形ブラケット22と、中形ブラケット23と、大形ブラケット24はいずれもゴム部材21に固定され、ベローズ3は小形ブラケット22と、中形ブラケット23と、大形ブラケット24によって固定される。患者の手指が屈曲している場合、ベローズに常圧ガスが充填される時、
図3における手指補助具を患者の手指に装着し、この時ベローズ内の空気圧を低下させ、ベローズが圧縮されて伸展状態になり、患者の手指を屈曲状態から徐々に伸展状態にさせ、この動作を繰り返し、患者の手指は受動的にリハビリトレーニングを行うことができる。
【0018】
当然、ベローズは更に他の場合に応用することができ、例えば、患者の硬直状態から屈曲状態へのトレーニング、腰部、腿部と腕部の関節リハビリトレーニングを支援し、この時のベローズの直径、厚さ、長さは応用状況によって異なることがある。
【0019】
ベローズ内の空気圧を制御する装置は吸気、圧縮と排気を完了可能なあらゆる装置、例えば、電動エアポンプ、手動エアポンプ、足動エアポンプなどである。
【0020】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明に対して例示的なものに過ぎず、限定するためのものではない。本発明の請求項に限定される趣旨と範囲内において多くの変形や修正、更に等価物による置換を行うことができるが、いずれも本発明の保護範囲に含まれることは、当業者に理解されたい。